説明

回転再生式熱交換器を用いる熱外燃式ガスタービン

コンプレッサ装置(11)と、タービン装置(13)と、燃焼室(15)と、配管系に結合した熱交換手段(14)とを有するガスタービン(10)に関する。ガスタービン(10)は、たとえば石炭、バイオマス、または類似のものに由来する熱エネルギーを、機械的仕事に変換する。ガスタービン(10)は、コンプレッサ装置(11)とタービン装置(13)との間の空気流れに、燃焼室(15)から出る高温の燃焼排ガスによって熱が供給され、コンプレッサ装置(11)とタービン装置(13)との間に配置された圧縮室(12)内に送入される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、最初に仕事を生出するための蒸気を、たとえば廃棄物燃焼、石炭燃焼、燃焼ペレット、または類似のものを用いて生産する必要がなく、ガスタービン用のエネルギー源として固体燃料または粒子燃料を利用するプロセスとプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、熱エネルギーを機械的仕事に変換するための技術的解決が多数提案された。現在まで石油は、比較的安かったため、研究および開発の焦点は、一般にエネルギー源に石油を用いる火力機械の開発に置かれた。今日の状況では、石油価格は、たとえばバイオマスエネルギーよりもはるかに高い。
【0003】
石炭、バイオエネルギー、および類似のものに由来する熱エネルギーを機械的仕事に変換するための幾つかの解決が提案された。同提案の解決は、タービンに動力を供給する蒸気を使用することを提案する。そのようなプラントは、エネルギー出力に照らして大規模で複雑であるという事実を別とすれば、上記の解決は、良く機能する解決である。
【0004】
自動車の動力がバイオエネルギーによって供給されたら、これは1リットル当り1.50ノルウェークローネの石油価格に相当するであろう。1940年代には木材発電機によって車に動力を供給することが一般に慣行されたが、そのような動力供給は、熱分解プロセスに基づいていた。
【0005】
特許文献1で開示されたガスタービンを有する発電システムは、コンプレッサ装置とタービン装置との間の空気流れが、燃焼装置内に配置された熱交換器によって加熱される。この解決に従えば、コンプレッサ装置からタービン装置への空気流れは、燃焼室内で作られる燃焼排ガスから分離され、タービン装置から出る膨張した空気は、燃焼室に供給される。この解決に従う熱交換器は、静止型熱交換器であり、この熱交換器は、熱交換器の内面から炭素堆積物および類似の廃棄材料を除去するために、休止時間中に熱交換器を少なくとも一部取り出さなければならないように形成されている。
【0006】
特許文献2に記載されたコンプレッサ装置とタービン装置とを用いるエネルギー生産システムでは、コンプレッサ装置を出る空気流れは、タービン装置に入る前に回転再生式熱交換器を通過する。回転再生式熱交換器内で前記空気流れに、バイオマス材料を燃やす燃焼装置から出る高温の燃焼排ガスの逆流によって熱エネルギーが供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開WO2002/055855号明細書
【特許文献2】フランス特許出願第2,916,240号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、燃焼が稼働タービン下流側の空気流れの中で行われて、稼働タービン装置によって膨張される前に圧縮された空気にさらにエネルギーを加えるガスタービンを提供することである。
【0009】
本発明の第2の目的は、エネルギー転換を強化して、熱交換器を含むタービンシステムの種々の部品の修理、保守、および清掃のための休止時間の必要性を低減することである

【0010】
本発明の第3の目的は、タービンシステムに使用される熱交換器の性能、効率、および可使時間を改善して、保守および修理作業のための休止時間を減らすことである。
本発明の第4の目的は、機械的仕事の産出を可能にしながら、高温の炭素堆積物または灰で汚染された燃焼排ガスがタービン装置に与える否定的な作用を回避することである。
【0011】
