前すべり防止インソール
【課題】様々な靴に利用できる汎用性を有し、かつ、前すべりを防止するための突起を備えたインソールであって、突起の形状は、使用時に足に違和感を与えるおそれが小さいインソールが必要であった。
【解決手段】足裏の少なくとも一部と接するベース0102と、足の親指と人差し指との間に挟んで利用可能な突起0103と、を有するインソール0101であって、前記突起0103をベースと略平行な断面で観察した主な形状は、足の左右方向長が、足の踵側とつま先側とを結ぶ縦方向長よりも短い、縦長であって、かつ、足のつま先側に向けて細くなる滴形の形状であることを特徴とするインソール0101を提案する。
【解決手段】足裏の少なくとも一部と接するベース0102と、足の親指と人差し指との間に挟んで利用可能な突起0103と、を有するインソール0101であって、前記突起0103をベースと略平行な断面で観察した主な形状は、足の左右方向長が、足の踵側とつま先側とを結ぶ縦方向長よりも短い、縦長であって、かつ、足のつま先側に向けて細くなる滴形の形状であることを特徴とするインソール0101を提案する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴に使用するインソールであって、足の親指と人差し指との間にはさんで使用することの可能な突起を有するインソールに関する。
【背景技術】
【0002】
ヒールの高い靴を使用する場合、靴の内底面に足の踵側からつま先側へ向かう傾斜が形成されるため、足がつま先側へ前すべりする場合がある。その結果、足のつま先が靴の先端で圧迫されたり、踵側に隙間が空いたりする。
【0003】
前すべりを防止する手段として、例えば、靴自体に鼻緒式仕切りを設ける特許文献1に記載の靴が提案されている。
【0004】
あるいは、外反母趾対策用商品として、非特許文献1のような楕円柱状の突起を備えるインソール(興和株式会社の製品「外反母趾フィット」)が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−155505
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】http://hc.kowa.co.jp/beautien/gaihanboshi.php
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、靴自体に鼻緒式の仕切りを設ける靴を利用する場合、ユーザーの靴の選択肢が限定されることになる。あるいは、楕円柱状の突起を備えるインソールでは、外反母趾対策機能の観点から、足の親指と人差し指との間を広げるため、足の指の隙間に沿った形状となっておらず、使用時に違和感を与える。
【0008】
そこで、様々な靴に利用できる汎用性を有し、かつ、前すべりを防止するための突起を備えたインソールであって、突起の形状は、使用時に足に違和感を与えるおそれが小さいインソールが必要であった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上の課題を解決するため、本願出願人は、次のインソールを提案する。
【0010】
すなわち、第一の発明として、足裏の少なくとも一部と接するベースと、足の親指と人差し指との間に挟んで利用可能な突起と、を有するインソールであって、前記突起をベースと略平行な断面で観察した主な形状は、足の左右方向長が、足の踵側とつま先側とを結ぶ縦方向長よりも短い、縦長であって、かつ、足のつま先側に向けて細くなる滴形の形状であることを特徴とするインソールを提案する。
【0011】
第二の発明として、前記突起を足の親指と人差し指との間に挟んで利用している場合に、ベースは、中指、薬指、小指近辺のつま先側の前端縁が、第三基節骨から第五基節骨にかけて、各基節骨の中間付近に対応する位置となるように構成されていることを特徴とする第一の発明に記載のインソールを提案する。
【0012】
第三の発明として、ベースは、第二、第三中足骨頭対応部分付近が相対的に薄く構成され、かつ、第一、第二中足骨頭中間対応部分付近が相対的に厚く構成されていることを特徴とする第一の発明または第二の発明に記載のインソールを提案する。
【0013】
第四の発明として、前記突起を横側から眺めた場合の側面形状は、足の前から足の後ろ方向へ向けて徐々に高くなるイルカの背びれ形状である第一の発明から第三の発明のいずれか一に記載のインソールを提案する。
【0014】
第五の発明として、ベースには、足底圧中心の歩行時の移動線に沿って足裏が滑ろうとする向き、または/及び静止立位時の足裏が滑ろうとする向きと略反対の向きに足裏とインソール接触面との摩擦力を特に高めるための滑り止めパターンが備えられている第一の発明から第四の発明のいずれか一に記載のインソールを提案する。
【0015】
第六の発明として、足底圧中心の歩行時の移動線に沿って足裏が滑ろうとする向き、または/及び静止立位時の足裏が滑ろうとする向きと略反対の向きに足裏とインソール接触面との摩擦力を特に高めるための略平行配置される滑り止めパターンが備えられているインソールを提案する。
【発明の効果】
【0016】
本発明のインソールは、様々な靴に利用できる汎用性を有し、かつ、突起により、前すべりを防止することができるインソールであって、突起の形状は、使用時に足に違和感を与えるおそれが小さい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本件発明の実施の形態について、添付図面を用いて説明する。なお、本件発明は、これら実施形態に何ら限定されるべきものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得る。なお、実施形態1は主に請求項1などに関する。実施形態2は主に請求項2などに関する。実施形態3は主に請求項3などに関する。実施形態4は主に請求項4などに関する。実施形態5は主に請求項5及び6などに関する。
<<実施形態1>>
<実施形態1:概要>
【0018】
図1は、本実施形態のインソールの一例を示す概念斜視図である。
【0019】
図1(a)のように、本実施形態のインソール(0101)は、ベース(0102)と、突起(0103)とからなる。
【0020】
また、図1(b)では、本実施形態のインソールの使用時の様子が示されている。この図のように、本実施形態のインソール(0101)は、突起(0103)を、足(0104)の親指(0105)と人差し指(0106)との間に、突起の踵側が指の股に突き当たるように挟んだ状態で使用される。
【0021】
本実施形態のインソールは、靴の内底面にインソールを固定した状態で、突起を足の親指と人差し指との間に突起の踵側が指の股に突き当たるように挟むことにより、足の前すべりを防止することができるインソールである。
<実施形態1:構成>
【0022】
本実施形態のインソールは、ベースと、突起とからなる。
<インソール>
【0023】
「インソール」とは、いわゆる中底と中敷のどちらも含む。
【0024】
本明細書において「中底」とは、完成品となる履物の一部品であり、履物の製作工程で組み付けられ取り外しができないものをいう。
【0025】
また、本明細書において「中敷」とは、履物の製作工程で履物の一部品として取り付け可能なもの、又は完成品の履物に追加部品として後で取り付けられ、取り付け、取り外しが可能なものをいう。
【0026】
つまり、本発明の「インソール」は「中底」として履物と一体として販売される場合もあれば、「中敷」として、履物に取り付けられた状態で、又は履物とは別個に販売される場合もある。
<ベースの構成>
【0027】
ベースは、足裏の少なくとも一部と接する略平板状の部材である。ベースには、足裏側と接する側の面と、地面側の面とがある。ベースの地面側の面は、靴内底面と接することとなる。足裏や靴内底面には凹凸がある場合があり、略平板状とは、この靴内底面や足裏の凹凸にあわせた凸凹を有する場合などを含む趣旨である。本実施形態のインソールのベースは、靴内底面に固定されている必要がある。「固定」は、使用時にインソールが靴の中でずれない程度に靴内底面の適切な位置にとどめられることをいう。
(ベースの平面形状)
【0028】
ベースを上側から眺めた場合の平面形状は、例えば、靴の内底面と同形状とすればよい。この場合、ベースが靴に強く密着していなくとも靴の中でずれるおそれが小さく、ベースを靴内底面に固定することができる。また、足裏の全体がベースと接することとなるため、ベースを緩衝効果のある素材で形成したり、汗を吸い取る素材で形成したりすれば、履き心地が増す。また、足裏の全体がベースと接するのでベースと足裏の滑りがより抑えられる。したがって突起が負担する荷重も相対的に小さくできる。
【0029】
あるいは、ベースは、つま先側の少なくとも一部を欠く構成であっても良い。この場合は、足のつま先と靴の甲革との間に隙間が乏しい場合でもベースの厚みのために足のつま先が窮屈になるおそれがない。
【0030】
あるいは、ベースは、踵側の少なくとも一部を欠く構成であっても良い。具体的には、踵側後半部を欠くといった具合である。この場合は、甲革で覆われている靴において、靴を脱いだときに、インソールが見えるおそれが小さく、インソールが目立つことで靴を脱いだときの美観を害するおそれが小さい。
【0031】
また、つま先側と踵側の双方を欠く場合には、靴のサイズを問わず様々な靴にインソールを使用することが可能となる。ただし、ベースが靴の中でずれることのない程度に固定可能な面積が必要である。
(ベースの材質)
【0032】
ベースの材質は特に限定されない。例えば後述する突起の材質と同じでも良い。この場合、ベースと突起とを一体成型することにより、突起が使用時に分離など破損するおそれが小さい。透明な材質を利用すれば、インソールが目立たなくなるので靴のデザインを損なうことも少なくなる。
【0033】
ベースは一層で構成されていても良い。この場合は、複数層を重ねる工程が不要のため製造が容易である。この際、ベースと接する足裏や靴との間で摩擦力などの働きによりずれを防止できる素材であることが好ましい。
【0034】
また、ベースは複数層で構成されていても良い。複数層の例としては、足裏側の層と地面側の層を2層に構成することなどが考えられる。
【0035】
足裏側の層は、例えば、足裏と接した場合に触り心地が良いように、布材、不織布、天然皮革、合成皮革等からなる層であってもよい。特に、素足で使用される場合には、通気性の良い素材とすることが好ましい。足裏側の層の他の例としては、足裏との摩擦力が大きくなるような素材を利用してもよい。この場合は、後述する突起にかかる力を軽減することができる。突起にかかる力を軽減することにより、突起が分離など破損するおそれや、突起を挟む足指の股が痛くなるおそれを軽減できる。
【0036】
また、靴底側の層は、靴に入れて使用したときにインソール自体がずれることのないよう、粘着力の高い素材からなる層や接着剤を塗布した層とすればよい。また、靴とインソール自体がずれることがないように両面テープで両者を固定することも考えられる。
(ベースの硬度)
【0037】
ベースの硬度(JIS K7312準拠のデュロメータ、アスカーゴム硬度計C型で測定した場合の数値。以下、本明細書中で硬度を示す場合、同様である。)は、30度から70度の範囲とすることが好ましい。硬度が70度よりも硬いとクッション性に乏しく、逆に硬度が30度よりも柔らかいとベースの厚みがある場合に足が沈み込むような感じを与えるので、履き心地が良くない。さらに好ましくは35度から65度であり、特に履き心地が良好となる。
(ベース表面の形状)
【0038】
ベース表面には、例えば、エンボスや溝を備えていても良い。この場合は、足裏とベースとの摩擦力を高めることができ、足裏がインソールに対して前滑りするのをさらに防止できる。なお、エンボスや溝の具体的形状については、後述する。
<突起の構成>
【0039】
突起は、ベースから、突出した部分であり、足の親指と人差し指との間に挟んで利用可能な部分である。つまり、突起は、足の親指と人差し指との間に、突起の踵側が指の股に突き当たる状態で挟むことができるように構成される。この突起は前すべりする足を支えることで、足の前すべりを防止する機能を有する。
(突起の平面形状)
【0040】
図2A、図2B及び図2Cは、本実施形態のインソールの一例を示す図である。図2Aにおける(a)が平面図、(b)が側面図、(c)が図2A(a)で示した各切断部分を観察した横断面図である。また、図2Bにおける(d)が平面図、(e)が踵側方向から観察した背面図、(f)が図2B(d)で示した各切断部分を観察した縦断面図である。また、図2Cは、突起部分を除く部分の高さを等高線により示した部分等高線図である。なお、図2Cをカラーで出力したものを物件提出書により提出する。これらの図を用いて本実施形態のインソールの、「突起をベースと略平行な断面で観察した主な形状」について説明する。
【0041】
本実施形態のインソールの突起は、足の親指と人差し指との間に挟んで利用されるため、突起の形状を足の親指と人差し指との間の形状と同様となるよう構成した方が、足指に与える違和感を軽減できる。足の親指と人差し指との間の隙間を上側から眺めた場合の平面形状は、足指と足指との中間部分、すなわち指の股の部分は曲線で構成され、つま先側に向けて徐々に細くなっており、滴形となっている。そこで、本実施形態のインソールの突起をベースと略平行な断面で観察した主な形状も同様の滴形の形状であることとすれば良い。「ベースと略平行な断面」とは、インソールを平らな机などに置いた状態で、ベースの表面の主要な部分をなす平面と平行な平面で、突起を切断した場合の各断面をいう。また、「ベースと略平行な断面で観察した」形状とは、この各断面を上側から眺めた場合の形状をいう。
【0042】
また、突起をベースと略平行な断面で観察した「主な」形状は、すべての断面が滴形の形状である必要はないとの趣旨であり、断面の多くが、滴形の形状となっていることをいう。一例として、足指の高さの中間部分付近から上の突起の部分(足指の高さの中間部分付近を含む。以下、本明細書において同様である。)は、断面が滴形形状であり、足指の高さの中間部分付近よりも下の突起の部分(足指の高さの中間部分付近を含まない。以下、本明細書において同様である。)は、断面が滴形形状ではない場合が考えられる。その理由は、本実施形態のインソールの作用効果を奏する上で、足指の高さの中間部分付近の形状が、足指に違和感を与えるか否かの点で重要となるからである。「足の親指と人差し指との間の隙間を上側から眺めた場合の平面形状」は、足指の高さの中間部分付近の足の親指と人差し指との間の隙間が最も狭い部分から上の部分を観察した形状となる。したがって、足の親指と人差し指との間に挟んだ際に違和感を与え難くするためには、本実施形態のインソールの突起が、この足指の高さの中間部分付近における足の親指と人差し指との間の隙間と同様の形状に構成されていることが好ましい。ただし、突起とベースとが分離して破損することを防止するためには、できるだけ広い面積でベースとつながっていた方が良いことから、足指の高さの中間部分付近よりも下の突起の部分をベースと略平行な断面で観察した形状は、滴形の形状となっているか否かを問わず、さまざまな形状であってもよい。
