説明

医薬賦形剤複合体

【課題】低水溶性薬物を含む医薬組成物に導入した場合に薬物の溶解を改良し得る賦形剤複合体の提供
【解決手段】少なくとも1つの担体を油性物質と混合することを含んでなる医薬賦形剤複合体、該複合体を調製するための方法、かかる複合体及び活性医薬成分を含んでなる安定医薬組成物、及び該組成物を調製するための方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、米国特許仮出願番号第60/926,282号(2007年4月25日付出願)に基づく利益を請求する。本出願は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、医薬賦形剤複合体及び当該複合体を調製する方法、かかる複合体及び活性医薬成分を含んでなる安定医薬組成物、並びに当該組成物を調製する方法を包含する。
【背景技術】
【0003】
製剤(即時放出、使用される賦形剤、製法、調節放出 − 遅延放出、持続放出、持続放出等)は、薬物のバイオアベイラビリティーに影響を及ぼし得る。特に、薬物のバイオアベイラビリティーは、薬物の溶解性が低いと、非静脈投与後に制限されてしまう。
【0004】
低水溶性の薬物は溶解率が低い場合が多い。低水溶性薬物の例としては、これらに限定されるものではないが、アルブテロール、酒石酸ゾルピデム、オメプラゾール、パクリタキセル、フマル酸クエチアピン、アルプロスタジル、カンデサルタン、リスペリドン、カルベジロール、セレコキシブ、シプロフロキサシン、又はアルプラゾラムが挙げられる。これらの低水溶性薬物はしばしば、薬物の溶解性、ひいてはバイオアベイラビリティーを向上させるように製剤する必要がある。
【0005】
カンデサルタン(「CNS」)は低水溶性薬物の一例である。カンデサルタン・シレキセチルは、白色乃至灰白色の粉末であり、水及びメタノールに難溶性である。
【化1】

【0006】
カンデサルタンは、強力且つ長期作用型の選択的AT1サブタイプアンジオテンシンII受容体アンタゴニストである。カンデサルタンは特に、高血圧性疾病、心疾病(例えば心肥大(hypercardia)、心不全、心筋梗塞等)、脳卒中(stroke)、脳出血(cerebral apoplexy)、腎炎等の循環器系疾病の治療剤として有用である。カンデサルタンは高効能の要請を満たすが、経口投与だと吸収され難い。それ故にプロドラッグであるカンデサルタン・シレキセチルが開発された。消化管吸収時に、カンデサルタン・シレキセチルは、迅速且つ完全にカンデサルタンに加水分解される。カンデサルタンの化学名は、2−エトキシ−1−[[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル]−1H−ベンズイミダゾール−7−カルボン酸である。カンデサルタン・シレキセチルの化学名は、(±)−1−[[(シクロヘキシルオキシ)カルボニル]オキシ]エチル−2−エトキシ−1−[[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)[1,1’ビフェニル]−4−イル]メチル]−1H−ベンズイミダゾール−7−カルボン酸塩である。
【0007】
カンデサルタン・シレキセチルは商品名Atacand(登録商標)として米国販売されている。Atacand(登録商標)錠は、カンデサルタン・シレキセチルと、賦形剤として、ヒドロシキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコール、ラクトース、トウモロコシデンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、及びステアリン酸マグネシウムを含む。
【0008】
欧州特許公開公報第0459136号は、カンデサルタン・シレキセチル、その調製方法、及び当該物質を含むカプセル/錠剤を開示する。
【0009】
欧州特許公開公報第0546358号は、経口用途の医薬組成物を調製する方法であって、有効量のカンデサルタン・シレキセチルを低融点(例えば20〜90℃)の油性物質と混合することを含んでなる方法に関する。
【0010】
薬物の溶解率の向上に関して、多くの努力がなされてきた。例えば、難溶性の薬物粉末を水溶性のゼラチンと混合することにより溶解率を高める手法等が挙げられる(これにより親水性薬物表面が形成されるとされている)(Imai,等., J. Pharm. Pharmacol, 42:615-19(1990))。
【0011】
米国特許第6,932,983号は、水性媒体中での薬物の溶解性を高める多孔性薬物マトリクス及びその製造方法に言及する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】欧州特許公開第0459136号公報
【特許文献2】欧州特許公開第0546358号公報
【特許文献3】米国特許第6,932,983号公報
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Imai,等., J. Pharm. Pharmacol, 42:615-19(1990)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記に鑑み、低水溶性薬物を含む医薬組成物に導入した場合に薬物の溶解を改良し得る賦形剤複合体を開発する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一態様は、油性物質と緊密に混合された少なくとも1つの担体を含んでなる医薬賦形剤複合体を包含する。
【0016】
