説明

化粧パフ及びその製造方法

【課題】両面使用可能なパフにおいて、下地用ファンデーションにも仕上げ用、アクセント用ファンデーション、ルースパウダーにも使用可能で、化粧効果と使用感に優れた化粧用パフを提供する。
【解決手段】起毛布帛片1とスポンジシート2とを前記起毛布帛片1の起毛面が外面となる様にこれらを合わせ、内部に扁平なクッション材を挿入して前記起毛布帛片1とスポンジシート2の周縁を縫製した。また、前記クッション材の1面と前記スポンジシート2の裏面を接着した。さらに、前記クッション材の両面と前記スポンジシート2の裏面及び前記起毛布帛片1の裏面とを接着した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、化粧用パフとその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ファンデーションやルースパウダーなどの化粧料を塗布するための化粧用パフは、ゴム弾性を持つスポンジ製のスポンジパフや、パイル地など起毛布帛片を縫製した起毛パフがあり、化粧料の違いや、これらのスポンジパフ等の使用する部位による仕上がり具合によって使い分けられている。
【0003】
化粧料では、油分や水分の多いファンデーションにはスポンジパフが、油分や水分の少ないパウダータイプの化粧料には起毛パフが使用されている。化粧料とパフの使用方法としては、スポンジパフにて下地用ファンデーションを塗布する。その後、仕上げ用にパウダーファンデーションをスポンジパフ又は起毛パフで塗布する。さらに仕上げ用、アクセント用として、チークなどのルースパウダーを起毛パフで塗布している。また、化粧直し時には、額と鼻筋のTゾーン部にはスポンジパフを使用し、頬部は起毛パフを使用している。この様に、一般的には、化粧用には数種の化粧料を使用し、また、主に2種類のパフを使用しており、外出時はこれらを夫々携帯している。
【0004】
そんな中、スポンジパフの片面に静電植毛加工を施し、ファンデーション用、ルースパウダー用と一つのパフで両用可能としたパフが知られている(特開2003−339432号公報)。しかしながら、このパフはスポンジをベースにしているため、下地用ファンデーションの塗布には優れているが、仕上げ用、アクセント用に、前記植毛部分を使用する場合には前記起毛パフには及ばないものである。これは、植毛できるパイル長は、1mm程度が限界であり、起毛パフに使用される2mm以上の起毛による化粧効果と使用感に優れるパイル状態を達成することはできないという理由による。
【0005】
また、起毛パフにて、上下面で長さの異なったパイルで構成されたパフがあるが(実公昭30−10142号公報、実公昭37−15020号公報)、パイルの長さの長短で使い分けたり、パイル有りとパイル無しで使い分ける程度であり、ルースパウダー用には優れているものの、下地用ファンデーション用と共通使用できるものではない。
【0006】
一方、スポンジパフは厚み8mm程度の弾性体スポンジを使用し、この周縁部を砥石などで削り加工を行い曲面としているものである(特公昭50−12636号公報)。このスポンジパフは、上下の平面は頬などの広い部分へのファンデーション塗布に、周縁部の曲面は小鼻などの凹凸部へのファンデーション塗布に使用される。周縁部の削り加工面は上下の平面(この面はスライスなどにより成型される)と異なり細かなささくれがあり、使用時にちくちく感がありまたファンデーションが筋を引くという現象があり、上下の平面に比べ使用感が劣るという問題があった。
【0007】
さらに、縫製による起毛パフは、パイル地を袋状に縫製し、内部にクッション材を入れたものであるが(実公昭37−15020号公報)、クッション材がパフ内部で移動して使用感が悪いという問題があった。これに対して、外皮とクッション材を接着剤にて接着することが提案されているが(特公昭59−7444号公報、特開平10−211018号公報)、液状で粘着性のある接着剤を縫製開口部から挿入し均一に接着することは非常に困難であった。
【特許文献1】実公昭30−10142号公報
【特許文献2】実公昭37−15020号公報
【特許文献3】特公昭59−7444号公報
【特許文献4】特開平10−211018号公報
