説明

加硫可能なコポリマー半導電性シールド組成物

エチレン/オクタンまたはブテンコポリマーおよび少なくとも1つの追加ポリマー、例えばLDPEを含む半導電性組成物または絶縁体組成物が記載される。この組成物はまた、カーボンブラックおよび他の添加剤を含んでいてもよい。組成物は、電気ケーブルのような用途において半導電性層として使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力ケーブルにおける半導電性導体シールドの調製に有用な加硫可能なコポリマー組成物、ならびにこの組成物を利用する半導電性導体シールドおよび電力ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
典型的な絶縁された電力ケーブルは、一般に、内側半導電性シールド層(導体またはストランドシールド)、絶縁層、外側半導電性シールド層(絶縁シールド)、地絡相として使用される金属性ワイアまたはテープシールド、および保護ジャケットを含むいくつかのポリマー性材料の層によって囲まれたケーブル伝導性芯線に導体を含む。湿分不透過性材料のようなさらなる層が、こうした構成内に組み込まれることが多い。本発明は、内側半導電性シールド層、すなわち導体シールドに関する。
【0003】
半導電性シールドは、ケーブル導体および絶縁体のためのシールドとして、長年にわたって電力ケーブル中に使用されている。導体シールドは、通常、ケーブル導体上にわたって押し出され、電力ケーブル中の導体とケーブル絶縁体との間の中間の伝導性を有する層を提供する。これらの導体シールドのための従来の組成物は、組成物に伝導性を与えるためにカーボンブラックがコンパウンドされたベースポリマーを組成物の優位な構成成分として含み、種々の添加剤を含む場合もある。
【0004】
本発明は、電力ケーブルのような電気伝導体に使用するための半導電性シールド、および特に、既知の半導電性導体および結合された絶縁体シールドに比べて改善された物理的特性および処理性を示す、加硫可能な半導電性導体または結合された絶縁体シールド組成物に関する。
【0005】
電気伝導体を遮蔽するために使用される半導電性シールドは、通常、種々のファーネスタイプのカーボンブラック、例えばASTM N−472またはCabotXC72(登録商標)タイプの等級のカーボンブラックを、エチレンコポリマー樹脂ベース中に分散させることによって形成される。これらのファーネスブラックは、多くの場合、ポリマー中での分散特徴が劣り、高いレベルでのイオン性の汚染物質となる。結果として、ケーブルのシールド/誘電体界面において突起および汚染物質が生じ、電界中の応力勾配が増大する。水およびイオンの絶縁体への移動を伴うこうした電界増強は、水トリーの形成を導き、続いて誘電破壊および早期のケーブル欠陥を導くことがある。
【0006】
他の市販の高性能半導電性シールド組成物は、他のタイプのカーボンブラック、例えばアセチレンブラック、およびエチレン/エチルアクリレートコポリマー、エチレン/ビニルアセテートコポリマー、エチレン/ブチルアクリレートコポリマーまたはこれら材料とポリエチレンとのブレンドを含有する。これらの材料は、通常、含有するイオン性汚染のレベルが低く、良好な分散および非常に平滑な押し出し表面を示す。こうしたシールド組成物は、適度な伝導性を達成するために必要とされる高いカーボンブラック充填量のために高い粘度を有するので、ケーブル押し出し設備を摩耗および/または腐食する。この損耗により、押し出しケーブル表面および界面が劣り、こうしてシールドの電気性能特性が低下する。
【0007】
半導電性シールド組成物を改善するための取り組みがなされてきた。エチレン/ビニルアセテートコポリマー、アセチレンカーボンブラックおよび有機過酸化物架橋剤を含む高性能の半導電性導体シールド組成物は、これらの用途のために使用されることが多い。しかし、ビニルアセテート樹脂は、それらが銅導体に対して腐食性であるため、アルミニウム導体についてのみ使用可能である。さらに、エチレン/ビニルアセテート樹脂と組み合わせたアセチレンブラックの高い充填量は、押し出し機において酸の形成をもたらし、これが次いで押し出しダイ工具を腐食および摩耗し、経時的にケーブル寸法変動をもたらす。
【0008】
電力ケーブル中の導体と絶縁体との間の半導電性導体シールドの主な目的は、一次絶縁の長期間実行可能性を確実にすることである。コストと性能とのバランスをとる改善された半導電性導体シールド組成物が常に必要とされている。
【0009】
リード等(Reid et al.)による米国特許第6,086,792号明細書には、オレフィン系ポリマーおよび少なくとも29nmの粒径を有するカーボンブラックを含む半導電性組成物が開示されている。
【0010】
アシュティ等(Achetee et al.)による国際出願第01/40384号には、カーボンブラックおよび半導電性組成物が開示されており、このカーボンブラックが22〜39nmの粒径、約64〜約120mg/gのヨウ素価および約90%以下の着色強度を有する。
【0011】
サント(Sant)による米国特許第5,877,250号明細書には、カーボンブラックおよびカーボンブラックを含有するポリマーが開示され、ここでこのカーボンブラックは、20nm以下の粒径、64〜112mg/gのヨウ素価を有する。改善された処理性は、特定のカーボンブラックの使用によって付与されることが開示されているが、半導電性組成物を製造するためのこうしたカーボンブラックの使用は開示されていない。
【0012】
