印刷物
【課題】印刷物にホログラム画像等の光輝性層を有する偽造防止対策層を備え、その印刷物のカラーコピー機などによる複製防止と偽造および改竄を極めて困難にして不正行為を防止し、且つ、安全性を高めるように構成した抽選券、株券、債券、商品券などの印刷物に関する。
【解決手段】
株券、債券、商品券などの印刷物において、シート状の基材の所定箇所に偽造対策層が設けてあり、該偽造対策層と該基材とに跨った領域に該基材を貫通する又は未貫通の微細孔からなる微細孔パターンが設けてあることを特徴とする印刷物。
【解決手段】
株券、債券、商品券などの印刷物において、シート状の基材の所定箇所に偽造対策層が設けてあり、該偽造対策層と該基材とに跨った領域に該基材を貫通する又は未貫通の微細孔からなる微細孔パターンが設けてあることを特徴とする印刷物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷物にホログラム画像等の光輝性層を有する偽造防止対策層を備え、その印刷物のカラーコピー機などによる複製防止と偽造および改竄を極めて困難にして不正行為を防止し、且つ、安全性を高めるように構成した抽選券、株券、債券、商品券などの印刷物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カラーコピー機を用いた印刷物の複製事件等が問題となっている。特に、紙幣(日本銀行券)についてはコピー機側での画像認識により複写できないようになっている。
【0003】
しかしながら、株券や債券、商品券などの法人発行の印刷物については対象物が多く、コピー機のメーカー側では効果的な対策を施すことができないのが現状である。そのため、ホログラム画像等を備えたシール、金属蒸着膜シールなどの偽造防止用の転写層を印刷物の券面の一部領域若しくは全面に貼着した、有価証券および抽選券(例えば、特許文献1参照。)が知られている。
【0004】
この有価証券および抽選券はロール状の光重合フォトポリマーにリップマンホログラムを作製し、拡散剤を塗布したロール状フィルムを光重合フォトポリマーに密着させて加熱を行なう。そして、光重合フォトポリマーに記録されている干渉縞の間隔を変化させて再生波長をシフトすることによりホログラムが作製される。
【0005】
さらに、作製されたホログラムを、有価証券本体の一部若しくは全面に転写して成る有価証券において、上記ホログラムとして、拡散剤を塗布したロール状フィルムを光重合フォトポリマーに密着する前、若しくは密着後加熱する前に、当該拡散剤を塗布したロール状フィルムに紫外線露光を行ない、再生波長の異なるパターンを生成させることにより、連続番号,文字,図形等の各々異なる個別情報を連続的に記録してなるホログラムを備えたことを特徴としている。
【0006】
上述したようなシールなどを転写するだけでは、この転写層を用紙の相関剥離などを利用して剥し、他の印刷物の券面に貼り替え実際に購入した金額より高額の券に改ざんされている。
【0007】
また、最近の偽造紙幣のように、印刷物における用紙を表裏2枚に分割して改ざんするなどに対しては全く効果がないため、印刷物等の用紙の一部領域に複数の貫通孔を設け、該貫通孔を隠蔽するように用紙の表裏から、光輝性層を有するシール状転写層を熱転写したことを特徴とする偽造防止策を施した印刷物(例えば、特許文献2参照。)が知られている。
【0008】
この偽造防止策を施した印刷物は用紙の一部領域に複数の貫通孔を設け、該貫通孔を隠蔽するように用紙の表裏面から、光輝性層を有し、且つ、前記用紙強度以上の強度を有するシール状転写層を熱転写している。そして、シール状転写層の接着剤を転写の際の熱により溶融させて、この貫通孔に埋め込み、用紙を強化する。
【0009】
以下に先行技術文献を示す。
【特許文献1】特開平7−149088号公報
【特許文献2】特開平9−30172号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1の有価証券および抽選券はホログラムを備えていることにより偽装や改竄を防止している。しかし、上述したように有価証券や抽選券等の印刷用紙等の表裏あるいは中間層部分等を分割して改竄することが出来るという問題がある。
【0011】
また、特許文献2の偽造防止策を施した印刷物は用紙の一部領域に複数の貫通孔を設け、該貫通孔を隠蔽するように用紙の表裏面から、光輝性層を有し、かつ、前記用紙強度以上の強度を有するシール状転写層を熱転写する。そして、熱転写の熱によってシール状転写層の接着剤で貫通孔を固着させるという素晴らしい発明である。
【0012】
しかし、偽造防止策として設けた貫通孔が固着することによって、特許文献1で上述しような用紙等の表裏あるいは中間層部分等を分割し易くなるという問題がある。そして、より偽造を困難とさせるために形成した貫通孔を施す作業が無意味で無駄となるという問題がある。
【0013】
さらに、貫通孔が固着されるため、表裏面を隠蔽するシール状転写層を通して貫通孔からの光等を確認することが難しくなるという問題がある。そして、偽造あるいは改竄された有価証券であるかどうかを確認する方法や機器の選択等が容易に出来ないという問題がある。
【0014】
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、偽造や改竄が困難であり、且つ、偽造や改竄されたものかが、高価で特殊の機器等を用いることなく容易に判別できる。そして、効率良く大量生産が可能な偽造防止策が施されている印刷物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記問題点を解決するために、本発明の請求項1に係る発明は、
シート状の基材の所定箇所に偽造対策層が設けてあり、該偽造対策層と該基材とに跨った領域に該基材を貫通する又は未貫通の微細孔からなる微細孔パターンが設けてあることを特徴とする印刷物である。
【0016】
次に、本発明の請求項2に係る発明は、
前記シート状の基材を貫通する又は未貫通の微細孔が垂直又は斜めに設けてあることを特徴とする請求項1に記載の印刷物である。
【0017】
次に、本発明の請求項3に係る発明は、
前記微細孔パターンが、イラストか文字か絵柄または図形形状に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の印刷物である。
【0018】
次に、本発明の請求項4に係る発明は、
前記偽造対策層は光輝性を有する転写層または金属光沢部材から形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の印刷物。
【発明の効果】
【0019】
本発明の印刷物は以上の構成からなるのでカラーコピー機等で複写した場合、偽造対策層が設けられているのでオリジナルと違って複写される。そして、複製した場合でも真偽鑑定が容易に可能となる。
【0020】
微細孔パターンが貫通する又は未貫通の微細孔で形成されるため、その組み合わせ方法により、隠蔽情報、管理情報等が一層増加する。そして、偽造や改竄等を施すことが困難となる。
【0021】
また、偽造対策層を剥がそうとした場合、シート状の基材に形成されている貫通する又は未貫通の微細孔の一部が破壊される。さらに、微細孔パターンも破壊し、外観等の見栄えが悪くなる。そして、偽造や改竄等を施したものであることが一目できる。
【0022】
また、シート状の基材の貫通する又は未貫通の微細孔が垂直または斜めに形成されているため、印刷物に光等を通しただけで、真偽鑑定が容易に可能となる。
【0023】
また、シート状の基材上にOCR番号等の製造、販売管理番号と連動させて微細孔パターンを形成することもできる。そして、偽造や改竄等を施すことが困難となる。さらに、偽造や改竄等を施したものかの、真偽鑑定が容易である。
【0024】
また、シート状の基材に設けられている微細孔の表面または裏面あるいは表裏両面にホログラムなどの光輝性を有する偽造対策層を設けることにより、その部分及びその周辺の一部領域の、シート状の基材強度を強くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の印刷物を実施の形態に沿って以下に図面を参照にしながら詳細に説明する。
【0026】
図1は、本発明の印刷物の一実施例を示す概略図である。また、図2〜図7は図1のA部分を説明するための拡大図である。
【0027】
