説明

向上した白色度を有するスパンデックスを含む組成物

【課題】向上した白色度を有するスパンデックスを含む組成物の提供。
【解決手段】スパンデックスと、蛍光増白剤と、非対称ジ−ヒンダードヒドロキシフェニル基を含む酸化防止剤とを含み、UV遮断剤を含まない組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境暴露後の改善された白色度保持性を有するスパンデックスだけでなく、向上した初期白色度を有するスパンデックスに関する。本発明はまた、紫外(UV)線への長期露光後に良好な特性保持性を有するスパンデックスに関する。本スパンデックスは蛍光増白剤およびUV遮断剤を含み、任意選択的にヒンダードアミン光安定剤をさらに含んでもよい。本発明はまた、スパンデックスに白色度を与える方法、スパンデックスの初期白色度を所望のレベルに調整する方法、精練後または環境暴露後にスパンデックスに白色度保持性を与える方法、および紫外線への長期露光後にスパンデックスに特性保持性を与える方法に関する。さらに、本発明は、スパンデックスを含む布であって、向上した初期白色度と環境暴露後に改善された白色度保持性とを有する布に関する。さらに、本発明は、スパンデックスを含む布においておよびかかる布を含む衣料品において向上した白色度を達成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スパンデックスは、繊維形成物質が少なくとも85%のセグメント化ポリウレタンからなる長鎖合成ポリマー化合物である人造繊維の総称である。スパンデックスはまたエラスタンとも言われる。ポリエーテル−ベースのポリウレタンポリマーから製造されたスパンデックス繊維は、ある種の環境条件下に、例えば紫外線(UV)への露光下に、または燃焼ガスおよび大気スモッグの重要な成分である、二酸化窒素(NO2)などの大気ガスの存在下に変色を受けやすいことが知られている。かかる条件下での環境への向上した耐性は望ましい属性であり、「白色度保持性」として定量化されるかもしれない。変色は時々黄変と言われる。
【0003】
添加剤が繊維の白色度を高めるために使用されてきた。例えば、合成繊維材料を増白させるための蛍光増白剤の使用は、米国特許公報(特許文献1)に開示されている。「スパン−イン」添加剤を含有する蛍光性の弾性糸は、米国特許公報(特許文献2)に開示されている。環境暴露を通じて繊維の白色度保持性を高めるために添加剤を使用することもまた公知である。例えば、二酸化窒素(NO2)への向上した耐性を持ったポリエーテル−ベースのスパンデックス繊維は、米国特許公報(特許文献3)に開示されている。フューム、光、および熱への暴露による変色を防ぐスパンデックス用の添加剤は、米国特許公報(特許文献4)に開示されている。単独でまたはヒンダードアミン光安定剤と組み合わせてのトリアジンUV吸収剤のスパンデックスでの使用は、米国特許公報(特許文献5)に開示されている。
【0004】
スパンデックス繊維白色度を高めるためまたは白色度保持性を与えるための添加剤の使用は、追加のコストを招き、かつ、スパンデックス製造プロセスに複雑性を追加する。さらに、初期白色度または白色度保持性などの、ある種の特性を与えるための添加剤の使用は、他の望ましいスパンデックス特性、例えば破断点強度(tenacity at break)、破断点伸びまたは他の性質に負の影響を及ぼすなどの意図せぬ結果をもたらし得る。このように、スパンデックスに白色度または白色度保持性を与えることができる新しい添加剤と、スパンデックス繊維ならびにそれらを含む布および織物品に白色度または白色度保持性を与える新規方法とが捜し求められ続けているが、UV線への長期露光後に特性保持性をまた有するスパンデックスも同様に捜し求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第4,559,150号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2003/0198809号明細書
【特許文献3】米国特許第4,504,612号明細書
【特許文献4】米国特許第5,219,909号明細書
【特許文献5】米国特許第6,867,250号明細書
【特許文献6】米国特許第5,626,960号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】S.シギア(S.Siggia)著、「官能基による定量的有機分析(Quantitative Organic Analysis via Functional Group)」、第3版、ニューヨーク、Wiley & Sons、1963年、559−561ページ
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
幾つかの実施形態では、AATCC試験方法110−1994によって測定される場合、少なくとも約95の初期CIE白色度を有するスパンデックスであって、オキサゾール、ビフェニル、クマリン、スチルベン、ピラゾレン、ローダミン、およびフルオレセイン、またはかかるメンバーの組み合わせからなる群から選択された蛍光増白剤と、トリアジン、ベンゾトリアゾール、オキサルアニリド、ベンゾフェノン、およびビスマロネート、またはかかるメンバーの組み合わせからなる群から選択された紫外線遮断剤とを含むスパンデックスである。
【0008】
幾つかの実施形態では、紫外線への12時間の露光後のスパンデックスのパーセント伸びが16%未満であるのに十分な量の、オキサゾール、ビフェニル、クマリン、スチルベン、ピラゾレン、ローダミン、およびフルオレセイン、またはかかるメンバーの組み合わせからなる群から選択された蛍光増白剤と、トリアジン、ベンゾトリアゾール、オキサルアニリド、ベンゾフェノン、およびビスマロネート、またはかかるメンバーの組み合わせからなる群から選択された紫外線遮断剤とを含むスパンデックスである。
【0009】
幾つかの実施形態では、オキサゾール、ビフェニル、クマリン、スチルベン、ピラゾレン、ローダミン、およびフルオレセイン、またはかかるメンバーの組み合わせからなる群から選択された蛍光増白剤と、トリアジン、ベンゾトリアゾール、オキサルアニリド、ベンゾフェノン、およびビスマロネート、またはかかるメンバーの組み合わせからなる群から選択された紫外線遮断剤とを含むスパンデックスを少なくとも1重量パーセント含む布であって、蛍光増白剤およびUV遮断剤を欠くスパンデックスを用いる以外は同じ方法で製造された比較布の白色度保持性より大きい白色度保持性を有する布である。
【0010】
幾つかの実施形態では、蛍光増白剤と、UV遮断剤の不存在下に少なくとも1つの非対称ジ−ヒンダードヒドロキシフェニル基を有するものなどの酸化防止剤とを含む向上した白色度を有するスパンデックス組成物もまた提供される。言い換えれば、UV遮断剤はスパンデックス組成物に全く添加されなかった。
【0011】
幾つかの実施形態のスパンデックスを含む布もまた提供される。
【0012】
幾つかの実施形態の布を含む衣料品または織物品もまた提供される。
【0013】
幾つかの実施形態はさらに、スパンデックスに白色度を与える方法を提供する。本方法は、a)ポリエチレンエーテルグリコール、ポリトリメチレンエーテルグリコール、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(テトラメチレン−コ−2−メチルテトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールおよびそれらの混合物からなる群から選択されたポリエーテルグリコール、または(i)エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、およびそれらの混合物と、(ii)テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、およびドデカン二酸、ならびにそれらの混合物との反応生成物からなる群から選択されたポリエステルグリコールを少なくとも1種のジイソシアネートと接触させる工程と、b)工程a)の反応生成物を少なくとも1種の連鎖延長剤と、および任意選択的に連鎖停止剤と接触させる工程と、c)工程b)の反応生成物を、スパンデックスに白色度を与えるのに十分な量の蛍光増白剤および紫外線遮断剤と接触させる工程、あるいはまた、工程b)の反応生成物を、蛍光増白剤および少なくとも1つの非対称ジ−ヒンダードヒドロキシフェニル基を含む酸化防止剤と接触させる工程と、d)工程c)の生成物を紡糸してスパンデックスを形成する工程とを含み、ここで、蛍光増白剤はオキサゾール、ビフェニル、クマリン、スチルベン、ピラゾレン、ローダミン、およびフルオレセイン、またはかかるメンバーの組み合わせからなる群から選択され、そして紫外線遮断剤はトリアジン、ベンゾトリアゾール、オキサルアニリド、ベンゾフェノン、およびビスマロネート、またはかかるメンバーの組み合わせからなる群から選択される。
【0014】
スパンデックスの初期白色度を所望のレベルに調整する方法もまた提供される。本方法は、a)ポリエチレンエーテルグリコール、ポリトリメチレンエーテルグリコール、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(テトラメチレン−コ−2−メチルテトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールおよびそれらの混合物からなる群から選択されたポリエーテルグリコール、または(i)エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、およびそれらの混合物と、(ii)テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、およびドデカン二酸、ならびにそれらの混合物との反応生成物からなる群から選択されたポリエステルグリコールを少なくとも1種のジイソシアネートと接触させる工程と、b)工程a)の反応生成物を少なくとも1種の連鎖延長剤と、および任意選択的に連鎖停止剤と接触させる工程と、c)工程b)の反応生成物を、スパンデックスに所望の白色度レベルを与えるのに十分な量の蛍光増白剤および紫外線遮断剤と接触させる工程、あるいはまた、工程b)の反応生成物を、蛍光増白剤および少なくとも1つの非対称ジ−ヒンダードヒドロキシフェニル基を含む酸化防止剤と接触させる工程と、d)工程c)の生成物を紡糸してスパンデックスを形成する工程とを含み、ここで、蛍光増白剤はオキサゾール、ビフェニル、クマリン、スチルベン、ピラゾレン、ローダミン、およびフルオレセイン、またはかかるメンバーの組み合わせからなる群から選択され、そして紫外線遮断剤はトリアジン、ベンゾトリアゾール、オキサルアニリド、ベンゾフェノン、およびビスマロネート、またはかかるメンバーの組み合わせからなる群から選択される。
【0015】
