説明

変色装置、識別システム、及び識別方法

【課題】対象装置を識別することを可能とする変色装置、識別システム及び識別方法の提供。
【解決手段】識別システム1は、送信装置600と、識別装置700と、変色装置100−1、…、100−N(Nは1以上の整数)までのN個の変色装置100−i(iは1からNまでの整数)とを具備する。送信装置600は、変色装置100−1〜100−Nへ電波を送信する。変色装置100−1〜100−Nは、それぞれ送信装置600から送信された電波を受信し、受信した電波により発熱する。そして、変色装置100−1〜100−Nは、発熱による温度変化に応じて色が変化する。識別装置700は、変色装置100−1〜100−Nの色の変化を検出することにより、変色装置100−1〜100−Nそれぞれを識別し、それぞれの位置を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変色装置、識別システム、及び識別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電波をICタグに向けて放射し、その電波を受信して発熱したICタグの位置を赤外線センサを用いて検出する技術が知られている。
例えば、特許文献1では、所定の電波ICタグを活性化するために所定の周波数の電波を放射するアンテナと、該アンテナに送信信号を供給するRF回路と、電波ICタグの2次元赤外線分布データを生成する赤外線センサと、該赤外線センサからの2次元赤外線分布データより電波ICタグの発熱パターンを得る信号処理部と、を有し、該信号処理部は、上記発熱パターンから、活性化した電波ICタグを識別する電波ICタグシステムが記載さている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−199993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の電波ICタグシステムでは、2次元赤外線分布データを生成する赤外線センサを用いて発熱したICタグを検出している。しかしながら、2次元赤外線分布データを生成する赤外線センサは、一般的な可視光の撮像装置(例えば、デジタルカメラなど)に搭載されておらず、そのような撮像装置では、所望の対象装置を識別することができないという問題があった。
【0005】
そこで本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、対象装置を識別することを可能とする変色装置、識別システム及び識別方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明は前記事情に鑑みなされたもので、本発明の一態様は、電波を受けると発熱する発熱手段と、前記発熱手段の発熱に応じて可視光領域で変色する変色手段と、を備えることを特徴とする変色装置である
【0007】
(2)本発明の一態様は、上記に記載の変色装置において、前記変色手段は、温度に対する変色の態様が、他の変色装置における変色の態様と異なることを特徴とする。
【0008】
(3)本発明の一態様は、上記に記載の変色装置において、前記変色手段の空間分布が、他の変色装置における変色手段の空間分布と異なることを特徴とする。
【0009】
(4)本発明の一態様は、上記に記載の変色装置において、前記変色装置が備える前記発熱手段はコイルであり、前記変色装置は、前記コイルが送信装置により送信された電波を受信した場合、前記コイルに電流を流して前記送信装置と通信する通信手段を備えることを特徴とする。
【0010】
(5)本発明の一態様は、一つ以上の変色装置と、前記変色装置へ電波を送信する送信装置と、前記変色装置を識別する識別装置と、を具備する識別システムであって、前記変色装置は、前記送信装置から送信された電波を受けると熱を発する発熱手段と、前記発熱手段の発熱に応じて可視光領域で変色する変色手段と、を備え、前記識別装置は、前記送信装置が電波を送信する前の前記変色装置と、前記送信装置が電波を送信した後の前記変色装置とを撮像する撮像手段と、前記送信装置が電波を送信する前に前記撮像手段が撮像した画像と、前記送信装置が電波を送信した後に前記撮像手段が撮像した画像とに基づいて、前記変色装置を識別する識別手段と、を備えることを特徴とする識別システムである。
【0011】
(6)本発明の一態様は、発熱手段と変色手段とを備える一つ以上の変色装置と、前記変色装置へ電波を送信する送信装置と、前記変色装置を識別する識別装置と、を具備する識別システムが実行する識別方法であって、前記発熱手段が、前記送信装置から送信された電波を受けると熱を発する発熱手順と、前記変色手段が、前記発熱手順の発熱に応じて可視光領域で変色する変色手順と、を有し、前記識別装置が、前記送信装置が電波を送信する前の前記変色装置と、前記送信装置が電波を送信した後の前記変色装置とを撮像する撮像手順と、前記識別装置が、前記送信装置が電波を送信する前に前記撮像手順により撮像された画像と、前記送信装置が電波を送信した後に前記撮像手順により撮像された画像とに基づいて、前記変色装置を識別する識別手順と、を有することを特徴とする識別方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、2次元赤外線撮像装置を用いずとも対象装置を識別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施形態における識別システムの概略ブロック図である。
【図2】第1の実施形態における送信装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図3】第1の実施形態における変色装置の構成の一例を示す概略図である。
【図4】第1の実施形態における変色装置が備えるコイルの形状と誘導発熱による変色の例を示した図である。
【図5】第1の実施形態における識別装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図6】Aタイプのサーモクロミック塗料について、記憶部に記憶されている色と温度とが関連づけられたテーブルT1の一例である。
【図7】Bタイプのサーモクロミック塗料について、記憶部に記憶されている色と温度とが関連づけられたテーブルT2の一例である。
【図8】記憶部に記憶されているタグID、形状、タイプ、及び内容物が関連づけられたテーブルT3の一例である。
【図9】第2の実施形態における識別システムの概略ブロック図である。
【図10】第2の実施形態における送信装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図11】第2の実施形態における変色装置の構成の一例を示す概略図である。
【図12】第2の実施形態における変色装置が備えるコイルの形状と誘導発熱による変色の例を示した図である。
【図13】第2の実施形態における識別装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図14】第1の変形例における変色装置の構成の一例を示す概略斜視図である。
【図15】第1の変形例におけるサーモクロミック塗料の色の変化の一例を示した図である。
【図16】第2の変形例における変色装置の構成の一例を示す概略平面図である。
【図17】第3の変形例における変色装置の構成の一例を示す概略平面図である。
【図18】第3の変形例における変色装置の構成の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。各実施形態における変色装置の変色は、可逆的であってもよいし、不可逆的であってもよい。
【0015】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態における識別システム1の概略ブロック図である。
識別システム1は、送信装置600と、識別装置700と、変色装置100−1、…、100−N(Nは1以上の整数)までのN個の変色装置100−i(iは1からNまでの整数)とを具備する。ここで、変色装置100−iは、一つ以上あればよい。
【0016】
送信装置600は、変色装置100−1〜100−Nへ電波を送信する。変色装置100−1〜100−Nは、それぞれ送信装置600から送信された電波を受信し、受信した電波により発熱する。そして、変色装置100−1〜100−Nは、発熱による温度変化に応じて色が変化する。
