説明

固形物と液体との混合物の製造方法及び混合装置

【課題】気体の混入量を極力小さくする固体物と液体との混合方法そして装置を提供することを課題とする。
【解決手段】固形物Sと液体Lとを混合する混合装置1において、粉体、粒体、塊状体等の形状の固形物Sと液体Lとを含むと共に、気体Aが混入した第1の混合物M1を形成する事前混合部2と、該事前混合部2において形成された上記第1の混合物M1を収容して該第1の混合物M1の滞留層を形成し、該滞留層の自由液面Jが大気圧又はそれ未満の圧力に曝されるように、一時的に滞留させる貯留容器3と、該貯留容器3と該貯留容器3の下方で連結管4を介して接続されて、該貯留容器3にて一時的に滞留した上記第1の混合物M1を収容し、上記第1の混合物中に没入して位置する攪拌翼50で攪拌することにより、上記固形物と上記液体との第2の混合物を形成する攪拌容器5と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体、粒体、塊状体状等の形状の固形物と液体とを混合し攪拌することにより混合物を形成する際、その混合物における気体の混入量をより低減させることができる技術に関し、より詳しくは、固形物と液体とを混合した後、そこに混入している気体の少なくとも一部を予め除去し、引き続き攪拌することにより、気体の混入量をより低減させる又はより効果的に低減させることができる混合物の製造方法及び混合装置に関する。
【0002】
本発明は、気体の混入量がより少ない混合物を高速且つ大量に製造する必要がある場面或いは気体の混入量をより低減しつつ固形物を液体に高速且つ大量に溶解させ、かつ液体での混合物の濃度を正確にする必要がある場面において、特に有益である。
【背景技術】
【0003】
粉体、粒体、塊状体等の形状の固形物と液体との混合物における気体の混入量を低減させることができる技術として、固形物及び液体を共通の投入管に供給し、該投入管に連結された混合機において特殊形状の回転盤(ピンミル)により混合と攪拌とを行う装置が知られている(特許文献1)。特許文献1における回転盤は、円板状の回転部材と、該回転部材の一方の板面に立設されていて該回転部材の回転によって固形物と液体とを混合し攪拌する複数個のピン状の突起部分とを備えている。それ故、該回転盤を回転すれば、突起部分が固形物と液体と混合物に必要最小限の攪拌力を作用させて、液体を圧送により供給することにより生じる空気の巻き込み(いわゆる「泡噛み」)を極力少なくするようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−168662
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の回転盤を使用するだけでは、固形物と液体とを混合し攪拌する際に該液体の供給が圧送により行われるため圧送時に混入した気体を十分に除去することができない。固形物と液体との混合物に気体が混入すると「泡噛み」の問題が生じることに加えて、該混合物をポンプ装置により配管を通じて搬送する際、気体の混入により固体物が「だま」として残っていて不均一な混合状態となっているために、この混合物の搬送に必要な動力や配管抵抗が変動するという問題が生じる。このような問題は、混合すべき固形物及び液体あるいはその一方がより多い場合や、より固形物と液体とを短時間で混合する場合、配管が細いまたは長い場合、或いは配管、曲部や異形部または計測機器、バルブ、タンク等が接続された不規則部分を備えている場合にはその部分において、より顕著になる。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、粉体、粒体、塊状体等の形状の固形物と液体とを混合し攪拌することにより混合物を形成する際、その混合物における気体の混入量をより低減させることができる方法及び装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、本発明について説明するが、その説明中、使用される用語の意味又は解釈は、以下の通りである。
(1)「固形物」とは、液体中に分散、懸濁又は混合することが求められる固体又は固体状の物質をいい、その性状の典型例は粉体、粒体あるいは塊状体である。
(2)「自由液面」とは、大気圧又はそれ未満の圧力に曝され、且つ、容器内壁面に接触していない液体又は液体と固形物の混合物の表面をいい、自由液面の鉛直方向における位置を自由液面の「液位」という。
(3)「満液状態」とは、自由液面が形成されない程度に液体又は液体と固形物の混合物が満ちている状態をいう。該液体は水に限定されない。満液状態のうち、該液体又は該混合物が流動している状態を「満流状態」という場合がある。
【0008】
本発明の課題を解決するために、本発明の第1の形態は混合物の製造方法に関しており、この第1の形態では、粉体、粒体、塊状体等の形状の固形物と液体とを含むと共に、気体が混入した第1の混合物を形成する第1の工程と、該第1の工程で形成された上記第1の混合物を貯留容器に一時的に滞留させて、第1の混合物の滞留層を形成し該滞留層の自由液面を大気圧又はそれ未満の圧力に曝して、その滞留の過程で上記第1の混合物に混入している上記気体の少なくとも一部を除去する第2の工程と、該第2の工程で上記気体の少なくとも一部が除去された上記第1の混合物を攪拌して上記固形物と上記液体との第2の混合物を形成する第3の工程とを有することを特徴としている。
【0009】
本発明の第2の形態では、第1の形態において、第3の工程は、貯留容器と、該貯留容器の下方で、連結管を介して接続されている攪拌容器に、第1の混合物を収容させ、該攪拌容器へ降下収容された第1の混合物中に没入して位置する攪拌翼により攪拌して第2の混合物を形成する。
【0010】
本発明の第3の形態では、第1又は第2の形態において、第2の工程は、貯留容器に一時的に滞留している第1の混合物の鉛直線まわりでの自由な流動を規制する抵抗手段により、上記第1の混合物の渦流を低減させる渦流低減工程を有する。
【0011】
本発明の第4の形態では、第3の形態において、渦流低減工程は、貯留容器で鉛直線方向に延びて設置された抵抗板により、上記第1の混合物の渦流を低減させる工程である。
【0012】
本発明の第5の形態では、第1ないし第4のいずれか一つの形態において、第1ないし第3の工程に加え、貯留容器における第1の混合物の自由液面の液位の変化を防止又は抑制するように制御するレベル制御工程を有する。
【0013】
本発明の第6の形態では、第1ないし第5のいずれか一つの形態において、第1ないし第3の工程に加え、第2の混合物の注入先となる配管内を移動する流体の流量に基づき、第1の混合物に含まれる固形物の量と液体の量の少なくとも一方を制御する投入量制御工程と、攪拌容器から第2の混合物を引き出し、上記配管内に注入する注入工程とを有する。
【0014】
本発明の第7の形態では、第1ないし第6のいずれか一つの形態において、液体は海水又は淡水であり、固形物は上記液体又はその内容物に化学処理を施すための薬剤である。
【0015】
本発明の第8の形態では、第6の形態において、液体は船舶のバラスト水タンクに貯蔵される又は貯蔵されていたバラスト水であり、固形物は上記バラスト水中の微生物を殺菌するための殺菌剤若しくはその原料又はその殺菌剤を処理するための薬剤若しくはその原料である。
【0016】
