説明

四級化窒素含有モノマーを基礎とする両性コポリマー

本発明は、四級化窒素含有モノマーを基礎とし、アニオン生成基/アニオン基と比較してモル過剰のカチオン生成基/カチオン基を有する両性コポリマー、このような両性コポリマーの少なくとも1種を含んでいる化粧品または医薬組成物、さらに、これらのコポリマーの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、四級化窒素含有モノマーを基礎とし、アニオン生成(anionogenic)基/アニオン基に比較してモル過剰のカチオン生成(cationogenic)基/カチオン基を持つ、両性コポリマー、少なくとも1種のこうした両性コポリマーを含んでいる化粧品または医薬組成物、そしてさらに、これらのコポリマーの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
主鎖および/または1つの側鎖に比較的多数のイオン解離性基を持つポリマーは高分子電解質と称される。これらのポリマーがアニオン生成基/アニオン基およびカチオン生成基/カチオン基の両方を持つならば、これらは両性高分子電解質または両性ポリマーである。適切な数の解離性基を持つ両性ポリマーは水溶性または水分散性であって、コーティング剤、紙補助剤、衛生用品、繊維製品の製造中、ならびに特に医薬品および化粧品の分野で多様な用途が見出される。
【0003】
美容上および製薬上許容される水溶性ポリマーは、例えば石鹸、クリームおよびローション中で、製剤補助剤として、例えば増粘剤、泡安定剤もしくは吸水剤またはその他として、別の成分の刺激作用を緩和するため、あるいは活性成分の皮膚適用を改善するために役立つ。毛髪化粧料でのこれらの役割は、毛髪の性質に影響を与えることである。医薬品では、例えば、固形薬剤のためのコーティング剤またはバインダーとして役立つ。毛髪化粧料については、イオン基を持つフィルム形成性ポリマーが、例えば、コンディショナーとして、毛髪の乾燥時および湿潤時のくし通り、手触り、光沢および外観を改善するため、ならびに毛髪に帯電防止特性を与えるために使用される。ここでは、目的とする用途に応じて、カチオンまたはアニオン官能性を持つ水溶性ポリマーが使用される。この場合、カチオン官能基を持つポリマーは、その構造の結果として、毛髪の陰性荷電表面に高親和性である。アニオン官能性を持つポリマー、例えば、場合によって架橋されたポリアクリル酸は例えば、増粘剤として役立つ。そのほか、カルボキシル基を含有するポリマーは、例えば、ヘアスタイルをセットするために使用される。
【0004】
毛髪化粧料については、ヘアスタイルを維持するためのセットレジンとして、フィルム形成性ポリマーも使用される。セットレジンの要件は、例えば、高湿度での強力な維持、弾力性、毛髪から洗い落とされる能力、製剤中の相溶性およびこれで処理した毛髪の心地良い感触である。ヘアスタイルをセットするためには、例えば、ビニルラクタムホモポリマーおよびコポリマーならびにカルボキシル基を含有するポリマーが使用される。
【0005】
複雑な特性プロフィルを持つ製品の提供には、面倒な問題が起きることが多い。こうして、(高湿度でも)毛髪に良好なセット効果を持つ、基本的に滑らかでべたつきのないフィルムを形成することができ、同時に、毛髪に弾力性および心地よい感触などの、感覚的に認知できる特性を与える、毛髪化粧料組成物用のポリマーへの需要がある。これらのポリマーがヘアスプレー製剤に使用される場合、噴射ガスとの良好な融和性、低VOC製剤中での使用の適合性、水もしくは水性/アルコール性溶媒混合物への良好な溶解性、および良好な洗い落ち性能も要求される。
【0006】
多くの場合、所望の特性プロフィルは、複数の美容活性成分、例えばイオン基を持つ複数のポリマーの使用によらないと達成できない。しかし、多様な成分間で不適合性となることが多く、例えば、透明な製品を製造することが不可能な結果になることがある。互いの融和性が不適切な複数の高分子電解質は、望ましくない塩析をもたらすことがある。したがって、単独ポリマー成分として使用するときに一定の特性プロフィルを提供するために好適であり、かつ/または多数の別種成分と融和性がある、化粧料および医薬として適合性の高分子電解質への需要がある。
【0007】
US 4,358,567には、(メタ)アクリル酸アミノアルキルを基礎とするコポリマーをモノクロロ酢酸ナトリウムもしくはカリウムと反応させることによって取得可能なベタイン構造を持つ毛髪用ポリマーが記載されている。
【0008】
EP-A-0 330 174には、架橋されたカルボキシル基含有ポリマーの部分的もしくは完全に中和された塩、両性樹脂および溶媒を含んでいる、ヘアセットジェル組成物が記載されている。その両性樹脂はベタイン構造単位を持つコポリマー、または酸性基を持つ少なくとも1種のモノマーと塩基性基を持つ少なくとも1種のモノマーを共重合させることによって取得可能なコポリマーである。
【0009】
GB-A 2,088,209には、両性ポリマーおよびアニオン性ポリマーを基礎とするヘアトリートメント組成物が記載されている。この両性ポリマーは、硫酸ジメチルまたは硫酸ジエチルで四級化したメタクリル酸ジメチルアミノエチルから誘導されたモノマー単位を含んでいる。
【0010】
WO 01/62809には、以下のものを組み込んだ形態で含んでいる少なくとも1種の水溶性または水分散性ポリマーを含んでいる化粧料組成物が記載されている:
a) 5〜50重量%のtert-ブチル基を持つ少なくとも1種のα,β-エチレン性不飽和モノマー、
b) 25〜90重量%の少なくとも1種のN-ビニルアミドおよび/またはN-ビニルラクタム、
c) 0.5〜30重量%の、1分子当たり、フリーラジカル重合が可能なα,β-エチレン性不飽和二重結合と少なくとも1個のカチオン生成基および/またはカチオン基を持つ、少なくとも1種の化合物、ならびに
d) 0〜30重量%の少なくとも1種の別のα,β-エチレン性不飽和化合物、これは1分子当たり少なくとも1個のアニオン生成基および/またはアニオン基を持つ化合物でもよい。
【0011】
US 3,927,199には、共重合形態で、1) N-アルキルアクリルアミドもしくはメタクリルアミド、2) 酸基を含有するモノマー、および3) 少なくとも1種の別のコモノマー、を含んでいるコポリマーを基礎とするフィルム形成性バインダー樹脂を含む、ヘアセット組成物が記載されている。
【0012】
US 4,237,253には、共重合形態で、メタクリル酸N,N-ジメチルアミノ-2-エチル22〜64モル%、メタクリル酸メチル13〜71モル%、メタクリル酸6〜23モル%、および22モル%までの別のモノマーを含んでいる、ヘアトリートメント組成物用のコポリマーが記載されている。
【0013】
WO 95/35087には、共重合形態で、ヒドロキシル基を含有するモノマー40〜90重量%、酸基を含有するモノマー1〜20重量%、およびアミン基を含有するモノマー1〜20重量%を含んでいる、ヘアスプレーおよびジェルでの使用のための両性ヘアセットポリマーが記載されている。
【0014】
WO 2004/058837には、以下のフリーラジカル共重合によって取得可能な両性コポリマーが記載されている:
a) 少なくとも1個のアニオン生成基および/またはアニオン基を持つ、少なくとも1種のエチレン性不飽和化合物、
b) 少なくとも1個のカチオン生成基および/またはカチオン基を持つ、少なくとも1種のエチレン性不飽和化合物、
c) 少なくとも1種の不飽和アミド基含有化合物
ならびに、場合によって、別のコモノマー。こうした両性コポリマーの1つを含んでいる高分子電解質複合体、ならびにこれらの両性コポリマーおよび高分子電解質複合体を基礎とする化粧料または医薬組成物も記載されている。
【0015】
WO 2004/022616には、以下によって取得可能なポリマーの毛髪化粧料での使用が記載されている:
(i) 以下のモノマー混合物のフリーラジカルによって開始する共重合;
(a) 少なくとも1種のカチオン性モノマーもしくは四級化性モノマー、
(b) 場合によって、1種の水溶性モノマー、
(c) 場合によって、別のフリーラジカルによって共重合可能なモノマー、
(d) 架橋剤として作用する、少なくとも2個のエチレン性不飽和非共役二重結合を持つ、少なくとも1種のモノマー、および
(e) 少なくとも1種の調節剤、
(ii) モノマー(a)として非四級化もしくは部分的にのみ四級化しているモノマーを使用する場合、ポリマーのその後の四級化またはプロトン化。
【0016】
WO 2005/005497には、少なくとも1種のポリマー性アニオン分散剤 D)の存在中で、以下を含んでいるモノマー混合物 M)の水性媒体におけるフリーラジカル重合によって取得可能な、水性ポリマー分散物 Pd)が記載されている:
a) 一般式Iの少なくとも1種のα,β-エチレン性不飽和アミド基含有化合物、
【化1】

【0017】
[式中、
R2は式CH2=CR4-の基であり、そしてR1およびR3は、互いに独立して、H、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘタリールであり、あるいはR1およびR3が、これらが結合しているアミド基と一緒になって5〜8環原子のラクタムである]、
b) 1分子に少なくとも2個のα,β-エチレン性不飽和二重結合を持つ、フリーラジカル重合が可能な少なくとも1種の架橋化合物、
c) 1分子にフリーラジカル重合が可能なα,β-エチレン性不飽和二重結合および少なくとも1個のカチオン生成基および/またはカチオン基を持つ、少なくとも1種の化合物。
【0018】
これらは化粧料製品、特にシャンプー用のコンディショナーとして好適である。
【0019】
WO 2005/058988には、モル過剰のアニオン生成基および/またはアニオン基を含み、かつ以下のフリーラジカル重合によって取得可能な両性コポリマーが記載されている:
a) 少なくとも1種のアクリル酸分枝C3-C5-アルキル
b) アクリル酸および/またはメタクリル酸
c) 以下を含んでいるモノマー組成物
c1) 1分子にフリーラジカル重合が可能なα,β-エチレン性不飽和二重結合ならびに少なくとも1個のアニオン生成基および/またはアニオン基を持つ、少なくとも1種の化合物、そして
c2) 1分子にフリーラジカル重合が可能なα,β-エチレン性不飽和二重結合ならびに少なくとも1個のカチオン生成基および/またはカチオン基を持つ、少なくとも1種の化合物、
ここで、成分c1)中のアニオン生成基およびアニオン基と成分c2)中のカチオン生成基およびカチオン基のモル比は約1:1である。
【0020】
本発明の優先権主張日には公開されていなかった、国際特許出願WO 2007/010034(PCT/EP2006/064504)、WO 2007/010035(PCT/EP2006/064506)およびWO 2007/012610(PCT/EP2006/064507)には、アニオン性両性コポリマー、カチオン性両性コポリマー、および毛髪化粧料組成物用のレオロジー調整剤としてのその使用が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】US 4,358,567
【特許文献2】EP-A-0 330 174
【特許文献3】GB-A 2,088,209
【特許文献4】WO 01/62809
【特許文献5】US 3,927,199
【特許文献6】US 4,237,253
【特許文献7】WO 95/35087
【特許文献8】WO 2004/058837
【特許文献9】WO 2004/022616
【特許文献10】WO 2005/005497
【特許文献11】WO 2005/058988
【特許文献12】WO 2007/010034(PCT/EP2006/064504)
【特許文献13】WO 2007/010035(PCT/EP2006/064506)
【特許文献14】WO 2007/012610(PCT/EP2006/064507
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
長期の努力にもかかわらず、(高湿度でも)強力な保持を伴った弾力性があるヘアスタイルをもたらすための、先行技術で知られているポリマーを改良する必要性は継続している。ヘアスプレー製剤用としての有望性については、噴射ガスとの良好な融和性、水または水性/アルコール性溶媒混合物への良好な溶解性、低-VOC製剤での使用の適合性および良好な洗い落ち性能も望まれる。毛髪のコンディショニングについても同様に、感触、ボリューム、操作性その他などの、感覚的に認知できる特性についての、良好な性質が要求される。その上、そのポリマーは製剤のその他の成分との良好な融和性の特徴も持つべきである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
驚くべきことに、アニオン生成基および/またはアニオン基に比較してモル過剰のカチオン生成基/カチオン基を含み、かつ以下のフリーラジカル重合によって取得可能な、両性コポリマーが、特に上記の要件に適合することがわかった:
a) 一般式Iの少なくとも1種のα,β-エチレン性不飽和モノマー、
【化2】

【0024】
[式中、
R1は水素またはC1-C8-アルキルであり、
X1はOまたはNR3であり、ここでR3は水素、アルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘタリールであり、
R2は分枝C3-C5-アルキルである]
b) 1分子当たり、フリーラジカル重合が可能なα,β-エチレン性不飽和二重結合ならびに少なくとも1個のカチオン生成基および/またはカチオン基を持つ、少なくとも1種の化合物、ただし化合物b)の少なくともいくつかが少なくとも1個の四級窒素原子を持つ
c) 1分子当たり、フリーラジカル重合が可能なα,β-エチレン性不飽和二重結合ならびに少なくとも1個のアニオン生成基および/またはアニオン基を持つ、少なくとも1種の化合物、ならびに
d) 場合によって、一般式IIのα,β-エチレン性不飽和アミド基含有化合物から選択される、少なくとも1種のアミド基含有モノマー;
【化3】

