説明

固体電解コンデンサ及びその製造方法

【課題】導電性高分子を固体電解質とする固体電解コンデンサにおいて、密着性に優れた固体電解質層を形成することによりESRが低い固体電解コンデンサ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】誘電体層2の表面に形成されたアミノ基を持つシランカップリング剤層9とアミノ基を持つシランカップリング剤層9上にポリアニオンからなる導電性高分子分散液を用いて形成された固体電解質層からなることを特徴とする固体電解コンデンサ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体電解コンデンサ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
弁作用金属またはその合金から形成される陽極と、陽極の表面に形成される誘電体層と、ホスホン酸基を有するカップリング剤を用いて誘電体層を表面処理することにより形成されるカップリング剤層と、カップリング剤層の上に形成される導電性高分子層と、導電性高分子層の上に形成される陰極層とを備えることで、静電容量が高く、かつ等価直列抵抗(ESR)及び漏れ電流が小さい固体電解コンデンサの技術が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−103489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、カップリング剤層と導電性高分子層の密着力の向上によりESRが低減されているが、カップリング剤層の上の導電性高分子層の形成条件については充分考慮されていないために、低ESR化が充分ではないという課題がある。
【0005】
従って本発明の目的は、シランカップリング剤層と固体電解質層の密着力を増加させることでESRをより低減した固体電解コンデンサ及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
多孔質体の弁作用金属からなる陽極導体表面に誘電体層を形成する工程と、アミノ基を持つシランカップリング剤の溶液を塗布し乾燥して前記アミノ基を持つシランカップリング剤層を形成する工程と、ポリアニオンを含有する導電性高分子分散液を塗布し乾燥して固体電解質層を形成する工程を含む固体電解コンデンサの製造方法により上記課題を解決する。
【0007】
アミノ基を持つシランカップリング剤層とシランカップリング剤層上にポリアニオンからなる導電性高分子分散液を用いて固体電解質層を形成することによって、アミノ基を持つシランカップリング剤層のカチオンと導電性高分子分散液中のポリアニオン間に静電的作用が発生し、シランカップリング剤層と固体電解質層の密着力を増大させることができる。
【0008】
すなわち、固体電解質層形成時にポリアニオンからなる導電性高分子分散液の導電性高分子がアミノ基を持つシランカップリング剤層に密着することにより、密着性に優れた第一の固体電解質層を形成することが可能となり、ESRに優れた固体電解コンデンサを得ることができる。
【0009】
また、多孔質体の弁作用金属からなる陽極導体表面に誘電体層を形成する工程と、前記誘電体層表面に第1の固体電解質層を形成する工程と、アミノ基を持つシランカップリング剤の溶液を塗布し乾燥して前記アミノ基を持つシランカップリング剤層を形成する工程と、ポリアニオンを含有する導電性高分子分散液を塗布し乾燥して第2の固体電解質層を形成する工程を含む固体電解コンデンサの製造方法によっても上記課題を解決できる。
【0010】
誘電体層とシランカップリング剤層の間に第1の固体電解質を設けることで誘電体層表面の凹凸を第1の固体電解質で平滑化し、シランカップリング剤層の表面積が減少するため、シランカップリング剤層によるESRへの影響をさらに小さくすることができる。
【0011】
なお、前記ポリアニオンを含有する導電性高分子分散液は、ピロール、チオフェン、またはアニリン、もしくはピロール、チオフェン、またはアニリンの誘導体を少なくとも1種以上含む重合体を含有し、前記ポリアニオンの含有する質量が前記重合体の2倍以上であることが望ましい。
【0012】
前記ポリアニオンの含有する質量を前記重合体の2倍以上とすることで後述のゼータ電位を下げることができ、固体電解質層とシランカップリング剤層の間の密着力を増大させることができる。
【0013】
また、多孔質体の弁作用金属からなる陽極導体表面に誘電体層を形成する工程と、アミノ基を持つシランカップリング剤の溶液を塗布し乾燥して前記アミノ基を持つシランカップリング剤層を形成する工程と、ゼータ電位が負の導電性高分子分散液を塗布し乾燥して固体電解質層を形成する工程を含む固体電解コンデンサの製造方法であってもよい。
