説明

多孔質セラミック部材およびその製法ならびにフィルタ

【課題】 耐熱衝撃性を向上できる多孔質セラミック部材およびフィルタを提供することを目的とするとともに、造孔剤を用いることなく、気孔率が大きく、気孔径が大きい多孔質セラミック部材を得ることができる多孔質セラミック部材の製法を提供する。
【解決手段】 Al、TiおよびOを含有する単一の結晶からなる単一結晶粒子11と、結晶軸の向きが異なる複数の結晶からなる多結晶粒子12とを具備してなり、単一結晶粒子11同士および単一結晶粒子11と多結晶粒子12とを、Siを含有する非晶質材料13で部分的に接合してなることを特徴とする。これにより、耐熱衝撃性と機械的強度を向上できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔質セラミック部材およびその製法ならびにフィルタに関し、例えば、断熱材、高温部材の支持材、自動車の排ガス浄化触媒担体用ハニカム構造体、ディーゼルエンジン自動車のパティキュレートトラップ(粒子状物質除去)用ハニカム構造体、脱臭用、温風用などの民生用ハニカム構造体に利用できる多孔質セラミック部材およびその製法ならびにフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コージェライト(2MgO・2Al・5SiO)は、優れた耐熱衝撃性を持つことから、特に自動車の排ガス浄化触媒担体用ハニカム構造体として、多く実用化されている。
【0003】
しかしながら、コージェライトの耐熱温度は高いものでも1350℃程度であるため、この温度以上で利用することは困難であった。
【0004】
一方、チタン酸アルミニウム(AlTiO)は1860℃の高融点を持ち、コージェライトと比べて耐熱性の高い低熱膨張セラミックス材料であるが、900〜1200℃の温度で保持すると、アルミナとチタニアに熱分解するという問題があり、利用に制限があった。
【0005】
そこで、耐熱分解性を高めるために、チタン酸アルミニウムにSiO、Fe、Al、TiO、MgO、CaOなどの添加剤を添加して成形し、1450〜1550℃で焼成したことが記載されている(特許文献1参照)。
【0006】
また、従来、平均粒径1.54〜8.06μmのAlTiO原料粉末に、MgOおよびSiOを添加して成形した後、1500℃で焼成することにより、焼結体強度と低熱膨張性を向上した焼結体が知られている(特許文献2参照)。
【0007】
さらに、従来、平均粒径5〜50μmのチタン酸アルミニウムの粗大粉末と、平均粒径3μm以上で5μm未満のチタン酸アルミニウムの微細粉末を30重量%以下の量で混合したバイモーダル粉末に、平均粒径40〜120μmの燃焼性粉末10〜30重量%を添加した混合粉末を成形し、ついで酸化性雰囲気下で1550℃以下の温度で焼成した多孔質チタン酸アルミニウム焼結体の製法が知られている(特許文献3参照)。
【特許文献1】特開平8−290963号公報
【特許文献2】特開平1−249657号公報
【特許文献3】特開平7−138083号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、チタン酸アルミニウム原料粉末は柱状粒子であるために、例えば押出成形によって排ガス浄化触媒担体用ハニカム構造体を作製する場合、チタン酸アルミニウム原料粉末が押出方向に配向する傾向がある。その結果、ハニカム構造体の押出方向の熱膨張係数と押出方向に垂直方向の熱膨張係数との差が大きくなる。このようなハニカム体を昇降温の激しい環境下に置いた場合、熱応力によりクラックが入り易く、耐熱衝撃性が低いという問題があった。
【0009】
また、従来、一般に、チタン酸アルミニウム粉末に、SiO、Fe、Al、TiO、MgO、CaOなどの添加剤を添加して成形し、1500℃程度で焼成することが行われているが、このようにチタン酸アルミニウム粉末に、非晶質材料を構成するSiO等を添加し1500℃程度で焼成すると、気孔率が小さく、かつ気孔径も小さく、フィルタエレメントとして用いるためには、造孔剤を添加し、焼成する必要があった。
