変形式分注チップ、変形式分注装置および変形式分注処理方法
【課題】簡単な構造であるにも拘らず高精度な分注処理を行うことができる変形式分注チップ、変形式分注装置および変形式分注処理方法を提供する。
【解決手段】壁面で囲まれた内部に液体および気体を収容可能であってその壁面の一部に、変形可能な変形壁面を有する収容部および収容部と連通し変形壁面の変形による内部の膨張および収縮により吸引吐出される液体が流入流出可能な口部を有する2以上の変形式分注チップと、1または2以上の変形式分注チップを支持し、変形式分注チップの変形壁面を変形させることによって、変形式分注チップに対する液体の吸引吐出を行う分注ヘッドを有するように構成する。
【解決手段】壁面で囲まれた内部に液体および気体を収容可能であってその壁面の一部に、変形可能な変形壁面を有する収容部および収容部と連通し変形壁面の変形による内部の膨張および収縮により吸引吐出される液体が流入流出可能な口部を有する2以上の変形式分注チップと、1または2以上の変形式分注チップを支持し、変形式分注チップの変形壁面を変形させることによって、変形式分注チップに対する液体の吸引吐出を行う分注ヘッドを有するように構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変形式分注チップ、変形式分注装置および変形式分注処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、本願出願人により出願され特許となった分注装置があった。該分注装置は、分注チップを装着用開口部においてノズルの下端部と嵌合装着し、該ノズルと連通するシリンダ内のプランジャを摺動させることによって、前記分注チップ内にその下端を通って液体を吸引または吐出させることによって行っていた(特許文献1ないし特許文献4)。
【0003】
しかし、前記分注装置で用いられるシリンダ、プランジャ等の機構は、注射器のような高精度の加工部品であり、特に、シリンダ内の容積変化は、基本的に分注チップ内の容積変化と一体であり、プランジャと、そのプランジャの駆動装置との接合部に緩みがないように伝達する必要があった。また、それらの吸引吐出機構と、分注チップ等を、気体や液体の漏れがないように嵌合させているものである。そのため、高度の品質管理が必要となるおそれがあった。また、分注チップの吸引吐出を制御するには、分注チップの容量に相当する容量をもつシリンダが必要であるため、大きな体積の液体を扱うには、装置規模が大きくなるという問題点を有していた。
【0004】
一方、従来、ゴム等の壁面で囲まれ内部に液体及び気体を収容可能であって、その壁面を手動で押すことで変形して液体の吸引吐出を行うスポイトが良く知られていた。しかし、このスポイトは、手動で扱うものなので1人のユーザはせいぜい1本のスポイトを扱うことしかできず、多数のスポイトを用いて、同時に処理を行うことができなかった。また、スポイトの変形は、力の大きさ、力の方向、力を加える場所によって異なるので、手動によるスポイト操作では、量的に精密な処理およびその再現性の高い繰り返しを行うことは困難であった。
【0005】
この改善策として、分注チップを用いずに、容器から容器に直接移送するやり方があるが、装置構造が簡略化されるものの、人手が必要であり、また、容器と容器との接触によるコンタミネーションのおそれがあり、信頼性が高くないおそれがあるという問題点を有していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3115501号公報
【特許文献2】特許第3739953号公報
【特許文献3】特許第3630497号公報
【特許文献4】特許第3682302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、以上の問題点を解決する為に、本発明の第1の目的は、簡単でコンパクトな構造であるにも拘らず高精度で、種々の体積(数μリットル程度から数10ミリリットル程度まで)の液体を取り扱うことができ、かつ、効率的な処理を行うことができる変形式分注チップ、変形式分注装置および変形式分注処理方法を提供することである。第2の目的は、製造や品質管理に水密性、気密性等のための精度を要求されず、安価に提供でき、また管理負担を軽減することとともに、クロスコンタミネーションを確実に防止することができる変形式分注チップ、変形式分注装置および変形式分注処理方法を提供することである。第3の目的は、種々の複雑な処理を一貫して自動化することができる変形式分注チップ、変形式分注装置および変形式分注処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、壁面で囲まれた内部に液体および気体を収容可能であって、その壁面の全内表面積を実質的に変えることなく所定の変形が可能な変形壁面を前記壁面の一部に有する収容部および該収容部と連通し該変形壁面の変形による前記内部の膨張および収縮によって吸引吐出される液体が流入流出可能な口部を有する1または2以上の変形式分注チップと、1または2以上の該変形式分注チップを前記変形壁面の変形によって前記口部が変動しないように支持し、該変形式分注チップの前記変形壁面を一斉に変形させることによって、該変形式分注チップに対する液体の吸引吐出を一斉に行う分注ヘッドとを有する変形式分注装置である。
【0009】
ここで、「変形壁面」とは、その変形が可能な可撓性のある壁面であって、その変形によって、その変形壁面の表面積が変わらない壁面である。したがって、該変形壁面を組み込んだ壁面においても、その変形によって全表面積は変わらない。「壁面の一部」としては、例えば、前記収容部の全壁面のうち口部近傍を除く壁面部分であって、該壁面部分と口部との間には、変形しない非変形壁面が設けられる。
【0010】
また、変形壁面の「所定の変形」は、加える変形の程度に応じて実質的に内部容積が定まる変形が好ましい。すなわち、ある変形方向に沿って変形壁面を押しもしくは引き、または力を除去するその各程度に応じて、壁面で囲まれた内部が膨張または収縮して内部の容積が一律に定まることが好ましい。
【0011】
前記変形壁面は、その変形による内部の膨張方向または収縮方向に付勢されていても良い。膨張方向に付勢されている場合には、その膨張方向に逆らって力を加えることで収縮し、力を除去することで膨張方向へ変形することになる。収縮方向に付勢されている場合には、収縮方向に逆らう方向に力を加えることで膨張し、力を除去することで収縮方向へ変形することになる。変形壁面としては、例えば、蛇腹(ベローズ)が形成された壁面、またはゴム等の弾性体の面状部材もしくは膜状部材等で形成され、または変形方向に沿った弾性力をもつバネ等を内蔵する壁面等の、可撓性のある面状部材もしくは膜状部材で形成された壁面である。
【0012】
なお、「吸引吐出」とは、吸引または/および吐出を意味する。前記変形式分注チップの材料は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリビニール、アクリル等の樹脂、ゴム等の弾性体、その他の可撓性の材料、またはこれらの組合せである。変形式分注チップは透明または半透明であることが好ましい。
【0013】
「前記変形式分注チップを前記変形壁面の変形によって前記口部が変動しないように支持し」は、前記変形式分注チップを、前記変形壁面の変形によって口部の位置および形状が実質上変動しないように分注ヘッドに取り付けることである。これは、シリンダ方式の分注チップのように吸引吐出の際に摺動するプランジャと口部とが部材として独立して形成されているのではなく、この変形式分注チップでは、吸引吐出の際に変形する変形壁面と口部とが部材として連続しているからである。例えば、該チップの該分注ヘッドへの取付位置または固定位置等の支持位置は、前記口部と前記変形壁面との間に設けた変形壁面以外の変形しない非変形壁面である。前記口部は下方に向くように支持するのが好ましい。
【0014】
前記変形式分注チップの大きさは、例えば、その口部から装着用開口部に沿ったまたは軸方向の長さが数センチメートルから10数センチメートルで、その容積は、その長さに応じて、例えば、数マイクロリットルから数10ミリリットル程度である。吸引吐出量は、その容積に応じて、例えば、数マイクロリットルから数10ミリリットル程度である。
【0015】
第2の発明は、種々の溶液を収容可能な複数の容器を有する容器群と、該分注ヘッドを容器群に対して相対的に移動させるヘッド移動部とをさらに有するとともに、前記口部は前記容器に対して一斉に挿入可能である変形式分注装置である。この場合、前記口部が下方に向くように支持すると液体の吸引、吐出、移送を円滑に行うことができる。「溶液」には、各種試薬、検体、化学物質、または磁性体を含有する液体を含む。「容器」には、複数の液収容部が設けられて、各液収容部が前記口部に対応する位置に設けられたものも含む。
【0016】
第3の発明は、前記分注ヘッドは、前記2以上の変形式分注チップを支持可能なチップ支持部と、前記変形式分注チップの変形壁面の変形方向に沿って一斉に進退動作可能な可動部材を用いて前記変形壁面を一斉に変形させる可動機構とを有する変形式分注装置である。
【0017】
前記可動部材は、前記収容部に対し接触、接触かつ離脱または接続した状態で進退動作を行うことで前記変形壁面を変形させる。変形式分注チップを支持するには、その内部の膨張方向および収縮方向の2方向に対する可動部材によって加えられる力に対して移動を阻止するように支持して、前記変形式分注チップの前記変形壁面以外の部分、特に、口部の位置が変形によって動かないようにするのが制御上好ましい。変形式分注チップの場合には、前記変形壁面とそれ以外の部分とが一体的または連続的につながっているからである。そのためには、前記変形可能方向に沿って挟むように支持する。例えば、変形可能方向が上下方向である場合には、前記変形式分注チップまたはその一部を上下から挟むように支持するのが好ましい。
【0018】
第4の発明は、前記分注ヘッドまたは前記容器群には、前記収容部または容器の内部に磁場を及ぼしまたは除去することが可能な磁力手段を有する変形式分注装置である。これによって、例えば、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、DNA、RNA、オリゴヌクレオチド、糖鎖等の生体化合物を保持した磁性体が多数懸濁する懸濁液を該変形式分注チップ内に吸引または吐出する際に、若しくは貯留の際に磁場を内部に及ぼして該チップの内壁に吸着させて磁性体を、従って、前記生体化合物を分離することができる。
【0019】
第5の発明は、前記変形壁面の変形、および/または、前記分注ヘッドと容器群との間の移動を、前記変形式分注チップの個数もしくは構造、吸引吐出すべき液体、そこに含まれる物質、その量、その収容位置、その温度もしくはその濃度、処理内容、または指示に基づいて制御する制御部を有する変形式分注装置である。物質には、核酸、タンパク質、糖鎖、アミノ酸等の生体物質のみならず、金属等をも含む種々の化学物質を含む。また、「液体」には、溶液および懸濁液を含む。前記懸濁液には、例えば、種々の物質を反応により結合可能なまたは反応によって結合した磁性体の懸濁液を含む。
【0020】
第6の発明は、前記変形壁面の変形について所定基準位置を設定し、該基準位置を基準にして、前記変形壁面の変形の制御が行われる変形式分注装置である。
【0021】
ここで、「所定基準位置」は、処理で扱う液体量、使用する変形式分注チップの容量、処理の内容、または変形式分注チップの加工精度等によって定める。
例えば、処理で扱う液体量が微小量(例えば、数μリットルから数100μリットルのオーダの場合)であったり、使用する変形式分注チップの容量が小さい場合、処理に精度を要する場合、または変形式分注チップの加工精度が高くない場合には、基準位置としては、既に変形式分注チップを所定の変形を加えた状態の可動部材または変形壁面の変形方向に沿った位置を基準にする。これによって、精度の高い制御を行うことが可能である。この場合には、例えば、予め定めた最大の変形量による前記分注チップ内への液体の予め定めた最大吸引量の全てを吐出することができるように設定するのが好ましい。これによって、変形式分注チップからの液体の吐出による前記変形式分注チップ内への液体の残留を防止することができる。
【0022】
例えば、予め設定された変形式分注チップの内部の容積をV0とし、該状態に相当する可動部材または変形壁面の位置を基準として、変形式分注チップの変形による予め定めた最大の内部容積V1、変形式分注チップの変形による予め定めた最小の内部容積V2とした場合に(V1>V0>V2)、前記分注チップ内への液体の予め定めた最大吸引量V1−V0が、予め定めた最大吐出量V0−V2よりも小さい関係、すなわち、V1−V0≦V0−V2、すなわち、(V1+V2)/2≦V0の関係となるように基準位置を設定するのが好ましい。
【0023】
ここで、「予め定めた最大の変形量」であるので、必ずしも物理的に最大の変形量でなくてもよい。「最大吸引量の全てを吐出することができる」のであるから、「最大吐出量」は「最大吸引量」と同一かそれよりも大きい量をもつ必要がある。これによって、前記変形式分注チップ内への液体の残量を気にせずに処理を行うことができる。
【0024】
一方、扱う液体の量が大きい場合(たとえば、数ミリリットルのオーダの場合)処理に余り精度を要しない等の場合には、変形式分注チップの変形がされていない非変形状態の位置を基準にして制御することが可能である。そのような場合としては、例えば、未だ可動部材が変形式分注チップに接触していない状態で、かつその変形方向に沿った位置(例えば、前記チップから1ミリメートル離れた位置)を基準位置に取るような場合である。
【0025】
第7の発明は、前記変形壁面は、蛇腹が形成されている変形式分注装置である。
【0026】
ここで、「蛇腹」とは、所定の変形方向を略垂直に横切る方向に沿って形成された山および谷を有する波または襞が形成された面状部材または膜状部材であって該山および谷で折り曲がり可能なものをいう。前記変形方向を軸とする筒状に囲む壁面に、蛇腹が形成された前記面状部材または膜状部材を用いる場合には、前記波または襞の形状としては、前記変形方向に垂直な直線状または該変形方向に垂直な平面内に含有される円周状または閉曲線状(曲線には直線も含む)の山および谷からなる。
【0027】
前記蛇腹は、例えば、前記収容部の全壁面を、蛇腹の変形方向を横切って2つに仕切るように形成される。したがって、前記変形方向は、蛇腹の波形または襞の各山または各谷が含まれる各平面の各法線方向に略一致する。
【0028】
第8の発明は、前記口部は下端に設けられ、前記収容部は該口部の上方に設けられ、該収容部を囲む壁面の一部に、その内壁面を上下に仕切るようにして上下方向に変形可能な前記変形壁面を設け、前記収容部の上端と前記可動部材とが接触または接続可能である変形式分注装置である。
【0029】
第9の発明は、前記収容部は、前記可動部材と接触または接続可能であって可動部材によって変形可能な変形壁面を有し気体を収容可能な変形部と、該変形部と連通し変形がされない非変形壁面で形成され先端に前記口部を有し液体を貯留可能な非変形部を有する変形式分注装置である。
【0030】
第10の発明は、前記分注ヘッドまたは容器群は、2以上の前記変形式分注チップを一列状または平面状に所定間隔に配列して着脱自在に保持可能なチップ配列保持部を有する変形式分注装置である。「平面状」には、例えば、行列状、円周状、複数同心円状等がある。
【0031】
「行列状」とは、行方向と列方向の配列を持ち該方向同士は必ずしも直交する必要はない。なお、1列または1行の配列も行列の特別な場合である。「所定間隔」としては、前記容器群中に設けられた容器の液収容部に対応する間隔をもたせるようにする。取り扱う溶液の個数、種類や量に応じて種々のピッチ、個数を持つものを用意することができる。
【0032】
第11の発明は、前記分注ヘッドのチップ支持部は、2以上の前記変形式分注チップを列状または平面状に所定間隔に配列して着脱自在に保持可能なチップ配列保持部を、前記各変形式分注チップが変形可能に装着することで2以上の前記変形式分注チップを支持する変形式分注装置である。変形可能であるためには、例えば、前記分注ヘッドの前記可動部材によって前記変形式分注チップの変形部を変形可能となるような位置に装着する必要がある。
【0033】
第12の発明は、前記変形式分注チップは前記口部および前記収容部を有し、該収容部は、前記可動部材と接触可能であって可動部材によって変形可能な変形壁面を有し気体を収容可能な変形部と、該変形部と連通し変形がされない非変形壁面で形成され先端に前記口部を有し液体を貯留可能な非変形部を有し、前記チップ配列保持部には、列状または平面状に所定間隔で穿設された2以上の貫通孔が設けられたプレートを有し、前記各変形式分注チップは前記各貫通孔に挿入して保持されるとともに、前記変形式分注チップの前記口部は前記貫通孔を貫通して前記プレートの下方にあり、前記収容部の内前記変形部は、前記プレートの上方にくるように保持される変形式分注装置である。
【0034】
