説明

地図情報処理装置

【課題】 新規道路の既存の地図情報への追加登録の可否を適切に判定した後に登録を行うことにより既存の機能に与える悪影響を排除できる地図情報処理装置を提供する。
【解決手段】 メッシュ状に区切られた領域単位で地図情報を記憶する地図情報記憶手段16と、自己の現在位置を測定する測位手段15と、測位手段で測定された現在位置が地図情報記憶手段に記憶されている地図情報に含まれない道路上である場合に新規道路である旨を検出する新規道路検出手段19と、新規道路検出手段で検出された新規道路が含まれる領域の道路密度が所定値以下の場合に、該新規道路を地図情報記憶手段に記憶されている地図情報に追加登録可である旨を判定する新規道路登録判定手段20と、新規道路登録判定手段によって追加登録可であることが判定された新規道路を地図情報記憶手段に記憶されている地図情報に追加して登録する新規道路登録手段21とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、表示する地図情報を処理する地図情報処理装置に関し、特に新規道路が検出された場合に既存の地図情報を自動的に更新する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自己が保有している地図情報上では道路が存在しない場所を走行したときに、その走行経路を走行履歴から検出し、新規道路として地図情報に追加することにより、地図情報を更新する地図情報処理装置が知られている。このような地図情報処理装置では、測位誤差を含んだ新規道路を既存の地図情報に追加すると、後に行われる経路探索の結果が実際に走行可能な経路と異なることが考えられるので、ユーザにとって大きな不利益となる。
【0003】
そこで、例えば、特許文献1は、新規道路を既存の地図情報に追加するか否かの判定を、GPS(Global Positioning System)の受信状況を利用して行うカーナビゲーション装置を開示している。このカーナビゲーション装置では、位置検出手段で検出された現在位置が、ナビゲーション用の記録媒体の初期記録領域に予め記録された地図情報によって示される道路上に存在しない場合、その現在位置を取り込み、記録媒体の追加記録領域に書き込む処理が繰り返し行われる。この際、GPS受信状況、すなわちGPS信号を受信できたGPS衛星の個数から新規道路情報に含まれる測位誤差が推定され、この推定された誤差が所定の値よりも小さい場合に新規道路情報が既存の地図情報に追加される。この構成により、受信状況が良好でないGPS信号に基づいて新しい道路情報が生成されて記録されることが防止され、ひいては、測位誤差を含んだ新規道路情報が既存の地図情報に追加されることが回避される。
【0004】
【特許文献1】特開2002−48559号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の技術では次のような問題がある。すなわち、GPS受信状況が良好であったとしても実際には測位誤差は存在し、特に都市部ではGPS衛星からの信号が周辺の建物によって反射されるマルチパスという問題があるので、GPS衛星から受信できたGPS信号の数が多くても、測位誤差が非常に大きくなる場合がある。そのため、GPS受信状況から新規道路の測位誤差を推定し、この推定結果を、新規道路を追加登録するか否かの判定基準とすると、例えばナビゲーション機能といった既存の機能に悪影響を与えるという問題がある。
【0006】
この発明は、上述した問題を解消するためになされたものであり、新規道路の既存の地図情報への追加登録の可否を適切に判定した後に登録を行うことにより既存の機能に与える悪影響を排除できる地図情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る地図情報処理装置は、メッシュ状に区切られた領域単位で地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、自己の現在位置を測定する測位手段と、測位手段で測定された現在位置が地図情報記憶手段に記憶されている地図情報に含まれない道路上である場合に新規道路である旨を検出する新規道路検出手段と、新規道路検出手段で検出された新規道路が含まれる領域の道路密度が所定値以下の場合に、該新規道路を地図情報記憶手段に記憶されている地図情報に追加登録可である旨を判定する新規道路登録判定手段と、新規道路登録判定手段によって追加登録可であることが判定された新規道路を地図情報記憶手段に記憶されている地図情報に追加して登録する新規道路登録手段とを備えている。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、メッシュに区切られた領域の道路密度に基づいて新規道路を既存の地図情報に追加して登録するかどうかを判定するように構成したので、測位誤差を内在する新規道路を既存の地図情報に追加することによる既存の機能への悪影響を排除して、地図上に存在しない新規道路を既存の地図情報に追加することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下で説明する各実施の形態において、同一の構成要素または同一の処理ステップには同一の符号を共通に付して説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る地図情報処理装置の構成を示すブロック図である。この地図情報処理装置は、カーナビゲーション装置1、表示装置2、音声出力装置3、入力装置4、車速センサ5、GPS受信器6および加速度センサ7から構成されている。カーナビゲーション装置1は、周知のナビゲーション機能を有するとともに、地図情報を更新する機能を有する。このカーナビゲーション装置1の詳細は後述する。
【0010】
表示装置2は、例えば液晶ディスプレイ装置から構成されており、カーナビゲーション装置1から送られてくる表示データに従って、表示用地図画像や目的地までの最適経路などを表示する。音声出力装置3は、例えばスピーカから構成されており、カーナビゲーション装置1から送られてくる音声データに従って、最適経路に沿って目的地までの案内を行うための音声や、地図情報に含まれている所定の情報を音声で出力する。
【0011】
入力装置4は、カーナビゲーション装置1の前面を構成する本体パネルに設けられた入力ボタン、この入力ボタンと同等の入力信号を発信するリモートコントローラ、表示装置2の画面上に載置されたタッチパネル、または、音声による入力を行うためのマイクロフォン(何れも図示は省略する)、あるいは、これらの組合せによって構成することができる。この入力装置4は、ユーザが、表示装置2に表示させたい地図領域や、最適経路の計算を行わせる際の始点や終点などを入力するために使用される。この入力装置4から入力された入力信号は、操作データとしてカーナビゲーション装置1に送られる。
【0012】
車速センサ5は、自己の移動速度を測定する。この車速センサ5によって測定された移動速度は、速度データとしてカーナビゲーション装置1に送られる。GPS受信器6は、GPS衛星から送られてくるGPS信号を受信する。このGPS受信器6で受信されたGPS信号は、GPSデータとしてカーナビゲーション装置1に送られる。加速度センサ7は、自己の水平方向および垂直方向の変化を測定する。この加速度センサ7によって測定された水平方向および垂直方向の変化は、加速度データとしてカーナビゲーション装置1に送られる。
【0013】
次に、カーナビゲーション装置1の詳細を説明する。カーナビゲーション装置1は、表示地図計算手段10、経路計算手段11、表示制御手段12、音声出力制御手段13、入力受信手段14、測位手段15、HDD(Hard Disk Drive)16、HDDアクセス手段17、一時記憶メモリ18、新規道路検出手段19、新規道路登録判定手段20、新規道路登録手段21および制御手段22を備えている。
【0014】