【0010】
従って、特許文献1記載のようにチタン酸アルミニウム粉末に、SiO、Fe、Al、TiO、MgO、CaOなどの添加剤を添加して成形し、1450〜1550℃で焼成した場合には、添加剤のSiO、Fe、Al、TiO、MgO、CaOがチタン酸アルミニウムの粒界に多量の非晶質材料を形成し、強度は向上するものの、気孔率、および気孔径が小さくなり、フィルタエレメントとして用いるには、造孔剤を添加し、焼成する必要があった。
【0011】
また、特許文献2のように、平均粒径1.54〜8.06μmのAlTiO原料粉末にMgOおよびSiOを添加して成形した後、1500℃の高い温度で焼成すると、AlTiO粒子間の粒界中に、AlTiO粒内のAl、Mgが大量に拡散し、非晶質材料が多くなり、強度は向上するものの、気孔率、および気孔径が小さくなり、フィルタエレメントとして用いるには、造孔剤を添加し、焼成する必要があった。
【0012】
さらに、特許文献3のように、平均粒径5〜50μmのチタン酸アルミニウムの粗大粉末と、平均粒径3μm以上で5μm未満のチタン酸アルミニウムの微細粉末を30重量%以下の量で混合したバイモーダル粉末では、微細粉末の焼結性が良いため、気孔率および気孔径が小さくなり、フィルタエレメントとして用いるには、燃焼性粉末(造孔剤)を添加し、焼成する必要があった。
【0013】
本発明は、耐熱衝撃性を向上できる多孔質セラミック部材およびフィルタを提供することを目的とする。
【0014】
また、本発明は、造孔剤を用いることなく、気孔率が大きく、気孔径が大きい多孔質セラミック部材を得ることができる多孔質セラミック部材の製法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、Al、TiおよびOを含有する単一の結晶からなる単一結晶粒子に加えて、結晶軸の向きが異なる複数の前記結晶からなる多結晶粒子を存在せしめ、単一結晶粒子同士および単一結晶粒子と多結晶粒子とを、Siを含有する非晶質材料で部分的に接合することにより、耐熱衝撃性を向上できることを見いだし、本発明に至った。
【0016】
すなわち、本発明の多孔質セラミック部材は、Al、TiおよびOを含有する単一の結晶からなる単一結晶粒子と、結晶軸の向きが異なる複数の前記結晶からなる多結晶粒子とを具備してなり、前記単一結晶粒子同士および前記単一結晶粒子と前記多結晶粒子とを、Siを含有する非晶質材料で部分的に接合してなることを特徴とする。
【0017】
このような多孔質セラミック部材では、例えば、押出成形によりAl、TiおよびOを含有する単一の結晶からなる柱状の単一結晶粒子が押出方向に配向し易いものの、結晶軸の向きが異なる複数の結晶からなる多結晶粒子は、結晶軸が種々の方向を向いているため、押出方向に影響を受けにくい組織となっており、押出方向と押出方向に垂直な方向との間の熱膨張係数差を小さくできる。従って、このような組織の多孔質セラミック部材を昇降温の激しい環境下に置いたとしても、熱膨張係数差が小さいので、極端にクラックが増えることがなく、強度を維持できる。
また、本発明の多孔質セラミック部材は、多結晶粒子は、平均粒径が25μm以上であることを特徴とする。このような多孔質セラミック部材では、気孔径、気孔率を大きくすることができる。
【0018】
また、本発明の多孔質セラミック部材は、前記多結晶粒子が、面積比で60%以上存在することを特徴とする。このような多孔質セラミック部材では、結晶軸の向きが異なる複数の前記結晶からなる(種々の方向を向いた複数の柱状の単一結晶粒子からなる)多結晶粒子の存在比率が多くなるため、さらに耐熱衝撃性を向上することができる。
