説明

動的灌流画像法に基づく灌流診断法およびそのシステム

医療用画像システム(100)を提案する。本システムは、記録されている入力画像シークエンスを提供する手段(203−212)と、少なくとも1つの視覚化値を有する入力画像の、対応するセットのシークエンスのそれぞれを、時間に関するモデル関数と関係づける手段(214−218)と、さらに別の瞬間におけるコンピュータ画像のシークエンスを生成する手段(225−233、705−740)と、を有する。該入力画像はそれぞれ、造影剤が灌流される身体部位の、対応する瞬間におけるデジタル表現である。各入力画像は、複数の視覚化値を備える。各視覚化値は、身体部位の対応する部分を表す。各コンピュータ画像は、さらに別の複数の視覚化値を有する。それら視覚化値はそれぞれ、上記対応するさらに別の瞬間における、関連付けられたモデル関数より求める瞬時的な関数値から求められる。そしてこのコンピュータ画像のシークエンスを表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用画像分野に関し、特に、動的潅流画像の表示に関する。
【背景技術】
【0002】
医用画像化法は、医療用機器分野においては、揺るぎない地位を有する技術である。特に、この手法は、血液灌流の診断において広く利用される。血液灌流の診断は、幾つかの診断適用において、特に、超音波分析において、用いられる。このような使用目的に関し、例えば、リン脂質安定化ガス封入マイクロバブル懸濁剤からなる、超音波造影剤(UCA)は、患者へ投与される。造影剤は、効率のよい超音波反射体として機能するから、超音波をあててそのエコー信号を記録すれば、容易に検出することができる。患者内部において、造影剤が血液と同じ測度で流れるとするなら、トラッキングすることで、分析すべき、身体部位(臓器)における血液の灌流に関する情報を得ることができる。
【0003】
一般に、灌流の過程において身体部位を表す一連の連続画像を取得し、造影剤の流れをモニタする。具体的には、画像の各画素値が、身体部位における対応する部分に関する、記録されたエコー信号の強度を示す。このようにして、該一連の画像が、身体部位全体のエコー信号の時間発展を描写する。従って、一連の画像(例えば、モニターに表示された画像)を分析することで、該身体部位における血液灌流の量的な指標を得ることができる。
【0004】
しかしながら、表示される画像の画質は、かなり悪いことがある。実際のところ、画像が示す各画素値は、時間内で大きな変動を有する。さらには、画像内に不可避的に現れるスペックル粒が、注意をそらさせるようなパターンを形成する。画質は、データ収集の際の身体部位の動きによっても、悪影響を被る。画像の効果的分析を妨げる別の要因には、有意な情報に重なる、バックグラウンド・エコー信号である。上記した全ての事柄は、灌流過程を正確に診断することを困難にする。いずれにせよ、得られる結果は、一連の画像を取得し、かつ/あるいは、分析する、オペレータのスキルにかかっている。
【0005】
これまでにも、特定の利用用途において画像の画質を改善しようとする試みが、なされている。例えば、US−B−6,676,606は、身体部位内の毛細血管の識別を容易にする方策についての提案を行っている。そのために、(例えば、静止した組織と関連付けられる、)画像対画像で同一の画素からの寄与を減じ、その一方で、(例えば、マイクロバブルの運動により)画像対画像で変化する画素を存続させる処理を、画像に施す。この処理は、微細な血管構造の可視化の改善を可能にする。
【0006】
また、灌流過程の量的診断は、パラメトリック分析法を用いて行われる。この場合、(個々の画素、あるいは、隣接画素群について)時間上で記録されたエコー信号の強度は、数理モデル関数を用いて近似される。そして、このモデル関数を用いて、他の灌流パラメータを算出する。これらのパラメータは、対応する、身体部位の個々の部分の形態学的特徴を示す。この手法は、ウェイ,K.、ジャヤウェーラ,A.R.、フィローザン,S.、リンカ,A.、スキバ,D.M.、および、カウル,S.の「クアンティフィケーション・オブ・マイヨカーディナル・ブラッド・フロー・ウィズ・ウルトラサウンド−インデュースド・デストラクション・オブ・マイクロバブルス・アドミニスタード・アズ・ア・コンスタント・ベーナス・インフュージョン」、サーキュレーション、巻97、1988(Wei, K., Jayaweera, A. R., Firoozan, S., Linka, A., Skyba, D. M., and Kaul, S., "Quantification of Myocardial Blood Flow With Ultrasound-Induced Destruction of Microbubbles Administer ed as a Constant Venous Infusion," Circulation, vol. 97, 1998)において初めて提案された。例えば、いわゆる、破壊−補充法において(この手法では、十分なエネルギのフラッシュによって造影剤を破壊し、破壊後の再灌流を観察する。)、一般的に受け容れられているモデルは、時間に関する(映像の)エコー信号の強度の単一指数関数I(t)として定義され、その一般形は、
【数1】

で表され、ここで、Aは、定常状態振幅であり、βは、(破壊用フラッシュ直後の瞬間を時間に関する原点とする)単一指数関数の速度項である。この場合、灌流パラメータは、値Aおよび値βであり、これらの値は、共に、それぞれ、局所血液量、および、局所血流速度と解され、また、値Aβは、血流に比例する量と解される。
【0007】
パラメトリック画像化法は、また、一般に、上述した定量分析の結果のグラフィカル表現にも用いられる。このために、選択した灌流パラメータに対応する値を各画素に割り当てて、パラメトリック画像を構成する。一般に、相異なる灌流パラメータの値域を、対応する別々の色で符号化し、そのようにして得られた画素値を、オリジナル画像上にオーバーレイする。パラメトリック画像は、分析にかかる身体部位全体の灌流パラメータの空間的分布を示す。これにより、(例えば、病的状態故に)異常な灌流の可能性がある身体部位の部分を識別することが容易になる。
【0008】
しかしながら、パラメトリック画像は、単に、灌流パラメータの値の統計的表現に過ぎない。従って、それから灌流過程を直接的に視覚的に認識することはできない。通例によれば、灌流過程は、画像群の元のシークエンスをプレイバックして認識する。
【0009】
US−A−2003/0114759は、別の手法を提案する。この例では、画像の、単相シークエンスが複数構成される。各単相シークエンスは、それぞれ異なる、心周期における対応する位相において取得された全ての画像を集めることで得る。画像の、各単相シークエンスについて、上述のモデル関数により、対応する画素値(またはそのグループ)がフィット(近似)される。再度、パラメトリック画像を、選択された灌流パラメータの(上記モデル関数から算出された、)対応する値を各画素に対して割り当てることで、構成する。このようにして得た(心周期の相異なる位相の)パラメトリック画像のシークエンスを連続的に表示する。この引用文献は、心臓の拍動のサイクルと強く関連しない、体の他の器官(例えば、肝臓、腎臓、あるいは、身体の移植器官や移植肢)についても同じ手法を使用することの可能性について、示唆する。そのような場合、上述の手順は、診断プロセスの異なる時期に対して適用される。それぞれの時期で、対応する、画像の下位シークエンスから、異なるパラメトリック画像を同様に作成される(そして、これらのパラメトリック画像が、同様に、連続的に表示される。)。いずれにせよ、灌流パラメータは、値A、β、および、それらの組み合わせ(例えば、A×BやA÷B)から導かれる。あるいは、対応するモデル関数の誤差や分散に基づいて灌流パラメータを導くことも可能である。
【0010】
上述の手法によれば、心臓の拍動のサイクルの(さらに、一般的には、診断プロセスの)異なる位相における灌流の変化に関する何かしらの示唆を与える。とは言え、各パラメトリック画像は、未だなお、対応するモデル関数を統計的に表現した、固定した灌流パラメータに基づくものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
一般化すれば、本発明は、動的な灌流画像の表示に関する着想に立脚する。
【0012】
とりわけ、本発明は、独立請求項に記載の方策を提供する。本発明の有利な実施形態については、従属請求項に記載する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
さらに具体的には、本発明は、その一態様において、(例えば、超音波スキャナに基づく)医療用画像システムを提案する。本システムは、記録した入力画像のシークエンスを(例えば、記憶装置から画像を抽出することにより、)提供する手段、を有する。各入力画像は、(対応する瞬間における)造影剤が灌流する身体部位のデジタル表現である。特に、各入力画像は、(画素(ピクセル)値/ボクセル値のマトリクスといった)複数の視覚化値を含んでいる。そのそれぞれは、身体部位の対応する部分を表現する。(単一の視覚化値あるいはそのグループで構成される入力画像からなる)入力画像群における、対応するセット(集合)からなるシークエンスのそれぞれを、(例えば、曲線近似処理によって)時間に関するモデル関数と関連付けする手段を有する。本システムは、さらに、さらに別の瞬間における一連のコンピュータ画像を生成する手段を有する。各コンピュータ画像は、さらに別の複数の視覚化値を備える。これらの、さらに別の視覚化値は、瞬時的な関数値から求められる。この瞬時的な関数値は、上記対応するさらに別の瞬間における、関連付けされたモデル関数から算出される。そして、(例えば、モニタといった、)コンピュータ画像のシークエンスを表示する手段を有する。