フレニケン(Flenniken)による米国特許第5,556,697号明細書(Flenniken‘697)には、エチレンを、C−C20のα−オレフィンから選択される少なくとも1つのコモノマーと重合することによって形成される線状のシングルサイト触媒化ポリマー;灰および硫黄を50ppm以下の量で含有するファーネスカーボンブラックから選択されるカーボンブラックを含有する加硫可能な半導電性シールド組成物が開示されている。Flenniken‘697にはさらに、エチレンビニルアセテートシランターポリマーを添加することが開示されている。これは、湿分の存在下で経時的に特定のカーボンブラックと反応および架橋するという不利益を有する。このため、化合物は軟質になり、ケーブル製造設備にて損傷および掻過し易い場合がある。さらなる不利益は、導体が高温に予備加熱できないことである。
【0013】
イースター(Easter)による米国特許第6,864,429号明細書には、加速水トリー試験(AWTT)および加速ケーブル寿命試験(ACLT)によって測定される場合に向上した電気的経年性能を有する半導電性シールド組成物が開示されている。本発明に使用されるカーボンブラックは、約15〜約22ナノメートル、好ましくは約18nm〜約21nmの粒径(ASTM D3849−89によって測定される場合)、約115mg/g〜約200mg/g、好ましくは約120mg/g〜約150mg/gのヨウ素価(ASTM D1510によって測定される場合)および約90cm3/100g〜約170cm3/100g、好ましくは約110cm3/100g〜約150cm3/100gのDBP吸油量(ASTM D2414)を有する。N110がこの範囲である。しかし、Easterはポリマーマトリックスの効果を開示していない。
【0014】
フレニケン(Flenniken)による米国特許第5,889,117号明細書には、エチレン/オクテンコポリマーおよび少なくとも1つの追加ポリマー、例えばエチレン/ビニルアセテートを含む半導電性組成物または絶縁体組成物が開示されている。組成物はまた、カーボンブラックおよび他の添加剤を含んでいてもよい。組成物は、電気ケーブルのような用途において半導電層または絶縁層として使用されてもよい。特許請求されたポリマー配合物のさらなる利点は、それらが良くブレンドされ、架橋されたポリエチレンに対する接着性が低いため、得られた製品の剥離性が増大し、継続されることである。こうした低下した接着性は、例えば接着されている他の組成物からのポリマー性組成物の剥離性を増大させるので、好ましい。例えば、電気ケーブルの場合、低下した接着性は、下層の絶縁材料からの半導電性シールドの剥離性を容易にでき、同時にピックオフを低下できる、すなわち下層に残るポリマー材料残渣の量を低減できる。Flenniken‘117には、改善されたAWTT性能は開示されていない。エチレン/ビニルアセテートはまた、エチレン/オクテンコポリマーと同じまたはそれ以上のコストがかかる高価なポリマーである。
【0015】
チェルクヴィスト等(Kjellqvist,et al.)による国際出願第2007/092454号には、(i)エチレンと4〜20個の炭素原子を有する不飽和エステルとの極性コポリマーから本質的になる第I相材料;(ii)非極性、低密度ポリエチレンから本質的になる第II相材料;および(iii)第I相材料および/または第II相材料に分散した伝導性充填剤材料であって、第I相および第II相材料の連続伝導ネットワークを生じるために必要な量以上であるのに十分な量である充填剤材料から製造されるポリマー複合体が開示されている。この発明はまた、ポリマー複合体から製造される物品を含む。これは、ポリマーコポリマーを有し、および十分良好な伝導ネットワークを有するように相の分散を制御しなければならないという不利益を有する。
【0016】
電力ケーブルのシールドとして使用されるポリマー組成物のさらなる例は、カワサキ等(Kawasaki et al.)による米国特許第4,612,139号明細書および同第4,305,846号明細書;ハン等(Han et al.)による米国特許第6,455,771号明細書;バーンズ(Burns, Jr.)による米国特許第4,857,232号明細書;およびロイド(Lloyd)による米国特許第3,849,333号明細書の開示に見出される。
【0017】
高価な伝導性カーボンブラックの使用を必要とせず、傷耐性があり、導体の予備加熱に耐えることができ、性能は電力ケーブルの製造におけるコストと常にバランスをとる必要があるので低コストのポリマーブレンドを使用するという、改善された性能を有する導体シールド材料を得るのが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0018】
高価な添加剤、複合ポリマー配合物、または特別に調製されたカーボンブラックを必要とせずに、改善された性能を有する導体シールド材料を提供することが本発明の目的である。本発明に従って製造された導体シールドおよび導体シールドを有するケーブルは、従来の高性能導体シールド組成物に比べて、加速水トリー試験(AWTT)およびインパルス試験によって実証されるように、経時的な優れた性能を示す。
【0019】
本発明は、改善された半導電性シールドが、特定の選択されたカーボンブラックを、チーグラナッタまたはフリーラジカル触媒化ポリエチレンと組み合わせた線状のシングルサイト触媒化エチレンポリマー中に分散させることによって形成できるという知見に基づく。本発明の目的は、(a)C−C20のαオレフィンからなる群から選択される少なくとも1つのコモノマーと重合されたエチレンを含む、線状のシングルサイト触媒化ポリマー、(b)低密度ポリエチレン(LDPE)および線状低密度ポリエチレン(LLDPE)およびこれらの混合物、(c)カーボンブラック、(c)酸化防止剤および(d)架橋剤を含む加硫可能な半導電性シールド組成物を提供する。