本発明の多孔質セラミック部材の製法は、Al源粉末およびTi源粉末を含有する混合粉末を用いて造粒粉末を作製する造粒工程と、前記造粒粉末を1400℃以上の仮焼温度で仮焼して仮焼粉末を作製する仮焼工程と、前記仮焼粉末を解砕して、Al、TiおよびOを含有する単一の結晶からなる仮焼単一結晶粉末と、結晶軸の向きが異なる複数の前記結晶からなる仮焼多結晶粉末とを具備する混合粉末を作製する解砕工程と、前記混合粉末にSiO粉末を添加してなる原料粉末を作製する原料粉末作製工程と、前記原料粉末を含有する成形体を作製する成形工程と、前記成形体を、前記仮焼温度よりも低い温度で焼成する焼成工程とを具備することを特徴とする。
このような多孔質セラミック部材の製法では、仮焼粉末を解砕して、Al、TiおよびOを含有する単一の結晶からなる仮焼単一結晶粉末と、結晶軸の向きが異なる複数の前記結晶からなる仮焼多結晶粉末とを具備する混合粉末を作製し、この混合粉末にSiO粉末を添加してなる原料粉末を成形し、仮焼温度よりも低い温度で焼成するため、単一結晶粒子同士および単一結晶粒子と多結晶粒子とが殆ど焼結することなく、Siを含有する非晶質材料で接合できるため、造孔剤を用いることなく、気孔率が大きく、気孔径が大きい多孔質セラミック部材を得ることができる。
【0019】
本発明のフィルタは、上記多孔質セラミック部材からなるフィルタエレメントを具備することを特徴とする。このようなフィルタでは、耐熱衝撃性を向上した多孔質セラミック部材をフィルタエレメントとして用いることにより、長期信頼性を向上できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の多孔質セラミック部材では、例えば、押出成形によりAl、TiおよびOを含有する単一の結晶からなる柱状の単一結晶粒子が押出方向に配向し易いものの、結晶軸の向きが異なる複数の結晶からなる(種々の方向を向いた複数の柱状の単一結晶粒子からなる)多結晶粒子は、結晶軸が種々の方向を向いているため、押出方向に影響を受けにくい組織となっており、押出方向と押出方向に垂直な方向との間の熱膨張係数差を小さくできる。従って、このような組織の多孔質セラミック部材を昇降温の激しい環境下に置いたとしても、熱膨張係数差が小さいので、極端にクラックが増えることがなく、強度を維持できる。このような多孔質セラミック部材をフィルタに用いることにより、長期信頼性を向上できる。
【0021】
また、本発明の多孔質セラミック部材の製法では、単一結晶粒子同士および単一結晶粒子と多結晶粒子とが殆ど焼結することなく、Siを含有する非晶質材料で接合できるため、造孔剤を用いることなく、気孔率が大きく、気孔径が大きい多孔質セラミック部材を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1はフィルタエレメント1の一例を示すもので、外周壁2で囲まれた円柱状の多孔質セラミック部材の長さ方向に四角柱状のガス流路であるセル3が形成され、その間の隔壁4が多孔質とされている。図1には、四角柱状セルを基本構造とし、これが複数並んだハニカム構造体を示しているが、本発明のフィルタエレメント1は必ずしも四角柱状セルを基本構造とするものに限定されるものではない。例えばハニカム以外の形状であることも可能であるほか、ハニカム構造体であってもセル形状は三角形、六角形、菱形、あるいはこれらが混在する形態とすることも可能である。
【0023】
また、ハニカムの開口方向の全部もしくは一部を塞ぎ、サンドイッチ構造にして耐衝撃性を持たせ、フィルタとして用いることも可能である。また、多孔質セラミック部材に触媒を含有させてフィルタを構成する場合もある。本発明のフィルタは、容器内に上記フィルタエレメントを収容して構成される。
【0024】