本発明の印刷物とは、株券、債券、宝くじ、または商品券等の有価証券の類、各種の証明書、あるいは、その他の印刷物であって、特に偽造防止策を必要とする印刷物である。そして、本発明の印刷物は不正使用等を行っても容易に、鑑定することができる。さらに、不正使用者に偽造・改鼠等が行われていることを説得し易い。
【0028】
このため、図1に示すように本発明の印刷物はシート状の基材1上に製造管理や販売管理等等の情報を管理するためのOCR番号2が形成されている。また、シート状の基材1の全面または一部領域に図2〜図7に示すような複数の貫通する又は未貫通の微細孔30、40からなる微細孔パターン4が形成されている。そして、この微細孔パターン4の一部がストライプ状の偽造対策層3で覆われている。
【0029】
前記微細孔30、40とは、貫通した孔、または、未貫通の孔のいずれでも良く、その開口部は、シート状の基材の表側、裏側、または、両側のいずれでも良い。
【0030】
また、前記偽造対策層とは、代表例として、表面レリーフ型のホログラム(または回析格子)が挙げられ、特に、光学効果を高める反射性薄膜が設けてあるものが好ましい。これら以外にも例えば、光学薄膜による光干渉を応用して観察する角度によって色が変化する多層薄膜とか、金属材料を用いた反射膜、等が挙げられる。
【0031】
例えば、反射性薄膜が設けてある表面レリーフ型のホログラム(または回析格子)の場合は、回析構造に係る微細な凹凸と反射性薄膜の組み合わせによる光学作用の為に、単に印刷物を観察しただけでは微細孔30、40の存在を視認することが困難である。しかし、この印刷物を光に翳して(またはバックライトに当てて)観察した場合は微細孔30、40の存在を視認できる。この効果を簡単な真偽判定の手法として応用できる。
【0032】
前記シート状の基材1の全面または一部領域に複数の貫通する又は未貫通の微細孔30、40からなる微細孔パターン4の一部を覆うホログラムあるいは、金属光沢などの光輝性を有する偽造対策層3を設ける。この偽造対策層3を設けることにより、設けた部分及びその周辺の一部領域の、シート状の基材1強度を強くすることができる。
【0033】
また、前記シート状の基材1の全面または一部領域に設けられている、複数の貫通する又は未貫通の微細孔30、40の大きさは、特に限定するものではないが、解像度400〜00dpi程度または直径10μm〜1000μm程度が好適である。また、微細孔30、40の間隔、ピッチ、領域等は微細孔30、40からなる微細孔パターン4等によって適宜選択される。さらに、同一シート状の基材1に形成される微細孔30、40の大きさは全て同一直径であっても、各々の直径が異なっていても良い。
【0034】
また、前記シート状の基材1の一部領域または全面に形成される複数の貫通する又は未貫通の微細孔30、40の形成はCO2レーザやYAGレーザあるいは穿孔用プレスまたはミシン目、針等を用いた微細穴あけ装置などを用いることができる。そして、シート状の基材1に微細孔30、40からなる微細孔パターン4を形成する。前記微細孔パターン4の形成は、例えば、微細孔30、40の大きさ、数(個数)、形状および微細孔パターン4の形状、大きさ等によって装置や方法が適宜選択される。
【0035】
さらに、シート状の基材1の一部領域または全面に形成される複数の貫通する又は未貫通の微細孔30、40からなる微細孔パターン4として、イラスト、文字、絵柄、図形形状などが挙げられる。そして、この微細孔パターン4の一部をホログラムなどの光輝性を有する偽造対策層3で覆う。
【0036】
前記偽造対策層3を形成することにより、印刷物の偽造・改鼠がより一層防止され、且つ、不正使用等を行っても容易に、鑑定することができる。そして、不正使用者に偽造・改鼠等をしていることを説得し易い。
【0037】
また、前記偽造対策層3の形成は、支持体に光輝性を有する転写層が連続した層として形成され、シート状の基材1に加熱加圧された形に転写されるように設計しても良い。また、金属光沢などが形成できるインキを用いてオフセット印刷方法、グラビア印刷方法、フレキソ印刷方法あるいはダイレクトグラビアロ−ルコ−ト方法、グラビアロ−ルコ−ト方法、リバ−スロ−ルコ−ト方法、フォンテン方法、トランスファ−ロ−ルコ−ト方法等で形成しても良い。
【0038】
前記シート状の基材1に加熱加圧された形に転写される転写層は図14(a)に示すように支持体50の上に個別に設けて加熱加圧された形に転写されるように設計しても良い。
【0039】
前記支持体50に形成されているホログラムの転写層9は図14(b)に示すように上層に剥離層8を形成し、該剥離層8上にホログラム形成層7を設け、該ホログラム形成層7上に反射性薄膜層6、該反射性薄膜層6上に接着層5が形成されている。そして、シート状の基材1に跨る一部の微細孔パターン4面上に接着層5と反射性薄膜層6とホログラム形成層7と剥離性層8が順次積層されている転写層9が加熱加圧転写により偽造対策層3として覆われる。
【0040】
また、前記支持体50に形成されているホログラムの転写層9の構成は特に限定されるものではない。例えば、前記ホログラム形成層7を設け、該ホログラム形成層7上にホログラムを形成した後、該ホログラム形成層7上に透過性薄膜層を形成し、該透過性薄膜層
上に反射性薄膜層6、該反射性薄膜層6上に接着層5を形成したものでも良い。さらに、剥離層8とホログラム形成層7との間には図示しない保護層を設けることもできる。
【0041】
前記反射性薄膜層6は、光輝性を有する金属蒸着層、金、銀インキ層、金属箔などのいずれかにより形成されている。そして、複写時にコピー機の光源を乱反射させる光輝性画像を形成した転写層9が作製される。
【0042】
また、前記支持体50は転写層9のベースシートであり、ある程度の剛性および表面の平滑性を有していればよく、とくに限定されるものではなく、例えば、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリオレフィンフィルム等の高分子樹脂フィルムがあげられる。
【0043】
次に剥離層8を形成するが、剥離層8はとくに限定されるものではなく、後加工において安定性を有していればよい。例えば、熱可塑性アクリル樹脂、塩化ゴム系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、セルロース系樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂あるいはこれらにオイルシリコン、脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛を添加したものがある。また無機物であってもよい。剥離層8は図14(a)に示すように転写時にパターン状に転写されるように形成してもよく、目視して判別がつくように、特定の模様・マーク・文字などをパターンとして用いることができ、それぞれ用途に応じて任意に選択できる。
【0044】
また、剥離層8の形成は上記樹脂または上記樹脂の混合物等を塗料化し、バーコート、ブレードコート、エアナイフコート、グラビアコート、ロールコート等のソルベントコート法、或いはスクリーン印刷方法等の既知の塗布方法による塗布をして乾燥することにより、厚さ1〜2μm程度の樹脂層を形成する。
【0045】
また、図示されていない保護層は用途、目的に応じて、種々ある組成物から選択することができ、例えば、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコールまたはポリエチレンテレフタレートなどのプラスチックなどの光学的に透明なものが積層される。
【0046】
次にホログラム形成層7を形成するが、ホログラム形成層7は、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレートなどの熱硬化性樹脂或いはこれらの混合物、さらにはラジカル重合性不飽和基を有する熱成形性物質などが挙げられる。そして、ホログラム画像が形成することが可能な安定性を有するものであれば、いずれのものであっても良い。ホログラム画像はとくに限定されないが、例えば0.5〜2μm程度の微小な凹凸により像を表現するレリーフ型ホログラムなどがある。
【0047】
また、ホログラム形成層7上に、図には示していないが透過性薄膜層を形成しても良い。透過性薄膜層は、ホログラムの使用条件を左右する重要な構成要素であり、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等により形成できる。