【0020】
本発明の組成物から製造される半導電性シールドは、既知の半導電性シールドに比べて、大きく改善された物理的特性、例えば低い水蒸気透過性および平滑な界面、ならびに良好な処理性を有する。加えて、半導電性シールド組成物は、押し出し設備を摩耗も腐食もしない。
【0021】
本発明のさらなる目的は、電力ケーブルの導体または絶縁体上にわたって組成物を押し出すことによって形成された電力ケーブルにおける導体または絶縁体のための半導電性シールド、および導体シールドとして組成物を使用して得られた電力ケーブルを提供することである。
【0022】
本発明は、低コストと改善された性能との両方を有する導体シールド材料を提供する。特に、本発明の組成物、本発明に従う導体シールドおよび導体シールドを用いて製造されたケーブルは、従来から利用可能な化合物を用いる導体シールド組成物に比べて、AWTT(加速された水トリー試験)値によって実証されるような経時的に優れた性能ならびに改善されたインパルス強度値を示す。
【0023】
本発明のさらなる目的は、(a)C−C20のαオレフィンからなる群から選択される少なくとも1つのコモノマーと重合されたエチレンを含む、線状のシングルサイト触媒化ポリマー;(b)ポリエチレン;(c)50ppm以下の量の灰、50ppm以下の量の硫黄を含有し、30Å以下の結晶寸法LおよびLを有するファーネスカーボンブラック、アセチレンカーボンブラック、およびASTM等級のN−351を有するファーネスカーボンブラックからなる群から選択されるカーボンブラックであって、このカーボンブラックが、約15nm〜約22nmの粒径を有し、約115mg/g〜約200mg/gのヨウ素価、および約90cm3/100g〜約170cm3/100gのDBP価を有するカーボンブラック;(d)酸化防止剤;および(e)架橋剤を含む加硫可能な半導電性シールド組成物を提供することである。
【0024】
本発明のなおさらなる目的は、本明細書に記載されるケーブルおよび半導電性材料を製造する方法を提供することである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、(a)C−C20のαオレフィンからなる群から選択される少なくとも1つのコモノマーと重合されたエチレンを含む、線状のシングルサイト触媒化ポリマー;(b)50ppm以下の量の灰、50ppm以下の量の硫黄を含有し、30Å以下の結晶寸法LおよびLを有するファーネスカーボンブラック、アセチレンカーボンブラック、およびASTM等級のN−351を有するファーネスカーボンブラックからなる群から選択されるカーボンブラックであって、このカーボンブラックが、約15nm〜約22nmの粒径を有し、約115mg/g〜約200mg/gのヨウ素価、および約90cm3/100g〜約170cm3/100gのDBP価を有するカーボンブラック;および(c)架橋剤を含む加硫可能な半導電性シールド組成物を提供する。
【0026】
アセチレンカーボンブラックに通常基づく既知の「スーパースムース・エクストラクリーン」(高性能)シールド組成物に比べて、本発明の半導電性シールド組成物は、種々のカーボンブラックを用いて、シールド/絶縁体界面にて等価な分散および平滑性を提供し、向上した物理的、電気的および処理特性を与えることを見出した。
【0027】
ポリオレフィン合成のために使用される従来のチーグラーナッタ触媒は、その表面に多くの反応性部位を含有する;反応性レベルは部位間で変動し、製造されたポリマーによって変動する。シングルサイト触媒も多くの部位を有するが、部位は同一である。これにより、ポリマーにおいて同じ分子配置および重量を厳密に複製することによって、強靭性のような所望の物理的特性が最大限となる樹脂を製造できる。結果は、従来の線状ポリエチレンよりも分子量分布(MWD)が狭い樹脂である。これらは、実験室用の押し出しにおいて平滑であるように見えるが、より高速の押し出し速度では処理が困難であるか、またはいわゆる溶融破砕またはサメ肌を生じる場合がある。製造されるポリマーが変動を有するポリオレフィン用に使用される従来のチーグラナッタ触媒は、より広い分子配置および分子量を有し、より平滑な押し出し物を与える。しかし、それらは、可撓性に劣り、組成物をケーブル中に使用するのに十分伝導性にするのに必要な多量のカーボンブラック充填剤を許容できない。従来のチーグラナッタの線状低密度ポリエチレン(LLDPE)ホモポリマー、フリーラジカル低密度ポリエチレン(LDPE)コポリマーおよびVLDPEポリマーは、多数のポリマー会社から長年にわたって製造されているものであり、当該技術分野において非常によく知られている。
【0028】
有用な線状のシングルサイト(メタロセンとも呼ばれる)触媒化エチレンポリマーは、米国特許第5,246,783号明細書に開示されており、その開示全体は参照により本明細書に組み込まれる。好ましいポリマーは、C−C20のαオレフィンから選択される少なくとも1つのコモノマーと重合されたエチレンを含む線状のシングルサイト触媒化ポリマーである。線状のシングルサイト触媒化ポリマーは、市販されており、本発明を実施する際に有用となるように特別な改質を必要としない。
【0029】