精練後または燃焼フューム、二酸化窒素フューム、紫外線、熱、もしくは塩素漂白剤への環境暴露後にスパンデックスに白色度保持性を与える方法もまた提供される。本方法は、a)ポリエチレンエーテルグリコール、ポリトリメチレンエーテルグリコール、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(テトラメチレン−コ−2−メチルテトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールおよびそれらの混合物からなる群から選択されたポリエーテルグリコール、または(i)エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、およびそれらの混合物と、(ii)テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、およびドデカン二酸、ならびにそれらの混合物との反応生成物からなる群から選択されたポリエステルグリコールを少なくとも1種のジイソシアネートと接触させる工程と、b)工程a)の反応生成物を少なくとも1種の連鎖延長剤と、および任意選択的に連鎖停止剤と接触させる工程と、c)工程b)の反応生成物を、精練後または環境暴露後にスパンデックスに白色度保持性を与えるのに十分な量の蛍光増白剤および紫外線遮断剤と接触させる工程、あるいはまた、工程b)の反応生成物を、蛍光増白剤および少なくとも1つの非対称ジ−ヒンダードヒドロキシフェニル基を含む酸化防止剤と接触させる工程と、d)工程c)の生成物を紡糸してスパンデックスを形成する工程とを含み、ここで、蛍光増白剤はオキサゾール、ビフェニル、クマリン、スチルベン、ピラゾレン、ローダミン、およびフルオレセイン、またはかかるメンバーの組み合わせからなる群から選択され、そして紫外線遮断剤はトリアジン、ベンゾトリアゾール、オキサルアニリド、ベンゾフェノン、およびビスマロネート、またはかかるメンバーの組み合わせからなる群から選択される。
【0016】
紫外線への12時間露光後にスパンデックスに破断点強度の特性保持性を与える方法もまた提供される。本方法は、a)ポリエチレンエーテルグリコール、ポリトリメチレンエーテルグリコール、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(テトラメチレン−コ−2−メチルテトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールおよびそれらの混合物からなる群から選択されたポリエーテルグリコール、または(i)エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、およびそれらの混合物と、(ii)テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、およびドデカン二酸、ならびにそれらの混合物との反応生成物からなる群から選択されたポリエステルグリコールを少なくとも1種のジイソシアネートと接触させる工程と、b)工程a)の反応生成物を少なくとも1種の連鎖延長剤と、および任意選択的に連鎖停止剤と接触させる工程と、c)工程b)の反応生成物を、紫外線への12時間露光後にスパンデックスに特性保持性を与えるのに十分な量の、蛍光増白剤および紫外線遮断剤、任意選択的にヒンダードアミン光安定剤と接触させる工程と、d)工程c)の生成物を紡糸してスパンデックスを形成する工程とを含み、ここで、蛍光増白剤はオキサゾール、ビフェニル、クマリン、スチルベン、ピラゾレン、ローダミン、およびフルオレセイン、またはかかるメンバーの組み合わせからなる群から選択され、そして紫外線遮断剤はトリアジン、ベンゾトリアゾール、オキサルアニリド、ベンゾフェノン、およびビスマロネート、またはかかるメンバーの組み合わせからなる群から選択される。
【0017】
幾つかの実施形態はさらに、蛍光増白剤およびUV遮断剤を含むスパンデックスに紫外線への12時間露光後に破断点伸びの特性保持性を与える方法を提供する。本方法は、a)ポリエチレンエーテルグリコール、ポリトリメチレンエーテルグリコール、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(テトラメチレン−コ−2−メチルテトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールおよびそれらの混合物からなる群から選択されたポリエーテルグリコール、または(i)エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、およびそれらの混合物と、(ii)テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、およびドデカン二酸、ならびにそれらの混合物との反応生成物からなる群から選択されたポリエステルグリコールを少なくとも1種のジイソシアネートと接触させる工程と、b)工程a)の反応生成物を少なくとも1種の連鎖延長剤と、および任意選択的に連鎖停止剤と接触させる工程と、c)工程b)の反応生成物を、紫外線への12時間露光後にスパンデックスに破断点伸びの特性保持性を与えるのに十分な量の、蛍光増白剤および紫外線遮断剤、ならびに任意選択的にヒンダードアミン光安定剤と接触させる工程と、d)工程c)の生成物を紡糸してスパンデックスを形成する工程とを含み、ここで、蛍光増白剤はオキサゾール、ビフェニル、クマリン、スチルベン、ピラゾレン、ローダミン、およびフルオレセイン、またはかかるメンバーの組み合わせからなる群から選択され、そして紫外線遮断剤はトリアジン、ベンゾトリアゾール、オキサルアニリド、ベンゾフェノン、およびビスマロネート、またはかかるメンバーの組み合わせからなる群から選択される。
【発明を実施するための形態】
【0018】
蛍光増白剤およびUV遮断剤を含むスパンデックスは向上した初期白色度と燃焼フューム、NO2フューム、UV線、熱、または塩素漂白剤への環境暴露後に改善された白色度保持性とを有することが分かった。さらに、蛍光増白剤、UV遮断剤、およびヒンダードアミン光安定剤を含むスパンデックスはUV線への長期露光後に良好な特性保持性を有することが分かった。スパンデックスの白色度はCIE白色度として測定される。向上した初期白色度、環境暴露後の改善された白色度保持性、およびUV露光後の特性保持性は、本発明のスパンデックスを含む布および衣料品まで持続される。
【0019】
本明細書で用いるところでは、用語スパンデックスは、繊維形成物質が少なくとも85%のセグメント化ポリウレタンからなる長鎖合成ポリマーである人造繊維を意味する。スパンデックスはまた、エラスタンとも言われる。
【0020】
本明細書で用いるところでは、「キャッピング比」は、ジイソシアネート対グリコールのモル比と定義される。本明細書で用いるところでは、用語「%NCO」は、特に明記されない限り、キャップドグリコール中のイソシアネート末端基の重量パーセントを意味する。
【0021】
本明細書で用いるところでは、用語「蛍光増白剤」は、色を明るくすることができる、または繊維、紙、ペイント、およびプラスチックなどの基材での黄変を隠す試剤を意味する。蛍光増白剤はUV光を吸収し、可視スペクトルの紫−青領域の蛍光を再放射する。この青味は、黄色がかった色合いを相殺することができ、基材によって反射される光に輝かしい白色度を与える。蛍光増白剤はまた、蛍光増白剤としても知られる。
【0022】
本明細書で用いるところでは、用語「UV遮断剤」は、基材、例えばポリマー組成物に添加してUV光の影響、例えば分解から基材を守ることができる化合物を意味する。理論に縛られることを望むことなく、UV遮断剤はUV光を吸収し、そしてそれを熱に変換することによって機能すると考えられる。
【0023】
本明細書で用いるところでは、用語「ヒンダードアミン光安定剤」(HALS)は、テトラメチルピペリジン構造をはじめとする立体障害アミンを意味する。
【0024】
本明細書で用いるところでは、用語「艶消剤」は、人造繊維の光沢を鈍くするために使用することができる物質を意味する。艶消剤をスパンデックスへ組み入れると、繊維を不透明にすることができる。スパンデックス繊維のために使用される典型的な艶消剤は二酸化チタンである。
【0025】
本明細書で用いるところでは、用語「局所の」は、糸、布、または織物品の表面へ局所的に塗布される処理剤を意味する。蛍光増白剤での糸、布、または織物品の局所処理は、有効であり得るが、永久的ではない。局所処理は、異なる繊維に対する異なる親和性の程度に対応して、後続の処理または洗濯操作中にある程度洗い落とされるという不都合を有する。
【0026】
本明細書で用いるところでは、用語「スパン−イン」は、ポリマー溶液をスパンデックスへ紡糸する前にポリウレタンウレアポリマー溶液材料に添加される材料に関する。スパン−イン・スパンデックス添加剤は、スパン−イン添加剤が繊維表面だけでなく、繊維の全体にわたって典型的に存在するという点において、局所塗布されるスパンデックス仕上げ剤とは異なり得る。スパン−イン添加剤は典型的には、局所塗布された仕上げ剤よりスパンデックスから除去することが困難であり得る。
【0027】
本明細書で用いるところでは、用語「白色」は色の不存在と定義され、用語「白色度」は、白色であることの質を意味し、あるいはまた色を持たないことの質と述べられる。本明細書で用いるところでは、用語「CIE白色度」は、AATCC(米国繊維化学者・色彩技術者協会(American Association of Textile Chemists and Colorists))試験方法110−1994によって測定される場合の、そして光源D65および1976 10°観察者についてその中の式を用いて計算される場合の白色度を意味する。CIE白色度は数値として表され、ここに報告される値は、最も近い整数に丸められた。サンプルのCIE白色度値が大きければ大きいほど、サンプルの白色度は大きい。訓練を受けていない人間の目は、約15CIE白色度単位だけ異なる白色度の色合いを区別することができると一般に考えられる。訓練を受けた人間の目は、少なくとも約3単位だけ異なる白色度色合いを識別することができると一般に考えられる。
【0028】
本明細書で用いるところでは、用語「初期白色度」は、スパンデックスなどの材料の、その最初の状態における、すなわち、環境影響への暴露前または追加の増白剤が後続の処理工程に、例えば布の湿式処理に加えられる前の白色度に関する。初期白色度はまた、「そのままの」白色度または「紡糸されたままの」白色度と言われてもよい。
【0029】
本明細書で用いるところでは、用語「白色度保持性」は、その初期白色度を長い間または環境暴露後に維持する材料の能力を意味する。時間または環境暴露後のサンプルのCIE白色度値が初期CIE白色度値より低い場合、白色度の低下が起こった。サンプルのCIE白色度値が初期CIE白色度値より高い場合、白色度の増加が起こった。燃焼フューム、熱暴露、NO2フューム(スモッグの成分)、UV線、および塩素漂白剤などの様々な環境暴露はスパンデックスに黄変または変色を引き起こすことが知られている。結果として、白色度保持性は、スパンデックスでおよびスパンデックスを含む布で望ましい品質であり、改善された白色度保持性もまた望ましい。
【0030】
一般に、織物およびアパレル業界は、糸または布について可能な最高白色度値を捜し求めている。しかしながら、糸または布の最終用途要件が、どんなレベルの白色度が特定の用途に受け入れられるかを画定する。コンパニオン硬糸または下流染色工程の白色度値などの因子は、所与の白色度レベルの受け入れ可能性に影響を及ぼすであろうし、かかる因子は最終用途と共に広く変わり得る。このように、有用な白色度についての普遍的な閾値は全くないが、向上したまたは改善された白色度を有する糸または布が一般に望ましい。幾つかの用途では、白色度が望ましい用途に十分であるように糸または布の白色度を調整することは望ましいかもしれず、その白色度は、得ることができる最高のCIE白色度値とは異なってもよい。
【0031】
本明細書で用いるところでは、用語「コンパニオン糸」は、例えば製織またはニッティング中に、スパンデックスと併せて使用される糸を意味する。本明細書で用いるところでは、用語「硬糸」は、ポリエステル、綿、ナイロン、レーヨン、アセテート、または羊毛などの、比較的非弾性の糸を意味する。
【0032】