第13の発明は、前記変形式分注チップは、内部検出領域を有し、前記分注ヘッドには前記内部検出領域を通して内部の状態を検出する光検出部を設けた変形式分注装置である。したがって、前記変形式分注チップの前記内部検出領域が、前記プレートの下方に来る場合には、前記光検出部も前記プレートの下方にくるように設けられることになる。ここで、「内部検出領域」は、内部への光の照射および透過を容易に行なうことができるように、側面が曲面ではなく平面となるように形成して、光の乱反射を防止し、またはチップの曲がり等の発生を防止することができる。例えば、平面「内部の状態」には、液体の有無、液面の有無を含む。ここで、「内部検出領域」は、変形式分注チップにおいて周辺よりも光の透過性が高くなるように形成した領域である。
【0035】
第14の発明は、前記チップ配列保持部は、保持される各変形式分注チップごとに、該変形式分注チップを緩挿して保持する2以上の緩挿部を設けた変形式分注装置である。緩挿部としては、例えば、前記変形式分注チップを包囲するように形成された筒、複数本の棒、網、管がある。
【0036】
第15の発明は、前記磁力手段は、1または2以上の前記変形式分注チップの各収容部に対して一斉に接離可能に設けた2以上の磁石を有する変形式分注装置である。
【0037】
例えば、前記分注ヘッドがチップ支持部を有し、該チップ支持部が2以上の前記変形式分注チップを行列状に所定間隔に配列して着脱自在に保持可能なチップ配列保持部を、前記各変形式分注チップが変形可能に装着することで2以上の前記変形式分注チップを支持する場合には、前記磁力手段は、前記行列状に配列可能な変形式分注チップの行方向または列方向に相対的に移動可能に設けられ、前記行方向または前記列方向に沿って伸びかつ前記所定間隔に対応して各々前記列間または行間に挿入可能な幅に設けられた少なくとも(前記列数個−1)本または(前記行数個−1)本の櫛歯部材と、該櫛歯部材の一端で連結した支持部材とを有し、前記各櫛歯部材には、前記各変形式分注チップに対応する位置に前記所定間隔で配列された前記行数個または列数個の磁石が設けられたものである。前記変形式分注チップに磁場を及ぼす場合には、前記全磁石が各変形式分注チップの全てに最短の距離にくるように移動させ、磁場を除去する場合には、該全磁石を変形式分注チップが配列されたチップ配列保持部から完全に撤退するか、または、前記各磁石が変形式分注チップの所定間隔の中間の位置にくるように移動させるようにしても良い。
【0038】
第16の発明は、壁面で囲まれ内部に液体および気体を収容可能であって、その壁面の全内表面積を実質的に変えることなく所定の変形が可能な変形壁面を前記壁面の一部に有する収容部および該収容部と連通し前記変形壁面の変形による前記内部の膨張および収縮によって吸引吐出される液体が流入流出可能な口部を有するとともに、前記口部は下端に設けられ、前記変形壁面は、該収容部を囲む壁面の一部に上下方向に変形可能となるように形成され、前記収容部は、該口部の上方に設けられ、前記変形壁面を有し気体を収容可能な変形部と、該変形部と連通し前記変形壁面を有せず先端に前記口部を有して液体を貯留可能な非変形部を有する変形式分注チップである。
【0039】
ここで、前記収容部は、例えば、前記樹脂で形成し、変形壁面として、例えば、蛇腹を設けた該変形部はブロー成型で形成し、前記非変形部はインジェクション成型によって形成する。または全てブロー成型で形成する。「変形壁面」については第1の発明で説明した通りである。
【0040】
第17の発明は、前記非変形部は前記変形部と連通する太管、前記口部を有する細管および前記太管と前記細管との間に形成された移行部とを有する変形式分注チップである。
【0041】
ここで、前記「移行部」の形状は、例えば、円錐台状、漏斗状、または段差状に形成される。また、太管および細管は、必ずしも円筒状に限られず、角柱状、多角形状、また、円錐状、角錐状、多角錐状であっても良い。
【0042】
また、前記細管の先端を先細りまたは鋭利に形成することによって、試薬、検体等を含有した溶液を予め収容してその開口部をフィルムで被覆したプレパック式の試薬等収容容器に対して、前記細管でフィルムを突き刺すことで容器内に収容した溶液を細管を通して吸引することができる。
【0043】
第18の発明は、前記太管、前記変形部、および前記移行部は一体として形成され、前記細管は、その上端部が前記移行部の下端部に取り付けられた変形式分注チップである。
【0044】
ここで、前記細管は、例えば、その上端部が前記移行部の下端部と嵌合させて、接着剤、熱溶着、超音波溶着等を用いて取り付けられる。したがって、前記細管は、前記変形部を含む部分を形成する軟らかい素材、例えば、ポリエチレン、ポリエステル等よりも硬い素材、例えば、金属、ポリプロピレン、ポリスチレン等を用いることができる。前記細管を除く部分、すなわち、前記太管、前記変形部、および前記移行部が一体として形成された部分をブロー成型で形成し、前記細管をインジェクション成型によって形成することができる。
【0045】
第19の発明は、前記収容部を内部に緩挿して保持するホルダをさらに有し、該ホルダは、その上側に設けた上側開口部、前記口部を外に露出可能な下側開口部を有する変形式分注チップである。
【0046】
また、該ホルダは、該ホルダ内に前記変形式分注チップを緩挿した状態で前記可動部材と接触または接続可能とするように、前記上側開口部を通じて、またはその側面にスリットを設けて前記可動部材が挿入して前記収容部と接触または接続するようにしても良い。
ここで、前記下側開口部は、例えば、該細管を突出可能に設けられているのが好ましい。
【0047】
第20の発明は、前記非変形部には、平行な透明平板状側面で挟まれた内部検出領域を設けた変形式分注チップである。
【0048】
第21の発明は、壁面で囲まれ内部に液体および気体を収容可能であって、その壁面の全内表面積を実質的に変えることなく所定の変形が可能な変形壁面を前記壁面の一部に有する収容部および該収容部と連通し該変形壁面の変形による前記内部の膨張および収縮により吸引吐出される液体が流入流出可能な口部を有する2以上の変形式分注チップを、前記変形壁面の変形によって前記口部が変動しないように分注ヘッドに支持させる支持工程と、該分注ヘッドを移動する移動工程と、前記口部を容器内に挿入して前記変形壁面を一斉に変形させる変形工程とを有する変形式分注処理方法である。
【0049】
ここで、前記変形工程においては、前記変形式分注チップの内部状態を検出して、チップ内の液体の有無や、液面の高さを検出して指示通りの処理がなされているか否かを検出するのが好ましい。
【0050】
第22の発明は、前記支持工程は、2以上の前記変形式分注チップを列状または平面状に所定間隔に配列して着脱自在に保持可能なチップ配列保持部を、前記各変形式分注チップが変形可能に分注ヘッドに装着することで行う変形式分注処理方法である。
【0051】
第23の発明は、前記変形工程は、前記変形壁面の変形を行う前記変形方向に沿った所定基準位置を設定し、該基準位置を基準にして前記変形壁面の変形を行う変形式分注処理方法である。なお、「所定基準位置」の例としては、第6の発明で説明した。
【0052】
第24の発明は、前記口部は下端に設けられ、前記変形壁面は、前記収容部を囲む壁面の一部に上下方向に変形可能となるように設けられ、前記収容部は、前記口部の上方に設けられ、前記変形壁面を有し気体を収容可能な変形部と、該変形部と連通し前記変形壁面を有せず前記口部を有して液体を貯留可能な非変形部とを有し、前記変形工程は、前記収容部の上端面に可動部材を接触しまたは接続させる工程と、前記可動部材を下降させおよび/または上昇させる工程を有する変形式分注処理方法である。
【0053】
第25の発明は、前記可動部材の上昇および下降は、前記変形壁面の変形を行う上下方向に沿った所定基準位置を設定し、該基準位置を基準にして行う変形式分注処理方法である。なお、「所定基準位置」の例としては、第6の発明で説明した。
【0054】
第26の発明は、前記液体には、所定物質を結合可能または所定物質と結合した磁性体が懸濁し、前記収容部または前記容器群の容器内に対して磁場を及ぼすことによって前記磁性体を前記収容部または容器の内壁に吸着させて分離する工程を有する変形式分注処理方法である。なお、変形式分注チップが2以上の場合を特に強調するために、変形式分注装置を変形式集積処理装置と言い換え、その変形式分注処理方法を変形式集積処理方法と言い換えることができる。
【発明の効果】
【0055】
第1の発明、第16の発明または第21の発明によれば、変形壁面を力学的に変形させることで、液体を吸引しかつ吐出することができる。したがって、シリンダ等の複雑な液体または気体を流す管路等の流体力学系を用いずに、分注処理を可能とし、装置の規模をコンパクト化し、かつ構造を簡単化する。したがって、安価かつ容易に製造することができる。また、シリンダ等を用いないので、コンパクトであるにもかかわらず大きな体積の液体をも取り扱うことができる。
【0056】
また、前記壁面の全内表面積を変えることなく変形壁面を変形させることで、吸引、吐出等の液体の処理を行うようにしているので、該壁面を構成する部材間の嵌合、摺動等を必要とせず、そのための高い加工精度を要求されることなく、完全な水密性および気密性を得て、クロスコンタミネーションを確実に防止し、信頼性の高い分注処理を行うことができる。また、シリンダを用いずに吸引吐出を行うことができるので、コンパクトであるにもかかわらず大きな体積の液体を取り扱うことができる。
【0057】
さらに変形式分注チップを、その口部が変形壁面の変形の為に加える力によっては変動しないように支持し、また、複数の変形式分注チップを一斉に同一の条件で変形することが可能なので、変形式分注チップを用いても正確な位置制御や再現性の高い吸引吐出制御を行うことができる。また、変形式分注チップを用いても、多数の処理を並行して行うことができて効率的であり、多数の容器を密接して配列した場合であっても、信頼性の高い処理を行うことができる。
【0058】
第2の発明によれば、予め必要な試薬等を容器に収容しておくことで、分注処理の自動化を容易に行うことができる。
【0059】
第3の発明によれば、可動部材を変形方向に沿って移動させる処理対象の気体液体と接触しない力学的な機構のみを用いることで、吸引、吐出、移送等の液体の処理を可能にするので、液体と接触可能な部分がチップ内の閉空間と容器のみにほぼ限られるので、コンタミネーションを確実に防止することができる。
【0060】
第4の発明または第26の発明によれば、前記収容部または容器の内部に磁場を及ぼしまた除去するようにしているので、磁性体の懸濁する液体中の磁性体を内部に吸着させることで分離を行うことで、分離処理を含む処理を一貫して自動化することができる。
【0061】
第5の発明によれば、変形壁面の変形、および/または、前記分注ヘッドの移動を、前記変形式分注チップの構造等に基づいて制御を行なうようにしているので、吸引吐出を確実に行なうことができる。
【0062】
第6の発明、第23の発明または第25の発明によれば、壁面変形によるその内部の膨張および収縮の少なくとも一方が可能な基準位置に基づいて変形の制御が行なわれるので、例えば、変形による内部の膨張および収縮の双方が可能である場合には、どちらにも直ちに対応することができて迅速で効率的な処理を行うことができる。この場合には、変形が定型的な場合が多く、精密な制御を行なうことができる。また、前記基準位置をうまく設定することによって、液体の吐出による前記変形式分注チップ内の液体の残留を防止することができる。
【0063】
第7の発明によれば、前記変形壁面として蛇腹を形成しているので、簡単な構成で、大きな変形率をもつ壁面を形成することができる。また、剛性のある部材で形成することができるので壊れにくい。さらに、変形により折り曲がる箇所および方向が定まっており、変形の規則性、または変形による定型性が高い。
【0064】
第8の発明または第24の発明によれば、収容部の上端において可動部材を接触または接続させることで変形を行なうことができるので、構造が簡単で扱いやすい。また、上下方向に変形方向を設けているので、前記変形壁面の内部容積を最大に変形した状態と内部容積を最小に変形した状態との間で、収容部内の容積の差異を、径または水平断面積を大きくすることなく大きくとることができるので作業領域をコンパクトに形成することができる。
【0065】
第9の発明によれば、気体については変形壁面を有する変形部に収容し、導入した液体は変形壁面を有しない非変形部に貯留するようにしている。したがって、導入した液体は、変形壁面の変形の影響を受けず、液体が変形壁面に付着して残留する事態を防止することができ、定量の処理行う場合等において信頼性が高い。
【0066】
第10の発明によれば、複数の前記変形式分注チップをチップ配列保持部に配列したものを単位として分注ヘッドまたは容器群に設けておきかつ移動可能とすることによって、迅速に変形式分注チップの取替えや処理の効率化を図ることができる。
【0067】
第11の発明または第22の発明によれば、複数の変形式分注チップを、チップ配列保持部を単位として、前記分注ヘッドに装着することで変形式分注チップを取り扱うようにしているので、多数の変形式分注チップを一括して容易に取り扱うことができる。
【0068】
第12の発明によれば、前記チップ配列保持部として、プレートに複数の貫通孔を設け、該貫通孔に変形式分注チップを挿入することで保持するようにしているので、変形式分注チップを容易に配列することができる。
【0069】
第13の発明によれば、変形式分注チップの内部の状態を検出することで、吸引、吐出が正確に指示通り行なわれていることを 液体の有無、液の水位を把握することによって行い、信頼性の高い処理を行うことができる。
【0070】
第14の発明によれば、前記各変形式分注チップを緩挿して保持することによって、各変形式分注チップの変形を定められた変形方向に規制することによってより精密な制御を行うことができる。
【0071】
第15の発明によれば、前記変形式分注チップの各収容部に対して一斉に接離可能に磁石を設けることができるので、各変形式分注チップに対して簡単な構造で容易に磁場を一斉に印加することができる
【0072】
第17の発明によれば、前記口部は、細管に設けられているので、種々の容器に挿入して液体の吸引、移送、吐出を行うことができ、自動化に適して取り扱いやすい。また、細管を剛性をもたせた先細りまたは鋭利な形状に形成することで、予め容器内に試薬等の溶液を収容してフィルムで封入したプレパックの容器の場合であっても、直接フィルムを貫通して内部の試薬等の溶液を吸引することができ、コンタミネーションを防止し、信頼性が高い。
【0073】
第18の発明によれば、細菅を、移行部等と別体に形成して、該移行部等に取り付けて前記変形式分注チップを形成するようにしている。したがって、変形部に用いるような柔らかな素材ではなく硬い素材を用いて、細管を形成することができるので、製造の際に、素材の軟らかさおよび他の部分よりも細い形状から生ずる細管の曲がりの発生を防止し、形状のばらつきが小さい変形式分注チップを提供することができ、信頼性の高い処理を行うことができる。
【0074】
第19の発明によれば、内部に収容部を緩挿して保持するホルダを設けることで、変形壁面が設けられていても、変形壁面を外部から保持するので、変形壁面を変形させる際に変形壁面が予め定めた定型的な変形が行われるようにガイドすることができるので、定量性において信頼性の高い処理を行うことができる。
【0075】
第20の発明によれば、細管をホルダから突出するように設けているので、ホルダに前記収容部を緩挿した状態で処理を行うことができ、また、細管をより一層堅固に支持することができるので、変形壁面の変形によって位置等の変動を抑制し、一層信頼性の高い処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る変形式分注チップおよびその動作を示す説明図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係る変形式分注チップに適した容器を示す図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態に係る変形式分注装置の正面図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態に係る変形式分注装置の側面図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係る変形式分注装置の平面図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係る変形式分注装置の背面図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態に係る変形式分注装置の正面図である。
【図8】本発明の第5および第6の実施の形態に係るホルダを示す図である。
【図9】本発明の第7の実施の形態に係る変形式分注チップを示す図である。
【図10】本発明の第8の実施の形態に係る変形式分注チップが配列されたラックを示す断面図である。
【図11】本発明の第8の実施の形態に係るラックを示す平面図である。
【図12】本発明の第8の実施の形態に係る変形式分注装置を示す断面図である。
【図13】本発明の第8の実施の形態に係る変形式分注装置の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0077】
続いて、図面に基づいて、本発明の実施の形態に係る変形式分注チップおよび該変形式分注チップを用いた変形式分注装置について説明する。
【0078】
