説明

半導体プロセスの多変量制御

製造プロセスの故障条件を検出する方法であって、製造プロセスの複数の出力に対する複数の製造関係変数に基づいて、データを取得し、モデルを展開する。この方法は、更に、前記製造関係変数の中のどの変数が、前記製造プロセスの誤った出力を検出する前記モデルに対して実質的な影響を有するのかを識別するステップを含む。本発明による方法は、また、前記モデルに実質的影響を有すると先に識別された製造関係変数を用いることによって前記モデルを更新し、製造プロセスの誤った出力を検出する前記モデルの能力を強化するステップを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造プロセスの故障条件を検出し製造プロセスの出力と関連する故障タイプを分類する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
歴史的には、半導体デバイスの製造業者は、プロセス・ツールの製造業者がよりよいそしてより高速なプロセス/ハードウェア構成を設計するのに依存することによって、より厳格なプロセス/材料の仕様にどうにか移行してきた。デバイスのサイズがナノメートルのレベルまで縮小するにつれて、製造プロセスの複雑性が増加し、プロセス/材料仕様を満たし維持するように交渉が必要な環境が変化してきた。
【0003】
(装置状態データに基づく)プロセス・ツールのスタンドアロン制御では、65及び45nmにおいて実行可能な歩留まりを維持することができない。高度なデバイス・プロセスには、高度な装置制御(AEC)とセンサ・ベースのプロセス制御とを組み合わせたツール・レベルの制御が必要となる。更に、ツール・レベルの制御だけでは、高度なデバイス製造の制御に関する必要性のすべてを満足することはできない。e診断と故障検出と分類(FDC)とを備えたAECとデバイス製造プロセスの数学的モデルとを統合する高度プロセス制御(APC)のシステム・ワイドな実装が要求されている。
【0004】
AEC/APCに移動することに関する経済的及び技術的な傾向が存在している。高度な製造仕様を満足するスタンドアロンのプロセス・ツールを購入(及び開発)するコストは、非常に高くなることが予測される。新世代のプロセス装置の購入に向けられたコスト効率的な代替策は、既存の(レガシ)装置において、アドオン・センサをAEC/APCと共に組み合わせて用いることにより実現される。レガシ装置におけるセンサ・ベースのAEC/APCは、これらのツールを、ナノメートル・スケールでの装置製造に必要なより厳格な仕様に導くことができる。追加的なコスト面での利点が、(特に、300mmのウエハ処理において)スクラップ/リワークの減少とテスト・ウエハの使用の減少とによって実現可能となる。というのは、これらは、プロセス制御のためのウエハ及び/又はプロセス状態データを用いたシステムでは、減少が可能であるか、又は、除去さえも可能であるからである。センサ・ベースのAEC/APCは、また、予防的なメンテナンス・ダウン時間やプロセス限定のための時間を短縮することもでき、他方では、プロセスの性能、装置のパフォーマンス、歩留まり及び工場のスループットを向上させる。
【0005】
上述のような強力な駆動力を与えられていながら、AEC/APCが既に広く実現されているとは言えないのは、驚くべきである。しかし、AEC/APCに対する深刻な障害が、ほとんどの製造環境に存在している。プロセス・ツールへのSECS通信リンクは、OEMによってユニークであるのが典型的であり、低速であり、より高度なプロセス・センサからのデータには適していない狭い帯域幅を有する。異なるOEM及びアドオン・センサが、非常に異なる帯域幅において、また、異なるサンプリング速度において、ツール及びプロセス状態に関するデータを提供する。データ・キャプチャとデータ伝送とのシステム・レベルでの同期が、AEC/APCの実装のための著しいハードルになっている。
【0006】
更に、これらの障害が克服されたとしても、プロセス制御におけるこのような潜在的なデータの洪水を意味があるように応用するのは、非常に困難な仕事である。USPC(単変量の統計的プロセス制御)などのより単純なアプローチは、十分に確立されているが、限界が存在する。USPCは、単一の応答パラメータの制御においては有効ではあるが、より進んだ装置の製造には、複数の応答変数を同時に制御することが要求される。応答と独立との両方の変数は、USPCが評価も制御もできない複雑な相互関係を有しているのが通常である。
【0007】
多変量解析(MVA)は、モニタ対象とされている多数のパラメータを含むプロセスのモニタリングにおいて有効なツールであることがわかっている。特に、故障検出においてそうである。多変量解析は、パラメータの共分散及び相関に見られるプロセスの変化を検出する。MVAは、典型的には、基準として機能する既知の受け入れられている作業条件に基づくプロセス基準の構築を要求する。
【0008】
この基準モデルは、測定されたプロセス・パラメータから構築することができる。一般的に、このモデルは、個々のプロセス・ステップに対する個々の時間従属的なモデルに分解し、更に、全体のプロセスを総括する上位レベルのモデルに再構築することが可能である。
【0009】
