説明

可塑化成分及びそれを含む硬化性コーティング組成物

硬化性コーティング組成物は可塑化成分を含む。この可塑化成分は、イソシアヌレート中心骨格と、イソシアヌレート中心骨格にぶら下がる少なくとも1つの低表面張力基とを有する。この低表面張力基は、a)少なくとも6つの炭素原子を有する脂肪鎖、b)少なくとも1個のケイ素原子を有するケイ素含有基、c)フッ化炭素、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される。この低表面張力基は、それにぶら下がる0〜3つの架橋性官能基を有していてもよい。硬化性コーティング組成物は、可塑化成分に加えて、さらに樹脂成分並びに樹脂成分と反応性の架橋剤を含む。この可塑化成分を含む硬化コーティング組成物は、既存の可塑化成分ではこれまで達成されなかった耐クラック性及び耐エッチング性の両方を有する硬化被膜を形成することができる。また、この硬化性コーティング組成物から形成された硬化被膜は、優れた耐スクラッチ性及び耐擦傷性を有することが期待される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して硬化性コーティング組成物に関する。より詳しくは、本発明は、優れた耐クラック性及び耐エッチング性を有する硬化被膜を形成する、可塑化成分を含む硬化性コーティング組成物に関連する。
【0002】
様々なコーティング用途における硬化性コーティング組成物及びその使用については、当技術分野において周知である。硬化性コーティング組成物において、樹脂成分及び好適な架橋剤は、一般的に、耐エッチング性や優れた光沢などの良好な被膜特性を有する硬化被膜を生成する。そのような特性は、この硬化性コーティング組成物が、自動車コーティング用途において自動車の金属パネルなどの被膜下の基材を環境から保護する最初の防御線であるクリアコートとして用いられる場合に、特に重要である。また、優れた耐エッチング性に加えて、耐クラック性も重要である。優れた耐クラック性及び耐エッチング性を有していなければ、クリアコートは被膜下の基材を腐食及び損傷から十分に保護することができないかもしれない。
【0003】
一般的に、高い架橋密度及び/又は高いガラス遷移温度Tgは、良好な耐エッチング性にとって、硬化被膜の望ましい特性である。一方、低架橋密度及び/又は低い硬化被膜のTgは、良好な耐クラック性にとって望ましい特性である。コーティング組成物から形成される硬化被膜は、硬化被膜の良好な耐クラック性を提供するが、腐蝕性薬品に対しては、不十分な耐エッチング性しか提供できない可塑化成分を含んでもよい。なぜなら、ほとんどの可塑化成分は、非常に低いTg(<−20°F)を有し、かつ非架橋性の材料だからである。多くの場合、硬化被膜に望ましい耐エッチング性を付与するためには、硬化性コーティング組成物中に比較的多量の可塑化成分が含まれなければならない。可塑化成分は、硬化被膜を「アニール」するために機能する。すなわち、可塑化成分が、硬化被膜中で形成されるひずみを緩和するのである。しかしながら、その一方で、硬化被膜全体のTgが低下する。これでは、この系の耐エッチング性は低いままであり、大気中の汚染物質を硬化被膜に浸透させてしまうかもしれない。
【0004】
クラッキングを減少させる別の方法は、コーティングの架橋密度全体を下げるような樹脂及び架橋剤を使用することである。例えば、ブロック化ヘキサメチレンジイソシアネート及び部分的に脱官能化されたメラミンを硬化性コーティング組成物に加えることで、この硬化性コーティング組成物によって形成された硬化被膜の耐クラック性が向上する。さらに、ポリエステル部分を含む樹脂成分を硬化性コーティング組成物中に含ませることによっても、この硬化性コーティング組成物によって形成された硬化被膜の耐クラック性は向上する。しかしながら、架橋密度を下げることは、硬化被膜の耐エッチング性を低下させ、硬化した系が環境劣化を受けやすくなってしてしまうというマイナスの効果を有している。
【0005】
現在の可塑化成分あるいは架橋密度全体を下げる樹脂及び架橋剤の使用による問題の1つは、添加剤が、通常、硬化性コーティング組成物中に一様に分散されるということである。クラックの伝搬は、最初に硬化被膜の表面で生じるため、耐クラック性及び耐エッチング性は、硬化被膜の外表面近傍において最も重要である。したがって、硬化被膜の表面に隣接していない可塑化成分のほとんどが不要であり、硬化性コーティング組成物のコストを増やしてしまう。さらに、上記で示されているように、硬化被膜に望ましい耐エッチング性を付与するためには、硬化性コーティング組成物中に比較的多量の可塑化成分が含まれていなければならない。そのため、コーティング組成物中に可塑剤を含有させること、及び/又は架橋密度を減じることは、そのコーティング組成物から形成された硬化被膜の耐エッチング性を低下させるというマイナスの効果を有している。コーティングされた基材の腐食と損傷を防ぐために、耐クラック性と耐エッチング性の両方を備えていることは重要である。
【0006】
公知の可塑化成分の欠如ため、公知の可塑化成分ではこれまで達成されていない耐クラック性及び耐エッチング性の両方を有する硬化被膜を形成可能な可塑化成分及びその可塑化成分を含む硬化性コーティング組成物を提供することは有利である。
【0007】
本発明は、可塑化成分並びにこの可塑化成分を含む硬化性コーティング組成物を提供する。可塑化成分は、イソシアヌレート中心骨格と、そのイソシアヌレート中心骨格にぶらさがっている少なくとも1つの低表面張力基とを有する。この低表面張力基は、a)少なくとも6つの炭素原子を有する脂肪鎖、b)少なくとも1個のケイ素原子を含むケイ素含有基、c)フッ化炭素、及びそれらの組み合わせ、から成る群から選択される。この低表面張力基は、それにぶら下がる0〜3つの架橋性官能基を有する。硬化性コーティング組成物は、可塑化成分に加えて、さらに樹脂成分及び樹脂成分と反応性の架橋剤を含む。
【0008】
この可塑化成分を含む硬化コーティング組成物は、既知の可塑化成分ではこれまで達成されなかった耐クラック性及び耐エッチング性の両方を有する硬化被膜を形成することができる。より詳しくは、優れた耐エッチング性は、可塑化成分のイソシアヌレート中心骨格に起因しており、これは硬化被膜に硬さを付与するが、クラッキングの原因となり得るひずみを緩和する硬化被膜の自己アニーリングを妨げない。低表面張力基は疎水性であり、硬化時に可塑化成分が硬化被膜の表面に移動することを可能にし、可塑化成分が可塑剤として機能することを可能にする。可塑化成分が架橋性官能基を有する場合、可塑化成分は、この架橋性官能基において、架橋剤、樹脂成分、又は架橋剤及び樹脂成分の両方に対して反応性であってもよい。しかしながら、通常、架橋剤に対する架橋性官能基の反応性は、架橋剤に対する樹脂成分の反応性と同等以下である。架橋性官能基を有する場合、その架橋性官能基の比較的低い反応性ゆえに、可塑化成分の硬化はかなり遅く、したがって可塑化成分が硬化被膜の表面に移動することが可能となり、それによって硬化被膜の耐クラック性及び耐エッチング性がさらに向上する。また、硬化性コーティング組成物から形成された硬化被膜は、優れた耐スクラッチ性耐及び耐擦傷性を有していることが期待される。
【0009】
本発明の硬化性コーティング組成物は、様々なコーティング用途、特に自動車用コーティング用途において有用である。この硬化性コーティング組成物は、樹脂成分、樹脂成分に対して反応性の架橋剤、及び可塑化成分を含んでいる。可塑化成分は、硬化性コーティング組成物が、優れた耐クラック性及び耐エッチング性の両方を有する硬化被膜を形成するのを可能にする。したがって、本発明の硬化コーティング組成物は、通常、自動車用コーティング用途において、基材又は被膜下の層(ベースコート層、電着塗装層など)に対する腐食又は損傷を防ぐためにクリアコートとして使用される。
【0010】
コーティング組成物は、基材上のベースコート層の上に塗装してもよいし、あるいは他の層の非存在下で直接基材に塗装してもよい。基材は、任意の種類の材料から形成してもよいが、通常は金属から形成される。一般的な基材は、自動車の金属パネルか又はプラスチック部品であり得る。硬化性コーティング組成物を塗装した後、通常は硬化被膜を形成するために、そのコーティング組成物を少なくとも25分間、少なくとも約180°Fの昇温状態で硬化させる。例えば、コーティング組成物を、約30分間、約180°Fの温度で硬化させてもよい。あるいは、コーティング組成物を、約25分間、約275°Fの温度で硬化させてもよい。
【0011】
