説明

口唇用化粧料

【課題】 本発明の口唇化粧料は、密着感、ツヤ感に優れ、べた付きや塗布時の重さがなく滑らかな使用感を与え、高い化粧持ち効果が得られる口唇用化粧料に関する。
【解決手段】 次の成分(A)〜(C);(A)デキストリンと脂肪酸とのエステル化物であって、デキストリンのグルコースの平均重合度が3〜150であり、脂肪酸が炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸の1種又は2種以上を全脂肪酸に対して50mol%より多く100mol%以下、及び、炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸、炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸及び炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を全脂肪酸に対して0mol%以上50mol%未満を含有し、グルコース単位当たりの脂肪酸の置換度が1.0〜3.0であるデキストリン脂肪酸エステル、(B)不揮発性液状油剤、(C)ゲル化剤、を配合することを特徴とする口唇用化粧料に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なデキストリン脂肪酸エステルを配合する口唇用化粧料に関し、特に、密着感、ツヤ感に優れ、塗布時にべた付きや重さがなく滑らかな使用感を与え、化粧持ちに優れる口唇用化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、口紅やリップグロス等の口唇用化粧料には、口唇に色彩を付与するという化粧効果以外に様々な効果が求められている。例えば、口唇をより立体的に見せたり、みずみずしい仕上がりを演出するために、高いツヤ感が求められたり、口唇は立体的で激しく動く部位であるため、化粧持ち効果が求められたりしており、様々な技術が検討されてきた。また、口唇は非常に敏感な部分であるため、塗布時の軽さや付け心地といった使用感の向上も求められ、口唇用化粧料では機能面と官能面の両立が非常に重要視されている。
例えば、化粧持ちを高めるためにシリコーン系樹脂などの皮膜形成成分と揮発性油剤を配合し、塗布後に油剤を揮発させて強固な皮膜を形成させる技術があるが、この技術では、高い化粧持ちを示す一方でツヤ感が低く、且つ口唇に強い違和感や乾燥感を覚えるために、両者の両立がなされないこのような技術は敬遠される傾向にある。
そこで、機能面及び官能面を両立させる技術の検討がなされてきた。
例えば、ペースト状の油剤を配合し、化粧料の粘度を高めに設定することで付着力を上げ、化粧持ちとツヤ感を具現化する技術(例えば、特許文献1参照)や、油溶性樹脂を配合することで、付着力を上げ、化粧持ちを高める技術(例えば、特許文献2参照)などが挙げられる。
【0003】
一方、油性化粧料において、デキストリン脂肪酸エステルは油ゲル化剤として開発されてきた(例えば、特許文献3参照)。口唇用化粧料においても、液状油剤をゲル化させ化粧料の粘度を上げ、付着性や使用性、経時安定性を向上させる目的で配合されている。このようにデキストリン脂肪酸エステルは油ゲル化剤として利用されてきたため、化粧持ちやツヤ感を高める成分として開発検討されることはなかった。
【0004】
【特許文献1】特開2009−73797号公報
【特許文献2】特開平4−305514号公報
【特許文献3】特許第3019191号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、高粘度油剤やペースト状油剤、油溶性樹脂は、粘度や付着力(タック性)が非常に高い成分であり、口唇用化粧料に配合すると、その特徴が化粧料にも反映されやすく、より高い化粧持ちを具現化するために、これらの成分を多く配合すると、化粧持ちやツヤ感は高まるが、同時にべた付きや塗布時の重さが増し、使用感が悪化してしまうという難点があった。そのため、近年の口紅に求められる品質である化粧持ち、ツヤ感、使用感の良さを満たすことは難しかった。
そこで、べた付きの無さや塗布時の軽さなどの使用感、ツヤなどの化粧効果にも優れ、且つ化粧持ち効果の高い口唇用化粧料の開発が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる実情において、本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、新規なデキストリン脂肪酸エステルと不揮発性液状油剤とゲル化剤とを配合することにより、密着感、ツヤ感に優れ、べた付きや塗布時の重さがなく滑らかな使用感を与え、高い化粧持ち効果を示す口唇用化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
新規なデキストリン脂肪酸エステルは、それ自身は、樹脂状もしくはペースト状であり、粘度や付着力(タック性)が高いものである。しかし、不揮発性液状油剤及びゲル化剤と組み合わせることにより、口唇との付着力は維持しながらも、塗布時の伸びの重さや化粧膜のべた付きが大きく軽減されることがわかり、これによりべた付きの無さや塗布時の軽さなどの使用感、密着感が得られ、ツヤなどの化粧効果にも優れ、且つ化粧持ち効果の高い口唇用化粧料を得ることができた。
【0007】
すなわち、本発明は、
(1)次の成分(A)、(B)及び(C);
成分(A)デキストリンと脂肪酸とのエステル化物であって、デキストリンのグルコースの平均重合度が3〜150であり、脂肪酸が炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸の1種又は2種以上を全脂肪酸に対して50mol%より多く100mol%以下、及び、炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸、炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸及び炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を全脂肪酸に対して0mol%以上50mol%未満を含有し、グルコース単位当たりの脂肪酸の置換度が1.0〜3.0であるデキストリン脂肪酸エステル
成分(B)不揮発性液状油剤
成分(C)ゲル化剤
を配合することを特徴とする口唇用化粧料に関するものである。
【0008】
(2)更に、成分(A)のデキストリン脂肪酸エステルとして、デキトスリンの水酸基に、全脂肪酸誘導体に対して、炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸誘導体の1種又は2種以上を50mol%より多く100mol%以下、及び、炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸誘導体、炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸誘導体及び炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸誘導体よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を0mol%以上50mol%未満を含有する脂肪酸誘導体を反応させて得たデキストリンと脂肪酸とのエステル化物であって、デキストリンのグルコースの平均重合度が3〜150であり、グルコース単位当りの脂肪酸の置換度が1.0〜3.0であることを特徴とする前記(1)に記載の口唇用化粧料に関するものである。
【0009】
(3)更に、成分(A)のデキストリン脂肪酸エステルとして、デキトスリンの水酸基に、炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸誘導体の1種又は2種以上を反応させ、次いで、その生成物と炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸誘導体、炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸誘導体及び炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸誘導体よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を反応させて得たデキストリンと脂肪酸とのエステル化物であって、全脂肪酸誘導体に対して、該炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸誘導体の1種又は2種以上を50mol%より多く100mol%以下、及び、該炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸誘導体、該炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸誘導体及び該炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸誘導体よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を0mol%以上50mol%未満反応させたものであり、デキストリンのグルコースの平均重合度が3〜150であり、グルコース単位当りの脂肪酸の置換度が1.0〜3.0であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の口唇用化粧料に関するものである。
【0010】
また、本発明は、
