説明

化学物質捕集装置

【課題】特段の準備作業を要することなくSVOCを含む化学物質を捕集することができる化学物質捕集装置を提供する。
【解決手段】化学物質捕集装置1は、チャンバー3と空気清浄機20と捕集ポンプ22とを備える。チャンバー3は、立方体形状であり、外板10と内板11とを有し、内板11の内側には仕切り板13が並設される。仕切り板13の内面は捕集空間16を区画し、仕切り板13の外面と内板11の内面とは空気供給路17を区画する。仕切り板13には、全域に多数の微細孔15が均等に形成される。空気清浄機20によって空気供給路17へ供給される清浄化された空気は、多数の微細孔15を介して6方向から捕集空間16へ流入し、捕集空間16の中心部に集まり、捕集管23を介して捕集ポンプ22によって捕集される。捕集空間16に設置された試料2から放散される化学物質は、この空気の流れに乗って捕集される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料や部品から放散される化学物質を捕集する化学物質捕集装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2006−275627号公報には、被測定物から放散される準揮発性有機化合物の放散量を測定する測定装置が記載されている。この測定装置では、準揮発性有機化合物は沸点が高いために室温条件下においてチャンバー内壁面に吸着しやすいことから、チャンバー内に鉛直層流を生じさせることによって準揮発性有機化合物を壁面に吸着させずに、化学物質が拡散する領域の空気を捕集している。化学物質が拡散する領域は、予め流体力学シミュレーションによりチャンバー内の気流及び放散化学物質の濃度分布を解析して特定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−275627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の装置では、チャンバー内に下方から上方へ向かう鉛直方向の気流を発生させて、準揮発性有機化合物(SVOC:Semi Volatile Organic Compounds)を含む化学物質の水平方向への拡散を、被測定物の水平方向の周囲を取り囲む程度の領域内に収めている。これにより、SVOCの壁面吸着を低減することができ、SVOCを壁面から脱離させるためにチャンバーの加熱や溶剤洗浄等の作業を行わなくても、SVOCを捕集することが可能である。
【0005】
しかし、化学物質が拡散する水平方向の領域は、被測定物の水平方向の大きさに対応し、被測定物の水平方向の大きさが大きいほど広く、小さいほど狭くなり、また、同一の被測定物であっても、設置位置によってその位置が異なる。このため、被測定物を変更して捕集を行う場合に、化学物質が拡散する領域を特定するために化学物質の濃度分布を解析するなどの準備作業が必要となる。
【0006】
そこで、本発明は、空気の捕集に際して特段の準備作業を要することなく、材料や部品から放散されるSVOCを含む化学物質を確実に捕集することが可能な化学物質捕集装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく、本発明は、試料から放散される化学物質を捕集する化学物質捕集装置であって、チャンバーと空気供給手段と捕集手段とを備える。
【0008】
チャンバーは、試料が設置される捕集空間を内部に区画するチャンバー壁面部と、このチャンバー壁面部の外側に配置された空気供給路と、チャンバー壁面部に形成されて捕集空間と空気供給路とを連通し、捕集空間の所定の領域に空気が集まるように空気供給路に供給された空気を複数の方向から捕集空間へ流入させる複数の通気孔と、を有する。空気供給手段は、清浄化された空気を空気供給路へ供給する。捕集手段は、捕集空間の所定の領域に配置されて空気を捕集する。
【0009】
上記構成では、空気供給手段によって浄化されて空気供給路へ供給された空気は、チャンバー壁面部に形成された通気孔を介して複数の方向から捕集空間へ流入し、所定の領域に集まり、捕集手段によって捕集される。すなわち、捕集空間内には、通気孔から所定の領域へ向かう直線状や旋回状などの空気の流れが発生し、試料から放散される化学物質は、この空気の流れに乗って所定の領域に集まり、捕集手段によって捕集される。捕集空間内での空気の流れ方向や、所定の領域の位置、形状及び大きさは、通気孔の形状、大きさ、数及び配置や、供給される空気の流速(単位時間あたりの供給量)などの諸条件によって決まる。
