説明

吸収性物品

【課題】排泄物、特に軟便のような高粘性液体を確実に吸収保持し、排泄物の横モレや着用者の肌トラブルを軽減することができる吸収性物品を提供する。
【解決手段】排泄液を透過し肌に対向するトップシート1と、排泄液を透過するセカンドシート3と、このセカンドシート3の裏面側にあって上記排泄液を保持する吸収層4とを順次備えた吸収性物品において、該トップシート1が、熱接着性合成繊維を主成分とし、丘状の凸部に繊維が集積し、谷状の凹部には開孔を有し、多数の開孔を有する凸凹状エアレイド不織布であって、その開孔はエアレイド不織布製造と同時に作製される開孔不織布シートからなり、かつ軟便もしくは水状軟便用、または産科用高粘性液体もしくは産科用排泄物用、または肌への接触面積を低減させた褥瘡・アレルギー用中人および/または大人用介助・介護に用いられる、吸収性物品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟便または水状軟便等の排泄物や、お産時に排泄される血液等の高粘性液体および排泄物の透過および保持性能に優れるとともに、その立体形状によって肌との接触面積を低減することにより肌トラブルを防止し、かつ粘性液体保持空間が大きいトップシートを使用した使い捨ての吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の吸収性物品としては、肌に対向する尿や軟便の液分等の排泄液を透過するトップシートと排泄液を透過するセカンドシートと、このセカンドシートの裏面側にあって、排泄液を保持する吸収層とを備えたものが汎用されている。そして、この種の吸収性物品は、従来から軟便等の吸収保持性能が問題になっている。軟便がトップシートを透過せずに、トップシートに残ったり、横モレをおこしたりすると、介護者には煩雑な肌の拭き取り作業や衣服交換などの作業を強いらせ、被介護者には肌のかぶれ等を引き起こしている。また、衣服等の汚れを防ぐために、数種の紙おむつを組み合わせて使用するなど、経済的な負担も大きくなっている。
【0003】
このような点から、軟便を速やかに透過して肌から遠ざけるとともに、収容保持する能力を向上させるために、トップシートとして孔開きシートを用い、軟便の通過を容易にする技術(特許文献1、2参照)や、トップシートと吸収層との間に軟便収容空間を形成する技術が提案されている(特許文献3参照。)
【0004】
特許文献1では、トップシート上の拡散を抑制するために、好ましくは撥水性または疎水性の繊維を用いた孔開きトップシートで構成された吸収性物品が提案されている。しかしながら、本発明者らの実験では、そのような素材を使用した場合、孔の大きさがある程度大きくても液分の吸収速度が遅く、大量に軟便等が排泄された場合には、吸収層への透過吸収よりも紙おむつの面方向への拡散速度が速く、横モレを生じるおそれがある。
特許文献2でも、一方に延びる畝部と溝部を交互に有し、溝部に開孔を有する畝溝構造の吸収性物品用表層シートが提案されているが、この技術による開孔不織布シートと後記する本発明の開孔不織布シートとは、製造方法および性質が全く異なる。特許文献2では、開孔を有する溝部は一方向に配列し、大きな開孔面積をもつ開孔が得られず、軟便のような高粘性液体の吸収では、長手方向に広がるおそれがある。
【0005】
その他にも、開孔を有するトップシートを用いる特許が数多く開示されているが、開孔が小さければ固形物を含む軟便等の高粘性液体の透過は非常に難しく、開孔が大きすぎた場合には、肌トラブルがおきやすくなる。
また、開孔を作製するには、エンボス加工や打ち抜き加工、高圧水流を使用する方法等が用いられるが、エンボス加工や打ち抜き加工等はシートを二次加工することになり、また、孔の部分の原料が廃棄部分として排出される。また、高圧水流を使用する方法では、きれいな開孔を得るのが難しく、また、嵩高いシートを作製するのも難しい。
【0006】
一方、特許文献3の技術によると、軟便収容空間よりも大量の軟便が排泄された場合には、収容空間から漏れ出し、横モレなどを生じるおそれがある。また、その収容空間に排泄口が位置しない場合には、収容空間での軟便の収容が上手くいかず、軟便が拡散し、横モレを生じるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−97643号公報
【特許文献2】特開2009−62650号公報
【特許文献3】特開2007−90056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、軟便または水状軟便等の排泄物や、お産時に排泄される血液等の高粘性液体および排泄物などの高粘性液体を確実に吸収保持するとともに、その立体形状によって肌との接触面積を低減することにより、排泄物の横モレや着用者の肌トラブルを軽減することができる吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、排泄液を透過し肌に対向するトップシートと、排泄液を透過するセカンドシートと、このセカンドシートの裏面側にあって上記排泄液を保持する吸収層とを順次備えた吸収性物品において、該トップシートが、熱接着性合成繊維を主成分とし、丘状の凸部に繊維が集積し、谷状の凹部には開孔を有し、多数の開孔を有する凸凹状エアレイド不織布であって、その開孔はエアレイド不織布製造と同時に作製される開孔不織布シートからなり、軟便もしくは水状軟便用、または産科用高粘性液体もしくは産科用排泄物用、または肌への接触面積を低減させた褥瘡・アレルギー用中人および/または大人用介助・介護に用いられる、吸収性物品(以下、単に「吸収性物品」ともいう)に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、軟便等の高粘性液体の、横モレ防止や吸収保持性能を向上させた吸収性物品が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の開孔不織布シートの製造工程において、捕集用ネット上に堆積された繊維ウェブを示す説明図である。
【図2】本発明の開孔不織布シートの製造に用いられる捕集用ネットの平面構成図である。
【図3】本発明に係るレッグカフスが無い吸収性物品の展開状態平面図である。
【図4】図3の中央部断面構成図である。
【図5】本発明に係るレッグカフスが有る吸収性物品の断面構成図である。
【図6】本発明に係るレッグカフスが有る吸収性物品の別の形態の断面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の吸収性物品は、排泄液を透過し肌に対向する、開孔不織布シートからなるトップシートと、排泄液を透過するセカンドシートと、このセカンドシートの裏面側にあって上記排泄液を保持する吸収層とを順次備えている。
ここで、本発明においては、トップシートとして、熱接着性合成繊維を主成分とし、丘状の凸部に繊維が集積し、谷状の凹部(開孔不織布シートの開孔に当たる)には開孔を有し、上記開孔を多数有する凸凹状の開孔エアレイド不織布シートを全面に使用し、吸収層として粉砕パルプ、粉砕パルプを主体とした高吸収性ポリマー粒子との混合物、クレープ紙および/またはシート中に高吸収性ポリマーを担持させた用紙を使用し、トップシートと吸収層の間に粉砕パルプや高吸収性ポリマーの飛散を防止するセカンドシートを設けた吸収保持性能に優れた吸収性物品を前提にしている。