【0043】
本実施形態のインソールの突起をベースと略平行な断面で観察した主な形状は、「足の左右方向長が、足の踵側とつま先側とを結ぶ縦方向長よりも短い、縦長であって、かつ、足のつま先側に向けて細くなる滴形の形状」である。この形状について説明する。図2A(a)において、0203で示した突起の足指の高さの中間部分付近を、ベースと略平行な断面で観察した形状は、図2A(a´)で示したように、足の左右方向長(0204)が、足の踵側とつま先側とを結ぶ縦方向長(0205)よりも短い、縦長であって、かつ、足のつま先側に向けて細くなる滴形の形状となる。突起の「足指の高さの中間部分付近」は、本実施形態のインソールを靴に入れて使用する場合に、足の親指の高さの中間部分付近の高さに位置する部分であり、図2A(b)では、点線で示した0210の部分付近である。図2A(a´)では、足指の高さの中間部分付近のベースと略平行な断面で観察した形状を代表例として示しているが、本実施形態のインソールの突起をベースと略平行な断面で観察した形状は、その多くが、同様に「足の左右方向長が、足の踵側とつま先側とを結ぶ縦方向長よりも短い、縦長であって、かつ、足のつま先側に向けて細くなる滴形の形状」である。
【0044】
インソールの突起が縦長であることの効果は以下の点にある。本実施形態のインソールを靴に入れて使用する場合、突起には、つま先方向へ向かう力が強く働くこととなる。このため、突起の縦方向長はつま先側に倒れることなく荷重を支えることができる程度の長さとする必要がある。一方で、足の親指と人差し指との間に挟んだ際に違和感を与えないために、左右方向長は短いことが必要である。以上の点から、突起は縦長の形状を有する構成を備えることが好ましい。
【0045】
さらに、インソールの突起が縦長であることには次のような効果もある。すなわち、縦長に構成されていることにより、足の親指と人差し指との接触面積が大きくなる。したがって、足の指と突起との摩擦抵抗が大きくなり、広い面積で足を支えることができる。このため、指の股の部分にかかる力を軽減できるので、指の股の部分に痛みを生じにくい。また、接触面積が大きいことにより摩擦抵抗が大きくなるので、足裏のインソールに対する前滑りをすることを少なくできる。
【0046】
次に、滴形の形状について説明する。前述のように、足の親指と人差し指との間の隙間を上側から眺めた場合の平面形状は、足指と足指との中間部分、すなわち指の股の部分は曲線で構成され、つま先側に向けて徐々に細くなっており、滴形となっている。そこで、突起の形状を、この指の股の形状にあわせた構成とすることにより、足指に与える違和感を軽減できる。
【0047】
また、本実施形態のインソールを靴に入れて使用する場合、足の親指と人差し指との間の指の股の部分が、突起と強く接することとなる。このため、指の股と接することとなる突起の踵側が細すぎると、小さな面積に強い力がかかり、指の股が痛くなるなど、履き心地が悪くなる。このため、突起の踵側はある程度曲率半径が大きく構成されていることが好ましい。
【0048】
一方で、靴を履き慣れている足では足の親指と人差し指との間に隙間がなく、指同士が接している場合がほとんどである。そこで、親指と人差し指を無理に広げると違和感を与えるおそれがある。このため、突起はつま先側に向けて細くなるように構成されていることが好ましい。
(突起の側面形状)
【0049】
突起を横側から眺めた場合の側面形状については、本実施形態では特に限定されないが、突起全体の高さは足指の高さを大きく超えることのないように構成されていることが好ましい。さらに好ましくは、足指の高さよりも低いように構成される。なおさらに好ましくは、突起の先端が足指を閉じた状態で外部から観察されないように構成される。
【0050】
その理由は次のとおりである。
【0051】
まず甲革により足の甲が覆われていないミュールやサンダルのように、足指が露出している靴では、突起が足指の高さを大きく超えると、足指の間から突き出した突起が目立ち、靴を履いている足の美観を損ねる。
【0052】
また、甲革により足の甲が覆われている靴では、突起全体の高さが高すぎると、突起が甲革に引っかかって使用できないおそれや、突起が甲革を押し上げて不自然な盛り上がりが靴に生じてしまいデザインを損ねるおそれがある。
【0053】
これに対し、突起全体の高さは足指の高さを大きく超えることのないように構成されていれば、足指の露出するデザインの靴であっても、甲革のある靴であっても、デザイン性を害するおそれが小さいので、汎用性が増す。さらに、足指の高さよりも低いように構成されていれば、デザイン性を害するおそれが、より小さくなる。さらに、突起の先端が足指を閉じた状態で外部から観察されないように構成されていれば、デザイン性を害するおそれが、より小さくなる。
(突起の材質)
【0054】
突起の材質は特に限定されない。例えば、ベースと同じ材質とすれば良い。
【0055】
透明な材質を使用すれば目立ちにくくなり、靴のデザインを損なうことが少なくなる。また、ベースと併せて透明な材質を利用すればさらに靴のデザインを損なうことが少なくなる。
(突起の硬度)
【0056】
突起の硬度は、ベースと同様に、30度から70度の範囲とすることが好ましい。硬度が70度よりも硬いと足指に挟んだ場合に違和感を与えるおそれが高くなり、逆に硬度が30度よりも柔らかいと突起にかかる力を十分に支えることができずに突起が折れ曲がるなどするおそれがある。さらに好ましくは35度から65度であり、特に履き心地が良好となる。また、突起の足指と接する表面付近は柔らかく、その他の部分は硬く構成することとすれば、足指に違和感を与えるおそれを軽減しつつ、突起が折れ曲がらない程度の強度を保つことが可能となる。
<実施形態1:効果>
【0057】
本実施形態のインソールは、様々な靴に利用できる汎用性を有し、かつ、突起により、前すべりを防止することができるインソールであって、突起の形状は、使用時に足に違和感を与えるおそれが小さい。
<<実施形態2>>
<実施形態2:概要>
【0058】
本実施形態のインソールは、実施形態1のインソールを基本としつつ、ベースのつま先側の前端縁の構成に特徴を有する。本実施形態のベースは、つま先側の一部、すなわち中指、薬指、小指と接する部分を欠く構成となっている。この構成により、足のつま先と靴の甲革との間に隙間が乏しい場合でもベースの厚みのために足のつま先が窮屈になるおそれがない。しかしながら、足指とベースの縁とが強く接することとなると、ベースと靴の内底面との間で生じる段差に足裏が接することで足裏に違和感を与えるおそれがある。そこで、本実施形態のインソールは、つま先側前端縁と足との相対的位置関係を足裏に違和感を与えにくくなるように構成している。
<実施形態2:構成>
【0059】
本実施形態のインソールは、ベースと、突起とからなる。インソール、ベース、突起については、以下で説明する部分を除き、実施形態1で説明したところと同様である。
【0060】
本実施形態のインソールのベースのつま先側前端縁と足との相対的位置関係について説明する。
【0061】
図3は、本実施形態のインソールの一例と足との位置関係を説明する図である。「突起を足の親指と人差し指との間に挟んで利用している場合」は、図3(a)のように、足(0304)の親指と人差し指との間に、インソール(0301)の突起(0303)の踵側が指の股に突き当たるように挟んだ状態で利用されている場合を指す。図3(a)は、このような利用状態で観察した場合の、本実施形態のインソールと足とを重ね合わせた様子を示している。
【0062】
本実施形態のインソールのベース(0302)は、中指、薬指、小指近辺のつま先側の前端縁が、第三基節骨から第五基節骨にかけて、各基節骨の中間付近に対応する位置となるように構成されている。「中指、薬指、小指近辺のつま先側の前端縁」は、足の中指、薬指、小指近辺と重なり合うこととなるつま先側前端縁であり、図3(a)において、0305の点線で囲まれた部分付近である。
【0063】
「第三基節骨から第五基節骨にかけて、各基節骨の中間付近に対応する位置」について説明する。図3(b)は、足の骨格図である。この図のように、足の親指から小指まで、各指には、第一基節骨(0351)、第二基節骨(0352)、第三基節骨(0353)、第四基節骨(0354)、第五基節骨(0355)がある。第三基節骨から第五基節骨にかけて、各基節骨の中間付近に対応する位置は、点線で囲まれた0361の部分である。
【0064】
各基節骨の中間付近は、足指の付け根部分に当たり、この部分は地面に対して凹形状をなすことから、強く接地することがない。したがって、ベースの前端縁が各基節骨の中間付近に対応する位置となるように構成とすることにより、ベースの形状が靴内底面の全体形状と同形でなく、つま先側の一部を欠く形状であっても、ベースの前端縁の位置が足裏に接触しにくい位置なのでベースと靴の内底面との間で生じる段差が足裏に違和感を与えるおそれを軽減でき、履き心地が良い。
<実施形態2:効果>
【0065】
本実施形態のインソールは、様々な靴に利用できる汎用性を有し、かつ、突起により、前すべりを防止することができるインソールであって、突起の形状は、使用時に足に違和感を与えるおそれが小さい。さらに、ベースと靴の内底面との間で生じる段差が足裏に違和感を与えるおそれを軽減でき、履き心地が良い。
<<実施形態3>>
<実施形態3:概要>
【0066】
本実施形態のインソールは、実施形態1または2を基本としつつ、さらに、ベースの厚みの構成に特徴を有する。
<実施形態3:構成>
【0067】
再び図3(a)を参照する。本実施形態のインソール(0301)は、ベース(0302)と、突起(0303)とからなる。インソール、ベース、突起については、以下に述べる点を除き、実施形態1又は2で説明したところと同様である。
【0068】
ベースは、<1>第二、第三中足骨頭対応部分付近が相対的に薄く構成され、かつ、<2>第一、第二中足骨頭中間対応部分付近が相対的に厚く構成されている。
(<1>第二、第三中足骨頭対応部分付近の構成)
【0069】
「第二、第三中足骨頭」について、図3(b)を用いて説明する。この図のように、足には、第一中足骨(A)から第五中足骨(E)が存在する。また、中足骨(A〜E)のつま先側を中足骨頭という。第一中足骨頭(0356)、第二中足骨頭(0357)、第三中足骨頭(0358)、第四中足骨頭(0359)、第五中足骨頭(0360)といった具合である。
【0070】
「第二、第三中足骨頭対応部分付近」は、足の第二中足骨頭と第三中足骨頭に対応する部分付近であり、具体的には、点線で囲まれた0362の部分である。この部分は、歩行・走行時に足の踵が地面から離れ、つま先で地面を蹴る動作が行われる際に地面と強く接する凸形状となる部分である。
【0071】
図3(a)のように、本実施形態のインソールにおいて、ベースは、第二、第三中足骨頭対応部分付近が相対的に薄く構成されている。具体的には、例えばグレーで示された0306の部分が相対的に薄く構成されているといった具合である。
【0072】
図2A及び図2Bを参照して、この相対的に薄い構成についてさらに説明する。これらの図の(a)及び(d)においてグレーで示された0207の部分は凹形状となっており、相対的に薄く構成されている。ただし、凹断面は、足裏に違和感を与えることのないようになだらかな曲線で構成されることが好ましい。したがって、薄く構成された部分とそれ以外の部分との境界は明確ではない場合がある。
【0073】
ベースの第二、第三中足骨頭対応部分付近を相対的に薄く構成することで、歩行・走行時に足裏の凸形状とベースとが隙間なく接するため、足裏とベースとの間で相対的に摩擦力が大きくなる。これにより、突起にかかる力を軽減することができ、突起が分離など破損するおそれや、突起を挟む足指の股が痛くなるおそれを軽減できる。また、足裏の凸形状とベースの凹形状が互いに対応するがごとき関係になるので、足裏とベースとの摩擦を大きくでき、結果として、足裏がベースに対して滑りにくくなる。
(<2>第一、第二中足骨頭中間対応部分付近の構成)
【0074】
「第一、第二中足骨頭中間対応部分付近」について、図3(b)を用いて説明する。「第一、第二中足骨頭中間対応部分付近」は、足の第一中足骨頭(0356)と第二中足骨頭(0357)との中間に対応する部分付近であり、具体的には、図3(b)において点線で囲まれた0363の部分である。この部分は、足裏で親指の付け根付近の盛り上がりの周縁部分であり、地面に対して凹形状となる部分である。なお、親指の付け根付近の盛り上がりは、図5(b)の0506の部分を指す。
【0075】
図3(a)のように、本実施形態のインソールにおいて、ベースの第一、第二中足骨頭中間対応部分付近は相対的に厚く構成されている。具体的には、例えば、グレーで示された0307の部分が相対的に厚く構成されているといった具合である。
【0076】
図2A及び図2Bを参照して、この相対的に厚い構成についてさらに説明する。これらの図の(a)及び(d)においてグレーで示された0208の部分は凸形状となっており、相対的に厚く構成されている。ただし、これらの図のように、凸断面は、足裏に違和感を与えることのないようになだらかな曲線で構成されることが好ましい。したがって、厚く構成された部分とそれ以外の部分との境界は明確ではない場合がある。また、後述するベースの親指の付け根部分の凹部に対応する部分からなだらかな曲面を形成する際、この部分との関係では、必ずしも相対的に厚くない構成となっている場合がある。
【0077】
ベースの第一、第二中足骨頭中間対応部分付近を相対的に厚く構成することで、足裏の凹形状とベースとが隙間なく接するため、足裏とベースとの間で相対的に摩擦力が大きくなる。これにより、突起にかかる力を軽減することができ、突起が分離など破損するおそれや、突起を挟む足指の股が痛くなるおそれを軽減できる。
【0078】
さらに、図3(a)のように、本実施形態のインソールにおいて、ベースの親指の付け根部分の凹部に対応する部分を相対的に厚く構成しても良い。具体的には、点線で示された0308の部分付近を厚く構成するといった具合である。なお、親指の付け根部分の凹部は、図5(b)の0507の部分を指す。
【0079】
図2A及び図2Bを参照して、この相対的に厚い構成についてさらに説明する。これらの図の(a)及び(d)(f)において、ベースの親指の付け根部分の凹部に対応する部分は、点線で示された0209の部分を頂点とする凸形状となっており、相対的に厚く構成されている。ただし、図2B(f)のように、凸部分は、足裏に違和感を与えることのないようになだらかな曲線で構成されることが好ましい。したがって、厚く構成された部分とそれ以外の部分との境界は明確ではない場合がある。