本発明の多孔質セラミック部材は、図2、3に示すように、Al、TiおよびOを含有する単一の結晶(擬ブルッカイト型の結晶)からなる単一結晶粒子11と、結晶軸の向きが異なる複数の前記結晶からなる多結晶粒子12とを具備している。多結晶粒子12は、言い換えると、単一結晶粒子11が複数集合してネック結合して構成されている。そして、単一結晶粒子11同士および単一結晶粒子11と多結晶粒子12とを、Siを含有する非晶質材料13で部分的に接合して、本発明の多孔質セラミック部材が構成されている。尚、図3では、多結晶粒子12を構成する単一結晶粒子の記載は省略した。多結晶粒子12もSiを含有する非晶質材料で接合されている場合もある。
【0025】
結晶軸の向きが異なる結晶とは、結晶の結晶軸としてはa軸、b軸、c軸があるが、このうち少なくとも一つの向きが異なる結晶をいい、全ての軸の向きが異なる場合であっても良い。本発明者等は、多結晶粒子12を構成する複数の結晶はc軸の向きが異なっていると考えている。
Al、TiおよびOを含有する単一の結晶は、Al、TiおよびOを含有する化合物であるチタン酸アルミニウム型の結晶であり、擬ブルッカイト型結晶ということがある。擬ブルッカイト型の結晶には、モル比による組成式がAlTiOで表されるチタン酸アルミニウム以外に、MgTiで表されるチタン酸マグネシウムがあり、これらの成分はお互いに全率固溶体を形成することが知られており、Al2(1−x)MgTi(1+x)(0.21≦x≦0.5)で表されるチタン酸アルミニウムとチタン酸マグネシウムとの固溶体(別名:チタン酸アルミニウムマグネシウム)からなる結晶が知られている。
【0026】
本発明でのAl、TiおよびOを含有する結晶とは、例えば、モル比による組成式がAlTiO、Al2(1−x)MgTi(1+x)、Al2(1−x−y)MgFe2yTi(1+x)で表される組成物がとりうる結晶をいう。Al、TiおよびOを含有する単一の結晶からなる単一結晶粒子11とは、上記した結晶のうち一つの結晶からなる単一結晶粒子11をいい、一つの結晶であるから、結晶軸は一方向を向いていることになる。
【0027】
以下、Al、TiおよびOを含有する結晶(擬ブルッカイト型の結晶)として、Al、TiおよびMgを含有する場合について説明する。これらの擬ブルッカイト型の結晶は一般的に柱状に成長するため、結晶粒子は柱状を有している。
【0028】
非晶質材料13は、Si以外にAlおよびMgを含有している。これらのAlおよびMgは、焼成時に単一結晶粒子11や多結晶粒子12から拡散してきたものである。
【0029】
単一結晶粒子11は殆どが柱状とされ、特には、アスペクト比が1.2以上とされている。この単一結晶粒子11の平均粒径は5〜20μmであることが望ましい。単一結晶粒子11の平均粒径を5〜20μmとすることにより、多孔質セラミック部材の気孔径や気孔率を大きくできるとともに、機械的強度を高く維持できる。単一結晶粒子11の平均粒径は、例えば仮焼温度を変化させることにより制御することができる。
【0030】
ここで、粒径とは、任意断面における粒子の1個当たりの面積を求め、粒子が球であると仮定してその断面に表われる円の面積に置き換えた場合の直径に換算した値をいい、画像解析により求めることができる。
【0031】
また、この多結晶粒子12は断面形状が円形、楕円形とされ、この多結晶粒子12の樹脂埋めした際の粒子断面の平均粒径は25μm以上、特には30μm以上、さらには30〜70μmであることが好ましい。この多結晶粒子12の樹脂埋めした際の粒子断面の平均粒径を25μm以上とすることにより、耐熱衝撃性を向上できる。多結晶粒子12が、複数の単一結晶粒子11により構成されているか否かは、焼結体中の多結晶粒子12の断面を顕微鏡にて観察することにより確認することができる。また、後述するEBSD分析によっても確認できる。多結晶粒子12を構成する単一結晶粒子11は、単一結晶粒子11同士がネック結合されている。
本発明では、任意断面における単一結晶粒子11の面積比率は10%以上、多結晶粒子12の面積比率は60%以上とされている。
【0032】