本発明の他の目的は、たとえばペレットの形をしたバイオマスまたは石炭で車を運転することを可能にし、重量・効果比が従来のガソリンモーターの重量・効果比よりも優るタイプの完全なガスタービンを提供することである。
【0012】
本発明の別の目的は、ガスタービンのエネルギー源として固体燃料または粒子燃料を利用して、エネルギーを中間相である蒸気に変換するのを不要にすることである。
本発明のさらに別の目的は、静止型および移動型のエネルギー生産のために、たとえば自動車、モーター等に動力を供給するために石油以外のエネルギー源を使用することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に従うガスタービンは、共通シャフト上で回転するコンプレッサ装置とタービン装置、燃焼室、および回転再生式熱交換器を有する。燃焼は、タービン装置下流側の空気流れの中で行われる。燃焼から出る高温の燃焼排ガスで加熱された固体材料によって、コンプレッサ装置とタービン装置との間の空気流れに熱エネルギーが付加される。
【0014】
好ましくは燃焼ガスがタービン装置には接触しないように、本発明に従いシステムは構成される。連続的な無段プロセスで冷却器ガス流に熱が導入されて、そのような冷却器ガス流を加熱し、次いで加熱源を熱源に戻して再び加熱を行う。
【0015】
本発明に従い、回転再生式熱交換器を用いることによって熱エネルギーは、コンプレッサ装置とタービン装置との間の空気流れに連続的または周期的に送入される。空気流れは、燃焼室から出る熱によって加熱され、熱エネルギーが、コンプレッサ装置とタービン装置との間の上記空気流れ内に導入され、および空気流れから導出される。
【0016】
燃焼は、タービン装置下流側の空気流れで起こり、燃焼熱は、コンプレッサ装置とタービン装置との間で圧縮空気流れと交換される。よって燃焼が直接コンプレッサ装置とタービン装置との間の燃焼室で行われる従来技術と比較して、次の利点が得られる。
【0017】
− タービン装置下流側の空気流れ内の残留熱が、燃焼プロセスの一部を形成する。燃焼排ガスで失われる熱の割合は、より少ない。
− 灰や炭素堆積物を形成する燃料を、使用できる。炭素堆積物や灰の粒子は、タービンランナーには接触しない。タービンランナーは、音速に達する回転側で回転するため、これは非常に重要なことである。炭素堆積物粒子がそのような高速でタービンランナーに打ち当たると、上記タービン部分に重大な損傷を引起こす。さらに炭素堆積物および灰の粒子は、タービンランナーに腐食作用や有害作用を及ぼすことが認識されるべきである。
【0018】
− 燃焼は、多かれ少なかれ大気圧で起こる。このように低い圧力で燃焼すると、発生するNOxの量は、コンプレッサ装置とタービン装置との間の燃焼室内の高い圧力で燃焼する場合よりも少ない。
【0019】
− これ以外の利点として主要な熱交換器は、自浄作用がある上、従来のシステムよりもコンパクトで著しく小さくできる。このことは装置が、従来の解決ほど頻繁に清掃する
必要が無いことを意味する。
【0020】
再生式熱交換器は、熱交換器と比べて、非常に大きい表面積(1m当り最大6000m)を有する。従ってよりコンパクトで効果的な解決を提供する。
本発明に従い熱交換器の表面は、触媒タイプたとえば白金層で被覆された表面であってよい。
【0021】
上記目的は、コンプレッサ装置の出口と、少なくとも1台の再生式熱交換器の入口との間に、燃焼室を迂回するバイパスラインを導入し、コンプレッサ装置から出る圧縮空気の一部が燃焼室を迂回できるようにすることによって達成される。
【0022】
本発明の一実施形態に従い、前記迂回空気は、少なくとも1台の熱交換器の燃焼排ガス側の外面を冷却するように設計されている。好ましくは燃焼室の上流側には、圧縮空気の少なくとも一部を燃焼室に向ける制御弁が配置されてよい。
【0023】
さらにコンプレッサ装置から出る圧縮空気の一部が、少なくとも1台の再生式熱交換器の燃焼排ガス側の少なくとも外面を冷却できるように、熱交換器は構成されてよい。
本発明の別の実施形態に従い、コンプレッサ装置から空気を受取り、かつ燃焼室(15)から熱を受取る2台以上の再生式熱交換器を使用してもよい。このような2台以上の再生式熱交換器は、互いに平行に配置されている。
【0024】
