単糖の構造式に対応させたサイコロ一式
【課題】 単糖構造式の学習用教材となるサイコロの提供。
【解決手段】 1から6個のピップにより表した1から6の数のそれぞれを各面に表し、向かい合う面のピップの和が7となるように配置した正6面体からなるサイコロであって、2、3および6を表す面のピップの配列としてそれぞれ異なる2種を用意し、これらを組み合わせることのより形成された8種の異なるサイコロと、これらの8種のサイコロと鏡像関係にある8種のサイコロとを組とすることを特徴とする一組のサイコロ。上記サイコロの2、3および6に対応する面が、2を表す面では2個のピップを面の2本の対角線に沿って配置した異なる2面、3を表す面では3個のピップを面の2本の対角線に沿って配置した異なる2面、および6を表す面では3個のピップを縦2列、または横2列に配置した異なる2面からなる一組のサイコロ。上記16種の異なるサイコロのそれぞれを、16種の単糖類に対応させて表現した一組のサイコロ。
【解決手段】 1から6個のピップにより表した1から6の数のそれぞれを各面に表し、向かい合う面のピップの和が7となるように配置した正6面体からなるサイコロであって、2、3および6を表す面のピップの配列としてそれぞれ異なる2種を用意し、これらを組み合わせることのより形成された8種の異なるサイコロと、これらの8種のサイコロと鏡像関係にある8種のサイコロとを組とすることを特徴とする一組のサイコロ。上記サイコロの2、3および6に対応する面が、2を表す面では2個のピップを面の2本の対角線に沿って配置した異なる2面、3を表す面では3個のピップを面の2本の対角線に沿って配置した異なる2面、および6を表す面では3個のピップを縦2列、または横2列に配置した異なる2面からなる一組のサイコロ。上記16種の異なるサイコロのそれぞれを、16種の単糖類に対応させて表現した一組のサイコロ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイコロに関し、特に、アルドースおよびケトースの総数24の単糖について、単糖とサイコロの構造を対応させた単糖の構造式の学習用教材等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来正規とされるサイコロの目の打ち方は、一天地六南三北四西二東五[イッテンチロク ナンザンホクシ サイニトウゴ]と決まっていると言われている。すなわち(1)標準的なサイコロは向かい合う目の和が7であり、(2)1,2,3の目が、共有する頂点のまわりに反時計まわりにならんでいる。標準的なサイコロサイコロをイメージする場合には、法則(1)から、数字「1」の対面の数字は「6」で、数字「2」の対面の数字は「5」、数字「3」の対面の数字は「4」に定まる。また法則(2)から、数字「1」→数字「2」→数字「3」と左回りに数字が配列されている。したがって、法則(1)(2)を満たすサイコロは唯一つに数字の配列が定まることとなる。
【0003】
しかしながら、サイコロは、ゲームの補助手段として、またサイコロ自体がゲームなど遊具としての使用は多岐に亘っている。そういったなかで、上記のような正規のサイコロ以外のさまざまなサイコロが作成され使用されてきた。例えば、6面の従来のサイコロを、球体または正六角形を基にした同一の正円域あるいは同一の正方形を10面有するサイコロ(特許文献1)、サイコロを振ったときに、サイコロの各面に表示される数字が表に出る確率を数字ごとに変えることができるサイコロ(特許文献2)、ゲームに使用するサイコロをその場できわめて容易に作成することができると共に、複数の采の目から選択して着設しゲームの内容にあったサイコロ(特許文献3)などが提案されている。
【0004】
サイコロは、遊具として使用するばかりか、学習手段、パズルなどにより頭脳を訓練するための一手段としても広く利用されている。例えば、ゲーム感覚で四則演算などを学習することができ、幼児や老人の知的能力訓練器具としても使用できるサイコロ型の学習装置(特許文献4)、足し算、引き算、掛け算、割り算に使用できるだけでなく、微分や積分の計算にも利用できる計算用サイコロおよび計算用サイコロセットとして、12面体以上の立体形状のサイコロの一つの面に無限大を示す文字又は模様を表示し、他の一つの面にゼロを示す文字又は模様を表示し、残りの各面に1から10及び必要に応じて11以上の整数を示す文字又は模様をそれぞれ一つづつ表示している計算用サイコロ(特許文献5)、 正規のさいころ二個と、幾つかの面に加減乗除の符号及び等号を描いた擬さいころを、都合七個、計算可能であるように積み上げたさいころ及び擬さいころを用いた計算パズル玩具(特許文献6)を例示することができる。
【0005】
さらに実用面を重視したサイコロとしては、6つの基礎食品から栄養素をバランス良く摂取しているか、また、生活(栄養環境)のバランスが適正であるかを遊びながら自己診断できるようにした正六面体の各稜部に相当する部分に面取部が設けられた形状のサイコロであって、サイコロの目が表示された各面に、6つの基礎食品に関する絵と文字、さらに栄養環境を表す文字を表示し、6つの面のうち栄養素が共通する各2つの面どうしの地の色を同色とし、且つ面取部の複数に健康に関する標語等の文字を表示し、所定の採点法により毎日の食事のバランスと生活のバランスとを自己採点できるようにしたサイコロが提案されている(特許文献7)。
【0006】
一方、発明者の何森健は、4炭糖、5炭糖、6炭糖についてのイズモリング(Izumoring)連携図を特許文献8で公表しその有用性を示している。すなわち、図27で示される生産過程と分子構造(D型、L型)により、炭素数4から6の単糖全てをつないだ連携図が、イズモリング(Izumoring)の全体図である。すなわち、図27から理解できることは、単糖は、炭素数4、5、6全てがつながっているということである。全体図は、イズモリングC6の中でのつながりと、イズモリングC5の中でのつながりと、イズモリングC4の中でのつながりと、C4、C5、C6が全てつながっていることである。この考え方は重要である。炭素数を減少させるには主に発酵法を用いる。炭素数の異なる単糖全てをつなぐという大きな連携図であることも特徴である。炭素数が6つの単糖(ヘキソース)のイズモリングは、図27の下段および図28、さらに図31に示すように、炭素数が6つの単糖(ヘキソース)は全部で34種類あり、アルドースが16種類、ケトースが8種類、糖アルコールが10種類ある。
【0007】
希少糖とは自然界に希にしか存在しない単糖(アルドース、ケトース)およびその誘導体(糖アルコール)と定義づけることができる。この定義は糖の構造や性質による定義ではないため、あいまいである。すなわち、一定量以下の存在量を希少糖というなどの量の定義はなされていないためである。しかし、一般に自然界に多量に存在するアルドースとしてはD- グルコース、D- ガラクトース、D- マンノース、D- リボース、D- キシロース、L- アラビノースの6種類あり、それ以外のアルドースは希少糖と定義される。ケトースとしては、D- フラクトースが存在しており、他のケトースは希少糖といえる。他のケトースとして、D- プシコース、D- タガトース、D- ソルボース、L- フラクトース、L- プシコース、L- タガトース、L- ソルボースが挙げられる。また糖アルコールは単糖を還元してできるが、自然界にはD- ソルビトールが比較的多いがそれ以外のものは量的には少ないので、これらも希少糖といえる。
【0008】
これらの糖は、酸化還元酵素の反応、アルドース異性化酵素の反応、アルドース還元酵素の反応で変換できることは、本発明者らの研究を含めた研究で知られている。D- グルコース(ブドウ糖)やD- フラクトースは自然界に多量に存在する糖であり安価であるが、これらから希少糖を合成することができなかった。ところが、新規な酵素が発見された。それはガラクチトールからD- タガトースを合成する酵素を持つ菌の培養液中に、全く予期しなかったD- ソルボースが発見されたことに端を発する。その原因を調べた結果、この菌がD- タガトース3エピメラーゼ(DTE)という酵素を産生していることを発見した(特許文献9)。このDTEはこれまでつながらなかったD- タガトースとD- ソルボースの間をつなぐ酵素であることがわかる。そしてさらに驚くことに、このDTEは全てのケトースの3位をエピ化する酵素であり、これまで合成接続できなかったD- フラクトースとD- プシコース、L- ソルボースとL- タガトース、D- タガトースとD- ソルボース、L- プシコースとL- フラクトース、に作用するという非常に幅広い基質特異性を有する、すなわち非常に幅広く基質を選択できるというユニークな酵素であることが分かった。このDTEの発見によって、すべての単糖がリング状につながり、単糖の知識の構造化が完成し、イズモリング(Izumoring)と名付けた。
