説明

医療装置の柔軟性のある導管およびその製造方法

【課題】皮膚に貫通するとき屈折しない、簡素な設計の医療装置用の柔軟性のある導管及びその製造方法を提供する。
【解決手段】長手方向軸108、遠位端104から伸展する鋭利なヘッド110、および内部にエッチング処理されたチャネル112を備える細長いニチノール製ストリップ102を含む導管100であって、チャネルは長手方向軸に沿って配置され、導管は細長いニチノール製ストリップを少なくとも部分的に被覆する柔軟性のあるチューブ114を含み、チャネルおよび柔軟なチューブが導管を画定する構成とする。また、細長いニチノール製ストリップ内へチャネルをエッチングするステップと、細長いニチノール製ストリップの遠位端に鋭利なヘッドを形成するステップとを含み、さらに柔軟性のあるチューブで平らな細長いニチノール製ストリップを被覆し、柔軟性のあるチューブおよびチャネルが導管を画定するようにするステップを含む製造方法とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に医療装置に関するものであり、特に、柔軟な導管および関連した医療装置とその方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
さまざまな医療装置を使用する際、診断、治療、手術を実施するために体内のナビゲートや、特定の目的部位へのアクセスを目的として導管を利用する。例えば、硬質なニードルによって挿入された柔軟性のあるカニューレは、従来、治療用薬剤(例えば、インシュリン)の注入投与のために利用されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
皮膚に貫通するとき屈折しない、簡素な設計の医療装置用の柔軟性のある導管を提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
遠位端、近位端、前記遠位端から前記近位端へ伸びる長手方向軸、前記遠位端から伸展する鋭利なヘッド、および内部にエッチング処理されたチャネルを備える細長いニチノール製ストリップを含む医療装置の柔軟性のある導管が提供される。さらに、前記チャネルは前記長手方向軸に沿って配置される。この医療装置の柔軟性のある導管は、前記遠位端と前記近位端の間で前記細長いニチノール製ストリップを少なくとも部分的に被覆する柔軟性のあるチューブをも含み、前記チャネルおよび前記柔軟なチューブが導管を画定する。医療装置の柔軟性のある導管の製造方法は、細長いニチノール製ストリップ内へチャネルをエッチングするステップと、前記細長いニチノール製ストリップの遠位端に鋭利なヘッドを形成するステップと、を含む。この方法は、柔軟性のあるチューブで前記平らな細長いニチノール製ストリップを被覆して、前記柔軟性のあるチューブおよび前記チャネルが導管を画定するようにするステップをも含む。
【0005】
本発明の新規な特徴は添付の特許請求の範囲で特に記載される。本発明の機能と利点は、本発明の原理が利用される以下の例示的な実施形態の詳細、および同じ符号が同様の要素を示す添付図面を参照すれば容易に明らかになろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下の詳細な説明は、異なる図の同様の要素が同一の符号で示される前記の図を参照しながら読むべきである。これらの図は必ずしも縮尺どおりではなく、説明のみの目的で選択した例示的実施形態を図示し、本発明の範囲を限定するものではない。詳細な説明は例示的目的のものであって、限定するものではなく、本発明の原理を示す。この説明は、当業者が本発明を作成し、用いることを可能にするために提示され、現在認識される本発明の最良の態様の例示を含めて複数の本発明の実施形態、適用例、バリエーション、改変、使用を記述する。
【0007】
