説明

剛性と衝撃強さの高いバランスを有するポリオレフィン組成物

(A)多分散値5〜15、及びメルトフローレート20〜78g/10分(ASTM−D1238、条件Lによる)を有する広分子量分布プロピレンポリマー(成分A)60〜85重量%、及び(B)エチレンを少なくとも65重量%含む部分的にキシレン可溶なオレフィンポリマーゴム(成分B)15〜40重量%を含むポリオレフィン組成物。前記組成物は自動車分野での用途が見出されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エラストマー系熱可塑性ポリオレフィン組成物に関する。特に、本発明は、広い分子量分布のプロピレンポリマーを含む組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明のポリマー組成物は、その機械的及び物理的特性により、とりわけ自動車分野(例えば、バンパー類及びサイドストリップ類)での用途が見い出されている。
そのようなポリオレフィン組成物は、機械特性の良好なバランスを有し、特に、低温(例えば、−30℃)であっても曲げ係数及びIZOD衝撃強さの改善されたバランスを有している。
【0003】
本発明の組成物により示される更なる利点は、低い値の熱収縮性を提供できるということである。前記特性は、本発明のポリオレフィン組成物で製造される製品に、より高い寸法安定性を与える。
【0004】
WO00/26295には、5〜15の多分散値及び80〜200g/10分のメルトフローレート(溶融流量;ASTM−D1238、条件Lによる)を有する広い分子量分布のプロピレンポリマー40〜60%(重量による)と;エチレンを少なくとも65重量%含む部分的にキシレン可溶なオレフィンポリマーゴム40〜60%とを含み、室温でのポリオレフィン組成物のキシレン中での可溶部分の極限粘度(IVS)と前記プロピレンポリマーの極限粘度(intrinsic viscosity)(IVA)との比IVS/IVAが2〜2.5の範囲である、低い値の線熱膨張係数と良好な機械特性を備えたポリオレフィン組成物が記載されている。
これら組成物は、典型的には、650〜1000MPaの曲げ係数を有する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ある自動車用途において、全体的な機械的特性と低い値の熱収縮性の良好なバランスを維持したままで、1000MPa、特に1100MPaより高い曲げ係数値を備えた組成物を入手することが望まれている。
プロピレンポリマーとオレフィンゴムを含む組成物中、特に選択された特性のプロピレンポリマーと、低含量の前記ゴムとを組み合わせることにより、そのような特性のバランスを達成可能であることを驚くべきことに見い出した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
よって、本発明の目的は、
(A)多分散値5〜15、及びメルトフローレート(ASTM−D1238、条件Lによる)20〜78g/10分、好ましくは40〜75、より好ましくは40〜70g/10分を有する広分子量分布プロピレンポリマー(成分A)60〜85重量%、好ましくは60〜80重量%、及び
(B)エチレンを少なくとも65重量%含む部分的にキシレン可溶なオレフィンポリマーゴム(成分B)15〜40重量%、好ましくは20〜40重量%
を含むポリオレフィン組成物である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
キシレン可溶分及び多分散値を測定する方法は、以下に記載する。室温は、本出願では、約25℃の温度を意味する。
本発明のポリオレフィン組成物は、無機フィラーを更に含んでいてもよい。無機フィラーが存在する場合、成分(A)及び(B)の合計に対して、約0.5〜3重量部の量で含まれている。
【0008】
本発明の組成物は、典型的には、5〜20g/10分のメルトフローレートを有する。全組成物の室温(約25℃)でのキシレン可溶留分の極限粘度は、2〜2.7dl/gであることが好ましい。
加えて、典型的には、1100〜1700MPaの曲げ係数を有している。好ましい熱収縮値は、縦方向において、0.5〜1であり、横方向において、0.7〜1.2であり、−30℃でのノッチ付IZOD弾性は、典型的には、4〜10KJ/m2である。前記特性の測定方法は、以下に記載する。