(4)前記成分(A)のデキストリン脂肪酸エステルを構成する分岐飽和脂肪酸が、炭素数12〜22の分岐飽和脂肪酸から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の口唇用化粧料、
(5)前記成分(A)のデキストリン脂肪酸エステルが、成分(B)の不揮発性液状油剤をゲル化しないことを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の口唇用化粧料、
(6)前記成分(B)の不揮発性液状油剤がエステル油であること特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の口唇用化粧料、
(7)前記成分(B)の不揮発性液状油剤がトリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、リンゴ酸ジイソステアリルから選ばれる1種又は2種以上のエステル油であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の口唇用化粧料、
(8)前記成分(C)のゲル化剤が、固形状ワックス、煙霧状無水ケイ酸、アルミナ、成分(B)をゲル化可能なデキストリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル、ヒドロキシ脂肪酸、脂肪酸金属塩、有機変性ベントナイト、架橋型オルガノポリシロキサンから選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれかに記載の口唇用化粧料、
(9)前記成分(C)のゲル化剤が、ポリエチレン、エチレン・プロピレンコポリマー、煙霧状無水ケイ酸、パルミチン酸デキストリンから選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする前記(1)〜(8)のいずれかに記載の口唇用化粧料に関するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、密着感、ツヤ感に優れ、べた付きや塗布時の重さがなく滑らかな使用感を与え、高い化粧持ち効果が得られる口唇用化粧料に関するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の口唇用化粧料に使用される成分(A)デキストリン脂肪酸エステルは、デキストリンと脂肪酸とのエステル化物であって、デキストリンのグルコースの平均重合度が3〜150であり、脂肪酸が全脂肪酸に対して炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸を50mol%より多く含有するグルコース単位当たりの脂肪酸の置換度が1.0〜3.0である新規な物質で、口唇に塗布した際に皮膜を形成することができるものである。(以下、単に「新規なデキストリン脂肪酸エステル」ということもある。)
【0013】
本発明に使用される成分(A)新規なデキストリン脂肪酸エステルは、次の特性を有する。
(1)新規なデキストリン脂肪酸エステルを不揮発性液状油に混合したときに成分(B)の不揮発性液状油がゲル化しない。
「不揮発性液状油がゲル化しない」とは、ASTM D445測定方法による40℃における動粘度が8mm/sである流動パラフィンを不揮発性液状油とする場合、デキストリン脂肪酸エステルを5質量%(以下単に「%」で示す。)含有する該流動パラフィンを100℃で溶解し、24時間後25℃で粘度を測定したとき、粘度が、Yamco DIGITAL VISCOMATE粘度計VM−100A(振動式)(山一電機社製)の検出限界以下であることを意味する。なお、ゲル化する場合には、粘度が検出されることで確認できる。
【0014】
(2)新規なデキストリン脂肪酸エステルが形成する皮膜が特定範囲の付着力(タック性)を有する。
「タック性」を、支持体に該デキストリン脂肪酸エステルを塗布し、もうひとつの支持体を相互に離れた状態から面接触させた後に、後退させて別離させ、後退を開始してから完全に別離するまでの接触点にかかる荷重変化(最大応力値)で表す場合、該デキストリン脂肪酸エステルを40%含有する軽質流動イソパラフィン溶液をガラス板に400μm厚のアプリケーターで成膜し、乾燥させた皮膜に、テクスチャーアナライザー、たとえば、テクスチャーアナライザーTA.XTplus(Stable Micro Systems社製)を用いて、プローブとして直径12.5mm円柱状のポリアセタール樹脂(Delrin(登録商標)デュポン社製)製プローブを使用し、100gの荷重をかけ10秒保持後に0.5mm/秒で離したときの荷重変化、すなわちタック性が30〜1,000gである。
【0015】
本発明において、新規なデキストリン脂肪酸エステルに用いられるデキストリンは、グルコース平均重合度3〜150、特に10〜100のデキストリンが好ましい。グルコース平均重合度が2以下では、得られたデキストリン脂肪酸エステルがワックス様となって油剤への溶解性が低下する。また、グルコース平均重合度が150を超えると、デキストリン脂肪酸エステルの油剤への溶解温度が高くなる、又は溶解性が悪くなる等の問題を生ずることがある。デキストリンの糖鎖は直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよい。
【0016】
本発明において、新規なデキストリン脂肪酸エステルに用いられる脂肪酸は、炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸の1種又は2種以上を必須とし、さらに炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸、炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸、及び炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸よりなる群から選ばれる1種又は2種以上(以下、これら炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸以外の脂肪酸をまとめて表すときは「その他の脂肪酸」という)を含有してもよいものである。
【0017】
本発明において、新規なデキストリン脂肪酸エステルにおける脂肪酸の組成割合は、全脂肪酸に対して、炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸の1種又は2種以上が50mol%より多く100mol%以下、好ましくは55mol%以上100mol%以下であり、その他の脂肪酸は、0mol%以上50mol%未満、好ましくは、0mol%以上45mol%以下である。
該炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸としては、例えば、イソ酪酸、イソ吉草酸、2−エチル酪酸、エチルメチル酢酸、イソヘプタン酸、2−エチルヘキサン酸、イソノナン酸、イソデカン酸、イソトリデカン酸、イソミリスチン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、イソアラキン酸、イソヘキサコサン酸等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を適宜選択又は組み合わせて使用することができる。これらのうち、炭素数12〜22のものが好ましく、特にイソステアリン酸が好ましく、構造の違い等の限定は特にない。
本発明において、イソステアリン酸とは、分岐したステアリン酸の1種、又は2種以上の混合物を意味する。例えば5,7,7−トリメチル−2−(1,3,3−トリメチルブチル)−オクタン酸は、イソブチレン2量体のオキソ反応により炭素数9の分岐アルデヒドとし、次いでこのアルデヒドのアルドール縮合により炭素数18の分岐不飽和アルデヒドとし、次いで水素添加、酸化することにより製造することができ(以下、「アルドール縮合型」と略す)、これは例えば日産化学工業社より市販されている。2−ヘプチルウンデカン酸はノニルアルコールをガーベット反応(Guerbet反応、ゲルベ反応ともいう)により二量化し、酸化することにより製造することができ、これは例えば三菱化学社より市販されており、分岐位置の若干異なる類似混合物として、日産化学工業社より市販され、さらに出発アルコールが直鎖飽和ではない2箇所メチル分岐したタイプも同様に日産化学工業社より市販されている(以下総じて「ガーベット反応型」と略す)。また、メチル分岐イソステアリン酸は、例えばオレイン酸のダイマー製造時の副産物として得られるもので〔例えばJ.Amer.Oil Chem.Soc.51,522(1974)に記載〕、例えば米国エメリー社などから市販されていたものがあげられる(以下「エメリー型」と略す)。エメリー型イソステアリン酸の出発物質であるダイマー酸のさらに出発物質は、オレイン酸だけでなく、リノール酸、リノレン酸等も含まれる場合がある。本発明においては特にこのエメリー型がより好ましい。
【0018】
本発明において、新規なデキストリン脂肪酸エステルに用いられる脂肪酸のうち炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸としては、例えば、酢酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を適宜、選択又は組み合わせて使用することができる。これらの中でも、炭素数8〜22のものが好ましく、特に炭素数12〜22のものが好ましい。
【0019】