【0080】
ベースの親指の付け根部分の凹部に対応する部分を相対的に厚く構成することで、足裏の凹形状とベースとが、さらに隙間なく接するため、足裏とベースとの間で相対的に摩擦力が大きくなる。これにより、突起にかかる力を軽減することができ、突起が分離など破損するおそれや、突起を挟む足指の股が痛くなるおそれを、さらに軽減できる。
【0081】
また、足圧の向かう方向に対して壁となるような山が形成されているので、この点からも足裏がベースに対して滑りにくくなる。なお、足圧の向かう方向は、後述する足底圧中心の移動する方向であり、具体的には、図4Aで示された0403の足底圧中心の歩行時の移動線の踵側からつま先側へ向かう方向である。
<実施形態3:効果>
【0082】
本実施形態のインソールは、様々な靴に利用できる汎用性を有し、かつ、突起により、前すべりを防止することができるインソールであって、突起の形状は、使用時に足に違和感を与えるおそれが小さい。
【0083】
さらに、ベースが足裏の凹凸形状とあわせた厚みを有することで、足裏とベースとが隙間なく接するため、足裏とベースとの間で相対的に摩擦力が大きくなる。これにより、突起にかかる力を軽減することができ、突起が分離など破損するおそれや、突起を挟む足指の股が痛くなるおそれを軽減できる。また、足裏とベースとの摩擦を大きくでき、結果として、足裏がベースに対して滑りにくくなる。
<<実施形態4>>
<実施形態4:概要>
【0084】
本実施形態のインソールは、実施形態1から3のいずれか一を基本としつつ、さらに、突起の側面形状がイルカの背びれ形状である点に特徴を有する。
<実施形態4:構成>
【0085】
再び図2Aを参照する。本実施形態のインソールは、ベースと、突起とからなる。インソール、ベース、突起については、以下に述べる点を除き、実施形態1から3で説明したところと同様である。
【0086】
図2A(b)のように、突起(0203)を横側から眺めた場合の側面形状は、足の前から足の後ろ方向へ向けて徐々に高くなるイルカの背びれ形状である。この図では、足の前から足の後ろ方向へ向かう矢印が0206で示されている。
(足の親指と人差し指との間の隙間の形状に合わせた形状)
【0087】
イルカの背びれ形状は、足の親指と人差し指との間の隙間の形状に合わせたものである。「足の親指と人差し指との間の隙間の形状」について説明する。足指は円柱に近い形状をしているため、足指と足指との間には、地面を底辺とする三角形状の隙間が生じている。
【0088】
図5は、足と地面との間に生じる隙間を説明するための図である。(a)は平面図、(b)は足の親指側から眺めた側面図、(c)は足の親指と人差し指とを歩行進行方向に垂直な断面で観察した断面図である。
【0089】
足(0501)の特に親指の形状は、足の親指(0502)の指節間関節(IP関節、0504)部分付近が太くなっており、足の親指の指節間関節(IP関節)よりも後ろ方向へ向けて徐々に細くなっている。しかも、図5(b)のように、足指は付け根部分が地面から凹んでいるため、足を地面に置いた状態で地面と足指(親指と人差し指)との間にできる隙間を歩行進行方向に垂直な断面で観察すると、図5(c)のとおり、地面(0505)と足の親指(0502)と足の人差し指(0503)との間にできる三角形状の隙間(この図でグレーで示された部分)は、後ろ方向へ向けて徐々に高さが高くなっている。
【0090】
ちょうどこの空間にぴったりと合う形状に本実施形態の突起の形状を構成する。つまり、実施形態のインソールの突起の側面形状は、この隙間の形状に合わせて、足の前から足の後ろ方向へ向けて徐々に高くなるイルカの背びれ形状となっている。
【0091】
足指の間の隙間の形状に合わせることで、足指に挟んだ場合にも違和感を与えるおそれが小さい。さらに、足指と突起との接触面積が大きくなるので、足を指の股だけでなく広い面積で支えることができ、指の股が痛くなるおそれが小さい。
(強度を確保しつつ、足指に違和感を与えにくい形状)
【0092】
また、足の前方向側に、ある程度の長さがないと、突起が折れ曲がるなどして、足が前すべりしないように支えることができない。さらに、突起とベースとが分離して破損することを防止するためには、突起はできるだけ広い面積でベースとつながっていた方が良い。
【0093】
一方、この突起が上から下まで均一の断面で構成されている場合には次のような不都合が生じる。足の親指と人差し指との間で構成される空間は、地面側から上方向に向かって徐々にせまくなり、その後再び広がる。したがって、例えば、この突起が上から下まで均一の滴形の柱状構造となっている場合には、親指と人差し指との間にできる空間が広くなったり、狭くなったり変化するのに対して、親指と人差し指との間に挟まれる突起がこれにならわず、足指に違和感を与えやすい。
【0094】
ベースとできるだけ広い面積でつながり、かつ、足指の間に違和感を与えないようにするためには、突起の幅は、地面側(べース側)から上方向に向かって徐々にせまくなるように構成する。またその徐々にせまくなる形は、親指と人差し指との間にできる空間が指前方程せまくなるので、結果として地面側(べース側)から上方向に向かって徐々にせまくなるように構成し、かつ、滴形であって足の前方向側を低く構成すればよい。
【0095】
なぜならば、足指は円柱に近い形状をしているので、地面と接する側では足指同士の間に隙間があり、この部分に突起の一部が位置していても、足指に違和感を与える恐れが小さいからである。
【0096】
そして、足の後ろ方向へ向けて徐々に高くなる構成とすれば、突起が折れ曲がらない程度に強度を有しながら、足指に違和感を与えにくいインソールとすることができる。
【0097】
「イルカの背びれ形状」は、足の後ろ方向側では、突起が略垂直に突出しており、足の前から足の後ろ方向へ向けて徐々に高くなる状態を表している。略垂直とは、足の前方向または後ろ方向へ少し傾斜している場合を含む趣旨である。また、突起の足の後ろ方向側を横から見た形状は、足指の股の形状に合わせて湾曲していても良い。
<実施形態4:効果>
【0098】
本実施形態のインソールは、様々な靴に利用できる汎用性を有し、かつ、突起により、前すべりを防止することができるインソールであって、突起の形状は、使用時に足に違和感を与えるおそれが、さらに、小さい。
<<実施形態5>>
<実施形態5:概要>
【0099】
本実施形態のインソールは、実施形態1から4のいずれか一を基本としつつ、さらに、ベースに滑り止めパターンが備えられている点に特徴を有する。
【0100】
ただし、実施形態1から4の構成にかかわらず、インソールに滑り止めパターンを備えている場合もある。
<実施形態5:構成>
【0101】
本実施形態のインソールは、ベースと、突起とからなり、ベースは、「滑り止めパターン」を備える。インソール、ベース、突起については、以下で説明する部分を除き、実施形態1から4で説明したところと同様である。ただし、第六の発明においては、ベースと、突起とからなる構成は必須ではなく、本明細書中、以下に記載した「インソールのベース」は、「インソール」と読み替えて解釈される。
(滑り止めパターン)
【0102】
滑り止めパターンは、足底圧中心の歩行時の移動線に沿って足裏が滑ろうとする向き、または/及び静止立位時の足裏が滑ろうとする向きと略反対の向きに足裏とインソール接触面との摩擦力を特に高める機能を有する。
(足底圧中心の歩行時の移動線)
【0103】
「足底圧中心の歩行時の移動線」について説明する。
【0104】
「足底圧中心の歩行時の移動線」は、歩行時の足底圧中心(COP:Center of Pressure)の軌跡である。
【0105】
「足底圧中心」について説明する。足裏から歩行を観察すると、(1)踵が着いて、(2)足裏全面が接触し、(3)足裏全面に全体重がかかって、(4)踵が上がり蹴り出しを行う。このとき足裏が靴内底面に対して及ぼす荷重の中心は歩行にしたがって変化する。この荷重を足底圧といい、地面に接触している足裏からの力がその重心に集中したとして計算した足底圧を「足底圧中心」という。これは足裏の重心移動と考えることができる。この足底圧中心の歩行時の移動線は歩行速度によって変化する。したがって、通常歩行を主な用途として想定する靴、あるいはランニングなどを主な用途として想定する靴など、靴の主な使用態様に応じて想定される足底圧中心の移動線に応じた設計をすることができる。
【0106】
図4Aは、足底圧中心の歩行時の移動線とインソールのベースの滑り止めパターンとの関係を説明するための図である。
【0107】
図4A(a)は、足裏(0401)とインソール(0404)とを重ね合わせた様子を示す図である。図中符号0402で示される影の部分は歩行時に足裏が靴内底面に接する領域を示し、図中符号0403で示される線は、足底圧中心の歩行時の移動線である。
【0108】
この図のように、足底圧中心の歩行時の移動線は、(1)踵が着いてやや外側へ向かい、(2)そのまま前進し、(3)カーブを描いて略親指と人差し指の間の方向へ進む、全体的に「ゆるやかなカーブ」を示す。
【0109】
そこで、インソール(0404)のベース(0405の点線で囲まれた部分付近を指す。以下、本明細書において同様である。)に、足との相対的な位置に応じて足の裏の滑りを抑える滑り止めパターンを形成するとよい。この滑り止めパターンは、足底圧中心の歩行時の移動線に沿って足裏が滑ろうとする向きと略反対の向きに足裏とインソール接触面との摩擦力を特に高めることにより足の裏の滑りを抑えるものである。このパターンは、たとえば、エンボスや溝などで形成することができる。
【0110】
このパターンの一例を図4A(a)に示した。この図のように、例えば、図4A(b)に示した断面図のごとく断面がなだらかな山形を描く突条(0406)が、足底圧中心の歩行時の移動線と直交するように形成されているといった具合である。なお、突条の一部にのみ符号を付している。(滑り止めパターンの具体的な構成については、後述する。)
【0111】
足底圧中心の歩行時の移動線、即ち、(1)踵が着いてやや外側へ向かい、(2)そのまま前進し、(3)カーブを描いて略親指と人差し指の間の方向へ進む、全体的に「ゆるやかなカーブ」を描く曲線、に沿って足裏が滑ろうとする向きと略反対の向きに足裏とインソール接触面との摩擦力を特に高めるための滑り止めパターンを、エンボスや溝等により形成することで、足裏とベースとの接触を確実にし、歩行の安定性を高めることができる。
(静止立位時の足裏が滑ろうとする向き)
【0112】
次に、「静止立位時の足裏が滑ろうとする向き」について説明する。
【0113】
図4Bは、静止立位時の足裏が滑ろうとする向きとインソール(0404)のベース(0405)の滑り止めパターンとの関係を説明するための図である。図中符号0402で示される影の部分は歩行時に足裏(0401)が靴内底面に接する領域を示している。ヒールの高い靴を使用する場合、静止立位時には、足裏がつま先側へ滑ろうとする力と、これに抗する足裏とインソール接触面との摩擦力が生じている。すなわち、静止立位時において、足裏がつま先側へ滑ろうとする力の方向は、足の踵の略中心と、第2指の先端とを結ぶ直線の方向となる。具体的には、静止立位時の足裏が滑ろうとする向きは、図4Bで示した足の踵側からつま先側へ向かう矢印0407の向きである。そして、静止立位時の足裏が滑ろうとする向きと略反対の向きは、足裏が滑ろうとする力に抗する足裏とインソール接触面との摩擦力の方向である。
(足裏とインソール接触面との摩擦力を特に高める)
【0114】
また、「特に高める」とは特定の方向以外の方向への摩擦力が低下する場合があることを含む趣旨である。すなわち、従来の滑り止めパターンとしては、ベースに均一な間隔で構成された水玉状の凸部を設けたエンボス加工を行うことが考えられる。この場合は、一または二の方向に対して、特に摩擦力を高めるとの効果は生じない。これに対し、本実施形態のインソールのベースは、足底圧中心の歩行時の移動線に沿って足裏が滑ろうとする向き、または/及び静止立位時の足裏が滑ろうとする向きと略反対の向きに足裏とインソール接触面との摩擦力を特に高めるものである点に特徴がある。
【0115】
本実施形態のインソールは、歩行時または/及び静止立位時に滑ろうとする足裏を受け止める滑り止めパターンを形成することにより、足裏とインソール接触面との摩擦力を特に高めることが可能となるために、足の前すべりを防止することができる。
(滑り止めパターンの具体的構成の一例)
【0116】
たとえば、図4A(a)のように、足底圧中心の歩行時の移動線(0403)に対して直交するような複数の突条(0406)を略等間隔に複数配置してもよい。この場合は、足底圧中心の歩行時の移動線に沿って足裏が滑ろうとする向きと略反対の向きに足裏とインソール接触面との摩擦力を特に高めることができる。また、この突条を足底圧中心の歩行時の移動線に沿って切断した場合の断面形状は、半円形状、三角形状であってもよい。あるいは、たとえば図4A(b)(c)のようになだらかな山形であってもよく、この場合は突条とベースとの境目に汚れが入り込んでしまうおそれが小さい。あるいは、この断面形状は、たとえば、図4A(d)のように足裏が滑ろうとする方向の前後非対称で、踵側面が急傾斜でつま先側面が緩やかな傾斜となっていてもよい。この場合には、足底圧中心の歩行時の移動線に沿って滑ろうとする足裏を受け止める側に急斜面を配置したので、この部分で滑ろうとする足裏をしっかりと受けることができるという効果を奏する。また、つま先側面が緩やかな傾斜となっていることから、靴を脱ぐときに抵抗が少ないという効果を奏する。なお、突条ではなく、たとえば、図4A(e)のように同様の構成を溝により構成することも可能である。
【0117】
また、図4Bのように、静止立位時の足裏が滑ろうとする向き(0407)に対して直交するような複数の突条(0408)を略等間隔に複数配置してもよい。この場合は、静止立位時の足裏が滑ろうとする向きと略反対の向きに足裏とインソール接触面との摩擦力を特に高めることができる。また、この突条を静止立位時の足裏が滑ろうとする向きに沿って切断した場合の断面形状は、前述した足底圧中心の歩行時の移動線に対して直交する場合と同様に、半円形状、三角形状、なだらかな山形であってもよい。なだらかな山形である場合は突条とベースとの境目に汚れが入り込んでしまうおそれが小さい。あるいは、同様に、足裏が滑ろうとする方向の前後非対称で、踵側面が急傾斜でつま先側面が緩やかな傾斜となっていてもよい。この場合は、静止立位時に滑ろうとする足裏を受け止める側に急傾斜面を配置したので、この部分で滑ろうとする足裏をしっかりと受けることができるという効果を奏する。また、つま先側面が緩やかな傾斜となっていることから、靴を脱ぐときに抵抗が少ないという効果を奏する。なお、突条ではなく、これらと同様の構成を溝により構成することも可能である。