本発明に使用される樹脂成分は、ポリマー、オリゴマー、材料、及びそれらの組み合わせから成る群から選択してもよい。本出願の目的のために好適なポリマー及びオリゴマーとしては、少なくとも3つのモノマー単位を有するもの及び/又は少なくとも1,500ダルトンの数平均分子量を有するものが挙げられるが、これらに限定されない。本出願の目的のために、材料は、モノマー単位由来でない化合物又は化合物の混合物である。本出願の目的のために好適なポリマーの非限定的な例としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、ポリシロキサン樹脂、及びそれらの組み合わせが挙げられる。本出願の目的のために好適なオリゴマーの非限定的な例としては、ジイソシアネートと官能基付与剤(例えば、ヒドロキシ酸、ヒドロキシカルバメート、ヒドロキシアクリレートなど)との単純な反応生産物が挙げられる。本出願の目的に好適な材料の非限定的な例としては、脂肪酸、脂肪酸のニ量体及び三量体、ジデカン酸、及びそれらの組み合わせが挙げられる。場合によっては、ポリマーを形成するために使用したのと同じ反応物質を、オリゴマー又は材料を形成するために使用することもできる(例えば、アルキドベースの樹脂など)。また、樹脂は、上述のように、ポリマー、オリゴマー、および材料の混合物を含んでもよい。本出願の目的に好適な樹脂の具体例としては、その内容全体が参考として本明細書で援用される米国特許第6,858,693号、同第6,855,789号、同第6,696,535号、同第6,696,159号、及び/又は同第6,531,560号において開示されている二重−ヒドロキシ−カルバメート官能性アクリレート樹脂が挙げられる。
【0012】
また、上述のように、樹脂成分は架橋剤と反応性であり、したがって、架橋剤と反応性の1つ以上の官能基を有している。樹脂成分の特定の官能基としては、例えば、活性水素供与基(例えば、水酸官能基、アミノ官能基、酸性官能基、カルバメート及び尿素官能基、アミド官能基、活性化メチレン官能基、並びにそれらの組み合わせなど)が挙げられる。あるいは、樹脂成分の官能基の別の選択肢としては、活性水素受容基(例えば、無水物官能基、エポキシ官能基、活性化アミノプラスト官能基、遊離イソシアネート官能基もしくはブロック化イソシアネート官能基、環状カーボネート官能基、シラン官能基、及びそれらの組み合わせなど)が挙げられる。あるいは、樹脂成分の官能基の別の選択肢としては、付加反応を受けることのできる基(例えば、アクリレート官能基を含む活性化ビニル基、及びエポキシとのイソシアヌレートの組み合わせなど)が挙げられる。樹脂成分の特定の官能基は、下記に記載されているように、架橋剤の特定の官能基に依存している。さらに、樹脂成分は、様々な基の間の反応性を制御することができる場合、すなわち、上記の種類の官能基の混合が塗料の保存安定性を害しない限り、上記の種類の官能基の混合物を有していてもよい。通常、樹脂成分は、活性水素受容基である官能基及び/又は付加反応を受けることのできる官能基を有する。
【0013】
樹脂成分の官能基は、所望する硬化条件下(例えば、昇温状態など)において架橋剤との反応のために非ブロック化されるか又は反応性となるように、マスク化又はブロック化されていてもよい。
【0014】
樹脂成分は、硬化性コーティング組成物中の全固形分100質量部に対して、一般的には少なくとも30質量部、より一般的には約40〜約70質量部、最も一般的には約50〜約60質量部の量で硬化性コーティング組成物中に含まれる。
【0015】
架橋剤が存在することにより、硬化性コーティング組成物の硬化が可能になり、かつ硬化性コーティング組成物から形成された硬化被膜に優れた被膜特性が付与される。通常、樹脂成分が活性水素供与基を有する場合、架橋剤は、樹脂成分に対して好適な活性水素受容基(上述のようなものなど)を有する。本発明の目的のために特に好適な、活性水素受容基を有する架橋剤は、アミノプラストである。アミノプラストは、エーテル化された活性アミン又はエーテル化されていない活性アミンとアルデヒドとの反応生成物を含む。活性アミンの非限定的な例としては、芳香族環(例えば、ベンゼン)に結合したアミン、メラミン、ベンゾクタミン;第一級カルバメート;尿素;アミド;ビニルアミン;及びそれらの組み合わせが挙げられる。しかしながら、樹脂成分が活性水素受容基を有する場合には、架橋剤が活性水素供与基を有していてもよいことは理解されるべきである。樹脂成分に関して上述したように、場合によっては、官能基の混合物を用いることができる。例えば、一実施形態において、樹脂成分は、酸性官能基、ヒドロキシ官能基、カルバメート官能基、及び/又はアクリル官能基を含んでいてもよい。この例では、架橋剤は、アミノプラスト官能基、イソシアネート官能基、シラン官能基、エポキシ官能基、及び/又はアクリル官能基を含んでいてもよい。樹脂成分の官能基と架橋剤の官能基との間の反応は、熱、及び/又はUV光によって活性化され得る。本発明の目的のための好適な架橋剤は、ブロック化ポリイソシアネート、ブロック化ポリイソシアヌレート、ポリカルボン酸ハライド、アミノプラスト樹脂、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される。当業者には理解されるように、アミノプラスト樹脂は、ホルムアルデヒドとアミンとの反応生成物(この場合の好ましいアミンは尿素又はメラミンである)によって形成される。換言すれば、アミノプラスト樹脂は、尿素樹脂及びメラミン−ホルムアルデヒド樹脂を含み得る。本発明の目的のために好適な架橋剤の一具体例は、Cytec Industries,Inc.(ニュージャージー州ウエストパターソン)から市販されているメチル化メラミン−ホルムアルデヒド架橋剤(中程度〜高度のアルキル化、低メチロール含有量、及び中程度〜高度のイミノ官能性)である。
【0016】
架橋剤は、一般的には、硬化性コーティング組成物中の全固形分100質量部に対して少なくとも5質量部、より一般的には約10〜約50質量部、最も一般的には約15〜約25質量部の量において硬化性コーティング組成物中に含まれる。
【0017】
さらに、硬化性コーティング組成物は、樹脂成分と架橋剤の間の反応、及びさらには任意選択により可塑化成分と架橋剤の間の反応、に触媒作用を及ぼす触媒を含んでもよい。本発明の目的のための好適な触媒は、スズ触媒、酸性触媒、酸性燐酸塩、芳香族酸、及びそれらの組み合わせから成る群から選択してもよい。好適なスズ触媒の具体例としては、ジブチル錫ジアセテート(DBTDA)及びジブチル錫ジラウレート(DBTDL)などが挙げられる。好適な酸性触媒の具体例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸(DDBSA)、ジノニルナフタレンスルホン酸(DNNSA)、ジノニルナフタレンジスルホン酸(DNNDSA);及びp−トルエンスルホン酸アミン(PTSA)などのスルホン酸が挙げられる。触媒は、硬化性コーティング組成物中の全固形分100質量部に対して、一般的に0.1〜3質量部、より一般的には1〜2質量部の量において硬化性コーティング組成物中に含まれる。
【0018】
本発明の硬化コーティング組成物は、例えば、実質的に固体粉体の形態において、又はさらなる溶媒を必要としない液体として、又は分散液として用いてもよい。硬化性コーティング組成物が分散液の形態の場合には、通常、溶媒を使用する。好適な溶媒は、樹脂成分と架橋剤の両方に対して溶媒として機能する。一般的に、当技術分野において周知であるように、この溶媒は、水を含む多くの有機溶媒のいずれかであってもよく、コーティング組成物中の樹脂成分、架橋成分、及び可塑化成分の溶解特性に応じて変わる。一実施形態において、溶媒は極性有機溶媒である。この極性溶媒は、極性脂肪族溶媒又は極性芳香族溶媒(例えば、ケトン、エステル、アセテート、非プロトン性アミド、非プロトン性スルホキシド、又は非プロトン性アミンなど)である。有用な溶媒の例としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、m−アミルアセテート、エチレングリコールブチルエーテル−アセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、キシレン、n−メチルピロリドン、及び芳香族炭化水素の混合物などが挙げられる。別の実施態様において、溶媒は、水、又は水と少量の水性共溶媒の混合物である。好適な共溶媒としては、酢酸(例えば、酢酸ブチル、酢酸ヘキシル、酢酸オクチルなど);グリコールエーテル及びグリコールエーテルアセテート(例えば、プロピレングリコールエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなど);及びケトン(例えば、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、及びメチルヘキシルケトンなど)が挙げられる。グリコールエーテル及びグリコールエーテルアセテートは特に好ましい。さらに、溶媒は、無極性芳香族及び/又は脂肪族溶媒などを含んでもよい。
溶媒は、硬化性コーティング組成物100質量部に対して約10〜約60質量部、より一般的には約30〜約50質量部の量で硬化性コーティング組成物中に含まれてもよい。
【0019】
可塑化成分は、イソシアヌレート中心骨格を有する。本明細書で使用される場合、「イソシアヌレート中心骨格」は、以下の一般構造:
【化1】

