説明

印刷システム、用紙プリンタおよび印刷システムの制御方法

【課題】用紙への印刷に影響を与えることなく、インクリボンの無駄な浪費を抑制することができる用紙プリンタを提供すること。
【解決手段】用紙送り手段22と、リボン送り手段24と、ヘッド位置において用紙およびインクリボンRをプラテンローラ32と印刷ヘッド31との間に挟持して印刷を行う印刷手段23と、プラテンローラ32を、印刷ヘッド31に対して離接させる離接手段25と、キャラクタ画像と当該キャラクタ画像の用紙上の位置データとから成る印刷データから、用紙の送り方向におけるキャラクタ画像の非印刷区間データを取得する非印刷区間取得手段と、を備え、非印刷区間データに基づいて、送られてゆく用紙における非印刷区間がヘッドを通過する間、プラテンローラ32を印刷ヘッド31に対し離間させることで、インクリボンRの送りを停止させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙とインクリボンを併走させながら、インクリボンを介して用紙に印刷を行う印刷システム、用紙プリンタおよび印刷システムの制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の用紙プリンタとして、送り出された付箋紙の表面に印刷データを印刷する付箋紙プリンタが知られている。この付箋紙プリンタは、付箋紙の送りに同期させてインクリボンを走行させ、プラテンローラとサーマルヘッドとの間で、付箋紙とインクリボンとを挟み込み、これらを同方向に送りつつサーマルヘッドの発熱駆動により付箋紙に対して印刷を行うようになっている。この場合、プラテンローラは、付箋紙を送る送りローラを兼ねており、またこの送りローラとインクリボンを巻き取る巻き取り軸とは単一のモータにより駆動される(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−11437号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記付箋紙プリンタでは、印刷に際しプラテンローラとサーマルヘッドとの間で付箋紙とインクリボンとを挟持した状態で、付箋紙とインクリボンとを併走させるため、印刷を行わない付箋紙の余白部分の送りにおいてもインクリボンが送られることになる。このため、インクリボンが無駄に浪費されるという問題があった。かかる浪費を解消すべく、余白部分の送りに際し、インクリボンの走行を停止させることが考えられる。しかし、このようにすると、付箋紙とインクリボンとの摩擦により付箋紙の表面が汚れ、あるいはインクリボンが強制的に引き出されてしまう(ジャミング)という問題が生ずる。
【0004】
そこで、本発明は、用紙への印刷に影響を与えることなく、インクリボンの無駄な浪費を抑制することができる印刷システム、用紙プリンタおよび印刷システムの制御方法を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の印刷システムは、用紙を送る用紙送り手段と、プラテンローラおよび印刷ヘッドを有し、ヘッド位置において送られてゆく用紙およびインクリボンをプラテンローラと印刷ヘッドとの間に挟持して印刷を行う印刷手段と、印刷ヘッドに対しプラテンローラを、印刷ヘッドに接触する接触位置と印刷ヘッドに接触しない離間位置とに相対的に移動させる離接手段と、用紙に印刷される1以上のキャラクタから成るキャラクタ画像と当該キャラクタ画像の用紙上の位置データとから成る印刷データから、用紙の送り方向におけるキャラクタ画像の非印刷区間データを取得する非印刷区間取得手段と、用紙送り手段、印刷手段、離接手段および非印刷区間取得手段を制御する印刷制御手段と、を備え、印刷制御手段は、非印刷区間データに基づいて、送られてゆく用紙における非印刷区間が印刷ヘッドを通過する間、プラテンローラを離間位置に相対的に移動させることを特徴とする。
【0006】
この場合、印刷ヘッドに対し、プラテンローラが離間位置に相対的に移動したことを検出する検出手段と、送られてゆく用紙にインクリボンを併走させるリボン送り手段と、を備え、印刷制御手段は、検出手段によりプラテンローラが離間位置に相対的に移動したことを検出したときに、リボン送り手段を制御してインクリボンの送りを停止することが、好ましい。
【0007】
本発明の印刷システムの制御方法は、用紙を送る用紙送り手段と、プラテンローラおよび印刷ヘッドを有し、ヘッド位置において送られてゆく用紙およびインクリボンをプラテンローラと印刷ヘッドとの間に挟持して印刷を行う印刷手段と、印刷ヘッドに対しプラテンローラを、印刷ヘッドに接触する接触位置と印刷ヘッドから離れる離間位置とに相対的に移動させる離接手段と、を備えた印刷システムの制御方法において、用紙に印刷されるキャラクタ画像と当該キャラクタ画像の用紙上の位置データとから成る印刷データから、用紙の送り方向におけるキャラクタ画像の非印刷区間データを取得するデータ取得工程と、取得した非印刷区間データに基づいて、送られてゆく用紙における非印刷区間が印刷ヘッドを通過する間、プラテンローラを離間位置に相対的に移動させる印刷制御工程と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
これらの構成によれば、用紙の送り方向における非印刷区間が印刷ヘッドに臨むと、印刷制御手段の制御により印刷ヘッドとプラテンローラとの間を開放すると共にインクリボンを停止した状態で用紙を送り出す。このため、非印刷区間ではインクリボンが送られることがなく、非印刷区間の長さに対応するインクリボンの浪費を抑制することができ、ユーザのランニングコストを低減することができる。また、用紙とインクリボンとを離間させた状態で送り出すので用紙とインクリボンとの摩擦により用紙の表面が汚れたり、あるいはインクリボンが強制的に引き出されることがない。
また、検出手段により、プラテンローラが離間位置に移動したことを正確に検出することができるため、検出結果に基づいて制御を行えば精度のよい制御を行うことができる。例えば、離接手段の故障等により、用紙の余白部分を印刷ヘッドに接触させた状態で送り出しが行われる等の誤動作を確実に防止することができる。また、動作の途中で電源が遮断されてしまったような場合に、電源が再投入されたときのプラテンローラの位置をより正確に把握することができるため、動作の再開に際して適切な制御を行うことができる。
