説明

可塑剤及び殺真菌剤を含む製剤及びそれから生産される物品

本発明は、可塑剤を含む製剤、並びにそれから生産され、及び/又はそれで被覆された物品に関する。より具体的には、前記製剤は可塑剤、並びに殺真菌に有効な量のフルジオキソニル及び/又はジフェノコナゾールを含む。前記製剤は、可塑化された物品、及び殺真菌剤を含むプラスチゾルで被覆されている物品の製造における特定の用途を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可塑剤を含む製剤、並びにそれから生産され、及び/又はそれで被覆される物品に関する。より具体的には、前記製剤は可塑剤、並びに殺真菌に有効な量の特定の殺真菌剤(単数又は複数)を含む。前記製剤は、可塑化された物品、及び殺真菌剤を含むプラスチゾルで被覆されている物品の製造における特定の用途を有する。
【背景技術】
【0002】
柔軟な物品中の可塑剤及びプラスチゾルで被覆された物品は、特に真菌による攻撃を受けやすい。なぜなら、その可塑剤が炭素系栄養源として振る舞うからである。そのような真菌による攻撃は、しばしば可塑剤の分解を引き起こし、それにより機械的特性が失われる結果をもたらし得る。また、可塑剤を含む物品の表面上での真菌の増殖は、しばしば不快な臭気を伴う染みを生じさせる。これは、物品の美観を著しく損ない、そしてメンテナンスの必要性の増加をもたらし得る。例えばプール用ライナーのような、水に接触する貼付材中の真菌増殖は、バイオフィルムの形成を助長し、またメンテナンスの必要性の増加をもたらす。コンベヤーベルト等の他の製品、特に食品/衛生用品を運ぶために用いられるベルトにおいては、コンタミネーションの改善に甚だしい労力と費用が掛かる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、本発明は、とりわけ以下、(a)コロニー化が可能で、そのため可塑剤を含む物品の技術的完全性及び/又は美的外観に悪影響を与える真菌に対抗する良好な効果を有する;(b)可塑化された物品が使用される環境に対し、良好な適合性を呈する;(c)費用効率の高い方法で製剤化され、及び製造され得る;並びに(d)使用期間中安定で、及び適切な期間中保存が可能であるという特徴を有する製剤の提供に関する。
【0004】
上記に加え、環境的、及び政治的な規制による圧力の観点から、そのような可塑化された物品の処理における使用にもはや許容されない特定の化合物を減少する、又は廃絶する必要性が高まっている。従って、本発明は当該技術分野における前記製剤の欠点のいずれも含まない改良された製剤の提供を模索する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
故に、本発明は、可塑剤と、並びにフルジオキソニル及びジフェノコナゾール、及びそれらの混合物からなる群から選択される殺真菌剤とを含む製剤を提供する。
【0006】
そこで発明者らは、主に農業的な使用で知られる特定の殺真菌剤が、可塑剤を含む物品上で増殖する/横行し得る真菌に対して驚くほど有効であることを見出した。特に、驚くべきことに、そのような殺真菌剤は、製剤を含んだ可塑剤に組み込まれたとき良好な抗真菌活性を示し、そしてこの活性は、その後に上記製剤が、可塑化された樹脂(plastic)材料及び/又はプラスチゾルで被覆された物品等を含む最終的な可塑剤に加工されても保持される。
【0007】
フルジオキソニルは、The British Crop Protection Council, 2003により出版されたThe Pesticide Manual, Thirteenth Editionの登録第368号として記載されている。フルジオキソニルは、主に、作物に使用される殺真菌剤、及び種子処理用の殺真菌剤として知られている。
【0008】
ジフェノコナゾールは、市販の既知の農業用殺真菌剤である。ジフェノコナゾールは、The Pesticide Manualの登録第247号として記載されている。ジフェノコナゾールは、主に、広範な作物に使用される葉面浸透性の殺真菌剤、及び種子処理用の殺真菌剤として知られている。
【0009】
ある態様において、前記殺真菌剤はフルジオキソニルを含む。更なる態様において、前記殺真菌剤はジフェノコナゾールを含む。なおも更なる態様において、前記殺真菌剤はフルジオキソニル及びジフェノコナゾールを含む。
【0010】
本発明は更に、任意的にチアベンダゾールを含む上記のような製剤を提供する。また、チアベンダゾール(2−(チアゾール−4−イル)ベンズイミダゾール;2−(1,3−チアゾール−4−イル)ベンズイミダゾール)も、前記Pesticide Manualの登録第(790)号に記載されている。ある態様において前記製剤は、殺真菌性活性成分としてフルジオキソニル及びチアベンダゾールを含む。更なる態様において前記製剤は、殺真菌活性成分としてジフェノコナゾールを含む。なおも更なる態様において前記製剤は、殺真菌活性成分としてフルジオキソニル、ジフェノコナゾール及びチアベンダゾールを含む。
【0011】
本発明は更に、前記殺真菌活性成分が、プロピオコナゾール(1−[2−(2,4−ジクロロフェニル)−4−プロピル−1,3−ジオキソラン−2−イルメチル]−1H−1,2,4−トリアゾール);シプロジニル;カルベンダジム;テブコナゾール;10,10’−オキシビス−フェノキシアルシン;亜鉛ピリチオン;2−nイソチアゾリン−3−オン;2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン;n−ブチル−1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン;4,5−ジ−クロル−N−n−オクチル−イソチアゾリン−3−オン(DCOIT);カルバミン酸2−ヨード−2−プロピニル−n−ブチル;及びそれらの混合物からなる群から選択される殺真菌剤を任意的に含む、上記のような製剤を提供する。これらの全ての殺真菌剤は、当業者に周知である。
