説明

基板収納容器

【課題】 基板が回転して磨耗粉等が付着するのを抑制防止したり、基板の整列を容易にできる基板収納容器を提供する。
【解決手段】 半導体ウェーハWを整列収納する容器本体1と、容器本体1の開口正面を開閉する蓋体と、容器本体1の背面壁8の内面に装着されて半導体ウェーハWの後部周縁を保持する左右一対のリヤリテーナ20・20Aとを備える。そして、各リヤリテーナ20・20Aを、可撓性の内側片21と、内側片21に対向する外側片22と、内側片21と外側片22の間に架設されて半導体ウェーハWの後部周縁を挟持する支持ブロック23とから形成し、内側片21を外側片22よりも半導体ウェーハWの重心Cを通る中心線CLに接近させるとともに、内側片21の撓み量を外側片22の撓み量よりも大きくし、半導体ウェーハWの大きな回転を規制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコンやガラス等からなる基板を収納する基板収納容器に関し、より詳しくは、容器本体や蓋体に取り付けられて基板の周縁部を保持する基板収納容器のリテーナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、200mmから300mmという半導体ウェーハの大口径化に伴い、フロントオープンボックスタイプの基板収納容器が製造・販売されているが、この種の基板収納容器は、図示しない複数枚の半導体ウェーハを整列収納するフロントオープンボックスの容器本体と、この容器本体の開口正面を開閉する着脱自在の蓋体とから構成されている(特許文献1参照)。
【0003】
容器本体の背面壁の内面には、左右一対のリヤリテーナが装着され、蓋体の裏面には、一対のリヤリテーナに対向するフロントリテーナが装着されており、これら一対のリヤリテーナとフロントリテーナとの間に、容器本体に収納された半導体ウェーハが水平に挟持される。各リヤリテーナは、内側片と、この内側片に対向する外側片と、これら内側片と外側片との間に架設されて半導体ウェーハの後部周縁を溝を介して挟持する支持ブロックとから形成されている。
【特許文献1】特開2003‐174081号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の基板収納容器は、以上のように構成され、各リヤリテーナの内側片と外側片とに半導体ウェーハの荷重が略均等に作用する筈であるが、各リヤリテーナの内側片と外側片のいずれか一方が余計に撓むと、その撓んだ方向に半導体ウェーハが回転しやすくなる。そして例えば、基板収納容器の搬送時の振動や衝撃に伴い、一対のリヤリテーナが同じ方向に撓むと、その撓んだ方向に半導体ウェーハが大きく回転して磨耗粉が付着してしまうという大きな問題が生じる。
【0005】
また、半導体ウェーハがランダムに大きく回転してしまうと、半導体ウェーハの表面に電子回路を形成する際、半導体ウェーハの周縁部に切り欠かれた位置決め用のノッチを揃え直さなければならず、作業に時間を要するという問題もある。
【0006】
本発明は上記に鑑みなされたもので、基板が回転して磨耗粉等が付着するのを抑制防止したり、基板を容易に整列させることのできる基板収納容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明においては上記課題を解決するため、基板を収納する容器本体と、この容器本体の開口部を開閉する蓋体と、これら容器本体と蓋体の少なくともいずれか一方の対向部に設けられて基板の周縁部を保持する複数のリテーナとを含んでなるものであって、
各リテーナは、可撓性の内側片と、この内側片に対向する外側片と、これら内側片と外側片との間に設けられて基板の周縁部を支持する支持ブロックとを有し、内側片を外側片よりも基板の重心を通る中心線に接近させるとともに、内側片の撓み量を外側片の撓み量よりも大きくし、基板の回転を抑制するようにしたことを特徴としている。
【0008】
なお、容器本体と蓋体の少なくともいずれか一方の対向部に、各リテーナの内側片と外側片とをそれぞれ接触させ、内側片を外側片よりも薄く形成することができる。
また、容器本体と蓋体の少なくともいずれか一方の対向部に、各リテーナの外側片を接触させるとともに、内側片を隙間を介して対向させることができる。