【0009】
この図28をよく見てみると、左側にL型、右側にD型、真ん中にDL型があり、しかもリングの中央(星印)を中心としてL型とD型が点対称になっていることもわかる。例えば、D- グルコースとL- グルコースは、中央の点を基準として点対称になっている。しかもイズモリング(Izumoring)の価値は、全ての単糖の生産の設計図にもなっていることである。先の例で、D- グルコースを出発点としてL- グルコースを生産しようと思えば、D- グルコースを異性化→エピ化→還元→酸化→エピ化→異性化するとL- グルコースが作れることを示している。
炭素数が6つの単糖(ヘキソース)のイズモリング(Izumoring)を使って、自然界に多量に存在する糖と微量にしか存在しない希少糖との関係が示されている。D- グルコース、D- フラクトース、D- マンノースと、牛乳中の乳糖から生産できるD- ガラクトースは、自然界に多く存在し、それ以外のものは微量にしか存在しない希少糖と分類される。DTEの発見によって、D- グルコースからD- フラクトース、D- プシコースを製造し、さらにD- アロース、アリトール、D- タリトールを製造することができるようになった。希少糖D- プシコースは、これまで入手自体が困難であったが、自然界に多量に存在する単糖から希少糖を大量生産する方法が開発されつつあり、その技術を利用して製造することができる。
炭素数が6つの単糖(ヘキソース)のイズモリング(Izumoring)の意義をまとめると、生産過程と分子構造(D型、L型)により、すべての単糖が構造的に整理され(知識の構造化)、単糖の全体像が把握できること、研究の効果的、効率的なアプローチが選択できること、最適な生産経路が設計できること、欠落部分について予見できること、が挙げられる。
【0010】
炭素数が5つの単糖(ペントース)のイズモリングは、図27の中段および図29に示すように、炭素数6のイズモリングよりも小さいリングである。しかし、C6のイズモリングと同じようにアルドース8個、ケトース4個および糖アルコール4個全てを含むことに変わりは無く、全てが酵素反応で結ばれる。異なる点は、酸化還元反応、異性化反応のみでリング状に全てが連結できることである。一方、DTEを用いることによって、さらに効率のよい生産経路が設計できることがわかる。炭素数5のイズモリングの特徴は、特に図6から明らかなように、炭素数6のイズモリングが点対象に全単糖が配置されているのに対し、左右が対象に配置されていることが大きな特徴である。これら全ペントースは、酵素反応により連結されていることから、炭素数6のイズモリングの場合と全く同様に、すべてのペントースが構造的に整理され(知識の構造化)、全体像が把握できること、研究の効果的、効率的なアプローチが選択できること、最適な生産経路が設計できること、欠落部分について予見できる意義を持っている。
【0011】
炭素数が4つの単糖(テトロース)のイズモリングは、図27の上段および図30に示すように、テトロースの構造上の特性のため、リングが完成しないという特徴がある。炭素数5のイズモリング上部半分の構造を持っている。このリングの場合も、炭素数5,6の場合と同様の酸化還元および異性化反応によって連結されている。DTEが炭素数4のケトースに反応しないため、ケトース間の反応は現在のところ存在しない。しかし、新規のエピメラーゼの存在が予測され、この研究は現在研究途上である。
全体の配置は、炭素数5と同様に左右対称であり、アルドース4個、ケトース2個および糖アルコール3個全てを含んでいる。すなわち炭素数5,6のイズモリングと同様の意義が存在する。
【0012】
イズモリングC6のD- グルコースは、イズモリングC5のD- アラビトールおよびイズモリングC4のエリスリトールとつながっている。この線は、発酵法によってD- グルコースからD- アラビトールおよびエリスリトールを生産できることを示している。すなわち、イズモリングC6、イズモリングC5およびイズモリングC4は連結されている。この連結は、炭素数の減少という主に発酵法による反応であり、このD- アラビトールおよびエリスリトールへの転換反応の二つ以外の発酵法によるイズモリングC6とイズモリングC5,C4との連結は可能である。例えばD- グルコースからD- リボースの生産も可能である。
このように、3つのイズモリングにより全ての炭素数4、5、6の単糖(アルドース、ケトース、糖アルコール)が連結されたことで、それぞれの単糖が全単糖の中でその存在場所を明確に確認できる。最も有名なキシリトールは、未利用資源の木質から生産できるD- キシロースを還元することで容易に生産できることを明確に確認できる。
もしも特定の単糖が生物反応によって多量に得られた場合には、それを原料とした新たな単糖への変換の可能性が容易に見いだすことが可能である。すなわち、この全体像から全ての単糖の原料としての位置を確実につかむことができるため、有用な利用法を設計することができる。特に廃棄物や副産物から単糖が得られた場合の利用方法を容易に推定できるのである。
【0013】
単糖類を還元すると、アルデヒド基およびケトン基はアルコール基となり、炭素原子が同数の多価アルコール、すなわち糖アルコールとなる。還元糖は食品等の分野で有用なものが多く、例えばL- アラビノースは、五炭糖で、蔗糖に近い味質を持ち、難吸収性のノンカロリーな糖質である。また蔗糖やマルトースなどの二糖が体内に吸収される際に作用する二糖水解酵素を阻害することが知られており、ダイエット用甘味料や糖尿病患者用甘味料としての利用が期待されている。また、L- アラビノースは医薬品の合成原料としても有用な糖である。
還元糖を取得する場合、その由来を天然物に求めることが行われている。例えば、L- アラビノースを取得する手段として、最近では、コーンファイバーやアラビアガム、ビートパルプなどに酵素や酸を作用させるL- アラビノースの製造法が開発されている。原料となるアラビナン、アラビノキシラン、アラビノガラクタン等の粗繊維はペクチン質や不要な粗繊維等と混在して存在する場合が多く、これらを酵素分解や酸加水分解処理することによって得られる溶液の中にはL- アラビノース等の還元糖の他に、ペクチン質や粗繊維、またこれらの分解物が混在している。L- アラビノースを精製する方法に関しては、L- アラビノース含有糖液中のキシロースおよびオリゴ糖と目的のL- アラビノースをイオン交換樹脂によるクロマトグラフィーで分画する方法や、多糖、オリゴ糖や塩類との分離を目的としたイオン交換樹脂によるクロマトグラフィー、膜処理等が提案されている。
一方、単糖のデオキシ体については、有効な製造法および物質として認知されているものが少なく、製造法についての確立が第一に要望されている。
【0014】
近年指摘されてきている高校生の科学離れに対応し、日本の最先端の科学技術に触れ、多くの実験体験を通じて科学への興味・関心を高めることをねらいとして種々の企画がなされているが、イズモリング(Izumoring)の全体図である生産過程と分子構造(D型、L型)により、炭素数4から6の単糖全てをつないだ連携図の理解のための教材は存在しない。
従来、化学教材で用いられているものとして、例えば分子模型が挙げられる。この分子模型には数種の種類があり、その1つは球−棒状の分子模型である。これは、適当な大きさの複数の球に、原子価角に合わせて連結孔をあけ、球の中心間の距離が原子間距離に対応するように棒の両端を上記の連結孔に挿し込んで、各球を連結したものである。他の1つは空間充填模型またはスチュアート型模型と称されている模型である。これは、分子を構成する原子のフアン・デル・ワールス半径に相当する部品を、結合半径および原子価角に合うように結合したものである。