本発明において、新規なデキストリン脂肪酸エステルに用いられる脂肪酸のうち炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸としては、例えば、モノエン不飽和脂肪酸としては、シス−4−デセン(オブツシル)酸、9−デセン(カプロレイン)酸、シス−4−ドデセン(リンデル)酸、シス−4−テトラデセン(ツズ)酸、シス−5−テトラデセン(フィセテリン)酸、シス−9−テトラデセン(ミリストレイン)酸、シス−6−ヘキサデセン酸、シス−9−ヘキサデセン(パルミトレイン)酸、シス−9−オクタデセン(オレイン)酸、トランス−9−オクタデセン酸(エライジン酸)、シス−11−オクタデセン(アスクレピン)酸、シス−11−エイコセン(ゴンドレイン)酸、シス−17−ヘキサコセン(キシメン)酸、シス−21−トリアコンテン(ルメクエン)酸等が挙げられ、ポリエン不飽和脂肪酸としては、ソルビン酸、リノール酸、ヒラゴ酸、プニカ酸、α−リノレン酸、γ−リノレン酸、モロクチ酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、イワシ酸、ドコサヘキサエン酸、ニシン酸、ステアロール酸、クレペニン酸、キシメニン酸等が挙げられる。
【0020】
本発明において、新規なデキストリン脂肪酸エステルに用いられる脂肪酸のうち炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸は、環状構造を基本骨格の少なくとも一部に有する炭素数6〜30の飽和又は不飽和脂肪酸を意味し、例えば9,10−メチレン−9−オクタデセン酸;アレプリル酸、アレプリン酸、ゴルリン酸、α−シクロペンチル酸、α−シクロヘキシル酸、α−シクロペンチルエチル酸、α−シクロヘキシルメチル酸、ω−シクロヘキシル酸、5(6)−カルボキシ−4−ヘキシル−2−シクロヘキセン−1−オクタン酸、マルバリン酸、ステルクリン酸、ヒドノカルピン酸、ショールムーグリン酸などが挙げられる。
【0021】
本発明において、新規なデキストリン脂肪酸エステルに用いられる脂肪酸として分岐飽和脂肪酸単独の場合のデキストリン脂肪酸エステルとしては、例えば以下のもの等が挙げられる。
デキストリンイソ酪酸エステル
デキストリンエチルメチル酢酸エステル
デキストリンイソヘプタン酸エステル
デキストリン2−エチルヘキサン酸エステル
デキストリンイソノナン酸エステル
デキストリンイソデカン酸エステル
デキストリンイソパルミチン酸エステル
デキストリンイソステアリン酸エステル
デキストリンイソアラキン酸エステル
デキストリンイソヘキサコサン酸エステル
デキストリン(イソ吉草酸/イソステアリン酸)エステル
【0022】
本発明において、新規なデキストリン脂肪酸エステルに用いられる脂肪酸として分岐飽和脂肪酸とその他の脂肪酸との混合脂肪酸を用いた場合のデキストリン脂肪酸エステルとしては、例えば以下のもの等が挙げられる。
デキストリン(イソ酪酸/カプリル酸)エステル
デキストリン(2−エチルヘキサン酸/カプリル酸)エステル
デキストリン(イソアラキン酸/カプリル酸)エステル
デキストリン(イソパルミチン酸/カプリル酸)エステル
デキストリン(エチルメチル酢酸/ラウリン酸)エステル
デキストリン(2−エチルヘキサン酸/ラウリン酸)エステル
デキストリン(イソヘプタン酸/ラウリン酸/ベヘン酸)エステル
デキストリン(イソステアリン酸/ミリスチン酸)エステル
デキストリン(イソヘキサコサン酸/ミリスチン酸)エステル
デキストリン(2−エチルヘキサン酸/パルミチン酸)エステル
デキストリン(イソステアリン酸/パルミチン酸)エステル
デキストリン(イソステアリン酸/イソ吉草酸/パルミチン酸)エステル
デキストリン(イソノナン酸/パルミチン酸/カプロン酸)エステル
デキストリン(2−エチルヘキサン酸/パルミチン酸/ステアリン酸)エステル
デキストリン(イソデカン酸/パルミチン酸)エステル
デキストリン(イソパルミチン酸/ステアリン酸)エステル
デキストリン(イソステアリン酸/アラキン酸)エステル
デキストリン(2−エチルヘキサン酸/アラキン酸)エステル
デキストリン(2−エチル酪酸/ベヘン酸)エステル
デキストリン(イソノナン酸/リノール酸)エステル
デキストリン(イソパルミチン酸/アラキドン酸)エステル
デキストリン(イソパルミチン酸/カプリル酸/リノール酸)エステル
デキストリン(イソステアリン酸/ステアリン酸/オレイン酸)エステル
デキストリン(イソアラキン酸/パルミチン酸/ショールムーグリン酸)エステル
【0023】
新規なデキストリン脂肪酸エステルのデキストリンへの脂肪酸の置換度は、グルコース単位当たり1.0〜3.0であり、好ましくは1.2〜2.8である。この置換度が1.0未満であると液状油等への溶解温度が100℃以上と高くなり、着色や特異な臭いが生じ、好ましくない。
【0024】
(デキストリン脂肪酸エステルの製造方法)
次に、 本発明に使用される新規なデキストリン脂肪酸エステルの製造方法について説明する。
製造方法としては、特に限定されず、公知の製法を採用することができるが、たとえば以下のようにして製造することができる。
【0025】
(1)グルコースの平均重合度が3〜150であるデキストリンと、炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸誘導体の1種又は2種以上を全脂肪酸誘導体に対して50mol%より多く100mol%以下、及び、炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸誘導体、炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸誘導体及び炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸誘導体よりなる群から選ばれる1種又は2種以上(以下、これらの脂肪酸誘導体をまとめて表すときは「その他の脂肪酸誘導体」という)を全脂肪酸誘導体に対して0mol%以上50mol%未満を含有する脂肪酸誘導体とを反応させる。
【0026】
(2)グルコースの平均重合度が3〜150であるデキストリンと、炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸誘導体の1種又は2種以上とを反応させ、次いで、その生成物とその他の脂肪酸誘導体とを反応させる。
その場合、全脂肪酸誘導体に対して炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸誘導体の1種又は2種以上を50mol%より多く100mol%以下、及び、その他の脂肪酸誘導体を全脂肪酸誘導体に対して0mol%以上50mol%未満使用する。
【0027】
本発明において、上記デキストリンとのエステル化反応に使用される脂肪酸誘導体としては、例えば、上記脂肪酸のハロゲン化物、酸無水物等が用いられる。
(1)及び(2)のいずれの場合も、まず、デキストリンを反応溶媒に分散し、必要に応じて触媒を添加する。これに、上記脂肪酸のハロゲン化物、酸無水物等を添加して反応させる。(1)の製造法の場合は、これらの酸を混合して同時に添加反応させ、(2)の製造法の場合は、まず反応性の低い分岐飽和脂肪酸誘導体を反応させた後、次いでその他の脂肪酸誘導体を添加反応させる。
【0028】
製造にあたり、これらのうちの好ましい方法を採用することができる。反応溶媒にはジメチルホルムアミド、ホルムアミド等のホルムアミド系;アセトアミド系;ケトン系;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族化合物系;ジオキサン等の溶剤を適宜使用することができる。反応触媒としてはピリジン、ピコリン等の3級アミノ化合物などを用いることができる。反応温度は原料脂肪酸等により適宜選択されるが、0℃〜100℃の温度が好ましい。
【0029】
本発明に使用される新規なデキストリン脂肪酸エステルの配合量は、特に限定されないが、0.5〜40%が好ましく1〜25%が特に好ましい。この範囲であれば、密着感、ツヤ感に優れ、べた付きや塗布時の重さがなく滑らかな使用感を与え、高い化粧持ち効果を得ることができる。
【0030】
以上のように、成分(A)の新規なデキストリン脂肪酸エステルは特定比率からなる分岐飽和脂肪酸と、直鎖飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、環状の飽和又は不飽和脂肪酸との混合物、あるいは、分岐飽和脂肪酸単独でデキストリンをエステル化させたデキストリン脂肪酸エステルであるが、該デキストリン脂肪酸エステルは、従来のデキストリン脂肪酸エステルと異なり、成分(B)の不揮発性液状油のゲル化能を有せず、付着力(タック性)に優れるものである。該デキストリン脂肪酸エステルは、成分(B)の不揮発性液状油と成分(C)のゲル化剤と組み合わせて口唇に塗布すると、付着力(タック性)に由来する口唇との密着感の高さが感じられ、ツヤ感や化粧持ち効果を高める一方で、べた付きや塗布時の重さなどは感じなく滑らかな使用感を得ることが出来る。更には、配合量を増やしても、粘度やべた付きを増大させて使用感の悪化を招くことなく、密着感、ツヤ感、化粧持ちを高めることができるものである。
【0031】
本発明に使用される成分(B)の不揮発性液状油剤としては極性油,非極性油または合成油、半合成油,動植物油等の極性や由来を問わず、25℃にて液状であればよく、本発明においては伸びの軽さ等の使用感に大きく影響する。ここで不揮発性液状油剤の不揮発性とは、25℃で揮発しないことであるが、例えば常圧での沸点が260℃以上である油剤をいう。
