説明

化粧料

【課題】 本発明は、化粧膜の付着性に優れ、伸び広がりがよく、均一な化粧膜が得られる化粧料で、特に、疎水性処理剤で処理した粉体の持つ欠点である、経時で皮膚への付着性が低下して消失したところと残っているところの差が激しく、不自然な化粧膜になってしまうことがない、すなわち均一な化粧膜が継続し経時による化粧崩れが目立たず化粧持ちに優れる化粧料を提供するものである。
【解決手段】 本発明は、次の成分(a)〜(c);(a)特定のシリコーンリン酸トリエステル、(b)疎水化処理剤で表面処理した粉体と(c)エステル油、炭化水素油、シリコーン油から選ばれる1種又は2種以上の液体油、を組み合わせて配合することにより、化粧膜の付着性に優れると共に、伸び広がりがよく、均一な化粧膜が得られ、均一な化粧膜が継続し経時による化粧崩れが目立たず化粧持ちに優れる化粧料に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧膜の付着性に優れると共に、伸び広がりがよく、均一な化粧膜が得られ、均一な化粧膜が継続し経時による化粧崩れが目立たず化粧持ちに優れる化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、粉体を含有する化粧料の化粧持ちを向上させる方法として、シリコーン化合物や、フッ素化合物で、粉体の表面を疎水化することにより、汗や皮脂などの内的要因や、スポーツで水に濡れる場合の外的要因に対抗する技術が検討されてきた。
また、化粧料に粉体を含有する場合、油剤中への分散が悪い粉体は沈降したり、使用感に悪影響を与える場合があるため、分散性を高めるために、親油性の表面処理や粉体の分散剤の検討がなされてきた。(例えば、特許文献1〜3参照)
さらに、シリコーン化合物やフッ素化合物で表面を処理することにより、油剤への分散性や、疎水性は向上するため、化粧が崩れるまでの時間を長くして化粧持ちに優れるという効果はあったが、逆に、一旦、皮膚への付着性が低下して化粧が崩れる時には、徐々に消失していくのではなく、付着力をなくしたところが全て取れてしまい、消失したところと残っているところの差が激しく不自然な化粧膜になるような化粧崩れを生じることがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−196946号公報
【特許文献2】特開平11−322542号公報
【特許文献3】特開平2−218603号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、化粧膜の付着性に優れ、伸び広がりがよく、均一な化粧膜が得られる化粧料で、特に、疎水性処理剤で処理した粉体の持つ欠点である、経時で皮膚への付着性が低下して消失したところと残っているところの差が激しく、不自然な化粧膜になってしまうことがない、すなわち均一な化粧膜が継続し経時による化粧崩れが目立たず化粧持ちに優れる化粧料が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる実情において、本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定のシリコーンリン酸トリエステルと、疎水化処理剤で表面処理した粉体と、エステル油、炭化水素油、シリコーン油から選ばれる1種又は2種以上の液体油とを組み合わせて配合することにより、化粧膜の付着性に優れると共に、伸び広がりがよく、均一な化粧膜が得られ、均一な化粧膜が継続し経時による化粧崩れが目立たず化粧持ちに優れる化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち本発明は、次の成分(a)〜(c);
(a)式(I)
【0007】
【化1】

【0008】
(式中、各Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基を表し、Rは−O−及び−CO−から選ばれる少なくとも1種を有していても良い炭素数2〜7の2価の炭化水素基を表し、nは5〜40のいずれかの整数を表す)で表されるシリコーンリン酸トリエステル、
(b)疎水化処理剤(b−1)で表面処理した粉体、
(c)エステル油、炭化水素油、シリコーン油から選ばれる1種又は2種以上の液体油
を含有することを特徴とする化粧料を提供するものである。
【0009】
また、本発明は、成分(a)式(I)
【0010】
【化2】

【0011】
(式中、各Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基を表し、Rは−O−及び−CO−から選ばれる少なくとも1種を有していても良い炭素数2〜7の2価の炭化水素基を表し、nは5〜40のいずれかの整数を表す)で表されるシリコーンリン酸トリエステルと、疎水化処理剤(b−1)とで表面処理をした粉体(b−2)と、成分(c)エステル油、炭化水素油、シリコーン油から選ばれる1種又は2種以上の液体油とを含有することを特徴とする化粧料。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、化粧膜の付着性に優れると共に、伸び広がりがよく、均一な化粧膜が得られ、均一な化粧膜が継続し経時による化粧崩れが目立たず化粧持ちに優れる化粧料を提供するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられる成分(a)のシリコーンリン酸トリエステルは、式(I)
【0014】
【化3】

【0015】
で表される。
式中、各Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基を表し、Rは−O−及び−CO−から選ばれる少なくとも1種を有していても良い炭素数2〜7の2価の炭化水素基を表し、nは5〜40のいずれかの整数を表す。
【0016】
における「炭素数1〜4のアルキル基」としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基が挙げられる。Rとしては、これらのうち、メチル基が好ましい。
Rにおける「−O−及び−CO−から選ばれる少なくとも1種を有していても良い炭素数2〜7の2価の炭化水素基」の「炭素数2〜7の2価の炭化水素基」としては、エチレン鎖、プロピレン鎖、メチルエチレン鎖、ブチレン鎖、1,2−ジメチルエチレン鎖、ペンチレン鎖、1−メチルブチレン鎖、2−メチルブチレン鎖、ヘキシレン鎖、ヘプチレン鎖等が挙げられる。
「−O−及び−CO−から選ばれる少なくとも1種を有している炭素数2〜7の2価の炭化水素基」としては、−O−又は−CO−を1又は2以上有していて良く、たとえば、−CH−O−(CH−、−(CH−O−(CH−、−(CH−O−(CH−、−(CH−O−(CH−、−(CH−O(CH−O−(CH−、−(CH−O−(CH−、−(CH−O−(CH−、−(CH−O−CH−、−CH−CO−(CH−、−(CH−CO−(CH−、−(CH−CO−(CH−、−(CH−CO−(CH−、−(CH−CO−(CH−、−(CH−CO−(CH−、−(CH−CO−CH−等が挙げられる。
「−O−及び−CO−から選ばれる少なくとも1種を有していても良い炭素数2〜7の2価の炭化水素基」としては、これらのうち、−(CHO(CH−が好ましい。
【0017】
具体的に、シリコーンリン酸トリエステルとしては、例えば、以下のものが挙げられる。ただし、nは5〜40のいずれかの整数である。
【0018】
【化4】

【0019】
これらは、1種単独でも、2種以上の混合物でも使用できる。
【0020】
(シリコーンリン酸トリエステルの製造方法)
本発明の成分(a)の特定のシリコーンリン酸トリエステルは、たとえば、以下の反応式に示される方法により製造することができる。
【0021】
【化5】