【0010】
このように、捕集空間内の空気が集まる所定の領域の空気を捕集するので、試料から放散される化学物質を確実に捕集することができる。また、所定の領域の位置や形状や大きさは、通気孔及び供給する空気の上記諸条件によって決まるので、これらの諸条件を適宜調整して設定しておくことによって、所定の領域を化学物質の捕集に好適な所望の位置や形状や大きさに設定することができ、試料の大きさや設置位置に関わらず同一の位置で空気(化学物質)の捕集を行うことができる。従って、試料を変更する場合であっても、化学物質の拡散領域を特定するための特段の準備作業を要することなく、化学物質を捕集することができる。また、所定の領域を小さく設定することによって、化学物質の拡散濃度の高い空気を捕集することができる。
【0011】
また、捕集空間内の空気は、所定の領域へ向かって常に流れているので、SVOCのチャンバー壁面部への吸着が低減する。従って、チャンバー壁面部からSVOCを脱離させるための作業を要することなく、SVOCを捕集することができる。
【0012】
また、複数の通気孔から捕集空間への空気の流入方向は、互いに直交する3軸に沿った6方向を含んでもよい。
【0013】
上記構成では、空気は少なくとも互いに直交する3軸に沿った6方向から捕集空間へ流入する。例えば、チャンバーを直方体形状とし、6つの壁面の全てに通気孔を形成することにより、互いに直交する3軸に沿った6方向から捕集空間へ空気が流入する。この場合、各通気孔から捕集空間へ流入する空気は、それぞれ対向する壁面へ向かって流れる。すなわち、捕集空間内には、各壁面から中心部付近に向かう空気の流れが発生し、試料から放散される化学物質は捕集空間の中心部付近に集まる。従って、SVOCの壁面吸着を更に低減させることができる。
【0014】
上記化学物質捕集装置は、捕集空間へ流入した量以上の空気を捕集手段が捕集するように、空気供給手段及び捕集手段の少なくとも一方を制御する制御手段を備えてもよい。
【0015】
上記構成では、捕集空間へ流入した量以上の空気を捕集手段が捕集するように、空気供給手段及び捕集手段の少なくとも一方が制御手段によって制御される。従って、化学物質が捕集空間に滞留することを防止することができる。
【0016】
上記化学物質捕集装置は、チャンバー壁面部を加熱する加熱手段を備えてもよい。
【0017】
上記構成では、空気の捕集時や捕集後に、チャンバー壁面部を加熱手段によって適宜加熱することができる。従って、一定の温度条件において化学物質を放散させて捕集することが必要な自動車の内装材等の試料に対しても、本装置を適用することができる。また、捕集後のチャンバー内の洗浄時には、チャンバー壁面部を加熱しつつチャンバー内の空気を入れ替えることによって、チャンバー内に残留した化学物質を完全に除去することができ、チャンバー内を確実に洗浄することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、空気の捕集に際して特段の準備作業を要することなく、材料や部品から放散されるSVOCを含む化学物質を確実に捕集することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】一実施形態の化学物質捕集装置1の斜視図である。
【図2】一実施形態の化学物質捕集装置1の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態の化学物質捕集装置1について、図面を参照して説明する。図1は、化学物質捕集装置1の斜視図である。図2は、化学物質捕集装置1の断面図である。
【0021】
図1に示すように、化学物質捕集装置1は、チャンバー3と空気清浄機20と捕集ポンプ22と入力部24とコントローラ25とを備える。
【0022】
チャンバー3は、上壁4、下壁5、左側壁6、後壁7、右側壁8及び扉9(チャンバー壁面部)を有し、上壁4、下壁5、左側壁6、後壁7及び右側壁8の縁部同士が結合され、前面部分に扉9が取り付けられることによって立方体形状となる。扉9は、左側壁6の前端部と扉9の左端部とに取り付けられた蝶番(図示省略)によって、回転自在に支持される。扉9の右端部には、扉9を開閉し、また施錠するためのレバー(図示省略)が設けられる。
【0023】
