説明

地図差分データ作成装置及び地図差分データ作成方法

【課題】車両側へ配信される通信量を抑制し且つユーザにとって必要な情報を提供し得る地図差分データを作成する。
【解決手段】地図差分データ配信装置は、地図データベースに記憶されている地図データに含まれる地図要素の更新を指示する地図更新が発生すると(S1)、その更新の対象に含まれる地図要素を、ユーザのニーズ(ユーザが移動する頻度が相対的に高い範囲、特定の道路属性(国道、県道、市道等)、特定の道路形状(直線道路、カーブ道路等)、高速道路の本線等)に応じて複数のグループに分割して地図差分データを作成する(S4)。ユーザのニーズに合致する地図要素だけを地図差分データとして作成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図要素の配置態様を示す地図データに対して地図要素の更新を指示する地図更新が発生したことに応じて地図差分データを作成する地図差分データ作成装置及び地図差分データ作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、地図要素(例えば道路等)の更新(追加又は削除等)を指示する地図更新が発生したことに応じて、地図要素を更新する前の地図データと、地図要素を更新した後の地図データとの差分を地図差分データとして作成して車両ナビゲーション装置へ配信する地図差分データ配信装置が供されている。例えば特許文献1には、地図要素の更新が波及する範囲を纏めて地図差分データを作成することで、道路が途切れる等を回避して道路ネットワークを保証する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4684228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されているように地図要素の更新が波及する範囲を纏めて地図差分データを作成する方式では、例えば距離が長い区間の高速道路が一度に開通した場合等では、更新が波及する範囲が広大となり、地図差分データ配信装置から車両ナビゲーション装置へ配信される地図差分データの通信料(通信時間)が多大になるという問題がある。又、ユーザにとって不要な情報も更新してしまう状況が発生するという問題もある。
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両側へ配信される通信量を抑制し且つユーザにとって必要な情報を提供し得る地図差分データを作成することができる地図差分データ作成装置及び地図差分データ作成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載した地図差分データ作成装置によれば、地図データ記憶手段は、地図要素の配置態様を示す地図データを記憶する。特定手段は、ユーザのニーズを特定する。地図差分データ作成手段は、地図データ記憶手段に記憶されている地図データに含まれる地図要素の更新を指示する地図更新が発生すると、その更新の対象に含まれる地図要素を、特定手段により特定されたユーザのニーズに応じて複数のグループに分割して地図差分データを作成する。
【0007】
これにより、地図要素の更新が波及する範囲を纏めて地図差分データを作成する従来とは異なり、更新の対象に含まれる地図要素を、ユーザのニーズに応じて複数のグループに分割して地図差分データを作成し、更新の対象に含まれる全ての地図要素を地図差分データとして作成するのではなく、ユーザのニーズに合致する地図要素だけを地図差分データとして作成することで、車両側へ配信される地図差分データの通信量を抑制することができ、又、ユーザにとって必要な情報を提供し得る地図差分データを作成することができる。尚、ここでいうユーザとは、車両を購入した個人であっても良いし、車両を製造する車両製造メーカであっても良い。
【0008】
請求項2に記載した地図差分データ作成装置によれば、地図差分データ作成手段は、所定範囲に含まれる地図要素の更新を指示する地図更新が発生すると、その更新の対象である所定範囲に含まれる地図要素を、特定手段により特定されたユーザのニーズに応じてユーザが移動する頻度を基準として複数のグループに分割して地図差分データを作成する。
【0009】
