説明

固形粉末化粧料

【課題】使用時のとれが良好で滑らかな使用感に優れ、さらに成形性の向上により耐衝撃性に優れた固形粉末化粧料を提供する。
【解決手段】炭素数1〜36の1種又は2種以上のアルコールと、炭素数1〜36の1種又は2種以上のカルボン酸と、を反応させて得ることができる、総炭素数16以上のエステル化合物からなり、かつ酸価15以上120以下である酸性エステル油が、板状粉体、球状粉体及び光輝性粉体の少なくとも1種を含む粉体に対して0.1〜25.0質量%被覆されてなる表面処理粉体を、3〜100質量%配合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸性エステル油で表面処理された粉体を配合した固形粉末化粧料に関するものであり、より詳細には、使用時のとれが良好で滑らかな使用感に優れ、さらに成形性の向上により耐衝撃性に優れた固形粉末化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
固形粉末化粧料は、一般的には皿状容器に充填成型し、これをコンパクト容器に装着している化粧料であり携帯性が良いためファンデーションや頬紅、アイシャドウ等メークアップ化粧料において汎用されている剤型である。このような固形粉末化粧料は、通常、体質顔料、着色顔料、光輝性顔料等からなる粉体系に油剤を加えて混合、分散した基材をアルミニウム等の金属製や樹脂製の皿状容器に充填成型する。そして、固形粉末化粧料は、ハンドバック等に入れて携帯されるため、成型物の耐衝撃性が悪いと、成型物が割れたり、崩れたりするので、充分な耐衝撃性を確保しなければならない。また、固形粉末化粧料の多くは、成型物表面をスポンジ等の塗布具で擦り取り、肌に塗布して使用されるので、塗布具への取れ具合と肌へ塗布する際の使用感が重要な品質となっている。固形粉末化粧料の充填成型方法には大別すると2つある。一つは粉体と油剤等からなる化粧料基材を皿状容器に充填し、これを圧縮成型する方法(いわゆるプレス成型法)である。もう一つは、粉体と油剤を主成分とする化粧料基材を溶媒と混合しスラリー状として容器に充填した後、該溶媒を除去することにより固形粉末化粧料を得る方法(いわゆる湿式成型法)である。いずれの成型方法においても、固形粉末化粧料は、体質顔料、着色顔料、光輝性顔料および液状油、固形油、半固形油等の配合組成や配合量を変えることにより強度や滑らかな使用感を得るための検討がなされている。湿式成型法において、有機チタネート処理粉体を含有させることで優れたエモリエント感と落下強度を両立させたり(例えば、特許文献1参照)、乾式成形法を用いて特定の組成物にて成型する方法(例えば、特許文献2参照)や湿式成型法において球状ポリオレフィンとピロリドンカルボン酸変性シリコーンを配合することで耐衝撃性と良好な使用感を兼ね備えた固形粉末化粧料を得る技術(例えば、特許文献3参照)等が開示されている。
【0003】
一方、本発明者らにより、炭素数1〜36の1種又は2種以上のアルコールと、炭素数1〜36の1種又は2種以上のカルボン酸とを反応させて得ることができる、総炭素数16以上のエステル化合物を含み、酸価15以上の酸性エステル油で粉体を被覆してなる表面処理粉体が開示されている(例えば、特許文献4及び5参照)。この表面処理粉体は、肌や毛髪への優れた付着性と延び、エステル油やトリグリセライド等の一般油剤やシリコーン系あるいはフッ素系油剤への優れた分散性、及びしっとり感を有するが、上記固形粉末化粧料として使用したときの使用性や成形性については知られていない。
【0004】
【特許文献1】特開2004−238371号公報
【特許文献2】特開2005−306844号公報
【特許文献3】特開2006−169207号公報
【特許文献4】特開2004−51945号公報
【特許文献5】特開2005−132786号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
固形粉末化粧料において、プレス成型法や湿式成型法を問わず良好な使用感を出すためには、板状粉体や球状粉体が不可欠な成分であるが、これらをより多く配合すると成形性が悪くなり耐衝撃性が悪化する。また、化粧料の質感向上のためや化粧効果を発揮するためには真珠光沢を有する光輝性粉体、いわゆるパール顔料の配合が不可欠であるが、パール顔料を配合するとパール顔料の粉末特性に起因する使用感の悪化や耐衝撃性の悪化が問題になっている。
【0006】