本明細書で用いるところでは、用語「織物品」は、布をはじめとする物品を意味する。「織物品」には、例えば、シャツ、パンツ、スカート、ジャケット、コート、作業シャツ、作業パンツ、制服、上着、スポーツウェア、水着、ブラ、ソックス、および下着などの衣料品または衣類が含まれ、ベルト、手袋、ミトン、帽子、靴下、または履物もまた含まれる。「織物品」にはまた、シート、枕カバー、ベッドカバー、キルト、毛布、掛け布団、掛け布団カバー、寝袋、シャワーカーテン、カーテン、掛布、テーブルクロス、ナプキン、雑巾、ふきん、および室内装飾品または家具用の保護カバーのような品目もまた含まれる。
【0033】
一実施形態は、AATCC試験方法110−1994によって測定される場合、少なくとも約95のCIE白色度を有するスパンデックスであって、オキサゾール、ビフェニル、クマリン、スチルベン、ピラゾレン、ローダミン、およびフルオレセイン、またはかかるメンバーの組み合わせからなる群から選択された蛍光増白剤と、トリアジン、ベンゾトリアゾール、オキサルアニリド、ベンゾフェノン、およびビスマロネート、またはかかるメンバーの組み合わせからなる群から選択された紫外線遮断剤とを含むスパンデックスである。
【0034】
別の実施形態は、蛍光増白剤がオキサゾール、ビフェニル、およびクマリン、またはかかるメンバーの組み合わせからなる群から選択され、そして紫外線遮断剤がトリアジン、ベンゾトリアゾール、およびオキサルアニリド、またはかかるメンバーの組み合わせからなる群から選択されるスパンデックスである。
【0035】
別の実施形態は、蛍光増白剤が2,5−チオフェンジイルビス(5−t−ブチル−1,3−ベンゾオキサゾール)、4,4’−ビス(2−メトキシスチリル)−1,1’−ビフェニル、2,2’−(1,2−エテンジイルジ−4,1−フェニレン)ビスベンゾオキサゾール、および7−(2H−ナフト[1,2−D]トリアゾール−2−イル)−3−フェニルクマリン、またはかかるメンバーの組み合わせからなる群から選択され、そして紫外線遮断剤が2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ(1,1−ジメチルベンジル))−2H−ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシ−フェノール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−エチル−2’−エトキシ−オキサルアニリド、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−ドデシル−4−メチルフェノール、および2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)フェノール、またはかかるメンバーの組み合わせから選択されるスパンデックスである。
【0036】
別の実施形態は、蛍光増白剤が2,5−チオフェンジイルビス(5−t−ブチル−1,3−ベンゾオキサゾール)であり、そして紫外線遮断剤が2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2イル]−5−(オクチルオキシ)フェノールであるスパンデックスである。
【0037】
別の実施形態は、蛍光増白剤が4,4’−ビス(2−メトキシスチリル)−1,1’−ビフェニルであり、そして紫外線遮断剤が2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)フェノールである本発明のスパンデックスである。
【0038】
別の実施形態は、紫外線への約12時間の露光後のスパンデックスのパーセント伸びが16%未満であるのに十分な量で、オキサゾール、ビフェニル、クマリン、スチルベン、ピラゾレン、ローダミン、およびフルオレセイン、またはかかるメンバーの組み合わせからなる群から選択された蛍光増白剤と、トリアジン、ベンゾトリアゾール、オキサルアニリド、ベンゾフェノン、およびビスマロネート、またはかかるメンバーの組み合わせからなる群から選択された紫外線遮断剤とを含むスパンデックスである。
【0039】
別の実施形態は、紫外線への約12時間の露光後の破断点伸びのパーセント保持性が少なくとも約60%であるスパンデックスである。
【0040】
別の実施形態は、ヒンダードアミン光安定剤をさらに含むスパンデックスである。
【0041】
別の実施形態は、AATCC試験方法110−1994によって測定される場合、少なくとも約95の初期CIE白色度を有し、オキサゾール、ビフェニル、クマリン、スチルベン、ピラゾレン、ローダミン、およびフルオレセイン、またはかかるメンバーの組み合わせからなる群から選択された蛍光増白剤と、トリアジン、ベンゾトリアゾール、オキサルアニリド、ベンゾフェノン、およびビスマロネート、またはかかるメンバーの組み合わせからなる群から選択された紫外線遮断剤とを含むスパンデックスであって、紫外線への約4時間の露光後に、少なくとも約55のCIE白色度を有するスパンデックスである。
【0042】
別の実施形態は、紫外線への約4時間の露光後に少なくとも約55のCIE白色度を有するスパンデックスであって、蛍光増白剤が2,5−チオフェンジイルビス(5−t−ブチル−1,3−ベンゾオキサゾール)、4,4’−ビス(2−メトキシスチリル)−1,1’−ビフェニル、2,2’−(1,2−エテンジイルジ−4,1−フェニレン)ビスベンゾオキサゾール、および7−(2H−ナフト[1,2−D]トリアゾール−2−イル)−3−フェニルクマリン、またはかかるメンバーの組み合わせからなる群から選択され、そして紫外線遮断剤が2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ(1,1−ジメチルベンジル))−2H−ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシ−フェノール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−エチル−2’−エトキシ−オキサルアニリド、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−ドデシル−4−メチルフェノール、および2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)フェノール、またはかかるメンバーの組み合わせからなる群から選択されるスパンデックスである。
【0043】
別の実施形態は、紫外線への約4時間の露光後に少なくとも約55のCIE白色度を有するスパンデックスであって、蛍光増白剤が2,5−チオフェンジイルビス(5−t−ブチル−1,3−ベンゾオキサゾール)であり、そして紫外線遮断剤が2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)フェノールであるスパンデックスである。
【0044】
別の実施形態は、紫外線への約4時間の露光後に少なくとも約55のCIE白色度を有するスパンデックスであって、蛍光増白剤が4,4’−ビス(2−メトキシスチリル)−1,1’−ビフェニルであり、そして紫外線遮断剤が2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)フェノールであるスパンデックスである。
【0045】
さらに別の実施形態は、本明細書での任意の実施形態のスパンデックスを含む布である。
【0046】
追加の実施形態は、
a)ポリエチレンエーテルグリコール、ポリトリメチレンエーテルグリコール、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(テトラメチレン−コ−2−メチルテトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールおよびそれらの混合物からなる群から選択されたポリエーテルグリコール、または(i)エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、およびそれらの混合物と、(ii)テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、およびドデカン二酸、ならびにそれらの混合物との反応生成物からなる群から選択されたポリエステルグリコールを少なくとも1種のジイソシアネートと接触させる工程と、
b)工程a)の反応生成物を少なくとも1種の連鎖延長剤と、および任意選択的に連鎖停止剤と接触させる工程と、
c)工程b)の反応生成物を、スパンデックスに白色度を与えるのに十分な量の蛍光増白剤および紫外線遮断剤と接触させる工程と、
d)工程c)の生成物を紡糸してスパンデックスを形成する工程と
を含む、スパンデックスに白色度を与える方法であって、
蛍光増白剤がオキサゾール、ビフェニル、クマリン、スチルベン、ピラゾレン、ローダミン、およびフルオレセイン、またはかかるメンバーの組み合わせからなる群から選択され、そして紫外線遮断剤がトリアジン、ベンゾトリアゾール、オキサルアニリド、ベンゾフェノン、およびビスマロネート、またはかかるメンバーの組み合わせからなる群から選択される方法である。
【0047】
別の実施形態は、
a)ポリエチレンエーテルグリコール、ポリトリメチレンエーテルグリコール、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(テトラメチレン−コ−2−メチルテトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールおよびそれらの混合物からなる群から選択されたポリエーテルグリコール、または(i)エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、およびそれらの混合物と、(ii)テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、およびドデカン二酸、ならびにそれらの混合物との反応生成物からなる群から選択されたポリエステルグリコールを少なくとも1種のジイソシアネートと接触させる工程と、
b)工程a)の反応生成物を少なくとも1種の連鎖延長剤と、および任意選択的に連鎖停止剤と接触させる工程と、
c)b)の反応生成物を、スパンデックスに所望の初期白色度レベルを与えるのに十分な量の蛍光増白剤および紫外線遮断剤と接触させる工程と、
d)工程c)の生成物を紡糸して所望の白色度を有するスパンデックスを形成する工程と
を含む、スパンデックスの初期白色度を所望レベルに調整する方法であって、
蛍光増白剤がオキサゾール、ビフェニル、クマリン、スチルベン、ピラゾレン、ローダミン、およびフルオレセイン、またはかかるメンバーの組み合わせからなる群から選択され、そして紫外線遮断剤がトリアジン、ベンゾトリアゾール、オキサルアニリド、ベンゾフェノン、およびビスマロネート、またはかかるメンバーの組み合わせからなる群から選択される方法である。
【0048】
別の実施形態は、
a)ポリエチレンエーテルグリコール、ポリトリメチレンエーテルグリコール、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(テトラメチレン−コ−2−メチルテトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールおよびそれらの混合物からなる群から選択されたポリエーテルグリコール、または(i)エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、およびそれらの混合物と、(ii)テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、およびドデカン二酸、ならびにそれらの混合物との反応生成物からなる群から選択されたポリエステルグリコールを少なくとも1種のジイソシアネートと接触させる工程と、