多結晶粒子12が、任意断面に面積比で60%以上存在することにより、さらに耐熱衝撃性を向上することができる。多結晶粒子12は、任意断面に面積比で90%以下存在することが、耐熱衝撃性と機械的強度を両立するという点から望ましい。
【0033】
単一結晶粒子11は、任意断面に面積比で10%以上存在することにより、単一結晶粒子11および非晶質材料13による多結晶粒子12の接合が強固となり、機械的強度を向上することができる。
【0034】
例えば単一結晶粒子11がAlTiOで表されるチタン酸アルミニウムの場合、単一結晶粒子11は柱状を有しているが、単一結晶粒子11の長さ方向に対して垂直方向が結晶のa軸またはb軸であり、単一結晶粒子11の長さ方向がc軸となる。この結晶の熱膨張係数はa軸が11.8×10−6/℃、b軸が19.4×10−6/℃、c軸が−2.6×10−6/℃であり、結晶方向により熱膨張異方性を示す。このような熱膨張異方性は、他の擬ブルッカイト型の結晶である、MgTi、Al2(1−x)MgTi(1+x)等についても同様なことが言える。
【0035】
本発明の多孔質セラミック部材では、単一結晶粒子11のみならず、単一結晶粒子11の集合体である多結晶粒子12が存在している。この多結晶粒子12は、5〜20個程度の柱状の単一結晶粒子11があらゆる方向に寄せ集まった組織で、単一結晶粒子11同士が相互にネック結合されている。従って、上記した熱膨張異方性は殆どない。言い換えれば、多結晶粒子12は、AlおよびTiを含有する擬ブルッカイト型の向きが異なる複数の結晶から形成されている。さらに言い換えると、多結晶粒子12は、擬ブルッカイト型の複数の結晶からなり、その向きが異なっている。
本発明の多孔質セラミック部材は、単一結晶粒子11に加えて単一結晶粒子11の集合体である多結晶粒子12が存在することにより、例えば排ガス触媒用ハニカム構造体に適用するために押出成形によってハニカム構造体を作製した場合、柱状の単一結晶粒子11は押出方向に配向しやすいが、ほぼ球状、もしくは球状に近い形状を有している多結晶粒子12を構成している柱状の単一結晶粒子11は種々の方向を向いている。これら単一結晶粒子と多結晶粒子内の各粒子の結晶方向は、EBSD(Electron Backscattered Diffraction)分析により測定することができる。
【0036】
そのため、配向している柱状の単一結晶粒子11と、柱状の単一結晶粒子11が種々の方向を向いて構成された多結晶粒子12が同時に存在した組織を持つ多孔質セラミック部材となる。そのような組織を持つことで、ハニカム構造体の成形体を焼成して冷却する時に、多結晶粒子12内部では、単一結晶粒子11の結晶軸による熱膨張の異方性のためにマイクロクラックが多数発生する一方、多結晶粒子12間に位置する単一結晶粒子11間ではマイクロクラックが少なくなる。
【0037】
そこで、マイクロクラックが多い多結晶粒子12内部では強度が小さくなるが、熱膨張係数が小さいために耐熱衝撃性が良好となる。一方、マイクロクラックが少ない単一結晶粒子11間では押出方向と押出方向と垂直方向の熱収縮率に差があるために耐熱衝性が低下するが、強度が高くなる。つまり、このような多結晶粒子12と単一結晶粒子11を持つ組織の多孔質セラミック部材は耐熱衝撃性と機械的強度を向上できる。
【0038】
図4に、EBSD分析結果を示す。EBSD分析は、結晶方向が異なる場合には、その粒子の色が異なって表示されるため、一つの粒子が、複数の結晶で構成されているか否か確認することができる。
【0039】
多結晶粒子と単一結晶粒子の割合および平均粒径は、多孔質セラミック部材のEBSD分析で複数の結晶からなる多結晶粒子と、単一の結晶からなる単一結晶粒子とを分類し、多孔質セラミック部材の金属顕微鏡写真と画像解析装置による分析により求めることができる。
