説明

多孔性構造体の製造方法

【課題】多数の微細孔が潰れずに均一に混在しており、柔軟な風合いと充実感を併せ持つ
多孔性構造体の製造方法を提供する。
【解決手段】下記の工程を含む多孔性構造体の製造方法。
工程(1):(A)親水性官能基含有樹脂と、(B)アンモニウム塩と、(C)ノニオ
ン性増粘剤とを含み、(B)成分の配合量が(A)成分の固形分100質量部に対して0
.25〜10質量部であり、10〜100Pa・sの粘度を有する水系分散液を調製する
工程。
工程(2):当該水系分散液を繊維質基材に塗布または含浸する工程。
工程(3):当該水系分散液を感熱ゲル化処理して多孔体を形成する工程。
工程(4):多孔体を乾燥固化させる工程。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は多孔性構造体の製造方法に関する。すなわち、人工皮革、合成皮革などの皮革
様シート構造体、又は多孔性の樹脂コーティングまたは含浸した繊維製品などの多孔性構
造体、さらに詳しくは、連続多孔を有する多孔質層を基材内部又は上部に形成することに
より、より天然皮革に近い構造体を有する多孔性構造体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から天然皮革は丈夫で通気性に優れているため、この特性を生かして衣料や靴など
種々のものに使用されている。しかし、天然皮革は高価であり、動物愛護など種々の事情
から天然皮革の代替品として、天然皮革により近い擬革様物が求められ、種々の製造方法
が提案されている。それらの殆どが天然皮革と類似した構造、すなわち多孔性構造を得る
ための方法であり、得られる多孔性シートや多孔性布帛等の多孔性構造体は、人工皮革、
合成皮革などの擬革様物として衣料や靴に多用されている。
【0003】
従来、かかる多孔性構造体の製造方法としては、ポリウレタン等の重合体を有機溶剤の
溶液として基材に含浸又はコーティングし、その重合体を溶解せず、かつその溶剤と混和
性を有する溶剤にて処理することによって重合体を凝固せしめ、脱溶剤後に乾燥する湿式
凝固法又は乾式凝固法、基材上に形成した合成樹脂層の上に押出機を用いて合成樹脂溶融
物を膜状に押し出し一体化する溶融製膜方法、W/O型エマルジョンから多孔質被膜を形
成する方法などが提案されている。
【0004】
しかしながら、前記湿式凝固方法では、使用される水溶性有機溶剤の引火性が強く毒性
も強いものが多いことから、火災の危険性や作業環境の悪化、排水による自然環境悪化等
を防止するため、設備、回収などのコストが高くなるという問題がある。また、前記溶融
製膜方法では、合成樹脂溶融物を作製するのに150〜200℃という温度が必要であり
、また押し出すための加温加圧が必要となり作業上危険性を伴うという問題がある。さら
に、前記W/O型エマルジョンから多孔質被膜を形成する方法では、溶剤蒸発乾燥時の収
縮が大きく、一旦多孔質となったものが潰れてしまい、多孔の制御に環境条件の制約が多
く、また湿式凝固方法同様、使用される水溶性有機溶剤の引火性が強くて毒性も強いもの
が多いという問題がある。
【0005】
そのため、有機溶剤を使用することのない水系エマルジョン性樹脂を用いた多孔質構造
体の形成が検討されている。
例えば、特許文献1には、カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂からなる水系エマルジ
ョンとカルボン酸のアンモニウム塩からなる混合液を繊維基材に含浸させた後に、感熱ゲ
ル化、乾燥する皮革用基材の製造方法が開示されている。
また、特許文献2には、高分子弾性体と撥水性粒子と架橋剤とを含有し、沈殿等の発生
やゲル化しない水分散液より形成される多孔質シートが開示されている。この多孔質シー
トは、厚さが10〜500μmであり、内部に平均孔径が1〜20μmの微孔が500〜
15,000個/mm2存在し、破断強度が1〜15N/mm2で破断伸度が100〜50
0%である。
また、特許文献3には、熱可塑性バインダー水性液に、無機化合物、水溶性有機高分子
、水難溶性有機高分子及び高曇点界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも一種とを
組み合わせた混合物を、基材に含浸、コーティングまたは噴霧し、湿熱加熱により多孔体
を形成する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−036960号公報
【特許文献2】特許第3796573号公報
【特許文献3】特許第3981242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の製造方法では、自己乳化型の水系エマルジョン性樹脂を用
いて感熱ゲル化するため、ゲル化強度が強く、マイグレーションを防止しながら、不織布
中にウレタン樹脂を均一に付与することが可能であるが、単に水系エマルジョンを感熱ゲ
ル化するのみでは、ウレタン樹脂が発泡構造を発現せず、皮膜状態となるため、風合いの
ソフト化には限界がある。
特許文献2の多孔質シートで用いている水分散液は、ゲル化しないため、乾燥効率を上
げるために急激に昇温すると、安定して多孔質が得られない。多孔質を安定して得るため
には、数回に分けて段階的に昇温していく必要があり、生産性に問題がある。
特許文献3の多孔質シートで用いている水分散液は、強制乳化型のエマルジョンを用い
ているため、感熱ゲル化時の皮膜強度が弱く、乾燥過程のシート搬送や、マイグレーショ
ンの影響で水分散液が流動すると安定した発泡構造が得られない問題がある。
更に、特許文献2から3に開示された発泡体及び多孔質シートは、特に人工皮革の製造
に際し、水溶性高分子成分を1成分とする海島型繊維複合繊維からなる不織布のうち水溶
性高分子成分を除去して極細化を目的とした熱水処理を行うと、多孔質構造体が熱水を吸
収して破損したり、潰れてしまう点も問題となる。
以上のとおり、多孔質構造体を安定して製造しうる技術は開示されていない。
本発明は、上記問題の解決を鑑みたものであり、連続多孔を有する多孔質層を基材内部
又は上部に形成することにより、より天然皮革の風合いや機械物性に近い多孔性構造体の
製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、かかる従来技術の有する問題点のない、優れた多孔性構造体の製造方法
を開発すべく鋭意研究し、繊維質基材に親水性官能基含有樹脂からなる高分子弾性体が塗
布または含浸されてなる多孔性構造体の製造方法であって、下記の工程(1)〜(4)を
含むことを特徴とする多孔性構造体の製造方法により、連続多孔を有する多孔質層を基材
内部に形成し、天然皮革の風合いや機械物性に近い多孔性構造体(多孔性シート及び布帛
を含む)が得られることを見出し本発明を完成した。
工程(1):(A)親水性官能基含有樹脂と、(B)アンモニウム塩と、(C)ノニオ
ン性増粘剤とを含み、(B)成分の配合量が(A)成分の固形分100質量部に対して0
.25〜10質量部であり、10〜100Pa・sの粘度を有する水系分散液を調製する
工程。
工程(2):当該水系分散液を繊維質基材に塗布または含浸する工程。
工程(3):当該水系分散液を感熱ゲル化処理して多孔体を形成する工程。
工程(4):多孔体を乾燥固化させる工程。