【0009】
成分(A)は、結晶性プロピレンホモポリマーや、エチレンあるいはC4〜C10のα−オレフィンとのプロピレンコポリマー、又はそれらの混合物である。エチレンは、好適にはコモノマーである。コモノマー含量は、0.5〜1.5重量%が好ましい範囲であり、0.5〜1重量%がより好ましい範囲である。
【0010】
成分(A)の25℃でのキシレン不溶分含量は、典型的には、90%より大きく、より好ましくは94%と等しいか又はより大きい。
成分(A)は、好ましくは、8〜30の分子量分布Mw/Mn(Mw=重量平均分子量、Mn=数平均分子量、両者はゲルパーミエイションクロマトグラフィにより測定)を有する。
【0011】
成分(A)は、(A)の全重量を基準として、1〜10g/10分のメルトフローレートを有する留分(AI)を、好ましくは30〜70重量%、より好ましくは40〜60重量%含む。
【0012】
本発明のポリオレフィン組成物に使用した成分(B)のオレフィンポリマーゴムは、好ましくは65〜80重量%のエチレン含量である、ポリ(エチレン−コ−C3−C10α−オレフィン)又はポリ(エチレン−コ−プロピレン−コ−C4−C10α−オレフィン)とすることが可能である。後者は、C4−C10α−オレフィンの0.5〜10重量%含まれる。オレフィンポリマーゴムは、任意に更にジエンを含んでもよく、その含量は、好ましくは1〜10重量%であり、より好ましくは1〜5重量%である。
【0013】
成分(B)のオレフィンポリマーゴムは、室温で、キシレンに部分的に可溶である。キシレン不溶性含量は、約25〜40重量%であり、30〜38重量%がより好ましい。
上記成分(B)の製造に有用であるC3−C10α−オレフィンは、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン及び1−オクテンを含む。プロピレン及び1−ブテンが特に好適である。
【0014】
無機フィラーは、存在する場合、好ましくはタルク、炭酸カルシウム、シリカ、一般的な粘土、珪灰土、珪藻土、酸化チタン及びゼオライトから選択される。好ましくは、無機フィラーは、タルクである。
上記無機フィラーに加えて、本発明のポリオレフィン組成物は、更に、公知の添加物、例えば、安定剤類、顔料類、他の充填材類及び補強材類(例えば、カーボンブラック及び、ガラスビーズ類及び繊維類)を含んでいてもよい。
【0015】
本発明のポリオレフィン組成物は、物理配合又は化学配合手段により製造できる。
好ましくは、本発明の組成物は、成分(A)と成分(B)の混合物を重合により製造される特定の立体規則性チーグラー−ナッタ触媒の使用に基づく一連の反応器中での順次重合方法により、重合で直接製造される。続いて、無機フィラーは、任意に、配合により添加されるか又は、工業重合プラントの最終ペレット化セクション中で添加される。
【0016】
重合工程は、活性型のマグネシウムハライド上に支持された特定の立体規則性チーグラー−ナッタ触媒の存在中、少なくと3つの連続した段階で行われる。特に、上記成分(A)の広い分子量分布のプロピレンポリマーは、少なくとも2段階で、オレフィンポリマーゴムは、他の段階で連続重合により製造できる。
【0017】
本発明のポリオレフィン組成物は、択一的に、押出機やバンバリーミキサーのような公知の混合装置で、成分(A)と(B)及び任意に更なる成分を混合することにより、物理的に配合又は混合することができる。成分(B)及び(A)は溶融又は軟化状態で配合される。それゆえ、成分(A)及び(B)は、好ましくはチーグラー−ナッタ触媒を用いて、下記する重合条件で、分離した重合段階中で製造でき、次いで機械的に混合できる。
【0018】
先に記載したように、重合段階を少なくとも3つの連続した工程で行うことが可能であり、成分(A)及び(B)を別々の連続した工程で、直前の工程で形成されたポリマー及び使用された触媒の存在中で、個々の工程を操作することで製造される。触媒は、第一工程でのみ添加されるが、その活性は、全ての連続した工程で十分活性なものである。成分(A)及び(B)を製造する順序は、重要ではない。しかし、成分(A)を製造した後、成分(B)を製造することが好適である。