任意の数値または範囲用に使用される本明細書の用語である「約」または「ほとんど」は、構成要素の部分または集合が本明細書に記載のとおり、意図する目的のために機能することを可能にする適切な寸法公差を示す。加えて本明細書で使用される「患者」、「宿主」および「被験者」の用語は任意のヒトまたは動物の被験者を指し、ヒトの患者において主題の発明を使用することが好ましい実施形態を表す場合でも、システムまたは方法をヒトへの使用に制限する意図を持たない。
【0008】
図1A、1Bおよび1Cは本発明の実施形態に従った医療装置の柔軟性のある導管100を描写する。医療装置の柔軟性のある導管100は、遠位端104付きの細長いストリップ102(柔軟性のあるニチノール製ストリップまたはその他の適切な柔軟性の高いストリップなど)、近位端106(近位端が存在するであろう位置方向のみが示される)、遠位端104から近位端106へ伸びる長手方向軸108(破線で描写)、遠位端104から伸展する鋭利なヘッド110、およびその内部に形成された(例えばエッチング処理された)チャネル112を含む。チャネル112は長手方向軸108に少なくとも部分的に沿って、または並列に配置される。
【0009】
柔軟性のある医療装置100は、遠位端と近位端の間で細長いストリップを少なくとも部分的に被覆する柔軟性のあるチューブ114を含み、上記チャネルおよびこの柔軟性のあるチューブ114が導管を画定する。チャネル112は、医療装置の柔軟性のある導管100の側面にある導管の開口部116が画定されるように鋭利なヘッド110へ部分的に伸展する。
【0010】
所望の場合、柔軟性のあるチューブ114は近位端106を越えて伸展でき、関連する医療装置のコンポーネント(輸液コンポーネント等)への流体漏れのない接続を提供するように構成されている。さらに、所望の場合、医療装置の柔軟性のある導管は使用者の目的部位への挿入を容易にするために潤滑材でコーティングされ得る。
【0011】
本発明に従った医療装置の柔軟性のある導管の使用、製造、及び統合された医療装置での利用の方法を含むこれらの導管の他の様々な態様を、以下に説明する。
【0012】
図2Aおよび図2Bは、本発明の実施形態に利用し得るチャネル212付きの細長いニチノール製ストリップ202のそれぞれ側面図および端面図を示す簡単な描写である。図2Aおよび図2Bは例示的な、非限定のインチ(1インチは約2.54cm)による寸法を含む。
【0013】
図3は、本発明の実施形態に利用し得る2本のチャネル312付きの別の細長いニチノール製ストリップ302の、インチで示された例示的寸法を使用した簡単な断面描写である。2本のチャネルは断面が「H形」の細長いニチノール製ストリップを形成する。2本のチャネルの存在によって導管の冗長性が提供され、また各導管における異なる液体(例えば、インシュリン及びSmylin)の供給が可能になる。さらに、断面がH形であることから図4および下に説明されるように断面がC形のものに比較してより高い柔軟性が提供される。
【0014】
図4は、本発明の実施形態に利用し得るチャネル412付きの別の細長いニチノール製ストリップ402の、インチで示された例示的寸法を使用した簡単な断面描写である。
【0015】
図5は、本発明の実施形態に利用し得るチャネル512及び鋭利なヘッド504付きの別の細長いニチノール製ストリップ502の、インチで示された例示的寸法を使用した簡単な描写である。図6は、本発明の実施形態に利用し得るように鋭利なヘッド604およびチャネル612が付いたさらに別の細長いニチノール製ストリップ602の簡単な描写である。
【0016】
図7A乃至図7Dは、本発明の実施形態で利用され得る鋭利なヘッド704およびチャネル712が付いた他の細長いニチノール製ストリップ700の、インチで示された例示的寸法を使用した簡単な描写である。
【0017】