【0025】
[式中、
基R4〜R6の1つが式CH2=CR7-の基であり、ここでR7はHまたはC1-C4-アルキルであり、そしてその他の基R4〜R6は、互いに独立して、H、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘタリールであり、
ここでR4およびR5は、これらが結合しているアミド基と一緒になって、5〜8環原子を持つラクタムでもよく、
ここでR5およびR6は、これらが結合している窒素原子と一緒になって、5〜7員ヘテロ環でもよい]。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の好ましい1実施形態中、両性コポリマーは、成分 d)の少なくとも1種のモノマーを共重合形態で含んでいる。
【0027】
本発明の範囲内では、アルキルの語句は、直鎖および分枝アルキル基を含んでいる。好適な短鎖アルキル基は、例えば、直鎖または分枝C1-C7-アルキル基、好ましくは C1-C6-アルキル基、そして特に好ましくはC1-C4-アルキル基である。これらとして、特に以下が含まれる: メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、1,2-ジメチルプロピル、1,1-ジメチルプロピル、2,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル、n-ヘキシル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、1,1-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,2,2-トリメチルプロピル、1-エチルブチル、2-エチルブチル、1-エチル-2-メチルプロピル、n-ヘプチル、1-メチルヘキシル、2-メチルヘキシル、2-エチルペンチル、1-プロピルブチル、その他。
【0028】
分枝C3-C5-アルキルは好ましくは以下である: イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、1,2-ジメチルプロピル、1,1-ジメチルプロピル、2,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル。好ましいのはtert-ブチルである。
【0029】
好適な長鎖C8-C30-アルキル基は直鎖および分枝アルキル基である。これらは好ましくは主として線状アルキル基であって、天然もしくは合成脂肪酸および脂肪族アルコール、ならびにオキソアルコール中にもあるものである。これらとして、例えば以下が含まれる: n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、n-トリデシル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、n-ヘキサデシル、n-ヘプタデシル、n-オクタデシル、n-ノナデシル、アラキニル、ベヘニル、リグノセリル、セロチニル、メリッシル(エン)、その他。
【0030】
好適な長鎖C8-C30-アルケニル基は、モノ-、ジ-またはポリ不飽和の直鎖および分枝アルケニル基である。これらは好ましくは主として線状アルケニル基であって、天然もしくは合成脂肪酸および脂肪族アルコール、ならびにオキソアルコール中にもあるものである。これらとして、特に以下が含まれる: オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、トリデセニル、テトラデセニル、ペンタデセニル、ヘキサデセニル、ヘプタデセニル、オクタデセニル、ノナデセニル、n-エイコセニル、n-ドコセニル、n-テトラコセニル、ヘキサコセニル、トリアコンテニル、その他。
【0031】
シクロアルキルは好ましくはC5-C8-シクロアルキルであり、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチルなどである。
【0032】
アリールは非置換および置換アリール基を含み、好ましくは以下である: フェニル、トリル、キシリル、メシチル、ナフチル、フルオレニル、アントラセニル、フェナントレニル、ナフタセニル、そして特にフェニル、トリル、キシリルまたはメシチル。
【0033】
用語「N,N-ジアルキルアミド」には、アミド窒素が5〜7員ヘテロ環の一部である化合物も含まれ、これはさらに以下から選択されるヘテロ原子を含んでいてもよい: 酸素、硫黄およびNRa、ここでRaは水素、アルキルまたはシクロアルキル。
【0034】
以下本文中、アクリル酸およびメタクリル酸から誘導される化合物を、アクリル酸から誘導される化合物に語句「(メタ)」を加えることによって、短縮形で示す場合もある。
【0035】
本発明の範囲内では、水溶性モノマーおよびポリマーは、水に20℃で少なくとも1 g/l溶解するモノマーおよびポリマーを意味するものとして解釈される。水分散性モノマーおよびポリマーは、例えば撹拌によってせん断力をかけたとき、分散性粒子に崩壊するモノマーおよびポリマーを意味するものと解釈される。親水性モノマーは好ましくは水溶性、または少なくとも水分散性である。本発明にしたがうコポリマー A)は一般的に水溶性である。
【0036】
特定の1実施形態中、本発明にしたがうコポリマーはシリコン原子含有基を持たない。
【0037】
本発明にしたがうコポリマーを製造するために使用するモノマー混合物は、カチオン生成基および/またはカチオン基を持つモノマーならびにアニオン生成基および/またはアニオン基を持つモノマーを含んでいる。重合のために使用するイオン生成基および/またはイオン基を持つモノマーの量は、重合のために使用する総モノマーを基礎として、カチオン生成基およびカチオン基のモル分率の方がアニオン生成基およびアニオン基のモル分率よりも多くなるようにする。したがって、本発明のコポリマーは、平均して、アニオン生成基/アニオン基に比較してモル過剰のカチオン生成基/カチオン基を持っている。好ましくは、カチオン生成基/カチオン基とアニオン生成基/アニオン基のモル比は、少なくとも1.01:1、特に好ましくは少なくとも1.2:1、特に少なくとも1.4:1、具体的には少なくとも1.5:1、さらに具体的には少なくとも2:1である。
【0038】
驚くべきことに、重合のために少なくとも1個の四級窒素原子を持つカチオン基を含むモノマーを使用すると、特に有利な特性を持つコポリマーが得られることがわかった。好ましくは、成分 b)のカチオン生成基および/またはカチオン基は、一級、二級および三級アミノ基、ならびに四級アンモニウム基などの窒素含有基である。本発明によれば、モノマー b)の少なくともいくつかは四級アンモニウム基を持っている。四級アンモニウム基、すなわち荷電カチオン基は、アミン窒素から、アルキル化剤での四級化によって、製造することができる。これらとしてハロゲン化もしくは硫酸化C1-C4-アルキルが含まれ、例えばエチルクロライド、エチルブロマイド、メチルクロライド、メチルブロマイド、硫酸ジメチルおよび硫酸ジエチルがある。好ましい四級化剤は硫酸ジエチルである。荷電カチオン基(ただし本発明の意味で四級アンモニウム基でないもの)は、アミン窒素から、酸でのプロトン化によっても製造することができる。好適な酸は、例えば、乳酸などのカルボン酸、またはリン酸、硫酸および塩酸などの鉱酸である。
【0039】
モノマー a)
本発明にしたがうコポリマーは、好ましくは以下から選択される少なくとも1つの化合物を共重合形態で含んでいる: アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソプロピル、イソプロピルアクリルアミド、イソプロピルメタクリルアミド、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソブチル、イソブチルアクリルアミド、イソブチルメタクリルアミド、アクリル酸sec-ブチル、メタクリル酸sec-ブチル、sec-ブチルアクリルアミド、sec-ブチルメタクリルアミド、アクリル酸tert-ブチル、メタクリル酸tert-ブチル、tert-ブチルアクリルアミド、tert-ブチルメタクリルアミド、アクリル酸1-メチルブチル、メタクリル酸1-メチルブチル、1-メチルブチルアクリルアミド、1-メチルブチルメタクリルアミド、アクリル酸2-メチルブチル、メタクリル酸2-メチルブチル、2-メチルブチルアクリルアミド、2-メチルブチルメタクリルアミド、アクリル酸3-メチルブチル、メタクリル酸3-メチルブチル、3-メチルブチルアクリルアミド、3-メチルブチルメタクリルアミド、アクリル酸1,1-ジメチルプロピル、メタクリル酸1,1-ジメチルプロピル、1,1-ジメチルプロピルアクリルアミド、1,1-ジメチルプロピルメタクリルアミド、アクリル酸2,2-ジメチルプロピル、メタクリル酸2,2-ジメチルプロピル、2,2-ジメチルプロピルアクリルアミド、2,2-ジメチルプロピルメタクリルアミド、およびこれらの混合物。特に好ましいのはアクリル酸tert-ブチルおよびアクリル酸tert-ブチルを含んでいる混合物である。
【0040】
本発明にしたがうコポリマーは、重合のために使用するモノマーの総重量に基づいて、好ましくは15〜90重量%、特に好ましくは20〜85重量%、特に25〜75重量%の、少なくとも1種のモノマー a)を共重合形態で含んでいる。
【0041】
モノマー b)
本発明にしたがうコポリマーは、化合物 b)として、1分子当たり、フリーラジカル重合が可能なα,β-エチレン性不飽和二重結合ならびに少なくとも1個のカチオン生成基および/またはカチオン基を持つ、少なくとも1化合物を共重合形態で含んでいる。本発明では、化合物 b)の少なくともいくつかが四級窒素原子を持つ。
【0042】
本発明にしたがうコポリマーは、重合のために使用するモノマーの総重量に基づいて、好ましくは3〜98重量%、特に好ましくは5〜90重量%、特に7〜80重量%の、少なくとも1種のモノマー b)を共重合形態で含んでいる。
【0043】
好ましくは、モノマー b)の総重量に基づいて、0〜100重量%、特に好ましくは5〜100重量%、例えば10〜99重量%のモノマー b)が、四級化形態で存在している。
【0044】
好ましくは、成分 b)は以下から選択される: α,β-エチレン性不飽和モノ-およびジカルボン酸とアミン窒素上でモノ-もしくはジアルキル化されていてもよいアミノアルコールとのエステル、α,β-エチレン性不飽和モノ-およびジカルボン酸と少なくとも1個の一級もしくは二級アミノ基を持つジアミンとのアミド、N,N-ジアリルアミン、N,N-ジアリル-N-アルキルアミンおよびその誘導体、ビニル-およびアリル-置換された窒素ヘテロ環、ビニル-およびアリル-置換されたヘテロ芳香族化合物、これらのモノマーの四級化物ならびにこれらの混合物。
【0045】
好ましい実施形態中、成分 b)は、ビニル-置換されたヘテロ芳香族化合物として、少なくとも1種のN-ビニルイミダゾール化合物を含んでいる。特定の実施形態中、成分 b)は、N-ビニルイミダゾール化合物、および少なくとも1種のN-ビニルイミダゾール化合物を含んでいる混合物から選択される。
【0046】
好適なN-ビニルイミダゾール化合物は次式の化合物である:
【化4】

【0047】
[式中、R8〜R10は、互いに独立して、水素、C1-C4-アルキルまたはフェニルである]。
【0048】
好ましくは、R8〜R10は水素である。
【0049】
その上、コポリマーは、好ましくはモノマー b)として、一般式(III)の少なくとも1種のN-ビニルイミダゾール化合物を共重合形態で含んでいる:
【化5】

【0050】
[式中、R8〜R10は、互いに独立して、水素、C1-C4-アルキルまたはフェニルである]。
【0051】
一般式(III)の化合物の例を下記の表1に示す。
【表1】

