説明

原子炉の燃料要素の製造方法

【課題】燃焼を行なった金属燃料の少なくとも一部を再使用した燃料棒を簡易に製造できる製造方法を提供する。
【解決手段】新燃料部24aと、燃料が燃焼する燃焼部24bとを備え、新燃料はウランを含み、運転サイクルの初期から末期にかけて、燃焼部24bが新燃料部24aに向かう方向に移動する原子炉の燃料棒22の製造方法であって、燃焼を行なった燃料棒22から機械的に被覆材23を除去して金属燃料体24を取り出す工程と、金属燃料体24の径を小さくする形状調整工程と、金属燃料体24を切断し、再使用する部分を分離する工程と、金属燃料体24の再使用する部分を未使用の被覆材23の内部に配置する配置工程とを含み、形状調整行程は、金属燃料体24を加熱しながら加圧することにより金属燃料体24の径を小さくする工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子炉の燃料要素の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原子炉は、発電設備等に用いられている。原子炉は、高速中性子炉を含む。高速中性子炉は、主に高速中性子により核分裂性核種を核分裂させて出力を発生する原子炉であり、ナトリウム、鉛ビスマス合金等の重金属、またはガス等により炉心が冷却される。従来の技術の原子炉では、炉心全体で核分裂が生じるとともに出力が発生する。
【0003】
原子炉の炉心の臨界の維持および出力の調整は、例えば制御棒によって行われる。制御棒は、中性子を吸収しやすい物質で形成されている。運転サイクルの初期には制御棒を炉心に挿入しておき、燃焼が進むとともに徐々に制御棒を引き抜くことにより、出力を維持しながら臨界状態を保っている。このように、原子炉の運転においては、原子炉の臨界を維持するための制御が必要である。運転サイクルの初期から運転サイクルの末期まで継続的に臨界の維持のための制御を行っている。
【0004】
特許第3463100号公報においては、運転サイクルで臨界を維持するための制御が不要な原子炉が開示されている。この原子炉は、CANDLE(Constant Axial Shape of Neutron Flux, Nuclide Densities and Power Shape During Life of Energy Production)燃焼法と呼ばれる燃焼法を採用している。CANDLE燃焼法では、炉心をおおよそ新燃料部、燃焼部、燃焼が進んだ部分に分けることができる。燃焼部は、燃焼とともに、出力に比例した速さで新燃料部に向かって移動する。CANDLE燃焼では、一つの運転サイクルが終了した後、次の運転サイクルを行なうために燃料を交換する。燃料を交換するときには、炉心軸の方向において燃焼の進んだ燃料を取り出し、取り出した側の端部と反対側の端部に新燃料を装荷することができる。
【0005】
CANDLE燃焼法では、臨界調整を行なわなくてもよく、また、出力分布の調整をしなくても出力分布が、ほぼ一定に保たれる。このため、運転サイクルの初期から末期にわたって、制御棒の操作等のような炉心の反応度制御は行わなくても良いという特徴を有する。また反応度係数も変化せずに、燃焼とともに運転方法を変化させなくても良いという特徴を有する。
【0006】
また、CANDLE燃焼法を採用することにより、燃焼が進行しても炉心特性をほぼ一定にすることができて運転制御が簡単になり、事故の発生確率が低い原子炉を提供することができる。また、炉心に制御棒を配置しなくても良いために、運転期間中に制御棒が誤って引き抜かれるような事故の可能性が全くなくなる。また、燃料を取り出すときの燃焼度が高いことから、廃棄物の量を低減できる。更に、CANDLE燃焼法では、第2サイクル以降の新燃料として、天然ウランまたは劣化ウランだけを用いて運転を行なうことができる。これらの燃料は、未臨界であることから輸送や貯蔵が容易になる。また、濃縮や再処理を行なわずに、ウランのおよそ40%をエネルギとして利用できることから、資源の有効利用ができる。また、第2サイクル以降の新燃料は、濃縮や再処理等が不要となることから、核拡散抵抗性が高いなどの特徴を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3463100号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】J.H. Kittel, et al., "Plutonium and Plutonium Alloys as Nuclear Fuel Materials", Nuclear Engineering and Design, 15 (1971), p.373-440
【非特許文献2】C.E. Stevenson, "The EBR-II Fuel Cycle Story", USA, American Nuclear Society, 1987, p.77-84