[式中、Zで表される基については、以下の段落において詳細に説明する]
によって表される分子を含む。
【0020】
イソシアヌレート中心骨格は、上記構造式で表される多環(ジイソシアヌレート及び他のポリイソシアヌレートなど)を含み得る。この硬化被膜は、優れた耐エッチング性(例えば、耐溶剤性及びこの硬化被膜が周囲環境において通常晒される他の腐蝕性薬品に対する耐性)を有する。優れた耐エッチング性は、可塑化成分のイソシアヌレート中心骨格に起因している。イソシアヌレート中心骨格は、耐エッチング性に加えて、硬化被膜に硬さを付与する。可塑化成分は、製造方法により他の構造を含み得る市販の原料を用いて製造してもよいことは理解されるべきである。また、例えば、大部分の市販のイソシアネート官能性イソシアヌレート源は、他のオリゴマー構造も含む。この事実は、当技術分野において公知であり、これらの種の材料もイソシアヌレートであると見なされる。
【0021】
可塑化成分は、さらに、イソシアヌレート中心骨格にぶら下がる少なくとも1つの低表面張力基を有する。より詳しくは、上記一般式のイソシアヌレート中心骨格において、Zで表される少なくとも1つの基は、低表面張力基であるか、あるいは他の分子と反応して低表面張力基を形成する。本明細書で使用される場合、「低表面張力基」とは、樹脂成分及び架橋剤の両方の表面張力よりも低い表面張力を可塑化成分に付与する基を意味する。通常、樹脂成分及び架橋剤の両方の表面張力よりも低い表面張力を達成するために、低表面張力基は、低表面張力基の総原子数に対する炭化水素の割合が、樹脂成分又は架橋剤のいずれかよりも高い。どのような理論にも制限されるものではないが、硬化処理中、可塑化成分は低表面張力基によって硬化被膜の表面に移動し得ると考えられており、クラックの伝搬は最初に硬化被膜の表面で生じるために、硬化被膜の表面において耐クラック性及び耐エッチング性は最も重要である。本発明の目的に適した好適な低表面張力基としては、少なくとも6個の炭素原子を有する脂肪鎖(すなわち、炭化水素)、少なくとも1個のケイ素原子を有するケイ素含有基、フッ化炭素、及びそれらの組み合わせが挙げられる。脂肪鎖は、ちょうど6個の炭素を有していてもよいが、一般的には少なくとも10個の炭素原子、より一般的に少なくとも18個の炭素原子を有していてもよく、最大36個までの炭素原子を有していてもよい。1つの特定の実施例において、脂肪鎖は、18個の炭素原子を有している。ケイ素含有基は、一般的に1〜20個、より一般的には1〜8個のケイ素原子を有する。ケイ素含有基の少なくとも1個のケイ素原子は、C−Si結合単位又はSi−O−Si結合単位のいずれかによってケイ素含有基中に組み込まれていてもよく、フッ化炭素は、一般的に少なくとも4個のフッ素原子を有する。多くの場合、ケイ素鎖上の少なくとも1個のケイ素原子が非官能性であろう。しかしながら、ある特定の状況下では、少なくとも1個のケイ素原子が官能性であってもよい。
【0022】
一実施形態において、低表面張力基は、架橋性官能基を有していない。この実施形態では、脂肪鎖は、通常、少なくとも8個の炭素原子を有しており、フッ化炭素も同様であり、ケイ素含有基は、少なくとも1個のケイ素原子を有する。低表面張力基がケイ素含有基である場合、このケイ素含有基は、通常、架橋性官能基を有していない。架橋性官能基が無い場合、可塑化成分は架橋剤と反応せず、したがって、硬化被膜中に結合しないままに残る。可塑化成分が硬化被膜に結合しないままに残っているため、従来の可塑化成分と比較して、イソシアヌレート中心骨格が非常に硬いにもかかわらず、可塑化成分は可塑剤として機能する。この実施形態について上述したように、この低表面張力基は、硬化被膜内で絡合して、硬化被膜から可塑化成分が溶出し減損するのを防ぎ得る。また、低表面張力基は疎水性であり、そのため可塑化成分は、被膜が硬化する前に被膜表面に移動する。
【0023】
別の実施形態では、低表面張力基は、それにぶら下がる0〜3つの架橋性官能基を有する。通常、低表面張力基は、それにぶら下がる平均して1つ、およそ1つの架橋性官能基を有し、並びにそれにぶら下がる1つ以上の非官能性側基を有していてもよい。ぶら下がるということは、その基が低表面張力基上の末端基又はペンダント基のいずれかであり得ることを意味する。さらに、可塑化成分は、2つ以上の低表面張力基を有していてもよい。例えば、上述のイソシアヌレート中心骨格においてZで表される各基は、低表面張力基であってもよく、かつそれら各低表面張力基は、0〜3つの架橋性官能基を有していてもよいが、通常は、それにぶら下がる架橋性官能基を平均して約1つ有する。また、イソシアヌレート中心骨格は、ジイソシアヌレート又はポリイソシアヌレートであってもよく、その場合、イソシアヌレート中心骨格は、Zで表される基を上記の構造において記載するより多く有していてもよいことは理解されるべきである。
【0024】
架橋性官能基は、樹脂成分に関して上述したように、活性水素受容基及び活性水素供与基から成る群から選択されてもよい。通常、架橋性官能基は、第二級ヒドロキシル基である。架橋性官能基が存在する場合、可塑化成分は、架橋性官能基によって、架橋剤、樹脂成分、又は架橋剤と樹脂成分の両方と反応性であってもよい。したがって、可塑化成分の特定の架橋性官能基は、架橋剤及び/又は樹脂成分の特定の官能基に応じて変わる。一実施形態において、架橋性官能基、より詳しくは低表面張力基と架橋性官能基の組み合わせは、通常、架橋剤に対して、架橋剤に対する樹脂成分の反応性と同等以下の反応性を有する。例えば、樹脂成分がカルバメート官能基を有する場合、通常、架橋性官能基は第二級ヒドロキシル基であるが、樹脂成分のカルバメート基よりもより立体障害性であり得るカルバメート基であってもよい。その結果、可塑化成分の硬化がかなりの時間をかけて遅くなることで、樹脂成分と架橋剤が反応する間に可塑剤が硬化被膜の表面に移動することが可能となる。反応がより遅くなることで、十分な量の可塑化成分が硬化被膜の表面近傍に集まるように塑性化成分が反応前に移動できるだけの時間が確保される。