プロセスに対する故障検出のそれ以後のすべての実装では、同じ測定されたパラメータが同じ態様で比較され(モデル化ステップと、上位レベルのモデルへの統合)、基準モデルが基礎を置いている既知の受け入れられたプロセスからの統計的に有意な偏差が決定される。MVAの効果的な実装は、多くの場合、モデルの品質に左右される。
【0010】
従って、製造プロセスと製造プロセスの出力とに関連する欠陥を検出し分類する改善されたシステム及び方法に対する必要性が存在している。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、製造プロセスと関連する故障条件(fault condition)を検出及び分類する方法を特徴とする。
本発明は、ある側面では、製造プロセスの故障条件を検出する方法を特徴とする。本発明による方法は、製造プロセスの複数の出力に対する複数の製造関係変数(例えば、製造ツール、プロセス、内部及び外部センサ)と関連するデータを取得するステップを含む。本発明による方法は、更に、前記データに基づいて、前記製造プロセスの誤った(faulty)出力を検出するモデルを展開(開発、develop)するステップを含む。この方法は、更に、前記製造関係変数の中のどの変数が、前記製造プロセスの誤った出力を検出する前記モデルに対して実質的な影響を有するのかを識別するステップを含む。本発明による方法は、また、前記モデルに実質的影響を有すると先に識別された製造関係変数を用いることによって前記モデルを更新し、製造プロセスの誤った出力を検出する前記モデルの能力を強化するステップを含む。
【0012】
ある実施例では、モデルを展開し、識別し、更新するステップは、多変量解析の手法を用いるステップを含む。ある実施例では、前記モデルを展開するステップは、非線形反復部分最小自乗法と特異値分解とを用いて前記モデルと関連する主成分と負荷量とを計算するステップを含む。ある実施例では、前記識別するステップは、部分最小自乗判別分析法を用いるステップを含む。ある実施例では、前記識別するステップは、数学的アルゴリズムを用いて前記実質的な製造関係変数を自動的に識別するステップを含む。
【0013】
ある実施例では、前記数学的アルゴリズムを用いるステップは、(i)選択された変数から前記モデルと関連する負荷量の原点までの一次方程式を識別するステップと、(ii)ステップ(i)の一次方程式と垂直な前記製造関係変数の一次方程式を識別するステップと、(iii)すべての製造関係変数の一次方程式とステップ(i)の一次方程式との連立方程式を解いて、ステップ(i)の一次方程式の上のそれぞれの製造関係変数の射影点を得るステップと、(iv)それぞれの射影点から原点までの距離を決定するステップと、(v)原点からそれぞれの射影点との距離と前記選択された変数から原点までの距離との比に基づいて相関係数を計算するステップと、(vi)所定の数よりも大きな相関係数を有する製造関係変数を選択することによって、前記実質的な製造関係変数を識別するステップと、を含む。
【0014】
ある実施例では、前記前記選択された変数は故障条件又は計量メトリック値である。ある実施例では、前記所定の数はユーザによって選択される。
別の側面では、本発明は、製造プロセスの出力と関連する故障のタイプを分類する方法に関する。本発明による方法は、製造プロセスの複数の出力に対する複数の製造関係変数と関連するデータを取得するステップを含む。また、本発明による方法は、前記製造プロセスの出力と関連する計量メトリックと関連する計量データを取得するステップを含む。本発明による方法は、更に、前記データと前記計量データとに基づいてモデルを展開して前記製造プロセスの出力における誤りを識別するステップを含み、前記モデルは、前記複数の製造変数と関連するデータに基づいて前記製造プロセスの他の出力と関連する計量メトリックを予測することができる。本発明による方法は、前記製造関係変数の中のどの変数が、前記製造プロセスの他の出力と関連する計量メトリックを予測する前記モデルに対して実質的な影響を有するのかを識別するステップを含む。更に、本発明による方法は、前記モデルに実質的な影響を有すると識別された製造関係変数を用いることによって前記モデルを更新し、前記モデルが前記製造プロセスの他の出力と関連する計量メトリックを予測する能力を向上させるステップを含む。
【0015】
ある実施例では、前記モデルを展開し、識別し、モデルを更新するステップは、多変量解析の手法を用いるステップを含む。ある実施例では、前記モデルを展開するステップは、非線形反復部分最小自乗法と特異値分解とを用いて前記モデルと関連する主成分と負荷量とを計算するステップを含む。ある実施例では、前記モデルを更新するステップは、部分最小自乗法を用いるステップを含む。ある実施例では、前記モデルを更新するステップは、数学的アルゴリズムを用いて前記製造関係変数を自動的に識別するステップを含む。ある実施例では、計量データを取得するステップと、前記モデルを展開するステップと、前記識別するステップと、前記モデルを更新するステップとは、反復されて、異なる計量メトリックのための方法を生じる。
【0016】
