説明

可変位相器

【課題】従来よりも構造が簡易で位相可変量が大きく、小型で高周波特性に優れた可変位相器を提供する。
【解決手段】第1の誘電体基板10と、第1の誘電体基板10の上面10b上に形成され、信号を伝播させる信号線路11と、を含む伝送線路101、102を有し、伝送線路101、102は、信号線路11の上方に第2の誘電体基板20を配置した第1の伝送線路101と、信号線路11上方に第2の誘電体基板20と異なる誘電率の異誘電率部23を配置した、第1の伝送線路101とは実効誘電率が異なる第2の伝送線路102と、からなり、第2の誘電体基板20と異誘電率部23は、第1の誘電体基板10の上面10bに沿って移動可能に配置され、前記移動によって伝送線路101、102における第1の伝送線路101と第2の伝送線路102の伝送路長比率が可変される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変位相器に係り、特に位相可変量が大きな可変位相器に関する。
【背景技術】
【0002】
位相を連続可変させる方法としては、伝送線路の長さを変えるようにしたものが性能的に安定であり、一般的に多く用いられている。
【0003】
例えば、同軸伝送線路の長さを可変する機構を設けた可変位相器(例えば、特許文献1参照)や、マイクロストリップ線路の長さを可変する機構を設けた可変位相器(例えば、特許文献2参照)が公知である。
【0004】
特許文献1に開示されたような従来の可変位相器は、図9(a)に示すように、入出力コネクタ61、62と、この入出力コネクタ61、62に接続された固定の伝送ライン63と、この固定の伝送ライン63に対し摺動自在な可動の伝送ライン64により構成されている。導電性のケース65内に収容された伝送ライン63、64は、パイプ形状で互いが嵌まり込み電気的に接続されている。
【0005】
可動の伝送ライン64が移動することにより、伝送ライン63、64の全体の長さを可変とすることができ、これにより入出力コネクタ61、62間の伝送線路長が変化し、位相を連続的に可変とすることができる。
【0006】
また、特許文献2に開示されたような従来の可変位相器は、図9(b)に示すように、第1基板71上に形成された2本のマイクロストリップ線路72、73と、第2基板74上に形成された結合マイクロストリップ線路75と、を備えている。
【0007】
第2基板74は、結合マイクロストリップ線路75が形成された面と、第1基板71の2本のマイクロストリップ線路72、73が形成された面とが対向するように、第1基板71に対してスライド可能に設置される。このとき、第2基板74は、結合マイクロストリップ線路75の一端部が入力側マイクロストリップ線路72と直接接触して電気的に接続され、他端部が出力側マイクロストリップ線路73と直接接触して電気的に接続されるように設置される。
【0008】
そして、結合マイクロストリップ線路75が形成された第2基板74をスライドさせることにより、入力ポートPiと出力ポートPoの間の伝送線路長を変化させて位相を変えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平11−163608号公報
【特許文献2】特開2009−147442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に開示されたような従来の可変位相器は、伝送線路長を変化させるための駆動機構が複雑になるとともに、可動の伝送ラインを直線状に構成する必要があるため、位相可変量を大きくするほど駆動機構を含めて大型化してしまうという問題を有していた。また、安定的に伝送線路長を可変するためには使用する部品の加工精度が必要となり高価となる問題もあった。
【0011】
また、特許文献2に開示されたような従来の可変位相器においては、対向する2つの基板にそれぞれ形成されたマイクロストリップ線路同士のパターン合わせを正確に行うことは困難であり、可動部を短くする/可動部を直線にする/可動部の線路幅を広くするなどの対策を必要に応じて実施するため、位相可変量/小型化/伝送線路特性などを犠牲にする必要があった。
