説明

増幅反応分析のためのサンプリング方法および装置

本発明は核酸増幅反応の定量的分析を可能にするサンプリング方法およびサンプリング装置を提供する。増幅レジメン中に蓄積した定量的情報は詳細な増幅プロファイルの開発を可能にし、これは順次、元の鋳型の量の確実な決定を可能にする。開示した方法は、同一の増幅反応および多数の増幅反応の両者において、多数の遺伝子または転写単位の定量的発現分析のために特に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本発明は、米国特許法第119条(e)に基づいて、2002年11月21日に出願された米国仮出願第60/428,038号;2003年1月14日に出願された同第60/439,982号;および2003年1月14日に出願された同第60/440,010号(これらの各々の全体は参照として本明細書によって援用される)に対する優先権を主張する。
【0002】
(本発明の分野)
本発明の態様は核酸増幅反応のためのサンプリング方法および装置に関する。このようなサンプリング方法は、核酸増幅分析、例えば転写プロファイリング分析などから定量的情報を得るための用途を見出す。
【0003】
(背景技術)
核酸プローブ技術は、研究者らが、ヒトまたは動物の試験試料において少量存在する種々の疾患、生物、または遺伝的特徴の検出のための、その有用性を見い出すにつれて、近年急速に発達してきた。
【0004】
生物または細胞における標的化された核酸配列は、全体のDNA分子の非常に小さな部分のみであり得、その結果、大部分の標識されたDNAプローブを使用してその存在を検出することは非常に困難である。多くの研究が標的化された核酸のほんのわずかのみの分子を検出するための方法を見い出すために実施されてきた。
【0005】
当該分野における顕著な進歩は米国特許第4,683,195号;同第4,683,202号;および同第4,965,188号において記載されている。これらの特許は、プライマーがヌクレオチド重合化剤(例えばDNAポリメラーゼなど)およびデオキシリボヌクレオシド三リン酸の存在下で、標的化された核酸(鋳型と見なされる)の鎖にハイブリダイズされる増幅方法および検出方法を記載している。特定の条件下では、その結果は、ヌクレオチドがプライマーの3’末端から鋳型に沿って付加されるようなプライマー伸長産物の形成である。次いでこれらの産物は変性され、および別の伸長反応においてさらに同じプライマーについての鋳型として使用される。この変性サイクル、つまりハイブリダイゼーション、およびプライマー伸長のサイクルが多数回実行される場合(例えば25から30サイクル)、この「ポリメラーゼ連鎖反応」として知られているプロセスは、標的化された核酸の元の量を指数関数的に増大し、その結果、これは容易に検出される。
【0006】
一旦標的化された核酸が十分に増幅されると(すなわち、より多くの分子のコピーが多数回作製されると)、種々の検出手段を用いてそれを検出し得る。上記に記載した特許は、代表的な検出方法として、例えば、不溶性にされたかまたは検出可能に標識されたプローブおよびゲル電気泳動の使用を記載する。
【0007】
増幅方法のための広範な時間および温度が一般的に記載され、時間および温度の特定の組合せは、使用されるDNAポリメラーゼの型、標的化される核酸を含む核酸の混合物の複雑さ、プライマーの長さおよび特異性、標的化された核酸の長さ、pHおよびいくつかの他の反応条件および成分に大部分依存する。
【0008】
増幅反応は、多数の応用、例えば、転写プロファイリングにおいて使用されてきた。転写プロファイリングは、薬物探索、ならびに疾患の診断および予後診断のペースを加速する際の標的の同定および確証のプロセスに影響を与える可能性がある。この方法は、特定の状況:例えば、病変した細胞と正常細胞との間、対照細胞と薬物処理細胞との間、または処理に応答する細胞とそれに耐性である細胞との間で遺伝子の発現を比較する。このアプローチによって得られた情報から、治療によって標的化される特定の遺伝子が直接的に同定でき、重要なことには、疾患および処置に関与する生化学的経路が明らかになる。手短に述べると、これは生化学的標的を提供するのみならず、同時にこれらの標的の性質に接近するための方法を提供する。さらに、細胞ベースのスクリーニングと組み合わせて、転写プロファイリングは、薬物探索の分野を劇的に変化させるように位置付けられる。歴史的には、潜在的な薬物のスクリーニングは、機能的細胞系におけるマーカーとして表現型変化を使用して首尾よく実行された。例えば、培養中の腫瘍細胞の増殖をモニターして、抗癌剤を同定した。同様に、細菌の生存率は、抗生物質化合物を同定することを目的とするアッセイにおいて使用された。このようなスクリーニングは、代表的には、標的化された生化学的経路の以前の知見なしで実行された。実際、同定された効果的な化合物は、このような経路を示し、および真の分子標的を指摘し、引き続く次世代の薬物の合理的設計を可能にした。
【0009】
転写プロファイリングの現代の手段は、薬物の有効性を評価するための表現型の変化の代わりに遺伝子発現を利用する新規なスクリーニング方法を設計するために使用され得る。例えば、このような方法は、米国特許第5,262,311号:同第5,665,547号;同第5,599,672号:同第5,580,726号;同第6,045,988号;および同第5,994,076号、ならびにLuehrsenら(1997、Biotechniques、22:168−74)ならびにLiangおよびPardee(1998、Mol Biotechnol.10:261−7)において記載されている。このアプローチは、表現型スクリーニングが応用できないが、望ましい転写プロファイルが容易に確立され、かつ特定の障害に関連付けられ得る、例えば痴呆、認識機能障害、うつ病などの中枢神経系(CNS)障害の分野において薬物探索のために貴重である。再度、同定された効果的な化合物は内在する分子プロセスを明らかにする。さらに、この方法は、現存する薬物の改良型の開発に役立ち、これは、所望の薬理学的な効果をもたらすために同時にいくつかの生化学的標的に作用する。このような場合において、転写的応答の変化は、多数の標的との結合の最適化に基づいた選抜よりも、薬物作用に関するより良好なマーカーであり得る。
【0010】
転写プロファイリングの多数の進歩した方法は、DNAマイクロアレイを使用する技術に基づいており、例えば、Greenberg、2001 Neurology 57:755−61;Wu、2001、J Pathol.195:53−65;Dhimanら、2001、Vaccine 20:22−30;Bierら、2001 Fresenius J Anal Chem.371:151−6;Millsら、2001、Nat Cell Biol.3:E175−8において概説され、および米国特許第5,593,839号;同第5,837,832号;同第5,856,101号;同第6,203,989号;同第6,271,957号;および同第6,287,778号において記載されている。DNAマイクロアレイ分析は、mRNAの逆転写によって得られた標識されたポリヌクレオチド試料の、試験アレイの表面に結合したDNA分子へのハイブリダイゼーションを評価することによって、所定の試料中で数千の遺伝子の発現の同時比較を提供する方法である。
【0011】
核酸増幅技術の感度を用いて可能であると考えられる最も追求された利点の1つは、増幅前の試料中に存在する鋳型の量の確実な計量である。このような方法は、例えば、転写プロファイリングにおいて直接的な応用を見い出す。増幅反応の高感度および忠実度により、生成される増幅産物の量からの元の鋳型の含有量を外挿することが可能になる。しかし、増幅速度は、鋳型および増幅プロセスの段階に対して様々であり、これにより核酸増幅手順の定量的な潜在性を十分に実現することが難しい。
【0012】
元の鋳型の量を確実に反映するデータを得るために、すべての標的配列が増幅の指数的成長相(exponential phase)にある時点での、定量的データを収集することが必要である(なぜならば、増幅が極めて再現可能で、かつ増幅前の鋳型分子の量を正確に反映するのは、この相においてのみであるから)。所定のサイクル数における指数的成長相の間の反応の分析は、理論的にはけた違いの値のダイナミックレンジを提供するはずである。しかし、少量の標的はしばしば設定サイクル数において検出限界より下であるのに対して、豊富な標的は指数的成長相を過ぎる。実際上、2−3logのダイナミックレンジは、相対的PCRの終点の間に定量され得る。この範囲を拡張するために、複製反応をより多いかまたはより少ない数のサイクルにて実施し、その結果、すべての試料が指数的成長相において分析され得る。
【0013】
Hollandら(1991、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.88:7276−7280)、米国特許第5,210,015号、および他の文献は、PCR中の増幅産物のリアルタイム測定を備える蛍光に基づくアプローチを開示した。このようなアプローチは、存在する二本鎖DNAの量を示すための挿入色素(例えば臭化エチジウム)を利用してきたか、またはこれらは蛍光−消光剤対を含むプローブ(ここでこのプローブは増幅中に切断されて蛍光分子を放出し、その濃度は存在する二本鎖DNAの量に比例する。)を利用してきた(「Taq−Man」アプローチとも呼ばれる)かのいずれかであった。増幅中、このプローブを、標的配列にハイブリダイズして蛍光分子が消光剤分子から分離するようにするとき、このプローブはポリメラーゼのヌクレアーゼ活性によって消化され、それによってレポーター分子からの蛍光が現れるようになる。
【0014】
このTaq−Manアプローチは「下流の」、すなわち、プライマー結合部位の伸長の方向に標的ポリヌクレオチドの領域に特異的にアニールするレポーター分子−消光剤分子対を含むオリゴヌクレオチドプローブを使用する。レポーター分子および消光剤分子は互いに十分に近接してプローブ上に配置され、その結果、レポーター分子が励起されるときには常に、励起状態のエネルギーが非放射的に消光剤分子に移動し、そこでこれは非放射的に消散するか、またはレポーター分子のそれとは異なる発光周波数で発光するかのいずれかである。DNAポリメラーゼによる鎖伸長の間、プローブは鋳型にアニールし、そこでそれはポリメラーゼの5’→3’エキソヌクレアーゼ活性によって消化される。プローブが消化された結果、レポーター分子は消光剤分子から効率的に分離され、その結果、この消光剤分子は、もはやレポーター分子の蛍光を消光するほどそのレポーター分子に近接していない。したがって、ますますプローブが増幅中に消化されて、溶液中のレポーター分子の数が増加し、その結果、ますます強力な蛍光シグナルを産生する消光していないレポーター分子の数が増加する。
【0015】
他の最も一般的に使用されているリアルタイムPCRアプローチは、いわゆる「分子ビーコン」技術を使用する。このアプローチはまた、オリゴヌクレオチドプローブ上の消光剤−蛍光プローブ対の存在に基づく。ビーコンアプローチにおいて、プローブは、ステム−ループ構造を用いて設計され、分子の2つの末端は蛍光プローブおよびその蛍光プローブの消光剤でそれぞれ標識される。標的ポリヌクレオチドの不在下において、分子のいずれかの末端上の相補的配列はステム構造を可能にし、分子の標識された末端を引きあわせて、その結果、蛍光プローブからの蛍光が消光される。ループに相補的な配列およびビーコンプローブのステム構造の部分を有する標的ポリヌクレオチドの存在下において、標的へのプローブの分子内ハイブリダイゼーションは、分子内ステム−ループ形成よりもエネルギー的に有利に働き、蛍光プローブおよび消光剤の分離を生じ、その結果、蛍光シグナルが蛍光プローブの励起に際して発光される。より多くの標的が存在すると、より多くのプローブがそれにハイブリダイズし、そしてより多くの蛍光プローブが消光から解放され、リアルタイムでの増幅プロセスの読み取りを提供する。
【0016】
キャピラリー電気泳動は遺伝子発現を定量的に検出するために使用されてきた。Rajevicら(2001、Pflugers Arch.442(6補遺1):R190−2)は、多数の癌遺伝子の発現の違いを同時に検出するための、7対のプライマーを使用することによって、癌遺伝子の特質的な発現を検出する方法を開示している。センスプライマーは蛍光色素で5’末端標識され、多重化蛍光RT−PCRの結果はABI−PRISM 310 Genetic Analyzer上のキャピラリー電気泳動によって分析された。Borsonら(1998、Biotechniques 25:130−7)は、生成物の迅速な分離および検出のためにキャピラリー電気泳動(CE)と連携させた定量的競合逆転写PCR(QC−RT−PCR)に基づく豊富でないmRNA転写産物の信頼できる定量に関する、方法を記載する。Georgeら(1997、J.Chromatogr.B.Biomed.Sci.Appl.695:93−102)は、蛍光ディファレンシャルディスプレイ生成ESTパターンの同定への、キャピラリー電気泳動システム(ABI 310)の応用を記載している。Odinら(1999、J.Chromatogr.B.Biomed.Sci.Appl.734:47−53)は、PCR増幅されたcDNAの分離および定量のための多色検出を用いる自動キャピラリーゲル電気泳動を記載している。
【0017】
(本発明の概要)
増幅レジメン中の多数の時点における、1種または複数の増幅産物の量をモニターするリアルタイム増幅方法を提供する。サンプリング方法は、増幅レジメン中に増幅反応混合物からアリコートを引き出すかまたは押し出す。次いで、定量的分析がサンプリングされた核酸増幅反応に対して予備形成され得る。増幅レジメン中に蓄えられた定量的情報を使用することで、元の鋳型の量を確実に決定することを次々と可能にする詳細な増幅プロファイルを開発することができる。
【0018】
本発明は核酸増幅を分析する方法を含み、前記方法は以下の工程を包含する:
複数の異なる増幅鋳型を含む核酸増幅反応混合物を備える工程;
前記反応混合物を増幅レジメンに適用する工程;
前記増幅レジメン中の複数の段階において、前記反応混合物からアリコートを分配または引き出す工程;
前記アリコート中の核酸を分離および検出する工程;
前記アリコート中の分離された複数の核酸種の量を決定する工程;ならびに
前記各段階からの前記分離された核酸種の各々について、前記種の量を、前記種を含む前記アリコートが分配された段階と相関付ける工程であって、ここで前記相関付ける工程が前記核酸増幅の増幅プロファイルを作成する、工程。
【0019】
1つの実施形態において、前記複数の異なる増幅鋳型は少なくとも3種の異なる増幅鋳型を含む。
【0020】
別の実施形態において、前記複数の異なる増幅鋳型は少なくとも5種の異なる増幅鋳型を含む。
【0021】
別の実施形態において、前記複数の異なる増幅鋳型は少なくとも10種の異なる増幅鋳型を含む。
【0022】
別の実施形態において、前記複数の異なる増幅鋳型は少なくとも20種の異なる増幅鋳型を含む。
【0023】
別の実施形態において、前記複数の異なる増幅鋳型は少なくとも50種の異なる増幅鋳型を含む。
【0024】
別の実施形態において、前記複数の異なる増幅鋳型は少なくとも100種の異なる増幅鋳型を含む。
【0025】
別の実施形態において、前記複数の異なる増幅鋳型は少なくとも200種の異なる増幅鋳型を含む。
【0026】
別の実施形態において、複数の増幅反応混合物を前記方法に適用する。別の実施形態において、複数の増幅反応混合物を前記方法に同時に適用する。
【0027】
別の実施形態において、前記方法は複数の増幅された核酸種についての増幅プロファイルを作成する。
【0028】
別の実施形態において、前記増幅プロファイルは、前記増幅レジメンの開始時に前記核酸増幅反応混合物中に存在する核酸種の量に関する定量的情報を備える。
【0029】
別の実施形態において、前記増幅プロファイルは転写プロファイルである。
【0030】