【0048】
次に、反射性薄膜層6を形成するが、この反射性薄膜層6は屈折率の異なるセラミックを交互に特定の膜厚で複数層積層したものであり、例えば、低屈折率層として、酸化マグネシウム(屈折率n=1.6)、二酸化珪素(n=1.5)、フッ化マグネシウム(n=1.4)、フッ化カルシウム(n=1.3〜1.4)、フッ化セリウム(n=1.6)、フッ化アルミニウム(n=1.3)、酸化アルミニウム(n=1.6)のうちの一つと、高屈折率層7として、二酸化チタン(n=2.4)、二酸化ジルコニウム(n=2.0)
、硫化亜鉛(n=2.3)、酸化亜鉛(n=2.1)、酸化インジウム(n=2.0)、二化セリウム(n=2.3)、酸化タンタル(n=2.1)のうちの一つとを所定の膜厚で積層させた複合層である。この透明蒸着層は、上記の組み合わせからなる層を複数設けることもできる。
【0049】
前記反射性薄膜層6は所定の波長領域の光線を反射あるいは透過させること、ならびに見る角度を変えることにより薄膜内の光路長が変化し、透過光或いは反射光の色が変わって見えるものである。これにより偽造防止性を発揮するものである。
【0050】
また、前記反射性薄膜層6は膜厚の制御が可能であれば、いかなる成膜方法も用いることが可能である。なかでも薄膜の生成には乾式法が優れており、これには通常の真空蒸着法、スパッタリング等の物理的気相析出法やCVD法のような化学的気相析出法を用いることができる。
【0051】
次に、反射性薄膜層6上に、接着層5を形成するが、反射性薄膜層6に接する場合はこれを変質させたり、冒すものでなければ通常用いられるものでよく、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル系接着剤、ポリエステル系ポリアミドなどがあるが、特にこれらに限定されるものではない。また、接着層2はパターン状に形成してもよく、目視して判別がつくものであればよく、特定の模様・マーク・文字などを用いることができ、それぞれ用途に応じて任意に選択できる。
【0052】
そして、接着層5は、例えば、上記アクリル系樹脂、ビニール系樹脂等を主成分とし、上述したコート法で厚さは0.5〜2μm程度に形成される。
【0053】
また、転写層9の接着層5を形成する接着剤としては、転写層9の接着強度がシート状の基材1のそれを上回るものであることが前提条件となる。そして、加熱加圧により転写層9をシート状の基材1に転写する場合には、常温では接着性はないが加熱されると活性化して接着性が発現するもので、加熱温度が低下しても接着力を持続するタイプである。
【0054】
例えば、ポリエステル、アクリル、塩化ビニルなどを適宜な溶剤でワニス化した熱可塑性樹脂接着剤が用いられる。そして、上述したコート法で、厚さは2〜20μm程度に形成される。
【0055】
前記接着剤は転写層9を転写する際に、熱圧着ローラー、或いは加熱プレスにより転写層9の支持体50側より熱転写する。そして、接着剤が溶融してシート状の基材1に形成されている複数の微細孔の一部を覆う状態で転写層9がしっかりと密着させるとともに、シート状の基材1に加熱加圧により固着し、一体化される。
【0056】
前記転写層9がシート状の基材1に加熱加圧により固着し、一体化することにより転写層9を剥そうとすると、相関剥離現象が起きず綺麗に剥離することができない。すなわち、表面あるいは表裏面の転写層9を1枚づつに分割することが難しい。さらに、無理に剥がそうとすると、表面あるいは表裏面のいずれかの側に転写された転写層9のいずれかの層が破壊されて再現することができない。
【0057】
次に、図2および図3は本発明の印刷物の一実施例である図1のA部を説明するための拡大図である。
【0058】
図2および図3に示すように複数の貫通する又は未貫通の微細孔30、40からなる微細孔パターン4は偽造対策層3とシート状の基材1とに跨った領域に形成されている。
【0059】
図2はストライプ状の偽造対策層3下に一連続番号(123)の一部である微細孔パターン4が複数の未貫通の微細孔30で形成されている。また、図3は複数の貫通する又は未貫通の微細孔30、40からなる微細孔パターン4で形成されている一連続番号の、二つの番号の一部分を跨ぐ状態でストライプ状の偽造対策層3が形成されている。
【0060】
このため、ストライプ状の偽造対策層3が形成されている複数の貫通する又は未貫通の微細孔30、40によりなる微細孔パターン4部分及びその周辺の強度が増す。さらに、微細な針等を用いても偽造・改竄等が困難となる。
【0061】
また、図2に示すようにB−B′線上の微細孔パターン4の貫通する又は未貫通の微細孔30、40は図10〜図13に示すように形成することができる。
【0062】
図10は図2のB−B′線断面の一実施例を示す。また図11は図2のB−B′線断面の他の一実施例であり、図12は図2のB−B′線断面のまた他の一実施例を示す。さらに、図13は図2のB−B′線断面のさらに他の一実施例を示す。
【0063】
例えば、図10に示すように、シート状の基材1に貫通する又は未貫通の微細孔30、40を垂直に形成した後、加熱加圧により転写層9からなる偽造対策層3を形成しても良い。また、貫通する又は未貫通の微細孔30、40を図12または図13に示すように斜めに形成しても良い。
【0064】
また、シート状の基材1に、加熱加圧により転写層9からなる偽造対策層3を形成し後、図11および図13に示すように転写層9からなる偽造対策層3上から図11に示すような垂直、あるいは図13に示すような斜めの貫通する又は未貫通の微細孔30、40を形成しても良い。
【0065】
前記斜めの貫通する又は未貫通の微細孔30、40をシート状の基材1等に形成することにより、シート状の基材1の、基材層の目的とする層間部分から分割して偽造あるいは改竄することが困難となる。そして、分割されたことが容易に目視できる。
【0066】
さらに、斜めの微細孔30、40が形成されていることにより、光などの光源を所定の角度に形成してあてることにより、真偽鑑定が容易に可能となる。そして、不正使用者に偽造・改鼠等をしていることを説得し易い。
【0067】
また、転写層9等を貫通する又は未貫通の微細孔30、40の大きさは、特に限定するものではないが、上述したシート状の基材1に形成した大きさと同様であっても良い。
【0068】
さらに、同一シート状の基材1に形成される転写層9等を貫通する又は未貫通の微細孔30、40の大きさは全て同一直径であっても、各々の直径が異なっていても良い。
【0069】
また、転写層9を貫通する又は未貫通の微細孔30、40は図には示していないがシート状の基材1を貫通しても良い。
【0070】
前記転写層9等を貫通する又は未貫通の微細孔30、40はCO2レーザやYAGレーザあるいは穿孔用プレスまたはミシン目、針等を用いた微細穴あけ装置等、上述したシート状の基材1に貫通する又は未貫通の微細孔30、40を形成する装置等が用いられる。そして、シート状の基材1の材質や厚さあるいは目的、使用方法などによって装置や方法が適宜選択される。
【0071】
次に、図4および図5は本発明の印刷物の一実施例である図1のA部分の他の拡大図である。
【0072】
図4および図5に示すように、複数の貫通する又は未貫通の微細孔30、40からなる微細孔パターン4がシート状の基材1に形成されている。そして、一連続番号(123)を形成し、その中央の微細孔パターン4にストライプ状の偽造対策層3が設けられている。
【0073】
また、図4は微細孔パターン4で形成されている一連続番号(123)の左右の番号(1、3)が全て未貫通の微細孔30で形成されている。また、中央の微細孔パターン4の番号(2)は未貫通の微細孔30と2つの貫通する微細孔40から形成されている。
【0074】
さらに、図5は一連続番号(123)の左右の番号(1、3)が全て貫通する微細孔40で形成され、中央の微細孔パターン4の番号(2)は貫通する微細孔40と2つの未貫通の微細孔30から形成されている。
【0075】
このように、一連続番号(123)で形成されていても、1つの番号の中で複数の貫通する又は未貫通の微細孔30、40からなる微細孔パターン4を形成することにより、より一層、偽造・改竄が困難となる。さらに、この微細孔パターン4は通常の観察では貫通する又は未貫通の微細孔30、40であるかが判別し難いが、ライトテーブル等を用いることにより容易に判別することができる。