本発明の第9の形態は混合装置に関しており、この第9の形態では、固形物と液体とを混合する装置において、粉体、粒体、塊状体等の形状の固形物と液体とを含むと共に、気体が混入した第1の混合物を形成する事前混合部と、該事前混合部において形成された上記第1の混合物を収容して該第1の混合物の滞留層を形成し、該滞留層の自由液面が大気圧又はそれ未満の圧力に曝されるように、一時的に滞留させる貯留容器と、該貯留容器と該貯留容器の下方で連結管を介して接続されて、該貯留容器にて一時的に滞留した上記第1の混合物を収容し、上記第1の混合物中に没入して位置する攪拌翼で攪拌することにより、上記固形物と上記液体との第2の混合物を形成する攪拌容器と、を備えることを特徴としている。
【0017】
本発明の第10の形態では、第9の形態に係る装置において、事前混合部が、混合投入管と、該混合投入管に固形物を投入する固形物投入手段と、上記混合投入管へ接線方向又は上記混合投入管の管軸周りに液体を投入する液体投入手段とを備えている。
【0018】
本発明の第11の形態では、第9又は第10の形態において、貯留容器が、第1の混合物に生じる渦流を低減させる、鉛直方向に延びる抵抗板を備えている。
【0019】
本発明の第12の形態では、第9ないし第11のいずれか一つの形態において、攪拌容器に第1の混合物を満液状態で収容させるとともに貯留容器における上記第1の混合物の自由液面の液位を一定に保持するように制御するレベル制御機構を備える。
【0020】
本発明の第13の形態では、第12の形態において、レベル制御機構は、貯留容器における第1の混合物の自由液面の液位を計測するレベル計測手段と、攪拌容器にて形成された第2の混合物を引き出すポンプ装置とを備えており、上記レベル計測手段の出力に基づき上記ポンプ装置の動作を制御する機構である。
【0021】
本発明の第14の形態では、第9ないし第13のいずれか一つの形態において、第2の混合物の注入先となる配管内を移動する流体の流量に基づき、事前混合部における固形物の投入量と液体の投入量の少なくとも一方を制御する投入量制御機構を備える。
【0022】
本発明の第15の形態では、第9ないし11のいずれか一つの形態において、液体が海水又は淡水であり、上記固形物が海水若しくは淡水又はその内容物に化学処理を施すための薬剤である。
【0023】
本発明の第16の形態では、第14の形態において、液体が船舶のバラスト水タンクに貯蔵される又は貯蔵されていたバラスト水であり、固形物が上記バラスト水中の微生物を殺菌するための殺菌剤若しくはその原料又はその殺菌剤を処理するための薬剤若しくはその原料である。
【発明の効果】
【0024】
本発明の混合物の製造方法及び装置によると、固形物と液体との混合物(第1の混合物)が貯留容器に一時的に滞留して滞留層を形成しているとき、該滞留層の自由液面が大気圧又はそれ未満の圧力に曝されるので、該混合物から該混合物中に混入している気体の少なくとも一部が放出され除去される。それ故、本発明によれば、当初の混合物(第1の混合物)に比べて気体の混入量が少ない混合物(第2の混合物)を製造することができ、換言すれば、固形物と液体とを混合し攪拌することにより混合物を形成する際、その混合物における気体の混入量をより低減させることができる。
【0025】
本発明の各形態が奏する効果は、次のとおりである。
【0026】
本発明の第1の形態によれば、固形物と液体との混合物が貯留容器にて一時的に滞留して滞留層を形成しているとき、該滞留層の自由液面が大気圧又はそれ未満の圧力に曝されるので、該第1の混合物から該混合物中に混入している気体の少なくとも一部が放出され除去される。
【0027】
第1の形態で、第1の工程は、粉体、粒体、塊状体等の形状の固形物と液体とを含み、気体が混入した第1の混合物を形成する工程であれば、いかなる工程であってもよく、そのような工程である限り、液体に対して固形物を投入して混合させる工程であっても、固形物に対して液体を投入して混合させる工程であっても、固形物と液体とを別々に投入して混合させる工程であっても第1の工程に該当し、固形物と液体とを混合する過程で気体を積極的に混入させる工程であっても、気体が不可避的に混入してしまう工程であっても、第1の工程に該当する。
【0028】
固形物は、それが液体とともに第1の混合物になったとき、該第1の混合物が貯留容器内で滞留層を形成して該滞留層に自由液面が形成させ得るものである限り、塊状であっても粒状であってもよい。しかし、第1の混合物や第2の混合物に組成物の分布の均一性が求められる場合には、固形物は粉体や粒径の小さな粒体であることが望ましい。
【0029】
また、第1の混合物の自由液面を大気圧未満の圧力に曝すと、第1の混合物に混入している気体をより短時間でより多く除去することができる。しかし、そのためには自由液面上方の空間の圧力を大気圧以下にする気体吸引用のポンプ装置、配管などの付帯機構が必要になる。他方、該自由液面を大気圧に曝すと、気体吸引のための付帯機構は不要になりコスト増も回避できるが、第1の混合物に混入している気体を除去するにはより時間がかかる。それ故、第2の工程において、第1の混合物の自由液面を大気圧に曝すか、それ未満の圧力に曝すかは、要求されている仕様による。
【0030】
また、第3の工程は、第2の工程において気体の少なくとも一部が除去された第1の混合物を攪拌する工程であり、その結果、形成されるものが第2の混合物である。第2の混合物は、その元となるものが、気体の少なくとも一部が除去された第1の混合物である以上、第1の混合物よりも気体の混入量が少なくなる。それ故、第3の工程は、第2の工程において気体の少なくとも一部が除去された第1の混合物を攪拌することにより形成される第2の混合物の気体の混入量が、該第1の混合物より少なくなる工程である限り、いかなる工程であってもよく、その攪拌の手法、種類等に制限はない。
【0031】
本発明の第2の形態においては、第3の工程が、第2の工程において気体の少なくとも一部が除去された第1の混合物を、貯留容器と、該貯留容器の下方で、連結管を介して接続している攪拌容器に収容させる工程であるので、第1の混合物の降下移動が容易になることは言うまでもなく、第1の混合物が貯留容器から攪拌容器に移動する際に新たな気体を巻き込むことが少ない又は巻き込むことがない。特に、第1の混合物が貯留容器から攪拌容器に向かって満流状態で移動するように構成されている場合には、第1の混合物が貯留容器から攪拌容器に移動する際に新たな気体を巻き込むことがない。加えて、攪拌容器において第1の混合物の中に没入して位置した攪拌翼により攪拌するので、攪拌による気体の巻き込みが起こらない又はより少なくて済む。それ故、本発明の第2の形態によれば、第1の混合物よりも気体の混入量が少ない第2の混合物を確実に得ることができる。
【0032】
第2の工程において、第1の混合物が貯留容器に一時的に滞留しているとき、その自由液面を大気圧又は大気圧未満の圧力に曝すことにより、混入している気体の少なくとも一部を除去する一方で、該自由液面に大きな変動が生じると該第1の混合物への気体の混入が起こり、気体除去の効果が低下し易くなる。例えば、該自由液面に渦流が生じたり、その液位が変化したりすると、該第1の混合物に気体の巻き込みが起こり易くなるので、気体の混入量が増加し易くなり、該自由液面を大気圧又は大気圧未満の圧力に曝す意味が薄れてしまう。
【0033】