本発明の他の態様は、低水溶性の活性医薬成分(「API」)と、油性物質と緊密に混合された少なくとも1つの担体を有する医薬賦形剤複合体を含んでなる医薬組成物を包含する。好適には、活性医薬成分は、アルブテロール、酒石酸ゾルピデム、オメプラゾール、パクリタキセル、フマル酸クエチアピン、アルプロスタジル、カンデサルタン、リスペリドン、カルベジロール、セレコキシブ、シプロフロキサシン、及びアルプラゾラムからなる群から選ばれる。
【0017】
本発明の他の態様は、カンデサルタン・シレキセチルと、油性物質と緊密に混合された少なくとも1つの担体を有する医薬賦形剤複合体とを含んでなる安定医薬組成物を包含する。
【0018】
本発明の更なる他の態様は、医薬賦形剤複合体を調製する方法であって、溶媒中に油性物質を溶解又は懸濁させて溶液又は懸濁物を形成し;溶液又は懸濁物を担体と混合し;溶媒を除去し;混合物を粉砕又は製粉にかけることを含んでなる方法を包含する。
【0019】
本発明の更なる他の態様は、医薬賦形剤複合体を調製する方法であって、油性物質を溶融し;溶融した油性物質を担体と混合し;混合物を冷却し;混合物を粉砕又は製粉することを含んでなる方法を包含する。
【0020】
本発明の更なる他の態様は、医薬賦形剤複合体を調製する方法であって、液状油性物質を担体と混合し;混合物を粉砕又は製粉することを含んでなる方法を包含する。
【0021】
本発明の更なる他の態様は、医薬組成物を調製する方法であって、少なくとも1つの担体を有する医薬賦形剤複合体を油性物質と混合し;混合物を粉砕又は製粉にかけ;混合物を活性医薬成分と混合することを含んでなる方法を包含する。好適には、当該方法は更に、活性医薬成分と医薬賦形剤複合体の混合物を圧縮して錠剤とすることを含んでなる。
【0022】
本発明の更なる他の態様は、疾病を患う患者を治療する方法であって、治療有効量の活性医薬成分と、油性物質と緊密に混合された少なくとも1つの担体を有する医薬賦形剤複合体とを有する医薬組成物を、それを必要とする患者に投与することを含んでなる方法を包含する。好適には活性医薬成分は、アルブテロール、酒石酸ゾルピデム、オメプラゾール、パクリタキセル、フマル酸クエチアピン、アルプロスタジル、カンデサルタン、リスペリドン、カルベジロール、セレコキシブ、シプロフロキサシン、及びアルプラゾラムからなる群から選ばれる。
【0023】
本発明の更なる態様は、疾病を患う患者を治療及び/又は予防するための薬剤の製造における、活性医薬成分及び油性物質と緊密に混合された少なくとも1つの担体を有する医薬賦形剤複合体の使用を包含する。好適には、活性医薬成分は、アルブテロール、酒石酸ゾルピデム、オメプラゾール、パクリタキセル、フマル酸クエチアピン、アルプロスタジル、カンデサルタン、リスペリドン、カルベジロール、セレコキシブ、シプロフロキサシン、及びアルプラゾラムからなる群から選ばれる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
製剤は、全身循環への進入前における薬物の利用能を低減し得る。特に、低水溶性の薬物は、低溶解率を示す。薬物粒子の溶解率は、投与部位又は吸収部位における水性媒体への接触に関与する表面領域と直接に関連する。本発明は、低水溶性薬物を含む医薬組成物の製剤に用いられる医薬賦形剤複合体を提供する。本複合体は、製粉が有効でない場合に薬物粒子の表面積を向上させ、薬物の溶解率を改良する。
【0025】
種々の薬物が、本明細書に記載の方法及び組成物に有用であると理解される。特に、薬物は低水溶性であることが好ましい。用語「低水溶性」とは、好適には薬物が約100mg/mL未満、例えば約50mg/mL未満又は約20mg/mL未満の溶解性を有することを意味する。より好適には、用語「低水溶性」とは、10mg/mL未満、例えば好適には約5mg/mL未満の溶解性、及び最も好適には未満の溶解性を有する薬物を意味する。「難溶性の治療活性化合物」とは、周囲温度(すなわち18〜27℃)で水溶性が約1mg/mL未満、例えば約0.1mg/mL未満の治療活性化合物(例えば薬物)を意味する。
【0026】
更に、医薬組成物の調製に採用される従来法は、1以上の圧縮工程を伴う場合が多い。圧縮条件下では、一部の活性医薬成分は、圧縮に供した場合、特に湿式造粒した場合に良好な安定性特性を示さない。従って、本発明は、従来は不安定な活性医薬成分を製剤化時に圧縮可能とする、新規の医薬賦形剤複合体の提供を目的とする。言うまでもないが、この医薬賦形剤複合体は、従来安定な活性医薬成分と一緒に使用してもよい。
【0027】
多くの場合、乾式造粒/圧縮法は、医薬組成物を錠剤に調製する際には好適である。しかし、活性医薬成分を含む製剤に油性物質を導入する場合には、乾式圧縮法を実施することはできない。これらの製剤は多くの場合、湿式造粒法を用いて混合される。製剤時に適切な乾式圧縮工程を使用するには、油性物質が湿り過ぎているからであり、また、場合によっては材料が均一に分散され得ず、粘り気のある状態となってしまい、たとえ錠剤圧縮が可能であっても、微調整に多くの時間を要するからである。
【0028】
出願人は今般、活性医薬成分との乾式圧縮に適した医薬賦形剤複合体を開発した。多くの場合、活性医薬成分は低水溶性である。
【0029】
本明細書で使用される用語「油性物質」は、例えば半固体特性等のために、製粉が困難又は不可能である物質を指す。半固体特性は、可塑性又は可鍛性を生じさせ、或いはガラス転移温度を低下させ得る。
【0030】
当該医薬賦形剤複合体は、湿式圧縮に適用可能であることに加えて、複数の活性医薬成分を含む医薬組成物を圧縮時に安定化する。例えばカンデサルタン・シレキセチルは、固体状態で単独で貯蔵した場合、温度、湿度及び/又は光の変化に対して安定である。しかし、カンデサルタン・シレキセチルは、他の成分と共に医薬組成物、特に錠剤に導入すると不安定となることが知られている。理論に束縛されるものではないが、安定性の喪失は、組成物の調製に採用される工程(例えば造粒、圧縮又は高温下成形)時に適用される、例えば圧力、磨耗及び/又は熱を介したエネルギー導入によって生じると考えられる。