【0009】
この場合、リボン送り手段は、インクリボンを巻き取るリボン巻取り軸と、駆動源となる駆動手段と、プラテンローラの移動に伴って、リボン巻取り軸に駆動手段の駆動力を伝達または遮断するクラッチ手段と、を有し、クラッチ手段は、離接手段に連動し、プラテンローラが接触位置から離間することで駆動力を遮断してインクリボンの送りを停止することが、好ましい。
【0010】
この構成によれば、プラテンローラが接触位置に移動すると駆動手段からリボン巻取り軸に駆動力が伝達されインクリボンの走行が行われ、プラテンローラが接触位置から離れることでリボン巻取り軸への動力が遮断され、インクリボンの走行を停止する。つまり、印刷制御手段は、離接手段によりプラテンローラの移動を制御することで同時にインクリボンの走行・停止を制御することができる。
【0011】
この場合、非印刷区間データに基づいて用紙送り手段の用紙送り開始からの用紙送り量を算出する送り量算出手段をさらに備え、印刷制御手段は、非印刷区間が印刷ヘッドに臨むことを、算出した用紙送り量に基づいて制御することが、好ましい。
【0012】
この構成によれば、用紙送り手段の用紙送り量に基づいて、非印刷区間が印刷ヘッドに臨んだ時点から非印刷区間の長さ分のインクリボンの送りを停止し、プラテンローラを離間位置に移動させるように制御することができる。
【0013】
この場合、送り量算出手段は、印刷ドットのドット数から用紙送り量を算出することが、好ましい。
【0014】
この構成によれば、ドット数に基づいて精度よく制御することができる。
【0015】
この場合、用紙送り手段は、ステッピングモータおよびエンコーダ付モータの一方のモータを有しており、送り量算出手段は、モータの回転量から用紙送り量を算出することが、好ましい。
【0016】
この構成によれば、モータの回転量に合わせて制御を行うことができ、制御を容易にすることができる。
【0017】
この場合、送り量算出手段は、用紙送り手段における用紙送り速度および用紙送り時間から用紙送り量を算出することが、好ましい。
【0018】
この構成によれば、用紙送り速度および用紙送り時間から用紙送り距離を算出し、用紙送り距離に基づいて制御を行うことができ、制御を容易にすることができる。
【0019】
この場合、複数の非印刷区間は、用紙における前余白および後余白のすくなくとも一方を含んでいることが、好ましい。
【0020】
この構成によれば、用紙の前余白および後余白の長さに対応するインクリボンの浪費を抑制することができる。
【0021】
この場合、用紙は、一端を糊付けした多数枚の付箋紙から成る付箋紙束から引き剥がされた付箋紙であることが、好ましい。
【0022】
この構成によれば、付箋紙の前後余白は、普通紙の前後余白より大きい。したがって前後余白に手書きのスペースを広くとることができ有用である。なお、誤って付箋紙束を表裏逆にセットした場合にも、付箋紙の送り方向における余白(非印刷区間)を付箋紙の片端に存在する糊付け部分より広くとれば、付箋紙の糊付け部分をインクリボンから離間した状態で送り出すことができる。
【0023】
この場合、用紙送り手段、リボン送り手段、印刷手段、離接手段および検出手段、を備えた用紙プリンタと、非印刷区間取得手段、印刷制御手段および送り量算出手段を備えると共に、用紙プリンタに接続し用紙プリンタの制御を含む情報処理を行う情報処理端末と、から成ることが、好ましい。
【0024】
この構成によれば、用紙プリンタ自体は複雑な情報処理を行うことなく、的確な印刷制御を行うことができる。これにより、用紙プリンタの構成を簡易にすることができ、用紙プリンタの小型化やコストダウンを実現することができる。
【0025】
本発明の印刷プリンタは、上記の印刷システムの全ての手段を備えたことを特徴とする。
【0026】
この構成によれば、用紙プリンタ単体で、用紙への印刷に影響を与えることなく、インクリボンの無駄な浪費を抑制して印刷を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、添付の図面を参照して、本発明の第1実施形態に係る印刷システムを付箋紙プリントシステムとして説明する。本発明の付箋紙プリントシステムは、インクリボンを収容したリボンカートリッジを着脱自在に装着し、セットした付箋紙束から付箋紙を送り出しながらインクリボンを付箋紙に併走させ、パソコンで編集した印刷データに基づいて、余白等の非印刷区間では、インクリボンの送りを停止するようにしたものである。
【0028】
そこで、まず、図1を参照して付箋紙プリントシステム1(印刷システム)のシステム構成から説明する。付箋紙プリントシステム1は、付箋紙束Hがセットされる付箋紙プリンタ2(用紙プリンタ)と、付箋紙プリンタ2にUSBケーブル3で接続され、付箋紙H1に印刷するための印刷データを作成・編集すると共に、付箋紙プリンタ2の各種駆動を制御するパソコン4(制御端末)とから構成されている。
【0029】
パソコン4は、パソコン本体5と、パソコン本体5に接続され、データを入力するキーボード6およびマウス7と、入力結果等を表示するディスプレイ8と、を有しており、パソコン本体5には、付箋紙プリンタ2に関するアプリケーションソフトやデバイスドライバ等のデータを記憶したCD−ROM9がセットされている。そして、キーボード6等から各種検出信号、各種指令、各種データ等が入力されると、パソコン4は、CD−ROM9内のプログラムに従って、各種データを処理し、付箋紙プリンタ2を制御するようになっている。例えば、本実施形態では、CD−ROM9内のアプリケーションソフトにより印刷データから付箋紙H1に印刷を行わない非印刷区間データを算出し(詳細は後述する)、各データを付箋紙プリンタ2に送信して印刷制御を行っている。
【0030】
なお、当然ではあるが、付箋紙プリンタ2に各部の制御機能を設け、パソコン4で作成・編集した印刷データに基づいて印刷を行うようにしてもよいし、付箋紙プリンタ2に印刷データの作成・編集機能や各部の制御機能を設け、付箋紙プリンタ2を単体として用いて、付箋紙H1に対する印刷を行うようにしてもよい。
