説明

呼気採取容器

【課題】呼気を採取した後に容器を簡単に封止することができる、呼気採取容器を提供する。
【解決手段】呼気採取容器は、内部空間Mにつながる貫通開孔21aを設けたベースキャップ20Aと、管状体31の先端開口31aから吹き込まれる呼気を内部空間Mに導くノズル30Aとを備え、天面壁21は、内側筒体21bと、内側筒体21bを取り囲んで起立する外側筒体21eと、内側筒体21b及び外側筒体21eとの相互間に設けられ内部空間Mに通じる少なくとも1つの開孔21dとを備え、ノズル30Aは、外側筒体21eに上昇、下降変位可能に支持される外周壁33を有し、外周壁33は、内部空間M内の気体を外界に向けて排出する出口通路Kbを備え、上面壁32に、ノズル30Aの下降姿勢にて出口通路Kbを閉鎖する一方、ノズル30Aの上昇姿勢にて出口通路Kbを開放するシール部32aを設けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼気を採取してその内部空間に保持することができる呼気採取容器に関するものであり、特には、呼気を採取した後に容器を簡単に封止することができるものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、呼気中の含有成分を分析することによって、疾病の診断や健康状態の確認、飲酒に係る検査等が行われている。通常、呼気中の含有成分の分析には、各種の分析装置が必要となるため、これらの診断や検査を行うに当たっては、容器内に吹き込んだ呼気が漏れないように封止しておき、この容器を、分析装置を備える検査機関等に輸送して、その検査機関にて調べることが大半である。そしてこのような採取した呼気を封止しておく容器として従来は、例えば特許文献1に記載のように、プラスチックフィルムを貼着させた袋状の容器の管状口部を、キャップ等でねじ止めして封止することが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−215675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した容器は、管状口部を封止するキャップが容器から分離する別部材であるが故に、容器から取り外した際に紛失してしまうおそれがあり、また、呼気を採取するに当たっては、キャップを容器の管状口部から一旦取り外し、呼気を採取した後は再度管状口部に挿入してねじ止めする作業が必要であって、使い勝手の点で、未だ改善の余地が残されていた。
【0005】
本発明の課題は、呼気を採取する呼気採取容器に関し、呼気を採取した後に容器を簡単に封止できて使い勝手に優れる新たな呼気採取容器を提案するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、容器本体の口部を覆う天面壁に、該容器本体の内部空間につながる貫通開孔を設けたベースキャップと、該貫通開孔に連通する管状体を有し、該管状体の先端開口から吹き込まれる呼気を該内部空間に導くノズルとを備えた呼気採取容器であって、
前記天面壁は、前記貫通開孔の縁部から立ち上がり前記ノズルとの間で前記先端開口から該貫通開孔に至る入口通路を区画形成する内側筒体と、該内側筒体を取り囲んで起立する外側筒体と、該内側筒体及び該外側筒体との相互間に設けられ前記内部空間に通じる少なくとも1つの開孔とを備え、
該ノズルは、前記管状体と一体連結する上面壁の縁部から該外側筒体を取り囲んで垂下され、該外側筒体に上昇、下降変位可能に支持される外周壁を有し、
該外周壁は、該外側筒体との相互間に、該開孔を通して送出された該内部空間内の気体を外界に向けて排出する出口通路を備え、
該上面壁に、該ノズルの下降姿勢にて該外側筒体と当接して該出口通路を閉鎖する一方、該ノズルの上昇姿勢にて該出口通路を開放するシール部を設けたことを特徴とする呼気採取容器である。
【0007】
