説明

化粧シート

【課題】耐候性と耐傷付き性の双方を兼ね備えた透明ハードコートフィルムが積層された化粧シートを提供することを目的とする。
【解決手段】絵柄が形成された基材シート(K)上に、易接着層と易接着性透明樹脂フィルム(A)と電子線硬化型樹脂からなるハードコート層(B)とがこの順に積層された透明ハードコートフィルム(C)が積層された化粧シートであって、該ハードコート層(B)には少なくとも紫外線吸収剤と(メタ)アクリロキシ変性シリカが含有されていて、該紫外線吸収剤の含有量が該層における波長380nmでの紫外線透過率が71%以下となる量であり、かつ(メタ)アクリロキシ変性シリカの含有量が1〜20質量%となる量であることを特徴とする、化粧シート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絵柄層が形成された基材シート上に、易接着層と易接着性透明ポリエステルフィルムと電子線硬化型樹脂からなるハードコート層とがこの順に設けられた耐候性に優れる透明ハードコートフィルムが積層された化粧シートに関する。
【背景技術】
【0002】
建築内装材、屋外での使用、又は屋外で頻繁に使用されるプラスチック成形品等の表面硬度を高めて耐擦傷性を向上させるために、基材フィルム上の最表面にハードコート層を形成する手段が採用されている。ハードコート層としては、真空蒸着により形成された無機質ハードコート層や、熱硬化型または電子線もしくは紫外線等の活性エネルギー線硬化型の樹脂組成物により形成されたハードコート層等が使用されている。これらのうち、ハードコート層用樹脂組成物を用いると、塗布、乾燥もしくは活性エネルギー線の照射により容易にハードコート層を形成できるので好適に使用されている。
しかし、屋外等で使用されて紫外線の照射を受ける機会が多い場合、耐候性を有するハードコートフィルムを使用しないと紫外線による劣化が進行して、ハードコートフィルムとしての性能が低下する。
【0003】
一般に、耐候性を向上する手段としては、ハードコート層に紫外線吸収剤等の耐候剤を添加する手段が考えられる。また、ハードコート層に耐傷付き性を付与する方法として、紫外線硬化型樹脂の使用が考えられるが、紫外線硬化型樹脂を用いた場合には、耐候剤が紫外線を吸収するため、紫外線硬化型樹脂の硬化阻害が発生し、十分な耐傷付き性が得られないという問題があった。
これらの問題点を改良するためのいくつかの提案がなされている(特許文献1〜3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平05−057235号公報
【特許文献2】特開2002−166502号公報
【特許文献3】特開2004−277629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは上記耐候性を向上させるために、電子線硬化型樹脂層を表面保護層に用いた透明ハードコートフィルムが積層された化粧シートにおいて、電子線硬化型樹脂層に紫外線吸収剤を添加して、紫外線波長の透過率を制御することを試みたところ、紫外線波長の透過率は制御できるものの、紫外線吸収剤を添加することに起因して電子線硬化型樹脂の架橋密度が低下し、耐傷付き性の低下が観察された。
本発明は、上記問題点を解決して電子線硬化型樹脂層への紫外線吸収剤を添加して耐候性を向上すると共に、耐傷付き性にも優れた性質を有する透明ハードコートフィルムが積層された化粧シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は以上の事情を背景としてなされたもので、ハードコート層を形成する電子線硬化型樹脂組成物に紫外線吸収剤と(メタ)アクリロキシ変性シリカとを添加することにより、耐候性と耐傷付き性の双方を兼ね備えた透明ハードコートフィルムが積層された化粧シートを得ることが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明は、以下の(1)ないし(3)に関する発明である。
(1)絵柄が形成された基材シート(K)上に、易接着層と易接着性透明樹脂フィルム(A)と電子線硬化型樹脂からなるハードコート層(B)とがこの順に積層された透明ハードコートフィルム(C)が積層された化粧シートであって、
該ハードコート層(B)には少なくとも紫外線吸収剤と(メタ)アクリロキシ変性シリカが含有されていて、
該紫外線吸収剤の含有量が該層における波長380nmでの紫外線透過率が71%以下となる量であり、かつ(メタ)アクリロキシ変性シリカの含有量が1〜20質量%となる量であることを特徴とする、化粧シート。
(2)前記ハードコート層(B)に更に光安定剤が0.1〜5質量%となるように配合されていることを特徴とする、前記(1)に記載の化粧シート。
(3)前記紫外線吸収剤がトリアジン系紫外線吸収剤であることを特徴とする、前記(1)又は(2)に記載の化粧シート。
【発明の効果】
【0008】
本発明の化粧シートにおける透明ハードコートフィルム(C)は、ハードコート層(B)を形成する電子線硬化型樹脂組成物中に紫外線吸収剤と(メタ)アクリロキシ変性シリカを添加することにより、該ハードコート層(B)で紫外線を吸収することができるので、該ハードコート層より下層に形成される、例えば、易接着性透明樹脂フィルム(A)の紫外線による劣化が抑えられるとともに、紫外線吸収剤による電子線硬化型樹脂の反応率低下が見られた場合でも、耐傷付性に優れたものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1で作製した化粧シートの断面模式図である。
