説明

包装箱

【課題】組立てが容易で、しかも一方の側板に対して直角方向に高い耐衝撃性を有するトレー状包装箱を提供する。
【解決手段】底板10の短辺側側板26を、長辺側側板10の側端に形成された折返し片36の先端部に折曲げ可能に連設し、この短辺側側板26の上端に形成された上面板28を、その両側の係止片30を長辺側側板12と内側側板14との間の2重の折曲げ線13間に形成された係止孔31に挿入して係止したものであって、短辺側側板26の外側に折返し片36の長さに相当する衝撃吸収空間を形成するようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は包装箱に係り、とくに底板の互いに対向する側縁にそれぞれ側板を折曲げ可能に連設し、該側板を前記底板に対して直角に折曲げるようにした包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば野菜や果物を収納するためのトレー状の包装箱として、実用新案登録2546325号公報や実開昭63−177215号公報に開示されているような上面が開放されてトレー型に構成された包装箱が提案されている。このような包装箱は、上部が開放されてトレー型に構成されるとともに、何段にも積重ねるようにし、しかも内部に収納された野菜や果物の保護を図るようにしたものである。なお前者の包装箱はトマトの収納に好適に用いられ、後者の包装箱は、ブドウのケースに好適に用いられる。
【0003】
従来のこのような包装箱と類似の他の包装箱の一例を、図1および図2によって説明する。図1はこの従来の包装箱を組立てるための段ボール原紙を展開して示したものであって、ほぼ長方形に打抜かれた段ボールのほぼ中央部に底板10が配置される。底板10の長辺側の部分には折曲げ線11を介して長辺側側板12が折曲げ可能に連設される。そして長辺側側板12の上端縁には2重の折曲げ線13を介して内側側板14が折曲げ可能に連設される。また長辺側側板12の両側端には折曲げ線15を介して補助板16が連設され、内側側板14の両端には折曲げ線17を介して補助板18が連設されるようになっている。しかも内側側板14の先端であって組立てられたときに底板10に接する先端部には一対の突部19が形成されている。このような突部19を受入れる一対のスリット状係止孔20が底板10と長辺側側板12との間の折曲げ線11に沿って形成される。また内側側板14の先端側の部分の補助板18には、互いに逆方向に切込まれた切込み21、22がそれぞれ形成されている。
【0004】
次に底板10の短辺側の部分には折曲げ線25を介して短辺側側板26が連設されている。短辺側側板26の先端部には折曲げ線27を介して上面板28が連設される。上面板28の両側にはそれぞれ折曲げ線29を介して係止片30が連設される。係止片30は、組立てられたときに上記長辺側側板12と内側側板14との間の2重の折曲げ線13間の係止孔31に係止されるようになっている。
【0005】
次に図1に示す段ボールを組立ててトレー状の包装箱を形成する動作を図2を参照して説明する。底板10に対してその両側の折曲げ線11によって長辺側側板12を直角に折曲げる。そして長辺側側板12を折曲げた後に、両側の折曲げ線15によって補助板16を底板10の短辺側に沿うように直角に折曲げる。そしてこの後に2重の折曲げ線13によって内側側板14を長辺側側板12に対してその内側に重合うように折曲げる。そしてさらに折曲げ線17によって補助板18を、上述の補助板16の内側に重合うように折曲げるとともに、両側の補助板18の係合用切込み21、22を互いに係合させるようにし、これによって両側の補助板18を連結する。そしてこの後に、折曲げ線25によって短辺側側板26を底板10の短辺に対して直角に折曲げるとともに、さらに折曲げ線27によって上面板28がこの包装箱の上面を塞ぐように折曲げる。このときに折曲げ線29によって係止片30を直角に折曲げるようにし、係止片30を長辺側側板12と内側側板14との間の2重の折曲げ線13間の係止孔31に挿入して上面板18を折曲げた状態で係止する。このようにしてトレー状の包装箱が組立てられる(図2参照)。
【0006】
このようなトレー状の包装箱は、とくに底板10の短辺側の部分の緩衝効果を、短辺側側板26、補助板16、補助板18の3重構造によって達成するようにしていた。これによって底板10の長辺と平行な方向であって短辺側側板26と直角の方向の衝撃から内容物である野菜や果物の保護を図るようにしていた。
【0007】