【0019】
成分(A)を製造するために使用される触媒は、好ましくは90重量%以上、より好ましくは94重量%以上の25℃でのキシレン不溶性留分を有するプロピレンポリマーを製造可能であることで特徴付けられる。更に、触媒は、1〜20g/10分の範囲及び200g/10分より大きいメルトフローレートを有するプロピレンホモポリマーを製造するための十分高い分子量調整剤としての感受性を有する。
【0020】
本発明の成分(A)の広分子量分布ポリプロピレンポリマーを製造する方法は、ヨーロッパ特許出願第573862に記載されている。
上記触媒は、成分(A)及び(B)の合計を直接製造するために、本発明の重合方法の工程の全てで使用される。
【0021】
上記特性を有する触媒は、特許文献でよく知られており、特にUSP4,399,054及びヨーロッパ特許45977及び395083に記載された触媒が有利である。
重合方法は、公知の技術及び液相での操作により、不活性希釈剤の存在又は非存在中、気相中又は混合液相中、連続的に又はバッチで実行可能である。気相中で操作することが好ましい。
【0022】
反応時間及び温度は重要でないが、温度は、典型的には20〜100℃の範囲である。
好ましくは、反応温度は、一般的に、成分(B)の重合のために、60〜85℃である。
分子量の調整は、水素のような公知の調整剤を使用することにより実行される。
【0023】
本発明の組成物は、少なくとも2つの内部接続された重合ゾーン中で実行された気相重合方法により製造することも可能である。この種の方法は、ヨーロッパ特許出願782587に説明されている。
【0024】
詳細には、上記方法は、反応条件下で、触媒の存在中、重合ゾーンに1以上のモノマー(類)を供給し、重合ゾーンからポリマー生成物を収集することを含む。この方法において、成長するポリマー粒子は、1つの(第1)重合ゾーン(上昇管)を上側に流れ、他の(第2)重合ゾーン(降下管)に入り、粒子が、重力の作用下で、密な形態(densified form)で下向きに流れ、降下管を出、上昇管に再導入され、その結果、上昇管と降下管の間でポリマーの循環を確立する。
【0025】
降下管中で、高い値の固体の密度に達すると、ポリマーのバルク密度に近づく。そのため、圧力の正の増加は、流れ方向に沿って得られ、そのため特別な機械手段の補助なしで、上昇管にポリマーを再導入することが可能となる。このようにして「ループ」循環が確立され、この循環は、2つの重合ゾーン間の圧力バランス及び系中に導入される損失水頭(head loss)により規定される。
【0026】
一般に、上昇管中の第1流動の条件は、上昇管に関連するモノマーを含むガス混合物を供給することにより確立される。ガス混合物の供給は、適当なガス分離手段を使用することにより、上昇管にポリマーの再導入点下で実施することが好ましい。上昇管中の移送ガスの速度は、操作条件下の移送速度より大きく、2〜15m/sが好ましい。
【0027】
一般に、上昇管を出るポリマー及びガス混合物は、固体/ガス分離ゾーンに運ばれる。固体/ガス分離は、公知の分離手段を使用することにより実施できる。分離ゾーンから、ポリマーが降下管に導入される。メークアップモノマー類及び/又は分子量調整剤類の添加が望まれる場合、分離ゾーンを出たガス混合物は圧縮され、冷却され、上昇管に移送される。移送は、ガス混合物用の循環ライン手段により実施できる。
【0028】
2つの重合ゾーン間を循環するポリマーの制御は、メカニカルバルブのような固体流量を制御する好適な手段を使用して、降下管を出るポリマーの量を測定することにより実施できる。
【0029】
温度のような操作パラメータは、例えば50〜120℃のような、気相オレフィン重合方法で通常であるパラメータである。
この方法は、0.5〜10MPaの間、好ましくは1.5〜6MPaの間の操作圧力下で行うことができる。
【0030】
好都合には、1つ以上の不活性ガスを、不活性ガスの分圧の合計が、好ましくはガスの全圧力の5〜80%の間となるような量で、重合ゾーン中、1つ以上の不活性ガスを維持することである。不活性ガスは、例えば、窒素又はプロパンとすることができる。
【0031】
