吸音材
【課題】クッション性が比較的低いポリウレタンフォームを用いても、周波数(横軸)−吸音率(縦軸)グラフにおいて十分に低周波数帯域で吸音率ピークを示す吸音材を提供すること。
【解決手段】ポリウレタンフォームからなるパネル部2、および該パネル部における音源側とは反対側で該パネル部と結合し、かつ該反対側に開放された空間部4を形成する空間形成部3を有する吸音材1であって、パネル部2のポリウレタンフォームがヒステリシスロス率70%以上および通気量0.05〜10ml/cm2/秒(10mm厚)を有し、該吸音材1と空間部4との総体積に対する空間部4の体積比が8〜80%である吸音材。
【解決手段】ポリウレタンフォームからなるパネル部2、および該パネル部における音源側とは反対側で該パネル部と結合し、かつ該反対側に開放された空間部4を形成する空間形成部3を有する吸音材1であって、パネル部2のポリウレタンフォームがヒステリシスロス率70%以上および通気量0.05〜10ml/cm2/秒(10mm厚)を有し、該吸音材1と空間部4との総体積に対する空間部4の体積比が8〜80%である吸音材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は騒音源からの騒音を吸収させるための吸音材、特に、主として自動車用の吸音材に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の車内では多様な騒音が発生している。例えば、数Hz〜数百Hzのエンジン音、タイヤが発生源となる約100Hz〜1kHzのロードノイズ、さらに10KHzに達する風騒音など、騒音は低周波数から比較的高周波数にわたっている。このように広い周波数帯域の騒音を吸収する自動車の吸音材としては、ポリウレタンフォームが知られている。ポリウレタンフォームによって1kHz〜5kHzの騒音を効果的に吸収することができるが、比較的低周波数の騒音は十分に吸収できなかった。
【0003】
1kHz以下の低周波数の騒音を吸収させることを目的として種々の提案がされている。例えば、ポリウレタンフォームからなる板と、クロス繊維との複合構成の吸音材が提案されている(特許文献1)。また例えば、多孔質体からなる比較的高通気量の高通気層およびポリウレタンフォームからなる比較的低通気量の低通気層を備えた積層吸音材が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3333052号公報
【特許文献2】特開2010−184655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記の吸音材において、ポリウレタンフォームとして剛性が必要である点から、クッション性が低いもの、例えばヒステリシスロス率70%以上のものを使用するのであるが、通気量や厚みを変化させても1500Hz以下の比較的低周波数の騒音を十分に吸収できなかった。具体的には、低周波数から高周波数までの各所定の周波数で音を発生させて吸音率を測定し、周波数(横軸)−吸音率(縦軸)グラフを作成したとき、吸音率ピークが1500Hz以上の比較的高周波数帯域に現れた。
【0006】
本発明は、クッション性が比較的低いポリウレタンフォームを用いても、周波数(横軸)−吸音率(縦軸)グラフにおいて十分に低周波数帯域で吸音率ピークを示す吸音材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ポリウレタンフォームからなるパネル部、および該パネル部における音源側とは反対側に位置し、かつ該反対側に開放された空間部を形成する空間形成部を有する吸音材であって、
パネル部のポリウレタンフォームがヒステリシスロス率70%以上および通気量0.05〜10ml/cm2/秒(10mm厚)を有し、
該吸音材と空間部との総体積に対する空間部の体積比が8〜80%である吸音材に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の吸音材は、クッション性が比較的低いポリウレタンフォームを用いるにもかかわらず、周波数(横軸)−吸音率(縦軸)グラフにおいて十分に低周波数帯域、例えば1500Hz以下、特に800〜1250Hzの周波数帯域で吸音率ピークを示す。詳しくは本発明の吸音材は、パネル部における音源側とは反対側の空間部の存在により、空間部を有さない吸音材と比較して、周波数(横軸)−吸音率(縦軸)グラフにおいて吸音率ピークが低周波数側に有効にシフトする。このため、低・中周波数帯域の騒音を効果的に吸収できる。本発明の吸音材はまた、比較的単純な構造を有するため、製造が簡便であり、低コストで製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1A】本発明に係る吸音材の一例の立面図である。
【図1B】図1Aの吸音材を音源側とは反対側から見たときの平面図である。
【図2A】本発明に係る吸音材の一例の立面図である。
【図2B】図2Aの吸音材を音源側とは反対側から見たときの平面図である。
【図3A】本発明に係る吸音材の一例の立面図である。
【図3B】図3Aの吸音材を音源側とは反対側から見たときの平面図である。
【図4A】本発明に係る吸音材の一例の立面図である。
【図4B】図4Aの吸音材を音源側とは反対側から見たときの平面図である。
【図5A】本発明に係る吸音材の一例の立面図である。
【図5B】図5Aの吸音材を音源側とは反対側から見たときの平面図である。
【図6】ヒステリシスロス率の測定方法を説明するための力−たわみ曲線グラフである。
【図7】吸音率の測定系の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る吸音材は、ポリウレタンフォームからなるパネル部および該パネル部の音源側とは反対側で空間部を形成する空間形成部を有するものである。詳しくは図1A〜図5Aおよび図1B〜図5Bに示すように、本発明に係る吸音材1は、パネル部2における音源側(騒音源側)とは反対側に空間形成部3を有するものであり、該空間形成部3により、当該反対側に開放された空間部4が形成される。本発明においては、かかる空間部4の存在により、空間部を有さない吸音材と比較して、周波数(横軸)−吸音率(縦軸)グラフにおいて吸音率ピークを、例えば350〜1200Hzのようなシフト量で低周波数側に有効にシフトさせることができる。図1A〜図5Aはいずれも本発明に係る吸音材の一例の立面図であり、これらの図面上、上側が音源側であり、上下方向が厚み方向である。図1B〜図5Bはそれぞれ図1A〜図5Aの吸音材を音源側とは反対側から真正面に見たときの平面見取り図である。なお、上記図面において吸音材は全体として略円盤形状を有しているが、これに限定されるものではなく、配設場所に応じて所望の形状を有してよく、例えば、略長方形盤形状、略台形盤形状、略楕円盤形状、またはそれらの複合形状を有していてよい。以下、図1A〜図5Aおよび図1B〜図5Bを用いて本発明を詳しく説明する。これらの図において共通する符号が付された部材、特に空間形成部3および空間部4は形状が異なること以外、同等の部材を意味するものである。
【0011】
パネル部2を形成するポリウレタンフォーム(以下、「PUフォーム」と示すことがある)は、ヒステリシスロス率が70%以上、好ましくは70〜100%、より好ましくは75〜95%であり、かつ通気量が0.05〜10ml/cm2/秒(10mm厚)、好ましくは0.1〜8ml/cm2/秒(10mm厚)、より好ましくは0.1〜7ml/cm2/秒(10mm厚)である。
【0012】