すなわち、本発明にかかる多孔性構造体の製造方法は、特定の成分からなる混合物を繊
維質基材に塗布または含浸付与し、加熱により多孔体を形成させ、乾燥させることを特徴
とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の多孔性構造体は、連続多孔を有する多孔質層を基材内部および/または上部に
有し、多数の微細孔が潰れずに均一に混在しており、柔軟な風合いと充実感を併せ持つ。
前記多孔質構造体は、表面を起毛したり、コーティングを施すことで、高品位なスエード
調や銀付調の人工皮革に使用可能であるとともに、優れた生産性を保ち、本発明の多孔性
構造体を安定して形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例1で得られた多孔性構造体の厚み方向の断面の電子顕微鏡写真である。
【図2】比較例2で得られた多孔性構造体の厚み方向の断面の電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、繊維質基材に親水性官能基含有樹脂からなる高分子弾性体が塗布または含浸
されてなる多孔性構造体の製造方法であって、下記の工程(1)〜(4)を含む。
工程(1):(A)親水性官能基含有樹脂と、(B)アンモニウム塩と、(C)ノニオ
ン性増粘剤とを含み、(B)成分の配合量が(A)成分の固形分100質量部に対して0
.25〜10質量部であり、10〜100Pa・sの粘度を有する水系分散液を調製する
工程。
工程(2):当該水系分散液を繊維質基材に塗布または含浸する工程。
工程(3):当該水系分散液を感熱ゲル化処理して多孔体を形成する工程。
工程(4):多孔体を乾燥固化させる工程。
以下、これらの工程(1)〜(4)について、及び本発明の多孔性構造体の製造方法に
より得られる多孔性構造体について詳述する。
【0012】
[工程(1):水系分散液の調製]
本工程で調製される水系分散液は、(A)親水性官能基含有樹脂と、(B)アンモニウ
ム塩と、(C)ノニオン性増粘剤を含む。また、必要に応じて、(D)架橋剤や、発泡剤
(E)等のその他の添加剤を含むことが好ましい。
また、本工程で調製された水系分散液の粘度は、後述する工程(3)の感熱ゲル化処理
が完了するまでの間、調製直後の粘度で維持されるか、もしくは上昇する。つまり、工程
(3)で昇温している間の水系分散液の粘度は、調製直後と比べて同程度に維持され、水
系分散液の感熱凝固温度に到達することで、水系分散液がゲル化するため、粘度が上昇す
る。そのため、用いる基材によらず、感熱ゲル化処理中に、含浸した繊維質基材への付着
状態が変わることなく、多孔性構造体を得ることが出来る。
感熱ゲル化処理が完了するまでの間における水系分散液の粘度は、単一円筒型回転粘度
計を用いて6回転/分で測定した場合、好ましくは10〜100Pa・s、より好ましく
は20〜80Pa・s、更に好ましくは30〜75Pa・sである。当該粘度が10Pa
・s以上であれば、感熱ゲル化処理により昇温しても、繊維質基材の種類によらず、基材
への付着状態を維持して多孔性構造体を得ることが出来る。また、100Pa・s以下で
あれば、取り扱いに最適である。
以下、本発明の水系分散液に含まれる成分について説明する。
【0013】
<(A)親水性官能基含有樹脂>
本発明で用いられる(A)親水性官能基含有樹脂(以下、(A)成分ともいう)は、親
水性官能基を有し、アニオン系やノニオン系の界面活性剤を用いることなく乳化できる自
己乳化タイプの水系エマルジョン性樹脂である。
界面活性剤の添加が必要な強制乳化タイプの水系エマルジョン性樹脂では、感熱ゲル化
処理でのゲル化が鈍感であり、また、ゲル化後の成膜が不十分となる傾向がある。強制乳
化タイプの水系エマルジョン性樹脂を用いた場合、感熱ゲル化処理及び乾燥固化を低温か
つ長時間かけて行う必要があり、生産効率が極めて悪い。また、界面活性剤を使用するこ
とで、得られる皮膜の基材に対する剥離強度等の物性が劣ると共に、経時的に界面活性剤
が皮膜表面上にブリードし、皮膜表面の外観を損なう欠点がある。
一方、自己乳化タイプの水系エマルジョン性樹脂は、上記の問題がなく、感熱ゲル化処
理及び乾燥固化を高温かつ短時間で行うことができるため、格段に生産効率が向上される
。また、自己乳化タイプの水系エマルジョン性樹脂からなる皮膜は、熱水に対する膨潤率
が低く、優れた耐熱水性を有しているため、熱水処理による皮膜の破損を抑えることがで
きる。
【0014】
(A)成分の親水性官能基としては、カルボキシル基、スルホニル基、第4級アンモニ
ウム基等が挙げられる。これらの親水性官能基は、単独で又は2種以上を組み合わせて含
有してもよい。
(A)成分を構成する樹脂としては、親水性官能基含有の水系エマルジョン性のポリウ
レタン樹脂、ポリアクリル樹脂、及びポリウレタン樹脂とポリアクリル樹脂との混合物等
が挙げられる。
これらの中でも、屈曲性の観点から、親水性官能基含有の水系エマルジョン性ポリウレ
タン樹脂が好ましい。
【0015】
(A)成分の合成法としては、例えば、(a)有機ジイソシアネート、(b)ポリオー
ル、(c)親水性官能基と2個以上の活性水素とを有する化合物を反応させて得られる親
水性官能基含有イソシアネート基末端プレポリマーを中和し、水中に自己乳化させた後、
(d)鎖伸長剤を用いて鎖伸長反応をさせて得ることができる。
【0016】
(a)有機ジイソシアネート(以下、(a)成分ともいう)としては、2個のイソシア
ネート基を有する脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート及び芳香族ジイソシ
アネートを使用することができる。
このような(a)成分としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチ
ルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物、イソホロンジイ
ソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネ
ート、ノルボルナンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキ
サン等の脂環式ジイソシアネート化合物、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン
ジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシリレ
ンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネ
ート化合物等を挙げられる。
また、これらのアルキル置換体、アルコキシ置換体、ニトロ置換体や、多価アルコール
とのプレポリマー型変性体、カルボジイミド変性体、ウレア変性体、ビュレット変性体、
ダイマー化又はトリマー化反応生成物等も使用することもでき、更に上記化合物以外の有
機ジイソシアネートを使用することもできる。これらの(a)成分は、単独で又は2種以
上を組み合わせて用いることもできる。
これらの中でも、得られる(A)成分及び形成される皮膜の耐黄変性、熱安定性、光安
定性の観点から、脂肪族ジイソシアネート化合物及び脂環式ジイソシアネート化合物が好