【0013】
<トップシート>
本発明のトップシートは、特定構造を有する、エアレイ法で作製された開孔不織布シートから構成されている。
この開孔不織布シートは、開孔だけでなく、一定の厚さがあり、見かけ密度が小さく、嵩高性のある凸凹状エアレイド不織布であり、軟便等の透過だけでなく、シート間への吸収保持性能を高めることができ、吸収性物品のトップシート全面での軟便の吸収保持が可能である。
しかも、この開孔不織布シートは、エアレイドシートを作製する際に同時に開孔も作製することができ、単一の工程できれいな開孔を有する嵩高な不織布となり、また廃棄部分も排出されず、コスト的にも優位である。
【0014】
ここで、トップシートに用いられる本発明の開孔不織布シートは、熱接着性合成繊維を主成分とし、目付けが15〜50g/mのエアレイド不織布から構成されている。
ここで、「主成分とする」とは、熱接着性合成繊維が70重量%以上、好ましくは85重量%以上であることを指称し、30重量%以下程度、後記する他の繊維やパルプが含まれていてもよい。
なお、本発明のトップシートに用いられる開孔不織布シートは、熱接着性合成繊維を主成分とするものであり、該熱接着性合成繊維100重量%使いのもののほか、例えば熱接着性合成繊維+パルプ繊維、あるいは、熱接着性合成繊維+パルプ繊維+ケミカルバインダーなどからなる一層以上のエアレイド不織布から構成されていてもよい。
特に、シート強力の面から、熱接着性合成繊維のみからなることが好ましい。また、軟便などの高粘性排泄物を保持するためには、パルプなどの親水性繊維が30重量%以下程度含まれているものも好ましい態様である。
【0015】
ここで、本発明における熱接着性合成繊維としては、熱で溶融し相互に結合するものであればどのようなものでもよく、この繊維間結合による網目状構造で不織布自体が固定される。このような熱接着性合成繊維としては、例えばポリオレフィン類、不飽和カルボン酸類でグラフト化されたポリオレフィン類や、ポリエステル類、ポリビニルアルコール、さらにはポリ乳酸などの生分解性樹脂から得られる繊維などが挙げられる。
【0016】
このような熱接着性合成繊維としては、芯鞘型や偏芯サイドバイサイド型の複合繊維が好適である。鞘あるいは繊維外周部を構成する低融点の接着性成分としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはエチレン/プロピレン共重合体のようなポリオレフィン系、あるいは低融点共重合ポリエステル系などが挙げられる。芯成分あるいは繊維内層部を構成するポリマーとしては、鞘より高融点であり、加熱接着処理温度で変化しないポリマーが好ましい。このような組み合わせとして、例えば、鞘部/芯部が、ポリエチレン/ポリプロピレン、ポリエチレン/ポリエステル、ポリプロピレン/ポリエステル、低融点共重合ポリエステル/ポリエステルなどが挙げられる。これらのポリマーは、本発明の作用・効果を阻害しない範囲で変性されていても差し支えがない。さらに、フィブリル状繊維であっても良い。例えば、三井化学株式会社のSWPなどが挙げられる。
【0017】
熱接着性合成繊維は、細いと構成繊維の本数が多くなって繊維間隔が小さくなるので、吸収性物品の用途に求められる隠蔽性が良くなり、しかも風合いや肌触りも柔らかくなる。太い場合は、繊維間の空隙が大きくなり、通気性もアップするので皮膚近傍の湿度アップが抑制されてムレ感が小さくなる効果もより期待できる。したがって、繊維の太さは、用途に応じて選択すればよいが、好ましい単糸繊度は、0.5〜20dtexである。下限は、さらに好ましくは0.8dtex以上、特に好ましくは1.0dtex以上、最も好ましくは1.7dtex以上である。上限は、さらに好ましくは11dtex以下、特に好ましくは6.6dtex以下、最も好ましくは4.4dtex以下である。20dtexを超えると、得られる不織布シートが硬くなり、肌触りが悪くなったり、皮膚への刺激が大きくなって好ましくない。一方、0.5dtex未満では不織布の生産性に欠けるので実用的でない。しかも、繊度が小さすぎると、得られる不織布の嵩高性が少なく、軟便などの高粘性液体を保持するための空間が少なくなり好ましくない。
【0018】
また、熱接着性合成繊維の長さは、1〜15mmが好ましい。繊維が短いと開繊性がよくなり、より均一な不織布となりやすいが、1mm未満になると粉末状に近づき、繊維間結合による網目構造が作りにくくなるばかりか、不織布としての強度が低くなり、実用性に欠けるので好ましくない。一方、15mmより長くなると不織布の強度は上がるが、不織布製造時の繊維の空気輸送において繊維どうしが絡まりやすくなり、繊維塊状欠点を増大させるので好ましくない。特に、好ましいのは、3〜10mmである。
【0019】
本発明のトップシートに用いられる開孔不織布シートには、上記の熱接着性合成繊維のほかに、レーヨンなどの再生繊維、アセテートなどの半合成繊維、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミド、ビニロンなどの合成繊維、SWPなどのフィブリル状繊維、パルプ、コットン、麻などの天然繊維などの他の繊維を含んでいてもよい。この場合、不織布シートにおける熱接着性合成繊維の割合は70〜100重量%が好ましく、さらに好ましくは85〜100重量%である。70重量%未満の場合は上記の他の繊維の脱落が生じる可能性が多くなるうえ、湿潤強度も低くなる場合があり、実用上の問題を生じる。
【0020】
なお、トップシートに用いられる開孔不織布シートの素材は、熱接着性合成繊維を主成分とするものであり、該熱接着性合成繊維100重量%使いのもののほか、例えば熱接着性合成繊維+パルプ繊維、あるいは、熱接着性合成繊維+パルプ繊維+抗菌繊維などから構成されていてもよい。
また、熱接着性合成繊維としては、熱で溶融し相互に結合するものであればどのようなものでもよく、例えばポリオレフィン類、ポリエステル類、ポリビニルアルコールなどの繊維が挙げられるが、繊維を親水化処理しているものがより好ましい。繊維の親水化処理の方法として、親水性の薬剤を繊維に練り込む方法や繊維表面に親水化剤をコーティングする方法等がある。また、シート化されたトップシートに用いる不織布シートに、一般的な手法を用いて親水化処理したものでもよい。撥水性、疎水性の繊維を使用したシートの場合、液分の吸収保持性能が悪く、横モレなどを生じやすくなるため、親水化処理した繊維が好ましい。
ここで、親水化剤としては、例えば特開平10-325060号公報に示されているようなスルホン酸金属塩化合物、例えばアルキルスルホン酸ナトリウムなどを、エチレンビス脂肪酸アミドなどのような親水化助剤と共に練り込む方法が挙げられる。複合繊維に練り込む場合は、繊維表面を形成するポリマーにのみ練り込めばよい。
また、繊維表面の親水化処理としては、一過性の初期親水性のある一般親水化処理と数回程度の体液排泄に耐える耐久親水化処理がある。一般親水化処理には、一般的な界面活性剤を用いると良い。また、耐久親水化処理には、例えば、特開昭62-19165号公報や特開2000-256965号公報に示されているように、親水性基含有ポリエステルオリゴマー、スルホイソフタレート・ナトリウム塩、ポリエーテルポリエステルブロック共重合体、ポリオキシアルキレングリコールの誘導体などを用い、表面付与したのちに熱処理を加えて繊維表面を形成するポリマーと処理剤との部分的な結合を作るのが好適である。