b)工程a)の反応生成物を少なくとも1種の連鎖延長剤と、および任意選択的に連鎖停止剤と接触させる工程と、
c)b)の反応生成物を、精練後または環境暴露後にスパンデックスに白色度保持性を与えるのに十分な量の蛍光増白剤および紫外線遮断剤と接触させる工程と、
d)工程c)の生成物を紡糸してスパンデックスを形成する工程と
を含む、精練後または燃焼フューム、二酸化窒素フューム、紫外線、熱、もしくは塩素漂白剤への環境暴露後にスパンデックスに白色度保持性を与える方法であって、
蛍光増白剤がオキサゾール、ビフェニル、クマリン、スチルベン、ピラゾレン、ローダミン、およびフルオレセイン、またはかかるメンバーの組み合わせからなる群から選択され、そして紫外線遮断剤がトリアジン、ベンゾトリアゾール、オキサルアニリド、ベンゾフェノン、およびビスマロネート、またはかかるメンバーの組み合わせからなる群から選択される方法である。
【0049】
別の実施形態は、
a)ポリエチレンエーテルグリコール、ポリトリメチレンエーテルグリコール、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(テトラメチレン−コ−2−メチルテトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールおよびそれらの混合物からなる群から選択されたポリエーテルグリコール、または(i)エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、およびそれらの混合物と、(ii)テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、およびドデカン二酸、ならびにそれらの混合物との反応生成物からなる群から選択されたポリエステルグリコールを少なくとも1種のジイソシアネートと接触させる工程と、
b)工程a)の反応生成物を少なくとも1種の連鎖延長剤と、および任意選択的に連鎖停止剤と接触させる工程と、
c)b)の反応生成物を、紫外線への長期露光後にスパンデックスに特性保持性を与えるのに十分な量の、蛍光増白剤、紫外線遮断剤、および任意選択的にヒンダードアミン光安定剤と接触させる工程と、
d)工程c)の生成物を紡糸してスパンデックスを形成する工程と
を含む、スパンデックスにUV線への12時間露光後に破断点強度または破断点伸びの特性保持性を与える方法であって、
蛍光増白剤がオキサゾール、ビフェニル、クマリン、スチルベン、ピラゾレン、ローダミン、およびフルオレセイン、またはかかるメンバーの組み合わせからなる群から選択され、そして紫外線遮断剤がトリアジン、ベンゾトリアゾール、オキサルアニリド、ベンゾフェノン、およびビスマロネート、またはかかるメンバーの組み合わせからなる群から選択される方法である。
【0050】
さらに別の実施形態は、オキサゾール、ビフェニル、クマリン、スチルベン、ピラゾレン、ローダミン、およびフルオレセイン、またはかかるメンバーの組み合わせからなる群から選択された蛍光増白剤と、トリアジン、ベンゾトリアゾール、オキサルアニリド、ベンゾフェノン、およびビスマロネート、またはかかるメンバーの組み合わせからなる群から選択された紫外線遮断剤とを含むスパンデックスを少なくとも1重量パーセント含む布であって、蛍光増白剤およびUV遮断剤を欠くスパンデックスを用いる以外は同じ方法で製造された比較布の白色度保持性より大きい白色度保持性を有する布である。
【0051】
さらに別の実施形態は、本明細書に記載される任意の実施形態の布を含む衣料品または織物品である。
【0052】
別の実施形態は、UV遮断剤の添加なしで、蛍光増白剤および特定の酸化防止剤を含むスパンデックスである。本実施形態では、蛍光増白剤は本明細書に記載される任意のものであってもよい。酸化防止剤は、少なくとも1つの非対称ジ−ヒンダードヒドロキシフェニル基を含むものから選択される。「非対称ジ−ヒンダードヒドロキシフェニル」は、ヒドロキシル基に隣接する2つの環位置に2つの異なるアルキル基を有するヒドロキシフェニル基を意味する。非対称ジ−ヒンダードヒドロキシフェニル基を含む酸化防止剤の例には、非対称ジ−ヒンダードヒドロキシフェニル基がイソシアヌレート・バックボーンに共有結合している1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−t−ブチルベンジル)イソシアヌレート,および非対称ジ−ヒンダードヒドロキシフェニル基がビスエステル・バックボーンに共有結合しているエチレン−1,2−ビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオナート]が挙げられる。これらは、それぞれ、サイアノックス(Cyanox)(登録商標)1790(サイテック・インダストリーズ(Cytec Industries))およびイルガノックス(Irganox)(登録商標)245(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ・コーポレーション(Ciba Specialty Chemicals Corporation))として入手可能である。
【0053】
UV遮断剤を排除するスパンデックス組成物は、組成物がUV線へ過度に露光されない場合、所望の白色度を達成し、それを保持するのに特に有用である。例えば、本スパンデックス組成物を含む繊維、布、および衣料品は、下着および他の密着アパレルに特に有用である。
【0054】
スパンデックスを製造するのに有用なポリウレタンウレアは、二官能性ポリエーテル−ベースのグリコールまたはポリエステル−ベースのグリコールをジイソシアネートと反応させて(で「キャップして」)イソシアネート−キャップド・プレポリマー(「キャップドグリコール」)を形成することによって習慣的に製造される。キャップドグリコールは次に好適な溶媒に溶解されてほとんどまたは全くゲルを含有しない均一なポリマー溶液を提供し、ジアミン二官能性連鎖延長剤と反応させられる。任意選択的に、連鎖停止剤、例えば、ジエチルアミン、シクロヘキシルアミン、またはn−ヘキシルアミンを使用してポリマーの分子量をコントロールすることができ、そしてジエチレントリアミンなどの三官能性「連鎖分岐剤」を使用して溶液粘度をコントロールすることができる。任意選択的に、ジブチルスズジラウレート、オクタン酸第一スズ、鉱酸、トリエチルアミン、N,N’−ジメチルピペラジンなどの第三級アミンなどの触媒、および他の公知の触媒を使用してキャッピング工程を支援することができる。好適な溶媒には、例えば、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチルピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)およびジメチルスルホキシド(DMSO)が含まれる。
【0055】
有用なポリエーテルグリコールには、ポリエチレンエーテルグリコール、ポリトリメチレンエーテルグリコール、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール(PTMEGとしても知られる)、ポリ(テトラメチレン−コ−2−メチルテトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコール、およびそれらの混合物が含まれるが、それらに限定されない。本発明での使用に好適なポリエーテルグリコールは、約600〜約4000、例えば約1000〜約3500、または約1600〜約2500、または約1800〜約2000の数平均分子量を有する。テラセイン(TERATHANE)(登録商標)1800(インビスタ有限責任会社(Invista S.a r.l))から入手可能な)は、模範的なポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールである。
【0056】
ポリエステル−ベースのスパンデックスを製造するための有用なポリエステルグリコールには、(i)例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、およびそれらの混合物などのグリコールと、(ii)テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、およびドデカン二酸、ならびにそれらの混合物などの二酸との反応生成物が含まれるが、それらに限定されない。共重合体もまた好適である。上記のポリエーテルおよびポリエステル、ならびにポリ(ペンタン−1,5−カーボネート)ジオールおよびポリ(ヘキサン−1,6−カーボネート)ジオールなどのジオール末端ポリカーボネートの部分からなるポリエーテルエステルグリコールもまた本ポリマーの製造での使用に好適である。
【0057】
有用なジイソシアネートには、1−イソシアナト−4−[(4−イソシアナトフェニル)メチル]ベンゼン、(「4,4’−MDI」)、1−イソシアナト−2−[(4−シアナトフェニル)メチル]ベンゼン(「2,4’−MDI」)、4,4’−MDIと2,4’−MDIとの混合物、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、5−イソシアナト−1−(イソシアナトメチル)−1,3,3−トリメチルシクロヘキサン、1,3−ジイソシアナト−4−メチル−ベンゼン、2,2’−トルエンジイソシアネート、2,4’−トルエンジイソシアネートおよびそれらの混合物が含まれるが、それらに限定されない。
【0058】
有用な連鎖延長剤には、エチレンジアミン、1,3−ブタンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,3−ジアミノ−2,2−ジメチルブタン、1,6−ヘキサンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、N−メチルアミノビス(3−プロピルアミン)、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン(MPMD、ダイテック(DYTEK)(登録商標)Aとしてインビスタ有限責任会社から商業的に入手可能な)、1,5−ジアミノペンタン、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,3−ジアミノ−4−メチルシクロヘキサン、1,3−シクロヘキサン−ジアミン、1,1−メチレン−ビス(4,4’−ジアミノヘキサン)、3−アミノメチル−3、5,5−トリメチルシクロヘキサン、1,3−ジアミノペンタン、m−キシリレンジアミン、ピペラジン、シクロヘキシレン−1,3−ジアミン(水素化m−フェニレンジアミン),イソホロンジアミン、1,4−ジアミノ−2−メチルピペラジン、1,4−ジアミノ−2,5−ジメチルピペラジン、およびメチルビスプロピルアミン、ならびにそれらの混合物が含まれる。
【0059】
スパンデックスは、湿式または乾式紡糸などの繊維紡糸法によってポリウレタンウレアポリマー溶液から形成することができる。乾式紡糸では、ポリマー溶液が紡糸口金オリフィスを通して紡糸チャンバー中へ計量供給されてフィラメントを形成する。典型的には、ポリウレタンウレアポリマーは、重合反応のために使用されたものと同じ溶媒からフィラメントへ乾式紡糸される。ガスがチャンバーに通されて溶媒を蒸発させ、フィラメントを凝固させる。スパンデックスは、単一フィラメントとして紡糸することできるか、または従来の技法によってマルチ−フィラメント糸へ合体させることができる。各フィラメントは、フィラメント当たり6〜25デシテックスの範囲の織物デシテックスのものである。滑剤は、従来の仕上げロールによってかもしくはポリマー溶液からフィラメントと共に共紡糸されることによってか、または両方法によってフィラメントの表面上に沈着させることができる。乾式紡糸スパンデックスは次に巻き取られて糸供給パッケージを形成する。