上壁4、下壁5、左側壁6、後壁7、右側壁8及び扉9は、外側に配置される外板10と、外板10の内側に離間して並設される内板11とを有する。外板10は、熱伝導率が低い耐熱性の金属材や樹脂材等によって形成される。内板11は、熱伝導率が高い耐熱性の金属材等によって形成される。内板11の外面には、通電により発熱するヒータ(加熱手段)12が設けられる。ヒータ12は、内板11に沿って取り付けられ、内板11が均一に加熱されるように配置される。また、内板11の内側には、内板11に離間して仕切り板13が並設される。仕切り板13は、内板11に取り付けられた支持部材14によって支持され固定される。支持部材14は、所望の強度を有し、各壁4〜8及び壁9の内板11と仕切り板13との間を遮蔽せずに空気の通過を許容するように設けられる。
【0024】
仕切り板13は、熱伝導率が高い耐熱性の金属材等によって形成される。仕切り板13には、全域に多数の六角形の微細孔(通気孔)15が同じ大きさで且つ同じ配列で形成される。微細孔15の孔径及び隣接する微細孔15間のピッチは、仕切り板13が所望の強度を有する範囲内で、仕切り板13の面積に占める微細孔15の面積の割合が可能な限り大きくなるように設定される。仕切り板13の外面には、仕切り板13を補強するための補強部材(図示省略)が所定の間隔で設けられる。補強部材は、熱伝導率が高い耐熱性の金属材等によって形成され、個々の微細孔15の空気の通過を許容し、各壁4〜8及び扉9の仕切り板13を横断する長さと所望の幅とを有する板形状であり、仕切り板13に取り付けられることによって、仕切り板13の変形を防止する。なお、内板11、仕切り板13及び補強部材をステンレスによって形成する場合には、表面を化学物質に対して不活性とする処理(例えば、シリコスチール処理)を施すことが望ましい。
【0025】
扉9を閉じた状態で、仕切り板13の内面は、試料2が設置される捕集空間16を区画し、仕切り板13の外面及び内板11の内面は、後述する空気清浄機20から供給された空気が流通する空気供給路17を区画する。また、微細孔15は、捕集空間16と空気供給路17とを連通する。
【0026】
チャンバー3の左側壁6には、外板10と内板11とを貫通する供給管挿入口18が形成され、この供給管挿入口18に後述する供給管21が挿入される。また、右側壁8には、外板10と内板11と仕切り板13とを貫通する捕集管挿入口19が形成され、この捕集管挿入口19に後述する捕集管23が挿入される。
【0027】
空気清浄機20は、清浄機モータ(図示省略)によって作動され、外部の空気を取り込んで清浄な空気を調製し、供給管21を介して空気供給路17へ清浄化した空気を供給する。供給管21は、熱伝導率が低い耐熱性の金属材等によって形成される。供給管21は、チャンバー3の左側壁6に形成された供給管挿入口18に挿入されて保持される。供給管21の一端21aは、空気清浄機20に接続され、他端21bは、空気供給路17に開口する。すなわち、空気清浄機20と供給管21とは、清浄化された空気を空気供給路17へ供給する空気供給手段として機能する。
【0028】
捕集ポンプ22は、ポンプモータ(図示省略)によって作動され、捕集管23を介して捕集空間16の空気を捕集する。捕集管23は、耐熱性のガラスや樹脂材等によって形成され、内部に樹脂系捕集剤等が充填される。捕集管23は、チャンバー3の右側壁9に形成された捕集管挿入口19に挿入されて保持される。捕集管23の一端23aは、捕集空間16のほぼ中心部に開口し、他端23bは、捕集ポンプ22に接続される。すなわち、捕集ポンプ22と捕集管23とは、捕集空間16の空気を捕集する捕集手段として機能する。
【0029】
入力部24は、例えばタッチパネル等であり、作業者からの入力操作を受け、その入力に対応した情報をコントローラ25に出力する。入力部24には、空気捕集を開始又は停止する設定や、チャンバー3内の温度や換気回数(空間に供給される又は空間から排出される空気量を空間の容積で除した値)や捕集時間等、空気捕集時の条件の設定が入力される。
【0030】
コントローラ25は、入力部24から入力した各種情報に基づいて、清浄機モータ及びポンプモータの駆動を制御して、空気清浄機20及び捕集ポンプ22を適宜作動させる。コントローラ25による清浄機モータ及びポンプモータの駆動制御は、各モータの作動のオン/オフと出力の変更とを含む。コントローラ25による出力の変更は、空気清浄機20が捕集空間16に供給する量以上の空気を捕集ポンプ22が捕集するように、換気回数に応じて行われる。すなわち、コントローラ25は、空気清浄機20及び捕集ポンプ22の少なくとも一方を制御する制御手段として機能する。また、コントローラ25は、各モータの駆動を制御するとともに、ヒータ12の作動を制御して、内板11を適宜加熱する。ヒータ12の制御は、ヒータ12への通電のオン/オフと通電量の変更とを含む。