【0025】
別の実施形態において、架橋性官能基と架橋剤の間の反応は、樹脂成分と架橋剤の間の反応より熱可逆的である。例えば、架橋性基はヒドロキシル官能基であってもよく、架橋剤はアミノプラストであってもよい。アミノプラストとヒドロキシル官能基の間の反応は可逆的である。この実施形態において、樹脂成分は、通常、カルバメート官能基を有する。アミノプラストとカルバメート官能基の間の反応は不可逆的である。アミノプラストとカルバメート官能基の間の反応の不可逆的な特性の結果として、硬化が進行するに従って硬化性コーティング組成物中に結合しないままの可塑化成分が蓄積され、それによって可塑化成分は、硬化性コーティング組成物内及び硬化性コーティング組成物から形成された部分的硬化被膜内を移動することが可能となる。
【0026】
さらに別の実施形態において、低表面張力基がケイ素含有基の場合、そのケイ素含有基は、以下の構造:
−Si−(OR)
[式中、ケイ素の自由原子価は、イソシアヌレート中心骨格に結合しており、Rは、C1〜C6アルコキシ基、C(O)R’基(ここで、R’は、C1〜C6アルコキシ基、及びそれらの組み合わせである)である]
によって表されてもよい。この実施例では、ケイ素含有基自体は、架橋剤に対して非反応性又は可逆的反応性のいずれかであり、その例としては、酸性官能基、カルバメート官能基、アミノプラスト官能基、エポキシ官能基などが挙げられる。したがって、可塑化成分は、架橋剤と反応せずに、硬化中に硬化被膜の表面に移動し得る。しかしながら、ひとたび硬化被膜の表面に集中すると、この実施例のケイ素含有基は、自己架橋を生じて、可塑化成分の個々の分子の間の結合を効果的に形成し得る。
【0027】
さらに別の実施形態において、低表面張力基は、少なくとも1つの架橋性官能基の代替として、又は少なくとも1つの架橋性官能基に加えて、それにぶら下がる少なくとも1つの非架橋性官能基を有する。非架橋性官能基は、硬化被膜の特定の特性(例えば、接着性の促進など)を高めるために含まれていてもよい。架橋剤が、ヒドロキシ官能基、カルバメート官能基、イソシアヌレート官能基、又はアミノプラスト官能基を有する場合、一般的な非架橋性官能基は、エポキシ官能基又は酸性官能基であってもよい。さらに、非架橋性官能基は、硬化被膜の耐用年数を向上させるための、ヒンダードアミン光安定化基の紫外光吸収基であってもよい。
【0028】
一実施形態において、低表面張力基は、イソシアヌレート中心骨格の形成中に可塑化成分に組み込まれる。例えば、イソシアネート基と低表面張力基を有する反応物質が三量体化されて、イソシアヌレート中心骨格にぶら下がる低表面張力基を有するイソシアヌレートを形成してもよい。
【0029】
別の実施形態において、イソシアヌレート中心骨格の形成後に、低表面張力基及びイソシアヌレート中心骨格が一緒に反応する。通常、可塑化成分は、イソシアヌレートと、a)少なくとも6個の炭素原子を有する有機化合物、b)少なくとも1つのケイ素原子を有するケイ素含有基、c)フッ化炭素、並びにそれらの混合物から成る群から選択される化合物との反応生成物である。この化合物は、可塑化成分における低表面張力基となる。この化合物は、イソシアヌレートと反応性の少なくとも1つの官能基を有する。この実施形態では、可塑化成分は、さらに、ウレタン基、尿素基、アミド基、エステル基、エーテル基、及びそれらの組み合わせなどを含む少なくとも1つの、結合基として機能する部分を有する。低表面張力基は、結合基によってイソシアヌレート中心骨格に結合される。しかしながら、この化合物がどのようにしてイソシアヌレート中心骨格と結合しているかはあまり重要でないということは理解されるべきである。例えば、ヒドロキシ立体障害アミンのようなアミノアルコールを使用することができる。結合基は、さらに、少なくとも1つの官能性側基、例えば、酸基、ヒドロキシル基、カルバメート基、又は低表面張力基の架橋性官能基に適していると記載した任意の官能基などを含んでいてもよい。官能性側基は、架橋剤、樹脂成分、又は架橋剤及び樹脂成分の両方との架橋に利用可能であってもよい。低表面張力基の架橋性官能基のように、官能性側基は、通常、架橋剤に対して、樹脂成分の架橋剤に対する反応性と同等以下の反応性を有するか、又は架橋剤に対して可逆的反応性である。結合基の主な機能が低表面張力基とイソシアヌレート中心骨格との結合であるので、官能性側基が結合基に存在しなくてもよいことは理解されるべきである。しかしながら、低表面張力基の架橋性官能基の非存在下において、架橋を提供するために官能性側基が存在し得ることも理解されるべきである。
【0030】
低表面張力基にぶら下がる架橋性官能基が存在する場合、架橋性官能基は、通常、可塑化成分が可塑剤として機能するのを可能にするために、少なくとも4原子分だけ結合基から離れている。より詳しくは、結合基が最初の原子で低表面張力基に結合している場合、架橋性官能基は、通常、最初の原子から数えて4番目の鎖の原子で低表面張力基に結合しており、また、4番目の原子よりも最初の原子から離れている低表面張力基のいずれの原子に結合していてもよい。しかしながら、場合によっては、架橋性官能基は、硬化被膜に望ましい耐クラック性及び耐エッチング性を提供しつつ、結合基から4原子未満で結合している場合もあることは理解されるべきである。
【0031】
場合により、1〜12個の炭素原子を有する部分が接続基として機能するように、イソシアヌレート中心骨格と結合基との間に配置されていてもよい。接続基が存在するか否かは、反応により可塑化成分を形成する特定の化合物に応じて変わる。より詳しくは、接続基が存在するか否かは、反応によってイソシアヌレート中心骨格を形成する特定の化合物に応じて変わる。また、これらの接続基は、酸素、窒素、リン、シラン、およびそれらの混合物の一覧から選択されるヘテロ原子を含んでもよい。さらに、結合基の1つ以上は、上述のように、官能性側基を有していてもよい。イソシアヌレート中心骨格、低表面張力基、結合基、架橋性官能基、及び接続基を含む好適な可塑化成分の1つの非限定的な例は、一般構造:
【化2】