改良した分子模型としては、例えば、プラトンの正多面体の角を切り落した、14面体、20面体、26面体、32面体、球などの多面体をその原子表現体とすることにより、原子や分子の軌道概念に立脚した標準的な原子価角を使用して、分かり易く簡潔にし、かつ対称性の高い多面体を使用したことにより、分子の持つ対称性を見てわかり易いものとした。また、2種の球−棒状模型および空間充填型模型の対応関係が容易に理解でき、分子構造に関する種々の事項が一度に学習できる分子模型が提言されている(特許文献10)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2000−93642号公報
【特許文献2】特開2000−14922号公報
【特許文献3】特開2003−47762号公報
【特許文献4】特開2006−350261号公報
【特許文献5】特開2006-230629号公報
【特許文献6】実開平6-57391号公報
【特許文献7】実開平6-39074号公報
【特許文献8】再表2004/063369号公報
【特許文献9】特許3333969号公報
【特許文献10】特開2004−233900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
化学式とは、化学物質を元素の構成で表現する表記法である。分子からなる物質を表す化学式を分子式、イオン物質を表す化学式をイオン式と呼ぶことがある。時として化学式と呼ぶべき場面においても、分子式と言い回される場合も多いので注意が必要である。化学式が利用される場面としては、物質の属性情報としてそれに関連付けて利用される場合と、化学反応式の一部として物質を表すために利用される場合とがある。
分子式は同一だが構造が異なる分子、またはそのような分子からなる化合物を異性体と呼ぶ。分子A1と分子A2が同一分子式で構造が異なる場合、A1はA2の異性体であり、A2はA1の異性体である。また同一分子式の一群の化合物をAと総称した場合、A1もA2もAの異性体である。「L-グルコースはL-アロースの異性体である」というのが前者の使い方であり、「L-グルコースの構造異性体は24種類ある」というのが後者の使い方である。
【0017】
化学物質の立体的な構造は、その物性に極めて大きな影響を及ぼす。そのため、異性体を学習する際には、立体的な構造を把握することが必要である。特許文献7に示されているものは、分子構造を示すための分子模型の教材であり、異性体を学習するための教材は、発明者の知る限りにおいては存在しなかった。炭素数が6つの単糖(ヘキソース)は全部で34種類あり、アルドースが16種類、ケトースが8種類、糖アルコールが10種類ある。
物質の構造を示すための化学式を構造式とよぶ。通常は平面上に構造のトポロジー的な関係だけを維持して表現されるので、構造式は実際の構造を写実的に写したものではない点に注意が必要である。通常、構造式は二次元に展開された図表として表現されるが、特に結合を表す線分を使わずに、分岐部分を基として括弧で括って一連ながりの文字列で表した構造式は示性式と呼ばれる。
構造式を示すには次に示す2つの方法がある。
(1)個々の原子の間を化学結合を表す、一重線(単結合)、二重線(二重結合)あるいは三重線(三重結合)で連結して分子構造を表す方法。
(2)特性基や基を連結して分子構造を表す方法。
これらの一方ないしは両方を使って構造式は表される。言い換えると示性式は後者の方法のみを使用し、基を組み立てて作成される。
もともと構造式は透視図法のような立体を平面に射影した図表ではなく、トポロジー的な情報、すなわち個々の原子と連結した原子との相対的な位置関係以外は図表に表現され得ないが、立体的な構造を把握することへの近道である。なお、種々の立体表示方法と投影法が考案されている。
【0018】
単糖の優位性は、炭素に結合しているOH基の配位がそれぞれ特有の構造をもっており、キラルな構造を持つ医薬品等の有用な化合物の合成原料として大変重要であることである。その有用性は理解されているが、その生産法が確立されていないということが大きな障害となっている。有機化学的にはキラルな構造を持つことが優位であるが、有機化学的手法によって、特定のキラルな構造を持つものを合成することは極めて困難であるという関係にある。すなわち、有機化学的な医薬品等の合成には重要であるということは、有機化学的な手法ではキラルな特定の構造を持つ単糖を合成することが非常に困難であることを意味している。
これらの単糖の研究開発における現状を背景に、バイオテクノロジーの手法を駆使して図27のイズモリングの戦略によってD−プシコース、D−アロースをはじめとした希少糖の生産が可能となっている。これまで利用できなかった単糖の特定のキラル構造を、有機化学的な原料として利用可能となって来ている。
【0019】
そこで、本発明は、少なくとも炭素数が6つの単糖(ヘキソース)の34種類の異性体の構造式で視覚的に表示させ、イズモリング(Izumoring)の全体図である分子構造(D型、L型)により、炭素数4から6の単糖全てをつないだ連携図(アルドース、ケトース、およびポリオールの全体の総数は59)への興味・関心を高めることをねらいとしている。
すなわち、本発明は、理科的に重要な体験を通して、それらの体験が忘れがたい記憶となり、自身の興味関心を膨らませ創造的に物事に取り組む動機となるような、異性体の構造式を把握することができる単糖構造式の学習用教材となるサイコロを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、下記の(1)〜(7)の一組のサイコロを要旨とする。
(1)1から6個のピップにより表した1から6の数のそれぞれを各面に表し、向かい合う面のピップの和が7となるように配置した正6面体からなるサイコロであって、2、3および6を表す面のピップの配列としてそれぞれ異なる2種を用意し、これらを組み合わせることのより形成された8種の異なるサイコロと、これらの8種のサイコロと鏡像関係にある8種のサイコロとを組とすることを特徴とする一組のサイコロ。
(2)上記サイコロの2、3および6に対応する面が、2を表す面では2個のピップを面の2本の対角線に沿って配置した異なる2面、3を表す面では3個のピップを面の2本の対角線に沿って配置した異なる2面、および6を表す面では3個のピップを縦2列、または横2列に配置した異なる2面からなる(1)に記載の一組のサイコロ。
(3)上記16種の異なるサイコロのそれぞれを、16種の単糖類に対応させて表現した(1)または(2)に記載の一組のサイコロ。
(4)上記16種の単糖類が、アルドースとしての構造を有する糖である(3)に記載の一組のサイコロ。
(5)上記単糖類が、D-グルコース、D-マンノース、D-アロース、D-アルトロース、D-タロース、D-ガラクトース、D-イドース、D-グロース、L-グルコース、L-マンノース、L-アロース、L-アルトロース、L-タロース、L-ガラクトース、L-イドースおよびL-グロースである(4)記載の一組のサイコロ。
(6)上記サイコロとフィッシャー構造式で表された糖の構造との対応が次の規則により表現されている(5)に記載の一組のサイコロ。(但し、図2のサイコロ展開図による。)
1)先端のカルボニル基を有する炭素を炭素1とし、末端の炭素を炭素6として順次炭素鎖の炭素に1から6の数を割り当てる。
2)先端のカルボニル基および末端の水酸基は、炭素鎖の右側に表す。
3)炭素2の水酸基は、2を表すサイコロ面のピップが右下傾斜では右向き、左下傾斜では左向きに表わす。
4)炭素3の水酸基は、3を表すサイコロ面のピップが右下傾斜では左向き、左下傾斜では右向きに表す。
5)炭素4の水酸基は、1,2,3のサイコロ面が左回りでは左向き、右回りでは右向きに表す。
6)6のサイコロ面が横2列では炭素4と炭素5の水酸基が反対方向、縦2列では炭素4と炭素5の水酸基が同じ方向に表す。