更に別の側面では、本発明は、製造プロセスの出力と関連する故障条件を同時に検出及び分類する方法に関する。本発明による方法は、製造プロセスの複数の出力に対する複数の製造関係変数と関連するデータを取得し、前記製造プロセスの出力と関連する故障分類(クラス)データを取得するステップと、を含む。本発明による方法は、更に、前記データと前記故障分類データとに基づいてモデルを展開し、前記製造プロセスの誤った出力を検出するステップを含む。本発明による方法は、また、前記製造関係変数の中のどの変数が、前記製造プロセスの誤った出力の特定の故障分類を検出する前記モデルに対して実質的な影響を有するのかを識別するステップを含む。本発明による方法は、前記モデルに実質的な影響を有する製造関係変数を用いることによって前記モデルを更新し、前記製造プロセスの誤った出力の特定の故障分類を検出するステップを含む。
【0017】
ある実施例では、故障分類データを取得するステップと、前記モデルを展開するステップと、前記識別するステップと、前記モデルを更新するステップとは反復され、異なる故障分類のためのモデルを生じる。
【0018】
別の側面では、本発明は、製造プロセスの故障条件を同時に検出及び分類するシステムをその特徴とする。本発明によるシステムは、製造プロセスの複数の出力に対する複数の製造関係変数と関連するデータを取得する手段と、前記製造プロセスの出力と関連する故障分類データを取得する手段と、を含む。更に本発明によるシステムは、前記データと前記故障分類データとに基づいてモデルを展開し、前記製造プロセスの誤った出力を検出する手段を含む。また、本発明によるシステムは、前記製造関係変数の中のどの変数が、前記製造プロセスの誤った出力の特定の故障分類を検出する前記モデルに対して実質的な影響を有するのかを識別する手段を含む。更に、発明によるシステムは、前記モデルに実質的な影響を有する製造関係変数を用いることによって前記モデルを更新し、前記製造プロセスの誤った出力の特定の故障分類を検出する手段を含む。
【0019】
ある実施例では、数学的アルゴリズムが、前記モデルを自動的に展開し、前記モデルに対して実質的な影響を有する変数を識別し、前記モデルを更新するのに用いられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明自体だけでなく、本発明の以上で述べた及びそれ以外の目的、特徴及び効果は、以下の例示的な説明を添付の図面(必ずしも寸法通りではない)を参照して読むことによってより完全に理解されうる。
【0021】
図1は、製造プロセスの故障条件(fault condition)を検出する方法の流れ図100である。この方法は、例えば、コンピュータ・プロセッサ又はパーソナル・コンピュータを用いて実装することができる。この実施例では、流れ図100のプロセスは、製造プロセスの複数の出力に対する複数の製造関係変数(例えば、製造ツール、プロセス、内部及び外部センサなどに関連する変数)と関連するデータを取得すること(ステップ104)で開始する。
【0022】
製造関係変数には、例えば、ガス・フロー、ガス圧、ガス弁位置、ガス温度、冷媒温度、供給される電力、反射される電力、電流、電圧、キャパシタンス、抵抗値、インダクタンス、インピーダンスなどが含まれる。製造関係変数のためのデータは、例えば1又は複数のセンサを用いて取得することができる(例えば、プロセス・センサ、残留ガス分析器、発光分光分析装置、フーリエ変換赤外分析装置、VIプローブ、パーティクル・カウンタ、ガス・フロー・モニタ、ガス圧モニタ、温度ゲージ、自己励起電子共鳴スペクトル装置など)。ある実施例では、製造プロセスは、半導体処理手順における1つのステップとしてフォトレジスト材料を有する半導体ウエハの表面からフォトレジスト材料を除去することに関係する。この実施例では、図1との関係で説明される本発明の方法は、その表面にフォトレジストを有するウエハを識別するのに用いられる。
【0023】
流れ図100における次のステップは、取得されたデータ(ステップ104)に基づいて数学的モデルを展開する(ステップ108)ことを含む。流れ図100の次のステップは、製造関係変数の中のどの変数が製造プロセスの誤った(faulty)出力を検出するモデルに対して実質的な影響を有するかを識別する(ステップ112)ことを含む。流れ図100の次のステップは、ステップ112で識別された製造関係変数を用いてモデルを更新し、このモデルが製造プロセスの誤った出力を検出する能力を向上させることを含む。
【0024】
取得されたデータ(ステップ104)に基づいて数学的モデルを展開する(ステップ108)ステップは、様々な多変量解析の手法の中の任意の1つを用いることを含むことがありうる。例えば、これらの手法は、SIMCA−P+多変量解析ソフトウェア・パッケージ(米国ニュージャージー州キネロン(Kinnelon)所在のUmetrics社による)を用いることによって実現される。ある実施例では、このモデル展開ステップ(ステップ108)は、取得されたデータ(ステップ104)を次の方程式(EQN)1の行列(マトリクス)Xの中にフォーマットすることを含む。ただし、行列XはN行(ロー)K列(カラム)である。Kは製造関係変数(例えば、残留ガス分析スペクトルの測定値)の数であり、Nは製造プロセスの出力(例えば、観測値、ウエハの数)の数である。
【0025】
【数1】

