説明

四重極型質量分析装置

【課題】1つの装置で、分析目的に応じた高感度の測定と測定質量範囲の広い測定とを自由に選択可能とする。
【解決手段】四重極電源部4において、高周波電源401による高周波電圧の周波数を切り替え可能とするとともに、四重極マスフィルタ2の浮遊容量に並列に可変コンデンサ402、403を設ける。感度優先の高感度モードでは質量範囲の広さを優先する高質量モードよりも、高周波電圧の周波数を高くするとともに、可変コンデンサ402、403の容量値を大きくする。LC共振回路を形成する容量値が大きくなることでLC共振条件に基づく周波数が上がり、高い周波数の高周波電圧をLC共振させて振幅を増幅することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、質量電荷比m/zに応じてイオンを分離する質量分離器として四重極マスフィルタを用いた四重極型質量分析装置に関し、さらに詳しくは、四重極マスフィルタに駆動電圧を印加する四重極駆動部に関する。
【背景技術】
【0002】
四重極型質量分析装置は、四重極マスフィルタを利用してイオンを質量電荷比に応じて分離し検出する質量分析装置である。図4は一般的な四重極型質量分析装置の概略構成図である。
【0003】
イオン源1において試料から生成された各種イオンは、図示しないイオンガイド等のイオン光学系を経て4本の略円柱状のロッド電極2a、2b、2c、2dから成る四重極マスフィルタ2に導入される。イオン光軸Cを取り囲むように平行配置された4本のロッド電極2a〜2dには、四重極電源部4から高周波電圧±V・cosωtと直流電圧±Uとを重畳した電圧±(U+V・cosωt)が印加され、その印加電圧に応じた特定の質量電荷比を有するイオンのみが選択的に四重極マスフィルタ2を通過し、それ以外の質量電荷比を有するイオンは途中で発散してしまう。イオン検出器3は四重極マスフィルタ2を通過してきたイオンを検出し、そのイオンの量に応じた強度の検出信号を出力する。
【0004】
所定の質量(厳密には質量電荷比)範囲に亘るスキャン測定を行う際には、制御部5は高周波電圧V・cosωtの振幅値Vと直流電圧値Uとが一定の関係を維持しながらそれぞれ変化するように四重極電源部4を制御する。これにより、四重極マスフィルタ2を通過するイオンの質量電荷比は所定の質量範囲で走査される。データ処理部6はその走査の際にイオン検出器3により順次得られる検出信号に基づいて、横軸を質量電荷比、縦軸をイオン強度とするマススペクトルを作成する。
【0005】
一般的な四重極型質量分析装置において測定質量範囲の上限はm/z 2000程度であり、一般的な化合物の定性分析にはほぼ充分であるといえる。一方、近年、微量分析の必要性が増大しており、検出感度の向上の要求は非常に強い。一般に、四重極マスフィルタ2を通過してイオン検出器3に到達して得られるイオン電流Iと四重極マスフィルタ2に印加される高周波電圧の周波数ωとは次の(1)式の関係となる。
I∝r02・ω/(M/ΔM) …(1)
ここで、r0はロッド電極2a〜2dの内接円半径、M/ΔMは質量分解能である。つまり、(1)式によれば、四重極マスフィルタ2に印加される高周波電圧の周波数ωが高いほど検出されるイオン強度は大きくなる。このため、四重極型質量分析装置において検出感度を向上させる1つの手法は、四重極マスフィルタ2に印加する高周波電圧の周波数を高くすることであるといえる。
【0006】
しかしながら、四重極マスフィルタ2に印加する高周波電圧の周波数を高くすると次のような問題がある。
図4に示したような4本のロッド電極2a〜2dで囲まれる空間に形成される四重極電場によるイオンの安定閉じ込め条件は、(2)式に示すようなマシュー方程式で表されることが知られている。
=a=−a=4eU/(mω202) …(2)
=q=−q=2eU/(mω202
ここでeは電気素量、mはイオンの質量である。(2)式によれば、ロッド電極2a〜2dに印加される高周波電圧の周波数ωが変化した場合、任意の質量電荷比を持つイオンを最適に閉じ込めるための電圧(振幅)は周波数変化の二乗の変化が必要となることが分かる。つまり、同じ質量電荷比を持つイオンに対して周波数ωを高くすると、印加する電圧の振幅も大きくしなければならないことになる。しかしながら、一般的な四重極電源部4では、高周波電圧の周波数を変化させたときにその振幅を大きく増加させることは困難である。