ヒステリシスロス率とはクッション性(反発性)を表すひとつの指標であり、後述する方法によって測定される値である。ヒステリシスロス率が高いほど、クッション性が低いことを意味する。本発明では、そのようなヒステリシスロス率が比較的高いPUフォームをパネル部に用いるので、空間部の存在により、周波数(横軸)−吸音率(縦軸)グラフにおいて吸音率ピークを低周波数側に有効にシフトさせることができる。ヒステリシスロス率が低すぎると、空間部の存在によっても吸音率ピークが低周波数側に有効にシフトしない。
【0013】
通気量は、10mm厚の試料中を厚み方向に通過する空気量(ml/cm2/秒)であり、後述する方法によって測定される値である。通気量が高すぎると、空間部の存在によっても吸音率ピークが低周波数側に有効にシフトしなくなり、むしろ高周波数側にシフトする。通気量が低すぎるPUフォームの製造は困難である。
【0014】
パネル部2の厚みは、本発明の目的が達成される限り特に制限されるものではなく、通常は8〜45mmであり、吸音率ピークの低周波数側へのシフトの観点から好ましくは15〜30mmである。
【0015】
パネル部2のPUフォームは、市販品として入手することができる。例えば、クララフォーム(倉敷紡績社製)等が挙げられる。
【0016】
パネル部2のPUフォームは、例えば、少なくともポリオール成分、ポリイソシアネート成分及び発泡剤、必要により整泡剤、触媒、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤等の添加剤を含有するウレタンフォーム原料組成物を、ワンショット法などの公知の製造方法によって反応および発泡させて得ることができる。例えば、ワンショット法では、各成分をミキシングチャンバーに同時に加えると同時に強力な撹拌によって混合し、PUフォームを製造する。
【0017】
PUフォームの製造に用いるポリオール成分は、1分子中に2個以上の水酸基を有するもので、従来からPUフォームを製造するために使用されているものであればいずれのものでもよい。このようなポリオール成分として、例えばポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールを挙げることができる。ポリオール成分は一種又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
【0018】
ポリエーテルポリオールはポリエーテルウレタンフォームの製造に使用されるポリオール成分であり、1分子中に活性水素原子を2個以上有する化合物を開始剤として、これにアルキレンオキサイドを付加重合させたものを使用することができる。ここに使用する活性水素原子を2個以上有する化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、蔗糖等を挙げることができる。アルキレンオキサイドとしては、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等を挙げることができる。1分子中に活性水素原子を2個以上有する化合物及びアルキレンオキサイドは、それぞれ一種以上を用いてよい。また、ポリエーテルポリオールに、ビニル系ポリマー微粒子が均一に分散された、いわゆるポリマーポリオールを用いてもよい。
【0019】
ポリエステルポリオールはポリエステルウレタンフォームの製造に使用されるポリオール成分であり、ポリカルボン酸と、1分子中に2個以上の水酸基を有する化合物とを重縮合させることによって得られるものである。ポリカルボン酸としては1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する化合物が使用され、具体的には、例えばアジピン酸、マレイン酸、コハク酸、マロン酸、フタル酸などが使用可能である。1分子中に2個以上の水酸基を有する化合物としては、上記ポリエーテルポリオールの開始剤として使用される活性水素原子を2個以上有する化合物と同じ化合物を使用することができる。ポリカルボン酸及び1分子中に2個以上の水酸基を有する化合物は、それぞれ一種以上を用いてよい。ポリエステルポリオールは、公知の方法で製造することができる。
【0020】
ポリイソシアネート成分は、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物である限り、特に制限されるものではなく、例えば、脂肪族系、芳香族系等のポリイソシアネートが単独または2種以上混合して用いられる。脂肪族系ポリイソシアネートの具体例としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイシソシアネート等が挙げられる。芳香族系ポリイソシアネートの具体例としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートの混合物、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルジイソシアネート等が挙げられる。
【0021】
本発明において好ましく用いられるのは、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルジイソシアネートであり、特にポリメチレンポリフェニルジイソシアネート(いわゆるクルードMDI)である。低通気、特に0.1〜2.0ml/cm2/秒程度の超低通気ウレタンフォームを製造するうえで好ましい
【0022】
発泡剤としては、ポリウレタンフォームの分野で従来から発泡剤として使用されているものが使用可能であり、環境的には水のみを用いるのが好ましい。水はポリイソシアネートと反応して炭酸ガスを発生することにより化学発泡剤として使用される。通常使用される発泡剤の量は、ポリオール成分100質量部に対して1〜7質量部が好ましい。また、発泡剤として適宜物理発泡剤を使用することができる。物理発泡剤として、メチレンクロライドやクロロフルオロカーボン類や、ヒドロキシクロロフルオロカーボン類(HCFC−134a等)、炭化水素類(シクロペンタン等)、炭酸ガス、液化炭酸ガス、その他の発泡剤が発泡助剤として水と併用して使用される。
【0023】
触媒、整泡剤としては、ポリウレタンフォームの製造に用いられている一般的なものを用いることができ、その添加量も、ポリウレタンフォームの製造に通常採用される量で良い。本発明では、上記添加成分以外に、本発明のポリウレタンフォームの性能を損なわない範囲において、難燃剤、酸化防止剤、連通化剤、着色剤、紫外線吸収剤、その他の添加剤を添加しても良い。
【0024】
空間形成部3は、パネル部側を上にして吸音材1を台上に静置したとき、パネル部2を支持するとともに、当該台とパネル部との間に、空間部4(斜線部)を形成する。吸音材1の配設時において吸音材に対して音源側とは反対側から面材を接近させても、当該空間形成部3により、パネル部と面材との当接が回避され、それらの間に空間部4がいつも確保されるようになる。
【0025】
空間形成部3は、パネル部2における音源側とは反対側に空間部4を形成できる限り、いかなる形態で形成されてもよい。
例えば、図1Aおよび図1Bに示すように、2つの空間形成部3が、パネル部2の両端においてそれぞれ独立して、特定の方向について連続的に形成されてもよい。
また例えば、図2Aおよび図2Bに示すように、2つの空間形成部3が、当該空間形成部3によって空間部4が分割されて形成されるように、パネル部2の端部から離れたところでそれぞれ独立して、特定の方向について連続的に形成されてもよい。
また例えば、図3Aおよび図3Bに示すように、3つ以上の空間形成部3が島状に点在するように、それぞれ独立して形成されてもよい。