【0031】
担体及び油性物質化合物を含む医薬賦形剤複合体を、カンデサルタン・シレキセチル等の活性医薬成分を含む医薬組成物に導入する場合、本医薬賦形剤複合体は、医薬組成物が製剤時の圧縮工程を受けた後でさえも、活性医薬成分の分解を防ぎ、又は分解を減少させることが観察される。好適には油性物質は、例えばポロキサマー等の油性物質である。
【0032】
理論に束縛されるものではないが、油性物質化合物と緊密に混合された担体を含む医薬賦形剤複合体は、処理時、例えばカンデサルタン・シレキセチルを有する医薬組成物の錠剤化における圧縮工程時に、圧力、磨耗及び/又は熱を吸収すると考えられる。結果として、処理後に得られる医薬組成物は、安定なカンデサルタン・シレキセチルを含む。更に担体及び油性物質の組み合せは、従来採用されてきた安定剤と比較して、製粉能及び流動能が改善される。理想的には、本発明の油性物質の製粉能及び流動能は、担体の製粉能及び流動能と同様である。
【0033】
本明細書においてカンデサルタン・シレキセチルとの関連で使用される用語「安定な」は、温度65℃及び相対湿度100%で4日間の貯蔵後、組成物の総重量に対する脱エチル(desethyl)カンデサルタン(「脱エチル−CNS」)不純物量が約0.01%〜約0.5%であり;及び/又は、温度65℃及び相対湿度100%で4日間の貯蔵後、組成物の総重量に対する2−N−エチルカンデサルタン(「2−N−エチルCNS」)不純物量が約0.01%〜約0.5%であり;及び/又は、温度65℃及び相対湿度100%で4日間の貯蔵後、組成物の総重量に対する脱エチル−CNS及び2−N−エチルCNS以外の不純物量が約0.01%〜約0.2%である、カンデサルタン・シレキセチルを指す。
【0034】
脱エチル−CNS及び2−N−エチルCNS不純物の構造は以下の通りである:
【化2】

【化3】

【0035】
一態様によれば、本発明は、油性物質化合物と緊密に混合された少なくとも1つの担体を含んでなる医薬賦形剤複合体を包含する。例えば担体の表面は、部分的又は全体的に、油性物質で覆われていてもよい。
【0036】
担体は、粒子、ミニピル又は顆粒等の任意の形態に成形され得る。好適には、担体は不活性であり、活性医薬品賦形剤とは反応しない。本明細書において使用される用語「不活性」とは、化学的に活性でないことを意味する。
【0037】
本発明での使用に適した担体としては、限定されるものではないが、良好な製粉能又は流動能を有する、医薬的に許容し得る固体が挙げられる。かかる担体の例としては、限定されるものではないが、ラクトース、白砂糖、グルコース、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、マルトース、マンニトール、ソルビトール、ヒドロシキシプロピルセルロース(例えば低置換度HPC)、マルトデキストリン、第二リン酸カルシウム(dibasic calcium phosphate)又は二酸化ケイ素が挙げられる。場合により、担体は、適切な担体の混合物、すなわち2以上の担体の混合物であってもよい。好適には、担体は、デンプン、ラクトース一水和物、マンニトール、ソルビトール及びそれらの混合物からなる群から選ばれる。より好適には、担体は、デンプン及び/又はラクトース一水和物である。
【0038】
通常、油性物質は不活性である。適切な油性物質としては、限定されるものではないが、ワックス、ポリマー、ブロックコポリマー、安定剤、界面活性剤、脂肪、及び脂肪酸が挙げられる。油性物質としては、ポロキサマー、ベヘン酸グリセリル、蜜ろう、ステアリン酸グリセリル、ステアリルアルコール、水素化ヒマシ油、液体トリグリセリド、又はその混合物が好適である。より好適には、油性物質はポロキサマーである。
【0039】
ポロキサマーは、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマーである。ポロキサマーは、ポリエチレン−プロピレングリコールコポリマー又はポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマーと呼ぶ場合も多い。好適には、ポロキサマーの平均分子量は、約9800〜約14000である。市販のポロキサマーとしては、Lutrol(登録商標)F127(ポロキサマー407、BASF社)を含む。
【0040】
医薬賦形剤複合体における油性物質と担体との重量比は、約1:100〜約1:1の範囲、好適には約1:50〜約1:3の範囲である。各活性医薬成分の適切な量は、処置される疾病及び所望される治療効果に基づいて決定すればよい。
【0041】
他の態様によれば、本発明は、油性物質を溶媒中に溶解又は懸濁させて溶液又は懸濁物を形成し;溶液又は懸濁物を担体と混合し;溶媒を除去し;混合物を粉砕又は製粉にかけることを含んでなる、医薬賦形剤複合体を調製するための方法を包含する。油性物質を溶解又は懸濁させるために、適切な溶媒又は溶媒の組み合せを選択することは、当業者には明白である。任意の揮発性溶媒が適切である。適切な溶媒としては、限定されるものではないが、C1-6アルコール、ポリエーテル、C3-5ケトン、C3-6エステル、C4-5エーテル、水が挙げられる。溶媒としては、エタノールが好適であり、水性95%エタノール溶液がより好適である。これらの溶媒は、油性物質としてポロキサマーを使用する場合にも好適である。
【0042】
