説明

剥離構造

【課題】シートの引き剥がしを容易とすることができる剥離構造を提供する。
【解決手段】左フランジ部71に段差によって終点剥離促進部81を形成する。終点剥離促進部81は、始点剥離促進部73の山形部74側へ向けて張り出した凹形状の円弧状凹部94を備え、円弧状凹部間に、内側へ向けて突出した凸形状の三角部95を形成する。三角部95,95では、その形状に応じてシート101を凸形状に貼着し、フランジ63の内縁側に形成された三角部95が構成する凸形状の先端、すなわち円弧状凹部94が形成する凹形状の両端に、貼着面積の狭い昜剥離基点部を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貼着されたシートの剥離構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、容器体のフランジにシート状の蓋が接着された成型容器が知られており(例えば、特許文献1参照。)、前記蓋を剥離することで、容器体内の内容物を取り出せるように構成されている。
【0003】
この容器では、リング状に形成された前記フランジの外周端が波形状に形成されており、外周端より延出した蓋の一部を引き上げることによって、小さな力で前記蓋の剥離を開始できるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭63−218069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の剥離構造にあっては、前記蓋を最後まで剥離しようとすると、最終部分において、大きな貼着力が生ずる。
【0006】
これにより、蓋を引き剥がしにくいという問題があった。
【0007】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、シートの引き剥がしを容易とすることができる剥離構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために本発明の請求項1の剥離構造にあっては、貼着されたシートを貼着部分の一方から他方へ向けて剥離する剥離構造において、前記貼着部分の前記他方における前記一方側の縁側に凸形状又は凹形状に貼着された剥離促進部を設け、該剥離促進部を構成する前記凸形状の先端又は前記凹形状の両端に昜剥離起点部を設定した。
【0009】
すなわち、貼着されたシートを一方から他方へ向けて剥離すると、貼着部分の他方における前記一方側の縁側に、凸形状又は凹形状に貼着された剥離促進部が設けられており、この剥離促進部を構成する前記凸形状の先端又は前記凹形状の両端には、その部位のみが貼着された昜剥離起点部が設定されている。
【0010】
このため、前記シートの剥離がこの剥離促進部に到達した際には、前記剥離促進部の前記昜剥離起点部から剥離が促進される。これにより、前記他方における前記一方側の縁側が線状に形成された場合と比較して、貼着力の増大が抑えられ、シートの剥離が容易に行われる。
【0011】
また、請求項2の剥離構造においては、矩形リング状のフランジに貼着されたシートを、前記フランジの一縁部又は他縁部からその逆側へ向けて剥離する剥離構造であって、前記フランジの前記一縁部の外縁側に凸形状又は凹形状の始点剥離促進部を形成し、該始点剥離促進部を構成する前記凸形状の先端又は前記凹形状の両端に昜剥離起点部を設定するとともに、前記フランジの前記一縁部における内縁側に凸形状又は凹形状の終点剥離促進部を形成し、該終点剥離促進部を構成する前記凸形状の先端又は前記凹形状の両端に昜剥離起点部を設定する一方、前記フランジの前記他縁部の外縁側に凸形状又は凹形状の始点剥離促進部を形成し、該始点剥離促進部を構成する前記凸形状の先端又は前記凹形状の両端に昜剥離起点部を設定するとともに、前記フランジの前記他縁部における内縁側に凸形状又は凹形状の終点剥離促進部を形成し、該終点剥離促進部を構成する前記凸形状の先端又は前記凹形状の両端に昜剥離起点部を設定した。
【0012】
すなわち、矩形リング状のフランジに貼着されたシートが前記フランジの一縁部又は他縁部からその逆側へ向けて剥離される構造において、前記フランジの前記一縁部の外縁側には、凸形状又は凹形状の始点剥離促進部が形成されており、該始点剥離促進部を構成する前記凸形状の先端又は前記凹形状の両端には、その部位のみにシートが貼着されてなる昜剥離起点部が設定されている。
【0013】
このため、前記フランジの一縁部からシートの剥離を開始した場合、前記始点剥離促進部の前記昜剥離起点部から剥離が促進される。これにより、前記一縁部の外縁側が線状に形成された場合と比較して、貼着力の増大が抑えられ、シートの剥離開始が容易に行われる。
【0014】