前記ノズルに、前記入口通路を閉鎖して前記内部空間を気密に保持する一方、ノズルの上昇姿勢における呼気の吹き込み時のみ開放する吸気弁を設けることが望ましい。
【0008】
前記ノズルに、前記管状体を取り囲んで着脱自在に保持されるオーバーキャップを設け、該オーバーキャップに、該管状体の先端開口を閉鎖する封止部を設けることが望ましい。
【0009】
前記ベースキャップは、前記貫通開孔の縁部に沿って間隔をおいて配設される複数の脚部と、該脚部に一体連結して支持される蓋部とを有し、前記管状体に、前記ノズルの下降姿勢にて該蓋部と当接して前記内部空間を気密に保持する閉塞部を設けることが望ましい。
【0010】
前記ベースキャップは、前記貫通開孔の縁部に沿って間隔をおいて配設される複数の脚部と、該脚部に一体連結して支持される蓋部とを有し、
前記蓋部を、ノズルの下降姿勢にて前記吸気弁に当接させて該吸気弁を閉鎖状態に維持することが望ましい。
【発明の効果】
【0011】
ノズルの管状体に一体連結する上面壁の縁部に、ベースキャップに設けた外側筒体を取り囲むとともにこの外側筒体に上昇、下降変位可能に支持される外周壁を設け、この外周壁と外側筒体との相互間に内部空間内の気体を外界に向けて排出する出口通路を形成し、上面壁に、ノズルの下降姿勢にて外側筒体と当接して出口通路を閉鎖する一方、ノズルの上昇姿勢にて出口通路を開放するシール部を設けたので、ノズルの上昇、下降変位に応じて出口通路の開放、閉鎖を切り替えることができる結果、内部空間内への呼気の取り込みとその内部空間内での呼気の保持を簡単に切り替えることができ、使い勝手が良くなる。
【0012】
ノズルに、そのノズルの先端開口からベースキャップの貫通開孔に至る入口通路を閉鎖する一方、ノズルの上昇姿勢における呼気の吹き込み時のみ開放する吸気弁を設ける場合は、内部空間内に採取した呼気と入口通路内の外気との接触が防止できるので、呼気の変質等のおそれを十分に抑えることができる。
【0013】
ノズルに、管状体を取り囲んで着脱自在に保持されるオーバーキャップを設け、このオーバーキャップに、管状体の先端開口を閉鎖する封止部を設ける場合は、内部空間内の気密の維持をより確実なものとすることができる。
【0014】
ベースキャップに、貫通開孔の縁部に沿って間隔をおいて配設される複数の脚部及びこれらの脚部に一体連結して支持される蓋部を設け、管状体に、ノズルの下降姿勢にて蓋部と当接する閉塞部を設ける場合は、ノズルの上昇、下降変位に応じて、入口通路も開放、閉鎖することができるので、簡単な操作の下で、内部空間内に採取した呼気と入口通路内の外気との接触が防止できる。
【0015】
ベースキャップに、貫通開孔の縁部に沿って間隔をおいて配設される複数の脚部及びこれらの脚部に一体連結して支持される蓋部を設け、蓋部を、ノズルの下降姿勢にて吸気弁に当接させる場合は、ノズルの下降姿勢において、吸気弁が閉塞姿勢に維持されるので、内部空間内の気密がさらに確実に保持される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に従う呼気採取容器の実施の形態につき、ノズルの下降姿勢での断面図及び拡大図、並びにX−Xに沿う断面図である。
【図2】図1に示す呼気採取容器につき、ノズル周辺の部材の右側半分を示す部分拡大断面図である。
【図3】ノズルを上昇姿勢に変位させて呼気を吹き込んだ際の気体の流れを示す部分拡大断面図である。
【図4】本発明に従う呼気採取容器の他の実施の形態につき、ノズルの下降姿勢での断面図である。
【図5】図4に示す呼気採取容器につき、ノズル周辺の部材の右側半分を示す部分拡大断面図である。
【図6】ノズルを上昇姿勢に変位させて呼気を吹き込んだ際の気体の流れを示す部分拡大断面図である。
【図7】本発明に従う呼気採取容器のさらに他の実施の形態につき、ノズルの下降姿勢での断面図である。
【図8】図7に示す呼気採取容器につき、ノズル周辺の部材の右側半分を示す部分拡大断面図である。