【0060】
二酸化チタンなどの艶消剤をスパンデックスに添加して繊維の外観を光沢のないものにすることができる。二酸化チタンは、ポリウレタンウレアを基準として、例えば、約0.2重量パーセント〜約5重量パーセントで添加することができる。他の艶消剤が類似の濃度で使用されてもよい。繊維の外観を光沢のないものにすることに加えて、艶消剤はまた、十分に高い濃度で使用される場合スパンデックスに白色を与えるかもしれない。
【0061】
艶消剤は典型的には、蛍光増白剤ができるより低いCIE白色度値をスパンデックスに与えることができるが、蛍光増白剤と組み合わせた二酸化チタンは蛍光増白剤または二酸化チタン単独で得られるものを有意に超え得る向上した白色度をスパンデックスに与え得ることが今分かった。これは、二酸化チタンが蛍光増白剤の有効性を低下させることが一般に知られているので驚くべきである。例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズから入手可能な刊行物「蛍光増白剤」は、「蛍光増白剤の有効性は、基材のタイプ、加工条件、および白色顔料またはUV吸収剤などの調合物中の他の成分との可能な相互作用に依存する」と書き留めている。該刊行物は、「アナターゼ型二酸化チタン顔料は380nmで入射放射線のおおよそ40%を吸収するが、ルチル型二酸化チタン顔料は約90%を吸収する」ことを開示している。しかしながら、驚くべきことに、出願者らは、高い二酸化チタンレベルでさえ、蛍光増白剤が使用されるときにスパンデックスの高いCIE白色度が維持され得ることを見いだした。
【0062】
スパンデックスはまた、それらが本発明の便益を損なわない限り、例えば、粘着防止剤、酸化防止剤、抗菌剤、防炎剤、滑剤、および染料などの、通常の添加剤を含むことができる。
【0063】
様々な蛍光増白剤を、スパンデックスに所望のレベルの白色度を与えるのに十分な量で使用することができる。例えば、商品名ユビテックス(Uvitex)(登録商標)OBでチバ・スペシャルティ・ケミカルズから入手可能である、2,5−チオフェンジイルビス(5−t−ブチル−1,3−ベンゾオキサゾール)などのオキサゾール蛍光増白剤は、糸重量を基準として、約0.01重量パーセント〜約5重量パーセントで使用することができる。商品名イーストブライト(Eastobrite)(登録商標)OB−1でイーストマン・ケミカル・カンパニー(Eastman Chemical Company)から入手可能な、2,2’−(1,2−エテンジイルジ−4,1−フェニレン)ビスベンゾオキサゾールは、オキサゾール蛍光増白剤の別の例であり、糸重量を基準として、約0.004重量パーセント〜約0.05重量パーセントのレベルでスパンデックス中に使用することができる。商品名ユビテックス(登録商標)FPでチバ・スペシャルティ・ケミカルズから入手可能な、4,4’−ビス(2−メトキシスチリル)−1,1’−ビフェニルなどのビフェニル蛍光増白剤は、糸重量を基準として、スパンデックス中に約0.01重量パーセント〜約0.5重量パーセントのレベルで使用することができる。あるいはまた、商品名ロイコピュア(Leucopure)EGMでクラリアント・コーポレーション(Clariant Corporation)から入手可能な、7−(2H−ナフト[1,2−D]トリアゾール−2−イル)−3−フェニルクマリンなどのクマリン蛍光増白剤は、糸重量を基準として、スパンデックス中に約0.01重量パーセント〜約0.1重量パーセントのレベルで使用することができる。他の化学薬品クラスの蛍光増白剤、例えば、スチルベン、ピラゾレン、ローダミン、およびフルオレセインもまた使用することができる。ある特定の蛍光増白剤の最適量は、スパンデックスに所望のレベルのCIE白色度を与えるのに十分である量であり、スパンデックスを製造するために使用される溶媒への蛍光増白剤の溶解度範囲によって概して決定される。準最適な量は、スパンデックスの劣った増白を与えることができるが、所望の結果が最大白色度よりむしろ改善されたスパンデックス白色度であるとき、比較的低い濃度の、例えば約0.1重量パーセントより下の量の蛍光増白剤が使用されてもよい。過剰量の蛍光増白剤の使用は、増大した製造コストだけでなく着色したスパンデックスをもたらし得る。
【0064】
様々な有機UV遮断剤を、蛍光増白剤と一緒に、UV線の負の影響から保護するのに十分な量でスパンデックスに添加することができる。UV線の負の影響の例には、黄変および特性損失、例えば低下した破断点強度または破断点伸びを挙げることができる。有機UV遮断剤はしばしばそれら自体高度に着色した物質であり、余りにも高い濃度で使用される場合スパンデックスに望ましくない色を与えるかもしれない。トリアジンUV遮断剤には、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)フェノール(商品名サイアソーブ(Cyasorb)(登録商標)UV−1164でサイテック(Cytec)から入手可能な)および2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシ−フェノール(商品名チヌビン(Tinuvin)(登録商標)1577でチバ・スペシャルティ・ケミカルズから入手可能な)が含まれる。あるいはまた、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ(1,1−ジメチルベンジル))−2H−ベンゾトリアゾール(商品名チヌビン(登録商標)234でチバ・スペシャルティ・ケミカルズから、または商品名ロウィライト(Lowilite)(登録商標)234でグレート・レイクス(Great Lakes)から入手可能な),2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(商品名チヌビン(登録商標)327でチバ・スペシャルティ・ケミカルズから、またはロウィライト(登録商標)27としてグレート・レイクスから入手可能な)、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール(商品名チヌビン(登録商標)328でチバ・スペシャルティ・ケミカルズから、または商品名ロウィライト(登録商標)28でグレート・レイクスから入手可能な)、ならびに分岐および線状2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−ドデシル−4−メチルフェノール(商品名チヌビン(登録商標)571でチバ・スペシャルティ・ケミカルズから入手可能な)などのベンゾトリアゾールUV遮断剤を使用することができる。他の化学薬品クラスのUV遮断剤もまた使用することができ、2−エチル−2’−エトキシ−オキサルアニリド(商品名サンデュフォル(Sanduvor)(登録商標)VSUでクラリアントから入手可能な)などのオキサルアニリド、ベンゾフェノン、例えば2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン(商品名ホスタビン(Hostavin)(登録商標)ARO8でクラリアントから入手可能な)、例えばテトラエチル−2,2’−(1,4−フェニレンジメチリジン)ビスマロネート(商品名ホスタビン(登録商標)B−CAPでクラリアントから入手可能な)、およびジメチル−p−メトキシベンジリデンマロネート(商品名ホスタビン(登録商標)PR−25でクラリアントから入手可能な)などのベンジリデンマロネートを含むビスマロネートが含まれる。
【0065】
天然繊維は一般に、それらが含有する天然顔料のために可視スペクトルの青色領域で他の領域でより多くの光を吸収する。この現象は、望ましくない黄色がかった色合いを天然繊維に与えることができる。合成繊維もまた、天然繊維についてほど顕著ではないが、黄色がかった色合いを有することができる。蛍光増白剤は、UV線を吸収し、そして蛍光性の紫−青色光を再放射することによって白色度を与えることができる。この追加された紫−青色光は、黄色がかった色合いを相殺することができ、白色度の認識される増大をもたらす。
【0066】
有機UV遮断剤と組み合わせた蛍光増白剤がスパンデックスに向上した白色度を与えるであろうことは予期されなかった。有機UV遮断剤は蛍光増白剤と同じUV波長範囲の光を吸収し、従って蛍光増白剤と有機UV遮断剤との組み合わせは蛍光増白剤の有効性の低下とスパンデックスの白色度の低下とをもたらすと予期された。しかしながら、驚くべきことに、スパンデックスでは蛍光増白剤と有機UV遮断剤との組み合わせは高い初期白色度を与えることが分かった。スパンデックスでの蛍光増白剤と有機UV遮断剤との組み合わせはまた、湿式処理(例えば、精練)に耐久性のある向上した白色度を与えることも分かった。向上した白色度はまた、燃焼フューム、熱暴露、NO2フューム、UV線、および塩素漂白剤などの、スパンデックスで黄変または変色を引き起こすことが知られている様々な環境影響への暴露後にも維持される。スパンデックスでの蛍光増白剤と有機UV遮断剤との組み合わせは、蛍光増白剤のみを含むスパンデックスに関してのそれと比べて破断点強度および破断点伸びについてUV露光後に改善された特性保持性を与える。
【0067】
蛍光増白剤およびUV遮断剤、あるいはまた酸化防止剤は、コントロールした量の添加を可能にする方法で製造の任意の段階で一緒にまたは別々に添加することができる。例えば、蛍光増白剤およびUV遮断剤は、それからスパンデックスが紡糸されるポリウレタンウレアポリマー溶液に添加されてもよい。この方法で添加されるとき、添加剤は「スパン−イン」されると言われる。あるいはまた、必要ならば、蛍光増白剤もしくはUV遮断剤、または両方は、紡糸仕上げ剤としてスパンデックスに局所的に塗布することができる。局所塗布は一般に、添加剤が局所塗布されるときそれがスパンデックスからより容易に除去され得るのでそれほど望ましくない。蛍光増白剤は、スパンデックスに所望のレベルの白色度を与えるのに十分な量で添加することができる。典型的には、スパンデックス中の蛍光増白剤の量は、スパンデックスの重量を基準として、約0.004重量パーセント〜約5重量パーセントの範囲であり、スパンデックスを紡糸するために使用される溶媒、例えばDMAcへのその溶解度によって決定される。UV遮断剤は、蛍光増白剤とUV遮断剤との組み合わせがスパンデックスに所要レベルの白色度、白色度保持性、および特性保持性を与えるのに十分であるような量で添加される。典型的には、スパンデックス中のUV遮断剤の量は、スパンデックスの重量を基準として、約0.004重量パーセント〜約2重量パーセントの範囲である。
【0068】