【0076】
そして、前記微細孔パターン4は微細孔パターン4自体の数値の他に、チェックデジット9DSRによって算出されるOCR番号の数値をももっている。
【0077】
前記チェックデジット9DSRによって算出されるOCR番号の数値について説明する。図6は微細孔パターン4の〈2〉の拡大を示す微細孔の説明図である。そして、微細孔の一部に振られている符号(10〜19)は、チェックデジット9DSRによって算出されるOCR番号を説明するためのものである。
【0078】
例えば、図7に示す微細孔パターン4の〈2〉は図6の符号の12と14が貫通する微細孔40であり、他が未貫通の微細孔30から形成されている。この場合、チェックデジット9DSRによって、微細孔パターン4自体の〈2〉の数値の他に〈3〉と〈5〉のOCR番号の数値が算出される。
【0079】
上記のようにストライプ状の偽造対策層3で覆われている微細孔パターン4の複数の貫通する又は未貫通の微細孔30、40がチェックデジット9DSRによって、微細孔パターン4自体の数値のほかに、OCR番号の数値を表す事が容易にでき、且つ、容易に算出できる。
【0080】
上記のようにストライプ状の偽造対策層3で覆われている微細孔パターン4をはじめ、複数の貫通する又は未貫通の微細孔30、40がチェックデジット9DSRによって、微細孔パターン4自体の数値のほかに、OCR番号等の数値を表すことができる。このため、偽造・改鼠等が困難であることはもとより、真偽鑑定が容易にできる。そして、不正使用者に偽造・改鼠等をしていることを説得し易い。
【0081】
次に、図8および図9は本発明の印刷物の一実施例である図1のA部分のまた他の拡大図である。
【0082】
図8に示すように複数の貫通する又は未貫通の微細孔30、40からなる微細孔パター
ン4から形成されている一連続番号(123)は、左右の番号(1、3)が全て貫通する微細孔40で形成されている。また、中央のストライプ状の偽造対策層3で覆われている微細孔パターン4の〈2〉は、未貫通の微細孔30と図6に示す12の微細孔の1つが貫通する微細孔40から形成されている。
【0083】
そして、中央の微細孔パターン4の〈2〉は、チェックデジット9DSRによってOCR番号の〈3〉の数値を表すことができる。
【0084】
次に、図9は、複数の貫通する又は未貫通の微細孔30、40からなる微細孔パターン4で一連続番号(222)の全ての番号が〈2〉で形成されている。また、左と中央の微細孔パターン4の〈2〉は、1つの貫通する微細孔40で形成されている。さらに、右の微細孔パターン4の〈2〉は、3つの貫通する微細孔40と11の未貫通の微細孔30から形成されている。
【0085】
また、中央の微細孔パターン4の〈2〉にストライプ状の偽造対策層3が設けられている。この微細孔パターン4の〈2〉は、図6に示す15の微細孔の1つが貫通する微細孔40から形成されている。そして、この〈2〉は、チェックデジット9DSRによってOCR番号の〈6〉の数値を表すことができる。
【0086】
次に、本発明の印刷物に用いられるシート状の基材1は印刷物としての使用に耐えうる機械特性、耐水性、耐薬品性、シート状の基材面を印刷形成するための印刷特性等が要求される。
【0087】
また、使用される環境等によって、プラスチックフィルムないしシート、アイボリー紙、ポストカード、上質紙、アート紙、コート紙等の紙、合成紙、金属箔、アルミニウム箔、あるいはそれらの複合体などを用いることができる。そして、特に限定されるものではない。
【0088】
前記紙に耐水性、耐薬品性を附与する方法としては紙を抄造加工時に行なう方法と抄造加工された紙に含浸あるいは塗工する方法がある。
【0089】
例えば、紙を抄造加工時に行なう方法で添加される耐水剤は、通常、抄紙前のパルプ縣濁液に内添する内添耐水剤であり、湿潤紙力増強剤として、尿素―ホルムアルデヒド樹脂、メラミンーホルムアルデヒド樹脂、エポキシ化ポリアミド樹脂、ポリエチレンイミン樹脂、ジアルデヒドでんぷん、グリオキザール化ポリアクリルアミド樹脂等がある。この耐水剤の添加量は、使用するパルプの種類、薬剤の種類や目的とする耐水性により異なる。
【0090】
また、抄造加工された紙に耐水性を附与す二次加工用薬剤としては、価格あるいは性能等のバランスが優れているカルナバワックス、バラフィン系ワックス、ポリエチレンワックス等のワックスが多く使用されている。
【0091】
また、水に不溶なポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、エチレンー酢酸ビニル共重合体、塩化ビニリデンー酢酸ビニル共重合体などの高分子溶液あるいはエマルジョンが用いられる。
【0092】
また、抄造加工された紙に耐水性を附与す二次加工用薬剤としては、価格あるいは性能等のバランスが優れているカルナバワックス、バラフィン系ワックス、ポリエチレンワックス等のワックスが多く使用されている。
【0093】
また、水に不溶なポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、エチレンー
酢酸ビニル共重合体、塩化ビニリデンー酢酸ビニル共重合体などの高分子溶液あるいはエマルジョンが用いられる。
【0094】
また、上記抄造加工された紙に耐水剤あるいは耐油剤等の加工に際しては、ロールコーター、エアナイフコーター、メタリングバーコーター、ファウンテンブレードコーター、ベベルブレードコーター、ショート・ドゥエルコーターあるいはカーテンコーター等、特に限定されないが、いずれかの適宜の塗工機を用いて紙の表側面、あるいは裏側面、または両側面に塗工が施される。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明の印刷物は抽選券、株券、債券、商品券等の有価証券の類、各種の証明書等の偽造防止策を有する印刷物として優れていることはもとより、医薬品、精密部材等の模造品の防止用包装部材等にも使用できる素晴らしい発明である。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の印刷物の一実施例の平面を示す概略図である。
【図2】図1のA部分を説明するための拡大図である。
【図3】図1のA部分を説明するための拡大図である。
【図4】図1のA部分を説明するための拡大図である。
【図5】図1のA部分を説明するための拡大図である。
【図6】微細孔パターンの〈2〉の拡大を示す微細孔の説明図である。
【図7】微細孔パターンの〈2〉の拡大を示す他の微細孔の説明図である。
【図8】図1のA部分を説明するための拡大図である。
【図9】図1のA部分を説明するための拡大図である。
【図10】図2のB−B′線断面の一実施例の断面を示す断面図である。
【図11】図2のB−B′線断面の他の一実施例の断面を示す断面図である。
【図12】図2のB−B′線断面のまた他の一実施例の断面を示す断面図である。
【図13】図2のB−B′線断面のさらに他の一実施例の断面を示す断面図である。
【図14】(a)は本発明の印刷物に偽造対策層として転写される転写層を説明するための概略図であり、(b)は(a)を説明するための拡大概略図である。
【符号の説明】
【0097】
1…シート状の基材
2…OCR番号
3…偽造対策層
4…微細孔パターン
5…接着層
6…反射薄膜層
7…ホログラム形成層
8…剥離層
9…転写層
10…微細孔
30…微細孔(未貫通))
40…微細孔(貫通)
50…支持体
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷物にホログラム画像等の光輝性層を有する偽造防止対策層を備え、その印刷物のカラーコピー機などによる複製防止と偽造および改竄を極めて困難にして不正行為を防止し、且つ、安全性を高めるように構成した抽選券、株券、債券、商品券などの印刷物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カラーコピー機を用いた印刷物の複製事件等が問題となっている。特に、紙幣(日本銀行券)についてはコピー機側での画像認識により複写できないようになっている。
【0003】