【0012】
ある態様において、本発明に係る製剤は、フルジオキソニル、チアベンダゾール、及びDCOITを含む。更なる態様において、本発明に係る製剤は、フルジオキソニル、ジフェノコナゾール、及びDCOITを含む。なおも更なる態様において、本発明に係る製剤は、フルジオキソニル、ジフェノコナゾール、チアベンダゾール、及びDCOITを含む。
【0013】
本発明に係る製剤は、上述したものに加え、更なる活性成分を任意的に含み得る。例えば、前記製剤は、AC382042(N−(1−シアノ−1,2−ジメチルプロピル)−2−(2,4−ジクロロフェノキシ)プロピオンアミド)、アシベンゾラル−S−メチル、アラニカルブ、アルジモルフ、アニラジン、アザコナゾール、アザフェニジン、アゾキシストロビン及び他のストロビルリン殺真菌剤、ベナラキシル、ベノミル、ベンチアバリカルブ、ビロキサゾール、ビテルタノール、ブラスチシジンS、ボスカリド(ニコビフェンの新名)、ブロムコナゾール、ブロノポル、ブピリメート、カプタフォル、カプタン、カルボキシン、カルプロパミド、カルボン、CGA41396、CGA41397、チノメチオネート、クロルベンズチアゾン、クロロタロニル、クロロゾリネート、クロジラコン、銅酸塩化物、銅オキシキノレート、硫酸銅、銅タレート(tallate)、及びボルドー混合液等の銅含有化合物、シアミダゾスルファミド、シアゾファミド(IKF-916)、シフルフェナミド、シモキサニル、シプロコナゾール、デバカルブ、ジ-2-ピリジルジスルフィド1,1’-ジオキシド、ジクロフルアニド、ジクロシメット、ジクロメジン、ジクロラン、ジエトフェンカルブ、ジフェンゾコット、ジフルメトリム、ジヨードメチル−p−トリスルホン(Dow 社製Amical)、O,O-ジ-イソ-プロピル-S-ベンジルチオフォスフェート、ジメフルアゾール、ジメトコナゾール、ジメチリモール、ジメトモルフ、ジモキシストロビン、ジニコナゾール、ジノカップ、ジチアノン、ジチオカルバメート、ドデシルジメチル塩化アンモニウム、ドデモルフ、ドジン、ドグアジン、エジフェンホス、エポキシコナゾール、エタボキサム、エチリモール、エチル(Z)-N-ベンジル-N([メチル(メチル-チオエチルイデンアミノオキシカルボニル)アミノ]チオ)-β-アラニネート、エトリジアゾール、ファモキサドン、フェナミドン、フェナリモル、フェンブコナゾール、フェンフラム、フェンヘキサミド、フェノキサニル(AC382042)、フェンプロピジン、フェンプロピモルフ、フェンチンアセテート、フェンチンヒドロキシド、フェルバム、フェリムゾン、フルアジナム、フルメトオベル、フルモルフ、フルオロイミド、フルオキサストロビン、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルサルファミド、フルトラニル、フルトリアフォル、フォルペット、フォセチル-アルミニウム、フベリダゾール、フララキシル、フラメトピル、グアザチン、ヘキサコナゾール、ヒドロキシイソキサゾール、ヒメキサゾール、イマザリル、イミベンコナゾール、イミノクタジン、イミノクタジントリアセテート、イプコナゾール、イプロベンフォス、イプロジオン、イプロバリカルブ、イソプロパニルブチルカルバメート、イソプロチオラン、カスガマイシン、クレソキム-メチル、LY186054、LY211795、LY248908、マンコゼブ、マネブ、MBTメフェノキサム、メパニピリム、メプロニル、メタラキシル、メタラキシルM、メトコナゾール、メチラム、メチラム-ジンク、メトミノストロビン、メトラフェノン、MON65500(N-アリル-4,5-ジメチル-2-トリメチルシリルチオフェン-3-カルボキサミド)、ミクロブタニル、NTN0301、ネオアソジン、ニッケルジメチルジチオカルバメート、ニトロサル-イソプロピル、ヌアリモル、2−0−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン(Rohm& Hass社のSkane M 8)、オフレース、有機水銀化合物、オリサストロビン、オキサジキシル、オキサジキシル、オキサスルフロン、オキサリン酸、オキシポコナゾール、オキシカルボキシン、ペフラゾエート、ペンコナゾール、ペンシクロン、フェナジンオキシド、リン酸、フタライド、ピコキシストロビン、ポリオキシンD、ポリラム、プロベナゾール、プロクロラズ、プロシミドン、プロパモカルブ、プロパモカルブヒドロクロリド、プロピネブ、プロピオン酸、プロキナジド、プロチオコナゾール、ピラクロストロビン、ピラゾフォス、ピリチオンナトリウム、ピリフェノックス、ピリメタニル、ピロキロン、ピロキシフル、ピロルニトリン、第4級アンモニウム化合物、キノメチオネート、キノキシフェン、キノトゼン、シルチオファム(MON65500)、S-イマザリル、シメコナゾール、シプコナゾール、ペンタクロロフェネートナトリウム、スピロキサミン、ストレプトマイシン、硫黄、テクロフタラム、テクナゼン、テトラコナゾール、チフルザミド、2-(チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾール、チオファネート-メチル、チラム、チアジニル、チミベンコナゾール、トルクロフォス-メチル、トリルフルアニド、トリアジメホン、トリアジメノール、トリアズブチル、トリアゾキシド、トリシクラゾール、トリデモルフ、トリフロキシストロビン、トリフルミゾール、トリフォリン、トリチコナゾール、バリダマイシンA、バパム、ビンクロゾリン、XRD-563、ジネブ、ジラム、ゾキサミド、並びに式:
【0014】
【化1】

【0015】
で表される化合物からなる群から選択される更なる殺真菌剤を任意的に含み得る。
【0016】
また、前記製剤は、例えばテルブトリン、イルガロール及びプロメトリン等の殺藻剤又は除草剤を含み得る。前記製剤は、任意的に殺虫剤を含み得る。
【0017】
抗真菌活性成分自体が、本発明に係る製剤への容易な添加の専用に製剤化され得る。例えば、抗真菌活性成分は粉末、又は顆粒の剤形であり得る。