【0118】
さらに、図4Cは、足底圧中心の歩行時の移動線に沿って足裏が滑ろうとする向き、及び静止立位時の足裏が滑ろうとする向きと略反対の向きに足裏とインソール接触面との摩擦力を特に高めたインソールの一例である。図中符号0402で示される影の部分は歩行時に足裏(0401)が靴内底面に接する領域を示している。この図のように、足底圧中心の歩行時の移動線(0403)に対して直交するような複数の突条(0406)を略等間隔に複数配置するとともに、足底圧中心の歩行時の移動線から離れた部分では、静止立位時の足裏が滑ろうとする向き(0407)対して直交するような複数の突条(0408)を略等間隔に複数配置してもよい。この場合は、足底圧中心の歩行時の移動線に沿って足裏が滑ろうとする向き及び静止立位時の足裏が滑ろうとする向きの両方に対して略反対の向きに、足裏とインソール接触面との摩擦力を特に高めることができる。また、これらの突条をそれぞれ足底圧中心の歩行時の移動線または/及び静止立位時の足裏が滑ろうとする向きに沿って切断した場合の断面形状は、半円形状、三角形状、なだらかな山形であってもよい。あるいは、足裏が滑ろうとする方向の前後非対称で、踵側面が急傾斜でつま先側面が緩やかな傾斜となっていてもよい。なお、突条ではなく、これらと同様の構成を溝により構成することも可能である。
(滑り止めパターンの具体的構成の他の一例)
【0119】
また、図6A〜Cは、滑り止めパターンの具体的構成の他の一例を示す図である。つまり、これらの図のように、滑り止めパターンは、波形に構成されていてもよい。
【0120】
図6Aは、足底圧中心の歩行時の移動線に沿って足裏が滑ろうとする向きと略反対の向きに足裏とインソール接触面との摩擦力を特に高めたインソールの一例である。図中符号0602で示される影の部分は歩行時に足裏(0601)が靴内底面に接する領域を示し(以下、図6B、図6Cにおいても同様である。)、図中符号0603で示される線は、足底圧中心の歩行時の移動線である。そして、インソール(0604)のベース(0605)上に、この足底圧中心の歩行時の移動線に対して直交するような波形の突条(0606)を設けることで、足底圧中心の歩行時の移動線に沿って足裏が滑ろうとする向きと略反対の向きに足裏とインソール接触面との摩擦力を特に高めることができる。なお、特に波型の突条とすることにより、足の横ぶれが軽減されるので、さらに快適に歩行することが可能となる。
【0121】
図6Bは、静止立位時の足裏が滑ろうとする向きと略反対の向きに足裏とインソール接触面との摩擦力を特に高めたインソールの一例である。インソール(0604)のベース(0605)上に、静止立位時の足裏が滑ろうとする向き(0607)に対して直交するような波形の突条(0608)を設けることで、静止立位時の足裏が滑ろうとする向きと略反対の向きに足裏とインソール接触面との摩擦力を特に高めることができる。なお、特に波型の突条とすることにより、足の横ぶれが軽減されるので、さらに快適に歩行することが可能となる。
【0122】
図6Cは、足底圧中心の歩行時の移動線に沿って足裏が滑ろうとする向き、及び静止立位時の足裏が滑ろうとする向きと略反対の向きに足裏とインソール接触面との摩擦力を特に高めたインソールの一例である。この図のように足底圧中心の歩行時の移動線(0603)に対して直交するような複数の波形の突条(0606)を略等間隔に複数配置するとともに、足底圧中心の歩行時の移動線から離れた部分では、静止立位時の足裏が滑ろうとする向き(0607)に対して直交するような複数の波形の突条(0608)を略等間隔に複数配置してもよい。この場合は、足底圧中心の歩行時の移動線に沿って足裏が滑ろうとする向き及び静止立位時の足裏が滑ろうとする向きの両方に対して略反対の向きに、足裏とインソール接触面との摩擦力を特に高めることができる。
(滑り止めパターンの具体的構成の他の一例)
【0123】
図7A〜Cは、滑り止めパターンの具体的構成の他の一例を示す図である。つまり、これらの図のように、滑り止めパターンは、特定の方向に対して足裏とインソール接触面との摩擦力の特に高い複数の凸形を配置することにより構成することもできる。凸形の一例を説明する。例えば、図7A(b)は、凸形の一例である三日月形凸形を上側から眺めた場合の形状を示している。この図のように、凸形は三日月形に近い形状をしていてもよい。また、図7A(c)は、凸形の側面形状を示しており、図7A(d)は、凸形を後述する左右対称線(0709)に沿って切断した場合の断面形状を示している。図7A(d)のように、三日月形を構成する2つの円弧のうち内側(図7A(b)で示した矢印Aの側)の傾斜角αが、外側(図7A(b)で示した矢印Bの側)の傾斜角βに比べて相対的に急角度となっている。なお、図7A(e)は、凸形を矢印Aの側から眺めた様子を示す図である。
【0124】
図7A(a)において、図中符号0702で示される影の部分は歩行時に足裏(0701)が靴内底面に接する領域を示し(以下、図7B、図7Cにおいても同様である。)、図中符号0703で示される線は、足底圧中心の歩行時の移動線である。そして、インソール(0704)のベース(0705)上に、この三日月形凸形(0706)の左右対称線が足底圧中心の移動線(0703)と平行となるように複数配置することとしてもよい。三日月形凸形の「左右対称線」とは、図7A(b)で示した点線0709である。なお、三日月形を構成する2つの円弧のうち内側(図7A(b)で示した矢印Aの側)が踵側となるように配置する。この場合、足底圧中心の歩行時の移動線に沿って足裏が滑ろうとする向きと略反対の向きに足裏とインソール接触面との摩擦力を特に高めることができるとともに、三日月形凸形の両側部分により、足の横ぶれが軽減されるので、さらに快適に歩行することが可能となる。
【0125】
あるいは、図7Bに示すように、三日月形凸形(0708)の左右対称線が静止立位時の足裏が滑ろうとする向き(0707)と平行となるように複数配置することとしてもよい。さらに、図7Cに示すように、前述した突条の配置と同様に、三日月形凸形(0706)の左右対称線が足底圧中心の歩行時の移動線(0703)と平行となるとともに、足底圧中心の歩行時の移動線から離れた部分では、三日月形凸形(0708)の左右対称線が静止立位時の足裏が滑ろうとする向き(0707)と平行となるように三日月形凸形を複数配置してもよい。この図では、三日月形凸形相互の間に隙間があいている部分があるが、この部分には、足底圧中心の歩行時の移動線(0703)と左右対称線が平行となる三日月形凸形(0706)または、静止立位時の足裏が滑ろうとする向き(0707)と左右対称線が平行となる三日月形凸形(0708)を適宜配置することとすればよい。
【0126】
なお、凸形ではなく、同様の構成を穴により構成することも可能である。
(滑り止めパターンの略平行配置)
【0127】
なお、滑り止めパターンは、略平行配置されていても良い。「略平行配置」とは、滑り止めパターンを構成する突条等(エンボス、溝、穴等を含む趣旨である。)同士の間に隙間があることをいう。以下、図8を用いて説明する。
【0128】
図8A及び図8Bは、滑り止めパターンの略平行配置について説明するための図である。図8A(a)は、インソール(0801a)に備えられた滑り止めパターン(0802a)を構成する突条同士が重なり合っており、隙間のない場合を示している。この場合には、足裏の皮膚が突条同士の間に入り込まず、かえって、足裏と突条部分のみが接触するので、足裏とインソール接触面との摩擦力が突条によって特に高められるとの本実施形態のインソールの作用効果を奏することができない。これに対し図8A(b)のように、インソール(0801b)に備えられた滑り止めパターン(0802b)を構成する突条同士の間に隙間がある場合には、足裏の皮膚が突条同士の間に入り込んで、足裏とインソール接触面との摩擦力が特に高められる。なお、この図には、突起(0806)も図示されているが、この突起は、第六の発明において必須の構成ではない。
【0129】
また、この滑り止めパターンは、直線的な突条ではなく、波型の突条からなる波型滑り止めパターンであっても良い。この場合には、直線的な突条と同様に波型の突条を配置すれば良い。つまり、図8B(d)のように、波型滑り止めパターン(0802d)は、インソール(0801d)に備えられた滑り止めパターンの配置を示す四角形(0803d)の枠内に納まるように構成されていると良い。これに対し、図8B(c)は、インソール(0801c)に備えられた波型滑り止めパターン(0802c)の配置を示す四角形(0803c)同士が重なりあっている(滑り止めパターンが平行配置されていない)場合を示している。このように、滑り止めパターンが平行配置されていない場合には、滑り止めパターンにより、特定の方向(例えば、この図の0804で示した静止立位時の足裏が滑ろうとする向きと略反対の向き)に「特に」足裏とインソール接触面との摩擦力を高める構成となっていない。以下に詳しく説明する。
【0130】
図8B(c)は、インソール(0801c)に備えられた波型滑り止めパターン(0802c)の配置を示す四角形(0803c)同士が重なり合っており、隙間のない場合を示している。この場合には、波型滑り止めパターンにより、様々な方向に対して足裏が滑るのを防止するための足裏とインソール接触面との摩擦力が発生するため、特定の方向(例えば、この図の0804で示した静止立位時の足裏が滑ろうとする向きと略反対の向き)に「特に」足裏とインソール接触面との摩擦力を高める構成となっていない。
【0131】
これに対して図8B(d)は、インソール(0801d)に備えられた波型滑り止めパターン(0802d)の配置を示す四角形(0803b)同士の間に隙間がある。この隙間の長手方向(両矢印0805の方向)に対しては、滑り止めパターンによる足裏とインソール接触面との摩擦力は図8B(c)の場合に比べて低下するものの、特定の方向(例えば、この図の0804で示した静止立位時の足裏が滑ろうとする向きと略反対の向き)に「特に」足裏とインソール接触面との摩擦力を高めることが可能となる。なお、この図には、突起(0806)も図示されているが、この突起は、第六の発明において必須の構成ではない。
<実施形態5:効果>
【0132】
本実施形態のインソールは、様々な靴に利用できる汎用性を有し、かつ、突起により、前すべりを防止することができるインソールであって、突起の形状は、使用時に足に違和感を与えるおそれが小さい。
【0133】
さらに、本実施形態のインソールは、歩行時または及び静止立位時に滑ろうとする足裏を受け止める滑り止めパターンを形成することにより、足裏とインソール接触面との摩擦力を特に高めることができる。これにより、足裏とベースとの接触を確実にし、足の前すべりを、さらに防止することができるとともに、歩行の安定性を高めることができる。
【0134】
なお、実施形態1から4の構成にかかわらず、インソールに滑り止めパターンを備えていることにより、足裏とベースとの接触を確実にし、足の前すべりを、さらに防止することができるとともに、歩行の安定性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】実施形態1のインソールの一例を示す概念斜視図
【図2A】実施形態1のインソールの一例を示す図
【図2B】実施形態1のインソールの一例を示す図
【図2C】実施形態1のインソールの一例の部分等高線図
【図3】実施形態2のインソールの一例と足との位置関係を説明する図
【図4A】足底圧中心の歩行時の移動線と実施形態5のインソールのベースの滑り止めパターンとの関係を説明するための図
【図4B】静止立位時の足裏が滑ろうとする向きと実施形態5のインソールのベースの滑り止めパターンとの関係を説明するための図
【図4C】足底圧中心の歩行時の移動線に沿って足裏が滑ろうとする向き及び静止立位時の足裏が滑ろうとする向きとの両方に対して略反対の向きに足裏とインソール接触面との摩擦力を特に高めた実施形態5のインソールの一例
【図5】足と地面との間に生じる隙間を説明するための図
【図6A】実施形態5のインソールの滑り止めパターンの具体的構成の他の一例を示す図
【図6B】実施形態5のインソールの滑り止めパターンの具体的構成の他の一例を示す図
【図6C】実施形態5のインソールの滑り止めパターンの具体的構成の他の一例を示す図
【図7A】実施形態5のインソールの滑り止めパターンの具体的構成の他の一例を示す図
【図7B】実施形態5のインソールの滑り止めパターンの具体的構成の他の一例を示す図
【図7C】実施形態5のインソールの滑り止めパターンの具体的構成の他の一例を示す図
【図8A】滑り止めパターンの略平行配置について説明するための図
【図8B】滑り止めパターンの略平行配置について説明するための図
【符号の説明】
【0136】
0101 インソール
0102 ベース
0103 突起
0104 足
0105 足の親指
0106 足の人差し指
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴に使用するインソールであって、足の親指と人差し指との間にはさんで使用することの可能な突起を有するインソールに関する。
【背景技術】
【0002】
ヒールの高い靴を使用する場合、靴の内底面に足の踵側からつま先側へ向かう傾斜が形成されるため、足がつま先側へ前すべりする場合がある。その結果、足のつま先が靴の先端で圧迫されたり、踵側に隙間が空いたりする。
【0003】
前すべりを防止する手段として、例えば、靴自体に鼻緒式仕切りを設ける特許文献1に記載の靴が提案されている。
【0004】
あるいは、外反母趾対策用商品として、非特許文献1のような楕円柱状の突起を備えるインソール(興和株式会社の製品「外反母趾フィット」)が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−155505
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】http://hc.kowa.co.jp/beautien/gaihanboshi.php
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、靴自体に鼻緒式の仕切りを設ける靴を利用する場合、ユーザーの靴の選択肢が限定されることになる。あるいは、楕円柱状の突起を備えるインソールでは、外反母趾対策機能の観点から、足の親指と人差し指との間を広げるため、足の指の隙間に沿った形状となっておらず、使用時に違和感を与える。
【0008】