識別装置700は、変色装置100−1〜100−Nの色の変化を検出することにより、変色装置100−1〜100−Nそれぞれを識別し、それぞれの位置を検出する。
【0017】
なお、送信装置600と識別装置700との構成は、図1に示す別装置としての構成に限ったものではない。すなわち、送信装置600と識別装置700とが、1つの筺体内に組み込まれて、1つの装置として構成されていてもよい。
また、識別システム1の具備する変色装置100−iの数は1つまたはそれ以上であればよい。従って、識別システム1が、1つの変色装置100−1を具備するようにしてもよい。
【0018】
図2は、第1の実施形態における送信装置600の構成を示す概略ブロック図である。同図において、送信装置600は、入力装置601と、RF回路602と、通信回路603と、制御回路604と、メモリ605とアンテナ606とを具備する。
入力装置601は、例えばキーボードやマウスなどの操作入力デバイスであり、ユーザの操作入力を受け付ける。特に、入力装置601は、変色装置100−iの識別と位置を検出する指示を示す操作入力を受け付ける。
【0019】
RF回路602は、アンテナ606を介して電波の送受信を行うことで、変色装置100−1〜100−Nとの間で無線通信を行う。ICタグとの無線通信に用いる電波の帯域としては、125kHz帯、13.56MHz帯、2.45GHz帯、等がある。
通信回路603は、識別装置700との間で有線または無線により通信を行う。
【0020】
制御回路604は、送信装置600の各部を制御する。特に、制御回路604は、入力装置601の受け付ける操作入力に従って、変色装置100−1〜100−Nを発熱させるための電波を送信するように、RF回路602を制御する。
また、制御回路604は、電波を変色装置100−1〜100−Nへ送信し始めた時から予め決められた時間経過した時に、変色装置100−1〜100−Nを撮像するタイミングを示すタイミング信号を、識別装置700に対して送信するように、通信回路603を制御する。
【0021】
タイミング信号を送信する時は、変色装置100−1〜100−Nに電波を送信する前のいずれかの時(本実施形態では、一例として変色装置100−1〜100−Nに電波を送信する直前)と、電波を送信してから予め決められた時間経過した時である。
【0022】
メモリ605は、RF回路602が送信する電波の送信電力の大きさの設定値など、制御回路604が送信装置600の各部を制御するための各種情報を記憶する。
【0023】
図3(A)は、第1の実施形態における変色装置100−iの構成の一例を示す概略平面図である。変色装置100−iは、コイル(発熱手段)101−iと基板104とを備え、コイル101−iは筐体103に包含されている。変色装置100−iの大きさは、例えば、54×85.6mm(カードサイズ)またはさらに小型であって、厚さが3mm以下である。
また、コイル101−iの表面のうち一面において、サーモクロミック塗料(変色手段)102−iが塗布されている。ここで、サーモクロミック塗料102−iは、サーモクロミック材料の一つであり、温度に応じて変色する塗料であり、絶縁性である。
【0024】
図3(B)は、第1の実施形態における変色装置100−iの構成の一例を示す断面図である。同図は、図3(A)に示されたCからC´の断面から観測された変色装置100−iの断面図である。同図において、コイル101−iの上にサーモクロミック塗料102−iが積層されている。コイル101−iは基板104の上に、例えば、印刷により形成される。更に、サーモクロミック塗料102−iは、そのコイル101−iの上から、例えば、印刷により塗布される。
また、変色装置100−iの筐体を構成する面のうち、サーモクロミック塗料102−iが塗布されているコイル101−iの表面の法線と90度を成す面が透明材料で構成される。これにより、サーモクロミック塗料102−iが、外部からの刺激から保護され、サーモクロミック塗料102−iの変色が自装置の外部から識別できるので、識別装置700は、サーモクロミック塗料102−iの変色を検出することができる。
【0025】
なお、本実施形態では、変色装置100−iの筐体を構成する面のうち、サーモクロミック塗料102−iが塗布されているコイル101−iの表面の法線と90度を成す面が透明材料で構成されるとして説明したが、これに限らず、サーモクロミック塗料102−iが塗布されている面が筐体103から露出していてもよい。また、本実施形態では、コイル101−iの表面のうち一面において、サーモクロミック塗料102−iが塗布されているとしたが、コイル101−iの全面において、サーモクロミック塗料102−iが塗布されていてもよい。その場合、変色装置100−iの筐体を構成する全ての面が透明材料で構成されてもよい。
【0026】
コイル101−iは、送信装置600から送信された電波を受け、受けた電波により電流が誘導され、誘導された電流が抵抗値を有するコイル101−iを流れることにより発熱する。図3において、コイル101−iの形状を一例として四角としたが、これに限ったものではない。コイル101−iの形状は、他の変色装置と識別可能なように変色装置100−i毎に決められており、一例としてその形状と温度に応じた色の変化のタイプとの組により、一意に変色装置100−iが特定されるように定められている。
【0027】
サーモクロミック塗料102−iは、コイル101−iの発熱に応じて色が変化する。具体的には、例えば、サーモクロミック塗料102−iは、コイルの発熱によりサーモクロミック塗料102−i自体の温度が上昇し、上昇した温度に応じた色に変化する。
本実施形態では、一例として、コイル101−iに、後述するAタイプ(図6参照)または後述するBタイプ(図7参照)のサーモクロミック塗料102−iが塗布されている。ここで、Aタイプ、Bタイプは、例えば、サーモクロミック材料の配合や組合せにより実現する。このサーモクロミック材料は、例えば、二酸化バナジウム(VO2)あるいは二酸化バナジウムにタングステンやモリブデン等の金属を添加した材料(V1−xMxO2)である。
【0028】
なお、サーモクロミック塗料102−iが形づくる形状またはサーモクロミック塗料102−iの温度に応じた色の変化のタイプのいずれか一方により、一意に変色装置100−iが特定されるように定められていてもよい。
その場合、サーモクロミック塗料102−iは、温度に対する変色の態様が、他の変色装置におけるサーモクロミック塗料102−iの態様と異なる。または、サーモクロミック塗料102−iの空間分布が、他の変色装置におけるサーモクロミック塗料102−iの空間分布と異なる。または、サーモクロミック塗料102−iは、温度に対する変色の態様が、他の変色装置におけるサーモクロミック塗料102−iの態様と異なり、かつサーモクロミック塗料102−iの空間分布が、他の変色装置におけるサーモクロミック塗料102−iの空間分布と異なる。
【0029】
図4は、第1の実施形態における変色装置100−iが備えるコイルの形状と誘導発熱による変色の例を示した図である。ここでは、変色装置100−iの数Nが3で、三つの変色装置100−1〜100−3がある場合を想定し、変色装置100−1、100−2、100−3がそれぞれ変色パターン41、変色パターン42及び変色パターン43を示す場合について説明する。
【0030】
同図の変色パターン41において、サーモクロミック塗料102−1の温度が15度である場合の平面図41Aと、変色装置100−1が電波を受信して、サーモクロミック塗料102−1の温度が47度になった場合の平面図41Bとが示されている。
【0031】
変色装置100−1は、一例としてサーモクロミック塗料102−1がAタイプであり、コイル101−1の形状が四角であることが示されている。また、サーモクロミック塗料102−1で覆われたコイル101−1は、15度で青色を示し、47度でマゼンタを示す。
すなわち、コイル101−1は電波を受けるとコイル101−1に電流が流れることにより発熱し、サーモクロミック塗料102−1の温度が47度に上昇することで、サーモクロミック塗料102−1で覆われたコイル101−1の色がマゼンタへ変化する。
【0032】