図1(a)は、本発明の第1の実施の形態に係る変形式分注チップ11を後述する変形式分注装置10の分注ヘッド70に支持させた状態を概念的に示す。該変形式分注チップ11には、略円筒状の壁面で囲まれ内部に液体および気体を収容可能であってその壁面の一部に変形可能な変形壁面としての蛇腹12を有し上下方向に沿った軸線を有する略円筒状の縦長の収容部(14,15)および該収容部(14,15)と連通し、該蛇腹12の変形によって吸引吐出される液体が流入流出可能な口部13が前記収容部の下端に軸線を囲むように設けられている。
【0079】
前記蛇腹12は、前記収容部(14,15)の壁面の一部に該壁面を上と下に仕切るようにかつ上下方向を前記変形方向として変形可能に設けられている。該蛇腹12の波形または襞の各山(この例では9個)および各谷(この例では8個)は、前記上下方向に垂直に形成され、該谷または山は、それらを含む各水平面内で円周を形成している。該収容部(14,15)は、前記蛇腹12を有し気体を収容可能な変形部14と、該変形部14と連通し該変形壁面としての蛇腹12を有せず先端に前記口部13を有して液体を貯留可能な非変形部15とを有している。
【0080】
該変形部14の上端の上底面12aは、該変形式分注チップ11が支持される後述する変形式分注装置10の分注ヘッド70の前記可動部材に相当する押え板20と接触可能に設けられ、該押え板20の上下運動により、上下動し、前記蛇腹が上下方向に伸長しかつ収縮する。また、該変形部14の下部12bの下端には段差が設けられ、該段差部分で該変形式分注チップ11を支持する前記分注ヘッド70の水平支持プレート19によって支えられ、該変形式分注チップ11の非変形部15が該水平支持プレート19に設けられた孔を貫通して該水平支持プレート19の下方に突出している。
【0081】
前記非変形部15は、前記変形部14と連通し前記下部12bと上側でつながる略円筒状の太管16と、前記口部13を下端に有する略円筒状の細管18と、該太管16と該細管18との間を結ぶ漏斗状の移行部17とを有している。
【0082】
図1(a)は、前記押え板20が前記上底面12aから離脱した状態を示すものであり、変形を加えない自然状態を表している。すなわち、該変形式分注チップ11から押え板20を除去すると、この状態になるまで前記蛇腹12が伸長するように蛇腹12自体が付勢されていることを表している。
【0083】
図1(b)から図1(d)は、該押え板20を前記上底面12aに接触させた状態でこの順でより低く下降させた状態を示すものである。例えば、図1(c)は、蛇腹12の変形による、その内部の膨張および収縮の双方が可能な状態にある可動部材としての押え板20の位置を示し、例えば、この位置を前記所定基準位置として、該状態を基準として制御が行われる。すると、図1(b)は、前記基準位置におけるよりも蛇腹12が伸長された状態を示し、制御上この状態(前記蛇腹12を少し収縮した状態)が液体を最も吸引した状態、すなわち、予め定めた最大吸引状態を表す。
【0084】
また、図1(d)は、最も下降した状態、すなわち、それ以上の収縮が不可能な状態であって、この状態で、前記変形式分注チップ11が前記図1(b)の状態で吸引した全液体が吐出されるようにする。なお、完全に前記押え板20が、前記上底面12aから離脱した位置に伸長された状態が液体を最も吸引した状態するように、基準位置を決定するようにしても良い。
【0085】
図2は、該変形式分注チップ11に適した第2の実施の形態に係るカートリッジ容器21の一例を示すものである。図2(a)は、前記変形式分注チップ11の細管18を該カートリッジ容器21の液収容部22に挿入した状態を示す側面図であり、図2(b)は前記カートリッジ容器21の分解斜視図である。
【0086】
該カートリッジ容器21は、4つの液収容部22の上端が、上板23に設けられた4個の孔28の周囲に取り付けられて、該液収容部22が該上板23の下側から下方向に突出している。該上板23は、凹状の容器支持枠24の上側に水平に載置され、該容器支持枠24の両側面には、2枚の透明なゲージ用側板25が嵌められる。ゲージ用側板25には、各液収容部22に対応した位置に、その液面レベルを示す目盛り26が示される。また、そのゲージ用側板25の隅には、該該ゲージ用側板25を識別するためのゲージ認識番号27を付すことができる。なお、該ゲージ認識番号27の上方の位置には、該ゲージ認識番号27を表すバーコード、または識別用色彩を付する領域27aを設けるようにしても良い。
【0087】
続いて、図3から図6に基づいて、第3の実施の形態に係る変形式分注装置10を説明する。
【0088】
図3は、本実施の形態に係る変形式分注装置10の正面図を示すものである。該変形式分注装置10は、6本の前記変形式分注チップ11が支持され、該変形式分注チップ11の前記蛇腹12を変形させることによって該変形式分注チップ11に対する液体の吸引吐出を行う分注ヘッド70と、種々の液体、試薬、検体等を収容可能な複数(この例では6本)の試薬収容容器32を有する容器群31と、前記分注ヘッド70を前記容器群31に対して移動させるヘッド移動部(44,45,46)とを、ステージ30上に設けたものである。なお符号30aは、前記ステージ30を支持する支持部材である。
【0089】
前記分注ヘッド70は、6連の前記変形式分注チップ11を支持するチップ支持部として、該変形式分注チップ11を支持する6個の支持孔をもつ水平支持プレート19および垂直支持プレート19aを有する。該水平支持プレート19および垂直支持プレート19aは1枚のプレートを直角に折り曲げて形成され、前記水平支持プレート19および前記垂直支持プレート19aとに挟まれた空間の両側端を覆うように各々直角三角形状部材19b(図4)を取り付けてその構造に剛性を与えている。該水平支持プレート19は、その両側部分において、2本のガイドシャフト37の下端部が取り付けられ、該ガイドシャフト37の上端は、該分注ヘッド70のチップ固定用上板38に取り付けられている。該ガイドシャフト37には、管状部材36が該ガイドシャフト37に沿って上下動可能に嵌合し、該管状部材36は、前記押え板20と、該押え板20を水平に維持するようにその両側で連結している。
【0090】
該押え板20は、6本の前記変形式分注チップ11の上底面12aと各々接触しており、その上側で上方に突出する棒状部材42が設けられている。該棒状部材42は、前記チップ固定用上板38に設けた貫通孔43を突き抜けてその上側に達するように設けられている。該棒状部材42の上端は、回転円板40に偏心して取り付けられた円板カム41と摺動可能に接している。該回転円板40の回転により、前記円板カム41に接した前記棒状部材42が上下方向に移動し、それに伴って前記押え板20が上下方向に移動して、前記蛇腹12を変形させる。なお、符号39は前記回転円板40を回転させる為のモータである。このように、本実施の形態においては、前記押え板20の上下方向の移動は、カム機構(39,40,41,42)によって行なわれている。
【0091】
該分注ヘッド70は、枠体33の両側面板の下側に水平の突条33aを各々有している。該突条33aは、前記ステージ30に取り付けられ、2段に直線状に配列された多数のボールベアリングによって挟まれるようにして2本のレール部材46bと移動可能に係合している。前記枠体33は、アーム部材46aによってベルト46に取り付けられている。該ベルト46は、前記ステージ30上に設けられたモータ44によって回転駆動されるローラ45によって前記レール部材46bの方向に沿って走行可能に設けられている。前記水平支持プレート19、垂直支持プレート19a、チップ固定用上板38、したがって、前記変形式分注チップ11は、前記枠体33に対して上下動可能に取り付けられている。
【0092】
図4は、前記変形式分注装置10の側面図である。前記変形式分注チップ11を固定する水平支持プレート19の上側において、前記変形式分注チップ11の蛇腹12の下端にある1つの山を上下から挟むようにして、該変形式分注チップ11を支持する挟持用具57と、該挟持用具57を前記チップ固定用上板38に取り付ける挟持位置調整可能な挟持用具取付棒58を有している。これによって、該変形式分注チップ11を下方向に変形を加えて収縮させる場合および上方向に膨張させる場合の双方の変形に対して、前記口部13は前記蛇腹12の変形によってその位置および形状が変動しない。
【0093】
前記垂直支持プレート19aは、上下動支持板50に取り付けられ、該上下動支持板50には、4個のガイド・ローラ51,52が回転可能に取り付けられている。前記枠体33の上板49の上側には、該上下動支持板50を上下動させるためのモータ47が設けられている。該モータ47によって回転駆動されるローラ48、および、下板34に設けられたローラ54とを有し、これらのローラ48,54にはベルト56が掛け渡されている。前記上下動支持板50は該ベルト56に取り付けられ、該ベルト56の走行に応じて上下動する。
【0094】
前記容器群31には、試薬を収容した試薬収容容器32と、各種溶液を収容可能な10列のウェル60、および、前記変形式分注チップ11を収容可能な2列のチップ収容部61を有し、前記ステージ30上に固定して設けられている。
【0095】
前記磁力手段としては、永久磁石35が、前記変形式分注チップ11に対して接離可能に設けられている。該永久磁石35を支える支持具の下側には、2個のローラ63が設けられ、前記下板34に設けた、左右方向に沿って空けた溝に嵌合され左右方向に円滑に移動可能としている。該永久磁石35は、モータ軸が図上左右方向に移動可能なステッピングモータ55によって駆動される。
【0096】
図5は、前記変形式分注装置10の平面図を示すものである。前記分注ヘッド70は、ステージ30上を、前記容器群31の上方を前記レール部材46bに沿って図上左右方向に移動可能である。
【0097】
図6は、前記変形式分注装置10の背面図を示すものである。前記上下動支持板50は、その中央において、ベルト56に取り付けるためのベルト取付具62が設けられている。また、その両側において、各々前記ガイド・ローラ51、52が回転可能に設けられ、ガイドレール53と係合しながら、該上下動支持板50の上下動を案内している。
【0098】
続いて、図7に、第4の実施の形態に係る変形式分注装置100を示す。前述した変形式分注装置10を説明する符号と同一の符号は同一のものを表すのでその説明を省略する。
【0099】
該変形式分注装置100の分注ヘッド170は、前記第3の実施の形態に係る変形式分注チップ11の変形を行う機構として採用したカム機構(39,40,41,42)の代わりに、リンク機構(64,65,66,67,68)を採用したものである。
【0100】
第4の実施の形態に係る変形式分注装置100にあっては、前記押え板20は、6本の前記変形式分注チップ11の上底面12aと各々接触しており、その上側で上方に突出する棒状部材64とその上端に設けられた横棒状の節65と、該節65と回転可能に接合する一端を持ち、支持棒66bに設けられた支点66aで支えられた2本のリンク棒66と、該リンク棒66の他端とその先端が回転可能に接合した上下方向に運動可能な並進軸68と、該並進軸68を上下方向に動かすステッピングモータ67とを有する。これによって、前記押え板20を上下方向に動かす。
【0101】
図8は、前記変形式分注チップ11を内部に緩挿可能な第5および第6の実施例に係るホルダ71,72を示す。
【0102】
図8(a)に示す第5の実施の形態に係るホルダ71は、その上側に設けた上側開口部73、前記口部13を外に露出させるための下側開口部74を有する。上側開口部73を通して前記変形式分注チップ11を挿入して該ホルダ71の内部に緩挿させる。該ホルダ71は、太枠部75とその下側に設けられた細枠部76とからなり、前記下側開口部74は該細枠部76の先端に設けられている。該細枠部76は、前記変形式分注チップ11の前記細管18のぐらつきを防止するように嵌合して支持する。この場合には、前記ホルダ71の前記上側開口部73を通して前記変形式分注チップ11の上底面と接触可能となるような押え板20に取り付けられた挿入具77によって変形を行なう。
【0103】
図8(b)に示す第6の実施の形態に係るホルダ72は、その上側に設けた上側開口部78、前記変形式分注チップ11の口部13を外に露出させるための下側開口部79を有する。上側開口部78を通して前記変形式分注チップ11を挿入して該ホルダ72の内部に緩挿させる。該ホルダ72は、側面にスリット80が穿設された太枠部83とその下側に設けられた細枠部81とからなり、前記下側開口部79は該細枠部81の先端に設けられている。該細枠部81は、前記変形式分注チップ11の前記細管18のぐらつきを防止するように嵌合して支持する。この場合には、前記太枠部83の側面に設けた前記スリット80を通して前記変形式分注チップ11の上底面と接触可能となるような押え板20に取り付けられた挿入具82によって変形を行なう。
【0104】
これらのホルダ71,72を用いることによって、口部13の変動を防止することができるとともに、前記変形式分注チップ11の形態の必要時以外の変形を防止して固定化する。また、前記変形式分注チップ11の変形が前記ホルダ71,72によって軸方向に沿うように案内されるので、変形を円滑化するとともに、該変形式分注チップに加える変形に規則性をもたせ加える変形の程度に応じた内部容積を正確に得ることができる。
【0105】
続いて、図9に基づいて、第7の実施の形態に係る変形式分注チップ111を示す。図9(a)は、該変形式分注チップ111の拡大断面図であり、図9(b)は、その斜視図である。該変形式分注チップ111は、略円筒状の壁面で囲まれ内部に液体および気体を収容可能であってその壁面の一部に変形可能な変形壁面としての蛇腹112を有し上下方向に沿った軸線を有する略円筒状の縦長の収容部(114,115)および収容部(114,115)と連通し、該蛇腹112の変形によって吸引吐出される液体が流入流出可能な口部113が前記収容部の下端に前記軸線を囲むように設けられている。
【0106】
前記蛇腹112は、前記収容部(114,115)の壁面の一部に該壁面を上下に仕切るようにかつ上下方向を前記変形方向として変形可能に設けられている。該蛇腹112の波形または襞の各山(この例では4個)および各谷(この例では5個)は、前記上下方向に垂直に形成され、該谷または山は、それらを含む各水平面内で円周を形成している。該収容部(114,115)は、前記蛇腹を有し気体を収容可能な変形部114と、該変形部114と連通し該変形壁面としての蛇腹112を有せず先端に前記口部113を有して液体を貯留可能な非変形部115とを有している。
【0107】
該変形部114の上端の上底面112aは、該変形式分注チップ111が支持される後述する変形式分注装置110の分注ヘッド270の前記可動部材に相当する押え板120と接触可能に設けられ、該押え板120の上下運動により、上下動し、前記蛇腹112が上下方向に伸長しかつ収縮する。なお、前記変形部114の下部112bは、前記蛇腹112の伸長および収縮によっては変形しない。
【0108】
前記非変形部115は、前記変形部114と連通し前記下部112bと上側でつながる略円筒状の太管116と、前記口部113を下端に有する略円筒状の細管118と、該太管116と該細管118との間を結ぶ漏斗状の移行部117とを有している。
【0109】
該移行部117は、その上側には、後述するチップ配列保持部としてのラック121のプレート122に略先細りに穿設された各貫通孔123に挿入されて嵌合して保持される嵌合部117cを有し、その下側には、平行な透明平板状側面で挟まれた内部検出領域117aを有する。さらに、該移行部117の下端部には、別体に設けた細管118の上端部を嵌合して、接着剤、熱溶着、超音波溶着等により取り付ける凹状部117bが設けられている。
【0110】
前記移行部117には、前記内部検出領域117aのような複雑な形態を含むが、前記変形部114および前記太管116および移行部117は、ブロー成型によって一体に形成することができる。また、前記細管118は、インジェクション成型で堅固に形成して前記凹状部117bで前記移行部と接合することができる。前記内部検出領域117aを設けることで、該透明平板状側面の法線方向にビームを照射して透過した光を測定することで細管内の状態を検知することができる。
【0111】
図10には、前記変形式分注チップ111を所定間隔で12列×8行の行列状に配列した前記チップ配列保持部としての第8の実施の形態に係るラック121を前記容器群に設けたラック支持台126に着脱自在に載置した状態を示す側面断面図を示すものである。該ラック121は、貫通孔123が12列×8行の行列状に配列されたプレート122を有する。前記各貫通孔123は、前記変形式分注チップ111の前記移行部117の嵌合部117cと嵌合するように先細りの形状に穿設されている。前記各貫通孔123に保持された状態では、各変形式分注チップ111の細管118、および前記内部検出領域117aは、前記プレート122の下方に位置し、前記蛇腹112は前記プレート122の上方に位置する。なお、前記ラック支持台126内は、前記細管118が相互に接触しないように、相互に隔壁126aによって行列状に複数の部屋に仕切られている。
【0112】
また、前記各変形式分注チップ111ごとに周囲の四隅において、該各変形式分注チップ111が緩挿されるように、前記プレート122の表面上側から上方向に向かって前記変形式分注チップ111の非変形状態に相当する高さの4本の棒125が各々設けられている。この4本の棒125は前記緩挿部に相当する。これによって前記変形式分注チップ111の変形方向、上下方向に維持されるように規制し、変形の定型性を維持する。なお、前記プレート122の両縁部に沿って、後述する分注ヘッド270に装着するための装着用溝124が上側および下側に設けられている。