前記少なくとも1台の熱交換器は、空気流れの主方向に平行に配置された多数の別個のダクトを備えてよい。ダクトの一部分が、空気流れを加熱するために常時コンプレッサ装置とタービン装置との間の空気流れの中に位置し、そしてダクトの残りの部分が燃焼室から出る燃焼排ガス流の中に位置し、これによって加熱されるように熱交換器は構成されている。ダクトの長手方向軸は、少なくとも1台の再生式熱交換器の回転軸線に対して、偏って(スキューして)いる。
【0025】
本発明の別の実施形態に従い、少なくとも1台の回転熱交換器を通る圧縮空気の流入のための開口部の一部は、タービン装置の上流側出口に対してやや回転変位する。圧縮空気流れの一部は、燃焼室から出る空気流れ内に向けられ、この噴流の結果として少なくとも1台の再生式熱交換器のダクトから粒子を洗い流す。
【0026】
本発明のさらに別の実施形態に従い、タービンによって生出される仕事は、発電機を経て電気的エネルギーとして取出される。電気的エネルギーは、コンプレッサ装置によって生出され、コンプレッサ装置の回転子は、電力を発生する発電機として機能する。コンプレッサ装置の周囲に、固定子ユニットが配置される。このような固定子ユニットは、1個以上のコイルを有する。このような場合にコンプレッサ装置のランナーは、好ましくは永久磁化されてよい。コンプレッサ装置(11)のランナーは、外部磁界によって磁化されている。
【0027】
本発明に従う追加の利点は、再生式熱交換器の熱交換面上の、可能な炭素堆積物または灰堆積物を除去することによって、プラントを停止する必要なく、熱交換器が多かれ少なかれ連続的に清浄化され得ることである。
【0028】
以下に本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に従って適用される原理図を、図式的に非常に単純化して示す。
【図2】回転再生式熱交換器を使用する実施形態を、図式的に非常に単純化して示す。
【図3】本発明に従う回転再生式熱交換器を、図式的に非常に単純化して示す。
【図4】外燃式の実施形態を、図式的に非常に単純化して示す図。
【図5】本発明に従う回転再生式熱交換器の、可能な実施形態を図式的に示す。
【図6】図5に示された熱交換器を、線6−6で切断した図式的な垂直断面図。
【図7】コンプレッサ装置が永久磁石として形成され、コンプレッサ装置の周囲にコイルシステムが配置され、したがってコンプレッサ装置が、電力を発生する発電機として機能する、本発明の代替的な実施形態を示す。
【図8】コンプレッサ装置から出る圧縮空気の一部が、燃焼室を迂回できる本発明の代替的な実施形態を示す。
【図9】コンプレッサ装置から出る圧縮空気の一部が、燃焼室を迂回できる本発明の代替的な実施形態を示す。
【図10】2台の本発明に従う回転再生式熱交換器を有する、図8と図9に示された迂回解決策。
【図11】2台の本発明に従う回転再生式熱交換器を有する、図8と図9に示された迂回解決策。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、本発明に従って適用される原理図を、図式的に非常に単純化して示す。ガスタービン10は、空気を圧力p1の1bar(1bar=100kPa)から圧力p2の2barに圧縮するために用いられるコンプレッサ装置11を有し、圧縮の結果として温度は、T1=20°Cから温度T2=200°Cに上昇する。コンプレッサ装置11を通して空気速度は、v1=1m/秒から速度v2=0.86m/秒に変化する。コンプレッサ装置11と、ガスタービン10のタービン装置13との間の圧縮室12内で圧縮されたガスは、再生式熱交換器14によって温度T2=800°Cに加熱される一方、圧力は、圧力p3=2barに維持される。空気の速度は、加熱のためにv3=1.83m/秒に上昇する。次に圧縮および加熱されたガスが、タービン装置13に向けられ、ここで空気が圧力p4=1barに膨張し、温度がT4=50°Cに低下する一方、速度は、v4=2.64m/秒に上昇する。
【0031】