【0052】
1-ビニルイミダゾール(N-ビニルイミダゾール)、およびN-ビニルイミダゾールを含んでいる混合物が、モノマー b)として好ましい。
【0053】
上記のN-ビニルイミダゾール化合物のプロトン化または四級化によって取得可能な化合物も、好適なモノマー b)である。こうした荷電モノマー b)の例は、四級化ビニルイミダゾール、特に塩化、メト硫酸およびエト硫酸3-メチル-1-ビニルイミダゾリウムである。好適な酸およびアルキル化剤は上掲のものである。
【0054】
α,β-エチレン性不飽和モノ-およびジカルボン酸とアミノアルコールとのエステルも、好適な化合物 b)である。好ましいアミノアルコールは、アミン窒素がC1-C8-モノまたは-ジアルキル化されたC2-C12-アミノアルコールである。これらのエステルの酸成分として好適なものは、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸モノブチルおよびこれらの混合物である。好ましいのは、酸成分として、アクリル酸、メタクリル酸およびこれらの混合物の使用である。
【0055】
好ましいモノマー b)は以下である: (メタ)アクリル酸N-tert-ブチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N-ジメチルアミノメチル、(メタ)アクリル酸N,N-ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N-ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N-ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸N,N-ジエチルアミノプロピルおよび(メタ)アクリル酸N,N-ジメチルアミノシクロヘキシル。特に好ましいのは(メタ)アクリル酸N-tert-ブチルアミノエチルおよび(メタ)アクリル酸N,N-ジメチルアミノエチルである。上記の化合物の四級化物も、特に好ましいモノマー b)である。
【0056】
上記のα,β-エチレン性不飽和モノ-およびジカルボン酸と少なくとも1個の一級もしくは二級アミノ基を持つジアミンとのアミドも、好適なモノマー b)である。好ましいのは、三級アミノ基を1個と一級もしくは二級アミノ基を1個持つジアミンである。
【0057】
好ましいモノマー b)は、例えば以下である: N-[tert-ブチルアミノエチル](メタ)アクリルアミド、N-[2-ジメチルアミノ)エチル]アクリルアミド、N-[2-(ジメチルアミノ)エチル]メタクリルアミド、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、N-[4-(ジメチルアミノ)ブチル]アクリルアミド、N-[4-(ジメチルアミノ)ブチル]メタクリルアミド、N-[2-(ジエチルアミノ)エチル]アクリルアミド、N-[4-(ジメチルアミノ)シクロヘキシル]アクリルアミドおよびN-[4-(ジメチルアミノ)シクロヘキシル]メタクリルアミド。特に好ましいのは、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミドおよびN-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド(DMAPMAM)である。
【0058】
特定の実施形態は、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミドおよびN-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミドを共重合形態で含んでいるコポリマー A)に関する。極めて具体的な実施形態中、成分 b)はN-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミドおよび/またはN-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミドのみで構成されている。
【0059】
N,N-ジアリルアミンおよびN,N-ジアリル-N-アルキルアミンならびにこれらの酸付加塩および四級化物も好適なモノマー b)である。この場合のアルキルは、好ましくはC1-C24-アルキルである。好ましいのは、N,N-ジアリル-N-メチルアミンおよびN,N-ジアリル-N,N-ジメチルアンモニウム化合物、例えば、その塩化物および臭化物などである。特に好ましいのはN,N-ジアリル-N-メチルアミンである。
【0060】
ビニルイミダゾールとは異なるビニル-およびアリル-置換された窒素ヘテロ環、例えば2-および4-ビニルピリジン、2-および4-アリルピリジン、ならびにその塩なども好適なモノマー b)である。
【0061】
好ましくは、成分 b)は、以下から選択される、少なくとも1種のモノマーを含んでいる: (メタ)アクリル酸N,N-ジメチルアミノエチル、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル](メタ)アクリルアミド、四級化(メタ)アクリル酸N,N-ジメチルアミノエチル、四級化N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル](メタ)アクリルアミドおよびこれらの混合物。
【0062】
その上、成分 b)は好ましくは、塩化メチル、硫酸ジメチルもしくは硫酸ジエチルで四級化した(メタ)アクリル酸N,N-ジメチルアミノエチルを含んでいる。この場合および本文中以下では、用語「quat DMAEMA」および「Quat 311」は、用語「硫酸ジエチルで四級化したメタクリル酸ジメチルアミノエチル」と同義語として使用する。特に、成分 b)は、硫酸ジエチルで四級化した(メタ)アクリル酸N,N-ジメチルアミノエチルを含んでいる。
【0063】
本発明にしたがうコポリマーは、重合のために使用するモノマーの総重量に基づいて、好ましくは2〜97重量%、特に好ましくは3〜96重量%、特に4〜60重量%の、少なくとも1種のモノマー b)を共重合形態で含んでいる。
【0064】
モノマー c)
本発明にしたがうコポリマーは、化合物 c)として、1分子当たり、フリーラジカル重合が可能なα,β-エチレン性不飽和二重結合ならびに少なくとも1個のアニオン生成基および/またはアニオン基を持つ、少なくとも1種の化合物を含んでいる。成分 c)は、好ましくは0.1〜30重量%、特に好ましくは1〜25重量%、特に1.5〜20重量%の量を使用する。
【0065】
好ましくは、成分 c)は、モノエチレン性不飽和カルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸およびこれらの混合物から選択される、少なくとも1種の化合物を含んでいる。
【0066】
モノマー c)として、3〜25、好ましくは3〜6個の炭素原子を持つモノエチレン性不飽和モノ-およびジカルボン酸が含まれ、これらは塩または無水物の形態で使用することもできる。これらの例は以下である: アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、α-クロロアクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、アコニチン酸およびフマル酸。モノマー c)として、4〜10、好ましくは4〜6個の炭素原子を持つモノエチレン性不飽和ジカルボン酸、例えばマレイン酸の半エステル、例えばマレイン酸モノメチルなども含まれる。モノマー c)として、以下も含まれる: モノエチレン性不飽和スルホン酸およびホスホン酸、例えばビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、アクリル酸スルホエチル、メタクリル酸スルホエチル、アクリル酸スルホプロピル、メタクリル酸スルホプロピル、2-ヒドロキシ-3-アクリルオキシプロピルスルホン酸、2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロピルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、ビニルホスホン酸およびアリルホスホン酸。モノマー c)として上記の酸の塩、特にナトリウム、カリウムおよびアンモニウム塩、ならびにアミンとの塩も含まれる。モノマー c)はそのまま、または相互の混合物として使用することができる。提示する重量分率はすべて酸形態に対応させている。
【0067】
好ましくは、成分 c)は以下から選択される少なくとも1種の化合物を含んでいる: アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、α-クロロアクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、アコニチン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、ビニルホスホン酸およびこれらの混合物。
【0068】
成分 c)は特に、アクリル酸、メタクリル酸およびこれらの混合物から選択される、少なくとも1種の化合物 c)を含んでいる。特定の実施形態中、成分 c)はメタクリル酸を含んでいるか、またはメタクリル酸から構成される。
【0069】
モノマー d)
本発明にしたがうコポリマーは、重合のために使用する化合物の総重量に基づいて、好ましくは5〜95重量%、特に好ましくは10〜90重量%の少なくとも1種のモノマー d)を共重合形態で含んでいる。
【0070】
好ましくは、成分 d)の化合物は以下から選択される: α,β-エチレン性不飽和モノカルボン酸の一級アミド、飽和モノカルボン酸のN-ビニルアミド、N-ビニルラクタム、α,β-エチレン性不飽和モノカルボン酸のN-アルキル-およびN,N-ジアルキルアミドならびにこれらの混合物。
【0071】
好ましいモノマー d)はN-ビニルラクタム、および、例えば、以下の1以上のアルキル置換基を持つその誘導体である: メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、その他。これらとして、例えば、以下が含まれる: N-ビニルピロリドン、N-ビニルピペリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニル-5-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-5-エチル-2-ピロリドン、N-ビニル-6-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-6-エチル-2-ピペリドン、N-ビニル-7-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-7-エチル-2-カプロラクタム、その他。
【0072】
特に好ましいのは、N-ビニルピロリドンおよび/またはN-ビニルカプロラクタムの使用である。
【0073】
アクリルアミドおよびメタクリルアミドも好適なモノマー d)である。
【0074】
アミド基のカルボニル炭素原子に加えて最大で7個の炭素原子をさらに持つ好適なα,β-エチレン性不飽和モノカルボン酸のN-アルキル-およびN,N-ジアルキルアミドは、例えば、以下である: N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-(n-ブチル)(メタ)アクリルアミド、N-tert-ブチル(メタ)アクリルアミド、n-ペンチル(メタ)アクリルアミド、n-ヘキシル(メタ)アクリルアミド、n-ヘプチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、ピペリジニル(メタ)アクリルアミド、モルホリニル(メタ)アクリルアミドおよびこれらの混合物。
【0075】
好適なN-C8-C30-アルキル-およびN-(C1-C30)アルキル-N-(C8-C30)アルキル 2-アミド c)は、例えば以下である: n-オクチル(メタ)アクリルアミド、1,1,3,3-テトラメチルブチル(メタ)アクリルアミド、2-エチルヘキシル(メタ)アクリルアミド、n-ノニル(メタ)アクリルアミド、n-デシル(メタ)アクリルアミド、n-ウンデシル(メタ)アクリルアミド、トリデシル(メタ)アクリルアミド、ミリスチル(メタ)アクリルアミド、ペンタデシル(メタ)アクリルアミド、パルミチル(メタ)アクリルアミド、ヘプタデシル(メタ)アクリルアミド、ノナデシル(メタ)アクリルアミド、アラキニル(メタ)アクリルアミド、ベヘニル(メタ)アクリルアミド、リグノセレニル(メタ)アクリルアミド、セロチニル(メタ)アクリルアミド、メリッシル(メタ)アクリルアミド、パルミトレイニル(メタ)アクリルアミド、オレイル(メタ)アクリルアミド、リノリル(メタ)アクリルアミド、リノレニル(メタ)アクリルアミド、ステアリル(メタ)アクリルアミド、ラウリル(メタ)アクリルアミド、N-メチル-N-(n-オクチル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ-(n-オクチル)(メタ)アクリルアミドおよびこれらの混合物。
【0076】
モノマー d)として好適な開鎖N-ビニルアミド化合物は、例えば以下である: N-ビニルホルムアミド、N-ビニル-N-メチルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、N-ビニル-N-エチルアセトアミド、N-ビニルプロピオンアミド、N-ビニル-N-メチルプロピオンアミド、N-ビニルブチルアミドおよびこれらの混合物。好ましいのはN-ビニルホルムアミドの使用である。
【0077】
次式の化合物もモノマー d)として好適である。
【化6】

【0078】
特に好ましいのは、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニルホルムアミドおよび上記式の化合物の使用である。
【0079】
モノマー e)
本発明にしたがうコポリマーはさらに、成分 a)〜d)とは異なっていて、かつそれらと共重合し得る、少なくとも1種のモノマー e)を共重合形態で含んでいてもよい。
【0080】
好ましくは、成分 e)は以下から選択される: α,β-エチレン性不飽和モノ-およびジカルボン酸とC1-C30アルカノール、不飽和C8-C30-脂肪族アルコールおよびC2-C30-アルカンジオールとの成分 a)とは異なるエステル、α,β-エチレン性不飽和モノ-およびジカルボン酸と一級もしくは二級アミノ基を持つC2-C30-アミノアルコールとのアミド、ビニルアルコールおよびアリルアルコールとC1-C30-モノカルボン酸とのエステル、ビニルエーテル、ビニル芳香族化合物、ハロゲン化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、C2-C8-モノオレフィン、少なくとも2個の共役二重結合を持つ非芳香族炭化水素ならびにこれらの混合物。
【0081】
以下もまた、好適なその他のモノマー e)である: アクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、エタクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3-ヒドロキシプロピル、アクリル酸3-ヒドロキシブチル、メタクリル酸3-ヒドロキシブチル、アクリル酸4-ヒドロキシブチル、メタクリル酸4-ヒドロキシブチル、アクリル酸6-ヒドロキシヘキシル、メタクリル酸6-ヒドロキシヘキシル、アクリル酸3-ヒドロキシ-2-エチルヘキシルおよびメタクリル酸3-ヒドロキシ-2-エチルヘキシル。
【0082】
以下もまた、好適なその他のモノマー e)である: 2-ヒドロキシエチルアクリルアミド、2-ヒドロキシエチルメタクリルアミド、2-ヒドロキシエチルエタクリルアミド、2-ヒドロキシプロピルアクリルアミド、2-ヒドロキシプロピルメタクリルアミド、3-ヒドロキシプロピルアクリルアミド、3-ヒドロキシプロピルメタクリルアミド、3-ヒドロキシブチルアクリルアミド、3-ヒドロキシブチルメタクリルアミド、4-ヒドロキシブチルアクリルアミド、4-ヒドロキシブチルメタクリルアミド、6-ヒドロキシヘキシルアクリルアミド、6-ヒドロキシヘキシルメタクリルアミド、3-ヒドロキシ-2-エチルヘキシルアクリルアミドおよび3-ヒドロキシ-2-エチルヘキシルメタクリルアミド。
【0083】
アクリル酸ポリエーテルも好適なモノマー e)である。これは、本発明の範囲では、一般的に、α,β-エチレン性不飽和モノ-およびジカルボン酸とポリエーテルオールとのエステルの意味として解釈される。好適なポリエーテルオールは、エーテル結合を含んでいる、末端ヒドロキシル基を持つ線状もしくは分枝化合物である。一般的に、これらは分子量が約150〜20 000の範囲である。好適なポリエーテルオールは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール、ポリテトラヒドロフランおよびアルキレンオキシドコポリマーである。アルキレンオキシドコポリマーを製造するために好適なアルキレンオキシドは、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、エピクロロヒドリン、1,2-および2,3-ブチレンオキシドである。このアルキレンオキシドコポリマーは、ランダム分布またはブロック形態で共重合したアルキレンオキシド単位を含んでいてもよい。好ましいのは、エチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマーである。
【0084】
成分 e)として、好ましいのは一般式IVのアクリル酸ポリエーテルである:
【化7】