【0026】
モデル展開ステップ(ステップ108)は、行列Xのそれぞれの列(カラム)Kに対する平均と標準偏差とを計算することを含む。モデル展開ステップ(ステップ108)は、次に、行列Xのそれぞれの列Kをセンタリング及びスケーリングすることを含む。それぞれの列の平均が、行列Xの対応する列におけるそれぞれのエントリから減算される(センタリング)。行列Xのそれぞれのエントリは、次に、行列Xの対応する列の標準偏差によって除算される。
【0027】
次に、PCA法について述べる。モデルを展開する(ステップ108)際には、次に、主成分分析(PCA)は、元のデータ(元の行列X)の次元の数(K個の変数)を、元のデータの線形結合(元の行列XのK個の変数)である数個の独立変数まで減らす。
【0028】
ある実施例では、次に、モデル展開ステップ(ステップ108)は、次の方程式で与えられる非線形反復部分最小自乗法(NIPALS)を用いて、モデルの主成分と負荷量(loadings)とを決定することを含む。
【0029】
【数2】

【0030】
ここで、Tはスコア行列、Pは負荷量行列、P‘はP行列の転置行列、Eは残留行列である。スコア行列Tは、次の方程式で与えられる。
【0031】
【数3】

【0032】
そして、負荷量行列Pは、次の方程式で与えられる。
【0033】
【数4】

【0034】
ここで、tは第1の主成分であり、pは第1の負荷ベクトルである。第1の主成分(t)は、行列Xの第1のスコア・ベクトルとも称され、製造関係変数の線形結合である。第2の主成分(t)もまた、行列Xの第2のスコア・ベクトルとも称され、製造関係変数の線形結合である。方程式3及び4における添字Aは、モデルを生じるのに用いられる主成分の総数である。
【0035】
次に、NIPALS法は、次の方程式を反復的に用いることを含む。
【0036】
【数5】

【0037】
この方程式においては、tベクトルに対する初期条件が最大の分散(variance)を有する行列X(方程式1)の列に等しいところから開始する。
NIPALS法は、次に、以下のようにpを正規化することを含む。
【0038】
【数6】

【0039】
そして、次の方程式を用いる。
【0040】
【数7】

【0041】
方程式5ないし7の計算は、計算が収束するまで反復される。例えば、ユーザは、この計算は次の条件が成立するときに収束すると(ユーザの経験に基づいて)特定することが可能である。
【0042】
【数8】

【0043】
方程式8では、t1oldは、方程式5ないし7を用いた計算を実行することの前の反復からのtの値である。
次に、残留行列Eが、次の関係を用いて決定される。
【0044】
【数9】

【0045】
次に、残留行列Eは、第2の主成分(t)と第2の負荷ベクトル(p)とを計算するのに、方程式5ないし7における行列Xの代わりに用いられる。方程式5ないし9と関連するステップは、それぞれの追加的な主成分(t)に対して同様に実行される。ここで説明している方法は、多数の主成分を含む応用例に応用可能である。
【0046】
次に、それぞれの観測値(例えば、製造プロセスの出力)に対する主成分係数が、主成分の方程式(方程式3)(tベクトル)を用いて計算される。ユーザは、一般に、主成分係数を用いて、それらの係数と関連するクラスタが存在するかどうかを判断する。A次元の空間においてプロットされたときに相互に近接している主成分係数は、ときには、類似する性質を有することがある(ここで、Aは、モデルを生じるのに用いられる主成分の総数である)。しかし、多くの場合、主成分係数に基づいて類似性や非類似性を識別することは不可能である。その理由は、元の製造関係変数は、すべて、このモデルを展開するのに用いられており、それぞれの変数には同じ重みが与えられているからである(主成分スコアは、その重みが乗じられた変数すべての線形結合である)。従って、製造プロセスの誤った出力を検出するモデルに対して実質的な影響を有する製造関係変数を識別することが必要である。
【0047】
図1を参照すると、ステップ112は、部分最小自乗判別分析(PLSDA)を実行するステップを含む。部分最小自乗判別分析では、製造プロセスの誤った出力を検出するモデルに対して実質的な影響を有する製造関係変数が選択される。
【0048】
次に、PLS及びPLSDA法について述べる。PLS及びPLSDA法は、次の5つの方程式によって示されているように用いられる。
【0049】
【数10】

【0050】
【数11】

【0051】
【数11】

【0052】
【数12】

【0053】
【数13】

【0054】
ここで、YはN個の観測値のM個の特徴と関連するデータを含むM×N行列であり、Bは回帰係数である。なお、次の関係が成り立つ。
【0055】
【数14】

【0056】
M個の特徴は、例えば、それぞれの観測値(例えば、それぞれのウエハ)又はクラス(分類)識別子(例えば、ウエハはフォトレジストを有する、又は、ウエハはフォトレジストを有さない)と関連する特定の計量メトリック値(PRインデクス、すなわち、フォトレジスト汚染の測度)でありうる。例えば、クラス識別子が用いられ、クラス1がフォトレジストを有するウエハを表し、クラス2がフォトレジストを有さないウエハを表すとすると、行列Yは2×N行列であり、行列Yの列1は対応するウエハがその表面にフォトレジストを有する場合には1を有し、対応するウエハがその表面にフォトレジストを有していない場合には0を有する。行列Yの列2は対応するウエハがその表面にフォトレジストを有する場合には0を有し、対応するウエハがその表面にフォトレジストを有していない場合には1を有する。
【0057】
TはXのスコア行列であり、UはYのスコア行列である。WはX重み行列であり、CはY重み行列である。FはYと関連する残留行列である。行列Wは次ように与えられる。
【0058】
【数15】

【0059】
行列Cは次のように与えられる。
【0060】
【数16】

【0061】
上述した場合と同様に、NIPALS法は、次の方程式において用いられる。
【0062】
【数17】

【0063】
ここで、初期条件として、uは行列Yのある列と等しく設定される。そして、ベクトルwは、次のように、単位長さにスケーリングされる。
【0064】
【数18】