【特許文献5】特開2003−339432号公報
【特許文献6】特公昭50−12636号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この様に、両面で異なる構成のものを組み合わせ、化粧料や化粧用途によって使い分けるものはあるが、何れも満足のいくものではなかった。
【0009】
この発明は、この様な両面使用可能なパフにおいて、下地用ファンデーションにも仕上げ用、アクセント用ファンデーション、ルースパウダーにも使用可能で、化粧効果と使用感に優れた化粧用パフを提供して前記課題を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明の発明者らは、起毛布帛片とスポンジを組み合わせることによって下地用ファンデーション塗布用にも仕上げ用、アクセント用にも使用可能な両面使用可能のパフを供給できると考え、さらに改良を加えて、スポンジパフ単体や起毛パフ単体に劣らない両面使用可能な化粧用パフを完成させた。すなわち、請求項1の発明は、起毛布帛片とスポンジシートとを前記起毛布帛片の起毛面が外面となる様にこれらを合わせ、内部に扁平なクッション材を挿入して前記起毛布帛片とスポンジシートの周縁を縫製した化粧用パフとした。
【0011】
請求項2の発明は、前記クッション材の1面と前記スポンジシートの裏面とを接着剤で接着した前記請求項1に記載の化粧用パフとした。また、請求項3の発明は、前記クッション材の両面と前記スポンジシートの裏面及び前記起毛布帛片の裏面とを接着剤で接着した前記請求項1に記載の化粧用パフとした。
【0012】
請求項4の発明、前記接着剤として、感熱接着剤を使用し、当該感熱接着剤を前記クッション材の1面又は両面に塗布した後、当該化粧用パフの外側から熱を与えて当該クッション材の1面又は両面と前記スポンジシートの裏面又は前記起毛布帛片の裏面とを接着した前記請求項2又は3に記載の化粧用パフとした。
【0013】
請求項5の発明は、前記接着剤として、感熱接着剤シートを使用し、当該感熱接着剤シートを前記クッション材の1面又は両面と前記スポンジシートの裏面又は前記起毛布帛片の裏面との間に挿入した後、当該化粧用パフの外側から熱を与えて当該クッション材の1面又は両面と前記スポンジシートの裏面又は前記起毛布帛片の裏面とを接着した前記請求項2又は3に記載の化粧用パフとした。
【0014】
請求項6の発明は、前記起毛布帛片とスポンジシートを合わせ、内部にクッション材を挿入して前記布帛片とスポンジシートの周縁を縫製して形成する化粧用パフの製造方法において、前記起毛布帛片とスポンジシートを前記起毛布帛片の起毛面を外側にしてこれらの外縁を開口部を除いて縫製し、前記クッション材の1面と前記スポンジシートの裏面又はクッション材の1面と前記起毛布帛片の裏面の少なくとも1つに感熱接着層を設け、前記起毛布帛片とスポンジシートの開口部よりクッション材を挿入し、その後、当該化粧用パフの外側から熱を与え、少なくとも当該クッション材の1面と前記スポンジシートの裏面又は当該クッション材の1面と前記起毛布帛片の裏面とを接着する化粧用パフの製造方法とした。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、下地用ファンデーション、仕上げ用ファンデーション、ルースパウダーに対して1つのパフにて使用することができる。また、この化粧用パフによれば、起毛面を有しているにもかかわらず、パフ全体の厚みを小さく押さえられることにより、コンパクトケースに容易に収まり携帯に便利である。また、この化粧用パフによれば、スポンジパフと起毛パフの2つのパフを携帯することなく1つのパフを携帯すればよく、便利である。
【0016】
請求項2又は3の発明によれば、クッション材の1面又は両面とスポンジシートの裏面等とを接着したので、化粧用パフ内でクッション材が安定してむやみに移動せず、空洞感が無く、使用し易いものである。
【0017】