【0031】
図2に示すように、付箋紙プリンタ2は、装置ケース11により外殻が形成され、装置ケース11の内部は、付箋紙束Hがセット可能に構成されている。そして、付箋紙プリンタ2は、セットした付箋紙束Hから1枚ずつ引き剥がした付箋紙H1に対し、パソコン4で作成した所望のキャラクタ画像P(図7参照)を印刷し、これを装置ケース11に形成した排紙口12から送るようにしている。
【0032】
装置ケース11は、全体として小型に形成されており、装置ケース11の前面下部には、後述する付箋紙ホルダ21をケース内部に前方から引出し式で導入するための付箋紙導入開口13が形成され、前面中央には印刷済み付箋紙H1をケース外部に送るための水平スリット状の排紙口12が形成されている。また、装置ケース11の上面には、インクリボンRを収容したリボンカートリッジCを装着すると共に、メンテナンスのための開閉蓋14が取り付けられている。
【0033】
図3に示すように、付箋紙束Hは、裏面の基端部を部分糊付けした複数の付箋紙H1から構成されている。付箋紙H1は、付箋紙束Hから1枚ずつ剥離可能に構成されていると共に、剥離後に、この基端部の糊付け部H1bを介して、手帳等に再貼着可能に構成されている。
【0034】
付箋紙プリンタ2は、付箋紙束Hをセットする付箋紙ホルダ21と、セットした付箋紙束Hの最上位の付箋紙H1を捲り上げた後、付箋紙H1を引き剥がして排紙口12に向かって搬送する付箋紙送り手段22(用紙送り手段)と、サーマルヘッド31(印刷ヘッド)およびプラテンローラ32により搬送されてゆく付箋紙H1に印刷を行う印刷手段23と、印刷に供されるインクリボンRを送るリボン送り手段24と、プラテンローラ32をサーマルヘッド31に離接させる離接手段25と、を備え、これらは上記した装置ケース11内に収容されている。また、付箋紙プリンタ2は、サーマルヘッド31からプラテンローラ32が離間したことを検出する検出センサ26(検出手段)を備えている。
【0035】
付箋紙ホルダ21は、上面を開放すると共にボックス状に形成された付箋紙束ケース41と、付箋紙束ケース41に収容され、付箋紙束Hを水平に載置する載置ステージ42と、で構成され、載置ステージ42と付箋紙束ケース41の底面との間には、載置ステージ42を上方に付勢するコイルバネ43が介設されている。また、付箋紙ホルダ21は、装着ケース11に対し、引き出し式で装着する構成となっており、付箋紙導入開口13を介して着脱自在に装着する。このため、付箋紙束Hの交換または取替えを行う際には、付箋紙ホルダ21ごと取り出して、付箋紙束Hをセットする。
【0036】
付箋紙束ケース41は、載置ステージ42を案内する四周枠状のケース本体44と、ケース本体44の上端部に設けられ、付箋紙束Hの先端部Haおよび基端部Hbを押さえるよう内向きに突設された位置規制部45と、で形成されている。
【0037】
載置ステージ42は、平板状に形成され、コイルバネ43により上方に付勢されており、これにセットされた付箋紙束Hは、付箋紙H1が1枚ずつ送られて目減りしても、位置規制部45、45により、その最上位に位置する付箋紙H1の高さレベルが一定となっている。このとき、付箋紙束Hをセットした位置が、付箋紙送り手段22により捲り上げられるピックアップ位置101となる。
【0038】
これにより、付箋紙束ケース41の上方から付箋紙束Hを載置ステージ42上にセットすると、付箋紙束Hは、コイルバネ43により上方に付勢されると共に、その先端部Haおよび基端部Hbが位置規制部45により、水平に載置された状態でピックアップ位置101に位置規制される。
【0039】
付箋紙送り手段22は、送りローラ51と、従動ローラ52と、回動アーム53と、駆動モータ54と、減速歯車列55(動力伝達手段)とを備えている。送りローラ51は、ピックアップ位置101に臨んだ付箋紙束Hの最上位の付箋紙H1に転接してこれを捲り上げると共に捲り上げた付箋紙H1を引き剥がし、捲り上げた付箋紙H1を従動ローラ52との間で挟持する。回動アーム53は、送りローラ51を、付箋紙H1を捲り上げるピックアップ位置101と付箋紙H1を従動ローラ52と挟持する挟持位置102との間で移動させる。駆動モータは、送りローラ51および回動アーム53の駆動源であり、減速歯車列55は、駆動モータ54の駆動力を送りローラ51および回動アーム53に伝達する。また、駆動モータ54には、付箋紙H1の送り量を計測するカウンタ56が設けられており、付箋紙H1の送り量に合わせて1カウントずつインクリメントしている。
【0040】
送りローラ51は、捲り上げた付箋紙H1の自由端部H1a側の裏面に転接すると共に、挟持位置102において、これを引き剥がしながら回転送りするものであり、付箋紙H1に直接転接するローラ本体61と、ローラ本体61が回転するための中心軸としてのローラ駆動軸62とを有している。ローラ駆動軸62は、両端部を回動アーム53に両持ちで回転自在に保持され、減速歯車列55を介して伝達される駆動モータ54の動力により回転する(詳細は後述)。
【0041】
回動アーム53は、先端部でローラ駆動軸62を回転自在に保持すると共に、基端部を中心に回動(揺動)自在に構成されている。この回動アーム53も、上記の減速歯車列55を介して伝達される駆動モータ54の動力により、ピックアップ位置101と挟持位置102との間で移動する。
【0042】
印刷手段23は、排紙口12の近傍に配設されると共に送りローラ51と同幅に形成されたサーマルヘッド31と、サーマルヘッド31に対峙して設けられたプラテンローラ32とを有している。プラテンローラ32は、付箋紙H1の幅方向に延在するよう設けられ、送りローラ51が挟持位置102へ移動すると、上記の減速歯車列55と連結して駆動モータ54からの動力が入力されて回転するよう構成されており、送られてきた付箋紙H1に対し、搬送力を付与しながら、サーマルヘッド31により印刷を行う。このため、付箋紙H1への印刷を安定して行うことができる。また、プラテンローラ32は、後述する離接手段25により、サーマルヘッド31に接触する接触位置103とサーマルヘッド31から離間する離間位置104とを移動する(図9(e)、(g)参照)。このようにして構成された印刷手段23は、パソコン4からの制御信号により、サーマルヘッド31および駆動モータ54が制御されながら、付箋紙H1に対する印刷を行う。