特に、使用感の良好な板状粉体や球状粉体、パール顔料等の光輝性粉体を固形粉末化粧料に配合したとき、塗布具へのとれと滑らかな使用感、そして優れた耐衝撃性のすべてを満足するには特定の配合系や成型法でしか達成できず処方上や成型法に多くの制約がある。このため、プレス成型法と湿式成型法のいずれにおいても使用時のとれが良好で滑らかな使用感に優れ、さらに成形性の向上により耐衝撃性に優れた固形粉末化粧料が得られる技術開発が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる実情に鑑み、本発明者らは鋭意検討した結果、特定のアルコールとカルボン酸とを反応させて得られる一定値以上の総炭素数を有するエステル化合物からなり、かつ一定値以上の酸価を示すエステル油で処理した粉体を配合した固形粉末化粧料が、使用時のとれが良好で滑らかな使用感に優れ、さらに成形性の向上により耐衝撃性に優れることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明の固形粉末化粧料は、炭素数1〜36の1種又は2種以上のアルコールと、炭素数1〜36の1種又は2種以上のカルボン酸と、を反応させて得ることができる、総炭素数16以上のエステル化合物からなり、かつ酸価15以上120以下である酸性エステル油が、板状粉体、球状粉体及び光輝性粉体の少なくとも1種を含む粉体に対して0.1〜25.0質量%被覆されてなる表面処理粉体を、3〜100質量%配合することを特徴とする。
【0009】
好ましい実施形態において、本発明の固形粉末化粧料は、前記粉体が板状粉体を含み、当該表面処理された板状粉体を5〜100質量%配合することを特徴とする。また、前記粉体が球状粉体を含み、当該表面処理された球状粉体を3〜40質量%配合することが好ましい。さらに好ましくは、前記粉体が光輝性粉体を含み、当該表面処理された光輝性粉体を5〜90質量%配合することを特徴とする。
【0010】
好ましい1つの実施形態において、本発明の固形粉末化粧料は、前記酸性エステル油が、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール及びオクチルドデカノールから選択される1種以上のアルコールと、アジピン酸、グルタル酸、ジエチルグルタル酸、セバシン酸、エイコサン二酸、及び水添ダイマー酸から選択される1種以上の2塩基酸と、の部分エステルからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の特定の酸性エステル油で表面処理された粉体を配合した固形粉末化粧料は、使用時のとれが良好で滑らかな使用感に優れ、さらに成形性の向上により耐衝撃性に優れたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明における化粧基材はプレストパウダーのように不揮発性油性成分が少ないものから口紅のように多い固形粉末化粧料において使用時のとれが良好で滑らかな使用感に優れ、さらに成形性の向上により耐衝撃性に優れるものである。
【0013】
本発明に用いる酸性エステル油は、例えば、上掲の特許文献4に具体的に記載された炭素数1〜36の種々のアルコールと、炭素数1〜36の種々のカルボン酸と、を部分エステル化して得られる総炭素数16以上のエステル化合物を含む。当該エステル油の酸価は15以上120以下である。当該エステル油の酸価が15未満であると粉体基材への吸着性が悪く酸性エステル油が表面処理されず使用感と耐衝撃性が悪い。また、酸価は120程度あれば十分でありそれ以上大きくても効果に変わりはない。エステル化合物の総炭素数が16未満であると肌への刺激が強く安全性の観点より好ましくない。
【0014】
より具体的には、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール及びオクチルドデカノールから選ばれる1種以上のアルコールと、アジピン酸、グルタル酸、ジエチルグルタル酸、セバシン酸、エイコサン二酸及び水添ダイマー酸から選ばれる1種以上の2塩基酸の部分エステルを用いることが好ましい。
【0015】
これら総炭素数16以上のエステル化合物を含む、酸価15〜120のエステル油の表面処理量は粉体基剤の種類やその比表面積により異なるが粉体に対して0.1〜25.0重量部である。好ましくは0.1〜20.0重量部である。これら表面処理するためのエステル油は2種以上を混合して被覆処理したものでも構わない。被覆量が0.1重量部より少ないと粉体粒子表面の均一な被覆層が得られず使用感と耐衝撃性が悪い、25重量部より多くても使用感や耐衝撃性の更なる向上は見られない。
【0016】
本発明に用いられる酸性エステル処理粉体に於ける粉体としては、化粧料に配合される粉体であれば特に制限はなく使用可能である。板状、球状、針状等の粒子形状、多孔質、無孔質等の粒子構造等により限定されず、その平均粒子径は、好ましくは3000μm〜0.001μm程度、より好ましくは200μm〜0.01μm程度である。また、これら粉体の粒子径の測定方法としては、光学顕微鏡や電子顕微鏡により観察で計測される平均値で求められる。真球状でない粒子に関しては長径、短径、厚み等の合計の平均値より求める事ができる。
【0017】
