説明

壁材原料、壁材および壁材原料の製造方法

【課題】 調湿性や化学物質吸着性を備え、取扱い時の発塵防止、壁形成後の耐剥離性や強度の高い壁材原料および壁、壁材の提供。
【解決手段】 珪藻土にフッ素樹脂を混練した壁材原料、前記壁材原料と平均粒径が0.001〜0.1mmである土壌粒子とフッ素樹脂とを混練した粒子とを含む壁材原料、好ましくは顔料、光輝材、粘着材、光触媒、マイナスイオン発生材のうち少なくとも1種類を含有した前記壁材原料、上記壁材原料を塗装した壁、天井、化粧板または壁紙、および壁材原料を含む建築用ボード。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁材原料、壁材および壁材原料の製造方法に関し、詳しくは、取扱いが容易で剥落し難く調湿性のある壁材原料、壁材および壁材原料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近の建築物は、コンクリート、モルタル、タイル、石材、石膏ボード、スレート板、金属板などの非吸湿性、非通気性の素材をそのまま又はその上に塗装や壁紙を貼って壁や天井として使用することが多い。そのため、土壁や木材が多く使われていた従来の日本家屋などに較べ室内の調湿効果が劣るといわれている。通気性が悪く、調湿効果が劣る部屋では乾燥しすぎたり、室温の変化により結露やカビ、バクテリアの発生が起こり易く、また、気密性のよい部屋では健康上好ましくない化学物質の室内への滞留も問題となっている。しかし、土壁や木材を大量に使用する建物は耐震性や断熱性の向上、経済性との両立が難しく、最近では旧来の建築材料は多量には使用し難くなっている。特に、土壁や上塗り土壁のように混練、塗装、強度発現に熟練と時間を要する方法はますます利用されなくなっている。そこで、建築方法での改善が行われており、部屋に強制換気設備や保湿装置を設置したり、塗装や壁紙、床剤等に使用される接着剤から有害化学物質を排除したりしている。しかし、旧来の日本家屋のように壁面や天井から自然にゆっくりと湿度調節や通気が行われるようなものはできていない。特に、結露対策は厄介な課題といわれている。
【0003】
一方、調湿性を備え、防カビ性、消臭性、抗菌性等の機能を備える素材として珪藻土が最近注目されている。珪藻土は微細な孔を多数もち広い表面積を有するため、室内空間の湿気を吸収あるいは放出して湿度を一定に保つ調湿機能や、悪臭などの不要成分を大量に吸着させる消臭機能に優れているので、この特性を生かして珪藻土を壁材や壁用建築材に適用する例が見られるようになった。例えば、特許文献1、特許文献2には焼成処理した珪藻土にトルマリン等を加えた健康住宅用壁材が開示されている。また、特許文献3には珪藻土およびトルマリンを原料とした建築用ボードが、特許文献4には、珪藻土および竹炭を原料とした壁上塗り材が開示されている。しかし、珪藻土は見かけ比重が小さく、微粉末であるので取扱いや貯蔵、輸送、壁材製造時に粉塵が発生し易いという難点があった。
【0004】
一般に、珪藻土や土壁原料のような微細粉末はその処理、取扱い時に粉塵を発生し易く、また、壁や壁材として加工した後も取扱い、使用時に粉塵が発生し易い。このような微粉末の取扱い、処理方法については、例えば特許文献5に発塵性粉体及びそれに対し少量のポリテトラフルオロエチレン樹脂粉末を高速混合ミキサー中でせん断作用及び圧縮作用下に発熱させつつ混合し、ポリテトラフルオロエチレン樹脂粉末をフィブリル化させる発塵性粉体の防塵処理方法が報告されている。また、特許文献6には発塵性粉体をフィブリル化性ポリテトラフルオロエチレン樹脂のフィブリルにて捕捉して防塵処理するに当り、水和反応により反応熱を発する物質にフィブリル化性ポリテトラフルオロエチレン樹脂および水を混合して撹拌し、水和反応熱により混合物の温度を上昇させると共に、上記ポリテトラフルオロエチレン樹脂を混合撹拌時の圧縮一剪断作用によりフィブリル化しておき、残熱を有する間に処理すべき発塵性粉体を少なくとも2回以上に分割して添加し混合撹拌する発塵性粉体の防塵処理方法が提案されている。
【0005】
【特許文献1】特開2004−83333号公報
【特許文献2】特開2002−224561号公報
【特許文献3】特開2004−10433号公報
【特許文献4】特開2003−336374号公報