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の技術においては、ウラン、プルトニウム、またはこれらの合金により形成された金属燃料を使用する原子炉が知られている。金属燃料を使用する原子炉の燃料要素としては、例えば、ウラン合金などの金属燃料体を、鋼製の被覆材の内部に配置して密閉した燃料棒を用いることができる。この場合に、金属燃料体と被覆材との間には、所定の隙間が存在し、その隙間には、例えば、熱伝導材としてナトリウムが充填されている。
【0010】
このような燃料要素は、できるだけ長期間にわたって原子炉内で使用し、ウランやプルトニウムなどの核燃料物質のうち核分裂した物質の割合(以下、燃焼度という)を高めることが好ましい。すなわち、なるべく多くの核分裂性核種を核分裂させ、または、核分裂性核種を生成して核分裂を生じさせることにより、金属燃料体の単位重量当たりのエネルギ発生量を高くすることが好ましい。
【0011】
上記のCANDLE燃焼法においては、核分裂が多く生じて実質的に出力を発生している燃焼部が炉心の一部分に限られている。燃焼部は、新燃料部が配置されている側に向かって徐々に進行する。例えば、新燃料部が残り僅かになったときに、1回の運転サイクルを終了することができる。
【0012】
ところが、CANDLE燃焼法においては、新燃料部が残り僅かになった状態においても、炉心内には燃焼途中の燃焼部が残存している。すなわち、炉心内には無限中性子増倍率が大きな燃焼途中の燃料が多く残存する。これらの燃焼部に含まれる燃料や残存する新燃料部に含まれる新燃料は、更に燃焼可能であるために再使用することが好ましい。
【0013】
従来の技術において、燃料体の一部分を再使用する場合には、燃料の再処理を行っていた。金属燃料の再処理には、乾式再処理および湿式再処理が含まれる。このような再処理を行なった後に、再び金属燃料要素に成型して、炉心に装荷することが考えられる。しかしながら、これらの方法を用いる場合には多大な労力が必要となり、また、放射性廃棄物が多量に発生するという問題がある。
【0014】
または、燃料要素を炉心内にて長期間使用すると、核分裂によって生じる気体が被覆材で囲まれた内部に蓄積し、その内圧によって被覆材が損傷する場合がある。または、被覆材への中性子照射により、照射クリープによる変形が生じたりする。このために、被覆材は、炉心内での使用期間が制限されたり、中性子照射量が制限されたりする。
【0015】
CANDLE燃焼法においては、ウランの到達燃焼度を非常に高くすることができるために、被覆材に対する中性子照射量が多くなる。被覆材の損傷の防止のためには、適切な運転期間の経過後に原子炉を停止することが好ましい。この場合には、燃料要素の金属燃料体を交換しなくても構わないが被覆材を交換する必要がある。従来の技術においては、被覆材を交換するために、上記と同様の金属燃料体の再処理を行う必要があった。
【0016】
本発明は、燃焼を行なった金属燃料の少なくとも一部を再使用した燃料要素を簡易に製造できる燃料要素の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の原子炉の燃料要素の製造方法は、新燃料が装荷されている新燃料部と、新燃料部の一方の側に配置され、中性子を発生して燃料が燃焼する燃焼部とを備え、新燃料は天然ウランおよび劣化ウランのうち少なくとも一方のウランを含み、ウランが中性子を吸収して生成されたプルトニウムが核分裂することにより出力を発生し、運転サイクルの初期から末期にかけて、燃焼部がほぼ一定の形状を保ちながら新燃料部に向かう方向に移動する原子炉の燃料要素の製造方法であって、燃焼を行なった燃料要素から機械的に被覆材を除去して金属燃料体を取り出す工程と、金属燃料体の径を小さくする形状調整工程と、金属燃料体を切断し、再使用する部分を分離する工程と、金属燃料体の再使用する部分を未使用の被覆材の内部に配置する配置工程とを含み、形状調整行程は、金属燃料体を加熱しながら加圧することにより金属燃料体の径を小さくする工程を含む。
【0018】
上記発明においては、形状調整行程は、真空雰囲気中または不活性ガス雰囲気中で金属燃料体を加熱しながら加圧する工程を含むことが好ましい。
【0019】
上記発明においては、形状調整行程は、中空の型の内部に金属燃料体を加熱しながら押圧することにより径を小さくする工程を含むことが好ましい。
【0020】
上記発明においては、配置行程は、再使用する部分に加えて、新燃料を含む金属燃料体を被覆材の内部に配置する工程を含むことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、燃焼を行なった金属燃料の少なくとも一部を再使用した燃料要素を簡易に製造できる燃料要素の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施の形態における原子炉の概略図である。
【図2】実施の形態における炉心の4分の1の概略平面図である。
【図3】実施の形態における燃料集合体の概略斜視図である。
【図4】実施の形態における燃料棒の概略断面図である。
【図5】実施の形態における炉心の燃料の燃焼状態を説明する概略図である。
【図6】実施の形態における燃料の中性子フルエンスに対する無限中性子増倍率の変化を説明するグラフである。