また、各リテーナの外側片に補強部材を設けることができる。
【0009】
また、各リテーナの支持ブロックを、内側片と外側片との中心部よりも外側片寄りに位置させることもできる。
さらに、容器本体と蓋体の少なくともいずれか一方の対向部に、各リテーナの内側片と外側片とをそれぞれ接触させ、対向部と内側片とが形成する角度θ1を対向部と外側片とが形成する角度θ2よりも小さくすることが可能である。
【0010】
ここで、特許請求の範囲における基板には、少なくとも200mm、300mm、450mmのシリコンウェーハ等の半導体ウェーハ、マスクガラス、液晶ガラス等が含まれる。容器本体は、透明、半透明、不透明のいずれでも良い。この容器本体の背面壁は、透視窓とすることができる。また、リテーナには、リヤリテーナの他、フロントリテーナが含まれる。基板収納容器は、フロントオープンボックスタイプでも良いが、直径200mmの複数枚の半導体ウェーハを縦に収納するトップオープンボックスタイプでも良い。
【0011】
基板収納容器は、トップオープンボックスタイプの場合、有底角筒形の外箱と、この外箱内に着脱自在に収納され、複数枚の基板を縦に整列収納する角筒形の内箱と、外箱の開口上面を被覆して基板の上部周縁を基板押さえにより押さえる着脱自在の蓋体とから構成され、外箱の内部底面、及び又は蓋体の基板押さえに、リテーナが設けられる。
【0012】
本発明によれば、各リテーナの内側片が外側片よりも撓みやすいので、容器本体に収納された基板は、一のリテーナ部分においては時計方向に回転し、他のリテーナ部分においては反時計方向に回転しようとする。この結果、基板の回転方向の動きが相殺され、基板の回転が規制される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、基板が回転して磨耗粉等が付着するのを抑制したり、基板の整列を容易に行なうことができるという効果がある。
また、容器本体と蓋体の少なくともいずれか一方の対向部に、各リテーナの外側片を接触させるとともに、内側片を隙間を介して対向させれば、対向部に対して非接触の内側片が撓んで接触することとなり、撓み量が増大する。
また、各リテーナの外側片に補強部材を設ければ、内側片と外側片の厚みや形状を大きく変更しなくても、内側片より外側片の剛性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態を説明すると、本実施形態における基板収納容器は、図1ないし図5に示すように、複数枚の半導体ウェーハWを収納する容器本体1と、この容器本体1の開口正面を開閉する着脱自在の蓋体10と、容器本体1の背面壁8に装着されて半導体ウェーハWの後部周縁を弾発的に保持する左右一対のリヤリテーナ20・20Aとを備え、各リヤリテーナ20・20Aに、半導体ウェーハWの自由回転を規制する機能を付与している。
【0015】
各半導体ウェーハWは、図4に示すように、例えば直径300mmの丸い円板形のシリコンウェーハからなり、表裏両面がそれぞれ鏡面に形成されており、専用のロボットにより左右の両側部周縁がハンドリングされた状態で出し入れされる。この半導体ウェーハWの周縁部には、結晶方向の判別や整列を容易にするノッチNが平面略半円形に切り欠かれる。
【0016】
容器本体1は、図1や図2に示すように、所定の樹脂を使用して正面の開口した透明のフロントオープンボックスに成形され、複数枚(例えば25枚)の半導体ウェーハWを上下方向に並べて整列収納するよう機能する。この容器本体1の両側壁の内面には図3に示すように、相互に対向して半導体ウェーハWを略水平に支持搭載する左右一対のティース2が形成され、この一対のティース2が上下方向に所定のピッチで複数配列される。
【0017】
ティース2は、平面略長方形、略く字形、あるいは略半円弧形に形成されて半導体ウェーハWの側部周縁に沿う平板3と、この平板3の前部内側上に一体形成される平坦な前部中肉領域と、平板3の前部外側上に一体形成されて前部中肉領域の外側、換言すれば、容器本体1の側壁側に位置する平坦な前部厚肉領域と、平板3の後部に一体形成される後部中肉領域と、平板3の後部に形成されて後部中肉領域の前方に位置し、容器本体1の側壁寄りに僅かな面積で位置する平坦な後部厚肉領域とから形成される。
【0018】