【特許文献5】特開平10−102047号公報
【特許文献6】特開平9−328340号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述のような最近の建築物の課題に対応する調湿性や化学物質吸着性を備え、取扱い時の発塵防止、壁形成後の耐剥離性や強度の高い壁材原料の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、前記課題を解決するための手段として、珪藻土と特定の粒径の土壌粒子とをフッ素樹脂で処理した壁材原料とすることが有効であることを見出し以下の発明を完成した。
(1)珪藻土にフッ素樹脂を混練した壁材原料。
(2) 平均粒径が0.001〜0.1mmである土壌粒子を含む上記(1)に記載した壁材原料。
(3)顔料、光輝材、粘着材、光触媒、マイナスイオン発生材のうち少なくとも1種類を含有した上記(1)または(2)に記載の壁材原料。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の壁材原料にバインダーを加えて混練した壁材原料。
(5)上記(4)に記載の壁材原料を塗装した壁、天井、化粧板または壁紙。
(6)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の壁材原料を含む建築用ボード。
(7)60〜200℃に加熱した珪藻土にフッ素樹脂を加えて混練する(1)〜(4)のいずれかに記載の壁材原料の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の壁材原料は、直接上塗り壁として壁面や天井に塗ることは勿論、顔料等を加えて高級壁材原料に加工してから使用することもできる。本発明の壁、天井又は化粧板、壁紙若しくは建築用ボードなどの壁材は、取扱いが簡単で製造、取扱い、使用時に粉塵の発生が少ない。建物に施工された本発明の壁材原料または壁材は、珪藻土の効果により適度な調湿効果を発揮し、室内の湿度を快適に保つことができ、健康上好ましくない化学物質の吸収効果も期待できる。さらに、本発明の壁材原料は壁面などに施工されると、従来の土壁、上塗り土壁や土壁風壁紙と異なり、壁表面からの微粒子の剥離が抑えられ、壁面の耐久性、清潔性も向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の第一の壁材原料は、珪藻土とこれを結合するフッ素樹脂とを混練したものである。珪藻土は、微細な孔を多数持ち、広い表面積を有するため大きな調湿性を備え、建物の室内外温度差で結露が生じこれが原因となって発生するカビ等を抑えることができる。また、室内の煙草等のいやな臭いや新建材等から発生する有害ガスの吸収効果もある。しかし、通常の珪藻土は非常に細かい粒子からなるため、取扱い時や壁材として使用した際に粉塵が発生し易かった。本発明の壁材原料は、珪藻土をフッ素樹脂と混練することにより取扱い中の粉塵を抑え、さらに本発明の壁材原料を用いて形成した壁材や壁面も摩擦や振動による微細な珪藻土粒子の粉塵発生を抑えることができる。一方で本発明の壁材原料は珪藻土の長所である調湿性、化学物質吸収性、軽量性、断熱性を備えたままである。本発明で使用する珪藻土はどのようなものでもよいが、淡水成の珪藻土は吸着性、断熱性が高く特に好ましい。天然の珪藻土は多少の不純物が混入していてもよいが、砂、石、木片などは分級や水簸等により取り除くことが好ましい。また、珪藻土は混入している有機物やバクテリアを除去したり、粒子の色を白色に近くし、着色しやすくしたりするために焼成してもよい。本発明の壁材原料は、通常の珪藻土の水分吸着性能である150〜350mg/g、少なくとも50〜200mg/gの水分の吸着、脱着による調湿効果が期待できるものが好ましい。
【0010】