制御手段22は、予めプログラムされた手順に従い、カーナビゲーション装置1を構成する表示地図計算手段10、経路計算手段11、表示制御手段12、音声出力制御手段13、入力受信手段14、測位手段15、HDDアクセス手段17、一時記憶メモリ18、新規道路検出手段19、新規道路登録判定手段20および新規道路登録手段21の間で行われるデータの送受を制御する。これら構成要素間のデータの送受は、制御手段22を経由して行われるが、以下では、説明の煩雑さを避けるために、データの送受が制御手段22を経由する旨の記述は省略する。
【0015】
表示地図計算手段10は、HDD16からHDDアクセス手段17を介して送られてくる地図情報と測位手段15から送られてくる測位データとに基づいて表示用の地図画像を計算する。この表示地図計算手段10で計算された表示用の地図画像は、表示制御手段12に送られる。経路計算手段11は、測位手段15から送られてくる測位データによって示される現在位置または入力受信手段14から送られてくる地点を経路の始点とし、入力受信手段14から送られてくる他の地点を経路の終点とし、これら2点間の最適経路(「推奨経路」と呼ぶ場合もある)を計算する。この経路計算手段11で計算された最適経路は、表示制御手段12に送られる。
【0016】
表示制御手段12は、表示地図計算手段10から送られてくる表示用地図画像および経路計算手段11から送られてくる最適経路を表示装置2が表示可能な形式に変換し、表示データとして表示装置2に送る。音声出力制御手段13は、経路計算手段11から送られてくる最適経路に従って目的地までの案内を行うための音声情報や、地図情報に含まれている所定の情報をドライバーに知らせるための音声情報を音声出力装置3が出力可能な形式に変換し、音声データとして音声出力装置3に送る。
【0017】
入力受信手段14は、外部に接続された入力装置4から送られてくる操作データを受信する。この入力受信手段14で受信された操作データは、表示地図計算手段10、経路計算手段11などに送られる。測位手段15は、車速センサ5からの速度データ、加速度センサ7からの加速度データおよびGPS受信器6からのGPSデータに基づいて、自己の現在位置を決定するとともに、決定した現在位置とHDD16からHDDアクセス手段17を介して読み出した地図情報に含まれる道路情報とを照合し、自己の現在位置が道路情報で示される道路のうちのどの道路のどの位置に該当するかを算出する。この測位手段15で算出された結果は、測位データとして表示地図計算手段10および経路計算手段11に送られ、表示地図計算手段10において自己の周辺の地図を計算する際や、経路計算手段11において最適経路を計算する際に使用される。
【0018】
HDD16は、この発明の地図情報記憶手段に対応する。このHDD16には、カーナビゲーション装置1の出荷時に予め道路データを含む地図情報が記録されている。この地図情報は、緯度線および経度線によって網の目状に分割された領域ごとに作成された領域地図情報の集合として構成されている。この領域を「メッシュ」と呼ぶ。HDDアクセス手段17は、HDD16に対するデータの書き込みおよび読み出しを制御する。一時記憶メモリ18は、例えば揮発性メモリから構成されており、データを一時的に記憶するために使用される。
【0019】
表示地図計算手段10、経路計算手段11、音声出力制御手段13および測位手段15がHDD16に記録されている地図情報に含まれている道路(以下、「既存道路」という)の道路情報を使用してそれぞれの処理を実行する際には、その処理の過程において使用するメッシュに該当する領域地図情報をHDDアクセス手段17によってHDD16から読み出し、読み出したデータを一時記憶メモリ18に保存し、この保存されたデータを使用して処理を実行する。
【0020】
新規道路検出手段19は、HDD16からHDDアクセス手段17を介して読み出した地図情報と測位手段15から送られてくる測位データに含まれる自車位置とを照合することによって自車位置が既存道路上でないことを判断した場合に、自車が現在いる道路を新規道路として検出する。この新規道路検出手段19で検出された新規道路の座標は、一時記憶メモリ18に記憶される。
【0021】
新規道路登録判定手段20は、新規道路検出手段19によって検出された新規道路の座標を一時記憶メモリ18から読み出し、この座標によって表される道路を、HDD16に既に記録されている地図情報に追加して登録するか否かを判定する。この新規道路登録判定手段20による判定結果は、新規道路登録手段21に送られる。新規道路登録判定手段20において実行される処理の詳細は後述する。
【0022】
新規道路登録手段21は、新規道路登録判定手段20によって登録可と判定された新規道路を表す新規道路情報を、HDDアクセス手段17を介してHDD16に送ることにより、該HDD16に既に記録されている地図情報に追加して登録する。
【0023】
次に、この発明の実施の形態1に係る地図情報処理装置の動作を、新規道路登録判定手段20において実行される登録判定処理を中心に、図2に示すフローチャートを参照しながら説明する。この実施の形態1に係る地図情報処理装置では、道路密度として地図情報サイズが使用される。
【0024】
新規道路登録判定手段20において登録判定処理が開始されると、まず、判定対象である新規道路に該当する地図情報のメッシュが特定される(ステップST1)。ここで、新規道路が複数のメッシュにまたがっている場合は、全てのメッシュが特定される。また、地図情報が複数の階層から構成されている場合は、測位手段15が使用する階層においてメッシュの特定が行われる。また、地図情報が複数の種別の地図情報から成る場合は、測位手段15が使用する種別の地図情報においてメッシュの特定が行われる。
【0025】
次いで、ステップST1で特定されたメッシュの1つが選択される(ステップST2)。そして、選択されたメッシュの地図情報サイズが算出される(ステップST3)。次いで、ステップST3で算出された地図情報サイズと所定値とが比較される(ステップST4)。このステップST4で、所定値以下であることが判断された場合は、新規道路登録可と判定され(ステップST5)、登録判定処理は終了する。この新規道路登録判定手段20における判定結果は、上述したように、新規道路登録手段21に送られる。
【0026】
一方、ステップST4において、ステップST3で算出されたメッシュの地図情報サイズが所定値を上回ることが判断された場合は、ステップST1で特定されたメッシュのうち、地図情報サイズの判定が未完了のメッシュの有無が調べられる(ステップST6)。このステップST6で、未完了のメッシュが存在することが判断された場合は、シーケンスはステップST2へ戻る。一方、未完了のメッシュが存在しないことが判断された場合は、新規道路登録否と判定され(ステップST7)、登録判定処理は終了する。この新規道路登録判定手段20における判定結果は、上述したように、新規道路登録手段21に送られる。
【0027】
以上説明したように、この発明の実施の形態1に係る地図情報処理装置によれば、メッシュの地図情報サイズを道路密度として使用し、この地図情報サイズに基づいて新規道路情報の既存の地図情報への追加登録の可否を判定するように構成したので、測位誤差を内在する新規道路情報を既存の地図情報に追加することによるナビゲーション機能への悪影響を排除または少なくして、地図上に存在しない新規道路を既存の地図情報に追加することができる。また、地図情報サイズを道路密度として使用したので計算量を少なくすることができ、道路密度を極めて短時間で算出することができる。
【0028】
なお、この実施の形態1では、新規道路を表す新規道路情報をHDD16に既に記憶されている地図情報の中に追加して登録するように構成したが、HDD16の中に地図情報とは異なる新規道路地図情報としてメッシュ単位で保存し、HDDアクセス手段17によって、あるメッシュの地図情報が参照される際に、そのメッシュに該当する新規道路地図情報も参照するように構成することができる。この構成によっても上記と同様の効果が得られる。
【0029】
また、この実施の形態1では、新規道路が複数のメッシュにまたがる場合に、全てのメッシュの地図情報サイズが所定値を上回る場合に新規道路登録否と判定するように構成したが、少なくとも1つのメッシュの地図情報サイズが所定値を上回る場合に新規道路登録否と判定するように構成することができる。この場合は、計算量が少なくて済むという利点がある。
【0030】
実施の形態2.