【0113】
図11(a)は、前記ラック121の平面図であり、12列×8行の行列状に貫通孔123が所定間隔で配列されている。図11(b)は、ラック221の平面図であり、ラック121とは異なるより狭い間隔で、24列×16行の行列状に貫通孔223が配列され、各貫通孔223には、各々、前記緩挿部としての4本の棒225が設けられている。
【0114】
図12は、前記変形式分注チップ111を装着した状態の第8の実施の形態に係る変形式分注装置110を示すものである。
該変形式分注装置110は、前記ラック121を装着することで12列×8行の行列状の前記変形式分注チップ111を支持し、前記蛇腹112を変形させることによって該変形式分注チップ111に対する液体の吸引吐出を行う前記分注ヘッド270と、種々の液体、試薬、検体等を収容可能な複数の試薬収容容器132を有する容器群131と、前記分注ヘッド270を前記容器群131に対して移動させるヘッド移行部(図示せず)とを、設けたものである。
【0115】
前記分注ヘッド270は、12列×6行の前記貫通孔123をもち前記変形式分注チップ111を保持したラック121を該ラック121の両縁部に設けた前記装着用溝124と各々に嵌合して装着する2本の装着用支持部材119を設けている。2本の該装着用支持部材119は、前記チップ支持部に相当し、2本該装着用支持部材119は、ボックス状の枠体133の下縁部に沿って設けられている。したがって、前記ラック121のプレート122は、該枠体133の下側の開口部を塞ぐように設けられていることになる。
【0116】
前記枠体133内には、水平方向に仕切るように仕切り板138を設けている。各変形式分注チップ111の上底面112aにおいて前記蛇腹112を変形させる可動部材としての前記押え板120は、前記仕切り板138に設けた隙間120bを貫くように設けた支持板120aの下端に設けられ、該支持板120aは、駆動部材143に支持されている。該駆動部材143は、その両側部分において、2本のガイドシャフト137に摺動可能に案内され、その中央においてボール螺子141と螺合するナット部に連結し、該ボール螺子141の回転による該ナット部の上下動に連動して上下動する。なお、符号139は、該ボール螺子141を回転駆動するモータであり、符合140はその軸である。
【0117】
さらに、図13に示すように、前記分注ヘッド270の前記ラック121の下方には、前記変形式分注チップ111の前記収容部115に磁力を及ぼすための前記磁力手段135が設けられている。該磁力手段135は、行列状(ここでは、12列×8行)に配列された前記変形式分注チップ111の行方向に相対的に移動可能に設けられ、前記行方向に伸びかつ前記所定間隔に対応して両端にある2本を除いた(列数個−1)本(この例では11本)は、前記列間に挿入可能な幅に設けられた全部で(列数個+1)本の櫛歯部材135aと、該櫛歯部材135aとその一端で連結した支持部材135cとを有し全体として櫛状に形成され、該櫛歯部材135aには、前記各変形式分注チップ111に対応する位置に前記所定間隔で配列された前記行数個(この例では8個)の磁石が設けられたものである。
【0118】
さらに、前記分注ヘッド270には、前記ラック121の下方であって、前記磁力手段135の上方には、前記各変形式分注チップ111の前記内部検出領域117aを通してビームを透過させて、内部状態を検出する光検出部150が設けられている。図13に示すように、該光検出部150は、行列状(ここでは、12列×8行)に配列された前記変形式分注チップ111の行方向に相対的に移動可能に設けられ、前記行方向に伸びかつ前記所定間隔に対応して両端にある2本を除いた(列数個−1)本(この例では11本)は、前記列間に挿入可能な幅に設けられ全部で(列数個+1)本(この例では13本)の櫛歯部材151を有し全体として櫛状に形成され、該櫛歯部材151の先端近傍で隣接する櫛歯部材151の対向する面側に前記内部検出領域117aを挟むように1対の発光部および受光部152が各々相対するように設けられたものである。該光検出部150は、前記行方向に沿って順次移動しながら、一度に12列分の変形式分注チップ111について内部の検出を行うことになる。その際、該光検出部150は前記磁力手段135の上側の平面に行方向に沿って設けたレールに沿って移動可能とするようにしても良い。
【0119】
以上説明した各実施の形態は、本発明をより良く理解するために具体的に説明したものであって、別形態を制限するものではない。したがって、発明の主旨を変更しない範囲で変更可能である。例えば、前記実施の形態では、主として蛇腹によって変形を行なったが、例えば、蛇腹以外の形状をもつ変形壁面や、ゴム等の弾性体をその変形壁面の素材に使用することによっても実現することができる。また、前記変形式分注チップの形状も前述したものに限られず、移行部に段差をもつものや、移行部以外に段差をもつものであっても良い。
【0120】
また、前記チップ配列保持部は、前述した配列に限定されるものではなく、例えば、4,6,8,12,96,384本等を一列状または行列状、その他の形状の配列がある。
さらに、前記変形式分注チップの細管の口部にはさらに、ステンレス製等のより径が小さい短管を嵌合させて、その分注精度を高めるようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本発明に係る変形式分注チップ、変形式分注装置および変形式分注処理方法は、種々の溶液の処理が要求される分野、例えば、工業分野、食品、農産、水産加工等の農業分野、製薬分野、衛生、保険、免疫、疾病、遺伝等を扱う医療分野、化学若しくは生物学等の分野等、あらゆる分野に関係するものである。本発明は、特に、多数の試薬や物質を用いた一連の処理を所定の順序に連続的に処理を実行する場合に有効である。
【符号の説明】
【0122】
10,100,110 変形式分注装置
11,111 変形式分注チップ
12,112 蛇腹
70,170,270 分注ヘッド
【技術分野】
【0001】
本発明は、変形式分注チップ、変形式分注装置および変形式分注処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、本願出願人により出願され特許となった分注装置があった。該分注装置は、分注チップを装着用開口部においてノズルの下端部と嵌合装着し、該ノズルと連通するシリンダ内のプランジャを摺動させることによって、前記分注チップ内にその下端を通って液体を吸引または吐出させることによって行っていた(特許文献1ないし特許文献4)。
【0003】
しかし、前記分注装置で用いられるシリンダ、プランジャ等の機構は、注射器のような高精度の加工部品であり、特に、シリンダ内の容積変化は、基本的に分注チップ内の容積変化と一体であり、プランジャと、そのプランジャの駆動装置との接合部に緩みがないように伝達する必要があった。また、それらの吸引吐出機構と、分注チップ等を、気体や液体の漏れがないように嵌合させているものである。そのため、高度の品質管理が必要となるおそれがあった。また、分注チップの吸引吐出を制御するには、分注チップの容量に相当する容量をもつシリンダが必要であるため、大きな体積の液体を扱うには、装置規模が大きくなるという問題点を有していた。
【0004】
一方、従来、ゴム等の壁面で囲まれ内部に液体及び気体を収容可能であって、その壁面を手動で押すことで変形して液体の吸引吐出を行うスポイトが良く知られていた。しかし、このスポイトは、手動で扱うものなので1人のユーザはせいぜい1本のスポイトを扱うことしかできず、多数のスポイトを用いて、同時に処理を行うことができなかった。また、スポイトの変形は、力の大きさ、力の方向、力を加える場所によって異なるので、手動によるスポイト操作では、量的に精密な処理およびその再現性の高い繰り返しを行うことは困難であった。
【0005】
この改善策として、分注チップを用いずに、容器から容器に直接移送するやり方があるが、装置構造が簡略化されるものの、人手が必要であり、また、容器と容器との接触によるコンタミネーションのおそれがあり、信頼性が高くないおそれがあるという問題点を有していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3115501号公報
【特許文献2】特許第3739953号公報
【特許文献3】特許第3630497号公報
【特許文献4】特許第3682302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、以上の問題点を解決する為に、本発明の第1の目的は、簡単でコンパクトな構造であるにも拘らず高精度で、種々の体積(数μリットル程度から数10ミリリットル程度まで)の液体を取り扱うことができ、かつ、効率的な処理を行うことができる変形式分注チップ、変形式分注装置および変形式分注処理方法を提供することである。第2の目的は、製造や品質管理に水密性、気密性等のための精度を要求されず、安価に提供でき、また管理負担を軽減することとともに、クロスコンタミネーションを確実に防止することができる変形式分注チップ、変形式分注装置および変形式分注処理方法を提供することである。第3の目的は、種々の複雑な処理を一貫して自動化することができる変形式分注チップ、変形式分注装置および変形式分注処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、壁面で囲まれた内部に液体および気体を収容可能であって、その壁面の全内表面積を実質的に変えることなく所定の変形が可能な変形壁面を前記壁面の一部に有する収容部および該収容部と連通し該変形壁面の変形による前記内部の膨張および収縮によって吸引吐出される液体が流入流出可能な口部を有する1または2以上の変形式分注チップと、1または2以上の該変形式分注チップを前記変形壁面の変形によって前記口部が変動しないように支持し、該変形式分注チップの前記変形壁面を一斉に変形させることによって、該変形式分注チップに対する液体の吸引吐出を一斉に行う分注ヘッドとを有する変形式分注装置である。
【0009】
ここで、「変形壁面」とは、その変形が可能な可撓性のある壁面であって、その変形によって、その変形壁面の表面積が変わらない壁面である。したがって、該変形壁面を組み込んだ壁面においても、その変形によって全表面積は変わらない。「壁面の一部」としては、例えば、前記収容部の全壁面のうち口部近傍を除く壁面部分であって、該壁面部分と口部との間には、変形しない非変形壁面が設けられる。
【0010】
また、変形壁面の「所定の変形」は、加える変形の程度に応じて実質的に内部容積が定まる変形が好ましい。すなわち、ある変形方向に沿って変形壁面を押しもしくは引き、または力を除去するその各程度に応じて、壁面で囲まれた内部が膨張または収縮して内部の容積が一律に定まることが好ましい。
【0011】
前記変形壁面は、その変形による内部の膨張方向または収縮方向に付勢されていても良い。膨張方向に付勢されている場合には、その膨張方向に逆らって力を加えることで収縮し、力を除去することで膨張方向へ変形することになる。収縮方向に付勢されている場合には、収縮方向に逆らう方向に力を加えることで膨張し、力を除去することで収縮方向へ変形することになる。変形壁面としては、例えば、蛇腹(ベローズ)が形成された壁面、またはゴム等の弾性体の面状部材もしくは膜状部材等で形成され、または変形方向に沿った弾性力をもつバネ等を内蔵する壁面等の、可撓性のある面状部材もしくは膜状部材で形成された壁面である。
【0012】
なお、「吸引吐出」とは、吸引または/および吐出を意味する。前記変形式分注チップの材料は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリビニール、アクリル等の樹脂、ゴム等の弾性体、その他の可撓性の材料、またはこれらの組合せである。変形式分注チップは透明または半透明であることが好ましい。
【0013】
「前記変形式分注チップを前記変形壁面の変形によって前記口部が変動しないように支持し」は、前記変形式分注チップを、前記変形壁面の変形によって口部の位置および形状が実質上変動しないように分注ヘッドに取り付けることである。これは、シリンダ方式の分注チップのように吸引吐出の際に摺動するプランジャと口部とが部材として独立して形成されているのではなく、この変形式分注チップでは、吸引吐出の際に変形する変形壁面と口部とが部材として連続しているからである。例えば、該チップの該分注ヘッドへの取付位置または固定位置等の支持位置は、前記口部と前記変形壁面との間に設けた変形壁面以外の変形しない非変形壁面である。前記口部は下方に向くように支持するのが好ましい。
【0014】
前記変形式分注チップの大きさは、例えば、その口部から装着用開口部に沿ったまたは軸方向の長さが数センチメートルから10数センチメートルで、その容積は、その長さに応じて、例えば、数マイクロリットルから数10ミリリットル程度である。吸引吐出量は、その容積に応じて、例えば、数マイクロリットルから数10ミリリットル程度である。
【0015】
第2の発明は、種々の溶液を収容可能な複数の容器を有する容器群と、該分注ヘッドを容器群に対して相対的に移動させるヘッド移動部とをさらに有するとともに、前記口部は前記容器に対して一斉に挿入可能である変形式分注装置である。この場合、前記口部が下方に向くように支持すると液体の吸引、吐出、移送を円滑に行うことができる。「溶液」には、各種試薬、検体、化学物質、または磁性体を含有する液体を含む。「容器」には、複数の液収容部が設けられて、各液収容部が前記口部に対応する位置に設けられたものも含む。
【0016】
第3の発明は、前記分注ヘッドは、前記2以上の変形式分注チップを支持可能なチップ支持部と、前記変形式分注チップの変形壁面の変形方向に沿って一斉に進退動作可能な可動部材を用いて前記変形壁面を一斉に変形させる可動機構とを有する変形式分注装置である。
【0017】
前記可動部材は、前記収容部に対し接触、接触かつ離脱または接続した状態で進退動作を行うことで前記変形壁面を変形させる。変形式分注チップを支持するには、その内部の膨張方向および収縮方向の2方向に対する可動部材によって加えられる力に対して移動を阻止するように支持して、前記変形式分注チップの前記変形壁面以外の部分、特に、口部の位置が変形によって動かないようにするのが制御上好ましい。変形式分注チップの場合には、前記変形壁面とそれ以外の部分とが一体的または連続的につながっているからである。そのためには、前記変形可能方向に沿って挟むように支持する。例えば、変形可能方向が上下方向である場合には、前記変形式分注チップまたはその一部を上下から挟むように支持するのが好ましい。
【0018】
第4の発明は、前記分注ヘッドまたは前記容器群には、前記収容部または容器の内部に磁場を及ぼしまたは除去することが可能な磁力手段を有する変形式分注装置である。これによって、例えば、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、DNA、RNA、オリゴヌクレオチド、糖鎖等の生体化合物を保持した磁性体が多数懸濁する懸濁液を該変形式分注チップ内に吸引または吐出する際に、若しくは貯留の際に磁場を内部に及ぼして該チップの内壁に吸着させて磁性体を、従って、前記生体化合物を分離することができる。
【0019】
第5の発明は、前記変形壁面の変形、および/または、前記分注ヘッドと容器群との間の移動を、前記変形式分注チップの個数もしくは構造、吸引吐出すべき液体、そこに含まれる物質、その量、その収容位置、その温度もしくはその濃度、処理内容、または指示に基づいて制御する制御部を有する変形式分注装置である。物質には、核酸、タンパク質、糖鎖、アミノ酸等の生体物質のみならず、金属等をも含む種々の化学物質を含む。また、「液体」には、溶液および懸濁液を含む。前記懸濁液には、例えば、種々の物質を反応により結合可能なまたは反応によって結合した磁性体の懸濁液を含む。
【0020】
第6の発明は、前記変形壁面の変形について所定基準位置を設定し、該基準位置を基準にして、前記変形壁面の変形の制御が行われる変形式分注装置である。
【0021】
ここで、「所定基準位置」は、処理で扱う液体量、使用する変形式分注チップの容量、処理の内容、または変形式分注チップの加工精度等によって定める。
例えば、処理で扱う液体量が微小量(例えば、数μリットルから数100μリットルのオーダの場合)であったり、使用する変形式分注チップの容量が小さい場合、処理に精度を要する場合、または変形式分注チップの加工精度が高くない場合には、基準位置としては、既に変形式分注チップを所定の変形を加えた状態の可動部材または変形壁面の変形方向に沿った位置を基準にする。これによって、精度の高い制御を行うことが可能である。この場合には、例えば、予め定めた最大の変形量による前記分注チップ内への液体の予め定めた最大吸引量の全てを吐出することができるように設定するのが好ましい。これによって、変形式分注チップからの液体の吐出による前記変形式分注チップ内への液体の残留を防止することができる。
【0022】