[式中、Rは、接続基として機能する0〜12個の炭素原子を含む部分を表し、
Lは、結合基として機能する、ウレタン基、尿素基、アミド基、エステル基、又はエーテル基、並びにそれらの組み合わせを含む部分を表し、
1は、低表面張力基を表し、
Fは、ヒドロキシル基、カルバメート基、アルコキシ基、エポキシ基、酸基、アミノ基、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される架橋性官能基を表す]
によって表されるものである。Rは、可塑化成分の低表面張力特性に貢献する場合もあり、可塑化成分の十分な低表面張力特性を達成するためにRの炭素の数を上述の範囲内で増やすには、R1の炭素の数を上述の範囲で減らす必要があり得ることは理解されるべきである。
【0032】
イソシアヌレート中心骨格、低表面張力基、結合基、架橋性官能基、及び接続基を有する可塑化成分のより具体的な例としては、以下の一般構造のものが挙げられる(式中、L、R1、およびFは、上述したのと同じである):
【化3】

【0033】
イソシアヌレート中心骨格、低表面張力基、結合基、架橋性官能基、及び接続基を有する可塑化成分の別のさらにより具体的な例としては、以下の一般構造のものが挙げられる(式中、Lは上述したものと同じである):
【化4】

【0034】
イソシアネート中心骨格、低表面張力基、結合基、および架橋性官能基を有する好適な可塑化成分の別の非限定的な例としては、以下の一般構造:
【化5】

[式中、nは1〜3であり、Lはエーテル基又はエステル基のいずれかであり、F1は第二級ヒドロキシル基であり、R1及びFは上述したものと同じである]のものが挙げられる。F1が、Fを必要としないほど十分な架橋性官能基を提供する場合もあるので、Fは必須ではない。
【0035】
イソシアヌレート中心骨格、低表面張力基、結合基、及び接続基を有する好適な可塑化成分の1つの非限定的な例としては、以下の一般構造:
【化6】

[式中、R、L、及びR1は上述のものと同じであり、R1は通常、少なくとも8個の炭素原子を有する脂肪鎖、少なくとも8個の炭素原子を有するフッ化炭素、少なくとも1個のケイ素原子を有するケイ素含有基から成る群から選択される]のものが挙げられる。この実施形態において、ケイ素含有基は、上述したように、構造:
−Si−(OR)
によって表されてもよく、硬化被膜の表面へ移動して自己架橋することが可能であり得る。
【0036】
このイソシアヌレートは、通常、少なくとも1つのイソシアネート基を有する二官能性もしくは多官能性分子のイソシアヌレートである。二官能性又は多官能性分子の少なくとも1つのイソシアネート基が、三量化反応により反応しイソシアヌレート中心骨格を形成する。あるいは、二官能性又は多官能性分子は、尿素であってもよい。尿素は、加熱することによりNH3[NCO]を生成し得て、これがさらに反応してイソシアヌレートを形成し得る。
【0037】
また、二官能性又は多官能性分子は、化合物の少なくとも1つの官能基と反応性の少なくとも1つの部分を有する。尿素から形成されるイソシアヌレートでは、イソシアヌレートはさらに他の分子(例えば、エポキシなど)と反応して、化合物の少なくとも1つの官能基と反応性の部分を生成し得る。得られたイソシアヌレートは、イソシアヌレート中心骨格から延びる3つの分岐鎖を有し、各分岐鎖は、そこにぶら下がる少なくとも1つの官能基を有する。イソシアヌレートは、通常、以下の構造:
【化7】