【0085】
[式中、
アルキレンオキシド単位の順序は任意であり、
kおよびlは、互いに独立して、0〜1000の整数であり、ここでkとlの合計は少なくとも5であり、
R11は水素、C1-C30-アルキルまたはC5-C8-シクロアルキルであり、
R12は水素またはC1-C8-アルキルであり、
Y2はOまたはNR13であり、ここでR13は水素、C1-C30-アルキルまたはC5-C8-シクロアルキルである]。
【0086】
好ましくは、kは1〜500の整数、特に3〜250である。好ましくは、lは0〜100の整数である。
【0087】
好ましくは、R12は水素、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチルまたはn-ヘキシルであり、特に水素、メチルまたはエチルである。
【0088】
好ましくは、式IV中のR11は水素、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、オクチル、2-エチルヘキシル、デシル、ラウリル、パルミチルまたはステアリルである。
【0089】
好ましくは、式IV中のY2はOまたはNHである。
【0090】
好適なポリエーテルアクリル酸 e)は、例えば以下である: 上記のα,β-エチレン性不飽和モノ-および/またはジカルボン酸ならびにその酸塩化物、アミドおよび無水物とポリエーテルオールとのポリ縮合物。好適なポリエーテルオールは、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシドおよび/またはエピクロロヒドリンと水もしくは短鎖アルコールR11-OHなどの開始剤分子を反応させることによって、容易に調製することができる。アルキレンオキシドは個別に、または順次に、または混合物として、使用することができる。本発明で使用するポリマーを製造するために、アクリル酸ポリエーテルe)は、単独または混合物で使用することができる。
【0091】
好適なその他のモノマー e)は以下である: (メタ)アクリル酸メチル、エタクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、エタクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、メタクリル酸tert-ブチル、エタクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸1,1,3,3-テトラメチルブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n-ノニル、(メタ)アクリル酸n-デシル、(メタ)アクリル酸n-ウンデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸アラキニル、(メタ)アクリル酸ベヘニル、(メタ)アクリル酸リグノセレニル、(メタ)アクリル酸セロチニル、(メタ)アクリル酸メリッシル、(メタ)アクリル酸パルミトレイニル、(メタ)アクリル酸オレイル、(メタ)アクリル酸リノリル、(メタ)アクリル酸リノレニル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ラウリルおよびこれらの混合物。好ましいモノマー e)は、α,β-エチレン性不飽和モノ-およびジカルボン酸とC1-C4-アルカノールとのエステルである。
【0092】
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルおよびこれらの混合物も、好適なその他のモノマー e)である。
【0093】
以下もまた、好適なその他のモノマー e)である: エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、スチレン、α-メチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデンおよびこれらの混合物。
【0094】
上記のその他のモノマー e)は個別に、または任意の混合物の形態で、使用することができる。
【0095】
好ましくは、本発明にしたがうコポリマーは、以下から選択される少なくとも1種の化合物 e)を共重合形態で含んでいる: メタクリル酸C1-C3-アルキル、メタクリル酸ヒドロキシ-C1-C3-アルキルおよびこれらの混合物。特に好ましいのは、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ヒドロキシエチルおよびこれらの混合物である。特に、メタクリル酸エチルが使用される。本発明にしたがうコポリマーは、重合のために使用する化合物の総重量に基づいて、好ましくは0〜50重量%、特に好ましくは0〜45重量%の量のこれらの共重合させるモノマーを含んでいる。
【0096】
本発明にしたがうコポリマーは、重合のために使用するモノマーの総重量に基づいて、好ましくは0〜25重量%、特に好ましくは0〜20重量%、特に0〜15重量%の、少なくとも1種のモノマー e)を共重合形態で含んでいる。モノマー e)を使用する場合、好ましくは少なくとも0.1重量%、特に好ましくは少なくとも1重量%、および特に少なくとも5重量%の量である。
【0097】
架橋剤 f)
本発明にしたがうコポリマーは、所望ならば、少なくとも1種の架橋剤、すなわち2またはそれ以上のエチレン性不飽和、非共役二重結合を持つ化合物を、共重合形態で含んでいてもよい。
【0098】
好ましくは、架橋剤は、重合のために使用するモノマーの総重量に基づいて、0.01〜3重量%、特に好ましくは0.01〜2重量%、特に0.1〜2重量%、および特に0.1〜1重量%の量を使用する。
【0099】
好適な架橋剤 f)は、例えば、2価以上のアルコールのアクリルエステル、メタクリルエステル、アリルエーテルまたはビニルエーテルである。この場合の親アルコールのOH基は完全もしくは部分的にエーテル化またはエステル化されていてよい。しかし、その架橋剤は少なくとも2個のエチレン性不飽和基を含んでいる。
【0100】
親アルコールの例は以下の2価アルコールである: 1,2-エタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ブト-2-エン-1,4-ジオール、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,10-デカンジオール、1,2-ドデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチルペンタン-1,5-ジオール、2,5-ジメチル-1,3-ヘキサンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、1,2-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ヒドロキシピバル酸 ネオペンチルグリコールモノエステル、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス[4-(2-ヒドロキシプロピル)フェニル]プロパン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、3-チアペンタン-1,5-ジオール、ならびに分子量がそれぞれ200〜10 000のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリテトラヒドロフラン。エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのホモポリマーとは別に、エチレンオキシドもしくはプロピレンオキシドのブロックコポリマー、またはエチレンオキシドおよびプロピレンオキシド基を組み込んで含んでいるコポリマーの使用も可能である。3以上のOH基を持つ親アルコールの例は以下である: トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、1,2,5-ペンタントリオール、1,2,6-ヘキサントリオール、トリエトキシシアヌル酸、ソルビタン、ショ糖、グルコース、マンノースなどの糖類。多価アルコールももちろん、エチレンオキシドまたはプロピレンオキシドとの反応後に、それぞれ対応するエトキシレートまたはプロポキシレートとして、使用することができる。多価アルコールは最初に、エピクロロヒドリンとの反応によって、対応するグリシジルエーテルに変換することもできる。
【0101】
別の好適な架橋剤 f)は、ビニルエステルまたは1価不飽和アルコールのエチレン性不飽和C3-C6-カルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸もしくはフマル酸とのエステルである。こうしたアルコールの例は以下である: アリルアルコール、1-ブテン-3-オール、5-ヘキセン-1-オール、1-オクテン-3-オール、9-デセン-1-オール、ジシクロペンテニルアルコール、10-ウンデセン-1-オール、シンナミルアルコール、シトロネロール、クロチルアルコールまたはシス-9-オクタデセン-1-オール。しかし、1価不飽和アルコールを多塩基性カルボン酸、例えばマロン酸、酒石酸、トリメリット酸、フタル酸、テレフタル酸、クエン酸またはコハク酸などでエステル化することも可能である。
【0102】
その他の好適な架橋剤 f)は、不飽和カルボン酸と上記の多価アルコール、例えばオレイン酸、クロトン酸、ケイ皮酸または10-ウンデセン酸とのエステルである。
【0103】
その他の好適な架橋剤 f)は、例えば、Laromer(登録商標)の名称で市販されている、ウレタンジアクリレートおよびウレタンポリアクリレートである。
【0104】
好適な架橋剤 f)は、さらに、少なくとも2個の二重結合を持つ、直鎖もしくは分枝、線状もしくは環式、脂肪族または芳香族炭化水素であって、脂肪族炭化水素の場合、共役していないものであり、例えば以下である: ジビニルベンゼン、ジビニル-トルエン、1,7-オクタジエン、1,9-デカジエン、4-ビニル-1-シクロヘキセン、トリビニルシクロヘキサンまたは分子量が200〜20 000のポリブタジエン。
【0105】
アクリルアミド、メタクリルアミドおよび少なくとも二官能性のアミンのN-アリルアミンも、架橋剤 f)として好適である。こうしたアミンは、例えば以下である: 1,2-ジアミノメタン、1,2-ジアミノエタン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,6-ジアミノヘキサン、1,12-ドデカンジアミン、ピペラジン、ジエチレントリアミンまたはイソホロンジアミン。アリルアミンと以下の不飽和カルボン酸のアミドも、同様に好適である: アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、または上記のような2塩基性以上のカルボン酸。
【0106】
トリアリルアミンおよびトリアリルモノアルキルアンモニウム塩、例えば塩化もしくはメチル硫酸トリアリルメチルアンモニウムも、架橋剤 f)として好適である。
【0107】
以下もまた好適である: 尿素誘導体、二官能性以上のアミド、シアヌレートまたはウレタン、例えば尿素、エチレン尿素、プロピレン尿素または酒石酸ジアミドのN-ビニル化合物、例えばN,N'-ジビニルエチレン尿素またはN,N'-ジビニルプロピレン尿素。
【0108】
別の好適な架橋剤 f)は、ジビニルジオキサン、テトラアリルシランまたはテトラビニルシランである。
【0109】
上記の化合物 f)の混合物もちろん使用することができる。好ましいのは水溶性架橋剤 f)の使用である。
【0110】
特に使用するのに好ましい架橋剤 f)は、例えば以下である: メチレンビスアクリルアミド、トリアリルアミンおよびトリアリルアルキルアンモニウム塩、ジビニルイミダゾール、ペンタエリスリトール トリアリルエーテル、N,N'-ジビニルエチレン尿素、多価アルコールとアクリル酸もしくはメタクリル酸の反応生成物、ポリアルキレンオキシド、またはエチレンオキシドおよび/もしくはプロピレンオキシドおよび/もしくはエピクロロヒドリンと反応させた多価アルコールのメタクリルエステルおよびアクリルエステル。
【0111】
極めて特に好ましい架橋剤 f)は以下である: ペンタエリスリトール トリアリルエーテル、メチレンビスアクリルアミド、N,N'-ジビニルエチレン尿素、トリアリルアミンおよびトリアリルモノアルキルアンモニウム塩、ならびにグリコール、ブタンジオール、トリメチロールプロパンもしくはグリセロールのアクリルエステル、またはエチレンオキシドおよび/もしくはエピクロロヒドリンと反応させたグリコール、ブタンジオール、トリメチロールプロパンもしくはグリセロールのアクリルエステル。
【0112】
好ましいのは、共重合形態で以下を含んでいるコポリマーである:
- 少なくとも1種の化合物 a) 20〜94.5重量%、特に好ましくは25〜85重量%、
- 少なくとも1種の化合物 b) 5〜79.5重量%、特に好ましくは10〜35重量%、特に13〜30重量%、
- 少なくとも1種の化合物 c) 0.5〜25重量%、特に好ましくは1〜20重量%、特に2〜15重量%、
- 少なくとも1種の化合物 d) 0〜74.5重量%、特に好ましくは1〜60重量%、特に5〜50重量%、
- 少なくとも1種の化合物 e) 0〜25重量%、特に好ましくは0.1〜20重量%、特に1〜15重量%、
- 少なくとも1種の架橋剤 f) 0〜5重量%、特に好ましくは0.01〜3重量%、特に0.1〜2重量%。
【0113】
好ましい実施形態は以下の反復単位から構成されるコポリマーを含む:
- (メタ)アクリル酸tert-ブチル、
- 以下から選択される少なくとも1種の化合物 b): (メタ)アクリル酸N,N-ジメチルアミノエチル、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル](メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸N-(tert-ブチル)アミノエチル、N-ビニルイミダゾールおよびこれらの混合物(ここで、少なくともいくつかの化合物 b)が四級化されている)、
- アクリル酸および/またはメタクリル酸、
- ビニルピロリドンおよび/またはビニルカプロラクタム。
【0114】
別の好ましい実施形態は以下の反復単位から構成されるコポリマーを含む:
- アクリル酸tert-ブチル、
- メタクリル酸N,N-ジメチルアミノエチルまたはN-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、
- 四級化メタクリル酸N,N-ジメチルアミノエチルまたは四級化N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、
- メタクリル酸、
- ビニルピロリドン。
【0115】
特定の実施形態中、上記のコポリマーの調製のため、部分的または完全に四級化したモノマー b)を使用するが、この際使用する四級化剤は硫酸ジメチルまたは硫酸ジエチル、特に硫酸ジエチルである。
【0116】
本発明にしたがうコポリマーは、当業者に知られた通例の方法、例えば溶液重合、沈殿重合、懸濁重合またはエマルジョン重合によって調製される。好適な置換剤、例えばNaClなどの塩を含む水中での、W/W重合も好適である。
【0117】
溶液重合のために好ましい溶媒は、水性溶媒であり、水および水と例えば以下などの水混和性溶媒との混合物などがある: アルコール類、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノール、n-ヘキサノールおよびシクロヘキサノールなど、ならびにグリコール類、エチレングリコール、プロピレングリコールおよびブチレングリコールなど、ならびに二価アルコールのメチルもしくはエチルエーテル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、数平均分子量が約3000までのポリエチレングリコール、グリセロールならびにジオキサン。特に好ましいのは、水中またはアルコール中または水/アルコール混合物、例えば水/エタノール混合物中での重合である。溶液重合の場合の重合温度は、好ましくは約30〜120℃、特に好ましくは40〜100℃の範囲である。
【0118】
沈殿重合は好ましくは、ほとんど無水の非プロトン性溶媒または溶媒混合物、好ましくは酢酸エチルおよび/または酢酸n-ブチル中で実施される。ほとんど無水の非プロトン性溶媒または溶媒混合物とは、水分含量が最大でも5重量%の溶媒または溶媒混合物を意味するものと解釈される。
【0119】
好ましくは、沈殿重合は70〜140℃、好ましくは75〜100℃、特に80〜95℃の温度範囲で実施される。生成したポリマー粒子が反応溶液から沈殿し、これを減圧ろ過などの通例の方法によって単離することができる。沈殿重合のために、界面活性ポリマー化合物、好ましくはポリシロキサンを基礎とするもの、を使用することができる。沈殿重合の場合、得られるポリマーは通常、溶液重合の場合よりも分子量が大きい。
【0120】
重合は通常は大気圧下で実施されるが、減圧または加圧下で進めることもできる。好適な圧力範囲は1〜5 barである。
【0121】