本発明の第二の壁材原料は、珪藻土に平均粒径が0.001〜0.1mmである土壌粒子を加え、フッ素樹脂と混練して得られるフッ素樹脂混練粒子とすればよい。本発明の壁材原料における珪藻土の含有量は、珪藻土が珪藻土と土壌粒子との合計量に対し30〜80重量%、好ましくは40〜70重量%が望ましい。土壌粒子は、平均粒径が0.001〜0.1mmであることが望ましい。このような土壌粒子としては、例えば、粘土、赤土、黒土、グライ土、シルトその他の土類の各単体、およびこれらの混合物等を挙げることができる。また、下水汚泥焼却灰、湿式砕石製造時に生ずる濁水の脱水ケーキ、乾式砕石製造時に生ずる微粉末、浄水場で生ずる脱水ケーキ、汚泥ケーキ、火山灰、石炭灰等も土壌粒子として使用できる。なお、平均粒径が上記範囲を外れるような場合は、粉砕、分級等によって調整することができる。これらの中でも従来から壁材として使用されている粘土、赤土、黒土などが好適に使用できる。なお、本発明の壁材原料は珪藻土と土壌粒子とをそれぞれフッ素樹脂と混合してからそれらを混合したものでもよいし、珪藻土と土壌粒子とフッ素樹脂とを同時に混合したものでもよい。
【0011】
上記発明の混練に用いるフッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、六フッ化エチレン共重合体(FEP)、四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)、三フッ化塩化エチレン(PCTFE)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、アクリル変性ポリテトラフルオロエチレン、フルオロシリコーン複合体等を挙げることができる。この中でも、ポリテトラフルオロエチレンが好ましい。フッ素樹脂添加量は、珪藻土との混合においても、土壌粒子との混合においても、珪藻土と土壌粒子との混合物との混合においても、それぞれフッ素樹脂混練粒子全体に対してフッ素樹脂を0.001〜2重量%、好ましくは0.002〜0.8重量%の割合で含有されていることが望ましい。フッ素樹脂添加量がこの範囲内であると、粉体取扱い時の粉塵発生防止や形成された壁面の剥離、粉塵発生を抑制でき、調湿性、化学物質吸着性、クッション性、断熱性の良好な壁面を形成することのできる壁材原料や建材とすることができるまた、また、本発明に係る珪藻土とフッ素樹脂を混練した壁材原料の見かけ比重は0.5〜2.0、好ましくは0.7〜1.4とすることが望ましい。この範囲内であると、断熱性、クッション性、強度、調湿性等の良好な壁面を形成することのできる壁材原料とすることができる。
【0012】
本発明の壁材原料には、顔料、光輝材、粘着剤、光触媒、マイナスイオン発生材などの機能性添加物を加えることができる。これらの添加物は、上記の壁材原料の機能を保った上に、それぞれの添加物の持つ機能を発揮することができる。顔料は所望の着色をした壁材原料に、雲母紛のような光輝材は光輝性を持った壁材原料に、粘着剤は珪藻土などの粘着性の強化された壁材原料にすることができる。アナタ−ゼ型酸化チタン粉末などの光触媒は壁表面の汚れ防止効果や殺菌効果を、ジルコサンド、トルマリンなどのマイナスイオン発生材は壁面からマイナスイオンを発生し殺菌効果、空気清浄化効果、悪臭除去効果、防塵効果等を発揮するといわれている。添加物の添加量は壁材原料全体に対し30重量%以下、好ましくは10重量%以下であることが望ましい。機能を発揮できれば1重量%以下でも十分である。なお、これらの機能性添加物は壁材原料製造時に添加してもよいし、壁材原料から壁材または壁面を形成する際に添加してもよい。
【0013】
本発明(1)に係る壁材原料は、珪藻土とフッ素樹脂との混合物を60〜200℃、好ましくは80〜150℃に加熱して混練すれば製造できる。また、本発明(2)に係る壁材原料は、粒径が0.001〜0.1mmである土壌粒子とフッ素樹脂との混合物を60〜200℃、好ましくは80〜150℃に加熱して混練した後、上記珪藻土とフッ素樹脂との混合物である壁材原料と混合してもよいし、珪藻土と粒径が0.001〜0.1mmである土壌粒子との混合物をフッ素樹脂と60〜200℃、好ましくは80〜150℃に加熱して混練しても製造できる。顔料、光輝材、粘着剤、光触媒、マイナスイオン発生材、増量材などを加える場合は、最初から珪藻土又は土壌粒子に添加しておいてもよいし、製造工程の途中のどの時点で添加してもよい。但し、最終工程で添加した場合は、これらの添加物を添加した後に均一になるよう混合する必要がある。
【0014】