別の実施形態において、前記核酸増幅レジメンは温度サイクリングを含む。
【0031】
別の実施形態において、前記核酸増幅レジメンは等温サイクリングを含む。
【0032】
別の実施形態において、前記核酸増幅レジメンはPCRを含む。
【0033】
別の実施形態において、前記核酸増幅レジメンはリガーゼ媒介増幅、NASBA、およびローリングサイクル増幅からなる群より選択される方法を含む。
【0034】
別の実施形態において、前記アリコートが複数のアリコート受取部位を有する容器(receptacle)に分配される。1つの実施形態において、この容器はマルチウェルプレートである。別の実施形態において、この容器は複数のCEキャピラリーを含む。
【0035】
別の実施形態において、前記アリコートはアリコート中で混合することなく、複数のアリコートを保持することができる容器の中またはその上に分配される。
【0036】
別の実施形態において、前記増幅レジメンはサイクル性である。別の実施形態において、前記分配する工程または前記引き出す工程を各複数のサイクルの後で実施する。別の実施形態において、前記分配する工程または前記引き出す工程を、前記レジメンにおけるすべてのサイクルの後で実施する。
【0037】
別の実施形態において、前記分離する工程は電気泳動を含む。
【0038】
別の実施形態において、前記分離する工程はキャピラリー電気泳動を含む。
【0039】
別の実施形態において、前記分離する工程は液体クロマトグラフィーを含む。
【0040】
別の実施形態において、前記検出する工程は1種または複数の蛍光標識の検出を含む。
【0041】
別の実施形態において、前記検出する工程は質量分析法を含む。
【0042】
別の実施形態において、前記増幅レジメンをコンテナ中で実施し、かつ前記アリコートの分配を前記コンテナから前記アリコートを引き出すことによって実施する。別の実施形態において、前記コンテナはウェルまたは試験管である。
【0043】
別の実施形態において、前記増幅レジメンをコンテナ中で実施し、かつ前記分配を前記コンテナから前記アリコートを押し出すことによって実施する。
【0044】
別の実施形態において、前記増幅レジメンを、一方または両方の末端に開口部を有するコンテナ中で実施する。別の実施形態において、前記コンテナはキャピラリー管である。
【0045】
本発明はさらに、第1の遺伝子発現要素と第2の遺伝子発現要素との間の複数のRNA転写産物の発現を分析する方法を含み、前記方法は以下の工程を包含する:
第1の核酸増幅反応混合物を提供する工程であって、前記混合物が複数の異なる増幅鋳型を含み、ここで前記増幅鋳型が第1の遺伝子発現要素からの複数のRNA転写産物からの逆転写産物を含む、工程;
第2の核酸増幅反応混合物を提供する工程であって、前記混合物が複数の異なる増幅鋳型を含み、ここで前記増幅鋳型が第2の遺伝子発現要素からの複数のRNA転写産物からの逆転写産物を含む、工程;
前記反応混合物を増幅レジメンに適用する工程;
前記増幅レジメン中の複数の段階において前記第1の反応混合物および第2の反応混合物からアリコートを分配するかまたは引き出す工程:
前記アリコート中の核酸を分離および検出する工程;
前記アリコート中の複数の分離された核酸種の量を決定する工程;
各段階からの分離された核酸種の各々について、前記種の量を、前記種を含む前記アリコートが分配された段階と相関付ける工程であって、それによって前記第1の遺伝子発現要素および第2の遺伝子発現要素によって発現された前記複数のRNA転写産物の転写プロファイルを生成する工程;ならびに
前記第1の遺伝子発現要素からの前記転写プロファイルを、前記第2の遺伝子発現要素からの前記転写プロファイルと比較する工程。
【0046】
1つの実施形態において、前記複数のRNA転写産物は少なくとも3種の異なるRNA転写産物を含む。
【0047】
別の実施形態において、前記複数のRNA転写産物は少なくとも5種の異なるRNA転写産物を含む。
【0048】
別の実施形態において、前記複数のRNA転写産物は少なくとも10種の異なるRNA転写産物を含む。
【0049】
別の実施形態において、前記複数のRNA転写産物は少なくとも20種の異なるRNA転写産物を含む。
【0050】
別の実施形態において、前記複数のRNA転写産物は少なくとも50種の異なるRNA転写産物を含む。
【0051】
別の実施形態において、前記複数のRNA転写産物は少なくとも100種の異なるRNA転写産物を含む。
【0052】
1つの実施形態において、前記複数のRNA転写産物は少なくとも200種の異なるRNA転写産物を含む。
【0053】
別の実施形態において、前記増幅レジメンはサイクル性である。別の実施形態において、前記核酸増幅レジメンは温度サイクリングを含む。別の実施形態において、前記核酸増幅レジメンは等温サイクリングを含む。別の実施形態において、前記核酸増幅レジメンはPCRを含む。別の実施形態において、前記核酸増幅レジメンはリガーゼ媒介増幅、NASBA、およびローリングサイクル増幅からなる群より選択される方法を含む。
【0054】
別の実施形態において、前記アリコートが複数のアリコート受取部位を有する容器に分配される。別の実施形態において、前記容器はマルチウェルプレートである。別の実施形態において、前記容器は複数のCEキャピラリーを含む。
【0055】
別の実施形態において、前記アリコートを、アリコート中で混合することなく、複数のアリコートを保持することができる容器の中またはその上に分配する。
【0056】
別の実施形態において、前記分配する工程または引き出す工程は複数のサイクルの後で実行される。
【0057】
別の実施形態において、前記分配する工程または引き出す工程を前記レジメンにおけるすべてのサイクルの後で実施する。
【0058】
別の実施形態において、前記分離する工程は電気泳動を含む。
【0059】
別の実施形態において、前記分離する工程はキャピラリー電気泳動を含む。
【0060】
別の実施形態において、前記分離する工程は液体クロマトグラフィーを含む。
【0061】
別の実施形態において、前記検出する工程は1種または複数の蛍光標識の検出を含む。
【0062】
別の実施形態において、前記検出する工程は質量分析法を含む。
【0063】
別の実施形態において、前記増幅レジメンをコンテナ中で実施し、かつ前記アリコートの分配が前記コンテナから前記試料を引き出すことによって実施する。
【0064】
別の実施形態において、前記コンテナはウェルまたは試験管である。
【0065】
別の実施形態において、前記増幅レジメンをコンテナ中で実施し、ここにおいて前記分配を前記コンテナから前記アリコートを押し出すことによって実施する。
【0066】
別の実施形態において、前記コンテナはキャピラリー管である。
【0067】
本発明の1つの態様に従って、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)装置を備える。溶液ホルダーは、反応混合物の複数の試料を別々に保持する。熱交換構造は、特定の持続時間で、複数の温度の間での反応混合物の複数の試料の温度を、サイクル的に制御する。装填装置を、試料を溶液ホルダーに装填するために備えてよい。アリコート分配機構は、前記溶液ホルダーによって保持される複数の試料のセットの各々から(すべてまたは任意のサブセット)、それぞれ別々のアリコートホルダーに、または別の機器もしくは機器モジュールに直接的に、所定の試料の複数のアリコートを分配または引き出す。
【0068】
本発明の別の態様に従って、核酸増幅装置を備える。溶液ホルダーは反応混合物の複数の試料を別々に保持する。反応システムを備え、これにより、各試料の反応混合物中の特定の核酸が増幅される。装填装置を、試料を溶液ホルダーに装填するために備えてよい。アリコート分配機構は、前記溶液ホルダーによって保持される複数の試料のセットの各々から、それぞれ別々のアリコートホルダーに所定の試料の複数のアリコートを分配する。
【0069】
(本発明の詳細な説明)
定義
本明細書で使用する、用語「自動的」は、人間の介入なしで複数の動作を行うプロセスまたは動作をいう;すなわち、機械がコンピュータの制御下で動作を実施する。核酸増幅装置(例えば、PCRデバイス)において、試料からアリコートを分配することの関連において、このようなアリコートは、複数のアリコートを試料(増幅装置中で反応を受ける反応混合物を含む)から、人間の介入なしで各アリコートホルダーに分配する場合に、自動的に分配される。
【0070】
本明細書で使用する、用語「試料」は、その天然の環境から単離され、ポリヌクレオチドを含む、生物学的物質をいう。本発明による「試料」は、精製もしくは単離されたポリヌクレオチドからなってもよく、またはそれは、組織試料、生物学的液体試料、もしくはポリヌクレオチドを含む細胞試料のような生物学的試料を含んでよい。生物学的液体には、血液、血漿、唾液、尿、脳脊髄液、洗浄液、およびロイコフォレシス(leukophoresis)試料が含まれる。本発明の試料は、任意の植物、動物、細菌、またはポリヌクレオチドを含む任意のウイルス性物質を含み得る。
【0071】
本明細書で使用する、「特定の試料に由来するポリヌクレオチド分子」は、特定の試料から単離されたポリヌクレオチドであり得るか、または特定の試料から、例えば逆転写(RT)またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、核酸配列に基づく増幅(NASBA)、鎖置換増幅(SDA)の技術、および当該分野において公知である任意の他の核酸増幅技術を通して合成されたポリヌクレオチドであり得る。
【0072】
本明細書で使用する、用語「増幅プロファイル」または等価な用語「増幅曲線」および「増幅プロット」は、増幅レジメンにおける2つまたはそれ以上の段階で目的の核酸配列に取り込まれた検出可能な標識からのシグナルを表す数学的曲線を意味し、サイクル数または試料が引き出されたかまたは押し出された段階の関数としてプロットされる。この増幅プロファイルは、好ましくは、個々の反応試料中の核酸のキャピラリー電気泳動分離後に検出される各バンドの蛍光をプロットすることによって成り立つ。大部分の市販の蛍光検出器は、検出されるシグナルに基づく曲線を作成することを可能にするソフトウェアとインターフェース接続される。
【0073】
本明細書で使用する、用語「アリコート」とは、調製された反応混合物から取られた試料容量をいう。アリコートの容量は変化し得るが、一般的に、所定の実験的な実行内で一定である。アリコートは、全体の反応混合物の容量より少ない。増幅レジメン中に引き出されるX個のアリコートが存在する場合、アリコートの容量は、反応容量の1/X倍以下である。
【0074】
本明細書で使用する、用語「分配する(dispense)」は、分配する、移動する、引き出す、押し出す、または除去することを意味する。
【0075】
本明細書で使用する、用語「反応チャンバー(reaction chamber)」は、反応(例えば、増幅反応または抽出プロセス)を受けているか、または反応を受けようとしている反応物質を配置するための流体チャンバーをいう。「反応チャンバー」は、最小の非特異的吸着力を示すか、または最小の非特異的吸着力を示すように処理されている任意の適切な材料から構成され得、例えば、この限りではないが、ガラス、プラスチック、ナイロン、セラミック、またはそれらの組合せが含まれる。
【0076】
本明細書で使用する、用語「増幅産物」とは、特定のポリヌクレオチド配列および/またはその相補的配列のすべてまたは一部のコピーであるポリヌクレオチドをいい、これはヌクレオチド配列において鋳型のポリヌクレオチド配列およびその相補的配列に対応する。本発明に従う「増幅産物」はDNAまたはRNAであり得、二本鎖または一本鎖であり得る。
【0077】
本明細書で使用する、用語「合成」および「増幅」は、特定のポリヌクレオチド配列のコピーを作製するため、または特定のポリヌクレオチド配列のコピー数または量を増加させるための反応をいうために交換可能に使用される。これは、限定はされないが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、核酸配列に基づく増幅(NSBA)、鎖置換増幅などのインビトロ方法、または当該分野において公知の任意の他の方法によって達成され得る。例えば、ポリヌクレオチド増幅は、いずれか特定のポリヌクレオチド配列、すなわち、標的ポリヌクレオチド配列または標的ポリヌクレオチドを最初に存在するよりも多い量で産生するために、ポリメラーゼおよび一対のオリゴヌクレオチドプライマーを使用するプロセスであり得る。
【0078】
本明細書で使用する、「標的ポリヌクレオチド」は、ポリヌクレオチド配列であり、生物学的試料中のその量を分析するためのものである。標的ポリヌクレオチドは、その発現レベルを分析する前に単離または増幅され得る。例えば、標的ポリヌクレオチドは、それを増幅するために使用される一対のオリゴヌクレオチドプライマーの2つのメンバーのハイブリダイゼーション領域間に存在する配列であってよい。標的ポリヌクレオチドはRNAまたはDNAであり得、例えば、これはmRNAまたはcDNA、遺伝子またはその一部のコード領域であり得る。標的ポリヌクレオチド配列は、一般的には、より大きな「鋳型」配列の一部として存在する。しかし、いくつかの場合において、標的配列および鋳型は同じである。「鋳型配列」は、一般的には、増幅の前に最初に存在するポリヌクレオチド配列をいうが、増幅反応からの生成物もまた、次の増幅反応において鋳型として使用され得る。「標的ポリヌクレオチド」または「鋳型配列」は、特定の配列であるかまたはそれを含む、天然のポリヌクレオチド(例えば、野生型)または変異体ポリヌクレオチドであり得る。
【0079】
本明細書で使用する、「オリゴヌクレオチドプライマー」とは、ポリヌクレオチド鋳型に相補的である伸長産物を産生するために、ポリヌクレオチド鋳型にアニールし、かつ3’末端を備えることが可能なポリヌクレオチド分子(すなわち、DNAまたはRNA)をいう。開始および伸長のための条件には、適切な緩衝液中(「緩衝液」には、コファクターであるか、またはpH、イオン強度などに影響を与える代替物が含まれる)および適切な温度における、4種の異なるデオキシリボヌクレオシド三リン酸および例えばDNAポリメラーゼまたは逆転写酵素などの重合誘導剤の存在が通常含まれる。本明細書に従うプライマーは、一本鎖または二本鎖であってよい。このプライマーは増幅において最大効率のためには一本鎖であり、そしてこのプライマーおよびその相補体は二本鎖ポリヌクレオチドを形成する。しかしこれは二本鎖でもよい。記載した方法の特定の実施形態における「プライマー」は、100ヌクレオチド長以下、例えば、90、または80、または70、または60、または50、または40、または30、または20、または15、または10ヌクレオチド長以下である。
【0080】
本明細書で使用する、「ポリヌクレオチド(polynucleotide)」は一般的には、任意のポリリボヌクレオチドまたはポリデオキシリボヌクレオチドをいい、これは修飾されていないRNAもしくはDNA、または修飾されたRNAもしくはDNAであってよい。「ポリヌクレオチド」には、非制限的に、一本鎖および二本鎖のポリヌクレオチドが含まれる。本明細書で使用する、用語「ポリヌクレオチド(polynucleotide(s))」はまた、上記のようなDNA(DNAs)およびRNA(RNAs)を含み、これは1つまたは複数の修飾された塩基を含む。したがって、安定性のためまたは他の理由のために修飾されたバックボーンを有するDNA(DNAs)またはRNA(RNAs)は「ポリヌクレオチド(polynucleotides)」である。用語「ポリヌクレオチド」は、それが本明細書中で使用する場合、このような化学的、酵素的、または代謝的に修飾された型のポリヌクレオチド、ならびにウイルスおよび例えば単純細胞および複雑型細胞を含む細胞に特徴的なDNAおよびRNAの化学型を含む。本発明のために有用であるポリヌクレオチドは、単離もしくは精製されたポリヌクレオチドであり得、またはそれは増幅反応において増幅されたポリヌクレオチドであり得る。