特に、板状、球状の粒子形状を有する粉体や光輝性粉体に、一定量の酸性エステル油を処理した粉体を配合した固形粉末化粧料は、使用時のとれ(以下「使用性」という場合がある)が良好で滑らかな使用感に優れ、さらに成形性の向上により耐衝撃性に優れる。
【0018】
具体的には、板状粉体としては、窒化硼素、セリサイト、天然マイカ、焼成マイカ、合成マイカ、合成セリサイト、板状アルミナ、板状硫酸バリウム、板状無水ケイ酸、板状酸化チタン、板状酸化亜鉛、板状PMMA、ケイフッ化カリウム焼成物、アルミニウムパウダー、ヘキ開タルク、カオリン、ベントナイト、スメクタイト、モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ラウロイルリジン、ラウロイルタウリンカルシウム、長鎖アルキルリン酸金属塩粉末、金属石鹸粉末、PTFEパウダー等が挙げられる。これら板状粉体の平均粒子径は1〜100μmが好ましく、特に3〜50μmが好ましい。また、アスペクト比(平均粒子径/平均厚さ)は15以上が好ましいが、30以上が滑らかな使用感の点でより好ましい。
【0019】
球状粉体としては、無水ケイ酸、球状酸化チタン、ナイロンパウダー、ポリアクリル酸アルキル、アクリロニトリル−メタクリル酸共重合体パウダー、塩化ビニリデン−メタクリル酸共重合体パウダー、ポリエステルパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリプロピレンパウダー、ポリスチレンパウダー、オルガノポリシロキサンエラストマーパウダー、ポリメチルシルセスキオキサンパウダー、ポリウレタンパウダー、ウールパウダー、シルクパウダー、プラスチックパウダー、結晶セルロースパウダー、シリコーンパウダー、PTFEパウダー等が挙げられる。これら球状粉体の平均粒子径は0.01〜100μmが好ましく、特に0.3〜30μmが滑らかな使用感の点でより好ましい。
【0020】
光輝性粉体としては、雲母チタン、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆シリカフレーク、酸化チタン被覆アルミナフレーク、酸化チタン・酸化スズ被覆アルミナフレーク、シリカ被覆カッパーフレーク、シリカ被覆ブロンズフレーク、酸化鉄被覆雲母、酸化アルミニウム被覆雲母、酸化亜鉛被覆雲母チタン、酸化亜鉛被覆タルク、酸化鉄被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、有機色素被覆雲母チタン、酸化チタン被覆合成雲母、タルクチタン、球状パール、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔、魚鱗箔ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末のラメ剤等が挙げられる。市販品としては具体的には、日本板硝子社より販売されているメタシャインシリーズ、日本光研社より販売されているPROMINENCE(登録商標)及びSILSEEM(登録商標)SILKYシリーズ、メルク社より販売されているXIRONA(登録商標)、チミロンスプレンディッドゴールド、チミロンスプレンディッドレッド、チミロンスプレンディッドブルー、チミロンスプレンディッドグリーン、チミロンスーパーグリーン、チミロンスーパーレッド、チミロンスーパーブルー、チミロンスーパーゴールド、コロロナシエナ、コロロナカーミンレッド、コロロンレッドゴールド、コロロナシエナ、コロロナカーミンレッド、コロロンレッドゴールド、XironaSilver、エンゲルハード社より販売されているクロイゾネブルー、クロイゾネグリーン、クロイゾネゴールド、クロイゾネルージュフランベ、ジェムトーンタンオパール、ジェムトーンルビー、チミカブリリアントゴールド、チミカゴールデンブロンズ、チミカカッパー、デュオクロムRB、デュオクロムRY、デュオクロムYR、デュオクロムYB、デュオクロムRG、デュオクロムBG、デュオクロムBR、デュオクロムGY、フラメンコベルベット、フラメンコサティーナ、フラメンコレッド、フラメンコブルー、フラメンコゴールド等が挙げられる。これらの光輝性粉体は、化粧料剤型の外観に高級感を付与したり、化粧膜の光輝性付与や質感調整等のために配合される。光輝性粉体の平均粒子径が大きくなるほど固形粉末化粧料の耐衝撃性は悪化する。換言すれば、平均粒子径は小さいほど粉体の凝集力が大きいため耐衝撃性は良い。一般に、固形粉末化粧料に配合される光輝性粉体の平均粒子径は15μm以上のものが多く、これらを高配合させたときに特に耐衝撃性が悪化する。この場合、本発明に係る特定の酸性エステルで処理した光輝性粉体を配合すると塗布時の使用感と耐衝撃性の良さが顕著に発揮される。
【0021】