【0018】
本発明に係る製剤に使用される殺真菌剤(単数又は複数)は、約0.01部と約10部との間(両端を含む)、好ましくは約0.025部と約5部との間(両端を含む)の割合で添加され得る。殺真菌剤の混合物として添加されるとき、前記割合は約0.5:20から約20:0.5まで(両端を含む)、好ましくは約0.5:10から約10:0.5まで(両端を含む)であり得る。
【0019】
好ましくは、殺真菌混合物が本発明の製剤中に含まれるとき、それらは相乗的な効果を提供する量で含まれる。この相乗的な効果は、インビトロ及び/又はインビボで実証され得る。そのような相乗性は、制御されるべき真菌に関する活性の薬効範囲の増大を引き起こすほか、個別の殺真菌剤の活性の範囲を2つの方向に拡張する効果をもたらす。第一に、殺真菌剤を添加する割合が、その活性が等しく良好に持続している限りにおいて低下させられる。第二に、前記活性成分の混合物が、極めて低い割合の範囲で添加され、個別の成分が全体として有効性を失いつつあっても、なおも真菌の制御を高い程度でもたらす。これは、一方では制御されるべき真菌の薬効範囲の実質的な拡張を、他方では、使用時の安全性の向上を許容する。しかしながら、殺真菌活性に関する明確な相乗作用と並び、また、本発明に係る製剤は、相乗的な活性と同じく、より広範な意味で、記載され得る更に驚くべき有利な特質を有する。記述され得るそのような有利な特質の例としては、耐性菌に対する活性、及び本発明に係る製剤を含む物品の改良特性が挙げられる。
【0020】
異なる殺真菌剤の混合物を含む、本発明に係る製剤に関して、相乗性はコルビーの方程式(COLBY, S. R. "Calculating synergistic and antagonistic response of herbicide combinations". Weeds 15, pages 20-22; 1967)に基づいて計算され得る。
【0021】
本発明の製剤に組み込まれる殺真菌剤は、可塑剤を含む物品上にコロニー形成が可能な真菌に対して有効である。
【0022】
問題のある真菌の例としては、アルテルナリア・アルテマータ(Alternaria altemata)、アルテルナリア・テヌイッシマ(Alternaria tenuissima)、アウレオバシディウム・プルランス(Aureobasidium pullulans)、アスペルギルス・フラブス(Aspergillus flavus)、アスペルギルス・ニゲル(Aspergillus niger)、アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)、アスペルギルス・フミガトゥス(Aspergillus fumigatus)、アスペルギルス・レペンス(Aspergillus repens)、アスペルギルス・ベルシコロル(Aspergillus versicolor)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、クラドスポリウム・クラドスポリオイデス(Cladosporium cladosporioides)、クラドスポリウム・ヘルバルム(Cladosporium herbarum)、クラドスポリウム・スファエロスペルムム(Cladosporium sphaerospermum)、クロストリジウム・ディフィキレ(Clostridium difficile)、コニオフォラ・プテアナ(Coniophora puteana)、クルブラリア・ゲンチクラタ(Curvularia genticulata)、ディプロディア・ナタレンシス(Diplodia natalensis)、エピデルモフィトン・フロッコスム(Epidermophyton floccosum)、エウロチウム・レペンス(Eurotium repens)、エウロチウム・ヘルバリオル(Eurotium herbarioru)、フサリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)、グリオクラディウム・ウィレンス(Gliocladium virens)、グロエオフィルム・トラベウム(Gloeophyllum trabeum)フミコラ・グリセア(Humicola grisea)、レキソフォラ・ムタビリス(Lecythophora mutabilis)、レンチヌス・カシフォルミス(Lentinus cyathiformis)、レンチヌス・レピドゥス(Lentinus lepidus)、メムニオネラ・エキナタ(Memnionella echinata)、ムコル・インディクス(Mucor indicus)、ムコル・レケモスス(Mucor racemosus)、オリゴポルス・プラケンタ(Oligoporus placenta)、パエキロマイケス・バリオチイ(Paecilomyces variotii)、ペニシリウム・ブレウィコムパクツム(Penicillium brevicompactum)、ペニシリウム・シトリヌム(Penicillium citrinum)、ペニシリウム・コリロフィリウム(Penicillium corylophilium)、ペニシリウム・クリソゲヌム(Penicillium crysogenum)、ペニシリウム・フニクロスム(Penicillium funiculosum)、ペニシリウム・オクロクロロン(Penicillium ochrochloron)、ペニシリウム・ポロニクム(Penicillim polonicum)、ペニシリウム・プルプロゲヌム(Penicillium purpurogenum)、ペニシリウム・ピノフィルム(Penicillium pinophilum)、ペニシリウム・バリアビレ(Penicillium variabile)、ペトリエラ・セチフェラ(Petriella setifera)、ファネロカエテ・クリソスポリウム(Phanerochaete chrysosporium)、フォマ・ビオラケア(Phoma