他の態様によれば、本発明は、油性物質を溶融し;溶融した油性物質を担体と混合し;混合物を冷却し;混合物を粉砕又は製粉することを含んでなる、医薬賦形剤複合体を調製するための方法を包含する。この場合の使用に適切な油性物質としては、限定されるものではないが、ベヘン酸グリセリル、蜜ろう、ステアリン酸グリセリル、ステアリルアルコール、及び水素化ヒマシ油が挙げられる。
【0043】
他の態様によれば、本発明は、液状油性物質を担体と混合し;混合物を粉砕又は製粉することを含んでなる、医薬賦形剤複合体を調製するための方法を包含する。この場合の使用に適切な油性物質としては、限定されるものではないが、液体トリグリセリドが挙げられる。
【0044】
更なる態様によれば、本発明は、活性医薬成分及び油性物質と緊密に混合された少なくとも1つの担体を有する医薬賦形剤複合体を含んでなる、安定医薬組成物を包含する。上記安定組成物のAPIは、貯蔵期間後のアッセイ値が表示量の95〜105%である。本明細書において使用される用語「貯蔵期間」とは、制御条件下で、又は温度65℃及び相対湿度100%下で、4日間の保存期限を意味する。活性医薬成分は低水溶性である。低溶解性の活性医薬成分としては、限定されるものではないが、アルブテロール、アダパレン、メシル酸ドキサゾシン、フランカルボン酸モメタゾン(mometason furoate)、ウルソジオール、アムフォテリシン、マレイン酸エナラプリル、フェロジピン、塩酸ネファゾドン、バルルビシン、アルベンダゾール、抱合エストロゲン、酢酸メドロキシプロゲステロン、塩酸ニカルジピン、酒石酸ゾルピデム、ベシル酸アムロジピン、エチニル・エストラジオール、オメプラゾール、ルビテカン、ベシル酸アムロジピン/塩酸ベナゼプリル、エトドラク、塩酸パロキセチン、パクリタキセル、アトバコン、フェロジピン、ポドフィロックス、パリカルシトール、ジプロピオン酸ベタメタゾン、フェンタニル、プラミペキソール二塩酸塩、ビタミンD3、フィナステライド、フマル酸クエチアピン、アルプロスタジル、カンデサルタン、シレキセチル、フルコナゾール、リトナビル、ブスルファン、カルバマゼピン、フルマゼニル、リスペリドン、カルバマゼピン(carbemazepine)、カルビドパ/レボドパ、ガンシクロビル、サキナビル、アンプレナビル、カルボプラチン、グリブリド、塩酸セルトラリン、ロフェコキシブ、カルベジロール、プロピオン酸ハロベタゾール、クエン酸シルディナフィル、セレコキシブ、クロルタリドン、イミキモド、シンバスタチン、シタロプラム、シプロフロキサシン、塩酸イリノテカン、スパルフロキサシン、エファビレンツ、シサプリド一水和物、ランソプラゾール、塩酸タムスロシン、モダフィニル、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、レトロゾール、塩酸テルビナフィン、マレイン酸ロシグリタゾン、ジクロフェナクナトリウム、塩酸ロメフロキサシン、塩酸チロフィバン、テルミサルタン、ジアゼパム、ロラタジン、クエン酸トレミフェン、サリドマイド、ジノプロストン、塩酸メフロキン、トランドラプリル、ドセタキセル、塩酸ミトキサントロン、トレチノイン、エトドラク、酢酸トリアムシノロン、エストラジオール、ウルソジオール、メシル酸ネルフィナビル、インジナビル、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、オキサプロジン、フルタミド、ファモチジン、ニフェジピン、プレドニゾン、セフロキシム、ロラゼパム、ジゴキシン、ロバスタチン、グリセオフルビン、ナプロキセン、イブプロフェン、イソトレチノイン、クエン酸タモキシフェン、ニモジピン、アミオダロン、及びアルプラゾラムが挙げられる。好適な活性医薬成分としては、カンデサルタン・シレキセチルがある。
【0045】
他の態様によれば、本発明は、少なくとも1つの担体を油性物質と組み合わせて医薬賦形剤複合体を形成し;医薬賦形剤複合体を粉砕し;細かくした医薬賦形剤複合体を活性医薬成分と混合して安定医薬組成物を提供することを含んでなる、安定医薬組成物を調製するための方法を包含する。一つの態様では組み合せ工程は、担体と油性物質を、湿式造粒法を用いて組み合せ、その後に粒状体を乾燥させる。好適には活性医薬成分は、低水溶性を有し、且つアルブテロール、酒石酸ゾルピデム、オメプラゾール、パクリタキセル、フマル酸クエチアピン、アルプロスタジル、カンデサルタン、リスペリドン、カルベジロール、セレコキシブ、シプロフロキサシン、及びアルプラゾラムからなる群から選ばれる。より好適には活性医薬成分は、カンデサルタン・シレキセチルである。
【0046】
本方法は更に、医薬組成物を他の医薬品賦形剤と混合することを含んでいてもよい。また、医薬品賦形剤を粉砕にかけてもよい。
【0047】
一例示態様によれば、本発明の安定医薬組成物は、カンデサルタン・シレキセチル、デンプン、ラクトース一水和物及びポロキサマーを含んでなり、ここでデンプン及びラクトース一水和物の少なくとも一部が、ポロキサマーで被覆される。好適には、添加されるポロキサマーは、ポロキサマー407である。
【0048】
カンデサルタン・シレキセチルは、本技術分野で公知の方法を用いて調製することができる。例えば、米国特許公開公報第2005/0250827号によれば、カンデサルタン・シレキセチルの調製は、シレキセチル・トリチル・カンデサルタンを準備し;水及びメタノールの混合物中でシレキセチル・トリチル・カンデサルタンを脱保護し、カンデサルタン・シレキセチルの残渣を得;メタノール及びトルエンを用いてカンデサルタン・シレキセチルの残渣を結晶化し;その後にカンデサルタン・シレキセチルをメタノール中で再結晶化して結晶性カンデサルタン・シレキセチルを生成することによって行われる。
【0049】