【0081】
本明細書で使用する、「単離された」または「精製された」は、ポリヌクレオチドに関して使用する場合、天然に生成する配列がその通常の細胞の(例えば、染色体の)環境から取り出されたこと、または非天然の環境中で合成されていること(例えば、人工的に合成されていること)を意味する。したがって、「単離された」または「精製された」配列は、無細胞溶液中にあり得るか、または異なる細胞環境中に配置されてよい。用語「精製された」は、その配列が唯一の存在するヌクレオチドであることを意味するのではないが、それは、その配列とともに、天然に付随する非ヌクレオチド物質またはポリヌクレオチド物質を実質的に含まず(約90〜95%から99〜100%まで純粋)、したがって、単離された染色体から区別されることを意味する。
【0082】
本明細書で使用する、用語「cDNA」とは、RNA依存性DNAポリメラーゼ(例えば、逆転写酵素)の作用によってRNA鋳型から産生される相補的ヌクレオチドまたはコピーヌクレオチドをいう。「cDNAクローン」とは、クローニングベクターにてもちこまれる、目的のRNA分子に相補的な二本鎖DNA配列をいう。
【0083】
本明細書で使用する、「ゲノムDNA」とは、RNA転写産物からコピーされた相補性DNAに対照的である染色体DNAをいう。「ゲノムDNA」は、本明細書で使用する、単一細胞中に存在するDNAのすべてでもよいし、または単一細胞中に存在するDNAの一部でもよい。
【0084】
用語「発現」は、細胞または無細胞系におけるタンパク質またはヌクレオチド配列の産生をいい、RNA産物への転写、転写後修飾および/またはその産物をコードするDNAからのタンパク質産物もしくはポリペプチドへの翻訳、ならびに可能である翻訳後修飾が含まれる。
【0085】
本明細書で使用する、用語「遺伝子発現要素」とは、RNA転写産物のような1種または複数の遺伝子を発現する細胞、組織、または生物をいう。この用語はまた、細胞、組織、または生物によってなりたたない要素を含むが、とはいえ例えばインビトロ転写反応など、核酸鋳型からRNA転写産物を産生する。
【0086】
本明細書で使用する、用語「発現プロファイル」または「転写プロファイル」とは、試料中の1種または複数の遺伝子の定量的(すなわち、量)および定性的発現の表現をいう。好ましくは、転写プロファイルは、試料中の多数の(すなわち、少なくとも3、好ましくは少なくとも5、10、15、20、30、50、100、200、500、1000、10,000、またはそれ以上の)遺伝子または転写単位の活性を記載する。生物学的試料についての転写プロファイルは、1つまたは複数の増幅レジメンからの核酸増幅プロファイルから組み立てられえる。
【0087】
本明細書で使用する、用語「転写プロファイルを比較する」は、2つまたはそれ以上の試料における1つまたはそれ以上のポリヌクレオチドの差別的な発現を比較することをいう。比較は個々の単位複製配列または単位複製配列のセットの存在、不在、および/またはその量を含む発現の全体のパターンの間であり得る。比較は手動であり得るか、または自動化され得る。
【0088】
本明細書で使用する、用語「量」とは、試料中の標的ポリヌクレオチドの量(例えば、μg、μmol、またはコピー数で測定される)をいう。ポリヌクレオチドの「量」は、例えば、Basic Methods in Molecular Biology、(1986、Davisら、Elsevier、NY);およびCurrent Protocols in Molecular Biology(1997、Ausubelら、John Wiley & Sons,Inc.)において記載されるように、当該分野で周知の方法によって(例えば、UV吸収によって、ゲル上での既知の長さおよび量の参照とのバンド強度の比較によって)測定され得る。本発明においてポリヌクレオチドの量を測定する1つの方法は、このようなポリヌクレオチドによって放射される蛍光強度を測定し、かつ参照ポリヌクレオチド、すなわち、既知の量のポリヌクレオチドによって放射される蛍光強度とそれを比較することである。
【0089】
本明細書で使用する、用語「サンプリングデバイス」とは、増幅レジメン中に増幅からのアリコートを引き出すかまたは押し出す機構をいう。本明細書中の実施形態におけるサンプリングデバイスは、例えば、単一の試料を引き出した後にいずれも廃棄するピペットチップもしくは針を使用することによって、または各試料を引き出した後に針もしくはチップを1回または複数回洗浄する工程を組み込むことによって、増幅反応物の汚染を最小化するように適合される。あるいはまた、サンプリングデバイスは、アリコートをキャピラリーに装填するために増幅反応物を直接的にキャピラリー電気泳動に使用するように、キャピラリーと接触し得る。あるいはまた、サンプリングデバイスは、増幅レジメンにおける特定のサイクルまたは時点で開いている制御可能なバルブに接続された流体ライン(例えば、チューブ)を含み得る。当該分野において公知のサンプリングデバイスには、例えば、96ウェルプレートへのサンプリング、またはそれからのサンプリングのために適合される、多目的Robbins Scientific Hydra 96ピペッターが含まれる。このデバイスまたは他のデバイスが、本発明の方法に従う使用のために容易に適合され得る。
【0090】
本明細書で使用する、用語「ロボットアーム」は、1つの位置から別の位置まで、試料、チューブ、または試料を含むプレートを物理的に移動させる、好ましくはマイクロプロセッサによって制御されるデバイスを意味する。各位置はモジュラー装置における単位であり得る。本発明に従って有用であるロボットアームの例は、Mitsubishi RV−E2 Robotic Armである。ロボットアームの制御のためのソフトウェアは、そのアームの製造業者から一般的に入手可能である。
【0091】
本明細書で使用する、用語「マルチウェルプレート」とは、液体試料の沈着および保持のための多数の(例えば、少なくとも2、しかし頻繁には、5、8、12、24、36、96、または384の)個別的な部位を含む容器をいう。これらの部位は、プラスチックまたは同様の材料の一部分の中またはその上に形成されたくぼみまたはウェルであり得、好ましくは、規則的なパターンで、例えば、グリッド中に配列される(例えば、96ウェルプレートは、一方の次元に8ウェルの長方形格子、および他方の次元に12ウェルを備える)。増幅反応のアリコートはまた、沈着したアリコート中で混合が生じないように、アリコートが沈着される限り、平らな表面(すなわち、くぼみまたはウェルを有さないもの)に沈着し得ることが知られている。
【0092】
本明細書で使用する、用語「増幅鋳型」とは、相補鎖の酵素的重合のための鋳型として作用し得る核酸をいう。増幅鋳型は、DNA、RNA、およびPNAを含み得、および二本鎖または一本鎖であり得る。
【0093】
本明細書で使用する、用語「増幅レジメン」は、目的の核酸配列の量を特異的に増幅するプロセスを意味する。増幅レジメンは最も頻繁には「サイクル性」であり、すなわち、これらは通常、鋳型核酸の熱変性の反復工程とともに、プライマーアニーリングおよび重合の反復工程から構成される。サイクル性増幅レジメンは、好ましくは、熱変性、オリゴヌクレオチドプライマーの鋳型分子へのアニーリング、およびアニールされたプライマーの核酸ポリメラーゼ伸長からなる反復サイクルの少なくとも2、および好ましくは、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、またはそれ以上を含む。これらの工程の各々のために必要である条件および時間は当該分野において周知である。増幅レジメンを使用して達成される増幅は、好ましくは指数関数的であるが、あるいは直線的であってもよい。他の増幅レジメンは、非サイクル性または連続性である。非サイクル性増幅は、一旦開始されると完了まで進行し、そして最も頻繁には、RNAポリメラーゼ認識部位を有する鋳型、ならびにRNAポリメラーゼおよび逆転写酵素の作用を含む。
【0094】
本明細書で使用する、用語「熱サイクル増幅レジメン」とは、熱変性、プライマーアニーリング、およびプライマー伸長または重合の複数のサイクルを含む増幅レジメンをいう。
【0095】
本明細書で使用する、用語「等温」は、増幅レジメンに適用される場合、増幅が、一旦開始されると、鋳型核酸の熱変性を含むサイクルの必要なしに単一の温度で進行することを意味する。
【0096】
本明細書で使用する、語句「複数の段階において反応混合物からアリコートを分配する」とは、増幅レジメン中、少なくとも2回、および好ましくは少なくとも3、4、5、10、15、20、30またはそれ以上の回数の、アリコートの引き出しまたは押し出しをいう。「段階」は、所定のサイクルの数の後の時点をいい、または、増幅レジメンが非サイクル性である場合、そのレジメンの開始後の選択された時点をいう。
【0097】
本明細書で使用する、用語「押し出す」は、アリコートが、ベッセルの別の末端または開口部に適用された圧力、例えば、空気圧によって、反応ベッセルの1つの末端または開口部から強制的に出されることを意味する。
【0098】
本明細書で使用する、用語「核酸種の量に関する定量的情報」とは、核酸種の量に関する情報をいう。この定量的情報は相対的(例えば、別の試料中のその核酸の量に対する倍数比較)または絶対的であり得る。
【0099】
(好ましい実施形態の説明)
1つの態様において、本発明は、核酸配列の複数の種(例証された実施形態においては多数の種)の増幅を同時に定量的にモニターするため、および分析するためのシステム、装置、方法、および任意の1つまたは複数のそれらの一部に関する。
【0100】
本発明の1つの態様に従って、核酸配列の増幅を定量的にモニターするための方法を備える。本発明の所定の作用において、核酸増幅反応混合物を備える。この混合物は複数の核酸種を含む。増幅レジメンがこの混合物にて実施され、これにより、複数の核酸種が同時に増幅されえる。反応混合物のアリコートが増幅レジメンの完了に先立つ間隔で分配される。アリコート中の核酸種は分離および検出される。複数の分離された種のそれぞれ1つに対して、アリコート中のこれらの分離された核酸種の量が同時に決定される。
【0101】
この方法は、複数の核酸種(例えば、転写産物、遺伝子)−特定の例証された実施形態においては多数(数十、数百、数千など)の核酸種に対する高スループット定量的発現分析を容易にする。
【0102】
この増幅レジメンを複数の独立した核酸増幅混合物に対して実施しえる。複数の独立した増幅混合物は、マルチウェルコンテナ上に存在し得る。例証された実施形態において、増幅レジメンは温度サイクリング、例えばPCRを含む。
【0103】
分配する工程は、増幅レジメンにおける1つまたは複数のサイクルの後で実施し得る。例えば、この分配する工程は増幅レジメンの各サイクルの後で実施し得る。分離する工程は、キャピラリー電気泳動によって実施してよい。例証された実施形態において、複数の分離された種は複数の遺伝子のRNA転写産物から増幅される。
【0104】
1つの態様において、本明細書に記載のアリコート分配装置は、核酸配列、好ましくは複数の配列の増幅をモニターする方法において使用され得る。このような方法において、核酸増幅レジメン中に(例えば、1回または複数回のサイクル後、好ましくは各サイクルまでおよび各サイクル後を含む)このようなアリコート分配装置によって分配される試料またはアリコートは、分離装置に装填され、好ましくはキャピラリー電気泳動のためのキャピラリーに装填される。装填された試料中の核酸は、例えば、サイズおよび/または電荷によって分離され、分離された種が検出され、それによって増幅プロファイルを作成する。増幅された核酸が転写されたRNAを表す場合、例えば、発現されたRNAが逆転写され、次いで増幅される場合、増幅プロファイルは元の試料についての転写プロファイルを提供する。増幅プロセスの後期段階における増幅の非直線性は、多数のサイクルの後で、この可能性が通常アンプリマー(amplimer)の量を測定することにより核酸試料中の所定の転写産物量を正確に定量することを妨げるのに対し、このやり方において作成される転写プロファイルは、このような決定を可能にする定量的ならびに定性的データを提供する。増幅の間の種々のサイクルにおけるアンプリマーの量の検出は、所定の反応において増幅および検出される各種について増幅がいかにして進行したかについてのリアルタイム表示を提供する。増幅プロセスにおける非直線性はこのようなリアルタイムプロファイルにおいて説明され得るので、このプロファイルは、元の試料中の所定のアンプリマーに対応するRNAの量の効率的な定量的決定を可能にする。このことは、このような方法によって作成されるリアルタイム転写プロファイルによって提供される利点の1つの例に過ぎない。
【0105】
このような様式において実施されるリアルタイムプロファイリングによって提供される他の利点には、例えば、単一の試料中の多数の転写産物についての増幅プロファイルを追跡する能力が含まれる。例えば、CEによるサイズ分離は、1ヌクレオチドまで小さく異なる種を分離することができるので、増幅反応から引き出された試料は、多数の異なるサイズのアンプリマーを有し得、各々が元の試料中の異なる転写産物を表す。これが多数の試料の同時増幅とともに考慮される場合、マルチウェルプレート中で、または多数のチューブもしくはキャピラリー中で並行して、実行される増幅と同様に、入手可能な情報の量は劇的に増大する。
【0106】
本明細書で記載した分配装置は、増幅反応の間に1回または複数回の試料の引き出しを必要とする任意の方法において同時に使用され得る。
【0107】
図1は増幅プロファイリングのためのシステムのブロック図である。RNA/DNA増幅装置12を、核酸分子(RNAまたはDNA)の増幅産物を産生するために備える。増幅装置12は、本明細書の以下でより十分に記載した反応システムを備え、これにより溶液ホルダー13によって保持される複数の試料の各1つの反応混合物での核酸を増幅する。
【0108】
アリコート分配装置14は、増幅装置12と連結し、かつ、溶液ホルダー13によって保持された複数の試料のセットの各試料から、アリコート保持構造16中のそれぞれのアリコートホルダーに所定の試料の複数のアリコートを分配する。アリコート保持構造16はマイクロタイタートレイのセットの1つを備えてよい。あるいはまた、アリコートホルダーは、別の機器または機器モジュールの試料ホルダーを含んでよい。
【0109】
分離および定量的分析システム20を備え、これは、システム20によって作成されたデータの処理、表示、および/または保存を可能にするための、データ処理装置と連結している。
【0110】
例えば、マイクロプロセッサなどのプロセス制御機構18は、装置12、14、および20と連結し、これらの動作を制御する。プロセス制御機構は、人間の介入なくこれらの装置によって、実行される各動作を制御するためにプログラムされてよい。選択的に、このプログラムは、任意に望む程度に人の手を加えることが可能である。例えば、プロセス制御機構18は、コンピュータインターフェース(図示せず)とともに備えてよく、これによりユーザーが、プログラムを全体的に変更することによって、またはこのような装置によって実行される動作に対して、さらなる動作もしくは改変を差し挟むことによってプロセスに影響を与えることによってのいずれかで、装置12および14によって実行される増幅プロセスおよび分配プロセスに対して(および選択的に、システム20によって実行される分離および定量的分析に対してもまた)調整をすることができる。
【0111】
例証された実施形態において、アリコート分配装置14およびプロセス制御機構18は、集合的に、溶液ホルダー13によって保持された複数の試料のセットの各試料から、アリコート保持構造16中のそれぞれ別々のアリコートホルダーに、所定の試料の複数のアリコートを自動的に分配するように作動する。より詳細には、複数のアリコートを増幅レジメン中のそれぞれ異なる時点で分配する。したがって、アリコート分配装置は、1つまたは複数の自動化作動機構15とともに備わり(例えば、コンピュータ作動可能アーム、ロボットアーム)、プロセス制御機構は、このような自動化作動機構の操作を制御するために分配制御プロセスオブジェクト19を含む。