そして、前記フランジの前記他縁部における内縁側には、凸形状又は凹形状の終点剥離促進部が形成されており、該終点剥離促進部を構成する前記凸形状の先端又は前記凹形状の両端には、その部位のみにシートが貼着されてなる昜剥離起点部が設定されている。
【0015】
このため、前記シートの剥離がこの終点剥離促進部に到達した際には、前記昜剥離起点部から剥離が促進される。これにより、前記他縁部における内縁側が線状に形成された場合と比較して、貼着力の増大が抑えられ、シートの剥離が容易に行われる。
【0016】
一方、前記フランジの前記他縁部の外縁側には、凸形状又は凹形状の始点剥離促進部が形成されており、該始点剥離促進部を構成する前記凸形状の先端又は前記凹形状の両端には、その部位のみにシートが貼着されてなる昜剥離起点部が設定されている。
【0017】
このため、前記シートを前記フランジの前記他縁部から剥離開始した場合、前記昜剥離起点部から剥離が促進される。これにより、前記他縁部の外縁側が線状に形成された場合と比較して、貼着力の増大が抑えられ、シートの剥離の開始が容易に行われる。
【0018】
そして、前記フランジの前記一縁部における内縁側には、凸形状又は凹形状の終点剥離促進部を形成されており、該終点剥離促進部を構成する前記凸形状の先端又は前記凹形状の両端には、その部分にシートが貼着されてなる昜剥離起点部が設定されている。
【0019】
このため、前記シートの剥離がこの終点剥離促進部に到達した際には、前記剥離促進部の前記昜剥離起点部から剥離が促進される。これにより、前記一縁部における内縁側が線状に形成された場合と比較して、シートの剥離が容易に行われる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように本発明の請求項1の剥離構造にあっては、シートを一方から他方へ向けて剥離し、当該シートの剥離が前記剥離促進部に到達した際には、前記剥離促進部の前記昜剥離起点部から剥離を促進することができる。
【0021】
これにより、前記他方における前記一方側の縁側が線状に形成され最終部分において大きな貼着力が生ずる従来と比較して、貼着力を抑えることができ、シートの剥離が容易となり、シートの引き剥がしを容易に行うことができる。
【0022】
したがって、最終剥離部分において、前記シートが裂けてたり、破れたりして、引き剥がしたシートの小片が残存するといった問題を解消し、シートを綺麗に剥がすことができる。
【0023】
また、請求項2の剥離構造においては、シートを一縁部又は他縁部のいずれかから剥離する場合であっても、フランジに設けられた始点剥離促進部及び終点剥離促進部によって、剥離開始時及び剥離終了時において、シートの剥離を容易に行うことができる。
【0024】
したがって、剥離開始部分や剥離終了部分において、前記シートが裂けてたり、破れたりして、引き剥がしたシートの小片が残存するといった問題を解消し、シートを綺麗に剥がすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第一の実施の形態を示す図である。
【図2】同実施の形態の側面及び底面を示す要部断面図である。
【図3】同実施の形態の要部を示す拡大図である。
【図4】同実施の形態の中蓋部を示す図である。
【図5】本発明の第二の実施の形態の要部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(第一の実施の形態)
【0027】
以下、本発明の第一の実施の形態を図に従って説明する。
【0028】
図1は、本実施の形態にかかる剥離構造1を備えた揮散器2を示す図であり、該揮散器2は、液状薬剤3を揮散するものである。
【0029】
この液状薬剤3としては、芳香剤、消臭剤、防虫剤、殺虫剤、忌避剤等が挙げられ、本実施の形態では、前記液状薬剤3が芳香剤で構成された場合を例に挙げて説明する。
【0030】
この揮散器2は、内側を構成する内側構成部11と、外側を構成する外側構成部12とによって構成されている。
【0031】
前記外側構成部12は、矩形容器状に形成された紙箱21によって構成されており、前記内側構成部11を、当該外側構成部12内に収容した状態で隠蔽できるように構成されている。該外側構成部12の天面22には、複数の長穴が並設されており(図示省略)、これらの長穴によって前記揮散した液状薬剤3を放出する放出部が構成されている。そして、前記外側構成部12の側面には、引き抜き穴23が開設されている。
【0032】
前記内側構成部11は、図1及び図2にも示すように、前記液状薬剤3が収容された収容部31と、該収容部31の上面開口部を閉鎖する中蓋部32と、前記収容部31の上部に装着された上カバー33とを備えている。
【0033】
前記中蓋部32は、図3にも示したように、横長の長方形状に形成された板状部材によって構成されており、その周縁部は、上方へ向けて起立した後、側方へ向けて延出した支持片35が全周に渡って形成されている。