種々の触媒は、上昇管のどの地点かで上昇管に供給される。しかし、触媒は更に下流管のどの地点で供給してもよい。触媒はどのような物理状態でもよく、よって、固体又は液体状の触媒を使用できる。
【0032】
本発明の重合方法で使用されるチーグラー−ナッタ触媒の本質的な成分は、活性型のマグネシウムハライドに支持された、少なくとも1つのチタニウム−ハロゲン結合を有するチタニウム化合物、及び電子供与化合物を含む固体触媒成分である。
他の本質的な成分(助触媒)は、アルミニウムアルキル化合物のような有機アルミニウム化合物である。外部供与体は任意に添加される。
【0033】
前記触媒に使用される固体触媒成分は、電子供与体(内部供与体)のような、エーテル類、ケトン類、ラクトン類、N、P及び/又はS原子を含む化合物、モノ及びジ−カルボキシ酸のエステル類から選択される化合物を含む。特に好適な電子供与化合物は、ジイソブチル,ジオクチル,ジフェニル及びベンジルブチル−フタル酸エステルのようなフタル酸エステル類である。
特に好適な他の電子供与体は、式
【0034】
【化1】

【0035】
(式中、RIとRIIは同一又は異なってC1−C18のアルキル、C3−C18のシクロアルキル又はC7−C18のアリール基であり、RIIIとRIVは同一又は異なってC1−C4のアルキル基、又は位置2の炭素原子が5、6又は7の炭素原子までからなる環又は多環構造に属し、かつ2つ又は3つの不飽和を含む1,3−ジエーテル類である)
1,3−ジエーテル類である。
【0036】
この種のエーテル類は、公開されたヨーロッパ特許出願361493及び728769号に記載されている。
前記ジエーテル類の代表的な例は次の通りである:2−メチル−2−イソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジイソブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−シクロペンチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−イソアミル−1,3−ジメトキシプロパン及び9,9−ビス(メトキシメチル)フルオレン。
【0037】
上記触媒成分の製造は、種々の方法により行われる。例えば、MgCl2・nROH付加物(特に球状粒子の形態で)(式中、nは通常1〜3、ROHは、エタノール、ブタノール又はイソブタノールである)が、電子供与化合物を含む過剰のTiCl4と反応する。反応温度は、通常80〜120℃である。次いで、固体が、分離され、そして電子供与化合物の存在中又は非存在中、1回以上TiCl4と反応させ、その後、分離され、全塩素イオンが消失するまで炭化水素のアリコート(aliquot)で洗浄される。固体触媒成分中、チタン化合物は、Tiで表され、通常0.5〜10重量%の量で存在する。固体触媒成分上で固定されて残る電子供与化合物の量は、通常、マグネシウムジハライドに対して、5〜20重量%である。チタン化合物は、固体触媒成分の製造のために使用でき、チタンのハライド類及びハロゲンアルコレート類である。チタンテトラクロライドが好適な化合物である。
【0038】
上記反応は、活性型のマグネシウムハライドを形成させることになる。他の反応は、文献で公知であり、ハライド類以外のマグネシウムカルボキシレート類のようなマグネシウム化合物から開始する活性型のマグネシウムハライドの形成を生起させる。
【0039】
助触媒として使用されるAlアルキル化合物は、Alトリエチル、Alトリイソブチル、Alトリ−n−ブチル、及びOやN原子、SO4やSO3基を介して互いに結合した2以上のAl原子を含む線状又は環状Alアルキル化合物のようなAlトリアルキル類を含む。
Alアルキル化合物は、Al/Ti比が通常1〜1000である量になるように使用される。
【0040】
外部供与体として使用できる電子供与化合物は、アルキルベンゾエート類のような芳香族酸エステル類を含み、特に少なくとも1つのSi−OR(式中、Rは炭化水素基である)結合を含むシリコン化合物を含む。有用なシリコン化合物の例としては、(tert−ブチル)2Si(OCH32、(シクロヘキシル)(メチル)Si(OCH32、(フェニル)2Si(OCH32及び(シクロペンチル)2Si(OCH32である。
上記式を有する1,3−ジエーテル類も有利に使用できる。