この発明の実施の形態1に係る地図情報処理装置は、ノードとノードとを結ぶリンクの本数、換言すれば交差点と交差点とを結ぶ道路の本数を道路密度として新規道路の既存の地図情報への追加登録の可否を判定するようにしたものである。
【0031】
この実施の形態2に係る地図情報処理装置の構成は、図1に示した実施の形態1に係る地図情報処理装置の構成と同じであり、新規道路登録判定手段20において実行される処理のみが異なる。
【0032】
図3は、この実施の形態2に係る地図情報処理装置の新規道路登録判定手段20において実行される登録判定処理を示すフローチャートである。新規道路登録判定手段20において登録判定処理が開始されると、まず、判定対象である新規道路に該当する地図情報のメッシュが特定される(ステップST1)。ここで、新規道路が複数のメッシュにまたがっている場合は、全てのメッシュが特定される。また、地図情報が複数の階層から構成されている場合は、測位手段15が使用する階層においてメッシュの特定が行われる。また、地図情報が複数の種別の地図情報から成る場合は、測位手段15が用いる種別の地図情報においてメッシュの特定が行われる。
【0033】
次いで、ステップST1で特定されたメッシュの1つが選択される(ステップST2)。そして、選択されたメッシュの地図情報が取得される(ステップST11)。次いで、ステップST11で取得された地図情報に含まれるリンク本数(道路本数)が算出される(ステップST12)。そして、ステップST12で算出されたリンク本数と所定値とが比較される(ステップST13)。このステップST13で、リンク本数が所定値以下であることが判断された場合は、新規道路登録可と判定され(ステップST5)、登録判定処理は終了する。この新規道路登録判定手段20における判定結果は、上述したように、新規道路登録手段21に送られる。
【0034】
一方、ステップST13において、ステップST3で算出されたリンク本数が所定値を上回ることが判断された場合は、ステップST1で特定されたメッシュのうち、リンク本数の判定が未完了のメッシュの有無が調べられる(ステップST14)。このステップST14で、未完了のメッシュが存在することが判断された場合は、シーケンスはステップST2へ戻る。一方、未完了のメッシュが存在しないことが判断された場合は、新規道路登録否と判定され(ステップST7)、登録判定処理は終了する。この新規道路登録判定手段20における判定結果は、上述したように、新規道路登録手段21に送られる。
【0035】
以上説明したように、この発明の実施の形態2に係る地図情報処理装置によれば、道路密度とされた道路の本数、つまり地図情報中のノードの本数に基づいて新規道路の既存の地図情報への追加登録の可否を判定するように構成したので、測位誤差を内在する新規道路を既存の地図情報に追加することによるナビゲーション機能への悪影響を排除または少なくして、地図上に存在しない新規道路を既存の地図情報に追加することができる。また、ノードの本数を道路密度としたので道路密度を短時間で精度よく算出することができる。
【0036】
実施の形態3.
この発明の実施の形態3に係る地図情報処理装置は、ノードとノードとを結ぶリンクの総延長、換言すれば交差点と交差点とを結ぶ道路の総延長を道路密度として新規道路の既存の地図情報への追加登録の可否を判定するようにしたものである。
【0037】
この実施の形態3に係る地図情報処理装置の構成は、図1に示した実施の形態1に係る地図情報処理装置の構成と同じであり、新規道路登録判定手段20において実行される処理のみが異なる。
【0038】
図4は、この実施の形態3に係る地図情報処理装置の新規道路登録判定手段20において実行される登録判定処理を示すフローチャートである。新規道路登録判定手段20において登録判定処理が開始されると、まず、判定対象である新規道路に該当する地図情報のメッシュが特定される(ステップST1)。ここで、新規道路が複数のメッシュにまたがっている場合は、全てのメッシュが特定される。また、地図情報が複数の階層から構成されている場合は、測位手段15が使用する階層においてメッシュの特定が行われる。また、地図情報が複数の種別の地図情報から成る場合は、測位手段15が用いる種別の地図情報においてメッシュの特定が行われる。
【0039】
次いで、ステップST1で特定されたメッシュの1つが選択される(ステップST2)。そして、選択されたメッシュの地図情報が取得される(ステップST11)。次いで、ステップST11で取得された地図情報に含まれるリンク(道路)の総延長距離が算出される(ステップST21)。このリンクの総延長距離の算出は、地図情報に含まれるリンクを順次参照し、その距離を累算することにより行われる。次いで、ステップST21で算出されたリンクの総延長距離と所定値とが比較される(ステップST22)。このステップST22で、リンクの総延長距離が所定値以下であることが判断された場合は、新規道路登録可と判定され(ステップST5)、登録判定処理は終了する。この新規道路登録判定手段20における判定結果は、上述したように、新規道路登録手段21に送られる。
【0040】
一方、ステップST22において、ステップST3で算出されたリンクの総延長距離が所定値を上回ることが判断された場合は、ステップST1で特定されたメッシュのうち、リンクの総延長距離の判定が未完了のメッシュの有無が調べられる(ステップST23)。このステップST23で、未完了のメッシュが存在することが判断された場合は、シーケンスはステップST2へ戻る。一方、未完了のメッシュが存在しないことが判断された場合は、新規道路登録否と判定され(ステップST7)、登録判定処理は終了する。この新規道路登録判定手段20における判定結果は、上述したように、新規道路登録手段21に送られる。
【0041】
以上説明したように、この発明の実施の形態3に係る地図情報処理装置によれば、道路密度とされた道路の総延長距離、つまり地図情報中のノードの総延長距離に基づいて新規道路情報の既存の地図情報への追加登録の可否を判定するように構成したので、測位誤差を内在する新規道路情報を既存の地図情報に追加することによるナビゲーション機能への悪影響を排除または少なくして、地図上に存在しない新規道路を既存の地図情報に追加することができる。また、ノードの総延長距離を道路密度としたので道路密度を極めて精度よく算出することができる。
【0042】
実施の形態4.