貯留容器において第1の混合物の自由液面に生じる渦流には、少なくとも、第1の混合物の貯留容器への収容方法に起因するもの(前者)と、第1の混合物の貯留容器から攪拌容器への移動方法に起因するもの(後者)がある。前者の典型例は、下方に延びる混合投入管を通じて固形物を貯留容器に収容させる際、該混合投入管へ接線方向又は該混合投入管の管軸周りに液体を投入することにより貯留容器に収容された第1の混合物の自由液面に生じる渦流であり、後者の典型例は、第1の混合物が貯留容器から攪拌容器へと移動する際、その移動の作用が上方に及んで第1の混合物の自由液面に生じる渦流である。攪拌容器に収容された第1の混合物を攪拌翼による攪拌の作用が貯留容器に収容された第1の混合物の自由液面に及んで、その自由液面に渦流を生じさせるケースもあり得るし、攪拌容器から第2の混合物を引き出す作用が貯留容器に収容された第1の混合物の自由液面に及んで、その自由液面に渦流を生じさせる原因ともなり得る。
【0034】
貯留容器において第1の混合物の自由液面に生じる液位の変化には、少なくとも、該自由液面にその液位が変化するような何らかの力の作用に起因するもの(前者)と、貯留容器における第1の混合物の出量と入量とのアンバランスに起因するもの(後者)がある。前者の典型例は、該自由液面に生じる渦流である。渦流が生じると、該自由液面の一部がせり上がったり陥没したりして、その液位は上下に変動する。後者の典型例は、貯留容器から攪拌容器への第1の混合物の移動量を埋め合わすことができないほどに貯留容器における第1の混合物の投入量が少ない場合に生じる液位の低下や、逆に、貯留容器から攪拌容器への第1の混合物の移動量を埋め合わすには余りあるほどに貯留容器における第1の混合物の投入量が多い場合に生じる液位の上昇である。貯留容器から攪拌容器への第1の混合物の移動量は、攪拌容器からの第2の混合物の引き出し量にも関係し得るので、攪拌容器からの第2の混合物の引き出しの影響により、貯留容器における第1の混合物の自由液面の液位が変化する原因ともなり得る。
【0035】
これに対して、本発明の第3の形態によれば、渦流低減工程において、該自由液面の渦流を低減させるので、自由液面での気体の巻き込みを抑制することができ、第2の工程における気体の除去の効果を維持することができる。なお、第1の混合が記貯留容器に一時的に滞留しているとき、その自由液面の渦流を低減させる手法の具体例は、本発明の第4の形態における、貯留容器に抵抗板を設けることである。
【0036】
また、本発明の第5の形態によれば、レベル制御工程において、貯留容器における第1の混合物の自由液面の液位の変化を防止又は抑制するように或いはその液位を一定に保持するので、新たな気体の混入を極力避けることができ、第2の工程における気体の除去の効果を維持することができる。
【0037】
本発明の第6の形態においては、第2の混合物の注入先となる配管内を移動する流体の流量に基づき、第1の混合物に含まれる固形物の量と液体の量の少なくとも一方が制御されるとともに、攪拌容器から第2の混合物が引き出され、該配管内の流体に注入される。それ故、本発明の第6の形態によれば、上記配管内を移動する流体の流量に適した第2の混合物を該配管内に注入することができる。このような効果は、例えば、第7の形態のように、液体が海水又は淡水であり、固形物が該液体又はその内容物に化学処理を施すための薬剤である場合、そして特に、第8の形態のように、液体が海水であり、固形物が海水中の微生物を殺菌するための殺菌剤又はその殺菌剤を処理するための薬剤であり、流体が、船舶のバラスト水タンクに貯蔵される又は貯蔵されていたバラスト水である場合において、該固形物が奏する薬効を適正に発揮させるために、有効である。
【0038】
本発明の第9の形態によれば、第1の形態に係る混合物の製造方法を実行する混合装置を実現することができる。この第9の形態においては、貯留容器と混合容器とが連結管を介して接続しているので、第2の形態と同様に、第1の混合物の移動が容易になることは言うまでもなく、第1の混合物が貯留容器から攪拌容器に移動する際に新たな気体を巻き込むことが少ない又は巻き込むことがないので、第1の混合物よりも気体の混入量が少ない第2の混合物を確実に得ることができる。
【0039】
本発明の第10の形態においては、混合投入管を通じて固形物を貯留容器に収容させる際、該混合投入管へ接線方向又は該混合投入管の管軸周りに液体を投入するので、固形物と液体とを穏やかに混合させることができ、過剰な気体を巻き込むことがない。それ故、この第10の形態によれば、第1の混合物を比較的穏やかに貯留容器に収容させることができ、第1の混合物における気体の混入量をより少なくすることができる。
【0040】
本発明の第11の形態によれば、貯留容器において生じる第1の混合物の渦流を抵抗板により低減させることができるので、渦流による気体の巻き込みを抑制することができ、貯留容器にて第1の混合物を大気圧又は大気圧未満の圧力に曝すことによる気体の除去の効果を維持することができる。なお、第10の形態においては、混合投入管を通じて固形物を貯留容器に収容させる際、該投混合入管へ接線方向又は該混合投入管の管軸周りに液体を投入するので、渦流が形成され易く、このような場合において、第11の形態は、より好ましく、より有効となる。
【0041】
本発明の第12の形態によれば、第5の形態に係る混合物の製造方法を実行する混合装置を実現することができる。この場合、特に第1の混合物を攪拌容器に満液状態で収容させるので、第1の混合物を攪拌容器において攪拌する際に新たな気体の混入を抑制又は防止することができる。なお、本発明の第12の形態におけるレベル制御機構は、貯留容器における第1の混合物の自由液面の液位を計測するレベル計測手段の出力に基づき、攪拌容器において形成された第2の混合物を引き出すポンプ装置の動作を制御する構成の第13の形態により具体的に実現することができる。
【0042】
本発明の第14ないし第16の形態によれば、それぞれ、第6ないし第8の形態に係る混合物の製造方法を実行する混合装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る混合物の製造方法の説明図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の変形例に係る混合物の製造方法の説明図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る混合装置の概要構成図である。
【図4】図3装置における混合投入管と液体投入管を示し、(a)は側面図、(b)は(a)におけるz−z断面図である。
【図5】は本発明の第2実施形態の変形例に係る混合装置の変形例を示す概要構成図である。
【図6】図3装置そして図5装置における貯留容器とその内壁に設けられた抵抗板を示し、(a)は横断面図、(b)は側面図である。
【図7】本発明の第3そして第4の実施形態に係る混合装置の概要構成図である。
【図8】混合装置の貯留容器が船舶に設置された場合の姿勢を示し、(a)は船舶の揺動がローリングの場合、(b)は船舶の揺動がピッチングの場合を示している。
【図9】本発明の第5の実施形態の概要構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明の実施形態に係る混合物の製造方法及び混合装置について、添付図面を参照して説明する。なお、各図において同じ部分又は相当若しくは共通する部分にはこれと同じ符号を付し、その説明を省略する。なお、本発明は、図面に記載された実施形態には限定されない。
【0045】