請求項4、5又は6の発明によれば、前記クッション材の1面と前記スポンジシートの裏面又はクッション材の1面と前記起毛布帛片の裏面の少なくとも1つに感熱接着層を設けたので、従来の製造途中に化粧用パフの狭い開口部から接着剤を挿入するという作業が不要となり、製造時の作業性に優れて生産性が高いものである。また、特に、感熱接着剤シートを使用したものは、さらに、作業性に優れて生産性が高いものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
この発明の化粧用パフを説明する。図1は、この発明の実施例の化粧用パフの斜視図である。図2は、この発明の実施例の化粧用パフの断面図である。
【0019】
パフ外皮材となる布帛片1とスポンジシート2の2枚を合わせ、これらの周縁部を縫製し、その15mm程度を未縫製状態の開口部としておく。そして、前記未縫製の開口部を使ってパフ外皮材の内外を反転させ、その内部にクッション材3を挿入し、前記開口部を縫製して、図1及び図2に示す、化粧用パフAを作成する。
【0020】
布帛片1としては、起毛布帛片を使用することが出来る。起毛されるパイル長は、布帛片基材から、0.5mm以上5mm以下であることが好ましく、より好ましくは、2mm以上5mm以下であることが好ましい。これにより、仕上げ用、アクセント用に使用した場合にふんわりとした仕上がりとなる。パイルの材質としては、合成繊維、天然繊維の各種繊維が使用できる。これらの例としては、ナイロン、ポリエステル、アクリル、レーヨン、アセテート、コットン、麻、絹、獣毛のうちどれか一つ若しくは二つ以上の組み合わせによる混紡などを挙げることができる。
【0021】
起毛布帛片基布としては、織布、編布が使用できるが、織布が好ましい。起毛は使用する片面のみに起毛されている布帛片が好ましく使用できる。後述する接着によりクッション材と布帛片を接着する場合に接着が容易となる。この様な起毛布帛片として、特に好ましく使用することが出来るものは、コットンベルベット織布、ナイロンベルベット織布、ポリエステルベルベット織布、レーヨンベルベット織布である。起毛の方法としては、カットパイル、織込み等の各種の方法が使用出来る。
【0022】
スポンジシート2としては、ゴム弾性素材のスポンジシートが使用することができる。ゴム弾性素材としては、合成ゴム又は天然ゴム、ポリウレタンを使用することができ、好ましくは、NBR、SBR、NRのラテックススポンジ及びポリウレタンフォーム(スポンジ)が使用できる。前記スポンジは、連続気泡構造を持ち、平均気泡径が50μm〜250μmの気泡構造を持つスポンジが、下地用ファンデーションの塗布用途に優れた化粧効果があり、特に好ましい。
スポンジシートの表面は、平滑でささくれのないものが優れた化粧効果があり好ましい。このような表面は、スポンジ原反からスライスによりシートとしたスライス面が好ましく使用出来る。
【0023】
スポンジシート2の厚みは、1mm以上が使用でき、好ましくは2mm以上4mm以下が好ましい。スポンジシート2の厚みが大きければ、スポンジ自体の弾性が発揮され、化粧効果と使用感に優れる。しかしながら、厚みが4mmを越えたシートを使用すると、作成したパフのスポンジ側塗布部が凸状に湾曲する傾向がある。この状態では内部が空洞となり押圧に対する抵抗がなく所謂腰がないものとなり、ファンデーションの着け取りがやり難くなる。また、ファンデーション塗布時には大きな曲面であることと腰がないことで、細かな部分への塗布がやり難い。
【0024】
スポンジシート2が4mm以下であれば、作成したパフのスポンジ側塗布部の凸状湾曲が少なくなり、中央部から周辺部にかけて平面状となる。この周辺部付近の平面を使用することによって、ファンデーションの着け取りが容易となり、着け取り量も増大する。また、塗布時にも、スポンジシート2の平面部は頬、額などの比較的大面積部への塗布に優れる。また、周辺部の曲部は小鼻などの凹凸の部分の塗布に優れたものとなる。
【0025】
さらに、スポンジシート2の周辺部の曲部はスライスされて形成された面となっており、スポンジパフの削り加工曲面と異なりささくれがなく、使用感に優れている。また、後述するクッション材3との接着を行うことにより、より平面を広くすることができより好ましい。スポンジシート2が1mm未満の厚さであると、スポンジ本来の化粧効果が現れず、内部のクッション材3の質感が感じられて好ましくなく、耐久性に劣るとの現象があり好ましくない。なお、スポンジシート2は後述のクッション材3との接着により、さらに化粧用パフの平面部を広くすることができより好ましい。
