説明

半導体装置、及び半導体装置の製造方法

【課題】配線とはんだバンプとの接合強度の低下を抑制し、かつ配線と半導体チップとの接合強度の低下を抑制する。
【解決手段】開口部80を有する配線基板100上に設けられた配線110と、配線110の一部であり、配線基板100上に位置するランド部112、及び配線基板100上から開口部80内に延伸するリード部114と、ランド部112に形成されるはんだバンプ50と、平面視で開口部80の内側に位置し、リード部114と接続する半導体チップ10と、を備え、配線110は、Cuを含む材料により構成され、ランド部112のうちはんだバンプ50が形成される面上には、Niめっき層が形成され、リード部114のうち半導体チップ10と接続する面上、及び側面上にはNiめっき層が形成されておらず、ランド部112のうちはんだバンプ50が形成される面上、及びリード部114には、Auめっき層が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープBGA型の半導体装置、及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体パッケージの多ピン化、高密度化を向上させるため、BGA(Ball Grid Array)パッケージが開発された。このBGAパッケージの一例として、配線基板に絶縁テープを用いるテープBGAパッケージがある。テープBGAパッケージは、配線基板上の配線パターンをファインに形成できるという特徴を有する。
【0003】
テープBGAパッケージに関する技術として、特許文献1に記載のものがある。特許文献1では、配線をAuめっきCu箔により形成する技術が開示されている。これによりCu配線が腐食、酸化することを防ぐことができると記載されている。また配線上にNiめっき層を介してAuめっき層を形成する技術も開示されている。これにより、配線を構成するCuがAuめっき層に拡散して、配線と半導体チップ及びはんだバンプとの接合強度が劣化することを抑制できると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−322948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
テープBGAパッケージ等において、配線基板には半導体チップを配置するための開口部が設けられていることがある。この場合、配線基板上に設けられた配線のうち、配線基板上に位置する部分(ランド部)においてはんだバンプが形成され、配線基板上から開口部内へ延伸している部分(リード部)において半導体チップと接続する。ランド部では、配線を構成するCuとはんだを構成するSnにより、機械的に脆い化合物が生じる場合がある。この場合、配線とはんだバンプとの接合強度の低下が生じる。これを抑制するために、配線上にNiめっき層を形成することが考えられる。一方で、配線上にNiめっき層を形成すると、リード部の塑性変形は困難となる。この場合、配線と半導体チップとの接合強度は低下する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、開口部を有する配線基板と、
前記配線基板上に設けられた配線と、
前記配線の一部であり、前記配線基板上に位置する複数のランド部と、
前記配線の一部であり、前記配線基板上から前記開口部内に延伸する複数のリード部と、
前記ランド部に形成されるはんだバンプと、
平面視で前記開口部の内側に位置し、前記リード部と接続する半導体チップと、
を備え、
前記配線は、Cuを含む材料により構成されており、
前記ランド部のうち前記はんだバンプが形成される面上には、Niめっき層が形成されており、
前記リード部のうち前記半導体チップと接続する面上、及び側面上にはNiめっき層が形成されておらず、
前記ランド部のうち前記はんだバンプが形成される前記面上、及び前記リード部には、Auめっき層が形成されている半導体装置が提供される。
【0007】
本発明によれば、ランド部のうちはんだバンプが形成される面上には、Niめっき層が形成されている。このため配線を構成するCuとはんだバンプを構成するSnにより、機械的に脆い化合物が生じることを抑制できる。よって配線とはんだバンプとの接合強度の低下を抑制できる。また、リード部のうち半導体チップと接続する面上、及び側面上にはNiめっき層が形成されていない。このためリード部の塑性変形は容易となる。従って、配線と半導体チップとの接合強度の低下を抑制できる。
【0008】
本発明によれば、開口部を有する配線基板上にCu配線を形成する工程と、前記Cu配線にNiめっき層を形成する工程と、前記開口部上に位置する前記Cu配線のうち前記配線基板側の面、及び側面に形成されたNiめっき層を除去する工程と、前記Cu配線上にAuめっき層を形成する工程と、前記開口部上に位置する前記Cu配線のうち前記配線基板側の面に半導体チップを接続する工程と、前記配線基板上に位置する前記Cu配線上にはんだボールを形成する工程と、を備える半導体装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、配線とはんだバンプとの接合強度の低下を抑制し、かつ配線と半導体チップとの接合強度の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【図2】図1に示す半導体装置を構成するランド部を示す断面図である。
【図3】図1に示す半導体装置を構成するリード部を示す断面図である。
【図4】第2の実施形態に係る半導体装置を構成するリード部を示す断面図である。
【図5】比較例に係る半導体装置を構成するリード部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0012】