【0031】
上記のように構成された化学物質捕集装置1では、清浄機モータ及びポンプモータが駆動されると、空気清浄機20によって清浄化された空気は、供給管21を介して空気供給路17へ供給され、仕切り板13に形成された多数の微細孔15を介して、互いに直交する3軸に沿った6方向(上方、下方、左方、後方、右方及び前方)から捕集空間16へ仕切り板13に対して略垂直に流入する。捕集空間16へ流入した空気は、捕集空間16のほぼ中心部に集まり、捕集空間16のほぼ中心部に一端23aを開口する捕集管23を介して捕集ポンプ22によって捕集される。すなわち、捕集空間16のほぼ中心部が、捕集空間16の空気が集まり捕集される所定の領域となる。
【0032】
捕集空間16に試料2が設置されると、試料2から放散された化学物質は、捕集空間16に発生する空気の流れに乗って、所定の領域(捕集空間16のほぼ中心部)に集まり捕集される。試料2は、その大きさや形状等に応じて、下壁5の仕切り板13に直接設置してもよいが、本実施形態では、設置台26の天板26aの上に載置している。設置台26は、熱伝導率が低く耐熱性の金属材等によって形成されることが望ましく、天板26aは、仕切り板13と同様に微細孔が均一に形成されたものが望ましい。
【0033】
また、ヒータ12が作動されると、内板11が加熱され、空気供給路17、仕切り板13及び捕集空間16に熱が伝導し、内板11及び捕集空間16が所望の温度に加熱されて維持される。
【0034】
このように、本実施形態の化学物質捕集装置1によれば、捕集空間16内の空気が集まる所定の領域に捕集管23の一端23aを配置して、所定の領域の空気を捕集するので、試料2から放散される化学物質を確実に捕集することができる。
【0035】
また、所定の領域の位置及び形状は、微細孔15の設定によって決まるので、同一のチャンバー3を使用する場合には、試料2の大きさや設置位置に関わらず、常に同一の位置で空気の捕集を行うことができる。
【0036】
また、所定の領域の大きさは、空気清浄機20による空気の供給量及び捕集ポンプ22による空気の捕集量によって決まるので、空気の供給量及び捕集量を増加させ所定の領域を小さく設定することによって、化学物質の拡散濃度の高い空気を捕集することができる。なお、所定の領域の大きさを変更した場合でも、所定の領域の中心は変わらないので、同一の位置で空気の捕集を行うことができる。
【0037】
また、所定の領域の位置及び形状は、微細孔15の形状や大きさ、数及び配置によって決まるので、これらの諸条件を適宜調整して設定しておくことによって、所定の領域を化学物質の捕集に好適な所望の位置や形状に設定することができる。ここで、SVOCの壁面吸着を考慮すると、各壁4〜8及び扉9から最も遠い捕集空間16の中心部へ向かって周囲の全方向から空気が流入し、中心部が所定の領域となる状態が最善である。本実施形態では、仕切り板13の全域に微細孔15を均等に形成して互いに直交する3軸に沿った6方向から空気を流入させているので、捕集空間16のほぼ中心部が所定の領域となり、最善に極めて近い状態を得ている。従って、SVOCを仕切り板13や内板11に吸着させることなく捕集することができる。
【0038】
また、微細孔15の孔径及び隣接する微細孔15間のピッチは、仕切り板13の面積に占める微細孔15の面積の割合が可能な限り大きくなるように設定されるので、微細孔15を通過することによる空気の流れの乱れを抑制することができる。従って、捕集空間16内の空気を確実に所定の領域に集めることができる。
【0039】
また、捕集ポンプ22は、常に空気清浄機20による供給量を超える空気を捕集するので、化学物質を捕集空間16に滞留させることなく捕集することができる。
【0040】
また、ヒータ12を備え、内板11や捕集空間16を加熱することができるので、一定の温度条件において化学物質を放散させて捕集することが必要な自動車の内装材等の試料に対しても、本装置1を適用することができる。また、チャンバー3内を洗浄する際、チャンバー3内を加熱しつつ換気することによって、チャンバー3内に残留した化学物質を完全に除去することができ、チャンバー3内を確実に洗浄することができる。
【0041】