【0014】
ゼータ電位が負、望ましくは‐50mV以下の導電性高分子分散液を用いて形成することによって、アミノ基を持つシランカップリング剤層のカチオンと導電性高分子分散液の導電性高分子の間に静電的作用が発生し、固体電解質層とシランカップリング剤層の間の密着力を増大させることができる。
【0015】
また、多孔質体の弁作用金属からなる陽極導体表面に誘電体層を形成する工程と、前記誘電体層表面に第1の固体電解質層を形成する工程と、アミノ基を持つシランカップリング剤の溶液を塗布し乾燥して前記アミノ基を持つシランカップリング剤層を形成する工程と、ゼータ電位が負の導電性高分子分散液を塗布し乾燥して第2の固体電解質層を形成する工程を含む固体電解コンデンサの製造方法であってもよい。
【0016】
また、多孔質体の弁作用金属からなる陽極導体と、前記陽極導体の表面に形成された誘電体層と、前記誘電体層の表面に形成されたアミノ基を持つシランカップリング剤層と、前記シランカップリング剤層の表面に形成されたポリアニオンを含む導電性高分子層からなる固体電解質層を備えた固体電解コンデンサであってもよい。
【0017】
また、多孔質体の弁作用金属からなる陽極導体と、前記陽極導体の表面に形成された誘電体層と、前記誘電体層の表面に形成された導電性高分子層からなる第1の固体電解質層と、記第1の固体電解質層の表面に形成されたアミノ基を持つシランカップリング剤層と、前記シランカップリング剤層の表面に形成されたポリアニオンを含む導電性高分子層からなる第2の固体電解質層を備えた固体電解コンデンサであってもよい。
【0018】
なお、前記アミノ基を持つシランカップリング剤が3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルジメトキシメチルシラン,3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン,3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン,3−アミノプロピルジエトキシメチルシラン,3−アミノプロピルトリエトキシシラン,3−アミノプロピルトリメトキシシランのいずれかであることが望ましい。
【0019】
また、前記シランカップリング剤層の厚みは、層間の密着力を維持し、ESRへ影響しないよう、300nm以下(0を含まず)であることが望ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明により、シランカップリング剤層と固体電解質層の密着力を増加させることで、固体電解コンデンサのESRをより低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の固体電解コンデンサの断面図。
【図2】図1の破線部分の拡大図。
【図3】本発明の固体電解コンデンサの他の形態における断面拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0023】
図1は本発明における固体電解コンデンサの断面図であり、図2、図3は図1における破線部分の拡大図である。
【0024】
図1、図2に示すように、多孔質体の弁作用金属からなる陽極導体1と、その陽極導体1の表面に形成された誘電体層2を有し、その誘電体層2の表面にアミノ基を持つシランカップリング剤層9を形成する。
【0025】
続いて、ポリアニオンからなる導電性高分子分散液に浸漬し、引き上げた後に乾燥することで固体電解質層10を形成する。
【0026】
固体電解質層10形成後、グラファイト層51と銀層52よりなる陰極層5を形成する。次に、陰極層5とリードフレーム71を導電性接着剤6で接着し、陽極リード3とリードフレーム72を溶接し、リードフレーム71、72を除く素子の露出部をモールド形成することで外装樹脂8を形成し、固体電解コンデンサを得る。
【0027】
アミノ基を持つシランカップリング剤層9はアミノ基を持つシランカップリング剤を含む溶液中に浸漬した後、乾燥させる。これにより、誘電体層2の表面にアミノ基を持つシランカップリング剤層9が形成される。シランカップリング剤層9形成に用いられるアミノ基を持つシランカップリング剤としては3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルジメトキシメチルシラン,3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン,3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン,3−アミノプロピルジエトキシメチルシラン,3−アミノプロピルトリエトキシシラン,3−アミノプロピルトリメトキシシランが好ましい。ここで、アミノ基を持つシランカップリング剤を溶解させる溶媒としては水のみでも、水と水に可溶な有機溶媒を含む混和溶媒のどちらでも良い。