本発明に係る循環器系疾病治療用の医薬組成物に含まれるカンデサルタン・シレキセチルの量は特に限定されないが、循環器系疾病に伴う症状を治療、改善、又は回復させるのに十分な用量とすべきである。本発明に係る循環器系疾病治療用の医薬組成物の投与量は、使用方法や患者の年齢、性別、状態等に応じて異なる。好適には、一投与形態中に約4mg、8mg、16mg又は32mgのカンデサルタン・シレキセチルが含まれるようにする。
【0050】
本発明の安定医薬組成物は、限定されるものではないが、湿式又は乾式造粒、及び直接圧縮等の任意の従来手段によって調製され得る。好適には、医薬組成物の調製は、少なくとも1つの工程を受ける。より好適には直接圧縮法を受ける。
【0051】
直接圧縮法では、医薬組成物を調製するための方法は、少なくとも1つの担体及び油性物質を有する医薬賦形剤複合体を活性医薬成分と混合することを含んでなり、当該担体は油性物質と緊密に混合される。任意により1以上の他の賦形剤を医薬組成物に添加してもよい。得られた混合物は、錠剤、丸薬、顆粒等の固体医薬組成物に圧縮される。好適には固体医薬組成物は、錠剤に圧縮される。
【0052】
場合により、本発明の担体及び/又は油性物質は、大量に存在する場合には、2重の用途を有していてもよい。すなわち、活性医薬成分を含む医薬組成物に担体及び油性物質を導入する場合に、結合剤、充填剤、安定剤又は可溶化剤としても作用し得る場合である。しかし、かかる2重の活性が生じるには、担体及び油性物質は、結合剤、充填剤もしくは安定剤又は可溶化剤として作用する以前に、担体又は油性物質の機能を発揮するのに必要な量で存在しなければならない。
【0053】
しかし、場合によっては、この担体及び油性物質の2重活性が、問題となる場合がある。例えば、カンデサルタン・シレキセチルの場合、カンデサルタン・シレキセチルの分解を有効に安定化させるのに必要な油性物質(例えばポロキサマー407)の量は、可溶化活性の観点から要求される量と比べると過剰である。同時係属出願第60/963,014号の実施例3に示すように、ポロキサマーを5.2mg及び6.4mg使用すると、APIを効果的に安定させつつ、非常に高い薬物の血中濃度及びバイオアベイラビリティーを達成することができる。本発明の医薬賦形剤複合体を使用することにより、安定化の利点を維持し得ると同時に、ポロキサマーの可溶化特性を低下させることができ、許容可能な薬物動態を達成することが可能となる。
【0054】
本発明の医薬組成物は、1以上の追加の賦形剤を更に含んでいてもよい。例としては、限定されるものではないが、充填剤、希釈剤、崩壊剤、流動促進剤、潤滑剤、更なる担体、増量剤(bulking agent)、結合剤、湿潤剤等が挙げられる。
【0055】
適切な充填剤及び希釈剤としては、限定されるものではないが、粉末セルロース、微結晶性セルロース(例えばAvicel(登録商標))、マイクロファインセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロシキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース塩及び他の置換及び非置換セルロース等のセルロース由来物質;デンプン;プレゼラチン化デンプン;ラクトース;タルク;ワックス;糖;マンニトール及びソルビトール等の糖アルコール;アクリレートポリマー及びコポリマー;デキストレート;デキストリン;デキストロース;マルトデキストリン;ペクチン;ゼラチン;炭酸カルシウム、第二リン酸カルシウム二水和物、第三リン酸カルシウム(tribasic calcium phosphate)、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、塩化ナトリウム、及び医薬産業において公知の他の希釈剤等の無機希釈剤が挙げられる。
【0056】
錠剤等の投与形態に圧縮された本発明の固体医薬組成物は、当該組成物への崩壊剤の添加を含んでいてもよい。適切な崩壊剤としては、限定されるものではないが、クロスカルメロールナトリウム(例えばAc Di Sol(登録商標)、Primellose(登録商標))、クロスポピドン(例えばKollidon(登録商標)、Polyplasdone(登録商標))、微結晶性セルロース、ポラクリリンカリウム、粉末セルロース、プレゼラチン化デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム(例えばExplotab(登録商標)、Primoljel(登録商標))及びデンプンが挙げられる。
【0057】
圧縮前の固体組成物の流動能を改善し、特に圧縮及びカプセル充填時の薬品注入精度を改善するために、流動促進剤を添加してもよい。流動促進剤として機能し得る賦形剤としては、限定されるものではないが、コロイド状二酸化ケイ素、三ケイ酸マグネシウム、粉末セルロース、及びタルクが挙げられる。
【0058】
粘着性低減及び/又は金型等からの製品放出の容易化のために、本発明の医薬組成物に潤滑剤を添加してもよい。適切な潤滑剤としては、限定されるものではないが、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセリン、パルミトステアリン酸グリセリル、水素化ヒマシ油、水素化植物油、鉱油、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、ステアリン酸、タルク、及びステアリン酸亜鉛が挙げられる。
【0059】
追加の担体としては、限定されるものではないが、ラクトース、白砂糖、塩化ナトリウム、グルコース、尿素、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、及びケイ酸が挙げられる。
【0060】