また例えば、図4Aおよび図4Bに示すように、3つ以上の空間形成部3がそれぞれ独立して、特定の方向について連続的に形成されてもよい。
また例えば、図5Aおよび図5Bに示すように、複数の空間形成部3がパネル部2側で互いに一体化されて形成されてもよい。
また例えば、上記した2以上の形態からなる複合的な形態で空間形成部3は形成されてもよい。
【0026】
空間形成部3の厚み(高さ)は、後述する範囲の空間部体積比が達成される限り特に制限されず、例えば、製造容易性、加工容易性の観点から、2〜15mmが好ましく、より好ましくは5〜10mmである。
【0027】
空間形成部3は、パネル部2における音源側とは反対側に空間部4を形成できる限り、いかなる材料からなっていてよい。
空間形成部3を構成する材料として、例えば、PUフォーム、ポリスチレンフォーム、フェノールフォーム、ポリエチレンフォーム等の高分子発泡体等が挙げられる。空間形成部は好ましくはPUフォーム、特に前記パネル部を形成するPUフォームと同様のPUフォームである。
【0028】
空間部4の体積は、吸音材と空間部との総体積に対する体積比で8〜80%であり、吸音率ピークの低周波数側へのシフト量増大の観点から好ましくは20〜80%、より好ましくは20〜60%である。空間部の体積比が小さすぎると、空間部の存在によっても吸音率ピークが低周波数側に有効にシフトしなくなり、むしろ高周波数側にシフトする。空間部の体積比が大きすぎると、吸音材、特に高分子発泡体型吸音材について、空間部の加工が困難となる。
【0029】
空間部4の体積は、吸音材1に対して音源側とは反対側から面材を、空間形成部3と接触するまで最接近させたとき、吸音材1と面材との間で挟まれて生じる間隙(斜線部)の体積のことである。
空間部4が、例えば図2A,図2B,図4Aおよび図4Bに示すように、空間形成部3によって分割されている場合、空間部の体積はそれらの空間部の総体積である。
【0030】
吸音材1の体積はパネル部2と空間形成部3との総体積である。
【0031】
吸音材を音源側とは反対側から真正面に見たときの平面図(例えば、図1B〜図5B)において、空間部4の面積は、上記範囲内の空間部体積比が達成される限り特に制限されず、例えば、吸音材の総面積に対する面積比で95%以下、特に5〜95%が、吸音率ピークの低周波数側へのシフト量増大の観点から好ましく、より好ましくは10〜80%である。
【0032】
吸音材1の総面積は、吸音材を音源側とは反対側から真正面に見たときの平面図において表示された吸音材の輪郭内部の最大面積であり、通常は当該輪郭内部に空間部が含まれる。
【0033】
空間部4の厚み(深さ)は上記した範囲の空間部体積比が達成される限り特に制限されるものではなく、通常は上記した空間形成部3の厚み(高さ)と同様の範囲内である。
【0034】
吸音材の総厚みは、パネル部の厚みと空間形成部の厚みとの総厚みであって、本発明の目的が達成される限り特に制限されるものではなく、通常は10〜50mmであり、好ましくは15〜35mmである。
【0035】
本発明の吸音材は、用途および配設場所等に応じた所望の寸法および形状を有するボード状PUフォームに対して、例えば、熱プレス加工法、接着加工法、切削加工法等の公知の方法で空間部を形成することにより製造できる。吸音率ピークの低周波数側へのシフト量増大の観点から空間部は熱プレス加工法により形成されることが好ましい。
【0036】
例えば、熱プレス加工法では、シート状PUフォームに対して、加熱された押圧部材を押圧することにより凹部(空間部)を形成し、吸音材を製造する。押圧部材の加熱温度は、PUフォームを溶融して空間部を形成できる限り特に制限されず、例えば、130〜230℃が好適である。圧力は、所望厚みの空間部が形成されれば特に制限されず、適宜設定されればよい。当該方法では、空間部とともに空間形成部も形成され、当該空間形成部はパネル部と同じPUフォームからなる。すなわち当該方法によって製造される吸音材では、パネル部と空間形成部との境界はそれらの構成材料に基づいて判別できない。このため、当該方法によって製造される吸音材は、パネル部と空間形成部との境界がそれらの形状に基づいて判別できる、例えば図1A〜図4Aで示すタイプのものである。一方、当該境界がそれらの形状に基づいて判別できない、例えば図5Aで示すタイプの吸音材は熱プレス加工法では製造されない。
【0037】
また例えば、接着加工法では、ボード状PUフォーム(パネル部)に対して、別途用意した空間形成部を、接着剤により貼り付けることにより空間部を形成し、吸音材を製造する。接着性及び製造容易性の観点から、空間形成部はPUフォーム、特にパネル部と同じPUフォームからなることが好ましい。接着剤はパネル部への空間形成部の接着が達成されれば特に制限されるものではない。当該方法では、パネル部と空間形成部との境界に接着剤層が存在し、当該境界はそれらの構成材料に基づいて判別できる。このため、接着加工法では、例えば図1A〜図5Aで示す吸音材が製造される。
【0038】
また例えば、切削加工法では、ボード状PUフォームから空間部に対応する部分を3次元的に切削除去することにより空間部を形成し、吸音材を製造する。具体的には、例えば、コンピューター制御による、3次元切削機を用いることができる。当該方法では、空間部とともに空間形成部も形成され、当該空間形成部はパネル部と同じPUフォームからなる。すなわち当該方法によって製造される吸音材では、パネル部と空間形成部との境界はそれらの構成材料に基づいて判別できない。このため、当該方法によって製造される吸音材は、パネル部と空間形成部との境界がそれらの形状に基づいて判別できる、例えば図1A〜図4Aで示すタイプのものである。一方、当該境界がそれらの形状に基づいて判別できない、例えば図5Aで示すタイプの吸音材は切削加工法では製造されない。
【0039】
本発明の吸音材は、例えば、自動車のエンジンルームの内部に貼り付けて使用することもできるし、高速道路の騒音壁に貼り付けて使用することもできる。いずれの場合においても、吸音材は騒音源側にパネル部が配置されるように貼り付けられる。
【実施例】
【0040】
<ヒステリシスロス率の測定方法>
ヒステリシスロス率の測定は、以下の条件でJIS K6400−2;2004(圧縮たわみB法)の試験方法に準拠して行った。
・加圧板;200φの円盤
・速度;10mm/分
・試験片サイズ;100mm×100mm×50mm(厚)
・最大圧縮率;50%
【0041】
詳しくは、試験片を試験機の台上中央に置き、加圧板で試験片に5Nの加重を加えた時の厚さを0.1mmまで読み取り、これを初めの厚さとする。この状態から加圧板を上記速度で、初めの厚さの50%まで押し込んだ後、同じ速度で加圧板を戻し、図6に示すような力−たわみ曲線を記録する。得られた力−たわみ曲線から、ヒステリシスロス率を以下の式に基づいて算出する。
ヒステリシスロス率(%)={面積(0abcd0)/面積(0abe0)}×100
【0042】
<通気量の測定方法>
通気量の測定は、JIS K 6400−7;2004 B法の試験方法に準拠して行った。同試験方法では、規定の試験片(幅220mm、長さ220mm、厚み10mm)を作製して試験装置に装着し、規定の面積、圧力差及び時間の条件下で、試験片を垂直に厚み方向で透過する空気量(ml/cm2/秒)を測定する。
【0043】
<吸音率の測定方法>
本明細書において吸音率は、JIS A 1405−1(定在波比法)による垂直入射吸音率のことである。垂直入射吸音率は、垂直入射の平面波の入射音響パワーと、そのうち試験体の表面から入って戻らない音響パワーとの比であり、吸音率が高い試験体ほど音響パワーが多く吸収される。