【図2】実施例1、及び比較例1、2で測定したハードコート層の紫外線透過率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の化粧シートは、絵柄が形成された基材シート(K)上に、易接着層と易接着性透明樹脂フィルム(A)と電子線硬化型樹脂からなるハードコート層(B)とがこの順に積層された透明ハードコートフィルム(C)が積層された化粧シートであって、
該ハードコート層(B)には少なくとも紫外線吸収剤と(メタ)アクリロキシ変性シリカが含有されていて、
該紫外線吸収剤の含有量が該層における波長380nmでの紫外線透過率が71%以下となる量であり、かつ(メタ)アクリロキシ変性シリカの含有量が1〜20質量%となる量であることを特徴とする。
以下に、本発明の化粧シートにおける透明ハードコートフィルム(C)について記載する。
尚、化粧シートにおける絵柄が形成された基材シート(K)は、本願明細書の実施例で示すように、樹脂シート上にインキを印刷等して絵柄を形成する公知の方法により作製できる。
また、本発明の化粧シートを構成する基材シート(K)と透明ハードコートフィルム(C)は、本願明細書の実施例で示すように、接着剤層を介して積層することができる。
【0011】
〔1〕透明ハードコートフィルム(C)
透明ハードコートフィルム(C)は、以下に記載する透明性を有する熱可塑性樹脂からなる易接着性透明樹脂フィルム(A)上に電子線硬化型樹脂層からなるハードコート層(B)が積層されたフィルムである。
(1)易接着性透明樹脂フィルム(A)
易接着性透明樹脂フィルム(A)としては、透明性を有する熱可塑性樹脂であれば特に制限なく使用でき、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン樹脂;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系樹脂;ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリイミド等の合成樹脂等のフィルムの単体、又は、これらのフィルムの積層体が挙げられる。
本発明において、易接着性透明樹脂フィルム(A)上に後述するハードコート層(B)を設けて、透明樹脂フィルムを劣化させる紫外線波長の透過率を制御することが可能であるため、易接着性透明樹脂フィルム(A)として紫外線波長により劣化し易い樹脂フィルムを使用することもできる。
易接着性透明樹脂フィルム(A)の厚みは使用目的により適宜選択することができるが、一般には20〜400μmであり、50〜200μmが好ましい。
易接着性透明樹脂フィルム(A)の表面には、易接着性樹脂の塗布による易接着層が形成されるが、予め易接着性透明樹脂フィルム(A)の表面にコロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理等の「易接着処理」を施した後に易接着層を形成することにより、該樹脂フィルム上に形成するハードコート層(B)との接着性を向上することができる。
【0012】
前記易接着層(プライマー層、或いはアンカー層といわれることもある)としては、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン等が使用でき、これらの中でもウレタン樹脂が好ましい。該易接着層は、透明樹脂フィルム上に先ずコロナ放電処理、プラズマ処理、あるいはオゾン処理等により、カルボニル基、水酸基、カルボキシル基等の極性官能基を表面に付与し、しかる後に前記易接着層を形成することがより好ましい。
本発明において、後述するハードコート層(B)を有することにより、該ハードコート層により紫外線波長の透過率を制御することが可能であるため、易接着層を形成する樹脂に耐候性を有するような樹脂を使用する必要なく、幅広い樹脂を選択することが可能であり、また紫外線劣化を防止するために易接着層自体に多量の紫外線吸収剤を含有している必要もない。
【0013】
易接着層に使用できる前記アクリル樹脂としては、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸プロピル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル・(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸エチル・(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体、スチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体等の(メタ)アクリル酸エステルを含む単独又は共重合体からなるアクリル樹脂(ただし、ここで(メタ)アクリルとはアクリル又はメタアクリルを意味する)等が用いられる。
【0014】