結合剤としては、限定されるものではないが、水、エタノール、プロパノール、単シロップ、グルコース溶液、デンプン溶液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、シェラック(shellac)、メチルセルロース、リン酸カリウム、及びポリビニルピロリドンが挙げられる。適切な結合剤としては、限定されるものではないが、アカシアガム、プレゼラチン化デンプン、アルギン酸ナトリウム、グルコース並びに湿式又は乾式造粒において及び直接圧縮錠剤化方法において使用される他の結合剤が挙げられる。
【0061】
製剤に導入され得る他の賦形剤としては、限定されるものではないが、防腐剤、界面活性剤、抗酸化剤、又は他の医薬産業で一般に使用される任意の賦形剤が挙げられる。
【0062】
本発明の医薬組成物は、任意の形態を採りうるが、好適には固体組成物である。より好適には本発明の医薬組成物は、固体組成物に圧縮される。適切な固体投与形態としては、限定されるものではないが、錠剤、カプセル、粉末、及び小袋が挙げられる。
【0063】
好適には投与形態は、錠剤である。例えば本発明の医薬組成物は、錠剤の形態に圧縮された顆粒、又は錠剤成分の直接圧縮により形成された錠剤であってもよい。直接圧縮によって形成された錠剤が最適である。
【0064】
今般の錠剤の多くは、加圧後にコーティングされる。コーティングは、例えば、錠剤成分の味を隠し、錠剤を滑らかにして嚥下し易くし、環境耐久性を向上させ、その保存期限を延ばし、又はその溶解性を変化させる。錠剤は、多様な一般に公知のコーディング材料によってコーティングされ得る。例えば錠剤は、糖、ゼラチンフィルム、又は腸溶コーティングによってコーティングされ得る。更に2層化錠剤及び多層化錠剤もある。
【0065】
コート錠は、錠剤表面にコーティングを有してもよく、腸溶コーティングを有する粉末又は顆粒を含む錠剤でもよい。腸溶コーティングされた粉末形態としては、限定されるものではないが、フタル酸セルロースアセテート、ヒドロキシプロピルメチル-セルロースフタレート、ポリビニルアルコールフタレート、カルボキシメチルエチルセルロース、スチレン及びマレイン酸のコポリマー、メタクリル酸及びメタクリル酸メチルのコポリマー等を含むコーティングを有してもよく、また所望により、適切な可塑剤及び/又は拡張剤と共に用いてもよい。
【0066】
医薬組成物がカプセルの投与形態にある場合は、カプセルは、本発明の医薬組成物を圧縮されない形態、又は圧縮された顆粒又は粉末の混合等の形態で含み得る。カプセルのg被覆は、ハードシェルでもソフトシェルでもよい。シェルは、限定されるものではないが、ゼラチン製でもよく、グリセリン及びソルビトール等の可塑剤、並びに乳白剤又は着色剤を含んでいてもよい。
【0067】
医薬組成物を坐剤形態に成形するには、当業界で一般に公知の任意の賦形剤が使用され得る。例えば賦形剤としては、限定されるものではないが、ポリエチレングリコール、ココナツバター、高級アルコール、高級アルコールのエステル、ゼラチン、及び半合成されたグリセリドが挙げられる。
【0068】
本発明の循環器系疾病を治療するための医薬組成物の投与方法は、特に限定されず、また年齢、性別、及び患者の状態に応じて多様な調合において投与され得る。適切な医薬組成物の投与経路としては、限定されるものではないが、経口、口腔、及び直腸投与を含み得る。所与の場合における最適な投与は、治療される状態の性質及び重篤性に応じて異なるが、本発明の最適な投与経路は、経口である。投与量は単位投与形態とすることが便宜上好ましく、また、医薬業界で一般に公知の任意の方法で調合することができる。
【0069】
特定の好適な態様に関連して本発明を説明したが、他の態様は、本明細書の記載から当業者には明白であろう。本発明は、医薬賦形剤複合体及び医薬組成物の調製を詳細に記載する以下の実施例を参照することによって、更に定義される。当業者には明白なように、本発明の範囲から逸脱することなく、材料及び方法の両面で多々の改変が可能である。
【実施例1】
【0070】
本発明に係る医薬賦形剤複合体を以下の通り調製した。
デンプン(デンプン1500)(50.0mg、53重量%)及びラクトース一水和物(200メッシュ)(38.0mg、40.2重量%)を高せん断ミキサー中で混合した。ポロキサマー407(Lutrol(登録商標)F127)(6.4mg、6.8重量%)を95%エタノール溶液中で、溶液が得られるまで混合した。得られた溶液を高せん断ミキサー中に添加し、混合した。その後に得られた湿った顆粒を流動層乾燥機の中で乾燥させ、その後に円錐ミル(Quadro)で製粉した。
【実施例2】
【0071】
本発明に係る医薬組成物を調製した。
実施例1において調製した医薬賦形剤複合体をカンデサルタン・シレキセチルと混合した。その後に得られた混合物を圧縮して錠剤を形成した。
【実施例3】
【0072】
本発明に係る他の医薬賦形剤複合体を以下の通り調製した。
デンプン(デンプンSTA−RX1500)(6,300g、33.3重量%)及びラクトース一水和物(Pharmatose DCL14)(11,844g、62.7重量%)を高せん断ミキサー中で混合した。ポロキサマー407(Lutrol(登録商標)F127)(756g、4重量%)を95%USPエタノール溶液(3,500g)中で混合し、顆粒溶液を供し、デンプン及びラクトース一水和物混合物に添加した。得られた混合物を混合し、その後に流動層乾燥機中で乾燥させ、その後に円錐ミル(Quadro)で製粉した。
【実施例4】
【0073】
本発明の医薬組成物を以下の通り調製した。