【0112】
例証された増幅装置12は、サイクル性であるかもしくは非サイクル性であるか、または連続的である増幅レジメンを実施し得る。さらに、この装置は、温度増幅レジメン(例えば、PCR)を実施し得、または温度アプローチを含まない増幅レジメン(例えば、リガーゼ連鎖反応(LCR))を実施し得る。増幅のための、アプローチに関するより多くの情報を本明細書の以下に提供する。
【0113】
分離および定量的分析システム20は、試料(例証された実施形態においてはアリコート)の個々の核酸分子のそれぞれ1つから、分子の物理的特性(例えば、電荷、長さ、分子量)に基づいて、複数の試料および分離物を分析する、任意の適切なデバイスまたはシステムを含み得る。例として、システム20はCE(キャピラリー電気泳動)デバイス、液体クロマトグラフィー質量分析法(LC−MS)装置、または高速液体クロマトグラフィー(HPLC)装置を備え得る。
【0114】
図2は、図1に示す装置を使用する増幅プロファイリングを実行するためのプロセスのフローチャートである。初期動作50において、試料を溶液ホルダー13に装填する。動作52において、増幅レジメンが開始する。次いで、動作54において、増幅レジメン中の時間の設定された時点において、アリコートをそれぞれの異なるアリコートホルダーに分配する。
【0115】
動作56において、増幅レジメンにおける特定の点に対応する所定のアリコートのセットを、分離システム20へのインプットのために提供する。動作58において、分離および定量的分析をシステム20によって実行する。
【0116】
図3は、核酸配列の多数の種の増幅を同時に定量的にモニターおよび分析するための増幅プロファイリングシステムの概略図である。この種は複数の遺伝子のRNA転写産物から特異的に増幅され得る。このシステムは、温度サイクリング増幅マシン、例えばPCR装置30を備える。機構32は、温度感知および制御のために備わる。試料の1つまたは複数のセット(例えば、アレイ)を有する1つまたは複数の構造35を保持する1つまたは複数の反応チャンバー36と連結する、熱交換構造34を備える。試料は、例えば、ウェル、チューブ、またはキャピラリーによって保持されてよい。
【0117】
プロセス制御42からの要求に応じて、構造35における試料からアリコートを分配することが自動的に制御可能である、アリコート分配装置38を備える。分配装置38は、それぞれの試料からアリコートを自動的に得るため、およびこのようなアリコートをアリコート保持構造40に配置するための当該分野において公知であるか、または市販されている任意の機構を備え得る。プロセス制御42は、人間の操作がプロセスにおいて介在すること、またはプロセスをプログラムすることを可能にする、例えば、コンピュータおよびコンピュータユーザインターフェースを備え得る。所定の増幅レジメンのために試料を装填したり、取り出したりするための装填/取り出し装置44を備える。
【0118】
例証された実施形態において、1つまたは複数の自動作動機構39(例えば、コンピュータ作動可能アーム、ロボットアーム)を有するアリコート分配装置を備え、プロセス制御機構42は、このような自動作動機構39の操作を制御するための分配制御プロセスオブジェクト43を備える。
【0119】
溶液ホルダー13は、任意の熱伝導物質(増幅装置が熱増幅装置である場合)、例えば、金属(詳細には、図3において例証した実施形態において、これはアルミニウムを含む)から製造される1つまたは複数のブロックのくぼみに取り付けるチューブ(または他のベッセル)を備えてよい。あるいはまた、溶液ホルダー13は、任意の材料(例えば、シリカ中でエッチングされたウェルなど)の任意のベッセルを備えてよい。
【0120】
溶液ホルダー13は、閉じた末端を有する複数のキャピラリー管を備え得る。あるいはまた、これは開いた末端を有する複数のキャピラリー管を備えてよく−ここで、溶液は、何らかの外部の力によって、例えば、圧力によってキャピラリーの内側に保持される。
【0121】
溶液ホルダー13によって保持される複数の試料は、96試料、または96試料の任意の倍数、例えば、192、384などを含んでよい。
【0122】
ECデバイスを備える分析システム48は、構造40からのアリコートのセットを受容する。アリコート構造40は、容易なインターフェースを手助けし、分析システムに入力するために、分析システム48と互換性がもたれる。
【0123】
データ処理/保存システム46は、分析システム48によって作成されるデータを保存し、およびその処理を可能にする。
【0124】
例証された温度増幅装置30の種々の構成要素は、当該分野において公知であるか、またはすぐに入手できるデバイス(例えば、PCRデバイス)において利用可能である機構を備え得る。例として、しかし限定の目的ではなく、デバイス30(またはその1つまたは複数の部分)は、米国特許第5,038,852号および同第5,827,480号の1つまたはそれ以上に従って作製され得る。
【0125】
例証された分析システムは、当該分野において公知であるか、またはすぐに入手できるデバイス(例えば、ECデバイス)において利用可能である機構を備え得る。例として、しかし限定の目的ではなく、デバイス26(またはその1つまたは複数の部分)は、米国特許第6,217,731号および同第6,001,230号の1つまたはそれ以上に従って作製され得る。
【0126】
作動中、試料を反応チャンバー36に装填する。増幅レジメンを開始する。増幅レジメン中の設定した時点で、その後の分析のために分析システムを用いてアリコートを分配する(例示した実施形態においては自動的に)。アリコートを、分析システムに準備する。このような分配試料を、一旦すべてのセットの中間体(中間の増幅レジメン)アリコートを得て、そのレジメンが完了した後で、すぐに分析するか、またはそれらをバッチ処理のために取っておいてよい。次いで試料を分析する。
【0127】
PCRは、各PCRサイクル後、各サイクルのセット後、またはレジメンの完了のなお前のPCR増幅レジメン中にユーザーによって規定された所定の時点で、自動サンプリング(分配装置20によって)を伴って実施してよい。その結果得られるアリコートを、試料トレイに分配する。試料トレイを積み重ね(例えば、手動で)、分析システム(例えば、ECデバイス)によって分析してよい。
【0128】
装置30は、試料収集トレイ(またはプレート)において、各増幅(温度)サイクル後、または所定の数のこのようなサイクル後に、反応混合物のアリコートを分配する。アリコート分配装置38は、ピペッティング(例えば、オートサンプリング)によって、または反応ベッセルの一端に圧力を適用することによって(試料が、液体の移動のために、入口および出口を有するキャピラリー、チューブ、または他の種類のベッセルによって運ばれる場合)、反応混合物からアリコートを引き出すための自動制御可能機構を備え得る。
【0129】
例証された実施形態において、サイクル化された温度は、2つまたは3つのインキュベーション温度を含んでよい。2つのインキュベーション温度が存在する場合、その温度は94℃および50〜65℃であり得る。3つのインキュベーション温度が存在する場合、その温度は45〜99℃の範囲にあり得る。より詳細には、それらは(変性のために)80〜99℃、(アニーリングのために)45〜65℃、および(伸長のために)60〜75℃であり得る。
【0130】
図4は、チューブ型溶液ホルダーでの使用に関するアリコート分配装置の1つの実施形態を示す。図4において、1つのチューブ61(チューブのアレイの間、図には示されていない)の断面図を示す。ピペッター装置72を、プロセス制御42による自動制御下で、それぞれ別個のアリコートホルダーに、各そのようなチューブ内の試料からの複数のアリコートを引き出しかつ分配するために備える。各別々のアリコートが、増幅レジメン中の異なる時点で得られる。
【0131】
図4において示すように、所定のチューブ61を、反応チャンバーのくぼみに設定する(例証された実施形態における熱交換構造)。例証された熱交換構造62は、アルミニウムブロックを備えてよく;あるいはまた、熱風オーブンまたはウォーターバス構造を備えてよい。チューブウェル63は、適切な不浸透性材料から作られ、反応チャンバーにおいて良好な適合を有するように配置され、および加熱ブロックと反応混合物との間の熱エネルギーの効率的な移動を促進するための薄い壁を有する。
【0132】
チューブ61は反応混合物66を備える。オイルまたはワックス68は、混合物の蒸発を防ぐために反応混合物の上端に供給され得る。さらに、または代替として、キャップ64が供給され得る。混合物を乱し、かつ結果の信頼性に有害な影響を与え得る、濃縮および溶液への液体の再入を防ぐために、カバーを加熱するための機構を備えてよい(図示せず)。
【0133】
ピペッター装置72は、チューブ61のそれぞれ1つからアリコートを得、かつマイクロタイタートレイ74のウェル76のそれぞれ1つにアリコートを分配する。ピペッターは、ピペット69の1つまたは小さなセット、および、各混合物66の一部を除去し、対応するウェル76に一部(アリコート)を分配するためにピペット69の位置を制御するための作動装置を含み得る。あるいはまた、ピペッターは、アリコートを同時に取り出し、トレイ74の上へのピペットのアレイの再配置に際して、アリコートを分配するピペット69のアレイを含んでよい。
【0134】
各ピペット69は、取り外し可能なピペットチップ70とともに備わってよい。各ピペットチップ70は、廃棄およびとり換えのために取り外し、次のアリコートを採取する際に反応混合物の汚染を防ぐ。あるいはまた、洗浄機構(図示せず)が使用され得る。
【0135】
図6は、増幅装置におけるチューブの装填、および図4に示される装置を使用するアリコートの分配を含むプロセスのフローチャートである。動作110において、チューブを装填する。試料を動作112において被覆する。これは、ワックスもしくはオイルを用いて試料の表面をカバーすること、および/または(加熱した)キャップ64を用いてチューブをカバーすることを含んでよい。
【0136】
動作114において、温度制御されたインキュベーションが起こる。これは、温度増幅装置の「M」サイクルの各々について反復される。その後、所定のサイクルについて、動作116において、ピペットが、試料中にある状態で吸引される。ワックスまたはオイルが試料の表面に存在する場合、ワックスまたはオイルの取り込みを防ぐために、ピペットチップ70がワックスまたはオイルを越えながらピペットから空気をとり除く。チップ70がカバーしている液体をこえてすぐに、吸引でき、アリコートを採取できる。この動作の後、ピペットチップ70を取り出し、例えばキャップ64を再度閉じることによって、保護カバーを元に戻す。動作118において、ピペットチップを洗浄するか、または廃棄する。「N」試料のすべてについて、吸引および洗浄を反復する(または同時に実行する)。ピペットチップが処分されない場合、それらは公知の任意の手段によって(例えば、洗浄溶液を使用して、または超音波洗浄のようなプロセスを使用して)洗浄され得る。
【0137】
図5は、アリコート分配装置60’を示し、これは、図3に示す温度増幅システムにおけるアリコート分配に対する別のアプローチを使用する。試料チューブ80のアレイ(例えば、94チューブ)が、反応チャンバー82において備えられる。各チューブは、マルチウェイバルブ90へのシールされた接続を含む。例証された実施形態において、各バルブは対照インプット92、洗浄ポート94、およびキャピラリー管ポートを備える。キャピラリー管96は、各キャピラリー管ポートに接続される。
【0138】
各キャピラリー管96の他の末端はピペットチップ、またはアリコート保持構造86の対応するウェル84に分配するために配置されたキャピラリー部分で終端となっている(この実施形態におけるマイクロタイタートレイ)。
【0139】
吸引/分配構造98を、所定のチューブ80からのアリコートの吸引(または引き出し)を制御するため、およびアリコート保持構造86の対応するウェルにアリコートを分配するために備える。
【0140】
作動中、チューブを装填する。次いで試料を被覆する。再度、これは、ワックスもしくはオイルを用いて試料の表面をカバーすること、および/または(加熱した)キャップを用いてチューブをカバーすることを含んでよい。次いで、温度制御されたインキュベーションを行う。これは、温度増幅装置のサイクルの各々について反復される。その後、所定のサイクルについて、バルブ90が開き、構造98が作動し、試料からアリコートを吸引または押し出す。
【0141】
図7は、キャピラリーPCRデバイス130の部分断面の概略図である。例証されたPCRデバイス130(数あるエレメントの中で、図示されているものも、図示されていないものもある)は(例証された実施形態において、温度自動調節器を有するバスを含む)複数の反応チャンバー144、146を備える。チャンバー144、146は、断熱バリア134によって分けられている。開口部がシール136とともにバリア中に供給される。(複数のチューブ(具体的に図示されていない)の)1つのキャピラリー管132は、シールされた開口部を貫通している。この図において、試料142は反応チャンバー146の中にある。特に、キャピラリー管132は、試料群のいずれの末端においても2つの末端シール液体部分138aおよび138bを備える。末端シール液体部分の間に、複数の試料部分が、スラグフローエレメント(slug flow element)によって分けられて備わる。
【0142】
各スラグフローエレメントは、例えば、空気または不混和性液体を含み得る。スラグとスラグの間の試料部分は、設定されかつ均一な量の反応混合物であり得る。このような量は採取されるアリコートの所望の容量に対応する。
【0143】
複数の回路をもつバルブ148が備わり、キャピラリー管132の両方の末端がこれに接続される。バルブ148は、所定のアリコートを吸引または引き出す目的のためにシールが破られることを可能にすると同時に、キャピラリー管132の末端をシールすることを容易にする。バルブ148は、シール用液体をインプットするためのポートおよび洗浄剤を受容するための別のポートを有する。2つのキャピラリー管の出口/入口部分152および153を備え、これによりキャピラリー管への反応混合液を装填する。(またはキャピラリー管からの反応混合液を排出する)を可能にする。
【0144】
作動中、最初にバルブ148は、キャピラリー管132の両方の末端への両方の接続を、それぞれの入口/出口ポート152および154に対して開く。この時点において、末端シール液体部分138a、138b、試料142、およびスラグフローエレメント140が適切な順序でインプットである。そして圧力を用いて、これらのエレメントを適切な反応チャンバー中に移動させる(図7において例証したチャンバー146)。次いで、温度サイクルを実行する。アリコートを所定のサイクル中に採取する場合、エレメントの列が選択された「分配する」ポート152および154の1つに向かって移動する。分配機構150を使用して、末端シール液体138aが末端シール液体ポートから外へ放出されるのに対して、その後の第1のアリコートサイズ体積エレメント142はアリコートホルダーの対応するウェルに分配される。これが生じた後で、末端シール液体138aが回復され得、末端シール液体ポートからのインプットが可能になり、ポート152および154が閉じられ、そしてエレメントが別の温度サイクルのための適切な位置に移動する。その間に、洗浄液ポートが出口および入口ポート152および154を洗浄するために使用され、その間このようなポートはキャピラリー管132からシールされる。
【0145】
図8は、アリコートホルダーのウェル176への分配のためにアリコートを引き出すための遠心分離アプローチを使用するアリコート分配装置のブロック図である。この図は、PCRデバイスのキャピラリー管168の一部を示す。チューブ168は、バルブ174に接続されている。アリコート出口キャピラリー170は、バルブ174に接続されている。アリコート出口キャピラリーは、バルブ174の作動によってシールされ得る末端172を有する。遠心分離構造178は、アリコート出口キャピラリー170に連結される。