【図9】ノズルを上昇姿勢に変位させて呼気を吹き込んだ際の気体の流れを示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明をより具体的に説明する。
図1は、本発明に従う呼気採取容器の実施の形態につき、ノズルの下降姿勢での断面図であって、図2は、図1に示す呼気採取容器につき、ノズル周辺の部材の右側半分を示す部分拡大断面図であって、図3は、ノズルを上昇姿勢に変位させて呼気を吹き込んだ際の気体の流れを示す部分拡大断面図である。
【0018】
図1において、10は容器本体である。図示の例で容器本体10は、その容器本体10の内側に向けて凸状となる底部11と、底部11の縁部を取り囲んで起立する胴部12と、肩部13を介して胴部12に一体連結する口部14とからなり、これらで区画形成される内部空間Mに、後述するノズルを通して導入される呼気等の各種気体を収容することができる。口部14の外側壁には、ねじやアンダーカットで形成される結合部14a(図示の例ではねじ)が設けられている。また、容器本体10の材質としては、各種のものが適用可能であるが、ある程度の保形性を確保して内部空間Mの容積を維持するべく合成樹脂を用いることが好ましい。さらに、収容した呼気等の変質を防止するために、容器本体10にバリア層を設けてもよい。
【0019】
20Aは、口部14に保持されるベースキャップである。図2に示すようにベースキャップ20Aは、口部14の上端開口を閉鎖する天面壁21と、天面壁21の縁部を取り囲んで垂下される外壁22とを備えている。外壁22の内面壁には、結合部14aに対応する被結合部22aが設けられていて、ベースキャップ20Aを口部14に着脱自在に保持している。
【0020】
天面壁21の中央部分には、その表裏を貫く貫通開孔21aが設けられている。貫通開孔21aの縁部には、天面壁21の上面壁より起立する内側筒体21bと、天面壁21の下面壁より垂下される環状の保持壁21cが形成されている。保持壁21cには、容器本体10の底部11へ向けて伸延するパイプpが嵌合保持されている。また、内側筒体21b及び保持壁21cの半径方向外側には、天面壁21を貫通して内部空間Mにつながる開孔21dが少なくとも1つ設けられている。開孔21dの半径方向外側には、天面壁21の上面壁より起立して内側筒体21b及び開孔21dを取り囲む外側筒体21eと、天面壁21の下面壁より垂下されて口部14の内面壁と気密に当接するシール壁21fが設けられている。また、外側筒体21eの外面壁には、図2に示す例では、ねじ部nが形成されている。
【0021】
30Aは、ベースキャップ20Aの上部に配設されて呼気の吹き込み口となるノズルである。ノズル30Aは、その中央部分で起立するとともに貫通開孔21aと連通する管状体31と、管状体31の下端部外側と連結し半径方向外側に向けて延在する円形状の上面壁32と、上面壁32の縁部を取り囲んで垂下される外周壁33とを備えている。外周壁33の内面壁には、ねじ部nに対応する被ねじ部n’が形成されていて、外側筒体21eに沿って上昇、下降変位可能に支持されている。図示の例でねじ部nは、その周方向の一部が切り欠かれていて、この切り欠きが気体の通路(出口通路Kb)となっている。なお、切り欠きを設けずに、ねじ部n及び被ねじ部n’間に形成される僅かな隙間を出口通路Kbとしてもよい。外周壁33の半径方向内側には、上面壁32の下面より垂下される環状のシール部32aが設けられていて、図2に示すノズル30Aの下降姿勢にて外側筒体21eと気密に当接している。また、シール部32aの半径方向内側には、ベースキャップ20Aの内側筒体21bと気密に当接する環状の内側壁32bが設けられていて、さらに内側壁32bの半径方向内側には、上面壁32の表裏を貫く貫通孔32cが形成されている。これにより、管状体31の先端開口31aから貫通孔32cを通りベースキャップ20Aの貫通開孔21aに至る通路が区画形成され、この通路は、吹き込まれた呼気を内部空間Mに導通する入口通路Kaとなっている。そして管状体31の外側中間部には、凸部31bが形成されている。