【0007】
図5は一般的な四重極電源部4の概略ブロック図である(特許文献1など参照)。この四重極電源部4は、高周波電源41、トランス42、正極側直流電源43、負極側直流電源44、及び、それぞれインダクタンスがLであるインダクタ(コイル)45、46、を含む。高周波電源41から出力される高周波電圧は、トランス42を介して正極側直流電源43及び負極側直流電源44から出力される正負の直流電圧に重畳される。ロッド電極2a〜2dは電極間等の浮遊容量を有しており、四重極電源部4の出力段にはその浮遊容量によるキャパシタンスCとインダクタ45又は46のインダクタンスLとによるLC共振回路が形成される。上述のようにトランス42の2次側コイルにおいて高周波電圧と直流電圧とが重畳された電圧はLC共振回路で共振し、その振幅が増幅されてロッド電極2a〜2dに印加される。
【0008】
上述したLC共振回路における共振の条件はf=1/{2π√(LC)}である。そのため、高周波電源41において生成する高周波電圧の周波数ωを変化させるとLC共振回路での同調がとれなくなり、イオンを通過させ得るような充分な振幅の高周波電圧をロッド電極2a〜2dに印加させることができなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2010/023706号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その目的とすることろは、分析目的等に応じて、測定質量範囲は狭いものの検出感度の高い質量分析と逆に検出感度はそれほど高くないものの測定質量範囲の広い質量分析とを選択的に実行することができる四重極型質量分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために成された本発明は、複数の電極からなる四重極マスフィルタと、特定の質量電荷比を有するイオンが前記四重極マスフィルタを選択的に通過するように高周波電圧と直流電圧とを重畳した所定の電圧を該四重極マスフィルタの各電極に印加するべく、高周波電源部と、該高周波電源部から供給される高周波電圧の振幅を増大させる、前記四重極マスフィルタの電極間の浮遊容量とともに共振回路を形成するインダクタと、を含む四重極駆動手段と、を具備する四重極型質量分析装置において、
前記高周波電源部はその出力の高周波電圧の周波数が可変である又は複数の周波数が切り替え可能であり、さらに、
前記四重極マスフィルタの電極間の浮遊容量と並列に接続された、容量が可変である又は複数の容量が切り替え可能であるコンデンサ手段と、
前記高周波電源部による高周波電圧の周波数を変化させる又は切り替えるように該高周波電源部を制御するとともに、それに応じて前記コンデンサ手段の容量を変化させる又は切り替える制御手段と、
を備えることを特徴としている。
【0012】
本発明に係る四重極型質量分析装置において、コンデンサ手段の容量が変化される又は切り替えられると、該容量とインダクタのインダクタンスにより形成される共振回路の共振周波数が変化する。したがって、高周波電源部で生成される高周波電圧の周波数が切り替えられた場合でも、その切替えに伴って共振回路の共振周波数を切り替えることにより、高周波電圧の周波数を共振点付近に合わせることができ、大振幅の高周波電圧を四重極マスフィルタの各電極に印加することができる。
【0013】
上述したように、四重極型質量分析装置においては高周波電圧の周波数を高くすれば検出感度は向上する。即ち、本発明に係る四重極型質量分析装置の好ましい一実施態様として、前記高周波電源部による高周波電圧の周波数は少なくとも2段階に切り替え可能であり、前記制御手段は、測定質量範囲の広さよりも検出感度の高さを優先させた感度優先モードにおいては前記高周波電源部による高周波電圧の周波数が相対的に高い状態を選択し、検出感度の高さよりも測定質量範囲の広さを優先させた質量範囲優先モードにおいては前記高周波電源部による高周波電圧の周波数が相対的に低い状態を選択する構成とするとよい。これによれば、1つの装置を用いて、分析の目的等に応じて高感度の測定と広い質量範囲の測定とを両方行うことができる。
【0014】