[式中、Rは任意選択であって、0〜12個の炭素原子を含む部分を表し、Yは化合物の少なくとも1つの官能基と反応性の少なくとも1つの部分を含む]
を有する。Yは、イソシアヌレート中心骨格と反応性の化合物の特定の少なくとも1つの官能基に応じて、水素、イソシアネート基、エポキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基、カルバメート基、酸基、ビニル基、尿素基、環状カーボネート基、及びそれらの組み合わせから成る群から選択してもよい。
【0038】
通常、イソシアヌレートは、ジイソシアネートのイソシアヌレート、トリグリシジルイソシアヌレート、トリスヒドロキシアルキルイソシアヌレート、及びトリアルカン酸イソシアヌレートから成る群から選択される。1つの好適な実施形態において、イソシアヌレートはさらに、イソシアヌレート環を含むヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)三量体として定義される。より詳しくは、イソシアヌレートは、HDIから形成される。この場合、上記で表された構造におけるRは、HDIのヘキサメチレン部分によって、6個の炭素原子を有する部分である。本発明の目的のために好適なイソシアヌレートの他の具体例としては、トリグリシジルイソシアヌレート、トリヒドロキシエチルイソシアヌレート、及びトリスプロピオン酸イソシアヌレートなどが挙げられる。しかしながら、イソシアヌレートは、式OCN−R−NCO(式中、Rは、4〜20個の炭素原子を含む任意の炭素鎖、環式構造、又は二環式構造であり、上述のように、YがRからぶら下がっている)で表される任意のジイソシアネートから形成されてもよいことは理解されるべきである。また、イソシアヌレートは、上述のように尿素から生成されてもよく、並びに、さらに他の分子と反応して、化合物の少なくとも1つの官能基と反応性の部分を提供し得ることも理解されるべきである。本明細書に記載されかつ上記の構造によって表されるように、イソシアヌレートは単に理想化された構造であり、ほとんどの市販されているイソシアヌレート組成物が材料の混合物を含み、その1つが上記の構造で表されるイソシアヌレートであるということは、当業者によって理解される。
【0039】
上述のように、イソシアヌレートと反応性の化合物は、有機化合物、ケイ素含有基、フッ化炭素、及びそれらの組み合わせである。有機化合物は、通常、少なくとも6個の炭素原子を有し、低表面張力基に好適であるとして上記において詳細に記載した脂肪鎖を形成する。化合物は、少なくとも1つの官能基を有しているが、少なくとも2つの官能基を有していてもよい。少なくとも1つ官能基は、結合基を形成して化合物とイソシアヌレートを結合するために、イソシアヌレートと反応性である。より具体的には、イソシアヌレートと反応性の少なくとも1つの官能基は、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基、カルバメート基、酸基、無水物基、イソシアネート基、及びそれらの組み合わせから成る群から選択され得る。例えば、ジイソシアネートのイソシアヌレートが使用される場合、そして、各分岐鎖が、そこにぶら下がる一つのイソシアネート基を有する場合、化合物は、少なくとも1つのイソシアネート−反応性官能基(例えば、ヒドロキシル基など)を有する。別の実施形態として、イソシアヌレートがそこにぶら下がるヒドロキシル基を有する場合、化合物は少なくとも1つのヒドロキシル−反応性官能基(例えば、酸基及び無水物基、イソシアネート基、並びにそれらの組み合わせなど)を有する。さらに別の実施例として、イソシアヌレートがそこにぶら下がるエポキシ基を有する場合、化合物は少なくとも1つのエポキシ−反応性官能基(例えば、酸基など)を有する。ジイソシアネートのイソシアヌレートと反応性の化合物の特定の官能基に応じて、可塑化成分の一般構造で上記のLによって表される結合基は、ウレタン基、尿素基、アミド基、エステル基、エーテル基、及びそれらの組み合わせの少なくとも1つである。
【0040】
イソシアヌレートと反応性の化合物が少なくとも2つの官能基を有する場合、その官能基の少なくとも1つはイソシアヌレートの官能基と反応性であり、その少なくとも2つの官能基のうちの少なくとも1つは架橋性官能基であってもよい。架橋性官能基の替わりに、又は架橋性官能基に加えて、この少なくとも2つの官能基のうちの少なくとも1つは、非架橋性官能基であってもよい。架橋性官能基及び非架橋性官能基については、上記で詳細に説明した。
【0041】
イソシアヌレート中心骨格の官能基がヒドロキシ基と反応性の場合、架橋性官能基を含む本発明の目的のために好適な有機化合物の具体例としては、ジオール(例えば、1,12−オクタデカンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、12−ヒドロキシステアリン酸など)が挙げられ、イソシアヌレート中心骨格と有機化合物の反応の後に、エポキシ(例えば、ExxonMobile Corporation(テキサス州アービング)から市販されているGlydexx N10など)と反応してもよい。本発明の目的のために好適なケイ素含有基としては、トリメチルヒドロキシプロピルシラン、ヘプタメチルヒドロキシプロピルトリシロキサン、及びカルボニル末端化ポリジメチルシロキサンのようなヒドロキシ官能性シリコーンオイルが挙げられる。シリコーンオイルが使用される場合、一般的には、その分子量は3,000ダルトン以下であることが好ましい。本発明の目的のための好適なフッ化炭素としては、ペルフルオロヘキサン−1−オール、ペルフルオロエタノール、及びペルフルオロ酢酸とエポキシ(例えば、Glydexx N10など)の反応生成物などが挙げられる。
【0042】
可塑化成分は、硬化性コーティング組成物中の全固形分100質量部に対して少なくとも2質量部、より一般的には、約2〜約30質量部、最も一般的には、約5〜約20質量部の量において硬化性コーティング組成物中に存在する。上記の量で存在する場合、優れた耐クラック性及び耐エッチング性を有する硬化被膜が得られる。
【0043】
優れた耐クラック性及び耐エッチング性について、異なる可塑化成分を含む硬化性コーティング組成物から形成された硬化被膜で比較した。より詳しくは、可塑化成分を含む硬化性コーティング組成物から形成された硬化被膜を、上述のような可塑化成分の要件を満たさない他の可塑化成分を含む硬化性コーティング組成物から形成された硬化被膜と比較した。
【0044】
耐クラック性は、耐候性試験機を使用して評価した。特に、サンドブラストで硬化被膜を処理した。グラベロメーターにて約2〜3psiの低圧で砂を使用して、硬化被膜に小さい塗膜欠陥を作成した。約5〜10gの砂を用いて、2インチ×3インチのパネル表面をブラスト処理した。次いで、サンドブラスト処理した硬化コーティングを耐候性試験機に入れた。これにより、高い内部ひずみを有する系では欠陥がクラックへと伝搬し得る。
【0045】
耐クラック性の評価は、1〜5段階で評価を行い、1は高い耐クラック性であることを意味し、5は低い耐クラック性であることを意味する。換言すれば、1の値は、クラッキングがほとんど、もしくは全く観察されないことを示し、5の値は著しいクラッキングとクラックの伝搬を示している。特定の硬化被膜の固有耐クラック性は、1〜5段階の標準試料と比較することによって評価した。本発明の硬化被膜は、硬化被膜にサンドブラスト処理を施してから1000時間後において1〜3の耐クラック性を有しており、これは、既存の可塑化成分によって提供される耐クラック性と同程度であり、可塑化成分を用いずに達成される耐クラック性より優れている。
【0046】
耐エッチング性(例えば、耐溶剤性及び硬化被膜が一般的に周囲環境において晒される他の腐食性薬品に対する耐性)は、野外曝露により、一般的に自動車塗装産業で採用されている目視評価手法を用いて評価した。耐エッチング性は、1〜10段階の標準試料と比較することにより、1〜10段階で評価した。
【0047】
本発明の硬化被膜は、硬化被膜をフロリダ州ジャクソンビルにて野外環境に8週間晒した後、硬化性コーティング組成物中に含まれる可塑化成分の量に応じて、1〜6の耐エッチング性を有していた。より詳しくは、硬化性コーティング組成物の全固形分100質量部に対して約5質量部の量において可塑化成分を含む硬化性コーティング組成物から形成された硬化被膜は、ジャクソンビルの野外環境に8週間晒した後で、約6の耐エッチング性を有していた。硬化性コーティング組成物の全固形分100質量部に対して可塑化成分を約20質量部含む硬化性コーティング組成物から形成された硬化被膜は、サンドブラスト後8週間で約2〜4、通常は約2の耐エッチング性を有していた。可塑化成分によって提供される耐エッチング性は、下記の実施例で示されているように、可塑化成分を含まない場合の耐エッチング性よりも優れていた。
【0048】
以下の実施例は、本発明を説明することを意図するものであって、いかなる点からも本発明の範囲を限定すると見なされるべきではない。
【0049】
実施例
可塑化成分を含む本発明の硬化性コーティング組成物を鋼基材上に塗装し、硬化被膜を形成するために約20〜30分間、約275℃の温度で硬化させた。この硬化性コーティング組成物は、第1表に示された量の成分を含んでいる。示された量は、特に記載のない限り、硬化性コーティング組成物中の固形分100質量部に対する質量部で示されている。
【0050】
【表1】