【0022】
また、図2に示すように入口通路Kaには、吸気弁40Aを設けてもよい。図示の例で吸気弁40Aは、貫通孔32cが設けられた上面壁32の下面壁と気密に当接する弁部41と、この弁部41を隙間をあけて取り囲む支持部42とを有し、図1に示すように弁部41と支持部42とを、1箇所の連結部で一体連結した1点支持弁である。図2に示すように吸気弁40Aは、内側壁32bに設けた凸部に支持部42を係合させて抜け止め保持されている。上記のように構成される吸気弁40Aは、通常は貫通孔32cを閉鎖するが、呼気の吹き込み時のみ開放する逆止弁として機能する。なお、吸気弁40Aは1点支持弁に限られず、例えば3点支持弁であってもよい。
【0023】
また、管状体31の先端開口31aを閉鎖するオーバーキャップ50Aを設けてもよい。図示の例でオーバーキャップ50Aは、先端開口31aを覆う頂壁51を有し、この頂壁51の端縁を残してその半径方向内側より垂下される外側周壁52を備えている。頂壁51には、その下面壁から垂下され管状体31の先端開口31aと気密に当接する環状の封止部51aが設けられている。また、外側周壁52の内面壁には、凸部31bに対応する凹部52aが形成されていて、オーバーキャップ50Aは、管状体31に着脱可能に保持されている。
【0024】
上記のように構成される容器本体10の内部空間M内には、予め空気が収容された状態となっているが、必要に応じて、不活性ガス等の各種の気体を充填しておいてもよい。そして、呼気を採取するに当たっては、オーバーキャップ50Aを取り外し、ノズル30Aを相対的に回転して、図2に示す下降姿勢から図3に示す上昇姿勢に変位させる。これにより、シール部32aと外側筒体21eとの当接が解除されて、出口通路Kbが開放状態となる。その後、ノズル30Aの管状体31を咥えて先端開口31aから呼気を吹き込むと、入口通路Ka内に吸気弁40Aを設ける場合にも、この吸気弁40Aは開放された状態となるので、吹き込まれた呼気は、図3に実線の矢印で示すように、入口通路Kaの吸気弁40Aを通過してパイプpの内側を通り内部空間M内に収容される。このとき内部空間M内は、導入された呼気によって予め内部空間M内に収容されていた気体が開孔21dから送出され、図3に二点鎖線の矢印で示すように、出口通路Kbを通して外界に排出される。これにより、内部空間M内に予め収容されていた気体と吹き込まれた呼気とが置換されて、内部空間M内に呼気が採取される。
【0025】
その後、ノズル30Aを相対的に逆回転して図2に示す下降姿勢に変位させることで、出口通路Kbは閉鎖されて、採取した呼気を内部空間M内に閉じ込めておくことができる。なお、吸気弁40Aを設けていない場合でも、出口通路Kbはシール部32aで閉鎖され、この出口通路Kbを通して外気が内部空間M内に入り込むことがなく、内部空間M内の圧力が一定に保持されるので、入口通路Kaからの外気の侵入を有効に阻止できるが、吸気弁40Aを設ける場合は、内部空間M内に採取した呼気と外気との接触が確実に防止できるのでより好ましい。
【0026】
また、オーバーキャップ50Aを設ける場合は、ノズル30Aの下降変位によって素早く封止した内部空間Mをより確実に気密下に維持することができる。これにより、例えば容器を取り扱う際や容器の輸送中に胴部12が内側に向けて不用意に押し込まれることがあっても、内部空間M内の呼気が外界に排出されてしまうおそれがなく、内部空間内の気密をより確実に維持できる。
【0027】
図4〜図6は、本発明に従う呼気採取容器の他の実施の形態であって、重複する部位については同一の番号を付してここでは説明を省略する。
【0028】