violacea)、ポリア・プラケンタ(Poria placenta)、ロドトルラ・ルブラ(Rhodotorula rubra)、シゾフィルム・コムネ(Schizophyllum commune)、スクレロフォマ・フィチオフィラ(Sclerophoma phytiophila)、スコプラリオシス・ブレビカウリス(Scopulariopsis brevicaulis)、セルプラ・ラクリマンス(Serpula lacrymans)、スポロボロマイケス・ロセウス(Sporobolomyces roseus)、スタチボトリス・アトラ(Stachybotrys atra)、スタチボトリス・カルタルム(Stachybotrys chartarum)、ステムフィリウム・デンドリチクム(Stemphylium dendriticum)、トリコデルマ・ハルジアヌム(Trichoderma harzianum)、トリコデルマ・キトリノビリデ(Trichoderma citrinoviride)、トリコデルマ・アトロビリデ(Trichoderma atroviride)、トリコデルマ・ロンギブラキアツム(Trichoderma longibrachiatum)、トリコフィトン・メンタグロフィテス(Trichophyton mentagrophytes)、トリクルス・スピラリス(Trichurus spiralis)、トリコフィトン・ルブルム(Trichophyton rubrum)、ウロクラディウム・アトルム(Ulocladium atrum及びウロクラディウム・カルタルム(Ulocladium chartarum)、並びにワレミア・セビ(Wallemia sebi)が挙げられる。
【0023】
格別関心が高いものとして、アルテルナリア・アルテマータ(Alternaria altemata)、アルテルナリア・テヌイッシマ(Alternaria tenuissima)、アスペルギルス・ニゲル(Aspergillus niger)、アスペルギルス・ベルシコロル(Aspergillus versicolor)、アウレオバシディウム・プルランス(Aureobasidium pullulans)、カエトミウム・グロボスム(Chaetomium globosum)、クラドスポリウム・クラドスポリオイデス(Cladosporium cladosporioides)、コニフォラ・プタエナ(Coniophora puteana)、グロエオフィルム・トラベヌム(Gloeophyllum trabeum)、グリオクラドゥム・ビレラス(Gliocladum virens)、メムニオネラ・エキナタ(Memnionella echinata)、ムコル・インディクス(Mucor indicus)、オリゴポルス・プラケンタ(Oligoporus placenta)、パエキロマイケス・バトリ(Paecilomyces varoti)、ペニシリウム・シトリヌム(Penicillium citrinum)、ペニシリウム・フニクロスム(Penicilliiim funiculosum)、ペニシリウム・ピノフィルム(Penicillium pinophilum)、スケロフォマ・フィチオフィラ(Sclerophoma phytiophila)、スタチボトリス・アトラ(Stachybotrys atra)、スタキボトリス・カルタルム(Stachybotrys chartarum)、及びウロクラディウム・カルタルム(Ulocladium chartarum)が挙げられる。
【0024】
本発明は更に、任意的に樹脂を含む上記のような製剤を提供する。ある態様において、前記樹脂はハロゲンを含むポリマー又はそれらのコポリマーである。なおも更なる態様において、前記樹脂はポリ塩化ビニル及びポリ塩化ビニリデンから選択される。
【0025】
本発明の製剤に適用可能なハロゲンを含むポリマーの他の例には、ポリクロロプレン;塩化ゴム;イソブチレン−イソプレンの塩化及び臭化コポリマー(ハロブチルゴム)、塩化若しくは硫化塩化ポリエチレン、エチレン及び塩化エチレンのコポリマー、エピクロロヒドリンホモ及びコポリマーのポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン、フッ化ポリビニル、フッ化ポリビニリデン、並びに塩化ビニル/塩化ビニリデン、塩化ビニル/酢酸ビニル、塩化ビニリデン/酢酸ビニルコポリマー等のそれらのコポリマーが含まれる。
【0026】
ポリ塩化ビニル(PVC)並びにポリ塩化ビニリデン、並びにそれらのコポリマーであって、塩化ビニル/塩化ビニリデン、塩化ビニル/酢酸ビニル、塩化ビニリデン/酢酸ビニルコポリマー等の本発明に関連するコポリマーを含む、ハロゲンを含むビニル化合物のポリマーの使用は、特に好ましい。
【0027】
本発明は更に、上記のような製剤を含むプラスチゾルを提供する。プラスチゾルは当該技術分野において周知であり、一般に、例えば物品を被覆するための溶液、又は乳液、又はペーストとして使用される樹脂として定義される。
【0028】
使用するとき、前記可塑化剤は約10部と約200部との間(両端を含む)で、好ましくは約20部と約150部との間(両端を含む)で前記製剤に添加される。
【0029】
典型的には、本発明に係る製剤は、以下、(A)上記のような殺真菌剤(単数又は複数):(B)ハロゲンを含むポリマー又はそれらのコポリマー等の樹脂:(C)可塑剤:(D)熱安定剤、及びUV吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、顔料、色素、賦形剤、及び強化剤、帯電防止剤、発泡剤、蛍光増白剤、加工助剤及び抗菌剤等の任意の他の添加物の成分を含み得る。
【0030】
また、殺真菌剤(単数又は複数)は、組成段階において、マスターバッチにより、又は直接導入により添加され得る。
【0031】
また、添加剤は、組成段階において、マスターバッチにより、又は直接導入により添加され得る。
【0032】