その他の粉体としては、酸化鉄、酸化クロム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、水酸化クロム、紺青、群青、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、炭化ケイ素、タングステン酸金属塩、アルミン酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、クロルヒドロキシアルミニウム、クレー、ゼオライト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、窒化ボロン無機青色系顔料、アルミニウム粉、金粉、銀粉、低次酸化チタン、バタフライ状硫酸バリウム、花びら上酸化亜鉛、ナイロン繊維、「ルミノーバシリーズ」なる商品名で発売されている発光粉体、ステンレスパウダー、トルマリン粉末、琥珀パウダー、カーボンブラック、マンゴバイオレット、コバルトバイオレット、タール色素をレーキ化したもの、天然色素をレーキ化したもの、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、ビニル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂等の合成樹脂パウダー、微結晶繊維粉体、澱粉粉末、CIピグメントイエロー、CIピグメントオレンジ等が挙げられる。タール色素としては赤色3号、赤色10号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色204号、黄色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色404号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色206号、橙色207号等;天然色素としては、カルミン、ラッカイン酸、カルサミン、ブラジリン、クロシン、クロロフィル、β−カロチン、ベニバナパウダー等の天然色素粉体が挙げられる。
【0022】
また、使用される粉体の形態としても前記複数の混合物、複合体、付着物等、通常化粧料に配合する形態を利用することができる。例えば、必要に応じてこれらの粉体を複合化またはドープ化したものを用いることができる。例としては、ベンガラ等の無機着色顔料を無水ケイ酸で被覆した粉体、ナイロンを白色顔料で被覆した粉体、鉄やマンガンをドープした微粒子酸化チタン、ナイロン−シリカ複合体、ナイロン−マグネシア複合体、ナイロン−アルミナ複合体、PMMA−アルミナ−マグネシア複合体、ナイロン−酸化鉄複合体、ナイロン−水酸化鉄複合体、酸化チタン−赤色226号複合体等やPMMA、ナイロン、ポリエステル、ポリスチレン、セルロース、シリコーンエラストマーパウダー、シリコーンゴムパウダー、ベンゾグアナミン、スチレンジビニルベンゼンピンホールポリマー、四弗化エチレン、ポリエチレンパウダー、ポリプロピレンパウダー、ポリウレタンパウダー、シルクパウダー、金属石鹸粉体、でんぷん末、N−アシル化リジン、及び有機顔料のうち1種以上をシリカ、マグネシア、アルミナ、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化鉄等の金属酸化物及び/又は水酸化鉄等の金属水酸化物と複合体化した粉体等や三好化成株式会社より発売されているエクセルマイカ、エクセルパール、パウダーラヴィ等が挙げられる。
【0023】
本発明で、酸性エステル油を粉体に表面処理する方法としては、カルボン酸をフリー体のまま被覆しても良いしNa、K、並びにBa、Zn、Ca、Mg、Fe、Zr、Co、Al、Ti等の多価金属、アンモニウム、またはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、トリイソプロパノールアミン等の有機アルカノールアミンのオニウムの何れかで処理しても良い。ここでいう処理とはカルボン酸の水素原子を他の金属または有機基で置換した後または置換しながら表面処理することでありこれらに限定されるものではない。具体的には1.ヘンシルミキサーやスーパーミキサー等で酸性エステル油を混合後乾燥する乾式法、2.ニーダーやエクストルーダー等の練合機で混練後乾燥する方法、3.ボールミルやサンドグラインダー等のメカノケミカル型のミルで水や有機溶媒中に粉体を分散させ酸性エステル油を混合した後溶媒を除去して乾燥する方法、4.JETアトマイザーの様な高速気流中で粉体基剤と酸性エステル油を接触させて被覆する方法等がある。ここで言う表面処理方法とは、一般に粉体基剤の表面処理に適用出来る方法であれば良くこれらの方法に限定されるものではない。
【0024】