これにより、更新の対象である所定範囲に含まれる地図要素を、ユーザが移動する頻度が相対的に高い範囲(例えば同一県内の範囲等)を含むグループと、ユーザが移動する頻度が相対的に低い範囲(例えば県境を跨る範囲等)を含むグループとに分割し、ユーザが移動する頻度が相対的に高い範囲を含むグループを地図差分データとして作成することで、ユーザが移動する頻度が相対的に高い範囲の地図差分データを提供することができる。即ち、ユーザが移動する頻度が相対的に高い範囲の地図差分データだけを優先的に作成することで、車両側へ配信される地図差分データの通信量を抑制することができ、又、ユーザにとって必要な情報を提供し得る地図差分データを作成することができる。
【0010】
請求項3に記載した地図差分データ作成装置によれば、地図差分データ作成手段は、所定範囲に含まれる地図要素の更新を指示する地図更新が発生すると、その更新の対象である所定範囲に含まれる地図要素を、特定手段により特定されたユーザのニーズに応じて更新範囲を基準として複数のグループに分割して地図差分データを作成する。
【0011】
これにより、更新の対象である所定範囲に含まれる地図要素を、更新範囲(大幅更新、微更新等)を基準として地図差分データとして作成することで、更新範囲に応じてグループに分割した地図差分データを提供することができる。即ち、大幅更新された範囲又は微更新された範囲の何れかに対応する地図差分データだけを優先的に作成することで、車両側へ配信される地図差分データの通信量を抑制することができ、又、ユーザにとって必要な情報を提供し得る地図差分データを作成することができる。
【0012】
請求項4に記載した地図差分データ作成装置によれば、地図差分データ作成手段は、道路の更新を指示する地図更新が発生すると、その更新の対象である道路を、特定手段により特定されたユーザのニーズに応じて道路属性を基準として複数のグループに分割して地図差分データを作成する。
【0013】
これにより、更新の対象である道路を、道路属性(国道、県道、市道、幅員、トンネル、橋等)を基準として複数のグループに分割して地図差分データを作成することで、道路属性に応じてグループに分割した地図差分データを提供することができる。即ち、特定の道路属性に対応する道路の地図差分データだけを優先的に作成することで、車両側へ配信される地図差分データの通信量を抑制することができ、又、ユーザにとって必要な情報を提供し得る地図差分データを作成することができる。
【0014】
請求項5に記載した地図差分データ作成装置によれば、地図差分データ作成手段は、道路の更新を指示する地図更新が発生すると、その更新の対象である道路を、特定手段により特定されたユーザのニーズに応じて道路形状を基準として複数のグループに分割して地図差分データを作成する。
【0015】
これにより、更新の対象である道路を、道路形状(直線道路とカーブ道路等)を基準として複数のグループに分割して地図差分データを作成することで、道路形状に応じてグループに分割した地図差分データを提供することができる。即ち、特定の道路形状に対応する道路の地図差分データだけを優先的に作成することで、車両側へ配信される地図差分データの通信量を抑制することができ、又、ユーザにとって必要な情報を提供し得る地図差分データを作成することができる。
【0016】
請求項6に記載した地図差分データ作成装置によれば、地図差分データ作成手段は、高速道路の更新を指示する地図更新が発生すると、その更新の対象である高速道路を、特定手段により特定されたユーザのニーズに応じて本線道路を含むグループと当該本線道路以外の道路を含むグループとに分割して地図差分データを作成する。
【0017】
これにより、更新の対象である高速道路を、本線道路を含むグループと当該本線道路以外の道路を含むグループとに分割して地図差分データを作成することで、本線道路を含む地図差分データ又は本線道路以外の道路(本線道路に接続する取付道路等)を含む地図差分データを提供することができる。即ち、例えば本線道路の地図差分データだけを優先的に作成することで、車両側へ配信される地図差分データの通信量を抑制することができ、又、ユーザにとって必要な情報を提供し得る地図差分データを作成することができる。
【0018】
請求項7に記載した地図差分データ作成装置によれば、地図差分データ配信手段は、地図差分データ作成手段により作成された地図差分データを車載装置へ配信する。これにより、車両側へ配信される地図差分データの通信量を抑制しつつ、ユーザにとって必要な情報を提供し得る地図差分データを車載装置へ提供することができる。