そのような成分は、典型的には、以下、(A)約0.01部から約10部;(B)約100部;(C)約10部から約200部;及び(D)約0.5部から約20部の量で添加され得る。(A)と(C)は予混合物の状態で組み合わせることが可能である。即ち、殺真菌剤(単数又は複数)及び可塑剤を含む別個の製剤を製造することが可能である。また、殺真菌剤(単数又は複数)は、予混合物中の他の成分と組み合わせられ得る。
【0033】
また、前記殺真菌剤(単数又は複数)は、可塑剤、あるいはハロゲンを含むポリマー若しくはそれらのコポリマー、あるいはエチレン酢酸ビニル又はポリメタクリレートのコポリマーと組み合わされ得て、殺真菌剤(単数又は複数)のより容易な導入を可能とする濃縮物を形成する。そのような濃縮物は、殺真菌剤を1%と80%の間(両端を含む)で、好ましくは2%と40%の間(両端を含む)の濃度範囲で含む。
【0034】
(D)の熱安定剤は、当該技術分野において知られる任意のものであり得る。例えば、混合金属安定剤(バリウム/亜鉛型、カルシウム/亜鉛型等)、有機スズ安定剤(有機スズメルカプトエステル、−カルボン酸塩、−スルフィド)、鉛安定剤(三塩基性鉛硫酸塩、二塩基性鉛ステアリン酸塩、二塩基性鉛フタル酸塩、二塩基性鉛リン酸塩、鉛ステアリン酸塩等)、有機型安定剤及びそれらの組合せであり得る。そのような安定剤は、約0.5部から約20部との間(両端を含む)で、好ましくは約0.5部から約10部との間(両端を含む)で、本発明の製剤に添加され得る。
【0035】
本発明は、上記のような製剤を含み、及び/又は上記のようなプラスチゾルで被覆された物品を更に提供する。前記物品を本発明に係るプラスチゾル製剤で被覆し得る方法の例として、流し塗り、ローラー塗り、はけ塗り、吹き付け塗装、霧吹き塗装、浸し塗り、散粉、分散又は注入工程が挙げられる。
【0036】
本発明は、上述のような物品を更に提供し、前記物品は、屋根板、ジオメンブレン、水泳プール用ライナー、貯留層用ライナー、ワイヤー被覆物、ケーブル被覆物、柔軟性シーリング材、コンベヤーベルト、ホース、壁紙、発泡物品、巻取り式シャッター、被覆された布地、防護衣、シャワーカーテン、被覆された布地、被覆された紙、被覆された金属表面、スポーツ及び娯楽用マット、雨具及び靴からなる群から選択される。また、前記物品は、鞄、飲食物用の被覆物/容器等の被覆用材料、包装用フィルム及び玩具を含み得る。
【0037】
本発明の更なる側面において、フルジオキソニル、及びジフェノコナゾール、及びそれらの混合物からなる群から選択される殺真菌剤を含む可塑剤の提供がある。本発明のある態様において、前記可塑剤は、任意的にチアベンダゾールを含む。なおも更なる態様において、前記可塑剤は、任意的に上記のような殺真菌剤又はそれらの混合物を含む。
【0038】
本発明は更に、前記可塑剤が、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジプロピルヘプチル、トリメリト酸トリオクチル、トリメリト酸トリ(イソノニル)、エポキシド化大豆油、1,2−ジカルボン酸(dicarboxcylate)−ジ(イソノニル)シクロヘキサン、2,4,4−トリメチル−1,3−ペンタジオールジイソブチレートからなる群から選択される、上記のような可塑剤を提供する。
【0039】
また、本発明に従って使用されるとき、可塑剤は、フタル酸塩類、トリメリル酸塩類、脂肪族二塩基エステル類、ポリエステル類、ポリマー性、エポキシド類、リン酸塩からなる群から選択される1物質を含み得る。一の好ましい態様において、前記可塑剤は、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ブチル2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソヘキシル、フタル酸ジイソヘプチル、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジイソウンデシルフタル酸ジイソトレデシル、フタル酸ジイソ(C11,C12,C13)、フタル酸ジ(n−ブチル)、フタル酸ジ(n−C7,C9)、フタル酸ジ(n−C6,C8,C10)、フタル酸ジイソ(n−ノニル)、フタル酸ジ(n−C7,C9,C11)、フタル酸ジ(n−C9,C11)、フタル酸ジ(n−ウンデシル)、トリメリト酸トリ(n−C8,C10)、トリメリト酸トリ(2−エチルヘキシル)、トリメリト酸トリ(イソオクチル)、トリメリト酸トリ(イソノニル)、アジピン酸ジ(n−C7,C9)、アジピン酸ジ(2−エチルヘキシル)、アジピン酸ジ(イソオクチル)、アジピン酸ジ(イソノニル)、アジピン酸又はグルタル酸のポリエステル、及びプロピレングリコール又はブチレングリコール又は2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、エポキシド化大豆油、エポキシド化亜麻仁油、エポキシド化トールオイル等のエポキシド化油脂、オクチルエポキシタレート、2−エチルヘキシルエポキシタレート、リン酸イソデシルジフェニル、リン酸トリ(2−エチルヘキシル)、リン酸トリクレジル、テレフタル酸ジ(2−エチルヘキシル)、1,2−ジカルボン酸−ジ(イソノニル)シクロヘキサン、及びそれらの組合せからなる群から選択される。特に好ましい態様において、前記可塑剤は、フタル酸ジイソヘキシル、フタル酸ジイソヘプチル、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジイソウンデシル、フタル酸ジイソトレデシル、フタル酸ジイソ(C11,C12,C13)、フタル酸ジ(n−ブチル)、フタル酸ジ(n−C7,C9)、フタル酸ジ(n−C6,C8,C10)、フタル酸ジイソ(n−ノニル)、フタル酸ジ(n−C7,C9,C11)、フタル酸ジ(n−C9,C11)、フタル酸ジ(n−ウンデシル)、トリメリト酸トリ(n−C8,C10)、トリメリト酸トリ(2−エチルヘキシル)、トリメリト酸トリ(イソオクチル)、トリメリト酸トリ(イソノニル)、アジピン酸ジ(n−C7,C9)、アジピン酸ジ(2−エチルヘキシル)、アジピン酸ジ(イソオクチル)、アジピン酸ジ(イソノニル)、アジピン酸又はグルタル酸のポリエステル、及びプロピレングリコール又はブチレングリコール又は2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、エポキシド化大豆油等のエポキシド化油脂、1,2−ジカルボン酸−ジ(イソノニル)シクロヘキサン、及びそれらの組合せからなる群から選択される。