ましく、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキ
シルメタンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート及び1,3−ビス(イソシ
アナトメチル)シクロヘキサンがより好ましい。
【0017】
(b)ポリオール(以下、(b)成分ともいう)としては、2個以上のヒドロキシル基
を有するものであれば特に制限は無く、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリ
オール、ポリエーテルポリオール等の他、エーテル結合とエステル結合とを有するポリエ
ーテルエステルポリオール等が挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンア
ジペート、ポリエチレンブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンイソフタレートアジペ
ート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンセバケート
、ポリブチレンセバケート、ポリ−ε−カプロラクトンジオール、ポリ(3−メチル−1
,5−ペンチレン)アジペート、1,6−ヘキサンジオールとダイマー酸の重縮合物、1
,6−ヘキサンジオールとアジピン酸とダイマー酸の共重縮合物、ノナンジオールとダイ
マー酸の重縮合物、エチレングリコールとアジピン酸とダイマー酸の共重縮合物等を挙げ
られる。
【0018】
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、ポリテトラメチレンカーボネートジオ
ール、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチ
レンカーボネートジオール、1,6−ヘキサンジオールポリカーボネートポリオール等を
挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレン
グリコール、ポリテトラメチレングリコールの単独重合体、ブロック共重合体、ランダム
共重合体、エチレンオキシドとプロピレンオキシド、エチレンオキシドとブチレンオキシ
ドのランダム共重合体やブロック共重合体等を挙げられる。
【0019】
これらの(b)成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
これらの中でも、より基材に十分な耐久性を付与できるという観点から、ポリカーボネ
ートポリオール又はポリエーテルポリオールが好ましい。
(b)成分の平均分子量としては、好ましくは500〜5000、より好ましくは10
00〜3000である。
【0020】
(c)親水性官能基と2個以上の活性水素とを有する化合物(以下、(c)成分ともい
う)としては、例えば、2,2−ジメチロール乳酸、2,2−ジメチロールプロピオン酸
、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロール吉草酸、3,4−ジアミノブタ
ンスルホン酸、3,6−ジアミノ−2−トルエンスルホン酸等が挙げられる。
【0021】
また、(c)成分として、親水性官能基を有するジオールと、芳香族ジカルボン酸又は
芳香族ジスルホン酸、脂肪族ジカルボン酸又は脂肪族ジスルホン酸等とを反応させて得ら
れるペンダント型の親水性官能基を有するポリエステルポリオール等も挙げられる。上記
親水性官能基を有するジオールに代えて、ジオール成分として親水性官能基を有さないジ
オールを混合して反応させてもよい。
なお、これらの(c)成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることもできる

【0022】
(c)成分の配合量により、(A)成分の酸価が調節される。(A)成分の酸価が、好
ましくは5〜50KOHmg/g、より好ましくは10〜40KOHmg/gとなるよう
に、(c)成分を配合することが好ましい。(A)成分の酸価が5KOHmg/g以上で
あれば、樹脂の機械的安定性、他成分との混和安定性に優れ、(A)成分の酸価が50K
OHmg/g以下であれば、適当な粘度を有する水系分散液を調製することができ、また
得られる皮膜の耐水性の点でも好ましい。ここで、酸価の測定方法は、例えば日本工業規
格JIS K5400等に開示されている方法による。
【0023】
上記(a)〜(c)成分を反応させてイソシアネート基末端プレポリマーを合成する際
、必要に応じて、2個以上の活性水素原子を有する低分子量鎖伸長剤を使用することがで
きる。
低分子量鎖伸長剤の分子量としては、好ましくは400以下、より好ましくは300以
下である。
具体的な低分子量鎖伸長剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコ
ール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、
トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の低分子量多価アルコ
ール;エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジアミノシク
ロヘキシルメタン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、イソホロンジアミン、ジエチレ
ントリアミン、トリエチレンテトラミン等の低分子量ポリアミン等を挙げられる。
これらの低分子量鎖伸長剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる

【0024】
親水性官能基含有イソシアネート基末端プレポリマーを得る際の合成法としては、特に
制限は無く、例えば、従来公知の一段式のいわゆるワンショット法、多段式のイソシアネ
ート重付加反応法等により得られる。この際の反応温度は、好ましくは40〜150℃で
ある。
また、反応の際には、必要に応じて、ジブチル錫ジラウレート、スタナスオクトエート
、ジブチル錫−2−エチルヘキサノエート、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、
N−メチルモルホリン等の反応触媒を添加してもよい。
【0025】
また、親水性官能基含有イソシアネート基末端プレポリマーの中和方法としては、調製
前又は調製後において、適宜公知の方法を用いることができる。その際、用いる中和剤と
しては、特に制限は無く、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プ
ロピルアミン、トリブチルアミン、N−メチル−ジエタノールアミン、N,N−ジメチル
モノエタノールアミン、N,N−ジエチルモノエタノールアミン、トリエタノールアミン
等のアミン類、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、アンモニア等を挙げられる。これら
の中でも、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリブチ
ルアミン等のヒドロキシル基を有さない第3級アミン類が好ましい。
【0026】
次に、中和後に水中で自己乳化させる際に用いる乳化機器としては、特に制限はなく、