【0034】
この中蓋部32は、中央部へ向かうに従って下方へ傾斜するように構成されており、その中央部には、矩形状の挿通穴41が開設されている。該挿通穴41の一辺には、円弧状に後退した円弧部42が形成されており、この挿通穴41の開口縁部からは、矩形状の筒部43が下方へ向けて延出している。該筒部43には、前記収容部31内の前記液状薬剤3を吸い上げるための四角柱状の吸上芯44が挿通されており(図1及び図2参照)、当該吸上芯44は、その上端部が前記挿通穴41を介して、上方へ突出するように構成されている。
【0035】
前記収容部31は、図1及び図2に示したように、横長の長方形状に形成された底面51と、該底面51の前縁より起立した前壁面52と、前記底面51の後縁より起立した後壁面53と、前記底面51の左縁より起立した左壁面54と、前記底面51の右縁より起立した右壁面55とによって矩形容器状に形成されている。前記底面51には、L字状の突出部56,・・・が中心部を包囲するように四ヶ所に形成されており(図2参照)、四角柱状に形成された前記吸上芯44の下端部を保持できるように構成されている。
【0036】
前記各壁面52〜55の上部には、外側に延出した段部61が形成されており、該段部61に前記中蓋部32周縁の前記支持片35を載置した状態で、当該中蓋部32を支持できるように構成されている。この段部61の外周縁には、上方へ向けて延出した大径部62が形成されており、該大径部62の上縁からは、側方に延出したフランジ63が全周に渡って矩形ロ字状に形成されている。
【0037】
前記左壁面54より延出したフランジ63部分を構成する左フランジ部71と、前記右壁面55より延出したフランジ63部分を構成する右フランジ部72とには、図4に示すように(左フランジ部71のみ図示)、側方に延出する波形状の始点剥離促進部73が中央部に形成されている。各始点剥離促進部73は、三つの凸形状の山形部74,・・・からなり、各山形部74,・・・の間には、内側に円弧状に後退した凹形状の後退部75,75が形成されている。
【0038】
この始点剥離促進部73の内側には、波形状の終点剥離促進部81が形成されており、該終点剥離促進部81は、前記フランジ63に形成された段差部によって構成されている。
【0039】
すなわち、前記フランジ63は、外周部を構成する厚肉部91と、内周部を構成する薄肉部92とによって構成されており、前記フランジ63の内周部には、前記厚肉部91で構成された外周部より一段低い下段部93が形成されている。
【0040】
該下段部93は、前記始点剥離促進部73の前記山形部74,・・・に対応する部位が外方へ向けて円弧状に張り出しており、凹形状の円弧状凹部94,・・・が形成されている。各円弧状凹部94,・・・の間には、内側へ向けて突出した三角形の凸形状をした三角部95,95が形成されており、当該三角部95,95は、前記下段部93より高い上段部96によって形成されている。
【0041】
このフランジ63の前記上段部96には、図1に示したように、アルミ状のシート101の周縁が剥離可能に熱溶着されており、該シート101によって前記収容部31の上部開口部が閉鎖されている。これにより、前記中蓋部32より延出する前記吸上芯44で吸い上げられた前記液状薬剤3が揮散しないように構成されている。
【0042】
前記シート101は、図4に示したように、前記フランジ63に形成された前記上段部96に溶着されており、当該上段部96上面が溶着範囲105が設定されている(図4中、溶着範囲105を網掛けで図示)。
【0043】
これにより、前記左フランジ部71及び右フランジ部72の前記始点剥離促進部73における前記山形部74,・・・において、前記シート101は凸形状に溶着されており、フランジ63の外縁側に形成された当該山形部74,・・・が構成する凸形状の先端、すなわち前記後退部75,75が形成する凹形状の両端には、貼着面積の狭い昜剥離基点部が設定されている。
【0044】
また、前記終点剥離促進部81における前記三角部95,95において、前記シート101は凸形状に溶着されており、前記フランジ63の内縁側に形成された当該三角部95,95が構成する凸形状の先端、すなわち前記各円弧状凹部94,・・・が形成する凹形状の両端には、貼着面積の狭い昜剥離基点部が設定されている。
【0045】
このシート101は、図1及び図4に示したように、前記フランジ63に溶着されたシート本体111と、該シート本体111の一縁より折り返された折返し部112とによって構成されている。
【0046】
前記シート本体111は、先端縁部が前記収容部31の前記左フランジ部72に溶着されており、その側縁が前記前壁面52より延出したフランジ63部分を構成する前フランジ部121及び前記後壁面53より延出したフランジ63部分を構成する後フランジ部122に溶着されている。そして、その折返し部分が前記右フランジ部72に溶着されており、当該シート本体111で前記収容部31の上部開口部を閉鎖するように構成されている。