【0019】
請求項8に記載した地図差分データ作成方法によれば、地図データに含まれる地図要素の更新を指示する地図更新が発生すると、その更新の対象に含まれる地図要素を、ユーザのニーズに応じて複数のグループに分割して地図差分データを作成する。
【0020】
これにより、上記した請求項1に記載したものと同様に、地図要素の更新が波及する範囲を纏めて地図差分データを作成する従来とは異なり、更新の対象に含まれる地図要素をユーザのニーズに応じて複数のグループに分割して地図差分データを作成し、更新の対象に含まれる全ての地図要素を地図差分データとして作成するのではなく、ユーザのニーズに合致する地図要素だけを地図差分データとして作成することで、車両側へ配信される地図差分データの通信量を抑制することができ、又、ユーザにとって必要な情報を提供し得る地図差分データを作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態を示す機能ブロック図
【図2】フローチャート
【図3】道路の態様を概略的に示す図
【図4】図3相当図
【図5】図3相当図
【図6】図3相当図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。図1は、地図差分データ配信装置から車両ナビゲーション装置へ地図データを配信する地図差分データ配信システムの構成を概略的に示している。地図差分データ配信システム1は、地図データを配信する地図差分データ配信装置2(本発明でいう地図差分データ作成装置に相当)と、地図差分データ配信装置2から配信された地図データを受信する車両ナビゲーション装置3(本発明でいう車載装置に相当)とが通信ネットワーク4を通じて通信可能に構成される。通信ネットワーク4は固定通信ネットワークと移動通信ネットワークとを含む。
【0023】
地図差分データ配信装置2は、制御部5(本発明でいう特定手段、地図差分データ作成手段に相当)と、通信制御部6(本発明でいう地図差分データ配信手段)と、地図更新情報入力部7と、地図データベース8(本発明でいう地図データ記憶手段)と、地図差分データベース9とを有する。
【0024】
制御部5は、周知のマイクロコンピュータからなるCPU、RAM、ROM、及びI/Oバス等を有し、地図差分データ配信装置2のデータ管理動作や通信動作等の動作全般を制御する。通信制御部6は、通信ネットワーク4との間の広域通信動作を制御する。地図更新情報入力部7は、地図データに対して地図要素の追加又は削除を指示する地図更新情報を外部から入力する。この場合、道路が開通したり閉鎖したりすることに応じて、例えばオペレータ(作業者)が入力機器(例えばキーボードやマウス等)を操作することで地図更新情報が地図更新情報入力部7へ入力される。又、地図要素とは例えば道路や交差点等を単位とする。
【0025】
地図データベース8は、地図要素の配置態様を示す地図データを記憶する。制御部5は、例えば道路が開通したことに応じて、地図要素の追加を指示する地図更新情報が地図更新情報入力部7へ入力されると、その地図要素の追加を地図データベース8に記憶されている最新の(最大の版数(バージョン)の)地図データに反映し、又、例えば道路が閉鎖したことに応じて、地図要素の削除を指示する地図更新情報が地図更新情報入力部7へ入力されると、その地図要素の削除を地図データベース8に記憶されている最新の地図データに反映し、地図要素の追加や削除を反映した地図データを新たな版数の地図データとして作成し、その作成した新たな版数の地図データを新たな最新の地図データとして地図データベース8に記憶させる。
【0026】
車両ナビゲーション装置3は、現在位置を特定する機能、記憶媒体に記憶されている地図データを読出す機能、読出した地図データにしたがって地図を描画する機能、目的地を設定する機能、現在位置から目的地までの経路を探索する機能、探索した経路を地図上に描画する機能、探索した経路にしたがって車両を案内(経路案内)する機能等の、周知のナビゲーションに関する各種機能を有する。そして、車両ナビゲーション装置3は、地図差分データ配信装置2から配信された地図差分データを受信すると、記憶媒体に記憶されている地図データを地図差分データに基づいて更新し、地図データを地図差分データに基づいて更新した以降では、その地図差分データに基づいて更新した最新の地図データにしたがって地図を描画したり経路案内を行ったりする。又、車両ナビゲーション装置3は、ユーザを特定可能なユーザIDと、当該ユーザのニーズを特定可能なユーザニーズ情報とを地図差分データ配信装置2へ送信する機能を有する。ユーザニーズ情報とは例えばユーザが指定した情報や車両の走行形態に応じた情報である。尚、ここでいうユーザとは、車両を購入した個人であっても良いし、車両を製造する車両製造メーカであっても良い。