本発明に使用される不揮発性液状油剤として具体的には、流動パラフィン、α−オレフィンオリゴマー、スクワラン、スクワレン、ポリブテン、重質流動イソパラフィン、軽質流動イソパラフィンなどの炭化水素油、トリイソステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、パルミチン酸−2−エチルヘキシル、ダイマー酸とダイマージオールとのオリゴマーエステル、デカイソステアリン酸デカグリセリル、テトライソステアリン酸ペンタエリトリット、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソノニル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、トリ(カプリル・カプリン)酸グリセリルなどのエステル油、小麦胚芽油、米胚芽油、コメヌカ油、メドウフォーム油、ローズマリー油、オリーブ油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、サフラワー油などの植物油、イソステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸類、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール等の高級アルコール類、低重合度ジメチルポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等のシリコーン油類、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等などのラノリン誘導体、油溶性美容成分等が挙げられる。中でも、エステル油がべた付きや塗布時の重さのない滑らかな使用感の点で好ましく、更にトリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、リンゴ酸ジイソステアリルがべた付きのない使用感の点で好ましい。トリ2−エチルヘキサン酸グリセリルの市販品としては、TRIFAT S−308(日本サーファクタント工業社製)、トリイソステアリン酸ジグリセリルは、コスモール43V、リンゴ酸ジイソステアリルは、コスモール222(日清オイリオ社製)等が挙げられる。
【0032】
本発明に使用される成分(B)の不揮発性液状油剤は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができ、配合量は好ましくは、口唇用化粧料中に20〜99%、特に30〜95%が好ましい。この範囲であれば、使用感やツヤ感に優れた口唇用化粧料を得ることができる。
【0033】
本発明に使用される成分(C)のゲル化剤は、化粧料の粘度を上げ、固形化したり、チキソトロピー性を付与するため等に用いられるものである。
成分(C)のゲル化剤は、成分(B)の不揮発性液状油剤をゲル化するものであれば特に限定されず使用することができる。具体的には、ポリエチレン、エチレン・プロピレンコポリマー、パラフィンワックス、オゾケライトワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、モンタンワックス、ビーズワックス、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、シリコーンワックス、ライスワックス等の固形状ワックス、煙霧状無水ケイ酸、パルミチン酸デキストリン、(パルミチン酸/オクタン酸)デキストリン等の成分(B)の不揮発性液状油剤をゲル化できるデキストリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル、12−ヒドロキキシステアリン酸等のヒドロキシ脂肪酸、イソステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸金属塩、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト等の有機変性ベントナイト、架橋型オルガノポリシロキサン等が挙げられ、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。中でも、ポリエチレン、エチレン・プロピレンコポリマー、煙霧状無水ケイ酸、パルミチン酸デキストリンが、塗布時の重さがなく滑らかな使用感を付与する点でより好ましい。ここで、煙霧状無水ケイ酸とは、微細は非晶質の無水ケイ酸であり、例えば、四塩化ケイ素を水素と酸素炎中で加水分解して得られるものが挙げられる。市販品としては、AEROSIL50、AEROSIL130、AEROSIL200、AEROSIL200V、AEROSIL200CF、AEROSIL200FAD、AEROSIL300、AEROSIL300CF、AEROSIL380、AEROSIL380S(以上日本アエロジル社製)等が挙げられる。また、これらの煙霧状無水ケイ酸の一次粒子の粒子径は50nm以下が好ましく、20nm以下が特に好ましい。尚、本発明において、一次粒子の粒子径は、電子顕微鏡写真により測定した3000〜5000個の粒子の平均の値とする。なお、上記煙霧状無水ケイ酸として、前記煙霧状無水ケイ酸を疎水化処理した疎水化煙霧状無水ケイ酸を利用しても良く、その疎水化処理の方法としては、トリメチルシリルクロライドやヘキサメチルジシラザンによるトリメチルシロキシ処理、オクチルシラン化処理、メチルハイドロジェンポリシロキサンを用いたコーティング焼き付け処理、金属石鹸によるコーティング等が挙げられる。疎水化煙霧状無水ケイ酸の市販品としては、AEROSILR972、AEROSILR972V、AEROSILR972CF、AEROSILR974、AEROSILR976S、AEROSILRX200、AEROSILRX300、AEROSILRY200、AEROSILR202、AEROSILR805、AEROSILR812、AEROSILRA200H(以上日本アエロジル社製)、タラノックス500(タルコ社製)、キャボジルTS―530(キャボット社製)等が挙げられる。また、ポリエチレンの市販品としては、PERFORMALENE500(ニューフェーズテクノロジー社製)、エチレン・プロピレンコポリマーは、EP−700(ニューフェーズテクノロジー社製)、パルミチン酸デキストリンは、レオパールKL(千葉製粉社製)等が挙げられる。
【0034】
本発明に使用される成分(C)のゲル化剤の配合量は特に制限されないが、口唇用化粧料中に0.1%〜25%であり、特に好ましくは、0.5%〜15%である。この範囲であれば、塗布時の重さがなく滑らかな使用感を付与する点に優れた口唇用化粧料を得ることができる。
【0035】
本発明の口唇化粧料には、成分(A)〜(C)の油性成分以外で、更に半固形の油剤や液状の揮発性油剤を配合することにより、形状や塗布時の感触などを調整できる。ここで用いる油剤としては、通常化粧料に用いられる油分であれば特に制約なく使用することができ、動物油、植物油、合成油等の起源は問わず炭化水素類、油脂類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリンを使用することができる。具体的には、ワセリン、軽質流動イソパラフィン等の炭化水素類、デカメチルシクロペンタシロキサン等のシリコーン類、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、ジペンタエリトリット脂肪酸エステルなどの液状の揮発性油剤、半固形もしくはペースト状エステル油類が挙げられる。
【0036】
また、本発明の口唇化粧料には、上記成分(C)に用いる煙霧状無水ケイ酸、脂肪酸金属塩、有機変性ベントナイト以外で、粉体を配合することにより、塗布時の感触の調整や着色をすることができる。ここで用いる粉体としては、通常化粧料に用いられるものであれば特に制約なく使用することができ、板状、紡錘状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級などの粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、複合粉体類等が挙げられる。具体的には、コンジョウ、群青、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、雲母、合成雲母、合成セリサイト、セリサイト、タルク、カオリン、炭化珪素、硫酸バリウム、窒化硼素等の無機粉体類、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン、酸化鉄処理雲母、酸化鉄処理雲母チタン、有機顔料処理雲母チタン、二酸化珪素・酸化チタン被覆雲母、酸化チタン処理ガラス末、酸化鉄酸化チタン処理ガラス末、アルミニウムパウダー等の光輝性粉体類、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、N−アシルリジン、ナイロン等の有機粉体類、有機タール系顔料、有機色素のレーキ顔料等の色素粉体類、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素等の複合粉体、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末等が挙げられ、これらを1種又は2種以上を用いることができる。また、これら粉体は1種又は2種以上の複合化したものを用いても良い。
【0037】
本発明の口唇用化粧料には、本発明の効果を損なわない範囲で、更に必要に応じて、前記以外の各種成分、例えば界面活性剤、紫外線吸収剤、保湿剤、水性成分、酸化防止剤、美容成分、防腐剤、水溶性高分子、皮膜形成剤、褪色防止剤、消泡剤、香料などを各種の効果を付与するために適宜配合することができる。
【0038】