【0040】
前記可塑剤は、約10部から約200部(両端を含む)、好ましくは約20部から約150部(両端を含む)の割合で、本発明の製剤に添加され得る。
【0041】
本発明の更なる側面において、殺真菌剤を含む可塑化された物品を製造する方法が提供され、前記方法は(a)上記のような製剤を提供する方法、及び(b)前記製剤から物品を生産する方法を含む。前記物品は、成形、押出し成型、カレンダリング、回転成型等の技能を有する者において周知の方法を経て生産され得る。
【0042】
本発明は更に、殺真菌剤を含む可塑化された物品を製造する方法を提供し、前記方法は(a)物品、又は上記のような物品を提供する方法、及び(b)上記のようなプラスチゾルで前記物品を被覆する方法を含む。本発明のある態様において、前記物品は、屋根板、ジオメンブレン、水泳プール用ライナー、貯留層用ライナー、ワイヤー被覆物、ケーブル被覆物、柔軟性シーリング材、コンベヤーベルト、ホース、壁紙、発泡物品、巻取り式シャッター、被覆された布地、被覆された紙、被覆された金属表面、防護衣、シャワーカーテン、スポーツ及び娯楽用マット、雨具、靴、又は上述のような物品からなる群から選択される。
【0043】
本発明は更に、可塑剤を含む物品の製造における、フルジオキソニル;ジフェノコナゾール;及びそれらの混合物からなる群から選択される殺真菌剤の使用を提供する。
【0044】
本発明は更に、可塑剤を含む物品の製造における、(a)フルジオキソニル及びチアベンダゾール;(b)ジフェノコナゾール及びチアベンダゾール;並びに(c)フルジオキソニル及びチアベンダゾール及びジフェノコナゾールからなる群から選択される殺真菌剤の使用を提供する。更なる態様において、本発明は、前文において述べられた物品の製造における、任意的にDCOITを含む殺真菌剤の使用を提供する。
【0045】
ある態様において、前記物品が可塑化されたハロゲンを含むポリマー又はそれらの可塑化されたコポリマーを含む、上記のような使用を提供する。ある態様において、前記物品は、ポリ塩化ビニル及びポリ塩化ビニリジンを含む。また、前記物品は、上記で定義されたような可塑材を含み得る。
【0046】
本発明は更に、可塑剤を含むプラスチゾルの製造における、フルジオキソニル;ジフェノコナゾール;及びそれらの混合物からなる群から選択される殺真菌剤の使用を提供する。
【0047】
本発明は更に、可塑剤を含むプラスチゾルの製造における、(a)フルジオキソニル及びチアベンダゾール;(b)ジフェノコナゾール及びチアベンダゾール;並びに(c)フルジオキソニル及びチアベンダゾール及びジフェノコナゾールからなる群から選択される殺真菌剤の使用を提供する。更なる態様において、本発明は、前文において述べられたプラスチゾルの製造における、任意的にDCOITを含む殺真菌剤の使用を提供する。
【0048】
本発明の更なる側面において、フルジオキソニル及びジフェノコナゾール及びそれらの混合物からなる群から選択される殺真菌剤を含む、可塑化されたハロゲンを含むポリマー又はそれらの可塑化されたコポリマーを含む物品が提供される。ある態様において、前記殺真菌剤はフルジオキソニルを含む。更なる態様において、前記殺真菌剤はジフェノコナゾールを含む。なおも更なる態様において、前記物品は、任意的にチアベンダゾールを含む。なおも更なる態様において、前記物品は、任意的にDCOITを含む。
【0049】
本発明は更に、前記物品がハロゲンを含むポリマーがポリ塩化ビニル、及びポリ塩化ビニリジンを含む、上記のような物品を提供する。
【0050】
本発明は更に、上記のような殺真菌剤を含むプラスチゾルで被覆されている物品を提供する。
【0051】
本発明は更に、屋根板、ジオメンブレン、水泳プール用ライナー、貯留層用ライナー、ワイヤー被覆物、ケーブル被覆物、柔軟性シーリング材、コンベヤーベルト、ホース、壁紙、発泡物品、巻取り式シャッター、被覆された布地、被覆された紙、被覆された金属表面、防護衣、シャワーカーテン、スポーツ及び娯楽用マット、雨具及び靴、又は上述のような物品からなる群から選択される、上記のような物品を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
(原文に記載無し)
【実施例】
【0053】
本発明は現在、以下の非制限的な実施例を参照することにより記載され得る。
【0054】
実施例: 典型的な非可塑化PVCサイディング試薬(抗真菌成分を含まない)
PVCレジン(K−値:66〜68) 100部
衝撃改質剤 4部
熱安定剤 1部
ステアリン酸−Ca 1部
パラフィンワックス 1.2部
加工助剤 1部
酸化PE 0.2部
TiO2 1部
CaCO3 15部
【0055】
実施例: 典型的な可塑化PVC製剤(抗真菌成分を含まない)
PVCレジン(K−値:70) 100部
可塑剤(DOP/DIDP) 67部
熱安定剤 13.6部
ミネラルオイル 0.5部
粘土 1.8部
【0056】
実施例: 典型的なプラスチゾル製剤(抗真菌成分を含まない)
PVCレジン(K−値:>65) 100部
可塑剤 40〜120部
熱安定剤 1〜6部
充填剤 0〜30部
滑剤 0〜1部
顔料 0〜5部
【0057】
実施例: 乾式混合物
柔軟なPVCの試験のため、以下:
EVIPOL SH 7020(S PVC K値70) 63.50部
VESTINOL DZ(DIDP)可塑剤 33.50部
REOPLAST39(エポキシド化大豆油) 1.50部