【0051】
樹脂成分は、二重−ヒドロキシーカルバメート官能性アクリレートである。
【0052】
架橋剤は、Cytec Industries,Inc.(ニュージャージー州ウエストパターソン)から市販されているメチル化メラミン−ホルムアルデヒド架橋剤(中程度〜高度のアルキル化、低メチロール含有量、及び中程度〜高度のイミノ官能性)である。
【0053】
触媒はブロック化DDBSAである。
【0054】
可塑化成分Aは、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレートと、1,12−オクタデカンジオールとの反応生成物である。
【0055】
可塑化成分Bは、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレートと、2−エチル−1,3ヘキサンジオールとの反応生成物である。
【0056】
可塑化成分Cは、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレートと、2−エチルヘキサノールとの反応生成物である。
【0057】
可塑化成分Dは、ヘキサメチレンジイソシアネートの非対称イソシアヌレートと、2−エチルヘキサノールとの反応生成物である。
【0058】
硬化被膜を、耐クラック性及び耐エッチング性の試験にかけた。耐エッチング性については、硬化被膜をフロリダ州ジャクソンビルの野外環境に晒した。8週間及び14週間の時点で耐エッチング性を観察した。耐クラック性については、グラベロメーターにて硬化被膜を約2−3psiの低圧でサンドブラスト処理を行った。約5〜10gの砂を用いて、2インチ×3インチのパネル表面をブラスト処理した。次いで、サンドブラスト処理した硬化コーティングを耐候性試験機に入れた。これにより、高い内部ひずみを有する系では欠陥がクラックへと伝搬し得る。500時間及び1000時間の時点で耐クラッキングを観察した。硬化被膜の耐クラック性および耐エッチング性を第2表に示す。
【0059】
【表2】

【0060】
比較例
可塑化成分を含まない硬化性コーティング組成物を比較例として用いた。硬化性コーティング組成物を鋼基材上に塗装し、硬化被膜の比較例を形成するために約20〜30分間、約275℃の温度で硬化させた。硬化性コーティング組成物の比較例は、第3表に示された量の成分を含んでいる。
【0061】
【表3】

【0062】
比較例の硬化被膜を、実施例について上述したのと同様に、耐クラック性及び耐エッチング性のために同じ試験を行った。比較例の硬化被膜の耐クラック性及び耐エッチング性を第4表に示す。
【0063】
【表4】

【0064】
結果
実施例及び比較例の耐クラック性及び耐エッチング性に関して、可塑化成分を含む本発明の硬化性コーティング組成物から形成された硬化被膜は、比較例の硬化性コーティング組成物から形成された硬化被膜と同等の耐エッチング性を示すことは明らかである。実施例の硬化被膜の耐クラック性は、比較例の耐クラック性と比較して、劇的に改善されている。したがって、本発明の可塑化成分は、可塑化成分を含まないコーティング組成物の耐エッチング性と同等の耐エッチング性を有しつつ、改善された耐クラック性を提供する。
【0065】
本発明は、例示的に説明されており、使用されている用語は、限定のためよりもむしろ説明のための用語としての性質を有するものであることを意図していることは理解されるべきである。本発明の多くの修正及び変更が可能であることは上記の教示に照らして明らかであり、本発明は明確に記載されたようなもの以外でも実施することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂成分と、
該樹脂成分に対して反応性の架橋剤と、
イソシアヌレート中心骨格と該イソシアヌレート中心骨格にぶら下がる少なくとも1つの低表面張力基を有する可塑化成分と
を含み、耐低表面張力基が、a)少なくとも6個の炭素原子を有する脂肪鎖、b)少なくとも1個のケイ素原子を有するケイ素含有基、c)フッ化炭素、及びそれらの混合物から成る群から選択され、該低表面張力基がそこにぶら下がる0〜3つの架橋性官能基を有する、硬化性コーティング組成物。
【請求項2】
前記可塑化成分が、
イソシアヌレートと、
a)少なくとも6個の炭素原子を含む有機化合物、b)少なくとも1個のケイ素原子を有するケイ素含有基、c)フッ化炭素、及びそれらの混合物から成る群から選択される化合物と
の反応生成物を含み、該化合物が前記イソシアヌレートと反応性の少なくとも1つの官能基を有する、請求項1に記載の硬化性コーティング組成物。
【請求項3】
前記イソシアヌレートと反応性の前記少なくとも1つの官能基が、イソシアネート基、エポキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基、カルバメート基、酸基、ビニル基、尿素基、環状カーボネート基、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項2に記載の硬化性コーティング組成物。
【請求項4】
前記化合物が、前記架橋性官能基である第二の官能基を有する、請求項2に記載の硬化性コーティング組成物。
【請求項5】
前記化合物の前記官能基が、少なくとも炭素原子4個分離れている、請求項4に記載の硬化性コーティング組成物。
【請求項6】
前記イソシアヌレートが、以下の構造:
【化1】

[式中、Rは任意選択であって、0〜12個の炭素原子を含む部分を表し、Yは、前記化合物の前記少なくとも1つの官能基と反応性の少なくとも1つの部分を含む]
を有する、請求項2に記載の硬化性コーティング組成物。
【請求項7】
Yが、前記化合物の前記少なくとも1つの官能基と反応性であって、水素、イソシアネート基、エポキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基、カルバメート基、酸基、ビニル基、尿素基、環状カーボネート基、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項6に記載の硬化性コーティング組成物。
【請求項8】
前記イソシアヌレートが、ジイソシアネートのイソシアヌレート、トリグリシジルイソシアヌレート、トリスヒドロキシアルキルイソシアヌレート、及びトリアルカン酸イソシアヌレートから成る群から選択される、請求項7に記載の硬化性コーティング組成物。
【請求項9】
前記可塑化成分が、一般構造:
【化2】

[式中、Rは、0〜12個の炭素原子を含む部分を表し、
Lは、ウレタン基、尿素基、アミド基、エステル基、エーテル基、及びそれらの組み合わせを含む少なくとも1つの部分を表し、
1は、少なくとも6個の炭素原子を有する脂肪鎖、少なくとも1個のケイ素原子を有するケイ素含有基、フッ化炭素、及びそれらの混合物の少なくとも1つを表し、
Fは、活性水素受容基及び活性水素供与基から成る群から選択される架橋性官能基を表す]
で表される、請求項2に記載の硬化性コーティング組成物。
【請求項10】
Fが、R1にぶら下がる第二級ヒドロキシル基を表し、かつLから少なくとも炭素原子4個分離れている、請求項9に記載の硬化性コーティング組成物。
【請求項11】
前記可塑化成分が、一般構造:
【化3】

[式中、F1は、第二級ヒドロキシル基であり、
nは1〜3であり、
Lは、エーテル基又はエステル基のいずれかであり、
1は、少なくとも6個の炭素原子を有する脂肪鎖、少なくとも1個のケイ素原子を有するケイ素含有基、フッ化炭素、及びそれらの混合物の少なくとも1つを表し、
Fは、任意選択であって、活性水素受容基及び活性水素供与基から成る群から選択される架橋性官能基を表す]
で表される、請求項2に記載の硬化性コーティング組成物。
【請求項12】
前記可塑化成分が、一般構造:
【化4】