この発明の実施の形態4に係る地図情報処理装置は、新規道路の有効性を確認するために、検出された新規道路を含む地図情報を用いて経路計算を実施し、この経路計算によって得られた推奨経路に新規道路が含まれるかどうかによって、新規道路の地図情報への追加登録の可否を判定するようにしたものである。
【0043】
図5は、この発明の実施の形態4に係る地図情報処理装置の構成を示すブロック図である。この地図情報処理装置は、図1に示した実施の形態1に係る地図情報処理装置のカーナビゲーション装置1に新規道路削除手段23が追加されるとともに、新規道路登録判定手段20および新規道路登録手段21において実行される処理が、実施の形態1に係る地図情報処理装置のそれらと異なる。
【0044】
新規道路登録判定手段20は、新規道路検出手段19によって検出された新規道路を、HDD16に既に記録されている地図情報に追加して登録するか否かを、経路計算手段11の計算結果に基づいて判定する。この新規道路登録判定手段20による判定結果は、新規道路登録手段21に送られる。この新規道路登録判定手段20において実行される処理の詳細は後述する。
【0045】
新規道路登録手段21は、新規道路検出手段19で検出された新規道路を表す新規道路情報を、HDDアクセス手段17を介してHDD16に送ることにより、該HDD16に既に記録されている地図情報に追加して登録する。新規道路削除手段23は、新規道路登録手段21によってHDD16に追加して登録された新規道路情報を、HDDアクセス手段17を介してHDD16に指令を送ることにより削除する。
【0046】
次に、この発明の実施の形態4に係る地図情報処理装置の動作を、新規道路検出手段19によって新規道路が検出された場合に新規道路登録手段21において実行される登録処理および新規道路登録判定手段20において実行される登録判定処理を中心に、図6および図7にそれぞれ示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0047】
新規道路検出手段19によって新規道路が検出されると、図6のフローチャートに示すように、新規道路登録手段21は、検出された新規道路をHDD16に既に記憶されている地図情報に追加して登録する(ステップST101)。次いで、新規道路登録判定手段20によって登録判定処理が実行される(ステップST102)。この登録判定処理の詳細については後述する。
【0048】
次いで、ステップST102の登録判定処理によって新規道路の登録可の判定がなされたかどうかが調べられる(ステップST103)。ここで、登録可の判定がなされたことが判断されると、ステップST102の登録判定処理によって新規道路は既にHDD16に既に記憶されている地図情報に追加して登録されているので、登録処理は終了する。一方、ステップST103において登録否の判定がなされたことが判断されると、ステップST102の登録判定処理によって新規道路が既にHDD16に既に記憶されている地図情報に追加して登録されているので、この登録された新規道路を削除する処理が実行される(ステップST104)。すなわち、新規道路削除手段23は、新規道路登録手段21によってHDD16に登録された新規道路を削除する。
【0049】
次に、上記ステップST102で行われる登録判定処理の詳細を、図7に示すフローチャートを参照しながら説明する。この登録判定処理では、まず、新規道路の有効性を確認するために行われる経路計算において使用される計算始点(探索開始地点)が設定される(ステップST31)。計算始点としては、例えば自宅として登録されている地点が設定される。次いで、経路計算で使用される計算終点(探索終了地点)が設定される(ステップST32)。計算終点としては、例えば自車の現在位置が設定される。このように計算始点と計算終点を設定することにより、新規道路がユーザにとって有効な経路となりうるか否かの判定を的確に行うことができる。
【0050】
次いで、ステップST31で設定された始点とステップST32で設定された終点との間の推奨経路が経路計算手段11によって算出される(ステップST33)。そして、算出された推奨経路に新規道路が含まれるか否かが調べられる(ステップST34)。このステップST34で、推奨経路に新規道路が含まれることが判断された場合は、新規道路登録可と判定され(ステップST5)、登録判定処理は終了する。この新規道路登録判定手段20における判定結果は、上述したように、新規道路登録手段21に送られる。一方、上記ステップST34において、推奨経路に新規道路が含まれないことが判断された場合は、新側道路登録否と判定され(ステップST7)、登録判定処理は終了する。この新規道路登録判定手段20における判定結果は、上述したように、新規道路登録手段21に送られる。
【0051】
ステップST33において実行される経路計算では、カーナビゲーションの分野で既に知られている経路計算技術が利用される。この経路計算技術を利用して任意の2点間の推奨経路を計算する場合は、一般に、与えられた計算始点に最も近いリンク(道路)、すなわち最近傍リンクが検索され、この検索によって得られた最近傍リンク上の最近傍点(計算始点からの垂線と最近傍リンクとの交点。最近傍リンク線分上に垂線との交点が存在しない場合は計算始点から近い方の最近傍リンクの端点)が経路計算の始点とされる。同様に、与えられた計算終点に最も近いリンク(道路)、すなわち最近傍リンクが検索され、この検索によって得られた最近傍リンク上の最近傍点(計算終点からの垂線と最近傍リンクとの交点。最近傍リンク線分上に垂線との交点が存在しない場合は計算終点から近い方の最近傍リンクの端点)が経路計算の終点とされる。
【0052】
例えば、図8に示す状況において、点Sが経路探索の計算始点として与えられた場合、点Sから半径r(例えば500m)以内に存在するリンクが検索される。図8に示した例では、リンクL1、リンクL2、リンクL3、リンクL4およびリンクL5といった5本のリンクが検索される。次に、点Sから検索されたリンクまでの距雛がそれぞれ算出される。リンクまでの距離は、点Sからリンク線分上へ垂線を下ろすことができる場合は、その垂線長であり、リンク線分上へ垂線を下ろすことができない場合は、リンクの端点のうちで点Sに近い方の点までの距離である。
【0053】
図8に示す例では、リンクL1、L2およびL8に対しては点Sからそれぞれのリンク線分上へ垂線を下ろすことができるため、その垂線長であるd1、d2、d3が点Sからリンクまでの距離とされる。リンクL4およびL5に対しては、点Sからリンク線分上へ垂線を下ろすことができないので、リンクL4およびL5の各々のリンク端点のうち、点Sに近い方の点までの距離、すなわちd4が点Sからリンクまでの距離とされる。このようにして算出された距雛d1、d2、d3およびd4が相互に比較され、最も短い距離d1が求められる。そして、点Sから距離d1にある地点V1を始点として経路計算処理が実行される。経路計算の終点(目的地)を求める場合も、上述した処理が実行される。
【0054】
この実施の形態4に係る地図情報処理装置では、新規道路の有効性を確認する経路計算のための始点として自宅を設定し、終点として自車の現在位置を設定する例を説明したが、始点を自宅として登録されている地点から所定距離移動させた地点に設定し、終点を現在位置から所定距離移動させた地点に設定しても、新規道路の有効性を確認する目的においては、同様の効果を得ることができる。