【0027】
地図差分データ配信装置2において、制御部5は、車両ナビゲーション装置3から送信されたユーザIDとユーザニーズ情報とを通信制御部6により受信すると、それら受信したユーザIDとユーザニーズ情報とを対応付けて記憶する。尚、車両ナビゲーション装置3から地図差分データ配信装置2へユーザニーズ情報が送信されるタイミングはどのようなタイミングであっても良い。
【0028】
次に、上記した構成の作用について、図2乃至図6を参照して説明する。図2は、地図差分データ配信装置2の制御部5が実行する処理をフローチャートにより示している。
地図差分データ配信装置2において、制御部5は、地図更新情報が地図更新情報入力部7に入力されたか否かを判定し、地図更新が発生したか否か判定している(ステップS1)。ここで、制御部5は、例えばオペレータが入力機器を操作する等し、地図更新情報が地図更新情報入力部7に入力されたと判定し、地図更新が発生したと判定すると(ステップS1にて「YES」)、その地図更新の更新対象が道路であるか否かを判定する(ステップS2)。制御部5は、地図更新の更新対象が道路であると判定すると(ステップS2にて「YES」)、記憶しているユーザニーズ情報に基づいてユーザのニーズを特定し(ステップS3)、その特定したユーザのニーズに応じて更新の対象を複数のグループに分割して地図差分データを作成し、その作成した地図差分データを地図差分データベース9に記憶させる(ステップS4)。即ち、制御部5は、ユーザID毎に当該ユーザのニーズに応じた地図差分データを地図差分データベース9に記憶させる。
【0029】
具体的に説明すると、制御部5は、更新の対象が所定範囲であれば、ユーザが移動する頻度が相対的に高い範囲(例えば同一県内の範囲等)を含むグループと、ユーザが移動する頻度が相対的に低い範囲(例えば県境を跨る範囲等)を含むグループとに分割し、ユーザが移動する頻度が相対的に高い範囲を含むグループを地図差分データとして作成する。
図3に示すように、例えば道路「11」〜「14」と道路「15」〜「18」とが異なる県(行政区域)である場合に、ユーザの走行履歴に基づいてユーザが移動する頻度を特定し、ユーザが移動する頻度が「B県」よりも「A県」の方が高ければ(ユーザのニーズがあれば)、「A県」及び「B県」に属する道路「11」〜「18」を地図差分データとして作成するのではなく、「A県」に属する道路「11」〜「14」を優先して地図差分データとして作成し、ユーザIDと対応付けて地図差分データベース9に記憶させる。
【0030】
又、制御部5は、更新の対象が道路であれば、道路属性(国道、県道、市道、幅員、トンネル、橋等)を基準として複数のグループに分割して地図差分データを作成する。図4に示すように、例えば道路「21」〜「23」が国道であり、道路「24」、「25」が市道であり、道路「26」〜「28」が県道である場合に、ユーザの走行履歴を特定した結果としてユーザが国道を利用する頻度が高ければ(ユーザのニーズがあれば)、国道、県道及び市道の何れかである道路「21」〜「28」を地図差分データとして作成するのではなく、国道である道路「21」〜「23」を優先して地図差分データとして作成、ユーザIDと対応付けて地図差分データベース9に記憶させる。
【0031】
又、制御部5は、更新の対象が道路であれば、道路形状(直線道路、カーブ道路等)を基準として複数のグループに分割して地図差分データを作成する。図5に示すように、例えば道路「31」、「32」が直線道路であり、道路「33」、「34」がカーブ道路である場合に、ユーザの走行履歴を特定した結果としてユーザが直線道路を利用する頻度が高ければ(ユーザのニーズがあれば)、直線道路及びカーブ道路の何れかである道路「31」〜「34」を地図差分データとして作成するのではなく、直線道路である道路「31」、「32」を優先して地図差分データとして作成し、ユーザIDと対応付けて地図差分データベース9に記憶させる。
【0032】