同図の変色パターン42において、変色装置100−2のサーモクロミック塗料102−1の温度が15度である場合の平面図42Aと、変色装置100−2が電波を受信して、変色装置100−2のサーモクロミック塗料102−2の温度が47度になった場合の平面図42Bとが示されている。
【0033】
同図の変色パターン42において、サーモクロミック塗料102−2がBタイプであり、コイル101−2の形状が四角であることが示されている。また、サーモクロミック塗料102−2は、15度で黄色を示し、47度で緑色を示す。
すなわち、コイル101−2は電波を受けるとコイル101−2に電流が流れることにより発熱し、サーモクロミック塗料102−2の温度が47度に上昇することで、サーモクロミック塗料102−2の色が緑色へ変化する。
【0034】
同図の変色パターン43において、変色装置100−3のサーモクロミック塗料102−3の温度が15度である場合の平面図43Aと、変色装置100−3が電波を受信して、変色装置100−1のサーモクロミック塗料102−3の温度が47度になった場合の平面図43Bとが示されている。
【0035】
同図の変色パターン43において、サーモクロミック塗料102−3がBタイプであり、コイル101−3の形状が丸であることが示されている。また、サーモクロミック塗料102−3は、15度で黄色を示し、47度で緑色を示す。
すなわち、コイル101−3は電波を受けると、コイル101−3に電流が流れることにより発熱し、サーモクロミック塗料102−3の温度が47度に上昇することで、サーモクロミック塗料102−3の色が緑色へ変化する。
【0036】
変色装置100−1のコイル101−1の形状は四角であり、変色装置100−2のコイル101−2の形状は同じく四角である。一方、変色装置100−1のサーモクロミック塗料102−1が47度においてマゼンタを示し、変色装置100−2のサーモクロミック塗料102−2が47度において緑色を示す。このことから、識別装置700は、変色装置100−1と変色装置100−2とを色で識別することができる。
【0037】
変色装置100−2のコイル101−2の形状は四角であり、変色装置100−3のコイル101−3の形状は丸である。変色装置100−2のサーモクロミック塗料102−1が47度において緑色を示し、変色装置100−3のサーモクロミック塗料102−2が47度において同じく緑色を示す。このことから、識別装置700は、変色装置100−2と変色装置100−3とを形で識別することができる。
【0038】
変色装置100−1のコイル101−1の形状は四角であり、変色装置100−3のコイル101−3の形状は丸である。一方、変色装置100−1のサーモクロミック塗料102−1が47度においてマゼンタを示し、変色装置100−3のサーモクロミック塗料102−3が47度において緑色を示す。このことから、識別装置700は、変色装置100−1と変色装置100−3とを形または色もしくはその双方で識別することができる。
【0039】
図5は、第1の実施形態における識別装置700の構成を示す概略ブロック図である。同図において、識別装置700は、通信部701と、撮像部(撮像手段)702と、記憶部703と、表示部704と、制御部710とを具備する。
通信部701は、送信装置600との間で有線または無線により通信を行う。特に、通信部701は、送信装置600から送信されたタイミング信号を受信する。
【0040】
撮像部702は、タイミング信号を受信した場合に、変色装置100−1〜100−Nを撮像する。これにより、撮像部702は、送信装置600が電波を送信する前の変色装置100−1〜100−Nと、送信装置600が電波を送信した後の変色装置100−1〜100−Nをそれぞれ撮像する。
【0041】
ここで、撮像部702は、一例として、色の変化を捉えるカラーセンサである。なお、撮像部702は、色の変化を輝度の変化として捉えるモノクロセンサーでもよい。
撮像部702は、撮像により得られた画像をデジタルの画像信号(それぞれ電波送信前の画像信号、電波送信後の画像信号)に変換し、変換後の画像信号を制御部710に供給する。
すなわち、撮像部702は、送信装置600が電波を送信する変色装置100−iと、送信装置600が電波を送信した後の変色装置100−iとを撮像する。
【0042】
また、記憶部703には、変色装置100−1〜100−Nの各々の識別情報(以下、タグIDと称す)、変色装置100−iが備えるコイル101−iの形状(例えば、四角)を示す形状情報、温度に応じた色の変化の態様(タイプ)を示すタイプ情報、及び各変色装置100−iが付された物の内容(例えば、食料品)を示す内容物情報が関連づけられて記憶されている。
また、記憶部703には、上記タイプ毎に、色と温度とが関連づけられて記憶されている。また、記憶部703には、予め既知のテンプレート画像とそのテンプレート画像が示す形状を示す形状情報とが関連付けられて記憶されている。
【0043】
制御部710は、識別装置700が備える各部を制御する。制御部710は、通信部701が受信するタイミング信号に基づいて、変色装置100−1〜100−Nを撮像するよう撮像部702を制御する。
制御部710は、撮像部702から供給された電波送信前の画像信号を送信前画像データとして記憶部703に記憶させる。また、制御部710は、撮像部702から供給された電波送信後の画像信号を送信後画像データとして記憶部703に記憶させる。
ここで、制御部710は、識別部(識別手段)711を備える。
【0044】
識別部711は、送信装置600が電波を送信する前に撮像部702が撮像した画像(以下、送信前画像ともいう)と、送信装置600が電波を送信した後に撮像部702が撮像した画像(以下、送信後画像ともいう)とに基づいて、変色装置100−iそれぞれを識別する。また、識別部711は、送信前画像と送信後画像とに基づいて、変色装置100−iそれぞれの位置を特定する。ここで、識別部711は、領域抽出部712と、検出部713と、特定部714とを備える。
【0045】
領域抽出部712は、送信前画像と送信後画像とに基づいて、送信前画像と送信後画像との間で画素の色が変化した画像領域を抽出する。具体的には、例えば、領域抽出部712は、記憶部703に記憶されている送信前画像データと、送信後画像データを読み出す。そして、領域抽出部712は、例えば、各画素において、送信前画像データの画素と、該送信前画像の画素の位置に相当する位置の送信後画像データの画素との間で画素値を比較し、画素値が予め決められた閾値以上異なる画像領域(以下、オブジェクトと称する)を抽出する。
これにより、領域抽出部712は、送信前画像と送信後画像との間で画素の色が変化した画像領域を抽出することができる。
【0046】
領域抽出部712は、抽出したオブジェクト毎に、オブジェクトの画像内における位置を示す位置情報(以下、オブジェクト位置情報と称す)を生成し、生成したオブジェクト位置情報を送信後画像データとともに検出部713に出力する。
検出部713は、領域抽出部712から入力されたオブジェクト位置情報に基づいて、オブジェクトの形状を示す形状情報を生成する。具体的には、検出部713は、オブジェクト位置情報を、記憶部703に記憶されている既知のテンプレート画像と照合することにより、形状(例えば、四角)を判定し、その形状を示す情報をオブジェクト形状情報とする。
また、検出部713は、領域抽出部712から入力されたオブジェクト位置情報と送信後画像データとに基づいて、送信後画像データのオブジェクトの色すなわちオブジェクトの変色後の色を示す変色後色情報を生成する。
そして、検出部713は、生成したオブジェクト形状情報と変色後色情報とを、特定部714に出力する。
【0047】
特定部714は、検出部713から入力された変色後色情報とオブジェクト形状情報とに基づいて、領域抽出部712が抽出したオブジェクトそれぞれを識別する。具体的には例えば、特定部714は、検出部713から入力された変色後色情報とオブジェクト形状情報とに基づいて、領域抽出部712が抽出したオブジェクトそれぞれのタグIDを特定する。換言すれば、特定部714は、それぞれのオブジェクトがどの変色装置100−iに該当するか特定する。
【0048】