【0022】
(式中、R、R及びnは、式(I)における定義と同じ)
式(IV)で表される片末端カルビノール変性シリコーンと式(V)で表されるオキシ塩化リンとを、溶媒中で塩基の存在化で反応させる。
【0023】
上記反応を行う際に使用する溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、ジエチルエーテル、アセトニトリル等の極性溶媒等が使用できる。
【0024】
塩基としては、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアルキルアミン類、ピペラジン、イミダゾールなどの複素環状アミン類、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩類、n−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド等の有機金属類等が使用できる。
反応温度は、通常、25℃〜50℃程度であり、反応時間は、シリコーン鎖長によっても異なるが、通常、2時間〜20時間程度である。
【0025】
上記反応により、式(I)で表されるシリコーンリン酸トリエステルが得られるが、副生物として、下記式(II)で表されるシリコーンリン酸ジエステル、下記式(III)で表されるシリコーンリン酸モノエステルなどが生じる。
式(II)
【0026】
【化6】

【0027】
(式中、R、R及びnは上記式(I)における定義と同じ)
【0028】
式(III)
【0029】
【化7】

【0030】
(式中、R、R及びnは上記式(I)における定義と同じ)
【0031】
これら副生物が存在したままシリコーンリン酸エステル混合物として使用することもできるが、通常の方法により、生成物を精製して、実質的に式(I)で表されるシリコーンリン酸トリエステルのみを使用してもよい。
本発明において、式(I)で表されるシリコーンリン酸トリエステル、式(II)で表されるシリコーンリン酸ジエステル及び式(III)で表されるシリコーンリン酸モノエステルの配合割合は、式(I)で表されるシリコーンリン酸トリエステルが効果を奏する限り特に限定されないが、好ましくは、式(I)で表されるシリコーンリン酸トリエステルが60〜100質量%(以下単に「%」と記す)、式(II)で表されるシリコーンリン酸ジエステルが0〜35%、及び、式(III)で表されるシリコーンリン酸モノエステルが0〜5%である。
【0032】
本発明においては、成分(a)の特定のシリコーンリン酸トリエステルは、そのまま配合しても良く、成分(b)疎水化処理剤(b−1)で表面処理した粉体や成分(b)以外の粉体を表面処理して配合しても良い。
また、成分(a)の特定のシリコーンリン酸トリエステルは、疎水化処理剤(b−1)と併用して粉体の表面処理をしても良い。(b−2)
これらの疎水化処理剤は1種又は2種以上を用いることができる。
【0033】
成分(a)の特定のシリコーンリン酸トリエステルと、疎水化処理剤(b−1)とを同時に表面処理する場合には、複数の疎水化処理剤を共に均一溶解し得る溶媒を選択し、湿式法にて行うと、粉体表面に均一に表面処理することができるため好ましい。
【0034】
成分(a)の特定のシリコーンリン酸トリエステルを粉体の表面処理に使用する場合、その被覆量は特に限定されないが、表面処理した粉体に対し0.01〜5%が好ましい。この範囲内であれば、化粧膜の耐水性及び付着性が特に優れる表面処理粉体を得ることができる。
また、疎水化処理剤(b−1)と同時に表面処理する場合は、表面処理剤の合計量が、表面処理した粉体に対し0.01〜10%が好ましい。その場合、上記式(I)で表されるシリコーンリン酸トリエステルを含有するシリコーンリン酸エステルと、疎水化処理剤(b−1)との質量比は、好ましくは1:9〜9:1の範囲であり、さらに、1:3〜3:1の範囲であると油剤への分散性が特に優れる表面処理粉体が得られる。
【0035】
本発明に用いられる成分(a)の含有量は特に限定されないが、0.01〜10%が好ましく、より好ましくは0.1〜5%である。この範囲内であれば、化粧膜の付着力に優れ、伸び広がりがよく、均一な化粧膜が継続し経時による化粧崩れが目立たず化粧持ちに優れるため好ましい。
【0036】
本発明に用いられる成分(b)疎水化処理剤(b−1)で表面処理した粉体において表面処理を施される粉体としては通常、化粧料に用いられる粉体であれば、無機粉体、有機粉体、金属石鹸粉末、有色顔料、パール顔料、金属粉末、タール色素、天然色素等、その粒子形状(球状、針状、板状等)や粒子径(煙霧状、微粒子、顔料級等)、粒子構造(多孔質、無孔質等)を問わず、何れのものも使用することができる。
無機粉体として、具体的には酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、マイカ、カオリン、セリサイト、白雲母、合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、ヒドロキシアパタイト、バーミキュライト、ハイジライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、ゼオライト、セラミックスパウダー、第二リン酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、窒化ホウ素等が挙げられる。
有機粉体としては、ポリアミドパウダー、ポリエステルパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリプロピレンパウダー、ポリスチレンパウダー、ポリウレタン、ベンゾグアナミンパウダー、ポリメチルベンゾグアナミンパウダー、テトラフルオロエチレンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、セルロースパウダー、シルクパウダー、ナイロンパウダー(12ナイロン、6ナイロン)、スチレン・アクリル酸共重合体パウダー、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体パウダー、ビニル樹脂パウダー、尿素樹脂パウダー、フェノール樹脂パウダー、フッ素樹脂パウダー、ケイ素樹脂パウダー、アクリル樹脂パウダー、メラミン樹脂パウダー、エポキシ樹脂パウダー、ポリカーボネイト樹脂パウダー、微結晶繊維粉体パウダー、コメデンプン、ラウロイルリジン、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層末、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末等が挙げられる。
金属石鹸粉末(界面活性剤金属塩粉末)としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、セチルリン酸亜鉛、セチルリン酸カルシウム、セチルリン酸亜鉛ナトリウム等の各粉末が挙げられる。
有色顔料としては、酸化鉄、水酸化鉄、チタン酸鉄の無機赤色顔料、γ−酸化鉄等の無機褐色系顔料、黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料、黒酸化鉄、カーボンブラック等の無機黒色顔料、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色顔料、水酸化クロム、酸化クロム、酸化コバルト、チタン酸コバルト等の無機緑色顔料、紺青、群青等の無機青色系顔料、タール系色素をレーキ化したもの、天然色素をレーキ化したもの及びこれらの粉体を複合化した複合粉体等が挙げられる。
パール顔料としては酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆マイカ、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、魚鱗箔、酸化チタン被覆ガラス末、酸化チタン被覆着色雲母等が挙げられ、また、金属粉末としてはアルミニウムパウダー、カッパーパウダー、ステンレスパウダー等が挙げられる。
タール色素としては赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色204号、黄色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色404号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色206号、橙色207号等が挙げられ、天然色素としてはカルミン酸、ラッカイン酸、カルサミン、ブラジリン、クロシン等が挙げられる。
これらの粉体は複合化して使用しても良い。
上記粉体は必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
【0037】
疎水化処理剤(b−1)としては、通常化粧料に用いられる表面処理剤であれば特に限定されず用いることができる。例えば、オクチルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン、イソプロピルトリイソステアリルチタネート等の有機チタネート、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、高粘度シリコーン、架橋型シリコーン、フッ素変性シリコーン、アクリルーシリコーングラフト共重合体、シリコーン樹脂等の成分(a)以外のシリコーン化合物、パーフルオロアルキルリン酸及びこの塩、パーフルオロポリエーテル、フルオロアルコキシシラン、パーフルオロポリエーテルアルキルリン酸及びこの塩、パーフルオロアルキルシラン等のフッ素化合物、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、非イオン界面活性剤等の界面活性剤、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸、ポリイソブチレン、ワックス、高級脂肪酸、高級アルコール等の油剤、N−アシルアミノ酸等のアミノ酸化合物、ポリビニルピロリドン−ヘキサデセンのコポリマー等のポリビニルピロリドン変性ポリマー化合物等が挙げられる。分散性の向上効果、化粧持ち向上効果の観点から、アルコキシシラン、有機チタネート、成分(a)以外のシリコーン化合物、フッ素化合物が特に好ましい。これらの疎水化処理剤は1種又は2種以上を用いてもよい。
【0038】
本発明に用いられる成分(b)の含有量は特に限定されないが、1〜80%が好ましく、より好ましくは3〜40%である。この範囲内であれば、伸び広がりがよく、化粧膜の化粧持ちに優れるため好ましい。また、成分(b)は、成分(a)の特定のシリコーンリン酸トリエステルと疎水化処理剤(b−1)とで表面処理をした粉体(b−2)として配合することもできる。
【0039】
本発明の効果を損なわない範囲において、成分(b)の疎水化処理粉体の疎水化処理剤で処理していない粉体や、親水化処理剤で処理した粉体を使用することができる。
【0040】
本発明に用いられる成分(c)のエステル油、炭化水素油、シリコーン油から選ばれる1種又は2種以上の液体油は、通常化粧料に用いられる液体油であれば、特に限定されず、いずれのものも使用することができ、また、成分(b)の疎水化処理粉体を分散する分散媒として用いることができる。
化粧膜の付着性や伸び広がり向上効果の観点から、エステル油としては、炭素数6〜18の高級脂肪酸と炭素数6〜18の一価のアルコールとのエステル、トリグリセライド、炭素数6〜18の高級脂肪酸とペンタエリスリトールとのエステル、炭素数6〜18の高級脂肪酸とトリメチロールプロパンとのエステルが好ましく、具体的にはイソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、2−エチルヘキサン酸2−エチルヘキシル、2−エチルヘキサン酸セチル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、イソステアリン酸イソステアリル、トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリトリット、トリ2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、コハク酸ジ2−エチルヘキシル、ジカプリン酸プロピレングリコールが好ましい。
炭化水素油としては、特に炭素数10〜25の飽和炭化水素油が好ましく、更に、イソドデカン、イソヘキサデカンが好ましい。
シリコーン油としては、揮発性であることが好ましく、具体的にはメチルトリメチコン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、ヘプタメチルエチルトリシロキサン、カプリリルメチコン、テトラキストリメチルシロキシシラン等が更に好ましい。
これらの液体油は1種又は2種以上を用いることができる。
【0041】