測定は(株)ソーテック製「自動垂直入射吸音率測定器」を用い、JIS A 1405−1に準拠して行った。垂直入射吸音率の測定系の概略図を図7に示す。吸音試験片(吸音材)1は、空間形成部3側が円形金属管10の底面11に接するように配置される。円形金属管10の他方の端部に設けられたスピーカ12を音源とする音は、吸音試験片1の前面の所定位置に配置されたプローブマイクロフォン13で集音され、垂直入射吸音率が算出される。スピーカ12から発生する音の周波数を100、125、160、200、250、315、400、500、630、800、1000、1250、1600、2000Hzと変動させ、各周波数での垂直入射吸音率を測定し、吸音率が極大になるピーク周波数を求めた。
本発明の吸音試験片1の測定に当たっては、円形金属管10としてA管(長さ835mm、内径91.6mm)を用い、吸音試験片1の直径は91.6mmとした。
【0044】
<ポリウレタンフォーム>
表に示すヒステリシスロス率および通気量を有するポリウレタンフォームA〜Kを各実施例/比較例で用いた。
【0045】
<実験例A>
(実施例A1;熱プレス加工法)
ポリウレタンフォームAから直径91.6mm×厚み20mm寸法の円盤状ポリウレタンフォームを切り出した。熱プレス加工法においてポリウレタンフォームに対して押圧部材を押圧することにより凹部(空間部)を形成し、吸音試験片を製造した。吸音試験片は図1に示す形状を有しており、パネル部および空間部は表1に示す寸法を有していた。熱プレス加工法において押圧部材の温度は190℃、押圧時間は3分間であり、押圧部材は所定の空間部の形状および寸法に対応する形状および寸法を有していた。空間形成部はパネル部と同じポリウレタンフォームからなっていた。
【0046】
(実施例A2〜A5/比較例A7、A9、A11およびA13;熱プレス加工法)
表1に示すポリウレタンフォームを用いたこと、表1に示す凹部(空間部)を形成するように熱プレス加工法を実施したこと以外、実施例A1と同様の方法により吸音試験片を製造した。ポリウレタンフォームFを用いた比較例A7では、熱プレス加工法において押圧部材の温度は200℃、押圧時間は4分間であった。
【0047】
(比較例A1〜A6、A8、A10およびA12)
表1に示すポリウレタンフォームを用いたこと、凹部(空間部)を形成することなく、円盤状ポリウレタンフォームをそのまま用いたこと以外、実施例A1と同様の方法により吸音試験片を製造した。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
ヒステリシスロス率が比較的高い場合、すなわちクッション性が比較的低い場合、空間部の存在により、吸音率ピークが低周波数側にシフトした(実施例A1〜A5および比較例A1〜A5)。
ヒステリシスロス率が比較的低い場合、すなわちクッション性が比較的高い場合、空間部の存在によっても、吸音率ピークは低周波数側にシフトしなかった(比較例A6〜A13)。
【0051】
<実験例B>
(実施例B1;熱プレス加工法)
表3に示すポリウレタンフォームを用いたこと、表3に示す凹部(空間部)を形成するように熱プレス加工法を実施したこと以外、実施例A1と同様の方法により吸音試験片を製造した。
【0052】
(実施例B2;接着加工法)
ポリウレタンフォームCから直径91.6mm×厚み10mm寸法の円盤状ポリウレタンフォーム(パネル部)および所定の形状および寸法(厚み10mm)の空間形成部を切り出した。接着加工法において、スプレー接着剤(ニューダクトスプレー1.5;3M社製)を用いてパネル部に空間形成部を接着することにより凹部(空間部)を形成し、吸音試験片を製造した。吸音試験片は図1に示す形状を有していた。空間形成部はパネル部と同じポリウレタンフォームからなっていた。
【0053】
(比較例B1〜B3)
表3に示すポリウレタンフォームを用いたこと、円盤状ポリウレタンフォームの厚みを表3に示す値に変更したこと、凹部(空間部)を形成することなく、円盤状ポリウレタンフォームをそのまま用いたこと以外、実施例A1と同様の方法により吸音試験片を製造した。
【0054】
【表3】
【0055】
【表4】
【0056】
空間部を熱プレス加工法により形成しても、接着加工法により形成しても、空間部の存在により、吸音率ピークが低周波数側にシフトした(実施例B1〜B2および比較例B1)。
空間部を熱プレス加工法により形成した吸音試験片の方が、接着加工法により形成した吸音試験片よりも、吸音率ピークの低周波数側へのシフト量は顕著に大きかった(実施例B1〜B2および比較例B1)。
【0057】
<実験例C>
(実施例C1〜C10/比較例C2〜C5;接着加工法)
円盤状ポリウレタンフォーム(パネル部)および空間形成部の厚みを表5に示す値に変更することにより、空間部の寸法を変更したこと以外、実施例B2と同様の方法により吸音試験片を製造した。
【0058】
(比較例C1)
円盤状ポリウレタンフォームの厚みを表5に示す値に変更したこと、凹部(空間部)を形成することなく、円盤状ポリウレタンフォームをそのまま用いたこと以外、実施例C1と同様の方法により吸音試験片を製造した。
【0059】
【表5】
【0060】
【表6】
【0061】
体積比が20%以上、特に20〜60%の吸音試験片の方が、体積比が8%以上20%未満の吸音試験片よりも、吸音率ピークの低周波数側へのシフト量は顕著に大きかった(実施例C5〜C7およびC9〜C10および実施例C1〜C4およびC8)。
【0062】
<実験例D>
(比較例D1およびD3)
表7に示すポリウレタンフォームを用いたこと、円盤状ポリウレタンフォーム(パネル部)の厚みを表7に示す値に変更したこと、凹部(空間部)を形成することなく、円盤状ポリウレタンフォームをそのまま用いたこと以外、実施例C1と同様の方法により吸音試験片を製造した。
【0063】
(比較例D2およびD4;接着加工法)
表7に示すポリウレタンフォームを用いたこと、円盤状ポリウレタンフォーム(パネル部)および空間形成部の厚みを表7に示す値に変更することにより、空間部の寸法を変更したこと以外、実施例B2と同様の方法により吸音試験片を製造した。
【0064】
(比較例D5;熱プレス加工法)
表7に示すポリウレタンフォームを用いたこと、表7に示す凹部(空間部)を形成するように熱プレス加工法を実施したこと以外、実施例A1と同様の方法により吸音試験片を製造した。
【0065】
【表7】
【0066】
【表8】
【0067】
本実施例で使用したポリウレタンフォームの密度を表9に示す。
【0068】
【表9】
【符号の説明】
【0069】
1:吸音材
2:パネル部
3:空間形成部
4:空間部
【技術分野】
【0001】
本発明は騒音源からの騒音を吸収させるための吸音材、特に、主として自動車用の吸音材に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の車内では多様な騒音が発生している。例えば、数Hz〜数百Hzのエンジン音、タイヤが発生源となる約100Hz〜1kHzのロードノイズ、さらに10KHzに達する風騒音など、騒音は低周波数から比較的高周波数にわたっている。このように広い周波数帯域の騒音を吸収する自動車の吸音材としては、ポリウレタンフォームが知られている。ポリウレタンフォームによって1kHz〜5kHzの騒音を効果的に吸収することができるが、比較的低周波数の騒音は十分に吸収できなかった。
【0003】