本発明の実施形態に従った医療装置の柔軟性のある導管の製造方法は、細長いニチノール製ストリップへのチャネルのエッチング、及び細長いニチノール製ストリップの遠位端に位置する鋭利なヘッドの形成を含む。この方法はさらに、柔軟性のあるチューブおよびチャネルが導管を画定するように、引き続いて柔軟性のあるチューブの付いた平らな細長いニチノール製ストリップを被覆することを含む。
【0018】
図8Aおよび8Bは、本発明に従った医療装置の柔軟性のある導管を製造するために利用され得る等方性エッチングプロセスの簡単な描写である。本発明の実施形態に利用され得るチャネルは、例えば、等方性化学的エッチング技術を含む当該技術分野の当業者に公知の任意のエッチング技術を使用して形成され得る。等方性エッチングは図8Aおよび8Bに示されるようにマスキング層を利用し、マスキング層にアンダーカットを形成し、マスキング層を取り外した後エッチング処理した表面の底部に鋭角を持つ断面が半円の側壁を生成する。
【0019】
湾曲した細長いストリップ(湾曲した細長いニチノールストリップ等)を手に入れたい場合、カールしたシート材が平たいシートの代わりに使用され得る。この場合、各マスクはシートの輪郭と適切に並んでいなければならない。あるいは、ストリップは二次的製造過程でカールしてもよい。
【0020】
チャネルは、細長いストリップの片側(「C」形の断面と呼ぶ。例えば、図2Bを参照)またはストリップの両側(「H」形の断面と呼ぶ。例えば、図3を参照)をエッチングすることができる。また、細長いストリップの片側または両側の1本またはそれ以上のチャネルをエッチングすることも可能である。1本またはそれ以上のチャネルをエッチングすることによって、何本かのチャネルのうち1本が閉塞した場合、冗長性が提供され、またはインシュリンとSymlin等のように異なる薬剤を供給するために使用することができる。
【0021】
貫通する鋭利なエッジを持つストリップの鋭利なヘッドは、細長いストリップの残り部分よりも広く作られ、柔軟性のあるチューブ(例えば、ポリマージャケット)が導管を形成するためにストリップの周りに配置されたときに、柔軟性のあるチューブの前縁部がヘッドのショルダーに適合する。これにより、医療装置の柔軟性のある導管の前面プロファイルが低くなり、挿入の力を軽減し、柔軟性のあるチューブが使用者の目的部位の切開挿入口で拘束しポリマーの「アコーディオン化」の原因となり得るのを防ぐ。エッチング処理されたチャネルは、鋭利なヘッドに伸展し、柔軟性のあるチューブを越えた開口を提供し、液体が使用者の目的部位に流れる。鋭利なヘッドの部位にある開口部を再配置することによって、挿入中、組織の塊によってチャネルを閉塞する機会を有利に低減する。エッチング処理部分に適切な形状が得られるよう、ストリップのヘッドが本体と合う箇所でコーナー補正などの一般に使用されるマスキング技法を使用してもよい。
【0022】
エッチングにより鋭利なヘッドの形状が本体と独立して設計できるため、多くの鋭利なヘッドの構成(図7A乃至図7Dを参照)が可能である。
【0023】
本発明の例示的な実施形態に従った医療装置の柔軟性のある導管は、例えば(Zeusの最大回復内径0.012インチ、回復壁厚0.002インチ、最小拡張内径0.048インチの)熱収縮PTFEポリマージャケットによって囲まれたエッチング処理された細長い(鋭利なヘッド付き)ニチノール製ストリップを含む柔軟性のある導管を使用して形成され得る。この実施形態では、細長いニチノール製ストリップのエッチング処理されたチャネルはPTFEジャケットを越えて伸展し液体の流出が可能になる。さらに、熱収縮PTFEチューブは鋭利なヘッドの接合部で先細りになり、使用者の目的部位への挿入を容易にする。
【0024】