本発明に用いられる成分(c)の含有量は特に限定されないが、2〜80%が好ましく、より好ましくは5〜60%である。この範囲内であれば、化粧膜の付着性や伸び広がり、化粧膜の化粧持ちに優れるため好ましい。
【0042】
本発明の化粧料には、上記成分の他に、通常、化粧料に使用される成分、水、界面活性剤、成分(c)以外の油剤、油ゲル化剤、紫外線吸収剤、水溶性高分子、トリメチルシロキシケイ酸等の油溶性被膜形成剤、水性成分、パラオキシ安息香酸誘導体、フェノキシエタノール等の防腐剤、ビタミン類、美容成分、香料等を本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。
【0043】
界面活性剤としては通常化粧料に使用されるものであれば特に制限はなく、何れのものも使用することができる。界面活性剤はアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が例示されるが、これらを必要に応じて1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
アニオン性界面活性剤として、具体的にはステアリン酸ナトリウムやパルミチン酸トリエタノールアミン等の脂肪酸セッケン、アルキルエーテルカルボン酸及びその塩、アミノ酸と脂肪酸の縮合等のカルボン酸塩、アルキルスルホン酸、アルケンスルホン酸塩、脂肪酸エステルのスルホン酸塩、脂肪酸アミドのスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩とそのホルマリン縮合物のスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、第二級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキル及びアリルエーテル硫酸エステル塩、脂肪酸エステル硫酸エステル塩、脂肪酸アルキロールアミドの硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、ロート油等の硫酸エステル塩類、アルキルリン酸塩、エーテルリン酸塩、アルキルアリルエーテルリン酸塩、アミドリン酸塩、N−アシルアミノ酸系活性剤等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては長鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジ長鎖アルキルジメチルアンモニウム塩、長鎖アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ジポリオキシエチレンアルキルメチルアンモニウム塩、ジポリオキシエチレンアルキルエーテルジメチルアンモニウム塩、ポリオキシプロピレンメチルジエチルアンモニウム塩等のアルキル4級アンモニウム塩や芳香族4級アンモニウム塩をはじめ、アルキルピリジニウム塩等のピリジニウム塩、アルキルジヒドロキシエチルイミダゾリン塩等のイミダゾリン塩、N−アシル塩基性アミノ酸低級アルキルエステル塩、そしてアルキルアミン塩、ポリアミン、アミノアルコール脂肪酸誘導体等のアミン塩等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としてはソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンフィトスタノールエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロールエーテル、ポリオキシエチレンコレスタノールエーテル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン、ポリオキシアルキレン・アルキル共変性オルガノポリシロキサン、シリコーン分岐型ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン、シリコーン分岐型ポリオキシアルキレン・アルキル共変性オルガノポリシロキサン、アルカノールアミド、糖エーテル、糖アミド等が挙げられる。
両性界面活性剤としてはアルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルジヒドロキシエチルアミノ酢酸ベタイン等のカルボベタイン型両性界面活性剤、アルキルスルホベタイン等のスルホベタイン型両性界面活性剤、N−脂肪酸アシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン塩、N−脂肪酸アシル−N−カルボキシメトキシエチル−N−カルボキシメチルエチレンジアミン二塩等のアミドアミン型(イミダゾリン型)両性界面活性剤、N−[3−アルキルオキシ−2−ヒドロキシプロピル]アルギニン塩等のアミノ酸型両性界面活性剤、アルキルイミノジカルボン酸塩型両性界面活性剤等が挙げられる。
【0044】
油剤としては、成分(c)以外のものでパラフィンワックス、セレシンワックス、オゾケライト、マイクロクリスタリンワックス、モンタンワックス、フィッシャトロプスワックス、ポリエチレンワックス、ワセリン、ポリブテン等の炭化水素油、カルナウバロウ、ミツロウ、ラノリンワックス、キャンデリラ等の天然ロウ類、ロジン酸ペンタエリトリットエステル、トリベヘン酸グリセリル、ステアリン酸ステアリル等エステル類、ステアリン酸、ベヘニン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等の脂肪酸類、セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体類、N−ラウロイルーL−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)等のアミノ酸誘導体類、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン等のフッ素系油剤類等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を用いることができる。
【0045】
油ゲル化剤としては、アルミニウムステアレート、マグネシウムステアレート、ジンクミリステート等の金属セッケン、N−ラウロイル−L−グルタミン酸、α,γ−ジ−n−ブチルアミン等のアミノ酸誘導体、デキストリンパルミチン酸エステル、デキストリンステアリン酸エステル、デキストリン2−エチルヘキサン酸パルミチン酸エステル等のデキストリン脂肪酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル等のショ糖脂肪酸エステル、モノベンジリデンソルビトール、ジベンジリデンソルビトール等のソルビトールのベンジリデン誘導体、ジメチルベンジルドデシルアンモニウムモンモリロナイトクレー、ジメチルジオクタデシルアンモニウムモンモリナイトクレー等の有機変性粘土鉱物が挙げられる。
【0046】
紫外線吸収剤としては、通常、化粧料に用いられるものであれば何れでもよく、例えば、2サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸オクチル、サリチル酸トリエタノールアミン等のサリチル酸系;パラアミノ安息香酸、エチルジヒドロキシプロピルパラアミノ安息香酸、グリセリルパラアミノ安息香酸、オクチルジメチルパラアミノ安息香酸、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラジメチルアミノ安息香酸2−エチルへキシル等のPABA系;4−(2−β−グルコピラノシロキシ)プロポキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−硫酸、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2、2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−N−オクトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系;パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル(別名;パラメトキシケイ皮酸オクチル)、ジパラメトキシケイ皮酸モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、2,5−ジイソプロピルケイ皮酸メチル、2,4,6−トリス[4−(2−エチルへキシルオキシカルボニル)アニリノ]−1,3,5−トリアジン、トリメトキシケイ皮酸メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルイソペンチル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル・ジイソプロピルケイ皮酸エステル混合物、p−メトキシハイドロケイ皮酸ジエタノールアミン塩等のケイ皮酸系;2−フェニル−ベンズイミダゾール−5−硫酸、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン等のベンゾイルメタン系;2−シアノ−3,3−ジフェニルプロパン−2−エン酸2−エチルヘキシルエステル(別名;オクトクリレン)、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルへキシル、1−(3,4−ジメトキシフェニル)−4,4−ジメチル−1,3−ペンタンジオン、シノキサート、メチル−O−アミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、3−(4−メチルベンジリデン)カンフル、オクチルトリアゾン、4−(3,4−ジメトキシフェニルメチレン)−2,5−ジオキソ−1−イミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル、これらの高分子誘導体、及びシラン誘導体等が挙げられ、目的に応じて1種又は2種以上を配合することができる。
【0047】
水溶性高分子としては、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体類、アルギン酸ソーダ、カラギーナン、クインスシードガム、寒天、ゼラチン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ペクチン、ジェランガム等の天然高分子類、ポリビニルアルコール、カルボシキビニルポリマー、アルキル付加カルボシキビニルポリマー、ポリアクリル酸ソーダ、ポリメタクリル酸ソーダ、ポリアクリル酸グリセリンエステル,ポリビニルピロリドン等の合成高分子類等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0048】
水性成分としては、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール、グリセリン、ジグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコ−ル、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール等の多価アルコール等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0049】
本発明の化粧料は、乳液、クリーム、日焼け止め料、化粧下地、ファンデーション、アイシャドウ、白粉、頬紅、コンシーラー、口紅、マスカラ、アイライナー、アイブロー、ヘアケア等の製品にて実施することができる。これらの中でも、日焼け止め料や化粧下地、ファンデーション、コンシーラー等のメイクアップ化粧料が本発明の効果が顕著に発揮されるため好ましい。
また、本発明の剤型は、水中油型、油中水型等の乳化系、粉末状、粉末固形などの粉体系、油性液状型、油性固形型等のいずれの剤型であってもよい。これらの中でも本発明の効果が顕著に発揮されるのは油中水型、油性液状型、油性固形型の各剤型である。
【実施例】
【0050】
次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0051】
シリコーンリン酸トリエステルの製造
〔製造例1〕
カルビノール変性シリコーン(式2)を265g、テトラヒドロフラン136gを混合し、−40℃に冷却した。リチウムジイソプロピルアミド(LDA)(1mol/THF溶液)200mlを滴下し、90分反応させた後、オキシ塩化リン(式1)7.8gを添加し、1時間反応させた。25℃まで温度を上げさらに2時間熟成させた後、濃塩酸42gを加え反応を終了させた。メタノールで洗浄し溶媒を留去することにより、シリコーンリン酸トリエステルを含む混合物を得た。得られた混合物の組成比は、31P−NMR測定により、トリエステル体である式(I)が92%、ジエステル体である式(II)が1%、その他ポリリン酸を含む副生成物が7%であった。
【0052】
【化8】