【図7】炉心高さと燃料の無限中性子増倍率との関係を説明するグラフである。
【図8】実施の形態における炉心の出力密度の変化および燃料の取換えの説明図である。
【図9】実施の形態における燃焼を行なった燃料棒の概略断面図である。
【図10】実施の形態における燃焼を行なった燃料棒の上部を切断した時の燃料棒の概略断面図である。
【図11】実施の形態における燃料棒から被覆材を剥ぎ取る工程を説明する概略斜視図である。
【図12】実施の形態における燃料棒から被覆材を剥ぎ取る工程を行っているときの燃料棒の概略断面図である。
【図13】実施の形態における形状調整工程を説明する金属燃料体および金属燃料体を圧縮する型の概略断面図である。
【図14】実施の形態における形状調整工程を説明する金属燃料体および金属燃料体を圧縮する型の他の概略断面図である。
【図15】実施の形態における形状調整工程にて径が小さくなった金属燃料体の概略断面図である。
【図16】実施の形態において製造した燃料棒の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1から図16を参照して、実施の形態における原子炉の燃料要素の製造方法について説明する。本実施の形態における原子炉の炉心は、主に高速中性子によりプルトニウムの核分裂を発生させる高速中性子炉である。本実施の形態における原子炉は、発電設備に配置されており、原子炉から流出する冷却材の熱を用いて発電を行なっている。
【0024】
図1は、本実施の形態における原子炉の概略断面図である。本実施の形態における発電設備は、原子炉1を備える。原子炉1は、原子炉容器9を含む。原子炉1は、原子炉容器9の内部に配置されている炉心10を含む。原子炉容器9の内部には、冷却材2が流れている。
【0025】
冷却材2は、矢印112に示すように、原子炉容器9に流入して、炉心10の内部を通過する。炉心10の熱は、冷却材2に伝達される。本実施の形態における原子炉1は、冷却材2が炉心10の下側から上側に向かって流れる。炉心10から流出した冷却材2は、矢印111に示すように原子炉容器9から流出する。
【0026】
冷却材2は、中性子の減速能力や中性子の吸収能力が小さな材料を用いることができる。本実施の形態においては、鉛−ビスマス冷却材が用いられている。本実施の形態においては、冷却材2が反射体の機能を有する。原子炉の冷却材2としては、鉛系冷却材(液体金属)の他に、ナトリウムを使用することができる。または、ヘリウム等のガス冷却材を用いることができる。また、鉛系冷却材としては、鉛−ビスマスの他に鉛のみや、同位体分離された鉛208を採用することができる。本実施の形態における炉心10は、鉛直方向が炉心の軸方向に相当する。
【0027】
図2に、本実施の形態における原子炉の炉心の概略平面図を示す。図2は、炉心の4分の1を示している。本実施の形態における炉心10は、平面形状がほぼ正六角形状に形成されている。原子炉の炉心は、この形態に限られず、平面視したときに、ほぼ円形となる任意の形状または円形に形成することができる。
【0028】
本実施の形態における炉心10は、燃料集合体21を含む。本実施の形態においては、複数の燃料集合体21が規則的に配列されている。本実施の形態における複数の燃料集合体21には、同一の新燃料が装荷されている。本実施の形態における炉心10の周りには、反射体が配置されていないが、この形態に限られず、炉心10の周りに反射体が配置されていても構わない。
【0029】
図3に、本実施の形態における燃料集合体の概略斜視図を示す。燃料集合体21は、燃料要素としての燃料棒22を含む。燃料棒22は、ノズル27に固定されている固定部材を介して、ノズル27により支持されている。また、燃料棒22は、複数の支持格子25により支持されている。支持格子25は、複数の燃料棒22同士を互いに離して支持している。冷却材2は、燃料棒22同士の間を流れて燃料棒22を冷却する。本実施の形態においては支持格子により燃料棒同士の間の距離を保っているが、この形態に限られず、ワイヤースペーサー等により燃料棒同士の間の距離を保っても構わない。
【0030】
図4に、本実施の形態における燃料棒の概略断面図を示す。図4では、矢印101に示すように、燃料の燃焼が上側から下側に向かって移動する燃料棒を示している。本実施の形態における燃料は金属燃料である。本実施の形態における新燃料は、劣化ウランを含む。
【0031】
燃料棒22は、金属燃料体24と金属燃料体24を内部に収容する密閉容器とを含む。密閉容器は、被覆材23を含む。本実施の形態における被覆材23は、筒状に形成されている。被覆材23は、たとえばステンレス鋼で形成されている。金属燃料体24は、被覆材23の内部に配置されている。本実施の形態における密閉容器は、被覆材23の端部を封止する上部端栓29および下部端栓30を含む。本実施の形態において、被覆材23の内部には、金属燃料体24から被覆材23への熱伝達を促進するために、ナトリウム41が充填されている。
【0032】