(7)各サイコロに対応する糖の構造式および/または名称がサイコロの表面または展開図における差し込み部に記載されている(4)から(6)のいずれかに記載の一組のサイコロ。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、単糖とサイコロの構造を対応させることにより、少なくとも炭素数が6つの単糖(ヘキソース)の34種類の異性体の構造式で視覚的に表示させ、イズモリング(Izumoring)の全体図である分子構造(D型、L型)により、炭素数4から6の単糖全てをつないだ連携図(アルドース、ケトース、およびポリオールの全体の総数は59)への興味・関心を高めることをねらいとしている。
すなわち、本発明は、理科的に重要な体験を通して、それらの体験が忘れがたい記憶となり、自身の興味関心を膨らませ創造的に物事に取り組む動機となるような、異性体の構造式を把握することができる単糖構造式の学習用教材となるサイコロを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】サイコロの斜視図
【図2】サイコロ展開図
【図3】D−アルトロースの構造をサイコロに展開した図である。
【図4】D−プシコースの構造をサイコロに展開した図である。
【図5】L−アロースの構造をサイコロに展開した図である。
【図6】L−プシコースの構造をサイコロに展開した図である。
【図7】L−ガラクトースの構造をサイコロに展開した図である。
【図8】L−タガトースの構造をサイコロに展開した図である。
【図9】D−タロースの構造をサイコロに展開した図である。
【図10】D−タガトースの構造をサイコロに展開した図である。
【図11】D−アロースの構造をサイコロに展開した図である。
【図12】L−アルトロースの構造をサイコロに展開した図である。
【図13】L−タロースの構造をサイコロに展開した図である。
【図14】D−ガラクトースの構造をサイコロに展開した図である。
【図15】D−マンノースの構造をサイコロに展開した図である。
【図16】D−フラクトースの構造をサイコロに展開した図である。
【図17】L−グルコースの構造をサイコロに展開した図である。
【図18】L−フラクトースの構造をサイコロに展開した図である。
【図19】L−グロースの構造をサイコロに展開した図である。
【図20】L−ソルボースの構造をサイコロに展開した図である。
【図21】D−イドースの構造をサイコロに展開した図である。
【図22】D−ソルボースの構造をサイコロに展開した図である。
【図23】D−グルコースの構造をサイコロに展開した図である。
【図24】L−マンノースの構造をサイコロに展開した図である。
【図25】L−イドースの構造をサイコロに展開した図である。
【図26】D−グロースの構造をサイコロに展開した図である。
【図27】4糖、5糖、6糖が連携したイズモリングを製造する経路を示す。
【図28】6糖が連携したイズモリングを製造する経路を示す。
【図29】5糖が連携したイズモリングを製造する経路を示す。
【図30】4糖が連携したイズモリングを製造する経路を示す。
【図31】構造式とセットのイズモリングC6の説明図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<使用法>
1.教材としての使用
分子とくに炭素化合物である有機物質の立体構造を理解するには、平面での異性体での理解は限定されてしまう。それは炭素の結合の手が、立体的になっておりテトラポットのような空間への結合となっているからである。
サイコロは最も単純で生活の中で常に触れる立体構造である、正六面体であり、対応する面のさいの目の合計が7ということも常識的に知られている。ところがそれらの個々のさいの目の配置には、立体構造でいう異性体の構造を持っており、有機物の立体構造を学ぶ上で非常に有利なものである。
有機物は大変複雑なものが存在しており、それを用いた立体構造の教材は適していないものがおおい。一方、単糖はアルドヘキソースでは不斉炭素数4であり、異性体が16、ケトヘキソースでは不斉炭素数が3であり、異性体が8存在する。この数は教材として適当な数であり、このサイコロのさいの目の配置の数と同一である。従って、有機化合物の立体構造の教材として、単糖とサイコロの構造を対応させることで非常によい教材となる。
【0024】
2.明治サイコロキャラメル(明治製菓製造販売);食玩
明治製菓は古くから、明治サイコロキャラメルを販売しており著名な菓子である。これサイコロを利用して、さいの目に従って旅行をするというようなことも流行しているようである。この明治サイコロキャラメルは、全てL?グルコースでありそれは何故かは本発明者は知らない。
このサイコロキャラメルについての利用として、明治製菓が16個あるいは24個をセットとして販売する(もちろん明治製菓株式会社の許可を得た上で)ことで、単糖の名称、立体構造を楽しみながら食べることが可能である。
最近の「食玩」ブームは食品メーカーとして大きな課題である。現在の明治製菓の明治サイコロキャラメルは6個の赤と白の全てL?グルコースを一つのパックとして販売している。例えばこれの中に、いろいろの種類を入れて販売するとする。全ての明治サイコロキャラメル24種を集めるためには多くを購入する必要があることになる。それが食玩の販売戦略である。
【0025】
3.パズル
イズモリングのモデルに周囲の16のアルドース、中の8種のケトースの穴を開けておく。24種のサイコロを用意し、それぞれの立体構造に合う穴へ、それぞれのサイコロを入れてイズモリングを完成させる。
このスピードを競うことでのゲーム性も出て来る。一目で立体構造を把握できる能力があれば、早く並べることが可能となる。
ルービックキューブは非常に難解な立体構造であるが、サイコロのパズルはそれほど難解ではなく、誰でもが完成できるであろう。しかし、当然であるが立体構造を把握できる能力が高い人は格段に早く完成できる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
単糖とサイコロの構造を対応させることで非常によい教材を提供できる。
明治製菓株式会社の許可を得た上でサイコロキャラメル24種を集めるような食玩の販売戦略が可能である。
イズモリングのモデルに周囲の16のアルドース、中の8種のケトースの穴を開けておく。24種のサイコロを用意し、それぞれの立体構造に合う穴へ、それぞれのサイコロを入れてイズモリングを完成させるパズルを提供できる。。
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイコロに関し、特に、アルドースおよびケトースの総数24の単糖について、単糖とサイコロの構造を対応させた単糖の構造式の学習用教材等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来正規とされるサイコロの目の打ち方は、一天地六南三北四西二東五[イッテンチロク ナンザンホクシ サイニトウゴ]と決まっていると言われている。すなわち(1)標準的なサイコロは向かい合う目の和が7であり、(2)1,2,3の目が、共有する頂点のまわりに反時計まわりにならんでいる。標準的なサイコロサイコロをイメージする場合には、法則(1)から、数字「1」の対面の数字は「6」で、数字「2」の対面の数字は「5」、数字「3」の対面の数字は「4」に定まる。また法則(2)から、数字「1」→数字「2」→数字「3」と左回りに数字が配列されている。したがって、法則(1)(2)を満たすサイコロは唯一つに数字の配列が定まることとなる。
【0003】
しかしながら、サイコロは、ゲームの補助手段として、またサイコロ自体がゲームなど遊具としての使用は多岐に亘っている。そういったなかで、上記のような正規のサイコロ以外のさまざまなサイコロが作成され使用されてきた。例えば、6面の従来のサイコロを、球体または正六角形を基にした同一の正円域あるいは同一の正方形を10面有するサイコロ(特許文献1)、サイコロを振ったときに、サイコロの各面に表示される数字が表に出る確率を数字ごとに変えることができるサイコロ(特許文献2)、ゲームに使用するサイコロをその場できわめて容易に作成することができると共に、複数の采の目から選択して着設しゲームの内容にあったサイコロ(特許文献3)などが提案されている。
【0004】