膨張した空気は、次に燃焼室15に差向けられ、ここで膨張した空気は、たとえば固体燃料または粒子燃料、すなわち廃棄物またはバイオマスのペレットまたは類似のものの燃焼に寄与する。この目的のために燃焼室15は、燃料を供給するために入口ダクト(図示せず)と灰を除去するための手段(図示せず)で形成されている。燃焼室15の出口では温度T5=900°Cであるが、圧力は、まだp5=1barである。このとき速度は、v5=4m/秒に上昇している。加熱された空気は、方向付けられて再生式熱交換器の、常時燃焼室15内に位置している部分Bを通される。そのような部分Bは、再加熱される部分となり、圧縮室12内の位置Aに再位置付けされる。再生式熱交換器部分Bを再加熱する空気は、空気と、燃焼に由来する燃焼排ガスとの混合物からなる。
【0032】
この燃焼排ガスが再生式熱交換器部分Bを出るとき、圧力p6は、まだp6=1barであり、温度は、T6=300°Cに下降している。このとき速度は、v6=0.86m/秒に低下している。
【0033】
この実施形態の理論効率は、η=1−T6/T3=1−573°K/1073°K≒46%である。
コンプレッサ装置11は、従来のようにタービン装置13によって共通シャフト17を介して駆動される。
【0034】
図1に従う解決のために、燃焼ガスに由来する炭素堆積物の粒子は、タービン装置13
の可動部分には接触しないであろう。さらにタービン装置13から出る空気中の残留熱を活用して、圧縮室12の圧縮空気を加熱するために、残留熱を燃焼熱と一緒にタービン装置13の上流側に差向けることが可能であろう。これは固体材料が位置B、すなわち燃焼室内部で加熱され、次に固体材料中の熱エネルギーが位置A、すなわち圧縮室12内で圧縮空気に伝達されることが可能であろう。この解決に従い、タービン装置13に損傷を来すことなく、固体形態または粒子形態の燃料、たとえば木材チップ、石炭、バイオペレットを使用することが可能である。
【0035】
図2に図式的に示す解決において、主要な違いは、回転再生式熱交換器16が再生式熱交換器A、Bに使用される点にある。以下に、前記回転再生式熱交換器16の構造および機能を、図3に詳しく説明する。
【0036】
図3は、回転再生式熱交換器16の実施形態を、図式的に非常に単純化して示す。前記熱交換器16は、開口部を備えた2つの端壁17と、熱交換要素(図示せず)を取り囲む周囲の気密性外套18を有してよい。熱交換要素は、円形、三角形、六角形、または多角形断面の管状形状を有する多数の平行なダクトを含んでいる。円形断面形状を有する管が使用される場合、管壁内の材料は、管壁の両側で加熱され、それによって燃焼室内に集められる熱の量、ひいては圧縮室内に送られる熱の量が増加する。
【0037】
図3に示されているように、汚染され加熱された高温ガスが燃焼室15から回転再生式熱交換器16の半部を通って流れてこの部分を加熱し、次いで冷却された燃焼排ガスが大気に放出される。ここに示された実施形態では再生式交換器16は、反時計方向に回転するので、再生式熱交換器の加熱される半部の新しい部分が連続的に圧縮室12内に入り、それによってガスタービン10のコンプレッサ装置11から出る圧縮空気流れに入る。それゆえ空気流れは、燃焼室15に供給される前に加熱される一方で、回転再生式熱交換器の部分は、対応して連続的に冷却される。それゆえプロセスは、連続的な2段階サイクルである。
【0038】
図3に示すように、コンプレッサ装置11から新鮮な空気を供給するための端壁17内の開口部18と、これに対応して燃焼排ガスの出口18は、回転再生式熱交換器16の反対側端部の端壁17内の対応する開口部に対して回転変位している。図3に示すように、この特徴によって清浄な圧縮空気が参照符号25の管を通って、回転サイクル中に常時最初に圧縮室12内に入る部分にバックフラッシュされることが可能となる。よって存在するかもしれない炭素堆積物粒子は、圧縮室12に入ることができる前に取除かれる。このようにして、タービン部分に損傷を引起こすリスクは低減される。図3の矢印は、流れと回転の方向を示している。
【0039】