【0065】
NIPALSの次のステップは、以下の方程式によって与えられる。
【0066】
【数19】

【0067】
【数20】

【0068】
【数21】

【0069】
ここで、方程式17ないし21は、計算が収束するまで反復される。例えば、ユーザは、次の場合に計算が収束したと特定することができる(ユーザの経験に基づいて)。
【0070】
【数22】

【0071】
ここで、t1oldは、方程式17ないし21を用いてこれまで計算を反復的に実行することから得られるtの値である。
いったん計算が収束すると、Xの負荷量は次の数式から決定される。
【0072】
【数23】

【0073】
そして、残留行列Eが、次の関係から決定される。
【0074】
【数24】

【0075】
残留行列Fは、次の関係から決定される。
【0076】
【数25】

【0077】
次に、在留行列E及びFは、第2の主成分(t)と第2の負荷ベクトル(p)と第2のスコア・ベクトルY(u)と第2のX重みベクトル(w)と第2のY重みベクトル(c)とを計算するのに、方程式17ないし25における行列X及びYの代わりに用いられる。方程式17ないし25と関連するステップは、それぞれの追加的な主成分(t)に対して同様に実行される。ここで説明している方法は、多数の主成分を含む応用例に応用可能である。
【0078】
K個の製造プロセス関係変数の中のどの変数が、製造プロセスの故障条件を検出するモデルに実質的な影響を有するかを判断する際の次のステップ(例えば、製造プロセスによって出力されたウエハ上のフォトレジストの存在)は、W行列とC行列とをプロットすることを含む。2つの特徴(M)がある場合には、C行列は、平面上の座標としてプロットされているそれぞれの特徴に対する2つの値C1及びC2を含む。W行列は、同じ平面の座標としてプロットされているそれぞれの製造関係変数に対して2つの値を含む。
【0079】
このようにして、WとCとの座標値は、相互に重畳される(この重畳関係の概念的な図解は、図2のプロット200に示されている)。ある特徴に近接して平面に位置している製造関係変数座標値(W)は、与えられたウエハが特定の特徴を有しているかどうかを予測することができるモデルに実質的な影響を有する。実質的な製造関係変数に対応するこれらの列(K)だけが、方程式1ないし9を用いるモデルを更新する(図1のステップ140)のに用いられる。更新されたモデルは、製造プロセスの出力の間を区別してどの出力が間違っているか(例えば、フォトレジストを有するウエハ)を識別することができる。
【0080】
次に例を挙げる。例えば、半導体製造プロセスに関して誤ったウエハ(ウエハの表面にフォトレジストを有しているウエハ)を検出する実験が実行される。この実験では、24個のウエハが、製造プロセスによって出力された。24個のウエハについて、19個のウエハ(1、2、4、5、6、8、9、11、12、13、14、16、17、19、20、21、22、23、24)では、ウエハの表面にフォトレジスト材料を有していない。
【0081】
残留ガス分析(RGA)がこれらのウエハについて実行され、ウエハのそれぞれに対して2番目のAMUから80番目のAMUまで(79の異なる実験)からRGAスペクトルを取得する。方程式1が、製造データをフォーマットするのに用いられ、行列XはK=79の列(2番目のAMUから80番目のAMUまでのそれぞれに対する79の観測値)とN=19の行(フォトレジストを有していないすべてのウエハに対応する19個のウエハ)とを有する。上述した場合と同様に、次に、行列Xは、スケーリングされ(行列Xのそれぞれの列の平均が、行列Xの対応する列におけるそれぞれのエントリから減算される)、センタリングされる(行列Xにおけるそれぞれのエントリが、行列Xの対応する列の標準偏差によって除算される)。
【0082】
次に、方程式2ないし9は、行列Xの第1及び第2の主成分(t及びt)を計算するのに用いられた。図3は、方程式2ないし9を用いて計算された19のウエハ(フォトレジストを有していないウエハ)の第1及び第2の主成分座標のプロット300(例えば、SIMCA−P+分析ソフトウェアを用いて得られる)である。プロット300のX軸(304)は、t係数である。プロット300のY軸(308)はt係数である。フォトレジストを有していないそれぞれのウエハは、三角形を用いてプロット300において識別される。プロット300は、また、楕円312を含む。楕円312は、ホテリング(Hotelling)方程式を用いて計算される95%の信頼の輪郭の曲線である。
【0083】
この実験は、また、フォトレジスト・ウエハ(ウエハ3、7、10、15、18)のそれぞれに対する主成分係数の値(t及びt)を計算することを含む。これらの主成分係数は、非フォトレジスト・ウエハに対して開発された方程式に基づいて計算される。図4は、非フォトレジスト・ウエハ(1、2、4、5、6、8、9、11、12、13、14、16、17、19、20、21、22、23、24)だけを用いて開発されたモデルに基づくすべてのウエハ(ウエハ1ないし24)のプロット400である。プロット400のX軸(404)は、t係数である。プロット400のY軸(408)はt係数である。フォトレジストを有していないそれぞれのウエハは、三角形を用いてプロット400において識別される。フォトレジストを有するそれぞれのウエハは、円を用いてプロット400において識別される。プロット400は、また、三角形と円とを取り囲む楕円412を含む。楕円412は、非フォトレジスト・ウエハに基づくホテリング方程式を用いて計算される95%の信頼の輪郭の曲線である。非フォトレジスト・ウエハに基づいて開発されたモデルは、フォトレジストを有するウエハを識別するには不適切である。その理由は、非フォトレジスト・モデルに基づくフォトレジスト・ウエハのそれぞれに対する主成分係数もまた楕円412の内部にあるからである。