図4に示す燃料棒は、運転サイクルの初期の状態である。金属燃料体24は、新燃料を含む新燃料部24a、燃焼途中の燃焼部24b、および燃焼が進んだ部分24cを含む。矢印101に示す燃焼が進む方向に沿って、燃焼が進んだ部分24c、燃焼部24b、および新燃料部24aの順に形成されている。新燃料部24aは、後述する炉心の新燃料部11を構成する。燃焼部24bは、後述する炉心の燃焼部12を構成する。燃焼が進んだ部分24cは、後述する炉心の燃焼が進んだ部分13を構成する。
【0033】
次に、本実施の形態における炉心の出力運転について説明する。本実施の形態においては、出力運転中に出力がほぼ一定に保たれる例について説明する。
【0034】
図5に、本実施の形態における炉心の燃焼の進行状況を説明する模式図を示す。図5は、炉心を軸方向に沿って切断したときの概略断面図である。図5は、複数回の運転サイクルを行なった後の第nサイクルの初期(BOC)の炉心と、第nサイクルの末期(EOC)の炉心とを示している。また、同一のサイクル長さおよび同一の燃料取替え方法で複数サイクル運転を行なった炉心を示している。径方向の位置rが零の軸が炉心軸である。
【0035】
本実施の形態における原子炉の炉心10は、運転サイクルの初期から末期にかけて燃焼部12が、新燃料部11に向けて移動する。すなわち、本実施の形態における炉心は、CANDLE燃焼を行なう。燃焼部12の移動する速度は、凡そ出力密度に比例し、燃料原子数密度に反比例する。
【0036】
本実施の形態における炉心の出力密度は、炉心の中央において高くなる。炉心の外周においては、中性子の漏れが多くなるために、径方向の外側に向かうほど出力密度が小さくなる。このため、燃焼部の軸方向の位置は、径方向の外側に向かうほど遅れた位置に配置される。
【0037】
本実施の形態における炉心10は、新燃料部11、燃焼部12および燃焼が進んだ部分13を含む。新燃料部11は、新燃料が配置されている部分である。燃焼部12は、自発的に中性子が発生し、燃料の燃焼が生じる部分である。燃焼部12では、核分裂が発生することにより実質に出力が生じている。燃焼が進んだ部分13は、燃焼が進んで、ほとんど出力を発生していない部分である。
【0038】
第nサイクルの初期の炉心において、新燃料部11は、炉心10の下部に配置されている。燃焼部12は、新燃料部11の上側に配置されている。燃焼部12には、前サイクルで既に燃焼が始まっていた燃料が配置されている。
【0039】
本実施の形態においては、運転サイクルの初期に配置された燃焼部12は、燃焼を開始する部分になる。燃焼部12から燃料の燃焼が開始され、矢印101に示すように、新燃料部11に向かう方向に燃焼が進行する。第nサイクルの燃焼が進行して運転サイクルの末期になった場合には、燃焼部12が炉心10の下端まで進行する。本実施の形態においては、新燃料部11がほとんどなくなるまで燃焼を継続している。運転サイクルの末期では、新燃料部11が残っていても構わない。
【0040】
図6に、本実施の形態における燃料の中性子フルエンスと無限中性子増倍率との関係を説明するグラフを示す。横軸が、中性子束を時間で積分した中性子フルエンスであり、縦軸が無限中性子増倍率kinfである。中性子フルエンスは、たとえば燃料の燃焼度に対応する量である。本実施の形態においては劣化ウランを燃料としている。劣化ウランは、たとえば、約99.8%のウラン238と、約0.2%のウラン235とを含む。ウラン238は、中性子を吸収することにより次の数1のように核変換する。ウラン238は、プルトニウム239に変換される。
【数1】

【0041】
中性子フルエンスが零の近傍では、ウラン238が中性子を吸収してプルトニウム239が生成されることにより、無限中性子増倍率が上昇する。所定の中性子フルエンスに達すると、プルトニウム239等の存在量のウラン238の存在量に対する比が一定に近づき、更に核分裂生成物(FP)が蓄積して、無限中性子増倍率が徐々に減少する。このように、本実施の形態における燃料は、燃焼の初期において無限中性子増倍率が増加し、その後に徐々に無限中性子増倍率が減少する特性を有する。
【0042】
また、劣化ウランの未臨界度は大きいために、炉心の一部分を臨界以上にするためには、多くの中性子をウラン238に吸収させる必要がある。本実施の形態においては、このような条件を満たすように炉心の大きさを選定するとともに燃料集合体や燃料棒を設計している。
【0043】
上記のような炉心の構成を採用することにより、CANDLE燃焼を実施することができる。すなわち、炉心の径方向の全体にわたって出力が生じ、炉心の軸方向の一部の領域において燃焼部が生成される炉心を形成することができる。
【0044】
図7に、炉心高さを無限大にして燃焼を行なっているときの無限中性子増倍率のグラフを示す。横軸が炉心高さであり、縦軸が燃料の無限中性子増倍率を示している。本実施の形態においては、矢印101に示すように、燃焼部が新燃料部に向かって移動する。燃焼部は、無限中性子増倍率が1を超える領域を含む。実際の原子炉の炉心の高さは有限であり、この場合には、炉心の端部での無限中性子増倍率は、図7に示すグラフから僅かにずれる場合がある。
【0045】