例えば、ホモミキサー、ホモジナイザー、ディスパー等を挙げることができる。また、当
該自己乳化は、乳化剤を用いずに、室温〜40℃の温度範囲で水中に自己乳化させて、イ
ソシアネート基と水との反応を極力抑えることが好ましい。更に、このように自己乳化さ
せる際には、必要に応じて、リン酸、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム
、パラトルエンスルホン酸、アジピン酸、塩化ベンゾイル等の反応抑制剤を添加してもよ
い。
【0027】
そして、水中に自己乳化させた後、(d)鎖伸長剤を用いて鎖伸長反応させ、(A)親
水性官能基含有樹脂の水系分散液を得ることができる。
(d)鎖伸長剤としては、アミノ基及び/又はイミノ基を2個以上有するポリアミン化
合物が好ましく、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジア
ミン、ヘキサメチレンジアミン、ジアミノシクロヘキシルメタン、ピペラジン、ヒドラジ
ン、2−メチルピペラジン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジアミン、ジアミノジフ
ェニルメタン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン等のジアミン;ジエチレントリア
ミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、イミノビスプロピルアミン
、トリス(2−アミノエチル)アミン等のポリアミン;ジ第一級アミン及びモノカルボン
酸から誘導されるアミドアミン;ジ第一級アミンのモノケチミン等の水溶性アミン誘導体
;蓚酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、琥珀酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラ
ジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フ
マル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド、1,1’−エチレンヒドラジン、1,1
’−トリメチレンヒドラジン、1,1’−(1,4−ブチレン)ジヒドラジン等のヒドラ
ジン誘導体を挙げられる。これらのポリアミン化合物は、単独で又は2種以上を組み合わ
せて用いることもできる。
なお、鎖伸長反応は、反応温度20〜40℃で行うことが好ましく、30〜120分で
反応する。
【0028】
(A)成分の100%モジュラスの値としては、好ましくは1〜12MPa、より好ま
しくは2〜9MPaである。100%モジュラスの値が1MPa以上であれば、耐熱性、
耐熱水性に優れ、乾燥工程、熱水抽出工程における発泡構造の変化が少ない多孔質構造体
を形成することができ、12MPa以下であれば、柔軟な風合いの多孔質構造体を得るこ
とができる。なお、100%モジュラスの値とは、ダンベル状3号形の試験片を用いて、
標線間距離が100%伸びたとき(2倍に伸びたとき)における所定伸び引張応力(MP
a)の値であり、JIS K 6251(1993)に準じて測定される。
【0029】
また、(A)成分の親水性官能基含有量は、好ましくは0.5〜4.0質量%、より好
ましくは1.0〜2.0質量%である。親水性官能基含有量が0.5質量%以上であれば
、(A)成分の貯蔵安定性が良く、また、4.0質量%以下であれば、感熱ゲル化温度が
適切な温度範囲に収まり、十分なマイグレーション防止の効果が得られる。
【0030】
更に、(A)成分は、自己乳化した状態で保有することが好ましく、その状態のpH値
は、好ましくは7.0〜9.0、より好ましくは7.5〜8.5である。pH値が7.0
以上であれば、(A)成分の貯蔵安定性が良く、pHが9.0以下であれば、十分なマイ
グレーション防止の効果が得られる。
【0031】
<(B)アンモニウム塩>
本発明の水系分散液は、(B)アンモニウム塩(以下、(B)成分ともいう)を含む。
(A)成分は、自己乳化タイプの水系エマルジョン性樹脂であり、単独では比較的高温
(90℃程度)でないとゲル化しないが、(B)成分を添加することで、60℃程度の温
度で(A)成分をゲル化させることができる。
本発明の水系分散液において、(B)成分の配合量は、(A)成分の固形分100質量
部に対して、0.25〜10質量部であり、好ましくは0.5〜9質量部、より好ましく
は1〜7質量部である。(B)成分の配合量が0.25質量部未満であると、感熱ゲル化
処理によるゲル化が十分に行われず、多孔性構造体を安定して得ることが出来ない。また
、(B)成分の配合量が10質量部を超えると、感熱ゲル化温度が40℃以下になり、粘
度上昇やゲル化物が発生するなど水系分散液の保存安定性が著しく低下する。
【0032】
(B)アンモニウム塩(以下、(B)成分ともいう)としては、塩酸、硝酸、リン酸、
硫酸やカルボン酸等のアンモニウム塩が挙げられる。カルボン酸としては、蟻酸、酢酸、
プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリン酸、ステアリン酸等の飽和脂肪酸;
オレイン酸、リノール酸等の不飽和脂肪酸;安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフ
タル酸等の芳香族カルボン酸;リンゴ酸、クエン酸、蓚酸、マロン酸、琥珀酸、アジピン
酸等の飽和ジカルボン酸;フマル酸、マレイン酸等の不飽和ジカルボン酸;乳酸、アクリ
ル酸、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸等が挙げられる。
これらの中でも、混合液の含浸性、乾燥工程中における(A)成分のマイグレーション
防止性、及び乾燥中の揮発又は乾燥後の水洗によって容易に除去可能で、皮膜に残留する
ことが少ないという観点から、硫酸アンモニウム塩、又は炭素数1〜10のカルボン酸の
アンモニウム塩が好ましく、硫酸アンモニウム塩、又は炭素数1〜4のカルボン酸のアン
モニウム塩がより好ましい。これらの(B)成分は、市販されているものを用いてもよい

【0033】
本発明の皮膜形成方法において、(B)成分を(A)成分と混合する際には、(B)成
分を固体(粉体)の状態で混合することもできるが、(A)成分の乳化液の安定性保持の
観点から、(B)成分を水に溶かして水溶液の状態で(A)成分と混合することがより好
ましい。この際の(B)成分を含む水溶液のpH値は、好ましくは7.0〜9.0、より
好ましくは7.5〜8.5である。pH値が7.0以上であれば、(A)成分と混合する
際に、析出物の発生を抑えることができ、pH値が9.0以下であれば、(A)成分の十
分なマイグレーション防止の効果が得られる。
【0034】
<(C)ノニオン性増粘剤>
本発明の水系分散液は、(C)ノニオン性増粘剤(以下、(C)成分ともいう)を含む

ノニオン性増粘剤を用いることで、感熱ゲル化処理により昇温しても、繊維質基材に含
浸された水系分散液の粘度は、含浸直後の粘度で維持されるか、もしくは上昇するため、
増粘剤を含むことで、水系分散液の粘度が高くなり、安定して多孔質構造体を得ることが
出来る。