具体的には、例えば、特定部714は、以下の処理により、領域抽出部712が抽出したオブジェクトそれぞれのタグIDを特定する。ここで、上述したように、変色装置100−iが備えるサーモクロミック塗料102−iは、予め決められた時間だけ電波を受信した後に、予め決められた温度(例えば、47度)に上昇するものとする。
【0049】
特定部714は、予め決められた時間だけ電波を受信後にその予め決められた温度における色を示す色情報を、温度に対する変色のタイプ毎に記憶部703から読み出す。例えば、予め決められた温度が47度であれば、特定部714は、Aタイプにおいて47度における色であるマゼンタを示す色情報を記憶部703から読み出す。また、特定部714は、Bタイプにおいて47度における色である緑を示す色情報を記憶部703から読み出す。
【0050】
特定部714は、読み出した色情報が示す色と、検出部713から入力された変色後色情報が示す色とを照合し、オブジェクト毎に温度に対する変色の態様(以下、タイプともいう)を判定する。
特定部714は、オブジェクト毎に、検出部713から入力された形状情報が示す形状と特定部714が判定したタイプの組に対応するタグIDを読み出す。これにより、特定部714は、オブジェクト毎に、タグIDを特定することができる。
【0051】
また、特定部714は、オブジェクト位置情報と決定したタグIDとに基づいて、変色装置100−iそれぞれの画像内における位置を特定する。
そして、特定部714は、タグIDと関連付けてオブジェクト位置情報を記憶部703に記憶させる。
【0052】
続いて、特定部714は、タグIDに対応する内容物情報を記憶部703から読み出す。そして、特定部714は、特定部714が特定した変色装置100−i毎の位置を表示部704に表示させる。また、特定部714は、位置とともに、変色装置100−iそれぞれが付された物の内容(例えば、食料品)を表示部704に表示させる。
【0053】
表示部704は、例えば液晶ディスプレイまたは有機EL(Electro−Luminescence)ディスプレイなどの表示画面を有し、各種情報を表示する。特に表示部704は、変色装置100−iの位置情報として、特定部714が検出した変色装置100−i毎の位置と物の内容(例えば、食料品)を二次元画像にて表示する。
これにより、識別装置700のユーザは、変色装置100−iそれぞれの位置を確認することができる。また、識別装置700のユーザは、変色装置100−iが付された物の内容を把握することができる。
【0054】
図6は、Aタイプのサーモクロミック塗料について、記憶部703に記憶されている色と温度とが関連づけられたテーブルT1の一例である。同図のテーブルT1において、色と温度の組が示されている。具体的には、Aタイプのサーモクロミック塗料が、温度が15度のとき青色を示し、温度が31度のときに黒色を示し、温度が47度のときにマゼンタを示す。
【0055】
図7は、Bタイプのサーモクロミック塗料について、記憶部703に記憶されている色と温度とが関連づけられたテーブルT2の一例である。同図のテーブルT2において、色と温度の組が示されている。具体的には、Bタイプのサーモクロミック塗料が、温度が8度のときにオレンジ色で、温度が15度のときに黄色で、温度が29度のときに茶色で、温度が31度のときに赤色で、温度が37度のときに紫色で、温度が47度のときに緑色であることが示されている。
【0056】
図8は、記憶部703に記憶されているタグID、コイルの形状、温度に応じた色の変化のタイプ、及び内容物が関連づけられたテーブルT3の一例である。同図のテーブルT3において、タグID、コイルの形状、タイプ、及び内容物の組が示されている。具体的には、例えば、タグIDが1の場合、コイルの形状が四角で、タイプがAタイプで、内容物が食料品であることが示されている。ここで、タグID毎に、形状とタイプの組み合わせが固有のものとなっていることが示されている。ゆえに、識別装置700は、変色装置100−iの形状とタイプを特定することにより、変色装置100−iのタグIDを特定することができる。
【0057】
なお、テーブルT3では、一例としてコイルの形状を四角または丸としたが、これに限らず、コイルの形状を、座標の集合で定義してもよい。これにより、識別装置700は、例えば、長方形の中でも長辺と短辺の比率が異なるものを区別できるようになるなど、より細かな形状の違いを識別することができる。
【0058】
以上、第1の実施形態の変色装置100−iのそれぞれは、コイルの形状と温度に応じた色の変化のタイプとの組が重複なく定められている。これにより、識別装置700は、サーモクロミック塗料102−iが塗布されたコイルの形状と、変色後のサーモクロミック塗料102−iの色とに基づいて、撮像前後で色が変化したオブジェクトのタグIDを求めることができる。すなわち、識別装置700は、変色装置100−iのそれぞれを識別することができる。これにより、識別装置700は、可視光の撮像画像における変色装置100−iのそれぞれの位置を特定することができる。
【0059】
その結果、識別装置700は、赤外線センサを用いずに、一般的な可視光の撮像装置で使用されるイメージセンサ(例えば、CCDセンサまたはCMOSセンサ)を用いて、可視光により変色装置100−iの位置を検出することができる。また、識別装置700のユーザが、目視により変色装置100−iの位置を確認することができる。
【0060】
なお、サーモクロミック塗料102−iの温度に応じた色の変化のタイプを、変色装置100−i毎に異なるようにしてもよい。これにより、電波を受信した各サーモクロミック塗料102−iがお互いに異なる色に変化する。その結果、識別装置700は、変色後のサーモクロミック塗料102−iの色だけに基づいて、撮像前後で色が変化したオブジェクトのタグIDを求めることができる。
【0061】
<第2の実施形態>
続いて、第2の実施形態について説明する。図9は、第2の実施形態における識別システム1bの概略ブロック図である。なお、図1と共通する要素には同一の符号を付し、その具体的な説明を省略する。
図9の第2の実施形態の識別システム1bの構成は、図1の第1の実施形態の識別システム1の構成に対して、変色装置100−iのそれぞれが変色装置100b−iのそれぞれに、送信装置600が送信装置600bに、識別装置700が識別装置700bに変更されたものとなっている。ここで、変色装置100b−iは、一つ以上あればよい。
【0062】
図10は、第2の実施形態における送信装置600bの構成を示す概略ブロック図である。なお、図2と共通する要素には同一の符号を付し、その具体的な説明を省略する。
図10の第2の実施形態の送信装置600bの構成は、図2の第1の実施形態の送信装置600の構成に比べて、制御回路604が制御回路604bに、メモリ605がメモリ605bに変更されたものになっている。送信装置600bは、ICタグリーダとして動作する。
【0063】
メモリ605bは、RF回路602が送信する電波の送信電力の大きさの設定値や、変色装置100b−1〜100b−Nの各々の識別情報(タグID)など、制御回路604bが送信装置600の各部を制御するための各種情報を記憶する。
【0064】
制御回路604bは、送信装置600の各部を制御する。特に、制御回路604bは、入力装置601の受け付ける操作入力に従って、操作入力によって指定された通信対象である特定の変色装置100b−iのタグIDをメモリ605bから読み出す。
制御回路604bは、その特定の変色装置100b−iのタグIDをRF回路602から送信させ、その特定の変色装置100b−iと通信を行うようRF回路602を制御する。
また、制御回路604bは、入力装置601の受け付ける操作入力に従って、変色装置100b−1〜100b−Nを発熱させるための電波を送信するように、RF回路602を制御する。
【0065】
図11(A)は、第2の実施形態における変色装置100b−iの構成の一例を示す概略平面図である。なお、図3と共通する要素には同一の符号を付し、その具体的な説明を省略する。
第2の実施形態の変色装置100b−iは、サーモクロミック塗料102−iが塗布されたコイル101b−iと、基板104と、RF制御部(通信手段)113と、タグID記憶部114と、制御部115とを備え、各部材は筐体103に包含されている。変色装置100b−iは、RFID(Radio Frequency Identification)タグとして動作する。