【0055】
また、この実施の形態4に係る地図情報処理装置では、経路計算の始点または終点から所定半径r以内に存在するリンクまでの距離を算出し、この距離が最短のリンクを近傍リンクとしたが、経路計算始点または終点を中心とした経度方向および緯度方向に平行な線によって形成される所定の大きさの矩形を設定し、その矩形内に存在するリンクまでの距離を算出し、この距離が最短のリンクを近傍リンクとするように構成できる。
【0056】
また、経路計算の始点または終点が存在するメッシュ内に存在するリンクまでの距離を算出し、この距離が最短のリンクを近傍リンクとするように構成できる。また、経路計算の始点または終点が存在するメッシュとそのメッシュに隣接するメッシュ内に存在するリンクまでの距離を算出し、この距離が最短のリンクを近傍リンクとするように構成できる。
【0057】
また、この実施の形態4に係る地図情報処理装置では、新規道路の有効性を確認する経路計算のための始点として自宅を設定し、終点として自車の現在位置を設定したが、始点(所定探索開始地点)としては、図9に示すP1からP7までの地点のいずれかを選択することができる。ここで、P1は自宅が存在する地点、P2は新規道路M1の始点、P3は新規道路M1の始点から所定距離手前の地点、P4は新規道路M1が検出される前の道路の始(終)点、P5は新規道路M1が検出される前の経路M2の始点、P6はカーナビゲーション装置を起動した地点、P7は当日走行を開始した地点である。
【0058】
また、終点(所定探索終了地点)としては、図9に示すQ1からQ6までの地点のいずれかを選択することができる。ここで、Q1は現在位置M3、Q2は新規道路M1の終点、Q3は新規道路M1の終点の所定距離先の地点、Q4は新規道路M1が検出される前の道路の始(終)点、Q5は現在位置M3の所定距離先の地点、Q6は新規道路M1が検出される前の経路M2の終点である。なお、始点としてQ1からQ6のいずれかを選択し、終点としてP1からP7のいずれかを選択するように構成することもできる。また、上述した始点および終点の組合せを複数用いて有効性を判定するように構成することもできる。
【0059】
以上説明したように、この発明の実施の形態4に係る地図情報処理装置によれば、検出された新規道路を、経路計算において推奨経路として採用されるかどうかといった移動距離および移動時間の観点から追加するかどうかを判定することでユーザに利便性がもたらされる新規道路のみを追加することができる。従って、余計な新規道路情報の追加を回避することができる。また、入口と出口が異なる施設の駐車場の走行を追加対象外とみなすことができる。経路計算の始点および終点を適宜選択することにより、ユーザに利便性がもたらされるか否かの判定を的確に行うことができる。
【0060】
実施の形態5.
この発明の実施の形態5に係る地図情報処理装置は、検出された新規道路または該新規道路の接続先の道路の道路種別に基づき新規道路情報の既存の地図情報への追加登録の可否を判定するようにしたものである。
【0061】
この実施の形態5に係る地図情報処理装置の構成は、図1に示した実施の形態1に係る地図情報処理装置の構成と同じであり、新規道路検出手段19および新規道路登録判定手段20において実行される処理のみが異なる。新規道路検出手段19は、所定周期で実行される新規道路情報収集時に、測位手段15によって測定された自車位置が既存道路上に存在していなければ自車が現在いる道路を新規道路と判断し、その座標を一時記憶メモリ18に格納すると共に、移動時間と移動距離から、一時記憶メモリ18に格納した座標点における移動速度を算出し、一時記憶メモリ18にあわせて格納する。
【0062】
次に、この発明の実施の形態5に係る地図情報処理装置の動作を、新規道路登録判定手段20において実行される登録判定処理を中心に、図10および図11に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0063】
新規道路登録判定手段20において登録判定処理が開始されると、まず、判定対象である新規道路の始点および終点に接続されている既存道路の道路種別が求められ、それらの少なくとも一方が高速道路を示しているかどうかが調べられる(ステップST41)。このステップST41において、新規道路の始点および終点に接続されている既存道路のうちの少なくとも一方の道路種別が高速道路であることが判断されると、新規道路登録可と判定され(ステップST5)、登録判定処理は終了する。この新規道路登録判定手段20における判定結果は、上述したように、新規道路登録手段21に送られる。
【0064】
一方、上記ステップST41において、新規道路の始点および終点に接続されている既存道路のうちの少なくとも一方の道路種別が高速道路でないことが判断されると、新規道路の道路種別判定処理が実行される(ステップST42)。この道路種別判定処理の詳細については後述する。次いで、道路種別判定処理の結果に基づいて、新規道路の種別は高速道路であるかどうかが調べられる(ステップST43)。このステップST43で、高速道路であることが判断されると、新規道路登録可と判定され(ステップST5)、登録判定処理は終了する。この新規道路登録判定手段20における判定結果は、上述したように、新規道路登録手段21に送られる。一方、上記ステップST43において、高速道路でないことが判断されると、新規道路登録否と判定され(ステップST7)、登録判定処理は終了する。この新規道路登録判定手段20における判定結果は、上述したように、新規道路登録手段21に送られる。
【0065】
次に、上記ステップST42で行われる新規道路の道路種別判定処理の詳細を、図11に示すフローチャートを参照しながら説明する。この新規道路の道路種別判定処理では、まず、一時記憶メモリ18に記憶されている新規道路情報収集時の速度データから、新規道路を通行した際の平均速度が算出される(ステップST201)。次いで、この算出された平均速度が所定値以上であるかどうかが調べられる(ステップST202)。ここで、平均速度が所定値以上であることが判断されると、新規道路が高速道路と判定され(ステップST203)、道路種別判定は終了する。一方、ステップST202において、平均速度が所定値以上でないことが判断されると、新規道路は高速道路ではないと判定され(ステップST204)、道路種別判定は終了する。
【0066】
なお、この実施の形態5に係る地図情報処理装置では、平均速度によって新規道路が高速道路かどうかを判定するように構成したが、回転半径が所定値よりも小さいカーブを含む場合に新規道路を一般道路と判定するように構成することもできる。
【0067】
また、この実施の形態5に係る地図情報処理装置では、新規道路の道路種別が高速道路であるかどうかを判定するように構成したが、有料道路または自動車専用道路であるかどうかを判定するように構成することもできる。
【0068】
以上説明したように、この発明の実施の形態5に係る地図情報処理装置によれば、高速道路(または有料道路、または自動車専用道路)といったユーザにとって利便性がある道路種別の道路に関連した新規道路を追加することができる。また、高速道路(または有料道路、または自動車専用道路)であることの判定を的確にかつ現実的な方法で容易に実現することができる。
【0069】
実施の形態6.