【0053】
〔製造例2〕
カルビノール変性シリコーン(式3)302g、テトラヒドロフラン150gを混合し、−40℃に冷却した。n−ブチルリチウム(1.6mol/ヘキサン溶液)74mlを滴下し90分反応させた後、オキシ塩化リン(式1)5.4gを添加し、1時間反応させた。温度を25℃まで上げ、さらに2時間熟成させた後、水10gを加え反応を終了させた。メタノールで洗浄し、溶媒を留去することにより、シリコーンリン酸トリエステルを含む混合物を得た。得られた混合物の組成比は、31P−NMR測定により、トリエステル体である式(I)が83%、ジエステル体である式(II)が17%であった。
【0054】
【化9】

【0055】
〔製造例3〕
カルビノール変性シリコーン(式2)を291g、テトラヒドロフラン87g、トリエチルアミン19gを混合し、−40℃に冷却した。オキシ塩化リン(式1)8.6g、テトラヒドロフラン18gの混合溶液を約30分で滴下した。−40℃で5時間、25℃で12時間熟成させた後、メタノールで洗浄し、溶媒を留去することにより、シリコーンリン酸トリエステルを含む混合物を得た。得られた混合物の組成比は、31P−NMR測定により、トリエステル体である式(I)が64%、ジエステル体である式(II)が18%、その他ポリリン酸を含む副生成物が18%であった。
【0056】
【化10】

【0057】
〔製造例4〕
オキシ塩化リン(式1)6.1gを25℃にてテトラヒドロフラン93gに溶解した。この溶液にカルビノール変性シリコーン(式4)300g、トリエチルアミン8.1gの混合溶液を約2時間で滴下した。15時間熟成させた後、水0.7g、トリエチルアミン4.1gを添加し、反応を終了した。メタノールで洗浄した後、溶媒を留去することにより、シリコーンリン酸トリエステルを含む混合物を得た。得られた混合物の組成比は、31P−NMR測定により、トリエステル体である式(I)が11%、ジエステル体である式(II)が66%、モノエステル体である式(III)が3%、その他ポリリン酸を含む副生成物が20%であった。
【0058】
【化11】

【0059】
[製造例5]
表面処理の製造例
イソプロピルアルコール750gに、表面処理剤である製造例1の生成物45gとイソプロピルトリイソステアリルチタネート15gを加え溶解した後、20Lのヘンシェルミキサーに投入した。そこに酸化チタン(TIPAQUE CR−50 石原産業製)を2940g加え、70℃にて均一分散させた。次に、120℃に加熱し、減圧下で溶媒を留去しながら2時間ほど攪拌した。粉体が乾燥した後、室温まで冷却し、ミキサーから取り出し、アトマイザーにて粉砕した。130℃の恒温槽にて6時間の焼成を行い、粉体に対して1.5%の製造例1の生成物、及び、0.5%のイソプロピルトリイソステアリルチタネートで表面処理した酸化チタンを得た。
【0060】
実施例1〜10及び比較例1〜6:油性固形ファンデーション
以下の表1に示す組成の油性固形ファンデーションを下記製造方法により調整し、化粧膜の肌への付着性、伸び広がりの良さ、経時での化粧膜の均一性の評価項目について以下に示す方法により官能評価を行い、経時での化粧膜の均一性、化粧持ちの良さについては、人工皮膚模型を用いて評価した。その結果も併せて表1に示した。
【0061】
【表1】