【0014】
本発明の実施形態においては、(さらに別の)瞬間のそれぞれにおいて対応する参照モデルの瞬時的な関数値に基づいて、入力画像のなかから参照領域を選択する。そのような場合においては、異なる分析領域に対する(さらに別の)視覚化値のそれぞれを、上記瞬時的な関数値と対応する参照値とを組み合わせることによって、設定する。
【0015】
例えば、各参照値は、参照領域の(関連する瞬間における)参照領域の瞬時的な関数値の平均に基づいて、設定される。
【0016】
好ましくは、コンピュータ画像の各視覚化値を、参照値から対応する瞬時的な関数値を減ずることにより求める。
【0017】
提案する実装例においては、瞬時的な関数値が、関連する瞬間における、関連付けされたモデル関数の(分析領域および/または参照領域にかかる)値と対応する。
【0018】
別の実装例においては、同一の瞬時的な関数値が、(関連する瞬間における、)関連付けされたモデル関数の積分(インテグラル)と対応する。
【0019】
本発明の代替的実施形態においては、コンピュータ画像の視覚化値は、そのまま直接的に、瞬時的な関数値に設定される。上述のとおり、瞬時的な関数値は、関連する瞬間における、関連付けられた参照モデルの値あるいは積分のいずれかと対応してよい。
【0020】
モデル関数を関連付けする操作は、単独の画素値、単独のボクセル値、あるいは、それらのグループ、のレベルにおいて、実行してよい。
【0021】
さらに、本提案にかかる方策を改良する方法としては、入力画像の線形化、がある。これは、視覚化値を実質的に、身体部位の対応する部分における造影剤の濃度に比例させる。
【0022】
本発明の好適な実装例においては、本システムは、一連のオーバーレイ画像を表示する。(これらの画像は、一連の入力画像に、一連のコンピュータ画像をオーバーレイして得る。)
【0023】
別の改善策として、コンピュータ画像の視覚化値から、閾値に満たないものを(例えば、ゼロに)再設定する。
【0024】
さらに、あるいは、代替的に、視覚化値から、その近似精度指標が別の閾値に満たないものを、同様にして再設定する。
【0025】
好ましくは、モデル関数からオフセットを除去して、コンピュータ画像を作成する。
【0026】
さらなる改善策として、コンピュータ画像の視覚化値を、色分けした表現で表示する。
【0027】
本発明の特定の実施形態においては、1つあるいは複数の入力画像を、(例えば、後の分析に適さないような場合、)廃棄してよい。
【0028】
本提案の方策は、入力画像のシークエンスが、コンピュータ画像のシークエンスのフレーム・レートよりも低速なフレーム・レートを有する場合に、特に、有効である。
【0029】
そのような場合、1つあるいは複数のさらなる画像を、入力画像のシークエンスへ挿入し、コンピュータ画像をそれと対応する入力画像にオーバーレイできるようにする、ことが好ましい。
【0030】
本発明のある実施形態においては、本システムは、さらに、身体部位から、連続的に、入力画像を取得する手段(例えば、画像プローブ(イメージング・プローブ))を有する。
【0031】
一般に、画像プローブは、(リニア、または、フェーズドアレイ式)超音波型である。
【0032】
本発明は、その別の一態様においては、対応する医療用画像法を提案する。
【0033】
本発明は、そのさらに別の一態様においては、上記方法を実行するコンピュータ・プログラムを提案する。
【0034】
本発明は、そのさらに別の一態様においては、上記プログラムを具現化した製品を提案する。
【0035】
本発明の顕著な特徴は、添付の特許請求の範囲に記載される。添付の図面を参照しつつ以下の詳細な説明を読めば、本発明そのもの、および、その他の特徴、ならびに、それらの有利点を、よく理解することができる。なお、以下の詳細な説明は、単なる、非限定的な示唆に過ぎない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
まず図1を参照すれば、医療用画像システム100が示されている。特に、システム100は、(例えば、マトリクスアレイタイプの)ハンドヘルドの送受信画像プローブ110を備えた中央ユニット105を有する超音波スキャナで構成される。画像プローブ110は、(例えば、2ないし10MHzの中心周波数を有する)一連のパルスからなる超音波を送信し、超音波の後方散乱によって生じる無線周波数(RF)のエコー信号を受信する。このために、画像プローブ110は、送信/受信マルチプレクサを備える。これにより、画像プローブ110を上述のパルス−エコーモードで使用することができる。
【0037】
中央ユニット105は、マザーボード115を収納する。マザーボード115には、超音波スキャナ100の動作を制御する電子回路(例えば、マイクロプロセッサ、ワーキングメモリ、及びハードディスクドライブ)が搭載される。さらに、1以上の(総じて120で示す)ドーターボードが、マザーボード115に差し込まれる。ドーターボード120は、画像プローブ110を駆動するための電子回路と、受信したエコー信号を処理するための電子回路とを備える。超音波スキャナ100は、(フロッピー(R)ディスクなどの)リムーバブルディスク130を読み出すためのドライブ125を備えることができる。モニタ135は、進行中の分析に関連する画像を表示する。超音波スキャナ100の動作は、キーボード140により制御される。キーボード140は、従来の方式で、中央ユニット105に接続される。好ましくは、キーボードは、モニタ135の画面で、ポインタ(図示せず)の位置を操作するのに使用するトラックボール145を備えている。
【0038】
超音波スキャナ100は、患者155の身体部位150の血液灌流を診断するのに用いられる。このために、造影剤が患者155に投与される。造影剤は、(ポンプによる)継続投与か、又は(一般的に、注射器を持った手による)ボーラス投与のいずれかにより、供給されてもよい。造影剤には、ガス泡を含んだ液体キャリアの懸濁液が適当である。一般的には、ガス泡は、患者155の毛細血管床を通り抜けることができるように、0.1ないし5μmのオーダーの直径を有する。ガス泡は、一般的には、ガス又はその前駆物を、乳化剤、油、増粘剤、糖、タンパク、又はポリマーを含む種々の系に混入又は封入することにより、安定化される。安定化したガス泡は、ガス封入微小胞といわれる。微小胞は、水性溶媒に分散されたガス泡を含み、界面活性剤、すなわち、リン脂質のような両親媒性材料を含む非常に薄い膜(エンベロープ)により、気/液界面を構成する(この場合、マイクロバブルとして知られている)。代替として、微小胞は、天然又は合成ポリマーで形成された固体材料の膜(エンベロープ)に包まれたガス泡を含む懸濁液である(この場合、マイクロバルーンやマイクロカプセルとしても知られている)。他の種類の造影剤には、ポリマー又は他の固体の多孔性微粒子の懸濁液が含まれる。多孔性微粒子は、その微細孔内に捕獲したガス泡を運搬する。適当な、微小胞の水性懸濁液の例、特にマイクロバブル及びマイクロバルーンと、その調合法は、EP−A−0458745、WO−A−91/15244、EP−A−0554213、WO−A−94/09829、および、WO−A−95/16467に記載されている(それら開示内容は全て、参照により本願に含まれる。)。ガス封入微小胞を含む市販の超音波造影剤は、Bracco International BVのSonoVue(R)である。
【0039】
画像プローブ110は、分析される身体部位150の区域の患者155の皮膚に接触するように配置される。一般的には、造影剤が身体部位150を満たすことを保証する所定期間(例えば、数秒)後に、高音響エネルギ(フラッシュ)を有する、1以上の超音波パルスが与えられる。音響エネルギは、造影剤のかなりの部分(例えば、少なくとも50%)の破壊を引き起こすために、十分でなければならない(例えば、メカニカル・インデックスにおいて1ないし2)。これにより、破壊フラッシュの適用直後に計測された値と、身体部位に造影剤が補充されたときに測定された値との間における、受信されるエコー信号の実質上の変動を検出することが可能となる。それから、(0.01−0.1のメカニカル・インデックスを示すような)低音響エネルギの一連の超音波パルスが、造影剤のさらなる破壊を伴わないように、利用される。身体部位150における造影剤の補充(又は再灌流)の観察は、局所的な血液灌流についての情報を提供する。このために、身体部150を表すデジタル画像を、灌流の過程の時間発展を追跡するために、連続的に(例えば、1秒間に10ないし30枚の画像の割合で)取得する。
【0040】
次に、図2を参照すれば、本発明の簡単化した実施形態による方策を実施するのに使用することができる、主要なソフトウェアとハードウェアの構成要素が、その全体を参照数字200として、記載されている。情報(プログラムとデータ)は、通例、ハードディスクに格納され、オペレーティングシステムと他のアプリケーションプログラム(図示せず)と共に、プログラムが実行される際にワーキングメモリに(少なくとも部分的に)読み込まれる。例えば、プログラムは、最初に、CD−ROMからハードディスクにインストールされてよい。
【0041】