1kHz以下の低周波数の騒音を吸収させることを目的として種々の提案がされている。例えば、ポリウレタンフォームからなる板と、クロス繊維との複合構成の吸音材が提案されている(特許文献1)。また例えば、多孔質体からなる比較的高通気量の高通気層およびポリウレタンフォームからなる比較的低通気量の低通気層を備えた積層吸音材が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3333052号公報
【特許文献2】特開2010−184655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記の吸音材において、ポリウレタンフォームとして剛性が必要である点から、クッション性が低いもの、例えばヒステリシスロス率70%以上のものを使用するのであるが、通気量や厚みを変化させても1500Hz以下の比較的低周波数の騒音を十分に吸収できなかった。具体的には、低周波数から高周波数までの各所定の周波数で音を発生させて吸音率を測定し、周波数(横軸)−吸音率(縦軸)グラフを作成したとき、吸音率ピークが1500Hz以上の比較的高周波数帯域に現れた。
【0006】
本発明は、クッション性が比較的低いポリウレタンフォームを用いても、周波数(横軸)−吸音率(縦軸)グラフにおいて十分に低周波数帯域で吸音率ピークを示す吸音材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ポリウレタンフォームからなるパネル部、および該パネル部における音源側とは反対側に位置し、かつ該反対側に開放された空間部を形成する空間形成部を有する吸音材であって、
パネル部のポリウレタンフォームがヒステリシスロス率70%以上および通気量0.05〜10ml/cm2/秒(10mm厚)を有し、
該吸音材と空間部との総体積に対する空間部の体積比が8〜80%である吸音材に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の吸音材は、クッション性が比較的低いポリウレタンフォームを用いるにもかかわらず、周波数(横軸)−吸音率(縦軸)グラフにおいて十分に低周波数帯域、例えば1500Hz以下、特に800〜1250Hzの周波数帯域で吸音率ピークを示す。詳しくは本発明の吸音材は、パネル部における音源側とは反対側の空間部の存在により、空間部を有さない吸音材と比較して、周波数(横軸)−吸音率(縦軸)グラフにおいて吸音率ピークが低周波数側に有効にシフトする。このため、低・中周波数帯域の騒音を効果的に吸収できる。本発明の吸音材はまた、比較的単純な構造を有するため、製造が簡便であり、低コストで製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1A】本発明に係る吸音材の一例の立面図である。
【図1B】図1Aの吸音材を音源側とは反対側から見たときの平面図である。
【図2A】本発明に係る吸音材の一例の立面図である。
【図2B】図2Aの吸音材を音源側とは反対側から見たときの平面図である。
【図3A】本発明に係る吸音材の一例の立面図である。
【図3B】図3Aの吸音材を音源側とは反対側から見たときの平面図である。
【図4A】本発明に係る吸音材の一例の立面図である。
【図4B】図4Aの吸音材を音源側とは反対側から見たときの平面図である。
【図5A】本発明に係る吸音材の一例の立面図である。
【図5B】図5Aの吸音材を音源側とは反対側から見たときの平面図である。
【図6】ヒステリシスロス率の測定方法を説明するための力−たわみ曲線グラフである。
【図7】吸音率の測定系の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る吸音材は、ポリウレタンフォームからなるパネル部および該パネル部の音源側とは反対側で空間部を形成する空間形成部を有するものである。詳しくは図1A〜図5Aおよび図1B〜図5Bに示すように、本発明に係る吸音材1は、パネル部2における音源側(騒音源側)とは反対側に空間形成部3を有するものであり、該空間形成部3により、当該反対側に開放された空間部4が形成される。本発明においては、かかる空間部4の存在により、空間部を有さない吸音材と比較して、周波数(横軸)−吸音率(縦軸)グラフにおいて吸音率ピークを、例えば350〜1200Hzのようなシフト量で低周波数側に有効にシフトさせることができる。図1A〜図5Aはいずれも本発明に係る吸音材の一例の立面図であり、これらの図面上、上側が音源側であり、上下方向が厚み方向である。図1B〜図5Bはそれぞれ図1A〜図5Aの吸音材を音源側とは反対側から真正面に見たときの平面見取り図である。なお、上記図面において吸音材は全体として略円盤形状を有しているが、これに限定されるものではなく、配設場所に応じて所望の形状を有してよく、例えば、略長方形盤形状、略台形盤形状、略楕円盤形状、またはそれらの複合形状を有していてよい。以下、図1A〜図5Aおよび図1B〜図5Bを用いて本発明を詳しく説明する。これらの図において共通する符号が付された部材、特に空間形成部3および空間部4は形状が異なること以外、同等の部材を意味するものである。
【0011】
パネル部2を形成するポリウレタンフォーム(以下、「PUフォーム」と示すことがある)は、ヒステリシスロス率が70%以上、好ましくは70〜100%、より好ましくは75〜95%であり、かつ通気量が0.05〜10ml/cm2/秒(10mm厚)、好ましくは0.1〜8ml/cm2/秒(10mm厚)、より好ましくは0.1〜7ml/cm2/秒(10mm厚)である。
【0012】
ヒステリシスロス率とはクッション性(反発性)を表すひとつの指標であり、後述する方法によって測定される値である。ヒステリシスロス率が高いほど、クッション性が低いことを意味する。本発明では、そのようなヒステリシスロス率が比較的高いPUフォームをパネル部に用いるので、空間部の存在により、周波数(横軸)−吸音率(縦軸)グラフにおいて吸音率ピークを低周波数側に有効にシフトさせることができる。ヒステリシスロス率が低すぎると、空間部の存在によっても吸音率ピークが低周波数側に有効にシフトしない。
【0013】
通気量は、10mm厚の試料中を厚み方向に通過する空気量(ml/cm2/秒)であり、後述する方法によって測定される値である。通気量が高すぎると、空間部の存在によっても吸音率ピークが低周波数側に有効にシフトしなくなり、むしろ高周波数側にシフトする。通気量が低すぎるPUフォームの製造は困難である。
【0014】
パネル部2の厚みは、本発明の目的が達成される限り特に制限されるものではなく、通常は8〜45mmであり、吸音率ピークの低周波数側へのシフトの観点から好ましくは15〜30mmである。
【0015】
パネル部2のPUフォームは、市販品として入手することができる。例えば、クララフォーム(倉敷紡績社製)等が挙げられる。
【0016】
パネル部2のPUフォームは、例えば、少なくともポリオール成分、ポリイソシアネート成分及び発泡剤、必要により整泡剤、触媒、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤等の添加剤を含有するウレタンフォーム原料組成物を、ワンショット法などの公知の製造方法によって反応および発泡させて得ることができる。例えば、ワンショット法では、各成分をミキシングチャンバーに同時に加えると同時に強力な撹拌によって混合し、PUフォームを製造する。
【0017】