【0012】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであって、従来よりも構造が簡易で位相可変量が大きく、小型で高周波特性に優れた可変位相器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1の可変位相器は、第1の誘電体基板と、前記第1の誘電体基板の一方の面上に形成され、信号を伝播させる信号線路と、を含む伝送線路を有し、前記伝送線路は、前記信号線路の上方に第2の誘電体基板を配置した第1の伝送線路と、前記信号線路上方に前記第2の誘電体基板と異なる誘電率の異誘電率部を配置した、前記第1の伝送線路とは実効誘電率が異なる第2の伝送線路と、を含んでなり、前記第2の誘電体基板と前記異誘電率部は、前記第1の誘電体基板の前記一方の面に沿って移動可能に配置され、前記移動によって前記伝送線路における前記第1の伝送線路と前記第2の伝送線路の伝送路長比率が可変されることにより前記伝送線路における前記信号の伝播速度が変化し、該信号の位相を可変させて出力する構成を有している。
この構成により、従来よりも構造が簡易で小型かつ位相可変量の大きい可変位相器を実現できる。
【0014】
また、本発明の請求項2の可変位相器は、前記信号線路が、蛇行状に形成されている構成を有している。また、本発明の請求項3の可変位相器は、前記信号線路が、所定の軸上に曲率中心を有する円弧状に形成されている構成を有している。
これらの構成により、外形を大きくすることなく伝送線路長を長くできるので、より小型化を実現できるとともに位相可変量の増大を実現することが可能である。なお、信号線路を蛇行状に形成することは従来技術の伝送線路長を可変する(可動部を合わせる)構造で実現することは難しい。
【0015】
また、本発明の請求項4の可変位相器は、前記伝送線路の特性インピーダンスが所望の値となるように、前記異誘電率部上部の所定位置に接地導体を設けた構成を有している。
この構成により、異誘電率部が信号線路の上方にあるときの特性インピーダンスが、第2の誘電体基板が上方にあるときの特性インピーダンスからずれることによる周波数特性の劣化をなくすことができるので(異誘電率部上部の所定位置に接地導体を設けることにより特性インピーダンス補正を行う機構を設けるため)、高周波特性においても優れた可変位相器を実現できる。
【0016】
また、本発明の請求項5の可変位相器は、前記異誘電率部が、空気層あるいは誘電体部材からなる構成を有している。
異誘電率部を空気層とすることは、第2の誘電体基板に空洞部を設けるだけでよく、少ない部品で可変位相器を実現できる。また、空気層は誘電率が低く、第1の伝送線路と第2の伝送線路との実効誘電率差を大きくとることができる。
異誘電率部を誘電体部材とすることは、請求項4に係る発明においては接地導体と信号線路との間に誘電体材料を介在できるため、接地導体と信号線路との接触がより生じにくい構造となるという効果がある。
【0017】
また、本発明の請求項6の可変位相器は、前記伝送線路が、コプレナーウエーブガイドあるいはグランデッドコプレナーウエーブガイドである構成を有している。
この構成により、伝送線路をマイクロストリップ線路で構成した場合と比較して、異誘電率部が空気層であっても高周波部での群遅延特性が良好であるため、高周波特性の優れた可変位相器を実現できる。なお、コプレナーウエーブガイドあるいはグランデッドコプレナーウエーブガイドの伝送線路において、信号線路と接地導体パターンの間隔が狭い場合でも、本構造は従来技術の伝送線路長を可変する(可動部を合わせる)構造ではないので容易に実現可能である。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、従来よりも構造が簡易であり小型化に優れている。さらに、本発明は、高周波特性にも優れた構造とすることも容易であり、位相可変量が大きく、小型で高周波特性にも優れた可変位相器を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る可変位相器の構成を示す分解斜視図
【図2】本発明に係る可変位相器が備える伝送線路の構成例を示す上面図
【図3】本発明に係る可変位相器が備える第2の誘電体基板および異誘電率部の回転された状態を示す上面図
【図4】図3のA−A'線断面図およびB−B'線断面図
【図5】図3のA−A''線断面図およびB−B''線断面図
【図6】信号線路の上部に第2の誘電体基板を配置した場合の反射特性S11、透過特性S21および群遅延特性Tgのシミュレーション結果を示すグラフ
【図7】信号線路の上部に空気層を配置(上部接地導体なし)した場合の反射特性S11、透過特性S21および群遅延特性Tgのシミュレーション結果を示すグラフ
【図8】信号線路の上部に空気層を配置(上部接地導体あり)した場合の反射特性S11、透過特性S21および群遅延特性Tgのシミュレーション結果を示すグラフ