しかるに上記のような構造は、とくに底板10の短辺側側板26に対して直角方向の衝撃を吸収する能力が十分ではなく、必ずしも内部の野菜や果物が保護されるとは限らなかった。また組立ての際に、短辺側側板26の内側に両側から補助板16、18をそれぞれ折曲げて重合わせるようにし、とくに箱の最も内側に配される補助板18の係合用切込み21、22を互いに上下から係合させて組立てる必要があった。従って組立て工数を要する欠点があった。また上面板28を折曲げる際に両側の係止片30を正しく両側の係止孔31に一緒に挿入するために、両手で組立て作業を行なう必要があった。すなわちこの種のトレー状の包装箱は、図1に示すように展開した状態で供給され、野菜や果物を収納する際に、図2に示すように組立てるようにしており、このために収納時に組立作業を行なう必要があった。従ってこのことから、とくに短辺側側板26の内側における補助板16、18の組立てや上面板28の係止片30の係止動作が、作業性を損なう問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実用新案登録第2546325号公報
【特許文献2】実開昭63−177215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本願発明の課題は、外部からの衝撃から、内容物を保護することができる包装箱を提供することである。
【0010】
本願発明の別の課題は、内部に野菜や果物を収納するための上部が開放されたトレー状の包装箱であって、内部に収納された物品を側方からの衝撃から保護するようにした包装箱を提供することである。
【0011】
本願発明のさらに別の課題は、組立て作業が容易に行なわれるようにした包装箱を提供することである。
【0012】
本願発明のさらに別の課題は、内部に物品を収納する際に、その直前に工数の少ない作業で容易に組立てることができるようにした包装箱を提供することである。
【0013】
本願発明の上記の課題および別の課題は、以下に述べる本願発明の技術的思想、およびその実施の形態によって明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願の主要な発明は、底板の互いに対向する側縁にそれぞれ側板を折曲げ可能に連設し、該側板を前記底板に対して直角に折曲げるようにした包装箱において、
前記底板の側縁と前記側板の下端縁との間に折返し片を連設し、該折返し片を前記底板と重合うように内側に折返し、前記折返し片の先端部に対して前記側板を直角に折曲げて前記側板の外側に前記折返し片の長さに相当する衝撃吸収空間を形成するようにした包装箱に関するものである。
【0015】
ここで、前記底板の短辺側の互いに対向する側縁にそれぞれ折返し片が連設され、前記底板の短辺側側板の外側に衝撃吸収空間が形成されてよい。また前記折返し片が予め底板の側縁の上面に折返されて糊付けされて他の部分が展開された状態で供給されてよい。また前記側板の上端に折曲げ可能に上面板が連設されるとともに、該上面板の両側縁にそれぞれ係止片が設けられ、折返し片が設けられない前記底板の側縁に折曲げ可能に連設された側板の上端に2重の折曲げ線を介して内側側板が連設され、前記2重の折曲げ線間の係止孔に前記係止片が挿入されて係止されてよい。また前記上面板の横方向の中間位置に切込みが形成され、該切込みが前記上面板を折曲げ可能に連結している折曲げ線の位置まで切込まれていてよい。また野菜または果物を収納するために用いられてよい。
【発明の効果】
【0016】
本願の主要な発明は、底板の互いに対向する側縁にそれぞれ側板を折曲げ可能に連設し、該側板を前記底板に対して直角に折曲げるようにした包装箱において、
前記底板の側縁と前記側板の下端縁との間に折返し片を連設し、該折返し片を前記底板と重合うように内側に折返し、前記折返し片の先端部に対して前記側板を直角に折曲げて前記側板の外側に前記折返し片の長さに相当する衝撃吸収空間を形成するようにしたものである。
【0017】
従ってこのような包装箱によると、とくに側板の外側に折返し片の長さに相当する衝撃吸収空間が形成されることになり、このような空間によって、とくにこの折返し片に連設されている側板と直角な方向の衝撃を上記衝撃吸収空間を利用して効果的に吸収することが可能になる。従って、側板の内側に補助板を重合わせて多重構造とすることなく衝撃を吸収することが可能になる。ここでとくに折返し片を底板に対して折返して糊付けした状態で供給するようにすると、極めて作業効率のよい組立てが可能になり、組立て性が著しく改善される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】従来のトレー状包装箱の展開平面図である。
