説明

基板収納容器及び識別部材

【課題】被検出面の位置ずれを防止して、被検出面を確実に検知することが可能な基板収納容器及び識別部材を提供する。
【解決手段】センサによって検出される被検出面13aを有する被検出部を設けると共に、被検出部から外方に向かって異なる方向に延びる複数のアーム部15,16を形成させる。アーム部15,16には、被検出部から離間した位置で容器本体に固定される固定部19,20を設け、被検出部には、被検出面13aと反対方向に突出して容器本体に当接する受け部17bを設ける。これらにより、安定した状態で被検出部を保持することができる。従って、被検出面13aの位置ずれを防止することが可能となるため、センサにより被検出面13aが確実に検知される。アーム部15,16の長さ、向きを変えることで、被検出面13aを任意の位置に配置させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハ、マスクガラス等の精密基板などを収納し、輸送、搬送、保管などに使用される基板収納容器、及び基板収納容器に関する情報を識別可能な識別部材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体部品の微細化や配線の狭ピッチ化が進んでいる。このため、半導体ウェハ(精密基板)を収納する基板収納容器には、精密基板の汚染を防止するために高い密閉性と取扱いの自動化とが求められている。この種の基板収納容器は、精密基板を収納する容器本体と、この容器本体の底部外面に設けられたボトムプレートとを備えている。このボトムプレートには、基板収納容器に関する情報を識別するための識別体(識別部材)が挿入される貫通孔が設けられている。このような基板収納容器では、貫通孔における識別体の有無を検知することで、基板収納容器のタイプ、基板収納容器が使用される工程、基板収納容器内部に収納された基板の枚数等を識別していた(例えば、特許文献1参照)。そして、識別体の有無を検知する際には、識別体を押圧するプッシュセンサを用いて、識別体の有無を検知していた。
【特許文献1】特開2000−315721号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1に記載の従来技術では、プッシュセンサを用い識別体を押圧することで、識別体の有無を検知するため、この検知の際に識別体に作用する応力によってボトムプレートが変形してしまい、貫通孔及び識別体の位置がずれることがあった。これにより、識別体の有無を確実に検知することができなくなる虞があった。
【0004】
本発明は、このような課題を解決するために成されたものであり、被検出面の位置ずれを防止して、被検出面を確実に検知することが可能な基板収納容器及び識別部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による基板収納容器は、基板を収納する容器本体を備えた基板収納容器において、容器本体の外面に取り付けられ、当該基板収納容器に関する情報を識別可能とする識別部材を具備し、識別部材は、センサによって検出可能な被検出面を有する被検出部と、被検出部から離間した位置で容器本体に固定される固定部を有し被検出部から外方に向かい異なる方向に延びる複数のアーム部と、を備え、被検出部には、被検出面と反対方向に突出して容器本体に当接する受け部が設けられていることを特徴としている。
【0006】
このような基板収納容器によれば、当該基板収納容器に関する情報を識別可能とする識別部材を備え、この識別部材が容器本体の外面に取り付けられている。識別部材には、センサによって検出される被検出面を有する被検出部が設けられている。識別部材は、被検出部から外方に向かって異なる方向に延びる複数のアーム部を備えている。このアーム部は、被検出部から離間した位置で容器本体に固定される固定部を有している。これにより、異なる方向に延びる複数のアームに設けられた固定部によって、安定した状態で被検出部を固定することができる。また、被検出部には、被検出面と反対方向に突出して容器本体に当接する受け部が設けられている。これにより、受け部によって、被検出部の容器本体側への移動が拘束されるため、識別部材の撓みを防止することが可能となる。従って、被検出面の位置ずれを防止することができるので、センサによって被検出面を確実に検知することができる。また、アーム部の長さ、向きを変えることで、被検出面を任意の位置に配置させることができる。これにより、従前と異なる位置に被検出面を配置させることができるため、工程の多様化に容易に対応することができる。
【0007】