界面活性剤としては、化粧料一般に用いられている界面活性剤であれば特に制約はなく、非イオン界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が使用される。更に、紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系、PABA系、ケイ皮酸系、サリチル酸系等の紫外線吸収剤や、4−tert−ブチル−4'−メトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン等が挙げられ、保湿剤としては、例えばタンパク質、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン、ケラチン等が挙げられる。
また、水性成分はモイスチャー効果を付与する目的で用いることができ、水及び水に可溶な成分であれば何れでもよく、水の他に、例えば、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、アロエベラ、ウイッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えばα−トコフェロール、アスコルビン酸等が、美容成分としては、例えばビタミン類、消炎剤、生薬等が、防腐剤としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール、1、2−ペンタンジオール等がそれぞれ挙げられる。
【0039】
本発明の口唇用化粧料の製造方法は特に限定されるものではないが、例えば、新規な脂肪酸エステルと液状油、及び必要に応じて他の油剤や油性ゲル化剤を含む油性成分に他の成分を均一に分散した後、容器に充填して冷却することにより得ることができる。
【0040】
本発明の口唇用化粧料とは、口唇に適用する化粧料であれば、特に限定されないが、例えば、口紅、グロス、リップトリートメント、リップクリーム、リップ下地等が挙げられ、その中でも特にグロス、口紅であることが好ましい。剤形は固形状、ペースト状、液状等に適用でき、いずれにおいても密着感、ツヤ感、使用感、および化粧持ちの良さが発揮される。また、本発明の口唇用化粧料の剤型は特に限定されず、油中水型等の水を含有する剤型とすることもできるが、液状、半固形状または固形状の油剤や油溶性化合物である油性成分を連続相とする実質的に水を含まない油性型のものが好ましい。
【実施例】
【0041】
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0042】
《新規なデキストリン脂肪酸エステルの参考製造例》
以下に本発明に用いる新規なデキストリン脂肪酸エステルの参考製造例を示す。また、下記方法で置換度、構成脂肪酸のmol%、粘度、タック性を測定した。
【0043】
(置換度、構成脂肪酸のmol%の測定方法)
参考製造例のデキストリン脂肪酸エステルのIRスペクトルを測定し、アルカリ分解後の脂肪酸量とガスクロマトグラフィーから、置換度と、構成脂肪酸のmol%を求めた。
【0044】
(粘度の測定方法)
各試料(参考製造例のデキストリン脂肪酸エステル)を5質量%含有する流動パラフィンを100℃で溶解し、室温(25℃)まで冷却する。25℃の恒温槽で24時間保温し、以下の測定機器を用いて粘度を測定した。
尚、流動パラフィンはASTM D445測定方法による40℃の動粘度が8mm/sのものを使用した。
[測定機器]Yamco DIGITAL VISCOMATE MODEL VM−100A(山一電機社製)
【0045】
(タック性の測定方法)
各試料(参考製造例のデキストリン脂肪酸エステル)をIPクリーンLX(軽質流動イソパラフィン)に40%溶解した溶液を、ガラス板に400μm厚のアプリケーターで塗布し、その皮膜を室温24時間乾燥後、70℃で12時間保存した後、室温25℃におけるタック性を、以下に示す機器および条件で評価した。
[測定機器]テクスチャーアナライザーTA.XTplus(Stable Micro Systems社製)
[プローブ]1/2 Cyl.Delrin(ポリアセタール樹脂(POM))P/0.5)、直径12.5mm円柱状
[測定条件]Test Speed:0.5mm/sec, Applied Force:100g, Contact Time:10sec
【0046】
[参考製造例1:デキストリンイソステアリン酸(エメリー型)エステル]
平均グルコース重合度30のデキストリン21.41g(0.132mol)をジメチルホルムアミド71g、3−メチルピリジン62g(0.666mol)とからなる混合溶媒に70℃で分散させ、イソステアリン酸クロライド(エメリー型)120g(0.396mol)を30分かけて滴下した。滴下終了後、反応温度を80℃として5時間反応させた。反応終了後、反応液をメタノールに分散させ、上層を除去した。半固形分をメタノールで数回洗浄後、乾燥して淡黄色の樹脂状物質107gを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸60mol%)
尚、エメリー型の出発原料はコグニス社製のEMARSOL873を用いた。本原料の脂肪酸組成は分岐飽和脂肪酸が60mol%、その他の脂肪酸が40mol%(パルミチン酸10mol%を含む)のものを用いた。(以下同様)
置換度は2.2、分岐飽和脂肪酸60mol%、その他の脂肪酸40mol%(内パルミチン酸10mol%)、粘度は0mPa・s、タック性は161gであった。
【0047】
[参考製造例2〜4:デキストリンイソステアリン酸(エメリー型)エステル]
参考製造例1記載の原料・方法に準じ、
参考製造例2は、平均グルコース重合度30のデキストリン0.132molに対し、イソステアリン酸クロライド(エメリー型)を0.172mol用い、デキストリンイソステアリン酸(エメリー型)エステルを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸60mol%)
置換度1.0、分岐飽和脂肪酸60mol%、その他の脂肪酸40mol%(内パルミチン酸10mol%)、粘度は0mPa・s、タック性は35gであった。
参考製造例3は、平均グルコース重合度30のデキストリン0.132molに対し、イソステアリン酸クロライド(エメリー型)を0.224mol用い、デキストリンイソステアリン酸(エメリー型)エステルを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸60mol%)
置換度1.4、分岐飽和脂肪酸60mol%、その他の脂肪酸40mol%(内パルミチン酸10mol%)、粘度は0mPa・s、タック性は45gであった。
参考製造例4は平均グルコース重合度30のデキストリン0.132molに対し、イソステアリン酸クロライド(エメリー型)を0.502mol用い、デキストリンイソステアリン酸(エメリー型)エステルを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸60mol%)
置換度2.6、分岐飽和脂肪酸60mol%、その他の脂肪酸40mol%(内パルミチン酸10mol%)、粘度は0mPa・s、タック性は750gであった。
【0048】
[参考製造例5:デキストリンイソステアリン酸エステル]
イソステアリン酸クロライド(エメリー型)の代わりにイソステアリン酸クロライド(ガーベット反応型)を用いた以外は参考製造例1と同様に作成し、淡黄色の樹脂状物質80gを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸100mol%)
尚、ガーベット反応型の出発原料は日産化学工業社製のファインオキソコール イソステアリン酸−Nを用いた。
置換度は1.8、イソステアリン酸100mol%、粘度は0mPa・s、タック性は173gであった。
【0049】
[参考製造例6:デキストリンイソステアリン酸エステル]
イソステアリン酸クロライド(エメリー型)の代わりにイソステアリン酸クロライド(アルドール縮合型)を用いた以外は参考製造例1と同様に作成し、淡黄色の樹脂状物質60gを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸100mol%)
尚、アルドール縮合型の出発原料は日産化学工業社製のファインオキソコール イソステアリン酸を用いた。
置換度は1.2、イソステアリン酸100mol%、粘度は0mPa・s、タック性は61gであった。
【0050】
[参考製造例7:デキストリンイソアラキン酸/パルミチン酸エステル]
平均グルコース重合度150のデキストリン51.28gをジメチルホルムアミド150g、ピリジン60gとからなる混合溶媒に70℃で分散させ、イソアラキン酸クロライド132gとパルミチン酸クロライド12gの混合物を30分間かけて滴下した。滴下終了後、反応温度を80℃として5時間反応させた。反応終了後、反応液をメタノールに分散させ、上層を除去した。半固形分をメタノールで数回洗浄後、乾燥して淡黄色の樹脂状物質145gを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸90mol%)
置換度は1.1、イソアラキン酸85mol%、パルミチン酸15mol%、粘度は0mPa・s、タック性は45gであった。
【0051】
[参考製造例8:デキストリンイソ酪酸/カプリン酸エステル]
平均グルコース重合度5のデキストリン34.19gを3−メチルピリジン215gに70℃で分散させ、イソ酪酸クロライド50g及びカプリン酸クロライド60gの混合物を30分間かけて滴下した。滴下終了後、反応温度を80℃として5時間反応させた。反応終了後、反応液をメタノールに分散させ、上層を除去した。半固形分をエタノールで数回洗浄後、乾燥して淡黄色の樹脂状物質98gを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸60mol%)
