説明

塩化ビニリデン系共重合体樹脂組成物

【課題】押出加工性、高周波シール適性、レトルト適性、ガスバリア性に優れる塩化ビニリデン系共重合体樹脂組成物、それから得られるフィルム・シートを提供。
【解決手段】下記の塩化ビニリデン系共重合体(A)と塩化ビニリデン系共重合体(B)からなる塩化ビニリデン系共重合体樹脂組成物であって、共重合体(A)の含有量が70重量%以上95重量%以下であり、共重合体(A)の重量平均分子量が共重合体(B)の重量平均分子量より小さく、且つ、共重合体(A)中の塩化ビニリデン含有量が共重合体(B)中の塩化ビニリデン含有量より大きい。共重合体(A):塩化ビニリデン含有量が50重量%以上99重量%以下であり、重量平均分子量が、7万以上12万以下である塩化ビニリデン系共重合樹体共重合体(B):塩化ビニリデン含有量が50重量%以上97重量%以下であり、重量平均分子量が、9万以上20万以下である塩化ビニリデン系共重合体

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押出加工性、高周波シール適性、レトルト適性、ガスバリア性に優れ、魚肉・畜肉ソーセージやハムのように充填後にボイル・レトルト処理が行われる包装に適する塩化ビニリデン系共重合体樹脂組成物およびそれから得られるフィルム・シートに関する。
【背景技術】
【0002】
塩化ビニリデン系共重体樹脂組成物から製造されるフィルム・シートは、ガスバリア性、透明性、耐薬品性、耐油性、密着性、熱収縮性等に優れており、食品衛生性も高いため多種多様の食品包装材料に使用されている。一般に塩化ビニリデン系共重合体樹脂組成物は熱安定性が悪く、熱分解しやすいので押出加工が不安定である。従来、塩化ビニリデン系共重合体樹脂組成物の押出加工時の熱分解を防ぐ手法としては、樹脂の重量平均分子量を小さくする手法、添加剤を多量に使用する手法を挙げることができる。しかし樹脂の重量平均分子量を小さくすると塩化ビニリデン系共重合体樹脂組成物が脆化し、フィルムとしての要求特性である高周波シール適性、レトルト適性が低下してしまう。また、添加剤を多量に使用するとガスバリア性が低下してしまうという問題があった。
【0003】
また、2種類以上の異なる重量平均分子量を有する塩化ビニリデン系共重合体を特定割合で混合した塩化ビニリデン系共重合体樹脂組成物からなるフィルム(特許文献1、特許文献2)や、少なくとも2種の還元粘度の異なる塩化ビニリデン系共重合体からなる混合塩化ビニリデン樹脂と、エチレンと酢酸ビニル共重合体、エチレンとアクリル酸、メタクリル酸またはそれらのアルキルエステルとの共重合体およびMBS樹脂から選ばれる少なくとも1種の共重合体とからなる塩化ビニリデン系共重合体含有樹脂組成物からなるフィルム(特許文献3)も開示されている。しかし、押出加工時の熱安定性は満足できるものではなく、フィルムの高周波シール適性やレトルト適性は、更に改善が必要であった。
【0004】
【特許文献1】特開平11−71492号公報
【特許文献2】特開平7−179703号公報
【特許文献3】国際公開第96/034050号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、押出加工性、高周波シール適性、レトルト適性、ガスバリア性に優れるフィルムを与える塩化ビニリデン系共重合体樹脂組成物、それから得られるフィルムまたはシートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を達成する為に鋭意検討した結果、本発明により課題を解決しうることを見出した。
すなわち、本発明は下記の通りである。
(1)下記の塩化ビニリデン系共重合体(A)と塩化ビニリデン系共重合体(B)からなる塩化ビニリデン系共重合体樹脂組成物であって、共重合体(A)の含有量が70重量%以上95重量%以下であり、共重合体(A)の重量平均分子量が共重合体(B)の重量平均分子量より小さく、且つ、共重合体(A)中の塩化ビニリデン含有量が共重合体(B)中の塩化ビニリデン含有量より大きいことを特徴とする、塩化ビニリデン系共重合体樹脂組成物。
塩化ビニリデン系共重合体(A):塩化ビニリデン含有量が50重量%以上99重量%以
下であり、重量平均分子量が、7万以上12万以下である塩化ビニリデン系共重合体
塩化ビニリデン系共重合体(B):塩化ビニリデン含有量が50重量%以上97重量%以下であり、重量平均分子量が、9万以上20万以下である塩化ビニリデン系共重合体
(2)(1)に記載の塩化ビニリデン系共重合体樹脂組成物からなるフィルムまたはシート。
【発明の効果】
【0007】
本発明の塩化ビニリデン系共重合体樹脂組成物およびそれよりなるフィルム・シートは、優れた押出加工性、高周波シール適性、レトルト適性、ガスバリア性を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明について、以下具体的に説明する。