特に、ドライバ203は、画像プローブ(図示せず)を制御する。例えば、画像プローブドライバ203は、送信ビーム形成器(transmit beam former)と、分析される身体部位に印加される(パルス状の)超音波を生成するパルス生成器(pulser)とを含む。その身体部位から受信した、対応する(RF)エコー信号は、受信処理部(receive processor)206に供給される。典型的には、受信処理部206はRFエコー信号を前置増幅し、予備的な時間減衰補正(TGC:time gain compensation)を行い、その後、(アナログ)RFエコー信号はアナログ−デジタル変換器(ADC)によってデジタル値へ変換され、受信ビーム形成器(receive beam former)によって、集束RFエコー信号に結合される。そのようにして得られたRFエコー信号は、好ましくは、(造影剤ベースのエコー信号の改善のための特別なアルゴリズムのような)さらなるデジタルアルゴリズム及び他の線形のまたは非線形の信号調整(ポストビーム形成TGCのような)によって処理される。次にRFエコー信号は復調され、対数圧縮(log-compressed)され、ビデオフォーマットに走査変換(scan-converted)される。この処理により、一連の入力画像SIiが登録され、それらの画像は、オフライン分析のために、対応する保存部(レポジトリ)209に格納される。各入力画像は、灌流過程における身体部位のデジタル表現を構成する。入力画像は、視覚化値のマトリクス(例えば、512行×512列)により定義される。視覚化値は、身体部位の基本的な画像要素(ピクセル)または体積要素(ボクセル)に関するエコー信号の音響パワーによって決定される値(0から255までの値)からなる。
【0042】
一連の入力画像SIiがレポジトリ209から抽出され、画像選択部212に供給される。画像選択部212は、さらなる分析に適切でない入力画像(もしあれば)を除去する。例えば、画像選択部212は、(患者の移動、患者の呼吸サイクル、または不本意な画像プローブの移動によって)位置ずれが生じ、(例えば、面外の移動であるために)その移動が補償できないような入力画像をスキップする。
【0043】
そのようにして減じられた一連の入力画像(RSIiと表記)は演算部214に入力される。演算部214は各入力画像をピクセル毎に線形化する。すなわち、線形化演算部214はそれぞれの画素値を処理して、対応する造影剤の局所濃度と直接的に比例するようにする。これにより、ランダムな間隔で生じる多くの散乱による音響エネルギの散乱の特徴を反映させる。それによりエコーパワー信号は造影剤の濃度に比例する。例えば、その結果は、逆対数圧縮を行い(、その効果を受信処理部206により反転させ)、その後、それにより得られた値を二乗する(WO−A−2004/110279参照、その全開示内容は引用することで本文中に組み込まれる)ことにより得られる。この演算により、SLIiで表記される、線形化された一連の入力画像が生成される。
【0044】
線形化された一連の入力画像SLIiは空間的サブサンプリング部215に入力される。空間的サブサンプリング部215は、線形化された入力画像を画像プローブの空間分解能に対応したセルに分割する。各セルは、線形化された入力画像の大きさに従って、例えば2から16個の隣接するピクセル(またはボクセル)群のグループかなる。好ましくは、空間分解能は、線形化された入力画像において区別できる最下位の要素を評価することで自動的に決定される(超音波スキャナの場合には、入力画像中、通例、視認できるスペックル粒を含んでいる。)。例えば、この結果は、線形化された一連の入力画像SLIiの各次元に沿ったスペクトル解析から得られる。線形化された入力画像のそれぞれは、対応するサブサンプルされた画像によって置換される。サブサンプリングされた画像において、線形化された入力画像の各セルは、(例えば、ローパスフィルタ処理を適用後に、線形化された入力画像をサブサンプリングすることによって)画素値の平均値で決まる1つの値によって表される。これにより、サブサンプリングされた一連の画像SIsが得られ、それらは曲線近似処理部(カーブ近似プロセッサ)218に送信される。
【0045】
曲線近似処理部218は、サブサンプリングされた画像の各セルを、表示すべき、所定の灌流過程に対応して選択される、時間(t)のモデル関数のインスタンスに関連づける。モデル関数のインスタンスは、1組のパラメータの値によって定義される。パラメータの値は、(周知の誤差最小化アルゴリズムを用いて)対応する一連のセルの値を最適に近似(フィッティング)する値に設定される。曲線近似処理部218はこのようにして、セル毎に、パラメータの最適値を含むパラメータマトリクスApを生成する。
【0046】
その後、パラメータマトリクスApは、選択信号Selによって制御される画像処理部225に入力される。画像処理部225は具体的には、選択信号Selにしたがって、異なる種類の、各モデル関数の瞬間的な関数値を計算するように設計されている(詳細は後述)。例えば、瞬間的な関数値はモデル関数の実際の値またはその積分である。画像処理部225はまた、所望のサンプリング間隔Ts(例えば5−80msの範囲)を定義する値を受信する。画像処理部225は処理された一連の画像SIpを生成する。処理された画像のそれぞれは、サンプリング間隔Tsによって規定される対応する瞬間に関連づけられる。j番目(J≧0)の処理された画像は、灌流過程の原点となる時刻から始まる瞬間tj=j×Tsに関連づけられる。セル毎に、処理された画像は、関連する瞬間tjにおいて、対応するモデル関数の属性値を含む。
【0047】
一連の処理された画像SIpは、イネーブル信号ENによって制御される量子化部227に入力される。量子化部227は、セルの連続した値を対応する(例えば、全セルの最小値から最大値までの間を均一に分布させた64または128レベルからなる)離散的な値に変換する。量子化227はまたカラー参照テーブル230にアクセスする。カラー参照テーブル230は取りうる全てのレベルを、(好ましくは、レベルの増加にともない明るくなる)対応する色表現に関連づける。例えば、それぞれの色は、実際の色の仕様を備えるパレット内の位置にアクセスするための指標(インデックス)によって定義される。量子化部227は、信号ENをアクティブにすることで活性化される。このような状態において、それは、処理された画像における各セルの値を、対応する色表現に置換する。逆に、量子化部227が非アクティブにされたときは、処理された一連の画像SIpは何も変化せずに量子化部227を通過する。
【0048】
どのような場合でも(量子化されようが、元の生成されたままの状態であろうが)、処理された一連の画像SIpは空間補間部233に入力される。空間補間部233は、(最近接法、双一次法または双三次法に基づくような)補間方法にしたがい、(入力画像の1つに対応する)処理された画像を完全なサイズの画像に復元する。より詳細には、各処理された画像は、対応するコンピュータ画像に変換される。このため、処理された画像の各セルは、対応するピクセルのグループに対して複製され(最近接補間法)、選択的に、(低域通過2D又は3D空間フィルタを用いて)空間的にフィルタリングされる。そのようにして得られた処理された一連の画像SIcは灌流過程の動画を表す。これらのコンピュータ画像はレポジトリ236に格納される。
【0049】
レポジトリ236は再生部239によりアクセスされる。再生部239はまた、(一対の隣接するコンピュータ画像の各対の間の時間間隔を定義する)サンプリング間隔Tsを入力する。さらに、再生部239はインデックスXsを入力する。インデックスXsは一連のコンピュータ画像SIcの所望の再生速度に応じて選択される。例えば、速度インデックスXsは、実時間再生時には1に設定され、スローモーション再生時には1より小さい値に設定され、高速再生時には1より大きい値に設定される。再生部239は、Ts/Xsの間隔でレポジトリ239から連続してコンピュータ画像を取り出す。各コンピュータ画像はモニタドライバ242に送られて、(そのフレーム・レートで)再生される。
【0050】
上述の方策の適用例が図3に示される。特に、この適用例は、造影剤を意図的に破壊することのないボーラス投与に関する。入力画像のシークエンスは、乳腺腫瘍の灌流過程の間に超音波スキャナにより取得された。(復調及び対数圧縮の結果として示される)このシークエンスには、305が付される。入力画像は0.52秒の間隔で記録された。明確化のために、図に示されるシークエンスは、入力画像のサブセットのみ(、具体的には、2.6秒毎に一つの入力画像を、)含む。図に見られるように、入力画像のシークエンス305は、灌流過程の間のエコー信号の時間発展を示す。特に、造影剤の投与に続く洗入(wash−in)フェーズでは、(造影剤が身体部位の中へ洗入するにつれて)エコー信号は増大し、4秒の辺りで最大値レベルに達する。続いてエコー信号は、(数十秒に渡る)造影剤の洗出フェーズにて減少を開始する。(図に示さない)対応する線形化画像の個々のセル値のシークエンスは、エコーパワー信号を示す。これらのシークエンスは、身体部位の対応する部分に対して経時的に記録された。対応する(線形化された)画素値を平均して得られるこれらセル値の2つのシークエンス例は、図において、破線矢印312aで識別されるセルについては310a(データセット1)とし、破線矢印312bで識別されるセルについては310b(データセット2)としている。
【0051】