そこで、様々な靴に利用できる汎用性を有し、かつ、前すべりを防止するための突起を備えたインソールであって、突起の形状は、使用時に足に違和感を与えるおそれが小さいインソールが必要であった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上の課題を解決するため、本願出願人は、次のインソールを提案する。
【0010】
すなわち、第一の発明として、足裏の少なくとも一部と接するベースと、足の親指と人差し指との間に挟んで利用可能な突起と、を有するインソールであって、前記突起をベースと略平行な断面で観察した主な形状は、足の左右方向長が、足の踵側とつま先側とを結ぶ縦方向長よりも短い、縦長であって、かつ、足のつま先側に向けて細くなる滴形の形状であることを特徴とするインソールを提案する。
【0011】
第二の発明として、前記突起を足の親指と人差し指との間に挟んで利用している場合に、ベースは、中指、薬指、小指近辺のつま先側の前端縁が、第三基節骨から第五基節骨にかけて、各基節骨の中間付近に対応する位置となるように構成されていることを特徴とする第一の発明に記載のインソールを提案する。
【0012】
第三の発明として、ベースは、第二、第三中足骨頭対応部分付近が相対的に薄く構成され、かつ、第一、第二中足骨頭中間対応部分付近が相対的に厚く構成されていることを特徴とする第一の発明または第二の発明に記載のインソールを提案する。
【0013】
第四の発明として、前記突起を横側から眺めた場合の側面形状は、足の前から足の後ろ方向へ向けて徐々に高くなるイルカの背びれ形状である第一の発明から第三の発明のいずれか一に記載のインソールを提案する。
【0014】
第五の発明として、ベースには、足底圧中心の歩行時の移動線に沿って足裏が滑ろうとする向き、または/及び静止立位時の足裏が滑ろうとする向きと略反対の向きに足裏とインソール接触面との摩擦力を特に高めるための滑り止めパターンが備えられている第一の発明から第四の発明のいずれか一に記載のインソールを提案する。
【0015】
第六の発明として、足底圧中心の歩行時の移動線に沿って足裏が滑ろうとする向き、または/及び静止立位時の足裏が滑ろうとする向きと略反対の向きに足裏とインソール接触面との摩擦力を特に高めるための略平行配置される滑り止めパターンが備えられているインソールを提案する。
【発明の効果】
【0016】
本発明のインソールは、様々な靴に利用できる汎用性を有し、かつ、突起により、前すべりを防止することができるインソールであって、突起の形状は、使用時に足に違和感を与えるおそれが小さい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本件発明の実施の形態について、添付図面を用いて説明する。なお、本件発明は、これら実施形態に何ら限定されるべきものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得る。なお、実施形態1は主に請求項1などに関する。実施形態2は主に請求項2などに関する。実施形態3は主に請求項3などに関する。実施形態4は主に請求項4などに関する。実施形態5は主に請求項5及び6などに関する。
<<実施形態1>>
<実施形態1:概要>
【0018】
図1は、本実施形態のインソールの一例を示す概念斜視図である。
【0019】
図1(a)のように、本実施形態のインソール(0101)は、ベース(0102)と、突起(0103)とからなる。
【0020】
また、図1(b)では、本実施形態のインソールの使用時の様子が示されている。この図のように、本実施形態のインソール(0101)は、突起(0103)を、足(0104)の親指(0105)と人差し指(0106)との間に、突起の踵側が指の股に突き当たるように挟んだ状態で使用される。
【0021】
本実施形態のインソールは、靴の内底面にインソールを固定した状態で、突起を足の親指と人差し指との間に突起の踵側が指の股に突き当たるように挟むことにより、足の前すべりを防止することができるインソールである。
<実施形態1:構成>
【0022】
本実施形態のインソールは、ベースと、突起とからなる。
<インソール>
【0023】
「インソール」とは、いわゆる中底と中敷のどちらも含む。
【0024】
本明細書において「中底」とは、完成品となる履物の一部品であり、履物の製作工程で組み付けられ取り外しができないものをいう。
【0025】
また、本明細書において「中敷」とは、履物の製作工程で履物の一部品として取り付け可能なもの、又は完成品の履物に追加部品として後で取り付けられ、取り付け、取り外しが可能なものをいう。
【0026】
つまり、本発明の「インソール」は「中底」として履物と一体として販売される場合もあれば、「中敷」として、履物に取り付けられた状態で、又は履物とは別個に販売される場合もある。
<ベースの構成>
【0027】
ベースは、足裏の少なくとも一部と接する略平板状の部材である。ベースには、足裏側と接する側の面と、地面側の面とがある。ベースの地面側の面は、靴内底面と接することとなる。足裏や靴内底面には凹凸がある場合があり、略平板状とは、この靴内底面や足裏の凹凸にあわせた凸凹を有する場合などを含む趣旨である。本実施形態のインソールのベースは、靴内底面に固定されている必要がある。「固定」は、使用時にインソールが靴の中でずれない程度に靴内底面の適切な位置にとどめられることをいう。
(ベースの平面形状)
【0028】
ベースを上側から眺めた場合の平面形状は、例えば、靴の内底面と同形状とすればよい。この場合、ベースが靴に強く密着していなくとも靴の中でずれるおそれが小さく、ベースを靴内底面に固定することができる。また、足裏の全体がベースと接することとなるため、ベースを緩衝効果のある素材で形成したり、汗を吸い取る素材で形成したりすれば、履き心地が増す。また、足裏の全体がベースと接するのでベースと足裏の滑りがより抑えられる。したがって突起が負担する荷重も相対的に小さくできる。
【0029】
あるいは、ベースは、つま先側の少なくとも一部を欠く構成であっても良い。この場合は、足のつま先と靴の甲革との間に隙間が乏しい場合でもベースの厚みのために足のつま先が窮屈になるおそれがない。
【0030】
あるいは、ベースは、踵側の少なくとも一部を欠く構成であっても良い。具体的には、踵側後半部を欠くといった具合である。この場合は、甲革で覆われている靴において、靴を脱いだときに、インソールが見えるおそれが小さく、インソールが目立つことで靴を脱いだときの美観を害するおそれが小さい。
【0031】
また、つま先側と踵側の双方を欠く場合には、靴のサイズを問わず様々な靴にインソールを使用することが可能となる。ただし、ベースが靴の中でずれることのない程度に固定可能な面積が必要である。
(ベースの材質)
【0032】
ベースの材質は特に限定されない。例えば後述する突起の材質と同じでも良い。この場合、ベースと突起とを一体成型することにより、突起が使用時に分離など破損するおそれが小さい。透明な材質を利用すれば、インソールが目立たなくなるので靴のデザインを損なうことも少なくなる。
【0033】
ベースは一層で構成されていても良い。この場合は、複数層を重ねる工程が不要のため製造が容易である。この際、ベースと接する足裏や靴との間で摩擦力などの働きによりずれを防止できる素材であることが好ましい。
【0034】
また、ベースは複数層で構成されていても良い。複数層の例としては、足裏側の層と地面側の層を2層に構成することなどが考えられる。
【0035】
足裏側の層は、例えば、足裏と接した場合に触り心地が良いように、布材、不織布、天然皮革、合成皮革等からなる層であってもよい。特に、素足で使用される場合には、通気性の良い素材とすることが好ましい。足裏側の層の他の例としては、足裏との摩擦力が大きくなるような素材を利用してもよい。この場合は、後述する突起にかかる力を軽減することができる。突起にかかる力を軽減することにより、突起が分離など破損するおそれや、突起を挟む足指の股が痛くなるおそれを軽減できる。
【0036】
また、靴底側の層は、靴に入れて使用したときにインソール自体がずれることのないよう、粘着力の高い素材からなる層や接着剤を塗布した層とすればよい。また、靴とインソール自体がずれることがないように両面テープで両者を固定することも考えられる。
(ベースの硬度)
【0037】
ベースの硬度(JIS K7312準拠のデュロメータ、アスカーゴム硬度計C型で測定した場合の数値。以下、本明細書中で硬度を示す場合、同様である。)は、30度から70度の範囲とすることが好ましい。硬度が70度よりも硬いとクッション性に乏しく、逆に硬度が30度よりも柔らかいとベースの厚みがある場合に足が沈み込むような感じを与えるので、履き心地が良くない。さらに好ましくは35度から65度であり、特に履き心地が良好となる。
(ベース表面の形状)
【0038】
ベース表面には、例えば、エンボスや溝を備えていても良い。この場合は、足裏とベースとの摩擦力を高めることができ、足裏がインソールに対して前滑りするのをさらに防止できる。なお、エンボスや溝の具体的形状については、後述する。
<突起の構成>
【0039】
突起は、ベースから、突出した部分であり、足の親指と人差し指との間に挟んで利用可能な部分である。つまり、突起は、足の親指と人差し指との間に、突起の踵側が指の股に突き当たる状態で挟むことができるように構成される。この突起は前すべりする足を支えることで、足の前すべりを防止する機能を有する。
(突起の平面形状)
【0040】
図2A、図2B及び図2Cは、本実施形態のインソールの一例を示す図である。図2Aにおける(a)が平面図、(b)が側面図、(c)が図2A(a)で示した各切断部分を観察した横断面図である。また、図2Bにおける(d)が平面図、(e)が踵側方向から観察した背面図、(f)が図2B(d)で示した各切断部分を観察した縦断面図である。また、図2Cは、突起部分を除く部分の高さを等高線により示した部分等高線図である。なお、図2Cをカラーで出力したものを物件提出書により提出する。これらの図を用いて本実施形態のインソールの、「突起をベースと略平行な断面で観察した主な形状」について説明する。
【0041】
本実施形態のインソールの突起は、足の親指と人差し指との間に挟んで利用されるため、突起の形状を足の親指と人差し指との間の形状と同様となるよう構成した方が、足指に与える違和感を軽減できる。足の親指と人差し指との間の隙間を上側から眺めた場合の平面形状は、足指と足指との中間部分、すなわち指の股の部分は曲線で構成され、つま先側に向けて徐々に細くなっており、滴形となっている。そこで、本実施形態のインソールの突起をベースと略平行な断面で観察した主な形状も同様の滴形の形状であることとすれば良い。「ベースと略平行な断面」とは、インソールを平らな机などに置いた状態で、ベースの表面の主要な部分をなす平面と平行な平面で、突起を切断した場合の各断面をいう。また、「ベースと略平行な断面で観察した」形状とは、この各断面を上側から眺めた場合の形状をいう。
【0042】
また、突起をベースと略平行な断面で観察した「主な」形状は、すべての断面が滴形の形状である必要はないとの趣旨であり、断面の多くが、滴形の形状となっていることをいう。一例として、足指の高さの中間部分付近から上の突起の部分(足指の高さの中間部分付近を含む。以下、本明細書において同様である。)は、断面が滴形形状であり、足指の高さの中間部分付近よりも下の突起の部分(足指の高さの中間部分付近を含まない。以下、本明細書において同様である。)は、断面が滴形形状ではない場合が考えられる。その理由は、本実施形態のインソールの作用効果を奏する上で、足指の高さの中間部分付近の形状が、足指に違和感を与えるか否かの点で重要となるからである。「足の親指と人差し指との間の隙間を上側から眺めた場合の平面形状」は、足指の高さの中間部分付近の足の親指と人差し指との間の隙間が最も狭い部分から上の部分を観察した形状となる。したがって、足の親指と人差し指との間に挟んだ際に違和感を与え難くするためには、本実施形態のインソールの突起が、この足指の高さの中間部分付近における足の親指と人差し指との間の隙間と同様の形状に構成されていることが好ましい。ただし、突起とベースとが分離して破損することを防止するためには、できるだけ広い面積でベースとつながっていた方が良いことから、足指の高さの中間部分付近よりも下の突起の部分をベースと略平行な断面で観察した形状は、滴形の形状となっているか否かを問わず、さまざまな形状であってもよい。
【0043】
本実施形態のインソールの突起をベースと略平行な断面で観察した主な形状は、「足の左右方向長が、足の踵側とつま先側とを結ぶ縦方向長よりも短い、縦長であって、かつ、足のつま先側に向けて細くなる滴形の形状」である。この形状について説明する。図2A(a)において、0203で示した突起の足指の高さの中間部分付近を、ベースと略平行な断面で観察した形状は、図2A(a´)で示したように、足の左右方向長(0204)が、足の踵側とつま先側とを結ぶ縦方向長(0205)よりも短い、縦長であって、かつ、足のつま先側に向けて細くなる滴形の形状となる。突起の「足指の高さの中間部分付近」は、本実施形態のインソールを靴に入れて使用する場合に、足の親指の高さの中間部分付近の高さに位置する部分であり、図2A(b)では、点線で示した0210の部分付近である。図2A(a´)では、足指の高さの中間部分付近のベースと略平行な断面で観察した形状を代表例として示しているが、本実施形態のインソールの突起をベースと略平行な断面で観察した形状は、その多くが、同様に「足の左右方向長が、足の踵側とつま先側とを結ぶ縦方向長よりも短い、縦長であって、かつ、足のつま先側に向けて細くなる滴形の形状」である。
【0044】
インソールの突起が縦長であることの効果は以下の点にある。本実施形態のインソールを靴に入れて使用する場合、突起には、つま先方向へ向かう力が強く働くこととなる。このため、突起の縦方向長はつま先側に倒れることなく荷重を支えることができる程度の長さとする必要がある。一方で、足の親指と人差し指との間に挟んだ際に違和感を与えないために、左右方向長は短いことが必要である。以上の点から、突起は縦長の形状を有する構成を備えることが好ましい。
【0045】
さらに、インソールの突起が縦長であることには次のような効果もある。すなわち、縦長に構成されていることにより、足の親指と人差し指との接触面積が大きくなる。したがって、足の指と突起との摩擦抵抗が大きくなり、広い面積で足を支えることができる。このため、指の股の部分にかかる力を軽減できるので、指の股の部分に痛みを生じにくい。また、接触面積が大きいことにより摩擦抵抗が大きくなるので、足裏のインソールに対する前滑りをすることを少なくできる。
【0046】