ラクトース一水和物(38,088g、58.8重量%)、カンデサルタン・シレキセチル(5,760g、8.9重量%)、プロビドン(PVP K-30)(2,880g、4.4重量%)及びカルボキシメチルセルロースカルシウムEP(810g、1.3重量%)を乾燥混合機の中で組み合わせた。カルボキシメチルセルロースカルシウムEP(360g、0.5重量%)の混合物及びColor Ferric Oxide Red E172(54g、0.08重量%)、並びに実施例3において調製した医薬賦形剤複合体(16,200g、25重量%)を乾燥混合機の中に添加した。上記の成分を約10分間一緒に混合し、その後にステアリン酸マグネシウムPh. Eur.(648g、1重量%)を乾燥混合機の中に添加し、混合を約5分間継続した。
【実施例5】
【0074】
本発明に係る医薬組成物を以下の通り調製した。
デンプン(デンプン1500)(50.0mg)及びラクトース一水和物(200メッシュ)(38.0mg)を高せん断ミキサー中で混合した。ポロキサマー407(Lutrol(登録商標)F127)(3.2mg)を95%のエタノール溶液中で、溶液が得られるまで混合した。得られた溶液を高せん断ミキサー中に添加し、混合した。その後に得られた湿った顆粒を流動層乾燥機中で乾燥させ、その後に円錐ミル(Quadro)で製粉した。カンデサルタン・シレキセチル(32mg)、噴霧乾燥させたラクトース(171mg)、プロビドン(PVP K-30)(16mg)を得られた顆粒と共に混合した。上記の成分を一緒に混合し、その後にステアリン酸マグネシウムPh. Eur.(3.1mg)を添加し、継続して混合した。その後に得られた混合物を圧縮して錠剤を形成した。
【0075】
結果
実施例5に従って得られた錠剤の安定性を調べた。最初の時点において、脱エチル−CNS不純物の量は、医薬組成物の総重量の0.07%であった。温度70℃及び相対湿度100%で4日間貯蔵後、その量は医薬組成物の総重量の0.6%まで増加した。最初の時点において、脱エチル−CNS及び2−N−エチルCNS以外の不純物は検出されなかった。しかし、貯蔵期間後、脱エチル−CNS及び2−N−エチルCNS以外の不純物が医薬組成物の総重量の0.1%検出された。かかるデータから、カンデサルタン・シレキセチルを本発明の賦形剤複合体と共に錠剤化した場合、分解が有意に抑えられたと結論付けられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油性物質と緊密に混合された少なくとも1つの担体を含んでなる医薬賦形剤複合体。
【請求項2】
前記担体が、ラクトース、白砂糖、グルコース、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、マルトース、マンニトール、ソルビトール、ヒドロシキシプロピルセルロース、マルトデキストリン、第二リン酸カルシウム及び二酸化ケイ素からなる群から選ばれる、請求項1に記載の医薬賦形剤複合体。
【請求項3】
前記担体が、デンプン、ラクトース一水和物、マンニトール、ソルビトール、又はその混合物である、請求項2に記載の医薬賦形剤複合体。
【請求項4】
前記油性物質が、ワックス、ポリマー、ブロックコポリマー、安定剤、界面活性剤、脂肪、脂肪酸及びそれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の医薬賦形剤複合体。
【請求項5】
前記油性物質が、ポロキサマー、ベヘン酸グリセリル、蜜ろう、ステアリン酸グリセリル、ステアリルアルコール、水素化ヒマシ油、液体トリグリセリド及びそれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の医薬賦形剤複合体。
【請求項6】
前記油性物質が、平均分子量約9800〜約14000のポロキサマー又はポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマーである、請求項5に記載の医薬賦形剤複合体。
【請求項7】
前記油性物質と前記担体との重量比が、約1:100〜約1:1の範囲である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の医薬賦形剤複合体。
【請求項8】
低水溶性の活性医薬成分と、請求項1〜7のいずれか1項に記載の医薬賦形剤複合体とを含んでなる医薬組成物。
【請求項9】
前記活性医薬成分が、アルブテロール、酒石酸ゾルピデム、オメプラゾール、パクリタキセル、フマル酸クエチアピン、アルプロスタジル、カンデサルタン、リスペリドン、カルベジロール、セレコキシブ、シプロフロキサシン、及びアルプラゾラムからなる群から選ばれる、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記活性医薬成分が、カンデサルタン・シレキセチルである、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
活性医薬成分と、請求項1〜7のいずれか1項に記載の医薬賦形剤複合体とを含んでなる安定医薬組成物。
【請求項12】
カンデサルタン・シレキセチルと、請求項1〜7のいずれか1項に記載の医薬賦形剤複合体とを含んでなる安定医薬組成物。
【請求項13】
医薬賦形剤複合体を調製する方法であって、油性物質を溶媒に溶解又は懸濁させて溶液又は懸濁物とし;該溶液又は懸濁物を担体と混合し;該溶媒を除去し;該混合物を粉砕又は製粉に供することを含んでなる方法。
【請求項14】
前記油性物質が、ワックス、ポリマー、ブロックコポリマー、安定剤、界面活性剤、脂肪、脂肪酸及びそれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記溶媒が、C1-6アルコール、ポリエーテル、C3-5ケトン、C3-6エステル、C4-5エーテル、及び水からなる群から選ばれる、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記溶媒がエタノールである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