IRGASTAB BZ561(BaZn安定剤) 1.30部
TINUVIN320(UV吸収剤) 0.20部
の標準製剤が使用される。
【0058】
固体物は、混合器(Papenmier(商標))中に充填され、そして700rpmで振盪され、そして加熱される。殺真菌剤は、可塑剤と予混合される。混合物の温度が60℃に達した後直ちに、液状物が注入される。混合器の速度は1800rpmまで高められ、そして温度は100℃まで高められる。温度のレベルが100℃に達したとき、速度は700rpmに減少され、そして混合物は50〜60℃まで冷却される。
【0059】
【表1】

【0060】
実施例: 圧延シート
100gの乾式混合物(表1)は2つの圧延機(Schwabenthan D−1(商標))上に置かれ、そして150〜160℃で8分間ホモジナイズされる。400ミクロンの厚さのシートが生産される。
【0061】
実施例: 抗真菌性試験
【0062】
【表2】

【0063】
本試験は、標準ASTM G21−96 Methodにより実行される。試験される真菌は、カエトモニウム・グロボスム(Chaetomium globosum)ATCC6205である。
【0064】
ペトリディッシュは、28日の曝露時間後の試験片周囲の抑制域において評価される。本試験の結果は、表2においてまとめられている。
【0065】
参考試料は抑制域を生じない。一方、発明の例示物では、抑制域により表現される、試料周囲のカエトモニウム・グロボスムの増殖の抑制が認められる。
【0066】
【表3】

【0067】
本試験は、ISO846 Method Bにより、真菌の混合物に対して行われる。試料は、28日の曝露時間後の試験片上の真菌の増殖について、顕微鏡下で評価される。その結果は、表3においてまとめられている。参考1は、表面上に100%の増殖を示す。一方、例示物7〜9は、増殖の顕著な減少を示す。加えて、例示物8及び9は、これらの例示物の能力が同一の総合負荷量において例示物6及び7を上回っていることから、相乗的な効果を示している。
【0068】
抗真菌活性成分を含む、本発明に記載の可塑化された製剤は、全体が良好な抗真菌の有効性を示す。
【0069】
例: PVC膜乾式混合物(1)
SPVC 100部
可塑剤(DINP) 52部
エポキシド化された大豆油 5部
CaZn安定剤 1.50部
充填剤(CaCO3) 5部
重合調整剤 2.5部
【0070】
PVC膜乾式混合物は、高速混合器(Henschel)中で、表4に記載の化合物と共に混合される。
【0071】
【表4】

【0072】
実施例: 圧延シート
100gの乾式混合物(膜乾式混合物+表4)は2つの圧延機(Schwabenthan D−1(商標))上に置かれ、そして150〜160℃で8分間ホモジナイズされる。400ミクロンの厚さのシートが生産される。
【0073】
これらのシートは60℃で30日間、蒸留水中で保管される。
【0074】
【表5】

【0075】
本試験は、ISO846 Method Bにより、真菌の混合物に対して行われる。試料は、28日の曝露時間後の試験片上の真菌の増殖について、顕微鏡下で評価される。その結果は、表5においてまとめられている。参考2及びチアベンダゾール単独の製剤(例示物10)は、表面上に100%の増殖を示す。一方、例示物11〜14は、増殖の顕著な減少を示す。
【0076】
抗真菌活性成分を含む、本発明に記載の可塑化された製剤は、全体が良好な抗真菌の有効性を示す。
【0077】
実施例: PVC膜乾式混合物(2)
S PVC 100部
可塑剤(DINP) 52部
エポキシド化大豆油 5部
CaZn安定剤 1.50部
充填剤(CaCO3) 5部
重合調整剤 2.5部
【0078】
PVC膜乾式混合物は、高速混合器(Henschel)中で、表6に記載の化合物と共に混合される。
【0079】
【表6】

【0080】
【表7】

【0081】
本試験は、ISO846 Method Bにより、真菌の混合物に対して行われる。試料は、28日の曝露時間後の試験片上の真菌の増殖について、顕微鏡下で評価される。その結果は、表7においてまとめられている。参考2及びDCOIT単独の製剤(例示物10)は、表面上に増殖を示す(参考は100%の増殖、DCOIT単独は50%の増殖)。一方、例示物16〜17は、増殖の顕著な減少を示す。
【0082】
抗真菌活性成分を含む、本発明に記載の可塑化された製剤は、全体が良好な抗真菌の有効性を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可塑剤と、フルジオキソニル、及びジフェノコダゾール、並びにそれらの混合物からなる群から選択される殺真菌剤とを含む製剤。
【請求項2】
前記殺真菌剤がフルジオキソニルを含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
前記殺真菌剤がジフェノコダゾールを含む、請求項1又は請求項2に記載の製剤。
【請求項4】
任意的にチアベンダゾールを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項5】
任意的に4,5−ジ−クロル−N−n−オクチル−イソチアゾリン−3−オンを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項6】
任意的に樹脂(plastic)を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項7】
前記樹脂がハロゲンを含むポリマー又はそれらのコポリマーである、請求項6に記載の製剤。
【請求項8】
前記樹脂がポリ塩化ビニル及びポリ塩化ビニリデンから選択される、請求項7に記載の製剤。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の製剤を含むプラスチゾル。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の製剤を含む、及び/又は請求項9に記載のプラスチゾルで被覆された物品。