前部中肉領域と前部厚肉領域との間には、半導体ウェーハWの側部周縁に接触する垂直の段差が僅かに形成され、前部厚肉領域は蓋体10の取り外し時に半導体ウェーハWが容器本体1から飛び出すのを規制するよう機能する。前部中肉領域と後部中肉領域との間には、僅かに凹んだ薄肉領域が形成され、この薄肉領域が半導体ウェーハWの側部周縁に僅かな隙間を介して対向する。
【0019】
このような構成のティース2は、平坦な前部中肉領域と後部中肉領域とに半導体ウェーハWの側部周縁を高い精度を維持しつつ水平に支持し、半導体ウェーハWが上下方向に傾斜してロボットのフォークによる出し入れが困難になるのを防止するよう機能する。
【0020】
容器本体1の底面の前部両側と後部中央とには、基板収納容器を搭載する加工装置に位置決めされる位置決め具4がそれぞれ一体形成され、容器本体1の底面後部には、薄板で小型のボトムプレートが後方から着脱自在に装着されており、このボトムプレートに下方から着脱自在に嵌入された単数複数の識別体が加工装置に識別されることにより、基板収納容器のタイプや半導体ウェーハWの枚数等が把握される。
【0021】
各位置決め具4は、断面略M字形、略逆Y字形、あるいは凹んだ小判形等に形成される。ボトムプレートは、平面略凹字形、略Y字形、又は多角形等に形成され、必要に応じて取り付けられたり、大小が変更される。
【0022】
容器本体1の天井中央部には図1や図3に示すように、平面矩形のロボティックフランジ5が一体的あるいは着脱自在に装着され、このロボティックフランジ5がOHTと呼ばれる図示しない自動搬送機に保持されることにより、基板収納容器が工程内を搬送する。また、容器本体1の開口正面の周縁部は断面略L字形に形成されることにより、外方向に張り出されてリム部6を形成(図2、図3参参照)し、このリム部6内の上下には、蓋体施錠用の係止穴7がそれぞれ複数凹み形成される。
【0023】
容器本体1の両側壁には肉厚の円板形あるいは倒U字形の搬送ハンドル(図示せず)がそれぞれ選択的に装着され、この搬送ハンドルが把持されることにより基板収納容器が搬送される。
【0024】
なお、容器本体1、ティース2、位置決め具4、ボトムプレート、ロボティックフランジ5、及び搬送ハンドルは、例えばポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、又は環状オレフィン樹脂等を使用して成形される。これらの材料には、カーボンブラック、アセチレンブラック、炭素繊維、カーボンナノチューブ、金属繊維、帯電防止剤等を適宜添加することができる。
【0025】
蓋体10は、図1ないし図3に示すように、容器本体1のリム部6内に着脱自在に嵌合される嵌合体11と、この嵌合体11の開口した表面両側部にそれぞれセットされる左右一対の施錠機構15と、嵌合体11の開口した表面両側部にそれぞれ着脱自在に装着されて施錠機構15を被覆する一対のカバープレート16とから構成され、容器本体1の開口正面であるリム部6内に着脱自在に押圧嵌合されてシール状態に嵌合閉鎖する。
【0026】
嵌合体11は、基本的には断面略皿形あるいは略ハット形に形成されるとともに、横長の正面略矩形に形成され、周壁が剛性を確保できるよう断面略H字形、断面略L字形、あるいは断面略Z字形に形成されており、この屈曲した周壁に、容器本体1と蓋体10との間に介在するシールガスケット12が着脱自在に嵌合される。シールガスケット12は、例えばフッ素ゴムやシリコーンゴム等を使用してエンドレスに成形され、蓋体10の嵌合時にリム部6の内周に圧接変形し、容器本体1の外部から内部に塵埃を含む気体が流入するのを抑制防止するよう機能する。
【0027】
嵌合体11の裏面(容器本体1の背面壁8に対向する面、対向部)には、平面略U字形を呈する弾性のフロントリテーナ13が装着され、このフロントリテーナ13が容器本体1に収納された各半導体ウェーハWの前部周縁を挟持する。このフロントリテーナ13は、嵌合体11の裏面の中央部に装着される縦長の支持枠体と、この支持枠体の両側部間に架設されて上下方向に並ぶ複数の弾性片と、各弾性片の略中央部に一体形成され、半導体ウェーハWの前部周縁を溝を介して保持する誘導ブロック14とから形成され、各弾性片の略両側部には、半導体ウェーハWの前部周縁を溝を介して挟持する被誘導ブロック14が選択的に形成される。