個々のセルに対して、対応する値のシークエンスは、(個別のパラメータの値により定義される)適切なモデル関数の例(インスタンス)に近似される。懸案の例では、モデル関数は、対数正規分布関数(即ち、独立変数tの自然対数の正規分布関数)を有する。
【数2】

ここで、t0は灌流過程の分析のための時間の原点の選択に依存する遅延を示し、Oはオフセットパラメータであり、Aは(関連領域の組織血液量に関連し得る)振幅パラメータである。更に、パラメータmB及びsBは、夫々、tの自然対数分布の平均及び標準偏差である。セル値310a及び310bのシークエンスに係るモデル関数のグラフ表現は、夫々、図中で315a(Fit1)及び315b(Fit2)である。
【0052】
この場合、(コンピュータ画像を生成するのに利用される)瞬間における関数値は、経時的なモデル関数の値に対応する。具体的には、個々のセルに対して、個別の値は、後続の瞬間tjにおける、対応するモデル関数を評価することで計算される。セル値の個々の結果としてのシークエンスは、(線形化入力画像内の同じセルに対する値のシークエンスにより与えられる)灌流過程の間に記録された実際のエコーパワー信号の代わりに、個別のモデル関数により定義される(身体部位の対応する部分に対する)エコーパワー信号の、時間発展を示す。(入力画像と同じ瞬間にて)上述のように形成されたコンピュータ画像のシークエンス例には、320が付されている。
【0053】
図中に明確に示すように、コンピュータ画像のシークエンス320では、灌流過程の認知性を改善することができ、特に(入力画像のシークエンス305との比較において)そのパターンと動力学の認識容易性が、かなり改善されている。複数の要因がこの認識の容易化に寄与する。第1の要因は、個々のセル内における、造影剤の存在に係る局所的強度の時間的平滑化によるものである。第2の要因は、セルからセルへの同じ強度の(スペックル粒子による時間的に急激な変動を適時に除去する)空間的平滑化によるものである。更に第3の要因は、入力画像の残余分の除去、即ち周期的な動きの除去によるものである。実際には、個々のセルに対して、対応する値は定義により固定された位置で計算される。従って、どの動きもモデル関数による近似の質を低下させ得るが、コンピュータ画像のシークエンス320内の動きに表れない。
【0054】
コンピュータ画像の個々のセルに対するモデル関数の評価は、オフセットパラメータOを除去することにより、実施されるのが好ましい。このことにより、コンピュータ画面内の背景エコーパワー信号の寄与がよく抑制される。結果として、灌流過程の動力学の十分な、さらに明確な認識が、達成される。
【0055】
(コンピュータ画像形成処理においてセルに割り当てられた色表現で定義されるように)コンピュータ画像が着色して表示されると、コンピュータ画面のシークエンス320の読み取りは更に容易化される。この場合、個々の異なる色は、それ自身が定量的意味を有する。例えば、この値は(図示しない)カラー・バーから読み出し可能であり、このカラー・バーは、モニタ上、コンピュータ画像のシークエンス320の近くにで表示される。
【0056】
(コンピュータ画像のシークエンスの時間分解能を定義する)サンプリング間隔Tsの選択は、完全に、入力画像の取得のレートから独立していることを、強調する。従って、コンピュータ画像はどんなときでも(元のシークエンス内で入力画像が利用可能でないときでさえ)計算され得る。このように、サンプリング間隔Tsを最適化することができるから、(灌流過程、特に動力学と空間分布、について最も良好に認識させるように)コンピュータ画像のレンダリングを平滑化できる。
【0057】
図4を参照して、同じ入力画像のシークエンス305に対する、(対応する信号Selに基づいた、)異なる形式の瞬間の関数値を選択する、上述の方策の適用例が示される。この場合、瞬間の関数値は、時間に関するモデル関数の積分に対応する。具体的には、個々のセルに対して、個々の値は、オフセットパラメータOを減じたモデル関数B(t)を、時間の原点から後続の瞬間tjまで積分して計算される。この値、BI(tj)、は、セルで表される身体部位の部分を経由して流れた造影剤の量に対して比例する量を示す。
【数3】

破線矢印312aで識別されるセルに対する、及び、破線矢印312bで識別されるセルに対する、積分の瞬間値のグラフ表現は、夫々、図内で415a(BI1)及び415b(BI2)が付される。(入力画像と同じ瞬間にて)上述のように形成されたコンピュータ画像のシークエンス例には、420が付されている。
【0058】
この場合、コンピュータ画面のシークエンス420は、関心を寄せている属性に関し、時間発展を動的に表現する。更に、前述の適用例で指摘したように、コンピュータ画像のシークエンス420は、(時間的平滑化、空間的平滑化、及び動作の除去により、)灌流過程の視覚的認識の促進を保証する。同様に、オフセットパラメータOの除去は背景エコーパワー信号の寄与を抑制する。更に、コンピュータ画像のシークエンス420が着色して表示されると、コンピュータ画面のシークエンス420の読み取りは更に容易化され得る。
【0059】
次に、図5を参照すれば、本発明の別の(より洗練された)実施形態による方策を実施するのに用いることができるメイン・ソフトウェア、ハードウェアの構成が示される。それら構成は、総じて参照数字500として示される。(図2に示した要素に対応する要素については、同様の参照数字を付し、簡潔にするため、説明を省略する。)
【0060】
この場合においては、画像処理部225が(選択信号Selに基づいて)作成した、処理画像のシークエンスSIpが、値マスク生成部(value mask generator)505へ送られる。値マスク生成部505は、セル値に対する所定の閾値Thv(例えば、最大許容値の0ないし5%)をも受け取る。値マスク生成部505は、一連の値マスクSMvを生成する。値マスクはそれぞれ、セル値が閾値Thvよりも厳密に大きければ、論理値1を(各セルに)与え、さもなければ、論理値0を与えることで、対応する処理画像から、作成される。
【0061】
また、サブサンプリングされた画像のシークエンスSIsが(空間的サブサンプリング部215から)、また、パラメータマトリクスApが(曲線近似処理部218から)、品質評価部510へ入力される。各セルについて、品質評価部510は、近似精度指標(Quality of Fit (QOF)インデックス)を定める。QOFインデックスは、モジュール218が行う曲線近似処理の精度を示す。例えば、QOFインデックスは、次式から百分率で与えられる。
【数4】

ここで、SSE、および、SSTは、以下の様にして算定する。特に、項SSEは、サブサンプリングされた画像における値と、対応する(予測された)モデル関数の値との差の二乗の総和である。換言すれば、Siを、瞬間Ti(iは、1,...,N)において取得した入力画像に対応する、サブサンプリングされた画像のセルの値とし、かつ、Piを、同じ瞬間Tiにおけるモデル関数の値とし、
【数5】

と表される。項SSTは、サブサンプリングされた画像の同じ値と、その平均値(AVG)との差の二乗の総和であって、
【数6】

ここでは、
【数7】

である。明らかなことだが、QOFインデックスが大きければ大きいほど、曲線近似処理は、より精確である(インデックスは、100%を上限としており、これは、モデル関数と入手できる情報とが完全に一致することに対応する。)。
【0062】
このようにして、品質評価部510は、品質マトリクスAqを生成する。このマトリクスAqは、各セルについての、対応するQOFインデックスを含む。品質マトリクスAqは、品質マスク生成部515へ入力される。品質マスク生成部515は、QOFインデックスのための所定の閾値Thq(例えば、40%から60%の間)を受け取る。品質マスク生成部515は、品質マトリクスAqを、対応する品質マスクMqへ変換する。このために、品質マスク生成部515は、QOFインデックスが厳密に閾値Thqよりも大きければ、論理値1を、さもなければ、論理値0を、(各セルへ)割り当てる。
【0063】
乗算演算部520は、(値マスク生成部505から)一連の値マスクSMv、そして、(品質マスク生成部515から)品質マスクMqを、受け取る。演算部520は、各値マスクと品質マスクMqとを、セル毎に、乗算し、一連の対応する(総(トータル))マスクSMを生成する。このようにして得られた、マスクからなるセルは、処理画像のセル値が閾値Thvよりも小さいか、もしくは、対応するQOFインデックスが閾値よりも小さいThq場合に、論理値0を有し、さもなければ論理値1を有する。
【0064】
マスクSMのシークエンスは、さらに、乗算演算部525へ入力される。除算演算部525は、画像処理部225から処理画像のシークエンスSIpをも受け取る。演算部525は、各処理画像を、対応するマスクで、セル毎に乗算し、一連のマスクされた処理画像(マスク済処理画像)SMIpを得る。その結果、各マスク済処理画像は、対応する、閾値Thvよりも大きく、かつ、同時的に、そのQOFインデックスが閾値THqよりも大きい、処理画像のみを含む(他方、その他のセル値は、ゼロに再設定される。)。それから、マスク済処理画像SMIpのシークエンスは、量子化部227へ送られ、上述したように、空間補間部233から、対応する、マスクされたコンピュータ画像(マスク済コンピュータ画像)のシークエンスSMIcを得る。
【0065】