【0146】
図10は、図8に示す装置を使用するアリコート分配のプロセスを例証するフローチャートである。動作200において、アリコートを出口キャピラリーに押し出す。動作202において、エレメント鎖の末端におけるシール液体を、シール液体ポートを通して処分する。動作204において、バルブは出口キャピラリーの末端をシールするために作動する。次いで、動作206において、遠心分離構造178を、アリコートをウェル176に放出するために操作する。
【0147】
図9は、アリコートホルダーのウェル176への分配のためにアリコートを引き出すための分配/吸引構造を使用したアリコート分配装置のブロック図である。この図は、その末端において、バルブ182を通して、分配/吸引構造188のポート184および186に連結されているPCRデバイスのキャピラリー管を示す。分配/吸引構造は、圧力の変化を用いて、アリコートホルダー192への分配および試料供給源190からの試料を得るための吸引を制御する。
【0148】
別の態様において、本発明は、ポリヌクレオチドの増幅を定量的にモニターおよび分析するためのサンプリング方法に関する。最も頻繁に使用される核酸増幅方法は温度サイクリングPCRであるが、本明細書中に開示した方法はPCRにおいてのみならず、任意の核酸増幅プロトコールにおいてもまた適用を見い出し、何より詳しく言えば、核酸合成を反復するサイクルを含むものであるがこれに限定されない。RNAポリメラーゼ/逆転写酵素媒介方法のような連続的方法(例えば、3SRまたはNASBA、以下を参照されたい)もまた、例えば、増幅プロセスの間の所定の時点に試料を取り出すことによって、本明細書中に記載したサンプリング方法の利益を享受する。
【0149】
基本的なPCR増幅は3つの相に分けることができる:(1)指数的成長相:生成物の正確な倍化が各サイクル毎で蓄積され、100%の反応効率と想定される。この反応は非常に特異的かつ正確である;(2)直線(高変動性)相:反応成分が消費され、反応は遅くなっており、かつ生成物が分解し始めている;(3)プラトー(終点)相:反応が停止し、もはや生成物は作製されず、かつ十分長く放置されるとPCR産物が分解を開始する。PCRのプラトー相における検出に伴う問題は、定量が、もはや開始時の核酸鋳型の量を反映しないように影響を受けることである。
【0150】
「リアルタイムPCR」分析は、それらがリアルタイムで蓄積されるように特異的核酸増幅産物を検出する。リアルタイムPCRは、反応の初期相の間のPCR増幅の検出を可能にすることによって、従来的な終点のPCRを超えた利点を備える。
【0151】
核酸増幅プロファイリングは、増幅レジメン中の種々の段階で存在する増幅産物の測定を含む。これは増幅反応の指数的成長相、直線相、およびプラトー相の境界を同定し得るので、増幅プロセスの種々の段階での増幅産物の量の知見が、生物学的試料中の元の鋳型の量を確実に外挿することができる。単一の核酸鋳型またはこのような鋳型の小さなセットの増幅プロファイルは、TaqMan(商標)または「分子ビーコン」型リアルタイムアプローチの使用により作成し得るのに対して、これらの方法は、単一の反応に従い得る標的の数において、むしろ制限されている。主要な制限は、各異なる種が差別的に検出可能な蛍光プローブを用いて標識されなくてはならないことである。
【0152】
シリアル番号60/372,045を有する米国特許出願は、分析のためのキャピラリー電気泳動を使用するリアルタイムPCR法を記載している(その全体が参照として本明細書に援用される)。この特許出願は、目的の核酸配列の増幅をモニターするための方法を提供し、この方法は以下の工程を包含する:(a)第1および第2のオリゴヌクレオチドプライマーと核酸試料を接触させる工程であって、ここで第1のオリゴヌクレオチドプライマーは目的の核酸配列を含む核酸分子を特異的にハイブリダイズし、第2のオリゴヌクレオチドプライマーは目的の核酸配列の相補鎖と特異的にハイブリダイズする、ここにおいて1つのオリゴヌクレオチドプライマーのプライマー伸長産物が、その相補体から分離される場合に、他のプライマーの伸長産物の合成のための鋳型として働き得、そしてここにおいて少なくとも1つの第1および第2のプライマーは標識され、好ましくは、検出可能マーカーで標識される、工程;(b)工程(a)から得られた混合物を増幅レジメンに適用する工程であって、この増幅レジメンは核酸鎖の分離、オリゴヌクレオチドプライマーアニーリング、およびアニールしたプライマーのポリメラーゼ伸長の少なくとも2回のサイクルを含む、工程;そして(c)混合物のアリコートを取り出し、そのアリコート中の核酸分子を分離し、少なくとも1つの検出可能マーカーの取り込みを検出する工程であって、ここで、この取り出す工程は工程(b)のサイクリングレジメン中に実行され、そしてこの検出はリアルタイムで増幅をモニターすることを可能にする。標準曲線の作成およびコピー数計算を含むデータ分析は、自動的に実行され得る。
【0153】
本明細書中に開示したサンプリング方法は、増幅プロセスの間の種々のサイクルで増幅反応からの試料の取り出しまたは押し出しを可能にする。増幅レジメンの種々のサイクルで反応混合物の試料を引き出すかまたは押し出すこと、および存在する種々の増幅された種のサイズおよび量を検出することによって、多数の増幅産物の量が増幅の各相でモニターされ得、それによって、反応混合物中の標的配列について、指数的成長相、直線相、およびプラトー相の境界を同定する。このアプローチは、単一の反応ベッセル中での標的配列のより多くの数の多重増幅を可能にする増幅方法に、最適に適用され得る。生物学的試料中に存在する各異なる鋳型種の増幅について、指数的成長相を強調することによって、このアプローチは、生物学的試料に存在する多数の鋳型の量の正確な外挿を可能にする。したがって、サンプリング方法は、単独で、または増幅反応の多重的な可能性を増大させる方法と組み合わせて、単回の増幅反応から得られ得る定量的鋳型情報の量を劇的に増大させる。最初の生物学的試料がmRNAを含み、増幅プロセスがmRNAまたはそのDNAコピーを増幅する場合、増幅プロファイルは、元の試料中のmRNA種の量を定量するために有用である。このようなサンプリングプロトコールによって作成されたプロファイルは転写プロファイルであり、これは、上記に議論したように、薬物開発に関連する多数のアプローチのために極めて有用である。
【0154】
サイクル性核酸増幅の実施において、実験的に規定されるパラメーター「C」とは、定量的増幅反応から生じるシグナルが最初に「閾値」を超えて上昇するサイクル数をいい、ここで、標的核酸配列の増幅の最初の信頼性がある検出が存在する。「信頼性がある」とは、シグナルが増幅の間に検出可能なレベルの増幅産物を反映することを意味する。Cは一般的に未知の量の標的核酸の開始量と相関し、すなわち、より少ない量の標的がより遅いCを生じる。Cは単純な数式:
Log(コピー数)=aC+b(ここでaおよびbは定数である)
によって開始時の核酸の初期のコピー数または開始時の核酸の濃度と関連する。
【0155】
それゆえに、2つの異なる試料から生じる同じ遺伝子配列のフラグメントについてのCを測定することによって、これらの試料中のこの遺伝子配列の元の相対的濃度が容易に評価され得る。
【0156】
(サンプリング方法およびデバイス)
本明細書中に記載した方法は、増幅プロファイリングのために必要な核酸増幅反応混合物のサンプリングを容易にする。サンプリングは、増幅反応中またはその後の任意の時点で行い得る。1つの実施形態において、反応のアリコートが、各PCRサイクルの最後にチューブまたは反応ベッセルから引き出されるかまたは押し出される。別の実施形態において、反応のアリコートは、すべてのいくつかのPCRサイクル、例えば、2サイクル毎、3サイクル毎、4サイクル毎の最後にチューブまたは反応ベッセルから引き出されるかまたは押し出される。別の実施形態において、反応のアリコートは、一連の所定のサイクルの最後にチューブまたは反応ベッセルから引き出されるかまたは押し出される。均一な試料間隔がほとんどの場合望まれるが、サンプリングを均一な間隔で実施する必要はない。1つだけ例を挙げると、日常的なサンプリングは最初の5サイクルについては毎サイクル後のサンプリング、次いで1回おきのサイクル後のサンプリングが含まれ得る。
【0157】
上記で議論したように、サイクル性でなく連続的な増幅方法もまた、本明細書中に記載したサンプリング方法の利益を享受する。このような場合において、試料は増幅プロセス中の所定の時点に、例えば、毎分、2分毎、3分毎などで引き出され得る。
【0158】
増幅反応からのアリコートのサンプリングまたは取り出しを、いくつかの異なる一般的な形式のいずれかにおいて実施する。第1に、アリコートは、ピペッティングデバイスまたはキャピラリー管を用いて、好ましくは、自動デバイスを使用して反応ベッセルに達することによって、そのベッセル(試験管、キャピラリーまたはマルチウェルプレート中のウェル)から引き出され得る。このアプローチのために使用されるサンプリングの方法は、例えば、単一のアリコートを引き出す後に処分されるピペットチップまたは針を使用することにより、または各アリコートを引き出した後で針またはチップを洗浄する1つまたは複数の工程を組み込むことによってのいずれかで、好ましくは、サイクリング反応の汚染を最小化するために適合される。
【0159】
あるいはまた、サンプリングは、キャピラリーにアリコートを装填するために、増幅反応物を用いて直接的にキャピラリー電気泳動を行うために使用されるようにキャピラリーと接触し得るデバイスによって行われ得る。
【0160】
別の代替として、サンプリングは、特定のサイクルで開く制御可能なバルブに接続された流体ライン(例えば、チューブ)を含むデバイスを使用して行われ得る。当該分野において公知のサンプリングデバイスには、例えば、96ウェルプレートヘのサンプリングに適合される多目的Robbins Scientific Hydra 96ピペッターが含まれ、これは96ウェルプレートへのサンプリング又は96ウェルプレートからのサンプリングに適合される。このデバイスおよびこれと同様の他のデバイスは、本発明の方法に従う使用のために容易に適合され得る。
【0161】
1つの実施形態において、サンプリングおよび検出は同時に実施され、その結果、増幅時間の関数としての生成物の量を表す曲線、例えば、分(minute)による、またはPCRサイクルによる測定値が、増幅レジメン中、またはその直後に得られる。
【0162】
本発明のこの態様および他の態様のために、マイクロタイターまたはマルチウェルプレート形式でサイクリングを実行することが好ましいが、必ずしもそうでなくてもよい。この形式は、多数の反応ウェルを含むプレートを使用し、アッセイプロセスのスループットを増加させるだけでなく、また、プレートのモジュラー特性およびプレート上のウェルの均一なグリッドレイアウトに起因して、自動化サンプリング工程のために良好に適合される。本発明に従って有用な一般的なマイクロタイタープレートの設計は、例えば、12、24、48、96、384、またはそれ以上のウェルを有するが、プレート上で物理的に適し、望ましい反応容量(通常10−100μl)と適合する任意の数のウェルが本発明に従って使用され得る。一般的に、96また384ウェルプレート形式が好ましい。
【0163】
自動サンプリングプロセスは、プログラム化された決まりきった手順として容易に実行され得、これはサンプリングにおける人間による誤り(すなわち、アリコートのサイズおよび試料が同一のものであるという追跡の誤り)および人間のサンプリングによる汚染の可能性の両方を回避する。温度サイクラーからアリコートを引き出すことができるロボットサンプラーは、当該分野において利用可能である。例えば、Mitsubishi RV−E2 Robotic ArmがSciClone(商標)Liquid HandlerまたはRobbins Scientific Hydra 96ピペッターと組み合わせて使用され得る。
【0164】
本明細書に記載の実施形態におけるロボットサンプラーは、温度サイクラーとともに一体化されてよく、またはサンプラーおよびサイクラーはモジュラー設計であり得る。サイクラーおよびサンプラーが一体化される場合、温度サイクリングおよびサンプリングは同じ位置で起こり、試料はロボットサンプラーによってプログラムされた間隔で引き出される。サイクラーおよびサンプラーがモジュラー設計である場合、サイクラーおよびサンプラーは別々のモジュールである。1つの実施形態において、アッセイプレートおよび他のコンテナは、例えば、ロボットアームによって、サイクラーからサンプラーおよびサイクラーの後ろまで、物理的に移動される。
【0165】
サンプリング工程で移動するアリコートの容量は、例えば、増幅反応の総容量、生成物検出の感度、および使用される分離の型に依存して変化し得る。増幅容量は、数μlから数百μlまで(例えば、5μl、10μl、20μl、40μl、60μl、80μl、100μl、120μl、150μl、または200μlまたはそれ以上)、好ましくは10−150μlの範囲、より好ましくは10−100μlの範囲で変化し得る。アリコート容量は反応混合物の0.1から30%までで変化し得る。
【0166】
本発明の1つの態様に従って、核酸配列の増幅を定量的にモニターするための方法を備える。この方法の所定の実施において、核酸増幅反応混合物を備える。この混合物は、複数の核酸種を含む。増幅レジメンを混合物に対して実施し、複数の核酸種が同時に増幅されるようにする。反応混合物のアリコートを、増幅レジメンの完了に先立つ間隔で分配する。アリコート中の核酸種を、分離および検出する。複数の分離された種のそれぞれ1つについて、アリコート中のこれらの分離された核酸種の量を同時に決定する。
【0167】
この方法は、ある例証された実施形態において、複数の核酸種(例えば、転写産物、遺伝子)−多数の核酸種(数十、数百、数千など)に対して高スループット定量的発現分析を容易にする。
【0168】
増幅レジメンは、複数の独立した核酸増幅混合物にて実施してよい。複数の独立した核酸増幅混合物は、マルチウェルコンテナ上に存在し得る。例証された実施形態において、増幅レジメンは、例えばPCRなどの温度サイクリングを含む。
【0169】
分配する工程は、増幅レジメンにおける1つまたは複数のサイクルの後で実施してよい。例えば、分配する工程は、増幅レジメンにおける各サイクルの後で実施してよい。分離する工程はキャピラリー電気泳動で実施してよい。例証した実施形態において、複数の分離された種を、複数の遺伝子のRNA転写産物から増幅する。
【0170】
1つの態様において、本明細書に記載の分配装置は、核酸配列、好ましくは複数の配列の増幅をモニターする方法において使用され得る。このような方法において、核酸増幅レジメン中に(例えば、1回またはそれ以上のサイクル後、好ましくは各サイクルまで、および各サイクル後を含む)このような分配装置によって分配したアリコートを、分離装置、好ましくはキャピラリー電気泳動のためのキャピラリーに装填する。装填された試料中の核酸は、例えば、サイズおよび/または電荷によって分離され、分離された種が検出され、それによって増幅プロファイルを作成する。増幅された核酸が転写されたRNAを表す場合、例えば、発現されたRNAが逆転写され、次いで増幅される場合、増幅プロファイルは元の試料についての転写プロファイルを提供する。増幅プロセスの後期段階における増幅の非直線性は、通常、多数のサイクル後のアンプリコンの量を測定することによって核酸試料中の所定の転写産物の量を正確に定量する能力を妨げるのに対して、このやり方において作成される転写プロファイルは、このような決定を可能にする定量的ならびに定性的データを提供する。増幅中の種々のサイクルにおけるアンプリコンの量の検出は、所定の反応において増幅および検出される各種について増幅がいかにして進行したかについてのリアルタイム表示を備える。増幅プロセスにおける非直線性は、このようなリアルタイムプロファイルにおいて説明され得るので、このプロファイルにより、元の試料中の所定のアンプリコンに対応するRNAの量の効率的な定量的に決定することができる。このことは、このような方法によって作成されるリアルタイム転写プロファイルによって提供される利点の1つの例に過ぎない。