【0047】
前記右フランジ部72に溶着された前記シート本体111からは、前記折返し部112が延出しており、該折返し部112は、前記シート本体111上に折り返されるように構成されている。この折返し部112は、前記シート本体111より幅狭の細長に形成されており、当該折返し部112の先端部は、前記収容部31の前記左フランジ部71より延出する長さ寸法に設定されている。この延出部分は、前記外側構成部12の側面に設けられた前記引き抜き穴23より側方へ延出するように構成されている。
【0048】
これにより、当該揮散器2を使用する際には、前記外側構成部12の前記引き抜き穴23より延出した前記シート101の前記折返し部112を引っ張ることで、前記フランジ63に溶着された前記シート本体111を折返し部分側の前記右フランジ部72から前記左フランジ部71までの全域に渡って剥離できるように構成されており、剥離されたシート101を前記外側構成部12の前記引き抜き穴23から引き抜けるように構成されている。
【0049】
このとき、前記シート101の引っ張り開始時には、当該シート101の剥離位置が前記山形部74の先端部分に到達する。すると、その剥離力が先端部分のみに作用するため、小さな力で前記シート101の剥離を開始することができる。そして、剥離開始後において、前記シート101を引っ張る力は前記山形部74の斜面に対して斜めに入力される。このため、小さな力で前記シート101の剥離を継続することができる。
【0050】
一方、前記上カバー33は、下方へ向けて開口した矩形容器状に形成されており、該上カバー33内には、揮散体201が収容されている。
【0051】
該揮散体201は、前記吸上芯44で吸い上げられた前記液状薬剤3を吸収して揮散するものであり、フェルト等によって長方形板状に形成されている。該揮散体201は、縦置きにした状態で使用されるように構成されており、縦置き状態において、側面の一部を構成する上縁202は、その左右部分が中央へ向かうに従って上方へ突出した円弧状に形成され、当該上縁202の中央部は水平に形成されている。また、前記揮散体201の側面の一部を構成する下縁203は、その左右部分が中央へ向かうに従って下方へ突出した円弧状に形成されており、当該下縁203の中央部は水平に形成されている。
【0052】
これにより、当該揮散体201は、前記吸上芯44との接触部分である中央部へ向かうに従って下方へ突出する突出形状に形成されている。
【0053】
また、この揮散体201は、前記収容部31の左右方向に沿って延在するように配置されている。これにより、当該揮散体201の長さ方向Lと前記シート101の引き抜き方向211とが同方向になるように設定されている。
【0054】
前記上カバー33は、横長の長方形状の天面301と、該天面301の前縁より下方へ向けて延出した前側面302と、前記天面301の後縁より下方へ向けて延出した後側面303と、前記天面301の左縁より下方へ向けて延出した左側面304と、前記天面301の右縁より下方へ向けて延出した右側面305とを備えている。前記各側面302〜305の下縁には、側方へ向けて延出するカバーフランジ306が一体形成されており、該カバーフランジ306の周縁からは、外嵌部307が下方へ向けて延出している。
【0055】
これにより、当該上カバー33を前記収容部31にセットした際には、前記外嵌部307が前記収容部31の上部に外嵌した状態で、前記カバーフランジ306が前記収容部31の前記フランジ63に載置された状態で支持されるように構成されている。
【0056】
前記前側面302及び前記後側面303の中央部には、上下方向に延在する凹溝311,311が形成されており、該凹溝311,311の奥行寸法は、前記カバーフランジ306の幅寸法と同寸法に設定されている。
【0057】
前記前側面302及び前記後側面303の内側面からは、図2に示しように、中心方向へ向かって延出する板状の支持片321,・・・がそれぞれ二箇所に設けられており、両面より延出した支持片321,・・・は、対向するように構成されている。対向した支持片321,321間には、間隙が形成されており、この間隙に前記揮散体201を縦置きにした状態で落下自在に保持できるように構成されている。
【0058】
これにより、当該上カバー33内は、前記各支持片321,・・・と前記左側面304及び前記右側面305とによって前記揮散体201が落下自在に保持されており、当該揮散体201は、前記中蓋部32に設けられた前記シート101によって下方から支持されている。また、この支持状態において、前記揮散体201は、前記吸上芯44の真上に位置決めされるように構成されており、前記シート101を引き抜いた際には、図1の下図に示すように、前記揮散体201が前記吸上芯44上に落下するとともに、下方へ突出した前記下縁203の中央部が前記吸上芯44と接するように構成されている。