この発明の実施の形態6に係る地図情報処理装置は、自動料金収受システム(以下、「ETC」という)で使用されるデータを利用して新規道路の既存の地図情報への追加登録の可否を判定するようにしたものである。
【0070】
図12は、この発明の実施の形態6に係る地図情報処理装置の構成を示すブロック図である。この地図情報処理装置の構成は、図1に示した実施の形態1に係る地図情報処理装置の構成にETC車載端末8が追加されるとともに、カーナビゲーション装置1にETCデータ受信手段24が追加されて構成されている。また、新規道路検出手段19および新規道路登録判定手段20において実行される処理が実施の形態1に係る地図情報処理装置のそれらと異なる。
【0071】
ETC車載端末8は、有料道路の出入口(料金所)を通過する際に、該出入口に設置されたETC路側装置(図示しない)との間で無線通信により料金所通過に関する情報である自動料金収受データを送受し、以て通行料金を決済する。このETC車載端末8で送受された自動料金収受データは、カーナビゲーション装置1のETCデータ受信手段24に送られる。
【0072】
ETCデータ受信手段24は、ETC車載端末8から受け取った自動料金収受データを、一時記憶メモリ18に有料道路走行状態情報として記憶する。この一時記憶メモリ18に記憶された有料道路走行状態情報は、ETCデータ受信手段24がETC車載端末8から自動料金収受データを受け取った場合の他に、測位手段15によって自車位置が既存の一般道路上にあることが測定された場合、また、所定の回転半径よりも小さい回転半径を有するカーブを走行したことが検知された場合にも、「有料道路走行中」状態から「一般道路走行中」状態に変更される。
【0073】
新規道路検出手段19は、測位手段15によって測定された自車位置が既存道路上に存在していない場合に新規道路と判断し、その座標を一時記憶メモリ18に格納すると同時に、新規道路の始点においては、一時記憶メモリ18の有料道路走行状態情報を参照し、現在走行中の道路が有料道路か否かを判定し、その判定結果を新規道路の始点の座標と関連付けて一時記憶メモリ18に格納する。また、新規道路検出手段19は、新規道路が検出された状態でETCデータ受信手段24がETC車載端末8から自動料金収受データを受け取ると、その地点の座標と関連付けて有料道路走行状態の変化を一時記憶メモリ18に格納する。
【0074】
次に、この発明の実施の形態6に係る地図情報処理装置の動作を、新規道路登録判定手段20において実行される登録判定処理を中心に、図13に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0075】
新規道路登録判定手段20で実行される登録判定処理は、以下の点を除き、図10のフローチャートを参照して既に説明した実施の形態5に係る登録判定処理と同じである。すなわち、図10に示したフローチャートのステップST42で実行される新規道路の道路種別判定処理は、実施の形態5のそれと異なる。ここでは、新規道路の道路種別判定処理の詳細を、図13に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0076】
この新規道路の道路種別判定処理では、まず、一時記憶メモリ18から新規道路の始点における有料道路走行状態が「有料道路走行中」を示しているかどうかが調べられる(ステップST211)。ここで、有料道路走行中を示していることが判断されると、新規道路は高速道路と判定され(ステップST203)、道路種別判定は終了する。一方、ステップST211において、有料道路走行中を示していないことが判断されると、次いで、有料道路走行状態が「有料道路走行中」に変化する地点が新規道路に含まれるかどうかが調べられる(ステップST212)。これは、新規道路として一時記憶メモリ18に記憶されている座標に関連づけられた情報として、有料道路走行状態情報が「有料道路走行中」に変化している座標点の有無を調べることにより行われる。
【0077】
このステップST212で、有料道路走行状態が「有料道路走行中」に変化する地点が新規道路に含まれることが判断されると、新規道路は高速道路と判定され(ステップST203)、道路種別判定は終了する。一方、ステップST212で、有料道路走行状態が「有料道路走行中」に変化する地点が新規道路に含まれないことが判断されると、新規道路は高速道路でないと判定され(ステップST204)、道路種別判定は終了する。
【0078】
なお、実施の形態6に係る地図情報処理装置では、一時記憶メモリ18に記憶された有料道路走行状態を表す情報は、カーナビゲーション装置1の電源がオフされる際にHDD16にバックアップされ、再度カーナビゲーション装置1の電源が投入された際にHDD16からバックアップ情報が読み込まれて一時記憶メモリ18に展開される。
【0079】
なお、この実施の形態6に係る地図情報処理装置では、新規道路の道路種別が有料道路であるかどうかを判定するように構成したが、高速道路または自動車専用道路であるかどうかを判定するように構成することもできる。
【0080】
以上説明したように、この発明の実施の形態6に係る地図情報処理装置によれば、ETC車載端末8から取得した自動料金収受データに基づいて、有料道路(または高速道路、または自動車専用道路)であることの判定を行うように構成したので、その判定を的確にかつ容易に行うことができる。
【0081】
実施の形態7.
この発明の実施の形態7に係る地図情報処理装置は、検出された新規道路が所定地点、例えば自宅の近辺であるかどうかに基づいて新規道路情報の既存の地図情報への追加登録の可否を判定するようにしたものである。
【0082】
この実施の形態5に係る地図情報処理装置の構成は、図1に示した実施の形態1に係る地図情報処理装置の構成と同じであり、新規道路登録判定手段20において実行される処理のみが異なる。
【0083】
次に、この発明の実施の形態7に係る地図情報処理装置の動作を、新規道路登録判定手段20において実行される登録判定処理を中心に、図14に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0084】
新規道路登録判定手段20において登録判定処理が開始されると、まず、新規道路の自宅周辺判定処理が実行される(ステップST51)。この自宅周辺判定処理では、新規道路が自宅から所定距離、例えば5km以内に存在するかどうかを判定する。次いで、ステップST51の判定結果に基づいて、新規道路は、自宅周辺であるかどうかが調べられる(ステップST52)。ここで、自宅周辺であることが判断されると、新規道路登録可と判定され(ステップST5)、登録判定処理は終了する。この新規道路登録判定手段20における判定結果は、上述したように、新規道路登録手段21に送られる。一方、ステップST52において、自宅周辺でないことが判断されると、新規道路登録否と判定され(ステップST7)、登録判定処理は終了する。この新規道路登録判定手段20における判定結果は、上述したように、新規道路登録手段21に送られる。
【0085】
なお、上述した自宅周辺判定処理では、新規道路が自宅から所定距離以内に存在するかどうかを判定するように構成したが、新規道路が自宅と同じメッシュに存在するかどうかを判定するように構成することができる。また、新規道路が自宅と同じメッシュまたは自宅の存在するメッシュに隣接するメッシュに含まれるかどうかを判定するように構成することもできる。また、この実施の形態7に係る地図情報処理装置における自宅周辺判定処理では、新規道路が自宅周辺かどうかを判定するように構成したが、例えばユーザがよく立ち寄る施設周辺のような所定地点周辺かどうかを判定するように構成することもできる。また、ユーザが地点登録した地点周辺かどうかを判定するように構成することもできる。
【0086】
以上説明したように、この発明の実施の形態7に係る地図情報処理装置によれば、検出された新規道路が自宅周辺である場合に、その新規道路を既存の地図情報に追加して登録するように構成したので、ユーザに利便性があるエリアの新規道路を追加することができる。また、ユーザに利便性があるエリアを的確にかつ容易に判断することができる。
【0087】
実施の形態8.