PUフォームの製造に用いるポリオール成分は、1分子中に2個以上の水酸基を有するもので、従来からPUフォームを製造するために使用されているものであればいずれのものでもよい。このようなポリオール成分として、例えばポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールを挙げることができる。ポリオール成分は一種又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
【0018】
ポリエーテルポリオールはポリエーテルウレタンフォームの製造に使用されるポリオール成分であり、1分子中に活性水素原子を2個以上有する化合物を開始剤として、これにアルキレンオキサイドを付加重合させたものを使用することができる。ここに使用する活性水素原子を2個以上有する化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、蔗糖等を挙げることができる。アルキレンオキサイドとしては、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等を挙げることができる。1分子中に活性水素原子を2個以上有する化合物及びアルキレンオキサイドは、それぞれ一種以上を用いてよい。また、ポリエーテルポリオールに、ビニル系ポリマー微粒子が均一に分散された、いわゆるポリマーポリオールを用いてもよい。
【0019】
ポリエステルポリオールはポリエステルウレタンフォームの製造に使用されるポリオール成分であり、ポリカルボン酸と、1分子中に2個以上の水酸基を有する化合物とを重縮合させることによって得られるものである。ポリカルボン酸としては1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する化合物が使用され、具体的には、例えばアジピン酸、マレイン酸、コハク酸、マロン酸、フタル酸などが使用可能である。1分子中に2個以上の水酸基を有する化合物としては、上記ポリエーテルポリオールの開始剤として使用される活性水素原子を2個以上有する化合物と同じ化合物を使用することができる。ポリカルボン酸及び1分子中に2個以上の水酸基を有する化合物は、それぞれ一種以上を用いてよい。ポリエステルポリオールは、公知の方法で製造することができる。
【0020】
ポリイソシアネート成分は、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物である限り、特に制限されるものではなく、例えば、脂肪族系、芳香族系等のポリイソシアネートが単独または2種以上混合して用いられる。脂肪族系ポリイソシアネートの具体例としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイシソシアネート等が挙げられる。芳香族系ポリイソシアネートの具体例としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートの混合物、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルジイソシアネート等が挙げられる。
【0021】
本発明において好ましく用いられるのは、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルジイソシアネートであり、特にポリメチレンポリフェニルジイソシアネート(いわゆるクルードMDI)である。低通気、特に0.1〜2.0ml/cm2/秒程度の超低通気ウレタンフォームを製造するうえで好ましい
【0022】
発泡剤としては、ポリウレタンフォームの分野で従来から発泡剤として使用されているものが使用可能であり、環境的には水のみを用いるのが好ましい。水はポリイソシアネートと反応して炭酸ガスを発生することにより化学発泡剤として使用される。通常使用される発泡剤の量は、ポリオール成分100質量部に対して1〜7質量部が好ましい。また、発泡剤として適宜物理発泡剤を使用することができる。物理発泡剤として、メチレンクロライドやクロロフルオロカーボン類や、ヒドロキシクロロフルオロカーボン類(HCFC−134a等)、炭化水素類(シクロペンタン等)、炭酸ガス、液化炭酸ガス、その他の発泡剤が発泡助剤として水と併用して使用される。
【0023】
触媒、整泡剤としては、ポリウレタンフォームの製造に用いられている一般的なものを用いることができ、その添加量も、ポリウレタンフォームの製造に通常採用される量で良い。本発明では、上記添加成分以外に、本発明のポリウレタンフォームの性能を損なわない範囲において、難燃剤、酸化防止剤、連通化剤、着色剤、紫外線吸収剤、その他の添加剤を添加しても良い。
【0024】
空間形成部3は、パネル部側を上にして吸音材1を台上に静置したとき、パネル部2を支持するとともに、当該台とパネル部との間に、空間部4(斜線部)を形成する。吸音材1の配設時において吸音材に対して音源側とは反対側から面材を接近させても、当該空間形成部3により、パネル部と面材との当接が回避され、それらの間に空間部4がいつも確保されるようになる。
【0025】
空間形成部3は、パネル部2における音源側とは反対側に空間部4を形成できる限り、いかなる形態で形成されてもよい。
例えば、図1Aおよび図1Bに示すように、2つの空間形成部3が、パネル部2の両端においてそれぞれ独立して、特定の方向について連続的に形成されてもよい。
また例えば、図2Aおよび図2Bに示すように、2つの空間形成部3が、当該空間形成部3によって空間部4が分割されて形成されるように、パネル部2の端部から離れたところでそれぞれ独立して、特定の方向について連続的に形成されてもよい。
また例えば、図3Aおよび図3Bに示すように、3つ以上の空間形成部3が島状に点在するように、それぞれ独立して形成されてもよい。
また例えば、図4Aおよび図4Bに示すように、3つ以上の空間形成部3がそれぞれ独立して、特定の方向について連続的に形成されてもよい。
また例えば、図5Aおよび図5Bに示すように、複数の空間形成部3がパネル部2側で互いに一体化されて形成されてもよい。
また例えば、上記した2以上の形態からなる複合的な形態で空間形成部3は形成されてもよい。
【0026】
空間形成部3の厚み(高さ)は、後述する範囲の空間部体積比が達成される限り特に制限されず、例えば、製造容易性、加工容易性の観点から、2〜15mmが好ましく、より好ましくは5〜10mmである。
【0027】
空間形成部3は、パネル部2における音源側とは反対側に空間部4を形成できる限り、いかなる材料からなっていてよい。
空間形成部3を構成する材料として、例えば、PUフォーム、ポリスチレンフォーム、フェノールフォーム、ポリエチレンフォーム等の高分子発泡体等が挙げられる。空間形成部は好ましくはPUフォーム、特に前記パネル部を形成するPUフォームと同様のPUフォームである。
【0028】
空間部4の体積は、吸音材と空間部との総体積に対する体積比で8〜80%であり、吸音率ピークの低周波数側へのシフト量増大の観点から好ましくは20〜80%、より好ましくは20〜60%である。空間部の体積比が小さすぎると、空間部の存在によっても吸音率ピークが低周波数側に有効にシフトしなくなり、むしろ高周波数側にシフトする。空間部の体積比が大きすぎると、吸音材、特に高分子発泡体型吸音材について、空間部の加工が困難となる。
【0029】
空間部4の体積は、吸音材1に対して音源側とは反対側から面材を、空間形成部3と接触するまで最接近させたとき、吸音材1と面材との間で挟まれて生じる間隙(斜線部)の体積のことである。
空間部4が、例えば図2A,図2B,図4Aおよび図4Bに示すように、空間形成部3によって分割されている場合、空間部の体積はそれらの空間部の総体積である。
【0030】
吸音材1の体積はパネル部2と空間形成部3との総体積である。