【0062】
注1:KF−6019(信越化学工業社製)
注2:PDM−10S(トピー工業社製)
注3:ナイロンSP−500(東レ社製)
注4:SH200C FLUID 6CS(東レダウコーニング社製)
【0063】
(製造方法)
A:成分22〜23に成分1〜17加え3本ローラーで均一に分散する。
B:成分24〜29を90℃に加熱溶解する。
C:BにAと成分18〜21を加え分散する。
D:Cを80℃で皿に流し込み油性固形ファンデーションを得た。
【0064】
(官能評価)
専門パネル10名により、実施例1〜10及び比較例1〜6の各試料について、化粧膜の肌への付着性、伸び広がりの良さ、経時での化粧膜の均一性の各評価項目について使用テストを行ない、パネル各人が下記評価基準aを用いて評点を付け、試料毎にパネル全員の評点合計からその平均値を算出したものを、下記判定基準bを用いて判定した。尚、経時での化粧膜の均一性については、顔に塗布して通常の生活をして5時間経過後の化粧膜の状態を観察した。消失したところと残っているところの差が激しく不自然な化粧膜になるような化粧崩れかどうかを指標にした。
【0065】
(評価項目)
イ:化粧膜の肌への付着性
ロ:伸び広がりの良さ
ハ:経時での化粧膜の均一性1
【0066】
(評価基準a)
(評点):(評価)
6:非常に良い
5:良い
4:やや良い
3:普通
2:やや悪い
1:悪い
0:非常に悪い
【0067】
(判定基準b)
(判定):(評点平均値)
◎:5点を超える
○:4.5点を超え、かつ、5点以下
△:2.5点を超え、かつ、4.5点以下
×:2.5点以下
【0068】
(評価項目)
ニ:経時での化粧膜の均一性2
ホ:化粧持ち
【0069】
(経時での化粧膜の均一性評価2)
人工皮膚模型(商品名バイオスキンプレート、ビューラックス社製)の5cm×5cmの範囲に、実施例及び比較例の油性固形ファンデーションを化粧スポンジを使用して塗布した。そして、該人工皮膚模型を、2−エチルヘキサン酸グリセリル:スクワレン:水=40:40:20の擬似皮脂・汗混合物に攪拌しながら5時間浸漬させた後、人工皮脂模型を乾燥させた。塗布した部位から任意に5点を選択し、その5点間の色のバラツキを算出することで化粧膜の均一性を評価した。
具体的な算出手法として、分光色差計(商品名SZ−Σ2000、日本電色工業社製)を用いてハンターのL、a、b値を測色し、次の計算式により5点間の色のバラツキを算出した。
(1)5点のL、a、b値それぞれの平均値を算出する。
LAVE=(L1+L2+L3+L4+L5)/5
aAVE=(a1+a2+a3+a4+a5)/5
bAVE=(b1+b2+b3+b4+b5)/5
(2)任意の5点それぞれの値と平均値との色差を算出する。
ΔE1=((L1−LAVE)+(a1−aAVE)+(b1−bAVE))1/2
ΔE2=((L2−LAVE)+(a2−aAVE)+(b2−bAVE))1/2
ΔE3=((L3−LAVE)+(a3−aAVE)+(b3−bAVE))1/2
ΔE4=((L4−LAVE)+(a4−aAVE)+(b4−bAVE))1/2
ΔE5=((L5−LAVE)+(a5−aAVE)+(b5−bAVE))1/2
(3)任意の5点それぞれの値と平均値との色差の平均を算出する。
ΔE=(ΔE1+ΔE2+ΔE3+ΔE4+ΔE5)/5
【0070】
(評価基準及び判定基準)
(評価):(評点) :(判定)
非常に良好:ΔEが0以上1.0未満 :◎
良好 :ΔEが1.0以上2.0未満:○
普通 :ΔEが2.0以上3.0未満:△
不良 :ΔEが3.0以上 :×
【0071】
(化粧持ち)
化粧膜の均一性の評価で使用した人工皮膚模型について、擬似皮脂・汗混合物への浸漬前後で、任意に各々5点を選択し分光色差計にてハンターのL、a、b値を測色し、平均値を算出した。
そして擬似皮脂・汗混合物に浸漬前と浸漬後の色差をΔE(化粧持ち)とし、化粧持ちを評価した。
【0072】
(評価基準及び判定基準)
(評価):(評点) :(判定)
非常に良好:ΔE(化粧持ち)が0以上1.0未満 :◎
良好 :ΔE(化粧持ち)が1.0以上2.0未満:○
普通 :ΔE(化粧持ち)が2.0以上3.0未満:△
不良 :ΔE(化粧持ち)が3.0以上 :×
【0073】
表1の結果から明らかなように、実施例1〜10の油性固形ファンデーションは、肌への付着性や伸び広がりが良好で、不自然な崩れ方をすることもなく、経時での化粧膜の均一性、化粧持ちも良いものであり、優れた油性固形ファンデーションであることが実証された。
一方、シリコーンリン酸トリエステルを配合しない比較例1〜3では伸び広がりが悪く、経時でしわやキメに落ちている部分が見られ化粧膜の均一性が維持できず、擬似皮脂・汗混合物への浸漬後には赤黒くくすむなど化粧持ちに劣っていた。また、シリコーンリン酸トリエステルの代わりにポリエーテル変性シリコーンを配合した比較例4では肌への付着力が悪く、経時で部分的なテカリや化粧膜の剥れが生じていた。また、擬似皮脂・汗混合物への浸漬後には化粧膜がまだらに剥れてしまい、化粧膜の均一性及び化粧持ちにも劣っていた。また、疎水化処理粉体を配合しない比較例5、6は伸び広がり、肌への付着性共に悪く、経時では化粧膜のかなりの部分が消失してしまっていた。また、擬似皮脂・汗混合物への浸漬後に化粧膜が一部剥れてしまい、残った部分も暗くくすむと共に色ムラも見られる化粧持ちに劣るものであった。
【0074】
実施例11 :油中水型日焼け止め料
(成分) (%)
1.イソプロピルトリイソステアリルチタネート処理(3%)
微粒子酸化亜鉛(注5) 20
2.シクロペンタシロキサン 10
3.ラウリルPEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン(注6) 2
4.イソドデカン 10
5.トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル 3
6.製造実施例3のシリコーンリン酸トリエステル 1
7.パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 5
8.ジメチコン(注4) 5
9.セスキイソステアリン酸ソルビタン 0.5
10.レシチン 0.3
11.アスタキサンチン 0.01
12.フェノキシエタノール 0.3
13.エタノール 10
14.フェニルベンズイミダゾールスルホン酸 2
15.トリエタノールアミン 1
16.アスコルビン酸グルコシド 1
17.精製水 残量
注5:MZ−500(テイカ社製)
注6:KF−6038(信越化学工業社製)
【0075】
(製造方法)
A:成分2,3に成分1を加え3本ローラーで均一に分散する。
B:成分4〜11を80℃で溶解混合し、室温冷却後Aを加え分散する。
C:成分12〜17を均一に混合溶解する。
D:BにCを加え乳化し、油中水型日焼け止め料を得た。
【0076】
(評価結果)
実施例の油中水型日焼け止め料は、化粧膜の肌への付着性に優れると共に、伸び広がりがよく、経時での化粧膜の均一性、化粧持ちに優れるものであった。
【0077】
実施例12:水中油型下地料
(成分) (%)
1.製造例5の酸化チタン 5
2.パルミチン酸2−エチルヘキシル 3
3.ミネラルオイル(注7) 5
4.ステアリン酸 2
5.パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 5
6.セスキオレイン酸ソルビタン 0.5
7.PEG−60水添ひまし油 1.5
8.ベヘニルアルコール 0.5
9.セトステアリルアルコール 1
10.モノステアリン酸グリセリル 0.3
11.ジメチコン(注4) 1
12.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
13.エタノール 6
14.カルボキシビニルポリマー 0.2
15.キサンタンガム 0.1
16.アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチル
タウリンナトリウム・コポリマー分散物(注8) 1
17.1,3−BG 6
18.グリセリン 3
19.エタノール 6
20.L−アルギニン 0.2
21.ヒアルロン酸 0.5
22.精製水 残量
注7:ハイコールK−230(カネダ社製)
注8:SIMULGEL EG(SEPPIC社製)
【0078】
(製造方法)
A:成分2〜11を70℃に加熱溶解し、成分1を加え分散する。
B:成分12〜22を70℃で溶解混合する。
C:BにAを加え乳化し、水中油型下地料を得た。
【0079】
(評価結果)
実施例の水中油型下地料は、化粧膜の肌への付着性に優れると共に、伸び広がりがよく経時での化粧膜の均一性、化粧持ちに優れるものであった。
【0080】
実施例13:パウダーファンデーション
(成分) (%)
1.イソプロピルトリイソステアリルチタネート処理(3%)
微粒子酸化亜鉛(注4) 5
2.オクチルトリエトキシシラン処理(2%)タルク(注9) 20
3.シリコーン処理セリサイト(注10) 残量
4.シリコーンパウダー(注11) 3
5.ラウロイルリシン(注12) 5
6.硫酸バリウム 5
7.窒化ホウ素 5
8.ベンガラ 1.2
9.黄酸化鉄 2.5
10.黒酸化鉄 0.8
11.ラウリン酸亜鉛処理酸化チタン 12
12.オクチルトリエトキシシラン処理微粒子酸化チタン(注13) 5
13.ポリメタクリル酸メチル 10
14.製造例2のシリコーンリン酸トリエステル 1