ここで、容器本体の底部外面側に設置されたボトムプレートを更に備え、容器本体の底部外面には、ボトムプレートに向かって突出しボトムプレートを固定するボトムプレート固定部が設置され、識別部材は、容器本体とボトムプレートとの間に配置され、固定部は、ボトムプレート固定部に装着され、被検出部は、ボトムプレートに形成された貫通孔内に配置されていることが好ましい。これにより、突出するボトムプレート固定部に識別部材の固定部を装着すると共に、容器本体とボトムプレートとによって挟むことで、識別部材を確実に固定することができるため、被検出面の位置ずれをより一層防止することができる。その結果、ボトムプレートの貫通孔における被検出面の有無を確実に検知することができる。また、既存のボトムプレート固定部を利用して識別部材を固定しているため、識別部材を固定するための新たな部品を用いる必要がない。
【0008】
また、固定部は、ボトムプレート固定部に装着される筒体を有し、この筒体の内周面には、内方に突出する第1の位置調整用突起が形成され、筒体の容器本体側の端面には、外方に突出する第2の位置調整用突起が形成されていることが好ましい。これにより、第1の位置調整用突起の突出量を変化させることで、ボトムプレート固定部と筒体との嵌めあいを容易に調整することができるので、被検出面の位置ずれを防止することができる。また、第2の位置調整用突起の突出量を変化させることで、容器本体と識別部材との位置関係を容易に調整することができるので、識別部材の撓みを防止して被検出面の位置ずれを防止することができる。その結果、被検出面の位置ずれが防止されるため、被検出面の有無を確実に検知することができる。
【0009】
また、識別部材の被検出面の周縁には、識別部材の内外を貫通する開口部が形成されていることが好ましい。これにより、基板収納容器の洗浄を行った場合に、洗浄液が開口部を通じて識別部材の内外を移動し易くなるため、洗浄効率を向上させることができると共に、水切り効果を向上させることができる。
【0010】
また、本発明による識別部材は、基板を収納する基板収納容器の外部に取付けられ、基板収納容器に関する情報を識別可能とする識別部材において、センサによって検出可能な被検出面を有する被検出部と、被検出部から離間した位置で基板収納容器に固定される固定部を有し被検出部から外方に向かい異なる方向に延びる複数のアーム部と、を備え、被検出部には、被検出面と反対方向に突出して基板収納容器に当接する受け部が設けられていることを特徴としている。
【0011】
このような識別部材によれば、センサによって検出される被検出面を有する被検出部が設けられている。被検出部から外方に向かって異なる方向に延びる複数のアーム部が形成され、アーム部は、被検出部から離間した位置で基板収納容器に固定される固定部を有している。また、被検出部には、被検出面と反対方向に突出して基板収納容器に当接する受け部が設けられている。これらにより、被検出部の動きを拘束して、安定した状態で被検出部を固定することが可能となる。従って、被検出面の位置ずれを防止することができるので、センサによって被検出面を確実に検知することができる。また、アーム部の長さ、向きを変えることで、被検出面を任意の位置に配置させることができる。これにより、従前と異なる位置に被検出面を配置させることができるため、工程の多様化に容易に対応することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、被検出面の位置ずれを防止して、被検出面を確実に検知することが可能な基板収納容器及び識別部材を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明による基板収納容器及び識別部材の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において、同一または相当要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。図1は、本発明の実施形態に係る基板収納容器を示す分解斜視図、図2は、図1に示す基板収納容器の底面図、図3は、図2におけるIII−III線に沿う容器本体、インフォパッド部材及びボトムプレートの断面図、図4は、図3中のインフォパッド部材の正面図、図5は、図4に示すインフォパッド部材の側面図、図6は、図4に示すインフォパッド部材を背面側から示す斜視図である。
【0014】
図1に示す基板収納容器1は、例えば口径が300mm(約12インチ)の半導体ウェハ(基板;不図示)を複数枚(例えば25、26枚)収容し、輸送、搬送、保管などに使用される基板収納容器である。この基板収納容器1は、基板を収納する容器本体2と、この容器本体2に設けられた開口部3を覆う蓋体4とを備えている。なお、図1において、後述するボトムプレート7の記載を省略している。
【0015】