表面処理される粉体基剤は表面処理剤との親和性や固着性の向上をはかるべく、例えばアルミニウム、カルシウム、マグネシウム、セリウム、ケイ素、ジルコニウム、チタン、亜鉛、鉄、コバルト、マンガン、ニッケルおよびスズの少なくとも1種の酸化物または含水酸化物で被覆されていても構わない。さらにこれら粉体基材は表面処理の相乗効果をはかるべくあらかじめシリコーン化合物による表面処理、アシル化アミノ酸による表面処理、脂肪酸による表面処理、フッ素化合物による表面処理、レシチンによる表面処理、ポリエチレンによる表面処理、アルキルシランによる表面処理、アルキルチタネートによる表面処理、セラミドによる表面処理、デキストリン脂肪酸エステル、イヌリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルによる表面処理、カチオン処理、シラノール化合物やホスホリルコリン誘導体等による処理など公知の表面処理剤で処理された粉体でも構わない。
【0025】
より具体的には、三好化成株式会社のカタログに記載のSI処理、SNI処理、SA処理、MW処理(以上シリコーン化合物による処理)、NAI処理、LP処理、AHD処理(以上アミノ酸類による処理)、MI処理(脂肪酸処理)、LI処理(レシチン処理)、FI処理、NFI処理、PFI処理(以上フッ素化合物による処理)、PI処理(ポリエチレン処理)、HS処理、NHS処理(以上エステル処理)等が挙げられる。また、粉体を特定の酸性エステルで処理すると同時に前記酸化物又は含水酸化物で被覆したり、前記公知の表面処理剤、化粧料に配合可能な油剤等で処理をしても構わない。
【0026】
化粧料に配合可能な油剤としては、通常化粧料に用いられる油剤であれば固形状、ペースト状、液体状の何れでもよく、動物油、植物油、合成油等の起源を問わない。例えば、炭化水素類、油脂類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類等が挙げられる。具体的には、流動パラフィン、重質流動イソパラフィン、α−オレフィンオリゴマー、スクワラン、ワセリン、ポリソブチレン、ポリブテン、固形パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、ポリエチレンワックス、エチレンプリピレンコポリマー、セレシンワックス等の炭化水素類;ミツロウ、モクロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス等のロウ類;オリーブ油、ヒマシ油、ミンク油、パーム油、マカデミアンナッツ油等の油脂類;ホホバ油、リンゴ酸ジイソステアリル、セチルイソオクタネート、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、コレステロール脂肪酸エステル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、ロジン酸ペンタエリトリットエステル、ジステアリン酸プロピレングリコール、ゲイロウ等のエステル類;ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸類;セチルアルコール、ステアリルアルコール、ラウリルアルコール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール等の高級アルコール類;低重合度ジメチルポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン、アルキル変性オルガノポリシロキサン、ポリオキシアルキレン・アルキル共変性オルガノポリシロキサン、アルコキシ変性オルガノポリシロキサン、フッ素変性オルガノポリシロキサン等のシリコーン類;パーフルオロデカリン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤類;ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体等が挙げられ、これらを1種又は2種以上用いることができる。
【0027】
このようにして得られる特定の酸性エステル処理粉体の固形粉末化粧料への配合量は化粧料の性質に応じて任意に選択されるが、全組成中に3〜100重量%である。より具体的には、固形粉末化粧料の種類により配合される粉体の粒子径や粒子形状は異なるが、配合したときに効果の発揮される配合量は、酸性エステル処理された化粧料用板状粉体の場合、5〜100重量%が好ましい。酸性エステル処理された化粧料用球状粉体の場合、3〜40重量%が好ましい。酸性エステル処理された化粧料用光輝性粉体の場合、5〜90重量%が好ましい。これらの表面処理粉体は必要に応じて1種または2種以上を適宜配合することができる。
【0028】
本発明の固形粉末化粧料としては、パウダーファンデーション、スティックファンデーション、プレストパウダー、フェイスパウダー、白粉、口紅、リップグロス、頬紅、アイシャドウ、アイブロウ、アイライナー、コンシーラー、マスカラ等を挙げることができる。また、本発明の固形粉末化粧料形態は、ケーキ状、スティック状、ドーム状、球状、半球状、円錐状、角錐状、ダイヤモンドカット状等に成型することができる。