【0043】
リボン送り手段24は、リボンカートリッジCと、装着されたリボンカートリッジCのインクリボンRを巻き取るリボン巻取り軸71とを有しており、リボン巻取り軸71は、送りローラ51が挟持位置102へ移動し、且つプラテンローラ32が接触位置103へ移動すると、上記の減速歯車列55と連結して駆動モータ54からの動力が入力されて回転するように構成されている。リボンカートリッジCは、インクリボンRを繰り出し自在に巻回したリボン繰出しリール72と、インクリボンRを巻き取るリボン巻取りリール73と、これらを回転自在に収容するカートリッジケース(図示省略)とから構成されている。
【0044】
開閉蓋14を開放して、このリボンカートリッジCを装着すると、インクリボンRは、サーマルヘッド31とプラテンローラ32との間に臨むと共に、リボン巻取りリール73は、リボン巻取り軸71に軸着される。そして、印刷手段23により印刷駆動が開始されると、リボン巻取り軸71は、付箋紙H1の送りに併走させて、インクリボンRの巻取り(送り)を開始するようになっている。
【0045】
離接手段25は、プラテンローラ32を支持する支持アーム81と、支持アーム81の上端面を下方に押圧する板カム82と、板カム82を回転させる離接モータ83と、を有しており、離接モータ83はパソコン4により制御されている。支持アーム81は、プラテンローラ32を接触位置103に臨ませるべく、戻しバネ(図示省略)により引き上げられており、支持アーム81の側面には、付箋紙H1の幅方向に突出し、プラテンローラ32を軸支するプラテン軸部が設けられている。また、支持アーム81の基端部は、装置ケース11に固定された回転支軸84により、回転自在に軸支されている。
【0046】
離接モータ83を駆動すると、板カム82が半回転して、その突出部分が支持アーム81の上端面を下方に押圧し、プラテンローラ32を離間位置104に臨ませる。そして更に板カム82を半回転すると、板カム82の突出部分が上方に移動し、戻しバネによりプラテンローラ32が接触位置103に戻る。このようにして、支持アーム81の基端部を中心としてプラテンローラ32を接触位置103と離間位置104とを回動する構成となっている。なお、板カム82と離接モータ83に代えて、ソレノイド86によりサーマルヘッド31にプラテンローラ32を離接させる構成としてもよい(図4参照)。この場合、ソレノイド86は、パソコン4により制御され、支持アーム81の上端面を下方に押圧するように構成されている。
【0047】
ここで、図5(a)を参照して、プラテンローラ32とリボン送り手段24の輪列構成(減速歯車列55)について詳細に説明する。減速歯車列55は、送りローラ51と、回動アーム53と、プラテンローラ32と、リボン巻取り軸71とに、駆動モータ54の動力を伝達するものであり、適宜遊星歯車を組み込んだ構成となっている。この減速歯車列55は、駆動モータ54の動力により回転すると共に最も太径に形成された主太陽歯車91と、主太陽歯車91に噛み合う第1遊星歯車92と、第1遊星歯車92が離接する第1中間歯車93と、第1中間歯車93を太陽歯車としてこれに噛み合う第2遊星歯車94と、第2遊星歯車94が離接する第2中間歯車95と、第2中間歯車95に噛み合う第3中間歯車96と、第3中間歯車96に噛み合う第4中間歯車97と、で構成されている。
【0048】
主太陽歯車91は、その軸部が、回動アーム53の基端部の軸部と同軸上に設けられ、第1遊星歯車92は、同軸上に設けられた送りローラ51へ動力を出力する。また、回動アーム53の一方は、主太陽歯車91と同軸となる第1遊星歯車92のキャリアとなっている。すなわち、第1中間歯車93に第1遊星歯車92が噛み合う位置が、送りローラ51が従動ローラ52と接触する挟持位置102となっており、第1中間歯車93から第1遊星歯車92が離れて回動アーム53が水平になった位置がピックアップ位置101となっている。このため、回動アーム53が、ピックアップ位置101と挟持位置102とを回動することにより、送りローラ51が回転しながら移動する構成となっている。なお、回動アーム53の回動動作は、上記の駆動モータ54を動力源とする図外の端面カムにより行なわれる。
【0049】
第1中間歯車93は、その軸部が、支持アーム81を軸支する回転支軸84と同軸上に設けられ、第2遊星歯車94は、同軸上に設けられたプラテンローラ32へ動力を出力する。また、支持アーム81の一部は、第1中間歯車93と同軸となる第2遊星歯車94のキャリアとなっている。すなわち、第2中間歯車95に第2遊星歯車94が噛み合う位置が、プラテンローラ32がサーマルヘッド31に接触する接触位置103となっており、第2中間歯車95から第2遊星歯車94から離れた位置が離間位置104となっている。このため、プラテンローラ32は、接触位置103および離間位置104に臨んだ状態で回転する。
【0050】
第2中間歯車95に伝達された動力は、第3中間歯車96を介して第4中間歯車97に伝達され、第4中間歯車97は、同軸上に設けられたリボン巻取り軸71へ動力を出力する。すなわち、リボン巻取り軸71には、第2中間歯車95から間接的に駆動力が入力される。なお、第4中間歯車97は、回転方向を調整するものであるため、リボン巻取り軸71は、この構成に限らず、第2中間歯車95から直接的に動力が入力される構成、つまり第2中間歯車95と同軸上に設ける構成としてもよい。
【0051】
プラテンローラ32が接触位置103に臨んだ状態で、駆動モータ54が回転すると、ピックアップ位置101に臨んだ送りローラ51は、回転しながら挟持位置102まで臨む。送りローラ51が挟持位置102に臨むと、第1遊星歯車92が第1中間歯車93に連結し、駆動モータ54の動力がプラテンローラ32へ伝達すると共に、第2中間歯車95、第3中間歯車96、を介してリボン巻取り軸71へ動力が伝達される。一方、プラテンローラ32が離間位置104に臨んだ状態では(図5(b)参照)、第2遊星歯車94が第2中間歯車95から離れるため、リボン巻取り軸71への動力が遮断される。このため、プラテンローラ32が接触位置103から離れるとリボン送り手段24によるインクリボンRの巻取りが停止する。つまり、請求項に記載のクラッチ手段は、第2遊星歯車94に相当する。