本発明の塩化ビニリデン系共重合体樹脂組成物は、重量平均分子量と塩化ビニリデン含有量の異なる2種類の塩化ビニリデン系共重合体から成る。塩化ビニリデン系共重合体樹脂組成物中に70重量%以上含有され、重量平均分子量が小さく、塩化ビニリデン含有量が高い共重合体(A)は、押出加工性、フィルムの高周波シール適性付与成分として位置づけられる。重量平均分子量が小さいことにより加工時のせん断発熱が抑制でき、また塩化ビニリデン含有量が高いことにより、樹脂の結晶性が上がりバリア性と高周波シール適性が良好となる。30重量%以下の含有率で重量平均分子量が大きく、塩化ビニリデン含有量の低い共重合体(B)は、フィルムにソーセージ・ハムを充填後のボイル・レトルト処理時のフィルム力学強度を付与する成分として位置づけられる。重量平均分子量が大きいことと塩化ビニリデン含有量が共重合体(A)に比較して低いことにより、フィルムに強靭性と柔軟性を付与させ、レトルト適性が向上すると考える。
【0009】
本発明の塩化ビニリデン系共重合体樹脂組成物を構成する塩化ビニリデン系共重合体(A)の塩化ビニリデン含有量が50重量%未満の時は、得られるフィルムのバリア性と高周波シール適性が十分ではなく、塩化ビニリデン含有量が99重量%を越える時は、塩化ビニリデン系共重合体樹脂組成物の押出加工性が不満足なものとなる。
塩化ビニリデン系共重合体(A)の塩化ビニリデン含有量の好ましい範囲は、80重量%以上97重量%以下であり、更に好ましい範囲は、85重量%以上95重量%以下であり、特に好ましい範囲は、89重量%以上93重量%以下である。
【0010】
本発明の塩化ビニリデン系共重合体樹脂組成物中の塩化ビニリデン系共重合体(B)の塩化ビニリデン含有量が50重量%未満の時は、得られるフィルムのバリア性が十分ではなく、塩化ビニリデン含有量が97重量%を越える時は、塩化ビニリデン系共重合体樹脂組成物の押出加工性とレトルト適性が不満足なものとなる。塩化ビニリデン系共重合体(B)の塩化ビニリデン含有量の好ましい範囲は、60重量%以上95重量%以下であり、更に好ましい範囲は、80重量%以上93重量%であり、特に好ましい範囲は、82重量%以上90重量%以下である。
【0011】
本発明の塩化ビニリデン系共重合体樹脂組成物を構成する塩化ビニリデン系共重合体(A)の重量平均分子量が7万未満の時は、得られるフィルムの高周波シール適性が十分ではなく、重量平均分子量が12万を越える時は、塩化ビニリデン系共重合体樹脂組成物の押出加工性、フィルム滑り性が不満足なものとなる。重量平均分子量の好ましい範囲は、7.5万以上11.5万以下であり、更に好ましくは8万以上11万以下であり、特に好ましい範囲は、9万以上10.5万以下である。
本発明の塩化ビニリデン系共重合体樹脂組成物の塩化ビニリデン系共重合体(B)の重量平均分子量が9万未満の時は、得られるフィルムにソーセージ・ハムを充填後のボイル・レトルト処理時のフィルム力学強度が十分ではなくレトルト適性が不満足なものとなり、重量平均分子量が20万を超えるときは、塩化ビニリデン系共重合体樹脂組成物の押出
加工性が不満足なものとなる。重量平均分子量の好ましい範囲は、10万以上15万以下であり、更に好ましくは10.5万以上13万以下である。
なお、重量平均分子量はポリスチレンを標準とした、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定した。
【0012】
本発明の塩化ビニリデン系共重合体樹脂組成物中の塩化ビニリデン系共重合体(A)の含有量は70重量%以上95重量%以下である。好ましくは、75重量%以上93重量%であり、更に好ましくは80重量%以上90重量%である。押出加工性、フィルムの高周波シール適性付与成分である塩化ビニリデン系共重合体(A)の含有量が70重量%未満の場合、塩化ビニリデン系共重合体樹脂組成物の押出加工性、高周波シール適性が不満足なものとなる。また、塩化ビニリデン系共重合体(A)が95重量%を超えると、フィルムの強度付与成分である塩化ビニリデン系共重合体(B)の含有量が5重量%未満となり、得られるフィルムにソーセージ・ハムを充填後のボイル・レトルト処理時のフィルム力学強度が十分ではなくレトルト適性が不満足なものとなる。
【0013】
本発明の塩化ビニリデン系共重合体樹脂組成物を構成する塩化ビニリデン系共重合体(A)及び塩化ビニリデン系共重合体(B)を得るための塩化ビニリデンのコモノマーとしては、塩化ビニリデンと共重合可能な単量体の一種または二種以上を用いることが出来る。塩化ビニリデンと共重合可能なビニル系モノマーとしては、例えば塩化ビニル、酢酸ビニル及びプロピオン酸ビニル等のビニルエステル類、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、フェニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、グリシジルアクリレート及びメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、フェニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、グリシジルメタクリレート等のα、β不飽和カルボン酸エステル類、エチレン及びプロピレン等のオレフィン類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のラウリルビニルエーテル及びイソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル等が挙げられる。