しかしながら、株券や債券、商品券などの法人発行の印刷物については対象物が多く、コピー機のメーカー側では効果的な対策を施すことができないのが現状である。そのため、ホログラム画像等を備えたシール、金属蒸着膜シールなどの偽造防止用の転写層を印刷物の券面の一部領域若しくは全面に貼着した、有価証券および抽選券(例えば、特許文献1参照。)が知られている。
【0004】
この有価証券および抽選券はロール状の光重合フォトポリマーにリップマンホログラムを作製し、拡散剤を塗布したロール状フィルムを光重合フォトポリマーに密着させて加熱を行なう。そして、光重合フォトポリマーに記録されている干渉縞の間隔を変化させて再生波長をシフトすることによりホログラムが作製される。
【0005】
さらに、作製されたホログラムを、有価証券本体の一部若しくは全面に転写して成る有価証券において、上記ホログラムとして、拡散剤を塗布したロール状フィルムを光重合フォトポリマーに密着する前、若しくは密着後加熱する前に、当該拡散剤を塗布したロール状フィルムに紫外線露光を行ない、再生波長の異なるパターンを生成させることにより、連続番号,文字,図形等の各々異なる個別情報を連続的に記録してなるホログラムを備えたことを特徴としている。
【0006】
上述したようなシールなどを転写するだけでは、この転写層を用紙の相関剥離などを利用して剥し、他の印刷物の券面に貼り替え実際に購入した金額より高額の券に改ざんされている。
【0007】
また、最近の偽造紙幣のように、印刷物における用紙を表裏2枚に分割して改ざんするなどに対しては全く効果がないため、印刷物等の用紙の一部領域に複数の貫通孔を設け、該貫通孔を隠蔽するように用紙の表裏から、光輝性層を有するシール状転写層を熱転写したことを特徴とする偽造防止策を施した印刷物(例えば、特許文献2参照。)が知られている。
【0008】
この偽造防止策を施した印刷物は用紙の一部領域に複数の貫通孔を設け、該貫通孔を隠蔽するように用紙の表裏面から、光輝性層を有し、且つ、前記用紙強度以上の強度を有するシール状転写層を熱転写している。そして、シール状転写層の接着剤を転写の際の熱により溶融させて、この貫通孔に埋め込み、用紙を強化する。
【0009】
以下に先行技術文献を示す。
【特許文献1】特開平7−149088号公報
【特許文献2】特開平9−30172号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1の有価証券および抽選券はホログラムを備えていることにより偽装や改竄を防止している。しかし、上述したように有価証券や抽選券等の印刷用紙等の表裏あるいは中間層部分等を分割して改竄することが出来るという問題がある。
【0011】
また、特許文献2の偽造防止策を施した印刷物は用紙の一部領域に複数の貫通孔を設け、該貫通孔を隠蔽するように用紙の表裏面から、光輝性層を有し、かつ、前記用紙強度以上の強度を有するシール状転写層を熱転写する。そして、熱転写の熱によってシール状転写層の接着剤で貫通孔を固着させるという素晴らしい発明である。
【0012】
しかし、偽造防止策として設けた貫通孔が固着することによって、特許文献1で上述しような用紙等の表裏あるいは中間層部分等を分割し易くなるという問題がある。そして、より偽造を困難とさせるために形成した貫通孔を施す作業が無意味で無駄となるという問題がある。
【0013】
さらに、貫通孔が固着されるため、表裏面を隠蔽するシール状転写層を通して貫通孔からの光等を確認することが難しくなるという問題がある。そして、偽造あるいは改竄された有価証券であるかどうかを確認する方法や機器の選択等が容易に出来ないという問題がある。
【0014】
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、偽造や改竄が困難であり、且つ、偽造や改竄されたものかが、高価で特殊の機器等を用いることなく容易に判別できる。そして、効率良く大量生産が可能な偽造防止策が施されている印刷物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記問題点を解決するために、本発明の請求項1に係る発明は、
シート状の基材の所定箇所に偽造対策層が設けてあり、該偽造対策層と該基材とに跨った領域に該基材を貫通する又は未貫通の微細孔からなる微細孔パターンが設けてあることを特徴とする印刷物である。
【0016】
次に、本発明の請求項2に係る発明は、
前記シート状の基材を貫通する又は未貫通の微細孔が垂直又は斜めに設けてあることを特徴とする請求項1に記載の印刷物である。
【0017】
次に、本発明の請求項3に係る発明は、
前記微細孔パターンが、イラストか文字か絵柄または図形形状に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の印刷物である。
【0018】
次に、本発明の請求項4に係る発明は、
前記偽造対策層は光輝性を有する転写層または金属光沢部材から形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の印刷物。
【発明の効果】
【0019】
本発明の印刷物は以上の構成からなるのでカラーコピー機等で複写した場合、偽造対策層が設けられているのでオリジナルと違って複写される。そして、複製した場合でも真偽鑑定が容易に可能となる。
【0020】
微細孔パターンが貫通する又は未貫通の微細孔で形成されるため、その組み合わせ方法により、隠蔽情報、管理情報等が一層増加する。そして、偽造や改竄等を施すことが困難となる。
【0021】
また、偽造対策層を剥がそうとした場合、シート状の基材に形成されている貫通する又は未貫通の微細孔の一部が破壊される。さらに、微細孔パターンも破壊し、外観等の見栄えが悪くなる。そして、偽造や改竄等を施したものであることが一目できる。
【0022】
また、シート状の基材の貫通する又は未貫通の微細孔が垂直または斜めに形成されているため、印刷物に光等を通しただけで、真偽鑑定が容易に可能となる。
【0023】
また、シート状の基材上にOCR番号等の製造、販売管理番号と連動させて微細孔パターンを形成することもできる。そして、偽造や改竄等を施すことが困難となる。さらに、偽造や改竄等を施したものかの、真偽鑑定が容易である。
【0024】
また、シート状の基材に設けられている微細孔の表面または裏面あるいは表裏両面にホログラムなどの光輝性を有する偽造対策層を設けることにより、その部分及びその周辺の一部領域の、シート状の基材強度を強くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の印刷物を実施の形態に沿って以下に図面を参照にしながら詳細に説明する。
【0026】
図1は、本発明の印刷物の一実施例を示す概略図である。また、図2〜図7は図1のA部分を説明するための拡大図である。
【0027】
本発明の印刷物とは、株券、債券、宝くじ、または商品券等の有価証券の類、各種の証明書、あるいは、その他の印刷物であって、特に偽造防止策を必要とする印刷物である。そして、本発明の印刷物は不正使用等を行っても容易に、鑑定することができる。さらに、不正使用者に偽造・改鼠等が行われていることを説得し易い。
【0028】
このため、図1に示すように本発明の印刷物はシート状の基材1上に製造管理や販売管理等等の情報を管理するためのOCR番号2が形成されている。また、シート状の基材1の全面または一部領域に図2〜図7に示すような複数の貫通する又は未貫通の微細孔30、40からなる微細孔パターン4が形成されている。そして、この微細孔パターン4の一部がストライプ状の偽造対策層3で覆われている。
【0029】
前記微細孔30、40とは、貫通した孔、または、未貫通の孔のいずれでも良く、その開口部は、シート状の基材の表側、裏側、または、両側のいずれでも良い。
【0030】
また、前記偽造対策層とは、代表例として、表面レリーフ型のホログラム(または回析格子)が挙げられ、特に、光学効果を高める反射性薄膜が設けてあるものが好ましい。これら以外にも例えば、光学薄膜による光干渉を応用して観察する角度によって色が変化する多層薄膜とか、金属材料を用いた反射膜、等が挙げられる。
【0031】
例えば、反射性薄膜が設けてある表面レリーフ型のホログラム(または回析格子)の場合は、回析構造に係る微細な凹凸と反射性薄膜の組み合わせによる光学作用の為に、単に印刷物を観察しただけでは微細孔30、40の存在を視認することが困難である。しかし、この印刷物を光に翳して(またはバックライトに当てて)観察した場合は微細孔30、40の存在を視認できる。この効果を簡単な真偽判定の手法として応用できる。