この発明の実施の形態8に係る地図情報処理装置は、検出された新規道路を表す新規道路情報の既存の地図情報への追加登録の可否を判定した結果をユーザに提示し、この提示に応じて登録すべき旨がユーザによって確認された場合に、新規道路情報を既存の地図情報へ追加登録するようにしたものである。
【0088】
図15は、この発明の実施の形態8に係る地図情報処理装置の構成を示すブロック図である。この地図情報処理装置の構成は、図1に示した実施の形態1に係る地図情報処理装置のカーナビゲーション装置1に登録判定結果提示手段25および登録判定結果確認手段26が追加されて構成されている。また、新規道路登録手段21において実行される処理が実施の形態1に係る地図情報処理装置のそれと異なる。すなわち、新規道路登録手段21は、登録判定結果確認手段26によって新規道路を登録すべき旨が確認される場合に、新規道路の登録処理を実行する。
【0089】
次に、この発明の実施の形態8に係る地図情報処理装置の動作を、登録判定結果提示手段25および登録判定結果確認手段26において実行される処理を中心に、図16に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0090】
この処理では、まず、登録判定結果提示手段25は、新規道路登録判定手段20によって行われた登録判定結果をユーザに提示する(ステップST301)。次いで、登録判定結果確認手段26は、ステップST301で提示した登録判定結果に対するユーザの意志を問い合わせる表示を行う(ステップST302)。これらステップST301とST302とが実行された後にカーナビゲーション装置1の表示装置(モニタ)2に表示される画面の例を図17に示す。
【0091】
次に、ユーザからの入力(「はい」または「いいえ」)が入力装置4から行われたかどうかが調べられる(ステップST303)。ここで、ユーザからの入力が行われていないことが判断された場合は、ユーザからの入力を所定時間(例えば0.2秒)だけ待ち(ステップST304)、その後、シーケンスはステップST303に戻る。一方、ステップST303において、ユーザからの入力が行われたことが判断された場合は、その入力が「はい」であるかどうかが調べられる(ステップST305)。ここで、ユーザからの入力が「はい」であることが判断された場合は、処理は終了する。一方、ユーザからの入力が「いいえ」であることが判断された場合は、新規道路登録判定手段20の判定結果が反転され(ステップST306)、処理は終了する。
【0092】
以上説明したように、この発明の実施の形態8に係る地図情報処理装置によれば、ユーザは新規道路の登録判定結果を認識することが可能になる。特に、新しい道路を走行した場合に無条件に新規道路が地図情報に追加されないことと、その原因を認識できるという効果がある。また、システムが自動的に計算した登録判定の結果と、ユーザが希望する登録要否との間に不一致が生じてもユーザの希望を反映することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】この発明の実施の形態1に係る地図情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る地図情報処理装置の新規道路登録判定手段で実行される登録判定処理を示すフローチャートである。
【図3】この発明の実施の形態2に係る地図情報処理装置の新規道路登録判定手段において実行される登録判定処理を示すフローチャートである。
【図4】この発明の実施の形態3に係る地図情報処理装置の新規道路登録判定手段において実行される登録判定処理を示すフローチャートである。
【図5】この発明の実施の形態4に係る地図情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【図6】この発明の実施の形態4に係る地図情報処理装置の新規道路登録手段において実行される登録処理を示すフローチャートである。
【図7】図6に示す登録判定処理の詳細を示すフローチャートである。
【図8】この発明の実施の形態4に係る地図情報処理装置の経路計算手段において実行される経路計算処理を説明するための図である。
【図9】この発明の実施の形態4に係る地図情報処理装置の経路計算手段において実行される経路計算処理で設定される始点および終点を説明するための図である。
【図10】この発明の実施の形態5に係る地図情報処理装置の新規道路登録判定手段において実行される登録判定処理を示すフローチャートである。
【図11】図10に示す新規道路の道路種別判定処理の詳細を示すフローチャートである。
【図12】この発明の実施の形態6に係る地図情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【図13】この発明の実施の形態6に係る地図情報処理装置の新規道路登録判定手段において実行される登録判定処理を示すフローチャートである。
【図14】この発明の実施の形態7に係る地図情報処理装置の新規道路登録判定手段において実行される登録判定処理を示すフローチャートである。
【図15】この発明の実施の形態8に係る地図情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【図16】この発明の実施の形態8に係る地図情報処理装置の登録判定結果提示手段および登録判定結果確認手段において実行される処理を示すフローチャートである。
【図17】この発明の実施の形態8に係る地図情報処理装置の動作を説明するための図である。
【符号の説明】
【0094】
1 カーナビゲーション装置、2 表示装置、3 音声出力装置、4 入力装置、5 車速センサ、6 GPS受信器、7 加速度センサ、8 ETC車載端末、10 表示地図計算手段、11 経路計算手段、12 表示制御手段、13 音声出力制御手段、14 入力受信手段、15 測位手段、16 HDD、17 HDDアクセス手段、18 一時記憶メモリ、19 新規道路検出手段、20 新規道路登録判定手段、21 新規道路登録手段、22 制御手段、23 新規道路削除手段、24 ETCデータ受信手段、25 登録判定結果提示手段、26 登録判定結果確認手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メッシュ状に区切られた領域単位で地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、
自己の現在位置を測定する測位手段と、
前記測位手段で測定された現在位置が前記地図情報記憶手段に記憶されている地図情報に含まれない道路上である場合に新規道路である旨を検出する新規道路検出手段と、
前記新規道路検出手段で検出された新規道路が含まれる領域の道路密度が所定値以下の場合に、該新規道路を前記地図情報記憶手段に記憶されている地図情報に追加登録可である旨を判定する新規道路登録判定手段と、
前記新規道路登録判定手段によって追加登録可であることが判定された新規道路を前記地図情報記憶手段に記憶されている地図情報に追加して登録する新規道路登録手段
とを備えた地図情報処理装置。
【請求項2】