[式中、Rは、0〜12個の炭素原子を含む部分を表し、
Lは、ウレタン基、尿素基、アミド基、エステル基、エーテル基、及びそれらの組み合わせを含む少なくとも1つの部分を表し、
1は、前記低表面張力基を表す]
で表される、請求項2に記載の硬化性コーティング組成物。
【請求項13】
前記架橋性官能基が、前記架橋剤に対して、前記架橋剤に対する前記樹脂成分の反応性と同等以下の反応性を有する、請求項1に記載の硬化性コーティング組成物。
【請求項14】
前記架橋性基と前記架橋剤の反応が可逆的である、請求項1に記載の硬化性コーティング組成物。
【請求項15】
前記架橋性官能基が活性水素受容基及び活性水素供与基から成る群から選択される、請求項1に記載の硬化性コーティング組成物。
【請求項16】
前記可塑化成分が、硬化性コーティング組成物中の全固形分100質量部に対して、少なくとも2質量部の量において硬化性コーティング組成物中に存在する、請求項1に記載の硬化性コーティング組成物。
【請求項17】
前記樹脂成分が、ポリマー、オリゴマー、材料、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項1に記載の硬化性コーティング組成物。
【請求項18】
前記樹脂成分が、前記架橋剤に対して、前記架橋剤に対する前記可塑化成分の前記架橋性官能基の反応性と同等以上の反応性を有する官能基を有する、請求項1に記載の硬化性コーティング組成物。
【請求項19】
前記架橋剤が、活性水素受容基及び活性水素供与基から成る群から選択される少なくとも2つの架橋基を有する、請求項1に記載の硬化性コーティング組成物。
【請求項20】
請求項1に記載の前記硬化性コーティング組成物から形成された硬化被膜。
【請求項21】
硬化性コーティング組成物のための可塑化成分であって、
イソシアヌレート中心骨格と、
該イソシアヌレート中心骨格にぶら下がる少なくとも1つの低表面張力基と
を含み、かつ該低表面張力基が、a)少なくとも6個の炭素原子を有する脂肪鎖、b)少なくとも1個のケイ素原子を有するケイ素含有基、c)フッ化炭素、及びそれらの混合物から成る群から選択され、かつ該低表面張力基がそれにぶら下がる0〜3つの架橋性官能基を有する、可塑化成分。
【請求項22】
前記可塑化成分が、
イソシアヌレートと、
a)少なくとも6個の炭素原子を有する有機化合物、b)少なくとも1個のケイ素原子を有するケイ素含有基、c)フッ化炭素、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される化合物と
の反応生成物を含み、該化合物が該イソシアヌレートと反応性の少なくとも1つの官能基を有する、請求項21に記載の硬化性コーティング組成物。
【請求項23】
前記イソシアヌレートと反応性の前記少なくとも1つの官能基が、イソシアネート基、エポキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基、カルバメート基、酸基、ビニル基、尿素基、環状カーボネート基、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項22に記載の可塑化成分。
【請求項24】
前記化合物が、前記架橋性官能基である第二の官能基を有する、請求項22に記載の可塑化成分。
【請求項25】
前記化合物の前記官能基が、少なくとも炭素原子4個分離れている、請求項24に記載の可塑化成分。
【請求項26】
前記イソシアヌレートが、以下の構造:
【化5】

[式中、Rは任意選択であって、0〜12個の炭素原子を含む部分を表し、Yは、前記化合物の前記少なくとも1つの官能基と反応性の少なくとも1つの部分を含む]
を有する、請求項22に記載の可塑化成分。
【請求項27】
Yが、前記化合物の前記少なくとも1つの官能基と反応性であって、水素、イソシアネート基、エポキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基、カルバメート基、酸基、ビニル基、尿素基、環状カーボネート基、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項26に記載の可塑化成分。
【請求項28】
前記イソシアヌレートが、ジイソシアネートのイソシアヌレート、トリグリシジルイソシアヌレート、トリスヒドロキシアルキルイソシアヌレート、及びトリアルカン酸イソシアヌレートから成る群から選択される、請求項27に記載の可塑化成分。
【請求項29】
前記可塑化成分が、一般構造:
【化6】

[式中、Rは、0〜12個の炭素原子を含む部分を表し、
Lは、ウレタン基、尿素基、アミド基、エステル基、エーテル基、及びそれらの組み合わせを含む少なくとも1つの部分を表し、
1は、前記低表面張力基を表し、
Fは、活性水素受容基及び活性水素供与基から成る群から選択される架橋性官能基を表す]
で表される、請求項22に記載の可塑化成分。
【請求項30】
Fが、R1にぶら下がる第二級ヒドロキシル基を表し、かつLから少なくとも炭素原子4個分離れている、請求項29に記載の可塑化成分。
【請求項31】
前記可塑化成分が、一般構造:
【化7】

[式中、F1は、第二級ヒドロキシル基であり、
nは1〜3であり、
Lは、エーテル基又はエステル基のいずれかであり、
1は、少なくとも6個の炭素原子を有する脂肪鎖、少なくとも1個のケイ素原子を有するケイ素含有基、フッ化炭素、及びそれらの混合物の少なくとも1つを表し
Fは、任意選択であって、活性水素受容基及び活性水素供与基から成る群から選択される架橋性官能基を表す]
で表される、請求項22に記載の硬化性コーティング組成物。
【請求項32】
前記可塑化成分が、一般構造:
【化8】

[式中、Rは、0〜12個の炭素原子を含む部分を表し、
Lは、ウレタン基、尿素基、アミド基、エステル基、エーテル基、及びそれらの組み合わせを含む少なくとも1つの部分を表し、
1は、前記低表面張力基を表す]
で表される、請求項22に記載の可塑化成分。
【請求項33】
前記架橋性官能基が、活性水素受容基及び活性水素供与基から成る群から選択される、請求項21に記載の可塑化成分。
【請求項34】
一般構造:
【化9】

[式中、Rは、0〜12個の炭素原子を含む部分を表し、
Lは、ウレタン基、尿素基、アミド基、エステル基、エーテル基、及びそれらの組み合わせを含む少なくとも1つの部分を表し、
1は、a)少なくとも6個の炭素原子を有する脂肪鎖、b)少なくとも1個のケイ素原子を有するケイ素含有基、c)フッ化炭素、及びそれらの混合物から成る群から選択される低表面張力基を表し、
Fは、活性水素受容基及び活性水素供与基から成る群から選択される架橋性官能基を表す]
で表される可塑化成分。
【請求項35】
一般構造:
【化10】

で表される、請求項34に記載の可塑化成分。
【請求項36】
一般構造:
【化11】

で表される、請求項34に記載の可塑化成分。

【公表番号】特表2010−510352(P2010−510352A)
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−537247(P2009−537247)
【出願日】平成19年8月3日(2007.8.3)
【国際出願番号】PCT/US2007/075141
【国際公開番号】WO2008/060727
【国際公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(591020700)ビー・エイ・エス・エフ、コーポレーション (53)
【氏名又は名称原語表記】BASF Corporation
【住所又は居所原語表記】100 Campus Drive, Florham Park, New Jersey 07932, USA
【Fターム(参考)】