上記コンデンサ手段において容量を変化させる又は切り替えるための構成・構造としては様々なものが考えられる。例えば、対向配置した一対の電極板の間に容量を形成し、一方の電極板を回転させたり移動させたりすることで対面する電極板の面積を変化させる、或いは両電極板の間の距離を変化させることによって、容量を変化させる構成が考えられる。上記のような電極版の回転又は移動をモータ等の駆動機構により行う構成とすることで、電気的な駆動により容量を任意に変えることができる。
【0015】
このように容量を連続的に変化可能なコンデンサ手段を用いることにより、上述したように測定モードの切替えのために高周波電圧の周波数の切替えに応じて容量を切り替えるだけでなく、マススペクトル上のピーク形状の調整や質量軸の調整などのために高周波電源部による高周波電圧の周波数を微調整する代わりに容量を微調整するようにすることもできる。それにより、装置構成や制御(具体的には制御プログラム)を簡素化することができる。
【0016】
また、コンデンサ手段は予め定められた複数の容量を、半導体スイッチ、電磁リレー、メカニカルスイッチなどの切替手段を利用して切り替えるものとしてもよい。
【0017】
なお、原理的には、コンデンサの代わりに共振回路を形成するインダクタのインダクタンスを可変しても共振周波数を変化させることが可能であるものの、コンデンサとは異なり可変インダクタの製作は難しく、特にインダクタンスを大きく変化させる場合には実用上コイルの接点を切り替える以外の方法は採りにくい。この点で、可変コンデンサは比較的簡単な構成・構造で以て容量を大きく変化させることができるという利点がある。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る四重極型質量分析装置によれば、1つの装置を用いて、分析の目的等に応じて、測定質量範囲はやや狭いものの高感度である測定と、測定感度はやや劣るものの幅広い質量範囲に亘る測定とを、ユーザが自由に選択して行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施例である四重極型質量分析装置における四重極電源部の概略ブロック構成図。
【図2】本発明の第2実施例である四重極型質量分析装置における四重極電源部の概略ブロック構成図。
【図3】高周波電圧の周波数を1.2MHzと1.5MHzとで切り替えた場合における信号強度の比較の実測例を示す図。
【図4】一般的な四重極型質量分析装置の概略構成図。
【図5】従来の四重極電源部の概略ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の一実施例(以下「第1実施例」という)である四重極型質量分析装置について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
第1実施例の四重極型質量分析装置の全体構成は図4で説明した従来の装置と同じであるので説明を省略する。本実施例の四重極型質量分析装置の特徴は四重極電源部4の構成にある。図1は本実施例の四重極型質量分析装置における四重極電源部4のブロック構成図である。図中、既に説明した図5中の構成要素と同一のものについては同一符号を付して詳しい説明を省略する。
【0022】
第1実施例における四重極電源部4は、トランス42、正極側直流電源43、負極側直流電源44、インダクタ45、46、のほかに、周波数可変である高周波電源401、容量可変である可変コンデンサ402、403、可変コンデンサ402、403の容量を変化させるための機械的な駆動を行う駆動源404、405を含む。可変コンデンサ402はインダクタ45の一端に接続されたロッド電極2a、2c等による浮遊容量に並列に接続され、可変コンデンサ403はインダクタ46の一端に接続されたロッド電極2b、2d等による浮遊容量に並列に接続される。
【0023】
例えばこれら可変コンデンサ402、403は、対面した一対の電極板の間に容量を形成し、その両電極板の間の距離を維持したまま一方の電極板を他方の電極板に対して回動させることで両電極板の対面部分の面積を変化させて容量を変化させる構造を有するものである。この場合、駆動源404、405はモータや減速機構などを含み、上述したように一方の電極板を回動させるものである。高周波電源401の周波数及び可変コンデンサ402、403の容量はいずれも制御部5からの制御信号に従って変化される。
【0024】