【0028】
各施錠機構15は、嵌合体11の表面側部に軸支され、図示しない蓋体開閉装置の外部からの操作で回転する回転リールと、嵌合体11にスライド可能に支持されて回転リールに連結され、回転リールの回転に基づいて蓋体10の内外上下方向に直線的にスライドする複数の進退動バーと、各進退動バーの先端部に形成され、嵌合体11の周壁の開口から出没してリム部6の係止穴7に嵌合係止する係止爪とから構成され、容器本体1のリム部6を嵌合閉鎖した蓋体10を施錠する。
【0029】
各カバープレート16は、嵌合体11の開口領域に対応する形状に形成され、回転リールの表面中心部に対向する施錠機構15用の貫通操作孔17が正面矩形に穿孔されており、この貫通操作孔17が蓋体開閉装置のキーに貫通される。
【0030】
なお、蓋体10の嵌合体11、施錠機構15、カバープレート16等は、例えばポリカーボネート、フッ素を含有したポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアセタール等を使用して成形される。
【0031】
一対のリヤリテーナ20・20Aは、図2や図4に示すように、容器本体1の背面壁8の内面(対向部)に間隔をおいて装着されるとともに、半導体ウェーハWの重心Cを通る中心線CLを挟むよう対称に配列され、蓋体10の嵌合閉鎖時にフロントリテーナ13と対向して半導体ウェーハWを一対のティース2から僅かに浮かせた状態で略水平に挟持する。
【0032】
各リヤリテーナ20・20Aは、図5に示すように、容器本体1の背面壁8に接触する可撓性の内側片21と、容器本体1の背面壁8に接触して内側片21に隙間をおいて対向する可撓性の外側片22と、これら内側片21と外側片22との間に架設され、半導体ウェーハWを挟持する弾性の支持ブロック23とから断面略U字形の縦長に形成され、容器本体1の上下方向に指向する(この点に関しては、図8参照)。
【0033】
各リヤリテーナ20・20Aは、例えばポリオレフィン系、ポリエステル系の熱可塑性エラストマーやフッ素ゴム、EPDM、ポリウレタン等のゴム、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン材料として形成される。
【0034】
各リヤリテーナ20・20Aは、その内側片21と外側片22とに、凹部や凸部等からなる嵌合部24が上下方向に間隔をおいて複数形成され、各嵌合部24が容器本体1の背面壁内面の被嵌合部24に嵌合することにより、容器本体1の背面壁8に固定される。内側片21と外側片22とは、同じ高さに形成され、内側片21の前後長(図5の上下方向の長さ)よりも外側片22の前後長が長く形成される。内側片21は、外側片22よりも半導体ウェーハWの重心Cを通る中心線CLに接近し、外側片22の30〜90%の厚みの薄肉に形成されており、撓み量が外側片22の撓み量より大きく設定される。
【0035】
内側片21の厚みが外側片22の厚みの30〜90%の範囲なのは、30%未満の場合には、内側片21の強度が低下して半導体ウェーハWを安全に保持できなくなるおそれがあり、しかも、成形の困難化を招くからである。逆に、90%を超える場合には、リヤリテーナ20・20Aが容器本体1の中心線CL方向に撓まないおそれがあるからである。
【0036】
支持ブロック23は、内側片21と外側片22との端部間に斜めに架設され、各半導体ウェーハWの後部周縁をV溝を介して挟持する複数のブロック25が内側片21と外側片22との略中間部付近に位置する。
【0037】
上記構成によれば、各リヤリテーナ20・20Aの内側片21が外側片22よりも撓みやすく形成されているので、フロントリテーナ13とリヤリテーナ20・20Aとに半導体ウェーハWが挟持される際、半導体ウェーハWは、図4に示す左側のリヤリテーナ20では時計方向に水平に回転(図4の矢印参照)し、右側のリヤリテーナ20Aでは反時計方向に水平に回転(同図の矢印参照)しようとする。すなわち、半導体ウェーハWに左右のリヤリテーナ20・20Aからそれぞれ逆方向の力が加わり、回転方向が逆向きになるので、相互に打ち消し合って半導体ウェーハWの大きな回転が防止されることとなる。
【0038】