また、本発明の多孔質セラミック部材では、SiをSiO換算で全量中0.5〜5質量%含有することが望ましい。SiをSiO換算で全量中0.5〜5質量%とすることにより、擬ブルッカイト型の結晶粒子同士を、Siを含有する非晶質材料で十分に連結でき、強度を向上できるとともに、Si量が少量であるため、気孔率および気孔径の低下を抑制できる。Si量は、強度および所定の気孔率および気孔径を得るという観点から、SiO換算で全量中1〜3質量%含有することが望ましい。Si量は、蛍光X線分析法やICP(Inductively Coupled Plasma)発光分析法により測定することができる。
【0040】
さらに、本発明の多孔質セラミック部材は、柱状の単一結晶粒子11および多結晶粒子12内にFeを含有することが好ましい。Feを含有する擬ブルッカイト型の結晶としてはチタン酸鉄があり、前記チタン酸アルミニウムやチタン酸マグネシウムとお互いに全率固溶体を形成する。例えば、組成式がAl2(1−x)Fe2xTiO(0.4≦x≦0.9)で表されるチタン酸アルミニウムとチタン酸鉄との固溶体(別名:チタン酸アルミニウム鉄)からなる結晶がある。またさらに、例えば、組成式がAl2(1−x−y)MgFe2yTi(1+x)(0.21≦x≦0.8、0.05≦y≦0.2)で表されるチタン酸アルミニウムとチタン酸マグネシウムとチタン酸鉄との3成分からなる固溶体からなる結晶がある。本発明の多孔質セラミック部材では、前記粒子の結晶がチタン酸アルミニウム−チタン酸マグネシウム−チタン酸鉄の3成分が固溶した擬ブルッカイト型の結晶とすることにより、熱化学的に安定した成分となり、熱による分解を抑制し、耐熱性を向上できる。
【0041】
次に、本発明の多孔質セラミック部材の製法について説明する。先ず、例えば、Al2(1−x)MgTi(1+x)で表される固溶体を形成するために必要な原料を準備する。尚、この固溶体にFeが固溶する場合もあるが、ここでは、Feが固溶しない場合について説明する。
【0042】
例えば、アルミナ原料、チタニア原料、炭酸マグネシウム原料を所定の組成となるように調合し、混合する。なお、Al2(1−x)MgTi(1+x)の固溶体を形成できるのであれば、金属酸化物、炭酸塩の代わりに、水酸化物、硝酸塩などの原料を用いても良く、またこれらの化合物を用いても良い。
【0043】
アルミナ原料、チタニア原料、炭酸マグネシウム原料としては、高純度のものを用いることが望ましく、99.0%以上、特に99.5%以上の純度のものを用いることが望ましい。
【0044】
また、上記アルミナ原料、チタニア原料、炭酸マグネシウム原料の混合原料を造粒する。造粒は、乾式で混合して造粒したり、回転ミル、振動ミル、ビーズミル等のミルに投入し、水、アセトン、イソプロピルアルコール(IPA)のうち少なくともいずれか1種とともに湿式混合したスラリーを乾燥し、造粒する。スラリーの乾燥方法としては、スラリーを容器に入れて加熱、乾燥させて、造粒してもよいし、スプレードライヤーで乾燥させて造粒しても良く、または他の方法で乾燥させて造粒しても何ら問題ない。造粒粉は、例えば平均粒径が50μm以上の球状の造粒粉を作製する。
【0045】
この後、造粒粉を酸素含有雰囲気、例えば大気中で仮焼する。仮焼温度は、擬ブルッカイト型結晶を十分生成すべく、擬ブルッカイト型結晶が生成する温度(1200℃程度)よりも少々高い1400℃以上で1〜5時間仮焼する。仮焼温度は、特には、1450℃以上、さらには1470℃以上が望ましい。一方、仮焼粉末が強固に凝集するのを防ぐという観点から、仮焼温度は1500℃以下 であることが望ましい。これにより、Al、Mg、Tiが固溶した擬ブルッカイト型の結晶粉末を作製する。この仮焼により、ほぼ擬ブルッカイト型結晶100%の粉末を作製する。
【0046】