[第1の実施形態] 混合物の製造方法 (図3及び図7 混合装置参照)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る混合物の製造方法の説明図である。この製造方法は、粉体、粒体、塊状体等の形状の固形物Sと液体Lとを含むと共に、気体Aが混入した第1の混合物M1(M1a)を形成する第1の工程(S1)と、該第1の工程(S1)で形成された上記第1の混合物を貯留容器3に一時的に滞留させて、第1の混合物M1(M1a)の滞留層を形成し該滞留層の自由液面Jを大気圧又はそれ未満の圧力に曝して、その滞留の過程で上記第1の混合物M1に混入している上記気体Aの少なくとも一部を除去する第2の工程(S2)と、該第2の工程で上記気体の少なくとも一部が除去された上記第1の混合物(M1(M1b)を攪拌して上記固形物と上記液体との第2の混合物M2を形成する第3の工程(S3)とを有する。
【0046】
この本発明の製造方法において、貯留容器3に滞留している第1の混合物M1の自由液面Jを大気圧に曝すには、貯留容器3の上部3aに開口部を設けて大気に開放したり、貯留容器3の上部3aに一端が接続された通排気管30の他端を大気に開放すればよい。また、貯留容器3に滞留している第1の混合物M1の自由液面Jを大気圧未満の圧力に曝すには、通排気管30の一端に貯留容器3を接続し、その他端にポンプ31を設置して、該ポンプ31により貯留容器3内を減圧すればよい。その後、ポンプ31の作動は、第1の混合物M1の自由液面Jを大気圧未満の圧力に曝す必要があるとき、換言すれば、気体Aを単なる大気開放よりは積極的に又はより多く抜き出す必要があるときに行えば足りる。
【0047】
この製造方法は、本発明の第1の形態に対応していて、第1の形態について説明したような作用効果を奏する。すなわち、この製造方法を実行すれば、第1の混合物M1が貯留容器3にて滞留層を形成して一時的に滞留しているとき、その自由液面Jが大気圧又はそれ未満の圧力に曝されるので、該第1の混合物M1から該第1の混合物M1に混入している気体Aの少なくとも一部が除去され、故に当初の混合物(第1の混合物M1)に比べて気体の混入量が少ない混合物(第2の混合物M2)を製造することができ、換言すれば、固形物Sと液体Lとを混合し攪拌することにより混合物M2を形成する際、その混合物M2における気体Aの混入量をより低減させる。
【0048】
図2は、本発明の第1の実施形態における変形例に係る混合物の製造方法の説明図である。
【0049】
<第1の変形例>
第1の変形例では、図1のもとに説明した本発明の第1の実施形態に係る製造方法において、第3の工程は、貯留容器3と、該貯留容器3の下方で、連結管4を介して接続されている攪拌容器5に、第1の混合物M1(M1b)を収容させ、該攪拌容器5へ降下収容された第1の混合物M1(M1b)中に没入して位置する攪拌翼50により攪拌して第2の混合物M2を形成する。この第1の変形例は、本発明の第2の形態に対応していて、第1の形態にて説明したような作用効果を奏する。
【0050】
<第2の変形例>
第2の変形例では、図1のもとに説明した本発明の第1の実施形態に係る製造方法において、第2の工程(S2)は、貯留容器に一時的に滞留している第1の混合物M1の鉛直線まわりでの自由な流動を規制する抵抗手段により、上記第1の混合物M1の渦流を低減させる渦流低減工程(S2a)を有する(図2参照)。この第2の変形例は、本発明の第3の形態に対応していて、第3の形態にて説明したような作用効果を奏する。
【0051】
<第3の変形例>
第3の変形例では、渦流低減工程(S2a)は、上記貯留容器3で鉛直線方向に延びて設置された抵抗板Bにより、上記第1の混合物M1の渦流を低減させる工程である(図2参照)。この第3の変形例は、本発明の第4の形態に対応していて、第4の形態にて説明したような作用効果を奏する。
【0052】
<第4の変形例>
第4の変形例では、第1ないし第3の工程(S1〜S3)に加え、貯留容器3における第1の混合物M1の自由液面の液位の変化を防止又は抑制するように制御するレベル制御工程S6を有する(図2参照)。この第4の変形例は、本発明の第5の形態に対応しており、第5の形態にて説明したような作用効果を奏する。
【0053】
<第5の変形例>
第5の変形例では、第1ないし第3の工程(S1〜S3)に加え、第2の混合物M2の注入先となる配管8内を移動する流体Fの流量に基づき、第1の混合物M1に含まれる固形物Sの量と液体Lの量の少なくとも一方を制御する投入量制御工程(S4)と、攪拌容器5から第2の混合物M2を引き出し、上記配管8内に注入する注入工程(S5)とを有する(図2参照)。この第5の変形例は、本発明の第6の形態に対応しており、第6の形態にて説明したような作用効果を奏する。
【0054】
既述した本発明の第1の実施形態及びその変形例に係る製造方法において、液体Lが海水又は淡水であり、固形物Sが液体L又はその内容物に化学処理を施すための薬剤である場合(本発明の第7の形態)、特に液体Lが海水であり、固形物Sが海水中の微生物を殺菌するための殺菌剤又はその殺菌剤を処理するための薬剤であり、流体Fが、船舶のバラスト水タンクに貯蔵される又は貯蔵されていたバラスト水である場合(本発明の第8の形態)には、該固形物Sが奏する薬効を効果的に発揮させることができる。
【0055】
[第2の実施形態] 混合装置
図3は、本発明の第2の実施形態に係る混合装置1の概要構成図である。
【0056】
本実施形態の混合装置1は、粉体、粒体、塊状体等の形状の固形物Sと液体Lとを含むと共に、気体Aが混入した第1の混合物M1(M1a)を形成する事前混合部2と、該事前混合部2において形成された上記第1の混合物M1(M1a)を収容して該第1の混合物M1(M1a)の滞留層を形成し、該滞留層の自由液面Jが大気圧又はそれ未満の圧力に曝されるように、一時的に滞留させる貯留容器3と、該貯留容器3と該貯留容器3の下方で連結管4を介して接続されて、該貯留容器3にて一時的に滞留した上記第1の混合物M1(M1b)を収容し、上記第1の混合物M1中に没入して位置する攪拌翼50で攪拌することにより、上記固形物Sと上記液体Lとの第2の混合物M2を形成する攪拌容器5と、を備える。
【0057】
上記固形物Sは、上記事前混合部2の上方に設けられた固形物収容部22から上記事前混合部2へ落下投入される。
【0058】
上記事前混合部2は、上記固形物収容部22と貯留容器3との間に配置しており、混合投入管21を備えている。混合投入管21は、固形物収容部22と貯留容器3との間で液体投入管25が接続されている。
【0059】
上記混合投入管21の上方に位置して設けられた固形物収容部22は、固形物Sを収容しており、該固形物Sは混合投入管21に接続された固形物投入調整手段23により該混合投入管21に投入される。固形物投入調整手段23は、混合投入管21への固形物Sの投入と不投入及びその投入量を調整する手段であり、駆動装置24により駆動される。固形物投入調整手段23は、固形物Sの投入頻度や大きさ(例えば粒度)を調整する機能を有する手段であってもよい。
【0060】
図4は、事前混合部2の要部の側面図(図4(a))及び横断面図(図4(b))であり、図4(a)中のz−z断面が図4(b)に相当する。図4に示すように、液体投入管25は、液体Lを流入させる配管であり、混合投入管21の管軸周りの内壁に沿って又は接線方向に混合投入管21内に液体Lが投入されるように、混合投入管21に取り付けられている(図4(b)参照)。その結果、液体Lは低抵抗のもとに流入する。固形物投入調整手段23により投入された固形物Sと液体投入管25を通じて流入された液体Lとは、互いに混合して第1の混合物M1aとなり、混合投入管21を通じて貯留容器3内に降下移動する(図4(a)参照)。