図4は、圧縮室12と燃焼室15の下流側との間に配置された再生式熱交換器を備えた外燃式ガスタービンを図式的に示す。この解決に従い、コンプレッサ装置11とタービン装置13との間に配置されている圧縮室内の圧縮空気は、再生式熱交換器14によって加熱される。熱交換器14は、燃焼室15内の燃焼排ガスと炎から熱を集めて、上述したように機能する。位置Bで外燃ガスを用いて固体材料を加熱し、次に前記固体材料を圧縮室12内に運ぶことによって、熱は、位置Aで圧縮された新鮮な空気に伝達される。高温の固体材料14は、位置Aでコンプレッサ装置11から出る圧縮空気に熱を放出し、次いで固体材料14は、位置Bに運び戻され、ここで固体材料は、燃焼から出る新しい熱によって再加熱される。このプロセスは連続的であり、位置Bと位置Aとの間の熱輸送に数個の固体材が組入れられている。この解決によって得られる利点は、燃焼が、タービンの空気流れとは完全に独立に起こることである。燃焼ガスから出る粒子および炭素堆積物は、タービンの可動部分に接触することはない。特にこの解決は、たとえば廃棄物焼却プラントから出る燃焼熱を活用するために用いるのに適しているが、これに限るものではない。留
意すべきは、材料の加熱と冷却を交互に行う再生方式は、交換器を用いる熱伝達よりもはるかに効率的な伝熱原理だということである。そのような再生式熱交換器を用いることによって、他の従来技術の熱交換器に比べて、システムの実効出力と伝熱能力を低下させることなく、重量、容積、および保守の頻度を減らすことが可能である。
【0040】
図5は、本発明に従う回転再生式熱交換器16の部分を、図式的に示す水平断面図である。回転再生式熱交換器16は、図6に示されているように円形断面区域を有する。さらに熱交換器は、軸受(図示せず)によって支持されるように構成されたシャフト18を備える。熱交換器の一部は、常時燃焼室15の内部に位置して、ここで回転熱交換器16が加熱され、他の部分は、圧縮室12内に位置して、そのような部分がタービン装置13に進入する回転熱交換器16は、圧縮されたガスに熱を供給する。熱交換器16は、回転するので、燃焼室15から出る新しい熱が、圧縮室12に連続的に供給される。
【0041】
さらに回転再生式熱交換器16は、各々の端部が様々な程度で開いた端板10によって終結している円筒体19によって、区画されている。その内部で熱交換器16は、縦方向に配置された多数の開いたダクトを備え、これらのダクトは、流体がダクトを通って流れるのを許すが、ガスが横方向に流れるのを防ぐ。ダクトは、好ましくは円形断面を有しているので、ガスは、ダクト21内を通るとともに、外部では隣り合う管21の間に作られた星形区画を通って流れることができる。しかしながら留意すべきは、管は、任意の適当な断面形状、たとえば三角形、四角形、または多角形断面形状を有してよいことである。
【0042】
図6は、図5に示された熱交換器16を図5の線6−6で見た垂直断面図を示す。図6に示されているように、熱交換器16は、内部扇形を形成する壁22を備えている。図5と図6に示された実施形態に従い、燃焼室から出る高温の燃焼排ガスを、回転再生式熱交換器を通して輸送するために、非常に多数の直線状の平行な円筒管要素が使用される。しかしながら留意すべきは、本発明の思想から逸脱することなく、前記管要素は、三角形、四角形、または多角形の形状を有するダクトとして形成されてよいことである。ダクトは、また波形段ボールで用いられる形状に対応した波形形状を有してよい。図5と図6に示す実施形態に従い、燃焼排ガスは、円筒形のダクトまたは管の内部を通って流れるとともに、隣り合って配置されたダクトの壁によって形成されるダクトを通って流れる。フィン22の目的は、管またはダクトの束を安定化することである。しかしながらこれに関連して留意すべきは、そのようなフィンの使用は、強制的ではないが、そのような壁は、管要素21を取り囲む周囲壁19の剛性に寄与する点である。さらに本発明は、4個のフィン22を使用することに限定されるものでないことに留意すべきである。
【0043】
図7は、本発明の代替的な実施形態を示す。原理的にこの実施形態は、図1で開示された実施形態について説明した実施形態に対応している。唯一の主要な原理上の相違は、コンプレッサ装置11は、N極とS極を有する永久磁石として形成され、コンプレッサ装置11の回転によって電力を発生するための磁心24を有する1個以上のコイル23が、回転コンプレッサ装置の周囲に配置されていることである。前記コイル23は、固定子として機能する。前記解決は、図式的に示され、細部は、図示されていないと理解されるべきである。
【0044】