【0029】
本発明の酸性エステル油で表面処理した粉体を配合する固形粉末化粧料には発明の効果を損なわない範囲で、通常の化粧料等に用いられる顔料分散剤、油剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、防腐剤、酸化防止剤、皮膜形成剤、保湿剤、増粘剤、染料、顔料、香料等を適宜配合することができる。
【0030】
本発明の固形粉末化粧料の製造方法は、特に限定されずプレス成型法、スラリー成型法等の何れでもよい。例えば、プレス成型法としては、粉体成分と油性成分を混合分散したのち金皿、樹脂皿等の容器に充填して加圧成型する方法が挙げられる。湿式成型法としては、粉体成分と油性成分を混合分散したのち水やアルコール、揮発性炭化水素油等を加え流動性を有するスラリーとし、必要によりサンドグラインダー等で分散し、このスラリーを皿状容器に充填し、溶媒を乾燥等により除去して得られるものである。
【実施例】
【0031】
以下に実施例をあげて本発明を詳細に説明する。また、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0032】
[酸性エステル油の合成例1]
イソステアリルアルコール2.0kg、セバシン酸1.0kgを反応させる。反応終了後、常法にて精製し酸性エステル油2.5kgを得た。得られたセバシン酸イソステアリルの酸価は40であった。
【0033】
[酸性エステル油の合成例2]
合成例1と同様にして、オクチルドデカノール2.0kg、アゼライン酸1.0kgを反応させる。反応終了後、常法にて精製し酸性エステル油2.5kgを得た。得られたアゼライン酸オクチドデカノールの酸価は35であった。
【0034】
[酸性エステル油の合成例3]
合成例1と同様にして、オクチルドデカノール1.2kg、アジピン酸1.8kgを反応させる。反応終了後、常法にて精製し酸性エステル油2.4kgを得た。得られたアジピン酸オクチルドデカノールの酸価は75であった。
【0035】
[酸性エステル油の合成例4]
合成例1と同様にして、ペンタエリスリット1.0kg、アゼライン酸2.0kgを反応させる。反応終了後、常法にて精製し酸性エステル油2.4kgを得た。得られたアゼライン酸ペンタエリスリットの酸価は70であった。
【0036】
[酸性エステル油の合成例5]
合成例1と同様にして、オクチルドデカノール1.5kg、ダイマー酸(オレイン酸二量体を主成分とする炭素数36の二塩基酸)3.4kgを反応させる。反応終了後常法にて精製し酸性エステル3.6kgを得た。得られたダイマー酸オクチルドデカノールの酸価は48であった。
【0037】
[酸性エステル油の合成例6]
合成例1と同様にして、イソステアリルアルコール2.2kg、クエン酸0.8kgを反応させる。反応終了後常法にて精製し酸性エステル2.3kgを得た。得られたクエン酸イソステアリルの酸価は88であった。
【0038】
[酸性エステル油の合成比較例1]
合成例1と同様にして、オクチルドデカノール2.5kg、アジピン酸0.5kgを反応させる。反応終了後、常法にて精製しエステル油2.1kgを得た。得られたアジピン酸オクチルドデカノールの酸価は0.4であった。
【0039】
[粉体の表面処理 実施例1]
合成マイカ(PDM−10W:トピー工業社製)100重量部に合成例1の酸性エステル油3重量部と軽質流動イソパラフィンを加え高速ヘンシルミキサーで15分間混合した。その後、アトマイザーを通した後105℃で8時間乾燥しセバシン酸イソステアリル処理合成マイカを得た。
【0040】
[粉体の表面処理 実施例2]
窒化硼素(SHP−6:水島合金鉄社製)25重量部とセリサイトFSE(三信鉱工社製)75重量部に、合成例2の酸性エステル油2重量部と、ステアロイルグルタミン酸(HA:味の素社製)0.5重量部と、イソプロピルアルコールとを加え高速ヘンシルミキサーで30分間混合した。その後、105℃で8時間乾燥後、アトマイザー粉砕してアゼライン酸オクチルドデカノールとステアロイルグルタミン酸処理混合粉体を得た。
【0041】
[粉体の表面処理 実施例3]
シリコーンエラストマーパウダー(トレフィルHP-40T:東レ・ダウコーニング社製)100重量部とイソプロピルアルコール50重量部をニーダーミキサーで5分間混練する。これに合成例3の酸性エステル油2重量部と水酸化アルミニウム水溶液を0.3重量部加えさらにニーダーミキサーで30分間混練した。この混練物を105℃で16時間乾燥した後アトマイザー粉砕してアジピン酸オクチルドデカノール処理シリコーンエラストマーパウダーを得た。
【0042】
[粉体の表面処理 実施例4]
雲母チタン(Timiron Super Blue:メルク社製)100重量部と合成例4の酸性エステル油4重量部をヘンシルミキサーで10分間混合したのち105℃で7時間乾燥してアゼライン酸ペンタエリスリット処理雲母チタンを得た。