【0014】
また、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、メチルスチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン等の共重合可能なものが挙げられ、これらの重合性ビニル系モノマーは単独でも二種類以上の混合においても用いてもよい。これらの中では塩化ビニル、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、アクリロニトリル、スチレンが好ましい。
また、本発明の塩化ビニリデン系共重合体樹脂組成物を得るには、通常の乳化重合や懸濁重合が用いられるが、優れた熱安定性を得るためには懸濁重合法が好ましい。
【0015】
本発明において使用する重合開始剤としては、例えば、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジオクチルパーオキシジカーボネート、ジラウリルパーオキシジカーボネート、ジミリスチルパーオキシジカーボネート、ジセチルパーオキシジカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシジカーボネート、ジ(エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、ジ(メトキシイソプロピル)パーオキシジカーボネート、
ジ(3メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、ジ(3メトキシ3メチルブチル)パーオキシジカーボネート、ジ(ブトキシエチル)パーオキシジカーボネート、ジ(2イソプロポキシエチル)パーオキシジカーボネート、ジ(2エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(2イソプロポキシエチル)パーオキシジカーボネート、ジベンジルパーオキシジカーボネート、ジシクロヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−t−ブチルシクロヘキシルパーオキシジカーボネート、等のパーカーボネート系開始剤、
t−ブチルパーオキシネオデカネート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、ア
ミルパーオキシネオデカネート、t−オクチルパーオキシネオデカネート、α−クミルパーオキシネオデカネート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシピバレート、アミルパーオキシピバレート、t−オクチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、α−クミルパーオキシピバレート、パーヘキシルオキサレート、ジ−t−ブチルパーオキシオキザレート、アセチルシクロヘキシルサルフォニルパーオキサイド、1.1.3.3.テトラメチルブチルパーオキシフェノキシアセテート等のパーエステル系開始剤、
ラウロイルパーオキサイド、ジイソブチルパーオキサイド、2エチルヘキサノイルパーオキサイド、3.5.5トリメチルヘキサノイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド系開始剤、
t−ブチルヒドロペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ジ−イソプロピルペルオキシジカーボネート、t−ブチルペルオキシイソブチレート、t−ヘキシルパーオキシジグリコレート等のジ−t−アルキルパーオキシジグリコレート系開始剤、
2.2’アゾビスイソブチロニトリル、2.2’アゾビス−2.4ジメチルバレロニトリル、2.2’アゾビス−4メトキシ−2.4ジメチルバレロニトリル、4,4−アゾビス(4−シアノペンタン酸)2.2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ハイドロクロライド、2.2’−アゾビス(N.N’−ジメチレンイソブチルアミジン)ハイドロクロライド等のアゾ系開始剤、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の水溶性過酸化物またはこれらにアミン、重亜硫酸ナトリウム等の還元剤を添加した系等を挙げることが出来る。
【0016】