図5に詳細を示すベースキャップ20Bは、ベースキャップ20Aを基本形状として、外側筒体21eの外面壁に設けたねじ部nに代えて、係止部m及び爪部tを設けたものである。また、天面壁21には、貫通開孔21aの縁部に沿って間隔をおいて配設される複数の脚部21gと、これらの脚部21gに一体連結して支持される蓋部21hとを備えている。図示の例で蓋部21hは、上部壁21iを有しこの上部壁21iの端縁から環状の周壁21jを垂下させた形状を有している。
【0029】
ノズル30Bは、ノズル30Aを基本形状として、管状体31に設けた凸部31bに代えて、その上部外側に指掛け部31cを設けたものである。外周壁33の内壁面には、被ねじ部n’に代えて、係止部mに対応する被係止部m’が設けられている。また、出口通路Kbは、係止部mと外周壁33の内壁面との隙間、及び被係止部m’と外側筒体21eの外面壁との隙間によって形成されている。さらに、管状体31の内面壁には、ノズル30Bの下降姿勢にて蓋部21hの周壁21jに気密に当接する環状の閉塞部34が設けられている。
【0030】
また、図5に示すように、ベースキャップ20Bとノズル30Bの相互間には、開孔21dを通して送出される内部空間M内の気体を出口通路Kbに向けて送出可能とする一方、内部空間Mへの外気の導入は阻止する排気弁40Bを設けてもよい。図示の例で排気弁40Bは、一端側が開孔21dを設けた天面壁21の上面壁と気密に当接する円形状の弁部43と、この弁部43の他端側と一体連結する筒状の支持部44とからなり、支持部44を内側筒体21bに挿通させて嵌合保持されている。
【0031】
上記のように構成される本発明に従う他の実施の形態の呼気採取容器は、図5に示すノズル30Bの下降姿勢において、係止部m及び被係止部m’が係合しているので、その下降姿勢を安定して維持することができる。そして指掛け部31cを把持して、図6に示す矢印の向き(上方)にノズル30Bを引き上げると、係止部mと被係止部m’との係合が外れ、被係止部m’ が爪部tに係合してノズル30Bが上昇姿勢に変位される。ノズル30Bの上昇姿勢において、入口通路Kaと出口通路Kbは、開放された状態となっているので、図6に実線の矢印で示す向きに呼気を吹き込むと、入口通路Kaを通過した呼気は、隣り合う脚部21gの隙間を通って内部空間M内に導入され、代わりに予め内部空間M内に収容されていた気体が、図6に二点鎖線で示すように、開孔21dから開放した排気弁40Bを経由して出口通路Kbから外界に排出される。これにより、先に説明した図1〜図3に係る容器と同様に、内部空間M内に予め収容されていた気体と吹き込まれた呼気とが置換されて、内部空間Mに呼気を採取することができる。
【0032】
図7〜図9は、本発明に従う呼気採取容器のさらに他の実施の形態であって、重複する部位については同一の番号を付してここでは説明を省略する。
【0033】
図8に詳細を示すベースキャップ20Cは、ベースキャップ20Bを基本形状として、外側筒体21eの外面壁に設けた係止部m及び爪部tに代えて、ベースキャップ20Aと同様に、ねじ部nを設けたものである。なお、脚部21g、及び蓋部21hについてはベースキャップ20Bと同様の構造であるが、図示の例では、ベースキャップ20Bに比して、脚部21gを延ばして蓋部21hの上部壁21iをノズル30Aの上面壁32に近づけている。また、ノズル30Aの内側壁32bには、吸気弁40Aが抜け止め保持されている。
【0034】
上記のように構成される本発明に従うさらに他の実施の形態の呼気採取容器は、呼気を採取するに当たり、オーバーキャップ50Aを取り外し、ノズル30Aを相対的に回転して、図8に示す下降姿勢から図9に示す上昇姿勢に変位させる。これにより、シール部32aと外側筒体21eとの当接が解除されて、出口通路Kbが開放状態となる。その後、ノズル30Aの管状体31を咥えて先端開口31aから呼気を吹き込むと、入口通路Ka内に設けた吸気弁40Aが開放された状態となり、吹き込まれた呼気は、図9に実線の矢印で示すように、入口通路Kaの吸気弁40Aを通過して、隣り合う脚部21gの隙間を通って内部空間M内に導入され、代わりに予め内部空間M内に収容されていた気体が、図9に二点鎖線で示すように、開孔21dから出口通路Kbを経て外界に排出される。これにより、内部空間M内に予め収容されていた気体と吹き込まれた呼気とが置換されて、内部空間Mに呼気を採取される。