易接着層に使用できる前記ウレタン樹脂としては、ポリオール(多価アルコール)を主剤とし、イソシアネートを架橋剤(硬化剤)とするポリウレタンを挙げることができ、該ポリオールとしては、分子中に2個以上の水酸基を有するもので、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等が用いられる。また、前記イソシアネートとしては、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネート、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、或いはヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族(ないしは脂環族)イソシアネートが用いられる。或いはこれらイソシアネートの多量体又は付加体を用いてもよい。易接着層には本発明の効果を阻害しない範囲で、着色剤、無機粒子、少量の紫外線吸収剤を含有してもよい。
【0015】
(2)ハードコート層(B)
ハードコート層(B)は、電子線硬化型樹脂層からなり、該電子線硬化型樹脂層には少なくとも紫外線吸収剤と(メタ)アクリロキシ変性シリカが含有されていて、
該紫外線吸収剤の配合量が該層における波長380nmでの紫外線透過率が71%以下となる量であり、かつ(メタ)アクリロキシ変性シリカの含有量が1〜20質量%となる量である。
(イ)電子線硬化型樹脂層
電子線硬化型樹脂層の形成には、従来公知の電子線硬化型樹脂を使用すれば良く、その電子線硬化型樹脂として使用されている重合性モノマー及び重合性オリゴマーないしはプレポリマー等から適宜選択して用いることができる。以下にその具体例を記載する。
【0016】
電子線硬化型樹脂の重合性モノマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート系モノマーが好適であり、中でも多官能性(メタ)アクリレートが好ましい。多官能性(メタ)アクリレートとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する(メタ)アクリレートであれば良く、特に制限はない。具体的にはエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレート等が挙げられる。これらの多官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0017】
本発明においては、前記多官能性(メタ)アクリレートとともに、その粘度を低下させる等の目的で、単官能性(メタ)アクリレートを、本発明の目的を損なわない範囲で適宜併用することができる。単官能性(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0018】
次に、重合性オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマー、中でもラジカル重合性不飽和基を持つアクリレート系オリゴマーが好ましく、例えばエポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系等が挙げられる。ここで、エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーも用いることができる。ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエーテル(メタ)アクリレート系オリゴマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
【0019】
さらに、重合性オリゴマーとしては、他にポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート基をもつ疎水性の高いポリブタジエン(メタ)アクリレート系オリゴマー、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーン(メタ)アクリレート系オリゴマー、小さな分子内に多くの反応性基をもつアミノプラスト樹脂を変性したアミノプラスト樹脂(メタ)アクリレート系オリゴマー、あるいはノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族ビニルエーテル、芳香族ビニルエーテル等の分子中にカチオン重合性官能基を有するオリゴマー等がある。
【0020】
ハードコート層(B)に用いられる電子線硬化型樹脂組成物には、シリコーン(メタ)アクリレートを含有することが好ましい。シリコーン(メタ)アクリレートは、電子線硬化型樹脂との相乗効果により、主に透明ハードコートフィルムに耐汚染性等の表面物性を付与する目的で添加されるものである。シリコーン(メタ)アクリレートは、ポリシロキサンからなるシリコーンオイルのうち、又は片方乃至両方の末端に(メタ)アクリル基を導入した変性シリコーンオイルの中の一つである。シリコーン(メタ)アクリレートとしては、従来公知のものが使用でき、有機基が(メタ)アクリル基であれば特に限定されず、該有機基を1〜6つ有する変性シリコーンオイルを好ましく用いることができる。また、変性シリコーンオイルの構造は、置換される有機基の結合位置によって、側鎖型、両末端型、片末端型、側鎖両末端型に大別されるが、有機基の結合位置には、特に制限はない。
上記シリコーン(メタ)アクリレートの含有量は、表面保護層の表面張力が所望の範囲となるように適宜調節すれば良いが、耐汚染性の向上とその使用効果を十分に得る観点から、電子線硬化型樹脂100質量部に対して0.5〜4質量部が好ましく、1.0〜2.5質量部がより好ましい。また、シリコーン(メタ)アクリレートの官能基当量(分子量/官能基数)としては、例えば1000〜20000の条件を有するものが挙げられる。
【0021】
(ロ)添加剤