図8に示す実施形態は、システムがバイパス23を備えている点に、以上に示された実施形態と比べて主要な違いがある。それ以外の点では、図8に示された実施形態は、図1で開示された実施形態に対応している。図9は、回転再生式熱交換器16の使用に関係する実施形態を示す。図9に示された実施形態は、バイパスライン23を導入した点を除き、図2に示された実施形態に対応している。
【0045】
実験の結果、回転再生式熱交換器16の燃焼排ガス側の温度は、燃焼室15によって生
出される高温のガスのために過度に高くなり、熱交換器16の少なくとも一部で溶融を引起こすことが分かった。熱交換器16のこのように過度に高い温度を下げるために、圧縮空気の一部は、燃焼室15の外側を通ることが許され、次に燃焼室15から出る高温のガスと一緒に再生式熱交換器14/回転再生式熱交換器16内に差向けられる。燃焼室15を迂回するガスは、再生式熱交換器の外部に沿って流れることができ、それによって前記熱交換器をたとえば600°Cに冷却する。熱交換器14、16の温度を制御できるようにするために、適当なタイプのバルブ/フラップ24を備えて、燃焼室15を迂回する低温の圧縮空気の量を制御して、それによって熱交換器14、16の燃焼側における温度が安全な許容範囲内に留まることを確保する。このような安全な稼働範囲は、900〜1000°Cのオーダーである。コンプレッサ装置11から出て燃焼室15を迂回する空気の量は、コンプレッサ装置11によって供給される総量の30〜50%の範囲内、好ましくは総量の約45%である。
【0046】
熱交換器16が稼働することが許される許容温度を増すために、本発明に従う再生式熱交換器の熱交換面に触媒被覆、たとえば白金被覆を施されてよいことが理解されるべきである。熱交換器の材料は、好ましくは高耐熱性のニッケル鋼合金であってよい。
【0047】
図10と図11は、図9に示された実施形態の代替的な実施形態を示し、唯一の相違点は、回転再生式が1台ではなく2台も示されていることである。これらの図に従うシステムは、上述したのと同じ目的のために1個のバルブと1本のバイパスラインも含んでいる。
【0048】
図10と図11は、2台の平行な回転再生式熱交換器に基づく実施形態を示しているにもかかわらず、その数はより多く、たとえば3台またはそれ以上であってよいことが理解されるべきである。
【0049】
留意すべきは、熱交換器の前端部と後端部の端壁は、熱交換器内に生じる高温が変動するために、熱膨張を生じて構造が変形することである。膨張に起因するこのような寸法変化を補償するために、前記プレートは、温度の変動に起因する寸法の変化を許容する膨張手段を備えることができる。
【0050】
前記回転再生式熱交換器のシャフトを冷却することによって、シャフト内を許容可能な温度に維持し、複雑な軸受と構造を回避できることが理解されるべきである。
図示された実施形態に従い、回転再生式熱交換器16の一体的部分を形成するダクト21は、熱交換器の回転軸線に平行に配置されている。しかしながら、熱交換器のダクト21が熱交換器の回転軸線に対して角度を形成してよいことが理解されるべきである。さらに再生式熱交換器からの出口温度は、好ましくは約200°Cのオーダーであってよい。
【0051】
さらに実験の結果、タービンは、音速に近い回転速度、たとえば120,000rpmで回転し得ることが分かった。本発明に従い、再生式熱交換器をタービンに近接して配置し、それによってタービンの回転速度が熱交換器内に高周波振動または超高周波振動を引起こして、炭素堆積物がダクト壁に付着するのを妨げ、または少なくとも部分的に防いで、システムの可使期間を延ばせることが理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
石炭、バイオマス、または類似のものに由来する熱エネルギーを、機械的仕事に変換するように構成されたガスタービン(10)であって、前記ガスタービン(10)は、コンプレッサ装置(11)と、タービン装置(13)と、燃焼室(15)と、配管系に結合した熱交換手段(14、16)とを有し、
前記ガスタービン(10)は、
前記燃焼室(15)から出る高温の燃焼排ガスによって、前記コンプレッサ装置(11)と前記タービン装置(13)との間の空気流れに熱を供給するように構成され、