これらは重合反応速度を均一化する為に10時間半減期の異なる重合開始剤を2種以上組み合わせて使っても良い。これらの重合開始剤はそのまま使用しても構わないし、水エマルジョン、水サスペンジョンにしても使用でき、またトルエン等の溶媒に溶解して使用しても構わない。開始剤の使用量は塩化ビニリデン系モノマー混合液に対して、0.01〜0.7重量%が好ましく、より好ましくは0.05〜0.5重量%である。さらに好ましくは0.1〜0.3重量%である。
【0017】
本発明において、懸濁分散剤としては、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリメチルビニルエーテル、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、ポリ(2−エチル−2−オキサゾリン)等のホモポリマー、無水マレイン酸−酢酸ビニル共重合体等や各種ランダムコポリマー、グラフトコポリマー、ブロックコポリマー、マクロモノマー等の合成高分子;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の水溶性セルロース誘導体;デンプン、ゼラチン等の天然高分子物質等が挙げられ、更に所望ならば上記分散安定剤に加えて補助安定剤を用いることが出来る。
【0018】
このような補助安定剤としてはアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤及び長鎖アルコール等を挙げることが出来る。この懸濁分散剤の中では、特にメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが好ましい。
また、塩化ビニリデン系共重合体樹脂組成物のスラリーpHが低下しすぎると重合機内及び、その後工程の装置の腐食速度が早くなるので、重合系内のこのような問題を可能な限り回避するために、重合初期もしくは重合途中にpHの調整のため、アルカリ性物質を必要最小限添加してもよい。
【0019】
塩化ビニリデン系モノマーの懸濁重合反応は、重合機内に塩化ビニリデン系モノマーと水と懸濁分散剤が、所定量のほぼ全量が装入され攪拌されている状態で、重合前の塩化ビニリデン系モノマー液滴の形成を行った後、開始される。重合の進行を良好なものとする
ためには反応器内を窒素、アルゴンガス等の雰囲気にすることが好ましい。
また、重合温度、重合時間については塩化ビニリデン及び重合性ビニルモノマーの種類、量、重合開始剤の種類、量及び連鎖移動剤の種類、量等によって適宜決定される。例えば、重量平均分子量が約7万から約12万の場合、重合温度は概ね35℃から65℃にて20時間から100時間であり、重量平均分子量が約9万から約20万の場合、重合温度は概ね30℃から50℃にて30時間から100時間である。
【0020】
本発明の塩化ビニリデン系共重合体樹脂には、適宜、滑剤、ゲル化改良剤、pH調整剤、連鎖移動剤、帯電防止剤、架橋剤、消泡剤、安定剤、充填剤、酸化防止剤、スケール付着防止剤などの添加剤が添加されていてもよい。これらは、重合初期、重合途中あるいは重合後に、添加することができる。
本発明の塩化ビニリデン系共重合体樹脂組成物を用いた押出加工において、公知の可塑剤、熱安定剤、加工助剤、光安定剤、顔料、滑剤、抗酸化剤、フィラー、界面活性剤などの添加剤を配合することができる。
【0021】
例えば、ジオクチルフタレート、アセチルトリブチルサイトレート、ジブチルセバケート、ジオクチルセバケートおよびジイソブチルアジペート等の可塑剤又は飽和脂肪族ジカルボン酸と多価アルコールとからなるポリエステル系可塑剤、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化ステアリン酸オクチル、エポキシ基含有樹脂等のエポキシ系安定剤、アルキルエステルのアミド誘導体酸化ポリエチレン、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、モンタンエステルワックスなどのワックス類、グリセリンモノエステル等の脂肪酸エステル、脂肪酸のモノ及びビスアミド等の滑剤:ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン系界面活性剤等の可塑剤等が挙げられる。
【0022】
上記、添加剤の配合割合は、総量で約0.01〜約10重量%が好ましく、より好ましくは0.05〜6重量%である。