有用なポリマーの例としては、線状のシングルサイト触媒化エチレン/ブテン−1コポリマー、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/ヘキセン−1コポリマー、エチレン/オクテン−1コポリマー、エチレン/プロピレン/1,4−ヘキサジエンターポリマー、およびエチレン/ブテン−l/l,4−ヘキサジエンターポリマーが挙げられる。エチレン/ブテンコポリマー、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/オクテンコポリマー、およびエチレン/ヘキセンコポリマーが最も好ましい。高いαオレフィンは、改善された物理的特性を提供する傾向がある。
【0030】
ポリマーコポリマー(またはカルボキシレート)の例としては、ビニルアセテート、ビニルブチレート、ビニルピバレート、ビニルネオノナノエート、ビニルネオデカノエート、およびビニル2−エチルヘキサノエートが挙げられる。ビニルアセテートが好ましい。アクリル酸およびメタクリル酸エステルの例としては、ラウリルメタクリレート;ミリスチルメタクリレート;パルミチルメタクリレート;ステアリルメタクリレート;3−メタクリロキシ−プロピルトリメトキシシラン;3−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン;シクロヘキシルメタクリレート;n−ヘキシルメタクリレート;イソデシルメタクリレート;2−メトキシエチルメタクリレート;テトラヒドロフルフリルメタクリレート;オクチルメタクリレート;2−フェノキシエチルメタクリレート;イソボルニルメタクリレート;イソオクチルメタクリレート;オクチルメタクリレート;イソオクチルメタクリレート;オレイルメタクリレート;エチルアクリレート;メチルアクリレート;t−ブチルアクリレート;n−ブチルアクリレート;および2−エチルヘキシルアクリレートが挙げられる。メチルアクリレート、エチルアクリレート、およびn−またはt−ブチルアクリレートが好ましい。アルキル基は、例えばオキシアルキルトリアルコキシシランで置換されてもよい。
【0031】
線状のシングルサイト触媒化ポリマーは、好ましくは約0.9g/cm3の密度を有するが、広範囲の密度を有するポリマーがコスト制限に応じて使用されてもよい。ポリマーは、好ましくは約30,000〜約70,000の重量平均分子量を有する。最も好ましくはポリマーは、約42,500の重量平均分子量、約20,000の数平均分子量、および約66,700のZ平均分子量を有する。ポリマーは、好ましくは約1.8〜約2.5、最も好ましくは約2.15の多分散性を有する。
【0032】
線状のシングルサイト触媒化ポリマーの狭い分子量分布(多分散性)および狭い組成分布が、特定のカーボンブラックと組み合わせた場合に、樹脂ベースの特異な性能に寄与する。「組成分布」とは、ポリマー分子間のコモノマー分布を指し、結晶性、ヘキサン抽出性、強靭性、および充填剤許容性に直接関連する。選択されたシングルサイト触媒化樹脂は、狭い組成分布を有し、すなわちすべてのポリマー分子(鎖)は、鎖の分子量に拘わらず、樹脂サンプル全体を通して同じコモノマー含有量を有する傾向にある。
【0033】
選択されたシングルサイト触媒化樹脂は、典型的な線状低密度ポリエチレン(LLDPE)ホモポリマー、低密度ポリエチレン(LDPE)コポリマーおよびVLDPEポリマーよりも優れた物理的特性を実証する。
【0034】
線状のシングルサイト触媒化ポリマーは、好ましくは、配合物全体に対して約50〜約70重量%の量にて、半導電性シールド組成物中に存在する。シールドの最終組成物は、以下に記載されるように、樹脂に添加される他の構成成分の量に依存する。
【0035】
本発明において、市販の従来のカーボンブラックがポリマー組成物に添加され、半導電性特性を組成物に付与する。こうした市販の従来のカーボンブラックを使用して、改善されたAWTT結果を達成できることが、本発明の利点である。ポリマーに添加されるカーボンブラックは、種々の市販されている従来のカーボンブラックの1つであってもよく、微細に分割された炭素、例えばランプブラック、ファーネスブラック、またはアセチレンブラック、すなわちアセチレンの熱分解によって製造されるカーボンブラックが含まれる。ケッチェンブラックが、本発明の組成物に使用されてもよく、ならびにASTM D1765 98bに記載される多くの市販のカーボンブラック等級、例えばN293およびN550が使用されてもよい。ASTM等級N−351を有するファーネスカーボンブラックは、従来の硫黄および灰レベルを含有し、さらにまた本発明に従って問題なく使用されているが、それらの清浄度(低イオン性)は、上述の低硫黄/灰のファーネスブラックに等価でない。アセチレンカーボンブラックも、線状のシングルサイト触媒化ポリマーと組み合わせた場合に、物理的特性および処理性を予測できない程度に改善することも見出した。約15nm〜約22nmの粒径、約115mg/g〜約200mg/gのヨウ素価、および約90cm3/100g〜約170cm3/100gのDBP価を有するカーボンブラックが本発明で使用できる。好ましくは、カーボンブラックダストに関連する問題を避けるために、カーボンブラックはペレット化されるが、非ペレット化されたカーボンブラック、例えばその綿毛状形態が使用されてもよく、同様の成功を伴う。カーボンブラックは、一般に、ポリマー組成物の約0.1重量%〜約65重量%の量で組成物中に存在する。好ましくは、カーボンブラックは、組成物の総重量に基づいて約10重量%〜約50重量%の量で存在する。50ppm以下の量で灰、50ppm以下の量の硫黄、30Å以下の結晶寸法LおよびLを有するファーネスカーボンブラックは、線状のシングルサイト触媒化ポリマー中に容易に分散可能であり、電力ケーブルの絶縁層との極めて平滑な界面を与える。その表面積が小さいために、このタイプのカーボンブラックは、典型的なファーネスブラック、例えばP−タイプおよびN−472 ASTM等級ブラックより低い伝導性を有する;しかし、このタイプのカーボンブラックはまた、強化性が劣る。故に、樹脂中に高いレベルのカーボンブラックを分散させながら、優れた物理的特性を有する低粘度のシールド組成物が提供され得る。高いカーボンブラック充填量(約30〜45重量%)は、最も好ましくはシールドが適切な電気伝導性を示すために必要である。