医薬賦形剤複合体の調製方法であって、油性物質を溶融し;該溶融した油性物質を担体と混合し;該混合物を冷却し;該混合物を粉砕又は製粉することを含んでなる方法。
【請求項18】
前記油性物質が、ベヘン酸グリセリル、蜜ろう、ステアリン酸グリセリル、ステアリルアルコール、又は水素化ヒマシ油である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
医薬賦形剤複合体を調製する方法であって、液状油性物質を担体と混合し;該混合物を粉砕又は製粉することを含んでなる方法。
【請求項20】
前記油性物質が液体のトリグリセリドである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記担体が、ラクトース、白砂糖、グルコース、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、マルトース、マンニトール、ソルビトール、ヒドロシキシプロピルセルロース、マルトデキストリン、第二リン酸カルシウム及び二酸化ケイ素からなる群から選ばれる、請求項13〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記医薬賦形剤複合体が、請求項1〜7のいずれか1項に記載の医薬賦形剤複合体である、請求項13〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
医薬賦形剤複合体少なくとも1つの担体を油性物質と混合し;該混合物を粉砕又は製粉に供し;該混合物を活性医薬成分と混合することを含んでなる方法。
【請求項24】
前記医薬賦形剤複合体が、請求項1〜7のいずれか1項に記載の医薬賦形剤複合体である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記担体及び油性物質が、湿式造粒によって混合される、請求項23又は24に記載の方法。
【請求項26】
前記活性医薬成分が、アルブテロール、酒石酸ゾルピデム、オメプラゾール、パクリタキセル、フマル酸クエチアピン、アルプロスタジル、カンデサルタン、リスペリドン、カルベジロール、セレコキシブ、シプロフロキサシン、及びアルプラゾラムからなる群から選ばれる、請求項23〜25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記担体が、ラクトース、白砂糖、グルコース、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、マルトース、マンニトール、ソルビトール、ヒドロシキシプロピルセルロース、マルトデキストリン、第二リン酸カルシウム及び二酸化ケイ素からなる群から選ばれる、請求項23〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記油性物質が、ワックス、ポリマー、ブロックコポリマー、安定剤、界面活性剤、脂肪、脂肪酸及びそれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項23〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記方法が更に、前記医薬組成物を固体投与形態に圧縮することを含んでなる、請求項23〜28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記圧縮工程が直接圧縮法である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
疾病を患う患者を治療及び/又は予防する薬剤の製造における、活性医薬成分及び請求項1〜7のいずれか1項に記載の医薬賦形剤複合体の使用。
【請求項32】
前記活性医薬成分が、アルブテロール、酒石酸ゾルピデム、オメプラゾール、パクリタキセル、フマル酸クエチアピン、アルプロスタジル、カンデサルタン、リスペリドン、カルベジロール、セレコキシブ、シプロフロキサシン、及びアルプラゾラムからなる群から選ばれる、請求項31に記載の使用。
【請求項33】
前記活性医薬成分がカンデサルタン・シレキセチルであり、前記疾病が循環器系疾病、好適には高血圧症である、請求項32に記載の使用。
【請求項34】
疾病を患う患者を治療及び/又は予防する薬剤として使用される、請求項8〜12のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項35】
前記活性医薬成分が、アルブテロール、酒石酸ゾルピデム、オメプラゾール、パクリタキセル、フマル酸クエチアピン、アルプロスタジル、カンデサルタン、リスペリドン、カルベジロール、セレコキシブ、シプロフロキサシン、及びアルプラゾラムからなる群から選ばれる、請求項34に記載の医薬組成物。
【請求項36】
前記活性医薬成分がカンデサルタン・シレキセチルであり、前記疾病が循環器系疾病、好適には高血圧症である、請求項35に記載の医薬組成物。

【公開番号】特開2013−28627(P2013−28627A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−208175(P2012−208175)
【出願日】平成24年9月21日(2012.9.21)
【分割の表示】特願2010−506278(P2010−506278)の分割
【原出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【出願人】(501079705)テバ ファーマシューティカル インダストリーズ リミティド (283)
【Fターム(参考)】