【図9】従来の可変位相器の構成を示す上面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る可変位相器の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0021】
図1は本実施形態の可変位相器の構成を示す分解斜視図、図2、3は上面図、図4は図3のA−A'線断面図(a)およびB−B'線断面図(b)、図5は図3のA−A''線断面図(a)およびB−B''線断面図(b)である。なお、説明のために、各図面上の各構成の寸法比は、実際の寸法比とは必ずしも一致していない。
【0022】
即ち、図1、4に示すように、本実施形態の可変位相器は、円筒状の筐体50と、筐体50内部に収納される第1の誘電体基板10、第1の誘電体基板10の上面10b側に配置された第2の誘電体基板20、第2の誘電体基板20の上面20b側に配置された第1の接地導体30、および第1の誘電体基板10の下面10a側に配置された第2の接地導体40とを備える(なお、図1では第2の接地導体40の図示を省略)。
【0023】
第1の接地導体30は回転軸32を有しており、第1の誘電体基板10、第2の誘電体基板20、および第2の接地導体40の中央部分には、それぞれ回転軸32が挿通される軸穴が形成されている。また、筐体50には回転軸32を回転可能に保持する軸受が形成されている。回転軸32の上端には溝32aが形成されており、回転力を供給するための不図示の駆動手段と連結できるようになっている。第1の接地導体30は、回転軸32を中心に第2の誘電体基板20と一体的に回転されるようになっている。
【0024】
図2(a)に示すように、第1の誘電体基板10の上面10bには、円弧状の信号線路である信号線路パターン11と、信号線路パターン11の両側に同心円状に配置される円弧状の接地導体である接地導体パターン12a、12bが形成されている。信号線路パターン11、接地導体パターン12a、12b、および異誘電率部23はともに回転軸32上に曲率中心を有する円弧状に形成されている。信号線路パターン11へは、筐体50のコネクタ50a、50bを通じて信号が入出力される。なお、図2においては、第1の接地導体30および第2の誘電体基板20の図示を省略している。
【0025】
また、図4、5に示すように、第2の接地導体40と接地導体パターン12a、12bとは、第1の誘電体基板10を貫通する複数のスルーホール13によって電気的に接続されており、これによりグランデッドコプレナーウエーブガイド(伝送線路101、102)が形成される。スルーホール13の内壁面には、第2の接地導体40と接地導体パターン12a、12bとを電気的に接続するために金属メッキが施されている。
【0026】
なお、伝送線路101、102は、図2(b)に示すように、蛇行状の信号線路パターン11と、信号線路パターン11の両側に配置される蛇行状の接地導体パターン12a、12bと、を含むグランデッドコプレナーウエーブガイドであってもよい。
【0027】
図1、4に示すように、第2の誘電体基板20、第1の接地導体30は、第1の誘電体基板10の上方に順に配置されている。第2の誘電体基板20の下面20aは信号線路パターン11と接触できるようになっている。第2の誘電体基板20は空洞部21を備え、第1の接地導体30は空洞部21と嵌合する突起部31を備えている。突起部31は、後述する伝送線路において接地導体として機能する(以降、接地導体31と言う)。
【0028】
図5(b)に示すように、接地導体31の先端面31aは、第1の誘電体基板10の上面10bに対して所定間隔Δ(第2の誘電体基板20と接地導体31の厚さで決まる)の間隙を有して対向している。これにより、空洞部21内の第1の誘電体基板10および接地導体31に挟まれた領域に、異誘電率部としての空気層23(以降、異誘電率部23とも言う)が形成されるようになっている。第2の誘電体基板20と異誘電率部23は第1の誘電体基板10の上面10bに沿って移動可能に配置されている。なお、異誘電率部23は、空気層の代わりに、第2の誘電体基板20と異なる誘電率を有する誘電体部材からなるものであってもよい。
【0029】
異誘電率部23の横寸法(信号線路方向と交わる方向)は狭く設定され、上下方向から負荷がかかった場合でも、図5(b)に示す空洞部21の周縁領域24、25が支柱の役割を果たし、信号線路パターン11と接地導体31の先端面31aとの距離を安定的に維持する構造となっている。また、周縁領域24、25の少なくとも一方が、導電体または絶縁体からなっていてもよい。この導電体は、第1の接地導体30または第2の接地導体40と同じ材料からなっていてもよい。
【0030】