任意選択的に、ヒンダードアミン光安定剤またはHALSとしても知られる、立体障害アミンがスパンデックス組成物の任意のものに添加されてもよい。立体障害アミンは、塩基性であってもまたは比較的非塩基性であってもよく、それは、N−アシル、N−アルキル、N−ヒドロキシ、またはN−アルコキシアミンのケースでのように窒素で誘導体化されてもよい。スパンデックスをはじめとする、様々なポリマーのための添加剤としての立体障害アミンの使用は、当該技術では周知である。使用されてもよいヒンダードアミン光安定剤の例には、次の化合物が挙げられる:N−アセチル−3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)2,5−ピロリジンジオン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ポリ([(6−モルホリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル)[2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]−ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]]、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)スクシネート、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート、4−ベンゾイル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、および4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン。
【0069】
初期白色度およびスパンデックスの環境暴露後の白色度保持性への蛍光増白剤およびUV遮断剤(あるいはまた、酸化防止剤)の正の影響は、ポリエーテル−ベースのグリコールまたはポリエステル−ベースのグリコールを含む全てのスパンデックスに一般に適用できると考えられる。向上した初期白色度、UV線への長期露光後の改善された白色度保持性、および特性保持性は、任意選択的にヒンダードアミン光安定剤と併せて、十分な量の蛍光増白剤およびUV遮断剤の使用のためであり、スパンデックスの製造での特定のジイソシアネートまたはグリコールの使用に依存しない。
【0070】
幾つかの有用な目的は、スパンデックスに蛍光増白剤および紫外線遮断剤(あるいはまた、酸化防止剤)ならびに任意選択的にヒンダードアミン光安定剤を添加することによって果たすことができる。十分な量の蛍光増白剤および紫外線遮断剤の使用は、スパンデックスに白色度を与える方法、または最大の可能な白色度が必要とされないかもしくは望まれないがより低いCIE白色度値からの改善が特定の使用に十分であるときのように、スパンデックスの初期白色度を所望のレベルに調整する方法を提供することができる。十分な量の蛍光増白剤およびUV遮断剤の使用は、精練後または燃焼フューム、二酸化窒素フューム、UV線、熱、または塩素上膊剤への環境暴露後にスパンデックスに白色度保持性を与える方法を提供することができる。十分な量の蛍光増白剤および紫外線遮断剤、ならびに任意選択的にヒンダードアミン光安定剤の使用は、UV線への長期露光後にスパンデックスに破断点強度または破断点伸びの特性保持性を与える方法を提供することができる。上記の各目的のために、本方法は、
a)ポリエチレンエーテルグリコール、ポリトリメチレンエーテルグリコール、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(テトラメチレン−コ−2−メチルテトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(テトラメチレン−コ−エチレンエーテル)グリコールおよびそれらの混合物からなる群から選択されたポリエーテルグリコール、または(i)エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、およびそれらの混合物と、(ii)テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、およびドデカン二酸、ならびにそれらの混合物との反応生成物からなる群から選択されたポリエステルグリコールを少なくとも1種のジイソシアネートと接触させる工程と、
b)工程a)の反応生成物を少なくとも1種の連鎖延長剤と、および任意選択的に連鎖停止剤と接触させる工程と、
c)工程b)の反応生成物を、スパンデックスに所望の特性を与えるのに十分な量の、蛍光増白剤、紫外線遮断剤、および任意選択的にヒンダードアミン光安定剤と接触させる工程と、
d)工程c)の生成物を紡糸してスパンデックスを形成する工程と
を含む。
【0071】
編および織ストレッチ布は、任意の実施形態のスパンデックスから製造することができる。ストレッチ布例には、丸編布、横編布、および縦編布、ならびに平織布、綾織布、および繻子織布が挙げられる。スパンデックスの高い初期白色度、白色度保持性、およびストレッチ特性は典型的には、アパレルにとって非常に望ましい、向上した白色度、向上した白色度保持性、ならびに高いストレッチおよび回復として布まで持続される。パンツ、シャツ、スポーツウェア、制服、ソックス、下着、上着、ジャケット、ミトン、手袋、および帽子などの衣料品は、本発明のスパンデックスを含むストレッチ布から製造することができる。
【0072】
本明細書での任意の実施形態のスパンデックスを含む布はまた、タンパク質繊維、セルロース繊維、および合成ポリマー繊維、またはかかるメンバーの組み合わせからなる群から選択された少なくとも1種の繊維を含んでもよい。本明細書で用いるところでは、「タンパク質繊維」は、羊毛、絹、モヘア、カシミヤ、アルパカ、アンゴラ、ビクーナ、ラクダ、ならびに他のヘアおよび毛皮繊維のような天然素材動物繊維をはじめとする、タンパク質からなる繊維を意味する。本明細書で用いるところでは、「セルロース繊維」は、例えば綿、レーヨン、アセテート、リオセル、リンネル、ラミー、および他の植物繊維をはじめとする、木または植物材料から製造された繊維を意味する。本明細書で用いるところでは、「合成ポリマー繊維」は、例えばポリエステル、ポリアミド、アクリル、スパンデックス、ポリオレフィン、およびアラミドをはじめとする、化学元素または化合物から構築されたポリマーから製造された人造繊維を意味する。スパンデックスの向上した白色度および白色度保持性は、スパンデックスがコンパニオン糸と組み合わせられるときにさえ、スパンデックスを含む布に与えられる。
【0073】
スパンデックスを含む布は、布の重量を基準として、約0.5重量パーセント(重量%)〜約40重量%のスパンデックス含有率を有してもよい。例えば、スパンデックスを含む織布は、約0.5重量%〜約4重量%スパンデックスを含有してもよく、スパンデックスを含む丸編布は、約2重量%〜約25重量%スパンデックスを含有してもよく、スパンデックスを含むレッグウェアは、約1重量%〜約40重量%スパンデックスを含有してもよく、スパンデックスを含むラッシェル生地は、約10重量%〜約40重量%スパンデックスを含有してもよく、スパンデックスを含む縦編トリコットは、約14重量%〜約22重量%スパンデックスを含有してもよい。
【0074】
布の実際の白色度は、布構成、精練プロセス、漂白プロセス、および塗布されるかもしれない任意の局所増白後処理剤などの布染色および仕上げ条件のような因子に依存するが、かかる布は、スパンデックスが蛍光増白剤、またはUV遮断剤と組み合わせた蛍光増白剤を欠くという点においてのみ異なる布と比較されたときに向上した初期白色度を有することができる。初期布白色度は、所与の布のスパンデックス含有率と関係し、重量パーセント・スパンデックスが増加するにつれて増加する。向上した初期白色度は、追加の湿式処理工程による局所的な蛍光増白剤の任意の後続塗布前に得ることができ、そして布の精練または繰り返し洗濯を通して維持することができる。
【0075】
青白い〜中間パステルまたは鮮やかな色に染色されるとき、蛍光増白剤および有機UV遮断剤(または酸化防止剤)を含むスパンデックスを含む布は、スパンデックスで普通に観察される黄色ベースの影響なしに、より鮮やかな、より真の色を与えることができる。例えば、ピンク色合いに染色されたかかる布は、同様に染色された、しかしより低いCIE白色度のスパンデックスを含む布より計れる程度に赤く、そして青い色を有することができる。
【0076】
(分析方法)
キャップドグリコールのパーセント・イソシアネート(%NCO)は、電位差滴定法を用いる非特許文献1の方法に従って測定した。
【0077】
スパンデックスの強度および弾性特性は、ASTM(米国材料試験協会)D2731−72の一般方法に従って測定した。3つのフィラメント、2インチ(5cm)ゲージ長およびゼロ−300%伸びサイクルを、巻取装置からの「そのままで」、すなわち、精練または他の処理なしに、コントロールされた環境中おおよそ70°Fおよび65%相対湿度(±2%)で24時間の老化後の、測定のそれぞれについて用いた。サンプルを50cm毎分の一定の伸び速度で5回サイクルさせ、次に第5伸長後に300%伸長で30秒間保持した。パーセント破断点伸びおよびパーセント破断点強度は、ゴムテープが滑り減少のために取り付けられた改良インストロン(Instron)グリップを用いて第6伸長サイクルで測定した。
【0078】
CIE白色度は、AATCC試験方法110−1994「織物の白色度(Whiteness of Textiles)」に従って測定した。CIE白色度値は、報告のために最も近い整数に丸めた。測定は、D65/10度光源を用いるデータカラー・スペクトラフラッシュ(Datacolor Spectraflash)モデルSF−300色彩計(データカラー・インターナショナル、ニュージャージー州ローレンスビル(Datacolor International,Lawrenceville,NJ))で巻き付けカードに関して行った。紡糸したままのおよび精練した/モック染色したサンプルについて以下に報告されるCIE白色度値は典型的には、各サンプルについて全15の巻き付けカードの平均値であった。フューム、熱、UV、NO2フューム、および塩素漂白剤暴露について報告されるCIE白色度値は、各タイプの暴露について使用した3つのカードの平均値であった。
【0079】
スパンデックス繊維白色度および白色度保持性は、熱、紫外線、燃焼フューム、NO2フューム、または塩素漂白剤への繊維の暴露時に生み出された変色の量を測定することによって評価した。これらの環境因子のスパンデックスへの影響を測定するための準備で、繊維を低い張力下に8cm×11cm×0.2cmアルミニウム・カード上に巻き付けて3〜4ミリメートル厚さの層を形成した。巻き付けカードを、1.5g/lのスプラレイト(Supralate)(登録商標)EP(ウィットコ社(Witco Corp.)によって販売される硫酸塩洗剤)および1.5g/lのピロリン酸ナトリウムを含有する水中に浸漬し、浴を沸騰に30分間加熱した(精練)。カードを次に脱イオン水でリンスし、一晩風乾させた。4時間のUV露光後に白色度保持性について評価したスパンデックス・サンプルは、UV露光前に精練した。12時間のUV露光後に評価したスパンデックス・サンプルは、UV露光前に精練しなかった。
【0080】
熱分解試験(下の表で「熱」とラベルされる)は、サンプルが160℃で、典型的には15分増分で、示される総時間空気に暴露されるオーブン中で行った。紫外線への露光(下の表で「UV」とラベルされる)について、試験は、イリノイ州シカゴのアトラス・エレクトリック・デバイス社(Atlas Electric Devices Co.of Chicago,Ill.)によって製造されたアトラス・シリーズ(Atlas Series)C「ウェザロメーター」で行った。ウェザロメーターで、サンプルを、日光のそれに似ているスペクトルを有する、そして可視および紫外領域の両方で照度を提供する6000ワットのキセノン・ランプに示される時間露光させる。キセノン・ランプを、280nmでカットオフする硼珪酸ガラスフィルター付きで用いる。サンプルが燃焼フュームに暴露される試験(下の表で「フューム」とラベルされる)を、ユナイテッド・ステーツ・テスティング・カンパニー社(United States Testing Company,Inc.)によって製造されたモデル8727大気フューム・チャンバーを用いてAATCC(米国繊維化学者・色彩技術者協会)の試験方法23−1994と同様に行った。チャンバーに、主に青炎を与えるために調節されたブンゼン(Bunsen)バーナーでプロパン(エア・ガス社(Air Gas,Inc.))を燃やすことによって発生させた燃焼フュームを供給した。炎の高さは、チャンバー中の温度が57〜63℃に保たれるようにであった。サンプル暴露継続期間は、サイクル当たり12時間の増分でであった。NO2ガス単独への暴露(下の表で「NO2」とラベルされる)については、イリノイ州シカゴのアトラス・エレクトリック・デバイス社によって製造された、アトラス・ガス暴露(Atlas Gas Exposure)チャンバーを用いた。温度および相対湿度は、室内条件またはその近くのままにし、サンプルを、対照(蛍光増白剤またはUV遮断剤なしのサンプル)のCIE白色度が40〜60CIE範囲に低下するまでサイクル当たり典型的には12時間暴露させた。チャンバーに、おおよそ1000ppmのNO2を含有する空気をおおよそ3リットル/分の速度で供給した。