ポリマーを製造するため、フリーラジカルを形成する開始剤の補助によって、モノマーを重合させることができる。
【0122】
フリーラジカル重合のために使用することができる開始剤は、この目的のために常用される、例えば以下のペルオキソおよび/またはアゾ化合物である: ペルオキシ二硫酸アルカリ金属もしくはアンモニウム、過酸化ジアセチル、過酸化ジベンゾイル、過酸化スクシニル、過酸化ジ-tert-ブチル、過安息香酸tert-ブチル、ペルピバル酸tert-ブチル、ペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル、ペルマレイン酸tert-ブチル、クメンヒドロペルオキシド、ペルオキシジカルバミン酸ジイソプロピル、過酸化ビス(o-トルオイル)、過酸化ジデカノイル、過酸化ジオクタノイル、過酸化ジラウロイル、ペルイソ酪酸tert-ブチル、過酢酸tert-ブチル、過酸化ジ-tert-アミル、tert-ブチルヒドロペルオキシド、アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス(2-アミジノプロパン) ジヒドロクロリドまたは2,2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)。例えば以下などの、開始剤混合物またはレドックス開始剤系も好適である: アスコルビン酸/硫酸鉄(II)/ペルオキシ二硫酸ナトリウム、tert-ブチルヒドロペルオキシド/二亜硫酸ナトリウム、tert-ブチルヒドロペルオキシド/ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム、H2O2/CuI
【0123】
重合は原則として、使用するモノマーから生じるpHで実施することができる。重合のために、少なくとも1種のN-ビニルラクタム(=成分 d))を使用する場合、重合媒体のpHを、5〜8、好ましくは6〜7の値に好ましくは調整する。その後、重合の間、pHをこの範囲に維持するのが有利である。重合前、その間、またはその後にpH調整するのに好適なものは、原則として、すべての無機もしくは有機塩基(および、場合によって酸)であるが、特に可能な塩形成は別として、モノマーとの反応に入り込まないものである。好適な塩基は、例えば以下である: 水酸化アルカリ金属およびアルカリ土類金属、トリエチルアミンなどの三級アミン、およびトリエタノールアミン、メチルジエタノールアミンもしくはジメチルエタノールアミンなどのアミノアルコール。pHを調整するために、好ましいのは、特に以下から選択される、少なくとも1種の三級アミンの使用である: N,N-ジメチルエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミンおよびこれらの混合物。
【0124】
分子量を調節するため、少なくとも1種の調節剤の存在中で、重合を実施することができる。使用することができる調節剤は、例えば以下の当業者に知られた通例の化合物である: 硫黄化合物、例えばメルカプトエタノール、チオグリコール酸2-エチルヘキシル、チオグリコール酸もしくはドデシルメルカプタン、およびトリブロモクロロメタンまたは生成するポリマーの分子量を調節する効果を持つその他の化合物。好ましい調節剤はシステインである。
【0125】
本発明にしたがうコポリマーのK値は、18以上、好ましくは25以上、特に好ましくは42以上である。本発明にしたがうコポリマーのK値は120以下、好ましくは80以下、特に好ましくは70以下である。42〜70の範囲のK値が最も好ましい(Fikentscher, Cellulosechemie, Vol. 13, pp. 58〜64(1932)、にしたがって測定)。この場合、K値の測定は、N-メチルピロリドン中のコポリマーの1%濃度溶液として実施する。
【0126】
含水組成物については、28〜42の範囲のK値も好ましい。
【0127】
残留モノマー含量が低い、可能な限り純粋なポリマーを取得するため、重合(主重合)の後に、後重合ステップを加えることができる。後重合は、主重合と同一の開始剤系、または別のものの存在中で、実施することができる。好ましくは、後重合は少なくとも主重合と同一の温度で、好ましくは主重合よりも高い温度で実施する。所望ならば、重合後または第1および第2の重合ステップの間に、反応混合物を水蒸気でストリッピングさせるか、水蒸気蒸留することができる。
【0128】
ポリマーの製造中に有機溶媒を使用する場合は、例えば減圧蒸留によるなどの、当業者に知られた通例の方法によって、これを除去することができる。
【0129】
生成した液状ポリマー組成物を、各種乾燥方法、例えばスプレー乾燥、液状化スプレー乾燥、ローラー乾燥または凍結乾燥などによって、粉末に変換することができる。好ましいのはスプレー乾燥の使用である。この手法で取得したポリマー乾燥粉末は、それぞれ水への溶解または再分散化によって、再び水性溶液または分散物に変換することができる。粉体コポリマーは、より良い貯蔵性、より容易な輸送性の利点を持ち、かつ一般的に、低微生物被害傾向を提示する。
【0130】
本発明はさらに、以下を含んでいる化粧品または医薬組成物を提供する:
A) 上記定義の少なくとも1種の両性コポリマー、および
B) 少なくとも1種の美容上許容される担体。
【0131】
本発明にしたがう組成物には、好ましくは以下から選択される美容上または製薬上許容される担体 B)を有する:
i) 水、
ii) 水混和性有機溶媒、好ましくはC2-C4-アルカノール、特にエタノール、
iii) 油、脂肪、ワックス、
iv) iii)とは別の、C6-C30-モノカルボン酸と1、2または3価アルコールとのエステル、
v) 飽和の非環式および環式炭化水素、
vi) 脂肪酸、
vii) 脂肪族アルコール、
viii) 噴射剤ガス、
ならびにこれらの混合物。
【0132】
本発明にしたがう組成物は、例えば以下から選択される油または脂肪成分 B)を有する: ミネラル油などの低極性炭化水素; テトラデカン、ヘキサデカン、オクタデカンその他などの、好ましくは9炭素原子以上の線状飽和炭化水素; デカヒドロナフタレンなどの環式炭化水素; 分枝炭化水素; 動物および植物油; ワックス; ワックスエステル; ワセリン; エステル、好ましくは脂肪酸のエステル、例えば、C1-C24-モノアルコールのC1-C22-モノカルボン酸とのエステル、例えばイソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸n-プロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸n-プロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ヘキサコサニル、パルミチン酸オクタコサニル、パルミチン酸トリアコンタニル、パルミチン酸ドトリアコンタニル、パルミチン酸テトラトリアコンタニル、ステアリン酸ヘキサコサニル、ステアリン酸オクタコサニル、ステアリン酸トリアコンタニル、ステアリン酸ドトリアコンタニル、ステアリン酸テトラトリアコンタニル; サリチル酸エステル、C1-C10-サリチレートなど、例えばサリチル酸オクチル; 安息香酸エステル、安息香酸C10-C15-アルキル、安息香酸ベンジルなど; その他の化粧料用エステル、脂肪酸トリグリセリド、モノラウリン酸プロピレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、乳酸C10-C15-アルキル、その他、およびこれらの混合物。
【0133】
好適なシリコーン油 B)は、例えば、線状ポリジメチルシロキサン、ポリ(メチルフェニルシロキサン)、環式シロキサンおよびこれらの混合物である。ポリジメチルシロキサンおよびポリ(メチルフェニルシロキサン)の数平均分子量は、好ましくは約1000〜150 000 g/molの範囲である。好ましい環式シロキサンは4〜8員環である。好適な環式シロキサンは、例えばシクロメチコンの名称で市販されている。
【0134】
好ましい油および脂肪成分 B)は以下から選択される: パラフィンおよびパラフィン油; ワセリン; 天然脂肪および油、ヒマシ油、大豆油、ピーナツ油、オリーブ油、ヒマワリ油、ゴマ油、アボカド油、カカオバター、アーモンド油、杏仁油、トウゴマ油、タラ肝油、ラード、鯨ろう、鯨油、マッコウクジラ油、小麦胚芽油、マカデミアナッツ油、月見草油、ホホバ油など; 脂肪族アルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、セチルアルコールなど; 脂肪酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸ならびにこれらとは異なる飽和、不飽和および置換脂肪酸など; ワックス、蜜ろう、カルナバワックス、カンデリラワックス、鯨ろうなど、ならびに上記の油および脂肪成分の混合物。
【0135】
好適な美容上および医薬として適合性の油および脂肪成分 B)は、以下に記載されている: Karl-Heinz Schrader, Grundlagen und Rezepturen der Kosmetika[化粧料の基礎および製剤], 2nd Edition, Verlag Huthig, Heidelberg, pp. 319-355。これを本明細書の参照とする。
【0136】
好適な親水性担体 B)は以下から選択される: 水、好ましくは1〜8炭素原子を持つ、1、2または多価アルコール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、グリセロール、ソルビトール、その他、など。
【0137】
本発明にしたがう1実施形態中、組成物は20重量%またはそれ以上の水を含んでいる。
【0138】
本発明にしたがう別の実施形態中、組成物は20重量%未満、好ましくは10重量%未満、特に好ましくは5重量%の水を含んでいる。
【0139】
好適な噴射剤ガス B)はプロパン/ブタンである。
【0140】
本発明にしたがう化粧料組成物は、肌化粧用、毛髪化粧用、皮膚用、衛生用または医薬用組成物である。そのフィルム形成特性によって、上記のコポリマーおよび高分子電解質複合体は、特に毛髪および肌化粧料のための添加剤として好適である。
【0141】
好ましくは、本発明にしたがう組成物は以下の形態である: ジェル、フォーム、スプレー、軟膏、クリーム、エマルジョン、懸濁液、ローション、乳液またはペースト。所望ならば、リポソームまたはミクロスフェアを使用することも可能である。
【0142】
本発明にしたがう、美容上または医薬として活性な組成物は、その他に美容および/または皮膚用活性成分、ならびに補助剤を含んでいてもよい。
【0143】
好ましくは、本発明にしたがう化粧料組成物は、少なくとも1種の上記のコポリマー A)、少なくとも1種の上記の担体 B)、およびこれらとは別の、以下から選択される少なくとも1種の構成成分を含んでいる: 美容活性成分、乳化剤、界面活性剤、保存剤、香油、増粘剤、ヘアポリマー、ヘアおよびスキンコンディショナー、グラフトポリマー、水溶性もしくは分散性シリコーン含有ポリマー、光保護剤、ブリーチ、ジェル形成剤、ケア剤、着色剤、ヘア染料、日焼け剤、染料、顔料、粘稠度調節剤、保湿剤、再脂肪化剤、コラーゲン、タンパク質加水分解物、脂質、抗酸化剤、消泡剤、帯電防止剤、エモリエントおよび柔軟剤。
【0144】
こうした製剤での通例の増粘剤は以下である: 架橋されたポリアクリル酸およびその誘導体、多糖類およびその誘導体、キサンタンガム、アガーアガー、アルギン酸塩もしくはチロース(tyloses)など、セルロース誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースもしくはヒドロキシカルボキシメチルセルロース、脂肪族アルコール、モノグリセリドおよび脂肪酸、ポリビニルアルコールおよびポリビニルピロリドン。好ましいのは非イオン性増粘剤の使用である。
【0145】
好適な美容および/または皮膚用活性成分は、例えば以下である: 着色活性成分、肌および毛髪色素沈着剤、ヘア染料、日焼け剤、ブリーチ、ケラチン硬化物質、抗微生物活性成分、光フィルター活性成分、防虫活性成分、血行促進物質、ケラチン溶解およびケラチン柔軟化物質、ふけ防止活性成分、消炎剤、ケラチン化物質、抗酸化活性成分およびフリーラジカルスカベンジャーとして作用する活性成分、肌加湿もしくは保湿物質、再脂肪化活性成分、抗紅斑もしくは抗アレルギー活性成分ならびにこれらの混合物。
【0146】
天然または人工的なUV光を照射しないで、肌を日焼けさせるのに好適な、人工的に肌を褐色にする活性成分は、例えば、ジヒドロキシアセトン、アロキサンおよびクルミ殻抽出物である。好適なケラチン硬化物質は、一般的に制汗剤でも使用される、例えば以下などの活性成分である: 硫酸カリウムアルミニウム、ヒドロキシ塩化アルミニウム、乳酸アルミニウム、その他。抗微生物活性成分は、微生物を破壊するか、その増殖を抑制することによって、保存剤として、また体臭の発生または強度を低下させる消臭物質としても作用する。これらとして、例えば以下などの、当業者に知られた常用の保存剤が含まれる: p-ヒドロキシ安息香酸エステル、イミダゾリジニル尿素、ホルムアルデヒド、ソルビン酸、安息香酸、サリチル酸、その他。こうした消臭物質は、例えば以下である: リシノール酸亜鉛、トリクロサン、ウンデシレン酸アルキロールアミド、クエン酸トリエチル、クロルヘキシジン、その他。好適な光フィルター活性成分は、UV-Bおよび/またはUV-A領域のUV光を吸収する物質である。好適なUVフィルターは、例えば、2,4,6-トリアリール-1,3,5-トリアジンであり、そのアリール基はそれぞれ、好ましくは以下から選択される少なくとも1つの置換基を保有している: ヒドロキシ、アルコキシ、具体的にはメトキシ、アルコキシカルボニル、具体的にはメトキシカルボニルおよびエトキシカルボニル、ならびにこれらの混合物。以下もまた好適である: p-アミノ安息香酸エステル、ケイ皮酸エステル、ベンゾフェノン、ショウノウ誘導体、ならびに二酸化チタン、タルクおよび酸化亜鉛などの、UV光を遮る顔料。好適な防虫活性成分は、一定の動物、特に昆虫を人間に近づけないか、または撃退することができる化合物である。これらとして、例えば、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、N,N-ジエチル-m-トルアミド、その他が含まれる。好適な血行促進物質は、肌の血流を刺激する物質であって、例えば以下である: エッセンシャルオイル、例えば、ハイマツ、ラベンダー、ローズマリー、ジュニパーベリー、栃の実エキス、バーチリーフエキス、ヘイフラワーエキス、酢酸エチル、ショウノウ、メントール、ペパーミントオイル、ローズマリーエキス、ユーカリオイル、その他。好適なケラチン分解およびケラチン柔軟化物質は、例えば以下である: サリチル酸、チオグリコール酸カルシウム、チオグリコール酸およびその塩、硫黄、その他。好適なふけ防止活性成分は、例えば以下である: 硫黄、硫黄ポリエチレングリコール ソルビタン モノオレエート、硫黄リシノール ポリエトキシレート、ピリチオン亜鉛、ピリチオンアルミニウム、その他。好適な消炎剤は、肌の炎症を抑えるものであり、例えば以下がある: アラントイン、ビサボロール、ドラゴサントール、カモミールエキス、パンテノール、その他。
【0147】
本発明にしたがう組成物は、活性成分、例えば美容および/または医薬活性成分として、本発明にしたがうコポリマー A)とは別の、少なくとも1種のポリマーを含んでいてもよい。これらとして、極めて一般的には、アニオン、カチオン、両性および中性ポリマーが含まれる。
【0148】
アニオン性ポリマーの例は以下である: アクリル酸およびメタクリル酸のホモポリマーおよびコポリマーまたはその塩、アクリル酸とアクリルアミドのコポリマーおよびその塩、ポリヒドロキシカルボン酸のナトリウム塩、水溶性または水分散性ポリエステル、ポリウレタン、例えばLuviset PUR(登録商標)(BASF)、およびポリ尿素。特に好適なポリマーは以下である: アクリル酸t-ブチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸のコポリマー(例えばLuvimer(登録商標)100P)、アクリル酸エチルとメタクリル酸のコポリマー(例えばLuvimer(登録商標)MAE)、N-tert-ブチルアクリルアミド、アクリル酸エチル、アクリル酸のコポリマー(Ultrahold(登録商標)8、ストロング)、酢酸ビニル、クロトン酸および、場合によって、別のビニルエステルのコポリマー(例えばLuviset(登録商標)各等級)、場合によってアルコール、アニオン性ポリシロキサン、例えばカルボキシ官能性カルボキシポリシロキサンと反応させたマレイン酸無水物コポリマー、ビニルピロリドン、アクリル酸t-ブチル、メタクリル酸のコポリマー(例えばLuviskol(登録商標)VBM)、アクリル酸およびメタクリル酸と疎水性モノマー、例えば、(メタ)アクリル酸のC4-C30-アルキルエステル、C4-C30-アルキルビニルエステル、C4-C30-アルキルビニルエーテルおよびヒアルロン酸とのコポリマー。以下もまた、アニオン性ポリマーの例である: 酢酸ビニル/クロトン酸コポリマー、これらは例えば、Resyn(登録商標)(National Starch)およびGafset(登録商標)(GAF)の名前で市販されている、およびビニルピロリドン/アクリル酸ビニルコポリマー、これらは例えば、商標名Luviflex(登録商標)(BASF)として入手可能である。別の好適なポリマーは、Luviflex(登録商標)VBM-35(BASF)の名前で入手可能なビニルピロリドン/アクリレートターポリマー、およびスルホン酸ナトリウムを含有するポリアミド、またはスルホン酸ナトリウムを含有するポリエステルである。ビニルピロリドン/メタクリル酸エチル/メタクリル酸コポリマーも好適であり、Stepanより、Stepanhold-Extraおよび-R1の名前で販売されて