壁材原料製造用の混練機としては、回転容器型混練機、固定容器型混練機、ロール型混練機等を挙げることができる。回転容器型混練機としては、ボールミル、コンクリートミキサー等を挙げることができる。固定容器型混練機としては、水平軸型混練機、垂直軸型混練機等を挙げることができる。水平軸型混練機としては、単軸型、複軸型、単複軸型等を挙げることができる。水平軸型混練機における単軸型としては、リボンミキサー、コニーダー、ボテーター等を挙げることができる。また、水平軸型混練機における複軸型としては、バンバリーミキサー、双腕型ニーダー、セルフクリーニング型ニーダー、パグミル、ギヤコンパウンダー、オーガー等を挙げることができる。さらに、水平軸型混練機における単複軸型としては、スクリュー押出し機、スクリュー型ニーダー、ピンミキサー、ロッドミキサー等を挙げることができる。垂直軸型混練機としては、単軸型、単複軸型等を挙げることができる。垂直軸型混練機における単軸型としては、クラッシャー、高速流動型ミキサー、ヘンシェルミキサー、シュギーミキサー等を挙げることができる。また、垂直軸型混練機における単複軸型としては、マラー、ワールミックス、アイリッヒミル等を挙げることができる。ロール型混練機としては、ロールミル、テーパーロールミル等を挙げることができる。混練には加熱を必要とする場合が多いが、圧縮剪断作用を持つ混練機を用いれば、発熱を伴いながら混練できるので、外部加熱の必要がない場合もある。
【0015】
フッ素樹脂は溶融又は溶媒に溶かして、珪藻土、土壌粒子又はこれらの混合物と混合することもできる。フッ素樹脂を溶媒に溶かして溶液とする場合には、例えば、溶媒として水を用いフッ素樹脂水溶液とすれば、その濃度を5〜100g/lとすることが好ましい。また、珪藻土、土壌粒子または珪藻土と土壌粒子との混合物と、このフッ素樹脂水溶液との混合割合は、珪藻土、土壌粒子または混合物1kgに対して、フッ素樹脂水溶液が10〜200リットルであることが好ましい。フッ素樹脂を水溶液として用いない場合には、上記珪藻土等との混合の際、珪藻土等1トンに対し水を10〜200リットル程度加えて混練することが好ましい。均一な混合と粉塵の防止効果がある。
【0016】
このようにして得られた壁材原料は、通常は水とバインダーを加えて混練して、本発明(4)の壁材原料として使用できる。例えば、この壁材原料を従来の上塗り壁や漆喰のように鏝等で壁面に塗って壁を形成する。あるいは、壁材原料を板材や壁紙用のシート上に塗布して化粧板や壁紙とすることもできる。バインダーとしては、セメント、漆喰、水溶性ポリマー例えば酢酸ビニル、アクリルエマルジョンなどのモルタルエマルジョン樹脂、カルボキシメチルセルロースなどのように壁材原料同士および壁材原料と壁本体や壁紙用シートなどの基材との接着性を向上させるものが好ましい。建築用ボードを製造する場合は上記壁材原料を押出し、型押し、キャスティングなどにより成形すればよい。水およびバインダーの添加量は壁面や建築用ボードの製造条件によって異なり、壁材原料の取扱いが容易なように調整すればよい。通常は、壁材原料1kgに対し、水を50〜1000ml、バインダーを1〜500g添加すればよい。
【実施例】
【0017】
実施例によって、本発明を例を具体的に説明する。
(実施例1)
珪藻土2.1kgをおよび土壌粒子である平均粒径0.01mmの黒土0.9kgを、ヒーター付き混練機中で約95℃に加熱し、均一に混合しておき、8wt%のポリテトラフルオロエチレン水溶液100mlを加えて5分間混練した。このポリテトラフルオロエチレン混練粒子を自然冷却後、バインダーとしてモルタルエマルジョン樹脂(昭和電工株式会社製、ハイモルエマルジョン(ペタルスEV300))0.3kgと水500mlを加えて均一状態になるまで十分混練する。出来上がった湿潤状態の生成物を壁材原料1とした。
(実施例2)
実施例1において、珪藻土を1.5kg、黒土を1.5kgとした以外は実施例1と同様にして、壁材原料2を作成した。
(実施例3)
実施例2において、珪藻土と黒土の混合物にさらに平均粒径1mmの雲母0.3kgを加えた以外実施例2と同様にして、壁材原料3を作成した。
(実施例4)
実施例1において、自然冷却したポリテトラフルオロエチレン混練粒子にモルタルエマルジョン樹脂と水を加える際、同時にマイナスイオンセラミック鉱石であるジルコサンドを、ポリテトラフルオロエチレン混練粒子に対し5wt%添加した以外は実施例1と同様にして、壁材原料4を作成した。
(比較例)
珪藻土2.1kgをおよび土壌粒子である平均粒径0.01mmの黒土0.9kgを、ヒーター付き混練機中室温で混合し、モルタルエマルジョン樹脂0.3kg、水500mlを加えて均一状態になるまで十分混練する。出来上がった半乾燥状態の生成物を壁材原料5とした。