次に、滴形の形状について説明する。前述のように、足の親指と人差し指との間の隙間を上側から眺めた場合の平面形状は、足指と足指との中間部分、すなわち指の股の部分は曲線で構成され、つま先側に向けて徐々に細くなっており、滴形となっている。そこで、突起の形状を、この指の股の形状にあわせた構成とすることにより、足指に与える違和感を軽減できる。
【0047】
また、本実施形態のインソールを靴に入れて使用する場合、足の親指と人差し指との間の指の股の部分が、突起と強く接することとなる。このため、指の股と接することとなる突起の踵側が細すぎると、小さな面積に強い力がかかり、指の股が痛くなるなど、履き心地が悪くなる。このため、突起の踵側はある程度曲率半径が大きく構成されていることが好ましい。
【0048】
一方で、靴を履き慣れている足では足の親指と人差し指との間に隙間がなく、指同士が接している場合がほとんどである。そこで、親指と人差し指を無理に広げると違和感を与えるおそれがある。このため、突起はつま先側に向けて細くなるように構成されていることが好ましい。
(突起の側面形状)
【0049】
突起を横側から眺めた場合の側面形状については、本実施形態では特に限定されないが、突起全体の高さは足指の高さを大きく超えることのないように構成されていることが好ましい。さらに好ましくは、足指の高さよりも低いように構成される。なおさらに好ましくは、突起の先端が足指を閉じた状態で外部から観察されないように構成される。
【0050】
その理由は次のとおりである。
【0051】
まず甲革により足の甲が覆われていないミュールやサンダルのように、足指が露出している靴では、突起が足指の高さを大きく超えると、足指の間から突き出した突起が目立ち、靴を履いている足の美観を損ねる。
【0052】
また、甲革により足の甲が覆われている靴では、突起全体の高さが高すぎると、突起が甲革に引っかかって使用できないおそれや、突起が甲革を押し上げて不自然な盛り上がりが靴に生じてしまいデザインを損ねるおそれがある。
【0053】
これに対し、突起全体の高さは足指の高さを大きく超えることのないように構成されていれば、足指の露出するデザインの靴であっても、甲革のある靴であっても、デザイン性を害するおそれが小さいので、汎用性が増す。さらに、足指の高さよりも低いように構成されていれば、デザイン性を害するおそれが、より小さくなる。さらに、突起の先端が足指を閉じた状態で外部から観察されないように構成されていれば、デザイン性を害するおそれが、より小さくなる。
(突起の材質)
【0054】
突起の材質は特に限定されない。例えば、ベースと同じ材質とすれば良い。
【0055】
透明な材質を使用すれば目立ちにくくなり、靴のデザインを損なうことが少なくなる。また、ベースと併せて透明な材質を利用すればさらに靴のデザインを損なうことが少なくなる。
(突起の硬度)
【0056】
突起の硬度は、ベースと同様に、30度から70度の範囲とすることが好ましい。硬度が70度よりも硬いと足指に挟んだ場合に違和感を与えるおそれが高くなり、逆に硬度が30度よりも柔らかいと突起にかかる力を十分に支えることができずに突起が折れ曲がるなどするおそれがある。さらに好ましくは35度から65度であり、特に履き心地が良好となる。また、突起の足指と接する表面付近は柔らかく、その他の部分は硬く構成することとすれば、足指に違和感を与えるおそれを軽減しつつ、突起が折れ曲がらない程度の強度を保つことが可能となる。
<実施形態1:効果>
【0057】
本実施形態のインソールは、様々な靴に利用できる汎用性を有し、かつ、突起により、前すべりを防止することができるインソールであって、突起の形状は、使用時に足に違和感を与えるおそれが小さい。
<<実施形態2>>
<実施形態2:概要>
【0058】
本実施形態のインソールは、実施形態1のインソールを基本としつつ、ベースのつま先側の前端縁の構成に特徴を有する。本実施形態のベースは、つま先側の一部、すなわち中指、薬指、小指と接する部分を欠く構成となっている。この構成により、足のつま先と靴の甲革との間に隙間が乏しい場合でもベースの厚みのために足のつま先が窮屈になるおそれがない。しかしながら、足指とベースの縁とが強く接することとなると、ベースと靴の内底面との間で生じる段差に足裏が接することで足裏に違和感を与えるおそれがある。そこで、本実施形態のインソールは、つま先側前端縁と足との相対的位置関係を足裏に違和感を与えにくくなるように構成している。
<実施形態2:構成>
【0059】
本実施形態のインソールは、ベースと、突起とからなる。インソール、ベース、突起については、以下で説明する部分を除き、実施形態1で説明したところと同様である。
【0060】
本実施形態のインソールのベースのつま先側前端縁と足との相対的位置関係について説明する。
【0061】
図3は、本実施形態のインソールの一例と足との位置関係を説明する図である。「突起を足の親指と人差し指との間に挟んで利用している場合」は、図3(a)のように、足(0304)の親指と人差し指との間に、インソール(0301)の突起(0303)の踵側が指の股に突き当たるように挟んだ状態で利用されている場合を指す。図3(a)は、このような利用状態で観察した場合の、本実施形態のインソールと足とを重ね合わせた様子を示している。
【0062】
本実施形態のインソールのベース(0302)は、中指、薬指、小指近辺のつま先側の前端縁が、第三基節骨から第五基節骨にかけて、各基節骨の中間付近に対応する位置となるように構成されている。「中指、薬指、小指近辺のつま先側の前端縁」は、足の中指、薬指、小指近辺と重なり合うこととなるつま先側前端縁であり、図3(a)において、0305の点線で囲まれた部分付近である。
【0063】
「第三基節骨から第五基節骨にかけて、各基節骨の中間付近に対応する位置」について説明する。図3(b)は、足の骨格図である。この図のように、足の親指から小指まで、各指には、第一基節骨(0351)、第二基節骨(0352)、第三基節骨(0353)、第四基節骨(0354)、第五基節骨(0355)がある。第三基節骨から第五基節骨にかけて、各基節骨の中間付近に対応する位置は、点線で囲まれた0361の部分である。
【0064】
各基節骨の中間付近は、足指の付け根部分に当たり、この部分は地面に対して凹形状をなすことから、強く接地することがない。したがって、ベースの前端縁が各基節骨の中間付近に対応する位置となるように構成とすることにより、ベースの形状が靴内底面の全体形状と同形でなく、つま先側の一部を欠く形状であっても、ベースの前端縁の位置が足裏に接触しにくい位置なのでベースと靴の内底面との間で生じる段差が足裏に違和感を与えるおそれを軽減でき、履き心地が良い。
<実施形態2:効果>
【0065】
本実施形態のインソールは、様々な靴に利用できる汎用性を有し、かつ、突起により、前すべりを防止することができるインソールであって、突起の形状は、使用時に足に違和感を与えるおそれが小さい。さらに、ベースと靴の内底面との間で生じる段差が足裏に違和感を与えるおそれを軽減でき、履き心地が良い。
<<実施形態3>>
<実施形態3:概要>
【0066】
本実施形態のインソールは、実施形態1または2を基本としつつ、さらに、ベースの厚みの構成に特徴を有する。
<実施形態3:構成>
【0067】
再び図3(a)を参照する。本実施形態のインソール(0301)は、ベース(0302)と、突起(0303)とからなる。インソール、ベース、突起については、以下に述べる点を除き、実施形態1又は2で説明したところと同様である。
【0068】
ベースは、<1>第二、第三中足骨頭対応部分付近が相対的に薄く構成され、かつ、<2>第一、第二中足骨頭中間対応部分付近が相対的に厚く構成されている。
(<1>第二、第三中足骨頭対応部分付近の構成)
【0069】
「第二、第三中足骨頭」について、図3(b)を用いて説明する。この図のように、足には、第一中足骨(A)から第五中足骨(E)が存在する。また、中足骨(A〜E)のつま先側を中足骨頭という。第一中足骨頭(0356)、第二中足骨頭(0357)、第三中足骨頭(0358)、第四中足骨頭(0359)、第五中足骨頭(0360)といった具合である。
【0070】
「第二、第三中足骨頭対応部分付近」は、足の第二中足骨頭と第三中足骨頭に対応する部分付近であり、具体的には、点線で囲まれた0362の部分である。この部分は、歩行・走行時に足の踵が地面から離れ、つま先で地面を蹴る動作が行われる際に地面と強く接する凸形状となる部分である。
【0071】
図3(a)のように、本実施形態のインソールにおいて、ベースは、第二、第三中足骨頭対応部分付近が相対的に薄く構成されている。具体的には、例えばグレーで示された0306の部分が相対的に薄く構成されているといった具合である。
【0072】
図2A及び図2Bを参照して、この相対的に薄い構成についてさらに説明する。これらの図の(a)及び(d)においてグレーで示された0207の部分は凹形状となっており、相対的に薄く構成されている。ただし、凹断面は、足裏に違和感を与えることのないようになだらかな曲線で構成されることが好ましい。したがって、薄く構成された部分とそれ以外の部分との境界は明確ではない場合がある。
【0073】
ベースの第二、第三中足骨頭対応部分付近を相対的に薄く構成することで、歩行・走行時に足裏の凸形状とベースとが隙間なく接するため、足裏とベースとの間で相対的に摩擦力が大きくなる。これにより、突起にかかる力を軽減することができ、突起が分離など破損するおそれや、突起を挟む足指の股が痛くなるおそれを軽減できる。また、足裏の凸形状とベースの凹形状が互いに対応するがごとき関係になるので、足裏とベースとの摩擦を大きくでき、結果として、足裏がベースに対して滑りにくくなる。
(<2>第一、第二中足骨頭中間対応部分付近の構成)
【0074】
「第一、第二中足骨頭中間対応部分付近」について、図3(b)を用いて説明する。「第一、第二中足骨頭中間対応部分付近」は、足の第一中足骨頭(0356)と第二中足骨頭(0357)との中間に対応する部分付近であり、具体的には、図3(b)において点線で囲まれた0363の部分である。この部分は、足裏で親指の付け根付近の盛り上がりの周縁部分であり、地面に対して凹形状となる部分である。なお、親指の付け根付近の盛り上がりは、図5(b)の0506の部分を指す。
【0075】
図3(a)のように、本実施形態のインソールにおいて、ベースの第一、第二中足骨頭中間対応部分付近は相対的に厚く構成されている。具体的には、例えば、グレーで示された0307の部分が相対的に厚く構成されているといった具合である。
【0076】
図2A及び図2Bを参照して、この相対的に厚い構成についてさらに説明する。これらの図の(a)及び(d)においてグレーで示された0208の部分は凸形状となっており、相対的に厚く構成されている。ただし、これらの図のように、凸断面は、足裏に違和感を与えることのないようになだらかな曲線で構成されることが好ましい。したがって、厚く構成された部分とそれ以外の部分との境界は明確ではない場合がある。また、後述するベースの親指の付け根部分の凹部に対応する部分からなだらかな曲面を形成する際、この部分との関係では、必ずしも相対的に厚くない構成となっている場合がある。
【0077】
ベースの第一、第二中足骨頭中間対応部分付近を相対的に厚く構成することで、足裏の凹形状とベースとが隙間なく接するため、足裏とベースとの間で相対的に摩擦力が大きくなる。これにより、突起にかかる力を軽減することができ、突起が分離など破損するおそれや、突起を挟む足指の股が痛くなるおそれを軽減できる。
【0078】
さらに、図3(a)のように、本実施形態のインソールにおいて、ベースの親指の付け根部分の凹部に対応する部分を相対的に厚く構成しても良い。具体的には、点線で示された0308の部分付近を厚く構成するといった具合である。なお、親指の付け根部分の凹部は、図5(b)の0507の部分を指す。
【0079】
図2A及び図2Bを参照して、この相対的に厚い構成についてさらに説明する。これらの図の(a)及び(d)(f)において、ベースの親指の付け根部分の凹部に対応する部分は、点線で示された0209の部分を頂点とする凸形状となっており、相対的に厚く構成されている。ただし、図2B(f)のように、凸部分は、足裏に違和感を与えることのないようになだらかな曲線で構成されることが好ましい。したがって、厚く構成された部分とそれ以外の部分との境界は明確ではない場合がある。
【0080】
ベースの親指の付け根部分の凹部に対応する部分を相対的に厚く構成することで、足裏の凹形状とベースとが、さらに隙間なく接するため、足裏とベースとの間で相対的に摩擦力が大きくなる。これにより、突起にかかる力を軽減することができ、突起が分離など破損するおそれや、突起を挟む足指の股が痛くなるおそれを、さらに軽減できる。
【0081】
また、足圧の向かう方向に対して壁となるような山が形成されているので、この点からも足裏がベースに対して滑りにくくなる。なお、足圧の向かう方向は、後述する足底圧中心の移動する方向であり、具体的には、図4Aで示された0403の足底圧中心の歩行時の移動線の踵側からつま先側へ向かう方向である。
<実施形態3:効果>
【0082】
本実施形態のインソールは、様々な靴に利用できる汎用性を有し、かつ、突起により、前すべりを防止することができるインソールであって、突起の形状は、使用時に足に違和感を与えるおそれが小さい。
【0083】
さらに、ベースが足裏の凹凸形状とあわせた厚みを有することで、足裏とベースとが隙間なく接するため、足裏とベースとの間で相対的に摩擦力が大きくなる。これにより、突起にかかる力を軽減することができ、突起が分離など破損するおそれや、突起を挟む足指の股が痛くなるおそれを軽減できる。また、足裏とベースとの摩擦を大きくでき、結果として、足裏がベースに対して滑りにくくなる。
<<実施形態4>>
<実施形態4:概要>
【0084】
本実施形態のインソールは、実施形態1から3のいずれか一を基本としつつ、さらに、突起の側面形状がイルカの背びれ形状である点に特徴を有する。
<実施形態4:構成>
【0085】
再び図2Aを参照する。本実施形態のインソールは、ベースと、突起とからなる。インソール、ベース、突起については、以下に述べる点を除き、実施形態1から3で説明したところと同様である。
【0086】
図2A(b)のように、突起(0203)を横側から眺めた場合の側面形状は、足の前から足の後ろ方向へ向けて徐々に高くなるイルカの背びれ形状である。この図では、足の前から足の後ろ方向へ向かう矢印が0206で示されている。
(足の親指と人差し指との間の隙間の形状に合わせた形状)
【0087】
イルカの背びれ形状は、足の親指と人差し指との間の隙間の形状に合わせたものである。「足の親指と人差し指との間の隙間の形状」について説明する。足指は円柱に近い形状をしているため、足指と足指との間には、地面を底辺とする三角形状の隙間が生じている。
【0088】