又、制御部5は、更新の対象が高速道路であれば、本線道路を含むグループと当該本線道路以外の道路を含むグループとに分割して地図差分データを作成する。図6に示すように、例えば道路「41」〜「43」が本線道路であり、道路「44」〜「47」が本線道路に接続する取付道路である場合に、本線道路及び当該本線道路以外の道路の何れかである道路「41」〜「47」を地図差分データとして作成するのではなく、本線道路である道路「41」〜「43」を優先して地図差分データとして作成し、ユーザIDと対応付けて地図差分データベース9に記憶させる。
【0033】
これ以降、制御部5は、例えば車両ナビゲーション装置3を使用するユーザが地図差分データを要求する操作を車両ナビゲーション装置3にて行い、車両ナビゲーション装置3から送信された地図差分データ要求信号を通信制御部6により受信すると、その地図差分データ要求信号からユーザIDを特定し、その特定したユーザIDと対応付けて地図差分データベース12に記憶されている地図差分データを読出して通信制御部6から車両ナビゲーション装置3へ送信させる。
【0034】
一方、制御部5は、地図更新の更新対象が道路でない(例えば背景、名称、地図記号等である)と判定すると(ステップS2にて「NO」)、地図差分データを区画単位で作成し、その作成した地図差分データを地図差分データベース9に記憶させる(ステップS5)。
【0035】
尚、以上は、更新対象である地図要素が道路である場合を説明したが、更新対象である地図要素が例えば交差点等である場合も同様であり、例えば交差点の属性(例えば信号機がある交差点、信号機がない交差点、右折矢印が表示される交差点、右折矢印が表示されない交差点等)に応じてグループに分割して地図差分データを作成しても良い。又、ユーザが地図差分データの対象とする道路属性や道路形状等を例えば車両ナビゲーション装置3にて設定し、その設定内容が車両ナビゲーション装置3から地図差分データ配信装置2へ送信されることで、地図差分データ配信装置2が地図差分データを作成するようにしても良い。又、更新範囲に応じてグループに分割して地図差分データを作成しても良く、大幅更新された範囲又は微更新された範囲の何れかに対応する地図差分データだけを作成するようにしても良い。
【0036】
以上に説明したように本実施形態によれば、地図差分データ配信装置2において、地図データベース8に記憶されている地図データに含まれる地図要素の更新を指示する地図更新が発生すると、その更新の対象に含まれる地図要素を、ユーザのニーズに応じて複数のグループに分割して地図差分データを作成し、更新の対象に含まれる全ての地図要素を地図差分データとして作成するのではなく、ユーザのニーズに合致する地図要素だけを地図差分データとして作成するようにしたので、車両ナビゲーション装置3へ配信される地図差分データの通信量を抑制することができ、又、ユーザにとって必要な情報のみを提供し得る地図差分データを作成することができる。
【0037】
例えば、ユーザが移動する頻度が相対的に高い範囲を含むグループを地図差分データとして作成することで、ユーザが移動する頻度が相対的に高い範囲の地図差分データを提供することができる。又、道路属性(国道、県道、市道、幅員、トンネル、橋等)を基準として複数のグループに分割して地図差分データを作成することで、道路属性に応じてグループに分割した地図差分データを提供することができる。又、道路形状(直線道路、カーブ道路等)を基準として複数のグループに分割して地図差分データを作成することで、道路形状に応じてグループに分割した地図差分データを提供することができる。更に、本線道路を含むグループと当該本線道路以外の道路を含むグループとに分割して地図差分データを作成することで、本線道路を含む地図差分データ又は本線道路以外の道路(本線道路に接続する取付道路等)を含む地図差分データを提供することができる。
【0038】
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のように変形又は拡張することができる。
地図差分データ配信装置2が地図差分データを車両ナビゲーション装置3へ配信するタイミングはどのようなタイミングであっても良い。即ち、本実施形態で説明したように例えば車両ナビゲーション装置3を使用するユーザが地図差分データを要求する操作を車両ナビゲーション装置3にて行ったことを契機として地図差分データを配信することに限らず、地図差分データを所定期間(例えば30日)が経過する毎に定期的に配信しても良いし、車両の走行距離を管理することで、車両の走行距離が所定距離に到達する毎に配信しても良い。