いるもの、およびBF GoodrichからのCarboset(登録商標)各等級がある。
【0149】
好適なカチオン性ポリマーは、例えば、ポリクォータニウム(Polyquaternium)のINCI名を持つカチオン性ポリマーであり、例えば以下である: ビニルピロリドン/N-ビニルイミダゾリウム塩のコポリマー(Luviquat(登録商標)FC、Luviquat(登録商標)HM、Luviquat(登録商標)MS、Luviset Clear(登録商標)、Luviquat Supreme(登録商標)、Luviquat(登録商標)Care)、硫酸ジエチルで四級化された、N-ビニルピロリドン/メタクリル酸ジメチルアミノエチルのコポリマー(Luviquat(登録商標)PQ 11)、N-ビニルカプロラクタム/N-ビニルピロリドン/N-ビニルイミダゾリウム塩のコポリマー(Luviquat(登録商標)Hold)、カチオン性セルロース誘導体(ポリクォータニウム-4および-10)、アクリルアミドコポリマー(ポリクォータニウム-7)およびキトサン。以下も好適なカチオン性(四級化)ポリマーである: Merquat(登録商標)(塩化ジメチルジアリルアンモニウムを基礎とするポリマー)、Gafquat(登録商標)(ポリビニルピロリドンと四級アンモニウム化合物を反応させることによって形成される四級ポリマー)、ポリマーJR(カチオン基を持つヒドロキシエチルセルロース)および植物を基礎とするカチオン性ポリマー、例えばグァー(guar)ポリマー、Jaguar(登録商標)各等級(Rhodia)など。例えばWO 2006/069742に記載されている、カチオン性ポリウレタンも好適である。
【0150】
極めて特に好適なポリマーは以下などの中性ポリマーである: ポリビニルピロリドン、N-ビニルピロリドンと酢酸ビニルおよび/またはプロピオン酸ビニルのコポリマー、ポリシロキサン、ポリビニルカプロラクタム、ならびにN-ビニルピロリドンを持つその他のコポリマー、ポリエチレンイミンおよびその塩、ポリビニルアミンおよびその塩、セルロース誘導体、ポリアスパラギン酸塩および誘導体。これらとして、例えばLuviflex(登録商標)Swing(ポリ酢酸ビニルおよびポリエチレングリコールの部分的に加水分解されたコポリマー、BASF)が含まれる。
【0151】
以下の、非イオン性の、水溶性もしくは水分散性ポリマーまたはオリゴマーも、好適なポリマーである: 例えば、ポリビニルカプロラクタム、例えばLuviskol(登録商標)Plus(BASF)、またはポリビニルピロリドン、および特にビニルエステル、例えば酢酸ビニルなどとのそのコポリマー、例えばLuviskol(登録商標)VA 37(BASF)、ポリアミド、例えばイタコン酸および脂肪族ジアミンを基礎とするもの、例えば、DE-A-43 33 238に記載されているもの。
【0152】
以下の両性または双性イオンポリマーも好適なポリマーである: 例えば、Amphomer(登録商標)(National Starch)の名称で入手可能な、オクチルアクリルアミド/メタクリル酸メチル/メタクリル酸tert-ブチルアミノエチル/メタクリル酸2-ヒドロキシプロピルコポリマー、双性イオンポリマー、例えば以下に記載されているもの: ドイツ特許出願DE 39 29 973、DE 21 50 557、DE 28 17 369およびDE 37 08 451。塩化アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム/アクリル酸もしくはメタクリル酸コポリマーおよびそのアルカリ金属およびアンモニウム塩は好ましい双性イオンポリマーである。別の好適な双性イオンポリマーは、Amersette(登録商標)(AMERCHOL)の名称で市販されている、メタクロイルエチルベタイン/メタクリル酸コポリマー、ならびにメタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸N,N-ジメチルアミノエチルおよびアクリル酸のコポリマー(Jordapon(登録商標))。
【0153】
以下も好適なポリマーである: 非イオン性、シロキサン含有、水溶性または分散性ポリマー、例えばポリエーテルシロキサン、Tegopren(登録商標)(Goldschmidt)またはBelsil(登録商標)(Wacker)など。
【0154】
本発明にしたがう医薬組成物の製剤主剤は、好ましくは製薬上許容される補助剤を含んでいる。医薬、食品技術および関連分野での使用が知られている補助剤であり、特に関連薬局方(例えばDAB Ph. Eur. BP NF)に掲載されている補助剤、およびその特性が生理学的応用を妨げないその他の補助剤が製薬上の許容される。
【0155】
好適な補助剤は以下である: 流動促進剤、湿潤剤、乳化および懸濁剤、保存剤、抗酸化剤、抗刺激物質、キレート剤、エマルジョン安定剤、フィルム形成剤、ジェル形成剤、臭気遮蔽剤、樹脂、親水コロイド、溶媒、溶解性促進剤、中和剤、浸透加速剤、顔料、四級アンモニウム化合物、再脂肪化および超脂肪化剤、軟膏、クリームもしくはオイルベース物質、シリコーン誘導体、安定剤、滅菌剤、噴射剤、乾燥剤、乳白剤、増粘剤、ワックス、柔軟剤、ホワイトオイル。これに関連する1実施形態は、例えば以下にあるような、専門知識に基づいている: Fiedler, H. P. Lexikon der Hilfsstoffe fur Pharmazie, Kosmetik und angrenzende Gebiete[医薬、化粧料および関連分野の補助剤事典], 4th Edition, Aulendorf: ECV-Editio-Kantor Verlag, 1996。
【0156】
本発明にしたがう皮膚用組成物を調製するため、活性成分を好適な補助剤(賦形剤)と混合するか、これで希釈することができる。賦形剤は、活性成分のためにベヒクル、担体または媒体として作用する、固体、半固体または液体物質とすることができる。所望ならば、当業者に知られた手法で、別の補助剤をも混合する。その上、ポリマーおよび高分子電解質複合体は、製剤中の補助剤として、好ましくは固形薬剤のためのコーティング剤もしくはバインダーとして、またはその中での補助剤として好適である。これらをクリーム中で、ならびに錠剤コーティング剤および錠剤バインダーとして使用することもできる。
【0157】
好ましい実施形態によれば、本発明にしたがう組成物はスキンクレンジング組成物である。
【0158】
好ましいスキンクレンジング組成物は、以下の液体からジェルまでの粘稠度の石鹸である: 例えば、透明石鹸、高級石鹸、デオドラント石鹸、クリーム石鹸、ベビー石鹸、スキン保護石鹸、研磨石鹸および合成洗剤、ペースト状石鹸、ソフト石鹸および洗浄ペースト、液体洗剤、シャワーおよび入浴用品、洗浄ローション、シャワーバスおよびジェル、バスフォーム、バスオイルおよびスクラブ調製品、シェービングフォーム、ローションおよびクリームなど。
【0159】
別の好ましい実施形態によれば、本発明にしたがう組成物は、肌のケアおよび保護用の化粧料組成物、ネイルケア組成物または装飾用化粧料製品である。
【0160】
好適な肌化粧料組成物は、例えば、フェイストニック、フェイスマスク、デオドラントおよびその他の化粧用ローションである。装飾用化粧料で使用する組成物として、例えば以下が含まれる: コンシールスティック、ステージ用メイクアップ、マスカラおよびアイシャドウ、リップスティック、コールペンシル、アイライナー、ブラッシャー、パウダーならびにアイブローペンシル。
【0161】
さらに、両性コポリマーは、以下でも使用することができる: 毛穴クレンジング用のノーズストリップ、にきび抑制組成物、防虫剤、シェービング組成物、除毛組成物、インティメイトケア組成物、足ケア組成物、およびベビーケア。
【0162】
本発明にしたがうスキンケア組成物は、特に以下である: W/OもしくはO/Wスキンクリーム、デイおよびナイトクリーム、アイクリーム、フェイスクリーム、アンチリンクルクリーム、モイスチャライジングクリーム、ブリーチクリーム、ビタミンクリーム、スキンローション、ケアローションおよびモイスチャライジングローション。
【0163】
上記の両性コポリマーを基礎とする肌化粧料および皮膚用組成物は有益な効果を提示する。中でも、このポリマーは、肌の加湿およひコンディショニング、ならびに肌の感触の改善に寄与する。また、このポリマーは製剤の増粘剤としても作用する。一定の製剤中で、本発明にしたがうポリマーを添加することによって、肌との融和性のかなりの改善を達成することができる。
【0164】
肌化粧料および皮膚用組成物は、好ましくは組成物の総重量に基づいて、以下の量の少なくとも1種の両性コポリマーを含んでいる: 約0.001〜30重量%、好ましくは0.01〜20重量%、極めて特に好ましくは0.1〜12重量%。
【0165】
特に、両性コポリマーを基剤とする光防護剤は、ポリビニルピロリドンなどの通例の補助剤に比較して、UV吸収成分の滞留時間が延長される特性を持つ。
【0166】
使用分野に応じて、本発明にしたがう組成物は例えば以下の、スキンケアに好適な形態で適用される: クリーム、フォーム、ジェル、スティック、ムース、乳液、スプレー(ポンプスプレーもしくは噴射剤含有スプレー)またはローション。
【0167】
両性コポリマーおよび好適な担体の他に、肌化粧品は、肌化粧料で通例の別の活性成分および上記のような補助剤をも含んでいてもよい。これらとして、好ましくは以下が含まれる: 乳化剤、保存剤、香油、美容活性成分、例えば、フィタントリオール、ビタミンA、EおよびC、レチノール、ビサボロール、パンテノール、光防護剤、ブリーチ、着色剤、ヘア染料、日焼け剤、コラーゲン、タンパク質加水分解物、安定剤、pH調節剤、染料、塩、増粘剤、ジェル形成剤、粘稠度調節剤、シリコーン、保湿剤、再脂肪化剤およびその他の通例の添加剤。
【0168】
肌化粧料および皮膚用組成物の好ましい油および脂肪成分は以下である: 上記のミネラルおよび合成油、例えば、パラフィン、シリコーン油および9炭素原子以上の脂肪族炭化水素など、動物および植物油、例えばヒマワリ油、ココナッツ油、アボカド油、オリーブ油、ラノリンなど、またはワックス、脂肪酸、脂肪酸エステル、例えば、C6-C30脂肪酸のトリグリセリドなど、ワックスエステル、例えば、ホホバ油、脂肪族アルコール、ワセリン、水素化ラノリンおよびアセチル化ラノリンなど、ならびにこれらの混合物。
【0169】
特定の特性を設定したい場合は、本発明にしたがう両性コポリマーを常用のポリマーと混合することもできる。
【0170】
例えば、手触り、拡散性、耐水性および/または活性成分と色素などの補助剤との結合性を改善するなどの、一定の特性を設定するため、肌化粧料および皮膚用調製品にさらに、シリコーン化合物を基礎とするコンディショニング物質を含ませることもできる。好適なシリコーン化合物は、例えば以下である: ポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサン、ポリアリールアルキルシロキサン、ポリエーテルシロキサンまたはシリコーン樹脂。
【0171】
これらの化粧料または皮膚用調製品は、当業者に知られた通例の方法によって調製する。
【0172】
好ましくは、化粧料および皮膚用組成物はエマルジョンの形態、特に油中水型(W/O)又は水中油型(O/W)エマルジョンである。しかし、例えば以下の、別のタイプの製剤を選択することも可能である: 水分散物、ジェル、油、オレオジェル、多重エマルジョン、例えばW/O/WもしくはO/W/Oエマルジョンの形態、無水軟膏または軟膏基剤、その他。
【0173】
エマルジョンは既知の方法によって調製する。少なくとも1種の両性コポリマーのほか、エマルジョンは通常、以下の常用の成分を含んでいる: 例えば、脂肪族アルコール、脂肪酸エステルおよび、特に、脂肪酸トリグセリド、脂肪酸、ラノリンおよびその誘導体、天然もしくは合成油またはワックスならびに水の存在下の乳化剤。エマルジョンのタイプに特有の添加剤の選択および好適なエマルジョンの調製は、例えば以下に記載されている: Schrader、Grundlagen und Rezepturen der Kosmetika[化粧料の基礎および製剤], Huthig Buch Verlag, Heidelberg, 2nd Edition, 1989, third part。これを、本明細書中で明示的に参照する。
【0174】
例えばスキンクリームなどのために好適なエマルジョンは、一般的に油もしくは脂肪相中の好適な乳化剤系によって乳化される水性相を含んでいる。この水性相を提供するため、本発明にしたがう両性コポリマーを使用することができる。
【0175】
エマルジョンの脂肪相中に存在させることができる好ましい脂肪成分は以下である: 炭化水素油、例えば、パラフィン油、ピュアセリン(purcellin)油、パーヒドロスクアレンおよびこれらの油中の微結晶ワックスの溶液など; 動物もしくは植物油、例えば、スウィートアーモンド油、アボカド油、カロフィルム油、ラノリンおよびその誘導体、ヒマシ油、ゴマ油、オリーブ油、ホホバ油、カリテ(karite)油、ホプロステタス(hoplostethus)油など; 大気圧下での蒸留開始点が約250℃かつ蒸留終了点が410℃であるミネラル油、例えば、ワセリン油など; 飽和もしくは不飽和脂肪酸のエステル、例えば、ミリスチン酸アルキル、例えばミリスチン酸イソプロピル、ブチルもしくはセチル、ステアリン酸ヘキサデシル、パルミチン酸エチルもしくはイソプロピル、オクタン酸もしくはデカン酸トリグリセリドおよびリシノール酸セチルなど。
【0176】
脂肪相は、別の油に可溶性のシリコーン油、例えばジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンおよびシリコーングリコールコポリマーなど、脂肪酸ならびに脂肪族アルコールを含んでいてもよい。
【0177】
両性コポリマーの他に、例えば、カルナバワックス、カンデリラワックス、蜜ろう、微結晶ワックス、オゾケライトワックスなどのワックス、ならびにオレイン酸、ミリスチン酸、リノール酸およびステアリン酸のCa、MgおよびAl塩を使用することも可能である。
【0178】
さらに、本発明にしたがうエマルジョンは、O/Wエマルジョンの形態とすることができる。こうしたエマルジョンは通常、油相、この油相を水相中で安定化する乳化剤、および通常は粘稠化した形態の水性相を含んでいる。好適な乳化剤は好ましくはO/W乳化剤、ポリグリセロールエステル、ソルビタンエステルまたは部分的にエステル化したグリセリドなどである。
【0179】
別の好ましい実施形態によれば、本発明にしたがう組成物はシャワージェル、シャンプー製品または入浴用剤である。
【0180】
こうした製剤は、少なくとも1種の両性コポリマーと基本界面活性剤として通常はアニオン性界面活性剤ならびに共界面活性剤として両性および/または非イオン性界面活性剤を含んでいる。別の好適な活性成分および/または補助剤は通常以下から選択される: 脂質、香油、染料、有機酸、保存剤および抗酸化剤、ならびに増粘剤/ジェル形成剤、スキンコンディショナーおよび保湿剤。
【0181】
これらの製剤は、好ましくは製剤の総重量を基礎として、2〜50重量%、好ましくは5〜40重量%、特に好ましくは8〜30重量%の界面活性剤を含んでいる。
【0182】
洗浄、シャワーおよび浴用製品中では、身体洗浄組成物中で通例使用されるすべてのアニオン性、中性、両性またはカチオン性界面活性剤を使用することができる。
【0183】
好適なアニオン性界面活性剤は、例えば以下である: 硫酸アルキル、硫酸アルキルエーテル、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、コハク酸アルキル、スルホコハク酸アルキル、サルコシン酸N-アルコイル、タウリン酸アシル、イソチオン酸アシル、リン酸アルキル、リン酸アルキルエーテル、カルボン酸アルキルエーテル、アルファ-オレフィンスルホン酸塩、特にアルカリ金属およびアルカリ土類金属塩、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、およびアンモニウム塩、ならびにトリエタノールアミン塩。硫酸アルキルエーテル、リン酸アルキルエーテルおよびカルボン酸アルキルエーテルは分子中に1〜10エチレンオキシドまたはプロピレンオキシド単位、好ましくは1〜3エチレンオキシド単位を持つ。
【0184】
これらとして、例えば以下が含まれる: ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸アンモニウム、ラウリルサルコシンナトリウム、オレイルコハク酸ナトリウム、ラウリルスルホコハク酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン。