また、ビタミンE類、クエン酸及びその塩類、水酸化マグネシウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸二水素ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム、酸化マグネシウムおよびカルシウムヒドロキシホスフェート、エチレンジアミン四酢酸及びその塩類、ブチルヒドロキシ−アニソール、2,2’メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチル−フェノール)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリエチレングリコール−ビス−3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、2−t−ブチル−6−(3−t−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート等のフェノール系酸化防止剤類、チオジプロピオン酸;ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート等のチオジプロピオン酸アルキルエステル;ペンタエリスリトール−テトラキス−(3−ラウリル−チオプロピオネート)等ペンタエリスリトール系のチオプロピオン酸アルキルエステルのチオエーテル系酸化防止剤類、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(モノ及び/又はジノニルフェニル)ホスファイト、4,4’−イソプロピリデンジフェノールアルキルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト)等のホスファイト系酸化防止剤類を挙げることができる。本発明において使用する酸化防止剤は二種以上を混合して用いてもよい。
【0023】
上記、熱安定剤類の配合割合は、熱安定性改良の点で、各々、0.0005〜0.4重量%が好ましく、より好ましくは0.001〜0.1重量%である
本発明においては、これらの可塑剤や熱安定剤の添加剤は、通常は塩化ビニリデン系共重合体の加工前の粉末状で混合されるが、塩化ビニリデン系モノマーの重合終了後のスラリー状態で混合されてもよく、また予め重合前の塩化ビニリデン系モノマーに添加して重合して混合してもよい。添加剤は押出時には塩化ビニリデン系共重合体に吸着または吸収
され、押出加工性に寄与する。
【0024】
その他必要に応じて公知の有機、無機顔料、球状もしくは無定形の二酸化珪素、炭酸カルシウム等のフィラー等の各種添加剤等を添加しても良い。これらの添加は、2本ロール機による混練、羽根ブレンダーやリボンブレンダー等のブレンダーによる混合、ヘンシェル高速ミキサーによる混合などにより、60℃を超える加熱混合方式または60℃以下の低温混合方式の何れでも適用できる。好ましくは50℃から室温の温度範囲で混合することが、得られる複合塩化ビニリデン共重合体樹脂組成物の熱劣化防止の点から好ましい。
塩化ビニリデン系共重合体樹脂組成物の供給方法は、押出機のホッパー部へ連続的に計量し、定量的に供給するフィーダーを用いることが好ましい。このフィーダーとしては例えばスクリューフィーダー、サークルフィーダー、電磁フィーダー、重量式フィーダー、容積式フィーダー等が挙げられる。この中では、重量フィーダーを用いて混合する方法が、押出加工時のモーター負荷の変動、押出し量の変動を抑制することができ、押出機への定常的な供給が可能となり、安定した押出加工を可能とするので好ましい。
【0025】
また、この該組成物を、真空ホッパーを経由して押出機へ供給することにより押出加工性がさらに向上する。すなわち、真空ホッパーを使用することによりダイ流出口での樹脂の付着分解、樹脂の着色および分解物の流出などの低減、インフレーション成形時のバブル破裂の減少などに効果がある。真空ホッパーの真空度は、−6.66×10−2MPa以下が好ましく、より好ましくは−7.99×10−2MPaから−10.1×10−2MPaの範囲である。
このように本発明の塩化ビニリデン系共重合体樹脂組成物は、溶融押出して延伸あるいは未延伸フィルム、シートなどに成形される。成形方法としては公知の、例えばサーキュラーダイによるインフレーション成形法などが適用できる。
また、本発明のフィルムを共押出加工が可能な他の樹脂や樹脂組成物からなるフィルムと積層しても差し支えない。
【0026】
本発明の塩化ビニリデン系共重合体樹脂組成物の食品包装用としての主な使用方法は、例えばインフレーション後、2枚に重ねてダブルプライフィルムとしてフィルム両端の耳の部分をスリットし、自動充填包装機械で円筒状にしながらシールし、内容物を充填し、両端をグリップした包装体を得るのに使われる。この時、ダブルプライフィルムのフィルム同士の密着力(膜間強度)が小さいと、自動充填包装機械で充填するときにフィルム同士が剥がれてしまい高周波シール時のトラブルとなる。膜間強度はダブルプライフィルムの一端を剥がし、5gのおもりをぶら下げて180℃ピールハクリ試験を実施し、50mm剥がれるのに要した時間で評価する。5秒以上が好ましい。
【0027】
また、自動充填包装機を使用して、充填包装された数千本の魚肉・畜肉ソーセージ・ハムを容器にランダムに重ねた状態で、ボイル・レトルト処理する場合に、フィルム同士の滑り性が悪いと、重なりあったソーセージが曲がったまま熱処理され、変形して商品価値がなくなる。このため、フィルム同士の滑り性も重要である。ソーセージ200本を20本×10段となるように容器に並べて入れ、容器の底と机面との角度が45°になるまで傾けて包装体の容器からの落ちかたで、滑り性の評価を実施する。50%以上が容器から滑り落ちることが好ましい。