【0035】
その後、ノズル30Aを相対的に逆回転して図8に示す下降姿勢に変位させると、吸気弁40Aは、蓋部21hの上部壁21iに当接して下方から支持されるので、その閉鎖状態が維持される。これにより、内部空間M内の気密が確実に保持される。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明によれば、呼気を採取した後に容器を簡単に封止できるので、使い勝手に優れる新たな呼気採取容器を提供できる。
【符号の説明】
【0037】
10 容器本体
14 口部
20A ベースキャップ
20B ベースキャップ
20C ベースキャップ
21 天面壁
21a 貫通開孔
21b 内側筒体
21d 開孔
21e 外側筒体
21g 脚部
21h 蓋部
22 外壁
30A ノズル
30B ノズル
31 管状体
31a 先端開口
32 上面壁
32a シール部
33 外周壁
34 閉塞部
40A 吸気弁
40B 排気弁
50A オーバーキャップ
51a 封止部
M 内部空間
Ka 入口通路
Kb 出口通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の口部を覆う天面壁に、該容器本体の内部空間につながる貫通開孔を設けたベースキャップと、該貫通開孔に連通する管状体を有し、該管状体の先端開口から吹き込まれる呼気を該内部空間に導くノズルとを備えた呼気採取容器であって、
前記天面壁は、前記貫通開孔の縁部から立ち上がり前記ノズルとの間で前記先端開口から該貫通開孔に至る入口通路を区画形成する内側筒体と、該内側筒体を取り囲んで起立する外側筒体と、該内側筒体及び該外側筒体との相互間に設けられ前記内部空間に通じる少なくとも1つの開孔とを備え、
該ノズルは、前記管状体と一体連結する上面壁の縁部から該外側筒体を取り囲んで垂下され、該外側筒体に上昇、下降変位可能に支持される外周壁を有し、
該外周壁は、該外側筒体との相互間に、該開孔を通して送出された該内部空間内の気体を外界に向けて排出する出口通路を備え、
該上面壁に、該ノズルの下降姿勢にて該外側筒体と当接して該出口通路を閉鎖する一方、該ノズルの上昇姿勢にて該出口通路を開放するシール部を設けたことを特徴とする呼気採取容器。
【請求項2】
前記ノズルに、前記入口通路を閉鎖して前記内部空間を気密に保持する一方、ノズルの上昇姿勢における呼気の吹き込み時のみ開放する吸気弁を設けた請求項1に記載の呼気採取容器。
【請求項3】
前記ノズルに、前記管状体を取り囲んで着脱自在に保持されるオーバーキャップを設け、該オーバーキャップに、該管状体の先端開口を閉鎖する封止部を設けた請求項1又は2に記載の呼気採取容器。
【請求項4】
前記ベースキャップは、前記貫通開孔の縁部に沿って間隔をおいて配設される複数の脚部と、該脚部に一体連結して支持される蓋部とを有し、前記管状体に、前記ノズルの下降姿勢にて該蓋部と当接して前記内部空間を気密に保持する閉塞部を設けた請求項1に記載の呼気採取容器。
【請求項5】
前記ベースキャップは、前記貫通開孔の縁部に沿って間隔をおいて配設される複数の脚部と、該脚部に一体連結して支持される蓋部とを有し、
前記蓋部を、ノズルの下降姿勢にて前記吸気弁に当接させて該吸気弁を閉鎖状態に維持してなる請求項2に記載の呼気採取容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−15326(P2013−15326A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146436(P2011−146436)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】