図8に、本実施の形態における炉心の燃焼が進行する状態および燃料取り換えを説明するグラフを示す。図8には、第nサイクルの炉心の初期および末期のグラフと、第(n+1)サイクルの炉心の初期および末期のグラフが示されている。それぞれのグラフにおいては、炉心軸における出力密度、ウラン238の数密度および核分裂生成物の数密度が示されている。
【0046】
図7および図8を参照して、出力密度の最大点は、矢印101に示すように、新燃料部11が配置されている炉心下部に向けて移動する。本実施の形態における燃焼は、炉心の上端から下端に向かう方向に移動する。燃焼部が移動していく速度、すなわち、出力密度の最大点が移動する速度は、例えば、1年間に数cmである。このように、ゆっくりと燃焼部が移動する。ウラン238の数密度は、核変換されることにより燃焼部の下流側で小さくなる。また、核分裂生成物の数密度は、核分裂が生じることにより燃焼部の下流側で大きくなる。本実施の形態においては、燃焼部が、炉心のほぼ下端に達したときに燃焼を終了している。
【0047】
第nサイクルが終了すると燃焼が進んだ部分の一部の燃料を取り出す。第(n+1)サイクルの初期の炉心では、矢印117に示すように、第nサイクルにおいて炉心の下部に配置されている燃焼部を炉心の上部に配置して、燃焼を開始する部分として使用する。第(n+1)サイクルの炉心においては、炉心の下部に新たな新燃料部11を配置する。このような燃料交換を行なうことにより、第(n+1)サイクルの炉心においても、第nサイクルの炉心と同様の燃焼を行なうことができる。
【0048】
本実施の形態の燃料要素の製造方法においては、たとえば、第nサイクルの末期における燃焼部、および、第nサイクルの末期において残存する新燃料部を用いて、新たに装荷する燃料棒を製造する。本実施の形態においては、過去の運転サイクルにて燃焼した燃料棒から被覆材を機械的に除去して金属燃料体を取り出す。金属燃料体の再使用する部分を切断して、未使用の被覆材の内部に配置することにより、今回の運転サイクルに使用する燃料棒を製造する。
【0049】
図9に、本実施の形態の原子炉において1回の運転サイクルが終了したときの燃料棒の拡大概略断面図を示す。図4に示される運転サイクル初期の燃料棒と比較すると、金属燃料体24の燃焼部24bが、新燃料部24aに向かって進行していることが分かる。また、燃焼が進んだ部分24cが大きくなっていることが分かる。
【0050】
ところで、金属燃料を燃焼している期間には燃料の核分裂反応が生じるために、核分裂生成物が生成される。核分裂生成物には、気体状の物質や固体状の物質が含まれる。被覆材23の内部のガスプレナムには、気体状の核分裂生成物が蓄積される。更に、気体状の核分裂生成物が金属燃料体24の内部にて気泡を形成する。このために、金属燃料体24の体積が増加する。すなわち、金属燃料体24には、燃焼とともにガススエリングと呼ばれる体積膨張の現象が発現する。
【0051】
例えば、金属燃料体24の燃焼度が、2at.%〜3at.%に到達する時期には、図9に示すように、金属燃料体24は、被覆材23との間に存在していた隙間が無くなってしまう程度に膨張する。被覆材23の内部に充填されたナトリウム41は、運転サイクルの期間中には、温度が上昇して液体状になる。ナトリウム41は、金属燃料体24の体積膨張に伴って金属燃料体24の上部に押し上げられる。また、一部のナトリウム41は、膨らんで多孔質になった金属燃料体24の内部に入り込む。
【0052】
このように、燃焼を行った後の燃料棒22は、金属燃料体24が被覆材23に接触している場合がある。更に、金属燃料体24と被覆材23とが互いに接着している場合がある。また、金属燃料体24においても、運転サイクルの初期には互いに分離されていた部分が、運転サイクルの末期には互いに接着されている場合がある。例えば、金属燃料体をペレット状にして被覆材の内部に配置した場合においても、運転サイクルの末期には、ペレット状の金属燃料体同士が互いに接着して一体化している場合がある。
【0053】
図3を参照して、1回の運転サイクルの終了時には、炉心から燃料集合体21を取り出す。燃料集合体21の支持格子25を外すことにより、それぞれの燃料棒22を取り出すことができる。
【0054】
図10は、燃料棒の上部を切断した時の燃料棒の概略断面図である。本実施の形態においては、燃料集合体21から燃料棒22を取り出した後に、被覆材23の上部および上部端栓29を除去する。被覆材23を切断することにより、被覆材23の上部および上部端栓29を除去することができる。被覆材23の内部に蓄積していた気体状の核分裂生成物が放出する。また、被覆材23の内部に充填されているナトリウム41を除去する。
【0055】
次に、燃焼を行った燃料棒から機械的に被覆材を除去して金属燃料体を取り出す工程を行なう。本実施の形態の燃料要素の製造方法においては、再処理を行わずに燃料棒22から金属燃料体24を機械的に取り出す。本実施の形態においては、金属燃料体24から被覆材23を剥ぎ取る工程を行う。
【0056】