この仮焼粉末は、造粒粉の寸法、形状を反映し、平均粒径が25μm以上の球状の仮焼粉末となっている。この仮焼粉末は、後述する仮焼多結晶粒子粉末となる。尚、この仮焼粉末は、複数の柱状の単一結晶粒子が集合した組織となっている。仮焼温度が高くなるほど仮焼多結晶粒子粉末は収縮して少し小さくなり、多結晶粒子を構成している単一結晶粒子は大きくなる。本発明でのネック結合とは、粒子間が焼付き部で接合している状態をいい(セラミックス辞典:日本セラミックス協会編参照)、完全な焼結ではなく、焼結途中段階の状態をいう。
【0047】
次に、この仮焼粉末を乾式または湿式により解砕し、所定の割合で球状の仮焼粉末からそれを構成している柱状の仮焼粉末へ解砕を行う。解砕は、例えば、容器内にセラミックボールと仮焼粉末とを入れて容器を回転することにより行ない、解砕時間は0.5〜10時間とすることができるが、特にこれに限定されるものではなく、解砕後の粉末が、仮焼多結晶粒子粉末と仮焼単一結晶粒子粉末が混在したものとなる状態とする必要がある。従って、解砕条件、例えば、セラミックボールの粒径、解砕時間等を変更することにより、仮焼多結晶粒子粉末と仮焼単一結晶粒子粉末の割合を調整することで、解砕した粉末の粒度を容易に制御でき、その結果、得られる多孔質セラミック部材の気孔率や気孔径を制御することが可能となる。
【0048】
そして、擬ブルッカイト型の結晶粉末に対し、SiO粉末を添加し、混合する。混合方法は、乾式または湿式で行うことができる。SiO粉末は、平均粒径1〜3μmの粉末を用いる。この範囲の粒径の粉末を用いることにより、SiO粉末を仮焼粉末の表面に均一に分散させることができる。
【0049】
この混合粉末に成形助剤を添加し、押出成形によりダイスを用いて例えばハニカム形状に成形する。得られた成形体を充分に乾燥した後、酸化雰囲気中において、仮焼温度よりも低い温度である1400℃未満で0.5〜5時間焼成することにより、ハニカム形状の多孔質セラミック部材を形成することができる。
【0050】
具体的に説明すると、仮焼時に、多結晶粒子を構成する仮焼多結晶粒子粉末が形成されるが、この仮焼多結晶粒子粉末の解砕を、十分に行うのではなく、中途半端に解砕する。言い換えれば、多数の仮焼多結晶粒子粉末のうち一部は、仮焼多結晶粒子粉末を構成する仮焼単一結晶粒子に解砕されるが、一部の仮焼多結晶粒子粉末はそのまま、もしくは外周が少し解砕されて存在し、解砕後の粉末は、仮焼多結晶粒子粉末と仮焼単一結晶粒子粉末とが混在した状態とする。そして、この状態で、仮焼温度よりも低い温度で、Siを含有する非晶質材料を混合して焼成することにより、単一結晶粒子11同士、および単一結晶粒子11と多結晶粒子12とを、仮焼後の粒子状態を殆ど保持した状態で、Siを含有する非晶質材料13で接合した組織とすることができる。
【0051】
このように、単一結晶粒子11同士、および単一結晶粒子11と多結晶粒子12とを、仮焼後の粒子状態を殆ど保持した状態で、Siを含有する非晶質材料13で接合した組織とするには、仮焼温度よりも低い温度で焼成する必要があり、しかもそのような焼成温度で焼結しないように、仮焼単一結晶粒子粉末の粒径が大きいことが望ましい。仮焼単一結晶粒子粉末の平均粒径は10〜30μmであることが望ましい。
【0052】
このような製法では、低温で焼成することにより、擬ブルッカイト型の結晶粒子から、Al、Mgが非晶質材料中に拡散しようとするが、Al、Mgが粒子の外周部側に拡散し、一部は非晶質材料中に拡散し、一部は結晶粒子の外周部に残存し、結晶粒子の中央部と外周部にAl、Mgを一定以上含有するとともに、AlおよびMgが結晶粒子の中央部よりも外周部に多く含有する組織にでき、耐薬品性を向上できる。また、Al、Mg、Si等の元素の相互拡散を抑制できるため、設計通りの結晶粒子を得ることができ、設計通りの耐熱分解性等を得ることができる。
【0053】
このような多孔質セラミック部材の製法では、仮焼粉末を解砕して、仮焼単一結晶粒子粉末と、粒径が25μm以上の仮焼多結晶粒子粉末とを具備する混合粉末を作製し、この混合粉末にSiO粉末を添加してなる原料粉末を成形し、仮焼温度よりも低い温度で焼成するため、単一結晶粒子11、多結晶粒子12が殆ど焼結することなく、Siを含有する非晶質材料13で接合できるため、造孔剤を用いることなく、気孔率が大きく、気孔径が大きい多孔質セラミック部材を得ることができる。