一般的に繊維質基材への含浸にもちいる水系分散液の粘度は、1Pa・s未満の粘度で
あり、本発明の好適な粘度範囲である10〜100Pa・sの粘度の水系分散液を用いる
場合は、繊維質基材に含浸させる方法として、水系分散液中に繊維質基材を浸漬する方法
の他に、駆動ロールを用いて強制的に水系分散液を繊維質基材に擦り込む方法が好ましく
用いられる。
(C)成分のノニオン性増粘剤としては、(B)成分の添加や感熱ゲル化処理により、
皮膜のゲル化が完了するまでの過程で生じる水系分散液の温度やpHの変化による増粘効
果の変化が少ないものが好ましく用いられ、会合型増粘剤、水溶性高分子増粘剤の中から
選択できる。
【0035】
会合型増粘剤としては、例えば、特開昭54−80349号公報、特開昭58−213
074号公報、特開昭60−49022号公報、特公昭52−25840号公報、特開平
9−67563号公報、特開平9−71766号公報等に記載されたウレタン系の会合型
増粘剤;特開昭62−292879号公報、特開平10−121030号公報等に記載さ
れたノニオン性ウレタンモノマーを会合性モノマーとして他のアクリルモノマーと共重合
して得られる会合型増粘剤;WO9640815等に記載のアミノプラスト骨格を有する
会合型増粘剤等が挙げられ、これらのうちノニオン性の性質の強いものが選択される。
これらの中でも、多孔性構造の孔の緻密さ及び強度保持力の観点から、分子鎖中にポリ
エチレングリコール鎖とウレタン結合とを有する会合型増粘剤が好ましい。市販品として
は、ネオステッカーS(日華化学社製)等が挙げられる。
【0036】
水溶性高分子系増粘剤としては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒド
ロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセ
ルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース系誘導体;可溶性澱粉、カルボキ
シメチル澱粉、メチル澱粉等の澱粉系誘導体;アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピ
レングリコールエステル等のアルギン酸系;グアガム、カラギーナン、ガラクタン、アラ
ビアガム、ローカストビンガム、クインスシード、トラガカントガム、ペクチン、マンナ
ン、澱粉、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、カードラン、ヒアルロン
酸及びその塩等の天然多糖類系;カゼイン、ゼラチン、コラーゲン、アルブミン等の天然
たん白類系;ポリアルキレングリコール、ポリオキシエチレングリコールジステアリン酸
エステル、ミリストイルポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンソ
ルビタントリイソステアレート、ポリオキシエチレンメチルグルコース(モノ、ジ又はト
リ)ラウレート、ポリオキシエチレンメチルグルコース(モノ、ジ又はトリ)ミリステー
ト、ポリオキシエチレンメチルグルコース(モノ、ジ又はトリ)パルミテート、ポリオキ
シエチレンメチルグルコース(モノ、ジ又はトリ)ステアレート、ポリオキシエチレンメ
チルグルコース(モノ、ジ又はトリ)イソステアレート、ポリオキシエチレンメチルグル
コース(モノ、ジ又はトリ)オレート等のポリオキシアルキレン系非イオン型ポリマー;
ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシ
ビニルポリマー、ポリアクリル酸ソーダ等のビニル系ポリマー等、及びこれらの混合物が
挙げられ、これらのうちノニオン性の性質の強いものが選択される。市販品としてはHE
C AX−15(住友精化株式会社製、ヒドロキシエチルセルロース)、アロンA−50
P(東亞合成株式会社製、スルホン酸モノマー共重合型アクリル系増粘剤)、ケルザン(
三晶株式会社製、高分子多糖類(キサンタンガム))等が挙げられる。
特に、ノニオン性増粘剤として、高分子多糖類が、多孔質構造としやすい点で好ましく
、特にキサンタンガム類が感熱ゲル化時に極めて安定的に多孔質構造としやすい。
なお、水溶性高分子系増粘剤を使用して皮膜を形成した場合は、皮膜中の増粘剤の経時
的なブリードや、吸湿によるベタツキの発生を抑制するため、皮膜形成後に洗浄工程を経
ることが好ましい。
これらのノニオン性増粘剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることもでき、
多孔質構造体を安定して得るためには、高分子多糖類が好ましく用いられ、その中でもキ
サンタンガムがより好ましい。
キサンタンガムは高分子多糖類の1種であり、分子量は一般的に約200万から5000
万である。キサンタンガムはグルコース2分子、マンノース2分子、グルクロン酸の繰り
返し単位からなり、キサンタンガムの主鎖はD−グルコースのβ―1,4結合でセルロー
スと同一の結合様式をとり、側鎖には2つのマンノースの間に1つのグルクロン酸が含ま
れる特殊な構造を有している。キサンタンガムにはカリウム塩、ナトリウム塩、カルシウ
ム塩も含まれる。 そして、水と混合すると粘性が出る。キサンタンガムの高分子量かつ
上記の長い側鎖を有する特殊な構造により親水性官能基含有樹脂からなる高分子弾性体を
ゲル化させる際に高分子弾性体粒子の凝集状態に影響をおよぼし多孔性構造体が得られる
ものと推定している。
【0037】
(C)成分の配合量は、(A)成分の固形分100質量部に対して、好ましくは0.5
〜20質量部、より好ましくは1〜15質量部、更に好ましくは1.5〜10質量部であ
る。0.5質量部以上であれば、工程(3)の感熱ゲル化処理が完了するまでの間、水系
分散液の粘度を十分に高い状態で維持できるため、安定して多孔質構造体を形成すること
ができる。一方、20質量部以下であれば、取り扱いに最適な範囲の粘度を有する水系分
散液を得ることができる。
【0038】
調製直後の本発明の水系分散液の粘度は、単一円筒型回転粘度計を用いて6回転/分で
測定した場合、好ましくは10〜100Pa・s、より好ましくは20〜80Pa・s、
更に好ましくは30〜75Pa・sである。粘度が10Pa・s以上であれば、多孔質構
造体を形成する際に気泡がつぶれにくく、100Pa・s以下であれば、繊維質基材へ含
浸することができる。なお、上述のとおり、当該水系分散液の粘度は、工程(3)の感熱
ゲル化処理が完了するまで、上記調製直後の粘度で維持されるか、もしくは上昇するため
、加熱中の粘度の低下は起こらず、繊維質基材への水系分散液の付着状態を維持して多孔
質構造体を得ることができる。
【0039】
<(D)架橋剤>
本発明の水系分散液において、架橋構造を形成し、多孔質構造体の耐久性を向上させる
観点、及び硬化を促進し生産効率を向上させる観点から、(A)成分の親水性官能基と反
応する(
D)架橋剤(以下、(D)成分ともいう)を併用することが好ましい。
(D)成分の含有量は、上記の観点から、(A)成分の固形分100質量部に対して、
好ましくは1.0〜5.0質量部、より好ましくは1.2〜4.5質量部、更に好ましく
は1.5〜4.0質量部である。
(D)成分としては、特には制限がないが、オキサゾリン系架橋剤、エポキシ系架橋剤