【0026】
布帛片1とスポンジシート2の縫製には、通常の縫製方法が使用できる。すなわち、糸と針を使用し、手縫い、ミシン縫いを行うことができる。縫い目ピッチは、2.5mm以上5mm以下を、より好ましくは3mm以上4mm以下を使用することが好ましい。
【0027】
布帛片1とスポンジシート2は、化粧用パフAの仕上がり形状に応じて、円状、四角状に裁断し、化粧で使用する面同士を内側に対向させ、周縁部又は周縁部近傍部を縫製する。縫製は、15mm程度を未縫製とし、開口部を設ける。この後、開口部より布帛片1及びスポンジシート2を引き出し内外反転させる。この後、クッション材3を開口部より挿入し、開口部を封口する。封口には、縫製や、接着により行うことができる。開口部は10mmから20mmとすることが好ましい。開口部が大きければ反転や挿入の作業はやり易くなるが、その後の封口作業は難しくなる。封口部は少なからず周縁縫製部と異なり、その大きさが20mmを超える場合、外観上の違和感や、使用上の使用感が異なり好ましくない。また、10mmより小さい場合、反転や挿入の作業が著しく困難となり作業性に劣る。クッション材3は、スポンジ、繊維綿、不織布などが使用でできる。クッション材3は、パフ仕上がり形状に合わせた形状に裁断しておき、前述の開口部よりパフ内部に挿入する。
【0028】
クッション材3とパフ外皮材である布帛片1及び/又はスポンジシート2は、接着することが好ましい。接着することにより、化粧用パフAのふくらみを押さえ、上下面を平面とすることができる。上下面を平面とすることにより、スポンジ側では、外面周辺部近くの平面部を使用することにより、ファンデーションを着け取る量が多くなり、頬などの比較的面積の広い部分への塗布がスムースに行うことができる。また、クッション材3がパフ内部で移動しなくなり、使用感が向上する。
【0029】
接着方法は、接着剤による接着法が使用できる。接着剤はクッション材3の表面に塗布することができる。また、接着剤シートをクッション材3とパフ外皮材との間に挿入することができる。また、あらかじめ、パフ外皮材の内面となる側に接着剤を塗布し、この後、内外反転することもできる。この後、上下面から、圧力を掛けることにより、パフ外皮材とクッション材3を接着する。
【0030】
接着剤には、常温では接着性がなく、熱により接着することができる感熱接着剤を使用することができる。この場合、外側から熱を掛け圧力を掛けることにより確実に接着することができるとともに、狭い開口部から接着剤を挿入し不要な部分を接着剤で汚染することがなく、作業性、歩留まりが向上する。
【0031】
また、別の方法としては、パフ内面となる側にクッション材3をあらかじめ接着しておき、開口部より内外反転する方法も使用できる。この場合、パフ外皮材のどちらか一方を接着することになるが、スポンジシート2とクッション材3を接着することが好ましい。これは、後述するように、出来上がったパフのスポンジ面の平面部を広く取れるからである。
【0032】
クッション材3とパフ外皮材との接着は、少なくともスポンジシート2側を接着することができる。スポンジシート2は、弾力があり、伸張可能であるが、屈曲に対しては反発力があるために、周縁部を縫製して反転した時に、面中央部が凸状に湾曲する傾向がある。これは、内部のクッション材3の弾性が効果的に効かず、ふかふかするのみでファンデーションの付け取りが困難となる。また、小鼻などの細かい起伏部に応じて適正量を塗布することが困難となる。また、少なくともクッション材3がスポンジシート2と接着されていれば、起毛側を使用する場合にもクッション材3が内部で移動することはほぼ防止でき使用感が向上する。
【0033】
なお、布帛片1とクッション材3も接着することが好ましい。布帛片1とクッション材3が接着されることによりクッション材3が内部で移動することを完全に防止でき、さらに使用感が向上する。
【0034】
この発明の化粧用パフAの使用方法を説明する。