【0171】
このようなやり方にて実施したリアルタイムプロファイリングによって提供される他の利点には、例えば、単一の試料中の多数の転写産物を表す多数のアンプリコンについての増幅プロファイルを追跡する能力が含まれる。例えば、CEによるサイズ分離は、1ヌクレオチドまで小さく異なる種を分離することができるので、増幅反応から引き出された試料は、多数の異なるサイズのアンプリコンを有し得、各々が元の試料中の異なる転写産物を表す。これが多数の試料の同時増幅とともに考慮される場合、マルチウェルプレート中で、または多数のチューブもしくはキャピラリー中で並行して実行した増幅と同様に、入手可能な情報の量は劇的に増大する。
【0172】
本明細書に記載のサンプリング方法および分析方法は、特に遺伝子発現の比較分析のために十分に適している。すなわち、記載されている方法は、所定の細胞または組織についての転写プロファイルを作成すること、およびそのプロファイルを、遺伝子発現パターンの違いを決定するために別の細胞または組織からのプロファイルと比較することを可能にする。このような違いは、例えば特定の疾患状態において所定の発現パターンが詳細に作り出されている場合、診断目的のために有用である。この例において、特定の疾患状態を有することが疑われる個体から得た試料の転写プロファイルを、その疾患状態を有することが知られている1例またはそれ以上の個体からの転写プロファイルと比較する。発現のパターンの類似性から、診断を確認する。
【0173】
転写プロファイルの比較分析はまた、疾患に関与する遺伝子の同定および/または確証のために有用である。このアプローチは、マイクロアレイハイブリダイゼーション法の使用と類似しているが、定量的データを得る能力によって提供される高められた能力を有する。このアプローチにおいて、健常個体および疾患を有する個体からの試料を、多数の転写産物の転写プロファイルを作成するために使用する。このプロファイルは、既知の遺伝子にハイブリダイズするプライマーを使用して作成され得るか、あるいはまた、ランダムプライマーもしくは好ましくはセミランダムプライマーを使用して作成され得る。セミランダムプライマーは、3’末端内に1、2、または3個のヌクレオチドを導入したバリエーションを有するプライマーである。1つの態様において、3’末端に1、2、または3個のヌクレオチドを導入したバリエーションを有する逆転写プライマーのセットを使用し得る(この設計のプライマーは、当該分野においてLiangおよびPardee(1998、Mol.Biotechnol.10:261−7)によって記載された「ディファレンチャルディスプレイ」の方法のために使用される)。このプライマー設計のさらなる態様は、可変性領域の5’の不変タグ配列の付加を含む。次いで、増幅が、1つまたはそれ以上の任意の上流増幅プライマー(一般的に約10−14ヌクレオチド、しかしより長くあり得る)を、逆転写プライマーの不変流域の相補体にハイブリダイズする下流の増幅プライマーとともに使用して実施され得る。1つまたはそれ以上のプライマーが、例えば、1種または複数の蛍光プローブを用いて標識され得る。このやり方において、転写産物のセットが増幅される。つまり本明細書に記載のサンプリングアプローチと組み合わせる場合、増幅は、元の試料に存在する転写産物のサブセットについての転写プロファイルを作成する。次いで、このプロファイルを、同じプライマーの組合せを用いて作成した他の試料のプロファイルと比較し得る。
【0174】
同じセットの逆転写プライマーおよび増幅プライマーを使用して増幅した異なる試料からのプロファイルの違いは、診断的もしくは予後目的のため、薬物に対する個体の応答を予測するため、ならびに薬物標的同定および薬物スクリーニングのために使用され得る。健常個体からの試料と疾患を有する個体からの試料との間で観察される違いから、疾患状態に関連する遺伝子が示され得る。薬物または他の影響を用いて、またはそれを用いずに処理した細胞からの試料間で観察される違いは、標的遺伝子、または例えば、所定の疾患状態において発現される遺伝子のパターンに対する薬物の効果をスクリーニングするために使用され得る。本明細書中に記載したサンプリング方法によって可能となる転写プロファイルについてのさらなる応用は、当業者には明らかである。
【0175】
発現の全体のパターンの違い、例えば、1つの試料中に存在するが別の試料中には存在しない転写産物、ならびに1つの試料から次の試料への個々の転写産物の発現における量的な違いは、上記に記載したようなやり方で決定される。古典的な差別的表示は、アンプリコンの個別の存在または不在よりはむしろアンプリコンの量の違いを観察するときに誤りを生じやすい(主として検出が多数の増幅サイクルの後でのみ起こるからである)ことで有名であるのに対して、本明細書に記載のサンプリング方法は、アンプリコンの量の違いに基づいて意味のある区別を可能にする。
【0176】
任意のまたはランダム化されたプライマーを使用する転写プロファイリングアプローチにおいて、増幅された転写産物の同定は、一般的に知られていない。しかし、1つの試料と別の試料との間の表現が異なる増幅産物は、望ましい場合、転写産物を同定するために単離され、および配列決定され得る(単離された配列は、当該分野において周知の方法を使用して全長転写産物配列を単離するためのプローブとして使用され得る)。
【0177】
要約すると、本明細書に記載のサンプリング方法を使用して作成される転写プロファイルは、個別の公知の転写単位もしくは遺伝子、多数の公知の転写単位もしくは遺伝子、または多数の知られていない転写単位もしくは遺伝子の転写プロファイルを表し得る。
【0178】
試料またはアリコートの分配は自動装置によって実施されることが好ましい。「自動」は、そのプロセス中にユーザーの入力を必要とする装置なしで、開始から終了までをプログラムされた決まりきった手順に従う装置、分配の各反復またはそのいずれの組合わせに関し、ユーザーの入力を必要とする装置をいい得る。好ましくはその装置は、分配の決まりきった手順の開始後、ユーザーの入力を必要としない。
【0179】
(増幅方法)
任意の核酸増幅方法は、本明細書に記載の自動サンプリング方法の利点を享受する。特に関心のあるものは、核酸合成または重合の反復サイクルを含む増幅方法であり、これらの多くは当業者に公知である。
【0180】
最も一般的に使用されている増幅方法は、温度サイクリングPCRであり、そもそもMullisおよびFaloona(1987、Meth. Enzymol.155:335−350)によって記載された。温度サイクリングPCRにおいて増幅される各鋳型配列について、2つのオリゴヌクレオチドプライマー、鋳型、および耐熱性核酸ポリメラーゼが一般的に使用される。一般的なPCRスキームにおいて、オリゴヌクレオチドプライマーの1つが鋳型核酸鎖にアニールする。このアニールされたプライマーが耐熱性鋳型依存性核酸ポリメラーゼによって伸長され、その重合産物は第2のプライマーに相補的な配列を有し、その結果、重合産物は第2のプライマーの伸長のための鋳型として働く。重合産物は熱変性されて鎖を分離し、プライマーの対はそれぞれの鎖にアニールしかつ伸長する。各伸長産物は次の伸長反応のための鋳型として働くので、標的配列は指数関数的に増幅される。
【0181】
温度サイクリングPCRの一般的原理に対する多数の変法が記載されており、当業者に公知である。例えば、生物学的試料中の鋳型の量に関する定量的情報を導くために、増幅プロファイルを実施すべき場合、サンプリングは、そのプロセスにおいて種々のサイクルの後に実行され得る。理想的には、増幅レジメンにおける各サイクルの後で、アリコートが増幅反応混合物から引き出されるかまたは押し出される。サンプリングは、任意の所望のサイクル後、例えば、別のサイクル毎、第3のサイクル毎、第4のサイクル毎などで実行され得るが、増幅プロファイルに関する最も詳細なかつ正確な情報は、サンプリングがそのレジメンの各サイクル後に実施されるときに得られる。これは、2種以上の標的増幅産物を単一の増幅反応または増幅反応のセットにおいてモニターする場合に、特にそうである。この理由は、異なる標的配列の増幅の速度が、配列および異なる標的配列の初期の量に伴って劇的に異なり得るからである。毎サイクルでのサンプリングにより、個々の標的についての増幅の速度に関わりなく、単一の反応混合物中の各標的についての完全な増幅プロファイルを作成することができる。
【0182】
本明細書に記載のサンプリング方法の利益を享受し得る核酸増幅の別の方法は、等温な自己持続性の配列複製(self−Sustained Sequence Replication)(3SR;Gingerasら、1990、Annales de Biologie Clinique、48(7):498−501;Guatelliら、1990、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、87:1874)である。これらの論文の内容は、参照として本明細書に援用される。3SRは転写に基づく増幅システム(TAS)の副産物であり、これは、バクテリオファージDNA依存性RNAポリメラーゼの高度なプロモーター配列特異性および反復性を利用して、高度な増幅レベルを達成するのに十分な増幅サイクルの数を減少する(Kwohら、1989、Proc、Natl.Acad.Sci.U.S.A.、83:1173−1177)。
【0183】
3SRにおいて、各プライミングオリゴヌクレオチドはバクテリオファージRNAポリメラーゼ結合配列および好ましい転写開始配列、例えば、T7 RNAポリメラーゼ結合配列(TAATACGACTCACTATA[配列番号:1(SEQ ID NO.1)])および好ましいT7ポリメラーゼ転写開始部位を含む。各プライマーの残りの配列は、増幅される分子上の標的配列に相補的である。
【0184】
典型的な3SR条件は以下のように本明細書で記載される。3SR増幅反応は、100μl中で実行され、これは以下を含む:標的RNA、40mM Tris−HCl、pH 8.1、20mM MgCl2、2mM スペルミジン−HCl、5mM ジチオスレイトール、80μg/ml BSA、1mM dATP、1mM dGTP、1mM dTTP、4mM ATP、4mM CTP、1mM GTP、4mM dTTP、4mM ATP、4mM CTP、4mM GTP、4mM UTP、および適切な量のオリゴヌクレオチドプライマー(250ngの57マー;この量は、プライマー配列の長さに依存して比例的にスケールアップまたはスケールダウンされる)。3SR反応のための3から6アトモル(attomole)の核酸標的を使用する。バックグラウンドに関する対照として、いかなる標的も有さない3SR反応を並行して行う。反応混合物を1分間100℃に加熱し、次いで急速に42℃まで冷やす。1分後、10単位(通常約2μlの容量)の逆転写酵素(例えば、トリミオブラストーシスウイルス逆転写酵素、AMV−RT;Life Technologies/Gibco−BRL)を加える。反応を、42℃で10分間インキュベートし、次いで100℃で1分間加熱する(3SR反応を一本鎖鋳型を使用して実行する場合、反応混合物は代わりに65℃で1分間熱処理する)。次いで、反応を37℃に2分間冷却し、その後4.6μlの3SR酵素混合物を加える。この混合物は1.6μlのAMV−RT(18.5単位/μl)、1.0μlのT7 RNAポリメラーゼ(100単位/μl)(両方とも、例えば、Stratagene;La Jolla、CA)、および2.0μlのE.coli RNase H(4単位/μl)(例えば、Gibco/Life Technologies;Gaithersburg、MD)を含む。異なる製造ロットから出されたか、または異なる製造業者によって供給された酵素の比活性度のバリエーションを説明するために必要とされるように酵素の容量を調整することは、十分に当業者の知識の範囲内である。バリエーションはまた、必要に応じて酵素の単位になされ得る。反応は37℃で1時間インキュベートし、凍結によって停止させる。
【0185】
サンプリングは3SR反応の任意の段階で実施され得る。3SRは、1つの温度で連続的に進行するので、アリコートが引き出される個々のサイクルは存在しない。この例において、サンプリングは、増幅インキュベーション時間中の設定した時点で、例えば、1分毎、2分毎、3分毎などで実施され得る。引き出されるかまたは押し出されるアリコート中の核酸は分離され、核酸が検出され、それによって最初の試料中の標的の量が決定され得る増幅プロファイルの作成を可能にする。
【0186】
3SRはまた、核酸配列に基づく増幅、またはNASBAとして、いくつかの文献に引用されている(例えば、Compton、1991、Nature、350:91−92;Kievitsら、1991、J.Virol.Meth.35:273−286を参照されたい。これらの各々は参照として本明細書に援用される。
【0187】
本発明に従って有用である核酸増幅の別の方法は、DNAリガーゼ増幅反応(LAR)であり、これはいくつかの細菌DNAリガーゼのいずれか1つの活性により特異的な短い配列の指数関数的な増加を可能にすると記載されている(WuおよびWallace、1989、Genomics、4:560;Barany、1991、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:189、これは参照として本明細書に援用される)。この技術はオリゴヌクレオチドプローブのライゲーションに基づく。このプローブは特異的な標的核酸の2つの隣接する配列に正確に一致するように設計される。この増幅反応は、過剰のプローブの存在下で3段階の工程で反復する:(1)二本鎖核酸の熱変性、(2)標的核酸へのプローブのアニーリング、および(3)耐熱性DNAリガーゼによるプローブの連結。反応は、一般的に20−30サイクル反復される。本明細書に開示したサンプリング方法は、詳細な増幅プロファイルの作成を可能にする。任意のサイクル性増幅プロファイルを用いる場合、サンプリングは任意のサイクル後に実施するが、好ましくは各サイクル後である。
【0188】
ローリングサークル増幅(Rolling circle amplification)(RCA)は、PCRと同様の大きなインパクトを有することがわかり得る代替的な増幅技術である。この技術は、あるウイルスのDNA複製機構を利用する。RCAにおいては、多くのウイルスによって使用される複製技術と同様に、ポリメラーゼ酵素が、環状のDNAの周りの単一のプロモーターを−連続して、線状の、環の連結されたコピーを読み取る。このような線状RCAにおいて、反応は3日間進行し得、小さな環状配列の数百万のコピーを産生する。指数関数的な改変体が開発され、そこでは、第2のプロモーターが各反復において二本鎖を置き換え、高分岐のDNA複製を開始し、1時間あたり1012コピーまで多くを作製する。
【0189】
本明細書中に開示されたサンプリング方法の利点を享受することができる別の増幅方法は鎖置換増幅(SDA;Walkerら、1992、Nucleic Acid Res.、20:1691−1696;Spargoら、1993、Mol.Cellular Probes 7:395−404、これらの各々は参照として本明細書に援用される)である。SDAは2種の型のプライマーおよび2種の酵素(DNAポリメラーゼおよび制限エンドヌクレアーゼ)を使用して、一本鎖アンプリコンを非同期的に指数関数的に産生する。増幅プライマーのセットがチップ上の別個の領域に固定された基本的方法の改良型は、プライマー−プライマー相互作用を減少させる。このいわゆる「固定SDA」アプローチは、増幅効率を減少させることなく多重性のDNAまたはRNA増幅を可能にする(Westinら、2000、Nature Biotechnology 18:199−204、これは参照として本明細書に援用される)。SDAは、これらが詳細な増幅プロファイルの作成を可能にするので、本明細書中に開示されたサンプリング方法の利益を享受する。