例えば、予め設定された変形式分注チップの内部の容積をV0とし、該状態に相当する可動部材または変形壁面の位置を基準として、変形式分注チップの変形による予め定めた最大の内部容積V1、変形式分注チップの変形による予め定めた最小の内部容積V2とした場合に(V1>V0>V2)、前記分注チップ内への液体の予め定めた最大吸引量V1−V0が、予め定めた最大吐出量V0−V2よりも小さい関係、すなわち、V1−V0≦V0−V2、すなわち、(V1+V2)/2≦V0の関係となるように基準位置を設定するのが好ましい。
【0023】
ここで、「予め定めた最大の変形量」であるので、必ずしも物理的に最大の変形量でなくてもよい。「最大吸引量の全てを吐出することができる」のであるから、「最大吐出量」は「最大吸引量」と同一かそれよりも大きい量をもつ必要がある。これによって、前記変形式分注チップ内への液体の残量を気にせずに処理を行うことができる。
【0024】
一方、扱う液体の量が大きい場合(たとえば、数ミリリットルのオーダの場合)処理に余り精度を要しない等の場合には、変形式分注チップの変形がされていない非変形状態の位置を基準にして制御することが可能である。そのような場合としては、例えば、未だ可動部材が変形式分注チップに接触していない状態で、かつその変形方向に沿った位置(例えば、前記チップから1ミリメートル離れた位置)を基準位置に取るような場合である。
【0025】
第7の発明は、前記変形壁面は、蛇腹が形成されている変形式分注装置である。
【0026】
ここで、「蛇腹」とは、所定の変形方向を略垂直に横切る方向に沿って形成された山および谷を有する波または襞が形成された面状部材または膜状部材であって該山および谷で折り曲がり可能なものをいう。前記変形方向を軸とする筒状に囲む壁面に、蛇腹が形成された前記面状部材または膜状部材を用いる場合には、前記波または襞の形状としては、前記変形方向に垂直な直線状または該変形方向に垂直な平面内に含有される円周状または閉曲線状(曲線には直線も含む)の山および谷からなる。
【0027】
前記蛇腹は、例えば、前記収容部の全壁面を、蛇腹の変形方向を横切って2つに仕切るように形成される。したがって、前記変形方向は、蛇腹の波形または襞の各山または各谷が含まれる各平面の各法線方向に略一致する。
【0028】
第8の発明は、前記口部は下端に設けられ、前記収容部は該口部の上方に設けられ、該収容部を囲む壁面の一部に、その内壁面を上下に仕切るようにして上下方向に変形可能な前記変形壁面を設け、前記収容部の上端と前記可動部材とが接触または接続可能である変形式分注装置である。
【0029】
第9の発明は、前記収容部は、前記可動部材と接触または接続可能であって可動部材によって変形可能な変形壁面を有し気体を収容可能な変形部と、該変形部と連通し変形がされない非変形壁面で形成され先端に前記口部を有し液体を貯留可能な非変形部を有する変形式分注装置である。
【0030】
第10の発明は、前記分注ヘッドまたは容器群は、2以上の前記変形式分注チップを一列状または平面状に所定間隔に配列して着脱自在に保持可能なチップ配列保持部を有する変形式分注装置である。「平面状」には、例えば、行列状、円周状、複数同心円状等がある。
【0031】
「行列状」とは、行方向と列方向の配列を持ち該方向同士は必ずしも直交する必要はない。なお、1列または1行の配列も行列の特別な場合である。「所定間隔」としては、前記容器群中に設けられた容器の液収容部に対応する間隔をもたせるようにする。取り扱う溶液の個数、種類や量に応じて種々のピッチ、個数を持つものを用意することができる。
【0032】
第11の発明は、前記分注ヘッドのチップ支持部は、2以上の前記変形式分注チップを列状または平面状に所定間隔に配列して着脱自在に保持可能なチップ配列保持部を、前記各変形式分注チップが変形可能に装着することで2以上の前記変形式分注チップを支持する変形式分注装置である。変形可能であるためには、例えば、前記分注ヘッドの前記可動部材によって前記変形式分注チップの変形部を変形可能となるような位置に装着する必要がある。
【0033】
第12の発明は、前記変形式分注チップは前記口部および前記収容部を有し、該収容部は、前記可動部材と接触可能であって可動部材によって変形可能な変形壁面を有し気体を収容可能な変形部と、該変形部と連通し変形がされない非変形壁面で形成され先端に前記口部を有し液体を貯留可能な非変形部を有し、前記チップ配列保持部には、列状または平面状に所定間隔で穿設された2以上の貫通孔が設けられたプレートを有し、前記各変形式分注チップは前記各貫通孔に挿入して保持されるとともに、前記変形式分注チップの前記口部は前記貫通孔を貫通して前記プレートの下方にあり、前記収容部の内前記変形部は、前記プレートの上方にくるように保持される変形式分注装置である。
【0034】
第13の発明は、前記変形式分注チップは、内部検出領域を有し、前記分注ヘッドには前記内部検出領域を通して内部の状態を検出する光検出部を設けた変形式分注装置である。したがって、前記変形式分注チップの前記内部検出領域が、前記プレートの下方に来る場合には、前記光検出部も前記プレートの下方にくるように設けられることになる。ここで、「内部検出領域」は、内部への光の照射および透過を容易に行なうことができるように、側面が曲面ではなく平面となるように形成して、光の乱反射を防止し、またはチップの曲がり等の発生を防止することができる。例えば、平面「内部の状態」には、液体の有無、液面の有無を含む。ここで、「内部検出領域」は、変形式分注チップにおいて周辺よりも光の透過性が高くなるように形成した領域である。
【0035】
第14の発明は、前記チップ配列保持部は、保持される各変形式分注チップごとに、該変形式分注チップを緩挿して保持する2以上の緩挿部を設けた変形式分注装置である。緩挿部としては、例えば、前記変形式分注チップを包囲するように形成された筒、複数本の棒、網、管がある。
【0036】
第15の発明は、前記磁力手段は、1または2以上の前記変形式分注チップの各収容部に対して一斉に接離可能に設けた2以上の磁石を有する変形式分注装置である。
【0037】
例えば、前記分注ヘッドがチップ支持部を有し、該チップ支持部が2以上の前記変形式分注チップを行列状に所定間隔に配列して着脱自在に保持可能なチップ配列保持部を、前記各変形式分注チップが変形可能に装着することで2以上の前記変形式分注チップを支持する場合には、前記磁力手段は、前記行列状に配列可能な変形式分注チップの行方向または列方向に相対的に移動可能に設けられ、前記行方向または前記列方向に沿って伸びかつ前記所定間隔に対応して各々前記列間または行間に挿入可能な幅に設けられた少なくとも(前記列数個−1)本または(前記行数個−1)本の櫛歯部材と、該櫛歯部材の一端で連結した支持部材とを有し、前記各櫛歯部材には、前記各変形式分注チップに対応する位置に前記所定間隔で配列された前記行数個または列数個の磁石が設けられたものである。前記変形式分注チップに磁場を及ぼす場合には、前記全磁石が各変形式分注チップの全てに最短の距離にくるように移動させ、磁場を除去する場合には、該全磁石を変形式分注チップが配列されたチップ配列保持部から完全に撤退するか、または、前記各磁石が変形式分注チップの所定間隔の中間の位置にくるように移動させるようにしても良い。
【0038】
第16の発明は、壁面で囲まれ内部に液体および気体を収容可能であって、その壁面の全内表面積を実質的に変えることなく所定の変形が可能な変形壁面を前記壁面の一部に有する収容部および該収容部と連通し前記変形壁面の変形による前記内部の膨張および収縮によって吸引吐出される液体が流入流出可能な口部を有するとともに、前記口部は下端に設けられ、前記変形壁面は、該収容部を囲む壁面の一部に上下方向に変形可能となるように形成され、前記収容部は、該口部の上方に設けられ、前記変形壁面を有し気体を収容可能な変形部と、該変形部と連通し前記変形壁面を有せず先端に前記口部を有して液体を貯留可能な非変形部を有する変形式分注チップである。
【0039】
ここで、前記収容部は、例えば、前記樹脂で形成し、変形壁面として、例えば、蛇腹を設けた該変形部はブロー成型で形成し、前記非変形部はインジェクション成型によって形成する。または全てブロー成型で形成する。「変形壁面」については第1の発明で説明した通りである。
【0040】
第17の発明は、前記非変形部は前記変形部と連通する太管、前記口部を有する細管および前記太管と前記細管との間に形成された移行部とを有する変形式分注チップである。
【0041】
ここで、前記「移行部」の形状は、例えば、円錐台状、漏斗状、または段差状に形成される。また、太管および細管は、必ずしも円筒状に限られず、角柱状、多角形状、また、円錐状、角錐状、多角錐状であっても良い。
【0042】
また、前記細管の先端を先細りまたは鋭利に形成することによって、試薬、検体等を含有した溶液を予め収容してその開口部をフィルムで被覆したプレパック式の試薬等収容容器に対して、前記細管でフィルムを突き刺すことで容器内に収容した溶液を細管を通して吸引することができる。
【0043】
第18の発明は、前記太管、前記変形部、および前記移行部は一体として形成され、前記細管は、その上端部が前記移行部の下端部に取り付けられた変形式分注チップである。
【0044】
ここで、前記細管は、例えば、その上端部が前記移行部の下端部と嵌合させて、接着剤、熱溶着、超音波溶着等を用いて取り付けられる。したがって、前記細管は、前記変形部を含む部分を形成する軟らかい素材、例えば、ポリエチレン、ポリエステル等よりも硬い素材、例えば、金属、ポリプロピレン、ポリスチレン等を用いることができる。前記細管を除く部分、すなわち、前記太管、前記変形部、および前記移行部が一体として形成された部分をブロー成型で形成し、前記細管をインジェクション成型によって形成することができる。
【0045】
第19の発明は、前記収容部を内部に緩挿して保持するホルダをさらに有し、該ホルダは、その上側に設けた上側開口部、前記口部を外に露出可能な下側開口部を有する変形式分注チップである。
【0046】
また、該ホルダは、該ホルダ内に前記変形式分注チップを緩挿した状態で前記可動部材と接触または接続可能とするように、前記上側開口部を通じて、またはその側面にスリットを設けて前記可動部材が挿入して前記収容部と接触または接続するようにしても良い。
ここで、前記下側開口部は、例えば、該細管を突出可能に設けられているのが好ましい。
【0047】
第20の発明は、前記非変形部には、平行な透明平板状側面で挟まれた内部検出領域を設けた変形式分注チップである。
【0048】
第21の発明は、壁面で囲まれ内部に液体および気体を収容可能であって、その壁面の全内表面積を実質的に変えることなく所定の変形が可能な変形壁面を前記壁面の一部に有する収容部および該収容部と連通し該変形壁面の変形による前記内部の膨張および収縮により吸引吐出される液体が流入流出可能な口部を有する2以上の変形式分注チップを、前記変形壁面の変形によって前記口部が変動しないように分注ヘッドに支持させる支持工程と、該分注ヘッドを移動する移動工程と、前記口部を容器内に挿入して前記変形壁面を一斉に変形させる変形工程とを有する変形式分注処理方法である。
【0049】
ここで、前記変形工程においては、前記変形式分注チップの内部状態を検出して、チップ内の液体の有無や、液面の高さを検出して指示通りの処理がなされているか否かを検出するのが好ましい。
【0050】
第22の発明は、前記支持工程は、2以上の前記変形式分注チップを列状または平面状に所定間隔に配列して着脱自在に保持可能なチップ配列保持部を、前記各変形式分注チップが変形可能に分注ヘッドに装着することで行う変形式分注処理方法である。
【0051】
第23の発明は、前記変形工程は、前記変形壁面の変形を行う前記変形方向に沿った所定基準位置を設定し、該基準位置を基準にして前記変形壁面の変形を行う変形式分注処理方法である。なお、「所定基準位置」の例としては、第6の発明で説明した。
【0052】
第24の発明は、前記口部は下端に設けられ、前記変形壁面は、前記収容部を囲む壁面の一部に上下方向に変形可能となるように設けられ、前記収容部は、前記口部の上方に設けられ、前記変形壁面を有し気体を収容可能な変形部と、該変形部と連通し前記変形壁面を有せず前記口部を有して液体を貯留可能な非変形部とを有し、前記変形工程は、前記収容部の上端面に可動部材を接触しまたは接続させる工程と、前記可動部材を下降させおよび/または上昇させる工程を有する変形式分注処理方法である。
【0053】
第25の発明は、前記可動部材の上昇および下降は、前記変形壁面の変形を行う上下方向に沿った所定基準位置を設定し、該基準位置を基準にして行う変形式分注処理方法である。なお、「所定基準位置」の例としては、第6の発明で説明した。
【0054】
第26の発明は、前記液体には、所定物質を結合可能または所定物質と結合した磁性体が懸濁し、前記収容部または前記容器群の容器内に対して磁場を及ぼすことによって前記磁性体を前記収容部または容器の内壁に吸着させて分離する工程を有する変形式分注処理方法である。なお、変形式分注チップが2以上の場合を特に強調するために、変形式分注装置を変形式集積処理装置と言い換え、その変形式分注処理方法を変形式集積処理方法と言い換えることができる。
【発明の効果】
【0055】
第1の発明、第16の発明または第21の発明によれば、変形壁面を力学的に変形させることで、液体を吸引しかつ吐出することができる。したがって、シリンダ等の複雑な液体または気体を流す管路等の流体力学系を用いずに、分注処理を可能とし、装置の規模をコンパクト化し、かつ構造を簡単化する。したがって、安価かつ容易に製造することができる。また、シリンダ等を用いないので、コンパクトであるにもかかわらず大きな体積の液体をも取り扱うことができる。
【0056】
また、前記壁面の全内表面積を変えることなく変形壁面を変形させることで、吸引、吐出等の液体の処理を行うようにしているので、該壁面を構成する部材間の嵌合、摺動等を必要とせず、そのための高い加工精度を要求されることなく、完全な水密性および気密性を得て、クロスコンタミネーションを確実に防止し、信頼性の高い分注処理を行うことができる。また、シリンダを用いずに吸引吐出を行うことができるので、コンパクトであるにもかかわらず大きな体積の液体を取り扱うことができる。
【0057】
さらに変形式分注チップを、その口部が変形壁面の変形の為に加える力によっては変動しないように支持し、また、複数の変形式分注チップを一斉に同一の条件で変形することが可能なので、変形式分注チップを用いても正確な位置制御や再現性の高い吸引吐出制御を行うことができる。また、変形式分注チップを用いても、多数の処理を並行して行うことができて効率的であり、多数の容器を密接して配列した場合であっても、信頼性の高い処理を行うことができる。
【0058】
第2の発明によれば、予め必要な試薬等を容器に収容しておくことで、分注処理の自動化を容易に行うことができる。
【0059】
第3の発明によれば、可動部材を変形方向に沿って移動させる処理対象の気体液体と接触しない力学的な機構のみを用いることで、吸引、吐出、移送等の液体の処理を可能にするので、液体と接触可能な部分がチップ内の閉空間と容器のみにほぼ限られるので、コンタミネーションを確実に防止することができる。
【0060】
第4の発明または第26の発明によれば、前記収容部または容器の内部に磁場を及ぼしまた除去するようにしているので、磁性体の懸濁する液体中の磁性体を内部に吸着させることで分離を行うことで、分離処理を含む処理を一貫して自動化することができる。
【0061】
第5の発明によれば、変形壁面の変形、および/または、前記分注ヘッドの移動を、前記変形式分注チップの構造等に基づいて制御を行なうようにしているので、吸引吐出を確実に行なうことができる。
【0062】
第6の発明、第23の発明または第25の発明によれば、壁面変形によるその内部の膨張および収縮の少なくとも一方が可能な基準位置に基づいて変形の制御が行なわれるので、例えば、変形による内部の膨張および収縮の双方が可能である場合には、どちらにも直ちに対応することができて迅速で効率的な処理を行うことができる。この場合には、変形が定型的な場合が多く、精密な制御を行なうことができる。また、前記基準位置をうまく設定することによって、液体の吐出による前記変形式分注チップ内の液体の残留を防止することができる。
【0063】
第7の発明によれば、前記変形壁面として蛇腹を形成しているので、簡単な構成で、大きな変形率をもつ壁面を形成することができる。また、剛性のある部材で形成することができるので壊れにくい。さらに、変形により折り曲がる箇所および方向が定まっており、変形の規則性、または変形による定型性が高い。
【0064】
第8の発明または第24の発明によれば、収容部の上端において可動部材を接触または接続させることで変形を行なうことができるので、構造が簡単で扱いやすい。また、上下方向に変形方向を設けているので、前記変形壁面の内部容積を最大に変形した状態と内部容積を最小に変形した状態との間で、収容部内の容積の差異を、径または水平断面積を大きくすることなく大きくとることができるので作業領域をコンパクトに形成することができる。
【0065】
第9の発明によれば、気体については変形壁面を有する変形部に収容し、導入した液体は変形壁面を有しない非変形部に貯留するようにしている。したがって、導入した液体は、変形壁面の変形の影響を受けず、液体が変形壁面に付着して残留する事態を防止することができ、定量の処理行う場合等において信頼性が高い。
【0066】
第10の発明によれば、複数の前記変形式分注チップをチップ配列保持部に配列したものを単位として分注ヘッドまたは容器群に設けておきかつ移動可能とすることによって、迅速に変形式分注チップの取替えや処理の効率化を図ることができる。