本発明において、ハードコート層(B)を形成する電子線硬化型樹脂組成物には、紫外線吸収剤、及び(メタ)アクリロキシ変性シリカが添加されるが、その他にハードコート層(B)の所望物性に応じて、各種添加剤を配合することができる。これらの添加剤として、光安定剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤、着色剤等が挙げられる。
【0022】
(i)紫外線吸収剤
前記電子線硬化型樹脂組成物中には、耐候性を向上させるため、有機系又は無機系の紫外線吸収剤を添加する。これらの紫外線吸収剤の中でも透明性に優れた有機系の紫外線吸収剤が好ましい。この種の紫外線吸収剤としては分子中に水酸基(OH基)を有する有機系の化合物が好ましい。分子中に水酸基を有するものが好ましい理由は、イソシアネート基を有する易接着層で紫外線吸収剤のブリードを抑制することが可能になるためである。
【0023】
このような紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−アミル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−イソブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−イソブチル−5’−プロピルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等の2’−ヒドロキシフェニル−5−クロロベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤類、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等の2’−ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤類等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン等の2,2’−ジヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤類、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン等の2−ヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤類等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サルチル酸フェニル、4−t−ブチル−フェニル−サリシレート等のサリチル酸エステル系紫外線吸収剤が用いられる。その他に、ベンゾトリアゾール骨格にアクリロイル基又はメタクリロイル基を導入した反応型紫外線吸収剤等も用いられる。或いは、高い透明度を要求されない場合は、無機系紫外線吸収剤を添加することもできる。無機系紫外線吸収剤としては、粒径0.2μm以下の酸化チタン、酸化セリウム、酸化鉄等が用いられる。
前記した紫外線吸収剤の中でもトリアジン系紫外線吸収剤の使用が好ましい。
【0024】
前記電子線硬化型樹脂組成物中の紫外線吸収剤の含有量は、ハードコート層(B)における波長380nmでの紫外線透過率が71%以下となる量である。紫外線吸収剤の添加量が前記紫外線透過率71%を超える量である場合には十分な耐候性が得られない虞がある。
尚、ハードコート層(B)は、易接着性透明樹脂フィルム(A)上に電子線硬化型樹脂組成物を後述するように塗工、電子線照射等により形成されるので、ハードコート層(B)のみの紫外線透過率を直接測定することは困難であるので、前記同じ厚みの透明樹脂フィルム(易接着性透明樹脂フィルム(A)にハードコート層(B)の厚みを加えた厚みの透明樹脂フィルム)の紫外線透過率をブランクとして測定し、ハードコートフィルム(C)紫外線透過率を測定しておけば、ハードコート層(B)のみの紫外線透過率を求めることができる。
【0025】
(ii)(メタ)アクリロキシ変性シリカ
本発明において、ハードコート層(B)に、(メタ)アクリロキシ変性シリカを含有させると、耐傷付き性を向上させることが可能となる。
ここで(メタ)アクリロキシ変性シリカとは、(メタ)アクリロキシ基を含む官能化カップリング剤で化学変性したシリカを意味し、(メタ)アクリロキシ基とは、アクリロキシ基(CH=CHC(O)O−)とメタクリロキシ基(CH=C(CH)C(O)O−)の両者を含む意味である。
このような化学変性シリカは、例えば、特表2003−507557号広報、特開2008−201922号公報等に記載されているように、沈降性シリカ又はコロイダルシリカを酸性水性懸濁液中で、界面活性剤及び又は水混和性溶媒の存在下、下記の一般式(1)で示されるような(メタ)アクリロキシ基を有する官能化カップリング剤を使用してカップリングさせて(メタ)アクリロキシ変性シリカを得ることができる。
CH=CR−COO−R−Si−R・(OR3−n・・・(1)
(式(1)中、Rは水素原子またはメチル基、Rは炭素数1〜6のアルキレン基、RおよびRは、それぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基、nは0〜2の整数を示し、Rが複数ある場合には、複数のRはたがいに同一でも異なっていてもよく、ORが複数ある場合には、複数のORはたがいに同一でも異なっていてもよい。)
【0026】