図11に、金属燃料体から被覆材を剥ぎ取っているときの燃料棒の概略斜視図を示す。燃料棒22内部の金属燃料体24は、被覆材23に接着している場合がある。本実施の形態においては、被覆材23に切り線45をらせん状に形成する。切り線45は、被覆材23を貫通し、内部の金属燃料体24をほぼ切断しない深さで形成することができる。次に、分離工具46を被覆材23と金属燃料体24との接触部分に押圧する。本実施の形態における分離工具46は、先端部分が尖る板状に形成されている。分離工具46を押し当てながら、矢印120に示す方向に燃料棒22を回転することにより、切り線45に沿って金属燃料体24と被覆材23とを分離することができる。
【0057】
図12に、金属燃料体から被覆材を剥ぎ取っているときの燃料棒の概略断面図を示す。図11および図12を参照して、本実施の形態においては、らせん状に徐々に被覆材23を剥ぎ取ることができる。被覆材23の下端に至るまで、被覆材23を金属燃料体24から剥ぎ取ることができる。被覆材23の除去が下部端栓30に到達した場合に、下部端栓30を金属燃料体24から分離することができる。このように、燃料棒22から金属燃料体24を機械的に取り出すことができる。
【0058】
本実施の形態においては、燃料要素から被覆材を剥ぎ取っているが、この形態に限られず、燃料要素から機械的に被覆材を除去する任意の方法を採用することができる。例えば、被覆材の切り線を燃料棒の軸方向に沿って形成し、切り線同士の間の領域の被覆材を機械的に除去しても構わない。
【0059】
燃料棒22から取り出した金属燃料体24は、前述のように、ガススエリングによって被覆材23の内径とほぼ同じ径まで膨らんでいる。このために、取り出した金属燃料体24を、再度同じ内径の被覆材に挿入することは困難である。本実施の形態においては、取り出した金属燃料体24の径を小さくする形状調整工程を行なう。
【0060】
図13に、本実施の形態における形状調整工程を行っているときの金属燃料体および金属燃料体を加圧するための型の概略断面図を示す。本実施の形態の形状調整工程は、金属燃料体24を融点未満、および金属燃料体24の変形可能な温度以上の温度範囲内まで昇温した状態で、中空の型51の内部に挿入する。また、中空の型51に対しても加熱することが好ましい。本実施の形態の形状調整工程においては、真空雰囲気中で金属燃料体を加熱しながら加圧している。
【0061】
本実施の形態の型51は、金属燃料体24を挿入する側の内径が、取り出した金属燃料体24の径よりも大きく形成されている。例えば、型51の入口の内径は、スエリングが生じた燃焼後の金属燃料体24の直径よりも僅かに大きく形成することができる。型51の内径は、矢印121に示す金属燃料体24が進行する方向に沿って、徐々に小さくなる部分を有するように形成されている。型51の最小の内径は、運転サイクルの初期の金属燃料体24の径とほぼ同じになるように形成されている。
【0062】
金属燃料体24を、矢印121に示すように、型51の内部に挿入する。更に、押圧部材52によって、金属燃料体24を押圧する。押圧部材52においても加熱することが好ましい。本実施の形態における押圧部材52は、棒状に形成されている。型51および押圧部材52は、金属燃料体24を変形可能な温度まで昇温しても変形しない材質で形成することが好ましい。型51および押圧部材52としては、例えば窒化硼素または炭化珪素等で形成することができる。また、型51の肉厚は、破損しないように十分に厚いことが好ましい。
【0063】
高温の金属燃料体24を型51の内部に押し込むことにより、ガススエリングによって膨張した金属燃料体24を径方向に加圧することができる。金属燃料体24は、溶融しない程度の高温の状態で、外部から応力を受けると比較的大きな変形を示す。このために、金属燃料体24の径を小さくすることができる。特に、本実施の形態における金属燃料体24は、ガススエリングにより内部が多孔質になっている。このために、比較的容易に金属燃料体24の径を小さくすることができる。
【0064】
図14に、本実施の形態における形状調整工程を行っているときの金属燃料体および型の他の概略断面図を示す。金属燃料体24は、型51の内部を進行するに伴って、直径が徐々に減少する。金属燃料体24を型51に通すことにより、被覆材に挿入可能な所望の径まで圧縮することができる。このように、本実施の形態においては金属燃料体24を加熱しながら型51に通すことにより圧縮成型を行なうことができる。
【0065】
図15に、本実施の形態の形状調整工程を行なって、径が小さくなった金属燃料体の概略断面図を示す。本実施の形態においては、径が小さくなった金属燃料体24には、今回の運転サイクルにおいて再使用する部分と、十分に燃焼が進んで除去すべき部分とが含まれている。このため、金属燃料体24を切断し、再使用する部分を分離する工程を行なう。
【0066】
本実施の形態においては、燃焼の進んだ部分24cを切断する。燃焼の進んだ部分24cの所定の領域を除去する。切断線55に沿って金属燃料体24を切断することにより、再使用する部分を形成することができる。なお、この再使用する部分を形成する工程は、形状調整工程の前に行なっても構わない。すなわち、金属燃料体の除去すべき部分を除去した後に、金属燃料体の径を小さくする工程を行なっても構わない。
【0067】