下地用ファンデーション、仕上げ用のパウダーファンデーションの使用には、スポンジシート2を使用する。化粧用パフAの端部の平面部を使用してファンデーションを着け取り、顔全面に均一に塗布する。小鼻などの凹凸部には、パフ端部の曲面部を使用して伸ばすと凹凸に沿って均一に塗布することができる。ファンデーションの着け取り量が多く、何度も着け取り−塗布を繰り返さずに全面をカバーすることが可能となる。パウダーファンデーションやルースパウダーは、起毛面を使用する。頬部などの広い範囲に使用し、ふんわりと仕上げることができる。この様にこの発明の化粧用パフは、下地、仕上げ、アクセントと一つのパフにて使用することができる。
【実施例1】
【0035】
起毛布帛片として、パイル長3mmのポリエステルベルベット織布を用意した。スポンジシートとして、ユキロンスポンジ(登録商標、雪ヶ谷化学工業製NBRスポンジ、連続気泡構造、密度180kg/m、平均気泡径160μm)の厚み2.5mmのシートを用意した。クッション材として、ウレタンフォーム (密度70kg/m)の厚み5mmを用意した。接着剤として、感熱接着剤シート4を使用し、具体的にはEVA系ホットメルト接着シートを用意した。起毛布帛片とスポンジシートの2枚のシートを、作成する化粧用パフのサイズ50mm×45mmに合わせて、68mm×53mmに裁断した。ウレタンフォームと接着剤シートを、作成する化粧用パフのサイズに合わせて、47mm×42mmに裁断した。
【0036】
前記2枚のシートを、化粧用パフとして使用する側同士を向かい合わせに重ね、周縁部の内側2.0mmに沿って縫い目ピッチ3.5mm、コットン糸にてミシン縫いを行い、一部に15mmの未縫製の開口部を設けた。開口部から布帛片とスポンジシートを引き出し、内外を反転させ、使用面を外側にし、スポンジシートの曲面を切削面でなくスライス面にて構成した。開口部からクッション材を挿入し、次いで感熱接着剤シート4を挿入し、開口部を糸縫し封口した。
【0037】
120℃温調した鉄板にてパフを押圧し、前記感熱接着剤シート4を溶融しクッション材とパフ外皮材を接着させた。出来上がった化粧用パフは、厚み10mm(パイル含む)、上下面の75%がほぼ平面となっていた。
【0038】
出来上がった化粧用パフを社内テスターにて使用感のモニタを行った。出来上がった化粧用パフのスポンジ面にてファンデーションの使用モニタを行い、起毛面でルースパウダーの使用モニタを行った。その結果、ファンデーションの使用においては、従来のスポンジパフに見られた曲面部使用上のちくちく感やざらつき感がなく、他の部分でも段差なくスムースな使用感で優れていた。また、ルースパウダーの使用でも、従来の起毛パフに比べてパフに剛性があり、しっかり狙った部位への塗布が可能であるとの結果であった。
【実施例2】
【0039】
スポンジシートに厚み4mmを使用し実施例1と同様に製作した。
【0040】
比較例1
スポンジシートに厚み4.5mmを使用し実施例1と同様に製作した。
【実施例3】
【0041】
スポンジシートに厚み2.5mmを使用し、実施例1の感熱接着剤シート4は使用せずに、熱接着工程も行わず、クッション材とパフ外皮材の接着は行わなかった。出来上がったパフは、厚みが厚くスポンジ側の平面が縮小していた。
【実施例4】
【0042】
スポンジシートに厚み4mmを使用し、実施例1の感熱接着剤シート4は使用せずに、熱接着工程も行わず、クッション材とパフ外皮材の接着は行わなかった。出来上がったパフは、厚みが厚くスポンジ側の平面が縮小していた。
【0043】
比較例2
スポンジシートに厚み4.5mmを使用し、実施例1の感熱接着剤シート4は使用せずに、熱接着工程も行わず、クッション材とパフ外皮材の接着は行わなかった。
出来上がったパフは、厚みが厚くスポンジ側の平面がなく、凸状に湾曲していた。
【0044】
これらの実施例1、2、3、4、比較例1、2を比較した結果を表1にまとめる。
【表1】

【0045】