【0028】
固体電解質層10形成に用いられる導電性高分子分散液は、ピロール、チオフェン、アニリンおよびその誘導体を少なくとも1種以上含む重合体と溶媒を主として構成されている。重合体としては、特にピロール、3,4−エチレンジオキシチオフェン、およびその誘導体を含むことが好ましい。ドーパントとしては、例えばナフタレンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、スチレンスルホン酸およびその誘導体からなるスルホン酸系化合物が好ましい。その中でもポリスチレンスルホン酸が特に好ましい。なお、ドーパントとなるポリアニオンの量はピロール、チオフェン、アニリンおよびその誘導体を少なくとも1種以上含む重合体に対して2倍以上の質量となることで、固体電解質層とシランカップリング剤層の間の密着力を増大させることができるため望ましい。
【0029】
溶媒としては水のみでも、水に可溶な有機溶媒とを含む混和溶媒のどちらでも良い。有機溶媒としては、ジメチルスルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、グリセリン、ソルビトール等の極性溶媒が好ましい。
【0030】
尚、図3のように、誘電体層2と前記アミノ基を持つシランカップリング剤層9の間に導電性高分子からなる固体電解質層11が形成されていても良い。固体電解質層11は、化学重合法または電解重合法または導電性高分子分散液を塗布し乾燥する方法のいずれか一種以上の方法で形成されることで、多孔質体の一部を充填する。また、固体電解質層11はピロール、チオフェン、アニリンおよびその誘導体を少なくとも1種含む重合体を含有することが好ましい。加えて、ドーパントとしてはスルホン酸系化合物が好ましい。
【0031】
以下、本発明を実施例に基づきさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【実施例】
【0032】
(実施例1)
図2に示す断面構造の固体電解コンデンサを以降の手順で作成した。タンタル粉末を用いた縦3.5mm、横3.0mm、厚さ1.5mmの直方体に陽極リード3としてタンタルワイヤーが埋め込まれたプレス体を焼結し、タンタル焼結体すなわち陽極導体1を作製した。この焼結体をリン酸水溶液中で陽極酸化を行い、誘電体層2を形成した。
【0033】
次に、3−アミノプロピルトリメトキシシランの5質量%水溶液に誘電体層2で被覆された陽極導体1を浸漬し、120℃、60分乾燥することでアミノ基を持つシランカップリング剤層9を形成した。この時のアミノ基を持つシランカップリング剤層9の厚みは50nmであった。
【0034】
その後、ポリスチレンスルホン酸がポリ3,4−エチレンジオキシチオフェンにドーピングしている導電性高分子を水溶液中に分散させた溶液に浸漬し、一定の速度で引き上げた後に125℃で20分乾燥することで固体電解質層10を形成した。導電性高分子分散液中のポリスチレンスルホン酸の質量はポリ3,4−エチレンジオキシチオフェンに対して3倍である。この時、導電性高分子分散液のゼータ電位は−70mVであった。尚、ゼータ電位は電気泳動光散乱法によって測定を行った。
【0035】
次に、導電性ペーストとしてグラファイトペーストと銀ペーストを使用して陰極層5を形成し、導電性接着剤6や溶接などを用いて陰極層5および陽極リード3それぞれにリードフレーム71、72を接続した後に全体を外装樹脂8でモールド外装し、固体電解コンデンサを得た。
【0036】
(実施例2)
図2に示す断面構造の固体電解コンデンサを以降の手順で作成した。陽極導体1に誘電体層2を実施例1と同様に形成し、次に3−アミノプロピルトリメトキシシランの50質量%水溶液に浸漬し、120℃、60分乾燥することで厚み500nmのシランカップリング剤層9を形成し、実施例1と同様に固体電解質層10を形成した。シランカップリング剤層9の厚みは500nmであった。
【0037】
(実施例3)
図2に示す断面構造の固体電解コンデンサを以降の手順で作成した。実施例1の場合と同様に陽極導体1に誘電体層2、シランカップリング剤層9を形成した。次にポリスチレンスルホン酸がポリ3,4−エチレンジオキシチオフェンにドーピングしている導電性高分子を水溶液中に分散させた溶液であり、ポリスチレンスルホン酸の質量はポリ3,4−エチレンジオキシチオフェンと等量である導電性高分子分散液に浸漬し、一定の速度で引き上げた後に125℃で20分乾燥することで固体電解質層10を形成した。導電性高分子分散液のゼータ電位は−30mVであった。