【0031】
吸音材を音源側とは反対側から真正面に見たときの平面図(例えば、図1B〜図5B)において、空間部4の面積は、上記範囲内の空間部体積比が達成される限り特に制限されず、例えば、吸音材の総面積に対する面積比で95%以下、特に5〜95%が、吸音率ピークの低周波数側へのシフト量増大の観点から好ましく、より好ましくは10〜80%である。
【0032】
吸音材1の総面積は、吸音材を音源側とは反対側から真正面に見たときの平面図において表示された吸音材の輪郭内部の最大面積であり、通常は当該輪郭内部に空間部が含まれる。
【0033】
空間部4の厚み(深さ)は上記した範囲の空間部体積比が達成される限り特に制限されるものではなく、通常は上記した空間形成部3の厚み(高さ)と同様の範囲内である。
【0034】
吸音材の総厚みは、パネル部の厚みと空間形成部の厚みとの総厚みであって、本発明の目的が達成される限り特に制限されるものではなく、通常は10〜50mmであり、好ましくは15〜35mmである。
【0035】
本発明の吸音材は、用途および配設場所等に応じた所望の寸法および形状を有するボード状PUフォームに対して、例えば、熱プレス加工法、接着加工法、切削加工法等の公知の方法で空間部を形成することにより製造できる。吸音率ピークの低周波数側へのシフト量増大の観点から空間部は熱プレス加工法により形成されることが好ましい。
【0036】
例えば、熱プレス加工法では、シート状PUフォームに対して、加熱された押圧部材を押圧することにより凹部(空間部)を形成し、吸音材を製造する。押圧部材の加熱温度は、PUフォームを溶融して空間部を形成できる限り特に制限されず、例えば、130〜230℃が好適である。圧力は、所望厚みの空間部が形成されれば特に制限されず、適宜設定されればよい。当該方法では、空間部とともに空間形成部も形成され、当該空間形成部はパネル部と同じPUフォームからなる。すなわち当該方法によって製造される吸音材では、パネル部と空間形成部との境界はそれらの構成材料に基づいて判別できない。このため、当該方法によって製造される吸音材は、パネル部と空間形成部との境界がそれらの形状に基づいて判別できる、例えば図1A〜図4Aで示すタイプのものである。一方、当該境界がそれらの形状に基づいて判別できない、例えば図5Aで示すタイプの吸音材は熱プレス加工法では製造されない。
【0037】
また例えば、接着加工法では、ボード状PUフォーム(パネル部)に対して、別途用意した空間形成部を、接着剤により貼り付けることにより空間部を形成し、吸音材を製造する。接着性及び製造容易性の観点から、空間形成部はPUフォーム、特にパネル部と同じPUフォームからなることが好ましい。接着剤はパネル部への空間形成部の接着が達成されれば特に制限されるものではない。当該方法では、パネル部と空間形成部との境界に接着剤層が存在し、当該境界はそれらの構成材料に基づいて判別できる。このため、接着加工法では、例えば図1A〜図5Aで示す吸音材が製造される。
【0038】
また例えば、切削加工法では、ボード状PUフォームから空間部に対応する部分を3次元的に切削除去することにより空間部を形成し、吸音材を製造する。具体的には、例えば、コンピューター制御による、3次元切削機を用いることができる。当該方法では、空間部とともに空間形成部も形成され、当該空間形成部はパネル部と同じPUフォームからなる。すなわち当該方法によって製造される吸音材では、パネル部と空間形成部との境界はそれらの構成材料に基づいて判別できない。このため、当該方法によって製造される吸音材は、パネル部と空間形成部との境界がそれらの形状に基づいて判別できる、例えば図1A〜図4Aで示すタイプのものである。一方、当該境界がそれらの形状に基づいて判別できない、例えば図5Aで示すタイプの吸音材は切削加工法では製造されない。
【0039】
本発明の吸音材は、例えば、自動車のエンジンルームの内部に貼り付けて使用することもできるし、高速道路の騒音壁に貼り付けて使用することもできる。いずれの場合においても、吸音材は騒音源側にパネル部が配置されるように貼り付けられる。
【実施例】
【0040】
<ヒステリシスロス率の測定方法>
ヒステリシスロス率の測定は、以下の条件でJIS K6400−2;2004(圧縮たわみB法)の試験方法に準拠して行った。
・加圧板;200φの円盤
・速度;10mm/分
・試験片サイズ;100mm×100mm×50mm(厚)
・最大圧縮率;50%
【0041】
詳しくは、試験片を試験機の台上中央に置き、加圧板で試験片に5Nの加重を加えた時の厚さを0.1mmまで読み取り、これを初めの厚さとする。この状態から加圧板を上記速度で、初めの厚さの50%まで押し込んだ後、同じ速度で加圧板を戻し、図6に示すような力−たわみ曲線を記録する。得られた力−たわみ曲線から、ヒステリシスロス率を以下の式に基づいて算出する。
ヒステリシスロス率(%)={面積(0abcd0)/面積(0abe0)}×100
【0042】
<通気量の測定方法>
通気量の測定は、JIS K 6400−7;2004 B法の試験方法に準拠して行った。同試験方法では、規定の試験片(幅220mm、長さ220mm、厚み10mm)を作製して試験装置に装着し、規定の面積、圧力差及び時間の条件下で、試験片を垂直に厚み方向で透過する空気量(ml/cm2/秒)を測定する。
【0043】
<吸音率の測定方法>
本明細書において吸音率は、JIS A 1405−1(定在波比法)による垂直入射吸音率のことである。垂直入射吸音率は、垂直入射の平面波の入射音響パワーと、そのうち試験体の表面から入って戻らない音響パワーとの比であり、吸音率が高い試験体ほど音響パワーが多く吸収される。
測定は(株)ソーテック製「自動垂直入射吸音率測定器」を用い、JIS A 1405−1に準拠して行った。垂直入射吸音率の測定系の概略図を図7に示す。吸音試験片(吸音材)1は、空間形成部3側が円形金属管10の底面11に接するように配置される。円形金属管10の他方の端部に設けられたスピーカ12を音源とする音は、吸音試験片1の前面の所定位置に配置されたプローブマイクロフォン13で集音され、垂直入射吸音率が算出される。スピーカ12から発生する音の周波数を100、125、160、200、250、315、400、500、630、800、1000、1250、1600、2000Hzと変動させ、各周波数での垂直入射吸音率を測定し、吸音率が極大になるピーク周波数を求めた。
本発明の吸音試験片1の測定に当たっては、円形金属管10としてA管(長さ835mm、内径91.6mm)を用い、吸音試験片1の直径は91.6mmとした。
【0044】
<ポリウレタンフォーム>
表に示すヒステリシスロス率および通気量を有するポリウレタンフォームA〜Kを各実施例/比較例で用いた。
【0045】
<実験例A>
(実施例A1;熱プレス加工法)
ポリウレタンフォームAから直径91.6mm×厚み20mm寸法の円盤状ポリウレタンフォームを切り出した。熱プレス加工法においてポリウレタンフォームに対して押圧部材を押圧することにより凹部(空間部)を形成し、吸音試験片を製造した。吸音試験片は図1に示す形状を有しており、パネル部および空間部は表1に示す寸法を有していた。熱プレス加工法において押圧部材の温度は190℃、押圧時間は3分間であり、押圧部材は所定の空間部の形状および寸法に対応する形状および寸法を有していた。空間形成部はパネル部と同じポリウレタンフォームからなっていた。
【0046】
(実施例A2〜A5/比較例A7、A9、A11およびA13;熱プレス加工法)