【0084】
従って、PLSDA法に関して以上で述べたように、製造プロセスの誤った出力を検出するモデルに対して実質的な影響を有する製造関係変数(製造関係変数2番目のAMUないし80番目のAMUの部分集合)を識別することが必要である。PLSDA法と方程式10ないし25とに関して既に述べた場合と同様に、W*及びC行列は、同一の平面にそれらをプロットすることによって計算され重畳される(図5のプロット500を参照のこと)。プロット500は、三角形として示されている製造関係変数係数(W)を含む。プロット500はまた、フォトレジスト・ウエハ(504)とフォトレジスト・ウエハ(508)との2つの特徴を含む。フォトレジスト・ウエハ・クラス(504)に最も近接るる製造関係変数係数は、このモデルが製造プロセスの誤った出力(フォトレジストを有する)を検出する能力に実質的な影響を有する。質量(Mass)12、質量27、質量45、質量48、質量58、質量64、質量64、質量66、質量72というラベルが付された製造関係変数が、実質的な製造関係変数として選択される。
【0085】
次に、モデルは、方程式1ないし9に従って、実質的な製造関係変数(図1のステップ140)に対応する行列Xの列だけを用いて更新される。主成分係数値(t及びt)は、実質的な製造関係変数(質量12、質量27、質量45、質量48、質量58、質量64、質量64、質量66、質量72)だけに基づいて、非フォトレジスト・ウエハ(ウエハ1、2、4、5、6、8、9、11、12、13、14、16、17、19、20、21、22、23、24)のそれぞれに対して計算された。図6は、非フォトレジスト・ウエハ(ウエハ1、2、4、5、6、8、9、11、12、13、14、16、17、19、20、21、22、23、24)に対する主成分係数616のプロット600である。プロット600のX軸(604)は、t係数である。プロット600のY軸(608)は、t係数である。
【0086】
フォトレジストを有していないそれぞれのウエハは、三角形を用いてプロット600において識別される。フォトレジスト・ウエハは、非フォトレジスト・ウエハに基づくホテリング方程式を用いて計算される95%の信頼の輪郭の曲線によって取り囲まれている。同一のモデルが、フォトレジストを有するウエハ(ウエハ3、7、10、15、18)の主成分係数を計算するのに用いられる。フォトレジストを有するそれぞれのウエハは、円(620)を用いてプロット600において識別される。非フォトレジスト・ウエハに基づいて開発されたモデルは、フォトレジストを有するウエハを識別するには不適切である。その理由は、非フォトレジスト・モデルに基づくフォトレジスト・ウエハのそれぞれに対する主成分係数は、楕円612の外部にあるからである。
【0087】
次に、実質的な影響を有する変数を自動的に識別することについて説明する。図7は、製造プロセスの故障条件を検出する方法の流れ図700である。この方法は、例えば、コンピュータ・プロセッサ又はパーソナル・コンピュータを用いて実装することができる。この実施例では、流れ図700のプロセスは、製造プロセスの複数の出力に対する複数の製造関係変数と関連するデータを取得すること(ステップ104)で開始する。
【0088】
流れ図700における次のステップは、取得されたデータ(ステップ104)に基づいて数学的モデルを展開する(ステップ108)ことを含む。流れ図700の次のステップは、製造関係変数の中のどの変数が製造プロセスの誤った(faulty)出力を検出するモデルに対して実質的な影響を有するかを識別する(ステップ112)ことを含む。流れ図700の次のステップは、ステップ112で識別された製造関係変数を用いてモデルを更新し、このモデルが製造プロセスの誤った出力を検出する能力を向上させることを含む。
【0089】
この実施例では、ステップ716、720、724、728、732及び736は、製造関係変数の中のどの変数が、製造プロセスの誤った(故障を含む)出力を検出するモデルに実質的な影響を有するのかを自動的に識別するのに用いられる。第1及び第2の主成分の負荷量(p及びp)は、先に方程式10ないし25に関して説明した場合と同様にして、導かれる。次に、ステップ112は、次の式によって与えられるように、選択された変数の一次方程式を識別する(ステップ716)ステップを含む(例えば、製造プロセスと関連する故障条件、又は、製造プロセスの出力と関連する計量メトリック値)。
【0090】
【数26】

【0091】
ここで、(C,C)は分類又はY行列変数の座標であり、(W,W)は製造関係変数の座標である。方程式26は、2次元負荷量p及びpの原点と点(C,C)とを接続する直線の方程式である。
【0092】
ステップ112は、次に、同様に、ステップ716の一次方程式と垂直な製造関係変数の一次方程式を識別するステップ(ステップ720)を含む。ステップ112は、次に、すべての製造関係変数の一次方程式(ステップ720の方程式)とステップ716の一次方程式との連立方程式(例えば、線形代数の手法を用いて)を解き(ステップ724)、次の方程式に従って、ステップ716の一次方程式に対するそれぞれの製造関係変数の射影点を取得する。
【0093】
【数27】