、イソシアネート系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤等が好ましい。
オキサゾリン系架橋剤としては、オキサゾリニル基を2個以上有する化合物を用いるこ
とができ、例えば、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンとアクリル酸ブチルとメタク
リル酸メチルとの共重合物、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンとアクリル酸エチル
とメタクリル酸メチルとの共重合物、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンとスチレン
との共重合物、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンとスチレンとアクリロニトリルと
の共重合物、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンとスチレンとアクリル酸ブチルとジ
ビニルベンゼンとの共重合物等が挙げられる。
【0040】
エポキシ系架橋剤としては、例えば、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ソルビタ
ンポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリ
トールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、トリグリシジ
ルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、グリセロールポリグリシジルエー
テル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテ
ル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシ
ジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリ
シジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコール
ジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレン
グリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールグリシジルエーテル、
アジピン酸ジグリシジルエステル、o−フタル酸ジグリシジルエステル、ハイドロキノン
ジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、テレフタル酸ジグリシ
ジルエステル、ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0041】
イソシアネート系架橋剤としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメ
タンジイソシアネート(MDI)、ポリフェニルポリメチルポリイソシアネート等の液状
MDI、粗MDI、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テ
トラメチルキシリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、
イソホロンジイソシアネート、これらのイソシアヌレート環である三量体、トリメチロー
ルプロパンアダクト体等を、ブロック化剤によりイソシアネート基を保護した化合物が挙
げられる。
【0042】
カルボジイミド系架橋剤としては、例えば、ポリイソシアネート化合物と、ヒドロキシ
ル基、アミノ基等のイソシアネート基と反応し得る官能基を1個有する化合物とを、カル
ボジイミド化触媒の存在下で反応させて得られるポリカルボジイミド系樹脂等を使用する
ことができる。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシア
ネート、水添キシリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ノルボルナン
ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。イソシアネート基と反
応し得る官能基を1個有する化合物としては、例えば、ポリエチレングリコールのモノア
ルキルエーテル、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールのランダム又はブ
ロック共重合物のモノアルキルエーテル等が挙げられる。
これらの架橋剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0043】
<(E)その他の添加剤>
本発明の水系分散液において、本発明の目的を損なわない範囲で、各種の添加剤を併用
することができる。添加剤としては、例えば、顔料、染料、補助バインダー、レベリング
剤、チクソトロピー付与剤、消泡剤、充填剤、発泡剤、沈降防止剤、紫外線吸収剤、酸化
防止剤、減粘剤、湿潤剤、着色防止剤等を挙げられる。このような添加剤は、単独で又は
2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、上述のとおり、本発明の水系分散液は、界
面活性剤を含まないことが好ましい。
上記の添加剤の中でも、特に、発泡剤を添加することが好ましい。発泡剤を添加するこ
とで、発泡倍率(分散液の体積に対する発泡後の体積)の調製が容易となる。このような
発泡剤としては、一般に用いられているものを使用することができる。
【0044】
本発明の水系分散液における水の添加量は、固形分と粘度の調製のため、分散液が所望
の粘度を有するように適宜調製される。具体的には、水系分散液の固形分100質量部に
対して、好ましくは20〜250質量部、より好ましくは30〜200質量部である。
【0045】
[工程(2):繊維質基材への塗布または含浸]
本発明の水系分散液を繊維質基材に塗布または含浸する方法としては、特に制限される
ものではないが、例えば含浸する場合、公知の含浸方法が採用でき、水系分散液中に繊維
質基材を浸漬する方法、駆動ロールを用いて強制的に水系分散液を繊維質基材に擦り込む
方法が好ましく用いられる。繊維質基材に含浸される水系分散液の量を調整する目的で、
水系分散液を含浸した繊維質基材をプレス処理したり、表面に付着した水系分散液を掻き
とる処理を追加することもできる。また、繊維基材への塗布も、公知の方法が採用でき、
コンマコーターやナイフコーターで代表される塗布機で皮膜層と含浸を両方同時に行うこ
とも好ましい形態である。
【0046】
含浸する繊維質基材は、目的・用途にとって適宜選択され、木綿、麻等の天然繊維、P
ET、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成繊維からなる不織布等が挙げら
れ、その中でも、人工皮革用基体に適応可能な不織布が好ましく、特に、繊維質基材が熱
水抽出タイプの海島繊維からなる不織布が好ましい。熱水抽出タイプの海島繊維不織布は
、熱水抽出処理により、海島繊維を構成する水溶性高分子成分を抽出すると同時に、水系