【0021】
本発明のトップシートに用いられる開孔不織布シートを形成するこれらの繊維は、熱接着されており、この繊維間結合による網目状構造で該不織布シートが固定される。
本発明のトップシートに用いられる開孔不織布シートは、総目付けが、15〜50g/mが好ましい。下限は、より好ましくは17g/m以上、特に好ましくは20g/m以上である。また、上限は、より好ましくは40g/m以下、特に好ましくは35g/m以下である。15g/m未満では、不織布強度が低下して、不織布製造適性や実際のおむつ製造ラインでの引張強度不足による製造ラインの停止等の製造上の問題を生じやすい。一方、50g/mを超えると、シートが硬くなり、本発明の特徴である開孔が塞がりきれいな開孔が得られず、吸収性能低下を引きおこし問題を生じる。
【0022】
本発明のこのようなトップシートに用いられる開孔不織布シートは、エアレイ法によって製造される。エアレイ法で製造された不織布は、不織布を形成している繊維が、不織布の長手方向、幅方向および厚み方向にランダムに3次元配向されているので好ましい。
【0023】
ここで、本発明に係るエアレイ法による不織布は、以下のようにして得ることができる。
すなわち、所定量の解繊された熱接着性合成繊維を主成分とする繊維を空気流に均一分散させながら搬送し、吐出部に設けた細孔から吹き出した該繊維を、下部に設置された金属またはプラスチックの繊維捕集用ネットであって、該ネット上には、積層される繊維ウェブの厚みの1.2〜5倍の高さを有する突起を局部的に設けた繊維捕集用ネット上に落とし、該ネット下部で空気をサクションしながら、上記繊維を該ネット上に堆積させ、必要に応じて、この操作を複数回繰り返す。
例えば、第2回以降のウェブの堆積は、同様にして、上記堆積シートの上に堆積させる。
かくて、上記突起に対応した孔が形成される。
次に、この熱接着性合成繊維が充分その接着効果を発揮する温度に全体を加熱処理して、本発明の不織布を得ることができる。接着効果を十分発揮させるには、熱接着性合成繊維の接着成分の融点より5〜20℃高い温度での加熱処理が必要である。
【0024】
なお、ケミカルバインダー樹脂を用いる場合には、堆積されたウェブ上に、各ウェブの形成ごとに、ホットメルト接着剤、ラテックス系接着剤、エマルジョン系接着剤、樹脂パウダー接着剤などのケミカルバインダー樹脂を散布、もしくは塗布すればよい。
ここで、これらのケミカルバインダー樹脂の成分としては、ポリオレフィン系、ポリ酢酸ビニル系、ポリアクリル酸エステル系、合成ゴム系、ポリウレタン系、エポキシ樹脂系、熱硬化型樹脂系などを挙げることができる。
これらのケミカルバインダー樹脂の使用量は、合成繊維やパルプ繊維の結合や各層の剥離を生じない範囲で決められる。
【0025】
なお、本発明のトップシート(開孔不織布シート)には、消臭、抗菌、芳香、保湿、着色、親水などの機能加工を付与することもできる。加工法としては、あらかじめそれらの機能を付与した繊維を混合したり、粉体状の薬剤を混合したり、液体状の薬剤をスプレーや含浸したりする方法が挙げられる。
【0026】
このように、エアレイ法で製造された不織布は、不織布の流れ方向、幅方向および厚み方向へ繊維をランダムに3次元配向させることが可能である。そして、これらが熱接着するので、層間剥離を起こすことがない。また、エアレイ法で製造した不織布は、均一性が良好なので、性能のバラツキも少なくなる。
【0027】
ここで、本発明に用いられる繊維捕集用ネットとしては、図1〜2にみられるように、通常のプラスチック製、または金属製の捕集用ネット上に、一定間隔(例えば、捕集用ネット長手方向にa=13mm、横手方向にb=13mm)で、例えば紫外線硬化性樹脂をスクリーン印刷で印刷するか、あるいは、塗布し、次いで、紫外線を照射することにより、該樹脂を硬化させ、合成樹脂塊(例えば、幅w=5mm、長さl=10mm、高さh=2.0mm)の突起を形成させる。
ここで、合成樹脂塊の高さhは、捕集用ネット上に積層される繊維ウェブの厚みtの1.2〜5倍、さらに好ましくは1.3〜3.5倍とする。合成樹脂塊の高さhが積層される繊維ウェブの厚みtの1.2倍未満では、合成樹脂塊に対応する開孔が形成されない場合があり、一方、5倍を超えた場合は、突起が高過ぎて安定性に欠けたものとなり、連続生産に耐えられなくなる。
合成樹脂塊の具体例は、直径(短径もしくは長径)が1〜30mm、高さが1〜10mm程度の球状、あるいは楕円状のものが挙げられる。
以上のように、合成樹脂塊の形成は、図2に示すような楕円状のほか、ほぼ球状であってもよい。なお、合成樹脂塊は、楕円状のものとほぼ球状のものが混在していてもよい。
また、図2に示すほぼ楕円状のサイズの具体例としては、aが3〜40mm、bが2〜30mm、幅wが1〜20mm、長さlが1.5〜30mm、高さhが1〜10mmのものが挙げられる。
【0028】
なお、合成樹脂塊の形成は、以上のような手段に限定されるものではなく、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、ポリエステル系エラストマー樹脂、ナイロン樹脂、熱可塑性または熱硬化性のポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ゴム系樹脂などを溶融状態で、または硬化剤を混合した液体状態で、直接、捕集用ネット上の所定の位置に吐出し、冷却固化、あるいは加熱硬化させたりしても良い。ポリ塩化ビニル系樹脂などのスラリー状の合成樹脂を用いることもできる。さらに、発泡剤をあらかじめ混ぜておいて発泡体として形成しても良い。
エアレイドウェブの繊維間結合を付与する熱処理において、熱接着性合成繊維の接着成分の融点よりも5〜20℃高い温度を加える必要があるので、これらの合成樹脂塊を形成する樹脂は、この温度よりも高い耐熱温度のものが必要となる。耐熱温度は、140℃以上であり、好ましくは160℃以上である。
【0029】
以上の突起(開孔不織布シートの開孔に相当する)の大きさは、得られる不織布シートの開孔に対応する大きさにより、適宜、設定される。ここで、本発明のトップシートに用いられる開孔不織布シートは、熱接着性合成繊維の接着成分の融点より5〜20℃高い温度でこの繊維ウェブを全体に加熱処理して得られるが、上記熱接着性合成繊維はやや熱収縮を生じることが多いので、開孔は加熱処理によってやや小さくなる傾向がある。従って、開孔部の深さや大きさを所望のものにするには、捕集用ネット上に形成するべき合成樹脂塊(突起)の高さや大きさをあらかじめやや大きめに設定することが好ましい。例えば、好ましくは開孔部のサイズと合成樹脂塊(突起)のサイズの比は1/1.05〜1.5の範囲である。これは、使用する熱接着性合成繊維の熱特性、加熱処理の方法、条件によって異なる。
なお、合成樹脂塊などの突起の形状は、ほぼ球状や楕円状のほか、三角、四角、五角形以上の多角、十字、直線、曲線、格子、網目、不定形、あるいは文字や何らかのマーク、ロゴを表すものであってもよい。
【0030】