【実施例】
【0028】
本発明を以下の実施例に基づいて具体的に説明する。
以下に本発明に使用される測定方法をまとめて記す。
(1)塩化ビニリデン系共重合体の塩化ビニリデン(VDC)含有量
高分解のプロトン核磁気共鳴測定装置(H−NMR:日本電子製α−400(商品名))を用いて測定する。重水素化テトラヒドロフランにサンプルを5%溶解した溶液を、測
定温度約27℃の条件下、400MHzのH−NMRで測定する。塩化ビニリデン含有量はスペクトル中のテトラメチルシランを基準とした特有の化学シフトを用いて塩化ビニリデン含有量を計算する。
例えば、塩化ビニリデンと塩化ビニルの共重合体では、3.50〜4.20ppm、2.80〜3.50ppm、2.00〜2.80ppmの間のピークから溶媒由来のピークを差し引いて求めた積分値、各々(a)、(b)、(c)として、下記計算式にて求めた。
VDC含有量(重量%)={97.0×((a)+(b)/2)×100}/{97.0×((a)+(b)/2)+62.5×((c)+(b)/2)}
【0029】
(2)塩化ビニリデン系共重合体の重量平均分子量(Mw)の測定
ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法を使用して測定した。具体的に説明すると、塩化ビニリデン系共重合体をテトラヒドロフランに0.05%溶解し、分子量既知の単分散ポリスチレンを標準物質として測定する。測定装置としては東ソー(株)製8000シリーズ(商品名)を使用した。
高周波シール適性は以下の(3)〜(5)の項目を全て満足させる必要がある。
(3)ダブルプライフィルムのフィルム−フィルム膜間強度
塩化ビニリデン系共重合体樹脂組成物を押出−インフレーション後、2枚に重ねてダブルフィルムとしてフィルム巾50mmにスリットする。スリットしたダブルプライフィルムの一端を剥がし、5gのおもりをぶら下げて180℃ピールハクリ試験を実施する。50mm剥がれるのに要した時間で評価する。
○:5秒以上
×:5秒未満
【0030】
(4)高周波シール強度
自動充填包装機(旭化成ライフ&リビング(株)社製、ADP(登録商標))でフィルム巾50mmのフィルムを円筒状に製袋し、オーバーラップ部を10mmに設定し、オーバーラップの中央にシール線巾が1.0〜1.5mmになるようシール電極をフィルムに触れながら高周波にてシールし、円筒状に形成して円筒状フィルムの内部に魚肉用すり身を充填し、両端をアルミニウム鋼線でクリップし、240本/分の充填条件で、クリップ間の長さを195mmに設定して包装体を作製する。
7500本の包装体を作製する際に、高周波シール不良による包装体の破袋本数により評価を行う。
○:0〜3本
×:4本以上
【0031】
(5)フィルム滑り性
側面部が開閉できる容器に上記(4)高周波シール強度評価時と同様にして作製したソーセージ200本を20本×10段となるように並べて入れ、容器ごと120℃で20分間レトルト処理し、その後水で冷却して、10段目の包装体の表面温度が60℃〜65℃になるように調整した後、容器の側面部を開いて机に置き、容器の底と机面との角度が45°になるまで傾けて包装体の容器からの落ちかたを下記の要領にて評価を行う。
○:50%以上落ちる
×:50%未満しか落ちない
【0032】
(6)レトルト適性(レトルト破袋率)
上記(5)フィルム滑り性評価時と同様にしてレトルト処理したソーセージ200本のレトルト後のソーセージ破袋率をもって評価した。
◎:破袋率25%未満
○:破袋率25%以上40%未満
×:破袋率40%以上
【0033】
(7)バリア性
酸素ガス透過性で評価した。酸素ガス透過度測定装置(Modern Control社製 OX−TRAN 100 TWIN)を用いて23℃、65%相対湿度で測定した。単位はml/m/day/0.1MPaであり、ダブルプライフィルムで測定した。
◎:23以下
○:23を超えて25以下
×:25を超える
【0034】
(8)押出加工性
径40mmの押出機にサーキュラーダイを設置して、塩化ビニリデン系共重合体樹脂組成物を環状に押出す(パリソンという)。ダイリップ部分に炭化物が付着して、パリソン表面に炭化物による筋状形跡が現れるまでの連続押出時間で評価した。この筋状形形跡が発生すると、ダイリップ部分の掃除が必要となり、生産を一時停止する必要がある。
◎:10時間以上パリソン表面に形跡が現れない
○:7時間以上10時間未満でパリソン表面に形跡が現れる
×:7時間未満でパリソン表面に形跡が現れる
【0035】
[実施例1]