【0190】
温度サイクルPCRの限界の1つは、およびこの問題について、反応における各異なる標的配列に特異的なプライマーを必要とする任意の方法は、プライマーの濃度がその反応に対するアーティファクトを持ち込む傾向にあることである。プライマー−プライマー相互作用はしばしば結果として鋳型とは独立して複合体中へプライマーを取り込む。一般的な例は、温度サイクリングPCRにおいて見られるいわゆる「プライマー−ダイマー」である。1つのプライマーの3’末端が別のプライマー中の部位にハイブリダイズする場合、ポリメラーゼ酵素は鋳型とは独立した産物を生成するようにプライマーを伸長し得る。増幅プライマーの濃度が一般的に特異的標的配列より過剰であるので、2つまたはそれ以上のプライマーの間の必要な相補性が存在するときに、大量のプライマーダイマーアーティファクトが生成され得る。続いて、増幅反応において異なるプライマーの数が多くなるほど、一方のプライマーが別のプライマーの相補性の領域を見つける機会が大きくなり、プライマーダイマー型アーティファクトが生じる。単一の反応混合物中でさらなる標的配列増幅を多重化することを試みる場合、この型のアーティファクトの機会が劇的に増大する。
【0191】
本明細書に開示したサンプリング方法は、多数のプライマーの存在によって誘導されるアーティファクトの効果を回避するか、または少なくとも最小化する際に役立つ。第1に、サンプリングを使用する場合、試料中の核酸産物はサイズによって分離され得るか、または検出され得、プライマーダイマー型アーティファクトはその小さなサイズによって排除され得る。別のアプローチは、増幅反応における種々のプライマーの数を制限することである。これに対する1つのアプローチは、米国特許出願番号60/372,045に記載されており、これは参照として本明細書に援用される。この出願は、単一の反応混合物中での多数の異なる増幅産物の検出を可能にする多数のアプローチを記載する。これらの方法のいくつかは、定量的多重化PCRのために必要である異なるプライマーの数を、多数の逆転写産物の各々に共通のタグ配列を含む下流プライマーを取り込むことによって減少させる。増幅の最初のラウンドでは、異なる共通のタグ配列を含む1種または複数の上流のプライマーを付加的に取り込む。次いで、次の増幅は一般的なタグ配列を認識する増幅プライマーの単一の対を用いて実行する。種々のアンプリコンのサイズは、引き続く産物の分離がその反応において増幅された種々の種を区別し得るように選択される。このアプローチは、増幅反応においてプライマーの数がより少ないという利点を有する。さらなる利点は、プライマーのアニーリング効率の違いが、使用する異なる増幅プライマーの数の減少によって最小化されることである。例えば、プライマーの異なるG+C含量によって引き起こされるプライマーアニーリング効率の違いは、多重化定量的増幅アプローチの信頼性に影響を与えることが知られている。
【0192】
図4は、増幅アプローチの概略図を示し、ここにおいて異なるサイズの2つの異なる標的がプライマー伸長によって取り込まれる一般的なタグ配列にアニールする増幅プライマーの単一対を用いて増幅される。T1はすべてのアンプリコンに共通の下流タグ配列であり、T2はすべてのアンプリコンに共通の上流タグ配列である(T1’およびT2’はそれぞれの相補体を示す)。これらのタグ配列は、標的配列にアニールし、かつ伸長されるプライマー伸長プライマーの配列の一部として組み込まれる。各プライマー伸長プライマーは、標的配列または標的配列の相補体上の配列に相補的な領域(図においてa、b、c、およびdならびにa’、b’、c’、およびd’と示す)、およびタグ配列を有する。2ラウンドのプライマー伸長、プライマーアニーリング、および伸長は、上流および下流の両方のタグ配列またはその相補体を各々含む分子のセットを生成する。この点において、プライマー伸長プライマーが除去され、タグ配列T1およびT2に対応し、プライマーの一方が蛍光標識された増幅プライマーを使用して増幅を実行する。次に続くサイズ分離(例えば、キャピラリー電気泳動)および検出が、サイズによって標的を区別し、かつ個々の標的の量を決定する。このようにして、2つの異なる標的配列が増幅プライマーの単一の対を用いて増幅される。このアプローチはスケールアップが可能であり、これにより、ひいてはサイズによって分けられ、および検出される多数の異なるサイズの標的配列を含むことができる。さらなる多重化は、さらなる増幅プライマー上に光学的に識別可能な蛍光標識のセットを使用することによって、増幅プライマーの数を劇的に増大させることなく行われ得る。
【0193】
(増幅反応デバイス)
増幅反応を実行するためのデバイスは、1つまたは複数のチューブ、キャピラリー、またはマルチウェルコンテナ中での増幅反応のための必要とされる反応温度を達成および維持することが可能でなくてはならない。増幅反応に必要な温度(temperature)または温度(temperatures)を達成および維持することができる任意のデバイスが使用され得る。非限定的な例として、便利なデバイスにはPCR増幅に一般的に使用される温度サイクラーが含まれる。温度サイクラーは広範に市販されている。
【0194】
温度サイクラーなどの増幅反応デバイスは、例えば、モジュラー設計においてサンプリングデバイスとともにインターフェース接続され得るか、またはサンプリングデバイスは増幅反応デバイスと一体化され得る。1つの態様において、増幅反応それ自体は、一方または両方の末端が開いているキャピラリーまたは他のチューブ中で実行され、サンプリングは、圧力または減圧をチューブの一端に適用することによって実行され、その結果、反応混合物の一部がチューブから押し出され、サンプリングデバイスによって収集される。キャピラリー管を含むチューブを受容可能な温度サイクラーは市販されており、これには例えば、Lightcycler(商標)(Roche Molecular Biochemicals、Indianapolis、IN)、RapidCycler(商標)(Idaho Technology、Salt Lake City、UT)およびBioOven III Thermocycler(St.John Associates、Beltsville、MD)が含まれる。
【0195】
(分離および検出方法)
多数の異なる核酸の分離方法のいずれかが本明細書に開示した方法において使用され得る。例えば、電気泳動および液体クロマトグラフィーの種々の適合は、増幅反応からの試料中の核酸種を分離するために十分に適している。
【0196】
電気泳動的分離は、必要とされる小さな試料サイズおよび達成可能な速度および解像度に起因して、好ましくは、キャピラリー電気泳動(CE)として実行される。CEの別の利点は、蛍光検出器とともにインターフェース接続された入手が容易な種々のCEデバイスが存在することである。例えば、高性能CE装置は、例えば、Spectrumedix Corporation(State College、PA)から、HTS9610 High Throughput Analysis SytemおよびSCE 9610完全自動化96キャピラリー電気泳動遺伝子分析システムが市販されている。他のものには、Beckman Instruments Inc.(Fullerton、CA)からのP/ACE 5000シリーズおよびABI PRISM 3100 genetic analyzer(Applied Biosystems、Foster City、CA)が挙げられる。これらのデバイスの各々が、CEカラムの末端の近くで試料中の分子による光の発光をモニターする蛍光検出器を備える。標準的な蛍光検出器は多数の異なる波長の蛍光発光を区別し得、増幅試料からの単一のCEの実行において多数の蛍光標識された種を検出する能力を提供する。
【0197】
一度に96試料を実行することができるCEデバイスは、例えば温度サイクラーまたは多数の試料を同時に実行する他の増幅デバイスと、うまく調和する。多数の試料を同時に行うための自動化した試料装填、電気泳動、および検出を備えるCEデバイスは、米国特許第6,217,731号および同第6,001,230号において記載されている。蛍光検出に対する代替として、CEデバイスは、増幅反応における種々の核酸種の、分子量による検出のための質量分析装置と、インターフェース接続され得る(CE/MS)。このような検出が可能である質量分析デバイスは市販されている。
【0198】
液体クロマトグラフィー(LC)は増幅反応から引き出されるかまたは押し出される試料中の核酸の分離のための別のオプションである。一般的に、LCは質量分析装置と接続され(LC/MS)、その結果、HPLC分離された種の分子量が質量分析法によって決定される。LC/MSシステムは、数ある中でも、Agilent Technologiesから(例えば、1100 Series(商標)LC/MS)、およびApplied Biosystemsから(例えば、API 3000(商標)またはAPI 4000(商標)LC/MSシステム)市販されている。
【0199】
本明細書中で引用されたすべての特許、特許出願、および公開された参考文献は、それらの全体が参照として本明細書によって援用される。本発明をその好ましい実施形態に関連して特に示し記載してきたが、添付の特許請求の範囲によって包含される本発明の範囲から逸脱することなく、形態および詳細における種々の変更が、本発明においてなされ得ることが当業者には理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0200】
【図1】増幅プロファイリングシステムのブロック図である。
【図2】増幅プロファイリングを実施するためのプロセスのフローチャートである。
【図3】アリコート分配装置を有するPCR装置を含む、増幅プロファイリングシステムのブロック図である。
【図4】アリコート分配装置の1つの実施形態を伴うPCR装置の熱交換構造の1つのチューブおよび熱交換構造の一部の断面図である。
【図5】反応チャンバー中に備わり、アリコート分配装置の他の実施形態と連結したチューブを示す。
【図6】図4に示したアリコート分配装置を用いて、アリコート分配するためのプロセスのフローチャートである。
【図7】キャピラリーPCRデバイスの部分断面図である。
【図8】キャピラリーPCRデバイスを用いた使用のための、アリコート分配装置の各異なる実施形態を示す。
【図9】キャピラリーPCRデバイスを用いた使用のための、アリコート分配装置の各異なる実施形態を示す。
【図10】図8に示したアリコート分配装置を用いてアリコートを分配するためのプロセスのフローチャートである。
【配列表】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
核酸増幅を分析する方法であって:
複数の異なる増幅鋳型を含む核酸増幅反応混合物を備える工程;
前記反応混合物を増幅レジメンに適用する工程;
前記増幅レジメン中の複数の段階において前記反応混合物からアリコートを分配する工程;
前記アリコート中の核酸を分離および検出する工程;
前記アリコート中の分離された複数の核酸種の量を決定する工程;ならびに
前記各段階からの前記分離された核酸種の各々について、前記種の量を、前記種を含む前記アリコートが分配された段階と、相関付ける工程
を包含し、ここで前記相関付ける工程が前記核酸増幅の増幅プロファイルを作成する、方法。
【請求項2】
前記複数の異なる増幅鋳型が少なくとも3種の異なる増幅鋳型を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の異なる増幅鋳型が少なくとも5種の異なる増幅鋳型を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の異なる増幅鋳型が少なくとも10種の異なる増幅鋳型を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記複数の異なる増幅鋳型が少なくとも20種の異なる増幅鋳型を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の異なる増幅鋳型が少なくとも50種の異なる増幅鋳型を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の異なる増幅鋳型が少なくとも100種の異なる増幅鋳型を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記複数の異なる増幅鋳型が少なくとも200種の異なる増幅鋳型を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
複数の増幅反応混合物を前記方法に適用する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記複数の増幅反応混合物を前記方法に同時に適用する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記方法が複数の増幅された核酸種についての増幅プロファイルを作成する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記増幅プロファイルが前記増幅レジメンの開始時に前記核酸増幅反応混合物中に存在する核酸種の量に関する、定量的情報を提供する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記増幅プロファイルが転写プロファイルである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記核酸増幅レジメンが温度サイクリングを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記核酸増幅レジメンが等温サイクリングを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記核酸増幅レジメンがPCRを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記核酸増幅レジメンがリガーゼ媒介増幅、NASBA、ローリングサイクル増幅を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記試料を複数の試料受取部位を有する容器に分配する、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記容器がマルチウェルプレートである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記容器が複数のCEキャピラリーを備える、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記増幅レジメンがサイクル性である、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記分配する工程を各複数のサイクルの後で実行する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記分配する工程を前記レジメンにおけるすべてのサイクルの後で実行する、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記分離する工程がキャピラリー電気泳動を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記分離する工程が液体クロマトグラフィーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記検出する工程が1種または複数の蛍光標識の検出を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項27】