図5は、足と地面との間に生じる隙間を説明するための図である。(a)は平面図、(b)は足の親指側から眺めた側面図、(c)は足の親指と人差し指とを歩行進行方向に垂直な断面で観察した断面図である。
【0089】
足(0501)の特に親指の形状は、足の親指(0502)の指節間関節(IP関節、0504)部分付近が太くなっており、足の親指の指節間関節(IP関節)よりも後ろ方向へ向けて徐々に細くなっている。しかも、図5(b)のように、足指は付け根部分が地面から凹んでいるため、足を地面に置いた状態で地面と足指(親指と人差し指)との間にできる隙間を歩行進行方向に垂直な断面で観察すると、図5(c)のとおり、地面(0505)と足の親指(0502)と足の人差し指(0503)との間にできる三角形状の隙間(この図でグレーで示された部分)は、後ろ方向へ向けて徐々に高さが高くなっている。
【0090】
ちょうどこの空間にぴったりと合う形状に本実施形態の突起の形状を構成する。つまり、実施形態のインソールの突起の側面形状は、この隙間の形状に合わせて、足の前から足の後ろ方向へ向けて徐々に高くなるイルカの背びれ形状となっている。
【0091】
足指の間の隙間の形状に合わせることで、足指に挟んだ場合にも違和感を与えるおそれが小さい。さらに、足指と突起との接触面積が大きくなるので、足を指の股だけでなく広い面積で支えることができ、指の股が痛くなるおそれが小さい。
(強度を確保しつつ、足指に違和感を与えにくい形状)
【0092】
また、足の前方向側に、ある程度の長さがないと、突起が折れ曲がるなどして、足が前すべりしないように支えることができない。さらに、突起とベースとが分離して破損することを防止するためには、突起はできるだけ広い面積でベースとつながっていた方が良い。
【0093】
一方、この突起が上から下まで均一の断面で構成されている場合には次のような不都合が生じる。足の親指と人差し指との間で構成される空間は、地面側から上方向に向かって徐々にせまくなり、その後再び広がる。したがって、例えば、この突起が上から下まで均一の滴形の柱状構造となっている場合には、親指と人差し指との間にできる空間が広くなったり、狭くなったり変化するのに対して、親指と人差し指との間に挟まれる突起がこれにならわず、足指に違和感を与えやすい。
【0094】
ベースとできるだけ広い面積でつながり、かつ、足指の間に違和感を与えないようにするためには、突起の幅は、地面側(べース側)から上方向に向かって徐々にせまくなるように構成する。またその徐々にせまくなる形は、親指と人差し指との間にできる空間が指前方程せまくなるので、結果として地面側(べース側)から上方向に向かって徐々にせまくなるように構成し、かつ、滴形であって足の前方向側を低く構成すればよい。
【0095】
なぜならば、足指は円柱に近い形状をしているので、地面と接する側では足指同士の間に隙間があり、この部分に突起の一部が位置していても、足指に違和感を与える恐れが小さいからである。
【0096】
そして、足の後ろ方向へ向けて徐々に高くなる構成とすれば、突起が折れ曲がらない程度に強度を有しながら、足指に違和感を与えにくいインソールとすることができる。
【0097】
「イルカの背びれ形状」は、足の後ろ方向側では、突起が略垂直に突出しており、足の前から足の後ろ方向へ向けて徐々に高くなる状態を表している。略垂直とは、足の前方向または後ろ方向へ少し傾斜している場合を含む趣旨である。また、突起の足の後ろ方向側を横から見た形状は、足指の股の形状に合わせて湾曲していても良い。
<実施形態4:効果>
【0098】
本実施形態のインソールは、様々な靴に利用できる汎用性を有し、かつ、突起により、前すべりを防止することができるインソールであって、突起の形状は、使用時に足に違和感を与えるおそれが、さらに、小さい。
<<実施形態5>>
<実施形態5:概要>
【0099】
本実施形態のインソールは、実施形態1から4のいずれか一を基本としつつ、さらに、ベースに滑り止めパターンが備えられている点に特徴を有する。
【0100】
ただし、実施形態1から4の構成にかかわらず、インソールに滑り止めパターンを備えている場合もある。
<実施形態5:構成>
【0101】
本実施形態のインソールは、ベースと、突起とからなり、ベースは、「滑り止めパターン」を備える。インソール、ベース、突起については、以下で説明する部分を除き、実施形態1から4で説明したところと同様である。ただし、第六の発明においては、ベースと、突起とからなる構成は必須ではなく、本明細書中、以下に記載した「インソールのベース」は、「インソール」と読み替えて解釈される。
(滑り止めパターン)
【0102】
滑り止めパターンは、足底圧中心の歩行時の移動線に沿って足裏が滑ろうとする向き、または/及び静止立位時の足裏が滑ろうとする向きと略反対の向きに足裏とインソール接触面との摩擦力を特に高める機能を有する。
(足底圧中心の歩行時の移動線)
【0103】
「足底圧中心の歩行時の移動線」について説明する。
【0104】
「足底圧中心の歩行時の移動線」は、歩行時の足底圧中心(COP:Center of Pressure)の軌跡である。
【0105】
「足底圧中心」について説明する。足裏から歩行を観察すると、(1)踵が着いて、(2)足裏全面が接触し、(3)足裏全面に全体重がかかって、(4)踵が上がり蹴り出しを行う。このとき足裏が靴内底面に対して及ぼす荷重の中心は歩行にしたがって変化する。この荷重を足底圧といい、地面に接触している足裏からの力がその重心に集中したとして計算した足底圧を「足底圧中心」という。これは足裏の重心移動と考えることができる。この足底圧中心の歩行時の移動線は歩行速度によって変化する。したがって、通常歩行を主な用途として想定する靴、あるいはランニングなどを主な用途として想定する靴など、靴の主な使用態様に応じて想定される足底圧中心の移動線に応じた設計をすることができる。
【0106】
図4Aは、足底圧中心の歩行時の移動線とインソールのベースの滑り止めパターンとの関係を説明するための図である。
【0107】
図4A(a)は、足裏(0401)とインソール(0404)とを重ね合わせた様子を示す図である。図中符号0402で示される影の部分は歩行時に足裏が靴内底面に接する領域を示し、図中符号0403で示される線は、足底圧中心の歩行時の移動線である。
【0108】
この図のように、足底圧中心の歩行時の移動線は、(1)踵が着いてやや外側へ向かい、(2)そのまま前進し、(3)カーブを描いて略親指と人差し指の間の方向へ進む、全体的に「ゆるやかなカーブ」を示す。
【0109】
そこで、インソール(0404)のベース(0405の点線で囲まれた部分付近を指す。以下、本明細書において同様である。)に、足との相対的な位置に応じて足の裏の滑りを抑える滑り止めパターンを形成するとよい。この滑り止めパターンは、足底圧中心の歩行時の移動線に沿って足裏が滑ろうとする向きと略反対の向きに足裏とインソール接触面との摩擦力を特に高めることにより足の裏の滑りを抑えるものである。このパターンは、たとえば、エンボスや溝などで形成することができる。
【0110】
このパターンの一例を図4A(a)に示した。この図のように、例えば、図4A(b)に示した断面図のごとく断面がなだらかな山形を描く突条(0406)が、足底圧中心の歩行時の移動線と直交するように形成されているといった具合である。なお、突条の一部にのみ符号を付している。(滑り止めパターンの具体的な構成については、後述する。)
【0111】
足底圧中心の歩行時の移動線、即ち、(1)踵が着いてやや外側へ向かい、(2)そのまま前進し、(3)カーブを描いて略親指と人差し指の間の方向へ進む、全体的に「ゆるやかなカーブ」を描く曲線、に沿って足裏が滑ろうとする向きと略反対の向きに足裏とインソール接触面との摩擦力を特に高めるための滑り止めパターンを、エンボスや溝等により形成することで、足裏とベースとの接触を確実にし、歩行の安定性を高めることができる。
(静止立位時の足裏が滑ろうとする向き)
【0112】
次に、「静止立位時の足裏が滑ろうとする向き」について説明する。
【0113】
図4Bは、静止立位時の足裏が滑ろうとする向きとインソール(0404)のベース(0405)の滑り止めパターンとの関係を説明するための図である。図中符号0402で示される影の部分は歩行時に足裏(0401)が靴内底面に接する領域を示している。ヒールの高い靴を使用する場合、静止立位時には、足裏がつま先側へ滑ろうとする力と、これに抗する足裏とインソール接触面との摩擦力が生じている。すなわち、静止立位時において、足裏がつま先側へ滑ろうとする力の方向は、足の踵の略中心と、第2指の先端とを結ぶ直線の方向となる。具体的には、静止立位時の足裏が滑ろうとする向きは、図4Bで示した足の踵側からつま先側へ向かう矢印0407の向きである。そして、静止立位時の足裏が滑ろうとする向きと略反対の向きは、足裏が滑ろうとする力に抗する足裏とインソール接触面との摩擦力の方向である。
(足裏とインソール接触面との摩擦力を特に高める)
【0114】
また、「特に高める」とは特定の方向以外の方向への摩擦力が低下する場合があることを含む趣旨である。すなわち、従来の滑り止めパターンとしては、ベースに均一な間隔で構成された水玉状の凸部を設けたエンボス加工を行うことが考えられる。この場合は、一または二の方向に対して、特に摩擦力を高めるとの効果は生じない。これに対し、本実施形態のインソールのベースは、足底圧中心の歩行時の移動線に沿って足裏が滑ろうとする向き、または/及び静止立位時の足裏が滑ろうとする向きと略反対の向きに足裏とインソール接触面との摩擦力を特に高めるものである点に特徴がある。
【0115】
本実施形態のインソールは、歩行時または/及び静止立位時に滑ろうとする足裏を受け止める滑り止めパターンを形成することにより、足裏とインソール接触面との摩擦力を特に高めることが可能となるために、足の前すべりを防止することができる。
(滑り止めパターンの具体的構成の一例)
【0116】
たとえば、図4A(a)のように、足底圧中心の歩行時の移動線(0403)に対して直交するような複数の突条(0406)を略等間隔に複数配置してもよい。この場合は、足底圧中心の歩行時の移動線に沿って足裏が滑ろうとする向きと略反対の向きに足裏とインソール接触面との摩擦力を特に高めることができる。また、この突条を足底圧中心の歩行時の移動線に沿って切断した場合の断面形状は、半円形状、三角形状であってもよい。あるいは、たとえば図4A(b)(c)のようになだらかな山形であってもよく、この場合は突条とベースとの境目に汚れが入り込んでしまうおそれが小さい。あるいは、この断面形状は、たとえば、図4A(d)のように足裏が滑ろうとする方向の前後非対称で、踵側面が急傾斜でつま先側面が緩やかな傾斜となっていてもよい。この場合には、足底圧中心の歩行時の移動線に沿って滑ろうとする足裏を受け止める側に急斜面を配置したので、この部分で滑ろうとする足裏をしっかりと受けることができるという効果を奏する。また、つま先側面が緩やかな傾斜となっていることから、靴を脱ぐときに抵抗が少ないという効果を奏する。なお、突条ではなく、たとえば、図4A(e)のように同様の構成を溝により構成することも可能である。
【0117】
また、図4Bのように、静止立位時の足裏が滑ろうとする向き(0407)に対して直交するような複数の突条(0408)を略等間隔に複数配置してもよい。この場合は、静止立位時の足裏が滑ろうとする向きと略反対の向きに足裏とインソール接触面との摩擦力を特に高めることができる。また、この突条を静止立位時の足裏が滑ろうとする向きに沿って切断した場合の断面形状は、前述した足底圧中心の歩行時の移動線に対して直交する場合と同様に、半円形状、三角形状、なだらかな山形であってもよい。なだらかな山形である場合は突条とベースとの境目に汚れが入り込んでしまうおそれが小さい。あるいは、同様に、足裏が滑ろうとする方向の前後非対称で、踵側面が急傾斜でつま先側面が緩やかな傾斜となっていてもよい。この場合は、静止立位時に滑ろうとする足裏を受け止める側に急傾斜面を配置したので、この部分で滑ろうとする足裏をしっかりと受けることができるという効果を奏する。また、つま先側面が緩やかな傾斜となっていることから、靴を脱ぐときに抵抗が少ないという効果を奏する。なお、突条ではなく、これらと同様の構成を溝により構成することも可能である。
【0118】
さらに、図4Cは、足底圧中心の歩行時の移動線に沿って足裏が滑ろうとする向き、及び静止立位時の足裏が滑ろうとする向きと略反対の向きに足裏とインソール接触面との摩擦力を特に高めたインソールの一例である。図中符号0402で示される影の部分は歩行時に足裏(0401)が靴内底面に接する領域を示している。この図のように、足底圧中心の歩行時の移動線(0403)に対して直交するような複数の突条(0406)を略等間隔に複数配置するとともに、足底圧中心の歩行時の移動線から離れた部分では、静止立位時の足裏が滑ろうとする向き(0407)対して直交するような複数の突条(0408)を略等間隔に複数配置してもよい。この場合は、足底圧中心の歩行時の移動線に沿って足裏が滑ろうとする向き及び静止立位時の足裏が滑ろうとする向きの両方に対して略反対の向きに、足裏とインソール接触面との摩擦力を特に高めることができる。また、これらの突条をそれぞれ足底圧中心の歩行時の移動線または/及び静止立位時の足裏が滑ろうとする向きに沿って切断した場合の断面形状は、半円形状、三角形状、なだらかな山形であってもよい。あるいは、足裏が滑ろうとする方向の前後非対称で、踵側面が急傾斜でつま先側面が緩やかな傾斜となっていてもよい。なお、突条ではなく、これらと同様の構成を溝により構成することも可能である。
(滑り止めパターンの具体的構成の他の一例)
【0119】
また、図6A〜Cは、滑り止めパターンの具体的構成の他の一例を示す図である。つまり、これらの図のように、滑り止めパターンは、波形に構成されていてもよい。
【0120】
図6Aは、足底圧中心の歩行時の移動線に沿って足裏が滑ろうとする向きと略反対の向きに足裏とインソール接触面との摩擦力を特に高めたインソールの一例である。図中符号0602で示される影の部分は歩行時に足裏(0601)が靴内底面に接する領域を示し(以下、図6B、図6Cにおいても同様である。)、図中符号0603で示される線は、足底圧中心の歩行時の移動線である。そして、インソール(0604)のベース(0605)上に、この足底圧中心の歩行時の移動線に対して直交するような波形の突条(0606)を設けることで、足底圧中心の歩行時の移動線に沿って足裏が滑ろうとする向きと略反対の向きに足裏とインソール接触面との摩擦力を特に高めることができる。なお、特に波型の突条とすることにより、足の横ぶれが軽減されるので、さらに快適に歩行することが可能となる。
【0121】