図1は、第1の実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。半導体装置は、配線基板100と、配線110と、配線110の一部である複数のランド部112と、配線110の一部である複数のリード部114と、はんだバンプ50と、半導体チップ10とを備えている。配線基板100は、開口部80を有している。配線110は、Cuを含む材料により構成される。ランド部112は、配線基板100上に位置している。リード部114は、配線基板100上から開口部80内に延伸している。はんだバンプ50は、ランド部112上に形成されている。半導体チップ10は、平面視で開口部80の内側に位置し、リード部114と接続している。半導体装置は、テープBGA型半導体装置を構成する。
【0013】
図2は、図1に示す半導体装置を構成するランド部112を示す断面図である。図2は、図1におけるA−A'断面を示している。ランド部112のうち、はんだバンプ50を形成する面上にはNiめっき層134、Auめっき層132がこの順に形成されている。図3は、図1に示す半導体装置を構成するリード部114を示す断面図である。図3は、図1におけるB−B'断面を示している。リード部114のうち、半導体チップ10と接続する面上、及び側面上にはNiめっき層134は形成されていない。またリード部114にはAuめっき層132が形成されている。以下図1〜図3を用いて、半導体装置の構成について詳細に説明する。
【0014】
図1に示すように、配線基板100には、スティフナー40を介してリッド20が取り付けられている。配線基板100とスティフナー40は、接着剤32により固定されている。またスティフナー40とリッド20は、接着剤30により固定されている。配線基板100は、絶縁フィルムを使用したTAB(Tape Automated Bonding)テープにより構成されている。絶縁フィルムは、例えばポリイミドフィルム等である。そして絶縁フィルム上に、金属パターンとしての配線110が形成されている。
【0015】
配線基板100上、及び配線110上には、ソルダーレジスト120が設けられている。ソルダーレジスト120は、ランド部112上において開口部85を有している。そして開口部85において、ランド部112と接続するはんだバンプ50が形成される。はんだバンプ50は、Snを含んでいる。またはんだバンプ50は、例えば球状を有する。
【0016】
半導体チップ10との接続面と高さが異なっているリード部114は、開口部80内において、半導体チップ10と接続するように半導体チップ10に向けて折れ曲がっている。半導体チップ10は、外部端子(図示せず)を介してリード部114の配線基板100側の面と接続している。また半導体チップ10は、樹脂70により被覆され、樹脂70を介して配線基板100に固定されている。さらに半導体チップ10は、放熱ペースト60を介してリッド20と接触している。そして図3に示すように、リード部114の半導体チップ10と接続する面とは反対側の面には、Niめっき層134が形成されている。
【0017】
次に、半導体装置の製造方法について説明する。まず図1に示すように、配線基板100に開口部80を、金型等により形成する。次に配線基板100の一面に、Cu箔をラミネートする。そしてCu箔の表面上にレジストを塗布する。また開口部80内であって、Cu箔の裏面上に、裏止め用のレジストを塗布する。
【0018】
次いで、Cu箔の表面上に形成したレジストを露光、現像することによりレジストパターンを形成する。そしてこのレジストパターンをマスクとして、Cu箔をエッチングする。これによりランド部112、及びリード部114を構成する配線110が形成される。次に配線110上のレジストパターンを除去する。また開口部80内の裏止め用のレジストを除去する。そして配線基板100上、及びランド部112上に、ソルダーレジスト120を塗布する。ソルダーレジスト120を露光、現像し、開口部85を形成する。
【0019】
次いで図2に示すように、Niめっき層134を配線110上に形成する。Niめっき層134は、例えば電界めっき法により形成される。次にランド部112上、及びリード部114の配線基板100とは反対側の面上にレジストを塗布する。このレジストを露光、現像することによりレジストパターンを形成する。そしてこのレジストパターンをマスクとしてNiめっき層134をエッチングする。これによりリード部114の配線基板100側の面上、及び側面上のNiめっき層134が除去される。そしてレジストパターンを除去した後、Auめっき層132を配線110上に形成する。Auめっき層132は、例えば電界めっき法により形成される。
【0020】
次いで、半導体チップ10の外部端子と、リード部114の配線基板100側の面が接続するように、半導体チップ10を配線基板100に実装する。半導体チップ10とリード部114の接続は、例えば超音波接合によって行われる。次に配線基板100に、接着剤32によりスティフナー40を固定する。そして半導体チップ10のリード部114と接続している面、及び側面とリード部114を、樹脂70により被覆する。また半導体チップ10のリード部114と接続している面とは反対側の面に放熱ペースト60を塗布する。さらにスティフナー40上に接着剤30を塗布する。そして放熱ペースト60、及び接着剤30を介して、半導体チップ10、及びスティフナー40上にリッド20を形成する。次いで、ランド部112上にはんだバンプ50を形成する。これにより半導体装置が形成される。
【0021】