前記コンプレッサ装置(11)の出口と、少なくとも1台の再生式熱交換器(16)の入口との間には、前記燃焼室(15)を迂回するバイパスライン(23)が配置され、よって前記コンプレッサ装置(11)から出る圧縮空気の一部は、前記燃焼室(15)を迂回できるように構成されている
ことを特徴とする、ガスタービン(10)。
【請求項2】
前記迂回空気は、少なくとも1台の前記再生式熱交換器(16)の燃焼排ガス側の外面を冷却するために使用される、
請求項1記載のガスタービン(10)。
【請求項3】
前記燃焼室(15)の上流側には、制御弁が配置され、
前記制御弁は、前記圧縮空気の少なくとも一部を、前記燃焼室(15)に差向けるように構成されている、
請求項1または2記載のガスタービン(10)。
【請求項4】
前記コンプレッサ装置(11)から出る前記圧縮空気の一部が、少なくとも1台の前記再生式熱交換器(16)の燃焼排ガス側の外面を冷却できるように、少なくとも1台の前記再生式熱交換器(16)は構成されている、
請求項1〜3何れか一項記載のガスタービン(10)。
【請求項5】
前記コンプレッサ装置(11)から空気を受取りかつ前記燃焼室(15)から熱を受取る2台以上の前記再生式熱交換器(16)は、互いに平行に配置されている、
請求項1〜4何れか一項記載のガスタービン(10)。
【請求項6】
少なくとも1台の前記再生式熱交換器(16)は、回転するように配置されている、
請求項2記載のガスタービン(10)。
【請求項7】
少なくとも1台の前記再生式熱交換器(16)は、空気流れの主方向に平行に配置された多数の別個のダクト(21)を備え、
前記再生式熱交換器(16)は、前記ダクト(21)の部分が空気流れを加熱するために常時前記コンプレッサ装置(11)と前記タービン装置(13)との間の空気流れの中に位置し、
前記ダクト(21)の残りの部分は、前記燃焼室(15)から出る燃焼排ガス流の中に位置することで加熱されるように構成されている、
請求項3記載のガスタービン(10)。
【請求項8】
前記ダクト(21)の長手方向軸線は、少なくとも1台の前記再生式熱交換器(16)の回転軸線に対して偏っている、
請求項7記載のガスタービン(10)。
【請求項9】
少なくとも1台の回転式の前記再生式熱交換器(16)を通る圧縮空気の流入のための
開口部の一部は、前記タービン装置(13)の上流側出口に対して回転変位し、
圧縮空気流れの一部は、前記燃焼室(15)から出る空気流れ内に差向けられ、
この噴流の結果として、少なくとも1台の前記再生式熱交換器(16)のダクト(21)から粒子が洗い流しされる、
請求項8記載のガスタービン(10)。
【請求項10】
前記ガスタービン(10)によって生出される仕事は、発電機を経て電気的エネルギーとして取出される、
請求項1〜9何れか一項記載のガスタービン(10)。
【請求項11】
電気的エネルギーは、前記コンプレッサ装置(11)によって生出され、
前記コンプレッサ装置(11)の回転子は、電力を発生する発電機として機能し、
前記コンプレッサ装置(11)の周囲に、固定子ユニット(24)が配置され、
前記固定子ユニット(24)は、1個以上のコイルを有する、
請求項1〜10何れか一項記載のガスタービン(10)。
【請求項12】
前記コンプレッサ装置(11)のランナーは、永久磁化されている、
請求項10または11記載のガスタービン(10)。
【請求項13】
前記コンプレッサ装置(11)のランナーは、外部磁界によって磁化されている、
請求項10または11記載のガスタービン(10)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2012−510020(P2012−510020A)
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−537387(P2011−537387)
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【国際出願番号】PCT/NO2009/000404
【国際公開番号】WO2010/064921
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(511125227)アレス タービン アクティーゼルスカブ (1)
【氏名又は名称原語表記】ARES TURBINE AS