15.パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 3
16.ジメチコン(注5) 3
17.トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 5
18.グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
19.香料 適量
注9:JA−46R(浅田製粉社製)にオクチルトリエトキシシランを2%処理したもの
注10:SA−セリサイトFSE(三好化成社製)
注11:KSP−100(信越化学工業社製)
注12:アミホープLL(味の素社製)
注13:MT−500SA(テイカ社製)にオクチルトリエトキシシランを3%処理したもの
【0081】
(製造方法)
A:成分1〜13をヘンシェルミキサーで混合する。
B:Aに成分14〜19を加え混合する。
C:Bをパルベライザーで粉砕処理し、皿に圧縮成形してパウダーファンデーションを得た。
【0082】
(評価結果)
実施例のパウダーファンデーションは、化粧膜の肌への付着性に優れると共に、伸び広がりがよく経時での化粧膜の均一性、化粧持ちに優れるものであった。
【0083】
実施例14:油性液状口紅
(成分) (%)
1.製造実施例5の酸化チタン 1
2.オクチルトリエトキシシラン処理ベンガラ 0.3
3.赤色202号 0.5
4.オクチルトリエトキシシラン処理酸化黄酸化鉄 0.2
5.酸化チタン被覆ガラス末(注14) 5
6.ジメチコン(注4) 1
7.リンゴ酸ジ2−エチルヘキシル 15
8.重質流動イソパラフィン(注15) 20
9.トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 残量
10.製造例4のシリコーンリン酸トリエステル 2
11.パルミチン酸デキストリン 3
12.トリメチルペンタフェニルトリシロキサン 5
13.フェノキシエタノール 0.2
14.香料 適量
注14:メタシャイン1080RC−R(日本板硝子社製)
注15:パールリーム18(日本油脂社製)
【0084】
(製造方法)
A:成分6〜13を90℃に加熱溶解する。
B:Aに成分1〜5を加え分散する。
C:Bに成分14を加え85℃で塗布体付き容器に流し込み油性液状口紅を得た。
【0085】
(評価方法)
実施例の油性液状口紅は、化粧膜の唇への付着性に優れると共に、伸び広がりがよく、経時での化粧膜の均一性、化粧持ちに優れるものであった。
【0086】
実施例15:白粉
(成分) (%)
1.ナイロンパウダー 5
2.シリコーン処理タルク 残量
3.ラウロイルグルタミン酸処理(3%)セリサイト 15
4.シリコーンパウダー(注16) 20
5.親水処理ベンガラ(注17) 0.5
6.親水処理黄酸化鉄(注17) 1.5
7.親水処理黒酸化鉄(注17) 0.2
8.レシチン処理(0.5%)酸化チタン 1
9.製造例3のシリコーンリン酸トリエステル 0.8
10.ミリスチン酸イソプロピル 2
11.ジプロピレングリコール 0.5
12.2−エチルヘキシルグリセリン 0.5
13.香料 適量
注16:TOSPEARL 150KA(東レダウコーニング社製)
注17:メチルシラノールトリ/ヤシ脂肪酸PEG−8グリセリル、ヤシ油脂肪酸PEG−7グリセリル、ポリクオタニウム−7の混合物で4%処理
【0087】
(製造方法)
A:成分1〜8をヘンシェルミキサーで混合する。
B:Aに成分9〜13を加え混合する。
C:Bをパルベライザーで粉砕処理し、容器に充填して白粉を得た。
【0088】
(評価結果)
実施例の白粉は、化粧膜の肌への付着性に優れると共に、伸び広がりがよく、経時での化粧膜の均一性、化粧持ちに優れるものであった。
【0089】
実施例16:油性固形コンシーラー
(成分) (%)
1.製造実施例5の酸化チタン 20
2.オクチルトリエトキシシラン処理ベンガラ 2
3.オクチルトリエトキシシラン処理黄酸化鉄 3.5
4.オクチルトリエトキシシラン処理酸化黒酸化鉄 0.8
5.雲母チタン(注18) 5
6.ジメチコン(注4) 残量
7.リンゴ酸ジ2−エチルヘキシル 5
8.ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル) 5
9.トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル 20
10.架橋型メチルポリシロキサン/ジメチコン混合物(注19) 10
11.ポリエチレンワックス 5
12.キャンデリラロウ 1
13.ヒドロキシステアリン酸コレステリル 2
14.クロルフェネシン 0.2
15.セラミドII 0.1
16.香料 適量
注18:TIMIRON STARLUSTER MP−115(メルク社製)
注19:KSG−16(信越化学工業社製)
【0090】
(製造方法)
A:成分6〜15を100℃に加熱溶解する。
B:Aに成分1〜5を加え分散する。
C:Bに成分16を加え90℃で皿に流し込み油性固形コンシーラーを得た。
【0091】
(評価結果)
実施例の油性固形コンシーラーは、化粧膜の肌への付着性に優れると共に、伸び広がりがよく、経時での化粧膜の均一性、化粧持ちに優れるものであった。
【0092】
実施例17:粉末固形状アイシャドウ
(成分) (%)
1.シリコーン処理ベンガラ被覆板状シリカ(注20) 30
2.酸化チタン被覆合成金雲母(注21) 10
3.黄酸化鉄 1
4.赤色226号 0.8
5.黄色4号 0.4
6.黒酸化鉄 0.3
7.無水ケイ酸 3
8.硫酸バリウム 5
9.オクチルトリエトキシシラン処理タルク(注9) 残量
10.メチルパラベン 0.1
11.製造例1のシリコーンリン酸トリエステル 2
12.2−エチルヘキサン酸セチル 5
13.セスキイソステアリン酸ソルビタン 1
14.重質流動イソパラフィン 5
15.1,2−ペンタンジオール 1
16.香料 適量
注20:XIRONA INDIAN
SUMMER(メルク社製)にジメチコン2%処理したもの
注21:HERIOS R100S(トピー工業社製)
【0093】
(製造方法)
A:成分1〜10を混合する。
B:Aに成分11〜16を加え分散する。
C:B100部に対して軽質イソパラフィン60部を加え、混合してスラリー状とする。
D:Cを金皿に充填し、70℃で12時間乾燥し、軽質イソパラフィンを除去して粉末固形アイシャドウを得た。
【0094】
(評価結果)
実施例の粉末固形アイシャドウは、化粧膜の肌への付着性に優れると共に、伸び広がりがよく、経時での化粧膜の均一性、化粧持ちに優れるものであった。
【0095】
実施例18:油性マスカラ
(成分) (%)
1.不均化ロジングリセリンエステル(注22) 10
2.水添ロジン酸ペンタエリスリチル(注23) 5
3.トリメチルシロキシケイ酸溶液(注24) 10
4.キャンデリラワックス 2
5.ミツロウ 2
6.マイクロクリスタリンワックス 1
7.パルミチン酸デキストリン 3
8.軽質流動イソパラフィン(注25) 残量
9.有機変性ベントナイト 3
10.ジメチコン・シリコーンリン酸トリエステル
処理黒酸化鉄(注26) 15
11.シリコーン処理セリサイト 3
12.ナイロン繊維 2
13.メチルパラベン 0.2
14.香料 適量
注22:スーパーエステルA−75(荒川化学工業社製)
注23:パインクリスタル
KE−311(荒川化学工業社製)
注24:KF−7312J(信越化学工業社製)
注25:IPソルベント1620MU(出光興産社製)
注26:ジメチコン2%処理黒酸化鉄に製造例3のシリコーンリン酸トリエステルを3%処理したもの
【0096】
(製造方法)
A:成分1〜8を110℃で加熱混合する。
B:Aに成分9〜14を加え均一に分散する。
C:Bを容器に充填し、油性マスカラを得た。
【0097】
(評価結果)
実施例の油性マスカラは、化粧膜の睫毛への付着性に優れると共に、伸び広がりがよく、経時での化粧膜の均一性、化粧持ちに優れるものであった。
【0098】
実施例19:粉末状頬紅
(成分) (%)
1.ケイ酸・酸化チタン被覆マイカ(注27) 5
2.ステアリン酸マグネシウム処理(6%)タルク(注28) 20
3.シリコーン処理セリサイト(注10) 残量
4.シリコーンパウダー(注11) 10
5.マイカ(注29) 10
6.窒化ホウ素 5
7.ベンガラ 0.3
8.黄酸化鉄 1.1
9.黒酸化鉄 0.3
10.赤色226号 1
11.ポリスチレンパウダー 10
12.製造例4のシリコーンリン酸トリエステル 0.5
13.トリイソステアリン酸ジグリセリル 1
14.ジメチコン(注5) 2
15.炭酸ジアルキル 2
16.香料 適量
注27:TIMIRON SPLENDID RED(メルク社製)
注28:JA−46R(浅田製粉社製)にステアリン酸マグネシウムを6%処理したもの
注29:TM−20(ヤマグチマイカ社製)
【0099】
(製造方法)
A:成分1〜11をヘンシェルミキサーで混合する。
B:Aに成分12〜16を加え混合する。
C:Bをパルベライザーで粉砕処理し、容器に充填して粉末状頬紅を得た。
【0100】
(評価結果)
実施例の粉末状頬紅は、化粧膜の肌への付着性に優れると共に、伸び広がりがよく、経時での化粧膜の均一性、化粧持ちに優れるものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(a)〜(c);
(a)式(I)
【化1】