【0052】
検出センサ26は、支持アーム81の下方に設けられており、マイクロスイッチで構成されている。このため、プラテンローラ32を離間位置104に臨ませるべく、板カム82を介して支持アーム81を下方へ移動させると、支持アーム81の下端面が検出センサ26の先端に接触して、プラテンローラ32が離間位置104へ移動したことを検出する。この構成により、機械的な故障により、サーマルヘッド31とプラテンローラ32とが接触している状態で、付箋紙H1の空送りが行なわれることはない。なお、検出センサ26は、マイクロスイッチに限らず、フォトインタラプタ等の光センサを用いても良い。
【0053】
ここで、図6を参照して、付箋紙プリントシステム1の制御系について説明する。付箋紙プリントシステム1は、パソコン4により付箋紙プリンタ2の情報処理および各種駆動を制御しており、付箋紙プリンタ2は、サーマルヘッド31により印刷駆動を行う印刷部111と、駆動モータ54により付箋紙束Hから付箋紙H1を引き剥がすと共に引き剥がした付箋紙H1を装置外部に送る送り部112と、離接モータ83によりプラテンローラ32を接触位置103と離間位置104とに移動させる離接部113と、検出センサ26によりプラテンローラ32の離間位置104への移動を検出する検出部114と、を有している。一方、パソコン4は、操作部115と、制御部116を有しており、操作部115は、キーボード6およびマウス7からのデータ入力や、各種情報のディスプレイ8への表示など、ユーザインタフェースとして機能する。制御部116は、操作部115および付箋紙プリンタ2の情報処理および各部を制御するとともに、付箋紙プリントシステム1全体を制御している。また、パソコン4は、印刷データから非印刷区間データを取得する非印刷区間取得手段と、印刷データの印刷ドット数に基づいて付箋紙送り手段の付箋紙送り開始からの付箋紙の送り量を算出する送り量算出手段と、を有しており、非印刷区間取得手段および送り量算出手段は、制御部116により主要部が構成されている。
【0054】
制御部116は、CPU121(Central Processing Unit)と、ROM122(Read Only Memory)と、RAM123(Random Access Memory)と、CD−ROM9と、入力制御装置124(IOC:Input Output Controller)とを備え、互いに内部バス125により接続されている。付箋紙プリントシステム1内の各部からIOC124を介して各種信号・データが入力されると、CPU121は、CD−ROM9内に記憶されたアプリケーションソフトにしたがって、入力された各種信号・データに基づいて、RAM123内の各種データを処理し、IOC124を介して付箋紙プリントシステム1内の各部に各種信号データを出力する。
【0055】
ここで、図7(a)を参照して非印刷区間取得手段により印刷データからキャラクタ画像Pの非印刷区間データを取得(換算)する構成について説明する。この印刷データとは、キャラクタ画像Pとキャラクタ画像Pの位置データとから構成されるものである。キャラクタ画像Pの位置データから、付箋紙H1の先端から最初のキャラクタ画像Pの印刷が開始される印刷開始位置131までの前余白ドット数L1および最後のキャラクタ画像Pの印刷が終了する印刷終了位置132から付箋紙H1の後端までの後余白ドット数L3をそれぞれ取得する。このときの前余白ドット数L1の値が、付箋紙に対して印刷を開始する印刷開始ドット数Xaとなる。次に、キャラクタ画像Pの送り方向の長さから印刷区間に相当するキャラクタ印刷ドット数L2を取得し、キャラクタ印刷ドット数L2と前余白ドット数L1とを加算して、付箋紙H1に対して印刷を終了する印刷終了ドット数Xbを算出する。さらに、前余白ドット数L1と、キャラクタ印刷ドット数L2と、後余白ドット数L3と、を加算して、付箋紙H1の先端から後端までの総送りドット数Xcを算出する。つまり、付箋紙H1の送り方向の先端がサーマルヘッド31に臨んでから印刷開始位置131がサーマルヘッド31に臨むまでの印刷開始ドット数Xaおよび印刷終了位置132がサーマルヘッド31に臨んでから付箋紙H1が排紙されるまでの総送りドット数Xcから印刷終了ドット数Xbを減算した値(Xc−Xb)が非印刷区間データとなる。
【0056】
ここで図8を参照して制御フローを説明する。ユーザからの印刷指示がなされると(S01)、プラテンローラ32が離間位置104に移動し、非印刷区間取得手段により印刷開始ドット数Xaおよび印刷終了ドット数Xbを取得する(S02、S03)。そして、付箋紙送り手段22により付箋紙H1の先端がサーマルヘッド31に臨むまで用紙送りを行い、付箋紙送り手段22のカウンタ56のカウント数Cnをリセットする(S04)。カウンタ56のカウント数Cnのリセット後に付箋紙H1の送りを開始する(S05)。このとき、カウンタ56は、付箋紙H1の1ドットの送り量に対して1カウントずつカウント数をインクリメントしていく。このカウント数Cnが、印刷開始ドット数Xaに達するまで、付箋紙送り手段22は付箋紙H1を送りする(S06)。つまり、付箋紙H1の先端がサーマルヘッド31に臨んでから付箋紙H1に印刷が開始されるまでは、プラテンローラ32とサーマルヘッド31とが開放された状態で付箋紙H1の送りが行われる。また、上述したようにプラテンローラ32が離間位置104にあるときは、駆動モータ54の駆動力がリボン巻取り軸71に伝達されないため、インクリボンRの走行も停止される。
【0057】
続いてカウント数Cnが印刷開始ドット数Xaを超えると、離接手段25がプラテンローラ32を接触位置103に移動する(S07)。そして、付箋紙H1の印刷送りを開始する(S08)。カウント数Cnが、印刷終了ドット数Xbに達するまで、付箋紙送り手段22は付箋紙H1を印刷送りする(S09)。つまり、付箋紙H1の印刷開始から印刷終了までは、プラテンローラ32とサーマルヘッド31とにより付箋紙H1を挟持した状態で送られる。このとき、プラテンローラ32が接触位置103にあるので、駆動モータ54の駆動力がリボン巻取り軸71に伝達されるため、インクリボンRは付箋紙H1に併走する。