【0061】
固形物Sや液体L、特に前者の固形物Sには、通常、気体Aが混入している。このため、事前混合部2において形成される第1の混合物M1aは、気体Aが混入したものとなる。
【0062】
貯留容器3は、事前混合部2において形成された第1の混合物M1(M1a)を滞留層をなすようにして収容する容器であり、第1の混合物M1aの上記滞留層の自由液面Jが大気圧又はそれ未満の圧力に曝されるように第1の混合物M1aを収容し、一時的に滞留させる。
【0063】
貯留容器3の上部3aには、通排気管30の一端が接続されている(図3参照)。該通排気管30の他端は大気に開放され又はポンプ(図3には図示されず)と接続されているので、貯留容器3に収容されている第1の混合物M1の自由液面Jは大気圧又はそれ未満の圧力に曝される。したがって、第1の混合物M1に混入している気体Aは、第1の混合物M1が貯留容器3に一時的に滞留している過程で、第1の混合物M1中を浮上して自由液面から抜け易くなり、滞留時間の経過に伴い、気体Aの混入量が当初の第1の混合物M1aより少ない第1の混合物M1bとなる。
【0064】
貯留容器3には、そこに収容されている第1の混合物M1の自由液面Jの液位を計測するためのレベル計測手段60が取り付けられている。レベル計測手段60は、その典型例が第1の混合物M1に浮かぶ液位検出用浮子61の位置を計測する手段であるが、これに限定されない。レベル計測手段60により計測された自由液面Jの液位は、制御装置7(後述)に伝達される。
【0065】
第1の混合物M1bは、貯留容器3の底部3bに一端が接続され他端が攪拌容器5に接続されている連結管4を通じて、攪拌容器5内へ降下移動する。
【0066】
攪拌容器5は、内部に攪拌翼50を備えている。該攪拌翼50は、駆動伝達手段52を介して伝達される駆動装置51の駆動力により回転され、第1の混合物M1bを攪拌容器5内で攪拌する。攪拌翼50は、その典型例がピンミルであるが、これに限定されない。
【0067】
連結管4を通じて攪拌容器5内に降下移動してくる第1の混合物M1bは、攪拌翼50の回転中心又はその近傍に向けて投入され、攪拌翼50により攪拌され、第2の混合物M2として、攪拌翼50の回転面外周の攪拌容器5に取り付けられた送出用配管53を通
って攪拌容器5外へ搬出される。
【0068】
図3に示す混合装置1は、混合投入管21、貯留容器3、連結管4及び攪拌容器5が上から順に概ね略鉛直方向に沿って配置されて構成されているが、この方向に沿って配置されて構成される必要はない。たとえば、混合投入管21は非鉛直方向に沿って傾斜又は湾曲していてもよい。
【0069】
図5は、本発明の第2の実施形態の変形例に係る混合装置1の概要構成図である。図5に示す混合装置1は、連結管4や送出用配管53が曲管である点を除き、図3に示す形態と同じである。図5に示すように、混合装置1は、図3の場合と同様に、混合投入管21、貯留容器3、連結管4及び攪拌容器5が上から順に配置されているが、略鉛直方向に沿って配置されている必要はない。
【0070】
貯留容器3内で第1の混合物M1aから気体Aがどの程度抜けるか(すなわち、第1の混合物M1bにおける気体Aの混入量がどの程度少なくなるか)は、貯留容器3に収容されている第1の混合物M1aが曝される圧力に依存する。それ故、第2の混合物M2における気体Aの混入量をより減らすためには該圧力をより低下させるとよい。
【0071】
第2の混合物M2における気体Aの混入量をより減らすための別の方法は、貯留容器3に収容されている第1の混合物M1の自由液面Jを乱さず、より安定させることである。この自由液面Jが乱れると又は不安定であると、第1の混合物Mと自由液面上の外気との接触頻度がより増えるので、気体Aの第1の混合物M1における混入量がより増える傾向を生じる(この場合の気体Aは固形物Sや液体Lに混入している気体と同一であるとは限らない)。
【0072】
貯留容器3に収容されている第1の混合物M1の自由液面Jを乱したり、不安定にさせる原因は、例えば、混合投入管21への固形物S及び液体Lあるいはその一方の不適切な投入(過多若しくは過少な投入)又はその投入量の変動、攪拌容器5外への第2の混合物M2の不適切な搬出(過多若しくは過少な搬出)又はその搬出量の変動、貯留容器3内で生じる第1の混合物M1の渦流などにある。該渦流は、第1の混合物M1aの貯留容器3内への投入及び第1の混合物M1bの貯留容器3外への搬出、あるいは投入と搬入のいずれか一方に起因して生じる。尤も、攪拌容器5内における攪拌翼50による攪拌、攪拌容器5外への第2の混合物M2の送出などのような貯留容器3より下流における混合物の挙動は、第1の混合物M1bの貯留容器3外への搬出により直接的に影響し、そして間接的には第1の混合物M1aの貯留容器3内への投入によっても影響するので、上記渦流は、これらの挙動に起因して生じる場合もある。
【0073】
上記第1の混合物M1の自由液面の乱れを抑制し安定させるには、固体物Sや液体Lの混合投入管21への投入量そして第2の混合物M2の攪拌容器5外へ搬出量を適切化すると共に、貯留容器3の内壁面に抵抗板B等を設け、該貯留容器3内に収容されている第1の混合物M1の自由な流れを阻止することが有効である。図6は、貯留容器3の内壁に取り付けられた抵抗板Bの説明図である。図6において、抵抗板Bは周方向の複数位置で半径内方に突出し鉛直方向に延びる板として形成されている。貯留容器3の内壁面に抵抗板Bを取り付ければ、その作用により第1の混合物M1の渦流の発生や成長を防止又は抑制することができ、ひいては第1の混合物M1の自由液面Jを乱さず、より安定させることができる。それ故、第2の混合物M2における気体Aの混入量を減らすためには、貯留容器3の内壁に抵抗板Bを取り付けることが望ましい。
【0074】
なお、抵抗板Bは、図6に示すように、貯留容器3の鉛直方向に延びる縦板部材が典型例であるが、最終的に第1の混合物M1の自由液面Jを乱さず、より安定させる効果を奏するのであれば、いかなる形状、寸法、材質、取り付け方式等であってもよい。
【0075】
[第3の実施形態] 混合物の製造方法の実行時と混合装置の運転時の制御
以下においては、図7を参照しながら、本発明に係る混合物の製造方法の実行時と混合装置の運転時における制御について説明する。ここで、既述部位(事項)の説明はその符号を付すことで省略する。図7は、混合装置1で形成された第2の混合物を、流体Fが流通する配管8内の該流体Fへ注入することができるように、混合装置1が配管8と接続されている例を図示しており、以下において、上記第2の混合物を流体Fへ注入せずに混合装置を制御する一般的場合と、第2の混合物を流体へ注入しかつその状態下で混合装置を制御する注入制御の場合とについて説明する。
【0076】
<配管を流通する流体に第2の混合物を注入しない一般的な場合>
混合装置1は、制御装置7に接続されていて制御されるようになっており、また、第2の混合物の流体へ注入可能に、流体Fが流通する配管8に接続されている。
【0077】