【0185】
好適な両性界面活性剤は例えば以下である: アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルスルホベタイン、グリシン酸アルキル、カルボキシグリシン酸アルキル、アンホ酢酸もしくはアンホプロピオン酸アルキル、アンホ二酢酸もしくはアンホジプロピオン酸アルキル。
【0186】
例えば、ココジメチルスルホプロピルベタイン、ラウリルベタイン、ココアミドプロピルベタインまたはココアンホプロピオン酸ナトリウムを使用することができる。
【0187】
好適な非イオン性界面活性剤は、例えば、アルキル鎖中に6〜20炭素原子を持つ、線状もしくは分枝の脂肪族アルコールまたはアルキルフェノールとエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドとの反応生成物である。アルキレンオキシドの量は、アルコール1モルについて約6〜60モルである。以下も好適である: アルキルアミンオキシド、モノ-もしくはジアルキルアルカノールアミド、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル、エトキシル化脂肪酸アミド、アルキルポリグリコシドまたはソルビタンエーテルエステル。
【0188】
さらに、洗浄、シャワーおよび浴用製品は、例えば、四級アンモニウム化合物、例えば塩化セチルトリメチルアンモニウムなどの、通例のカチオン界面活性剤を含んでいてもよい。
【0189】
その上、シャワージェル/シャンプー製剤は、増粘剤、例えば、塩化ナトリウム、PEG-55、オレイン酸プロピレングリコール、PEG-120ジオレイン酸メチルグルコースおよびその他など、ならびに保存剤、別の活性成分および補助剤ならびに水を含んでいてもよい。
【0190】
特に好ましい実施形態によれば、本発明にしたがう組成物はヘアトリートメント組成物である。
【0191】
本発明にしたがうヘアトリートメント組成物は、好ましくは組成物の総重量に基づいて、約0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜20重量%の範囲の量の少なくとも1種の両性コポリマーを含んでいる。
【0192】
好ましくは、本発明にしたがうヘアトリートメント組成物は以下の形態である: ヘアスプレー、セットフォーム、ヘアムース、ヘアジェル、シャンプー、ヘアフォーム、停止液(end fluid)、パーマ後の中和剤、ヘアカラー剤およびブリーチまたはホットオイルトリートメント。使用分野に応じて、毛髪化粧料を、(エアゾール)スプレー、(エアゾール)フォーム、ムース、ジェル、ジェルスプレー、クリーム、ローションまたはワックスとして適用することができる。この場合、ヘアスプレーはエアゾールスプレーと噴射剤ガス無しのポンプスプレーの両方を含んでいる。ヘアフォームはエアゾールフォームと噴射剤ガス無しのポンプフォームの両方を含んでいる。ヘアスプレーおよびヘアフォームは、好ましくは主として水溶性もしくは水分散性成分、またはこれのみを含んでいる。本発明にしたがうヘアスプレーおよびヘアフォームで使用する化合物が水分散性の場合、これらは通常1〜350 nm、好ましくは1〜250 nmの粒子径の水性微粒子分散物の形態で使用することができる。これらの製品の固体含量は通常、約0.5〜20重量%の範囲である。これらの微粒子分散物は一般的に、その安定化のために、乳化剤も界面活性剤も必要としない。
【0193】
少なくとも1種の化合物 f)を共重合形態で0.01〜3重量%含んでいるコポリマーが、ヘアトリートメント組成物中のセット剤および/またはコンディショナーとして特に好適である。同様に、42またはそれ以上のK値を持つコポリマーが、ヘアトリートメント組成物中のセット剤および/またはコンディショナーとして特に好適である。これらのヘアトリートメント組成物は以下から選択される: ヘアジェル、シャンプー、セットフォーム、ヘアトニック、ヘアスプレー、ヘアフォームまたはムース。
【0194】
好ましい1実施形態中、本発明にしたがう毛髪化粧料製剤は以下を含んでいる:
a) 上記定義の少なくとも1種の両性コポリマー0.05〜20重量%、
b) 水および/またはアルコール20〜99.95重量%、
c) 少なくとも1種の噴射剤ガス0〜50重量%、
d) 少なくとも1種の乳化剤0〜5重量%、
e) 少なくとも1種の増粘剤0〜3重量%、および
f) 別の構成成分25重量%以下。
【0195】
アルコールは化粧料中で常用のすべてのアルコール、例えばエタノール、イソプロパノール、n-プロパノールを意味するものと解釈される。
【0196】
別の構成成分とは、例えば以下の、化粧料中で常用の添加剤を意味するものと解釈される: 噴射剤、消泡剤、界面作用性化合物、すなわち界面活性剤、乳化剤、フォーム形成剤および可溶化剤。使用する界面作用性化合物は、アニオン、カチオン、両性または中性である。別の常用の構成成分は、例えば以下である: 保存剤、香油、乳白剤、活性成分、UVフィルター、ケア物質、例えばパンテノール、コラーゲン、ビタミン、タンパク質加水分解物、アルファ-およびベータ-ヒドロキシカルボン酸、タンパク質加水分解物、安定剤、pH調節剤、染料、粘度調節剤、ジェル形成剤、染料、塩、保湿剤、再脂肪化剤、錯化剤および別の常用の添加剤。
【0197】
極めて特別の性質を設定する場合、これらには、本発明にしたがうポリマーと組み合わせて使用することができる、化粧料で知られているすべてのスタイリングおよびコンディショナーポリマーを含ませることができる。
【0198】
一定の特性を設定するため、製品はさらに、シリコーン化合物を基礎とするコンディショニング物質を含んでいてもよい。好適なシリコーン化合物は、例えば以下である: ポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサン、ポリアリールアルキルシロキサン、ポリエーテルシロキサン、シリコーン樹脂またはジメチコンコポリオール(CTFA)およびアミノ官能性シリコーン化合物、例えばアモジメチコン(CTFA)。
【0199】
本発明にしたがう両性コポリマーおよび高分子電解質複合体は、ヘアスタイリング製品中、特にヘアスプレー(エアゾールスプレーおよび噴射剤ガス無しのポンプスプレー)ならびにヘアフォーム(エアゾールフォームおよび噴射剤ガス無しのポンプフォーム)中のセット剤として特に好適である。
【0200】
好ましい1実施形態中、スプレー製品は以下を含んでいる:
a) 上記定義の少なくとも1種の両性コポリマー0.1〜10重量%、
b) 水および/またはアルコール20〜94.9重量%、
c) 少なくとも1種の噴射剤0〜70重量%、
d) 別の構成成分0〜20重量%。
【0201】
噴射剤は、ヘアスプレーまたはエアゾールフォームで通例使用される噴射剤である。好ましいのは、プロパン/ブタンの混合物、ペンタン、ジメチルエーテル、1,1-ジフルオロエタン(HFC-152 a)、二酸化炭素、窒素または加圧空気である。
【0202】
エアゾールヘアフォーム用に好ましい本発明にしたがう製剤は以下を含んでいる:
a) 上記定義の少なくとも1種の両性コポリマー0.1〜10重量%、
b) 水および/またはアルコール55〜94.8重量%、
c) 噴射剤5〜20重量%、
d) 乳化剤0.1〜5重量%、
e) 別の構成成分0〜10重量%。
【0203】
使用することができる乳化剤は、ヘアフォームで通例使用されるすべての乳化剤である。好適な乳化剤は非イオン性、カチオン性もしくはアニオン性または両性でもよい。
【0204】
非イオン性乳化剤の例は以下(INCI命名法)である: ラウレス、例えばラウレス-4; セテス、例えばセテス-1、ポリエチレングリコールセチルエーテル; セテアレス、例えばセテアレス-25、ポリグリコール脂肪酸グリセリド、ヒドロキシル化レシチン、脂肪酸のラクチルエステル、アルキルポリグリコシド。
【0205】
カチオン性乳化剤の例は以下である: リン酸二水素セチルジメチル-2-ヒドロキシエチルアンモニウム、塩化セチルトリモニウム、臭化セチルトリモニウム、メチル硫酸ココトリモニウム、クォータニウム-1〜x(INCI)。
【0206】
アニオン性乳化剤は、例えば以下の群から選択することができる: 硫酸アルキル、硫酸アルキルエーテル、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、コハク酸アルキル、スルホコハク酸アルキル、サルコシン酸N-アルコイル、タウリン酸アシル、イセチオン酸アシル、リン酸アルキル、リン酸アルキルエーテル、カルボン酸アルキルエーテル、アルファ-オレフィンスルホン酸塩、特にそのアルカリ金属およびアルカリ土類金属塩、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、およびアンモニウムならびにトリエタノールアミン塩。硫酸アルキルエーテル、リン酸アルキルエーテルおよびカルボン酸アルキルエーテルは1分子中に1〜10のエチレンオキシドまたはプロピレンオキシド単位、好ましくは1〜3エチレンオキシド単位を持っている。
【0207】
スタイリングジェル用に好適な本発明にしたがう製品は、例えば以下の組成からなっている:
a) 上記定義の少なくとも1種の両性コポリマー0.1〜10重量%、
b) 水および/またはアルコール80〜99.9重量%、
c) ジェル形成剤0〜3重量%、好ましくは0.05〜2重量%、
d) 別の構成成分0〜20重量%。
【0208】
一般的に、本発明にしたがうコポリマーはすでに「自己粘稠化(self thickening)」効果を持っているので、ジェルの製造中のジェル形成剤は、多くの場合省略できることを意味している。しかし、ジェルの特定のレオロジーまたはその他の適用上の特性を確立するためには、その使用が有利になることもある。使用することができるジェル形成剤は、化粧料で通例のすべてのジェル形成剤である。これらとして以下が含まれる: わずかに架橋されたポリアクリル酸、例えばカルボマー(INCI)、セルロース誘導体、例えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カチオン性修飾セルロース、多糖類、例えばキサンタンガム、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、アクリル酸ナトリウムコポリマー、ポリクォータニウム-32(および)流動パラフィン(INCI)、アクリル酸ナトリウムコポリマー(および)流動パラフィン(および)PPG-1 トリデセス-6、塩化アクリルアミドプロピルトリモニウム/アクリルアミドコポリマー、ステアレス-10アクリル酸アリルエーテルコポリマー、ポリクォータニウム-37(および)流動パラフィン(および)PPG-1 トリデセス-6、ポリクォータニウム-37(および) ジカプリン酸ジカプリル酸プロピレングリコール(および)PPG-1 トリデセス-6、ポリクォータニウム-7、ポリクォータニウム-44。
【0209】
少なくとも1種の化合物 f) 0.01〜3重量%を共重合形態で含んでいるコポリマーは、特に以下のものにおいてレオロジー調整剤として好適である: スキンクレンジング組成物、肌ケアおよび保護組成物、ネイルケア組成物、装飾用化粧料製品およびヘアトリートメント組成物。
【0210】
本発明にしたがう両性コポリマーは、コンディショナーとして、化粧料製品で使用することができる。
【0211】
本発明にしたがう上記定義の両性コポリマーは、好ましくはシャンプー製剤中でセット剤および/またはコンディショナーとして使用できる。好ましいシャンプー製剤は以下を含んでいる:
a) 上記定義の少なくとも1種の両性コポリマー0.05〜10重量%、
b) 水25〜94.95重量%、
c) 界面活性剤5〜50重量%、
d) 別のコンディショナー0〜5重量%、
e) 別の化粧料成分0〜10重量%。
【0212】
シャンプー製剤中では、シャンプーで通例使用されるすべてのアニオン性、中性、両性またはカチオン性界面活性剤を使用することができる。
【0213】
好適なアニオン性界面活性剤は、例えば以下である: 硫酸アルキル、硫酸アルキルエーテル、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、コハク酸アルキル、スルホコハク酸アルキル、サルコシン酸N-アルコイル、タウリン酸アシル、イセチオン酸アシル、リン酸アルキル、リン酸アルキルエーテル、カルボン酸アルキルエーテル、アルファ-オレフィンスルホン酸塩、特にそのアルカリ金属およびアルカリ土類金属塩、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、およびアンモニウムならびにトリエタノールアミン塩。硫酸アルキルエーテル、リン酸アルキルエーテルおよびカルボン酸アルキルエーテルは1分子中に1〜10のエチレンオキシドまたはプロピレンオキシド単位、好ましくは1〜3エチレンオキシド単位を持っている。
【0214】
好適なのは、例えば以下である: ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸エーテルナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウムエーテル、ラウロイルサルコシンナトリウム、オレイルコハク酸ナトリウム、ラウリルスルホコハク酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン。
【0215】
好適な両性界面活性剤は例えば以下である: アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルスルホベタイン、グリシン酸アルキル、カルボキシグリシン酸アルキル、アンホ酢酸もしくはアンホプロピオン酸アルキル、アンホ二酢酸もしくはアンホジプロピオン酸アルキル。
【0216】
例えば、ココジメチルスルホプロピルベタイン、ラウリルベタイン、ココアミドプロピルベタインまたはココアンホプロピオン酸ナトリウムを使用することができる。
【0217】
好適な非イオン性界面活性剤は、例えば、アルキル鎖中に6〜20炭素原子を持つ、線状もしくは分枝の脂肪族アルコールまたはアルキルフェノールとエチレンオキシドおよび/もしくはプロピレンオキシドとの反応生成物である。アルキレンオキシドの量は、アルコール1モル当たり約6〜60モルである。以下も好適である: アルキルアミンオキシド、モノ-もしくはジアルキルアルカノールアミド、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル、アルキルポリグリコシドまたはソルビタンエーテルエステル。
【0218】
さらに、シャンプー製剤は、例えば、四級アンモニウム化合物、例えば塩化セチルトリメチルアンモニウムなどの、通例のカチオン界面活性剤を含んでいてもよい。
【0219】
シャンプー製剤では、一定の効果を達成するために、通例のコンディショナーを両性コポリマーと組み合わせて使用することができる。これらとして、例えば、INCI名ポリクォータニウムを含む上記のカチオン性ポリマー、特に以下が含まれる: ビニルピロリドン/N-ビニルイミダゾリウム塩のコポリマー(Luviquat(登録商標)FC、Luviquat(登録商標)HM、Luviquat(登録商標)MS、Luviquat(登録商標)Care)、N-ビニルピロリドン/メタクリル酸ジメチルアミノエチルのコポリマー、硫酸ジエチルで四級化したもの(Luviquat(登録商標)PQ 11)、N-ビニルカプロラクタム/N-ビニルピロリドン/N-ビニル-イミダゾリウム塩のコポリマー(Luviquat(登録商標)Hold); カチオンセルロース誘導体(ポリクォータニウム-4および-10)、アクリルアミドコポリマー(ポリクォータニウム-7)。タンパク質加水分解物、および例えば以下のシリコーン化合物に基づくコンディショニング物質を使用することも可能である: ポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサン、ポリアリールアルキルシロキサン、ポリエーテルシロキサンまたはシリコーン樹脂。別の好適なシリコーン化合物は、ジメチコンコポリオール(CTFA)およびアミノ官能性シリコーン化合物、例えばアモジメチコン(CTFA)などである。カチオン性グァー誘導体、グァーヒドロキシプロピルトリモニウムクロライド(INCI)を使用することも可能である。
【0220】
本発明はさらに、製剤中の補助剤としての、好ましくは固形薬剤用のコーティング剤としての、もしくは固形薬剤用のコーティング剤における、レオロジー特性を調整するための、表面活性化合物としての、接着剤としての、もしくは接着剤における、ならびに繊維製品、紙、印刷物および皮革工業用のコーティング剤としての、もしくは繊維製品、紙、印刷物および皮革工業用のコーティング剤における、両性コポリマーの使用を提供する。
【0221】
本発明を、以下の非制限的な実施例を参照として、さらに詳細に説明する。
【実施例】
【0222】
一般的調製操作:
実施例6:(TBA/VP/DMAPMAM/quat DMAEMA/MAA = 47 : 25 : 5 : 20 : 3)
【表2】