置換度は2.9、イソ酪酸63mol%、カプリン酸37mol%、粘度は0mPa・s、タック性は255gであった。
【0052】
[参考製造例9:デキストリンイソパルミチン酸エステル]
平均グルコース重合度100のデキストリン23.62gをジメチルホルムアミド71g、3−メチルピリジン62gとからなる混合溶媒に70℃で分散させ、イソパルミチン酸クロライド100gを30分間滴下した。滴下終了後、反応温度を80℃として5時間反応させた。反応終了後、反応液をメタノールに分散させ、上層を除去した。半固形分をメタノールで数回洗浄後、乾燥して淡黄色の樹脂状物質90gを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸100mol%)
置換度は2.0、イソパルミチン酸100mol%、粘度は0mPa・s、タック性は204gであった。
【0053】
[参考製造例10:デキストリンイソノナン酸/ステアリン酸エステル]
平均グルコース重合度20のデキストリン36.34gをジメチルホルムアミド120g、3−メチルピリジン62gとからなる混合溶媒に70℃で分散させ、イソノナン酸クロライド41g及びステアリン酸クロライド58gの混合物を30分間かけて滴下した。滴下終了後、反応温度を80℃として5時間反応させた。反応終了後、反応液をメタノールに分散させ、上層を除去した。半固形分をメタノールで数回洗浄後、乾燥して淡黄色の樹脂状物質95gを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸55mol%)
置換度は1.6、イソノナン酸51mol%、ステアリン酸49mol%、粘度は0mPa・s、タック性は64gであった。
【0054】
[参考製造例11:デキストリン2−エチルヘキサン酸/ベヘン酸エステル]
平均グルコース重合度20のデキストリン54.56gをジメチルホルムアミド150g、3−メチルピリジン130gとからなる混合溶媒に70℃で分散させ、2−エチルヘキサン酸クロライド147g、次いでベヘン酸クロライド36gを計30分間かけて滴下した。滴下終了後、反応温度を80℃として5時間反応させた。反応終了後、反応液をメタノールに分散させ、上層を除去した。半固形分をメタノールで数回洗浄後、乾燥して淡黄色の樹脂状物質95gを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸90mol%)
置換度は2.3、2−エチルヘキサン酸95mol%、ベヘン酸5mol%、粘度は0mPa・s、タック性は138gであった。
【0055】
[参考製造例12:デキストリンイソパルミチン酸/酢酸エステル]
平均グルコース重合度20のデキストリン22.56gをジメチルホルムアミド71g、3−メチルピリジン70gとからなる混合溶媒に70℃で分散させ、イソパルミチン酸クロライド110g及び無水酢酸10gの混合物を30分間かけて滴下した。滴下終了後、反応温度を80℃として5時間反応させた。反応終了後、反応液をメタノールに分散させ、上層を除去した。半固形分をメタノールで数回洗浄後、乾燥して淡黄色の樹脂状物質96gを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸80mol%)
置換度は2.8、イソパルミチン酸79mol%、酢酸21mol%、粘度は0mPa・s、タック性は430gであった。
【0056】
[参考製造例13:デキストリンイソステアリン酸(エメリー型)/オレイン酸エステル]
平均グルコース重合度40のデキストリン19.99gをジメチルホルムアミド71g、3−メチルピリジン62gとからなる混合溶媒に70℃で分散させ、イソステアリン酸クロライド(エメリー型)108gとオレイン酸クロライド12gの混合物を30分間かけて滴下した。滴下終了後、反応温度を80℃として5時間反応させた。反応終了後、反応液をメタノールに分散させ、上層を除去した。半固形分をメタノールで数回洗浄後、乾燥して淡黄色の樹脂状物質88gを得た。(仕込み時分岐飽和脂肪酸54mol%)
置換度は2.2、分岐飽和脂肪酸54mol%、その他の脂肪酸46mol%(内オレイン酸10mol%)、粘度は0mPa・s、タック性は350gであった。
【0057】
(実施例1〜7及び比較例1〜4)スティック状口紅
表1に示す処方及び下記に示す製造方法により、口紅を製造した。得られた各口紅について、官能評価により、密着感、ツヤ感、使用感、化粧持ちを評価した。この結果も併せて表1に示す。
【0058】
【表1】

【0059】
*1:EP−700(ニューフェーズテクノロジー社製)
*2:コスモール222(日清オイリオ社製)
*3:コスモール43V(日清オイリオ社製)
*4:IPソルベント2028(出光興産社製)
*5:TRIFAT S−308(日本サーファクタント工業社製)
*6:参考製造例1のデキストリン脂肪酸エステル
*7:エステルガムHP(荒川化学工業社製)
(製造方法)
A:成分1〜11を100〜110℃にて加熱溶解する。
B:Aに成分12〜16を加えて、均一に混合する。
C:Bを脱泡後、110℃に加熱して口紅容器に直接流し込み、冷却後、口紅を得た。
【0060】
(評価方法)
(イ)〜(ニ)の項目について、各試料について専門パネル20名による使用テストを行った。各試料を口唇に塗布し、パネル各人が下記絶対評価にて6段階に評価し、評点をつけ、パネル全員の評点合計からその平均値を算出し、下記4段階判定基準により判定した。
尚、評価項目(イ)〜(ハ)は塗布直後を評価し、評価項目(ニ)については、試料を口唇に塗布し、パネルに通常の生活をしてもらい、3時間後の化粧効果について評価した。
(イ)の密着感については、塗布時に化粧料がムラ付きせず、口唇の動きによってもよれが生じなく均一に塗布できるかどうかについて評価を行い、(ロ)ツヤ感については、表面のツヤを目視評価した。(ハ)使用感については、塗布時のベタツキや伸びの重さによる抵抗感を評価し、(ニ)化粧持ちについては3時間後に口唇上に残っている色味とツヤの程度を目視評価した。
<評価項目>
(イ)密着感
(ロ)ツヤ感
(ハ)使用感
(ニ)化粧持ち
<6段階絶対評価>
(評点):(評価)
5:非常に良い
4:良い
3:やや良い
2:普通
1:やや悪い
0:悪い
<4段階判定基準>
◎:4点以上 :非常に良好
○:3点以上で4点未満 :良好
△:1.5点以上で3点未満 :やや不良
×:1.5点未満 :不良
【0061】
表1から明らかなごとく、本発明の実施例1〜7は、新規なデキストリン脂肪酸エステルを含むことで、ツヤのある仕上がりで、べた付きや塗布時の重さがなく滑らかな使用感を与える一方で密着感があり、高い化粧持ちを示すものであった。
一方、新規なデキストリン脂肪酸エステルを配合しない比較例1では、付着力が下がるために化粧膜が薄く、且つよれ易いために、ツヤ感、化粧持ちの点で満足のいくものが得られなかった。
また、新規なデキストリン脂肪酸エステルの代わりに、ロジン酸ペンタエリスリトールを配合した比較例2では化粧膜にべた付きがあり、塗布時に重さが感じられ綺麗に塗布することが難しいため、ツヤ感及び使用感の点で満足のいくものが得られなかった。
また、成分(C)のゲル化剤を配合しない比較例3は、形状が崩れ、使用性に劣り、しっかりと塗布することが出来ないため、ツヤ感、使用感、化粧持ちの点で、満足いくものが得られなかった。成分(B)の不揮発性液状油剤の代わりに揮発性液状油剤を配合した比較例4では、低粘度であるため密着感が弱く、揮発油が揮発するに伴いべた付きが生じ、使用感が悪く、揮発後は化粧膜の固形分が高くなるため綺麗な化粧膜を維持できず、満足のいくものが得られなかった。
【0062】
(実施例8〜14及び比較例5〜8)液状リップグロス
表2に示す処方及び下記に示す製造方法により、液状グロスを製造した。得られた各液状グロスについて、官能評価により、密着感、ツヤ感、使用感、化粧持ちを上記と同様に評価した。この結果も併せて表2に示す。
【0063】
【表2】

【0064】
*8:レオパールKL(千葉製粉社製)
*9:ポリブテン2000H(出光興産社製)
*10:パールリーム18(日油社製)
*11:参考製造例2のデキストリン脂肪酸エステル
(製造方法)
A:成分1〜11を90〜100℃にて加熱溶解する。
B:Aに成分12〜16を加えて、均一に混合する。
C:Bを脱泡後、90℃に加熱してグロス容器(塗布体付き容器)に直接流し込み、リップグロスを得た。
【0065】
表2から明らかなごとく、本発明の実施例8〜14は、新規なデキストリン脂肪酸エステルを含むことで、ツヤのある仕上がりで、べた付きや塗布時の重さがなく滑らかな使用感を与える一方で密着感があり、高い化粧持ちを示すものであった。
一方、新規なデキストリン脂肪酸エステルを配合しない比較例5では、付着力が下がったために密着感と化粧持ちが低下し、化粧膜が薄くツヤ感が弱まり、満足のいくものが得られなかった。
また、新規なデキストリン脂肪酸エステルの代わりに、ロジン酸ペンタエリスリトールを配合した比較例6では化粧膜にべた付きがあり、きれいに塗布できないためツヤ感及び使用感の点で満足のいくものが得られなかった。
また、成分(C)のゲル化剤を配合しない比較例7は、粘度が低く、あまり付着しないために密着感とツヤ感が弱く、化粧膜がよれるために化粧持ちが良くなかった。成分(B)の不揮発性液状油剤の代わりに揮発性液状油剤を配合した比較例8では、揮発に伴いツヤ感と使用感が悪化し、揮発後は化粧膜の固形分が高くなるため綺麗な化粧膜を維持できず、満足のいくものが得られなかった。
【0066】
(実施例15) スティック状口紅(金型成型)
(成分) (%)
1.キャンデリラワックス 3
2.エチレン・プロピレンコポリマー*1 4
3.マイクロクリスタリンワックス 2