このような回転規制作用により、基板収納容器の搬送時の振動や衝撃に伴い、一対のリヤリテーナ20・20Aが撓んでも、半導体ウェーハWが大きく回転して磨耗粉が付着するという問題をきわめて有効に解消することができる。また、半導体ウェーハWのノッチNの位置を大幅に揃え直す必要がなくなるので、生産効率や作業性の向上が大いに期待できる。さらに、例え半導体ウェーハWに振動や衝撃が作用しても、リヤリテーナ20・20Aが撓んで衝撃を吸収するので、半導体ウェーハWの周縁部が傷付くのを有効に抑制防止することができる。
【0039】
次に、図6は本発明の第2の実施形態を示すもので、この場合には、容器本体1の背面壁8の内面に、各リヤリテーナ20・20Aの外側片22を接触させるとともに、内側片21を隙間Gを介して非接触に対向させ、内側片21を外側片22よりも薄肉に形成しており、半導体ウェーハWの挟持時に容器本体1の背面壁内面に内側片21を撓ませて接触させるようにしている。
【0040】
容器本体1の背面壁内面とリヤリテーナ20・20Aの内側片21との間には、0.5〜2mmの隙間Gが形成される。これは、隙間Gが0.5mm未満の場合には、半導体ウェーハWの回転規制が不十分になるからである。逆に、2mmを超える場合には、リヤリテーナ20・20Aの変形ストロークが大き過ぎ、外側片22に荷重が集中して変形が生じやすく、半導体ウェーハWの搭載位置が前後にばらつくからである。リヤリテーナ20・20Aの内側片21は、薄肉でも良いが、外側片22と同じ肉厚でも良い。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0041】
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、上記実施形態を採用できない場合に有意義なのは明らかである。
【0042】
次に、図7は本発明の第3の実施形態を示すもので、この場合には、各リヤリテーナ20・20Aの外側片22内に補強部材26をインサート成形して一体化し、半導体ウェーハWの挟持時に容器本体1の背面壁内面に内側片21を撓ませて接触させるようにしている。
【0043】
補強部材26は、各種の金属、ポリエーテルエーテルケトン、炭素繊維が添加された各種熱可塑性樹脂等からなる剛性の良好な樹脂等からなり、外側片22の剛性を内側片21よりも向上させるよう機能する。リヤリテーナ20・20Aの内側片21は、薄肉でも良いが、外側片22と同じ肉厚でも良い。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、内側片21を特に薄くする必要がないのは明らかである。
【0044】
次に、図8は本発明の第4の実施形態を示すもので、この場合には、各リヤリテーナ20・20Aにおける支持ブロック23の各ブロック25を、内側片21と外側片22との中心部よりも外側片22寄りに偏移させ、内側片21の撓み量を増大させるようにしている。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、内側片21を敢えて薄くする必要がなく、リヤリテーナ20・20Aの構成の多様化を図ることができるのは明白である。
【0045】
次に、図9は本発明の第5の実施形態を示すもので、この場合には、容器本体1の背面壁内面と各リテーナの内側片21とが形成する角度θ1を背面壁内面と外側片22とが形成する角度θ2よりも小さくし、内側片21の撓み量を増大させるようにしている。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、リヤリテーナ20・20Aの構成の多様化を図ることができるのは明白である。
【0046】
なお、上記実施形態のロック機構を、蓋体10に支持されて外部からの操作で回転する回転体と、蓋体10にスライド可能に支持されて回転体に連結され、回転体の回転に基づいて蓋体10の内外方向に進退動する複数の進退動バーと、蓋体周壁の開口付近に回転可能に支持されて進退動バーの先端部に連結され、この進退動作バーの進退動に基づいて蓋体10の開口から出没する係止ローラとから構成することができる。
【0047】