【0059】
これにより、前記揮散体201と前記吸上芯44とが接続された状態では、該吸上芯44で吸い上げられた前記液状薬剤3が前記揮散体201を介して揮散するように構成されており、その際に、当該揮散体201の厚み方向331側を構成する前面332及び後面333の両面が揮散面として利用されるように構成されている。
【0060】
そして、前記上カバー33の前記天面301には、矩形状の開口部341が開設されており、前記揮散体201より揮散した液状薬剤3を放出する為の放出口が形成されている。また、前記上カバー33の前記左側面304及び右側面305より延出した前記カバーフランジ306の部位には、矩形状の切欠部342,342が形成されており、図2に示したように、前記左側面304及び右側面305には、M字状に開口するM字状切欠部345,345が設けられ、揮散した前記液状薬剤3を放出できるように構成されている。
【0061】
以上の構成にかかる本実施において、この揮散器2を使用する際には、シート101で支持された揮散体201を吸上芯44上に落下させ、吸上芯44で吸い上げた液状薬剤3を揮散体201から揮散するために、当該揮散器2から前記シート101を引き抜く。
【0062】
具体的に説明すると、外側構成部12の引き抜き穴23より延出した前記シート101の折返し部112を引っ張る。すると、前記フランジ63に溶着された前記シート本体111の折返し部分が引っ張られ、当該シート本体111は、前記フランジ63の奥側に位置する右フランジ部72側から剥離される。
【0063】
このとき、該右フランジ部72には、外方へ延出する波形状の始点剥離促進部73が中央部に形成されており、該始点剥離促進部73は、三つの凸形状の山形部74,・・・、及び各山形部74,・・・の間に形成されれた凹形状の後退部75,75により形成されている。
【0064】
そして、前記山形部74,・・・では、当該山形部74形状に応じて前記シート101が凸形状に溶着されており、前記フランジ63の外縁側に形成された当該山形部74,・・・が構成する凸形状の先端、すなわち前記後退部75,75が形成する凹形状の両端には、貼着面積の狭い昜剥離基点部が設定されている。
【0065】
このため、前記右フランジ部72の縁部から前記シート本体111の剥離を開始する際には、前記始点剥離促進部73の前記昜剥離起点部から剥離を促進することができる。
【0066】
これにより、前記右フランジ部72の外縁側が直線状に形成された場合と比較して、貼着力の増大を抑え、前記シート本体111の剥離開始を小さな力で行うことができ、シート101の引き剥がしを容易に行うことができる。
【0067】
したがって、剥離開始部分において、前記シート本体111が裂けてたり、破れたりして、引き剥がしたシート本体111の小片が残存するといった問題を解消し、シート101を綺麗に剥がすことができる。
【0068】
前記右フランジ部72より剥離された前記シート本体111は、その両側部が前記右フランジ部72側から左フランジ部71側へ向かって前フランジ部121及び後フランジ部122から剥離され、その剥離部分が前記左フランジ部71に到達する。
【0069】
このとき、この左フランジ部71には、波形状の終点剥離促進部81が前記フランジ63に形成された段差によって構成されている。この終点剥離促進部81は、前記始点剥離促進部73の前記山形部74,・・・側へ向けて円弧状に張り出した凹形状の円弧状凹部94,・・・を備えてなり、各円弧状凹部94,・・・の間には、内側へ向けて突出した凸形状の三角部95,95が、下段部93より高い上段部96によって形成されている。
【0070】
そして、この三角部95,95では、当該三角部95形状に応じて前記シート101が凸形状に溶着されており、前記フランジ63の内縁側に形成された当該三角部95,95が構成する凸形状の先端、すなわち前記各円弧状凹部94,・・・が形成する凹形状の両端には、貼着面積の狭い昜剥離基点部が設定されている。
【0071】
このため、前記左フランジ部71の内縁側から前記シート本体111の剥離する際には、前記終点剥離促進部81の前記昜剥離起点部から剥離を促進することができる。
【0072】
これにより、前記左フランジ部71の内縁側が直線状に形成された場合と比較して、貼着力の増大を抑え、前記シート本体111の剥離を小さな力で行うことができ、シート101の引き剥がしを容易に行うことができる。
【0073】
したがって、剥離終了部分において、前記シート本体111が裂けてたり、破れたりして、引き剥がしたシート本体111の小片が残存するといった問題を解消し、シート101を綺麗に剥がすことができる。