サイコロは、遊具として使用するばかりか、学習手段、パズルなどにより頭脳を訓練するための一手段としても広く利用されている。例えば、ゲーム感覚で四則演算などを学習することができ、幼児や老人の知的能力訓練器具としても使用できるサイコロ型の学習装置(特許文献4)、足し算、引き算、掛け算、割り算に使用できるだけでなく、微分や積分の計算にも利用できる計算用サイコロおよび計算用サイコロセットとして、12面体以上の立体形状のサイコロの一つの面に無限大を示す文字又は模様を表示し、他の一つの面にゼロを示す文字又は模様を表示し、残りの各面に1から10及び必要に応じて11以上の整数を示す文字又は模様をそれぞれ一つづつ表示している計算用サイコロ(特許文献5)、 正規のさいころ二個と、幾つかの面に加減乗除の符号及び等号を描いた擬さいころを、都合七個、計算可能であるように積み上げたさいころ及び擬さいころを用いた計算パズル玩具(特許文献6)を例示することができる。
【0005】
さらに実用面を重視したサイコロとしては、6つの基礎食品から栄養素をバランス良く摂取しているか、また、生活(栄養環境)のバランスが適正であるかを遊びながら自己診断できるようにした正六面体の各稜部に相当する部分に面取部が設けられた形状のサイコロであって、サイコロの目が表示された各面に、6つの基礎食品に関する絵と文字、さらに栄養環境を表す文字を表示し、6つの面のうち栄養素が共通する各2つの面どうしの地の色を同色とし、且つ面取部の複数に健康に関する標語等の文字を表示し、所定の採点法により毎日の食事のバランスと生活のバランスとを自己採点できるようにしたサイコロが提案されている(特許文献7)。
【0006】
一方、発明者の何森健は、4炭糖、5炭糖、6炭糖についてのイズモリング(Izumoring)連携図を特許文献8で公表しその有用性を示している。すなわち、図27で示される生産過程と分子構造(D型、L型)により、炭素数4から6の単糖全てをつないだ連携図が、イズモリング(Izumoring)の全体図である。すなわち、図27から理解できることは、単糖は、炭素数4、5、6全てがつながっているということである。全体図は、イズモリングC6の中でのつながりと、イズモリングC5の中でのつながりと、イズモリングC4の中でのつながりと、C4、C5、C6が全てつながっていることである。この考え方は重要である。炭素数を減少させるには主に発酵法を用いる。炭素数の異なる単糖全てをつなぐという大きな連携図であることも特徴である。炭素数が6つの単糖(ヘキソース)のイズモリングは、図27の下段および図28、さらに図31に示すように、炭素数が6つの単糖(ヘキソース)は全部で34種類あり、アルドースが16種類、ケトースが8種類、糖アルコールが10種類ある。
【0007】
希少糖とは自然界に希にしか存在しない単糖(アルドース、ケトース)およびその誘導体(糖アルコール)と定義づけることができる。この定義は糖の構造や性質による定義ではないため、あいまいである。すなわち、一定量以下の存在量を希少糖というなどの量の定義はなされていないためである。しかし、一般に自然界に多量に存在するアルドースとしてはD- グルコース、D- ガラクトース、D- マンノース、D- リボース、D- キシロース、L- アラビノースの6種類あり、それ以外のアルドースは希少糖と定義される。ケトースとしては、D- フラクトースが存在しており、他のケトースは希少糖といえる。他のケトースとして、D- プシコース、D- タガトース、D- ソルボース、L- フラクトース、L- プシコース、L- タガトース、L- ソルボースが挙げられる。また糖アルコールは単糖を還元してできるが、自然界にはD- ソルビトールが比較的多いがそれ以外のものは量的には少ないので、これらも希少糖といえる。
【0008】
これらの糖は、酸化還元酵素の反応、アルドース異性化酵素の反応、アルドース還元酵素の反応で変換できることは、本発明者らの研究を含めた研究で知られている。D- グルコース(ブドウ糖)やD- フラクトースは自然界に多量に存在する糖であり安価であるが、これらから希少糖を合成することができなかった。ところが、新規な酵素が発見された。それはガラクチトールからD- タガトースを合成する酵素を持つ菌の培養液中に、全く予期しなかったD- ソルボースが発見されたことに端を発する。その原因を調べた結果、この菌がD- タガトース3エピメラーゼ(DTE)という酵素を産生していることを発見した(特許文献9)。このDTEはこれまでつながらなかったD- タガトースとD- ソルボースの間をつなぐ酵素であることがわかる。そしてさらに驚くことに、このDTEは全てのケトースの3位をエピ化する酵素であり、これまで合成接続できなかったD- フラクトースとD- プシコース、L- ソルボースとL- タガトース、D- タガトースとD- ソルボース、L- プシコースとL- フラクトース、に作用するという非常に幅広い基質特異性を有する、すなわち非常に幅広く基質を選択できるというユニークな酵素であることが分かった。このDTEの発見によって、すべての単糖がリング状につながり、単糖の知識の構造化が完成し、イズモリング(Izumoring)と名付けた。
【0009】
この図28をよく見てみると、左側にL型、右側にD型、真ん中にDL型があり、しかもリングの中央(星印)を中心としてL型とD型が点対称になっていることもわかる。例えば、D- グルコースとL- グルコースは、中央の点を基準として点対称になっている。しかもイズモリング(Izumoring)の価値は、全ての単糖の生産の設計図にもなっていることである。先の例で、D- グルコースを出発点としてL- グルコースを生産しようと思えば、D- グルコースを異性化→エピ化→還元→酸化→エピ化→異性化するとL- グルコースが作れることを示している。
炭素数が6つの単糖(ヘキソース)のイズモリング(Izumoring)を使って、自然界に多量に存在する糖と微量にしか存在しない希少糖との関係が示されている。D- グルコース、D- フラクトース、D- マンノースと、牛乳中の乳糖から生産できるD- ガラクトースは、自然界に多く存在し、それ以外のものは微量にしか存在しない希少糖と分類される。DTEの発見によって、D- グルコースからD- フラクトース、D- プシコースを製造し、さらにD- アロース、アリトール、D- タリトールを製造することができるようになった。希少糖D- プシコースは、これまで入手自体が困難であったが、自然界に多量に存在する単糖から希少糖を大量生産する方法が開発されつつあり、その技術を利用して製造することができる。
炭素数が6つの単糖(ヘキソース)のイズモリング(Izumoring)の意義をまとめると、生産過程と分子構造(D型、L型)により、すべての単糖が構造的に整理され(知識の構造化)、単糖の全体像が把握できること、研究の効果的、効率的なアプローチが選択できること、最適な生産経路が設計できること、欠落部分について予見できること、が挙げられる。
【0010】
炭素数が5つの単糖(ペントース)のイズモリングは、図27の中段および図29に示すように、炭素数6のイズモリングよりも小さいリングである。しかし、C6のイズモリングと同じようにアルドース8個、ケトース4個および糖アルコール4個全てを含むことに変わりは無く、全てが酵素反応で結ばれる。異なる点は、酸化還元反応、異性化反応のみでリング状に全てが連結できることである。一方、DTEを用いることによって、さらに効率のよい生産経路が設計できることがわかる。炭素数5のイズモリングの特徴は、特に図6から明らかなように、炭素数6のイズモリングが点対象に全単糖が配置されているのに対し、左右が対象に配置されていることが大きな特徴である。これら全ペントースは、酵素反応により連結されていることから、炭素数6のイズモリングの場合と全く同様に、すべてのペントースが構造的に整理され(知識の構造化)、全体像が把握できること、研究の効果的、効率的なアプローチが選択できること、最適な生産経路が設計できること、欠落部分について予見できる意義を持っている。
【0011】
炭素数が4つの単糖(テトロース)のイズモリングは、図27の上段および図30に示すように、テトロースの構造上の特性のため、リングが完成しないという特徴がある。炭素数5のイズモリング上部半分の構造を持っている。このリングの場合も、炭素数5,6の場合と同様の酸化還元および異性化反応によって連結されている。DTEが炭素数4のケトースに反応しないため、ケトース間の反応は現在のところ存在しない。しかし、新規のエピメラーゼの存在が予測され、この研究は現在研究途上である。