【0066】
図11(B)は、第2の実施形態における変色装置100b−iの構成の一例を示す断面図である。同図は、図11(A)に示されたDからD´の断面から観測された変色装置100b−iの断面図である。同図において、コイル101b−iの上にサーモクロミック塗料102−iが積層されている。コイル101b−iは基板104の上に、例えば、印刷により形成されている。更に、サーモクロミック塗料102−iは、そのコイル101−iの上から、例えば、印刷により塗布される。
サーモクロミック塗料102−iの上層は、透明材料によって外部刺激から保護される。サーモクロミック塗料102−iが、透明な筐体103で覆われていても、サーモクロミック塗料102−iが露出している場合は、図示しない透明な被膜を施しても良い。
【0067】
コイル101b−iは、RF制御部113と接続されている。コイル101b−iは、送信装置600bから送信された電波を受信し、受信により得られた受信信号をRF制御部113へ供給する。
RF制御部113は、受信信号を復調及び復号することにより、送信装置600bから送信されたタグIDを生成し、生成したタグIDを制御部115へ出力する。
【0068】
また、RF制御部113は、制御部115から供給された返答信号を変調し、変調後の信号をコイル101b−iに出力することにより、変調後の信号を送信装置600bへ無線送信する。すなわち、RF制御部113は、コイル101b−iに電流を流して送信装置600bと通信する。これにより、コイル101b−iにおける発熱量は、コイル101b−iに電流を流した発熱量だけ、第1の実施形態におけるコイル101−iにおける発熱量よりも大きくなる。
タグID記憶部114には、変色装置100b−i固有の識別情報であるタグIDが記憶されている。
【0069】
制御部115は、RF制御部113から入力されたタグIDと、タグID記憶部114に記憶されているタグIDとを比較し、同一であるか否か判定する。タグIDが同一である場合、自装置が通信対象とされていることから、制御部115は、RF制御部113を制御して、送信装置600bに返答信号を無線送信する。これにより、送信装置600bは、返答信号を受信することにより、通信対象である変色装置100b−iが通信範囲に存在することを認識することができる。
一方、タグIDが同一でない場合、制御部115は、自装置が通信対象とされていないことから、制御部115は、送信装置600bに返答信号を無線送信しない。
これにより、タグIDが同一の変色装置100b−iのみが送信装置600bへ返答信号を無線送信するので、タグIDが同一の変色装置100b−iのみが返答信号の送信時に、コイル101b−iに電流を流す。これにより、当該コイル101b−iが、他のコイルよりも発熱するので、当該コイル101b−iに塗られたサーモクロミック塗料102−iの温度が他のサーモクロミック塗料より上昇し、他のサーモクロミック塗料とは異なる色に変化する。
【0070】
図12は、第2の実施形態における変色装置が備えるコイルの形状と誘導発熱による変色の例を示した図である。ここでは、変色装置100−1〜100−3の三つの場合に、送信装置600が変色装置100−1のタグIDを無線送信し、変色装置100−1のみがそれに応じて返信信号を送信装置600へ無線送信する場合を想定する。そして、それぞれの変色装置100b−1〜100b−3が同図に示された変色パターン61、変色パターン62及び変色パターン63を示す場合について説明する。
【0071】
同図の変色パターン61において、変色装置100b−1のサーモクロミック塗料102−1の温度が15度である場合の平面図61Aと、変色装置100−1が電波を受信して、変色装置100b−1のサーモクロミック塗料102−1の温度が47度になった場合の平面図61Bとが示されている。
【0072】
同図において、変色装置100b−1は、一例としてサーモクロミック塗料102−1がAタイプであり、コイル101b−1の形状が四角であることが示されている。また、同図において、サーモクロミック塗料102−1は、15度で青色であり、47度でマゼンタであることが示されている。
【0073】
同図の例において、変色装置100b−1の処理を説明する。変色装置100b−1のコイル101b−1は送信装置600から送信された電波を受けて電流が流れることによりコイル101b−1が発熱する。そして、変色装置100b−1は、それに応じて返信信号を無線送信する際に、コイル101b−1に電流を流すので、更にコイル101b−1が発熱する。
【0074】
それにより、サーモクロミック塗料102−1の温度は、送信装置600から送信された電波の受信によりコイル101b−1が発熱し、更に返信信号の送信によりコイル101b−1が発熱するので、コイル101b−1の発熱量が電波を受信するだけの場合よりも大きい。これにより、サーモクロミック塗料102−1が47度に上昇し、サーモクロミック塗料102−1の色がマゼンタへ変化する。
【0075】
同図の変色パターン62において、変色装置100b−2のサーモクロミック塗料102−2の温度が15度である場合の平面図62Aと、変色装置100b−2が電波を受信して、変色装置100b−2のサーモクロミック塗料102−2の温度が29度になった場合の平面図62Bとが示されている。
【0076】
同図の変色パターン62において、サーモクロミック塗料102−2がBタイプであり、コイル101b−2の形状が四角であることが示されている。また、サーモクロミック塗料102−2は、15度で黄色を示し、29度で茶色を示す。
すなわち、コイル101b−2は電波を受信するのみであるので、コイル101b−2における発熱量が小さく、サーモクロミック塗料102−2の温度が29度までしか上昇しないので、サーモクロミック塗料102−2の色が茶色へ変化する。
【0077】
同図の変色パターン63において、変色装置100b−3のサーモクロミック塗料102−3の温度が15度である場合の平面図63Aと、変色装置100b−3が電波を受信して、変色装置100b−3のサーモクロミック塗料102−3の温度が29度になった場合の平面図63Bとが示されている。
【0078】
同図の変色パターン63において、サーモクロミック塗料102−3がBタイプであり、コイル101b−3の形状が四角であることが示されている。また、サーモクロミック塗料102−3は、15度で黄色を示し、29度で茶色を示す。
すなわち、コイル101b−3は電波を受信するのみであるので、コイル101b−3における発熱量が小さく、サーモクロミック塗料102−3の温度が29度までしか上昇しないので、サーモクロミック塗料102−2の色が茶色へ変化する。
以上、変色装置100b−1のみが47度まで上昇し、サーモクロミック塗料102−1の色がマゼンタに変化する。
なお、図12に示したコイルの形状と誘導発熱による変色の例は、第1の実施形態でも用いてもよい。
【0079】
図13は、第2の実施形態における識別装置700bの構成を示す概略ブロック図である。なお、図7と共通する要素には同一の符号を付し、その具体的な説明を省略する。図13の第2の実施形態の識別装置700bの構成は、図7の第1の実施形態の識別装置700の構成に比べて、制御部710が制御部710bに変更されたものになっている。そして、制御部710bにおいて、識別部711が識別部(識別手段)711bに変更され、識別部711bのうち、領域抽出部712が領域抽出部712bに、特定部714が特定部714bに変更されたものになっている。
【0080】
領域抽出部712bは、第1の実施形態の領域抽出部712と同様の機能を有するが、以下の点で異なる。領域抽出部712bは、生成したオブジェクト位置情報を検出部713だけでなく、特定部714bにも出力する。
【0081】
特定部714bは、検出部713が生成した変色後色情報が示す変色後の色に基づいて、送信装置600bの通信対象となる変色装置100b−iを特定する。
具体的には、例えば、特定部714bは、変色後の色が予め決められた色であるサーモクロミック塗料102−iを備える変色装置100b−iを送信装置600bの通信対象として特定する。