内面がグラスライニングされた攪拌機付き反応機に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース0.1重量部を溶解した脱イオン水120重量部を投入し、攪拌開始後系内を30℃にて窒素置換後、塩化ビニリデン単量体80重量部、塩化ビニル単量体20重量部、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート0.1重量部の混合物を投入し、反応機内を45℃に昇温して重合を開始する。30時間後に降温してスラリーを取り出す。得られたスラリーを遠心式の脱水機にて水を分離し、ついで80℃の熱風乾燥機にて24時間乾燥して粉末状の塩化ビニリデン系共重合体(PVDC−1)を得た。この塩化ビニリデン系共重合体の重量平均分子量(Mw)は10万、VDC含有量は91重量%であった。
【0036】
同反応機に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース0.1重量部を溶解した脱イオン水120重量部を投入し、攪拌開始後系内を30℃にて窒素置換後、塩化ビニリデン単量体80重量部、塩化ビニル単量体20重量部、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート0.1重量部の混合物を投入し、反応機内を42℃に昇温して重合を開始する。55時間後に降温してスラリーを取り出す。得られたスラリーを遠心式の脱水機にて水を分離し、ついで80℃の熱風乾燥機にて24時間乾燥して粉末状の塩化ビニリデン系共重合体(PVDC−2)を得た。この塩化ビニリデン系共重合体の重量平均分子量(Mw)は11万、VDC含有量は89重量%であった。
【0037】
次に、PVDC−1とPVDC−2を80/20(重量%)の割合でブレンドした後、これらの塩化ビニリデン系共重合体樹脂組成物100重量部に対して、ジブチルセバケート3.0重量部、エポキシ化大豆油2.0重量部配合し、サーキュラーダイを設置した径40mm溶融押出機に供給し、溶融し管状に押出し過冷却した後、インフレーションして管状フィルムとし、この管状フィルムを偏平に押潰しダブルプライフィルムを得た。厚みは各々20μm。ダブルプライフィルムとして40μmであった。
このダブルプライフィルムのフィムル滑り性、高周波シール強度、ダブルプライフィルムの膜間強度、レトルト時の破袋(パンク)率、バリア性を評価した。結果を表1に示す。
【0038】
[実施例2〜4]、[比較例1〜6]
以下の塩化ビニリデン系共重合体PVDC−3〜PVDC−8を使用して表1のとおり
にブレンドを行い、ジブチルセバケート3.0重量部、エポキシ化大豆油2.0重量部配合し、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
なお、使用した塩化ビニリデン系共重合体の作製方法は以下のとおりである。
PVDC−3
内面がグラスライニングされた攪拌機付き反応機に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース0.1重量部を溶解した脱イオン水120重量部を投入し、攪拌開始後系内を30℃にて窒素置換後、塩化ビニリデン単量体75重量部、塩化ビニル単量体25重量部、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート0.1重量部の混合物を投入し、反応機内を35℃に昇温して重合を開始する。100時間後に降温してスラリーを取り出す。得られたスラリーを遠心式の脱水機にて水を分離し、ついで80℃の熱風乾燥機にて24時間乾燥して粉末状の塩化ビニリデン系共重合体(PVDC−3)を得た。この塩化ビニリデン系共重合体の重量平均分子量(Mw)は11万、VDC含有量は83重量%であった。
【0039】
PVDC−4
同反応機に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース0.1重量部を溶解した脱イオン水120重量部を投入し、攪拌開始後系内を30℃にて窒素置換後、塩化ビニリデン単量体80重量部、塩化ビニル単量体20重量部、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート0.1重量部の混合物を投入し、反応機内を40℃に昇温して重合を開始する。60時間後に降温してスラリーを取り出す。得られたスラリーを遠心式の脱水機にて水を分離し、ついで80℃の熱風乾燥機にて24時間乾燥して粉末状の塩化ビニリデン系共重合体(PVDC−4)を得た。この塩化ビニリデン系共重合体の重量平均分子量(Mw)は13万、VDC含有量は89重量%であった。
【0040】
PVDC−5
同反応機に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース0.1重量部を溶解した脱イオン水120重量部を投入し、攪拌開始後系内を30℃にて窒素置換後、塩化ビニリデン単量体78重量部、塩化ビニル単量体22重量部、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート0.1重量部の混合物を投入し、反応機内を35℃に昇温して重合を開始する。80時間後に降温してスラリーを取り出す。得られたスラリーを遠心式の脱水機にて水を分離し、ついで80℃の熱風乾燥機にて24時間乾燥して粉末状の塩化ビニリデン系共重合体(PVDC−5)を得た。この塩化ビニリデン系共重合体の重量平均分子量(Mw)は12万、VDC含有量は89重量%であった。