【0036】
多数の化合物が、半導電性シールド組成物中の添加剤として使用するために提案されている。通常、これらの化合物は、酸化防止剤、硬化剤、加硫化剤、架橋剤、促進剤および遅延剤、処理補助剤、顔料、染料、着色剤、充填剤、カップリング剤、紫外線吸収剤または安定化剤、帯電防止剤、核形成剤、スリップ剤、可塑剤、潤滑剤、粘度制御剤、粘着付与剤、ブロッキング防止剤、界面活性剤、エクステンダー油、酸スカベンジャー、および金属不活性化剤に分類される。処理補助剤は均質ブレンドおよび粘度低下を達成するためには必要ないが、金属ステアレートまたは塩、ポリシロキサンおよび/またはポリエチレングリコール(約10,000〜約30,000の分子量)は、本発明の製品に組み込まれて、これらの特性をさらに向上させてもよい。存在する場合、処理助剤は、一般に半導電性シールド組成物の総重量に基づいて、約0.1〜約5.0重量%の量で使用される。
【0037】
酸化防止剤の非限定例としては:ヒンダードフェノール、例えばテトラキス[メチレン(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロ−シンナメート)]メタン;ビス[(β−(3,5−ジtert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−メチルカルボキシエチル)]スルフィド、4,4’−チオビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−tert−ブチル−5−メチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、およびチオジエチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ)ヒドロシンナメート;ホスファイトおよびホスホナイト、例えばトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトおよびジ−tert−ブチルフェニル−ホスホナイト;チオ化合物、例えばジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、およびジステアリルチオジプロピオネート;種々のシロキサン;重合化された2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン(TMQ)、n,n’−ビス(1,4−ジメチルペンチル−p−フェニレンジアミン)、アルキル化ジフェニルアミン、4,4’−ビス(α,α−ジメチル(demthyl)ベンジル)ジフェニルアミン、ジフェニル−p−フェニレンジアミン、混合ジ−アリール−p−フェニレンジアミン、およびその他のヒンダードアミン劣化防止剤または安定化剤が挙げられる。酸化防止剤は、組成物の重量に基づいて、約0.1〜約5重量%の量で使用できる。
【0038】
硬化/架橋剤の非限定例は、次の通りである:ジクミルペルオキシド;ビス(α−t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン;イソプロピルクミルt−ブチルペルオキシド;t−ブチルクミルペルオキシド;ジ−t−ブチルペルオキシド;2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)2,5−ジメチルヘキサン;2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)2,5−ジメチルヘキシン−3;1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン;イソプロピルクミルクミルペルオキシド;ジ(イソプロピルクミル)ペルオキシド;またはこれらの混合物。ペルオキシド硬化剤は、組成物の重量に基づいて、約0.1〜5重量%の量で使用できる。
【0039】
多数の化合物が、半導電性シールド組成物中に添加剤として使用するために提案されている。通常、これらの化合物は、促進剤および遅延剤、処理助剤、顔料、染料、着色剤、充填剤、カップリング剤、紫外線吸収剤または安定化剤、帯電気防止剤、核形成剤、スリップ剤、可塑剤、潤滑剤、粘度制御剤、粘着付与剤、ブロッキング防止剤、界面活性剤、エクステンダー油、酸スカベンジャー、および金属不活性化剤に分類される。
【0040】
本発明のポリマー組成物は、最終ポリマー製品を製造するために従来の機械類および方法を用いて製造されてもよい。組成物は、バッチ式または連続混合プロセス、例えば当該技術分野において周知のプロセスによって調製されてもよい。例えば、設備、例えばバンバリーミキサ、Buss共混錬機、およびツインスクリュー押し出し機は、配合物の成分を混合するために使用されてもよい。本発明のポリマー組成物の構成成分を混合し、電気ケーブルを製造するのに将来使用するためにペレットに形成されてもよい。
【0041】