【0038】
その後、実施例1と同様に陰極層5を形成し、以降は実施例1と同様に固体電解コンデンサを作製した。
【0039】
(実施例4)
図3に示す断面構造の固体電解コンデンサを以降の手順で作成した。実施例1の場合と同様に陽極導体1に誘電体層2を形成した。次に、酸化剤であるペルオキソ二硫酸アンモニウムを15質量%、1,3,6−ナフタレントリスルホン酸を15質量%含む水溶液に、誘電体層2で被覆された陽極導体1を浸漬し、さらに室温で保持して3,4−エチレンジオキシチオフェンに浸漬し、さらに室温で30分保持して3,4−エチレンジオキシチオフェンの重合を行った。これら一連の重合操作を3回繰り返して、ポリ3,4−エチレンジオキシチオフェンからなる固体電解質層11を形成した。その後、エタノールで未反応有機物の除去を行い、室温で保持して乾燥した。
【0040】
次に、シランカップリング剤層9、固体電解質層10を実施例1と同様に形成し、以降は実施例1と同様に固体電解コンデンサを作製した。
【0041】
(比較例1)
実施例1の場合と同様に誘電体層2を形成した。次に、固体電解質層10を実施例1と同様に形成し、以降は実施例1と同様に固体電解コンデンサを作製した。 すなわち、図2に示す断面構造の固体電解コンデンサのシランカップリング剤層9が設けられていない構造となる。
【0042】
(比較例2)
実施例1の場合と同様に誘電体層2を形成した。次に、アミノ基を持たないシランカップリング剤プロピルトリメトキシシランの5質量%水溶液に浸漬し、120℃、60分乾燥することでアミノ基を持たないシランカップリング剤層9を形成した。その後、実施例1と同様に、固体電解質層10を形成し、以降は実施例1と同様に固体電解コンデンサを作製した。すなわち、図2に示す断面構造の固体電解コンデンサとなる。
【0043】
(比較例3)
実施例3の場合と同様に誘電体層2、固体電解質層11を形成した。次に、アミノ基を持たないシランカップリング剤層9を比較例2と同様に形成した。その後、実施例1と同様に、固体電解質層10を形成し、以降は実施例1と同様に固体電解コンデンサを作製した。すなわち、図3に示す断面構造の固体電解コンデンサとなる。
【0044】
実施例1〜4及び比較例1〜3の条件でそれぞれ作製した固体電解コンデンサについて電気特性を測定した。測定項目はESRである。ESRは交流インピーダンスブリッジ法により測定している。ESRは印加した基準信号の周波数が100kHz、電圧が1Vrms、DCバイアスは1.5Vとしている。固体電解コンデンサの特性値を、表1に示す。
【0045】
【表1】

【0046】
表1において、比較例1の固体電解コンデンサはESRが36mΩであったのに対し、実施例1はESRが30mΩと低くなった。これは第一の固体電解質層の密着性向上によるESRの低減であることが分かる。また、アミノ基を持たないシランカップリング剤層を形成した比較例2のESRが34mΩあったのに対し、本発明の実施例1のESRが30mΩであったため、アミノ基を持ったシランカップリング剤を用いることによって静電的作用が発生し、密着性に優れた固体電解層が形成されることが分かる。
【0047】
次に、アミノ基を持つシランカップリング剤層の厚みが500nmの実施例2の固体電解コンデンサはESRが35mΩであった。この値はESRとしては高く、アミノ基を持つシランカップリング剤層が厚すぎたものと考えられる。
【0048】
また、ポリスチレンスルホン酸の質量がポリ3,4−エチレンジオキシチオフェンと等量の導電性高分子分散液を用いた実施例3は、アミノ基を持たないシランカップリング剤層を形成した比較例2よりも低くなったものの、ポリスチレンスルホン酸の質量がポリ3,4−エチレンジオキシチオフェンに対して3倍である導電性高分子分散液を用いた実施例1よりESRが高くなった。これより、ポリスチレンスルホン酸の質量がポリ3,4−エチレンジオキシチオフェンに対して2倍以上の導電性高分子分散液でより大きな静電的作用が発生し、密着性に優れた第一の固体電解層が形成されることが分かる。
【0049】
また、実施例4及び比較例3について、アミノ基を持つシランカップリング剤層を形成した実施例4はアミノ基を持たないシランカップリング剤層を形成した比較例3に比べ低いESRを示した。従って、固体電解質層11を誘電体層2とシランカップリング剤層9の間に設けると、ESRをより減少させることができることが分かる。
【符号の説明】
【0050】
1 陽極導体
2 誘電体層
3 陽極リード
4、10、11 固体電解質層
5 陰極層
51 グラファイト層