新規道路登録判定手段は、新規道路が含まれる領域の道路密度として、該領域の地図情報の大きさを表す地図情報サイズを用いることを特徴とする請求項1記載の地図情報処理装置。
【請求項3】
新規道路登録判定手段は、新規道路が含まれる領域の道路密度として、該領域の地図情報に含まれる道路の数を用いることを特徴とする請求項1記載の地図情報処理装置。
【請求項4】
新規道路登録判定手段は、新規道路が含まれる領域の道路密度として、該領域の地図情報に含まれる道路の総延長距離を用いることを特徴とする請求項1記載の地図情報処理装置。
【請求項5】
メッシュ状に区切られた領域単位で地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、
自己の現在位置を測定する測位手段と、
前記測位手段で測定された現在位置が前記地図情報記憶手段に記憶されている地図情報に含まれない道路上である場合に新規道路である旨を検出する新規道路検出手段と、
前記新規道路検出手段で検出された新規道路を前記地図情報記憶手段に記憶されている地図情報に追加して登録する新規道路登録手段と、
所定探索開始地点から所定探索終了地点までの推奨経路を、前記新規道路登録手段によって前記地図情報記憶手段に追加して登録された新規道路を含む地図情報を用いて計算する経路計算手段と、
前記経路計算手段により計算された推奨経路に前記新規道路検出手段によって検出された新規道路が含まれる場合に、該新規道路を前記地図情報記憶手段に記憶されている地図情報に追加登録可である旨を判定する新規道路登録判定手段と、
前記新規道路登録判定手段によって追加登録可でない旨が判定された場合に、前記新規道路登録手段によって前記地図情報記憶手段に追加して登録された新規道路を削除する新規道路削除手段
とを備えた地図情報処理装置。
【請求項6】
所定探索開始地点および所定探索終了地点の何れか一方は、
自宅が存在する地点、
新規道路検出手段で検出された新規道路の始点、
前記新規道路検出手段で検出された新規道路の始点から所定距離手前の地点、
前記新規道路検出手段で新規道路が検出される前の道路の始点または終点、
前記新規道路検出手段で新規道路が検出される前に経路計算手段で計算された経路の始点、
当該地図情報処理装置を起動した地点、
または当日走行を開始した地点の中から選択され、
所定探索開始地点および所定探索終了地点の何れか他方は、
測位手段で測定された現在位置、
前記新規道路検出手段で検出された新規道路の終点、
前記新規道路検出手段で検出された新規道路の終点の所定距離先の地点、
前記新規道路検出手段で新規道路が検出される前の道路の始点または終点、
前記現在位置の所定距離先の地点、
または前記新規道路検出手段で新規道路が検出される前に前記経路計算手段で計算された経路の終点の中から選択される
ことを特徴とする請求項5記載の地図情報処理装置。
【請求項7】
メッシュ状に区切られた領域単位で地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、
自己の現在位置を測定する測位手段と、
前記測位手段で測定された現在位置が前記地図情報記憶手段に記憶されている地図情報に含まれない道路上である場合に新規道路である旨を検出する新規道路検出手段と、
前記新規道路検出手段で検出された新規道路または該新規道路の接続先の道路が所定の道路種別である場合に、該新規道路を前記地図情報記憶手段に記憶されている地図情報に追加登録可である旨を判定する新規道路登録判定手段と、
前記新規道路登録判定手段によって追加登録可であることが判定された新規道路を前記地図情報記憶手段に記憶されている地図情報に追加して登録する新規道路登録手段
とを備えた地図情報処理装置。
【請求項8】
新規道路登録判定手段は、新規道路検出手段で検出された新規道路または該新規道路の接続先の道路の道路種別が高速道路、有料道路または自動車専用道路である場合に、該新規道路を前記地図情報記憶手段に記憶されている地図情報に追加登録可である旨を判定することを特徴とする請求項7記載の地図情報処理装置。
【請求項9】
新規道路登録判定手段は、新規道路検出手段で検出された新規道路または該新規道路の接続先の道路の道路種別が高速道路、有料道路または自動車専用道路であるかどうかを、測位手段から取得した移動速度または地図情報記憶手段から取得した地図情報に含まれる道路形状に基づき判定することを特徴とする請求項8記載の地図情報処理装置。
【請求項10】
有料道路の出入口に設置された自動料金収受路側装置との間で無線通信を行うことにより決済を行う自動料金収受車載端末と、
前記自動料金収受車載端末から自動料金収受データを取得する自動料金収受データ受信手段を備え、
新規道路登録判定手段は、新規道路検出手段で検出された新規道路または該新規道路の接続先の道路の道路種別が高速道路、有料道路または自動車専用道路であるかどうかを、前記自動料金収受データ受信手段で取得した自動料金収受データに基づき判定することを特徴とする請求項8記載の地図情報処理装置。
【請求項11】
メッシュ状に区切られた領域単位で地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、
自己の現在位置を測定する測位手段と、
前記測位手段で測定された現在位置が前記地図情報記憶手段に記憶されている地図情報に含まれない道路上である場合に新規道路である旨を検出する新規道路検出手段と、
前記新規道路検出手段で検出された新規道路が所定地点の周辺である場合に、該新規道路を前記地図情報記憶手段に記憶されている地図情報に追加登録可である旨を判定する新規道路登録判定手段と、
前記新規道路登録判定手段によって追加登録可であることが判定された新規道路を前記地図情報記憶手段に記憶されている地図情報に追加して登録する新規道路登録手段
とを備えた地図情報処理装置。
【請求項12】
新規道路登録判定手段は、所定地点として、自宅または登録された施設を用いることを特徴とする請求項11記載の地図情報処理装置。
【請求項13】
新規道路登録判定手段による判定結果および判定理由を提示する登録判定結果提示手段を備えたことを特徴とする請求項1、請求項5、請求項7または請求項11のうちのいずれか1項記載の地図情報処理装置。
【請求項14】
入力装置からの入力を受け付ける入力受信手段と、
前記入力受信手段で受け付けられた内容に応じて、登録判定結果提示手段によって提示された判定結果および判定理由を確認する登録判定結果確認手段とを備え、
新規道路登録手段は、登録判定結果確認手段によって新規道路を登録すべき旨が確認された場合に、該新規道路を前記地図情報記憶手段に記憶されている地図情報に追加登録可である旨を判定することを特徴とする請求項13記載の地図情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−220449(P2006−220449A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−32016(P2005−32016)
【出願日】平成17年2月8日(2005.2.8)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】