【図2】同包装箱の組立て斜視図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係るトレー状包装箱の展開平面図である。
【図4】同包装箱の組立ての動作を示す外観斜視図である。
【図5】同包装箱の組立ての動作を示す外観斜視図である。
【図6】組立てられたトレー状包装箱の外観斜視図である。
【図7】この包装箱の短辺側側板と直角な部分の要部拡大断面図である。
【図8】短辺側側板が互いに向かい合うように突合わされた状態の拡大縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下本願発明を図示の実施の形態によって説明する。なお図1および図2に示す従来の包装箱と対応する部分については、同一の符号を付して説明する。図3に示すように本実施の形態に係る包装箱は、ほぼ正方形の形状を有する段ボールを打抜いて形成される。そしてこの包装箱の中央部には矩形の底板10が画成されるとともに、この底板10の長辺側は折曲げ線11を介して長辺側側板12が連設される。長辺側側板12の先端部にはさらに2重の互いに平行な折曲げ線13を介して内側側板14が連設される。そして内側側板14の先端部には一対の突部19が形成される。
【0020】
一方底板10の短辺側の部分には後述する折返し片36の先端の折曲げ線25を介して短辺側側板26が連設される。短辺側側板26の先端部にはさらに折曲げ線27を介して上面板28が連設される。上面板28はその横方向の中央部に折曲げ線27に到る切込み32が形成されて左右に2分割されている。そして上面板28の両側にはそれぞれ折曲げ線29を介して係止片30が連設される。これらの係止片30を受入れるために、上記長辺側側板12と内側側板14との間の2重の折曲げ線13間に係止孔31が形成される。
【0021】
しかも上記短辺側側板26の根元側の部分には、折返し片36が形成されるようになっている。すなわち底板10の短辺側の部分に折曲げ線35を介して折返し片36が形成され、この折返し片36の先端部に上記折曲げ線25を介して短辺側側板26が形成される。なお図3において斜線を施してで示した領域であって、折返し片36の部分には予め糊が塗布される。なお折返し片36と重合う底板10の対応する側端の領域にも糊材が塗布されてよい。
【0022】
次に以上のような構成に係る段ボールを折曲げて包装箱を組立てる動作について説明する。図4に示すように、底板10に対して折曲げ線35によって折返し片36を底板10の上面であってその側端に重合うように折曲げる。なおこの動作は、製造段階において行なわれてよく、折返し片36に予め塗布された糊材によって折返し片36が底板10に接合されかつ他の部分はすべて展開された状態で供給されることが好適である。そして折返し片36の先端側の折曲げ線25によって短辺側側板26を折返し片36および底板10に対して直角に折曲げるようにする。さらに、底板10に対して折曲げ線11によって長辺側側板12を直角に折曲げるようにし、さらに長辺側側板12に対して2重の折曲げ線13によって内側側板14を長辺側側板12の内側に重合うように折曲げるとともに、内側側板14の先端部に設けられている突部19を底板10と長辺側側板12とのコーナの部分のスリット状係止孔20に挿入し、これによって内側側板14を長辺側側板12の内側に重合うように折曲げた状態で係止する。
【0023】
この後に図5に示すように、短辺側側板26の上端に設けられている上面板28を折曲げ線27によってこの包装箱の上面と平行になるように折曲げる。そして上面板28の両側に設けられている係止片30をこの包装箱の長辺側側板12と内側側板14との間の2重の折曲げ線13間の係止孔31に挿入し、これによって上面板28がこの包装箱の上面の一部を閉じた状態で係止する。これによって図6に示すようなトレー状の包装箱が組立てられる。
【0024】
このような包装箱は、とくに図7および図8に示すように、短辺側側板26の外側部に、衝撃吸収空間41が形成される。すなわち短辺側側板26が折返し片36の長さに相当する部分だけ内側に偏倚した状態で垂直に折曲げられるために、長辺側側板12の両端が突出片40になり、この突出片40の突出量に応じて衝撃吸収空間41が形成される。従って、同じ包装箱を互いに並置した場合に、これらの包装箱の突当て部が図8に示すようになり、両側の衝撃吸収空間41が互いに連続するように突出片40が当接する。そしてこのような衝撃吸収空間41によって、長辺側側板12の長さ方向の衝撃を吸収することが可能になる。