図16に、本実施の形態における燃料要素の製造方法にて製造した燃料棒の拡大概略断面図を示す。本実施の形態においては、径を小さくした新燃料部24a、燃焼部24bおよび燃焼が進んだ部分24cを含む金属燃料体に加えて、新たに製造した新燃料部24dを追加している。
【0068】
本実施の形態においては、未使用の被覆材23を準備し、未使用の被覆材23に下部端栓30を取り付ける。本実施の形態においては、上部端栓29および下部端栓30についても、未使用のものを使用している。被覆材23の内部に、今回新たに製造した新燃料部24dを配置する。次に、被覆材23の内部に、燃焼を行なった燃料棒から取り出した金属燃料体を配置することにより、今回の運転サイクルにおける金属燃料体24を形成することができる。次に、被覆材23の内部に、ナトリウムを充填し、更に不活性ガスなどを充填する。被覆材23の端部を上部端栓29にて施栓することにより、金属棒22を製造することができる。このように製造された燃料棒22は、再び燃料集合体に組立てられて、今回の運転サイクルにおいて炉心に装荷される。
【0069】
本実施の形態における燃料棒の製造方法を行うことによって、1回の運転サイクルで使用した金属燃料体の一部分を他の運転サイクルで再使用することができる。このため、金属燃料体の燃焼度を飛躍的に高めることができる。また、本実施の形態においては、燃料棒から機械的に金属燃料体を取り出しているために、再処理を行わずに容易に今回の運転サイクルの燃料棒を製造することができる。更に、金属燃料体を再処理したり溶融したりする場合に比べて、放射性廃棄物の発生量を格段に少なくすることができる。
【0070】
本実施の形態の形状調整工程は、中空の型の内部に金属燃料体を加熱しながら押圧する工程を含む。この方法を採用することにより、金属燃料体の圧縮成形を容易に行なうことができる。金属燃料体を加圧する方法としては、この形態に限られず、例えば金属燃料体を1対または複数のローラの間に配置し、これらのローラで押圧することができる。
【0071】
また、本実施の形態の形状調整工程においては、真空雰囲気中で金属燃料を加熱しながら加圧している。この方法を採用することにより、金属燃料体に含まれるキセノンやクリプトンなどの気体の核分裂生成物や、揮発性の核分裂生成物を除去することができる。また、被覆材の内部にナトリウムが封入されている場合には、金属燃料体の内部に侵入したナトリウムを容易に除去することができる。このために、金属燃料体の加圧をより容易に行うことができる。また、燃料の燃焼において核分裂の連鎖反応を妨げる核分裂生成物を除去することができる。形状調整工程としては、この形態に限られず、不活性ガス雰囲気中で金属燃料を加熱しながら加圧することができる。この方法を採用することにより、たとえば常圧で形状調整工程を行えるとともに、金属燃料体と空気との不要な反応の発生を抑制することができる。
【0072】
本実施の形態においては、それぞれの運転サイクルの終了ごとに、燃焼が進んだ部分の一部の燃料を取り出して新燃料を追加しているが、この形態に限られず、1回の運転サイクルが終了したときに、本実施の形態における製造方法により燃料棒の被覆材および端栓を交換して、金属燃料体は継続して燃焼させることができる。すなわち、取り出した金属燃料体を未使用の被覆材の内部に戻して使用することができる。たとえば、被覆材の損傷を防止するために使用期間や中性子照射量が制限されている場合には、新燃料部が多く残っている所定の時期において原子炉を停止し、被覆材と端栓を含む密封容器を交換して、金属燃料体を継続して燃焼させることができる。
【0073】
次に、本実施の形態における燃料要素の製造方法の実施例について例示する。図4を参照して、実施例における金属燃料体24は、外径10mm、長さ1500mmである。金属燃料体24は、ウラン−プルトニウム−ジルコニウム合金を含み、組成はプルトニウムが15重量%、ジルコニウムが10重量%である。被覆材23は、フェライト鋼により形成されている。被覆材23は、外径が13mmであり、厚さが0.4mmである。
【0074】
図9を参照して、この燃料棒22を炉心に装荷して燃焼度3at.%まで燃焼させると、金属燃料体24がガススエリングによって膨らみ、外径が被覆材23の内径とほぼ等しくなる。さらに、燃焼度10at.%まで使用しても、被覆材23の外径は大きくは変化しない。
【0075】
次に、図9および図10を参照して、燃料棒22を最大燃焼度10at.%まで使用した後に炉心から取り出し、上部端栓29および被覆材23の上部を除去する。図11および図12を参照して、被覆材23および下部端栓30を機械的に除去する。ガススエリングが生じた金属燃料体24を取り出すことができる。
【0076】