前記検出する工程が質量分析法を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項28】
前記増幅レジメンをコンテナ中で実行し、かつ前記試料の分配を前記コンテナから前記試料を引き出すことによって実施する、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記コンテナがウェルまたは試験管である、請求項19に記載の方法。
【請求項30】
前記増幅レジメンをコンテナ中で実施し、かつ前記分配を前記コンテナから前記試料を押し出すことによって実施する、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記コンテナがキャピラリー管である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
第1の遺伝子発現要素と第2の遺伝子発現要素との間の複数のRNA転写産物の発現を分析する方法であって、
第1の核酸増幅反応混合物を備える工程であって、前記混合物が複数の異なる増幅鋳型を含み、ここで前記増幅鋳型が第1の遺伝子発現要素からの複数のRNA転写産物から得た逆転写産物を含む、工程;
第2の核酸増幅反応混合物を備える工程であって、前記混合物が複数の異なる増幅鋳型を含み、ここで前記増幅鋳型が第2の遺伝子発現要素からの複数のRNA転写産物から得た逆転写産物を含む、工程;
前記反応混合物を増幅レジメンに適用する工程;
前記増幅レジメン中の複数の段階において、前記第1の反応混合物および第2の反応混合物からアリコートを分配する工程:
前記アリコートの核酸を分離および検出する工程;
前記アリコートの複数の分離した核酸種の量を決定する工程;
各前記段階からの前記分離された核酸種の各々について、前記種の量を、前記種を含む前記アリコートが分配された段階と相関付ける工程であって、それによって前記第1の遺伝子発現要素および前記第2の遺伝子発現要素によって発現された前記複数のRNA転写産物の転写プロファイルを作成する工程;ならびに
前記第1の遺伝子発現要素からの前記転写プロファイルを、前記第2の遺伝子発現要素からの前記転写プロファイルと比較する工程
を包含する、方法。
【請求項33】
前記複数のRNA転写産物が、少なくとも3種の異なるRNA転写産物を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記複数のRNA転写産物が、少なくとも5種の異なるRNA転写産物を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記複数のRNA転写産物が、少なくとも10種の異なるRNA転写産物を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記複数のRNA転写産物が、少なくとも20種の異なるRNA転写産物を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記複数のRNA転写産物が、少なくとも50種の異なるRNA転写産物を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項38】
前記複数のRNA転写産物が、少なくとも100種の異なるRNA転写産物を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項39】
前記複数のRNA転写産物が、少なくとも200種の異なるRNA転写産物を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項40】
前記増幅レジメンがサイクル性である、請求項32に記載の方法。
【請求項41】
前記核酸増幅レジメンが温度サイクリングを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記核酸増幅レジメンが等温サイクリングを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記核酸増幅レジメンがPCRを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
前記核酸増幅レジメンがリガーゼ媒介増幅、NASBA、ローリングサイクル増幅を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項45】
前記試料を複数の試料受取部位を有する容器に分配する、請求項32に記載の方法。
【請求項46】
前記容器がマルチウェルプレートである、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記容器が複数のCEキャピラリーを備える、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記分配する工程を複数のサイクルの後で実行する、請求項40に記載の方法。
【請求項49】
前記分配する工程を前記レジメンにおけるすべてのサイクルの後で実行する、請求項40に記載の方法。
【請求項50】
前記分離する工程がキャピラリー電気泳動を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項51】
前記分離する工程が液体クロマトグラフィーを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項52】
前記検出する工程が1種または複数の蛍光標識の検出を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項53】
前記検出する工程が質量分析法を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項54】
前記増幅レジメンをコンテナ中で実行し、かつ前記試料の分配が前記コンテナから前記試料を引き出すことによって実行される、請求項32に記載の方法。
【請求項55】
前記コンテナがウェルまたは試験管である、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記増幅レジメンをコンテナ中で実行し、かつ前記分配が前記コンテナから前記試料を押し出すことによって実行される、請求項32に記載の方法。
【請求項57】
前記コンテナがキャピラリー管である、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
核酸配列の増幅をモニターする方法であって、
前記核酸配列の鋳型を含む核酸増幅反応混合物を備える工程;
前記混合物に対して増幅レジメンを実行する工程;
前記増幅レジメンの全体にわたる複数の段階の間隔で前記反応混合物のアリコートを自動的に分配する工程;
前記アリコート中の核酸種を分離および検出する工程;ならびに
複数の分離された種のそれぞれ1つについて、前記アリコート中の分離された核酸の量を決定する工程
を包含する、方法。
【請求項59】
核酸配列の転写プロファイルを決定する方法であって、前記方法は:
核酸増幅反応混合物を備える工程;
前記混合物に対して増幅レジメンを実行する工程;
前記増幅レジメンの全体にわたる複数の段階の間隔で前記反応混合物のアリコートを分配する工程;
前記アリコート中の核酸種を分離および検出する工程;ならびに
複数の分離された種のそれぞれ1つについて、前記アリコート中の分離された核酸の量を決定する工程;ならびに
前記核酸配列の転写プロファイルを決定する工程
を包含する、方法。
【請求項60】
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)装置であって:
反応混合物の複数の試料を別々に保持するための溶液ホルダー;
複数の温度の間で、特定の持続時間、反応混合物の複数の試料の温度をサイクル的に制御するための熱交換構造;および
この溶液ホルダーによって保持される複数の試料のセットの各試料から、それぞれ別々のアリコートホルダーに所定の試料の複数のアリコートを分配するためのアリコート分配機構
を備える、装置。
【請求項61】
その複数の試料のセットがすべての複数の試料を含む、請求項60に記載の装置。
【請求項62】
その溶液ホルダーが熱伝導性物質でできた少なくとも1つのブロックを備える、請求項60に記載の装置。
【請求項63】
その少なくとも1つのブロックが少なくとも1つの金属ブロックを備える、請求項60に記載の装置。
【請求項64】
少なくとも1つの金属ブロックがアルミニウムブロックを含む、請求項62に記載の装置。
【請求項65】
その溶液ホルダーが任意の材料の任意のベッセルを備える、請求項60に記載の装置。
【請求項66】
前記溶液ホルダーがシリカ中にエッチングされたウェルを備える、請求項60に記載の装置。
【請求項67】
前記溶液ホルダーが閉じた末端を有する複数のキャピラリー管を備える、請求項60に記載の装置。
【請求項68】
前記溶液ホルダーが末端をシールすることによって閉じた末端を有する複数のキャピラリー管を備える、請求項67に記載の装置。
【請求項69】
前記溶液ホルダーがそれぞれのキャピラリー管のいずれかの末端にオイルを有するキャピラリー管を備える、請求項67に記載の装置。
【請求項70】
前記溶液ホルダーがバルブで閉じられた末端を有する複数のキャピラリー管を備える、請求項67に記載の装置。
【請求項71】
前記複数の試料が多様な96試料を含む、請求項60に記載の装置。
【請求項72】
前記熱交換構造が少なくとも1つの金属ブロックを備える、請求項60に記載の装置。
【請求項73】
前記熱交換構造が少なくとも1つの熱風オーブンを備える、請求項60に記載の装置。
【請求項74】
前記熱交換構造が少なくとも1つのウォーターバスを備える、請求項60に記載の装置。
【請求項75】
前記温度が3つのインキュベーション温度を含む、請求項60に記載の装置。
【請求項76】
前記温度が45〜99℃の範囲にある、請求項75に記載の装置。
【請求項77】
前記温度が80〜99℃の変性のための温度、45〜65℃のアニーリングのための温度、および60〜75℃の伸長のための温度を含む、請求項60に記載の装置。
【請求項78】
前記温度が2つのインキュベーション温度を含む、請求項60に記載の装置。
【請求項79】
前記温度が94℃および50〜65℃を含む、請求項78に記載の装置。
【請求項80】
試料を前記溶液ホルダーに装填するための装填装置をさらに備える、請求項60に記載の装置。
【請求項81】
前記アリコートホルダーがマイクロタイタートレイのウェルを備える、請求項60に記載の装置。
【請求項82】
前記アリコートホルダーが96ウェルマイクロタイタートレイのウェルを備える、請求項81に記載の装置。
【請求項83】
前記アリコートホルダーが384ウェルマイクロタイタートレイのウェルを備える、請求項81に記載の装置。
【請求項84】
前記アリコートホルダーが試料ホルダーおよび別の機器の試料インプットの1つを備える、請求項60に記載の装置。
【請求項85】
前記アリコートホルダーが機器モジュールの試料ホルダーを備える、請求項60に記載の装置。
【請求項86】
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)装置であって:
反応混合物の複数の試料を別々に保持するための溶液ホルダー;
複数の温度の間で、特定の持続時間、反応混合物の複数の試料の温度をサイクル的に制御するための熱交換構造;および
前記溶液ホルダーによって保持される複数の試料のセットの各試料から、それぞれ別々のアリコートホルダーに所定の試料の複数のアリコートを自動的に分配するための自動分配機構
を備える、装置。
【請求項87】
前記自動分配機構が増幅レジメンのそれぞれ異なるサイクルにおいて所定の試料の複数のアリコートを自動的に分配するためのプロセス制御を備える、請求項86に記載の装置。
【請求項88】
核酸増幅装置であって:
反応混合物の複数の試料を別々に保持するための溶液ホルダー;
複数の試料のそれぞれの1つの反応混合物中の核酸の増幅を引き起こす反応システム;および
前記溶液ホルダーによって保持される複数の試料のセットの各試料から、それぞれ別々のアリコートホルダーに所定の試料の複数のアリコートを分配するためのアリコート分配機構
を備える、装置。
【請求項89】
前記分配機構が前記溶液ホルダーによって保持される複数の試料のセットの各試料から、それぞれ別々のアリコートホルダーに所定の試料の複数のアリコートを自動的に分配するための自動アリコート分配機構を備える、請求項88に記載の装置。
【請求項90】
前記自動分配機構が増幅レジメン中のそれぞれ異なる時間において所定の試料の複数のアリコートを自動的に分配するためのプロセス制御を備える、請求項89に記載の装置。
【請求項91】
増幅プロファイリング装置であって:
反応混合物の複数の試料を別々に保持するための溶液ホルダー;
複数の試料のそれぞれの反応混合物中の、核酸の増幅を引き起こす反応システム;および
前記溶液ホルダーによって保持される複数の試料のセットの各試料から、それぞれ別々のアリコートホルダーに所定の試料の複数のアリコートを分配するためのアリコート分配機構;および
前記アリコートホルダー中のアリコートを分析するため、かつ前記アリコートのそれぞれから核酸分子の物理的特性に基づいて個々の核酸分子を分離するための、分離デバイス
を備える、装置。
【請求項92】
前記分配機構が前記溶液ホルダーによって保持される複数の試料のセットの各試料から、それぞれ別々のアリコートホルダーに所定の試料の複数のアリコートを自動的に分配するための自動分配機構を備える、請求項91に記載の装置。
【請求項93】
前記自動分配機構が増幅レジメン中のそれぞれ異なる時間において所定の試料の複数のアリコートを自動的に分配するためのプロセス制御を備える、請求項92に記載の装置。
【請求項94】
PCR増幅プロファイリング装置であって:
反応混合物の複数の試料を別々に保持するための溶液ホルダー;
複数の温度の間で、特定の持続時間、反応混合物の複数の試料の温度をサイクル的に制御するための熱交換構造;および
前記溶液ホルダーによって保持される複数の試料のセットの各試料から、それぞれ別々のアリコートホルダーに所定の試料の複数のアリコートを分配するためのアリコート分配機構;および
前記アリコートホルダー中のアリコートを分析するため、かつ前記アリコートのそれぞれから核酸分子の物理的特性に基づいて個々の核酸分子を分離するための分離デバイス
を備える、装置。
【請求項95】
前記分配機構が前記溶液ホルダーによって保持される複数の試料のセットの各試料から、それぞれ別々のアリコートホルダーに所定の試料の複数のアリコートを自動的に分配するための自動分配機構を備える、請求項94に記載の装置。
【請求項96】
前記自動分配機構が増幅レジメン中のそれぞれ異なる時間において所定の試料の複数のアリコートを自動的に分配するためのプロセス制御を備える、請求項95に記載の装置。
【請求項97】
前記分離デバイスが分離および定量的分析システムを備える、請求項95に記載の装置。
【請求項98】
前記分離デバイスが電気泳動装置を備える、請求項97に記載の装置。
【請求項99】
前記分離デバイスがキャピラリー電気泳動装置を備える、請求項97に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2006−507849(P2006−507849A)
【公表日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−510386(P2005−510386)
【出願日】平成15年11月21日(2003.11.21)
【国際出願番号】PCT/US2003/037420
【国際公開番号】WO2004/048528
【国際公開日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【出願人】(505188630)プリメラ バイオシステムズ (3)
【Fターム(参考)】