上記式(1)中、「CH=CR−COO−R−」基は各種合成樹脂などの材料と化学結合する反応基であり、「−R・(OR3−n」基は、シリカ等の無機材料と化学結合する反応基である。
一般式(1)で示されるアクリロキシ基を有する官能化カップリング剤の具体例としては、2−アクリロキシエチルトリメトキシシラン、2−アクリロキシエチルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン 、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシランなどを挙げることができる。これらの中では、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン が好ましい。
また、メタクリロキシ基を有する官能化カップリング剤の具体例としては、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランが挙げられる。
また、上記の中でもアクリロキシ基を有機官能基として有するシランカップリング剤は、アクリロキシ基がメタクリロキシ基と比較して反応性が高いために、電子線硬化型樹脂の改質の点から好ましい。
【0027】
市販のアクリロキシ基を有するシランカップリング剤として、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(東レダウコーニング社製、商品名:Z−6530、信越化学(株)製、製品名:KBM−5103)が例示でき、メタクリロキシ基を有するシランカップリング剤として、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学(株)製、製品名:KBM−502)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(東レダウコーニング社製、商品名:Z−6030、信越化学(株)製、製品名:KBM−503)、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン(信越化学(株)製、製品名:KBE−502)、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン(信越化学(株)製、製品名:KBE−503)が例示できる。
本発明において、ハードコート層(B)を形成する電子線硬化型樹脂組成物中の(メタ)アクリロキシ変性シリカの含有量は、1〜20重量%であり、好ましくは3〜15重量%であり、より好ましくは5〜15重量%である。(メタ)アクリロキシ変性シリカの含有量が前記1重量%未満では、耐傷付性が不十分なものとなる。一方、前記20重量%を超えても、耐傷付性の更なる向上が見られずコストに見合った十分な効果が得られない。
【0028】
(iii)光安定剤
ハードコート層(B)の紫外線による劣化をさらに防止し、耐候性を向上させるために、他の光安定剤としてラジカル捕捉剤も添加することが好ましい。このラジカル捕捉剤としては、ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、ビス−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、その他、例えば特公平4−82625号公報に開示されている化合物等のヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤、ピペリジル系ラジカル捕捉剤等が使用される。これらラジカル捕捉剤の添加量は、0.1〜5重量%が好ましい。なお、ハードコート層(B)にヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤からなる光安定剤を添加する場合には、ハードコート層(B)に隣接する絵柄層、易接着層等の層にはウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等の分子中に塩素原子を含まない樹脂を用いると耐候性向上の点で良好である。もし、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリオレフィン等の分子中に塩素原子を含む樹脂を用いると、紫外線又は熱の作用によりこれらの樹脂から脱塩素反応で塩化水素が発生し、これがヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤と反応してその作用を失活・阻害するため、耐候性が十分に向上しない。
【0029】
(iv)その他の添加剤
前記耐摩耗性向上剤としては、例えば、有機物では架橋アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の合成樹脂ビーズが挙げられる。粒子形状は、球、楕円体、多面体、鱗片形等が挙げられ、特に制限はないが、球状が好ましい。粒径は、通常膜厚の10〜200%程度とする。
前記重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、p−ベンゾキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、t−ブチルカテコール等が、架橋剤としては、例えばポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、金属キレート化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物等が用いられる。