次に、図13および図14を参照して、分離した金属燃料体24を、加熱しながら型51に挿入する。型51は、入口側の開口部の内径が14mmに形成されている。型51は、中空の延びる方向の長さが約3mに形成されている。型51の入口部から約1mの部分は、内径が14mmに形成されている。型51の出口部から約1mの部分は、内径が10mmに形成されている。長手方向の中央部の約1mの部分では、内径が14mmから10mmに徐々に減少している。本実施の形態においては、金属燃料体24が十分な変形速度を確保できるように900℃程度に維持されている。押圧部材52を十分な力で押すことによって、ガススエリングが生じた金属燃料体24の外径が減少する。本実施例においては、直径が略10mmになった金属燃料体24が排出される。図15および図16を参照して、次に必要な長さで金属燃料体24を切断し、一部を新燃料の金属燃料体と交換して、燃料棒を形成することができる。
【0077】
本実施の形態における燃料は、炉心に装荷する新燃料として劣化ウランを例に取り上げて説明したが、この形態に限られず、天然ウランおよび劣化ウランのうち少なくとも一方を用いて、CANDLE燃焼を達成することができる。または、CANDLE燃焼を行なうことができる任意の高速中性子炉の燃料要素の製造方法に、本発明を適用することができる。
【0078】
本実施の形態においては、運転サイクルの初期において前サイクルの燃焼部を新燃料部の上側に配置したが、この形態に限られず、新燃料部は、炉心の軸方向のうち、燃焼部のいずれか一方の端部に配置することができる。さらには、燃焼部の両側に新燃料部が配置されていても構わない。
【0079】
また、本実施の形態においては、運転サイクルの初期の燃焼を開始する部分は、前サイクルの運転サイクルの末期において、炉心の下部に配置されている燃料を使用しているが、この形態に限られず、運転サイクルの初期における燃焼を開始する部分は、中性子を自発的に発生するように形成されていれば構わない。たとえば、所定の濃度のプルトニウムや濃縮ウランなどを含む燃料が配置されていても構わない。更には、外部から中性子が供給されることにより、燃焼が開始されても構わない。
【0080】
また、本実施の形態における炉心は、炉心の軸方向が鉛直方向と平行になっているが、この形態に限られず、炉心の軸方向は水平方向と平行になっていても構わない。すなわち、本実施の形態における炉心を横置きにしても構わない。
【0081】
本実施の形態においては、発電設備に用いられる原子炉の炉心を例に取り上げて説明したが、この形態に限られず、任意の設備の原子炉に本発明を適用することができる。たとえば、船舶等の動力源として本発明の原子炉を用いることができる。
【0082】
上述のそれぞれの図において、同一または相当する部分には同一の符号を付している。なお、上記の実施の形態は例示であり発明を限定するものではない。また、実施の形態においては、特許請求の範囲に示される変更が含まれている。
【符号の説明】
【0083】
1 原子炉
2 冷却材
9 原子炉容器
10 炉心
11 新燃料部
12 燃焼部
13 燃焼が進んだ部分
22 燃料棒
23 被覆材
24 金属燃料体
24a 新燃料部
24b 燃焼部
24c 燃焼が進んだ部分
24d 新燃料部
29 上部端栓
30 下部端栓
45 切り線
46 分離工具
51 型
52 押圧部材
55 切断線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
新燃料が装荷されている新燃料部と、新燃料部の一方の側に配置され、中性子を発生して燃料が燃焼する燃焼部とを備え、新燃料は天然ウランおよび劣化ウランのうち少なくとも一方のウランを含み、ウランが中性子を吸収して生成されたプルトニウムが核分裂することにより出力を発生し、運転サイクルの初期から末期にかけて、燃焼部がほぼ一定の形状を保ちながら新燃料部に向かう方向に移動する原子炉の燃料要素の製造方法であって、
燃焼を行なった燃料要素から機械的に被覆材を除去して金属燃料体を取り出す工程と、
金属燃料体の径を小さくする形状調整工程と、
金属燃料体を切断し、再使用する部分を分離する工程と、
金属燃料体の再使用する部分を未使用の被覆材の内部に配置する配置工程とを含み、
形状調整行程は、金属燃料体を加熱しながら加圧することにより金属燃料体の径を小さくする工程を含むことを特徴とする、原子炉の燃料要素の製造方法。
【請求項2】
形状調整行程は、真空雰囲気中または不活性ガス雰囲気中で金属燃料体を加熱しながら加圧する工程を含む、請求項1に記載の原子炉の燃料要素の製造方法。
【請求項3】
形状調整行程は、中空の型の内部に金属燃料体を加熱しながら押圧することにより径を小さくする工程を含む、請求項1または2に記載の原子炉の燃料要素の製造方法。
【請求項4】
配置行程は、再使用する部分に加えて、新燃料を含む金属燃料体を被覆材の内部に配置する工程を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の原子炉の燃料要素の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−207962(P2012−207962A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72449(P2011−72449)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【出願人】(000173809)一般財団法人電力中央研究所 (1,040)