例えば、図12の例で47度のサーモクロミック塗料102−1を検出する場合、特定部714bは、変色後の色がマゼンタまたは緑色である変色装置100b−iを送信装置600bの通信対象として特定する。図12の場合、変色装置100b−1の変色後の色がマゼンタであるので、特定部714bは、変色装置100b−1を送信装置600bの通信対象として特定する。
すなわち、特定部714bは、変色後の色に基づいて、送信装置600bの通信対象となる変色装置100b−iを特定する。
【0082】
そして、特定部714bは、変色したオブジェクト毎の位置を示す位置情報と、特定した通信対象とから、撮影した画像内において、通信対象である変色装置100b−iの位置を特定する。
特定部714bは、領域抽出部712bが生成したオブジェクト位置情報のうちから、抽出した通信対象となる変色装置100b−iのオブジェクトの位置情報を抽出することにより、撮影した画像内において、通信対象である変色装置100b−iの位置を特定する。ここで、上述したように、オブジェクト位置情報は、色が変化したオブジェクト毎の位置を示す情報である。
すなわち、特定部714bは、変色後の色と、変色したオブジェクト毎の位置を示す位置情報とに基づいて、撮像した画像内において、通信対象である変色装置100b−iの位置を特定する。
【0083】
以上により、特定部714bは、色変化検出部711が検出した変色後の色とオブジェクト毎の撮像画像内での位置とに基づいて、通信対象である変色装置100b−iの撮像画像内での位置を特定する。
なお、識別装置700bは、先に通信を行い、その後、変色検出を行ってもよい。
【0084】
以上、第2の実施形態における変色装置100b−iは、送信装置600bからタグIDを受信し、受信したタグIDが自装置のタグIDと同一である場合、すなわち送信装置600bの通信対象である場合、返答信号を送信装置600bに無線送信する。その際、変色装置100b−iは、コイル101b−iに返答信号の電流を流すことにより、コイル101b−iを発熱させる。
【0085】
これにより、変色装置100b−iが送信装置600bの通信対象である場合、他の変色装置よりもサーモクロミック塗料102−iの温度が高くなり、サーモクロミック塗料102−iの色が他の変色装置のサーモクロミック塗料とは異なる色に変化する。
その結果、第1の実施形態の効果に加えて、識別装置700bは、サーモクロミック塗料102−iの変色後の色と、変色したオブジェクト毎の撮像画像内での位置に基づいて、通信対象である変色装置100b−iの撮像画像内での位置を特定することができる。
【0086】
識別装置700bは、赤外線センサを用いずに、一般的な可視光の撮像装置で使用されるイメージセンサ(例えば、CCDセンサまたはCMOSセンサ)を用いて、可視光により変色装置100b−iの位置を検出することができる。また、識別装置700bのユーザが、目視により変色装置100b−iの位置を確認することができる。
【0087】
なお、特定部714bは、変色後の色から直接、送信装置600bの通信対象となる変色装置100b−iを特定したが、これに限ったものではない、特定部714bは、サーモクロミック塗料102−iの変色後の色からサーモクロミック塗料102−iの温度を判定し、判定した温度に基づいて、送信装置600bの通信対象として特定してもよい。
【0088】
具体的には、例えば、特定部714bは、オブジェクト毎に、色変化検出部711から供給された変色後色情報が示す色に対応する温度を示す温度情報を記憶部703から読み出す。そして、特定部714bは、サーモクロミック塗料102−iの温度に基づいて、サーモクロミック塗料102−iを備える変色装置100b−iを通信対象として特定してもよい。
【0089】
その一例として、特定部714bは、オブジェクト毎に読み出した温度情報が示す温度のうち最も温度が高いオブジェクトを通信対象となる変色装置100b−iのオブジェクトとして抽出してもよい。
また、特定部714bは、温度が予め決められた閾値(例えば、図12の例では40度)以上のオブジェクトを通信対象となる変色装置100b−iのオブジェクトとして抽出してもよい。
また、特定部714bは、温度が予め決められた温度(例えば、図12の例では47度)であるオブジェクトを通信対象となる変色装置100b−iのオブジェクトとして抽出してもよい。
【0090】
<第1の変形例>
第1または第2の実施形態における変色装置(100−i又は100b−i)の第1の変形例について説明する。図14は、第1の変形例における変色装置100c−iの構成の一例を示す概略斜視図である。
変色装置100c−iは、コイル(発熱手段)101c−iと基板104とを備える。
コイル101c−iは、一例として印刷により、基板104の上に形成されている。変色装置100c−iの表面のうち予め決められた一面には、一例として“RFID”という文字が視認できるように、サーモクロミック塗料(変色手段)121−iが塗布されている。ここで、サーモクロミック塗料121−iが塗布されて形づくる形状は、変色装置100c−i毎に異なる。
【0091】
なお、変色装置100c−iが第2の実施形態における変色装置100b−iの変形例の場合、RF制御部113と、タグID記憶部114と、制御部115とを更に備える。RF制御部113と、タグID記憶部114と、制御部115は、第2の実施形態の変色装置100b−iと同一であるので、その説明を省略する。
【0092】
コイル101c−iは、送信装置(600又は600b)から送信された電波を受信し、受信することにより流れる電流により発熱する。
サーモクロミック塗料121−iは、コイル101c−iの発熱に応じて温度が上昇し、上昇した温度に応じた色に変化する。
【0093】
図15は、第1の変形例におけるサーモクロミック塗料121−iの色の変化の一例を示した図である。送信装置(600又は600b)から電波を受信する前の変色装置100c−iの斜視図81Aと、送信装置(600又は600b)から電波を受信した後の変色装置100c−iの斜視図82Aとが示されている。
【0094】
電波を受信する前の変色装置100c−iの斜視図81Aでは、サーモクロミック塗料121−iの温度が15度で青色なのに対し、電波を受信した後の変色装置100c−iの斜視図82Aでは、サーモクロミック塗料121−iの温度が47度に上昇し、マゼンタに変化していることが示されている。
【0095】
これにより、コイル101c−iが電波を受信して発熱することで、変色装置100c−iの筐体の一面に塗布されたサーモクロミック塗料121−iの色が変化する。
そして、識別装置(700又は700b)は、色が変化したサーモクロミック塗料121−iが配置された形状に基づいて、変色装置100c−iの位置を特定する。
【0096】
以下、識別装置(700又は700b)が変色装置100c−iの位置を特定する処理の具体例を説明する。識別装置(700又は700b)は、予めサーモクロミック塗料121−iが形づくる形状を示す形状情報と、変色装置100c−iを識別するタグIDとを関連づけて記憶している。
【0097】
識別装置(700又は700b)は、色が変化したサーモクロミック塗料121−iが配置された形状に対応するタグIDを読み出すことにより、撮像画像内のオブジェクトのタグIDを特定する。これにより、識別装置(700又は700b)は、撮像画像内において変色装置100c−iの位置を特定することができる。その結果、識別装置(700又は700b)は、赤外線センサを用いずに、一般的な可視光の撮像装置で使用されるイメージセンサ(例えば、CCDセンサまたはCMOSセンサ)を用いることができるので、可視光により変色装置100c−iの位置を検出することができる。
【0098】
なお、識別装置700は、サーモクロミック塗料121−iの変色後の色と、変色したサーモクロミック塗料121−iが配置された形状の組み合わせに基づいて、変色装置100c−iの位置を特定してもよい。
【0099】
また、本変形例では、サーモクロミック塗料121−iを、一例として“RFID”という文字の形に塗布したが、これに限ったものでなく、サーモクロミック塗料121を任意の形状に塗布してもよい。また、変色装置100c−iの筐体において、サーモクロミック塗料121−iを任意の形状に配置してもよい。これらにより、識別装置(700又は700b)は、サーモクロミック塗料121−iの形状に基づいて、変色装置100c−iそれぞれを識別し、位置を特定することができる。