【0025】
衝撃吸収空間41による長辺側側板12の長さ方向の衝撃吸収性能によって、短辺側側板26の内側に多重に補助板を重合わせる必要がなくなる。従って、このような補助板を段ボール原紙に設ける必要がなくなるばかりでなく、短辺側側板26の内側に補助板を組立てる組立て動作が必要でなくなり、これによって、梱包時における組立て作業が著しく簡略化される。とくに折返し片36を予め糊付けして底板10の両端に接合しておくことにより、組立て動作のための操作回数が従来に比べて大幅に短縮化され、組立てが極めて容易になる。従って、このような包装箱を野菜や果物の収納に用いる場合において、収納時における図3に示す段ボール原紙からトレー状包装箱への組立ての作業が容易になり、梱包作業の合理化が達成される。また上面板28が切込み32によって左右に分かれているために、上面板28の左右の部分を別々に図5のように折曲げて組立てることができ、両手を使って上面板28を組立てることを要しない。
【0026】
以上本願発明を図示の実施の形態によって説明したが、本願発明は上記実施の形態によって限定されることなく、本願発明の技術的思想の範囲内において各種の変更が可能である。例えば上記実施の形態においては、上面板28がその横方向の中央部を中心として左右に分かれるように、上面板28の左右の中央部に切込み32を入れ、この切込み32が折曲げ線27に至るようになっているが、このような切込み32を設けず、上面板28を左右で連続した板状体としてもよい。またこの包装箱の深さや、上部開口の開口量等については、収納する物品や目的に応じて、各種の寸法とすることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本願発明は、野菜や果物等のような衝撃に弱い物品を収納するためのトレー状の包装箱として利用することができる。
【符号の説明】
【0028】
10 底板
11 折曲げ線
12 長辺側側板
13 2重の折曲げ線
14 内側側板
15 折曲げ線
16 補助板
17 折曲げ線
18 補助板
19 突部
20 スリット状係止孔
21、22 係合用切込み
25 折曲げ線
26 短辺側側板
27 折曲げ線
28 上面板
29 折曲げ線
30 係止片
31 係止孔
32 切込み
35 折曲げ線
36 折返し片
40 突出片
41 緩衝空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板の互いに対向する側縁にそれぞれ側板を折曲げ可能に連設し、該側板を前記底板に対して直角に折曲げるようにした包装箱において、
前記底板の側縁と前記側板の下端縁との間に折返し片を連設し、該折返し片を前記底板と重合うように内側に折返し、前記折返し片の先端部に対して前記側板を直角に折曲げて前記側板の外側に前記折返し片の長さに相当する衝撃吸収空間を形成するようにした包装箱。
【請求項2】
前記底板の短辺側の互いに対向する側縁にそれぞれ折返し片が連設され、前記底板の短辺側側板の外側に衝撃吸収空間が形成される請求項1に記載の包装箱。
【請求項3】
前記折返し片が予め底板の側縁の上面に折返されて糊付けされて他の部分が展開された状態で供給される請求項2に記載の包装箱。
【請求項4】
前記側板の上端に折曲げ可能に上面板が連設されるとともに、該上面板の両側縁にそれぞれ係止片が設けられ、折返し片が設けられない前記底板の側縁に折曲げ可能に連設された側板の上端に2重の折曲げ線を介して内側側板が連設され、前記2重の折曲げ線間の係止孔に前記係止片が挿入されて係止される請求項1〜3に記載の包装箱。
【請求項5】
前記上面板の横方向の中間位置に切込みが形成され、該切込みが前記上面板を折曲げ可能に連結している折曲げ線の位置まで切込まれている請求項4に記載の包装箱。
【請求項6】
野菜または果物を収納するために用いられる請求項1〜5に記載の包装箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−101829(P2012−101829A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−252872(P2010−252872)
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(506100990)日本トーカンパッケージ株式会社 (41)
【Fターム(参考)】