次に、本実施形態の効果を説明する。図5は、比較例に係る半導体装置を構成する配線を示す断面図である。比較例に係る半導体装置を構成するリード部114は、全面にNiめっき層134、及びAuめっき層132が形成されている。このためリード部114は、塑性変形することが困難となる。よって、配線110と半導体チップ10との接合強度の低下を抑制することができない。
【0022】
これに対し本実施形態では、リード部114のうち半導体チップ10と接続する面上、及び側面上にはNiめっき層134が形成されていない。このためリード部114の塑性変形は容易となる。よって配線と半導体チップとの接合強度の低下を抑制できる。またランド部112のうちはんだバンプ50が形成される面上には、Niめっき層134が形成されている。このため配線110を構成するCuとはんだバンプ50を構成するSnにより、機械的に脆い化合物が生じることを抑制できる。従って、配線とはんだバンプとの接合強度の低下を抑制できる。
【0023】
また本実施形態では、ランド部112のうちはんだバンプ50が形成される面上、及びリード部114に、Auめっき層132が形成されている。よって配線が腐食、酸化することを防ぐことができる。
【0024】
図4は、第2の実施形態に係る半導体装置を構成するリード部114を示す断面図であり、第1の実施形態における図3に対応している。本実施形態における半導体装置は、配線110の構成を除いて、第1の実施形態に係る半導体装置と同様である。また本実施形態に係る配線110は、リード部114の全面においてNiめっき層134が形成されていないことを除いて、第1の実施形態に係る配線110と同様である。
【0025】
本実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する。まず配線基板100に開口部80を形成し、配線基板100上に配線110を形成する。そして配線110上にソルダーレジスト120を塗布し、開口部85を形成する。これらの工程は、第1の実施形態と同様である。
【0026】
次いで、リード部114の全面に、レジストを塗布する。そしてNiめっき層134を配線110上に形成する。その後リード部114に形成したレジストを除去する。
【0027】
次に、配線110上にAuめっき層132を形成する。そして、半導体チップ10を配線基板100に実装する。次いで配線基板100にスティフナー40を固定する。また半導体チップ10を樹脂70により被覆する。そしてスティフナー40、及び半導体チップ10をリッド20に固定し、半導体装置が形成される。これらの工程は、第1の実施形態と同様である。
【0028】
本実施形態においても、第1の実施形態と同様の効果が得られる。またリード部114は、全面においてNiめっき層134が形成されていない。このためリード部114の塑性変形はさらに容易となる。よって配線と半導体チップとの接合強度の低下をさらに抑制できる。
【0029】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0030】
10 半導体チップ
20 リッド
30 接着剤
32 接着剤
40 スティフナー
50 はんだバンプ
60 放熱ペースト
70 樹脂
80 開口部
85 開口部
100 配線基板
110 配線
112 ランド部
114 リード部
120 ソルダーレジスト
132 Auめっき層
134 Niめっき層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する配線基板と、
前記配線基板上に設けられた配線と、
前記配線の一部であり、前記配線基板上に位置する複数のランド部と、
前記配線の一部であり、前記配線基板上から前記開口部内に延伸する複数のリード部と、
前記ランド部に形成されるはんだバンプと、
平面視で前記開口部の内側に位置し、前記リード部と接続する半導体チップと、
を備え、
前記配線は、Cuを含む材料により構成されており、
前記ランド部のうち前記はんだバンプが形成される面上には、Niめっき層が形成されており、
前記リード部のうち前記半導体チップと接続する面上、及び側面上にはNiめっき層が形成されておらず、
前記ランド部のうち前記はんだバンプが形成される前記面上、及び前記リード部には、Auめっき層が形成されている半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記リード部のうち前記半導体チップと接続する前記面と反対の面上には、Niめっき層が形成されている半導体装置。
【請求項3】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記リード部のうち前記半導体チップと接続する前記面と反対の面上には、Niめっき層が形成されていない半導体装置。
【請求項4】
請求項1ないし3いずれか1項に記載の半導体装置において、
前記配線基板は、TABテープを切断することにより形成されている半導体装置。
【請求項5】
開口部を有する配線基板上にCu配線を形成する工程と、
前記Cu配線にNiめっき層を形成する工程と、
前記開口部上に位置する前記Cu配線のうち前記配線基板側の面、及び側面に形成されたNiめっき層を除去する工程と、
前記Cu配線上にAuめっき層を形成する工程と、
前記開口部上に位置する前記Cu配線のうち前記配線基板側の面に半導体チップを接続する工程と、
前記配線基板上に位置する前記Cu配線上にはんだボールを形成する工程と、
を備える半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−258719(P2011−258719A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−131427(P2010−131427)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】