このような突起を有する繊維捕集用ネットを用いて、エアレイ法により、繊維ウェブを堆積させると、例えば図1に示すように、合成樹脂塊の部分は、空気流が非透過であるので、繊維ウェブが透過性のネット側の上に流れて、合成樹脂塊の突起に対応する開孔部が形成された多孔の繊維ウェブが得られる。
さらに、例えば、この上に、1層あるいは2層の上記したような繊維ウェブを形成すれば、二層、あるいは三層の多孔繊維ウェブが得られる。
そして、図1に見られるように、合成樹脂塊の高さhは、捕集用ネット上に積層される繊維ウェブの厚さtより1.2倍以上であるので、合成樹脂塊に対応する個所には、繊維ウェブが積層されずに、この合成樹脂塊に対応する個所には、それぞれ、開孔が形成される。
【0031】
次に、熱接着性合成繊維の接着成分の融点より5〜20℃高い温度でこの繊維ウェブを全体に加熱処理して、本発明のトップシートに用いられる開孔不織布シートを得ることができる。
この加熱処理の具体例としては、熱風処理が挙げられる。例えば、この繊維間結合を形成するための熱風処理としては、熱接着性複合繊維の低融点成分(芯鞘型複合繊維の鞘成分、あるいはサイドバイサイド型複合繊維の低融点側成分)の融点以上の温度が必要である。しかしながら、低融点成分の融点よりも30℃以上高い場合、あるいは高融点成分(芯鞘型複合繊維の芯成分、あるいはサイドバイサイド型複合繊維の高融点成分)の融点以上の場合は、繊維の熱収縮が大きくなり易く、地合いの悪化を招くので好ましくない。従って、熱風処理温度は、通常、110〜200℃、好ましくは120〜180℃である。
【0032】
以上のようにして得られる本発明のトップシートに用いられる開孔不織布シートは、開孔部(合成樹脂塊の突起に相当する)と積層ウェブ部(合成樹脂塊が形成されていない部分に堆積されたウェブ)が形成される。すなわち、本発明のトップシートに用いられる開孔不織布シートは、積層ウェブ上に複数の開孔部が形成される。
ここで、開孔の個数は、5,000〜40,000個/m、好ましくは10,000〜30,000個/mである。開孔の個数が5,000個/m未満の場合は、開孔がまばらに点在しているか、もしくは開孔の大きさが極めて大きい状態を意味するかである。開孔がまばらの場合は、本発明の作用、効果が薄れるし、逆に開孔が大き過ぎる場合は、吸収性物品に使用した場合に、軟便などの高粘性液体の逆戻りの現象を生じるので、好ましくない。一方、40,000個/mを超える場合は、開孔の大きさが小さ過ぎるか、もしくは開孔と開孔の間隔が小さ過ぎることを意味する。開孔があまりにも小さい場合は、本発明の作用、効果が薄れるばかりでなく、捕集ネット上に極めて小さい樹脂塊突起を作製することになるので、精度よく作製できなくなり、現実的でない。開孔間の間隔を狭める場合は、シート強度がダウンするので実用に耐えられなくなる。
開孔数は、捕集用ネット上の上記合成樹脂塊の単位面積あたりの個数によって適宜設定できる。
【0033】
また、本発明のトップシートに用いられる開孔不織布シート上の開孔の総面積率(開孔率)は、20〜70%である。下限は、より好ましくは30%以上、特に好ましくは40%以上である。上限は、より好ましくは60%以下、特に好ましくは50%以下である。20%未満では、開孔部により得られる性能上の特徴が得られにくく、一方、70%を超えると、開孔部同士が接近しすぎてシート強度が低下し、実用的でない。
この開孔の総面積率をこの数値範囲にするには、樹脂塊の設計を適正化すればよい。例えば、開孔の総面積率は、合成樹脂塊の平面方向の大きさ、図2に示す間隔a,bの寸法などにより、適宜設定することができる。
【0034】
以上のような開孔不織布シートを用いた本発明のトップシートは、吸収層への液体の移行が開孔部を通じてスムースであり、しかも皮膚との接触面積が小さいので、肌への刺激が小さく、排出された液体によるウエット感が小さく、ムレ感が小さくなるという優れた効果を有する。また、点接触することにより、血流の流れを促し、褥瘡対策にも優れた効果を有する。しかも、このトップシートの開孔部に、軟便などの高粘性液体を構成する固形分が保持されることになる。
【0035】
以上の本発明のトップシートに用いられる開孔不織布シートは、例えば図1に示すように、合成樹脂塊に相当する複数の開孔部を有し、該開孔部のサイズは、円状の直径、あるいは楕円状の短径もしくは長径が3〜15mm、好ましくは5〜12mm、深さ(繊維ウェブの厚さtに相当)が2〜6mm、好ましくは3〜5mmである。開孔部の直径(または短径もしくは長径)が3mm未満では、開孔部によって得られる効果が小さく、一方、15mmを超えると、シート強度が低下し、実用的でない。また、開孔部の深さ(繊維ウェブの厚みに相当)が、2mm未満では、やはり開孔部によって得られる効果が小さく、一方、6mmを超える深さ(厚さ)になると、人体に接する本発明の吸収性物品の用途においてはしなやかさが無くて実用的でなくなるばかりか、このように高い樹脂塊突起を捕集ネットに適用した場合は、連続生産でつぶれたり傾いたりしやすくなるので、生産上の問題を生じる。
上記開孔部のサイズは、上記合成樹脂塊(突起)のサイズを変更したり、繊維ウェブの熱処理条件を変えることにより、容易に調整することができる。
【0036】
なお、本発明のトップシートに用いられる開孔不織布シートは、本発明の趣旨の範囲であれば、開孔部に多少の繊維ウェブが存在していてもよく、この場合、該開孔部の繊維ウェブの目付けは6g/m未満の量、存在していてもよい。
また、本発明のトップシートに用いられる開孔不織布シートは、多数の開孔部が存在するゾーンがシート全面の20%以上であれば、シート全面に存在していなくてもよい。例えば、多数の開孔部が存在するゾーンと、全く開孔部が存在しないゾーンとがタテ、ヨコ、斜めなどの交互のストライプ状に共存してもよく、あるいは多数の開孔部が存在するゾーンが円形、角形などのパターン状であってもよい。
さらに、本発明の趣旨の範囲であれば、開孔部が一定形状でなくても構わなく、文字、あるいは何らかのパターンやロゴを表していても良い。
【0037】
さらに、本発明のトップシートに用いられる開孔不織布シートは、この不織布シートと他の不織布、例えばサーマルボンド、スパンレース、ケミカルボンド、スパンボンド、メルトブロー、湿式不織布、プラスチックネット、織編物、寒冷紗、紗などとの複合体であっても良い。複合化する手段としては、ホットメルト、ケミカルボンド、パウダーボンド、カレンダー、ドットエンボスなど、本発明の趣旨を阻害しない方法を適宜選択すればよい。
この場合、複合体に用いられる本発明の開孔不織布シート以外の他の不織布は、本発明の吸収性物品において、セカンドシートとして用いることもできる。
【0038】
<セカンドシート>
セカンドシートは、以上の開孔不織布シートからなるトップシートと吸収層の間に位置し、粉砕パルプや高吸収性ポリマーの飛散を防止し、かつ、軟便中の固形分を除去し、液分を吸収層に速やかに受け渡す機能を有するものである。また、排泄液を吸収層に受け渡すまでの一時的な液分の吸収保持性能を有するものである。
上記セカンドシートとしては、クレープ紙、エアスルー不織布、または単糸繊度が2〜20dtexの熱接着性合成繊維を使用してエアレイ法で作製した不織布などが用いられるが、これらに限定されるものではない。