第1実施例における四重極電源部4の具体例を挙げて動作を説明する。この第1実施例の四重極型質量分析装置では、測定モードとして測定質量範囲よりも測定感度を優先した高感度モードと、測定感度よりも測定質量範囲の広さを優先した高質量モードとが用意されており、ユーザは図示しない操作部により分析目的等に応じていずれかの測定モードを選択可能である。高周波電源401の周波数は1.2MHzと1.5MHzの2種類で切替え可能となっている。また、可変コンデンサ402、403は基本的には0pFと51pFの2種類で切替え可能であるが、微調整のために0pF及び51pFから所定範囲で容量は調整可能となっている。なお、四重極マスフィルタ2のロッド電極2a〜2dでの浮遊容量を含む容量は約90pFであり、インダクタ45、46のインダクタンスは125μHであるとする。
【0025】
高質量モードが選択されて分析が開始されると、制御部5は高周波電圧の周波数を1.2MHzに設定するように高周波電源401を制御し、可変コンデンサ402、403の容量がいずれも51pFになるように駆動源404、405を制御する。この場合、インダクタ45(又は46)と直列に接続される総容量は、ロッド電極2a〜2dの浮遊容量と可変コンデンサ402(又は403)の容量との和となるから、51+90=141pFとなる。したがって、LC共振回路における共振の条件は、
f=1/{2π√(LC)}=1/{2π√(125μH・141pF)}=1.2MHz
となり、高周波電源401から供給された周波数が1.2MHzである高周波電圧を共振させて大きな振幅を得ることができる。
【0026】
一方、高感度モードが選択されて分析が開始されると、制御部5は高周波電圧の周波数を1.5MHzに設定するように高周波電源401を制御し、可変コンデンサ402、403の容量がいずれも0pFになるように駆動源404、405を制御する。この場合、インダクタ45(又は46)と直列に接続される総容量は、ロッド電極2a〜2dの浮遊容量のみとなるから90pFとなる。したがって、LC共振回路における共振の条件は、
f=1/{2π√(LC)}=1/{2π√(125μH・90pF)}=1.5MHz
となり、高周波電源401から供給された周波数が1.5MHzである高周波電圧を共振させて大きな振幅を得ることができる。
【0027】
以上のように、測定モードに応じて高周波電圧の周波数を切り替えても、LC共振回路で高周波電圧を共振させて充分な振幅の高周波電圧をロッド電極2a〜2dに印加することができる。高周波電圧の周波数が1.2MHzである場合、m/z=2000においてイオンを適切に閉じ込めるための高周波電圧の振幅は3200V(0-peak)となる。これに対し、高周波電圧の周波数が1.5MHzである場合には、m/z=1500でもイオンを適切に閉じ込めるための高周波電圧の振幅は3750V(0-peak)となる。したがって、高周波電圧の振幅の制約上、高周波電圧の周波数を1.5MHzにする場合には測定質量範囲の上限を高周波電圧の周波数を1.2MHzとする場合に比べてかなり下げる必要がある。即ち、高感度モードにおける測定質量範囲は高質量モードに比べて狭く、その上限は最高でも例えばm/z=1500程度である。これに対し、高感度モードにおける測定感度は高質量モードに比べて高くなる。
【0028】
図3は高周波電圧の周波数を1.5MHzとした場合と1.2MHzとした場合とのイオン強度を比較した実測例であり、1.2MHzにおけるイオン強度を1.0としたときの1.5MHzにおけるイオン強度を示している。m/z 160〜m/z 1500の広い質量範囲において1.2倍以上のイオン強度が得られ、特にm/z 500以上の高い質量電荷比では1.5倍程度以上のイオン強度が得られていることが分かる。これにより、高感度モードでは高質量モードに比べて高い測定感度を実現できることが確認できる。
【0029】
なお、実際には、インダクタ45、46のインダクタンス値のばらつきや四重極マスフィルタ2の浮遊容量値のばらつきなどのために、LC共振条件を満たす可変コンデンサ402、403の容量値は正確に上記のようになるわけではない。また、共振のQ値が最大となる条件でマススペクトルのピーク形状等が最良となるわけでもない。そのため、駆動源404、405を介して可変コンデンサ402、403の容量値を微調整することで、分析条件が最適になるような手動又は自動調整が行われる。
【0030】