【請求項11】
前記物品が、屋根板、ジオメンブレン、水泳プール用ライナー、貯留層用ライナー、ワイヤー被覆物、ケーブル被覆物、柔軟性シーリング材、コンベヤーベルト、ホース、壁紙、発泡物品、巻取り式シャッター、被覆された布地、防護衣、シャワーカーテン、被覆された布地、被覆された紙、被覆された金属表面、スポーツ及び娯楽用マット、雨具、靴、鞄、飲食物用の被覆物/容器等の被覆用材料、包装用フィルム及び玩具からなる群から選択される、請求項10に記載の物品。
【請求項12】
フルジオキソニル、及びジフェノコダゾール、並びにそれらの混合物からなる群から選択される殺真菌剤を含む可塑剤。
【請求項13】
任意的にチアベンダゾールを含む、請求項12に記載の可塑剤。
【請求項14】
任意的に4,5−ジ−クロル−N−n−オクチル−イソチアゾリン−3−オンを含む、請求項12に記載の可塑剤。
【請求項15】
前記可塑剤が、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジプロピルヘプチル、トリメリト酸トリオクチル、トリメリト酸トリ(イソノニル)、エポキシ化大豆油、1,2−ジカルボン酸ジ(イソノニル)シクロヘキサン、ジイソ酪酸2,4,4−トリメチル−1,3−ペンタエジオール(pentaediol)からなる群から選択される、請求項12又は14に記載の可塑剤。
【請求項16】
殺真菌剤を含む可塑化物品を製造する方法であり、(a)請求項1〜8のいずれか1項に記載の製剤を提供し、及び(b)前記製剤から物品を生産することを含む前記方法。
【請求項17】
殺真菌剤を含む可塑化物品を製造する方法であり、(a)請求項16に記載の製剤を提供し、及び(b)請求項9に記載のプラスチゾルで前記物品を被覆することを含む前記方法。
【請求項18】
前記物品が、屋根板、ジオメンブレン、水泳プール用ライナー、貯留層用ライナー、ワイヤー被覆物、ケーブル被覆物、柔軟性シーリング材、コンベヤーベルト、ホース、壁紙、発泡物品、巻取り式シャッター、被覆された布地、防護衣、シャワーカーテン、被覆された布地、被覆された紙、被覆された金属表面、スポーツ及び娯楽用マット、雨具、靴、鞄、飲食物用の被覆物/容器等の被覆用材料、包装用フィルム及び玩具からなる群から選択される、請求項16、又は17に記載の方法。
【請求項19】
可塑剤を含む物品の製造における、フルジオキソニル;ジフェノコダゾール;及びそれらの混合物からなる群から選択される殺真菌剤の使用。
【請求項20】
可塑剤を含む物品の製造における、(a)フルジオキソニル及びチアベンダゾール;(b)ジフェノコナゾール及びチアベンダゾール;並びに(c)フルジオキソニル及びチアベンダゾール及びジフェノコナゾール;並びに(d)フルジオキソニル及びチアベンダゾール及び4,5−ジ−クロル−N−n−オクチル−イソチアゾリン−3−オンからなる群から選択される殺真菌剤の使用。
【請求項21】
前記物品が、可塑化されたハロゲンを含むポリマー又はそれらの可塑化されたコポリマーを含む、請求項19又は20に記載の使用。
【請求項22】
前記物品がポリ塩化ビニル及びポリ塩化ビニリデンを含む、請求項21に記載の使用。
【請求項23】
プラスチゾルを含む可塑化剤の製造における、フルジオキソニル;ジフェノコナゾール;及びそれらの混合物からなる群から選択される殺真菌剤の使用。
【請求項24】
プラスチゾルを含む可塑化剤の製造における、(a)フルジオキソニル及びチアベンダゾール;(b)ジフェノコナゾール及びチアベンダゾール;並びに(c)フルジオキソニル及びチアベンダゾール及びジフェノコナゾール;並びに(d)フルジオキソニル及びチアベンダゾール及び4,5−ジ−クロル−N−n−オクチル−イソチアゾリン−3−オンからなる群から選択される殺真菌剤の使用。
【請求項25】
フルジオキソニル、及びジフェノコナゾール、並びにそれらの混合物からなる群から選択される殺真菌剤を含む、可塑化されたハロゲンを含むポリマー又はそれらの可塑化されたコポリマーを含む物品。
【請求項26】
前記殺真菌剤がフルジオキソニルを含む、請求項25に記載の物品。
【請求項27】
前記殺真菌剤がジフェノコナゾールを含む、請求項25又は26に記載の物品。
【請求項28】
任意的にチアベンダゾールを含む、請求項25〜27のいずれか1項に記載の物品。
【請求項29】
前記ハロゲンを含むポリマーがポリ塩化ビニル及びポリ塩化ビニリジンを含む、請求項25〜28のいずれか1項に記載の物品。
【請求項30】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の製剤を含むプラスチゾルで被覆されている物品。
【請求項31】
屋根板、ジオメンブレン、水泳プール用ライナー、貯留層用ライナー、ワイヤー被覆物、ケーブル被覆物、柔軟性シーリング材、コンベヤーベルト、ホース、壁紙、発泡物品、巻取り式シャッター、被覆された布地、防護衣、シャワーカーテン、被覆された布地、被覆された紙、被覆された金属表面、スポーツ及び娯楽用マット、雨具、靴、鞄、飲食物用の被覆物/容器等の被覆用材料、包装用フィルム及び玩具からなる群から選択される、請求項25〜30のいずれか1項に記載の物品。

【公表番号】特表2010−513436(P2010−513436A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−542196(P2009−542196)
【出願日】平成19年12月17日(2007.12.17)
【国際出願番号】PCT/GB2007/004836
【国際公開番号】WO2008/075014
【国際公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(500584309)シンジェンタ パーティシペーションズ アクチェンゲゼルシャフト (352)
【Fターム(参考)】