図7において、液体Lを混合投入管21へ投入する液体投入管25には、上流側から、インバータ26a付きのポンプ26、制御バルブ27、流量計28が順に接続されている。流量計28は、その流量検出信号dを制御装置7へ送り、該制御装置7が流量制御指令信号b,cをインバータ26a、制御バルブ27へそれぞれ発し、液体Lの投入量を制御する。また固体物Sを投入する固形物投入調整手段23の駆動装置24は、インバータ24aを有していて、該インバータ24aが制御装置7から投入量制御指令信号aを受けて、投入量が制御されるようになっている。さらには、貯留容器3の上部に設けられた通排気管30には、好ましい形態として、インバータ31a付きのポンプ31が接続されていて、該インバータ31aが制御装置7からの指令信号fを受けて、ポンプ31を制御して貯留容器3内の圧力を大気圧以下とし、その圧力の調整を行う。
【0078】
貯留容器3の上部に設けられているレベル計測手段60は、その液面検出信号eを制御装置7へ伝達するよう該制御装置7に接続されている。
【0079】
また、攪拌容器5内の攪拌翼50を駆動する駆動装置(モータ)51はインバータ51aを有し、制御手段7からの攪拌指令信号gを受けて、その攪拌程度を調整するようになっている。
【0080】
さらに、攪拌容器5に接続されて第2の混合物M2を送出する送出用配管53には、インバータ54a付ポンプ54が接続されていて、該インバータ54aが制御装置7から送出指令信号hを受けて、その送出量を制御するようになっている。
【0081】
さらには、この送出用配管53が接続され流量計80が取り付けられている配管8には、流体Fが流通しており、その流量は流量計80からの流量検出信号iにより制御装置7へ伝達される。
【0082】
上記配管8には、該配管8が送出用配管53と接合する混合位置Nよりも下流側に混合促進手段11が、好ましい例として、設けられている。
【0083】
制御装置7は、少なくとも次の(目標1.)ないし(目標4.)に掲げる少なくとも一つの目標を達成するために、場合によっては次の(目標5.)そして(目標6.)の少なくとも一方に掲げる事項を達成するために制御を行う。
【0084】
(目標1.): 貯留容器3内に投入される第1の混合物M1の量の変化を防止又は抑制するように、より具体的には、この混合物M1の量が一定になるように又はこの量の変動がより小さくなるようにする。
【0085】
(目標2.): 貯留容器3内に投入される第1の混合物M1における固形物Sと液体Lとの混合比の変化を防止又は抑制するように、より具体的には、この混合比が一定になるように又は該混合比の変動がより小さくなるようにする。
【0086】
(目標3.): 送出用配管53から送出される第2の混合物M2の量の変化を防止又は抑制するように、より具体的には、この混合物M2の量が一定になるように又はこの量の変動がより少なくなるようにする。
【0087】
(目標4.): 貯留容器3内の第1の混合物M1の自由液面Jの液位の変化を防止又は抑制するように、より具体的には、この自由液面の液位が一定になるように又は該液位の変動がより小さくなるようにする。
【0088】
(目標5.): 送出用配管53から送出される第2の混合物M2における固形物Sと液体Lとの混合の均質性の変化を防止又は抑制するように、より具体的には、この混合均質性が一定になるように又は該混合均質性の変動がより小さくなるようにする。
【0089】
(目標6.): 送出用配管53から送出される第2の混合物M2における気体Aの混入量がより少なくなるようにする。
【0090】
上記(目標1.)ないし(目標6.)を達成するためには、制御装置7は、少なくとも流量検出信号d及び液面検出信号eを受けて、これらの信号に基づき所定の演算を行い必要な制御信号を発し、以下の(ア)ないし(カ)の制御を行う。
【0091】
(ア)投入量制御指令信号aをインバータ24aに送り、駆動装置24の、ひいては固形物投入調整手段23の動作、したがって固形物Sの投入・不投入及び投入量(場合によっては投入頻度や大きさ)を制御する。
【0092】
(イ)流量制御指令信号bをインバータ26aに送り、ポンプ26の動作、ひいては液体Lの流量を制御する。
【0093】
(ウ)流量制御指令信号cを制御バルブ27に送りその開閉又はその程度、ひいては液体Lの流量を制御する。
【0094】
(エ)攪拌指令信号gをインバータ51aに送り、駆動モータ51、ひいては攪拌翼50の動作、従って第1の混合物M1bの攪拌の程度を制御する。
【0095】
(オ)送出指令信号hをインバータ54aに送り、ポンプ54の動作、ひいては第2の混合物M2の送出量を制御する。
【0096】
(カ)ポンプ31が設置されているときは、指令信号fをインバータ31aに送り、ポンプ31をインバータ制御する。
【0097】
上記(目標1.)そして(目標2.)の少なくとも一方を達成するために制御装置7が主に制御する対象は、第1の混合物M1の投入量を制御する機構であり、これを構成する投入量制御機構9は、少なくとも、駆動装置24並びにポンプ26そして制御バルブ27の少なくとも一方から構成されており、さらいは、これらに流量計28を含む機構として定義することもできる。
【0098】
上記(目標3.)を達成するために制御装置7が主に制御する対象は、第2の混合物M2の排出量を制御する機構あり、これを構成する排出量制御機構10は、少なくとも、ポンプ54から構成されており、あるいは、ポンプ54及び駆動モータ51から構成されている機構として定義することもできる。
【0099】
上記(目標4.)を達成するために制御装置7が主に制御する対象は、第1の混合物M1の自由液面のレベルを制御する機構であり、これを構成するレベル制御機構6は、少なくとも、上記投入量制御機構9及び排出量制御機構10から構成されており、さらには、これらにレベル計測手段60を含む機構として定義することもできる。
【0100】
上記(目標5.)を達成するために制御装置7が主に制御する対象は、攪拌翼50を駆動する駆動モータ51である。固形物Sや液体Lの投入の仕方が第2の混合物M2の均質性に影響する場合には、制御装置7により、駆動モータ51に加えて投入量制御機構9を制御するように構成することができる。
【0101】
上記(目標6.)を達成するために制御装置7が主に制御する対象は、貯留容器3内の圧力を大気圧以下に減圧するポンプ31である。
【0102】
このような制御装置7により制御される混合装置1において、例えば、固形物Sと液体Lとを所定の比率で混合する必要がある場合、気体Aの混入量が多いと、固形物Sと液体Lとの混合比率にばらつきが生じ、所定の比率になるように混合することや均質に混合することが難しくなる場合がある。このことは、所定の混合比率にすることで薬効が生じる薬剤の調合(本発明の第7、8、15及び16の各形態参照)において大きな短所となる。この意味から、上記(目標2.)、(目標5.)及び(目標6.)のうち少なくとも二つの目標は同時に達成する必要に迫られるケースがある。この例に限らず、上記(目標1.)ないし(目標6.)のうち少なくとも二つの目標を同時に達成する必要がある場合には、制御装置7は、それらの目的を達成するために必要な所定の演算を行い、必要な制御信号を生成し、投入量制御機構9、レベル制御機構6、排出量制御機構10等の制御対象を制御する。
【0103】
<配管を流通する流体に第2の混合物を投入する場合>