分散液に用いたノニオン性増粘剤の洗浄も可能となる。また、本発明の多孔質構造体は、
(A)親水性官能基含有樹脂からなるために、熱水処理による膨潤率が低く、耐熱水性に
優れており、熱水による発泡の破損を抑えることができる。
【0047】
このような海島繊維は海成分または島成分のいずれかが抽出除去されるタイプでもよい
が、海成分が抽出除去される場合(極際繊維発生型繊維)の極細繊維を構成するポリマー
(島成分)としては、例えば、6−ナイロン、66−ナイロンをはじめとする溶融紡糸可
能なポリアミド類、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンフタレート、イソフタル
酸変性ポリエステル、カチオン可染型変性ポリエチレンテレフタレートをはじめとする溶
融紡糸可能なポリエステル類、ポリプロピレンで代表されるポリオレフィン類等から選ば
れた少なくとも1種類のポリマーが挙げられる。
また、抽出除去される成分(海成分)としては、水溶性高分子成分から構成され、かつ
紡糸可能な成分であることが重要である。例えば、水溶性高分子成分としては、水又は水
系溶剤で抽出処理できる高分子であれば、公知の高分子が使用できるが、水系溶剤で溶解
可能なポリビニルアルコール共重合体類を用いることが好ましい。この極細繊維発生型繊
維の海成分と島成分の容量比は1:2〜2:1であって、海成分を抽出した後の極細繊維
の繊度としては、風合いや充実感の点で0.01〜0.0001dtexの範囲がよい。
【0048】
上記の海島繊維不織布は、20〜75mm長の短繊維をカード法により短繊維ウェッブ
とした後にニードルパンチや高速流体により絡合処理して製造してもよく、また、スパン
ボンド法のような直接法により紡糸と同時に長繊維ウェッブとした後、ニードルパンチや
高速流体により絡合処理して製造してもよい。
【0049】
[工程(3):水系分散液のゲル化]
前工程で繊維質基材に含浸した水系分散液は、感熱ゲル化処理してゲル状に固化させる
。感熱ゲル化処理を行い、ゲル状にすることで、ゲル化なしに乾燥処理により水分を蒸発
させる場
合に比べ、水系分散液のマイグレーションを抑制して、厚み方向に均一な塗布状態または
含浸状態を得ることが出来る。水系分散液がゲル化する感熱凝固温度は、好ましくは30
〜80℃、より好ましくは40〜70℃である。ここで感熱凝固温度とは、水系分散液が
ゲル化するときの温度であり、前記水系分散液50gを100mLのガラス製ビーカーに
取り、内容物を攪拌しつつ、そのビーカーを95℃の熱水浴中で徐々に加熱し、内容物が
流動性を失い凝固する時の温度である。感熱凝固温度が30℃以上であれば、夏場に気温
雰囲気下において、分散液がゲル化してしまう事態を防ぐことができ、また、80℃以下
であれば、感熱ゲル化がシャープに発現されるため、次の乾燥工程においてマイグレーシ
ョン防止性を十分に発揮することができる。
【0050】
感熱ゲル化処理としては、湿熱処理や、赤外線による加熱処理等が挙げられるが、特に
、良好なゲル化状態を得る観点から、スチームによる湿熱処理が好ましい。スチームによ
る湿熱処理は、スチームの温度を水系分散液の感熱凝固温度以上とすれば加工可能である
が、より安定的に生産を行うために、スチームの温度を「感熱凝固温度+10℃」以上の
温度とすることが好ましい。具体的なスチームの温度としては、好ましくは40〜140
℃、より好ましくは60〜120℃である。
また、スチームによる湿熱処理を行う際の湿度は、100%に近づくほど表面からの乾
燥が抑えられるため好ましい。スチームの処理時間は、充分にゲル化膜を形成させる観点
から、好ましくは5秒〜30分、より好ましくは10秒〜20分である。
なお、スチームによる湿熱処理と他の方法との併用も可能である。他の方法としては、
例えば、赤外線、電磁波、高周波等の凝固方法が挙げられる。
【0051】
[工程(4):多孔質構造体の形成]
前工程の感熱ゲル化処理して得られたゲル状の水系分散液は、乾燥固化されて多孔質構
造体を形成する。乾燥固化の方法としては、熱風加熱、赤外線加熱、電磁波加熱、高周波
加熱、シリンダー加熱等の乾燥方法が挙げられる。これらの方法の中でも、ランニングコ
ストの面や連続生産性の観点から、熱風乾燥が好ましい。なお、これらの乾燥方法は、単
独で又は2種以上を
組み合わせて用いることもできる。
乾燥温度は、形成した多孔質構造体が熱により変質劣化しない程度で、かつ充分に乾燥
させることができること、及び乾燥効率向上の観点から、好ましくは60〜190℃、よ
り好ましくは80〜150℃である。また、処理時間は、充分に乾燥させること、及び生
産性の観点から、好ましくは1〜20分、より好ましくは2〜5分である。
【0052】
(熱水抽出処理)
基材として熱水抽出タイプの海島繊維不織布を用いる場合、先に熱水抽出処理を行った
不織布に本発明の水系分散液を含浸してもかまわないが、本発明においては、当該不織布
に水系分散液を含浸した後、熱水処理を行い、極細化不織布にすることができる。
具体的な熱水抽出処理の方法としては、当該不織布中の海成分を熱水により溶解除去し
て島成分を極細繊維状に残留させることにより行われる。熱水による海成分の除去処理は
、人工皮革等の製造に当たって従来から採用されている既知の方法や条件に準じて行うこ
とができる。
【0053】
[多孔質構造体]
本発明の多孔性構造体は、多孔を有する多孔質層を基材内部に有し、多数の微細孔が潰
れずに均一に混在しており、柔軟な風合いと充実感を併せ持つ。前記多孔質構造体は、表
面を起毛したり、コーティングを施すことで、高品位なスエード調や銀付調のシートに使
用可能であるとともに、優れた生産性を保ち、本発明の多孔性構造体を安定して形成する
ことができる。
【実施例】
【0054】
以下、実施例により本発明について、更に詳しく説明するが、本発明はかかる実施例に
より何ら限定されない。
【0055】
[実施例1]
ナイロン6(宇部興産製1015BK)を海成分に用い、水溶性熱可塑性PVA(クラ
レ社製エクセバールCP−4104MI、融点209℃、JIS K7210のM法で測
定したMFR:80g/分、粘度平均重合度330、ケン化度98.4モル%)を島成分
とし、海島型多成分系繊維1本あたりの島数が12個(島)となるような溶融複合紡糸用
口金を用い、海成分/島成分の質量比50/50となるように255℃で口金より吐出し
た。単位時間辺りの吐出量と得られる長繊維の繊度の比率から間接的に求められる紡糸速
度が2500m/minとなるように口金直下に設置したエアジェット吸引装置のエアー
を調整して、口金から吐出させたポリマーを索引細化させつつ冷却することで平均繊度2
.53デシテックスのナイロン多孔中空繊維発生型複合繊維を紡糸した。その複合繊維を
吸引装置直下に設置した移動式ネット上に連続的に捕集したのち、表面温度常温の金属ロ
ールを用いてプレスすることにより目付け45g/mの複合繊維ウェブを得た。
【0056】
得られた複合繊維ウェブを、クロスラッパーを用いてウェブ8枚分に相当する目付けに
なるように重ね合わせながら針折れ防止油剤をスプレーを用いてウェブ表面に均一に付与
した。次いで、針先端からバーブまでの距離が5mmの1バーブのフェルト針を用い、複
合繊維ウェブに突き刺した針の先端が反対側から最大で8mm突き出すような設定にてウ