【0058】
カウント数Cnが印刷終了ドット数Xbを超えると、離接手段25がプラテンローラ32を離間位置104に移動する(S10)。これにより、プラテンローラ32とサーマルヘッド31とが開放され、インクリボンRの走行も停止する。この状態で、カウント数Cnが総送りドット数Xcに達するまで付箋紙H1を送り、排紙口12から排紙する(S11)。なお、前余白ドット数L1および後余白ドット数L3が所定の設定値(ドット数)に満たない場合には、サーマルヘッド31とプラテンローラ32と離接させないように制御してもよい。
【0059】
次に、図9を参照して、上記した印刷制御に基づいて、付箋紙H1を印刷送りする一連の動作について具体的に説明する。印刷待機状態において、送りローラ51は、ピックアップ位置101にあり、付箋紙ホルダ21にセットされた付箋紙束Hの最上位の付箋紙H1の表面に転接している(図9(a)参照)。
【0060】
次に、板カム82の突出部分が下方に移動し支持アーム81を押し下げて、検出センサ26によりプラテンローラ32が離間位置104に移動したことを検知すると、送りローラ51を回転させて付箋紙H1の捲り上げ動作を開始する(図9(b)参照)。付箋紙H1は、表面の自由端部H1a側に転接する送りローラ51が回転することで、その長手方向の中間部が次第に上方へと湾曲するように撓んで付箋紙H1が捲りあがってゆく。また、支持アーム81の押下に連動して、リボン巻取り軸71への駆動力を遮断する。
【0061】
捲り上がっていく付箋紙H1の先端が送りローラ51の下側を通過した直後に、送りローラ51が回転しながら上へ移動して付箋紙束Hから離間すると、付箋紙H1は、送りローラ51の回転力により、送りローラ51の上側に撥ね上げられ、付箋紙H1の自由端部H1aが送りローラ51に乗り上げる(図9(c)参照)。
【0062】
付箋紙H1を載せた送りローラ51は、続いて、回転(自転)しながら挟持位置102に移動(公転)する(図9(d)参照)。送りローラ51が挟持位置102に達して従動ローラ52との間に付箋紙H1を挟持すると、送りローラ51は、捲り上げた付箋紙H1を付箋紙束Hから引き剥がし、引き剥がされた付箋紙H1は、送りローラ51およびプラテンローラ32により、サーマルヘッド31に向かって搬送されてゆく(図9(e)参照)。
【0063】
そして、付箋紙H1の印刷区間(印刷開始位置131)がサーマルヘッド31に臨むと、板カム82の突出部分が上方に移動し、戻りバネにより支持アーム81を引き上げ、プラテンローラ32をサーマルヘッド31に接触させ、付箋紙H1に印刷を開始する(図9(f)参照)。
【0064】
付箋紙の非印刷区間(印刷終了位置132)がサーマルヘッド31に臨むと(図9(g)参照)、板カム82の突出部分が再度下方に移動し、支持アーム81を押し下げる。そして、印刷済みの付箋紙H1は、送りローラ51およびプラテンローラ32により排紙口12に向かって搬送されてゆく。
【0065】
そして、付箋紙H1の糊付け部H1bがプラテンローラ32に達したところで、送りローラ51は、挟持位置102からピックアップ位置101に下動する(図9(h)参照)。この後、ユーザが排紙口12に排紙された付箋紙H1を取り去ることで、印刷された付箋紙H1を得ることが可能となる。
【0066】
このように、本実施形態に係る付箋紙プリントシステム1では、付箋紙H1の送り方向における複数の非印刷区間がサーマルヘッド31に臨むと、サーマルヘッド31とプラテンローラ32との間を開放すると共にインクリボンRを停止した状態で付箋紙H1を送る。このため、非印刷区間ではインクリボンRが送られることがなく、複数の非印刷区間の長さに対応するインクリボンRの浪費を抑制することができ、ユーザのランニングコストを低減することができる。また、付箋紙H1とインクリボンRとを離間させた状態で送るので付箋紙H1とインクリボンRとの摩擦により付箋紙H1の表面が汚れたり、あるいはインクリボンRが強制的に引き出されることがない。なお、誤って付箋紙束Hを表裏逆にセットした場合にも、付箋紙H1の送り方向における余白(非印刷区間)を付箋紙H1の片端に存在する糊付け部H1bより広くとれば、付箋紙H1の糊付け部H1bをインクリボンRから離間した状態で送ることができる。
【0067】
なお、送り量算出手段は、印刷ドット数に限らず、モータの回転量や付箋紙H1の送り速度および時間により算出する構成から付箋紙の送り量を算出する構成としてもよい。モータの回転量で管理する場合には、駆動モータ54をステッピングモータおよびエンコーダ付モータにすれば制御を容易にすることができる。また、送り速度および送り時間により管理する場合は、送り速度および送り時間により付箋紙H1の送り距離を算出し、送り距離に基づいて制御を行うことができる。
【0068】
さらに、図7(b)に示すように付箋紙H1に複数のキャラクタ画像P(本実施形態では3つ)を印刷する場合の非印刷区間データの取得(換算)について説明する。この場合、各キャラクタ画像Pの位置データからそれぞれのキャラクタ画像Pに対して付箋紙H1の先端から最初のキャラクタ画像Pの印刷が開始されるまでの印刷開始ドット数Xa1、Xa2、Xa3および印刷終了ドット数Xb1、Xb2、Xb3をそれぞれ算出する。つまり、この場合は、前余白のドット数の値にあたるXa1、各キャラクタ画像Pの非印刷区間のドット数の値にあたるXa2−Xb1、Xa3−Xb2、後余白のドット数の値にあたるXc−Xb3が非印刷区間データとなる。なお、上記の非印刷区間データが所定の設定値(ドット数)に満たない場合には、サーマルヘッド31とプラテンローラ32とを離接させないように制御してもよい。
【0069】
本実施形態では、付箋紙束Hを用いたが、これに代えて、固定端面を接着したメモパッド等を用いることも可能である。また、本実施形態では、プラテンローラ32を移動する構成としたが、サーマルヘッド31を移動させてもよい。さらに、リボン送り手段24が別の動力で駆動している場合は、検出センサ26の検出に基づいて、リボン送り手段24の動力を停止させる構成としてもよい。
【0070】