マスクのシークエンスSMはまた、逆変換部530へ入力される。逆変換部530は、(論理値0および1を交換することで、)対応する、逆変換したマスクSM_を生成する。それから、逆変換マスクSM_は、(空間補間部233とは独立して動作する)さらなる別の空間補間部535へ入力されて、(入力画像の1つと対応する)フルサイズの逆変換マスクへ復元される。この処理により、補間された逆変換マスク(補間逆変換マスク)のシークエンスSMiを得る。同時に、(画像選択部212が生成した)削減された、入力画像のシークエンスRSIiは、(線形化演算部214に加えて)画像複製部540へ入力される。画像複製部540は、また、(隣接したマスク済コンピュータ画像の各ペアの間の時間間隔を定める)サンプリング間隔Tsを受ける。利用可能な入力画像の各ペアの間の時間間隔が、マスク済コンピュータ画像のものよりも大きい場合、画像複製部540は、必要に応じて、最も近接した入力画像を複製し、削減された、入力画像のシークエンスRSIiへ新しい画像を1つ以上加え、入力画像の数と、コンピュータ画像の数とを一致させる。この操作は、(瞬間tjにおけるマスク済コンピュータ画像のそれぞれに対し、)同じ瞬間tjにおいて、取得あるいは複製された、対応する入力画像を保有することを目的とする。このようにして得た、(SItとして示す、)同期化された入力画像(同期化入力画像)は、乗算演算部545へ入力される。乗算演算部545は、空間補間部535から、補間逆変換マスクのシークエンスSMiをも受け取る。演算部545は、同期化入力画像を、対応する補間逆変換マスクで、画素ごとに、乗算し、マスクされた入力画像(マスク済入力画像)のシークエンスSMIiを得る。
【0066】
演算部550は、(空間補間部233からの)マスク済コンピュータ画像それぞれと、(乗算演算部530からの)対応する、マスク済入力画像とを、画素毎に、加算し、オーバーレイされた画像(オーバーレイ画像)のシークエンスSIoを得る。このようにして、関連付けられたコンピュータ画像の対応する値が顕著な値(即ち、閾値Thvよりも大きな値)を有し、かつ、受容できる程度の近似精度(即ち、QOFインデックスが閾値Thqよりも大きい)場合に限り、入力画像の各画素値について、関連付けられたコンピュータ画像の対応する値によって、差し替え(オーバーライド)が行われる。オーバーレイ画像のシークエンスSIoは、保存部(レポジトリ)236に格納され、それから、上述のとおりに再生を制御する再生部239へ入力される。
【0067】
このように、閾値Thv、Thqを調整すれば、元の画像に対する影響を最小限にとどめつつ、視覚化の品質を最適化することができる。さらに、注記すべきは、単に、閾値Thv、あるいは、閾値Thqをそれぞれゼロに設定するだけで、値マスク、および/または、品質マスクの利用を回避(コンピュータ画像に対して影響を及ぼさない、対応する、全てが1のマスクを取得)することができる点である。
【0068】
図6を参照すれば、同じ入力画像のシークエンス305に対し、上述の方策を適用した例が示される。特に、(閾値Thvを処理画像のシークエンスの最大値の1%に設定し、かつ、閾値Thqをゼロに設定することで、)上述のコンピュータ画像のシークエンス320は、対応するマスクのシークエンス605と関連付けられることができる。(図示しない、対応する補間逆変換マスクで乗算された)入力画像上に、(対応するマスクで乗算された)コンピュータ画像をオーバーレイすることで、オーバーレイ画像のシークエンス610を生成することができる。図より明らかだが、入力画像は、背景として、まだなお、視認可能である。従って、灌流過程の視覚的認識が、向上される。この点に関し、注記すべきは、閾値Thvが、コンピュータ画像のオーバーレイの度合いを定める点である。したがって、上記にて提案した値域(0ないし5%)であれば、コンピュータ画像に含まれる重要な情報は保存され、また、同時に、必要でない場合には、元の画像が差し替え(オーバーライド)されることを防ぐことができる。その結果、オーバーレイ画像のシークエンス610は、(先の実施形態で述べたように)灌流過程の視覚的認識の点で改善される。このことは、分析中の身体部位の実態を表示することにもあてはまる。
【0069】
図7を参照すると、本発明のさらに別の実施形態による方策を実施するのに用いられるメイン・ソフトウェアおよびハードウェアの構成要素が、総じて参照数字700として示されている。簡単化のため、本発明の実施形態における追加的な特徴を、図2に提示した構造を参照し、説明する。(ここでは、対応する要素は、同様の参照数字を付し、説明を省略する。)しかしながら、同様の特徴を、図5を参照して説明した、さらに洗練された実装例に対して追加することも可能であることを、明記する。
【0070】
特に、描画モジュール705を用いて、画像選択部212が保存部(レポジトリ)209から選択した1つの入力画像上に、参照領域、画定領域、および、分析領域を定める。参照領域は、(例えば、健常であるとみなされる組織領域の輪郭を描き(アウトライニング)、)特性がよく定まっている区域を表す。他方、画定領域は、(例えば、病巣である疑いがある、あるいは、病巣であることがわかっている組織領域の輪郭を描き、)灌流過程の関心領域(ROI)を定める。また、分析領域は、画定領域内の、分析に選ばれた領域を定める。この操作は、(参照領域について)参照マスクMr、(画定領域について)画定マスクMd、(分析領域について)分析マスクMaを生成する。各マスクMr、Md、Maは、入力画像と同一の大きさの二値のマトリクスを有する。3つのマスクMr、Md、Maそれぞれにおいては、それぞれの対応する領域内部における二値には、論理値1が与えられ、対応する領域の外部における二値には、論理値ゼロが与えられる。
【0071】
乗算演算部710は、(上述のとおり、画像選択部212が削減した)入力画像のシークエンスRSIi、および、画定マスクMdを受け取る。演算部710は、各入力画像を、画定マスクMdで、画素毎に乗算し、画定領域の外側の画素値を全てゼロに再設定する(なお、その余の画素値は、変化しない。)。削減された、入力画像のシークエンスは、更新され、(プライム符号即ちRSIi’で区別され、)それから、線形化演算部214へ入力され、上述の操作が繰り返される。この場合、画像処理部225が(画定領域全体について)作成した処理画像SIpは、対応する(図示しない)保存部(レポジトリ)へ保存されることが好ましい。従って、同じ情報を用いて(後述する)別の分析領域に用いてもよい。該分析領域は、(再計算せずに)同じ画定領域内部に描かれる。
【0072】
代わりに、参照マスクMrおよび分析マスクMaは、画像選択部212が、簡単化空間サブサンプリング部715へ入力する。特に、空間サブサンプリング部715は、(空間サブサンプリング部215が線形化画像をサブサンプリングするのと同様にして、)参照マスクMrおよび分析マスクMaを、サブサンプリングされた参照マスク(サブサンプル参照マスク)Msrおよびサブサンプリングされた分析マスク(サブサンプル分析マスク)Msaにそれぞれ分割する。だが、この場合、サブサンプルマスクMsrおよびMsaの各セル値は、丸められ(rounded off)、それらが常に値0または1しか有さないようにされる。
【0073】
平均演算部720は、サブサンプル参照マスクMsr、および、(空間サブサンプリング部215から)サブサンプリングされた画像SIsのシークエンスを受け取る。平均演算部720は、対応する、平均値のシークエンスSVaを生成する。このために、平均演算部720は、サブサンプリングされた画像のそれぞれを、サブサンプル参照マスクMsrで、セル毎に乗算する。サブサンプリングされた画像のそれぞれに対し、このようにして得た値を、バッファにおいて加算する。対応する平均値は、バッファにおける最終的な値を、サブサンプル参照マスクMsrにおけるノンゼロの値の数で除算して得る。このように、各平均値は、対応するサブサンプリングされた画像の参照領域のセル値の平均である。
【0074】
(曲線近似処理部218と全く同じ)さらに別の曲線近似処理部725は、平均値のシークエンスSVaを、(パラメータで定義される)関連するモデル関数のインスタンス(例)と関係付けする。曲線近似処理部725は、このようにして、(参照領域全体について)これらパラメータの最適値を生成する。最適値は、Vpと称される。パラメータ値Vpは、評価部730へ入力される。評価部730は、また、(隣接する処理画像の各ペアの間の時間を定める)サンプリング間隔Tsも受け取る。評価部730は、参照値のシークエンスSVrを生成する。この値は、画像処理部225が作成した処理画像SIpのシークエンスと同期化される。より具体的には、各瞬間Tj=j×Tsについて、評価部730が、参照値を、対応する、パラメータ値Vpで定めるモデル関数の瞬間の値に設定する。
【0075】
並行的に、乗算演算部735は、(空間サブサンプリング部715から、)サブサンプル分析マスクMsa、および、(画像処理部225から、)処理画像SIpのシークエンスを受け取る。演算部735は、処理画像をそれぞれ、サブサンプル分析マスクMsaで、セル毎に乗算し、対応する、分析画像のシークエンスSIaを生成する。このように、各分析画像は、対応する処理画像の(サブサンプル分析マスクMsaが定める)分析領域内部のセル値のみを有し、その余のセル値は、ゼロに再設定される。
【0076】
減算演算部740は、(乗算演算部735から)分析画像のシークエンスSIa、および、(評価部730から)参照値のシークエンスSVrを受け取る。これらは、互いに同期している。演算部740は、分析画像のシークエンスSIaの各瞬間について、対応する分析画像のセル値から、参照値を減算する。この操作は、対応する、更新された処理画像(更新処理画像)のシークエンスを生成する。更新処理画像は、プライム符号(即ち、SIp’)で区別される。処理画像のシークエンスSIp’は、量子化部227へ入力され、先述と同様の操作が繰り返される。