本発明の実施形態に従った医療装置は、遠位端、近位端、遠位端から近位端まで伸びる長手方向軸、遠位端から伸展する鋭利なヘッド、および内部にエッチング処理されたチャネルを備える細長いニチノール製ストリップを含む医療装置の柔軟性のある導管を含む。あるいは、スタンピング等、その他の適切な方法を使用することによりチャネルを形成することができる。さらに、チャネルは長手方向軸に沿ってあるいは、並列して配置される。医療装置の柔軟性のある導管は、遠位端と近位端の間で細長いニチノール製ストリップを少なくとも部分的に被覆する柔軟性のあるチューブも有し、上記チャネルとこの柔軟なチューブとが導管を画定する。この医療装置は、導管が目的部位に流体連通するように、柔軟性のある導管の一部(鋭利なヘッドを含む)を使用者の目的部位に挿入するよう構成された挿入メカニズムも含む。
【0025】
医療装置などで利用されるこの医療装置の柔軟な導管をこれまで説明してきた(例えば、図1A乃至図8Bを参照)。統合された挿入メカニズムの例示的実施形態を以下に説明する。この点に関し、医療装置の柔軟性のある導管は、その医療装置の柔軟性のある導管が使用中に外れたり、離れたリ、廃棄されないために挿入メカニズムと統合されることに留意すべきである。
【0026】
図9Aおよび図9Bは、それぞれ、統合された医療装置の柔軟性のある導管の配備前および配備後のそれぞれの本発明の実施形態に従った医療装置900の簡単な描写である。医療装置900は、医療装置の柔軟性のある導管902および挿入メカニズム904を含む。挿入メカニズムの様々なコンポーネント(例えば、発射解除ボタン、発射バネ、ラッチ、およびガイドチャネル)は図9Aおよび図9Bに図解される。これらの図に記載されるように、医療装置の柔軟性のある導管は柔軟性のあるカニューレとも呼ばれ、その柔軟性のあるチューブ部分は、例えばインシュリンの供給源に接続され得る。
【0027】
医療装置900は、ラッチを解除するために解除ボタンを押すことによって発射するか、あるいは、電気機械的スイッチ(図示せず)によって自動的に発射され得る。医療装置900は図9Aに示されるように使用者にバネで荷重して提供し得る。本装置は荷重位置でラッチによって保持され、このラッチは解除ボタンを押すことによって荷重位置から移動され得る。医療装置の柔軟性のある導管は、使用者の皮膚の表面とほとんど並列に配置されるチャネル内に存在し、先端で使用者の身体に向かって45度の角度で曲がる。医療装置の柔軟性のある導管は、通常、真っ直ぐであるが、ニチノールの超弾性特性に従って45度の屈曲を伴う。導管の配備のために、45度以外の角度が使用され得る。
【0028】
本医療装置を使用するために、接着剤支持体(図示せず)が医療装置の底部から剥がされ、本医療装置は使用者の皮膚に貼られる(接着される)。本医療装置の扱いには、ほとんど手先の器用さを必要とせず、また他の自動挿入器付き注入装置と比較して小型であるため、例えば、臀部の上、腕の裏側、横腹、腹部、腿(後面、正面、あるいは側面)などの使用者が触ることのできる身体のいかなる位置にも容易に適用できる。
【0029】
本医療装置の柔軟性のある導管を配備(挿入)するために、使用者はラッチを解除し、バネにより本医療装置を発射する解除ボタンを押す。医療装置の柔軟性のある導管は、チャネルガイドに沿い、45度の屈曲を移動し使用者の皮膚に挿入する。使用者は、便宜に従い、1本またはそれ以上の指、親指、手の平、または手あるいは腕の任意の部分で装置を押し得る。挿入メカニズムを作動するための手先の器用さ、または力はほとんど必要ない。あるいは、電気機械的メカニズムを使用し、使用者が解除ボタンを押す必要性を除去するため自動的に装置を発射し得る。
【0030】
図9Aおよび図9Bに示される医療装置は、インシュリンの供給源に接続されながら柔軟性のある導管の前方への移動を可能にするチューブのコイルを含む。あるいは、柔軟性のある導管と共にスライドするコネクタを医療装置の後側に装備し得る。配備後、インシュリンの供給部に接続するために、適切なコネクタを介してチューブを装置の後側に取り付け得る。
【0031】
本明細書の医療装置900の水平構成は以下を含む多くの利点がある。
・薄型の設計はパッチポンプへの統合に良く適する。