図6Bは、静止立位時の足裏が滑ろうとする向きと略反対の向きに足裏とインソール接触面との摩擦力を特に高めたインソールの一例である。インソール(0604)のベース(0605)上に、静止立位時の足裏が滑ろうとする向き(0607)に対して直交するような波形の突条(0608)を設けることで、静止立位時の足裏が滑ろうとする向きと略反対の向きに足裏とインソール接触面との摩擦力を特に高めることができる。なお、特に波型の突条とすることにより、足の横ぶれが軽減されるので、さらに快適に歩行することが可能となる。
【0122】
図6Cは、足底圧中心の歩行時の移動線に沿って足裏が滑ろうとする向き、及び静止立位時の足裏が滑ろうとする向きと略反対の向きに足裏とインソール接触面との摩擦力を特に高めたインソールの一例である。この図のように足底圧中心の歩行時の移動線(0603)に対して直交するような複数の波形の突条(0606)を略等間隔に複数配置するとともに、足底圧中心の歩行時の移動線から離れた部分では、静止立位時の足裏が滑ろうとする向き(0607)に対して直交するような複数の波形の突条(0608)を略等間隔に複数配置してもよい。この場合は、足底圧中心の歩行時の移動線に沿って足裏が滑ろうとする向き及び静止立位時の足裏が滑ろうとする向きの両方に対して略反対の向きに、足裏とインソール接触面との摩擦力を特に高めることができる。
(滑り止めパターンの具体的構成の他の一例)
【0123】
図7A〜Cは、滑り止めパターンの具体的構成の他の一例を示す図である。つまり、これらの図のように、滑り止めパターンは、特定の方向に対して足裏とインソール接触面との摩擦力の特に高い複数の凸形を配置することにより構成することもできる。凸形の一例を説明する。例えば、図7A(b)は、凸形の一例である三日月形凸形を上側から眺めた場合の形状を示している。この図のように、凸形は三日月形に近い形状をしていてもよい。また、図7A(c)は、凸形の側面形状を示しており、図7A(d)は、凸形を後述する左右対称線(0709)に沿って切断した場合の断面形状を示している。図7A(d)のように、三日月形を構成する2つの円弧のうち内側(図7A(b)で示した矢印Aの側)の傾斜角αが、外側(図7A(b)で示した矢印Bの側)の傾斜角βに比べて相対的に急角度となっている。なお、図7A(e)は、凸形を矢印Aの側から眺めた様子を示す図である。
【0124】
図7A(a)において、図中符号0702で示される影の部分は歩行時に足裏(0701)が靴内底面に接する領域を示し(以下、図7B、図7Cにおいても同様である。)、図中符号0703で示される線は、足底圧中心の歩行時の移動線である。そして、インソール(0704)のベース(0705)上に、この三日月形凸形(0706)の左右対称線が足底圧中心の移動線(0703)と平行となるように複数配置することとしてもよい。三日月形凸形の「左右対称線」とは、図7A(b)で示した点線0709である。なお、三日月形を構成する2つの円弧のうち内側(図7A(b)で示した矢印Aの側)が踵側となるように配置する。この場合、足底圧中心の歩行時の移動線に沿って足裏が滑ろうとする向きと略反対の向きに足裏とインソール接触面との摩擦力を特に高めることができるとともに、三日月形凸形の両側部分により、足の横ぶれが軽減されるので、さらに快適に歩行することが可能となる。
【0125】
あるいは、図7Bに示すように、三日月形凸形(0708)の左右対称線が静止立位時の足裏が滑ろうとする向き(0707)と平行となるように複数配置することとしてもよい。さらに、図7Cに示すように、前述した突条の配置と同様に、三日月形凸形(0706)の左右対称線が足底圧中心の歩行時の移動線(0703)と平行となるとともに、足底圧中心の歩行時の移動線から離れた部分では、三日月形凸形(0708)の左右対称線が静止立位時の足裏が滑ろうとする向き(0707)と平行となるように三日月形凸形を複数配置してもよい。この図では、三日月形凸形相互の間に隙間があいている部分があるが、この部分には、足底圧中心の歩行時の移動線(0703)と左右対称線が平行となる三日月形凸形(0706)または、静止立位時の足裏が滑ろうとする向き(0707)と左右対称線が平行となる三日月形凸形(0708)を適宜配置することとすればよい。
【0126】
なお、凸形ではなく、同様の構成を穴により構成することも可能である。
(滑り止めパターンの略平行配置)
【0127】
なお、滑り止めパターンは、略平行配置されていても良い。「略平行配置」とは、滑り止めパターンを構成する突条等(エンボス、溝、穴等を含む趣旨である。)同士の間に隙間があることをいう。以下、図8を用いて説明する。
【0128】
図8A及び図8Bは、滑り止めパターンの略平行配置について説明するための図である。図8A(a)は、インソール(0801a)に備えられた滑り止めパターン(0802a)を構成する突条同士が重なり合っており、隙間のない場合を示している。この場合には、足裏の皮膚が突条同士の間に入り込まず、かえって、足裏と突条部分のみが接触するので、足裏とインソール接触面との摩擦力が突条によって特に高められるとの本実施形態のインソールの作用効果を奏することができない。これに対し図8A(b)のように、インソール(0801b)に備えられた滑り止めパターン(0802b)を構成する突条同士の間に隙間がある場合には、足裏の皮膚が突条同士の間に入り込んで、足裏とインソール接触面との摩擦力が特に高められる。なお、この図には、突起(0806)も図示されているが、この突起は、第六の発明において必須の構成ではない。
【0129】
また、この滑り止めパターンは、直線的な突条ではなく、波型の突条からなる波型滑り止めパターンであっても良い。この場合には、直線的な突条と同様に波型の突条を配置すれば良い。つまり、図8B(d)のように、波型滑り止めパターン(0802d)は、インソール(0801d)に備えられた滑り止めパターンの配置を示す四角形(0803d)の枠内に納まるように構成されていると良い。これに対し、図8B(c)は、インソール(0801c)に備えられた波型滑り止めパターン(0802c)の配置を示す四角形(0803c)同士が重なりあっている(滑り止めパターンが平行配置されていない)場合を示している。このように、滑り止めパターンが平行配置されていない場合には、滑り止めパターンにより、特定の方向(例えば、この図の0804で示した静止立位時の足裏が滑ろうとする向きと略反対の向き)に「特に」足裏とインソール接触面との摩擦力を高める構成となっていない。以下に詳しく説明する。
【0130】
図8B(c)は、インソール(0801c)に備えられた波型滑り止めパターン(0802c)の配置を示す四角形(0803c)同士が重なり合っており、隙間のない場合を示している。この場合には、波型滑り止めパターンにより、様々な方向に対して足裏が滑るのを防止するための足裏とインソール接触面との摩擦力が発生するため、特定の方向(例えば、この図の0804で示した静止立位時の足裏が滑ろうとする向きと略反対の向き)に「特に」足裏とインソール接触面との摩擦力を高める構成となっていない。
【0131】
これに対して図8B(d)は、インソール(0801d)に備えられた波型滑り止めパターン(0802d)の配置を示す四角形(0803b)同士の間に隙間がある。この隙間の長手方向(両矢印0805の方向)に対しては、滑り止めパターンによる足裏とインソール接触面との摩擦力は図8B(c)の場合に比べて低下するものの、特定の方向(例えば、この図の0804で示した静止立位時の足裏が滑ろうとする向きと略反対の向き)に「特に」足裏とインソール接触面との摩擦力を高めることが可能となる。なお、この図には、突起(0806)も図示されているが、この突起は、第六の発明において必須の構成ではない。
<実施形態5:効果>
【0132】
本実施形態のインソールは、様々な靴に利用できる汎用性を有し、かつ、突起により、前すべりを防止することができるインソールであって、突起の形状は、使用時に足に違和感を与えるおそれが小さい。
【0133】
さらに、本実施形態のインソールは、歩行時または及び静止立位時に滑ろうとする足裏を受け止める滑り止めパターンを形成することにより、足裏とインソール接触面との摩擦力を特に高めることができる。これにより、足裏とベースとの接触を確実にし、足の前すべりを、さらに防止することができるとともに、歩行の安定性を高めることができる。
【0134】
なお、実施形態1から4の構成にかかわらず、インソールに滑り止めパターンを備えていることにより、足裏とベースとの接触を確実にし、足の前すべりを、さらに防止することができるとともに、歩行の安定性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】実施形態1のインソールの一例を示す概念斜視図
【図2A】実施形態1のインソールの一例を示す図
【図2B】実施形態1のインソールの一例を示す図
【図2C】実施形態1のインソールの一例の部分等高線図
【図3】実施形態2のインソールの一例と足との位置関係を説明する図
【図4A】足底圧中心の歩行時の移動線と実施形態5のインソールのベースの滑り止めパターンとの関係を説明するための図
【図4B】静止立位時の足裏が滑ろうとする向きと実施形態5のインソールのベースの滑り止めパターンとの関係を説明するための図
【図4C】足底圧中心の歩行時の移動線に沿って足裏が滑ろうとする向き及び静止立位時の足裏が滑ろうとする向きとの両方に対して略反対の向きに足裏とインソール接触面との摩擦力を特に高めた実施形態5のインソールの一例
【図5】足と地面との間に生じる隙間を説明するための図
【図6A】実施形態5のインソールの滑り止めパターンの具体的構成の他の一例を示す図
【図6B】実施形態5のインソールの滑り止めパターンの具体的構成の他の一例を示す図
【図6C】実施形態5のインソールの滑り止めパターンの具体的構成の他の一例を示す図
【図7A】実施形態5のインソールの滑り止めパターンの具体的構成の他の一例を示す図
【図7B】実施形態5のインソールの滑り止めパターンの具体的構成の他の一例を示す図
【図7C】実施形態5のインソールの滑り止めパターンの具体的構成の他の一例を示す図
【図8A】滑り止めパターンの略平行配置について説明するための図
【図8B】滑り止めパターンの略平行配置について説明するための図
【符号の説明】
【0136】
0101 インソール
0102 ベース
0103 突起
0104 足
0105 足の親指
0106 足の人差し指
【特許請求の範囲】
【請求項1】
足裏の少なくとも一部と接するベースと、
足の親指と人差し指との間に挟んで利用可能な突起と、
を有するインソールであって、
前記突起をベースと略平行な断面で観察した主な形状は、足の左右方向長が、足の踵側とつま先側とを結ぶ縦方向長よりも短い、縦長であって、かつ、足のつま先側に向けて細くなる滴形の形状であることを特徴とするインソール。
【請求項2】
前記突起を足の親指と人差し指との間に挟んで利用している場合に、ベースは、中指、薬指、小指近辺のつま先側の前端縁が、第三基節骨から第五基節骨にかけて、各基節骨の中間付近に対応する位置となるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のインソール。
【請求項3】
ベースは、第二、第三中足骨頭対応部分付近が相対的に薄く構成され、
かつ、第一、第二中足骨頭中間対応部分付近が相対的に厚く構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のインソール。
【請求項4】
前記突起を横側から眺めた場合の側面形状は、足の前から足の後ろ方向へ向けて徐々に高くなるイルカの背びれ形状である請求項1から3のいずれか一に記載のインソール。
【請求項5】
ベースには、足底圧中心の歩行時の移動線に沿って足裏が滑ろうとする向き、または/及び静止立位時の足裏が滑ろうとする向きと略反対の向きに足裏とインソール接触面との摩擦力を特に高めるための滑り止めパターンが備えられている請求項1から4のいずれか一に記載のインソール。
【請求項6】
足底圧中心の歩行時の移動線に沿って足裏が滑ろうとする向き、または/及び静止立位時の足裏が滑ろうとする向きと略反対の向きに足裏とインソール接触面との摩擦力を特に高めるための略平行配置される滑り止めパターンが備えられているインソール。
【請求項1】
足裏の少なくとも一部と接するベースと、
足の親指と人差し指との間に挟んで利用可能な突起と、
を有するインソールであって、
前記突起をベースと略平行な断面で観察した主な形状は、足の左右方向長が、足の踵側とつま先側とを結ぶ縦方向長よりも短い、縦長であって、かつ、足のつま先側に向けて細くなる滴形の形状であることを特徴とするインソール。
【請求項2】
前記突起を足の親指と人差し指との間に挟んで利用している場合に、ベースは、中指、薬指、小指近辺のつま先側の前端縁が、第三基節骨から第五基節骨にかけて、各基節骨の中間付近に対応する位置となるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のインソール。
【請求項3】
ベースは、第二、第三中足骨頭対応部分付近が相対的に薄く構成され、
かつ、第一、第二中足骨頭中間対応部分付近が相対的に厚く構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のインソール。
【請求項4】
前記突起を横側から眺めた場合の側面形状は、足の前から足の後ろ方向へ向けて徐々に高くなるイルカの背びれ形状である請求項1から3のいずれか一に記載のインソール。
【請求項5】
ベースには、足底圧中心の歩行時の移動線に沿って足裏が滑ろうとする向き、または/及び静止立位時の足裏が滑ろうとする向きと略反対の向きに足裏とインソール接触面との摩擦力を特に高めるための滑り止めパターンが備えられている請求項1から4のいずれか一に記載のインソール。
【請求項6】
足底圧中心の歩行時の移動線に沿って足裏が滑ろうとする向き、または/及び静止立位時の足裏が滑ろうとする向きと略反対の向きに足裏とインソール接触面との摩擦力を特に高めるための略平行配置される滑り止めパターンが備えられているインソール。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【公開番号】特開2013−17647(P2013−17647A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153298(P2011−153298)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(591025901)株式会社村井 (18)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(591025901)株式会社村井 (18)
【Fターム(参考)】
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