本発明に係る混合物の製造方法の実行又は混合装置の運転により得られる第2の混合物M2を、配管8を流通する流体Fに注入する場合に該当する典型例は、該流体Fが海水又は淡水であり、固形物Sが流体F又はその内容物に化学処理を施すための薬剤である場合(本発明の第7及び第15の各形態参照)であり、特に、流体Fが船舶のバラスト水タンクに貯蔵される又は貯蔵されていたバラスト水であり、固形物Sが上記バラスト水中の微生物を殺菌するための殺菌剤若しくはその原料又はその殺菌剤を処理するための薬剤若しくはその原料である場合、さらには、殺菌後の殺菌剤を含んでいるバラスト水を船外に排出するに先立ちこのバラスト水中の殺菌剤を分解するための分解剤である場合である(本発明の第8及び第16の各形態参照)。以下は、この典型例における制御についての説明である。
【0104】
混合装置1外にある配管8内を流通する流体Fに第2の混合物M2を混合位置Nにおいて混合する場合には、混合位置Nの上流に流体Fの流量を計測する流量計80を設け、該流量計80による計測値としての流量検出信号iを制御装置7に送るようにする。
【0105】
上記混合位置Nの下流において流体Fに混合した第2の混合物M2の濃度を濃度計(図示せず)により計測する場合には、その計測値を制御装置7に送るようにしてもよい。
【0106】
なお、混合位置Nの下流において流体Fへの第2の混合物M2の混合を促進させるための混合促進手段11を設けるのが好ましい。混合促進手段11は、その典型例がベンチュリ管であるが、これに限定されない。混合位置Nの下流において流体Fに混合した第2の混合物M2の濃度を計測する濃度計を設ける場合には、該濃度計を混合促進手段11の設置位置よりも下流位置に設置するのが望ましい。
【0107】
制御装置7は、流体Fに混合した第2の混合物M2の濃度の変化を防止又は抑制するように、より具体的には該濃度が一定になるように又は該濃度の変動がより小さくなるように、少なくとも流量検出信号iの計測値に基づき所定の演算を行い必要な制御信号を生成し、少なくとも、送出指令信号hをインバータ54aに送り、既述の排出量制御機構10(特にポンプ54)の動作、ひいては第2の混合物M2の流体Fへの送出量を制御する。その際、同時に、上記(目標1.)ないし(目標6.)のうちの少なくとも一つの目標を達成する必要があるときは、併せて投入量制御機構9、レベル制御機構6、駆動モータ51及びポンプ31のうちの少なくとも一つを制御する。
【0108】
例えば、上記固形物Sが液体F又はその内容物に化学処理を施すための薬剤である場合に、流体F中に混合した第2の混合物M2が経時により気体を発生することがあるときには、第2の混合物M2中の気体の混入量が予想外に増え、配管8の下流において問題を起こす可能性が高くなることがある。また、流体F中に混合した第2の混合物M2が経時により危険物質(塩素ガスなど)を発生するときには、第2の混合物M2中の気体Aの混入量が多いと、その危険物質が気体A中に移って、気体Aがキャリアとなって危険物質を拡散させるような事態が起こりうる。このようなときは、第1の混合物M1中に気体Aの混入量を当初から極力低減しておく必要があり、流体Fに混合した第2の混合物M2の濃度の変化を防止又は抑制するように目標と上記(目標6.)を同時に達成する必要がある。そのような場合であっても、制御装置7は、それらの目標を達成するために必要が所定の演算を行い、必要が制御信号を生成し、少なくともポンプ31及び排出量制御機構10といった制御対象を制御する。
【0109】
なお、上記の説明において、信号a〜iは、いずれも、信号伝達の方式は無線方式であっても有線方式で伝達されてもよい。
【0110】
[第4の実施形態] 船舶搭載式のバラスト水処理装置における薬剤溶解装置
流体Fが船舶のバラスト水タンクに貯蔵される又は貯蔵されていたバラスト水であり、固形物Sが上記バラスト水中の微生物を殺菌するための殺菌剤若しくはその原料又はその殺菌剤を処理するための薬剤若しくはその原料である場合において、混合装置1を該船舶に搭載するときは、当該混合装置1を、船舶搭載式のバラスト水処理装置における薬剤溶解装置と位置付けることができる。
【0111】
ここで、船舶搭載式のバラスト水処理装置では、バラスト水処理装置とバラストタンクとの間の配管が長くなり、曲部や異形部或いは計測機器、バルブ、タンク等が接続された不規則部分(単純な直管部分でない部分)も多くなるので、配管内を流通するバラスト水(海水)に混入している気体が局所に偏在して、搬送抵抗や搬送動力の変動の原因となる。また、特にバラスト水中に殺菌剤等を投入すると、そこから塩素ガス又は塩素系物質に代表される危険物質ガスが発生することがあり、バラスト水中に混入している気体がその危険物質のキャリアとなって拡散させるような事態も起こりうる。これに対して、本発明によれば、殺菌剤等と海水との混合物における気体の混入量を低下させることができるので、上記のような問題の発生を極力抑制することができる。
【0112】
また、混合装置1を船舶搭載式のバラスト水処理装置における薬剤溶解装置と位置付ける場合、その貯留容器3は一定の設計条件を充足することが求められる。つまり、国際海事機関(IMO)が決議した「バラスト水管理システムの承認に関するガイドライン(G8)」によると、船舶の揺動においてピッチ角が7.5度、ロール角が22.5度であっても第1の混合物M1が貯留容器3から流出しないように該貯留容器3を設計することが求められる。
【0113】
図8は、貯留容器が充足すべき設計条件についての説明図であり、(a)は船舶の揺動がローリング(船舶幅方向揺動)の場合、(b)は船舶の揺動がピッチング(船舶長さ方向揺動)の場合についての説明図である。貯留容器の深さ方向軸と、ローリング揺動軸又はピッチング揺動軸とが一致している場合である。符号は下記のとおりである。
Hr・・・・・・貯留容器の高さ
Dr・・・・・・貯留容器の船舶幅方向幅
Dp・・・・・・貯留容器の船舶長さ方向幅
Kr・・・・・・ロール角(最大22.5度)
Jr[0]・・・・ ロール角が0のときの自由液面
Jr[Kr]・・・ロール角がKrのときの自由液面
hr[0]・・・・ロール角が0のときの自由液面の貯留容器の胴部下底部からの高さ
hr[Kr]・・・ロール角がKrのときの自由液面の貯留容器の胴部下底部からの高さ
Kp・・・・・・ピッチ角(最大7.5度)
Jp[0]・・・・ ピッチ角が0のときの自由液面
Jp[Kp]・・・ ピッチ角がKpのときの自由液面
hp[0]・・・・ピッチ角が0のときの自由液面の貯留容器の胴部下底部からの高さ
hp[Kp]・・・ ピッチ角がKpのときの自由液面の貯留容器の胴部下底部からの高さ
【0114】
船舶の揺動においてピッチ角Kpが7.5度、ロール角Krが22.5度であっても第1の混合物M1が貯留容器3から流出しないようにするため、貯留容器の充足すべき設計条件は、次の二式を同時に満足することである。
Hr−hr[0]>1/2・Dr・tan22.5°
Hp−hp[0]>1/2・Dp・tan7.5°
【0115】
貯留容器の深さ方向軸と、船舶のローリング揺動軸又はピッチング揺動軸とが一致している場合には、上記のような設計条件となるが、貯留容器の深さ方向軸と、船舶のローリング揺動軸又はピッチング揺動軸とが一致していない場合には、貯留容器の充足すべき設計条件は、次の二式を同時に満足することである。
Hr−hr[0]>Dr・tan22.5°
Hp−hp[0]>Dp・tan7.5°
【0116】
さらに,船舶の揺動においてピッチ角Kpが7.5度,ロール角Krが22.5度であっても,第1の混合物が貯留容器の内壁に接触せずに貯留容器の自由液面に落下するように,混合投入管の配置位置と,貯留容器内の自由液面の高さを適切に定める必要が有る。これは貯留容器の内壁に第1の混合物が接触し、未溶解の薬剤が内壁に付着することを防ぐためである。未溶解の薬剤が内壁に付着すると、付着した未溶解の薬剤が凝集、固着して内壁の腐食原因となったり、付着した分だけ薬剤量が不足し薬剤濃度の定量性が損なわれるなど問題が生じる。