セカンドシートの目付けは、好ましくは10〜100g/m2、さらに好ましくは10〜60g/m2である。目付けが100g/m2を超える場合、軟便などの高粘性液体中の排泄液がトップシートを通過して吸収層に吸収されるまでの間にセカンドシート中にとどまり易くなり、吸収層への液分の受け渡し機能を果たさないので適さない。一方、目付けが10g/m2未満である場合、液分の一時的な吸収保持性能に劣るため適さない。上記セカンドシートとしては、そのほか、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の疎水性の合成繊維に親水化処理を施したもの、あるいはレーヨン繊維のような親水性繊維やパルプ繊維のようなセルロース繊維を、単独であるいは混合して、熱融着または接着剤で接着してなる、あるいは接着剤を用いない一層以上の不織布を挙げることができる。また、クレープ紙のような親水性シートも挙げることができる。
【0039】
<吸収層>
セカンドシートに直接対向する吸収層は、軟便中の排泄液を保持するためのものであり、例えば粉砕パルプ、粉砕パルプを主体とした高吸収性ポリマー粒子との混合物、クレープ紙および/またはシート中に高吸収性ポリマーを担持させた用紙を用いることができる。
【0040】
ここで、粉砕パルプは、化学パルプシートあるいは機械パルプシートを粉砕機で解繊することにより得られる繊維長5mm以下のパルプ繊維である。パルプ原料としては、針葉樹に限らず、広葉樹、わら、竹、ケナフ等を挙げることができ、適宜選択して用いることができる。
吸収層のうち、粉砕パルプを主体とした高吸収性ポリマー粒子との混合物の場合は、粉砕パルプと高吸収性ポリマーおよび任意に熱融着性物質が均一に混合されてマット状にされ、エンボスロールあるいは熱プレスロールで吸収層自身の見かけ密度が調整されたものが用いられる。この吸収層は、さらにセルロース繊維からのティシュペーパーのような親水性シートや合成繊維からできた親水性不織布シートにより包まれていてもよい。熱融着性物質を用いる場合は、絶乾綿状パルプ重量当り3〜60重量%で添加されて用いられる。
【0041】
なお、高吸収性ポリマーとしては、公知のものがそのまま本発明に用いることができ、ポリアクリル酸ナトリウム系の粒子が自重の20倍以上の排泄液を吸収するので好適である。このような高吸収性ポリマーは、乾燥粉砕パルプ重量当り10〜200重量%、好ましくは15〜150重量%用いられ、この高吸収性ポリマーは、ポリマーが軟便などの高粘性排泄物中の排泄液を吸収し、膨潤したとき、粒子は相互に干渉することを最小にとどめ、それによって粒子自身が連続的に接触して透過障壁を形成することなく、排泄液を3次元的に透過、吸収するように、綿状パルプの中に分布されている。また、熱融着性物質としては、粉砕パルプと混合して使用できるように繊維状のものが好ましく、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル樹脂等の公知のものがそのまま用いられる。強度の面からは、上記樹脂の2成分以上から構成される複合繊維が好ましい。これらの熱融着性物質は、粉砕パルプや高吸収性ポリマーと一緒に混合されてマット状にされ、熱圧着されることにより、骨格を有する構造とされる。親水性シートは、例えばセルロース繊維からのティシュペーパー、吸収紙、親水性不織布等の公知のものも本発明のために使用できる。
吸収層は、目的により、単独で用いるか、複数積層して用いるか、他の吸収剤を併用するか等により異なるが、目付けが50〜500g/m2である。
【0042】
なお、トップシートとセカンドシートの間、およびセカンドシートと吸収層との間、さらに吸収層と後記するバックシートとの間には、ホットメルト接着剤、あるいは澱粉、カルボキシメチルセルロース等の水溶性の接着剤で部分的に、あるいは全面的に接着されてもよい。
また、トップシート〜吸収層、あるいはトップシート〜バックシート間は、熱溶着や高周波加工により、点接着、あるいは線接着により接着されていてもよい。
【0043】
なお、本発明の吸収性物品の裏面側には、バックシートを貼り付けてもよい。このバックシートとしては、不透液性のシートであり、例えばプラスチックシートや不織布を用いることができる。また、バックシートは、通気性を有していてもよい。
バックシートの目付けは、通常、10〜50g/m程度である。
【0044】
本発明の吸収性物品は、着用者の肌にはそのトップシートとなる開孔不織布シートが直接接触し、該シートの凸凹状の凸部が肌に点接触するので、皮膚への接触面積が少なくなり、血行を促し、肌に優しく、褥瘡対策や敏感肌対策に有効であり、また該シートの凹部に軟便が滞留・保持される。また、セカンドシートを通して、トップシートの排泄液や体液がすばやく透過して吸収層へ移行し、この吸収層に取り込まれた排泄液や体液はその中に封じ込まれているので液戻り防止性に優れ、さらに冷温感と柔軟性に優れる。しかも、上記トップシートとバックシートとの間にセカンドシートと吸収層が配置して用いられている本発明の吸収性物品は、トップシートを透過した排泄液や体液が直ちにセカンドシートに吸収され、迅速に拡散されて吸収層に至るので、体液透過性、液戻り防止性および表面ドライ感はより一層改善されたものとなる。
【0045】
以下、本発明の実施の形態を、成人用のテープ型おむつの使用面にあてがい、使い捨ての吸収パッドの例をもって説明するが、本発明吸収性物品としては、パンツ型おむつ自体やテープ式おむつなどや産科用パッド類等、各種の高粘性液体用吸収性物品に適用できることはいうまでもない。
【0046】
(構造)
図3〜図6に示す吸収パッドは、軟便等の液分を透過、および固形分を透過、除去する開孔不織布シートからなる肌に直接接するトップシート1と、裏面側に配置されるバックシート2と、これらの両シート1、2の間に配置された排泄液を透過するセカンドシート3と、このセカンドシート3の裏面側にあって上記排泄液を保持する吸収層4とを表面側から裏面側に向けて順に備えることにより、吸収パッド本体5が構成されている。
さらに、図5および図6に示すように、図4の吸収パッド本体5の構造に加えて、吸収パッドの両側において、着用者側に起立するレッグカフスAを設けてもよい。
【0047】
ここで、開孔不織布シートからなるトップシート1は、吸収パッド全面に排泄液の透過孔(開孔部)Bが設けられている(図3参照)。
透過孔Bは、トップシートにおける開孔の総面積率(開孔率)が20〜70%であり、下限は、より好ましくは30%以上、特に好ましくは40%以上である。上限は、より好ましくは60%以下、特に好ましくは50%以下である。また、孔の個数(開孔数)が5,000〜40,000個/m、好ましくは10,000〜30,000個/m2、単一の孔の有効開孔面積が約25〜150mmであり、下限は、より好ましくは30mm以上、特に好ましくは40mm以上である。上限は、より好ましくは100mm以下、特に好ましくは80mm以下である。開孔率が小さいと、透過孔での軟便固形分の透過性や当該開孔における貯留性が劣り、一方開孔率が高すぎると、トップシート自体の強度が小さくなり、製造上また製品上において好ましくない。1m2当たりの開孔数が少ないということは、透過孔Bが過度に大きなもので単一の開孔の有効開孔面積が150mmより大きくなり、セカンドシートに残留した軟便と肌が当たる面積も多くなり、肌トラブルを増大し、煩雑な清掃作業が必要になる。また、トップシート自体の強度も小さくなり好ましくない。1m2当たりの開孔数が多いということは、透過孔Bが非常に小さなもので単一の開孔の有効開孔面積が25mmより小さくなり、軟便固形分の透過性や当該開孔における貯留性が劣り好ましくない。