以上のように、信号線路パターン11の周囲には、第1の誘電体基板10、第2の誘電体基板20、空気層23、接地導体31が配置される。信号線路パターン11の周囲のこれら各部位の誘電率などによって、各々所定の実効誘電率を持つ伝送線路が構成される。伝送線路は、図4(a)に示す、信号線路パターン11の周囲に第1の誘電体基板10、第2の誘電体基板20を含んだ第1の伝送線路101と、図4(b)に示す、さらに空気層23と接地導体31を含んだ第2の伝送線路102とから構成され、第1の伝送線路101と第2の伝送線路102は信号の伝播方向に沿って連なった構成となっている。
【0031】
図3は、第1の誘電体基板10の上面10bに形成された信号線路パターン11の上方において、第2の誘電体基板20と、第2の誘電体基板20に空洞部21を設けることにより形成した異誘電率部23(本図では空気層)と、がともに回転軸32を中心として回転する様子を示した上面図である。なお、図3においては、第1の接地導体30の図示を省略している。
【0032】
第2の誘電体基板20は固定された第1の誘電体基板10に対して例えば図3(a)〜(c)に示すような配置をとる。図3(a)は、第1の誘電体基板10の上面10b上の信号線路パターン11を最大限に覆い隠すように、第2の誘電体基板20が信号線路パターン11に接触し、第1の伝送線路101の伝送線路長が最大になる状態(状態1:第1の伝送線路101の比率が最大となる状態)、図3(c)は、第2の誘電体基板20が図3(a)の状態から回転軸32を中心に180度回転し、第2の伝送線路102の伝送線路長が最大になる状態(状態3:第2の伝送線路102の比率が最大となる状態)、図3(b)は、状態1と状態3の間の状態(状態2:第1の伝送線路101と第2の伝送線路102が混在した状態)を示している。
【0033】
このように、第2の誘電体基板20と異誘電率部23とがともに回転軸32を中心として回転されることにより、第1の伝送線路101の伝送線路長と第2の伝送線路102の伝送線路長の比率が連続的に可変され、コネクタ50aおよび50b間の伝送線路の実効誘電率が変化するため、伝送線路における信号の伝播速度が変化する。従って、信号線路パターン11へ入力された信号は、その位相を変化されて出力されることとなる。
【0034】
しかしながら、伝送線路の実効誘電率を単純に変化させるだけであると、伝送線路の特性インピーダンスが変化してしまう。これにより、コネクタ50a、50bを介して接続される不図示の外部デバイスなどとの間にインピーダンス不整合を生じるという問題がある。
【0035】
そこで、本実施形態の可変位相器においては、状態1の場合の伝送線路の特性インピーダンスを所望の特性インピーダンス(例えば50Ω)と一致するように設計するとともに、第2の伝送線路102の伝送線路長が最大になる状態3の場合においても、伝送線路の特性インピーダンスが上記所望の特性インピーダンスと一致するように異誘電率部23の厚さΔを設定し、接地導体31を信号線路パターン11に近接させている。
【0036】
図6〜8に本実施形態の可変位相器の反射特性(S11)、透過特性(S21)および群遅延特性(Tg)についてシミュレーションを行った結果を示す。
【0037】
図6は信号線路パターン11の上方に第2の誘電体基板20を配置した場合(図3(a)に示した状態1に相当)、図7は信号線路パターン11の上方に空気層を配置し、かつ、接地導体31を除去した場合、図8は信号線路パターン11の上方に空気層および接地導体31を配置した場合(図3(c)に示した状態3に相当)の反射特性S11(a)、透過特性S21(b)および群遅延特性Tg(c)のシミュレーション結果である。
【0038】
図6〜図8におけるシミュレーション条件は以下の通りである。
・第1の誘電体基板10:誘電率2.17、長さ5mm、幅1.4mm、厚さ0.5mm(図6〜8)
・第2の誘電体基板20:誘電率6.15、長さ5mm、幅1.4mm、厚さ1.0mm(図6)
・異誘電率部23:空気層、長さ5mm、幅1.4mm、厚さ1.0mm(図7)、100μm(図8)
【0039】
即ち、図6〜8に示したシミュレーション結果から以下のことがわかる。
・第1の誘電体基板10の上部に第2の誘電体基板20がある場合は高周波特性は良好で、使用周波数範囲の上限は30GHz程度である(図6)。
・第1の誘電体基板10の上部に空気層があり、接地導体31がない場合(空気層の厚さ1.0mm)は高周波特性が悪く、使用周波数範囲の上限は数GHz程度である(図7)。
・第1の誘電体基板10の上部に空気層があり、接地導体31がある場合(空気層の厚さ100μm)は高周波特性は改善され、使用周波数範囲の上限は30GHz程度である(図8)。