【0043】
[粉体の表面処理 実施例5]
実施例4の雲母チタンと酸性エステル油を各々酸化チタン(CR−50:石原産業社製)と合成例5の酸性エステル油に代え、同様に表面処理を行いダイマー酸オクチルドデカノール処理酸化チタンを得た。
【0044】
[粉体の表面処理 実施例6]
実施例1の合成マイカを黄酸化鉄(LL−100P:チタン工業社製)に変えて同様に表面処理を行いセバシン酸イソステアリル処理黄酸化鉄を得た。
【0045】
[粉体の表面処理 実施例7]
実施例1の合成マイカを赤酸化鉄(R-516PS:チタン工業社製)に変えて同様に表面処理を行いセバシン酸イソステアリル処理赤酸化鉄を得た。
【0046】
[粉体の表面処理 実施例8]
実施例1の合成マイカを黒酸化鉄(BL−100P:チタン工業社製)に変えて同様に表面処理を行いセバシン酸イソステアリル処理黒酸化鉄を得た。
【0047】
[粉体の表面処理 実施例9]
微粒子酸化チタン(MT−150EX:テイカ社製)100重量部に合成例6の酸性エステル油8重量部を加えヘンシルミキサーで10分間混合する。この混合物をジェットミル(ホソカワミクロン(株)社製)で粉砕処理した後、105℃で8時間乾燥してクエン酸イソステアリル処理酸化チタンを得た。
【0048】
[粉体の表面処理 実施例10]
タルク(JA−46R:浅田製粉社製)100重量部に合成例1の酸性エステル油5重量部とエタノールを加え高速ヘンシルミキサーで15分間混合した。その後、アトマイザーを通した後105℃で8時間乾燥しセバシン酸イソステアリル処理タルクを得た。
【0049】
[比較例1]
実施例1〜4の夫々の粉体について合成比較例1のエステル油で各実施例と同じ処理量と方法で処理を行い、エステル処理粉体を得た。
【0050】
[比較例2]
実施例1〜4の夫々の粉体について特許文献1(特開2004−238371号公報)の製造例1に記載の方法で処理を行い、有機チタネート処理粉体を得た。
【0051】
上記の如く得られた本発明の酸性エステル油処理粉体と比較例の処理粉体について下記の試験方法による評価を行った。結果を表1〜3に示した。
【0052】
(使用時の取れ具合)
各化粧料をマット等の塗布具で取った時の取れ具合を専門パネル15人に使用してもらい評価した。
【0053】
(使用感)
化粧料の使用時の滑らかさと延び拡がりの良さを専門パネル15人に使用してもらい評価した。使用時の取れ具合と使用感については次の評価基準に従い評点を付け、パネル全員の評点合計からその平均値を算出し下記4段階判定基準により評価した。
評価基準:
(評点):(評価)
6:非常に良い
5:良い
4:やや良い
3:普通
2:やや悪い
1:悪い
0:非常に悪い
(4段階判定基準)
評点平均値
5点以上 (非常に良好):◎
3点以上5点未満(良好) :○
1点以上3点未満(やや不良) :△
1点未満 (不良) :×
【0054】
(耐衝撃性)
成型品を正立方向で高さ50cmからコンクリート上に1〜3回落とし次の判定基準に従い判定した。
【0055】
(判定基準)
3回落としても変化なし :◎
2回目にヒビや割れが生じる :○
1回目にヒビや割れが生じる :△
成型時にヒビが生じる :×
なお成型時にヒビが生じた成型物については使用時の取れ具合と使用感の評価は行わなかった。
【0056】
実施例11〜19および比較例3〜11に示すパウダーファンデーションを以下に示す製造方法により調製し評価した。結果を表1および2に示した。
【0057】
【表1】

【0058】
【表2】

【0059】
(製造方法)
1 成分1〜14をヘンシルミキサーで均一に混合分散する。
2 成分15〜18を加熱溶解する。
3 1に2を添加してヘンシルミキサーで均一に混合後、アトマイザーにて粉砕する。
4 3を金皿に充填して8.5MPaのプレス圧にて加圧成型してパウダーファンデーションを得た。
【0060】
加圧成型法によるパウダーファンデーションはプレス圧が高いほど耐衝撃性は上がるため表2に示した比較例3〜11についてプレス圧を11MPaにて加圧成型したものについても評価した。結果を表3に示した。
【0061】
【表3】

【0062】
実施例20〜28および比較例21〜29に示すパウダーファンデーションを以下に示す製造方法により調製し評価した。
【0063】
【表4】

【0064】
【表5】

【0065】
(製造方法)
1 成分1〜14をヘンシルミキサーで均一に混合分散する。
2 成分15〜18を加熱溶解する。
3 1に2を添加してヘンシルミキサーで均一に混合後、アトマイザーにて粉砕する。
4 成分19に3を添加して均一に混合する。
5 4を金皿に充填して70℃で24時間乾燥してパウダーファンデーションを得た。
【0066】
実施例29〜33および比較例30〜33に示すアイシャドウを以下に示す製造方法により調製し評価した。