【0081】
塩素漂白剤試験(表で「塩素」とラベルされる)については、巻き付けカードを、1000グラムの脱イオン水当たり4グラムのクロロックス(Clorox)漂白剤を含有する非撹拌浴中に室温で5時間浸漬した。暴露後に、サンプルを脱イオン水でリンスし、白色度測定を行う前に一晩風乾させた。
【0082】
長期UV露光後のパーセント伸びは、以下の方法に従って測定した。糸の3〜6フィラメント・サンプルを、10.0cmにセットされた、そして両端に両面テープを有するフレームに取り付けた。フィラメントを、すれすれにピンと張るまでしかし張力なしに端から端まで掛けた。小さいスプリングまたはクリップを用いてサンプルからサンプルへより一様な張力を可能にした。サンプルの端を次に片面テープで固定した。サンプル・ホルダー・クランプを次に、フィラメントがクランプによって固定されるように、テープに隣接してそしてその内側にサンプルの端に付けた。フレームを次に15cmまで引き伸ばし、それは糸サンプルをそれらの元の長さの1.5倍引き伸ばした。その糸サンプル付きフレームを次に、先に記載したウェザロメーター中へ入れ、日光のそれに似たスペクトルを有するキセノン光に所望の時間露光させた。その糸サンプル付きフレームを次に、ウェザロメーターから取り出し、フレームをその元の長さにリラックスさせ、フレームおよび糸サンプルを放冷した。新たなサンプル長さを次に、最も短いサンプルが十分にしかし張力なしに伸ばされるまでフレームを引き伸ばすことによって定規でまたはキャリパーで測定した。新たなサンプル長さを測定し、最も近いセンチメートルの10分の1まで記録した(RL)。このプロセスを、それぞれ引き続いてより長い糸サンプルについて繰り返した。マルチプル端についての値を平均した。パーセントUV伸びは、次式に従って計算した。
%UV伸び=((RL−10)/10)×100
【0083】
幾つかのスパンデックス・サンプルをまた長期UV露光後の特性保持性について評価した。パーセント伸び測定を行った後、破断点強度および破断点伸びを、上記の方法に従って、しかしUV露光を受けた糸を用いて測定した。特性保持性は、UV露光前の同じサンプルについてのデータと比べて報告する。例えば、破断点強度特性のパーセント保持性は、百分率として取った、UV露光前の破断点強度で割ったUV露光後の破断点強度として与えられる。破断点伸び特性のパーセント保持性は、百分率として取った、UV露光前の破断点伸びで割ったUV露光後の破断点伸びとして与えられる。
【0084】
本発明の特徴および利点は、例示の目的のために提供され、そして本発明を決して限定するものと解釈されるべきではない以下の実施例によってより十分に示される。
【実施例】
【0085】
以下の実施例は、本発明およびその使用可能性を実証する。本発明は、他のおよび異なる実施形態であることができ、その幾つかの詳細は、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、様々な明らかな点での修正であることができる。従って、本実施例は事実上例示的なものと見なされるべきであり、限定的なものと見なされるべきではない。
【0086】
本実施例に使用されるジイソシアネートは、ダウ・ケミカル(Dow Chemical)から入手した。本実施例で使用されるポリエーテルグリコールはテラセイン(登録商標)1800(インビスタ有限責任会社)、1800の数平均分子量を有するポリテトラメチレンエーテルグリコールであった。
【0087】
本実施例に使用される蛍光増白剤は、表1に示される通りであり、リストされた供給業者から入手した。本実施例に使用されるUV遮断剤は、表2に示される通りであった。
【0088】
本実施例に使用される蛍光増白剤、それらの化学名、ならびにそれらの商品名および供給業者の例を以下の表に与える。本実施例に使用されるものをはじめとする、UV遮断剤、それらの化学名、ならびにそれらの商品名および供給業者の例を表2に与える。
【0089】
【表1】

【0090】
【表2】

【0091】
表中、「Comp.Ex.」は比較例を意味し、「Opt.B.」は蛍光増白剤を意味し、「h」は時間を意味し、「min」は分を意味し、「sec」は秒を意味し、「−」は存在しないことを意味し、「NM」は測定されていないことを意味し、「ELO」は破断点伸びを意味し、「TEN」破断点強度を意味し、「ret」は保持性を意味する。
【0092】
(比較例6A、比較例7A、比較例7B、および比較例7Cの製造)
比較例6A、比較例7A、比較例7B、および比較例7Cのポリウレタンウレアポリマーおよびスパンデックスを、次の一般方法に従って製造した。ポリウレタンウレアを先ず、約1800の数平均分子量のポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールを4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートと約1.69対1.0のジイソシアネート対グリコールモル比で、おおよそ90℃で2時間反応させることによって製造した。生じたキャップドグリコール混合物は、イソシアネート末端高分子グリコールと残存未反応ジイソシアネートとを含有した。キャップドグリコールを次に、高剪断下に約45℃でDMAcに完全に溶解させた。キャップドグリコール溶液を、エチレンジアミンと、2−メチル−ペンタメチレンジアミン(90/10モル比での)、ジエチルアミンと、追加のDMAcとの混合物を含有するDMAc溶液と、高剪断下に接触させた。
【0093】
添加剤スラリーを、サイアノックス(登録商標)1790(1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−ベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、サイテック・インダストリーズから入手可能な)、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタンと3−t−ブチル−3−アザ−1,5−ペンタンジオールとのポリマー(メタクロール(Methacrol)(登録商標)2462B、イー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I.du Pont de Nemours and Company)の登録商標および同社から入手可能な)、シリコーンオイルおよびDMAc中のポリウレタンウレアポリマーの希薄溶液を混ぜ合わせることによって調製した。紡糸液を形成するために、添加剤スラリーを、最終スパンデックスが1.5重量%サイアノックス(登録商標)1790、0.5重量%メタクロール(登録商標)2462B、および0.6重量%シリコーンオイルを含有するようにポリマー溶液へ混合した。
【0094】
表に示されるような追加の添加剤をまた、最終スパンデックス中に示された濃度を与えるのに十分な量で、ニート液体としてかDMAc中の固形分の分散系または溶液としてかのどちらかで、ポリマー溶液へ混合した。無機微粒子添加剤については、DMAc中の添加剤の分散系を、ポリマー溶液へ混合する前に、固形分を解凝集させ、そして紡糸に受け入れられるレベルまで粒径を下げるために媒体ミルにかけた。比較例6F、比較例7B、および比較例7Cについては、2,5−チオフェンジイルビス(5−t−ブチル−1,3−ベンゾオキサゾール)が追加の添加剤であった。
【0095】
ポリマー溶液をDMAcから、加熱窒素の流れが導入されるカラム中へ乾式紡糸し、4つのフィラメントの群を合体させて40デニール(44デシテックス)スパンデックス・サンプルを与え、それに、96重量%シリコーンオイルと4重量%ステアリン酸マグネシウムとを含む約4重量%の仕上げ剤を塗布した。繊維をパッケージ上に巻き取った。
【0096】
(実施例および残りの比較例の製造)
ポリウレタンウレアポリマーを上記の通り製造した。別の添加剤スラリーを、0.3重量%二酸化チタン(チピュア・タイプ(TiPure Type)R706、イー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニーから入手可能な)、米国特許公報(特許文献6)(参照により本明細書によって援用される)に記載されているようなフンタイトとハイドロマグネサイト鉱物粒子との物理的混合物(ミネルコ・スペシャルティーズ社(Minelco Specialties Ltd.)から入手可能な)、青色トナー、およびDMAc中のポリウレタンウレアポリマーの希薄溶液を混ぜ合わせることによって調製した。このスラリーを、紡糸に受け入れられるレベルまで粒径を下げるために媒体ミルにかけた。紡糸液を形成するために、スラリーを、最終スパンデックスが4.0重量%フンタイト/ハイドロマグネサイト、0.3重量%二酸化チタン、15ppm未満青色トナー、1.5重量%サイアノックス(登録商標)1790、0.5重量%メタクロール(登録商標)2462B、および0.6重量%シリコーンオイルを含有するようにポリマー溶液へ混合した。
【0097】
表に示されるような追加の添加剤をまた、最終スパンデックス中に示された濃度を与えるのに十分な量で、ニート液体としてかDMAc中の固形分の分散系または溶液としてかのどちらかで、ポリマー溶液へ混合した。無機微粒子添加剤については、DMAc中の添加剤の分散系を、ポリマー溶液へ混合する前に、固形分を解凝集させ、そして紡糸に受け入れられるレベルまで粒径を下げるために媒体ミルにかけた。
【0098】
ポリマー溶液をDMAcから、加熱窒素の流れが導入されるカラム中へ乾式紡糸し、4つのフィラメントの群を合体させて40デニール(44デシテックス)スパンデックス・サンプルを与え、それに、96重量%シリコーンオイルと4重量%ステアリン酸マグネシウムとを含む約4重量%の仕上げ剤を塗布した。繊維をパッケージ上に巻き取った。
【0099】
蛍光増白剤入りスパンデックスについての、初期白色度と、精練およびモック染色後ならびにUV線への4時間露光後の白色度保持性データとを次の表に提示する。全てのサンプルは0.3重量%二酸化チタンを含有した。
【0100】
【表3】

【0101】
上の表のデータは、蛍光増白剤を欠く比較例1と比べて様々な蛍光増白剤の1つを含むスパンデックスについて向上した初期白色度を示す。蛍光増白剤の有効量は、スパンデックスの重量を基準として、約0.002〜約5重量パーセントの一般的な範囲内に入る。蛍光増白剤の有効量は、スパンデックスに所望のレベルの初期白色度を与えるのに十分であるものである。所望のレベルの初期白色度は、最適量の蛍光増白剤で得ることができる最大白色度であってもよいし、またはそれは、蛍光増白剤の使用なしに得られるであろうものより高いレベルの白色度であってもよい。
【0102】