【0223】
還流冷却器、内部温度計および4つの別々の原料容器を備えた撹拌装置中で、当初投入物を撹拌しながら、約70℃に加熱した。70℃で、粘度のわずかな増加で認識できる重合の開始後、原料1の残りを3時間かけて添加し、原料2の残りを4時間かけて添加した。次に反応溶液を70℃でさらに約2時間撹拌した。原料3を約80℃で15分かけて計量投入し、ポリマー混合物を80℃でさらに約4時間撹拌した。約60℃に冷却後、リン酸でpHを5.9に調整した。その後、外部温度120℃で、水蒸気蒸留によって、反応溶液からエタノールを除去した。ポリマー溶液を約40℃に冷却し、エタノール(原料4)で希釈し、水で固体含量30%に調整した。同様にして、下記表1のポリマーを調製した。
【表3】

【0224】
実施例21:TBA/VP/DMAPMAM/Q311/MAA/EGDMA = 35/37/10/15/3/ 0.1 ppH
【表4】

【0225】
還流冷却器、内部温度計および3つの別々の原料容器を備えた撹拌装置中で、当初投入物を撹拌しながら、約70℃に加熱した。70℃で、粘度のわずかな増加で認識できる重合の開始後、原料1の残りを3時間かけて添加し、原料2の残りを4時間かけて添加した。次に反応溶液を70℃でさらに約2時間撹拌した。原料3を約80℃で15分かけて計量投入し、ポリマー混合物を80℃でさらに約4時間撹拌した。約60℃に冷却後、リン酸でpHを5.9に調整した。その後、外部温度120℃で、水蒸気蒸留によって、反応溶液からイソプロパノールを除去した。ポリマー溶液を約40℃に冷却し、水で固体含量20%に調整した。同様にして、下記表2のポリマーを調製した。
【表5】

【0226】
適用例:
別段の指示がない限り、部は重量部である。
【0227】
A) 化合物 f)を含まないコポリマー
I) 毛髪化粧料での使用:
1) VOC 80エアゾールヘアスプレー(実施例番号1〜20)
【表6】

【0228】
2) VOC 80エアゾールヘアスプレー(実施例番号21〜40)
【表7】

【0229】
3) VOC 55エアゾールヘアスプレー(実施例番号41〜60)
【表8】

【0230】
4) VOC 55エアゾールヘアスプレー(実施例番号61〜80)
【表9】

【0231】
5) VOC 55ポンプスプレー(実施例番号81〜100)
【表10】

【0232】
6) セットフォーム(実施例番号101〜120)
【表11】

【0233】
7) シャンプー(実施例番号121〜140)
【表12】

【0234】
8) 無水ヘアスプレー(実施例番号141〜160)
【表13】

【0235】
9) 無水ヘアスプレー(実施例番号161〜180)
【表14】

【0236】
II) 肌化粧品での使用:
10) 標準O/Wクリーム(実施例番号181〜200)
【表15】

【0237】
11) デイローション(実施例番号201〜220)
【表16】

【0238】
B) 化合物 f)を含むコポリマー
I) 毛髪化粧品での使用:
12) セットフォーム(実施例番号221〜224)
【表17】

【0239】
13) 液状ヘアジェル(実施例番号225〜228)
【表18】

【0240】
II)肌化粧品での使用:
14) 標準O/Wクリーム(実施例番号229〜232)
【表19】

【0241】
15) デイローション(実施例番号233〜236)
【表20】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アニオン生成(anionogenic)基/アニオン基と比較してモル過剰のカチオン生成(cationogenic)基/カチオン基を含み、かつ以下のフリーラジカル重合によって得ることができる両性コポリマー:
a) 一般式Iの少なくとも1種のα,β-エチレン性不飽和モノマー、
【化1】

[式中、
R1は水素またはC1-C8-アルキルであり、
X1はOまたはNR3であり、ここでR3は水素、アルキル、シクロアルキル、アリールまたはヘタリールであり、
R2は分枝鎖C3-C5-アルキルである]
b) 1分子当たり、フリーラジカル重合が可能なα,β-エチレン性不飽和二重結合ならびに少なくとも1個のカチオン生成基および/またはカチオン基を有する少なくとも1種の化合物(ただし、化合物 b)の少なくともいくつかは少なくとも1個の四級窒素原子を有する)、
c) 1分子当たり、フリーラジカル重合が可能なα,β-エチレン性不飽和二重結合ならびに少なくとも1個のアニオン生成基および/またはアニオン基を有する少なくとも1種の化合物、ならびに
d) 場合により、一般式IIのα,β-エチレン性不飽和アミド基含有化合物から選択される、少なくとも1種のアミド基含有モノマー;
【化2】

[式中、
基R4〜R6の1つが式CH2=CR7-の基であり、ここでR7はHまたはC1-C4-アルキルであり、そしてその他の基R4〜R6は、互いに独立して、H、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘタリールであり、
ここでR4およびR5は、これらが結合しているアミド基と一緒になって、5〜8環原子を有するラクタムでもよく、
ここでR5およびR6は、これらが結合している窒素原子と一緒になって、5〜7員ヘテロ環でもよい]。
【請求項2】
少なくとも1種のモノマー d)を共重合形態で含んでいる、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項3】
成分 a)が、R2がtert-ブチルである式Iの少なくとも1種のモノマーを含んでいる、請求項1に記載のコポリマー。
【請求項4】
成分 a)がアクリル酸tert-ブチルを含んでいるか、またはアクリル酸tert-ブチルからなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のコポリマー。
【請求項5】
成分 b)がα,β-エチレン性不飽和モノ-およびジカルボン酸とアミン窒素上でモノ-もしくはジアルキル化されていてもよいアミノアルコールとのエステル、α,β-エチレン性不飽和モノ-およびジカルボン酸と少なくとも1個の一級もしくは二級アミノ基を有するジアミンとのアミド、N,N-ジアリルアミン、N,N-ジアリル-N-アルキルアミン、およびその誘導体、ビニル-およびアリル-置換された窒素ヘテロ環、ビニル-およびアリル-置換されたヘテロ芳香族化合物、これらのモノマーの四級化物、ならびにこれらの混合物から選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載のコポリマー。
【請求項6】
成分 b)が(メタ)アクリル酸N,N-ジメチルアミノエチル、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル](メタ)アクリルアミド、四級化(メタ)アクリル酸N,N-ジメチルアミノエチル、四級化N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル](メタ)アクリルアミド、およびこれらの混合物から選択される少なくとも1種のモノマーを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のコポリマー。
【請求項7】
成分 b)が塩化メチル、硫酸ジメチルまたは硫酸ジエチルで四級化された(メタ)アクリル酸N,N-ジメチルアミノエチルを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のコポリマー。
【請求項8】
成分 c)がメタクリル酸を含んでいるか、またはメタクリル酸からなる、請求項1〜7のいずれか1項に記載のコポリマー。
【請求項9】
成分 d)がα,β-エチレン性不飽和モノカルボン酸の一級アミド、飽和モノカルボン酸のN-ビニルアミド、N-ビニルラクタム、α,β-エチレン性不飽和モノカルボン酸のN-アルキル-およびN,N-ジアルキルアミド、ならびにこれらの混合物から選択される、請求項1〜8のいずれか1項に記載のコポリマー。
【請求項10】
成分 d)がN-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、およびこれらの混合物から選択される、請求項1〜9のいずれか1項に記載のコポリマー。
【請求項11】
α,β-エチレン性不飽和モノ-およびジカルボン酸とC1-C30アルカノール、不飽和C8-C30-脂肪族アルコールおよびC2-C30-アルカンジオールとの成分 a)とは異なるエステル、α,β-エチレン性不飽和モノ-およびジカルボン酸と一級もしくは二級アミノ基を有するC2-C30-アミノアルコールとのアミド、ビニルアルコールおよびアリルアルコールとC1-C30-モノカルボン酸とのエステル、ビニルエーテル、ビニル芳香族化合物、ハロゲン化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、C2-C8-モノオレフィン、少なくとも2個の共役二重結合を有する非芳香族炭化水素、ならびにこれらの混合物から選択される、少なくとも1種の別のモノマー e)を共重合形態でさらに含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載のコポリマー。
【請求項12】
- 20〜94.5重量%、特に好ましくは25〜85重量%の少なくとも1種の化合物 a)、
- 5〜79.5重量%、特に好ましくは10〜35重量%、特に13〜30重量%の少なくとも1種の化合物 b)、
- 0.5〜25重量%、特に好ましくは1〜20重量%、特に2〜15重量%の少なくとも1種の化合物 c)、
- 0〜74.5重量%、特に好ましくは1〜60重量%、特に5〜50重量%の少なくとも1種の化合物 d)、
- 0〜25重量%、特に好ましくは0.1〜20重量%、特に1〜15重量%の少なくとも1種の化合物 e)、
- 0〜5重量%、特に好ましくは0.01〜3重量%、特に0.1〜2重量%の少なくとも1種の架橋剤 f)
を共重合形態で含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載のコポリマー。
【請求項13】
0.01〜3重量%の少なくとも1種の架橋剤 f)を共重合形態で含む、請求項12に記載のコポリマー。
【請求項14】
少なくとも1種の調節剤の存在下で調製される、請求項1〜13のいずれか1項に記載のコポリマー。
【請求項15】
- (メタ)アクリル酸tert-ブチル、
- (メタ)アクリル酸N,N-ジメチルアミノエチル、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル](メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸N-(tert-ブチル)アミノエチル、N-ビニルイミダゾール、およびこれらの混合物から選択される少なくとも1種の化合物 b)(ここで、化合物 b)の少なくともいくつかは四級化されている)、
- アクリル酸および/またはメタクリル酸、
- ビニルピロリドンおよび/またはビニルカプロラクタム
の反復単位から構成される、請求項1〜14のいずれか1項に記載のコポリマー。
【請求項16】
- アクリル酸tert-ブチル、
- メタクリル酸N,N-ジメチルアミノエチルまたはN-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、
- 四級化メタクリル酸N,N-ジメチルアミノエチルまたは四級化N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、
- メタクリル酸、
- ビニルピロリドン
の反復単位から構成される、請求項1〜14のいずれか1項に記載のコポリマー。
【請求項17】
A) 請求項1〜16のいずれか1項で定義された少なくとも1種の両性コポリマー、および
B) 少なくとも1種の美容上許容される担体
を含む、化粧品または医薬組成物。
【請求項18】
成分B)が、
i) 水、
ii) 水混和性有機溶媒、好ましくはC2-C4-アルカノール、特にエタノール、
iii) 油、脂肪、ワックス、
iv) iii)と異なる、C6-C30-モノカルボン酸と1、2または3価アルコールとのエステル、
v) 飽和の非環式および環式炭化水素、
vi) 脂肪酸、
vii) 脂肪族アルコール、
viii) 噴射剤ガス、
およびこれらの混合物
から選択される、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
噴射剤ガスとしてプロパン/ブタンを含む、請求項17または18に記載の組成物。
【請求項20】
美容活性成分、乳化剤、界面活性剤、保存剤、香油、増粘剤、ヘアポリマー、ヘアおよびスキンコンディショナー、グラフトポリマー、水溶性もしくは分散性シリコーン含有ポリマー、光保護剤、ブリーチ、ジェル形成剤、ケア剤、着色剤、ヘア染料、日焼け剤、染料、顔料、粘稠度調節剤、保湿剤、再脂肪化(refatting)剤、コラーゲン、タンパク質加水分解物、脂質、抗酸化剤、消泡剤、帯電防止剤、エモリエント、および柔軟剤から選択される、成分 A)および B)とは異なる少なくとも1種の添加剤を含む、請求項17〜19のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項21】
スプレー、ジェル、フォーム、ムース、軟膏、クリーム、エマルジョン、懸濁液、ローション、乳液またはペーストの形態である、請求項17〜20のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項22】
スキンクレンジング組成物、皮膚のケアおよび保護のための組成物、ネイルケア組成物、装飾用化粧料製品およびヘアトリートメント組成物における、請求項1〜16のいずれか1項で定義されたコポリマーの使用。
【請求項23】
ヘアトリートメント組成物における、セット剤および/またはコンディショナーとしての、請求項22に記載の使用。
【請求項24】
セット剤がヘアジェル、シャンプー、セットフォーム、ヘアトニック、ヘアスプレーまたはヘアフォームもしくはムースの形態である、請求項23に記載の使用。
【請求項25】
組成物が軟膏、クリーム、エマルジョン、懸濁液、ローション、乳液またはペーストの形態である、請求項22または23に記載の使用。
【請求項26】
組成物が20重量%未満の水を含む、請求項22〜24のいずれか1項に記載の使用。
【請求項27】
組成物が60重量%以下のVOCを含む、請求項22〜25のいずれか1項に記載の使用。
【請求項28】
ヘアジェル、シャンプー、セットフォーム、ヘアトニック、ヘアスプレーまたはヘアフォームもしくはムースの形態であるヘアトリートメント組成物における、セット剤および/またはコンディショナーとしての、請求項13で定義されたコポリマーの使用。
【請求項29】
スキンクレンジング組成物、肌のケアおよび保護のための組成物、ネイルケア組成物、装飾用化粧料製品およびヘアトリートメント組成物における、レオロジー調製剤としての、請求項13で定義されたコポリマーの使用。
【請求項30】
製剤中の補助剤としての、好ましくは固形薬剤用のコーティング剤としての、もしくは固形薬剤用のコーティング剤における、レオロジー特性を調整するための、表面活性化合物としての、接着剤としての、もしくは接着剤における、ならびに繊維製品、紙、印刷物および皮革工業用のコーティング剤としての、もしくは繊維製品、紙、印刷物および皮革工業用のコーティング剤における、請求項1〜16のいずれか1項で定義されたコポリマーの使用。

【公表番号】特表2010−503744(P2010−503744A)
【公表日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−527833(P2009−527833)
【出願日】平成19年9月14日(2007.9.14)
【国際出願番号】PCT/EP2007/059725
【国際公開番号】WO2008/031892
【国際公開日】平成20年3月20日(2008.3.20)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】