・伝送線路長5mmでの最大位相可変量は、30GHz程度までの広い周波数範囲にわたって約14psである(図6(c)と図8(c)との比較より)。
【0040】
よって、位相可変量が100ps必要な場合でも伝送線路長は35mm程度あればよく、図1に示したような構造(接地導体31あり)では使用周波数範囲は30GHz程度まで拡大することが可能であり、外形寸法も直径約30mmとかなり小型にできる。これは、従来構造(特許文献1)のような構成で実現した場合の1/3程度の大きさである。また、従来構造(特許文献2)でも同等程度の大きさは実現することは可能であるが、使用周波数範囲を30GHz程度まで使用できる構造にすることはかなり困難であり、実際には10〜15GHz程度が上限である。
【0041】
なお、伝送線路条件や上記間隔Δなどを調整することにより、使用周波数範囲を40GHz程度まで広くすることも可能であり、また、信号線路パターン11を蛇行させてやることにより外形寸法もさらに小型化することが可能である。
【0042】
なお、上記では、本実施形態の可変位相器の伝送線路がグランデッドコプレナーウエーブガイドである場合について説明したが、コプレナーウエーブガイド、あるいは、マイクロストリップなどを伝送線路としてもよい。さらに、上記では伝送線路が第1の伝送線路101と第2の伝送線路102とで構成されるようにしたが、これに限られるものではなく、例えば第3の伝送線路を設ける構成としてもよい。
【符号の説明】
【0043】
10 第1の誘電体基板
10a 下面
10b 上面(一方の面)
11 信号線路パターン(信号線路)
12a、12b 接地導体パターン
13 スルーホール
20 第2の誘電体基板
20a 下面
20b 上面
21 空洞部
23 空気層(異誘電率部)
24、25 周縁領域
30 第1の接地導体
31 突起部(接地導体)
31a 先端面
32 回転軸(所定の軸)
32a 溝
40 第2の接地導体
50 筐体
50a、50b コネクタ
101 第1の伝送線路
102 第2の伝送線路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の誘電体基板と、前記第1の誘電体基板の一方の面上に形成され、信号を伝播させる信号線路と、を含む伝送線路を有し、
前記伝送線路は、前記信号線路の上方に第2の誘電体基板を配置した第1の伝送線路と、前記信号線路上方に前記第2の誘電体基板と異なる誘電率の異誘電率部を配置した、前記第1の伝送線路とは実効誘電率が異なる第2の伝送線路と、を含んでなり、
前記第2の誘電体基板と前記異誘電率部は、前記第1の誘電体基板の前記一方の面に沿って移動可能に配置され、
前記移動によって前記伝送線路における前記第1の伝送線路と前記第2の伝送線路の伝送路長比率が可変されることにより前記伝送線路における前記信号の伝播速度が変化し、該信号の位相を可変させて出力することを特徴とする可変位相器。
【請求項2】
前記信号線路が、蛇行状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の可変位相器。
【請求項3】
前記信号線路が、所定の軸上に曲率中心を有する円弧状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の可変位相器。
【請求項4】
前記伝送線路の特性インピーダンスが所望の値となるように、前記異誘電率部上部の所定位置に接地導体を設けたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の可変位相器。
【請求項5】
前記異誘電率部が、空気層あるいは誘電体部材からなることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の可変位相器。
【請求項6】
前記伝送線路が、コプレナーウエーブガイドあるいはグランデッドコプレナーウエーブガイドである請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の可変位相器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−10153(P2012−10153A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−145063(P2010−145063)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(000000572)アンリツ株式会社 (838)
【Fターム(参考)】