上記の例に示した、付箋紙プリントシステム1の各部(各機能)をプログラムとして提供することも可能である。また、そのプログラムを記録媒体(図示省略)に格納して提供することも可能である。記録媒体としては、CD−ROM、フラッシュROM、メモリカード(コンパクトフラッシュ(登録商標)、スマートメディア、メモリースティック等)、光磁気ディスク、デジタルバーサタイルディスクおよびフレキシブルディスク等を利用することができる。
【0071】
次に、図10を参照して、第2実施形態に係る付箋紙プリントシステム1について説明する。なお、重複した記載を避けるため、異なる部分いついてのみ説明する。この付箋紙プリントシステム1は、第1実施形態の付箋紙プリンタ2とは異なり、プラテンローラ32が送りローラ51を兼ねており、プラテンローラ32を接触位置から退避するための押圧ローラ143を備えた構成となっている。回動アーム53には、長孔に形成された軸受部141と、ローラ駆動軸62に当接してプラテンローラ32を接触位置103側に付勢する付勢バネ142と、が設けられている。また、離接手段25は、排紙口12の近傍に配設されており、プラテンローラ32に転接すると共にプラテンローラ32を離間位置104に位置規制する押圧ローラ143と、押圧ローラ143をプラテンローラ32に離接させるためのローラ移動手段144と、上記の付勢バネ142で構成されている。さらに、装置ケース11前面には、排紙口12を境にケース内部から外部に延在し、プラテンローラ32から付箋紙H1が受け渡される受け部145が形成されている。
【0072】
ローラ移動手段144は、ピックアップ位置101と接触位置103との間で移動するプラテンローラ32の移動軌跡上の押圧位置151(図11(e)参照)に押圧ローラ143を臨ませるよう構成されており、押圧ローラ143を支持する移動ロッド161と、移動ロッド161の上端面を下方に押圧する板カム82と、板カム82を回転させる離接モータ83と、を有しており、離接モータ83は、パソコン4により制御されている。また、移動ロッド161は、押圧ローラ143をプラテンローラ32の移動軌跡上から外れた押圧解除位置152(図11(f)参照)に臨ませるべく、戻しバネ(図示省略)により引き上げられている。また、移動ロッド161には、検出センサ26をスイッチングする検出突起部164が突設されている。
【0073】
そして、移動ロッド161が押し下げられて、押圧ローラ143が押圧位置151に臨むとプラテンローラ32は、付勢バネ142に抗して軸受部141の下方にスライド移動して離間位置104に位置規制される(図11(e)参照)。一方、移動ロッド161が引き上げられて、押圧ローラ143が押圧解除位置152に臨むとプラテンローラ32は、付勢バネ142の付勢により、軸受部141の上方にスライド移動してプラテンローラ32を接触位置103に臨ませる(図11(f)参照)。
【0074】
ここで、図11を参照して、付箋紙H1を印刷送りする一連の動作について説明する。印刷待機状態において、プラテンローラ32は、ピックアップ位置101にあり、付箋紙ホルダ21にセットされた付箋紙束Hの最上位の付箋紙H1の表面に転接している(図11(a)参照)。一方、押圧ローラ143は、押圧解除位置152にあり、プラテンローラ32から離間した状態となっている。
【0075】
次に板カム82の突出部分が、移動ロッド161を介して押圧ローラ143を押圧すると、検出突起部164が検出センサ26を押し下げる。パソコン4が、検出センサ26によりプラテンローラ32が離間位置104に移動したことを検出すると、プラテンローラ32を回転させて付箋紙H1の捲上げ動作を開始する(図11(b)参照)。また、押圧ローラ143の押下に連動して、リボン巻取り軸71への駆動力を遮断する。
【0076】
さらにプラテンローラ32を回転させると、付箋紙H1は、プラテンローラ32の上側に撥ね上げられ、付箋紙H1の先端部がプラテンローラ32に乗り上げる(図11(c)参照)。
【0077】
付箋紙H1を載せたプラテンローラ32は、続いて、回転(自転)しながら接触位置103に向かって上方に移動(公転)する(図11(d)参照)。すると、押圧位置151に移動した押圧ローラ143にプラテンローラ32が当接して離間位置104に位置規制される。プラテンローラ32が離間位置104に達して押圧ローラ143との間に付箋紙H1を挟持すると、プラテンローラ32は、捲り上げた付箋紙H1を付箋紙束Hから引き剥がし、排紙口12に向かって搬送する(図11(e)参照)。
【0078】
そして、付箋紙H1の印刷区間(印刷開始位置131)がサーマルヘッド31に臨むと、板カム82の突出部分が上方に移動し、戻りバネにより移動ロッド161を介して押圧ローラ143を引き上げ、プラテンローラ32をサーマルヘッド31に接触させ、付箋紙H1に印刷を開始する(図11(f)参照)。
【0079】
付箋紙H1の非印刷区間(印刷終了位置132)がサーマルヘッド31に臨むと(図11(g)参照)、板カム82の突出部分が再度下方に移動し、押圧ローラ143を押し下げる。そして、印刷済みの付箋紙H1は、押圧ローラ143とプラテンローラ32とに挟持されて排紙口12に送られる。
【0080】
そして、付箋紙H1の糊付け部H1bがプラテンローラ32に達したところで(図11(h)参照)、プラテンローラ32は、ピックアップ位置101に向かって移動し、付箋紙H1は、受け部145に受け渡される。この後、ユーザが排紙口12に排紙された付箋紙H1を取り去ることで、付箋紙H1を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】付箋紙プリントシステムの全体図である。
【図2】付箋紙プリンタの外観斜視図である。
【図3】付箋紙プリンタの断面の一例を示す模式図である。
【図4】付箋紙プリンタの断面の他の一例を示す模式図である。
【図5】クラッチ手段および減速歯車列に関する模式図である。
【図6】付箋紙プリントシステムの制御ブロック図である。
【図7】(a)は、キャラクタ画像の単一の非印刷区間を表す非印刷区間データ、(b)はキャラクタ画像の複数の非印刷区間を表す非印刷区間データを示す図である。
【図8】付箋紙プリントシステムによる印刷処理のフローチャートである。
【図9】付箋紙プリンタによる一連の動作を示す説明図である。
【図10】第2実施形態における付箋紙プリンタの断面の一例を示す模式図である。