【0032】
前記シート状の基材1の全面または一部領域に複数の貫通する又は未貫通の微細孔30、40からなる微細孔パターン4の一部を覆うホログラムあるいは、金属光沢などの光輝性を有する偽造対策層3を設ける。この偽造対策層3を設けることにより、設けた部分及びその周辺の一部領域の、シート状の基材1強度を強くすることができる。
【0033】
また、前記シート状の基材1の全面または一部領域に設けられている、複数の貫通する又は未貫通の微細孔30、40の大きさは、特に限定するものではないが、解像度400〜00dpi程度または直径10μm〜1000μm程度が好適である。また、微細孔30、40の間隔、ピッチ、領域等は微細孔30、40からなる微細孔パターン4等によって適宜選択される。さらに、同一シート状の基材1に形成される微細孔30、40の大きさは全て同一直径であっても、各々の直径が異なっていても良い。
【0034】
また、前記シート状の基材1の一部領域または全面に形成される複数の貫通する又は未貫通の微細孔30、40の形成はCO2レーザやYAGレーザあるいは穿孔用プレスまたはミシン目、針等を用いた微細穴あけ装置などを用いることができる。そして、シート状の基材1に微細孔30、40からなる微細孔パターン4を形成する。前記微細孔パターン4の形成は、例えば、微細孔30、40の大きさ、数(個数)、形状および微細孔パターン4の形状、大きさ等によって装置や方法が適宜選択される。
【0035】
さらに、シート状の基材1の一部領域または全面に形成される複数の貫通する又は未貫通の微細孔30、40からなる微細孔パターン4として、イラスト、文字、絵柄、図形形状などが挙げられる。そして、この微細孔パターン4の一部をホログラムなどの光輝性を有する偽造対策層3で覆う。
【0036】
前記偽造対策層3を形成することにより、印刷物の偽造・改鼠がより一層防止され、且つ、不正使用等を行っても容易に、鑑定することができる。そして、不正使用者に偽造・改鼠等をしていることを説得し易い。
【0037】
また、前記偽造対策層3の形成は、支持体に光輝性を有する転写層が連続した層として形成され、シート状の基材1に加熱加圧された形に転写されるように設計しても良い。また、金属光沢などが形成できるインキを用いてオフセット印刷方法、グラビア印刷方法、フレキソ印刷方法あるいはダイレクトグラビアロ−ルコ−ト方法、グラビアロ−ルコ−ト方法、リバ−スロ−ルコ−ト方法、フォンテン方法、トランスファ−ロ−ルコ−ト方法等で形成しても良い。
【0038】
前記シート状の基材1に加熱加圧された形に転写される転写層は図14(a)に示すように支持体50の上に個別に設けて加熱加圧された形に転写されるように設計しても良い。
【0039】
前記支持体50に形成されているホログラムの転写層9は図14(b)に示すように上層に剥離層8を形成し、該剥離層8上にホログラム形成層7を設け、該ホログラム形成層7上に反射性薄膜層6、該反射性薄膜層6上に接着層5が形成されている。そして、シート状の基材1に跨る一部の微細孔パターン4面上に接着層5と反射性薄膜層6とホログラム形成層7と剥離性層8が順次積層されている転写層9が加熱加圧転写により偽造対策層3として覆われる。
【0040】
また、前記支持体50に形成されているホログラムの転写層9の構成は特に限定されるものではない。例えば、前記ホログラム形成層7を設け、該ホログラム形成層7上にホログラムを形成した後、該ホログラム形成層7上に透過性薄膜層を形成し、該透過性薄膜層
上に反射性薄膜層6、該反射性薄膜層6上に接着層5を形成したものでも良い。さらに、剥離層8とホログラム形成層7との間には図示しない保護層を設けることもできる。
【0041】
前記反射性薄膜層6は、光輝性を有する金属蒸着層、金、銀インキ層、金属箔などのいずれかにより形成されている。そして、複写時にコピー機の光源を乱反射させる光輝性画像を形成した転写層9が作製される。
【0042】
また、前記支持体50は転写層9のベースシートであり、ある程度の剛性および表面の平滑性を有していればよく、とくに限定されるものではなく、例えば、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリオレフィンフィルム等の高分子樹脂フィルムがあげられる。
【0043】
次に剥離層8を形成するが、剥離層8はとくに限定されるものではなく、後加工において安定性を有していればよい。例えば、熱可塑性アクリル樹脂、塩化ゴム系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、セルロース系樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂あるいはこれらにオイルシリコン、脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛を添加したものがある。また無機物であってもよい。剥離層8は図14(a)に示すように転写時にパターン状に転写されるように形成してもよく、目視して判別がつくように、特定の模様・マーク・文字などをパターンとして用いることができ、それぞれ用途に応じて任意に選択できる。
【0044】
また、剥離層8の形成は上記樹脂または上記樹脂の混合物等を塗料化し、バーコート、ブレードコート、エアナイフコート、グラビアコート、ロールコート等のソルベントコート法、或いはスクリーン印刷方法等の既知の塗布方法による塗布をして乾燥することにより、厚さ1〜2μm程度の樹脂層を形成する。
【0045】
また、図示されていない保護層は用途、目的に応じて、種々ある組成物から選択することができ、例えば、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコールまたはポリエチレンテレフタレートなどのプラスチックなどの光学的に透明なものが積層される。
【0046】
次にホログラム形成層7を形成するが、ホログラム形成層7は、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレートなどの熱硬化性樹脂或いはこれらの混合物、さらにはラジカル重合性不飽和基を有する熱成形性物質などが挙げられる。そして、ホログラム画像が形成することが可能な安定性を有するものであれば、いずれのものであっても良い。ホログラム画像はとくに限定されないが、例えば0.5〜2μm程度の微小な凹凸により像を表現するレリーフ型ホログラムなどがある。
【0047】
また、ホログラム形成層7上に、図には示していないが透過性薄膜層を形成しても良い。透過性薄膜層は、ホログラムの使用条件を左右する重要な構成要素であり、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等により形成できる。
【0048】
次に、反射性薄膜層6を形成するが、この反射性薄膜層6は屈折率の異なるセラミックを交互に特定の膜厚で複数層積層したものであり、例えば、低屈折率層として、酸化マグネシウム(屈折率n=1.6)、二酸化珪素(n=1.5)、フッ化マグネシウム(n=1.4)、フッ化カルシウム(n=1.3〜1.4)、フッ化セリウム(n=1.6)、フッ化アルミニウム(n=1.3)、酸化アルミニウム(n=1.6)のうちの一つと、高屈折率層7として、二酸化チタン(n=2.4)、二酸化ジルコニウム(n=2.0)
、硫化亜鉛(n=2.3)、酸化亜鉛(n=2.1)、酸化インジウム(n=2.0)、二化セリウム(n=2.3)、酸化タンタル(n=2.1)のうちの一つとを所定の膜厚で積層させた複合層である。この透明蒸着層は、上記の組み合わせからなる層を複数設けることもできる。
【0049】
前記反射性薄膜層6は所定の波長領域の光線を反射あるいは透過させること、ならびに見る角度を変えることにより薄膜内の光路長が変化し、透過光或いは反射光の色が変わって見えるものである。これにより偽造防止性を発揮するものである。
【0050】
また、前記反射性薄膜層6は膜厚の制御が可能であれば、いかなる成膜方法も用いることが可能である。なかでも薄膜の生成には乾式法が優れており、これには通常の真空蒸着法、スパッタリング等の物理的気相析出法やCVD法のような化学的気相析出法を用いることができる。
【0051】