また、上記実施形態では容器本体1の背面壁8に一対のリヤリテーナ20・20Aを直接装着したが、何らこれに限定されるものではない。例えば、容器本体1の背面壁8に一対のリヤリテーナ20・20Aをプレート等を介し間接的に装着しても良い。また、一対のリヤリテーナ20・20Aを一又は複数の連結片を介し略H字形や略ロの字形等に連結した構造にすることもできる。この場合、リヤリテーナ20・20Aを一つの部品にすることができるので、一回の作業で取り付け取り外しすることが可能になる。
【0048】
また、容器本体1の背面壁内面、換言すれば、取付領域の中心点に対して一対のリヤリテーナ20・20Aを点対称に配列しても良い。このように点対称に配列すれば、一のリヤリテーナ20・20Aを設けるだけで、容器本体1の背面壁8の左右どちらにも取り付け可能になる。この場合、左右に取り付ける際の上下の目印を刻印しておけば、取付作業が実に容易となる。さらに、蓋体10のフロントリテーナ13を一対のリヤリテーナ20・20Aのように構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明に係る基板収納容器の実施形態を示す全体斜視説明図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図1のIII−III線断面図である。
【図4】本発明に係る基板収納容器の実施形態における半導体ウェーハと一対のリヤリテーナとの関係を示す平面説明図である。
【図5】本発明に係る基板収納容器の実施形態におけるリヤリテーナを示す説明図である。
【図6】本発明に係る基板収納容器の第2の実施形態におけるリヤリテーナを示す説明図である。
【図7】本発明に係る基板収納容器の第3の実施形態におけるリヤリテーナを示す説明図である。
【図8】本発明に係る基板収納容器の第4の実施形態における一対のリヤリテーナを示す斜視説明図である。
【図9】本発明に係る基板収納容器の第5の実施形態におけるリヤリテーナを示す説明図である。
【符号の説明】
【0050】
1 容器本体
2 ティース
6 リム部
8 背面壁(対向部)
10 蓋体
13 フロントリテーナ
20 リヤリテーナ(リテーナ)
20A リヤリテーナ(リテーナ)
21 内側片
22 外側片
23 支持ブロック
25 ブロック
26 補強部材
C 重心
CL 中心線
G 隙間
N ノッチ
W 半導体ウェーハ(基板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を収納する容器本体と、この容器本体の開口部を開閉する蓋体と、これら容器本体と蓋体の少なくともいずれか一方の対向部に設けられて基板の周縁部を保持する複数のリテーナとを含んでなる基板収納容器であって、
各リテーナは、可撓性の内側片と、この内側片に対向する外側片と、これら内側片と外側片との間に設けられて基板の周縁部を支持する支持ブロックとを有し、内側片を外側片よりも基板の重心を通る中心線に接近させるとともに、内側片の撓み量を外側片の撓み量よりも大きくし、基板の回転を抑制するようにしたことを特徴とする基板収納容器。
【請求項2】
容器本体と蓋体の少なくともいずれか一方の対向部に、各リテーナの内側片と外側片とをそれぞれ接触させ、内側片を外側片よりも薄く形成した請求項1記載の基板収納容器。
【請求項3】
容器本体と蓋体の少なくともいずれか一方の対向部に、各リテーナの外側片を接触させるとともに、内側片を隙間を介して対向させた請求項1記載の基板収納容器。
【請求項4】
各リテーナの外側片に補強部材を設けた請求項1、2、又は3記載の基板収納容器。
【請求項5】
各リテーナの支持ブロックを、内側片と外側片との中心部よりも外側片寄りに位置させた請求項1ないし4いずれかに記載の基板収納容器。
【請求項6】
容器本体と蓋体の少なくともいずれか一方の対向部に、各リテーナの内側片と外側片とをそれぞれ接触させ、対向部と内側片とが形成する角度θ1を対向部と外側片とが形成する角度θ2よりも小さくした請求項1ないし5いずれかに記載の基板収納容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−120851(P2006−120851A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−307049(P2004−307049)
【出願日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】