【0077】
提案にかかる、本発明の実施形態は、参照領域の灌流の動力学との比較で、被験中の身体部位の分析領域の灌流の動力学の差違を強調する点で、有利である。このことは、特に、いくつかの病変を識別することを、容易にする。例えば、この手法は、特に、肝臓疾患における動的血管パターン(dynamic vascular pattern(DVP))の特徴付け(キャラクタリゼーション)を容易化する点において、有用である。実際、いくつかの肝臓疾患は、異なる造影剤の灌流の動力学を誘起する。これは、一般に、健常な実質(parenchyma)において観察される灌流の動力学とは異なる。これらの異なる動力学は、例えば、ボーラス投与される造影剤の洗入フェーズおよび洗出フェーズの間においても、よく認められる。
【0078】
上述の方策の適用例を、図8に示す。特に、この適用例も、造影剤の意図的な破壊を伴わないボーラス投与に関する。一連の入力画像は、血管過剰造生転移反応を示す肝臓の灌流過程において超音波スキャナを用いて取得された。このシークエンスは、復調および対数圧縮後の結果で示されており、805と称する(簡単のため、3.2秒ごとに1枚の入力画像のみを示す。)。健常(正常)な実質であると考えられる参照領域810は、選択した1つの入力画像内に、演算部によって描画される。(そして、本例に含まれる他のあらゆる入力画像に複写(reproduce)される。)また、演算部は、分析領域815を選択する。これは、血管過剰造生転移反応が疑われるものを特定し、画定する。
【0079】
曲線820(リファレンス(Reference))は、参照領域810内で、入力画像のシークエンスの(線形化)画素値の平均をとって、求められる。この参照値のシークエンスは、(問題としている例においては、対数正規分布関数を含む)適切なモデル関数のインスタンス(例)で近似される。対応するグラフ表現は、図中、825(近似リファレンス(Fitted reference))で示される。本図はまた、曲線830(データ(Data))も示す。この曲線は、セル値のシークエンスの例を表す。これは、分析領域815内部であって破線矢印832で指されるセルについての、対応する線形化画素値を平均化して得る。このセル値のシークエンスは、同じモデル関数の別のインスタンス(例)で近似される。このインスタンスのグラフ表現は、図中、835(近似データ(Fitted data))で示される。
【0080】
この場合、コンピュータ画像は、(各セルにおいて、)対応するモデル関数の値の、同じ瞬間における参照値との差を求めることで、生成される。例えば、破線矢印832で指されるセルについて考察すると、所望の値は、モデル関数825からモデル関数835を減算して求められる。これらのセル値のシークエンスを示す曲線は、図中、840(近似データマイナス近似リファレンス(Fitted data − Fitted reference))で示される。
【0081】
明らかなことだが、この操作の結果は、2つのモデル関数825および835の瞬時的な値により、正、あるいは、負、となり得る。特に、この差は、(分析領域についての)モデル関数835の値が、対応する参照値(即ち、同じ瞬間における参照領域内の画素値の平均に同じ。)と実質的に同じ場合には、およそゼロとなる。逆に、差は、モデル関数835の値が、対応する参照値よりも大きい場合には、正であり、その他の場合には、負である。それから、上述のようにして得たセル値は、双極性パレット参照テーブル(bi−polar palette look−up table)845に基づいて、(問題としている例においては、グレースケール形式で)表示される。従って、各セル値は、モデル関数835の値が対応する参照値と実質的に同じ場合には、中間的な階調レベル(intermediate gray lebel)にある。他方、画素は、モデル関数835の値が、対応する参照値よりも大きいか、あるいは、小さい場合には、それぞれ、もっと明るいか、もっと暗い。上述のようにして作成された(入力画像と同じ瞬間における)コンピュータ画像のシークエンスの例は、850で示される。
【0082】
問題としている例においては、血管過剰造生転移反応が、早い時刻(4sと9sの間)において、明るい階調レベルとして現れている。そして、それは、後に(およそ10s以降)に、もっと暗い階調レベルに転ずる。このような挙動は明らかに、画素は、中間的な階調レベルに留まる、健常な(正常な)実質の領域における挙動と異なる。従って、本発明の実施形態によって肝臓を画像化することにより、異なる肝臓の病変のDVPを、処理せずに表示する場合よりも、ずっとはっきりと目立たせることができる。
【0083】
<変形例>
当然ながら、特定部分の、および、特有の、要求を満たすように、当業者であれば、上述の方策に、様々な変形、変更を加えることが可能であろう。特に、本発明は、その好適な実施形態を参照し、ある程度においては、詳細に説明したが、他の実施形態同様、形態および詳細について、様々な省略、置換、変更、が可能である。さらには、特に強調するが、本発明の、開示した実施形態と関連して説明した、特定の要素、および/または、方法の工程(ステップ)は、一般的な設計上の選択として、他の実施形態に組み込むことができる。
【0084】
特に、超音波スキャナが異なる構造や他のユニットを有するならば、同様の配慮がなされる。加えて、均等な造影剤を使用することも可能であるし、また、(破壊用のフラッシュを伴って、あるいは、伴わずに、)身体部位に別の方法で灌流させてもよい。同様、画像を、異なる形式(フォーマット)で取得してもよい。画素は、別の値を指し示してもかまわない。あるいは、画素値のマトリクスの一部分だけ(さらに一般的には、複数の別の視覚化値)を考慮してもよい。
【0085】
さらには、本発明の原理は、記載したモデル関数に限定されない。例えば、破壊用のフラッシュを伴う灌流過程においては、(WO−A−2004/110279に記載のように)S字形状関数で、対応するセル値のシークエンスを近似させることも可能である(WO−A−2004/110279の記載は全て、参照により本願に含まれる。)。あるいは、(ウェイら(Wei et al.)による論文に記載されるように)単一指数関数で、近似させることも可能である。また、その他の関数で、近似させることも可能である。
【0086】
当然のことだが、モデル関数の適切なインスタンスを、セル値のシークエンスと関連付けるための他の均等な手法(例えば、ニューラル・ネットワークに基づく手法)も、批判に耐えられる(tenable)ものである。さらには、本発明は、利用可能な情報をオフラインで分析する形態を、特に参照して説明してきたが、本願は、実時間(リアル・タイム)での利用を排除するものではない。例えば、本発明の、他の実装例においては、有効な曲線近似を適用できる入力画像のサブセット(例えば、10枚といった、7枚ないし12枚の入力画像群)を得て、直ちに入力画像を処理する。その後、入力画像のサブセットの各セルを、選択されたモデル関数の、対応するインスタンスと関連付ける。そうすることで、(処理の最初のほうで)第1のコンピュータ画像を計算することが可能になる。この画像は、第1の入力画像にオーバーレイされる。このようにして得た第1のコンピュータ画像は、次に、上気したようにして表示される。この表示は、対応する入力画像を実際に取得した瞬間に対し、ほんの僅かな遅延しか伴わない。(つまり、問題にしている例においては、入力画像の取得のレートを10Hzとして、10÷10Hz=1s、1秒後。)その後は、同様の操作が、取得した新しい入力画像に対して繰り返される。このため、モデル関数は、新しく利用可能になった情報に基づいて、処理の反復(イタレーション)毎に、再計算される。この結果は、それまでに取得した全ての入力画像について考慮される。(よって、実現可能な最善の精度が得られる。)あるいは、曲線近似の処理を、常に、利用可能な入力画像の最後部10枚のみに対して適用してもよい。(よって、精度が犠牲になるものの、処理速度が向上される。)両ケースともに、モデル関数は、3次スプラインフィルタ、あるいは、メジアンフィルタの形式を有することが好ましい。そうすることで、計算の複雑さは、実時間的な使用にも対応可能な程度に、緩和される。
【0087】
同様の考慮を、コンピュータ画像(もしくはオーバーレイ画像)の印刷、あるいは、より一般的に、表示、について、他の形式を用いる点について、してよい。
【0088】
あるいは、参照領域、および/または、分析領域の選択を、別の手順で行うことも可能である。また、参照領域を、別の規準に基づいて選択してもよい。さらには、明らかなことだが、画定領域を定めることは、必ずしも必要ではない。そして、画定領域は、いくつかの実装例においては、省略可能である。さらには、参照値を、他の均等な手順で求めてもよい。例えば、参照領域の画素値を統合整理(consolidate)し、それから、結果として得た平均値のシークエンスを、(上述のように)所望のモデル関数の適切なインスタンスと関連付けすれば、コンピュータ計算にとっては有利である。だが、ここでは、操作(演算)の順序の逆転可能性について考慮している。詳しく言えば、参照領域の全てのセル値は、対応するモデル関数と、関連付けすることができる。各瞬間において、これらのモデル関数は、評価され、結果として得た値の平均を算出する。
【0089】
いずれのケースにおいても、(例えば、相関、デコンボリューション、あるいは、スペクトル解析といった)別のアルゴリズムを用いて、利用可能な情報を、参照値に統合整理することを妨げない。