【0067】
第11の発明または第22の発明によれば、複数の変形式分注チップを、チップ配列保持部を単位として、前記分注ヘッドに装着することで変形式分注チップを取り扱うようにしているので、多数の変形式分注チップを一括して容易に取り扱うことができる。
【0068】
第12の発明によれば、前記チップ配列保持部として、プレートに複数の貫通孔を設け、該貫通孔に変形式分注チップを挿入することで保持するようにしているので、変形式分注チップを容易に配列することができる。
【0069】
第13の発明によれば、変形式分注チップの内部の状態を検出することで、吸引、吐出が正確に指示通り行なわれていることを 液体の有無、液の水位を把握することによって行い、信頼性の高い処理を行うことができる。
【0070】
第14の発明によれば、前記各変形式分注チップを緩挿して保持することによって、各変形式分注チップの変形を定められた変形方向に規制することによってより精密な制御を行うことができる。
【0071】
第15の発明によれば、前記変形式分注チップの各収容部に対して一斉に接離可能に磁石を設けることができるので、各変形式分注チップに対して簡単な構造で容易に磁場を一斉に印加することができる
【0072】
第17の発明によれば、前記口部は、細管に設けられているので、種々の容器に挿入して液体の吸引、移送、吐出を行うことができ、自動化に適して取り扱いやすい。また、細管を剛性をもたせた先細りまたは鋭利な形状に形成することで、予め容器内に試薬等の溶液を収容してフィルムで封入したプレパックの容器の場合であっても、直接フィルムを貫通して内部の試薬等の溶液を吸引することができ、コンタミネーションを防止し、信頼性が高い。
【0073】
第18の発明によれば、細菅を、移行部等と別体に形成して、該移行部等に取り付けて前記変形式分注チップを形成するようにしている。したがって、変形部に用いるような柔らかな素材ではなく硬い素材を用いて、細管を形成することができるので、製造の際に、素材の軟らかさおよび他の部分よりも細い形状から生ずる細管の曲がりの発生を防止し、形状のばらつきが小さい変形式分注チップを提供することができ、信頼性の高い処理を行うことができる。
【0074】
第19の発明によれば、内部に収容部を緩挿して保持するホルダを設けることで、変形壁面が設けられていても、変形壁面を外部から保持するので、変形壁面を変形させる際に変形壁面が予め定めた定型的な変形が行われるようにガイドすることができるので、定量性において信頼性の高い処理を行うことができる。
【0075】
第20の発明によれば、細管をホルダから突出するように設けているので、ホルダに前記収容部を緩挿した状態で処理を行うことができ、また、細管をより一層堅固に支持することができるので、変形壁面の変形によって位置等の変動を抑制し、一層信頼性の高い処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る変形式分注チップおよびその動作を示す説明図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係る変形式分注チップに適した容器を示す図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態に係る変形式分注装置の正面図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態に係る変形式分注装置の側面図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係る変形式分注装置の平面図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係る変形式分注装置の背面図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態に係る変形式分注装置の正面図である。
【図8】本発明の第5および第6の実施の形態に係るホルダを示す図である。
【図9】本発明の第7の実施の形態に係る変形式分注チップを示す図である。
【図10】本発明の第8の実施の形態に係る変形式分注チップが配列されたラックを示す断面図である。
【図11】本発明の第8の実施の形態に係るラックを示す平面図である。
【図12】本発明の第8の実施の形態に係る変形式分注装置を示す断面図である。
【図13】本発明の第8の実施の形態に係る変形式分注装置の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0077】
続いて、図面に基づいて、本発明の実施の形態に係る変形式分注チップおよび該変形式分注チップを用いた変形式分注装置について説明する。
【0078】
図1(a)は、本発明の第1の実施の形態に係る変形式分注チップ11を後述する変形式分注装置10の分注ヘッド70に支持させた状態を概念的に示す。該変形式分注チップ11には、略円筒状の壁面で囲まれ内部に液体および気体を収容可能であってその壁面の一部に変形可能な変形壁面としての蛇腹12を有し上下方向に沿った軸線を有する略円筒状の縦長の収容部(14,15)および該収容部(14,15)と連通し、該蛇腹12の変形によって吸引吐出される液体が流入流出可能な口部13が前記収容部の下端に軸線を囲むように設けられている。
【0079】
前記蛇腹12は、前記収容部(14,15)の壁面の一部に該壁面を上と下に仕切るようにかつ上下方向を前記変形方向として変形可能に設けられている。該蛇腹12の波形または襞の各山(この例では9個)および各谷(この例では8個)は、前記上下方向に垂直に形成され、該谷または山は、それらを含む各水平面内で円周を形成している。該収容部(14,15)は、前記蛇腹12を有し気体を収容可能な変形部14と、該変形部14と連通し該変形壁面としての蛇腹12を有せず先端に前記口部13を有して液体を貯留可能な非変形部15とを有している。
【0080】
該変形部14の上端の上底面12aは、該変形式分注チップ11が支持される後述する変形式分注装置10の分注ヘッド70の前記可動部材に相当する押え板20と接触可能に設けられ、該押え板20の上下運動により、上下動し、前記蛇腹が上下方向に伸長しかつ収縮する。また、該変形部14の下部12bの下端には段差が設けられ、該段差部分で該変形式分注チップ11を支持する前記分注ヘッド70の水平支持プレート19によって支えられ、該変形式分注チップ11の非変形部15が該水平支持プレート19に設けられた孔を貫通して該水平支持プレート19の下方に突出している。
【0081】
前記非変形部15は、前記変形部14と連通し前記下部12bと上側でつながる略円筒状の太管16と、前記口部13を下端に有する略円筒状の細管18と、該太管16と該細管18との間を結ぶ漏斗状の移行部17とを有している。
【0082】
図1(a)は、前記押え板20が前記上底面12aから離脱した状態を示すものであり、変形を加えない自然状態を表している。すなわち、該変形式分注チップ11から押え板20を除去すると、この状態になるまで前記蛇腹12が伸長するように蛇腹12自体が付勢されていることを表している。
【0083】
図1(b)から図1(d)は、該押え板20を前記上底面12aに接触させた状態でこの順でより低く下降させた状態を示すものである。例えば、図1(c)は、蛇腹12の変形による、その内部の膨張および収縮の双方が可能な状態にある可動部材としての押え板20の位置を示し、例えば、この位置を前記所定基準位置として、該状態を基準として制御が行われる。すると、図1(b)は、前記基準位置におけるよりも蛇腹12が伸長された状態を示し、制御上この状態(前記蛇腹12を少し収縮した状態)が液体を最も吸引した状態、すなわち、予め定めた最大吸引状態を表す。
【0084】
また、図1(d)は、最も下降した状態、すなわち、それ以上の収縮が不可能な状態であって、この状態で、前記変形式分注チップ11が前記図1(b)の状態で吸引した全液体が吐出されるようにする。なお、完全に前記押え板20が、前記上底面12aから離脱した位置に伸長された状態が液体を最も吸引した状態するように、基準位置を決定するようにしても良い。
【0085】
図2は、該変形式分注チップ11に適した第2の実施の形態に係るカートリッジ容器21の一例を示すものである。図2(a)は、前記変形式分注チップ11の細管18を該カートリッジ容器21の液収容部22に挿入した状態を示す側面図であり、図2(b)は前記カートリッジ容器21の分解斜視図である。
【0086】
該カートリッジ容器21は、4つの液収容部22の上端が、上板23に設けられた4個の孔28の周囲に取り付けられて、該液収容部22が該上板23の下側から下方向に突出している。該上板23は、凹状の容器支持枠24の上側に水平に載置され、該容器支持枠24の両側面には、2枚の透明なゲージ用側板25が嵌められる。ゲージ用側板25には、各液収容部22に対応した位置に、その液面レベルを示す目盛り26が示される。また、そのゲージ用側板25の隅には、該該ゲージ用側板25を識別するためのゲージ認識番号27を付すことができる。なお、該ゲージ認識番号27の上方の位置には、該ゲージ認識番号27を表すバーコード、または識別用色彩を付する領域27aを設けるようにしても良い。
【0087】
続いて、図3から図6に基づいて、第3の実施の形態に係る変形式分注装置10を説明する。
【0088】
図3は、本実施の形態に係る変形式分注装置10の正面図を示すものである。該変形式分注装置10は、6本の前記変形式分注チップ11が支持され、該変形式分注チップ11の前記蛇腹12を変形させることによって該変形式分注チップ11に対する液体の吸引吐出を行う分注ヘッド70と、種々の液体、試薬、検体等を収容可能な複数(この例では6本)の試薬収容容器32を有する容器群31と、前記分注ヘッド70を前記容器群31に対して移動させるヘッド移動部(44,45,46)とを、ステージ30上に設けたものである。なお符号30aは、前記ステージ30を支持する支持部材である。
【0089】
前記分注ヘッド70は、6連の前記変形式分注チップ11を支持するチップ支持部として、該変形式分注チップ11を支持する6個の支持孔をもつ水平支持プレート19および垂直支持プレート19aを有する。該水平支持プレート19および垂直支持プレート19aは1枚のプレートを直角に折り曲げて形成され、前記水平支持プレート19および前記垂直支持プレート19aとに挟まれた空間の両側端を覆うように各々直角三角形状部材19b(図4)を取り付けてその構造に剛性を与えている。該水平支持プレート19は、その両側部分において、2本のガイドシャフト37の下端部が取り付けられ、該ガイドシャフト37の上端は、該分注ヘッド70のチップ固定用上板38に取り付けられている。該ガイドシャフト37には、管状部材36が該ガイドシャフト37に沿って上下動可能に嵌合し、該管状部材36は、前記押え板20と、該押え板20を水平に維持するようにその両側で連結している。
【0090】
該押え板20は、6本の前記変形式分注チップ11の上底面12aと各々接触しており、その上側で上方に突出する棒状部材42が設けられている。該棒状部材42は、前記チップ固定用上板38に設けた貫通孔43を突き抜けてその上側に達するように設けられている。該棒状部材42の上端は、回転円板40に偏心して取り付けられた円板カム41と摺動可能に接している。該回転円板40の回転により、前記円板カム41に接した前記棒状部材42が上下方向に移動し、それに伴って前記押え板20が上下方向に移動して、前記蛇腹12を変形させる。なお、符号39は前記回転円板40を回転させる為のモータである。このように、本実施の形態においては、前記押え板20の上下方向の移動は、カム機構(39,40,41,42)によって行なわれている。
【0091】
該分注ヘッド70は、枠体33の両側面板の下側に水平の突条33aを各々有している。該突条33aは、前記ステージ30に取り付けられ、2段に直線状に配列された多数のボールベアリングによって挟まれるようにして2本のレール部材46bと移動可能に係合している。前記枠体33は、アーム部材46aによってベルト46に取り付けられている。該ベルト46は、前記ステージ30上に設けられたモータ44によって回転駆動されるローラ45によって前記レール部材46bの方向に沿って走行可能に設けられている。前記水平支持プレート19、垂直支持プレート19a、チップ固定用上板38、したがって、前記変形式分注チップ11は、前記枠体33に対して上下動可能に取り付けられている。
【0092】
図4は、前記変形式分注装置10の側面図である。前記変形式分注チップ11を固定する水平支持プレート19の上側において、前記変形式分注チップ11の蛇腹12の下端にある1つの山を上下から挟むようにして、該変形式分注チップ11を支持する挟持用具57と、該挟持用具57を前記チップ固定用上板38に取り付ける挟持位置調整可能な挟持用具取付棒58を有している。これによって、該変形式分注チップ11を下方向に変形を加えて収縮させる場合および上方向に膨張させる場合の双方の変形に対して、前記口部13は前記蛇腹12の変形によってその位置および形状が変動しない。
【0093】
前記垂直支持プレート19aは、上下動支持板50に取り付けられ、該上下動支持板50には、4個のガイド・ローラ51,52が回転可能に取り付けられている。前記枠体33の上板49の上側には、該上下動支持板50を上下動させるためのモータ47が設けられている。該モータ47によって回転駆動されるローラ48、および、下板34に設けられたローラ54とを有し、これらのローラ48,54にはベルト56が掛け渡されている。前記上下動支持板50は該ベルト56に取り付けられ、該ベルト56の走行に応じて上下動する。
【0094】
前記容器群31には、試薬を収容した試薬収容容器32と、各種溶液を収容可能な10列のウェル60、および、前記変形式分注チップ11を収容可能な2列のチップ収容部61を有し、前記ステージ30上に固定して設けられている。
【0095】
前記磁力手段としては、永久磁石35が、前記変形式分注チップ11に対して接離可能に設けられている。該永久磁石35を支える支持具の下側には、2個のローラ63が設けられ、前記下板34に設けた、左右方向に沿って空けた溝に嵌合され左右方向に円滑に移動可能としている。該永久磁石35は、モータ軸が図上左右方向に移動可能なステッピングモータ55によって駆動される。
【0096】
図5は、前記変形式分注装置10の平面図を示すものである。前記分注ヘッド70は、ステージ30上を、前記容器群31の上方を前記レール部材46bに沿って図上左右方向に移動可能である。
【0097】
図6は、前記変形式分注装置10の背面図を示すものである。前記上下動支持板50は、その中央において、ベルト56に取り付けるためのベルト取付具62が設けられている。また、その両側において、各々前記ガイド・ローラ51、52が回転可能に設けられ、ガイドレール53と係合しながら、該上下動支持板50の上下動を案内している。
【0098】
続いて、図7に、第4の実施の形態に係る変形式分注装置100を示す。前述した変形式分注装置10を説明する符号と同一の符号は同一のものを表すのでその説明を省略する。
【0099】
該変形式分注装置100の分注ヘッド170は、前記第3の実施の形態に係る変形式分注チップ11の変形を行う機構として採用したカム機構(39,40,41,42)の代わりに、リンク機構(64,65,66,67,68)を採用したものである。
【0100】
第4の実施の形態に係る変形式分注装置100にあっては、前記押え板20は、6本の前記変形式分注チップ11の上底面12aと各々接触しており、その上側で上方に突出する棒状部材64とその上端に設けられた横棒状の節65と、該節65と回転可能に接合する一端を持ち、支持棒66bに設けられた支点66aで支えられた2本のリンク棒66と、該リンク棒66の他端とその先端が回転可能に接合した上下方向に運動可能な並進軸68と、該並進軸68を上下方向に動かすステッピングモータ67とを有する。これによって、前記押え板20を上下方向に動かす。
【0101】
図8は、前記変形式分注チップ11を内部に緩挿可能な第5および第6の実施例に係るホルダ71,72を示す。
【0102】
図8(a)に示す第5の実施の形態に係るホルダ71は、その上側に設けた上側開口部73、前記口部13を外に露出させるための下側開口部74を有する。上側開口部73を通して前記変形式分注チップ11を挿入して該ホルダ71の内部に緩挿させる。該ホルダ71は、太枠部75とその下側に設けられた細枠部76とからなり、前記下側開口部74は該細枠部76の先端に設けられている。該細枠部76は、前記変形式分注チップ11の前記細管18のぐらつきを防止するように嵌合して支持する。この場合には、前記ホルダ71の前記上側開口部73を通して前記変形式分注チップ11の上底面と接触可能となるような押え板20に取り付けられた挿入具77によって変形を行なう。
【0103】
図8(b)に示す第6の実施の形態に係るホルダ72は、その上側に設けた上側開口部78、前記変形式分注チップ11の口部13を外に露出させるための下側開口部79を有する。上側開口部78を通して前記変形式分注チップ11を挿入して該ホルダ72の内部に緩挿させる。該ホルダ72は、側面にスリット80が穿設された太枠部83とその下側に設けられた細枠部81とからなり、前記下側開口部79は該細枠部81の先端に設けられている。該細枠部81は、前記変形式分注チップ11の前記細管18のぐらつきを防止するように嵌合して支持する。この場合には、前記太枠部83の側面に設けた前記スリット80を通して前記変形式分注チップ11の上底面と接触可能となるような押え板20に取り付けられた挿入具82によって変形を行なう。