【0100】
また、本変形例では、サーモクロミック塗料121−iが自装置の筐体に塗られていることにより、自装置の筐体にサーモクロミック材料が含まれているが、これに限ったものではない。自装置の筐体に、発熱に応じて変色する可視光領域で変色手段が含まれていればよく、変色装置100c−iの筐体に、サーモクロミック材料が含まれていてもよい。ここで、変色手段が自装置の筐体に塗られていることは、自装置の筐体に変色手段が含まれていることの一例である。また、この変色手段は、サーモクロミック材料を含むものである。
【0101】
<第2の変形例>
第1または第2の実施形態における変色装置(100−i又は100b−i)の第2の変形例について説明する。図16は、第2の変形例における変色装置100d−iの構成の一例を示す概略平面図である。
変色装置100d−iは、コイル101dと、基板104と、第1〜第4のサーモクロミック塗料(変色手段)132a〜132dのそれぞれが塗布された第1〜第4の電波吸収体(発熱手段)131a−i〜131d−iとを備える。第1〜第4の電波吸収体(131a−i〜131d−i)の配置は、変色装置100d−i毎に異なる。
【0102】
図17(A)は、第2の変形例における変色装置100d−iの構成の一例を示す断面図である。同図は、図16に示されたEからE´の断面から観測された変色装置100d−iの断面図である。同図において、基板104の上に、第2の電波吸収体131b−iと第3の電波吸収体131c−iとが積層されている。また、第2の電波吸収体131b−iの上に第2のサーモクロミック塗料132bが積層されている。また、第3の電波吸収体131c−iの上に第3のサーモクロミック塗料132cが積層されている。
【0103】
コイル101dは、基板104の上に、例えば、印刷により形成される。第2の電波吸収体131b−iは、基板104の上に設置されている。更に、第2のサーモクロミック塗料132bは、その第2の電波吸収体131b−iの上から、例えば、印刷により塗布されることにより、第2のサーモクロミック塗料132bが第2の電波吸収体131b−iの上に積層されている。
【0104】
同様に、第3の電波吸収体131c−iは、基板104の上に設置されている。更に、第3のサーモクロミック塗料132cは、その第3の電波吸収体131c−iの上から、例えば、印刷により塗布されることにより、第3のサーモクロミック塗料132cが第3の電波吸収体131c−iの上に積層されている。
【0105】
図17(B)は、第2の変形例における変色装置100d−iの構成の一例を示す断面図である。同図は、図16に示されたFからF´の断面から観測された変色装置100d−iの断面図である。同図において、基板104の上に、第1の電波吸収体131a−iと第4の電波吸収体131d−iとが積層されている。また、第1の電波吸収体131a−iの上に第1のサーモクロミック塗料132aが積層されている。また、第4の電波吸収体131d−iの上に第4のサーモクロミック塗料132dが積層されている。
【0106】
第1の電波吸収体131a−iは、基板104の上に設置されている。更に、第1のサーモクロミック塗料132aは、その第1の電波吸収体131a−iの上から、例えば、印刷により塗布されることにより、第1のサーモクロミック塗料132aが第1の電波吸収体131a−iの上に積層されている。
同様に、第4の電波吸収体131d−iは、基板104の上に設置されている。更に、第4のサーモクロミック塗料132dは、その第4の電波吸収体131d−iの上から、例えば、印刷により塗布されることにより、第4のサーモクロミック塗料132dが第4の電波吸収体131d−iの上に積層されている。
【0107】
なお、変色装置100d−iが第2の実施形態における変色装置100b−iの変形例の場合、RF制御部113と、タグID記憶部114と、制御部115とを更に備える。RF制御部113と、タグID記憶部114と、制御部115は、第2の実施形態の変色装置100b−iと同一であるので、その説明を省略する。
【0108】
第1〜第4の電波吸収体(131a−i〜131d−i)の外面のうち予め決められた一面において、それぞれ第1〜第4のサーモクロミック塗料(132a〜132d)が塗布されている。また、変色装置100−iの筐体を構成する面のうち、第1〜第4のサーモクロミック塗料(132a〜132d)が塗布されている第1〜第4の電波吸収体(131a−i〜131d−i)の外面の法線と90度を成す面が透明である。これにより、第1〜第4のサーモクロミック塗料(132a〜132d)の変色が変色装置100d−iの外部から識別できるので、識別装置700は、第1〜第4のサーモクロミック塗料(132a〜132d)の変色を検出することができる。
【0109】
なお、本変形例では、変色装置100d−iの筐体の表面のうち、第1〜第4のサーモクロミック塗料(132a〜132d)が塗布されている第1〜第4の電波吸収体(131a−i〜131d−i)の外面の法線と90度を成す面が透明であるとして説明したが、これに限らず、第1〜第4のサーモクロミック塗料(132a〜132d)が塗布されている面が露出していてもよい。
また、本実施形態では、第1〜第4の電波吸収体(131a−i〜131d−i)の外面のうち予め決められた一面において、第1〜第4のサーモクロミック塗料(132a〜132d)が塗布されているとしたが、第1〜第4の電波吸収体(131a−i〜131d−i)の全ての面において、第1〜第4のサーモクロミック塗料(132a〜132d)が塗布されていてもよい。その場合、変色装置100d−iの筐体の全ての面が透明であってもよい。これにより、識別装置700は、変色装置100d−iがどの向きであっても、第1〜第4のサーモクロミック塗料(132a〜132d)の変色を検出することができる。
【0110】
コイル101dは、送信装置(600又は600b)から送信された電波を受信し、受信により生じる電流により発熱する。
第1〜第4の電波吸収体(131a−i〜131d−i)は、送信装置(600又は600b)から送信された電波のエネルギーを電波吸収体内部で熱エネルギーに変換することにより発熱する。すなわち、第1〜第4の電波吸収体(131a−i〜131d−i)は、電波を吸収して発熱する。第1〜第4のサーモクロミック塗料(132a〜132d)は、それぞれ第1〜第4の電波吸収体(131a−i〜131d−i)の発熱に応じて温度が上昇し、上昇後の温度に応じてその色を変化させる。
【0111】
これにより、識別装置(700又は700b)は、色変化後の第1〜第4のサーモクロミック塗料(132a〜132d)が形づくる形状に基づいて、変色装置100d−iの位置を特定することができる。その結果、識別装置(700又は700b)は、赤外線センサを用いずに、一般的な可視光の撮像装置で使用されるイメージセンサ(例えば、CCDセンサまたはCMOSセンサ)を用いることができるので、可視光により変色装置100d−iの位置を検出することができる。
【0112】
なお、本変形例における変色装置100d−iは、コイル101dを備えたが、これに限らず、コイル101dを備えていなくてもよい。
また、第1〜第4の電波吸収体(131a−i〜131d−i)を任意の形状に配置してもよい。これにより、識別装置(700又は700b)は、第1〜第4の電波吸収体(131a−i〜131d−i)が形づくる形状に基づいて、変色装置100d−iの位置を特定することができる。
【0113】
また、第1〜第4のサーモクロミック塗料(132a〜132d)を、第1〜第4の電波吸収体(131a−i〜131d−i)の任意の位置に塗布してもよい。これにより、識別装置(700又は700b)は、第1〜第4のサーモクロミック塗料(132a〜132d)が形づくる形状に基づいて、変色装置100d−iの位置を特定することができる。
【0114】
<第3の変形例>
第1または第2の実施形態における変色装置(100−i又は100b−i)の第3の変形例について説明する。図18(A)は、第3の変形例における変色装置100e−iの構成の一例を示す概略平面図である。
変色装置100e−iは、コイル(発熱手段)101e−iと、基板104と、サーモクロミック液晶(変色手段)141−iとを備える。