52 銀層
6 導電性接着剤
8 外装樹脂
9 シランカップリング剤層
71、72 リードフレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質体の弁作用金属からなる陽極導体表面に誘電体層を形成する工程と、アミノ基を持つシランカップリング剤の溶液を塗布し乾燥して前記アミノ基を持つシランカップリング剤層を形成する工程と、ポリアニオンを含有する導電性高分子分散液を塗布し乾燥して固体電解質層を形成する工程を含むことを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
【請求項2】
多孔質体の弁作用金属からなる陽極導体表面に誘電体層を形成する工程と、前記誘電体層表面に第1の固体電解質層を形成する工程と、アミノ基を持つシランカップリング剤の溶液を塗布し乾燥して前記アミノ基を持つシランカップリング剤層を形成する工程と、ポリアニオンを含有する導電性高分子分散液を塗布し乾燥して第2の固体電解質層を形成する工程を含むことを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
【請求項3】
前記ポリアニオンを含有する導電性高分子分散液は、ピロール、チオフェン、またはアニリン、もしくはピロール、チオフェン、またはアニリンの誘導体を少なくとも1種以上含む重合体を含有し、前記ポリアニオンの含有する質量が前記重合体の2倍以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
【請求項4】
多孔質体の弁作用金属からなる陽極導体表面に誘電体層を形成する工程と、アミノ基を持つシランカップリング剤の溶液を塗布し乾燥して前記アミノ基を持つシランカップリング剤層を形成する工程と、ゼータ電位が負の導電性高分子分散液を塗布し乾燥して固体電解質層を形成する工程を含むことを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
【請求項5】
多孔質体の弁作用金属からなる陽極導体表面に誘電体層を形成する工程と、前記誘電体層表面に第1の固体電解質層を形成する工程と、アミノ基を持つシランカップリング剤の溶液を塗布し乾燥して前記アミノ基を持つシランカップリング剤層を形成する工程と、ゼータ電位が負の導電性高分子分散液を塗布し乾燥して第2の固体電解質層を形成する工程を含むことを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
【請求項6】
多孔質体の弁作用金属からなる陽極導体と、前記陽極導体の表面に形成された誘電体層と、前記誘電体層の表面に形成されたアミノ基を持つシランカップリング剤層と、前記シランカップリング剤層の表面に形成されたポリアニオンを含む導電性高分子層からなる固体電解質層を備えた固体電解コンデンサ。
【請求項7】
多孔質体の弁作用金属からなる陽極導体と、前記陽極導体の表面に形成された誘電体層と、前記誘電体層の表面に形成された導電性高分子層からなる第1の固体電解質層と、前記第1の固体電解質層の表面に形成されたアミノ基を持つシランカップリング剤層と、前記シランカップリング剤層の表面に形成されたポリアニオンを含む導電性高分子層からなる第2の固体電解質層を備えた固体電解コンデンサ。
【請求項8】
前記アミノ基を持つシランカップリング剤が3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルジメトキシメチルシラン,3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン,3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン,3−アミノプロピルジエトキシメチルシラン,3−アミノプロピルトリエトキシシラン,3−アミノプロピルトリメトキシシランのいずれかであることを特徴とする請求項6または7に記載の固体電解コンデンサ。
【請求項9】
前記シランカップリング剤層の厚みが300nm以下(0を含まず)であることを特徴とする請求項6から8のいずれかに記載の固体電解コンデンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−174948(P2012−174948A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−36581(P2011−36581)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【出願人】(000134257)NECトーキン株式会社 (1,832)