本発明の組成物、および導体シールドならびに本発明に従って導体シールドを用いて製造されるケーブルは、従来の高性能導体シールド組成物に比べて、加速ケーブル寿命試験(AWTT)によって実証されるように、経時的に優れた性能を示す。導体シールドの平滑性との関連が改善されたACLT値に関連していてもしていなくてもよいが、それでもなお本発明の組成物は、導体シールドに使用される場合に、70ミクロンを超える表面欠陥カウント/m2が5以下、好ましくは70ミクロンを超える表面欠陥カウント/m2が0または全くない場合がある。
【0042】
特定の実施形態において、本発明は、(a)C−C20のαオレフィンからなる群から選択される少なくとも1つのコモノマーと重合されたエチレンを含む線状のシングルサイト触媒化ポリマー;(b)LLDPE、(c)50ppm以下の量の灰、50ppm以下の量の硫黄を含有し、30以下の結晶寸法LおよびLを有するファーネスカーボンブラック、アセチレンカーボンブラック、およびASTM等級N−351を有するファーネスカーボンブラックからなる群から選択されるカーボンブラック、および(d)架橋剤を含む加硫可能な半導電性シールド組成物を提供する。
【0043】
本発明のさらなる実施形態は、伝導性芯線および伝導性芯線を囲む少なくとも1つの半導電性層を含むケーブルに関し、この少なくとも1つの半導電性層は、
a)約55重量%〜約75重量%のベースポリマー;および
b)約15nm〜約22nmの粒径を有し、約115mg/g〜約200mg/gのヨウ素価、および約90cm3/100g〜約170cm3/100gのDBP価を有するカーボンブラック約25重量%〜約45重量%
を含む。
【0044】
約0.70〜0.90の密度および約5〜50のメルトインデックスを有するエチレン/1−ブテンまたはエチレン/オクテンは、本発明のベースポリマーとして使用するのに好ましい。好ましくは、ポリマーは、約55重量%〜約75重量%の量で存在する。
【0045】
LDPE、LLDPEまたはVLDPEは、好ましくは約0.90の密度、および10〜50のメルトインデックスを有する。最も好ましくは、線状のシングルサイト触媒化ポリマーおよびLDPE、LLDPEまたはVLDPEは、2つの相が形成されるのを防止するために概ね同様のメルトインデックスを有する。
【0046】
本発明のさらなる実施形態において、極性エチレンコポリマーは、LDPEと混合される。極性コポリマーおよびLDPEを注意深く選択することによって、極性コポリマーがLDPEと混合されたときに2つの相を形成しないことを見出した。ポリマーエチレンコポリマーは、好ましくは20%以下のコモノマー含有量を有すべきであり、LDPEは極性エチレンコポリマーよりも50%大きいメルトインデックスを有するべきである。
【0047】
本発明において、カーボンブラックは、組成物に半導電性特性を付与するためにポリマー組成物に添加される。好ましくは、カーボンブラックは、組成物の総量に基づいて約25重量%〜約45重量%の量で存在する。
【実施例】
【0048】
電力ケーブルを、General Cable Corp LS567Aから製造された35mmの半導電性絶縁シールド層によって囲まれた60mmの架橋ポリエチレン絶縁層(Dow HFDE 4201)によって囲まれた、表1に特定されるような先行技術の組成を有する、15mmの導体シールドによって囲まれた1/0 19ワイア撚線アルミニウム導体を用いて調製した。導体シールドをまず押し出し、次いで絶縁体および外側のシールド構成成分を、Davis標準タンデム押し出し機にて同時に導体上にわたって押し出し、連続懸垂加硫管にて加圧された窒素下にて乾燥硬化させ、次いで水冷却した。次いで銅メッシュを絶縁シールドの周りに覆い、ACLT試験にて短絡のための接地経路を提供した。ケーブルは、90℃の導体温度にて72時間予備調整し、次いで50℃の水槽に入れ、26Kvまでエネルギーを与えた。電力は8時間入れ、16時間切った。破壊時間は、ワイブル統計を用いて分析し、B63%寿命を計算した。実施例は、Svante Bork Uniop(登録商標)レーザープロファイルリミッタにて突起カウントについて試験した。この試験での劣った性能に基づいて、これらの配合物は、より長いAWTT評価について選択しなかった。
【0049】
【表1】

【0050】
加速された水トリー試験(AWTT)およびインパルス試験
AWTTおよびインパルス試験は、Association of Edison Illuminating Companies(AEIC)仕様書CS6−87に従って行った。電力ケーブルは、General Cable Corp LS766Aから製造された35mmの半導電性絶縁シールド層によって囲まれた175mmの架橋エチレンプロピレンゴム絶縁層(General Cable指定EI 4728、Indianapolis CompoundsからIC4728として市販されている)によって囲まれた、表2に特定されるような組成を有する、15mmの導体シールドによって囲まれた1/0 19ワイア撚線アルミニウム導体を用いて調製した。次いで銅メッシュを絶縁シールドの周りに覆い、AWTT試験にて短絡のための接地経路を提供した。導体シールドを、まず押し出し、次いで絶縁体および外側のシールド構成成分を、Davis標準タンデム押し出し機にて同時に導体上にわたって押し出し、連続懸垂加硫管にて加圧された窒素下にて乾燥硬化させ、次いで水冷却した。
【0051】
視覚的な検査によって押し出されたテープでの平滑性を測定した。傷耐性は、視覚的検査によって押し出されたテープにて測定された。実施例1、3および5は、Svante Bork Uniop(登録商標)レーザープロファイルリミッタにて突起カウントについて試験された。架橋密度は、Monsano MDR2000可動性ディスクレオメータを用いて測定した。
【0052】