上の表のデータはまた、蛍光増白剤を含むスパンデックスが精練およびモック染色、スパンデックスを含む布に関して行われるであろう湿式処理をシミュレートするプロセスの後にその白色度を保持することを示す。データはまた、スパンデックスのCIE白色度がUV線への約4時間の露光後に低下することを示す。蛍光増白剤を含むスパンデックスは、蛍光増白剤なしのスパンデックス(例えば比較例1)のそれを超える初期白色度を有することができるが、UV線への約4時間の露光後に蛍光増白剤入りスパンデックスは、蛍光増白剤を欠くスパンデックスより白くないものであり得る。
【0103】
初期白色度と精練およびモック染色後ならびにUV線への4時間露光後の白色度保持性データとを、単独で蛍光増白剤入り、または二酸化チタン入り、または二酸化チタンと組み合わせた蛍光増白剤入りスパンデックスについて、次の表に提示する。対対照では、「数を、マークした□列」サンプルの初期CIE白色度と適切な対照の初期CIE白色度との差を取ることによって得た。比較例6B〜6Fおよび実施例1A〜1Dについては、対照サンプルは比較例6Aであった。比較例7B〜7Dならびに実施例2Aおよび2Bについては、対照サンプルは比較例7Aであった。
【0104】
【表4】

【0105】
上の表のデータは、スパンデックスの初期CIE白色度が蛍光増白剤の添加(比較例6F、比較例7B、および比較例7C)によって、または二酸化チタンの添加(比較例6B〜6Eおよび比較例7D)によって蛍光増白剤も二酸化チタンも含有しないスパンデックス(比較例6Aおよび比較例7A)と比べて向上し得ることを示す。データはまた、実施例1A〜1D、2A、および2Bでのような、蛍光増白剤と二酸化チタンとの組み合わせが添加剤の効果の単純加算を基準として各添加剤単独から予期されるであろうよりさらに高いCIE白色度を与えることを示す。例えば、約0.3〜約1.2重量パーセント二酸化チタンの添加はスパンデックスの初期白色度を約8〜11CIE単位だけ増大させることが示されたが、そして蛍光増白剤単独の使用はスパンデックスの初期白色度を約20〜24CIE単位だけ増大させることが示されたが、蛍光増白剤と組み合わせた二酸化チタンの使用はスパンデックスの初期白色度を少なくとも約40CIE単位だけ押し上げることが示された。先に議論されたように、二酸化チタンは蛍光増白剤の有効性を低下させることが一般に知られているので、二酸化チタンと蛍光増白剤との組み合わせがスパンデックスに向上した白色度を与えることは驚くべきである。
【0106】
上の表のデータはまた、白色度が精練およびモック染色後に幾分低下することを示す。データはまた、UV線への4時間の露光後にスパンデックス・サンプルが全て低下した白色度を有することを示す。蛍光増白剤のみの添加(比較例6F、比較例7B、および比較例7C)は、添加剤を含まない対照(比較例6Aおよび比較例7A)よりわずかに良好である白色度保持性結果を与える。白色度保持性は、蛍光増白剤および二酸化チタンを含むスパンデックスについて、特に二酸化チタンの量が増大するにつれて一般に向上する。UV線への4時間の露光後の最良の白色度保持性は、より高い量の二酸化チタンを含有し、そして蛍光増白剤を全く含有しないサンプルについて観察される。
【0107】
表5および6に、初期白色度データと精練およびモック染色後、ならびに燃焼フューム、二酸化窒素フューム、熱、塩素、およびUV線への環境暴露後のスパンデックスについての白色度保持性データとを提示する。これらの表中の全てのスパンデックス・サンプルはまた0.3重量%二酸化チタンを含有した。
【0108】
【表5】

【0109】
【表6】

【0110】
表5および6のデータは、蛍光増白剤、またはUV遮断剤と組み合わせた蛍光増白剤を含有するスパンデックスについて初期白色度が向上することを示す。かかるスパンデックスはまた、蛍光増白剤または蛍光増白剤とUV遮断剤との組み合わせを欠くスパンデックスが示すより概して著しく改善された白色度保持性を、燃焼フュームへの暴露後、二酸化窒素フュームへの暴露後、熱暴露後、および塩素暴露後に示す。
【0111】
表5および6のデータはまた、UV線への4時間の露光後の白色度保持性が蛍光増白剤として4,4’−ビス(2−メトキシスチリル)−1,1’−ビフェニルを含有するがUV遮断剤なしのスパンデックスについては不満足であり、蛍光増白剤およびUV遮断剤を含むスパンデックスについては概してより良好であることを示す。蛍光増白剤およびUV遮断剤の両方を含む本発明のスパンデックス・サンプルの4つ(実施例5A、5B、5C、および5D)は、蛍光増白剤またはUV遮断剤なしのスパンデックスのそれに匹敵する白色度保持性を示したが、それらの1つ、実施例4は、蛍光増白剤もUV遮断剤もなしのスパンデックス(比較例1および比較例8A)が示すより高いCIE白色度(より良好な白色度保持性)を示した。このように、環境暴露後の白色度保持性は、蛍光増白剤およびUV遮断剤を含むスパンデックスについて全体的に最良と思われる。スパンデックス実施例4、5A、5B、5C、および5Dは、有効量の蛍光増白剤およびUV遮断剤、例えば、約0.2〜約0.4重量パーセントUV遮断剤と一緒に約0.05重量パーセント〜約0.12重量パーセント蛍光増白剤を有することが分かる。
【0112】
次の表は、蛍光増白剤およびUV遮断剤を含むスパンデックスについて初期白色度と4時間のUV露光後の白色度保持性とを提示する。蛍光増白剤およびUV遮断剤の両方を欠くスパンデックス(比較例9A)に対して、および蛍光増白剤を含有するがUV遮断剤を全く含有しないスパンデックス(比較例9Bおよび比較例10)に対して比較を行う。
【0113】
【表7】

【0114】
表7のデータは、蛍光増白剤およびUV遮断剤の両方を含む、本発明のスパンデックスが向上した初期白色度とUV線への4時間の露光後の改善された白色度保持性とを有することを示す。添加剤を含まない対照(比較例9A)のそれと比べて初期白色度は蛍光増白剤単独の添加(比較例9Bおよび比較例10)によって増大するが、UV線への露光後の白色度保持性は、UV遮断剤もまた存在しない限り低下する。
【0115】
表5および6からのスパンデックス実施例4、5A、5B、5C、および5Dと一緒に、スパンデックス実施例6A〜6Iおよび7A〜7Iは、向上した初期CIE白色度とUV線への4時間の露光後の改善された白色度保持性とを与えるのに十分である蛍光増白剤およびUV遮断剤の量を実証する。例えば、約0.2重量パーセント〜約0.6重量パーセントUV遮断剤と組み合わせた約0.05重量パーセント〜約0.1重量パーセント蛍光増白剤(例えば、4,4’−ビス(2−メトキシスチリル)−1,1’−ビフェニルまたは2,5−チオフェンジイルビス(5−t−ブチル−1,3−ベンゾオキサゾール))は、向上した初期白色度と4時間のUV露光後の改善された白色度保持性とを持ったスパンデックスを与えることができる。
【0116】
次の表は、スパンデックス初期白色度、4時間のUV線露光後または195℃への180秒間の暴露後のスパンデックス白色度保持性データと、UV線への12時間の露光後のスパンデックス特性データとを提示する。幾つかのスパンデックス・サンプルは、先に記載した熱分解試験についてと同じ一般的な方法を用いて180秒(sec)間195℃の温度にさらした、これは、成形またはヒートセッティング条件下に経験し得るであろう温度をシミュレートするために行った。実際の成形は全く含まれなかった。195℃試験後のスパンデックスのCIE白色度を、「195℃で180秒後」とラベルした列に与える。
【0117】
【表8】

【0118】
蛍光増白剤の添加は、UV露光に引き続くパーセント伸び試験中に破断するスパンデックス(比較例9B)によって分かるように、UV線への長期露光(12時間)後に不満足な特性保持性を有するスパンデックスを与える。蛍光増白剤およびUV遮断剤の添加は、どちらか一方の添加剤なしのスパンデックス(比較例9Aおよび比較例11A)と比べて、UV露光後に改善された(より低い)パーセント伸びを有するスパンデックスを与えることができる。蛍光増白剤およびUV遮断剤を含むスパンデックスはまた、蛍光増白剤のみを含有するスパンデックスと比べてパーセント破断点伸びおよびパーセント破断点強度の改善された保持性(長期UV露光前のサンプル特性と比べて測定された)を有することができる。実施例8Aでのように、スパンデックス中に蛍光増白剤およびUV遮断剤と共にヒンダードアミン光安定剤を含めると、これらの添加剤なしの対照スパンデックスのそれに匹敵する12時間のUV露光後の特性保持性を与えた。蛍光増白剤と、UV遮断剤と、ヒンダードアミン光安定剤との組み合わせはまた、望ましい向上した初期白色度を与えた。
【0119】
対照布および本発明の布を代表する2つの縦編布を製造した。対照布は、78%のポリアミド66糸と22%の44デシテックスのライクラ(LYCRA)(登録商標)スパンデックス糸とから編んだ。本発明の布は、78%のポリアミド66糸と蛍光増白剤およびUV遮断剤を含む44デシテックスの本発明スパンデックス糸とから編んだ。
【0120】
布は、機械が2000コース毎分でランする状態で、リバ・コプセントラ(Liba Copcentra)32E−2K縦編機、アース棒1−0/1−2、ラン・インス(Run Ins)49cms、フロントバー2−3/1−0、ラン・インス149cms、cm当たり25コースで編んだ。
【0121】
布サンプルを、バブコックス幅出機(Babcocks Stenter)で195℃で30秒間プレ−ヒートセットした(典型的な商業プレ−ヒートセッティング条件)。CIE白色度読みを、CIE=57.35を有する対照布およびCIE=73.66を有する本発明布で採取した。
【0122】
布を次に、1%非イオン性洗剤2g/pH10でのリットル・アルカリを使用して、不純物、オイルなどを除去するためにイン・ア・ティースTRDジェット(In a Thies TRD Jet)染色機で精練し、80℃で30分間処理し、そしてリンスした。次に蛍光増白剤を同じ染色機で塗布し(布を増白させるために)、40℃でスタートして1℃/分の速度で98℃まで昇温し、pH6で45分間処理した(典型的な商業処理条件)。CIE白色度読みを、対照布がCIE=140.61を有し、そして本発明布がCIE=154.77を有する状態でこのプロセス後に採取した。布を次に、CIE白色度読みを5回洗濯毎に採取して、家庭洗濯機にて60℃で多数回洗濯した。これらの結果を表9に示す。
【0123】
【表9】

【0124】
表9の結果は、対照布と比較して本発明布の初期白色値および多数回家庭洗濯後の白色度保持特性の改善を実証した。
【0125】
本発明の好ましい実施形態であると現在考えられるものが記載されてきたが、当業者は、変更および修正が本発明の精神から逸脱することなくこれに行われるかもしれないことを理解するだろうし、全てのかかる変更および修正を本発明の真の範囲内に入るものとして包含することが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スパンデックスと、蛍光増白剤と、非対称ジ−ヒンダードヒドロキシフェニル基を含む酸化防止剤とを含み、UV遮断剤を含まないことを特徴とする組成物。

【公開番号】特開2012−92489(P2012−92489A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−279647(P2011−279647)
【出願日】平成23年12月21日(2011.12.21)
【分割の表示】特願2008−541273(P2008−541273)の分割
【原出願日】平成18年11月14日(2006.11.14)
【出願人】(505245302)インヴィスタ テクノロジーズ エスアエルエル (81)
【Fターム(参考)】