表1に示すポリウレタンフォームを用いたこと、表1に示す凹部(空間部)を形成するように熱プレス加工法を実施したこと以外、実施例A1と同様の方法により吸音試験片を製造した。ポリウレタンフォームFを用いた比較例A7では、熱プレス加工法において押圧部材の温度は200℃、押圧時間は4分間であった。
【0047】
(比較例A1〜A6、A8、A10およびA12)
表1に示すポリウレタンフォームを用いたこと、凹部(空間部)を形成することなく、円盤状ポリウレタンフォームをそのまま用いたこと以外、実施例A1と同様の方法により吸音試験片を製造した。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
ヒステリシスロス率が比較的高い場合、すなわちクッション性が比較的低い場合、空間部の存在により、吸音率ピークが低周波数側にシフトした(実施例A1〜A5および比較例A1〜A5)。
ヒステリシスロス率が比較的低い場合、すなわちクッション性が比較的高い場合、空間部の存在によっても、吸音率ピークは低周波数側にシフトしなかった(比較例A6〜A13)。
【0051】
<実験例B>
(実施例B1;熱プレス加工法)
表3に示すポリウレタンフォームを用いたこと、表3に示す凹部(空間部)を形成するように熱プレス加工法を実施したこと以外、実施例A1と同様の方法により吸音試験片を製造した。
【0052】
(実施例B2;接着加工法)
ポリウレタンフォームCから直径91.6mm×厚み10mm寸法の円盤状ポリウレタンフォーム(パネル部)および所定の形状および寸法(厚み10mm)の空間形成部を切り出した。接着加工法において、スプレー接着剤(ニューダクトスプレー1.5;3M社製)を用いてパネル部に空間形成部を接着することにより凹部(空間部)を形成し、吸音試験片を製造した。吸音試験片は図1に示す形状を有していた。空間形成部はパネル部と同じポリウレタンフォームからなっていた。
【0053】
(比較例B1〜B3)
表3に示すポリウレタンフォームを用いたこと、円盤状ポリウレタンフォームの厚みを表3に示す値に変更したこと、凹部(空間部)を形成することなく、円盤状ポリウレタンフォームをそのまま用いたこと以外、実施例A1と同様の方法により吸音試験片を製造した。
【0054】
【表3】
【0055】
【表4】
【0056】
空間部を熱プレス加工法により形成しても、接着加工法により形成しても、空間部の存在により、吸音率ピークが低周波数側にシフトした(実施例B1〜B2および比較例B1)。
空間部を熱プレス加工法により形成した吸音試験片の方が、接着加工法により形成した吸音試験片よりも、吸音率ピークの低周波数側へのシフト量は顕著に大きかった(実施例B1〜B2および比較例B1)。
【0057】
<実験例C>
(実施例C1〜C10/比較例C2〜C5;接着加工法)
円盤状ポリウレタンフォーム(パネル部)および空間形成部の厚みを表5に示す値に変更することにより、空間部の寸法を変更したこと以外、実施例B2と同様の方法により吸音試験片を製造した。
【0058】
(比較例C1)
円盤状ポリウレタンフォームの厚みを表5に示す値に変更したこと、凹部(空間部)を形成することなく、円盤状ポリウレタンフォームをそのまま用いたこと以外、実施例C1と同様の方法により吸音試験片を製造した。
【0059】
【表5】
【0060】
【表6】
【0061】
体積比が20%以上、特に20〜60%の吸音試験片の方が、体積比が8%以上20%未満の吸音試験片よりも、吸音率ピークの低周波数側へのシフト量は顕著に大きかった(実施例C5〜C7およびC9〜C10および実施例C1〜C4およびC8)。
【0062】
<実験例D>
(比較例D1およびD3)
表7に示すポリウレタンフォームを用いたこと、円盤状ポリウレタンフォーム(パネル部)の厚みを表7に示す値に変更したこと、凹部(空間部)を形成することなく、円盤状ポリウレタンフォームをそのまま用いたこと以外、実施例C1と同様の方法により吸音試験片を製造した。
【0063】
(比較例D2およびD4;接着加工法)
表7に示すポリウレタンフォームを用いたこと、円盤状ポリウレタンフォーム(パネル部)および空間形成部の厚みを表7に示す値に変更することにより、空間部の寸法を変更したこと以外、実施例B2と同様の方法により吸音試験片を製造した。
【0064】
(比較例D5;熱プレス加工法)
表7に示すポリウレタンフォームを用いたこと、表7に示す凹部(空間部)を形成するように熱プレス加工法を実施したこと以外、実施例A1と同様の方法により吸音試験片を製造した。
【0065】
【表7】
【0066】
【表8】
【0067】
本実施例で使用したポリウレタンフォームの密度を表9に示す。
【0068】
【表9】
【符号の説明】
【0069】
1:吸音材
2:パネル部
3:空間形成部
4:空間部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリウレタンフォームからなるパネル部、および該パネル部における音源側とは反対側に位置し、かつ該反対側に開放された空間部を形成する空間形成部を有する吸音材であって、
パネル部のポリウレタンフォームがヒステリシスロス率70%以上および通気量0.05〜10ml/cm2/秒(10mm厚)を有し、
該吸音材と空間部との総体積に対する空間部の体積比が8〜80%である吸音材。
【請求項2】
吸音材を音源側とは反対側から見たときの平面図において、空間部の面積が吸音材の総面積に対して95%以下である請求項1に記載の吸音材。
【請求項3】
パネル部と空間形成部との総厚みが10〜50mmである請求項1または2に記載の吸音材。
【請求項4】
空間部が、熱プレス加工法により形成された請求項1〜3のいずれかに記載の吸音材。
【請求項5】
空間部が、空間形成部をパネル部に接着剤により貼り付ける接着加工法により形成された請求項1〜3のいずれかに記載の吸音材。
【請求項1】
ポリウレタンフォームからなるパネル部、および該パネル部における音源側とは反対側に位置し、かつ該反対側に開放された空間部を形成する空間形成部を有する吸音材であって、
パネル部のポリウレタンフォームがヒステリシスロス率70%以上および通気量0.05〜10ml/cm2/秒(10mm厚)を有し、
該吸音材と空間部との総体積に対する空間部の体積比が8〜80%である吸音材。
【請求項2】
吸音材を音源側とは反対側から見たときの平面図において、空間部の面積が吸音材の総面積に対して95%以下である請求項1に記載の吸音材。
【請求項3】
パネル部と空間形成部との総厚みが10〜50mmである請求項1または2に記載の吸音材。
【請求項4】
空間部が、熱プレス加工法により形成された請求項1〜3のいずれかに記載の吸音材。
【請求項5】
空間部が、空間形成部をパネル部に接着剤により貼り付ける接着加工法により形成された請求項1〜3のいずれかに記載の吸音材。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2013−29596(P2013−29596A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164393(P2011−164393)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000001096)倉敷紡績株式会社 (296)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000001096)倉敷紡績株式会社 (296)
【Fターム(参考)】
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