・ニチノール製ストリップは平らに製造することができ、これにより、製造工程が減少する。
・本装置は構成部品の少ない簡素な設計である。
・バネの設計は非常に単純であり、バネの力が簡単に調節される。
・柔軟性のあるニチノール/ポリマー製カニューレ(例えば、医療装置の柔軟性のある導管)は全長に沿って支持されるため皮膚に貫通するとき、屈折しない。
・装置はバネに与圧がかかっており、使用者はバネを加圧するために力を入れなければならないという心理的な脅威を感じることがない。
・装置は、移動する部品の質量が小さいため、配備中のノイズが最小である。更にノイズを低減するため、減衰材料を装置に組み入れ得る。
・使用者は挿入前、挿入中、挿入後にニードルを見ずに、装置を心理的に快適に挿入させることができる。
【0032】
図10、11、12および13は、本発明の実施形態に従った医療装置1000の様々な簡単な図面である。医療装置1000は、(医療装置の柔軟性のある耐屈折導管ガイド1004付き)挿入メカニズム1002および統合した医療装置の柔軟性のある導管1006を含む。図10および図11は使用者が目的部位に医療装置の柔軟性のある導管を配備(挿入)する前の医療装置を描写する。図12は配備後の医療装置を描写する。図13は、医療装置の柔軟性のある導管ガイドと共に作動する医療装置の柔軟性のある耐屈折導管の簡単な断面図である。
【0033】
図10、図11、図12および図13を参照すると、医療装置1000は、使用者が目的部位への挿入する間、統合した医療装置の柔軟性のある導管1006が屈折するのを防ぐための医療装置の柔軟性のある耐屈折導管ガイド1004を含む。医療装置1000の構成により医療装置の柔軟性のある導管の全長に沿って耐屈折支持が提供される。
【0034】
医療装置の柔軟性のある耐屈折導管ガイド1004は、例えばニチノールから形成され、そのチャネル(またはその代わりに溝)が医療装置の柔軟性のある導管(例えば図13を参照)と共に作動するよう構成されている。配備前に、医療装置の柔軟性のある導管は耐屈折導管ガイドのチャネル内に位置される(例えば図10を参照)。
【0035】
使用中(および医療装置が例えば医療装置の底部に施された接着層の使用により使用者に接着された後)、挿入力が医療装置の柔軟性のある導管の端にかかるとき、医療装置の柔軟性のある導管は耐屈折ガイドに向かって押しながら湾曲する。ニチノール製耐屈折導管ガイドは医療装置の柔軟性のある導管が曲がる範囲を限定し、これにより、医療装置の柔軟性のある導管が屈折するのを防ぐ。挿入メカニズムが閉じるとき(つまり、使用者の手動による力で図10の位置から図11の位置へ移動するとき)、医療装置の柔軟性のある導管は皮膚を貫通し皮下組織(図示せず)に入る。同時に、ニチノール耐屈折導管ガイドは、挿入メカニズム(図12等に記載)に位置するチャネルへと上方に移動し、曲がる(図12を参照)。ニチノールは超弾性であるため、屈折することなく容易に曲がる。
【0036】
本明細書の焦点がインシュリンの送達に関する医療装置およびその方法に当てられてきたが、本発明の実施形態は他の薬品またはDNAまたは細胞など生物剤の供給、センサーの挿入、あるいは血液、組織間液または組織等検体の抽出にも有用である。
【0037】
上述の記述および考察から、当業者は、本発明の実施形態が医療装置の柔軟性のある導管および統合された挿入メカニズムを有する医療装置を使用者に接着することを含め、医療装置の柔軟性のある導管を使用者の目的部位に挿入する方法を包含するものであると理解するであろう。
【0038】
更に、医療装置の柔軟性のある導管は、遠位端、近位端、遠位端から近位端まで伸びる長手方向軸、遠位端から伸展する鋭利なヘッド、および内部にエッチング処理されたチャネルを備える細長いニチノール製ストリップを有する。その上、チャネルは長手方向軸に沿ってあるいは、並列して配置される。医療装置の柔軟性のある導管は、遠位端と近位端の間で細長いニチノール製ストリップを少なくとも部分的に被覆する柔軟性のあるチューブも含み、上記チャネルとこの柔軟なチューブとが導管を画定する。挿入メカニズムは、導管が目的部位と流体連通するように鋭利なヘッドを含む柔軟性のある導管の一部を使用者の目的部位に挿入するように構成される。本方法はまた、医療装置の柔軟性のある導管を使用者の目的部位に挿入することを含む。