全体の配置は、炭素数5と同様に左右対称であり、アルドース4個、ケトース2個および糖アルコール3個全てを含んでいる。すなわち炭素数5,6のイズモリングと同様の意義が存在する。
【0012】
イズモリングC6のD- グルコースは、イズモリングC5のD- アラビトールおよびイズモリングC4のエリスリトールとつながっている。この線は、発酵法によってD- グルコースからD- アラビトールおよびエリスリトールを生産できることを示している。すなわち、イズモリングC6、イズモリングC5およびイズモリングC4は連結されている。この連結は、炭素数の減少という主に発酵法による反応であり、このD- アラビトールおよびエリスリトールへの転換反応の二つ以外の発酵法によるイズモリングC6とイズモリングC5,C4との連結は可能である。例えばD- グルコースからD- リボースの生産も可能である。
このように、3つのイズモリングにより全ての炭素数4、5、6の単糖(アルドース、ケトース、糖アルコール)が連結されたことで、それぞれの単糖が全単糖の中でその存在場所を明確に確認できる。最も有名なキシリトールは、未利用資源の木質から生産できるD- キシロースを還元することで容易に生産できることを明確に確認できる。
もしも特定の単糖が生物反応によって多量に得られた場合には、それを原料とした新たな単糖への変換の可能性が容易に見いだすことが可能である。すなわち、この全体像から全ての単糖の原料としての位置を確実につかむことができるため、有用な利用法を設計することができる。特に廃棄物や副産物から単糖が得られた場合の利用方法を容易に推定できるのである。
【0013】
単糖類を還元すると、アルデヒド基およびケトン基はアルコール基となり、炭素原子が同数の多価アルコール、すなわち糖アルコールとなる。還元糖は食品等の分野で有用なものが多く、例えばL- アラビノースは、五炭糖で、蔗糖に近い味質を持ち、難吸収性のノンカロリーな糖質である。また蔗糖やマルトースなどの二糖が体内に吸収される際に作用する二糖水解酵素を阻害することが知られており、ダイエット用甘味料や糖尿病患者用甘味料としての利用が期待されている。また、L- アラビノースは医薬品の合成原料としても有用な糖である。
還元糖を取得する場合、その由来を天然物に求めることが行われている。例えば、L- アラビノースを取得する手段として、最近では、コーンファイバーやアラビアガム、ビートパルプなどに酵素や酸を作用させるL- アラビノースの製造法が開発されている。原料となるアラビナン、アラビノキシラン、アラビノガラクタン等の粗繊維はペクチン質や不要な粗繊維等と混在して存在する場合が多く、これらを酵素分解や酸加水分解処理することによって得られる溶液の中にはL- アラビノース等の還元糖の他に、ペクチン質や粗繊維、またこれらの分解物が混在している。L- アラビノースを精製する方法に関しては、L- アラビノース含有糖液中のキシロースおよびオリゴ糖と目的のL- アラビノースをイオン交換樹脂によるクロマトグラフィーで分画する方法や、多糖、オリゴ糖や塩類との分離を目的としたイオン交換樹脂によるクロマトグラフィー、膜処理等が提案されている。
一方、単糖のデオキシ体については、有効な製造法および物質として認知されているものが少なく、製造法についての確立が第一に要望されている。
【0014】
近年指摘されてきている高校生の科学離れに対応し、日本の最先端の科学技術に触れ、多くの実験体験を通じて科学への興味・関心を高めることをねらいとして種々の企画がなされているが、イズモリング(Izumoring)の全体図である生産過程と分子構造(D型、L型)により、炭素数4から6の単糖全てをつないだ連携図の理解のための教材は存在しない。
従来、化学教材で用いられているものとして、例えば分子模型が挙げられる。この分子模型には数種の種類があり、その1つは球−棒状の分子模型である。これは、適当な大きさの複数の球に、原子価角に合わせて連結孔をあけ、球の中心間の距離が原子間距離に対応するように棒の両端を上記の連結孔に挿し込んで、各球を連結したものである。他の1つは空間充填模型またはスチュアート型模型と称されている模型である。これは、分子を構成する原子のフアン・デル・ワールス半径に相当する部品を、結合半径および原子価角に合うように結合したものである。
改良した分子模型としては、例えば、プラトンの正多面体の角を切り落した、14面体、20面体、26面体、32面体、球などの多面体をその原子表現体とすることにより、原子や分子の軌道概念に立脚した標準的な原子価角を使用して、分かり易く簡潔にし、かつ対称性の高い多面体を使用したことにより、分子の持つ対称性を見てわかり易いものとした。また、2種の球−棒状模型および空間充填型模型の対応関係が容易に理解でき、分子構造に関する種々の事項が一度に学習できる分子模型が提言されている(特許文献10)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2000−93642号公報
【特許文献2】特開2000−14922号公報
【特許文献3】特開2003−47762号公報
【特許文献4】特開2006−350261号公報
【特許文献5】特開2006-230629号公報
【特許文献6】実開平6-57391号公報
【特許文献7】実開平6-39074号公報
【特許文献8】再表2004/063369号公報
【特許文献9】特許3333969号公報
【特許文献10】特開2004−233900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
化学式とは、化学物質を元素の構成で表現する表記法である。分子からなる物質を表す化学式を分子式、イオン物質を表す化学式をイオン式と呼ぶことがある。時として化学式と呼ぶべき場面においても、分子式と言い回される場合も多いので注意が必要である。化学式が利用される場面としては、物質の属性情報としてそれに関連付けて利用される場合と、化学反応式の一部として物質を表すために利用される場合とがある。
分子式は同一だが構造が異なる分子、またはそのような分子からなる化合物を異性体と呼ぶ。分子A1と分子A2が同一分子式で構造が異なる場合、A1はA2の異性体であり、A2はA1の異性体である。また同一分子式の一群の化合物をAと総称した場合、A1もA2もAの異性体である。「L-グルコースはL-アロースの異性体である」というのが前者の使い方であり、「L-グルコースの構造異性体は24種類ある」というのが後者の使い方である。
【0017】
化学物質の立体的な構造は、その物性に極めて大きな影響を及ぼす。そのため、異性体を学習する際には、立体的な構造を把握することが必要である。特許文献7に示されているものは、分子構造を示すための分子模型の教材であり、異性体を学習するための教材は、発明者の知る限りにおいては存在しなかった。炭素数が6つの単糖(ヘキソース)は全部で34種類あり、アルドースが16種類、ケトースが8種類、糖アルコールが10種類ある。
物質の構造を示すための化学式を構造式とよぶ。通常は平面上に構造のトポロジー的な関係だけを維持して表現されるので、構造式は実際の構造を写実的に写したものではない点に注意が必要である。通常、構造式は二次元に展開された図表として表現されるが、特に結合を表す線分を使わずに、分岐部分を基として括弧で括って一連ながりの文字列で表した構造式は示性式と呼ばれる。
構造式を示すには次に示す2つの方法がある。
(1)個々の原子の間を化学結合を表す、一重線(単結合)、二重線(二重結合)あるいは三重線(三重結合)で連結して分子構造を表す方法。
(2)特性基や基を連結して分子構造を表す方法。
これらの一方ないしは両方を使って構造式は表される。言い換えると示性式は後者の方法のみを使用し、基を組み立てて作成される。
もともと構造式は透視図法のような立体を平面に射影した図表ではなく、トポロジー的な情報、すなわち個々の原子と連結した原子との相対的な位置関係以外は図表に表現され得ないが、立体的な構造を把握することへの近道である。なお、種々の立体表示方法と投影法が考案されている。
【0018】