【0117】
また、貯留容器への第1の混合物M1の投入は、貯留容器内に第1の混合物M1の自由液面が形成されている状態から行うように、固形物Sや液体Lの投入の手順を、制御装置7により、投入量制御機構9を制御して行うことが好ましい。
【0118】
[第5の実施形態] 汚濁水域浄化装置における薬剤溶解装置
図9に示される本実施形態では、例えば、植物プランクトンによって汚濁した水域を効果的に浄化するための汚濁水域浄化装置に浄化用の殺菌薬剤を溶解して供給する薬剤溶解装置として本発明装置が用いられる場合を示している。
【0119】
図9は、植物プランクトンによって汚濁した湖沼、堀、池等の水域Pの水を揚水し、濾過、殺菌処理した水を水域Pに戻す汚濁水域浄化装置を示している。
【0120】
本実施形態では、湖沼、堀、池等の水域Pの水を揚水ポンプ91により揚水し、揚水された水98を濾過装置92により濾布・濾材を用いて濾過を行い、比較的大きい植物プランクトンを除去した後、濾過水99に殺菌剤(固形物S)を投入し、濾過後においても残留する比較的小さい植物プランクトンを殺菌する。そのために、本発明に係る混合装置95を用いて、濾過水99の一部(液体L)と、殺菌薬剤(固形物S)とを混合して、第2の混合物M2を作成する。しかる後、殺菌処理槽93において、濾過水99の残部に第2の混合物M2を投入することにより、濾過水99に残留する植物プランクトン等の微生物を殺菌する。この殺菌処理を施した処理水100を水域Pに戻し、水域Pに設けた攪拌機97により処理水を水域P全体に拡散し、好ましくは循環的に以上の処理を繰り返すことにより、水域Pを浄化する。
【0121】
本発明に係る混合装置を汚濁水域浄化装置の薬剤溶解装置として用いることにより、殺菌薬剤と濾過水の一部とを混合し混合物を形成し、混合物を濾過水の残部に投入し殺菌処理を施す際、その混合物における気体の混入量を低減させることができ、殺菌薬剤が奏する薬効を適正に発揮させることができるという効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0122】
S1 第1の工程 S2 第2の工程
S2a 渦流低減工程 S3 第3の工程
S4 投入量制御工程 S5 注入工程
S6 レベル制御工程 S 固形物
L 液体 F 流体
B 抵抗板 J 自由液面
M1 第1の混合物 M1a 貯留容器に貯留される前の第1の混合物
M1b 貯留容器に貯留された後の第1の混合物
M2 第2の混合物 a〜i 信号
1 混合装置 2 事前混合部
3 貯留容器 3a 貯留容器の上部
3b 貯留容器の底部 4 連結管
5 攪拌容器 6 レベル制御機構
7 制御装置 8 配管
9 投入量制御機構 10 排出量制御機構
11 混合促進手段 21 混合投入管
22 固形物収容部 23 固形物投入調整手段
24 (投入量調整手段23の)駆動装置
24a インバータ 25 液体投入管
26 ポンプ 26a インバータ
27 制御バルブ 28 流量計
30 通排気管 31 ポンプ
31a インバータ 50 攪拌翼
51 駆動モータ 51a インバータ
52 駆動力伝達手段 53 送出用配管
54 ポンプ 54a インバータ
60 レベル計測手段 61 液位検出用浮子
80 流量計 91 揚水ポンプ
92 濾過装置 93 殺菌処理槽
95 混合装置 97 撹拌機
98 揚水した水 99 濾過水
100 処理水 P 水域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形物と液体との混合物の製造方法において、
粉体、粒体、塊状体等の形状の固形物と液体とを含むと共に、気体が混入した第1の混合物を形成する第1の工程と、
該第1の工程で形成された上記第1の混合物を貯留容器に一時的に滞留させて、第1の混合物の滞留層を形成し該滞留層の自由液面を大気圧又はそれ未満の圧力に曝して、その滞留の過程で上記第1の混合物に混入している上記気体の少なくとも一部を除去する第2の工程と、
該第2の工程で上記気体の少なくとも一部が除去された上記第1の混合物を攪拌して上記固形物と上記液体との第2の混合物を形成する第3の工程とを有することを特徴とする混合物の製造方法。
【請求項2】
第3の工程は、貯留容器と、該貯留容器の下方で、連結管を介して接続されている攪拌容器に、第1の混合物を収容させ、該攪拌容器へ降下収容された第1の混合物中に没入して位置する攪拌翼により攪拌して第2の混合物を形成することとする請求項1に記載の混合物の製造方法。
【請求項3】
第2の工程は、貯留容器に一時的に滞留している第1の混合物の鉛直線まわりでの自由な流動を規制する抵抗手段により、上記第1の混合物の渦流を低減させる渦流低減工程を有することとする請求項1又は2に記載の混合物の製造方法。
【請求項4】
渦流低減工程は、貯留容器で鉛直線方向に延びて設置された抵抗板により、上記第1の混合物の渦流を低減させる工程であることとする請求項3に記載の混合物の製造方法。
【請求項5】
第1ないし第3の工程に加え、貯留容器における第1の混合物の自由液面の液位の変化を防止又は抑制するように制御するレベル制御工程を有することとする請求項1ないし請求項4のいずれか一つに記載の混合物の製造方法。
【請求項6】
第1ないし第3の工程に加え、第2の混合物の注入先となる配管内を移動する流体の流量に基づき、第1の混合物に含まれる固形物の量と液体の量の少なくとも一方を制御する投入量制御工程と、攪拌容器から第2の混合物を引き出し、上記配管内に注入する注入工程とを有することとする請求項1ないし請求項5のいずれか一つに記載の混合物の製造方法。
【請求項7】
液体は海水又は淡水であり、固形物は上記液体又はその内容物に化学処理を施すための薬剤であることとする請求項1ないし請求項6のいずれか一つに記載の混合物の製造方法。
【請求項8】
液体は船舶のバラスト水タンクに貯蔵される又は貯蔵されていたバラスト水であり、固形物は上記バラスト水中の微生物を殺菌するための殺菌剤若しくはその原料又はその殺菌剤を処理するための薬剤若しくはその原料であることとする請求項6に記載の混合物の製造方法。
【請求項9】
固形物と液体とを混合する混合装置において、
粉体、粒体、塊状体等の形状の固形物と液体とを含むと共に、気体が混入した第1の混合物を形成する事前混合部と、
該事前混合部において形成された上記第1の混合物を収容して該第1の混合物の滞留層を形成し、該滞留層の自由液面が大気圧又はそれ未満の圧力に曝されるように、一時的に滞留させる貯留容器と、
該貯留容器と該貯留容器の下方で連結管を介して接続されて、該貯留容器にて一時的に滞留した上記第1の混合物を収容し、上記第1の混合物中に没入して位置する攪拌翼で攪拌することにより、上記固形物と上記液体との第2の混合物を形成する攪拌容器と、を備えることを特徴とする混合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−56296(P2013−56296A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195732(P2011−195732)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(000004123)JFEエンジニアリング株式会社 (1,044)
【Fターム(参考)】