【0090】
さらには、分析領域および参照値に関連する、瞬時的な関数値は、(例えば、加算、乗算、除算といった)別の方法で、組み合わせられてよい。
【0091】
上記説明においては、参照モデルの、特定の瞬時的な関数値を参照している。しかし、本願は、そのような点について、限定されるべきものではない。例えば、分析領域については、瞬時的な関数値をベースとし、参照領域について、もしくは、分析領域と参照領域の両方については、関連付けられるモデル関数の導関数をベースとすることができる。さらには、別の形式の、瞬時的な関数値の組み合わせも可能である。複数のモデル関数の瞬時的な関数値から、直接的に(参照値どうしを組み合わせることなしに、)コンピュータ画像を生成するような、本発明の実施形態についても、同様な考察が可能である。より一般化すれば、本発明にかかる方策(ソリューション)は、何らかの瞬時的な関数値より求まる属性あるいは属性の組み合わせの時間発展を記述するのに、用いることが可能である。ここで、瞬時的な関数値は、関連する瞬間におけるモデル関数から算出される。
【0092】
あるいは、空間サブサンプリング部は、各入力画像を、大きさが異なるセルに分割してもよい。このことは、例えば、(四分木分解法(quadtree decomposition)といった)多重スケール解析法を用いて実現することができる。このような場合であっても、所望のモデル関数を用いた近似を、(1つの画素(ピクセル)/ボクセルの大きさまでの)任意の大きさのセルについて実施することができる。
【0093】
あるいは、入力画像を線形化する工程を、空間サブサンプリングおよび曲線近似の前から省略してもよい。そして、このような場合には、可能な別の、より適した、モデル関数を、曲線近似処理部において使用してもよい。加えて、動き報償を、入力画像のシークエンスに対して適用し、モデル関数による近似の精度を向上させてもよい。
【0094】
コンピュータ画像を、均等なアルゴリズムを用いて入力画像にオーバーレイする場合にも、同様の考察が可能である。いかなる場合においても、上述のとおり、(入力画像にオーバーレイせずに、)コンピュータ画像を直接的に表示するような、本発明にかかる簡単化された実施形態は、実施可能である。
【0095】
本発明の別の実施形態においては、値マスクを作成するための閾値は、別の値に設定されてよい。あるいは、コンピュータ画像のセル値の統計的解析から動的に求めてもよい。
【0096】
あるいは、曲線近似処理の精度を、(例えば、対応する差の単純平均といった)別の指標を用いて定めてもよい。さらには、この場合においては、該精度マスク(品質マスク)を作成するための閾値も、別々の複数の値に設定してもよい(動的に求めてもよい。)。
【0097】
さらには、値マスクのみ、もしくは、品質マスクのみ、をサポートしてもよい。いずれの場合においても、全てのコンピュータ画像を、直接的に入力画像と合算することは(いかなるマスクの使用なしに)可能である。
【0098】
モデル関数からオフセットを除去しないような実装例も、本発明の範囲に含まれる。
【0099】
処理された画像のセル値を、いかなる数の範囲からなる範囲群に(非線形的な分布を示していようと、)区分けし、対応する色と関連付けをするような場合に対しても、同様の考察が可能である。さらには、注記すべきは、本願明細書で用いる用語、色(カラー(color))は、異なる色調(トーナリティ(tonalities))や、その他の視認可能な手掛かり(クルー)(visual clues)も含める意図で使用されている。だが、本発明は、コンピュータ画像の白黒表現や、グレースケール表現についても、同様に適用可能である。
【0100】
あるいは、削除する入力画像の選択は、(モデル関数による近似の精度を最適化することを目的とする)別のアルゴリズムで実施することも可能である。いずれの場合においても、モデル関数で近似を行う際に利用可能な全ての入力画像を使用することを妨げるものではない。
【0101】
同様に、入力画像のシークエンスのレートを、コンピュータ画像のシークエンスのレートと等しくするために、補間、補外、デシメーションといった、別の画像複製手法を用いることができる。本発明に原理から逸脱することなしに、入力画像のシークエンスとコンピュータ画像のシークエンスに、任意のタイミングを与えることができる。入力画像上にコンピュータ画像をオーバーレイすることも、両画像の時間の同期性とは無関係に実施することができる。
【0102】
いずれの場合においても、画像プローブは、(例えば、リニア−、コンベックス−、フェーズド−、アレイ型といった)別種のタイプを用いることができる。また、入力画像を、別のモダリティで(例えば、ドプラ法ベースのアルゴリズムを用いて)撮画してもよい。あるいは、医療用画像システムは、超音波スキャナと、別個のコンピュータ(あるいは、均等なデータ処理体)と、を備えてよい。このような状況においては、計測されたデータは、超音波スキャナからコンピュータへ、(例えば、リムーバブルディスク、メモリ・キー、もしくは、ネットワーク接続体を介して)転送され、処理される。
【0103】
いずれの場合においても、本発明にかかる方策(ソリューション)は、例えば、磁気共鳴画像映像法(MRI)やX線コンピュータ撮影法(CT)ベースの、あらゆる医療号画像システムにおける利用に供されうる。
【0104】
(本発明にかかる実施形態の実施に用いられる)プログラムが別の方法で構成されていたり、追加的なモジュールや機能が付されていたりするような場合も、同様の考察は、可能である。同様に、メモリの構造が別種のものであるとか、メモリの構造が(かならずしも物理的記憶媒体を伴わない)等価物と置き換えられていても、同様の考察は可能である。さらには、ここで提案している方策(ソリューション)を、(同様の工程、もしくは、追加的な工程、を備え、順序が異なるような)均等な方法で実施することもできる。いずれの場合においても、プログラムは、利用に適したいかなる形態を備えてもよいし、また、外部のソフトウェアもしくは常駐ソフトウェア、ファームウェア、(オブジェクト・コードもしくはソース・コードのいずれかの)マイクロコードといった、いかなるデータ処理系と接続されてもよい。さらには、本プログラムは、コンピュータが利用可能な、いかなる媒体で供されてもよい。当該媒体は、プログラムを、保持、格納、通信、配布、あるいは、転送することに適したいかなる要素であってもよい。このような媒体の例としては、(プログラムを予めロードしておくことが可能な)固定ディスク、リムーバブルディスク、テープ、カード、ワイヤ、ファイバ、無線通信、ネットワーク、磁気的、光学的、電磁的、もしくは、半導体といった形式がある。
【0105】
いずれの場合においても、本発明にかかる方策(ソリューション)は、(例えば、半導体材料のチップに統合された)ハードウェア構成、または、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせにより、実用に供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明の実施形態によるソリューションにおいて利用可能な超音波スキャナの図
【図2】本発明の実施形態によるソリューションを実施することができるソフトウェアおよびハードウェアの主たる構成要素の図
【図3】本発明の実施形態によるソリューションの適用例を示す図
【図4】同じ本発明の実施形態によるソリューションの適用別例を示す図
【図5】別の本発明の実施形態によるソリューションを実施することができるソフトウェアおよびハードウェアの主たる構成要素の図
【図6】本発明の実施形態によるソリューションの適用例を示す図
【図7】さらに別の本発明の実施形態によるソリューションを実施することができるソフトウェアおよびハードウェアの主たる構成要素の図
【図8】本発明の実施形態によるソリューションの適用例を示す図
【符号の説明】
【0107】
100 ・・・ 医療用画像システム
105 ・・・ 中央ユニット
110 ・・・ 画像プローブ
115 ・・・ マザーボード
120 ・・・ ドーターボード
125 ・・・ ドライブ
130 ・・・ リムーバブルディスク
135 ・・・ モニタ
140 ・・・ キーボード
145 ・・・ トラックボール
150 ・・・ 身体部位
155 ・・・ 患者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用画像システムであって、
記録された入力画像群のシークエンスを提供する手段であって、各入力画像は造影剤が灌流される身体部位の対応する瞬間におけるデジタル表現であり、前記各入力画像は複数の視覚化値を含み、各視覚化値は前記身体部位の対応する部分を表す、手段(203−212)と、
少なくとも1つの視覚化値を含む、前記入力画像群からの対応するセットからなるシークエンスのそれぞれを、時間に関するモデル関数と、関連付ける手段(214−218)と、を有し、
さらに、更に別の瞬間におけるコンピュータ画像群のシークエンスを生成する手段であって、各コンピュータ画像は複数の更に別の視覚化値を含み、各更に別の視覚化値は瞬時的な関数値から定まり、前記対応する更に別の瞬間における前記関連付けられたモデル関数より前記瞬時的な関数値を算出する、手段(225−233、705−740)と、
前記コンピュータ画像群のシークエンスを表示する手段(239−242)と、を有する医療用画像システム。
【請求項2】