(式中、各Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基を表し、Rは−O−及び−CO−から選ばれる少なくとも1種を有していても良い炭素数2〜7の2価の炭化水素基を表し、nは5〜40のいずれかの整数を表す)で表されるシリコーンリン酸トリエステル、
(b)疎水化処理剤(b−1)で表面処理した粉体、
(c)エステル油、炭化水素油、シリコーン油から選ばれる1種又は2種以上の液体油
を含有することを特徴とする化粧料。
【請求項2】
前記疎水化処理剤(b−1)が、アルコキシシラン、有機チタネート、成分(a)以外のシリコーン化合物、フッ素化合物から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1記載の化粧料。
【請求項3】
前記成分(c)のエステル油が、炭素数6〜18の高級脂肪酸と炭素数6〜18の一価のアルコールとのエステル、トリグリセライド、炭素数6〜18の高級脂肪酸とペンタエリスリトールとのエステル、炭素数6〜18の高級脂肪酸とトリメチロールプロパンとのエステルから選ばれる1種又は2種以上の液体油であることを特徴とする請求項1又は2に記載の化粧料。
【請求項4】
前記成分(c)のエステル油が、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、2−エチルヘキサン酸2−エチルヘキシル、2−エチルヘキサン酸セチル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、イソステアリン酸イソステアリル、トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリトリット、トリ2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、コハク酸ジ2−エチルヘキシル、ジカプリン酸プロピレングリコールから選ばれる1種又は2種以上の液体油であることを特徴とする請求項3に記載の化粧料。
【請求項5】
前記成分(c)の炭化水素油が、炭素数10〜25の飽和炭化水素油であることを特徴とする請求項1又は2に記載の化粧料。
【請求項6】
前記成分(c)の炭化水素油が、イソドデカン、イソヘキサデカンから選ばれる1種又は2種以上の液体油であることを特徴とする請求項5に記載の化粧料。
【請求項7】
前記成分(c)のシリコーン油が、揮発性であることを特徴とする請求項1又は2に記載の化粧料。
【請求項8】
前記成分(c)のシリコーン油が、メチルトリメチコン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、ヘプタメチルエチルトリシロキサン、カプリリルメチコン、テトラキストリメチルシロキシシランから選ばれる1種又は2種以上の液体油であることを特徴とする請求項7に記載の化粧料。
【請求項9】
成分(a)式(I)
【化2】