次に、反射性薄膜層6上に、接着層5を形成するが、反射性薄膜層6に接する場合はこれを変質させたり、冒すものでなければ通常用いられるものでよく、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル系接着剤、ポリエステル系ポリアミドなどがあるが、特にこれらに限定されるものではない。また、接着層2はパターン状に形成してもよく、目視して判別がつくものであればよく、特定の模様・マーク・文字などを用いることができ、それぞれ用途に応じて任意に選択できる。
【0052】
そして、接着層5は、例えば、上記アクリル系樹脂、ビニール系樹脂等を主成分とし、上述したコート法で厚さは0.5〜2μm程度に形成される。
【0053】
また、転写層9の接着層5を形成する接着剤としては、転写層9の接着強度がシート状の基材1のそれを上回るものであることが前提条件となる。そして、加熱加圧により転写層9をシート状の基材1に転写する場合には、常温では接着性はないが加熱されると活性化して接着性が発現するもので、加熱温度が低下しても接着力を持続するタイプである。
【0054】
例えば、ポリエステル、アクリル、塩化ビニルなどを適宜な溶剤でワニス化した熱可塑性樹脂接着剤が用いられる。そして、上述したコート法で、厚さは2〜20μm程度に形成される。
【0055】
前記接着剤は転写層9を転写する際に、熱圧着ローラー、或いは加熱プレスにより転写層9の支持体50側より熱転写する。そして、接着剤が溶融してシート状の基材1に形成されている複数の微細孔の一部を覆う状態で転写層9がしっかりと密着させるとともに、シート状の基材1に加熱加圧により固着し、一体化される。
【0056】
前記転写層9がシート状の基材1に加熱加圧により固着し、一体化することにより転写層9を剥そうとすると、相関剥離現象が起きず綺麗に剥離することができない。すなわち、表面あるいは表裏面の転写層9を1枚づつに分割することが難しい。さらに、無理に剥がそうとすると、表面あるいは表裏面のいずれかの側に転写された転写層9のいずれかの層が破壊されて再現することができない。
【0057】
次に、図2および図3は本発明の印刷物の一実施例である図1のA部を説明するための拡大図である。
【0058】
図2および図3に示すように複数の貫通する又は未貫通の微細孔30、40からなる微細孔パターン4は偽造対策層3とシート状の基材1とに跨った領域に形成されている。
【0059】
図2はストライプ状の偽造対策層3下に一連続番号(123)の一部である微細孔パターン4が複数の未貫通の微細孔30で形成されている。また、図3は複数の貫通する又は未貫通の微細孔30、40からなる微細孔パターン4で形成されている一連続番号の、二つの番号の一部分を跨ぐ状態でストライプ状の偽造対策層3が形成されている。
【0060】
このため、ストライプ状の偽造対策層3が形成されている複数の貫通する又は未貫通の微細孔30、40によりなる微細孔パターン4部分及びその周辺の強度が増す。さらに、微細な針等を用いても偽造・改竄等が困難となる。
【0061】
また、図2に示すようにB−B′線上の微細孔パターン4の貫通する又は未貫通の微細孔30、40は図10〜図13に示すように形成することができる。
【0062】
図10は図2のB−B′線断面の一実施例を示す。また図11は図2のB−B′線断面の他の一実施例であり、図12は図2のB−B′線断面のまた他の一実施例を示す。さらに、図13は図2のB−B′線断面のさらに他の一実施例を示す。
【0063】
例えば、図10に示すように、シート状の基材1に貫通する又は未貫通の微細孔30、40を垂直に形成した後、加熱加圧により転写層9からなる偽造対策層3を形成しても良い。また、貫通する又は未貫通の微細孔30、40を図12または図13に示すように斜めに形成しても良い。
【0064】
また、シート状の基材1に、加熱加圧により転写層9からなる偽造対策層3を形成し後、図11および図13に示すように転写層9からなる偽造対策層3上から図11に示すような垂直、あるいは図13に示すような斜めの貫通する又は未貫通の微細孔30、40を形成しても良い。
【0065】
前記斜めの貫通する又は未貫通の微細孔30、40をシート状の基材1等に形成することにより、シート状の基材1の、基材層の目的とする層間部分から分割して偽造あるいは改竄することが困難となる。そして、分割されたことが容易に目視できる。
【0066】
さらに、斜めの微細孔30、40が形成されていることにより、光などの光源を所定の角度に形成してあてることにより、真偽鑑定が容易に可能となる。そして、不正使用者に偽造・改鼠等をしていることを説得し易い。
【0067】
また、転写層9等を貫通する又は未貫通の微細孔30、40の大きさは、特に限定するものではないが、上述したシート状の基材1に形成した大きさと同様であっても良い。
【0068】
さらに、同一シート状の基材1に形成される転写層9等を貫通する又は未貫通の微細孔30、40の大きさは全て同一直径であっても、各々の直径が異なっていても良い。
【0069】
また、転写層9を貫通する又は未貫通の微細孔30、40は図には示していないがシート状の基材1を貫通しても良い。
【0070】
前記転写層9等を貫通する又は未貫通の微細孔30、40はCO2レーザやYAGレーザあるいは穿孔用プレスまたはミシン目、針等を用いた微細穴あけ装置等、上述したシート状の基材1に貫通する又は未貫通の微細孔30、40を形成する装置等が用いられる。そして、シート状の基材1の材質や厚さあるいは目的、使用方法などによって装置や方法が適宜選択される。
【0071】
次に、図4および図5は本発明の印刷物の一実施例である図1のA部分の他の拡大図である。
【0072】
図4および図5に示すように、複数の貫通する又は未貫通の微細孔30、40からなる微細孔パターン4がシート状の基材1に形成されている。そして、一連続番号(123)を形成し、その中央の微細孔パターン4にストライプ状の偽造対策層3が設けられている。
【0073】
また、図4は微細孔パターン4で形成されている一連続番号(123)の左右の番号(1、3)が全て未貫通の微細孔30で形成されている。また、中央の微細孔パターン4の番号(2)は未貫通の微細孔30と2つの貫通する微細孔40から形成されている。
【0074】
さらに、図5は一連続番号(123)の左右の番号(1、3)が全て貫通する微細孔40で形成され、中央の微細孔パターン4の番号(2)は貫通する微細孔40と2つの未貫通の微細孔30から形成されている。
【0075】
このように、一連続番号(123)で形成されていても、1つの番号の中で複数の貫通する又は未貫通の微細孔30、40からなる微細孔パターン4を形成することにより、より一層、偽造・改竄が困難となる。さらに、この微細孔パターン4は通常の観察では貫通する又は未貫通の微細孔30、40であるかが判別し難いが、ライトテーブル等を用いることにより容易に判別することができる。
【0076】
そして、前記微細孔パターン4は微細孔パターン4自体の数値の他に、チェックデジット9DSRによって算出されるOCR番号の数値をももっている。
【0077】
前記チェックデジット9DSRによって算出されるOCR番号の数値について説明する。図6は微細孔パターン4の〈2〉の拡大を示す微細孔の説明図である。そして、微細孔の一部に振られている符号(10〜19)は、チェックデジット9DSRによって算出されるOCR番号を説明するためのものである。
【0078】
例えば、図7に示す微細孔パターン4の〈2〉は図6の符号の12と14が貫通する微細孔40であり、他が未貫通の微細孔30から形成されている。この場合、チェックデジット9DSRによって、微細孔パターン4自体の〈2〉の数値の他に〈3〉と〈5〉のOCR番号の数値が算出される。
【0079】
上記のようにストライプ状の偽造対策層3で覆われている微細孔パターン4の複数の貫通する又は未貫通の微細孔30、40がチェックデジット9DSRによって、微細孔パターン4自体の数値のほかに、OCR番号の数値を表す事が容易にでき、且つ、容易に算出できる。
【0080】
上記のようにストライプ状の偽造対策層3で覆われている微細孔パターン4をはじめ、複数の貫通する又は未貫通の微細孔30、40がチェックデジット9DSRによって、微細孔パターン4自体の数値のほかに、OCR番号等の数値を表すことができる。このため、偽造・改鼠等が困難であることはもとより、真偽鑑定が容易にできる。そして、不正使用者に偽造・改鼠等をしていることを説得し易い。