【0104】
これらのホルダ71,72を用いることによって、口部13の変動を防止することができるとともに、前記変形式分注チップ11の形態の必要時以外の変形を防止して固定化する。また、前記変形式分注チップ11の変形が前記ホルダ71,72によって軸方向に沿うように案内されるので、変形を円滑化するとともに、該変形式分注チップに加える変形に規則性をもたせ加える変形の程度に応じた内部容積を正確に得ることができる。
【0105】
続いて、図9に基づいて、第7の実施の形態に係る変形式分注チップ111を示す。図9(a)は、該変形式分注チップ111の拡大断面図であり、図9(b)は、その斜視図である。該変形式分注チップ111は、略円筒状の壁面で囲まれ内部に液体および気体を収容可能であってその壁面の一部に変形可能な変形壁面としての蛇腹112を有し上下方向に沿った軸線を有する略円筒状の縦長の収容部(114,115)および収容部(114,115)と連通し、該蛇腹112の変形によって吸引吐出される液体が流入流出可能な口部113が前記収容部の下端に前記軸線を囲むように設けられている。
【0106】
前記蛇腹112は、前記収容部(114,115)の壁面の一部に該壁面を上下に仕切るようにかつ上下方向を前記変形方向として変形可能に設けられている。該蛇腹112の波形または襞の各山(この例では4個)および各谷(この例では5個)は、前記上下方向に垂直に形成され、該谷または山は、それらを含む各水平面内で円周を形成している。該収容部(114,115)は、前記蛇腹を有し気体を収容可能な変形部114と、該変形部114と連通し該変形壁面としての蛇腹112を有せず先端に前記口部113を有して液体を貯留可能な非変形部115とを有している。
【0107】
該変形部114の上端の上底面112aは、該変形式分注チップ111が支持される後述する変形式分注装置110の分注ヘッド270の前記可動部材に相当する押え板120と接触可能に設けられ、該押え板120の上下運動により、上下動し、前記蛇腹112が上下方向に伸長しかつ収縮する。なお、前記変形部114の下部112bは、前記蛇腹112の伸長および収縮によっては変形しない。
【0108】
前記非変形部115は、前記変形部114と連通し前記下部112bと上側でつながる略円筒状の太管116と、前記口部113を下端に有する略円筒状の細管118と、該太管116と該細管118との間を結ぶ漏斗状の移行部117とを有している。
【0109】
該移行部117は、その上側には、後述するチップ配列保持部としてのラック121のプレート122に略先細りに穿設された各貫通孔123に挿入されて嵌合して保持される嵌合部117cを有し、その下側には、平行な透明平板状側面で挟まれた内部検出領域117aを有する。さらに、該移行部117の下端部には、別体に設けた細管118の上端部を嵌合して、接着剤、熱溶着、超音波溶着等により取り付ける凹状部117bが設けられている。
【0110】
前記移行部117には、前記内部検出領域117aのような複雑な形態を含むが、前記変形部114および前記太管116および移行部117は、ブロー成型によって一体に形成することができる。また、前記細管118は、インジェクション成型で堅固に形成して前記凹状部117bで前記移行部と接合することができる。前記内部検出領域117aを設けることで、該透明平板状側面の法線方向にビームを照射して透過した光を測定することで細管内の状態を検知することができる。
【0111】
図10には、前記変形式分注チップ111を所定間隔で12列×8行の行列状に配列した前記チップ配列保持部としての第8の実施の形態に係るラック121を前記容器群に設けたラック支持台126に着脱自在に載置した状態を示す側面断面図を示すものである。該ラック121は、貫通孔123が12列×8行の行列状に配列されたプレート122を有する。前記各貫通孔123は、前記変形式分注チップ111の前記移行部117の嵌合部117cと嵌合するように先細りの形状に穿設されている。前記各貫通孔123に保持された状態では、各変形式分注チップ111の細管118、および前記内部検出領域117aは、前記プレート122の下方に位置し、前記蛇腹112は前記プレート122の上方に位置する。なお、前記ラック支持台126内は、前記細管118が相互に接触しないように、相互に隔壁126aによって行列状に複数の部屋に仕切られている。
【0112】
また、前記各変形式分注チップ111ごとに周囲の四隅において、該各変形式分注チップ111が緩挿されるように、前記プレート122の表面上側から上方向に向かって前記変形式分注チップ111の非変形状態に相当する高さの4本の棒125が各々設けられている。この4本の棒125は前記緩挿部に相当する。これによって前記変形式分注チップ111の変形方向、上下方向に維持されるように規制し、変形の定型性を維持する。なお、前記プレート122の両縁部に沿って、後述する分注ヘッド270に装着するための装着用溝124が上側および下側に設けられている。
【0113】
図11(a)は、前記ラック121の平面図であり、12列×8行の行列状に貫通孔123が所定間隔で配列されている。図11(b)は、ラック221の平面図であり、ラック121とは異なるより狭い間隔で、24列×16行の行列状に貫通孔223が配列され、各貫通孔223には、各々、前記緩挿部としての4本の棒225が設けられている。
【0114】
図12は、前記変形式分注チップ111を装着した状態の第8の実施の形態に係る変形式分注装置110を示すものである。
該変形式分注装置110は、前記ラック121を装着することで12列×8行の行列状の前記変形式分注チップ111を支持し、前記蛇腹112を変形させることによって該変形式分注チップ111に対する液体の吸引吐出を行う前記分注ヘッド270と、種々の液体、試薬、検体等を収容可能な複数の試薬収容容器132を有する容器群131と、前記分注ヘッド270を前記容器群131に対して移動させるヘッド移行部(図示せず)とを、設けたものである。
【0115】
前記分注ヘッド270は、12列×6行の前記貫通孔123をもち前記変形式分注チップ111を保持したラック121を該ラック121の両縁部に設けた前記装着用溝124と各々に嵌合して装着する2本の装着用支持部材119を設けている。2本の該装着用支持部材119は、前記チップ支持部に相当し、2本該装着用支持部材119は、ボックス状の枠体133の下縁部に沿って設けられている。したがって、前記ラック121のプレート122は、該枠体133の下側の開口部を塞ぐように設けられていることになる。
【0116】
前記枠体133内には、水平方向に仕切るように仕切り板138を設けている。各変形式分注チップ111の上底面112aにおいて前記蛇腹112を変形させる可動部材としての前記押え板120は、前記仕切り板138に設けた隙間120bを貫くように設けた支持板120aの下端に設けられ、該支持板120aは、駆動部材143に支持されている。該駆動部材143は、その両側部分において、2本のガイドシャフト137に摺動可能に案内され、その中央においてボール螺子141と螺合するナット部に連結し、該ボール螺子141の回転による該ナット部の上下動に連動して上下動する。なお、符号139は、該ボール螺子141を回転駆動するモータであり、符合140はその軸である。
【0117】
さらに、図13に示すように、前記分注ヘッド270の前記ラック121の下方には、前記変形式分注チップ111の前記収容部115に磁力を及ぼすための前記磁力手段135が設けられている。該磁力手段135は、行列状(ここでは、12列×8行)に配列された前記変形式分注チップ111の行方向に相対的に移動可能に設けられ、前記行方向に伸びかつ前記所定間隔に対応して両端にある2本を除いた(列数個−1)本(この例では11本)は、前記列間に挿入可能な幅に設けられた全部で(列数個+1)本の櫛歯部材135aと、該櫛歯部材135aとその一端で連結した支持部材135cとを有し全体として櫛状に形成され、該櫛歯部材135aには、前記各変形式分注チップ111に対応する位置に前記所定間隔で配列された前記行数個(この例では8個)の磁石が設けられたものである。
【0118】
さらに、前記分注ヘッド270には、前記ラック121の下方であって、前記磁力手段135の上方には、前記各変形式分注チップ111の前記内部検出領域117aを通してビームを透過させて、内部状態を検出する光検出部150が設けられている。図13に示すように、該光検出部150は、行列状(ここでは、12列×8行)に配列された前記変形式分注チップ111の行方向に相対的に移動可能に設けられ、前記行方向に伸びかつ前記所定間隔に対応して両端にある2本を除いた(列数個−1)本(この例では11本)は、前記列間に挿入可能な幅に設けられ全部で(列数個+1)本(この例では13本)の櫛歯部材151を有し全体として櫛状に形成され、該櫛歯部材151の先端近傍で隣接する櫛歯部材151の対向する面側に前記内部検出領域117aを挟むように1対の発光部および受光部152が各々相対するように設けられたものである。該光検出部150は、前記行方向に沿って順次移動しながら、一度に12列分の変形式分注チップ111について内部の検出を行うことになる。その際、該光検出部150は前記磁力手段135の上側の平面に行方向に沿って設けたレールに沿って移動可能とするようにしても良い。
【0119】
以上説明した各実施の形態は、本発明をより良く理解するために具体的に説明したものであって、別形態を制限するものではない。したがって、発明の主旨を変更しない範囲で変更可能である。例えば、前記実施の形態では、主として蛇腹によって変形を行なったが、例えば、蛇腹以外の形状をもつ変形壁面や、ゴム等の弾性体をその変形壁面の素材に使用することによっても実現することができる。また、前記変形式分注チップの形状も前述したものに限られず、移行部に段差をもつものや、移行部以外に段差をもつものであっても良い。
【0120】
また、前記チップ配列保持部は、前述した配列に限定されるものではなく、例えば、4,6,8,12,96,384本等を一列状または行列状、その他の形状の配列がある。
さらに、前記変形式分注チップの細管の口部にはさらに、ステンレス製等のより径が小さい短管を嵌合させて、その分注精度を高めるようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本発明に係る変形式分注チップ、変形式分注装置および変形式分注処理方法は、種々の溶液の処理が要求される分野、例えば、工業分野、食品、農産、水産加工等の農業分野、製薬分野、衛生、保険、免疫、疾病、遺伝等を扱う医療分野、化学若しくは生物学等の分野等、あらゆる分野に関係するものである。本発明は、特に、多数の試薬や物質を用いた一連の処理を所定の順序に連続的に処理を実行する場合に有効である。
【符号の説明】
【0122】
10,100,110 変形式分注装置
11,111 変形式分注チップ
12,112 蛇腹
70,170,270 分注ヘッド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面で囲まれた内部に液体および気体を収容可能であって、その壁面の全内表面積を実質的に変えることなく所定の変形が可能な変形壁面を前記壁面の一部に有する収容部および該収容部と連通し該変形壁面の変形による前記内部の膨張および収縮によって吸引吐出される液体が流入および流出可能な口部を有する1または2以上の変形式分注チップと、
1または2以上の該変形式分注チップを前記変形壁面の変形によって前記口部が変動しないように支持し、該変形式分注チップの前記変形壁面を一斉に変形させることによって、該変形式分注チップに対する液体の吸引吐出を一斉に行う分注ヘッドとを有するとともに、
前記変形壁面の変形について所定基準位置を設定し、該基準位置を基準にして、前記変形壁面の制御が行われるとともに、
前記所定基準位置は、処理で扱う液体量、使用する変形式分注チップの容量、処理の内容、および変形式分注チップの加工精度の中から選択した少なくとも1に基づいて定めた変形式分注装置。
【請求項2】
種々の溶液を収容可能な複数の容器を有する容器群と、該分注ヘッドを容器群に対して相対的に移動させるヘッド移動部とをさらに有するとともに、前記口部は前記容器に対して一斉に挿入可能である請求項1に記載の変形式分注装置。
【請求項3】
前記分注ヘッドは、前記1または2以上の変形式分注チップを支持可能なチップ支持部と、前記変形式分注チップの変形壁面の所定変形方向に沿って一斉に進退動作可能な可動部材を用いて前記変形壁面を一斉に変形させる可動機構とを有する請求項1または請求項2のいずれかに記載の変形式分注装置。
【請求項4】
前記分注ヘッドまたは前記容器群には、前記収容部または容器の内部に磁場を及ぼしまたは除去することが可能な磁力手段を有する請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の変形式分注装置。
【請求項5】
前記変形壁面の変形、および/または、前記分注ヘッドと容器群との間の移動を、前記変形式分注チップの個数もしくは構造、吸引吐出すべき液体、そこに含まれる物質、その量、その収容位置、その温度、もしくはその濃度、処理内容、または指示に基づいて制御する制御部を有する請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の変形式分注装置。
【請求項6】
前記変形壁面には、蛇腹が形成されている請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の変形式分注装置。
【請求項7】
前記口部は下端に設けられ、前記収容部は該口部の上方に設けられ、該収容部を囲む壁面の一部に、その内壁面を上下に仕切るようにして上下方向に変形可能な前記変形壁面を設け、前記収容部の上端と前記可動部材とが接触または接続可能である請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の変形式分注装置。
【請求項8】
前記収容部は、前記可動部材と接触または接続可能であって可動部材によって変形可能な変形壁面を有し気体を収容可能な変形部と、該変形部と連通し変形がされない非変形壁面で形成され先端に前記口部を有し液体を貯留可能な非変形部を有する請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の変形式分注装置。
【請求項9】
前記分注ヘッドまたは容器群は、2以上の前記変形式分注チップを一列状または平面状に所定間隔に配列して着脱自在に保持可能なチップ配列保持部を有する請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の変形式分注装置。
【請求項10】
前記分注ヘッドのチップ支持部は、2以上の前記変形式分注チップを列状または平面状に所定間隔に配列して着脱自在に保持可能なチップ配列保持部を、前記各変形式分注チップが変形可能に装着することで2以上の前記変形式分注チップを支持する請求項3ないし請求項9のいずれかに記載の変形式分注装置。
【請求項11】
前記変形式分注チップは前記口部および前記収容部を有し、該収容部は、前記可動部材によって変形可能な変形壁面を有し気体を収容可能な変形部と、該変形部と連通し変形がされない非変形壁面で形成され先端に前記口部を有し液体を貯留可能な非変形部を有し、前記チップ配列保持部には、列状または平面状に所定間隔で穿設された2以上の貫通孔が設けられたプレートを有し、前記各変形式分注チップは前記各貫通孔に挿入して保持されるとともに、前記変形式分注チップの前記口部は前記貫通孔を貫通して前記プレートの下方にあり、前記収容部の内前記変形部は、前記プレートの上方にくるように保持される請求項8または請求項10のいずれかに記載の変形式分注装置。
【請求項12】
前記変形式分注チップは、内部検出領域を有し、前記分注ヘッドには前記内部検出領域を通して内部の状態を検出する光検出部を設けた請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の変形式分注装置。
【請求項13】
前記チップ配列保持部は、保持される各変形式分注チップごとに、該変形式分注チップを緩挿して保持する2以上の緩挿部を設けた請求項9ないし請求項12に記載の変形式分注装置。
【請求項14】
前記分注ヘッドに設けた磁力手段は、1または2以上の前記変形式分注チップの各収容部に対して一斉に接離可能に設けた2以上の磁石を有する請求項4に記載の変形式分注装置。
【請求項15】
壁面で囲まれた内部に液体および気体を収容可能であって、その壁面の全内表面積を実質的に変えることなく所定の変形が可能な変形壁面を前記壁面の一部に有する収容部および該収容部と連通し前記変形壁面の変形による前記内部の膨張および収縮によって吸引吐出される液体が流入および流出可能であって、種々の溶液を収容可能な容器に対して挿入可能な口部を有し、
前記口部は下端に設けられ、前記変形壁面は、該収容部を囲む壁面の一部に上下方向に変形可能となるように形成され、前記収容部は、該口部の上方に設けられ、前記変形壁面を有し気体を収容可能な変形部と、該変形部と連通し前記変形壁面を有せず先端に前記口部を有して液体を貯留可能な非変形部を有するとともに、
前記非変形部は、前記変形部と連通する太管、前記口部を有する細管および前記太管と前記細管との間に形成された移行部とを有し、