このように構成した吸収性物品では、全面に使用されるトップシートにおける単一の開孔の有効開孔面積が約25〜150mmと大きな開孔を多数有するために、粘性液体の透過速度が速く、かつ、有効吸収面積も大きい。また、トップシート上での高低差が大きく、嵩高かつ見かけ密度が小さいために、有効吸収容積も大きくなり、粘性液体を空間に保持する能力が高いものとなる。
【0048】
また、上記トップシートの開孔底面がほぼ円状および/または楕円状であり、円状の場合は直径、楕円状の場合は短径もしくは長径(対角線の長さに相当)が3〜15mm、開孔間隔が1.5〜8mmであるものが好ましく使用される。開孔底面の形状は、円状および/または楕円状が好ましいが、正方形、長方形などの矩形あるいは五角形以上の多角形の形状であっても、性能を阻害しない形状であれば本発明の開孔トップシートの開孔底面形状として問題はない。円状の場合は直径、楕円状の場合は短径もしくは長径が3〜15mmが好ましく、円状の場合、直径5mm以上がより好ましく、7mm以上がさらに好ましい。楕円状の場合は、短径4mm以上がより好ましく、5mm以上がさらに好ましく、長径が6mm以上がより好ましく、8mm以上がさらに好ましい。円状の場合は直径、楕円状の場合は短径もしくは長径が3mmよりも短い場合は、開孔面積が小さくなり、軟便透過性能に問題が生じ、一方15mmよりも大きい場合には、開孔面積が大きくなりすぎ、製造上の問題や肌トラブルなどをまねき好ましくない。
さらに、開孔間隔は、凸凹状を有する開孔不織布シートの隣接する凹部の端点と端点の最短距離をあらわし、1.5〜8mmが好ましい。2mm以上がさらに好ましく、2.5mm以上がよりさらに好ましい。開孔間隔が1.5mmより短い場合は、十分な高低差をもつ凸凹状の開孔不織布シートの製造が難しく、また、開孔不織布シートの強度も小さくなり好ましくない。一方、開孔間隔が8mmより大きい場合は、開孔不織布シート上の有効開孔面積率が小さくなり、性能上問題が生じる。
【0049】
さらに、トップシートにおける厚さも本発明の紙おむつなどの吸収性物品には重要な要素である。軟便のような高粘性液体の吸収において、仙骨などが当たり体圧の高くなる部分での吸収は難しく、体圧がかからない部分でいかに素早く粘性液体を透過吸収するかが横モレを防ぐ方法である。そのためには、吸収保持空間をより多くとることが有効であり、トップシートの厚さが大きければ大きい程、高粘性液体の吸収保持空間は多くなり性能が高くなる。本発明に使用するトップシートの厚さは、2〜6mmが好ましい。さらに好ましくは、2.5mm以上、よりさらに好ましくは3mm以上が好ましい。トップシートの厚さが大きければ大きい程、高粘性液体の吸収保持性能は高くなるが、6mmを超える高さの開孔不織布シートは、生産上の問題を生じる。反対に厚さが小さければ、吸収保持性能が悪くなり、実用上の問題を生じる。ここで、厚さの測定は、下記のようにして測定することができる。
【0050】
(厚さ測定)
上記トップシートの厚さ測定は、KES圧縮試験機KES−G5(カトーテック株式会社製)を用いて行った。上記KES圧縮試験機は、微荷重下での試料の厚さを測定することができる。測定は、試料を加圧板降下速度0.002cm/sec、加圧板面積10cm、SENS1(力計5g/10V)、DEF感度5mm/10V、加圧荷重0.05gf/cmの条件で圧縮し、得られたCSVデータから加圧荷重0.005gf/cmでの加圧板の移動量をギャップ長より差し引いて、試料の厚さを算出した。
【0051】
また、トップシートの見かけ密度は、0.003〜0.020g/cmが好ましい。下限は、さらに好ましくは、0.005g/cm以上である。上限は、0.015g/cm以下がより好ましく、0.010g/cm以下が特に好ましい。見かけ密度が0.003g/cmより小さい場合は、開孔不織布シートの製造上に問題が生じる。一方、見かけ密度が0.020g/cmより大きい場合は、吸収保持空間が小さくなり、性能上の問題が生じる。ここで、見かけ密度は、下記のようにして算出することができる。
【0052】
(見かけ密度の算出)
上記トップシートの見かけ密度は、JIS L 1913に準じて測定したトップシートの目付けと、上記方法で測定したトップシートの厚さから下記の式により算出した。
見かけ密度(g/cm)=目付け(g/m)/(厚さ(mm)×1,000)
【0053】
さらに、本発明に用いられるトップシートを構成する開孔不織布シートの通気抵抗値は、0.015kPa・s/m以下、好ましくは0.005〜0.010kPa・s/mである。0.015kPa・s/mを超えると、軟便の透過性が悪く、吸収速度よりも拡散速度の方が速くなり、横モレをおこし、実用上好ましくない。なお、通気抵抗値は、下記のようにして測定された値である。
【0054】
(通気抵抗値の測定)
上記トップシートの通気抵抗値は、通気性試験機KES−F8−AP1(カトーテック株式会社製)を用いて行った。測定は、試料にピストン速度2cm/sec、通気穴押え板面積0.2πcm、Hレンジの条件で空気を放出・吸引し、試料による圧力損失から、試料の通気抵抗値を測定した。
【0055】
さらに、本発明の吸収性物品において、バックシートも重要な要素となることがある。すなわち、軟便等は個人差が大きく、その量や性状も様々である。そのような軟便に対し、その量によりバックシート2の性質の異なるものを適宜採用することができる。軟便量の多い場合には、上記吸収パッドのみでは十分に吸収できずに横モレを生じる可能性が考えられる。そのような場合には、バックシート2を透水性のものにすることにより、吸収パッドの下にあてがったテープ型の紙おむつにより吸収パッドの吸収量を超えた軟便を吸収補助し、横モレなどによる衣服の汚れ等を防止することができる。反対に、軟便量の少ない場合には、上記吸収パッドのみで十分に吸収でき、そのような場合には、バックシート2を遮水性のものにすることにより、吸収パッドの下にあてがったテープ型の紙おむつを汚すことなく、吸収パッドのみの交換ですみ、経済的である。
バックシート2は、吸収層4の側縁から側方に延び、折り返されて表面側に達し、トップシート1の側方上部に配置されている。
【0056】
セカンドシート3は、トップシートと吸収層の間に位置し、粉砕パルプや高吸収性ポリマーの飛散を防止し、かつ、軟便中の固形分を除去し、液分を吸収層に速やかに受け渡す機能を有するものである。セカンドシートとしては、親水性の繊維を主体とするシートが好ましく、クレープ紙やエアスルー不織布、およびエアレイド不織布などを用いることができる。なお、エアレイド不織布の場合は、単糸繊度が1.7〜20dtexの熱接着性合成繊維を使用することが望ましい。
【0057】
セカンドシート3に直接対向する吸収層4は、軟便の液分等の排泄液を保持する、例えば粉砕パルプ、粉砕パルプを主体とした高吸収性ポリマー粒子との混合物、クレープ紙、および/またはシート中に高吸収性ポリマーを担持させた用紙を用いることができる。
【0058】