次に、本発明の別の実施例(以下「第2実施例」という)である四重極型質量分析装置について説明する。第2実施例の四重極型質量分析装置の全体構成も図4で説明した従来の装置と同じであるので説明を省略し、四重極電源部4のブロック構成図を図2に示す。図中、既に説明した図1中の構成要素と同一のものについては同一符号を付している。
【0031】
この第2実施例における四重極電源部4では、第1実施例における可変コンデンサ402、403、及び駆動源404、405に代えて、コンデンサ406、407、及びスイッチ408、409を設けている。即ち、スイッチ408(又は409)がオンされたときにのみ、コンデンサ406(又はコンデンサ407)がロッド電極2a、2c等による浮遊容量に並列に接続される。したがって、コンデンサ406、407の容量値を51pFにしておけば、スイッチ408、409のオン・オフ動作によりインダクタ45(又は46)と直列に接続される総容量を第1実施例と同様に切り替えることができ、高感度モード、高質量モードの分析を適切に行うことができる。
【0032】
ただし、この第2実施例の構成の場合、容量値の微調整ができないため、LC共振回路での正確な同調をとるため或いは分析に最適な同調条件にするためには、高周波電源401で生成する高周波電圧の周波数を微調整する必要がある。
【0033】
なお、上記実施例では、高周波電圧の周波数を2段階のみに切り替えたが、3段階以上に切り替え可能としてもよい。また、それ以外の点についても、本発明の趣旨の範囲で適宜変更や修正、追加を行っても本願請求の範囲に包含されることは明らかである。
【符号の説明】
【0034】
1…イオン源
2…四重極マスフィルタ
2a〜2d…ロッド電極
3…イオン検出器
4…四重極電源部
401…高周波電源
402、403…可変コンデンサ
404、405…駆動源
406、407…コンデンサ
408、409…スイッチ
41…高周波電源
42…トランス
43…正極側直流電源
44…負極側直流電源
45、46…インダクタ
5…制御部
6…データ処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電極からなる四重極マスフィルタと、特定の質量電荷比を有するイオンが前記四重極マスフィルタを選択的に通過するように高周波電圧と直流電圧とを重畳した所定の電圧を該四重極マスフィルタの各電極に印加するべく、高周波電源部と、該高周波電源部から供給される高周波電圧の振幅を増大させる、前記四重極マスフィルタの電極間の浮遊容量とともに共振回路を形成するインダクタと、を含む四重極駆動手段と、を具備する四重極型質量分析装置において、
前記高周波電源部はその出力の高周波電圧の周波数が可変である又は複数の周波数が切り替え可能であり、さらに、
前記四重極マスフィルタの電極間の浮遊容量と並列に接続された、容量が可変である又は複数の容量が切り替え可能であるコンデンサ手段と、
前記高周波電源部による高周波電圧の周波数を変化させる又は切り替えるように該高周波電源部を制御するとともに、それに応じて前記コンデンサ手段の容量を変化させる又は切り替える制御手段と、
を備えることを特徴とする四重極型質量分析装置。
【請求項2】
請求項1に記載の四重極型質量分析装置であって、
前記高周波電源部による高周波電圧の周波数は少なくとも2段階に切り替え可能であり、前記制御手段は、測定質量範囲の広さよりも検出感度の高さを優先させた感度優先モードにおいては前記高周波電源部による高周波電圧の周波数が相対的に高い状態を選択し、検出感度の高さよりも測定質量範囲の広さを優先させた質量範囲優先モードにおいては前記高周波電源部による高周波電圧の周波数が相対的に低い状態を選択することを特徴とする四重極型質量分析装置。
【請求項3】
請求項2に記載の四重極型質量分析装置であって、
前記コンデンサ手段は容量を連続的に変化可能なものであることを特徴とする四重極型質量分析装置。
【請求項4】
請求項2に記載の四重極型質量分析装置であって、
前記コンデンサ手段は予め定められた複数の容量を切り替えるものであることを特徴とする四重極型質量分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−97957(P2013−97957A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238536(P2011−238536)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】