容器本体2は箱型を成し、図示左側の側面には基板を出し入れする開口部3が形成されている。容器本体2の対向する一対の側壁2aの内面には、複数の基板を上下方向に水平に並べて支持する支持部2bが各々設けられている。
【0016】
蓋体4は、容器本体2と蓋体4との間を封止するシール用ガスケット5を介して、開口部3を閉鎖する。また、蓋体4の内面には、複数の基板を上下方向に水平に並べて支持するリテーナ6が設けられている。
【0017】
図2及び図3に示すように容器本体2の底壁2c(底部)の外面側(図3における下側)には、ボトムプレート7が取り付けられている。容器本体2の底壁2cには、外方に向かって突出する複数(本実施形態では4つ)のボトムプレート固定用ボス(ボトムプレート固定部)2dが設けられている。このボトムプレート固定用ボス2dには、図3に示すように、底壁2cの板厚方向に延びる開口が形成され、この開口の内周面には、雌螺子部2eが形成されている。なお、ここでいう「ボトムプレート固定用ボス」とは、ボトムプレートを固定可能であれば良く、ボトムプレート固定用ボス2dにボトムプレート7を装着しない場合であっても、ボトムプレートを固定可能であるものは、ボトムプレート固定用ボスに含むものとする。
【0018】
ボトムプレート7は、容器本体2の底壁2cを外面側から覆うものである。このボトムプレート7は、容器本体2の底壁2cに設けられたボトムプレート固定用ボス2dと対応する位置に、容器本体2側に向かって突出する突出部7aが設けられている。この突出部7aには、ボトムプレート7の内外を貫通する開口7bが形成されている。この開口7bには、雄螺子8が挿通され、雄螺子8の先端部は、容器本体2の雌螺子部2eに螺合する。この雄螺子8によって、ボトムプレート7を容器本体2に固定している。
【0019】
また、ボトムプレート7には、図2に示すように、インフォパッドプラグ9が挿入されるインフォパッドプラグ用貫通孔10が形成されている。このインフォパッドプラグ用貫通孔10は複数形成されている。そして、センサによって、インフォパッドプラグ用貫通孔10におけるインフォパッドプラグ9の有無を検知することで、当該基板収納容器1に関する情報を識別することができる。なお、ここでいう「基板収納容器に関する情報」としては、例えば、基板収納容器のタイプ、基板収納容器が適用される工程、基板収納容器に収容された基板の枚数等である。
【0020】
また、ここでいう「センサ」とは、インフォパッドプラグ(インフォパッド部品)9の有無を検知可能なものであり、例えば、光センサ、プッシュセンサ等である。そして、プッシュセンサの例えば棒状の押圧部材を、インフォパッドプラグ用貫通孔10に向けて突出させて、押圧部材の突出量を検知することで、インフォパッド部品の有無を検知することができる。インフォパッド部品が有る場合には、押圧部材とインフォパッド部品とが接触するため、押圧部材の突出量が小さく、インフォパッド部品が無い場合には、押圧部材とインフォパッド部品とが接触しないため、押圧部材の突出量が大きくなる。
【0021】
また、ボトムプレート7には、インフォパッドプラグ用貫通孔10の他に、複数の貫通孔11が形成されている。
【0022】
ここで、本実施形態の基板収納容器1には、センサによって検出可能なインフォパッド部品として、上記インフォパッドプラグ9の他に、さらに複数のインフォパッド部材(識別部材)12を備えている。このインフォパッド部材12は、図2及び図3に示すように、容器本体2の底壁2cとボトムプレート7とに挟まれて配置されている。
【0023】
このインフォパッド部材12は、図2〜図5に示すように、センサによって検出可能な被検出板13を有する被検出部14と、この被検出部14から外方に向かって延びる第1アーム部15と、被検出部14から外方に向かって第1アーム部15と異なる方向に延びる第2アーム部16とを備えている。このインフォパッド部材12は、黒色PC材等によって構成されている。黒色PC材は、フィラーを用いていないため、光の乱反射を抑えることができ、光電センサによる検出精度を向上させることが可能となる。
【0024】
被検出板13は、その正面側の主面が本発明の被検出面13aを構成している。この被検出面13aは、平坦面とされている。被検出板13は、ボトムプレート7の貫通孔11に嵌合可能な形状とされている。被検出板13は、貫通孔11内に配置され、被検出面13aをボトムプレート7の外面に露出させている。
【0025】