単糖の優位性は、炭素に結合しているOH基の配位がそれぞれ特有の構造をもっており、キラルな構造を持つ医薬品等の有用な化合物の合成原料として大変重要であることである。その有用性は理解されているが、その生産法が確立されていないということが大きな障害となっている。有機化学的にはキラルな構造を持つことが優位であるが、有機化学的手法によって、特定のキラルな構造を持つものを合成することは極めて困難であるという関係にある。すなわち、有機化学的な医薬品等の合成には重要であるということは、有機化学的な手法ではキラルな特定の構造を持つ単糖を合成することが非常に困難であることを意味している。
これらの単糖の研究開発における現状を背景に、バイオテクノロジーの手法を駆使して図27のイズモリングの戦略によってD−プシコース、D−アロースをはじめとした希少糖の生産が可能となっている。これまで利用できなかった単糖の特定のキラル構造を、有機化学的な原料として利用可能となって来ている。
【0019】
そこで、本発明は、少なくとも炭素数が6つの単糖(ヘキソース)の34種類の異性体の構造式で視覚的に表示させ、イズモリング(Izumoring)の全体図である分子構造(D型、L型)により、炭素数4から6の単糖全てをつないだ連携図(アルドース、ケトース、およびポリオールの全体の総数は59)への興味・関心を高めることをねらいとしている。
すなわち、本発明は、理科的に重要な体験を通して、それらの体験が忘れがたい記憶となり、自身の興味関心を膨らませ創造的に物事に取り組む動機となるような、異性体の構造式を把握することができる単糖構造式の学習用教材となるサイコロを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、下記の(1)〜(7)の一組のサイコロを要旨とする。
(1)1から6個のピップにより表した1から6の数のそれぞれを各面に表し、向かい合う面のピップの和が7となるように配置した正6面体からなるサイコロであって、2、3および6を表す面のピップの配列としてそれぞれ異なる2種を用意し、これらを組み合わせることのより形成された8種の異なるサイコロと、これらの8種のサイコロと鏡像関係にある8種のサイコロとを組とすることを特徴とする一組のサイコロ。
(2)上記サイコロの2、3および6に対応する面が、2を表す面では2個のピップを面の2本の対角線に沿って配置した異なる2面、3を表す面では3個のピップを面の2本の対角線に沿って配置した異なる2面、および6を表す面では3個のピップを縦2列、または横2列に配置した異なる2面からなる(1)に記載の一組のサイコロ。
(3)上記16種の異なるサイコロのそれぞれを、16種の単糖類に対応させて表現した(1)または(2)に記載の一組のサイコロ。
(4)上記16種の単糖類が、アルドースとしての構造を有する糖である(3)に記載の一組のサイコロ。
(5)上記単糖類が、D-グルコース、D-マンノース、D-アロース、D-アルトロース、D-タロース、D-ガラクトース、D-イドース、D-グロース、L-グルコース、L-マンノース、L-アロース、L-アルトロース、L-タロース、L-ガラクトース、L-イドースおよびL-グロースである(4)記載の一組のサイコロ。
(6)上記サイコロとフィッシャー構造式で表された糖の構造との対応が次の規則により表現されている(5)に記載の一組のサイコロ。(但し、図2のサイコロ展開図による。)
1)先端のカルボニル基を有する炭素を炭素1とし、末端の炭素を炭素6として順次炭素鎖の炭素に1から6の数を割り当てる。
2)先端のカルボニル基および末端の水酸基は、炭素鎖の右側に表す。
3)炭素2の水酸基は、2を表すサイコロ面のピップが右下傾斜では右向き、左下傾斜では左向きに表わす。
4)炭素3の水酸基は、3を表すサイコロ面のピップが右下傾斜では左向き、左下傾斜では右向きに表す。
5)炭素4の水酸基は、1,2,3のサイコロ面が左回りでは左向き、右回りでは右向きに表す。
6)6のサイコロ面が横2列では炭素4と炭素5の水酸基が反対方向、縦2列では炭素4と炭素5の水酸基が同じ方向に表す。
(7)各サイコロに対応する糖の構造式および/または名称がサイコロの表面または展開図における差し込み部に記載されている(4)から(6)のいずれかに記載の一組のサイコロ。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、単糖とサイコロの構造を対応させることにより、少なくとも炭素数が6つの単糖(ヘキソース)の34種類の異性体の構造式で視覚的に表示させ、イズモリング(Izumoring)の全体図である分子構造(D型、L型)により、炭素数4から6の単糖全てをつないだ連携図(アルドース、ケトース、およびポリオールの全体の総数は59)への興味・関心を高めることをねらいとしている。
すなわち、本発明は、理科的に重要な体験を通して、それらの体験が忘れがたい記憶となり、自身の興味関心を膨らませ創造的に物事に取り組む動機となるような、異性体の構造式を把握することができる単糖構造式の学習用教材となるサイコロを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】サイコロの斜視図
【図2】サイコロ展開図
【図3】D−アルトロースの構造をサイコロに展開した図である。
【図4】D−プシコースの構造をサイコロに展開した図である。
【図5】L−アロースの構造をサイコロに展開した図である。
【図6】L−プシコースの構造をサイコロに展開した図である。
【図7】L−ガラクトースの構造をサイコロに展開した図である。
【図8】L−タガトースの構造をサイコロに展開した図である。
【図9】D−タロースの構造をサイコロに展開した図である。
【図10】D−タガトースの構造をサイコロに展開した図である。
【図11】D−アロースの構造をサイコロに展開した図である。
【図12】L−アルトロースの構造をサイコロに展開した図である。
【図13】L−タロースの構造をサイコロに展開した図である。
【図14】D−ガラクトースの構造をサイコロに展開した図である。
【図15】D−マンノースの構造をサイコロに展開した図である。
【図16】D−フラクトースの構造をサイコロに展開した図である。
【図17】L−グルコースの構造をサイコロに展開した図である。
【図18】L−フラクトースの構造をサイコロに展開した図である。
【図19】L−グロースの構造をサイコロに展開した図である。
【図20】L−ソルボースの構造をサイコロに展開した図である。
【図21】D−イドースの構造をサイコロに展開した図である。
【図22】D−ソルボースの構造をサイコロに展開した図である。
【図23】D−グルコースの構造をサイコロに展開した図である。
【図24】L−マンノースの構造をサイコロに展開した図である。
【図25】L−イドースの構造をサイコロに展開した図である。
【図26】D−グロースの構造をサイコロに展開した図である。
【図27】4糖、5糖、6糖が連携したイズモリングを製造する経路を示す。
【図28】6糖が連携したイズモリングを製造する経路を示す。
【図29】5糖が連携したイズモリングを製造する経路を示す。
【図30】4糖が連携したイズモリングを製造する経路を示す。
【図31】構造式とセットのイズモリングC6の説明図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<使用法>
1.教材としての使用
分子とくに炭素化合物である有機物質の立体構造を理解するには、平面での異性体での理解は限定されてしまう。それは炭素の結合の手が、立体的になっておりテトラポットのような空間への結合となっているからである。
サイコロは最も単純で生活の中で常に触れる立体構造である、正六面体であり、対応する面のさいの目の合計が7ということも常識的に知られている。ところがそれらの個々のさいの目の配置には、立体構造でいう異性体の構造を持っており、有機物の立体構造を学ぶ上で非常に有利なものである。
有機物は大変複雑なものが存在しており、それを用いた立体構造の教材は適していないものがおおい。一方、単糖はアルドヘキソースでは不斉炭素数4であり、異性体が16、ケトヘキソースでは不斉炭素数が3であり、異性体が8存在する。この数は教材として適当な数であり、このサイコロのさいの目の配置の数と同一である。従って、有機化合物の立体構造の教材として、単糖とサイコロの構造を対応させることで非常によい教材となる。