ェブ両面へ交互にニードルパンチング処理を行った。突き刺した針本数が合計で1450
本/cmとなるようにニードルパンチング処理をおこなって複合繊維同士を絡合させる
ことで、目付344g/mの不織布を得た。
【0057】
(A)カルボキシル基含有ポリウレタン樹脂の自己乳化型水系エマルジョン(ポリカーボネート系、90℃までは単独では感熱ゲル化しないが、硫酸アンモニウムを添加すれば60℃でゲル化する)250質量部(そのうち固形分が100質量部)、(B)硫酸アンモニウム3.75質量部、(C)ノニオン性増粘剤(商品名:ケルザン(キサンタンガム)、三晶株式会社製)2.5質量部、(D)架橋剤(商品名:NKアシストCI、日華化学株式会社製、カルボジイミド系架橋剤)3.75質量部を含む水系分散液を調製した。なお、調製した水系分散液について、以下の方法で、25℃及び60℃の粘度を測定した。
次に、調製した水系分散液を不織布に含浸した後にニップロールでプレスして不織布重
量に対する水系分散液の付着率を150%に調整した。また、この含浸後不織布を、相対
湿度60%で90℃のスチームによる感熱ゲル化処理を10分間行い、その後、150℃
で10分間、熱風乾燥して、多孔性構造体を製造した。
【0058】
次いで、240番手のペーパーを用い両面を10/100mmずつ研削した後、95℃
の熱水中で、熱水浸漬時間20分となるようdip×nip方式で不織布中の複合繊維か
ら島成分PVAを溶解除去した。抽出率は92.0質量%であり、得られたものは厚さ1
.16mm、目付274g/mで、横断面に12個の中空部を有するナイロン多孔中空
繊維の合不織布とポリウレタンからなる多孔性構造体を得た。そしてこの多孔性構造体を
人工皮革用の基材とした。得られた人工皮革用基材の断面の電子顕微鏡写真観察(600
倍)を行ったところ、基材内部の樹脂と繊維が非接着構造となっており、樹脂自体は細か
い多孔体となっており、風合いについては柔軟であった。得られた人工皮革用基材の断面
写真を図1に示す。
【0059】
(1)水系分散液の粘度の測定
調製した水系分散液について、単一円筒型回転粘度計(商品名:ビスメトロンVG−A
1、芝浦システム株式会社製)を用いて6回転/分で、25℃及び60℃の粘度を測定し
た。実施例1の水系分散液の粘度は、25℃で35Pa・s、60℃で42Pa・sとな
り、感熱凝固温度まで昇温した際、調製直後の粘度と比べて、上昇した。
【0060】
[比較例1、2]
(A)成分〜(E)成分の組成を表1に示されたように変更した以外は、実施例1と同
様の工程で発泡皮膜を有する不織布を作成した。得られた多孔性構造体を評価した結果表
1のようになった。比較例1で得られた人工皮革用基材の断面写真を図2に示す。
【0061】
[比較例3]
感熱ゲル化処理を行わなかった以外は、実施例1と同じ方法で発泡皮膜を有する不織布
を作成した。得られた多孔性構造体を評価した結果表1のようになった。
【0062】
[比較例4]
実施例1の分散液の組成において、(C)成分をアロンA−20P(東亞合成株式会社
製、アクリル系増粘剤、アニオン性増粘剤)5.0質量部に変更した以外は、実施例1と
同様の工程で発泡皮膜を有する不織布を作製した。得られた多孔性構造体を評価した結果
表1のようになった。
【0063】
【表1】

【0064】
実施例1の多孔性構造体は、樹脂が均一に分布し、多孔構造が良好であり、風合いも柔
軟なものであった。
【0065】
比較例1の多孔性構造体は、分散液の硫酸アンモニウムの配合量が少ないために、十分
にゲル化がなされず、得られた多孔性構造体は、両面への樹脂のマイグレーションが大き
く、多孔構造が得られないものであった。
比較例2の多孔性構造体は、分散液の硫酸アンモニウムの配合量が多いために、多孔構
造が得られず、硬い風合いのものであった。
比較例3の多孔性構造体は、感熱ゲル化処理を行っていないため、十分にゲル化がなさ
れず、両面への樹脂のマイグレーションが大きく、多孔構造が得られないものであった。
比較例4の多孔性構造体は、アニオン性増粘剤に変更したため、塗布から感熱ゲル化処
理が完了までに、水系分散液の粘度が低下し、両面への樹脂のマイグレーションが大きく
、多孔構造が得られないものであった。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の多孔性構造体の形成方法は、車輌用内装材、家具、衣料、靴、鞄、袋物、サン
ダル、雑貨等の製造に用いられる表面に皮膜を有する基材の製造方法として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維質基材に親水性官能基含有樹脂からなる高分子弾性体が塗布または含浸されてなる
多孔性構造体の製造方法であって、下記の工程(1)〜(4)を含むことを特徴とする多
孔性構造体の製造方法。
工程(1):(A)親水性官能基含有樹脂と、(B)アンモニウム塩と、(C)ノニオ
ン性増粘剤とを含み、(B)成分の配合量が(A)成分の固形分100質量部に対して0
.25〜10質量部であり、10〜100Pa・sの粘度を有する水系分散液を調製する
工程。
工程(2):当該水系分散液を繊維質基材に塗布または含浸する工程。
工程(3):当該水系分散液を感熱ゲル化処理して多孔体を形成する工程。
工程(4):多孔体を乾燥固化させる工程。
【請求項2】
前記(C)ノニオン性増粘剤が高分子多糖類である請求項1に記載の多孔性構造体の製
造方法。
【請求項3】
前記(C)ノニオン性増粘剤がキサンタンガムである請求項1または2に記載の多孔性
構造体の製造方法。
【請求項4】
前記水系分散液が、更に(D)架橋剤を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の多
孔性構造体の製造方法。
【請求項5】
前記繊維質基材が、不織布である請求項1〜4のいずれか1項に記載の多孔性構造体の
製造方法。
【請求項6】
前記繊維質基材が、熱水抽出タイプの海島繊維からなる不織布である請求項1〜5のい
ずれか1項に記載の多孔性構造体の製造方法。
【請求項7】
(A)親水性官能基含有樹脂が、親水性官能基含有の水系エマルジョン性ポリウレタン
樹脂である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の多孔性構造体の製造方法。
【請求項8】
工程(3)の感熱ゲル化処理が、40〜140℃のスチームにより行われる、請求項1
〜7のいずれか1項に記載の多孔性構造体の製造方法。
【請求項9】
工程(4)の後に、熱水で洗浄する工程を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の
多孔性構造体の製造方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の多孔性構造体の製造方法から得られる人工皮革基体


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−83031(P2013−83031A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−285247(P2011−285247)
【出願日】平成23年12月27日(2011.12.27)
【出願人】(000001085)株式会社クラレ (1,607)
【Fターム(参考)】