【0018】
(吸放湿性の評価)
1m四方のコンクリートパネル用合板の全面にエポキシ樹脂を塗布し、吸放湿性をなくし、表面に水性シーラー100gを2回塗りして壁材の接着性を高めた塗り壁用の基板を作成した。この塗り壁用の基板上に、上記実施例等で作成した壁材原料1〜5を5mm厚で鏝塗りし、4時間自然乾燥させ、それぞれ擬似壁面1〜5とした。この擬似壁面を温度28℃、湿度95%の恒温恒湿槽中に24時間放置した後重量測定した。その後、恒温恒湿槽の湿度を45%として、されに24時間放置してから擬似壁面の重量を再度測定した。擬似壁面は吸収した水分を放出して軽くなっていた。この重量変化を表1に示した。
(マイナスイオンの測定)
擬似壁面4および5の表面を同じ大きさに20分割し、それぞれの箇所の表面付近についてマイナスイオンを測定した。測定器はエコホリスティック社製のデジタル測定器EB−13である。結果を表1に示した。
【0019】
【表1】

【0020】
(剥離性試験)
擬似壁面1,2,5の表面にそれぞれ透明OPPテープ(幅50mm、長さ200mm)を貼り付け、指の腹で軽くこすって密着させてから剥がした。この剥がした透明OPPテープを白紙上に置いて写真撮影し、剥離して付着した壁材の量を評価した。この写真を図1に示した。図1の(A)は擬似壁面1から剥離したOPPテープの写真、(B)は擬似壁面2から剥離したOPPテープの写真、(C)は擬似壁面5から剥離したOPPテープの写真である。
【0021】
表1から判るように本発明の壁材原料を用いた擬似壁面1、2、3は水分の脱離機能が優れており、従来の擬似塗り壁よりも調湿性が向上していることが窺える。また、擬似壁面4は従来の擬似塗り壁に較べ格段にマイナスイオン発生量が多いことがわかる。
図1から判るように、本発明の壁材原料を用いた擬似壁面1、2は、比較例である擬似壁面5に較べて剥離量が少なく、耐剥離強度があり、粉塵の発生し難い良好な壁面であることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明の壁材原料は、入手し易い原料を用いて製造でき、従来の塗り壁用の壁土や漆喰のように市場に流通することができる。また、壁材原料にバインダーおよび水を加えて壁材原料として商品化すれば、一般消費者はそのまま壁面に塗ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は剥離試験結果を示す写真である。(A)は擬似壁面1から剥離したOPPテープの写真、(B)は擬似壁面2から剥離したOPPテープの写真、(C)は擬似壁面5から剥離したOPPテープの写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
珪藻土にフッ素樹脂を混練した壁材原料。
【請求項2】
平均粒径が0.001〜0.1mmである土壌粒子を含む請求項1に記載した壁材原料。
【請求項3】
顔料、光輝材、粘着材、光触媒、マイナスイオン発生材のうち少なくとも1種類を含有する請求項1又は2に記載の壁材原料。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の壁材原料にバインダーを加えて混練した壁材原料。
【請求項5】
請求項4に記載の壁材原料を塗装した壁、天井、化粧板または壁紙。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の壁材原料を含む建築用ボード。
【請求項7】
60〜200℃に加熱した珪藻土にフッ素樹脂を加えて混練する請求項1〜4のいずれか1項に記載の壁材原料の製造方法

【図1】
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【公開番号】特開2007−56608(P2007−56608A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−245328(P2005−245328)
【出願日】平成17年8月26日(2005.8.26)
【出願人】(505322957)
【出願人】(505322968)
【出願人】(505323529)
【Fターム(参考)】