【0039】
医療装置の柔軟性のある導管の鋭利なヘッドは(例えばインシュリンの投与中等)医療装置の使用中に目的部位に残存し、医療装置の柔軟性のある導管全体が目的部位から抜去されるときにのみ取り外される。医療装置の柔軟性のある耐屈折導管の柔軟性が大きいため(例えばニチノールおよび柔軟性のあるポリマー製チューブから形成されている)、導管は過度の痛みまた不快さを感じることなしに挿入したままにしておくことができる。
【0040】
本発明の望ましい実施形態を本明細書に示し説明したが、このような実施形態は例としてのみ提供されていることは当業者には明白であろう。当業者は、本発明の範囲から逸脱することなしに数多くのバリエーション、変更、置き換えを想起するであろう。本明細書で記述された本発明の実施形態に対する様々な代替物が本発明の実施において利用され得ることを理解するべきである。添付の特許請求の範囲が本発明の範囲を定め、これらの特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲内にある装置および方法が対象となることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1A】本発明の例示的な実施形態に従った医療装置の柔軟性のある導管の簡単な断面図である。
【図1B】図1AのB−Bの線に沿って描かれた図1Aの医療装置の柔軟性のある導管の簡単な断面図である。
【図1C】図1AのC−Cの線に沿って描かれた図1Aの医療装置の柔軟性のある導管の簡単な断面図である。
【図2】(A)本発明の実施形態に利用し得るチャネル付きの細長いニチノール製ストリップの側面図を示す簡単な描写である。(B)本発明の実施形態に利用し得るチャネル付きの細長いニチノール製ストリップの端面図を示す簡単な描写である。
【図3】本発明の実施形態に利用し得る別の細長いニチノール製ストリップの、インチで示された例示的寸法を使用した簡単な断面図である。
【図4】本発明の実施形態に利用し得る別の細長いニチノール製ストリップの、インチで示された例示的寸法を使用した簡単な断面図である。
【図5】本発明の実施形態に利用し得る別の細長いニチノール製ストリップの、インチで示された例示的寸法を使用した簡単な描写である。
【図6】本発明の実施形態に利用し得るさらに別の細長いニチノール製ストリップの簡単な描写である。
【図7】本発明の実施形態で利用され得る他の細長いニチノール製ストリップのインチで示された例示的寸法を使用した簡単な描写である。
【図8A】本発明に従った医療装置の柔軟性のある導管を製造するために利用され得る等方性エッチングプロセスの簡単な描写である。
【図8B】本発明に従った医療装置の柔軟性のある導管を製造するために利用され得る等方性エッチングプロセスの簡単な描写である。
【図9A】統合された医療装置の柔軟性のある導管の配備前の本発明の実施形態に従った医療装置の簡単な描写である。
【図9B】統合された医療装置の柔軟性のある導管の配備後の本発明の実施形態に従った医療装置の簡単な描写である。
【図10】医療装置の柔軟性のある導管ガイドを含む本発明の実施形態に従った別の医療装置の簡単な図面である。
【図11】医療装置の柔軟性のある導管ガイドを含む本発明の実施形態に従った別の医療装置の簡単な図面である。
【図12】医療装置の柔軟性のある導管ガイドを含む本発明の実施形態に従った別の医療装置の簡単な図面である。
【図13】医療装置の柔軟性のある導管ガイドを含む本発明の実施形態に従った別の医療装置の簡単な図面である。
【符号の説明】
【0042】