予備加熱温度は、導体シールド材料が溶融し始め、導体から垂れ下がり、変形を生じて電気的な欠陥をケーブルに生じさせる前に、導体が予備加熱され得る最大温度である。
【0053】
半導電性シールド組成物は、産業にて既知の従来の機械類および方法を用いて製造されてもよい。組成物は、当該技術分野において周知のバッチ式または連続式混合プロセスによって調製されてもよい。設備、例えばバンバリーミキサ、Buss共混錬機、およびツインスクリュー押し出し機は、配合物の成分を混合するために使用されてもよい。例えば、半導電性シールド組成物の構成成分を混合し、絶縁された電気伝導体、例えば電力ケーブルを製造する際に将来使用するためにペレットに形成されてもよい。
【0054】
半導電性シールド組成物は、その特性が好適であるいずれかの製品に組み込まれてもよい。半導電性シールド組成物は、絶縁された電気伝導体、例えば電気ワイアおよび電力ケーブルを製造するために特に有用である。上述したように、半導電性シールドは、通常、導体シールドとしての内側電気伝導体上にわたって、または結合された絶縁シールドとしての絶縁材料上にわたって直接形成される。
【0055】
半導電性シールドを含有する絶縁された電気伝導体は、従来の設備および既知の技術、例えばツーパス押し出しまたはシングルパスのトゥルートリプル押し出しを用いて製造されてもよい。トゥルートリプル押し出しプロセスにおいて、半導電性導体シールド層、絶縁層、および上位の半導電性絶縁シールド層は、共通の押し出しヘッドにて押し出され、単一工程にて同時に硬化(架橋)させる。
【0056】
ツーパス押し出しプロセス(デュアルタンデム押し出し)において、導体シールドおよび絶縁体は、まずタンデムにて最初に押し出され、半導電性絶縁シールド層を押し出しおよび架橋する前に架橋する。あるいは、導体シールドをまず押し出し、続いて絶縁体および絶縁シールドをデュアル押し出しヘッドで押し出すタンデム押し出しプロセスが行われてもよい。
【0057】
【表2】

【0058】
材料
次の材料を、この実施例に記載される組成物を形成する際に使用した。
【0059】
炭素3−吸油量165、窒素表面積52、粒径43nm。
【0060】
EB−Exact3017Exxon Mobil(Houston,TX)。
【0061】
EO−Engage8401Dow(Midland,MI)。
【0062】
LDPE−Equistar NA249(Houston,TX)。
【0063】
使用されるTMQは、RT Vanderbilt Company,Inc.of Norwalk,CNからAgerite Resin Dの名称で入手可能である。
【0064】
現在の産業標準では、導体シールド材料からの突起を120μmに制限しており、大部分の顧客およびケーブル製造者は、導体シールドからの突起が70μmを超えるのは望ましくないと考えている。本発明を組み込んだ製品は、これらの標準に容易に適合可能である。実施例2は適合しない。本発明によって提供される半導電性シールドは、良好な強靭性、摩耗耐性を示し、驚くべきことに360日のAWTT後に保持された破断強度は、先行技術に従って調製された製品より良好である。本発明は、驚くべきことに、高いインパルス強度を示す。インパルス強度試験は、ケーブルが埋め込まれる付近の地面への落雷または電気の開閉サージをシミュレートしている。さらなる利点は、導体がより高温に予備加熱されることができ、良好な架橋密度を有しているので、ケーブルをより高速で製造できることである。改善された架橋密度のさらなる利点は、過酸化物のすべてが消耗されなくとも、適切な性能を提供するのに十分な程度になおも架橋され得ることであり、同様により速い製造速度および低いケーブルコストが可能である。カーボンブラックが少ないので、有利なことには、良好な傷耐性を達成しつつ使用されることができ、低密度で、化合物1bあたりのケーブルのフィートが長い。驚くべきことに、本発明は、最も低い製造コスト、材料コスト、経年後の最も高い保持された破断強度および最も高いインパルス強度を併せ持つ。後者2つの特性は、高い傷耐性によるものであり得る。先行技術のカーボンブラック、酸化防止剤および添加剤を組み込むことにより、本発明の性能を改善できることが予測される。
【0065】
前述の実施形態は、本発明を例示するものであり、制限するものではないことを意図する。添付の特許請求の範囲によって規定されるような本発明の精神および範囲から逸脱することなく、種々の変更が行われ得ることは明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加硫可能な半導電性シールド組成物であって:
(a)C−C20のαオレフィンからなる群から選択される少なくとも1つのコモノマーと重合されたエチレンを含む、線状のシングルサイト触媒化ポリマー;
(b)LDPEまたはLLDPEまたはVLDPE;および
(c)カーボンブラック
を含む組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の加硫可能な半導電性シールド組成物であって:
(d)酸化防止剤;および
(e)架橋剤
をさらに含む、組成物。
【請求項3】
前記カーボンブラックが、50ppm以下の量の灰、50ppm以下の量の硫黄を含有し、30Å以下の結晶寸法LおよびLを有するファーネスカーボンブラックである、請求項1に記載の加硫可能な半導電性シールド組成物。
【請求項4】
前記カーボンブラックが、ASTM等級N−351を有するファーネスカーボンブラックである、請求項1に記載の加硫可能な半導電性シールド組成物。
【請求項5】