【0081】
次に、図8および図9は本発明の印刷物の一実施例である図1のA部分のまた他の拡大図である。
【0082】
図8に示すように複数の貫通する又は未貫通の微細孔30、40からなる微細孔パター
ン4から形成されている一連続番号(123)は、左右の番号(1、3)が全て貫通する微細孔40で形成されている。また、中央のストライプ状の偽造対策層3で覆われている微細孔パターン4の〈2〉は、未貫通の微細孔30と図6に示す12の微細孔の1つが貫通する微細孔40から形成されている。
【0083】
そして、中央の微細孔パターン4の〈2〉は、チェックデジット9DSRによってOCR番号の〈3〉の数値を表すことができる。
【0084】
次に、図9は、複数の貫通する又は未貫通の微細孔30、40からなる微細孔パターン4で一連続番号(222)の全ての番号が〈2〉で形成されている。また、左と中央の微細孔パターン4の〈2〉は、1つの貫通する微細孔40で形成されている。さらに、右の微細孔パターン4の〈2〉は、3つの貫通する微細孔40と11の未貫通の微細孔30から形成されている。
【0085】
また、中央の微細孔パターン4の〈2〉にストライプ状の偽造対策層3が設けられている。この微細孔パターン4の〈2〉は、図6に示す15の微細孔の1つが貫通する微細孔40から形成されている。そして、この〈2〉は、チェックデジット9DSRによってOCR番号の〈6〉の数値を表すことができる。
【0086】
次に、本発明の印刷物に用いられるシート状の基材1は印刷物としての使用に耐えうる機械特性、耐水性、耐薬品性、シート状の基材面を印刷形成するための印刷特性等が要求される。
【0087】
また、使用される環境等によって、プラスチックフィルムないしシート、アイボリー紙、ポストカード、上質紙、アート紙、コート紙等の紙、合成紙、金属箔、アルミニウム箔、あるいはそれらの複合体などを用いることができる。そして、特に限定されるものではない。
【0088】
前記紙に耐水性、耐薬品性を附与する方法としては紙を抄造加工時に行なう方法と抄造加工された紙に含浸あるいは塗工する方法がある。
【0089】
例えば、紙を抄造加工時に行なう方法で添加される耐水剤は、通常、抄紙前のパルプ縣濁液に内添する内添耐水剤であり、湿潤紙力増強剤として、尿素―ホルムアルデヒド樹脂、メラミンーホルムアルデヒド樹脂、エポキシ化ポリアミド樹脂、ポリエチレンイミン樹脂、ジアルデヒドでんぷん、グリオキザール化ポリアクリルアミド樹脂等がある。この耐水剤の添加量は、使用するパルプの種類、薬剤の種類や目的とする耐水性により異なる。
【0090】
また、抄造加工された紙に耐水性を附与す二次加工用薬剤としては、価格あるいは性能等のバランスが優れているカルナバワックス、バラフィン系ワックス、ポリエチレンワックス等のワックスが多く使用されている。
【0091】
また、水に不溶なポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、エチレンー酢酸ビニル共重合体、塩化ビニリデンー酢酸ビニル共重合体などの高分子溶液あるいはエマルジョンが用いられる。
【0092】
また、抄造加工された紙に耐水性を附与す二次加工用薬剤としては、価格あるいは性能等のバランスが優れているカルナバワックス、バラフィン系ワックス、ポリエチレンワックス等のワックスが多く使用されている。
【0093】
また、水に不溶なポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、エチレンー
酢酸ビニル共重合体、塩化ビニリデンー酢酸ビニル共重合体などの高分子溶液あるいはエマルジョンが用いられる。
【0094】
また、上記抄造加工された紙に耐水剤あるいは耐油剤等の加工に際しては、ロールコーター、エアナイフコーター、メタリングバーコーター、ファウンテンブレードコーター、ベベルブレードコーター、ショート・ドゥエルコーターあるいはカーテンコーター等、特に限定されないが、いずれかの適宜の塗工機を用いて紙の表側面、あるいは裏側面、または両側面に塗工が施される。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明の印刷物は抽選券、株券、債券、商品券等の有価証券の類、各種の証明書等の偽造防止策を有する印刷物として優れていることはもとより、医薬品、精密部材等の模造品の防止用包装部材等にも使用できる素晴らしい発明である。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の印刷物の一実施例の平面を示す概略図である。
【図2】図1のA部分を説明するための拡大図である。
【図3】図1のA部分を説明するための拡大図である。
【図4】図1のA部分を説明するための拡大図である。
【図5】図1のA部分を説明するための拡大図である。
【図6】微細孔パターンの〈2〉の拡大を示す微細孔の説明図である。
【図7】微細孔パターンの〈2〉の拡大を示す他の微細孔の説明図である。
【図8】図1のA部分を説明するための拡大図である。
【図9】図1のA部分を説明するための拡大図である。
【図10】図2のB−B′線断面の一実施例の断面を示す断面図である。
【図11】図2のB−B′線断面の他の一実施例の断面を示す断面図である。
【図12】図2のB−B′線断面のまた他の一実施例の断面を示す断面図である。
【図13】図2のB−B′線断面のさらに他の一実施例の断面を示す断面図である。
【図14】(a)は本発明の印刷物に偽造対策層として転写される転写層を説明するための概略図であり、(b)は(a)を説明するための拡大概略図である。
【符号の説明】
【0097】
1…シート状の基材
2…OCR番号
3…偽造対策層
4…微細孔パターン
5…接着層
6…反射薄膜層
7…ホログラム形成層
8…剥離層
9…転写層
10…微細孔
30…微細孔(未貫通))
40…微細孔(貫通)
50…支持体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の基材の所定箇所に偽造対策層が設けてあり、該偽造対策層と該基材とに跨った領域に該基材を貫通する又は未貫通の微細孔からなる微細孔パターンが設けてあることを特徴とする印刷物。
【請求項2】
前記シート状の基材を貫通する又は未貫通の微細孔が垂直又は斜めに設けてあることを特徴とする請求項1に記載の印刷物。
【請求項3】
前記微細孔パターンが、イラストか文字か絵柄または図形形状に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の印刷物。
【請求項4】
前記偽造対策層は光輝性を有する転写層または金属光沢部材から形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の印刷物。
【請求項1】
シート状の基材の所定箇所に偽造対策層が設けてあり、該偽造対策層と該基材とに跨った領域に該基材を貫通する又は未貫通の微細孔からなる微細孔パターンが設けてあることを特徴とする印刷物。
【請求項2】
前記シート状の基材を貫通する又は未貫通の微細孔が垂直又は斜めに設けてあることを特徴とする請求項1に記載の印刷物。
【請求項3】
前記微細孔パターンが、イラストか文字か絵柄または図形形状に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の印刷物。
【請求項4】
前記偽造対策層は光輝性を有する転写層または金属光沢部材から形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の印刷物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−142914(P2008−142914A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−329341(P2006−329341)
【出願日】平成18年12月6日(2006.12.6)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月6日(2006.12.6)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
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