【0094】
ここで、(W,Y)は、点(W,W)から直線上への射影点の座標である。
ステップ112は、ステップ724のそれぞれの射影点からモデルと関連する負荷量(ステップ108)の原点までの距離を次の方程式を用いて決定する(ステップ728)を含む。
【0095】
【数28】

【0096】
【数29】

【0097】
ただし、rは原点から点(X,Y)までの絶対距離であり、rは原点から点(C,C)までの絶対距離である。
ステップ112は、次に、原点からそれぞれの射影点(ステップ728)までの距離と選択された変数から原点までの距離との比に基づいて相関係数を計算する(ステップ732)ことを含む。相関係数は次の式で与えられる。
【0098】
【数30】

【0099】
ステップ112は、次に、次の所定の数(β)よりも大きな相関係数を有する製造関係変数を選択することによって、実質的な製造関係変数を識別する(ステップ736)ことを含む。
【0100】
【数31】

【0101】
この所定の数(β)は、様々な方法で選択することができる。例を挙げると、この所定の数は、ユーザの経験に基づいてユーザによって選択される場合がある。次に、上述の場合と同様に、実質的な製造関係変数に対応する行列Xの列(K)だけを用い(図1のステップ140)、方程式1ないし9に従って、モデルの更新が行われる。
【0102】
図8は、製造プロセスの故障条件を検出及び分類する方法の流れ図800である。この方法は、例えば、コンピュータ・プロセッサ又はパーソナル・コンピュータを用いて実装することができる。この実施例では、流れ図800のプロセスは、製造プロセスの複数の出力に対する複数の製造関係変数と関連するデータを取得すること(ステップ104)で開始する。このプロセスは、更に、製造プロセスの出力と関連する計量データ(metrology data)(例えば、故障クラス・データ)を取得する(ステップ804)ことを含む。
【0103】
流れ図800における次のステップは、取得されたデータ(ステップ401)と取得された計量データ(804)に基づいて数学的モデルを展開する(ステップ108)ことを含む。このモデルは、方程式10ないし25に関して既に説明した場合と同様に展開される。ただし、計量データは、Y行列を形成するのに用いられる。ある実施例では、計量データは、PRインデクス(半導体ウエハの表面上のフォトレジスト汚染の量の測度)である。
【0104】
流れ図800の次のステップは、製造関係変数の中のどの変数が製造プロセスの誤った出力を検出するモデルに対して実質的な影響を有するかを識別する(ステップ112)ことを含む。この実施例では、この識別ステップ(ステップ112)は、図7及び方程式26ないし31に関して上述した場合と同じ態様で自動的に実行される。
【0105】
流れ図800の次のステップは、ステップ112において識別された製造関係変数を用いてモデルを更新し、このモデルが製造プロセスの誤った出力を検出する能力を向上させることである。このモデルは、また、製造プロセスの出力に対応する計量メトリックの値を評価することができる。その理由は、ステップ804において取得された計量データはY行列を構築するのに用いられるからである。このようにして、展開されたモデルは、故障を検出し、特定の故障を識別し、製造プロセスの追加的な出力と関連する計量メトリック値を予測することができる。
【0106】
以上で説明した内容の変更、修正及びこれ以外の実装は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、この技術分野の当業者であれば想到することができる。従って、本発明は、以上で行った例示的な発明の詳細な説明によってだけ画定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】図1は、製造プロセスの故障条件を検出する方法の流れ図である。
【図2】製造関係変数の中のどの変数が、モデルが製造プロセスの誤った出力を予測する能力に対して実質的な影響を有するかを識別するのに用いられる方法の図解的表現である。
【図3】製造関係変数のすべてを用いたモデルに基づいて計算された非フォトレジスト・ウエハの主成分係数(t及びt)の図解的表現である。
【図4】製造関係変数のすべてを用いたモデルに基づいて計算された非フォトレジスト・ウエハとフォトレジスト・ウエハとの主成分係数(t及びt)の図解的表現である。
【図5】製造プロセス変数の中のどの変数が、モデルが製造プロセスによって出力された誤ったウエハを検出する能力に対して実質的に影響を有するのかを識別するのに用いられるW*及びC座標の図解的表現である。
【図6】実質的な製造関係変数だけを用いたモデルに基づいたフォトレジスト・ウエハと非フォトレジスト・ウエハとの両方に対する主成分係数(t及びt)の図解的表現である。
【図7】製造関係変数の中のどの変数が、製造プロセスの誤った出力を検出するモデルに対する実質的な影響を有するかを自動的に識別する方法の流れ図である。
【図8】製造プロセスの故障条件を同時に検出及び分類する方法の流れ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造プロセスの故障条件を検出する方法であって、
(a)製造プロセスの複数の出力に対する複数の製造関係変数と関連するデータを取得するステップと、
(b)前記データに基づいて、前記製造プロセスの誤った出力を検出するモデルを展開するステップと、
(c)前記製造関係変数の中のどの変数が、前記モデルに対して実質的な影響を有するのかを識別するステップと、
(d)ステップ(c)において識別された製造関係変数を用いることによって前記モデルを更新し、製造プロセスの誤った出力を検出する前記モデルの能力を強化するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、ステップ(a)、(b)及び(c)は多変量解析の手法を用いるステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法において、ステップ(b)は、非線形反復部分最小自乗法と特異値分解とを用いて前記モデルと関連する主成分と負荷量とを計算するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1記載の方法において、ステップ(c)は、部分最小自乗判別分析法を用いるステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1記載の方法において、ステップ(c)は、数学的アルゴリズムを用いて前記実質的な製造関係変数を自動的に識別するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項5記載の方法において、前記数学的アルゴリズムを用いるステップは、