前記カーボンブラックが、半導電性シールド組成物の総重量に基づいて、約30〜約45重量%の量で存在する、請求項1に記載の加硫可能な半導電性シールド組成物。
【請求項6】
前記線状のシングルサイト触媒化ポリマーが、メタロセン触媒系を用いて重合される、請求項1に記載の加硫可能な半導電性シールド組成物。
【請求項7】
前記線状のシングルサイト触媒化ポリマーが、エチレン/ブテン−1コポリマー、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/ヘキセン−1コポリマー、エチレン/オクテン−1コポリマー、エチレン/プロピレン/1,4−ヘキサジエンターポリマー、およびエチレン/ブテン−1/1,4−ヘキサジエンターポリマーからなる群から選択される、請求項1に記載の加硫可能な半導電性シールド組成物。
【請求項8】
前記線状のシングルサイト触媒化ポリマーが、約30,000〜約70,000の重量平均分子量を有する、請求項1に記載の加硫可能な半導電性シールド組成物。
【請求項9】
前記線状のシングルサイト触媒化ポリマーが、約1.8〜約5の多分散性を有する、請求項1に記載の加硫可能な半導電性シールド組成物。
【請求項10】
前記線状のシングルサイト触媒化ポリマーが、約2〜3の多分散性を有する、請求項1に記載の加硫可能な半導電性シールド組成物。
【請求項11】
前記線状のシングルサイト触媒化ポリマーが、半導電性シールド組成物の総重量に基づいて、約50〜約70重量%の量で存在する、請求項1に記載の加硫可能な半導電性シールド組成物。
【請求項12】
前記架橋剤が、前記線状のシングルサイト触媒化ポリマーの総重量に基づいて、約0.5〜約5重量%の量で存在する有機過酸化物架橋剤である、請求項1に記載の加硫可能な半導電性シールド組成物。
【請求項13】
前記有機過酸化物架橋剤が、α,α’−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−ジイソプロピルベンゼン、ジクミルペルオキシド、ジ(ターシャリーブチル(tertiarybutyl))ペルオキシド、および2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−ヘキサンからなる群から選択される、請求項11に記載の加硫可能な半導電性シールド組成物。
【請求項14】
前記LDPEまたはLLDPEまたはVLDPEが、半導電性シールド組成物の総重量に基づいて、約5〜約50重量%の量で存在する、請求項1に記載の加硫可能な半導電性シールド組成物。
【請求項15】
半導電性シールド組成物の総重量に基づいて、約0.2〜約2.0重量%の酸化防止剤をさらに含み、この酸化防止剤が、重合されたl,2−ジヒドロ−2,2,4−トリメチルキノリン、およびオクタデシル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメートからなる群から選択される、請求項1に記載の加硫可能な半導電性シールド組成物。
【請求項16】
約10,000〜約30,000の平均分子量を有するポリエチレングリコール、金属ステアレートまたはそれらの塩、ポリシロキサン、ならびにこれらの混合物からなる群から選択される処理助剤をさらに含む、請求項1に記載の加硫可能な半導電性シールド組成物。
【請求項17】
電気導電性部材およびこの電気導電性部材上にわたって形成された加硫可能な半導電性シールドを含む絶縁された電気伝導体であって、この加硫可能な半導電性シールドが:
(a)C−C20のαオレフィンからなる群から選択される少なくとも1つのコモノマーと重合されたエチレンを含む、線状のシングルサイト触媒化ポリマー;
(b)50ppm以下の量の灰、50ppm以下の量の硫黄を含有し、30Å以下の結晶寸法LおよびLを有するファーネスカーボンブラック、およびASTM等級N−351を有するファーネスカーボンブラックからなる群から選択されるカーボンブラック;および
(c)架橋剤
を含む絶縁された電気伝導体。
【請求項18】
絶縁された電気伝導体を製造する方法であって:
(a)電気導電性部材上にわたって加硫可能な半導電性シールドを押し出す工程であって、この加硫可能な半導電性シールドが:
(i)C−C20のαオレフィンからなる群から選択される少なくとも1つのコモノマーと重合されたエチレンを含む、線状のシングルサイト触媒化ポリマー;
(ii)50ppm以下の量の灰、50ppm以下の量の硫黄を含有し、30Å以下の結晶寸法LおよびLを有するファーネスカーボンブラック、およびASTM等級N−351を有するファーネスカーボンブラックからなる群から選択されるカーボンブラック;および
(iii)架橋剤
を含む組成物を有する工程;
(b)この加硫可能な半導電性シールド上にわたって絶縁層および絶縁シールドを押し出す工程;および
(c)この加硫可能な半導電性シールド、絶縁層、および絶縁シールドを硬化し、絶縁された電気伝導体を形成する工程
を含む方法。

【公表番号】特表2013−519193(P2013−519193A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551187(P2012−551187)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【国際出願番号】PCT/US2011/020786
【国際公開番号】WO2011/094055
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(507202725)ジェネラル・ケーブル・テクノロジーズ・コーポレーション (7)
【Fターム(参考)】