【図11】第2実施形態における付箋紙プリンタによる一連の動作を示す説明図である。
【符号の説明】
【0082】
1…付箋紙プリントシステム(印刷システム) 2…付箋紙プリンタ 3…パソコン(制御端末) 22…付箋紙送り手段(用紙送り手段) 23…印刷手段 24…リボン送り手段 25…離接手段 26…検出センサ(検出手段) 31…サーマルヘッド 32…プラテンローラ 54…駆動モータ 103…接触位置 104…離間位置 H…付箋紙束 H1…付箋紙 P…キャラクタ画像 R…インクリボン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を送る用紙送り手段と、
プラテンローラおよび印刷ヘッドを有し、ヘッド位置において送られてゆく前記用紙およびインクリボンを前記プラテンローラと前記印刷ヘッドとの間に挟持して印刷を行う印刷手段と、
前記印刷ヘッドに対し前記プラテンローラを、前記印刷ヘッドに接触する接触位置と前記印刷ヘッドに接触しない離間位置とに相対的に移動させる離接手段と、
前記用紙に印刷される1以上のキャラクタから成るキャラクタ画像と当該キャラクタ画像の用紙上の位置データとから成る印刷データから、前記用紙の送り方向における前記キャラクタ画像の非印刷区間データを取得する非印刷区間取得手段と、
前記用紙送り手段、前記印刷手段、前記離接手段および前記非印刷区間取得手段を制御する印刷制御手段と、を備え、
前記印刷制御手段は、前記非印刷区間データに基づいて、送られてゆく前記用紙における非印刷区間が前記印刷ヘッドを通過する間、前記プラテンローラを前記離間位置に相対的に移動させることを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
前記印刷ヘッドに対し、前記プラテンローラが前記離間位置に相対的に移動したことを検出する検出手段と、
送られてゆく前記用紙に前記インクリボンを併走させるリボン送り手段と、を備え、
前記印刷制御手段は、前記検出手段により前記プラテンローラが前記離間位置に相対的に移動したことを検出したときに、前記リボン送り手段を制御して前記インクリボンの送りを停止することを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記リボン送り手段は、
前記インクリボンを巻き取るリボン巻取り軸と、
駆動源となる駆動手段と、
前記プラテンローラの移動に伴って、前記リボン巻取り軸に前記駆動手段の駆動力を伝達または遮断するクラッチ手段と、を有し、
前記クラッチ手段は、前記離接手段に連動し、前記プラテンローラが前記接触位置から離間することで前記駆動力を遮断して前記インクリボンの送りを停止することを特徴とする請求項2に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記非印刷区間データに基づいて前記用紙送り手段の用紙送り開始からの用紙送り量を算出する送り量算出手段をさらに備え、
前記印刷制御手段は、前記非印刷区間が前記印刷ヘッドに臨むことを、算出した前記用紙送り量に基づいて制御することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の印刷システム。
【請求項5】
前記送り量算出手段は、印刷ドットのドット数から前記用紙送り量を算出することを特徴とする請求項4に記載の印刷システム。
【請求項6】
前記用紙送り手段は、ステッピングモータおよびエンコーダ付モータの一方のモータを有しており、
前記送り量算出手段は、前記モータの回転量から前記用紙送り量を算出することを特徴とする請求項4に記載の印刷システム。
【請求項7】
前記送り量算出手段は、前記用紙送り手段における用紙送り速度および用紙送り時間から前記用紙送り量を算出することを特徴とする請求項4に記載の印刷システム。
【請求項8】
複数の前記非印刷区間は、前記用紙における前余白および後余白のすくなくとも一方を含んでいることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の印刷システム。
【請求項9】
前記用紙は、一端を糊付けした多数枚の付箋紙から成る付箋紙束から引き剥がされた付箋紙であることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の印刷システム。
【請求項10】
前記用紙送り手段、前記リボン送り手段、前記印刷手段、前記離接手段および前記検出手段、を備えた用紙プリンタと、
前記非印刷区間取得手段、前記印刷制御手段および送り量算出手段を備えると共に、前記用紙プリンタに接続し前記用紙プリンタの制御を含む情報処理を行う情報処理端末と、から成ることを特徴とする請求項4ないし9のいずれかに記載の印刷システム。
【請求項11】
請求項1ないし9のいずれかに記載の印刷システムの全ての手段を備えたことを特徴とする用紙プリンタ。
【請求項12】
用紙を送る用紙送り手段と、プラテンローラおよび印刷ヘッドを有し、ヘッド位置において送られてゆく前記用紙およびインクリボンを前記プラテンローラと前記印刷ヘッドとの間に挟持して印刷を行う印刷手段と、前記印刷ヘッドに対し前記プラテンローラを、前記印刷ヘッドに接触する接触位置と前記印刷ヘッドから離れる離間位置とに相対的に移動させる離接手段と、を備えた印刷システムの制御方法において、
前記用紙に印刷されるキャラクタ画像と当該キャラクタ画像の用紙上の位置データとから成る印刷データから、前記用紙の送り方向における前記キャラクタ画像の非印刷区間データを取得するデータ取得工程と、
取得した前記非印刷区間データに基づいて、送られてゆく前記用紙における非印刷区間が前記印刷ヘッドを通過する間、前記プラテンローラを前記離間位置に相対的に移動させる印刷制御工程と、を備えたことを特徴とする印刷システムの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−55802(P2008−55802A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−236784(P2006−236784)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】