被検出部14は、被検出板13の背面側から外方に向かって突出して容器本体2の底壁2cの外面に当接する受け部17を備えている。この受け部17は板状を成し、被検出板13を囲鐃している。受け部17の被検出板13側の端部17aは、貫通孔11の周縁に当接する段差面を形成している。受け部17の被検出板13と反対側(容器本体2の底壁側)の端部17bは、容器本体2に当接する当接部を形成している。この受け部17の端部17bには、外方に突出する位置調整用微小突起17cが複数形成されている。この位置調整用微小突起17cの突出量を変化させることで、インフォパッド部材12の位置を微調整することができる。
【0026】
また、被検出板13の周縁には、図4に示すように、インフォパッド部材12の内外を貫通する水切り用孔(開口部)18が形成されている。具体的には、被検出板13を貫通孔11の形状と異なる形状とすることで、貫通孔11と被検出板13との間に隙間を形成して水切り用孔18としている。このように、水切り用孔18を形成することで、容器本体2とボトムプレート7との間の水はけ効果を向上させることができる。このため、基板収納容器1の洗浄後の乾燥を容易とすることが可能となる。また、水切り用孔18を通じて、洗浄液(例えば水)が移動しやすくなるため、洗浄効率を向上させることができる。
【0027】
第1アーム部15及び第2アーム部16は、容器本体2の底壁2c及びボトムプレート7に平行(図3参照)に延在するとともに、同一面内において互いに異なる任意の方向(図4参照)に延びている。また、第1アーム部15及び第2アーム部16の先端部には、容器本体2に固定される固定部19,20が設置されている。
【0028】
固定部19,20は、容器本体2のボトムプレート固定用ボス2dに装着される筒体19a,20aを有している。この筒体19a,20aはボトムプレート固定用ボス2dに嵌合するものであり、ボトムプレート固定用ボス2dの外径と筒体19a,20aの内径とが対応する大きさとされている。筒体19a,20aの内周面19b,20bには、内方に突出する複数(本実施形態では3本)の第1の位置調整用微小突起19c,20cが設けられている。この第1の位置調整用微小突起19c,20cは、筒体19a,20aの軸線方向に線状に形成されている。第1の位置調整用微小突起19c,20cの突出量を変化させることで、ボトムプレート固定用ボス2dと筒体19a,20aとの嵌めあいを容易に調整することができる。そのため、被検出板13の位置ずれを防止することが可能とされている。
【0029】
また、図5及び図6に示すように、筒体19a,20aの容器本体2側の端面19d,20dには、外方に向かって突出する第2の位置調整用微小突起19e,20eが形成されている。第2の位置調整用微小突起19e,20eの突出量を変化させることで、容器本体2とインフォパッド部材12との位置関係を容易に調整することができる。これにより、インフォパッド部材12の上下方向の移動を拘束し、インフォパッド部材12の撓み(変形)を防止して被検出板13の位置ずれを防止することができる。
【0030】
また、固定部19,20は、図3〜図6に示すように、ボトムプレート7の突出部7aに装着される複数の円弧状リブ19f,20fを備えている。この複数の円弧状リブ19f,20fは、同心円周上に配置され外方(ボトムプレート7側)に向かって突出している。複数の円弧状リブ19f,20fの内面に、ボトムプレート7の突出部7aが収納される。また、複数の円弧状リブ19f,20fは離間して配置されている。これにより、洗浄後の乾燥時間の短縮が図られている。
【0031】
そして、基板収納容器1は、図3に示すように、雄螺子8によって、容器本体2の底壁2cとボトムプレート7とが互いに連結されて固定されている。インフォパッド部材12は、容器本体2の底壁2cとボトムプレート7とによって挟まれた状態とされている。容器本体2のボトムプレート固定用ボス2dが、インフォパッド部材12の筒体19a,20a内に挿入されて嵌合している。ボトムプレート7の突起部7aが、インフォパッド部材12の円弧状リブ19f,20f内に収容されて、互いに当接している。インフォパッド部材12の被検出板13が、ボトムプレート7の貫通孔11内に配置されて嵌合している。また、インフォパッド部材12の受け部17における端部17bが容器本体2の底壁2cの外面に当接し、受け部17における端部17aがボトムプレート7の貫通孔11の周縁に当接している。
【0032】
このような基板収納容器1及びインフォパッド部材12では、センサによって検出される被検出面13を有する被検出部14と、被検出部14から外方に向かって互いに異なる方向に延びる第1アーム部15及び第2アーム部16とを備え、この第1アーム部15及び第2アーム部16の先端部には、容器本体2のボトムプレート固定用ボス2dに固定される固定部19,20が設けられている。これにより、互いに異なる方向に延びる第1アーム部15及び第2アーム部16の先端に設けられた固定部19,20によって、被検出部14を安定した状態で固定することができる。その結果、被検出面13aの位置ずれを防止することができる。また、被検出面13aと反対方向に突出して容器本体2の底壁2cに当接する受け部17を備えているため、インフォパッド部材12の移動が拘束され、ボトムプレート7の撓みを防止することができる。その結果、被検出面13aの位置ずれを防止することができ、センサによって、確実に被検出面13aの有無を検知することができる。