4.ポリエチレンワックス*12 3
5.ロジン酸ペンタエリスリトール*7 5
6.イソノナン酸イソトリデシル 5
7.ラウロイルグルタミン酸ジ
(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル) 5
8.2−エチルヘキサン酸セチル 10
9.メチルフェニルポリシロキサン 5
10.トリメチルシロキシケイ酸 2
11.酢酸液状ラノリン 10
12.トリイソステアリン酸ジグリセリル*3 残量
13.リンゴ酸ジイソステアリル*2 10
14.新規なデキストリン脂肪酸エステル*13 5
15.新規なデキストリン脂肪酸エステル*14 5
16.新規なデキストリン脂肪酸エステル*15 5
17.フェノキシエタノール 0.3
18.2,6−ジ−ターシャリーブチル−パラクレゾール 0.1
19.煙霧状無水ケイ酸*16 1
20.赤色202号 0.1
21.黄色4号 1
22.酸化チタン 1
23.シリコーン2%処理黒酸化鉄 0.01
24.酸化チタン被覆ガラス末 1
25.シリコーン3%処理雲母チタン 5
26.香料 適量
27.ラズベリーエキス
(キイチゴエキス30%濃度の1,3−ブチレングリコール含有水溶液) 0.1
【0067】
*12:PERFORMALENE500(ニューフェーズテクノロジー社製)
*13:参考製造例3のデキストリン脂肪酸エステル
*14:参考製造例4のデキストリン脂肪酸エステル
*15:参考製造例5のデキストリン脂肪酸エステル
*16:AEROSIL200(日本アエロジル社製)
【0068】
(製造方法)
A:成分1〜16を100℃にて均一に溶解する。
B:Aに成分17〜25を加え、均一に混合分散する。
C:Bに成分26、27を加えて均一に混合し、100℃に加熱溶解して金型容器(アルミニウム製)に流し込み、冷却固化して容器に装着しスティック状口紅を得た。
【0069】
実施例15について、実施例1〜7で使用した評価方法と同様に評価を行った結果、ツヤのある仕上がりで、べた付きや塗布時の重さがなく滑らかな使用感を与える一方で密着感があり、高い化粧持ちを示すものであった。
【0070】
(実施例16) 油性流し込みリップクリーム(金皿成型)
(成分) (%)
1.ポリエチレンワックス*12 2
2.エチレン・プロピレンコポリマー*1 4
3.マイクロクリスタリンワックス 1
4.イソノナン酸イソトリデシル 5
5.ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル) 20
6.水添アビエチン酸グリセリル*17 1
7.ワセリン 10
8.ポリブテン*9 5
9.重質流動イソパラフィン*10 10
10.デカメチルシクロペンタシロキサン 2
11.リンゴ酸ジイソステアリル*2 残量
12.新規なデキストリン脂肪酸エステル*18 0.1
13.デカイソステアリン酸デカグリセリル 10
14.フェノキシエタノール 0.1
15.2,6−ジ−ターシャリーブチル−パラクレゾール 0.1
16.ジメチルシリル化処理煙霧状無水ケイ酸*19 2
17.トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン5%処理
酸化チタン被覆ガラス末 3
18.香料 適量
【0071】
*17:パインクリスタル KE−311(荒川化学工業社製)
*18:参考製造例6のデキストリン脂肪酸エステル
*19:AEROSIL R976S(日本アエロジル社製)
【0072】
(製造方法)
A:成分1〜12を100℃にて均一溶解する。
B:Aに成分13〜18を加え、均一に混合分散する。
C:Bを100℃に加熱溶解して、金皿(アルミニウム製)に流し込み、冷却固化して油性流し込みリップクリームを得た。
【0073】
実施例16について、実施例1〜7で使用した評価方法と同様に評価を行った結果、ツヤのある仕上がりで、べた付きや塗布時の重さがなく滑らかな使用感を与える一方で密着感があり、高い化粧持ちを示すものであった。
【0074】
(実施例17) リキッドルージュ
(成分) (%)
1.ジメチルシリル化処理煙霧状無水ケイ酸*19 5
2.α‐オレフィンオリゴマー 20
3.流動パラフィン 残量
4.トリイソステアリン酸ジグリセリル*3 5
5.イソノナン酸イソトリデシル 5
6.メチル・トリフロロプロピルシクロポリシロキサン*20 2
7.新規なデキストリン脂肪酸エステル*21 8
8. 新規なデキストリン脂肪酸エステル*22 3
9. 新規なデキストリン脂肪酸エステル*23 10
10.フェノキシエタノール 0.1
11.2,6−ジ−ターシャリーブチル−パラクレゾール 0.1
12.赤色202号 0.1
13.黄色4号 0.5
14.無水ケイ酸*24 0.5
15.パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 0.1
【0075】
*20:KF−5002(信越化学工業社製)
*21:参考製造例7のデキストリン脂肪酸エステル
*22:参考製造例8のデキストリン脂肪酸エステル
*23:参考製造例9のデキストリン脂肪酸エステル
*24:サイリシア550(富士シリシア社製)
【0076】
(製造方法)
A:成分2〜11及び成分15を90℃にて均一溶解する。
B:Aに成分1及び成分12〜14を加え、均一に混合分散する。
C:Bを90℃に加熱溶解して、脱泡後、容器(塗布体付き)に流し込み、リキッドルージュを得た。
【0077】
実施例17について、実施例1〜7で使用した評価方法と同様に評価を行った結果、ツヤのある仕上がりで、べた付きや塗布時の重さがなく滑らかな使用感を与える一方で密着感があり、高い化粧持ちを示すものであった。
【0078】
(実施例18) 口紅オーバーコート
(成分) (%)
1.パルミチン酸デキストリン*8 5
2.α‐オレフィンオリゴマー 20
3.流動パラフィン 残量
4.トリイソステアリン酸ジグリセリル*3 5
5.イソノナン酸イソトリデシル 5
6.カルナウバワックス 2
7.新規なデキストリン脂肪酸エステル*25 1
8.新規なデキストリン脂肪酸エステル*26 1
9.新規なデキストリン脂肪酸エステル*27 1
10.新規なデキストリン脂肪酸エステル*28 1
11.煙霧状無水ケイ酸*16 10
12.フェノキシエタノール 0.1
13.2,6−ジ−ターシャリーブチル−パラクレゾール 0.1
14.赤色226号 0.1
15.黄色4号 0.5
16.酸化チタン 0.5
17.トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン5%処理
酸化チタン被覆ガラス末 2
18.香料 適量
【0079】
*25:参考製造例10のデキストリン脂肪酸エステル
*26:参考製造例11のデキストリン脂肪酸エステル
*27:参考製造例12のデキストリン脂肪酸エステル
*28:参考製造例13のデキストリン脂肪酸エステル
【0080】
(製造方法)
A:成分1〜13を90℃にて均一溶解する。
B:Aに成分14〜18を加え、均一に混合分散する。
C:Bを90℃に加熱溶解して、脱泡後、容器(塗布体付き)に流し込み、口紅オーバーコートを得た。
【0081】
実施例18について、実施例1〜7で使用した評価方法と同様に評価を行った結果、ツヤのある仕上がりで、べた付きや塗布時の重さがなく滑らかな使用感を与える一方で密着感があり、高い化粧持ちを示すものであった。
【0082】
(実施例19) 油性流し込みリップ下地(金皿成型)
(成分) (%)
1.ポリエチレンワックス*12 2
2.エチレン・プロピレンコポリマー*1 4
3.マイクロクリスタリンワックス 1
4.イソノナン酸イソトリデシル 5
5.ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル) 20
6.水添アビエチン酸グリセリル*17 1
7.ワセリン 10
8.ポリブテン*9 5
9.重質流動イソパラフィン*10 10
10.デカメチルシクロペンタシロキサン 2
11.リンゴ酸ジイソステアリル*2 残量
12.新規なデキストリン脂肪酸エステル*6 0.5
13.ポリヒドロキシステアリン酸*29 1
14.デカイソステアリン酸デカグリセリル 10
15.フェノキシエタノール 0.1
16.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
17.ジメチルシリル化処理煙霧状無水ケイ酸*19 2
18.ジメチルジステアリルヘクトライト*30 0.2
19.ホホバ油 0.1
【0083】
*29:サラコスHS−6C(日清オイリオ社製)
*30:BENTON38V(エレメンティス社製)
【0084】
(製造方法)
A:成分1〜12を100℃にて均一溶解する。
B:Aに成分13〜19を加え、均一に混合分散する。
C:Bを100℃に加熱溶解して、金皿(アルミニウム製)に流し込み、冷却固化して油性流し込みリップ下地を得た。
【0085】
実施例19について、実施例1〜7で使用した評価方法と同様に評価を行った結果、ツヤのある仕上がりで、べた付きや塗布時の重さがなく滑らかな使用感を与える一方で密着感があり、高い化粧持ちを示すものであった。
【0086】
(実施例20) W/O型スティック状口紅(金型成型)
(成分) (%)
1.ポリエチレンワックス*12 2
2.エチレン・プロピレンコポリマー*1 9
3.キャンデリラワックス 1
4.トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル*5 残量
5.リンゴ酸ジイソステアリル*2 5
6.酢酸ラノリン 5
7.トリイソステアリン酸ジグリセリル*3 10
8.新規なデキストリン脂肪酸エステル*6 5
9.赤色202号 0.3