【符号の説明】
【0039】
図面中、2は地図差分データ配信装置(地図差分データ作成装置)、3は車両ナビゲーション装置(車載装置)、5は制御部(特定手段、地図差分データ作成手段)、6は通信制御部(地図差分データ配信手段)、8は地図データベース(地図データ記憶手段)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図要素の配置態様を示す地図データを記憶する地図データ記憶手段と、
ユーザのニーズを特定する特定手段と、
前記地図データ記憶手段に記憶されている地図データに含まれる地図要素の更新を指示する地図更新が発生した場合に、その更新の対象に含まれる地図要素を、前記特定手段により特定されたユーザのニーズに応じて複数のグループに分割して地図差分データを作成する地図差分データ作成手段と、を備えたことを特徴とする地図差分データ作成装置。
【請求項2】
請求項1に記載した地図差分データ作成装置において、
前記地図差分データ作成手段は、所定範囲に含まれる地図要素の更新を指示する地図更新が発生した場合に、その更新の対象である所定範囲に含まれる地図要素を、前記特定手段により特定されたユーザのニーズに応じてユーザが移動する頻度を基準として複数のグループに分割して地図差分データを作成することを特徴とする地図差分データ作成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載した地図差分データ作成装置において、
前記地図差分データ作成手段は、所定範囲に含まれる地図要素の更新を指示する地図更新が発生した場合に、その更新の対象である所定範囲に含まれる地図要素を、前記特定手段により特定されたユーザのニーズに応じて更新範囲を基準として複数のグループに分割して地図差分データを作成することを特徴とする地図差分データ作成装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載した地図差分データ作成装置において、
前記地図差分データ作成手段は、道路の更新を指示する地図更新が発生した場合に、その更新の対象である道路を、前記特定手段により特定されたユーザのニーズに応じて道路属性を基準として複数のグループに分割して地図差分データを作成することを特徴とする地図差分データ作成装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載した地図差分データ作成装置において、
前記地図差分データ作成手段は、道路の更新を指示する地図更新が発生した場合に、その更新の対象である道路を、前記特定手段により特定されたユーザのニーズに応じて道路形状を基準として複数のグループに分割して地図差分データを作成することを特徴とする地図差分データ作成装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかに記載した地図差分データ作成装置において、
前記地図差分データ作成手段は、高速道路の更新を指示する地図更新が発生した場合に、その更新の対象である高速道路を、前記特定手段により特定されたユーザのニーズに応じて本線道路を含むグループと当該本線道路以外の道路を含むグループとに分割して地図差分データを作成することを特徴とする地図差分データ作成装置。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れかに記載した地図差分データ作成装置において、
前記地図差分データ作成手段により作成された地図差分データを車載装置へ配信する地図差分データ配信手段を備えたことを特徴とする地図差分データ作成装置。
【請求項8】
地図データに含まれる地図要素の更新を指示する地図更新が発生した場合に、その更新の対象に含まれる地図要素を、ユーザのニーズに応じて複数のグループに分割して地図差分データを作成することを特徴とする地図差分データ作成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−29593(P2013−29593A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164366(P2011−164366)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】