【0041】
PVDC−6
同反応機に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース0.1重量部を溶解した脱イオン水120重量部を投入し、攪拌開始後系内を30℃にて窒素置換後、塩化ビニリデン単量体80重量部、塩化ビニル単量体20重量部、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート0.1重量部の混合物を投入し、反応機内を50℃に昇温して重合を開始する。30時間後に降温してスラリーを取り出す。得られたスラリーを遠心式の脱水機にて水を分離し、ついで80℃の熱風乾燥機にて24時間乾燥して粉末状の塩化ビニリデン系共重合体(PVDC−6)を得た。この塩化ビニリデン系共重合体の重量平均分子量(Mw)は8.5万、VDC含有量は89重量%であった。
【0042】
PVDC−7
同反応機に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース0.1重量部を溶解した脱イオン水200重量部を投入し、攪拌開始後系内を30℃にて窒素置換後、塩化ビニリデン単量体85重量部、塩化ビニル単量体15重量部、t−ブチルパーオキシピバレート0.7重量部の混合物を投入し、反応機内を65℃に昇温して重合を開始する。10時間後に降温してスラリーを取り出す。得られたスラリーを遠心式の脱水機にて水を分離し、ついで80℃の熱風乾燥機にて24時間乾燥して粉末状の塩化ビニリデン系共重合体(PVDC−7
)を得た。この塩化ビニリデン系共重合体の重量平均分子量(Mw)は5万、VDC含有量は90重量%であった。
【0043】
PVDC−8
同反応機に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース0.1重量部を溶解した脱イオン水120重量部を投入し、攪拌開始後系内を30℃にて窒素置換後、塩化ビニリデン単量体83重量部、塩化ビニル単量体17重量部、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート0.1重量部の混合物を投入し、反応機内を37℃に昇温して重合を開始する。45時間後に降温してスラリーを取り出す。得られたスラリーを遠心式の脱水機にて水を分離し、ついで80℃の熱風乾燥機にて24時間乾燥して粉末状の塩化ビニリデン系共重合体(PVDC−8)を得た。この塩化ビニリデン系共重合体の重量平均分子量(Mw)は13万、VDC含有量は93重量%であった。
【0044】
[実施例5]
PVDC−1とPVDC−2を80/20(重量%)の割合でブレンドした後、これらの塩化ビニリデン系共重合体樹脂組成物100重量部に対して、ジブチルセバケート3.0重量部、エポキシ化大豆油2.0重量部配合し、サーキュラーダイを設置した径40mm溶融押出機に供給し、溶融し管状に押出した。ダイリップ部分に炭化物が付着して、パリソン表面に炭化物による筋状形跡が現れるまでの連続押出時間を評価した。結果を表2に示す。
[実施例6]、[比較例7〜9]
PVDC−1、3、4、7を使用して表2のとおりにブレンドを行い、ジブチルセバケート3.0重量部、エポキシ化大豆油2.0重量部配合し、実施例5と同様に評価した。結果を表2に示す。
【0045】
【表1】

【0046】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の塩化ビニリデン系共重合体樹脂組成物は、押出加工性、高周波シール適性、レトルト適性、ガスバリア性に優れ、魚肉・畜肉ソーセージやハム等の包装材料として用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の塩化ビニリデン系共重合体(A)と塩化ビニリデン系共重合体(B)からなる塩化ビニリデン系共重合体樹脂組成物であって、共重合体(A)の含有量が70重量%以上95重量%以下であり、共重合体(A)の重量平均分子量が共重合体(B)の重量平均分子量より小さく、且つ、共重合体(A)中の塩化ビニリデン含有量が共重合体(B)中の塩化ビニリデン含有量より大きいことを特徴とする、塩化ビニリデン系共重合体樹脂組成物。
塩化ビニリデン系共重合体(A):塩化ビニリデン含有量が50重量%以上99重量%以下であり、重量平均分子量が、7万以上12万以下である塩化ビニリデン系共重合体
塩化ビニリデン系共重合体(B):塩化ビニリデン含有量が50重量%以上97重量%以下であり、重量平均分子量が、9万以上20万以下である塩化ビニリデン系共重合体
【請求項2】
請求項1に記載の塩化ビニリデン系共重合体樹脂組成物からなるフィルムまたはシート。