ここで、サーモクロミック液晶141−iは、サーモクロミック材料の一つであり、温度に応じて変色する液晶である。ここで、サーモクロミック液晶の例として、コレステリック液晶がある。この液晶は熱を加えると、分子構造が変化して変色する。また、別途、化合物(例えば、コレステリルオレイルカーボネイト、コレステリルノナノエート、コレステリルベンゾエート)を添加する割合を変えると変色温度も変化する。
なお、コイル101e−iの起電力を、サーモクロミック液晶に印加して、その印加電圧変化でサーモクロミック液晶141−iを変色させてもよい。
サーモクロミック液晶141−iの温度に対する変色の態様は、サーモクロミック液晶141−i毎に異なる。すなわちサーモクロミック液晶141−iの温度に対する変色の態様は、変色装置100e−i毎に異なる。
【0115】
図18(B)は、第3の変形例における変色装置100e−iの構成の一例を示す断面図である。同図は、図18(B)に示されたGからG´の断面から観測された変色装置100e−iの断面図である。同図において、基板104の上にコイル101e−iとサーモクロミック液晶141−iとが積層されている。
【0116】
なお、変色装置100e−iが第2の実施形態における変色装置100b−iの変形例の場合、RF制御部113と、タグID記憶部114と、制御部115とを更に備える。RF制御部113と、タグID記憶部114と、制御部115は、第2の実施形態の変色装置100b−iと同一であるので、その説明を省略する。
コイル101e−iは、送信装置(600又は600b)から送信された電波を受信し、受信により生じる電流により発熱する。
【0117】
サーモクロミック液晶141−iは、コイル101e−iの発熱に応じて温度が上昇し、上昇した温度に応じて色が変化する。ここで、変色装置100e−iの筐体の外面のうち、サーモクロミック液晶141−iの発色面の法線と90度を成す面が透明である。
これにより、サーモクロミック液晶141−iの変色が変色装置100e−iの外部から識別できるので、識別装置(700又は700b)はサーモクロミック液晶141−iの変色を検出することができる。
【0118】
また、変色装置100e−i毎に、温度に対する変色のタイプを異なるものにすることにより、変色装置100e−i毎に変色後の色を変えることができる。
これにより、識別装置(700又は700b)は、変色後の色に基づいて、撮像画像内における変色装置100e−iの位置を特定することができる。その結果、識別装置(700又は700b)は、赤外線センサを用いずに、一般的な可視光の撮像装置で使用されるイメージセンサ(例えば、CCDセンサまたはCMOSセンサ)を用いることができるので、可視光により変色装置100e−iの位置を検出することができる。
【0119】
なお、各実施形態における変色装置(100−i又は100b−i)は、サーモクロミック塗料が発熱手段(コイル又は電波吸収体)に塗られ、かつサーモクロミック塗料が自装置の筐体に塗られていてもよい。
また、各実施形態において、送信装置(600又は600b)と識別装置(700又は700b)とが一体となった装置であってもよい。
【0120】
また、本実施形態の識別装置(700又は700b)の各処理を実行するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、当該記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、識別装置(700又は700b)に係る上述した種々の処理を行ってもよい。
【0121】
なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0122】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0123】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0124】
1、1b 識別システム
100−1、100−i、100−N、100b−1、100b−i、100b−N、100c、100d、100e 変色装置
101−i、101b−i、101c−i、101d−i、101e−i コイル(発熱手段)
102−1、102−2、102−3、102−i、121−i サーモクロミック塗料(変色手段)
113 RF制御部(通信手段)
114 タグID記憶部
115 制御部
131a−i 第1の電波吸収体(発熱手段)
131b−i 第2の電波吸収体(発熱手段)
131c−i 第3の電波吸収体(発熱手段)
131d−i 第4の電波吸収体(発熱手段)
132a 第1のサーモクロミック塗料(変色手段)
132b 第2のサーモクロミック塗料(変色手段)
132c 第3のサーモクロミック塗料(変色手段)
132d 第4のサーモクロミック塗料(変色手段)
141−i サーモクロミック液晶(変色手段)
600、600b 送信装置
601 入力装置
602 RF回路
603 通信回路
604、604b 制御回路
605、605b メモリ
700、700b 識別装置
701 通信部
702 撮像部(撮像手段)
703 記憶部
704 表示部
710 制御部
711、711b 識別部(識別手段)
712、712b 領域検出部
713 検出部
714 特定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波を受けると発熱する発熱手段と、
前記発熱手段の発熱に応じて可視光領域で変色する変色手段と、
を備えることを特徴とする変色装置。
【請求項2】
前記変色手段は、温度に対する変色の態様が、他の変色装置における変色の態様と異なることを特徴とする請求項1に記載の変色装置。
【請求項3】
前記変色手段の空間分布が、他の変色装置における変色手段の空間分布と異なることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の変色装置。
【請求項4】
前記変色装置が備える前記発熱手段はコイルであり、
前記変色装置は、前記コイルが送信装置により送信された電波を受信した場合、前記コイルに電流を流して前記送信装置と通信する通信手段を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の変色装置。
【請求項5】
一つ以上の変色装置と、
前記変色装置へ電波を送信する送信装置と、
前記変色装置を識別する識別装置と、
を具備する識別システムであって、
前記変色装置は、
前記送信装置から送信された電波を受けると熱を発する発熱手段と、
前記発熱手段の発熱に応じて可視光領域で変色する変色手段と、
を備え、
前記識別装置は、
前記送信装置が電波を送信する前の前記変色装置と、前記送信装置が電波を送信した後の前記変色装置とを撮像する撮像手段と、
前記送信装置が電波を送信する前に前記撮像手段が撮像した画像と、前記送信装置が電波を送信した後に前記撮像手段が撮像した画像とに基づいて、前記変色装置を識別する識別手段と、
を備えることを特徴とする識別システム。
【請求項6】
発熱手段と変色手段とを備える一つ以上の変色装置と、前記変色装置へ電波を送信する送信装置と、前記変色装置を識別する識別装置と、を具備する識別システムが実行する識別方法であって、
前記発熱手段が、前記送信装置から送信された電波を受けると熱を発する発熱手順と、
前記変色手段が、前記発熱手順の発熱に応じて可視光領域で変色する変色手順と、
を有し、
前記識別装置が、前記送信装置が電波を送信する前の前記変色装置と、前記送信装置が電波を送信した後の前記変色装置とを撮像する撮像手順と、
前記識別装置が、前記送信装置が電波を送信する前に前記撮像手順により撮像された画像と、前記送信装置が電波を送信した後に前記撮像手順により撮像された画像とに基づいて、前記変色装置を識別する識別手順と、
を有することを特徴とする識別方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−102326(P2013−102326A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244370(P2011−244370)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】