前記太管、前記変形部、および前記移行部は一体として形成され、前記細管は、その上端部が前記移行部の下端部に嵌合して接着または溶着によって取り付けられ、前記太管、前記変形部および前記移行部よりも硬い素材で形成された変形式分注チップ。
【請求項16】
前記収容部を内部に緩挿して保持するホルダをさらに有し、該ホルダは、その上側に設けた上側開口部、前記口部が外に露出可能な下側開口部を有する請求項15に記載の変形式分注チップ。
【請求項17】
前記非変形部には、平行な透明平面状側面で挟まれた内部検出領域を設けた請求項15に記載の変形式分注チップ。
【請求項18】
壁面で囲まれた内部に液体および気体を収容可能であって、その壁面の全内表面積を実質的に変えることなく所定の変形が可能な変形壁面を前記壁面の一部に有する収容部および該収容部と連通し該変形壁面の変形による前記内部の膨張および収縮により吸引吐出される液体が流入流出可能な口部を有する2以上の変形式分注チップを、前記変形壁面の変形によって前記口部が変動しないように分注ヘッドに支持させる支持工程と、
該分注ヘッドを移動する移動工程と、
前記口部を容器群内の容器内に挿入して前記変形壁面を一斉に変形させる変形工程とを有するとともに、
前記変形工程は、前記変形壁面の変形について所定基準位置を設定し、該基準位置を基準にして前記変形壁面の変形を行うとともに、前記所定基準位置は、処理で扱う液体量、使用する変形式分注チップの容量、処理の内容、および変形式分注チップの加工精度の中から選択した少なくとも1に基づいて定める変形式分注処理方法。
【請求項19】
前記支持工程は、2以上の前記変形式分注チップを列状または平面状に所定間隔に配列して着脱自在に保持可能なチップ配列保持部を、前記各変形式分注チップが変形可能に分注ヘッドに装着することで行う請求項18に記載の変形式分注処理方法。
【請求項20】
前記口部は下端に設けられ、前記変形壁面は、前記収容部を囲む壁面の一部に上下方向に変形可能となるように設けられ、前記収容部は、前記口部の上方に設けられ、前記変形壁面を有し気体を収容可能な変形部と、該変形部と連通し前記変形壁面を有せず前記口部を有して液体を貯留可能な非変形部とを有し、前記変形工程は、前記収容部の上端面に可動部材を接触しまたは接続させる工程と、前記可動部材を下降させおよび/または上昇させる工程を有する請求項19に記載の変形式分注処理方法。
【請求項21】
前記可動部材の上昇および下降は、前記変形壁面の変形を行う上下方向に沿った所定基準位置を設定し、該基準位置を基準にして行う請求項20に記載の変形式分注処理方法。
【請求項22】
前記液体には、所定物質を結合可能または所定物質と結合した磁性体が懸濁し、前記収容部または前記容器群の容器内に対して磁場を及ぼすことによって前記磁性体を前記収容部または前記容器の内壁に吸着させて分離する工程を有する請求項18ないし請求項21のいずれかに記載の変形式分注処理方法。
【請求項23】
壁面で囲まれた内部に液体および気体を収容可能であって、その壁面の全内表面積を実質的に変えることなく所定の変形が可能な変形壁面を前記壁面の一部に有する収容部および該収容部と連通し該変形壁面の変形による前記内部の膨張および収縮によって吸引吐出される液体が流入および流出可能な口部を有する1または2以上の変形式分注チップと、
1または2以上の該変形式分注チップを前記変形壁面の変形によって前記口部が変動しないように支持し、該変形式分注チップの前記変形壁面を一斉に変形させることによって、該変形式分注チップに対する液体の吸引吐出を一斉に行う分注ヘッドと、
種々の溶液を収容可能な複数の容器を有する容器群と、該分注ヘッドを該容器群に対して相対的に移動させるヘッド移動部とを有するとともに、
前記変形壁面の変形、および/または、前記分注ヘッドと容器群との間の移動を、前記変形式分注チップの個数もしくは構造、吸引吐出すべき液体、そこに含まれる物質、その量、その収容位置、その温度、もしくはその濃度、処理内容、または指示に基づいて制御する制御部を有する変形式分注処理装置。
【請求項24】
壁面で囲まれた内部に液体および気体を収容可能であって、その壁面の全内表面積を実質的に変えることなく所定の変形が可能な変形壁面を前記壁面の一部に有する収容部および該収容部と連通し該変形壁面の変形による前記内部の膨張および収縮により吸引吐出される液体が流入流出可能な口部を有する2以上の変形式分注チップを、前記変形壁面の変形によって前記口部が変動しないように分注ヘッドに支持させる支持工程と、
該分注ヘッドを容器群に対して相対的に移動する移動工程と、
前記口部を容器群内の容器内に挿入して前記変形壁面を一斉に変形させる変形工程とを有するとともに、
前記変形工程および前記移動工程における、前記変形壁面の変形、および/または、前記分注ヘッドと容器群との間の移動を、前記変形式分注チップの個数もしくは構造、吸引吐出すべき液体、そこに含まれる物質、その量、その収容位置、その温度、もしくはその濃度、処理内容、または指示に基づいて制御する変形式分注処理方法。
【請求項1】
壁面で囲まれた内部に液体および気体を収容可能であって、その壁面の全内表面積を実質的に変えることなく所定の変形が可能な変形壁面を前記壁面の一部に有する収容部および該収容部と連通し該変形壁面の変形による前記内部の膨張および収縮によって吸引吐出される液体が流入および流出可能な口部を有する1または2以上の変形式分注チップと、
1または2以上の該変形式分注チップを前記変形壁面の変形によって前記口部が変動しないように支持し、該変形式分注チップの前記変形壁面を一斉に変形させることによって、該変形式分注チップに対する液体の吸引吐出を一斉に行う分注ヘッドとを有するとともに、
前記変形壁面の変形について所定基準位置を設定し、該基準位置を基準にして、前記変形壁面の制御が行われるとともに、
前記所定基準位置は、処理で扱う液体量、使用する変形式分注チップの容量、処理の内容、および変形式分注チップの加工精度の中から選択した少なくとも1に基づいて定めた変形式分注装置。
【請求項2】
種々の溶液を収容可能な複数の容器を有する容器群と、該分注ヘッドを容器群に対して相対的に移動させるヘッド移動部とをさらに有するとともに、前記口部は前記容器に対して一斉に挿入可能である請求項1に記載の変形式分注装置。
【請求項3】
前記分注ヘッドは、前記1または2以上の変形式分注チップを支持可能なチップ支持部と、前記変形式分注チップの変形壁面の所定変形方向に沿って一斉に進退動作可能な可動部材を用いて前記変形壁面を一斉に変形させる可動機構とを有する請求項1または請求項2のいずれかに記載の変形式分注装置。
【請求項4】
前記分注ヘッドまたは前記容器群には、前記収容部または容器の内部に磁場を及ぼしまたは除去することが可能な磁力手段を有する請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の変形式分注装置。
【請求項5】
前記変形壁面の変形、および/または、前記分注ヘッドと容器群との間の移動を、前記変形式分注チップの個数もしくは構造、吸引吐出すべき液体、そこに含まれる物質、その量、その収容位置、その温度、もしくはその濃度、処理内容、または指示に基づいて制御する制御部を有する請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の変形式分注装置。
【請求項6】
前記変形壁面には、蛇腹が形成されている請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の変形式分注装置。
【請求項7】
前記口部は下端に設けられ、前記収容部は該口部の上方に設けられ、該収容部を囲む壁面の一部に、その内壁面を上下に仕切るようにして上下方向に変形可能な前記変形壁面を設け、前記収容部の上端と前記可動部材とが接触または接続可能である請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の変形式分注装置。
【請求項8】
前記収容部は、前記可動部材と接触または接続可能であって可動部材によって変形可能な変形壁面を有し気体を収容可能な変形部と、該変形部と連通し変形がされない非変形壁面で形成され先端に前記口部を有し液体を貯留可能な非変形部を有する請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の変形式分注装置。
【請求項9】
前記分注ヘッドまたは容器群は、2以上の前記変形式分注チップを一列状または平面状に所定間隔に配列して着脱自在に保持可能なチップ配列保持部を有する請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の変形式分注装置。
【請求項10】
前記分注ヘッドのチップ支持部は、2以上の前記変形式分注チップを列状または平面状に所定間隔に配列して着脱自在に保持可能なチップ配列保持部を、前記各変形式分注チップが変形可能に装着することで2以上の前記変形式分注チップを支持する請求項3ないし請求項9のいずれかに記載の変形式分注装置。
【請求項11】
前記変形式分注チップは前記口部および前記収容部を有し、該収容部は、前記可動部材によって変形可能な変形壁面を有し気体を収容可能な変形部と、該変形部と連通し変形がされない非変形壁面で形成され先端に前記口部を有し液体を貯留可能な非変形部を有し、前記チップ配列保持部には、列状または平面状に所定間隔で穿設された2以上の貫通孔が設けられたプレートを有し、前記各変形式分注チップは前記各貫通孔に挿入して保持されるとともに、前記変形式分注チップの前記口部は前記貫通孔を貫通して前記プレートの下方にあり、前記収容部の内前記変形部は、前記プレートの上方にくるように保持される請求項8または請求項10のいずれかに記載の変形式分注装置。
【請求項12】
前記変形式分注チップは、内部検出領域を有し、前記分注ヘッドには前記内部検出領域を通して内部の状態を検出する光検出部を設けた請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の変形式分注装置。
【請求項13】
前記チップ配列保持部は、保持される各変形式分注チップごとに、該変形式分注チップを緩挿して保持する2以上の緩挿部を設けた請求項9ないし請求項12に記載の変形式分注装置。
【請求項14】
前記分注ヘッドに設けた磁力手段は、1または2以上の前記変形式分注チップの各収容部に対して一斉に接離可能に設けた2以上の磁石を有する請求項4に記載の変形式分注装置。
【請求項15】
壁面で囲まれた内部に液体および気体を収容可能であって、その壁面の全内表面積を実質的に変えることなく所定の変形が可能な変形壁面を前記壁面の一部に有する収容部および該収容部と連通し前記変形壁面の変形による前記内部の膨張および収縮によって吸引吐出される液体が流入および流出可能であって、種々の溶液を収容可能な容器に対して挿入可能な口部を有し、
前記口部は下端に設けられ、前記変形壁面は、該収容部を囲む壁面の一部に上下方向に変形可能となるように形成され、前記収容部は、該口部の上方に設けられ、前記変形壁面を有し気体を収容可能な変形部と、該変形部と連通し前記変形壁面を有せず先端に前記口部を有して液体を貯留可能な非変形部を有するとともに、
前記非変形部は、前記変形部と連通する太管、前記口部を有する細管および前記太管と前記細管との間に形成された移行部とを有し、
前記太管、前記変形部、および前記移行部は一体として形成され、前記細管は、その上端部が前記移行部の下端部に嵌合して接着または溶着によって取り付けられ、前記太管、前記変形部および前記移行部よりも硬い素材で形成された変形式分注チップ。
【請求項16】
前記収容部を内部に緩挿して保持するホルダをさらに有し、該ホルダは、その上側に設けた上側開口部、前記口部が外に露出可能な下側開口部を有する請求項15に記載の変形式分注チップ。
【請求項17】
前記非変形部には、平行な透明平面状側面で挟まれた内部検出領域を設けた請求項15に記載の変形式分注チップ。
【請求項18】
壁面で囲まれた内部に液体および気体を収容可能であって、その壁面の全内表面積を実質的に変えることなく所定の変形が可能な変形壁面を前記壁面の一部に有する収容部および該収容部と連通し該変形壁面の変形による前記内部の膨張および収縮により吸引吐出される液体が流入流出可能な口部を有する2以上の変形式分注チップを、前記変形壁面の変形によって前記口部が変動しないように分注ヘッドに支持させる支持工程と、
該分注ヘッドを移動する移動工程と、
前記口部を容器群内の容器内に挿入して前記変形壁面を一斉に変形させる変形工程とを有するとともに、
前記変形工程は、前記変形壁面の変形について所定基準位置を設定し、該基準位置を基準にして前記変形壁面の変形を行うとともに、前記所定基準位置は、処理で扱う液体量、使用する変形式分注チップの容量、処理の内容、および変形式分注チップの加工精度の中から選択した少なくとも1に基づいて定める変形式分注処理方法。
【請求項19】
前記支持工程は、2以上の前記変形式分注チップを列状または平面状に所定間隔に配列して着脱自在に保持可能なチップ配列保持部を、前記各変形式分注チップが変形可能に分注ヘッドに装着することで行う請求項18に記載の変形式分注処理方法。
【請求項20】
前記口部は下端に設けられ、前記変形壁面は、前記収容部を囲む壁面の一部に上下方向に変形可能となるように設けられ、前記収容部は、前記口部の上方に設けられ、前記変形壁面を有し気体を収容可能な変形部と、該変形部と連通し前記変形壁面を有せず前記口部を有して液体を貯留可能な非変形部とを有し、前記変形工程は、前記収容部の上端面に可動部材を接触しまたは接続させる工程と、前記可動部材を下降させおよび/または上昇させる工程を有する請求項19に記載の変形式分注処理方法。
【請求項21】
前記可動部材の上昇および下降は、前記変形壁面の変形を行う上下方向に沿った所定基準位置を設定し、該基準位置を基準にして行う請求項20に記載の変形式分注処理方法。
【請求項22】
前記液体には、所定物質を結合可能または所定物質と結合した磁性体が懸濁し、前記収容部または前記容器群の容器内に対して磁場を及ぼすことによって前記磁性体を前記収容部または前記容器の内壁に吸着させて分離する工程を有する請求項18ないし請求項21のいずれかに記載の変形式分注処理方法。
【請求項23】
壁面で囲まれた内部に液体および気体を収容可能であって、その壁面の全内表面積を実質的に変えることなく所定の変形が可能な変形壁面を前記壁面の一部に有する収容部および該収容部と連通し該変形壁面の変形による前記内部の膨張および収縮によって吸引吐出される液体が流入および流出可能な口部を有する1または2以上の変形式分注チップと、
1または2以上の該変形式分注チップを前記変形壁面の変形によって前記口部が変動しないように支持し、該変形式分注チップの前記変形壁面を一斉に変形させることによって、該変形式分注チップに対する液体の吸引吐出を一斉に行う分注ヘッドと、
種々の溶液を収容可能な複数の容器を有する容器群と、該分注ヘッドを該容器群に対して相対的に移動させるヘッド移動部とを有するとともに、
前記変形壁面の変形、および/または、前記分注ヘッドと容器群との間の移動を、前記変形式分注チップの個数もしくは構造、吸引吐出すべき液体、そこに含まれる物質、その量、その収容位置、その温度、もしくはその濃度、処理内容、または指示に基づいて制御する制御部を有する変形式分注処理装置。
【請求項24】
壁面で囲まれた内部に液体および気体を収容可能であって、その壁面の全内表面積を実質的に変えることなく所定の変形が可能な変形壁面を前記壁面の一部に有する収容部および該収容部と連通し該変形壁面の変形による前記内部の膨張および収縮により吸引吐出される液体が流入流出可能な口部を有する2以上の変形式分注チップを、前記変形壁面の変形によって前記口部が変動しないように分注ヘッドに支持させる支持工程と、
該分注ヘッドを容器群に対して相対的に移動する移動工程と、
前記口部を容器群内の容器内に挿入して前記変形壁面を一斉に変形させる変形工程とを有するとともに、
前記変形工程および前記移動工程における、前記変形壁面の変形、および/または、前記分注ヘッドと容器群との間の移動を、前記変形式分注チップの個数もしくは構造、吸引吐出すべき液体、そこに含まれる物質、その量、その収容位置、その温度、もしくはその濃度、処理内容、または指示に基づいて制御する変形式分注処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−33056(P2013−33056A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−219180(P2012−219180)
【出願日】平成24年10月1日(2012.10.1)
【分割の表示】特願2007−553966(P2007−553966)の分割
【原出願日】平成19年1月15日(2007.1.15)
【出願人】(502338292)ユニバーサル・バイオ・リサーチ株式会社 (23)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年10月1日(2012.10.1)
【分割の表示】特願2007−553966(P2007−553966)の分割
【原出願日】平成19年1月15日(2007.1.15)
【出願人】(502338292)ユニバーサル・バイオ・リサーチ株式会社 (23)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]