【0033】
また、インフォパッド部材12では、また、アーム部15,16の長さ、向きを変えることで、被検出面を任意の位置に配置させることができる。これにより、従前と異なる位置に被検出面13aを配置させることができるため、工程の多様化に容易に対応することができる。
【0034】
また、インフォパッド部材12は、容器本体2とボトムプレート7との間に配置され、固定部19,20は、ボトムプレート固定用ボス2dに装着され、被検出部14は、ボトムプレート7に形成された貫通孔11内に配置されて嵌合している。これにより、ボトムプレート固定用ボス2dにインフォパッド部材12の固定部19,20を装着すると共に、容器本体2とボトムプレート7とによって挟むことで、インフォパッド部材12を確実に固定することができるため、被検出面の位置ずれをより一層防止することができる。その結果、ボトムプレート7の貫通孔11における被検出面13aの有無を確実に検知することができる。また、既存のボトムプレート固定用ボス2d部を利用してインフォパッド部材12を固定しているため、インフォパッド部材12を固定するための新たな部品を用いる必要がない。
【0035】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態において、本発明の基板収納容器による収納物を基板としているが、収納される基板は、半導体ウェハに限定されず、マスクガラスを始めとしたその他の基板でもよい。
【0036】
また、上記実施形態では、ボトムプレート7を備え、インフォパッド部材12が容器本体2とボトムプレート7との間に配置される構成としているが、ボトムプレート7を備えない構成でもよい。図7は、本発明の他の実施形態に係る基板収納容器を示す底面図である。この他の実施形態の基板収納容器31が第1実施形態の基板収納容器1と違う点は、ボトムプレート7に代えて、ボトムプレート7よりも小型化された識別プレート32を備える点、インフォパッド部材33の形状が異なる点、インフォパッド部材33をクランプして固定することが可能な容器本体固定用板部材34を備える点である。
【0037】
容器本体固定用板部材34は、基板収納容器31が適用される加工装置に容器本体を固定する際に利用される板部材であり、容器本体2の底壁2cの外面側に固定されている。この容器本体固定用板部材34は、底壁2cから外方に突出する固定用ボスにボルト固定されている。
【0038】
識別プレート32は、容器本体2の底壁2cの外面側に固定されている。この識別プレート32には、複数のインフォパッドプラグ用貫通孔10が形成されている。識別プレート32の底壁2cへの固定は、底壁2cに形成されたボトムプレート固定用ボス2dを利用しても良く、その他の固定用ボス、固定用ボルト等を用いて固定する。
【0039】
インフォパッド部材33は、センサによって検出可能な被検出面35aを有する被検出部36と、この被検出部36から外方に向かって延びる第1アーム部37と、被検出部36から外方に向かって第1アーム部37と異なる方向に延びる第2アーム部38とを備えている。また、被検出部36には、被検出面35aと反対方向に突出して容器本体に当接する受け部が形成されている。この受け部の被検出面35aと反対側(容器本体2の底壁側)の端面には、外方に突出する位置調整用微小が形成されている。また、インフォパッド部材33は、被検出面35aの周囲に、インフォパッド部材の内外を貫通する水切り用孔(開口部)を有している。
【0040】
また、第1アーム部37及び第2アーム部38の先端部には、容器本体2に固定される固定部39,40が設置されている。この固定部39,40は、底壁2cに形成された固定用ボスに嵌合する筒体を有している。この筒体の内周面には、内方に突出する複数の第1の位置調整用微小突起が設けられている。また、筒体の容器本体2側の端面には、外方に向かって突出する第2の位置調整用微小突起が形成されている。
【0041】
このインフォパッド部材33の固定部39,49は、底壁2cの固定用ボスに固定されている。このとき、インフォパッド部材33は、固定部39が底壁2cと識別プレート32とによって挟まれた状態で、固定部40が底壁2cと容器本体固定用板部材34とによって挟まれた状態で、容器本体に固定されている。また、インフォパッド部材33の被検出面35aは、識別プレート32や容器本体固定用板部材34に覆われていない状態となっている。