【0041】
内部供与体がこれらのジエーテル類の1つであるなら、外部供与体類は省略できる。
触媒を少量のオレフィンと予備接触(予備重合)させてもよく、それにより触媒の性能とポリマーの形態の両方を改善できる。予備重合は、炭化水素溶媒中、懸濁状態に触媒を維持しつつ、室温〜60℃の温度で、固体触媒成分の0.5〜3重量倍のポリマー量を生産するのに十分な時間で重合することで行う。予備重合は、上に示した温度条件で、液体プロピレン中で行うことも可能であり、触媒成分のgあたり1000gまでに達しうる量のポリマーを製造することができる。
【0042】
上記のように、本発明のポリオレフィン組成物は、配合により得ることも可能である。配合は、重合方法から得られたポリマー類のペレットや粉体や粒子から出発する公知の技術を使用して行われ、好ましくは固体状態で無機充填材と、例えば、バンバリー、ヘンシェル又はロディゲ混合機で、予備混合され、次いで押出される。
【0043】
上記のように、本発明のポリマー組成物は、バンパー類及び、サイドストリップ類のような他の乗物部材を製造するのに好適である。それゆえ、ポリマー組成物は、前記製品を製造するのに使用される公知の技術に付される。
【0044】
以下の分析方法は、成分(A)のプロピレンポリマー、成分(B)のゴム共重合体及びそれらから得られた組成物を特徴付けるために使用される。
メルトフローレート:ASTM−D1238、条件Lにより測定する。
[η]極限粘度:135℃、テトラヒドロナフタレン中で測定する。
【0045】
エチレン:I.R.分光法により測定する
キシレン可溶及び不溶性:ポリマー2.5gを、攪拌下、135℃でキシレン250mlに溶解する。20分後、攪拌下のまま、溶液を25℃まで冷却し、次いで30分間静置する。沈殿物をろ紙でろ過し、溶液を窒素気流中で蒸発させ、残留物を減圧下80℃で一定の重量に達するまで乾燥させた。それにより、室温(25℃)でのキシレンへのポリマーの溶解性及び不溶性の重量%を計算する。
【0046】
多分散値(P.I.):ポリマーの分子量分布の測定。P.I.値を測定するために、低弾性率値(例えば500Pa)での分離係数(modulus separation)を、Rheometrics(USA)から市販されているRMS−800平行盤レオメータモデルを、0.1rad/秒から100rad/秒まで増加する振動周波数で操作しつつ、使うことで、温度200℃で測定する。分離係数から、以下の等式によってP.I.を導くことができる:
P.I.=54.6×(分離係数)-1.76
ここで、分離係数(MS)は:
MS=(G’=500Paでの周波数)/(G”=500Paでの周波数)
(式中、G’は貯蔵弾性率で、G”は低弾性率である)と定義される。
【0047】
曲げ弾性率:ASTM−D790により測定
降伏引張強さ:ISO法527
破断引張強さ:ISO法527
破断及び降伏伸び:ISO法527
縦及び横熱収縮
100×200×2.5mmのプラーク(plaque)を射出成形機“SANDRETTO serie 7 190”(190は型締め力190トンを表す)で成形する。
【0048】
射出条件は:
溶融温度=250℃
型温度=40℃
射出時間=8秒
維持時間=22秒
スクリュー直径=55mmである。
プラークは、成形後、48時間カリパス(callipers)を介して測定され、収縮は
【0049】
【数1】

【0050】
(200は、流れ方向に沿うプラークの長さ(mm)であり、成形後、直ちに測定され;100は、流れ方向に横向きのプラークの長さ(mm)であり、成形後、直ちに測定され;読み 値は、対応する方向のプラークの長さであり、48時間後に測定される)により得られる。
【0051】
−30℃でのノッチ付IZOD衝撃試験:ASTM−D256/Aにより測定する。
以下の実施例は、本発明を説明するために挙げており、本発明を限定しない。
【実施例】
【0052】
実施例1及び2
固体触媒成分の製造
球状のMgCl2/アルコール付加物を、10000RPMの代わりに3000RPMで操作すること以外、米国特許2,399,054の実施例2に記載された方法に従って製造する。
付加物は、窒素気流中で操作して、30〜180℃に温度を増加することで加熱することにより、部分的に脱アルコール化される。