また、チャンバー3は、破損の可能性が低く、所望の強度を有する金属材や樹脂材等によって形成されるので、大型のチャンバーを製作することができる。従って、大きな部品や材料、製品等を破壊せずにそのままの状態で設置して、これらの部品等から放散される化学物質を捕集することができる。
【0042】
なお、チャンバー3の形状は、上記に限定されず、円筒形状等であってもよい。
【0043】
また、微細孔15の形状は、上記に限定されず、四角形や円形やスリット状等であってもよい。また、微細孔15の配置や数は、上記に限定されず、仕切り板13の一部に少数形成してもよい。
【0044】
また、空気は、互いに直交する3軸に沿った6方向から捕集空間16へ流入することに限定されず、5方向以下であっても7方向以上であってもよい。なお、空気の流入方向によって所定の領域の位置は異なる。例えば、左側壁6、後壁7、右側壁8及び扉9の左下端(あるいは右下端)に微細孔を形成して、互いに直交する2軸に沿った4方向から捕集空間16へ空気を流入させた場合には、空気は捕集空間16内を下方から上方へ向かって旋回しながら流れるので、捕集空間16の上部の中央付近が所定の領域となる。
【0045】
また、周囲の温度変化の影響を防いで内部の温度を一定に保つ構造を有する恒温槽を備え、その内部にチャンバー3を収容してもよい。これにより、チャンバー3内は周囲の温度変化の影響を受けなくなるので、チャンバー3内の温度を容易に制御することができる。なお、恒温槽に加熱手段が備えられる場合には、内板11の外面にヒータ12を設けずに、恒温槽の加熱手段によってチャンバー3を加熱してもよい。この場合、外板10は、熱伝導率の高い金属材等によって形成される。
【0046】
上記実施形態は、本発明の一例であり、本発明を逸脱しない範囲において変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、住宅や自動車、航空機などに使用される材料や部品等から放散される化学物質の捕集に有効である。
【符号の説明】
【0048】
1:化学物質捕集装置
2:試料
3:チャンバー
4:上壁
5:下壁
6:左側壁
7:後壁
8:右側壁
9:扉
10:外板
11:内板
12:ヒータ
13:仕切り板
14:支持部材
15:微細孔
16:捕集空間
17:空気供給路
18:供給管挿入口
19:捕集管挿入口
20:空気清浄機
21:供給管
22:捕集ポンプ
23:捕集管
24:入力部
25:コントローラ
26:設置台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料から放散される化学物質を捕集する化学物質捕集装置であって、
前記試料が設置される捕集空間を内部に区画するチャンバー壁面部と、このチャンバー壁面部の外側に配置された空気供給路と、前記チャンバー壁面部に形成されて前記捕集空間と前記空気供給路とを連通し、前記捕集空間の所定の領域に空気が集まるように前記空気供給路に供給された空気を複数の方向から前記捕集空間へ流入させる複数の通気孔と、を有するチャンバーと、
清浄化された空気を前記空気供給路へ供給する空気供給手段と、
前記捕集空間の前記所定の領域に配置されて空気を捕集する捕集手段と、を備えた
ことを特徴とする化学物質捕集装置。
【請求項2】
請求項1に記載の化学物質捕集装置であって、
前記複数の通気孔から前記捕集空間への空気の流入方向は、互いに直交する3軸に沿った6方向を含む
ことを特徴とする化学物質捕集装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の化学物質捕集装置であって、
前記捕集空間へ流入した量以上の空気を前記捕集手段が捕集するように、前記空気供給手段及び前記捕集手段の少なくとも一方を制御する制御手段を備えた
ことを特徴とする化学物質捕集装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れかに記載の化学物質捕集装置であって、
前記チャンバー壁面部を加熱する加熱手段を備えた
ことを特徴とする化学物質捕集装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−103190(P2012−103190A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−253559(P2010−253559)
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【出願人】(000000170)いすゞ自動車株式会社 (1,721)
【Fターム(参考)】