【0042】
このような基板収納容器31及びインフォパッド部材33にあっても、第1実施形態の基板収納容器1及びインフォパッド部材12と同様の効果を得ることができる。
【0043】
なお、ボトムプレート7を備えていない基板収納容器にインフォパッド部材を固定する場合、容器本体固定用板部材34の固定部を利用してインフォパッド部材を固定してもよく、その他の固定方法でもよい。その他の固定方法としては、例えば、容器本体に固定用ボスを設置し、この固定用ボスに対してインフォパッド部材を直接ボルト固定してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施形態に係る基板収納容器を示す分解斜視図である。
【図2】図1に示す基板収納容器の底面図である。
【図3】図2におけるIII−III線に沿う容器本体、インフォパッド部材及びボトムプレートの断面図である。
【図4】図3中のインフォパッド部材の正面図である。
【図5】図4に示すインフォパッド部材の側面図である。
【図6】図4に示すインフォパッド部材を背面側から示す斜視図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係る基板収納容器を示す底面図である。
【符号の説明】
【0045】
1,31…基板収納容器、2…容器本体、2c…底壁(底部)、2d…ボトムプレート固定用ボス(ボトムプレート固定部)、7…ボトムプレート、11…貫通孔、12,33…インフォパッド部材(識別部材)、13a,35a…被検出面、14,36…被検出部、15,37…第1アーム部、16,38…第2アーム部、17…受け部、18…水切り用孔(開口部)、19,20,39,40…固定部、19a,20a…筒体、19b,20b…筒体の内周面、19c,20c…第1の位置調整用微小突起、19e,20e…第2の位置調整用微小突起。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を収納する容器本体を備えた基板収納容器において、
前記容器本体の外面に取り付けられ、当該基板収納容器に関する情報を識別可能とする識別部材を具備し、
前記識別部材は、
センサによって検出可能な被検出面を有する被検出部と、
前記被検出部から離間した位置で前記容器本体に固定される固定部を有し前記被検出部から外方に向かい異なる方向に延びる複数のアーム部と、を備え、
前記被検出部には、前記被検出面と反対方向に突出して前記容器本体に当接する受け部が設けられていることを特徴とする基板収納容器。
【請求項2】
前記容器本体の底部外面側に設置されたボトムプレートを更に備え、
前記容器本体の底部外面には、前記ボトムプレートに向かって突出し前記ボトムプレートを固定するボトムプレート固定部が設置され、
前記識別部材は、前記容器本体と前記ボトムプレートとの間に配置され、
前記固定部は、前記ボトムプレート固定部に装着され、
前記被検出部は、前記ボトムプレートに形成された貫通孔内に配置されていることを特徴とする請求項1記載の基板収納容器。
【請求項3】
前記固定部は、前記ボトムプレート固定部に装着される筒体を有し、
前記筒体の内周面には、内方に突出する第1の位置調整用突起が形成され、
前記筒体の前記容器本体側の端面には、外方に突出する第2の位置調整用突起が形成されていることを特徴とする請求項2記載の基板収納容器。
【請求項4】
前記識別部材の前記被検出面の周縁には、前記識別部材の内外を貫通する開口部が形成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の基板収納容器。
【請求項5】
基板を収納する基板収納容器の外部に取付けられ、前記基板収納容器に関する情報を識別可能とする識別部材において、
センサによって検出可能な被検出面を有する被検出部と、
前記被検出部から離間した位置で前記基板収納容器に固定される固定部を有し前記被検出部から外方に向かい異なる方向に延びる複数のアーム部と、を備え、
前記被検出部には、前記被検出面と反対方向に突出して前記基板収納容器に当接する受け部が設けられていることを特徴とする識別部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−41773(P2008−41773A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−211220(P2006−211220)
【出願日】平成18年8月2日(2006.8.2)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】