【0053】
凝縮器及び機械的攪拌機を備えた1リットルのフラスコ中に、窒素気流下で、TiCl4を624ml入れる。0℃で攪拌しながら部分脱アルコール化付加物を25g添加する。次いで、1時間で100℃まで加熱し、温度が40℃のときにジイソブチルフタレート(DIBF)をモル比Mg/DIBF=8で添加する。
【0054】
温度を2時間100℃に維持する。次いで、傾しゃ状態とし、その後熱液体を吸いだす。TiCl4を550ml添加し、120℃で1時間加熱する。最後に、静置状態とし、液体を熱いまま吸い取り、残留固体を、60℃の無水ヘキサン200mlアリコートで6回、室温で3回洗浄する。次いで、固体を減圧下で乾燥させる。
【0055】
重合
重合は、生成物を、ある反応器から、それに直ちに続くある反応器に移送するための装置を備えた一連の反応器中で連続的に実施される。
気相中で、水素、プロパン及びモノマーが、一定の所望の濃度に維持するために、連続的に、分析され、かつ供給される。
【0056】
重合実行中、トリエチルアルミニウム(TEAL)活性剤と電子供与成分としてジシクロペンチルジメトキシシラン(DCPMS)との混合物を、重量比TEAL/Cが約5となるように、固体触媒成分と、30℃で約9分間反応器中で、接触させる。TEALと電子供与化合物とは、重量比TEAL/DCPMSが5であるような量である。
【0057】
次いで、触媒は、過剰の液体プロピレンを含む反応器に移され、25℃で33分間予備重合される。
次いで、プレポリマーが気相である第一反応器に移され、プロピレンのホモ重合が起こり、低MFRのプロピレンホモポリマー類が得られる。次いで、得られた生成物は、第二反応器に移され、プロピレンがホモ重合され、高MFRのホモポリマー類が得られる。最後に、第二反応器の生成物が、第三反応器に移され、エチレンがプロピレンと共重合されて成分(B)が得られる。
【0058】
それぞれの反応器で使用した重合条件を表Iに示し、得られた生成物の性質を表IIに示す。
【0059】
【表1】

【0060】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)多分散値5〜15、及びメルトフローレート(ASTM−D1238、条件Lによる)20〜78g/10分を有する広分子量分布プロピレンポリマー(成分A)60〜85重量%、及び
(B)エチレンを少なくとも65重量%含む部分的にキシレン可溶なオレフィンポリマーゴム(成分B)15〜40重量%
を含むポリオレフィン組成物。
【請求項2】
成分(A)及び(B)の合計量に対して0.5〜3重量部の無機フィラーを更に含む請求項1のポリオレフィン組成物。
【請求項3】
5〜20g/10分のメルトフローレートを有する請求項1のポリオレフィン組成物。
【請求項4】
成分(B)がポリ(エチレン−コ−プロピレン)である請求項1のポリオレフィン組成物。
【請求項5】
モノマーが、活性型の活性マグネシウムハライドに支持された立体特異性触媒の存在中で、少なくとも3つの連続する工程で重合され、成分(A)と(B)が、分離された連続工程で製造され、分離された連続工程が、それぞれの工程において、直前の工程で形成されたポリマー及び使用された触媒の存在中で操作される請求項1のポリオレフィン組成物を製造する方法。
【請求項6】
請求項1のポリオレフィン組成物により得られる製品。
【請求項7】
請求項1のポリオレフィン組成物により得られるバンパー。

【公表番号】特表2007−501869(P2007−501869A)
【公表日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522316(P2006−522316)
【出願日】平成16年8月3日(2004.8.3)
【国際出願番号】PCT/EP2004/008720
【国際公開番号】WO2005/014715
【国際公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(501468046)バセル ポリオレフィン イタリア エス.アール.エル. (33)
【住所又は居所原語表記】Via Pergolesi 25,20124 Milano,Italy
【Fターム(参考)】