この表1において、スポンジ側平面性における「優」は、平面部の面積が71%以上を示し、「良」は50%〜70%を示し、「劣」は50%未満を示す。また、テスター評価の起毛面における「優」は、パフがしっかりして狙い通りの化粧が可能で、使用感も優れる。「良」は従来の縫製パフと同様な良好な使用感を示す。「劣」は、使い難い。柔らかであるが空洞感があり、しっかり押さえられない。さらに、同スポンジ面における「優」は、パフがしっかりして狙い通りの化粧が可能で、使用感も優れる。「良」は平面部がやや少ないがチクチク感が無く、良好な使用感を示す。「劣(1)」は、使い難い。空洞感があり、しっかり押さえられない。「劣(2)」は、使い難い。空洞感があり、しっかり押さえられない。中芯(クッション材)が移動して使い難い。
【0046】
この発明の化粧用パフは前記の構成とすることによって、下地用ファンデーション、仕上げ用ファンデーション、ルースパウダーに対して1つのパフにて使用することができる。さらに、スポンジシートの曲面を切削面でなくスライス面にて構成したので、下地用ファンデーションの使用時に筋を引くことなく、使用感に優れ、化粧効果が高いものである。また、この発明の化粧用パフによれば、起毛面を有しているにもかかわらず、パフ全体の厚みを小さく押さえられることにより、コンパクトケースに容易に収まり携帯に便利である。また、この発明の化粧用パフによれば、スポンジパフと起毛パフの2つのパフを夫々携帯することなく1つのパフを携帯すればよく、携帯に便利である。また、感熱接着剤を使用して製造することにより、製造時の作業性に優れ生産性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】この発明の実施例の化粧用パフの斜視図である。
【図2】この発明の実施例の化粧用パフの断面図である。
【符号の説明】
【0048】
A 化粧用パフ
1 布帛片 2 スポンジシート
3 クッション材 4 感熱接着剤シート


【特許請求の範囲】
【請求項1】
起毛布帛片とスポンジシートとを前記起毛布帛片の起毛面が外面となる様にこれらを合わせ、内部に扁平なクッション材を挿入して前記起毛布帛片とスポンジシートの周縁を縫製したことを特徴とする化粧用パフ。
【請求項2】
前記クッション材の1面と前記スポンジシートの裏面とを接着剤で接着したことを特徴とする前記請求項1に記載の化粧用パフ。
【請求項3】
前記クッション材の両面と前記スポンジシートの裏面及び前記起毛布帛片の裏面とを接着剤で接着したことを特徴とする前記請求項1に記載の化粧用パフ。
【請求項4】
前記接着剤として、感熱接着剤を使用し、当該感熱接着剤を前記クッション材の1面又は両面に塗布した後、当該化粧用パフの外側から熱を与えて当該クッション材の1面又は両面と前記スポンジシートの裏面又は前記起毛布帛片の裏面とを接着したことを特徴とする前記請求項2又は3に記載の化粧用パフ。
【請求項5】
前記接着剤として、感熱接着剤シートを使用し、当該感熱接着剤シートを前記クッション材の1面又は両面と前記スポンジシートの裏面又は前記起毛布帛片の裏面との間に挿入した後、当該化粧用パフの外側から熱を与えて当該クッション材の1面又は両面と前記スポンジシートの裏面又は前記起毛布帛片の裏面とを接着したことを特徴とする前記請求項2又は3に記載の化粧用パフ。
【請求項6】
前記起毛布帛片とスポンジシートを合わせ、内部にクッション材を挿入して前記布帛片とスポンジシートの周縁を縫製して形成する化粧用パフの製造方法において、
前記起毛布帛片とスポンジシートを前記起毛布帛片の起毛面を外側にしてこれらの外縁を開口部を除いて縫製し、前記クッション材の1面と前記スポンジシートの裏面又はクッション材の1面と前記起毛布帛片の裏面の少なくとも1つに感熱接着層を設け、前記起毛布帛片とスポンジシートの開口部よりクッション材を挿入し、その後、当該化粧用パフの外側から熱を与え、少なくとも当該クッション材の1面と前記スポンジシートの裏面又は当該クッション材の1面と前記起毛布帛片の裏面とを接着することを特徴とした化粧用パフの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−95968(P2012−95968A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−248592(P2010−248592)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【出願人】(392003018)雪ヶ谷化学工業株式会社 (7)