【0067】
【表6】

【0068】
(製造方法)
1 成分1〜11をヘンシルミキサーで均一に混合分散する。
2 成分12〜15を加熱溶解する。
3 1に2を添加してヘンシルミキサーで均一に混合後、アトマイザーにて粉砕する。
4 3を金皿に充填して10MPaのプレス圧にて加圧成型してアイシャドウを得た。
【0069】
実施例34〜38および比較例34〜37に示すアイシャドウを以下に示す製造方法により調製し評価した。
【0070】
【表7】

【0071】
(製造方法)
1 成分1〜11をヘンシルミキサーで均一に混合分散する。
2 成分12〜15を加熱溶解する。
3 1に2を添加してヘンシルミキサーで均一に混合後、アトマイザーにて粉砕する。
4 成分16に3を添加して均一に混合する。
5 4を金皿に充填して50℃で24時間乾燥してアイシャドウを得た。
【0072】
実施例39、40および比較例38〜41に示す固形粉末ボディパウダーを以下に示す製造方法により調製し評価した。
【0073】
【表8】

【0074】
(製造方法)
1 成分1〜7をヘンシルミキサーで均一に混合分散する。
2 成分8〜11を加熱溶解する。
3 1に2を添加してヘンシルミキサーで均一に混合後、アトマイザーにて粉砕する。
4 3を金皿に充填して18MPaのプレス圧にて加圧成型して固形粉末ボディパウダーを得た。
【0075】
実施例41、42および比較例42〜45に示す固形粉末ボディパウダーを以下に示す製造方法により調製し評価した。
【0076】
【表9】

【0077】
(製造方法)
1 成分1〜7をヘンシルミキサーで均一に混合分散する。
2 成分8〜11を加熱溶解する。
3 1に2を添加してヘンシルミキサーで均一に混合後、アトマイザーにて粉砕する。
4 成分12に3を添加して均一に混合する。
5 4を金皿に充填して50℃で24時間乾燥して固形粉末ボディパウダーを得た。
【0078】
実施例43および比較例46、47に示す固形粉末ボディパウダーを以下に示す製造方法により調製し評価した。
【0079】
【表10】

【0080】
(製造方法)
1 成分1〜7をヘンシルミキサーで均一に混合分散する。
2 成分8、9を混合する。
3 1に2を添加してヘンシルミキサーで均一に混合後、アトマイザーにて粉砕する。
4 成分10に3を添加して均一に混合する。
5 4を金皿に充填して50℃で24時間乾燥して固形白粉を得た。
【0081】
実施例44および比較例48、49に示す口紅を以下に示す製造方法により調製し評価した。
【0082】
【表11】

【0083】
(製造方法)
1.成分1と10をローラーで練り均一に分散する。
2.他の成分を加熱し混合溶解したのち前記1.を加えホモミキサーで均一に分散する。
3.脱気後、型に流し込みしスティック状の口紅を得た。
【0084】
以上の結果より、本発明の固形粉末化粧料は、比較例の化粧料と比較して、使用時の取れ具合、使用感及び耐衝撃性において優れていることが分かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素数1〜36の1種又は2種以上のアルコールと、炭素数1〜36の1種又は2種以上のカルボン酸とを反応させて得られる、総炭素数16以上かつ酸価15〜120のエステル化合物からなる酸性エステル油が、板状粉体、球状粉体及び光輝性粉体の少なくとも1種を含む粉体に対して0.1〜25.0質量%被覆されてなる表面処理粉体を、3〜100質量%配合したことを特徴とする固形粉末化粧料。
【請求項2】
前記粉体が板状粉体を含み、当該表面処理された板状粉体を5〜100質量%配合することを特徴とする請求項1に記載の固形粉末化粧料。
【請求項3】
前記粉体が球状粉体を含み、当該表面処理された球状粉体を3〜40質量%配合することを特徴とする請求項1又は2に記載の固形粉末化粧料。
【請求項4】
前記粉体が光輝性粉体を含み、当該表面処理された光輝性粉体を5〜90質量%配合することを特徴とする請求項1〜3何れか記載の固形粉末化粧料。
【請求項5】
前記酸性エステル油が、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール及びオクチルドデカノールから選択される1種以上のアルコールと、アジピン酸、グルタル酸、ジエチルグルタル酸、セバシン酸、エイコサン二酸、及び水添ダイマー酸から選択される1種以上の2塩基酸との部分エステルからなることを特徴とする請求項1〜4何れか記載の固形粉末化粧料。

【公開番号】特開2008−50309(P2008−50309A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−228694(P2006−228694)
【出願日】平成18年8月25日(2006.8.25)
【出願人】(391024700)三好化成株式会社 (17)
【Fターム(参考)】