【0024】
2.明治サイコロキャラメル(明治製菓製造販売);食玩
明治製菓は古くから、明治サイコロキャラメルを販売しており著名な菓子である。これサイコロを利用して、さいの目に従って旅行をするというようなことも流行しているようである。この明治サイコロキャラメルは、全てL?グルコースでありそれは何故かは本発明者は知らない。
このサイコロキャラメルについての利用として、明治製菓が16個あるいは24個をセットとして販売する(もちろん明治製菓株式会社の許可を得た上で)ことで、単糖の名称、立体構造を楽しみながら食べることが可能である。
最近の「食玩」ブームは食品メーカーとして大きな課題である。現在の明治製菓の明治サイコロキャラメルは6個の赤と白の全てL?グルコースを一つのパックとして販売している。例えばこれの中に、いろいろの種類を入れて販売するとする。全ての明治サイコロキャラメル24種を集めるためには多くを購入する必要があることになる。それが食玩の販売戦略である。
【0025】
3.パズル
イズモリングのモデルに周囲の16のアルドース、中の8種のケトースの穴を開けておく。24種のサイコロを用意し、それぞれの立体構造に合う穴へ、それぞれのサイコロを入れてイズモリングを完成させる。
このスピードを競うことでのゲーム性も出て来る。一目で立体構造を把握できる能力があれば、早く並べることが可能となる。
ルービックキューブは非常に難解な立体構造であるが、サイコロのパズルはそれほど難解ではなく、誰でもが完成できるであろう。しかし、当然であるが立体構造を把握できる能力が高い人は格段に早く完成できる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
単糖とサイコロの構造を対応させることで非常によい教材を提供できる。
明治製菓株式会社の許可を得た上でサイコロキャラメル24種を集めるような食玩の販売戦略が可能である。
イズモリングのモデルに周囲の16のアルドース、中の8種のケトースの穴を開けておく。24種のサイコロを用意し、それぞれの立体構造に合う穴へ、それぞれのサイコロを入れてイズモリングを完成させるパズルを提供できる。。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1から6個のピップにより表した1から6の数のそれぞれを各面に表し、向かい合う面のピップの和が7となるように配置した正6面体からなるサイコロであって、2、3および6を表す面のピップの配列としてそれぞれ異なる2種を用意し、これらを組み合わせることのより形成された8種の異なるサイコロと、これらの8種のサイコロと鏡像関係にある8種のサイコロとを組とすることを特徴とする一組のサイコロ。
【請求項2】
上記サイコロの2、3および6に対応する面が、2を表す面では2個のピップを面の2本の対角線に沿って配置した異なる2面、3を表す面では3個のピップを面の2本の対角線に沿って配置した異なる2面、および6を表す面では3個のピップを縦2列、または横2列に配置した異なる2面からなる請求項1に記載の一組のサイコロ。
【請求項3】
上記16種の異なるサイコロのそれぞれを、16種の単糖類に対応させて表現した請求項1または2に記載の一組のサイコロ。
【請求項4】
上記16種の単糖類が、アルドースとしての構造を有する糖である請求項3に記載の一組のサイコロ。
【請求項5】
上記単糖類が、D-グルコース、D-マンノース、D-アロース、D-アルトロース、D-タロース、D-ガラクトース、D-イドース、D-グロース、L-グルコース、L-マンノース、L-アロース、L-アルトロース、L-タロース、L-ガラクトース、L-イドースおよびL-グロースである請求項4記載の一組のサイコロ。
【請求項6】
上記サイコロとフィッシャー構造式で表された糖の構造との対応が次の規則により表現されている請求項5に記載の一組のサイコロ。(但し、図2のサイコロ展開図による。)
(1)先端のカルボニル基を有する炭素を炭素1とし、末端の炭素を炭素6として順次炭素鎖の炭素に1から6の数を割り当てる。
(2)先端のカルボニル基および末端の水酸基は、炭素鎖の右側に表す。
(3)炭素2の水酸基は、2を表すサイコロ面のピップが右下傾斜では右向き、左下傾斜では左向きに表わす。
(4)炭素3の水酸基は、3を表すサイコロ面のピップが右下傾斜では左向き、左下傾斜では右向きに表す。
(5)炭素4の水酸基は、1,2,3のサイコロ面が左回りでは左向き、右回りでは右向きに表す。
(6)6のサイコロ面が横2列では炭素4と炭素5の水酸基が反対方向、縦2列では炭素4と炭素5の水酸基が同じ方向に表す。
【請求項7】
各サイコロに対応する糖の構造式および/または名称がサイコロの表面または展開図における差し込み部に記載されている請求項4から6のいずれかに記載の一組のサイコロ。
【請求項1】
1から6個のピップにより表した1から6の数のそれぞれを各面に表し、向かい合う面のピップの和が7となるように配置した正6面体からなるサイコロであって、2、3および6を表す面のピップの配列としてそれぞれ異なる2種を用意し、これらを組み合わせることのより形成された8種の異なるサイコロと、これらの8種のサイコロと鏡像関係にある8種のサイコロとを組とすることを特徴とする一組のサイコロ。
【請求項2】
上記サイコロの2、3および6に対応する面が、2を表す面では2個のピップを面の2本の対角線に沿って配置した異なる2面、3を表す面では3個のピップを面の2本の対角線に沿って配置した異なる2面、および6を表す面では3個のピップを縦2列、または横2列に配置した異なる2面からなる請求項1に記載の一組のサイコロ。
【請求項3】
上記16種の異なるサイコロのそれぞれを、16種の単糖類に対応させて表現した請求項1または2に記載の一組のサイコロ。
【請求項4】
上記16種の単糖類が、アルドースとしての構造を有する糖である請求項3に記載の一組のサイコロ。
【請求項5】
上記単糖類が、D-グルコース、D-マンノース、D-アロース、D-アルトロース、D-タロース、D-ガラクトース、D-イドース、D-グロース、L-グルコース、L-マンノース、L-アロース、L-アルトロース、L-タロース、L-ガラクトース、L-イドースおよびL-グロースである請求項4記載の一組のサイコロ。
【請求項6】
上記サイコロとフィッシャー構造式で表された糖の構造との対応が次の規則により表現されている請求項5に記載の一組のサイコロ。(但し、図2のサイコロ展開図による。)
(1)先端のカルボニル基を有する炭素を炭素1とし、末端の炭素を炭素6として順次炭素鎖の炭素に1から6の数を割り当てる。
(2)先端のカルボニル基および末端の水酸基は、炭素鎖の右側に表す。
(3)炭素2の水酸基は、2を表すサイコロ面のピップが右下傾斜では右向き、左下傾斜では左向きに表わす。
(4)炭素3の水酸基は、3を表すサイコロ面のピップが右下傾斜では左向き、左下傾斜では右向きに表す。
(5)炭素4の水酸基は、1,2,3のサイコロ面が左回りでは左向き、右回りでは右向きに表す。
(6)6のサイコロ面が横2列では炭素4と炭素5の水酸基が反対方向、縦2列では炭素4と炭素5の水酸基が同じ方向に表す。
【請求項7】
各サイコロに対応する糖の構造式および/または名称がサイコロの表面または展開図における差し込み部に記載されている請求項4から6のいずれかに記載の一組のサイコロ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【公開番号】特開2010−175736(P2010−175736A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−17123(P2009−17123)
【出願日】平成21年1月28日(2009.1.28)
【出願人】(506388060)合同会社希少糖生産技術研究所 (18)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月28日(2009.1.28)
【出願人】(506388060)合同会社希少糖生産技術研究所 (18)
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