(i)選択された変数から前記モデルと関連する負荷量の原点までの一次方程式を識別するステップと、
(ii)ステップ(i)の一次方程式と垂直な前記製造関係変数の一次方程式を識別するステップと、
(iii)すべての製造関係変数の一次方程式とステップ(i)の一次方程式との連立方程式を解いて、ステップ(i)の一次方程式の上のそれぞれの製造関係変数の射影点を得るステップと、
(iv)それぞれの射影点から原点までの距離を決定するステップと、
(v)原点からそれぞれの射影点との距離と前記選択された変数から原点までの距離との比に基づいて相関係数を計算するステップと、
(vi)所定の数よりも大きな相関係数を有する製造関係変数を選択することによって、前記実質的な製造関係変数を識別するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項6記載の方法において、前記選択された変数は故障条件又は計量メトリック値であることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項6記載の方法において、前記所定の数はユーザによって選択されることを特徴とする方法。
【請求項9】
製造プロセスの出力と関連する故障のタイプを分類する方法であって、
(a)製造プロセスの複数の出力に対する複数の製造関係変数と関連するデータを取得するステップと、
(b)前記製造プロセスの出力と関連する計量メトリックと関連する計量データを取得するステップと、
(c)前記データと前記計量データとに基づいてモデルを展開して前記製造プロセスの出力における誤りを識別するステップであって、前記モデルは、前記複数の製造変数と関連するデータに基づいて前記製造プロセスの他の出力と関連する計量メトリックを予測することができる、ステップと、
(d)前記製造関係変数の中のどの変数が、前記モデルに対して実質的な影響を有するのかを識別するステップと、
(e)ステップ(d)において識別された製造関係変数を用いることによって前記モデルを更新し、前記製造プロセスの他の出力と関連する計量メトリックを予測するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項9記載の方法において、ステップ(c)、(d)及び(e)は多変量解析の手法を用いるステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項9記載の方法において、ステップ(c)は、非線形反復部分最小自乗法と特異値分解とを用いて前記モデルと関連する主成分と負荷量とを計算するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項9記載の方法において、ステップ(c)は、部分最小自乗法を用いるステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項9記載の方法において、ステップ(d)は、数学的アルゴリズムを用いて前記製造関係変数を自動的に識別するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項9記載の方法において、ステップ(b)ないし(e)は反復され、異なる計量メトリックのための方法を生じることを特徴とする方法。
【請求項15】
製造プロセスの出力と関連する故障条件を同時に検出及び分類する方法であって、
(a)製造プロセスの複数の出力に対する複数の製造関係変数と関連するデータを取得するステップと、
(b)前記製造プロセスの出力と関連する故障分類データを取得するステップと、
(c)前記データと前記故障分類データとに基づいてモデルを展開し、前記製造プロセスの誤った出力を検出するステップと、
(d)前記製造関係変数の中のどの変数が、前記モデルに対して実質的な影響を有するのかを識別するステップと、
(e)ステップ(d)において識別された製造関係変数を用いることによって前記モデルを更新し、前記製造プロセスの誤った出力の特定の故障分類を検出するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項15記載の方法において、ステップ(b)ないし(e)は反復され、異なる故障分類のためのモデルを生じることを特徴とする方法。
【請求項17】
製造プロセスの故障条件を同時に検出及び分類するシステムであって、
(a)製造プロセスの複数の出力に対する複数の製造関係変数と関連するデータを取得する手段と、
(b)前記製造プロセスの出力と関連する故障分類データを取得する手段と、
(c)前記データと前記故障分類データとに基づいてモデルを展開し、前記製造プロセスの誤った出力を検出する手段と、
(d)前記製造関係変数の中のどの変数が、前記製造プロセスの誤った出力の特定の故障分類を検出する前記モデルに対して実質的な影響を有するのかを識別する手段と、
(e)手段(d)において識別された製造関係変数を用いることによって前記モデルを更新し、前記製造プロセスの誤った出力の特定の故障分類を検出するステップと、
を含むことを特徴とするシステム。
【請求項18】
請求項17記載のシステムにおいて、ステップ(c)ないし(e)は数学的アルゴリズムを用いて自動的に実行されることを特徴とするシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−514015(P2008−514015A)
【公表日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−532579(P2007−532579)
【出願日】平成17年9月16日(2005.9.16)
【国際出願番号】PCT/US2005/033454
【国際公開番号】WO2006/034179
【国際公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(592053963)エム ケー エス インストルメンツ インコーポレーテッド (114)
【氏名又は名称原語表記】MKS INSTRUMENTS,INCORPORATED