【0074】
そして、前記始点剥離促進部73及び前記終点剥離促進部81は、前記左フランジ部71及び前記右フランジ部72の両側に設けられており、前記シート101を、前記左フランジ部71側又は前記右フランジ部72側のいずれの方向へ向けて剥離する場合であっても、シート101の剥離を容易に行うことができる。このため、製造時において、前記シート101の向きを考慮することなく、当該シート101を前記フランジ63に貼り付けることができる。
【0075】
したがって、シート貼り付け時に方向性を有する場合と比較して、製造プロセスの簡素化を図ることができる。
【0076】
なお、本実施の形態では、本願発明の剥離構造1を揮散器2に利用した場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものでは無く、リング状に貼着されたシートを剥離するものであれば、どのような構造にも応用することができる。
【0077】
なお、本実施の形態では、前記収容部31の前記フランジ63に溶着された前記シート101が、その全域に渡って剥離される場合に付いて説明したが、これに限定されるものではない。
【0078】
(第二の実施の形態)
【0079】
図5は、第二の実施の形態を示す図であり、前述した第一の実施の形態と同一又は同等部分に付いては、同符号を付して説明を割愛するとともに、異なる部分に付いてのみ説明する。
【0080】
すなわち、前記収容部31のフランジ63に溶着されたシート101には、直線カット性フィルムが使用されている。
【0081】
この直線カット性フィルムは、引き裂かれる方向が定められており、前記引き抜き方向211に対して直交する方向への引き裂きのみが許容されるように構成されている。
【0082】
このため、前記外側構成部12の引き抜き穴23より延出した前記シート101の折返し部112を前記引き抜き方向211へ引っ張ると、当該シート101は、右フランジ部72の始点剥離促進部73の両端部から左フランジ部71の始点剥離促進部73の対応する端部へ向けて切断線201,201が形成されるように構成されている。
【0083】
これにより、このシート101は、前記右フランジ部72の始点剥離促進部73から前記左フランジ部71の始点剥離促進部73に渡って直線状に剥離されるように構成されており、当該シート101は、図5中右方に示したように、前フランジ部121及び後フランジ部122に溶着された長さ方向両側部を残存して、その中央部のみが剥離されるように構成されている。
【0084】
このような構成であっても、前述と同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0085】
1 剥離構造
2 揮散器
63 フランジ
73 始点剥離促進部
81 終点剥離促進部
105 溶着範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貼着されたシートを貼着部分の一方から他方へ向けて剥離する剥離構造において、
前記貼着部分の前記他方における前記一方側の縁側に凸形状又は凹形状に貼着された剥離促進部を設け、該剥離促進部を構成する前記凸形状の先端又は前記凹形状の両端に昜剥離起点部を設定したことを特徴とする剥離構造。
【請求項2】
矩形リング状のフランジに貼着されたシートを、前記フランジの一縁部又は他縁部からその逆側へ向けて剥離する剥離構造であって、
前記フランジの前記一縁部の外縁側に凸形状又は凹形状の始点剥離促進部を形成し、該始点剥離促進部を構成する前記凸形状の先端又は前記凹形状の両端に昜剥離起点部を設定するとともに、前記フランジの前記一縁部における内縁側に凸形状又は凹形状の終点剥離促進部を形成し、該終点剥離促進部を構成する前記凸形状の先端又は前記凹形状の両端に昜剥離起点部を設定する一方、
前記フランジの前記他縁部の外縁側に凸形状又は凹形状の始点剥離促進部を形成し、該始点剥離促進部を構成する前記凸形状の先端又は前記凹形状の両端に昜剥離起点部を設定するとともに、前記フランジの前記他縁部における内縁側に凸形状又は凹形状の終点剥離促進部を形成し、該終点剥離促進部を構成する前記凸形状の先端又は前記凹形状の両端に昜剥離起点部を設定したことを特徴とする剥離構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−100124(P2013−100124A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245104(P2011−245104)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(000102544)エステー株式会社 (127)
【Fターム(参考)】