バックシート2の側部には、上記したように、図5および図6に示すようなレッグカフスAが設けられていてもよい。このレッグカフスAの外側がバックシート2に固定され、内側の自由部分の先端側が内側に折り返され、この折り返し部分に糸ゴムなどの弾性伸縮部材Cがその伸張下で固定されることにより、着用時において自由部分が起立するレッグカフスAを構成している。本発明において、レッグカフスAの有無は限定されないが、軟便の横モレ防止のためにレッグカフスを設けることが望ましいが、敏感肌の人に使用する場合等にはレッグカフスAを設けないことが望ましい。レッグカフスAの固定には、従来使用されているホットメルト接着剤による方法が用いられる。
【0059】
図5では、トップシート1は、吸収パッドの側方ではレッグカフスAおよびバックシート2、セカンドシート3と固定されている。実施の形態としては、セカンドシート3の上にトップシート1、さらにその上にレッグカフスA、さらにその上にバックシート2が順に積層されて、ホットメルト接着剤により固定されている。しかし、吸収パッド本体5の長手方向端部固定においては、本発明におけるトップシート1が開孔不織布シートであり、かつ開孔が大きいために、ホットメルト接着剤の浸出や吸収層4の粉砕パルプや高吸収性ポリマーのこぼれ出しが生じるおそれがある。それを防止するために、予めトップシート1のセカンドシート3側の一部にエアスルー不織布などを一定間隔で裏打ち部を設けて、パッチ状に固定(パッチ部位C)し(図1参照)、そのエアスルー不織布裏打ち部が吸収パッド本体5の長手方向端部の所定位置に来るように配置し、ホットメルト接着剤やヒートシール、超音波シールなどによりバックシート2とトップシート1を固定する。
【0060】
ここで、裏打ち部(パッチ部位C)の面積は、吸収層4の全面積に占める割合が50%以下に制限されていることが好ましい。50%を超えると、吸収パッド本体5に占める開孔不織布シートの有効開孔シート面積が少なく、軟便等の有効吸収範囲が狭くなり、横モレを引き起こすなどの性能上の問題が生じる。
裏打ち用に用いられる素材は、裏打ちの目的を果たすものであれば、エアスルー不織布に限定するものでなく、スパンボンド不織布などのその他の不織布またはプラスチックフィルム等を用いても良い。
また、裏打ち部が、吸収性物品(吸収パッド本体5)の側方においては、バックシートがその役割を果たしていても良い。
【0061】
(他の実施の形態)
次に、本発明の他の実施の形態を説明する。図6は、吸収層4として、粉砕パルプと高吸収性ポリマー粒子の混合物層4に換えて、上部吸収層4aと下部吸収層4bの2層としたものである。この場合、上下両吸収層に高吸収性ポリマー粒子を包含させても良いし、下部吸収層4bのみに高吸収性ポリマー粒子を包含させることもできる。
【0062】
本発明において、トップシートとセカンドシート、粉砕パルプを含む吸収層とを順に備える限り、これらの側面を包む形態での額巻きでバックシートが上記トップシート上の両側部まで巻き上げる形態、セカンドシートが吸収要素全体を包む形態、トップシートがセカンドシートおよび吸収層全体を包み、かつトップシートがさらに上からセカンドシートおよび吸収層全体を包む形態などを採用することができる。
【実施例】
【0063】
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。
ここで、実施例における各種評価は、下記のようにして測定、評価したものである。
目付け:
JIS L 1913に準じて測定した。
厚さ:
前掲
見かけ密度:
前掲
開孔率:
有効開孔面積に開孔数を乗算し、シート全面積で除算して、算出した。
開孔数:
50cm×50cmに裁断した試料につき、目視により計数した。
有効開孔面積:
50cm×50cmに裁断した試料につき、短径および長径を計測して、その平均値を算出し、その平均値を用いて楕円の面積を算出した。
通気抵抗値:
前掲
【0064】
<人工軟便の作製>
まず、軟便を想定した人工軟便を作製し、軟便の透過速度、保持性能について検討を行った。人工軟便の成分は下記のものである。
人工尿成分:
1.尿素 1.9重量%
2.塩化ナトリウム 0.8重量%
3.硫酸マグネシウム7水和物 0.1重量%
4.塩化カルシウム 0.1重量%
5.染料 少量
6.蒸留水 97.1重量%

人工軟便成分:
1.人工尿 96重量%
2.カルボキシメチルセルロース 1重量%
(SGセロゲン WS−C 第一工業製薬株式会社製)
3.ろ紙粉末 3重量%
(CELLULOSE POWDER D 40〜100Mesh ADVANTEC社製)
【0065】
人工軟便の作製は、まず、上記人工尿成分を蒸留水中に攪拌、溶解し、人工尿を作製した。その人工尿に粘度調整用として、カルボキシメチルセルロースを攪拌溶解させた。完全に、カルボキシメチルセルロースが溶解後、ろ紙粉末を添加した。このようにして作製した人工軟便の粘度は、29℃で153mPa・sであった。
試験は、長辺20cm、短辺18cmの長方形状アクリル板中央に直径26mmの穴を開け、その上部に直径26mm、長さ15cmのアクリル円柱を接合した試験装置を作製し、各試料トップシート側に設置し、50gの人工軟便を50g/秒の速度で投下した。
【0066】
吸収時間
人工軟便投下直後から、軟便による光の反射がなくなるまでの時間を計測し、吸収時間とした。
拡散範囲
アクリル板上から、人工軟便が拡散した範囲につき、吸収性物品の長手方向および幅方向を計測した。
吸収性評価(目視評価)
◎:吸収時間60秒以内、かつ拡散面積100cm以内
○:吸収時間60秒を超え80秒以内、かつ拡散面積が100cmを超え130cm以内
△:吸収時間80秒を超え100秒以内、かつ拡散面積130cmを超え150cm以内
×:吸収時間100秒を超え、かつ拡散面積が150cmを超える。
【0067】
実施例1〜6、比較例1〜2
<開孔不織布シートの作製>
図2において、a=13mm、b=13mm、w=5mm、l=10mm、h=2.0mmである形状になるよう、PET(ポリエチレンテレフタレート)製の捕集用ネットに市販の2液混合型エポキシ樹脂(コニシ株式会社製、ボンド・クイック5#16123)を用いてドット状の樹脂塊を多数形成した。この上に、鞘PE(ポリエチレン)/芯PETからなる熱接着性複合繊維(帝人ファイバー株式会社製)を用いてエアレイ法でウェブを形成した。次いで、このエアレイドウェブを熱オーブン中で145℃に加熱し繊維間結合を生じさせて、開孔不織布シートを作製した。この開孔不織布シートは、開孔数が12,000個/mであり、開孔の総面積率(開孔率)が50%であった。
ここで、実施例1〜5の開孔不織布シートは、単糸繊度2.2dt×5mmの繊維を使用し、目付けが23.6g/m、シート厚さは4.4mm、見かけ密度は0.005g/cmであった。
また、実施例6の開孔不織布シートは、単糸繊度3.3dt×5mmと6.6dt×5mmの繊維を層状に積層し、目付けが25.6g/m、シート厚さは3.0mm、見かけ密度は0.008g/cmであった。
【0068】
<吸収性パッドの作製と評価>