前記コンピュータ画像群のシークエンスを生成する手段(225−233、705−740)は、
前記入力画像群内に参照領域を選択する手段(705)と、
前記更に別の瞬間における参照値群のシークエンスを生成する手段であって、各参照値は前記対応する更に別の瞬間における前記参照領域の前記視覚化値と関連付けられた前記モデル関数から算出される他の瞬時的な関数値に基づく、手段(715−730)と、
前記対応する更に別の瞬間における前記瞬時的な関数値および前記参照値に基づいて更に別の視覚化値を設定する手段(735−740)と、
を備える、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項3】
前記参照値群のシークエンスを生成する手段は、前記対応する更に別の瞬間における前記他の瞬時的な関数値の平均に基づいて各参照値を設定する手段(725−730)、
を備える、請求項2に記載のシステム(100)。
【請求項4】
前記更に別の視覚化値を設定する手段は、前記対応する更に別の瞬間における前記瞬時的な関数値から、前記参照値を減算する手段(740)、
を備える、請求項2または3に記載のシステム(100)。
【請求項5】
各瞬時的な関数値、および/または、各他の瞬時的な関数値は、前記対応する更に別の瞬間における前記関連付けられたモデル関数の値と一致する、
請求項2ないし4のいずれか1つに記載のシステム(100)。
【請求項6】
各瞬時的な関数値、および/または、各他の瞬時的な関数値は、前記対応する更に別の瞬間における前記関連付けられたモデル関数の積分と一致する、
請求項2ないし5のいずれか1つに記載のシステム(100)。
【請求項7】
前記コンピュータ画像群のシークエンスを決定する手段(225−233)は、各更に別の視覚化値を、前記瞬時的な関数値へ設定する手段(225)を備え、
前記瞬時的な関数値は、前記対応する更に別の瞬間における前記関連付けられたモデル関数の前記値と一致する、
請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項8】
前記コンピュータ画像群のシークエンスを生成する手段(225−233)は、各更に別の視覚化値を、前記瞬時的な関数値へ設定する手段(225)を備え、
前記瞬時的な関数値は、前記対応する更に別の瞬間における前記関連付けられたモデル関数の前記積分と一致する、
請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項9】
各少なくとも1つの視覚化値を含むセットは、単一の画素値、単一のボクセル値、複数の画素値、または、複数のボクセル値、を含む、
請求項1ないし8のいずれか1つに記載のシステム(100)。
【請求項10】
前記関連付ける手段(214−218)は、各入力画像を線形化して前記各入力画像の視覚化値それぞれを、前記身体部位の前記対応する部分における前記造影剤の濃度と、実質的に比例させる手段(214)、
を備える、請求項1ないし9のいずれか1つに記載のシステム(100)。
【請求項11】
さらに、前記コンピュータ画像群のシークエンスを前記入力画像群のシークエンスにオーバーレイし、オーバーレイ画像群のシークエンスを生成する手段(505−550)と、
前記オーバーレイ画像群のシークエンスを表示する手段(239−242)と、
を有する、請求項1ないし10のいずれか1つに記載のシステム(100)。
【請求項12】
前記オーバーレイ画像群のシークエンスを生成する手段(505−550)は、閾値に満たない更に別の視覚化値それぞれを再設定する手段(505、520−550)、
を備える、請求項11に記載のシステム(100)。
【請求項13】
前記オーバーレイ画像群のシークエンスを生成する手段(505−550)は、
各関連付けの質を示す指標を推定する手段(510)と、
更に別の閾値に満たない前記対応する指標を有する、更に別の視覚化値それぞれを再設定する手段(515、520−550)と、
を備える、請求項11または12に記載のシステム(100)。
【請求項14】
前記コンピュータ画像群のシークエンスを生成する手段(225−233)は、さらに、前記関連付けられた関数から、オフセットを除去する手段(225)、
を備える、請求項1ないし13のいずれか1つに記載のシステム(100)。
【請求項15】
前記コンピュータ画像群のシークエンスを生成する手段(225−233)は、
さらに、複数の所定の色を、対応する前記更に別の視覚化値の値域と関連付ける手段(230)と、
各更に別の視覚化値を、前記対応する色に関する表現で置き換える手段(227)と、
を備える、請求項1ないし14のいずれか1つに記載のシステム(100)。
【請求項16】
前記入力画像群のシークエンスを提供する手段(203−212)は、前記入力画像群に含まれる入力画像の少なくとも1つを除去する手段(212)、
を備える請求項1ないし15のいずれか1つに記載のシステム(100)。
【請求項17】
前記入力画像群のシークエンスのレートは、前記コンピュータ画像群のシークエンスのレートよりも低い、
請求項1ないし16のいずれか1つに記載のシステム(100)。
【請求項18】
前記オーバーレイ画像群のシークエンスを生成する手段(505−550)は、少なくとも1つの更に別の入力画像を、前記入力画像群のシークエンスへ挿入する手段であって、前記入力画像群のシークエンスの前記レートを、前記コンピュータ画像群のシークエンスの前記レートと等しくし、各コンピュータ画像は、対応する入力画像にオーバーレイされる、手段(540)、
を備える、請求項11ないし16のいずれか1つに従属する請求項17に記載のシステム(100)。
【請求項19】
前記入力画像群のシークエンスを提供する手段(203−212)は、前記身体部位から、連続的に前記入力画像群を取得する手段(203)、
を備える、請求項1ないし18のいずれか1つに記載のシステム(100)。
【請求項20】
前記入力画像群を取得する手段(203)は、超音波を送信する手段および対応するエコー信号を記録する手段(110)、
を備える、請求項19に記載のシステム(100)。
【請求項21】
医療用画像法(200、500、700)であって、
記録された入力画像群のシークエンスを提供するステップであって、各入力画像は造影剤が灌流される身体部位の対応する瞬間におけるデジタル表現であり、前記各入力画像は複数の視覚化値を含み、各視覚化値は前記身体部位の対応する部分を表す、ステップ(203−212)と、
少なくとも1つの視覚化値を含む、前記入力画像群からの対応するセットからなるシークエンスのそれぞれを、時間に関するモデル関数と、関連付けるステップ(214−218)と、を有し、
さらに、更に別の瞬間におけるコンピュータ画像群のシークエンスを生成するステップであって、各コンピュータ画像は複数の更に別の視覚化値を含み、各更に別の視覚化値は瞬時的な関数値から定まり、前記対応する更に別の瞬間における前記関連付けられたモデル関数より前記瞬時的な関数値を算出する、ステップ(225−233、705−740)と、
前記コンピュータ画像群のシークエンスを表示するステップ(239−242)と、を有する医療用画像法。
【請求項22】
コンピュータ・プログラム(200、500、700)であって、
データ処理システム(105)において実行され、
請求項21に記載の方法を実行する、
コンピュータ・プログラム。
【請求項23】
コンピュータ・プログラムを具象化するコンピュータが利用可能な媒体を有するコンピュータ・プログラム製品であって、
前記コンピュータ・プログラムは、データ処理システムにおいて実行されることにより、前記システムに、医療用画像法を実行させ、
前記医療用画像法は、
記録された入力画像群のシークエンスを提供するステップであって、各入力画像は造影剤が灌流される身体部位の対応する瞬間におけるデジタル表現であり、前記各入力画像は複数の視覚化値を含み、各視覚化値は前記身体部位の対応する部分を表す、ステップと、
少なくとも1つの視覚化値を含む、前記入力画像群からの対応するセットからなるシークエンスのそれぞれを、時間に関するモデル関数と、関連付けるステップと、
更に別の瞬間におけるコンピュータ画像群のシークエンスを生成するステップであって、各コンピュータ画像は複数の更に別の視覚化値を含み、各更に別の視覚化値は瞬時的な関数値から定まり、前記対応する更に別の瞬間における前記関連付けられたモデル関数より前記瞬時的な関数値を算出する、ステップと、
前記コンピュータ画像群のシークエンスを表示するステップと、を備える、
コンピュータ・プログラム製品。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図7】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−535600(P2008−535600A)
【公表日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−505901(P2008−505901)
【出願日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際出願番号】PCT/EP2006/061578
【国際公開番号】WO2006/108868
【国際公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(398063065)ブラッコ・リサーチ・ソシエテ・アノニム (13)
【氏名又は名称原語表記】BRACCO RESEARCH S.A.
【Fターム(参考)】