100 医療装置の柔軟性のある導管
102 細長いストリップ
104 遠位端
106 近位端
108 長手方向軸
110 鋭利なヘッド
112 チャネル
114 柔軟性のあるチューブ
116 導管の開口部
202 細長いニチノール製ストリップ
212 チャネル
302 細長いニチノール製ストリップ
312 チャネル
402 細長いニチノール製ストリップ
412 チャネル
502 細長いニチノール製ストリップ
504 鋭利なヘッド
512 チャネル
602 細長いニチノール製ストリップ
604 鋭利なヘッド
612 チャネル
700 細長いニチノール製ストリップ
704 鋭利なヘッド
712 チャネル
900 医療装置
902 医療装置の柔軟性のある導管
904 挿入メカニズム
1000 医療装置
1004 医療装置の柔軟性のある耐屈折導管ガイド
1006 統合した医療装置の柔軟性のある導管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療装置の柔軟性のある導管であって、
細長いニチノール製ストリップであって、
遠位端と、
近位端と、
前記遠位端から前記近位端へ伸びる長手方向軸と、
前記遠位端から伸展する鋭利なヘッドと、
前記導管内に形成され、前記長手方向軸に少なくとも部分的に沿って配列されるチャネルと、
を備える細長いニチノール製ストリップと、
前記遠位端と前記近位端の間で前記細長いニチノール製ストリップを少なくとも部分的に被覆する柔軟性のあるチューブと、
を備え、前記チャネルおよび前記柔軟性のあるチューブが導管を画定することを特徴とする、医療装置の柔軟性のある導管。
【請求項2】
医療装置の柔軟性のある導管であって、
細長いニチノール製ストリップであって、
遠位端と、
近位端と、
前記遠位端から前記近位端へ伸びる長手方向軸と、
前記遠位端から伸展する鋭利なヘッドと、
前記導管内に形成され、前記長手方向軸に少なくとも部分的に平行に配列されるチャネルと、
を備える細長いニチノール製ストリップと、
前記遠位端と前記近位端の間で前記細長いニチノール製ストリップを少なくとも部分的に被覆する柔軟性のあるチューブと、
を備え、前記チャネルおよび前記柔軟性のあるチューブが導管を画定することを特徴とする、医療装置の柔軟性のある導管。
【請求項3】
医療装置の柔軟性のある導管の製造方法であって、
細長いニチノール製ストリップ内へチャネルをエッチングするステップと、
前記細長いニチノール製ストリップの遠位端に鋭利なヘッドを形成するステップと、
柔軟性のあるチューブで前記平らな細長いニチノール製ストリップを被覆して、前記柔軟性のあるチューブおよび前記チャネルが導管を画定するようにするステップと、
を含む方法。
【請求項4】
医療装置の柔軟性のある導管の製造方法であって、
細長いニチノール製ストリップ内へチャネルをスタンピングするステップと、
前記細長いニチノール製ストリップの遠位端に鋭利なヘッドを形成するステップと、
柔軟性のあるチューブで前記平らな細長いニチノール製ストリップを被覆して、前記柔軟性のあるチューブおよび前記チャネルが導管を画定するようにするステップと、
を含む方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−106749(P2009−106749A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−277080(P2008−277080)
【出願日】平成20年10月28日(2008.10.28)
【出願人】(596159500)ライフスキャン・インコーポレイテッド (100)
【氏名又は名称原語表記】Lifescan,Inc.
【住所又は居所原語表記】1000 Gibraltar Drive,Milpitas,California 95035,United States of America
【Fターム(参考)】