吸収層として、粉砕パルプ、粉砕パルプと高吸収性ポリマーの混合物、またはシート中に高吸収性ポリマーを担持させた用紙のいずれか1種類の上に、セカンドシートを配置し、さらにトップシートとして、長径9.3mm、短径5.9mmの透過孔を開孔間隔2〜6mmをもって千鳥状に配置した上記開孔不織布シートを使用して、吸収性パッドを作製した。また、比較試料として、トップシートとして、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布を使用した。その評価結果を表1〜2に示す。
【0069】
【表1】





【0070】
【表2】

【0071】
表1〜2中のトップシート、セカンドシート、吸収層に用いた材料は、以下のとおりである。
エアスルー不織布:RC20JE−HR(金星製紙株式会社製、18.9g/m)。なお、このエアスルー不織布は、トップシート、セカンドシートとも同じ素材である。
ポイントボンド不織布:サーマルボンド不織布をエンボス加工したシート(宇摩製紙社製、17.9g/m)。
2.2dtエアレイド不織布:試作セカンドシート(金星製紙株式会社製、20g/m)。使用繊維としては、単糸繊度が2.2dtex、長さ5mmの上記と同様の熱接着性複合繊維を用いた。
20dtエアレイド不織布:試作セカンドシート(金星製紙株式会社製、35g/m)。使用繊維としては、単糸繊度が20dtex、長さ5mmの上記と同様の熱接着性複合繊維を用いた。
高吸収性ポリマー入り粉砕パルプ:市販大人用紙おむつであるメディパフラット(株式会社近澤製紙所製)の表層シートを剥がして使用(125g/mが2層)。
粉砕パルプ:試作大人用紙おむつであるフラットタイプ(株式会社近澤製紙所製)の表層シートを剥がして使用(125g/mが1層)。
積層クレープ紙:市販大人用紙おむつであるフリース(株式会社近澤製紙所製)の表層シートを剥がして使用(40g/mのクレープ紙を10層重ねて、セカンドシートとして用いた。)
SAPシート:ポリマーシート30G(フジコー製、88g/m)。クレープ紙2枚の間に高吸収性ポリマーを30g/mの密度で散布し、エンボス加工処理で成形したシートである。
【0072】
表1〜2の結果から、本発明の開孔不織布シートからなるトップシートを用いたものは、吸収速度が速く、拡散範囲も小さく吸収性能が良かった。
一方、トップシートとして、開孔を有さない比較例1、2は、吸収速度が遅く、拡散範囲も非常に広く、吸収性能が悪かった。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明の吸収性物品は、軟便または水状軟便等の排泄物やお産時に排泄される血液等の高粘性液体および排泄物用の使い捨て紙おむつとして用いられる。また、敏感肌の人の肌荒れ対策や褥瘡対策などに有用である。
【符号の説明】
【0074】
1:トップシート
2:バックシート
3:セカンドシート
4:吸収層
4a:上部吸収層
4b:下部吸収層
5:吸収パッド本体
A:レッグカフス
B:透過孔
C:パッチ部位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排泄液を透過し肌に対向するトップシートと、排泄液を透過するセカンドシートと、このセカンドシートの裏面側にあって上記排泄液を保持する吸収層とを順次備えた吸収性物品において、該トップシートが、熱接着性合成繊維を主成分とし、丘状の凸部に繊維が集積し、谷状の凹部には開孔を有し、多数の開孔を有する凸凹状エアレイド不織布であって、その開孔はエアレイド不織布製造と同時に作製される開孔不織布シートからなり、かつ軟便もしくは水状軟便用、または産科用高粘性液体もしくは産科用排泄物用、または肌への接触面積を低減させた褥瘡・アレルギー用中人および/または大人用介助・介護に用いられる、吸収性物品。
【請求項2】
上記トップシートを構成する開孔不織布シートに使用する熱接着性合成繊維の単糸繊度が0.5〜20dtexであり、該シートの目付けが15〜50g/m、厚さが2〜10mm、見かけ密度が0.003〜0.020g/cm、開孔の総面積率が20〜70%、開孔の個数が5,000〜40,000個/m、単一の開孔の有効開孔面積が約25〜150mmに設定されており、さらにこの開孔底面がほぼ円状および/または楕円状であり、円状の場合は直径、楕円状の場合は短径もしくは長径が3〜15mm、開孔間隔が1.5〜8mmである請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
上記トップシートを構成する開孔不織布シートの開孔底面が正方形、長方形または五角形以上の多角形の形状であり、その場合の対角線の長さが3〜15mm、孔間隔が1.5〜8mmである請求項1または2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
上記トップシートを構成する開孔不織布シートの通気抵抗値が0.015kPa・s/m以下である請求項1〜3いずれかに記載の吸収性物品。
【請求項5】
上記トップシートを構成する開孔不織布シートに一般親水化処理および/または耐久親水化処理を施した、熱接着性合成繊維を含有する請求項1〜4いずれかに記載の吸収性物品。
【請求項6】
トップシートを構成する開孔不織布シートが、所定量の解繊された熱接着性合成繊維を主成分とする繊維を空気流に均一分散させながら搬送し、吐出部に設けた細孔から吹き出した該繊維を、下部に設置された金属またはプラスチックの繊維捕集用ネットであって、該ネット上には、積層される繊維ウェブの厚みの1.2〜5倍の高さを有する突起を局部的に設けた繊維捕集用ネット上に落とし、該ネット下部で空気をサクションしながら、上記繊維を該ネット上に堆積させ、必要に応じて、この操作を複数回繰り返すことにより製造されてなる、請求項1〜5いずれかに記載の吸収性物品。
【請求項7】
上記セカンドシートが、クレープ紙、エアスルー不織布、および/または単糸繊度が1.7〜20dtexの熱接着性合成繊維を使用してエアレイ法で作製した不織布である請求項1〜6いずれかに記載の吸収性物品。
【請求項8】
上記吸収層が、粉砕パルプ、粉砕パルプを主体とした高吸収性ポリマー粒子との混合物、クレープ紙および/またはシート中に高吸収性ポリマーを担持させた用紙で構成された請求項1〜7いずれかに記載の吸収性物品。
【請求項9】
吸収性物品の全周または長手方向端部において、吸収性物品加工時に使用する接着剤の浸出および/または吸収層のこぼれ出しを防ぐために、トップシートとセカンドシートの中間に、裏打ち部を設けている請求項1〜8いずれかに記載の吸収性物品。
【請求項10】
上記裏打ち部の面積は、吸収層面積の50%以下に制限している請求項1〜9いずれかに記載の吸収性物品。
【請求項11】
上記裏打ち部が、吸収性物品の側方において、バックシートがその役割を果たしている請求項1〜10いずれかに記載の吸収性物品。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−62227(P2011−62227A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−212728(P2009−212728)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(591039425)高知県 (51)
【出願人】(591196315)金星製紙株式会社 (36)
【出願人】(592111012)株式会社近澤製紙所 (4)
【Fターム(参考)】