前記充填剤としては、例えば硫酸バリウム、シリカ、タルク、クレー、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム等が用いられる。
前記着色剤としては、例えばキナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、酸化チタン、カーボンブラック等の公知の着色用顔料等が用いられる。
前記赤外線吸収剤としては、例えば、ジチオール系金属錯体、フタロシアニン系化合物、ジインモニウム化合物等が用いられる。
【0030】
〔2〕透明ハードコートフィルム(C)の形成
ハードコート層(B)の形成において、まず、重合性モノマーや重合性オリゴマー等の電子線硬化型樹脂、紫外線吸収剤、及び(メタ)アクリロキシ変性シリカを混合すると共に、必要に応じて各種添加剤を、それぞれ所定の割合で混合して、電子線硬化型樹脂組成物を調製する。この電子線硬化型樹脂組成物の粘度は、後述の塗工方式により、易接着性透明樹脂フィルム(A)の表面に未硬化樹脂層を形成し得る粘度であれば良く、特に制限はないが、必要に応じて溶剤を添加しても良い。
このようにして調製された電子線硬化型樹脂組成物を、易接着性透明樹脂フィルム(A)の表面に、硬化後の厚さが好ましくは1〜20μmになるように、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート等の公知の方式、好ましくはグラビアコートにより塗工し、未硬化樹脂層を形成させる。硬化後の厚さが1μm以上で所望の機能を有するハードコート層が得られる。硬化後の表面保護層の厚さは、より好ましくは2〜20μm程度である。
【0031】
次いで、上記の未硬化樹脂層に、電子線を照射して該未硬化樹脂層を硬化させる。ここで、電子線の加速電圧については、用いる樹脂や層の厚さに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70〜300kV程度で未硬化樹脂層を硬化させることが好ましい。
なお、電子線の照射においては、加速電圧が高いほど透過能力が増加するため、易接着性透明樹脂フィルム(A)が電子線により劣化する基材を使用する場合には、電子線の透過深さと樹脂層の厚さが実質的に等しくなるように、加速電圧を選定することにより、易接着性透明樹脂フィルム(A)への余分の電子線の照射を抑制することができ、過剰電子線による基材の劣化を最小限にとどめることができる。
また、照射線量は、ハードコート層(B)の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜50kGy(1〜5Mrad)の範囲で選定される。
さらに、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用いることができる。
【実施例】
【0032】
以下に本発明を実施例、比較例により説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。以下に本実施例、比較例において使用した原材料等、及び採用した評価方法を記載する。
(1)原材料等
(i)紫外線吸収剤
ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(チバ・スペシャリティ・ケミカル製、商品名:チヌビン479)
(ii)光安定剤
ヒンダードアミン系光安定剤(チバ・スペシャリティ・ケミカル製、商品名:チヌビン123)
(iii)(メタ)アクリロキシ変性シリカ等
・アクリロキシ変性シリカ
平均粒径数十nm、シリカ表面をシランカップリング剤(3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、東レダウコーニング社製、商品名:Z−6530)にて表面を変性処理したもの。
・メタクリロキシ変性シリカ
平均粒径数十nm、シリカ表面をシランカップリング剤(3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、東レダウコーニング社製、商品名:Z−6030)にて表面を変性処理したもの。
・アルミナ
平均粒径40nm、BYK社製、商品名:NANOBYK−3601
【0033】
(2)評価方法
(i)紫外線透過率
自記分光光度計((株)日立ハイテクフィールド製、型式:U−4000)を用いて、作製した透明ハードコートフィルムの紫外線透過率を測定した。
尚、測定サンプルと同じ厚みの易接着性透明樹脂フィルムの紫外線透過率をブランクとして測定し、透明ハードコートフィルムの紫外線透過率から、ハードコート層のみの紫外線透過率を求めた。
(ii)電子線硬化型樹脂の反応率
ハードコート層を形成する電子線硬化型樹脂組成物を、乾燥後の重量が10g/mとなるように透明樹脂フィルム上に塗工して、電子線(175kV、30kGy)を照射して塗膜を架橋させる前後の赤外線吸収スペクトル(FT−IR)を測定し、照射前の残存二重結合の残存率から、二重結合の反応率を求めた。
【0034】
(iii)耐候性
超促進耐候性試験機(岩崎電気(株)製、型式:アイスーパーUVテスター)を用いて、作成した透明ハードコートフィルムの100時間までの耐候性試験(温度条件:60℃、照射量80mW/cm)を行い、透明ハードコートフィルムシート表面の概観変化、及び2mm碁盤目法によるセロファンテープ試験密着試験を実施し、塗膜剥離について評価した。評価基準は以下の通りとした。