(式中、各Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基を表し、Rは−O−及び−CO−から選ばれる少なくとも1種を有していても良い炭素数2〜7の2価の炭化水素基を表し、nは5〜40のいずれかの整数を表す)で表されるシリコーンリン酸トリエステルと疎水化処理剤(b−1)とで表面処理をした粉体(b−2)と、成分(c)エステル油、炭化水素油、シリコーン油から選ばれる1種又は2種以上の液体油とを含有することを特徴とする化粧料。
【請求項10】
前記(b−1)疎水化処理剤が、アルコキシシラン、有機チタネート、成分(a)以外のシリコーン化合物、フッ素化合物から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項9記載の化粧料。
【請求項11】
前記成分(c)のエステル油が、炭素数6〜18の高級脂肪酸と炭素数6〜18の一価のアルコールとのエステル、トリグリセライド、ペンタエリスリトールのエステル油、トリメチロールプロパンのエステル油から選ばれる1種又は2種以上の液体油であることを特徴とする請求項9又は10に記載の化粧料。
【請求項12】
前記成分(c)のエステル油が、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、2−エチルヘキサン酸2−エチルヘキシル、2−エチルヘキサン酸セチル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、イソステアリン酸イソステアリル、トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリトリット、トリ2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、コハク酸ジ2−エチルヘキシル、ジカプリン酸プロピレングリコールから選ばれる1種又は2種以上の液体油であることを特徴とする請求項11に記載の化粧料。
【請求項13】
前記成分(c)の炭化水素油が、炭素数10〜25の飽和炭化水素油であることを特徴とする請求項9又は10に記載の化粧料。
【請求項14】
前記成分(c)の炭化水素油が、イソドデカン、イソヘキサデカンから選ばれる1種又は2種以上の液体油であることを特徴とする請求項13に記載の化粧料。
【請求項15】
前記成分(c)のシリコーン油が、揮発性であることを特徴とする請求項9又は10に記載の化粧料。
【請求項16】
前記成分(c)のシリコーン油が、メチルトリメチコン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、ヘプタメチルエチルトリシロキサン、カプリリルメチコン、テトラキストリメチルシロキシシランから選ばれる1種又は2種以上の液体油であることを特徴とする請求項15に記載の化粧料。
【請求項17】
前記請求項1〜16のに記載の化粧料が油性化粧料であることを特徴とする化粧料。
【請求項18】
前記請求項1〜16のに記載の化粧料が油中水型化粧料であることを特徴とする化粧料。

【公開番号】特開2013−53073(P2013−53073A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−190115(P2011−190115)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】