10.黄色4号 0.2
11.黒酸化鉄 0.1
12.酸化チタン 0.5
13.ジメチコンコポリオールクロスポリマー30%
ジメチコン混合物*31 3
14.ジメチルポリシロキサン(6mm/s:25℃) 2
15.PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン*32 0.1
16.トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル*5 5
17.ポリエチレングリコール(M.W.300) 1
18.ポリエチレングリコール(M.W.1540) 1
19.グリセリン 2
20.1,3−ブチレングリコール 5
21.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
22.1,2−ペンタンジオール 0.1
23.ローヤルゼリーエキス(ローヤルゼリーエキス0.5%濃度の
1,3−ブチレングリコール含有水溶液) 0.2
24.精製水 30
25.香料 0.1
【0087】
*31:KSG−21(信越化学工業社製)
*32:KF−6028P(信越化学工業社製)
【0088】
(製造方法)
A:成分13〜15を混合後、成分16を加え均一溶解する。
B:成分17〜22を100℃にて溶解し、成分23、24を加え均一に溶解する。
C:BにAを攪拌しながら加え乳化する。
D:成分1〜8までを110℃にて均一溶解し、成分9〜12を加え、均一に混合分散する。
E:DにCを80℃にて加え、成分25を均一に混合し、金型容器(アルミニウム製)に流し込み、冷却固化して容器に装着しW/O型スティック状口紅を得た。
【0089】
実施例20について、実施例1〜7で使用した評価方法と同様に評価を行った結果、ツヤのある仕上がりで、べた付きや塗布時の重さがなく滑らかな使用感を与える一方で密着感があり、高い化粧持ちを示すものであった。
【0090】
(実施例21) スティック状口紅
(成分) (%)
1.キャンデリラワックス 1
2.エチレン・プロピレンコポリマー*1 2
3.ポリエチレンワックス*33 2
4.フィッシャートロプシュワックス 1
5.2−エチルヘキサン酸グリセリル 残量
6.デカイソステアリン酸デカグリセリル 25
7.酢酸液状ラノリン 15
8.テトライソステアリン酸ジグリセリル*34 4
9.リンゴ酸ジイソステアリル*2 6
10.新規なデキストリン脂肪酸エステル*11 10
11.新規なデキストリン脂肪酸エステル*13 5
12.新規なデキストリン脂肪酸エステル*14 5
13.フェノキシエタノール 0.3
14.2,6−ジ−ターシャリーブチル−パラクレゾール 0.1
15.赤色202号 0.1
16.黄色4号 1
17.酸化チタン 1
18.シリコーン2%処理黒酸化鉄 0.01
19.酸化チタン被覆ガラス末 1
20.シリコーン3%処理雲母チタン 5
21.香料 適量
22.ラズベリーエキス
(キイチゴエキス30%濃度の1,3−ブチレングリコール含有水溶液) 0.1
【0091】
*33:PERFORMALENE655(ニューフェーズテクノロジー社製)
*34:コスモール44V(日清オイリオ社製)
【0092】
(製造方法)
A:成分1〜12を100℃にて均一に溶解する。
B:Aに成分13〜20を加え、均一に混合分散する。
C:Bに成分21、22を加えて均一に混合し、100℃に加熱溶解して直接口紅容器に充填し、冷却固化してスティック状口紅を得た。
【0093】
実施例21について、実施例1〜7で使用した評価方法と同様に評価を行った結果、ツヤのある仕上がりで、べた付きや塗布時の重さがなく滑らかな使用感を与える一方で密着感があり、高い化粧持ちを示すものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)及び(C);
(A)デキストリンと脂肪酸とのエステル化物であって、デキストリンのグルコースの平均重合度が3〜150であり、脂肪酸が炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸の1種又は2種以上を全脂肪酸に対して50mol%より多く100mol%以下、及び、炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸、炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸及び炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を全脂肪酸に対して0mol%以上50mol%未満を含有し、グルコース単位当たりの脂肪酸の置換度が1.0〜3.0であるデキストリン脂肪酸エステル
(B)不揮発性液状油剤
(C)ゲル化剤
を配合することを特徴とする口唇用化粧料。
【請求項2】
成分(A)のデキストリン脂肪酸エステルが、デキトスリンの水酸基に、全脂肪酸誘導体に対して、炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸誘導体の1種又は2種以上を50mol%より多く100mol%以下、及び、炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸誘導体、炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸誘導体及び炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸誘導体よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を0mol%以上50mol%未満を含有する脂肪酸誘導体を反応させて得たデキストリンと脂肪酸とのエステル化物であって、デキストリンのグルコースの平均重合度が3〜150であり、グルコース単位当りの脂肪酸の置換度が1.0〜3.0であることを特徴とする請求項1記載の口唇用化粧料。
【請求項3】
成分(A)のデキストリン脂肪酸エステルが、デキトスリンの水酸基に、炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸誘導体の1種又は2種以上を反応させ、次いで、その生成物と炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸誘導体、炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸誘導体及び炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸誘導体よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を反応させて得たデキストリンと脂肪酸とのエステル化物であって、全脂肪酸誘導体に対して、該炭素数4〜26の分岐飽和脂肪酸誘導体の1種又は2種以上を50mol%より多く100mol%以下、及び、該炭素数2〜22の直鎖飽和脂肪酸誘導体、該炭素数6〜30の直鎖又は分岐の不飽和脂肪酸誘導体及び該炭素数6〜30の環状の飽和又は不飽和脂肪酸誘導体よりなる群から選ばれる1種又は2種以上を0mol%以上50mol%未満反応させたものであり、デキストリンのグルコースの平均重合度が3〜150であり、グルコース単位当りの脂肪酸の置換度が1.0〜3.0であることを特徴とする請求項1又は2に記載の口唇用化粧料。
【請求項4】
成分(A)のデキストリン脂肪酸エステルを構成する分岐飽和脂肪酸が、炭素数12〜22の分岐飽和脂肪酸から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の口唇用化粧料。
【請求項5】
成分(A)のデキストリン脂肪酸エステルが、成分(B)の不揮発性液状油剤をゲル化しないことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の口唇用化粧料。
【請求項6】
成分(B)の不揮発性液状油剤がエステル油であること特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の口唇用化粧料。
【請求項7】
成分(B)の不揮発性液状油剤がトリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、リンゴ酸ジイソステアリルから選ばれる1種又は2種以上のエステル油であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の口唇用化粧料。
【請求項8】
成分(C)のゲル化剤が、固形状ワックス、煙霧状無水ケイ酸、成分(B)をゲル化可能なデキストリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル、ヒドロキシ脂肪酸、脂肪酸金属塩、有機変性ベントナイト、架橋型オルガノポリシロキサンから選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の口唇用化粧料。
【請求項9】
成分(C)のゲル化剤が、ポリエチレン、エチレン・プロピレンコポリマー、煙霧状無水ケイ酸、パルミチン酸デキストリンから選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の口唇用化粧料

【公開番号】特開2012−116822(P2012−116822A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−270881(P2010−270881)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】