評価基準:○ 外観変化軽微、及びセロファンテープ試験密着試験にて塗膜剥離観察されず。
× 外観変化、又はセロファンテープ試験密着試験にて塗膜剥離が観察された。
(iv)耐傷付き性
スチールウール(ボンスター販売(株)製、型式:#0000)を1.5kg荷重のおもりに取り付け、塗膜表面を5往復回擦った後、表面状態を観察した。
評価基準 ○:ほとんど傷付きがみ見られず実用上問題ない。
△:若干傷付きが見られるものの実用上問題ない。
×:傷付きが見られ実用上問題ある。
【0035】
[実施例1〜3]
〔1〕化粧シートの作製
(1)透明ハードコートフィルムの形成
表面に易接着層が形成された易接着性透明ポリエステルフィルム(厚み:75μm、東レ(株)製、商品名:ルミラー34)上に、多官能アクリレートオリゴマー30重量部、及び3官能モノマー70重量部から得た電子線硬化型樹脂に、前記紫外線吸収剤とアクリロキシ変性シリカを表1に記載する量配合した電子線硬化型樹脂組成物を乾燥後の塗膜厚みが10μmとなるようにグラビア印刷法で塗工した後、電子線を175kV、30kGyの条件で照射し、塗膜を架橋硬化させて電子線硬化型樹脂層を形成して、透明ハードコートフィルムを得た。
【0036】
(2)化粧シート用の基材シートの作製
一方、酸化チタン顔料で着色されたポリプロピレン系樹脂シート(厚み:80μm)上に、酸化チタンを着色顔料とし、主成分がウレタン系樹脂であるバインダー樹脂とするインキをグラビア印刷により乾燥後の重量が2g/mとなるように着色ベタ層(隠蔽層)を形成し、更に、有機顔料にフタロシアニンブルーを使用して、主成分がウレタン系樹脂であるバインダー樹脂からなるインキを乾燥後の塗工量が2g/mとなるようにグラビア印刷して、木目柄の絵柄層を形成し、基材シートを得た。
(3)化粧シートの形成
上記透明ハードコートフィルムの裏面にグラビア印刷法により2液型のポリエステルポリオールタイプの接着剤を乾燥後の重量が5g/mになるように塗布後、前記基材シートとラミネートして図1に示す、上記透明ハードコートフィルムに易接着層を介して基材シートが積層された化粧シートを作製した。
【0037】
〔2〕透明ハードコートフィルム、及び化粧シート等の評価
(1)評価方法
実施例1で作製した透明ハードコートフィルムについて前述の(i)紫外線透過率、及び化粧シートについて前述の(ii)耐候性と(iii)耐傷付き性の評価を行った。
(2)評価結果
評価結果をまとめて表1に示す。また、実施例1における透明ハードコートフィルムの紫外線透過率の測定結果を図2に示す。
【0038】
[比較例1〜3]
比較例1〜3において(メタ)アクリロキシ変性シリカを電子線硬化型樹脂組成物に添加しなかった以外は、実施例1と同様に透明ハードコートフィルムを作製し、実施例1に記載したと同様の評価を行なった。又、比較例1、3においては、作成した透明ハードコートフィルムについて電子線硬化型樹脂の反応率の測定を行った。
評価結果をまとめて表1に示す。また、比較例1、2における透明ハードコートフィルムの紫外線透過率の測定結果を図2に示す。
【0039】
[実施例4、5]
アクリロキシ変性シリカの代わりにメタクリロキシ変性シリカを使用した以外は、実施例1と同様に透明ハードコートフィルムを作製し、実施例1に記載したと同様の評価を行った。
評価結果をまとめて表1に示す。
[比較例4]
アクリロキシ変性シリカの代わりにアルミナを使用した以外は、実施例1と同様に透明ハードコートフィルムを作製し、実施例1に記載したと同様の評価を行った。
【0040】
【表1】

【符号の説明】
【0041】
11 電子線硬化型樹脂層
12 易接着性透明ポリエステルフィルム
13 易接着層
14 装飾層
15 ポリプロピレン系樹脂シート
21 絵柄層
22 着色ベタ層(隠蔽層)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絵柄が形成された基材シート(K)上に、易接着層と易接着性透明樹脂フィルム(A)と電子線硬化型樹脂からなるハードコート層(B)とがこの順に積層された透明ハードコートフィルム(C)が積層された化粧シートであって、
該ハードコート層(B)には少なくとも紫外線吸収剤と(メタ)アクリロキシ変性シリカが含有されていて、
該紫外線吸収剤の含有量が該層における波長380nmでの紫外線透過率が71%以下となる量であり、かつ(メタ)アクリロキシ変性シリカの含有量が1〜20質量%となる量であることを特徴とする、化粧シート。
【請求項2】
前記ハードコート層(B)に更に光安定剤が0.1〜5質量%となるように配合されていることを特徴とする、請求項1に記載の化粧シート。
【請求項3】
前記紫外線吸収剤がトリアジン系紫外線吸収剤であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の化粧シート。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−67173(P2013−67173A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−249086(P2012−249086)
【出願日】平成24年11月13日(2012.11.13)
【分割の表示】特願2008−255331(P2008−255331)の分割
【原出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】