【0054】
本発明のフィルタは、容器内に上記フィルタエレメントを収容して構成される。これにより、耐熱衝撃性と機械的強度が高く、長期信頼性が高いフィルタを得ることができる。
【0055】
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【実施例1】
【0056】
用いたアルミナ原料は日本軽金属社製のLS110であり、平均粒径が1.5μm、アルカリ金属の不純物量が0.1質量%、シリコンの不純物量が0.1質量%である。また、用いたチタニア原料はテイカ社製のJA−3であり、平均粒径が0.2μm、アルカリ金属の不純物量が0.3質量%である。また、用いた炭酸マグネシウム原料はトクヤマ社製の炭床TTであり、見掛比重が0.23g/ml、アルカリ金属およびシリカの不純物が含まれないものである。酸化鉄原料は、JFEケミカル製のJC−Wであり、平均粒径が1.0μmのものを用いた。
【0057】
また、シリカ原料は、丸釜釜戸陶料社製のスノーマークSP−3であり、平均粒径が1.2μmのものを用いた。
【0058】
先ず、Al0.6Mg0.6Fe0.2Ti1.6からなる擬ブルッカイト型の結晶粉末となるように、上記のアルミナ原料、チタニア原料、炭酸マグネシウム原料、酸化鉄原料を調合し、溶媒にイソプロピルアルコール(IPA)を添加し、媒体に直径10mmのアルミナボールを用いて回転ミルで72時間混合してスラリーを作製した。このスラリーを110℃に加熱してIPAを揮発させて乾燥し、造粒した。この造粒粉はほぼ球状をなしており、造粒粉の平均粒径は表1に示すような粒径であった。造粒粉の平均粒径は、メッシュ処理によりメッシュの開き径を変えたり、メッシュをパスしたものまたはメッシュの上に残ったものを選択することにより変化させた。
【0059】
この造粒粉を、大気中において、表1に示す温度で仮焼し、Al、Ti、MgおよびFeを含有する擬ブルッカイト型結晶を合成し、仮焼粉末を得た。
【0060】
次に、この仮焼粉末を表1に示す直径のアルミナ製ボールを用いて表1に示す時間でボールミルにより解砕した。本発明の試料では、解砕されずに残った球状の仮焼多結晶粒子粉末と、解砕されて得られた柱状の仮焼単一結晶粒子粉末とが観察された。
【0061】
なお、試料No.7は仮焼多結晶粒子粉末が完全に無くなるまで解砕したものである。
【0062】
これらの解砕した仮焼粉末100質量部に対して、シリカ粉末を表1に示す量だけ添加して、万能混練機により混合し、原料粉末を得た。
【0063】
この原料粉末100質量部に、メチルセルロースを15質量部、エマルジョンワックスを5質量部、イオン水を25質量部添加して万能混合機により混練し、押出成形用坏土を得た。
【0064】
次に、この坏土をダイスを用いて直径150mm、長さ100mmの円柱状ハニカム体を成形した。得られた成形体を80℃、24時間、大気中で乾燥した後、大気中において、表1に示す温度で4時間焼成して、多孔質セラミック部材からなる円柱状ハニカム体を得た。
【0065】
得られた多孔質セラミック部材の気孔に樹脂を充填したものの断面を、EBSD(Electron Backscattered Diffraction)分析により単一結晶粒子と多結晶粒子とに分類し、金属顕微鏡と画像解析装置を用いて、多結晶粒子の面積比率、単一結晶粒子の面積比率%を測定し、表2に記載した。また、多結晶粒子および単一結晶粒子について平均粒径を求め、表2に記載した。面積比率は、200倍の金属顕微鏡写真から、600μm×450μmの面積で測定した。
得られたハニカム構造体を切り出して、気孔率および気孔径を水銀圧入法により求めた。また、このハニカム構造体を大気中において1400℃まで1分で急激に昇温した後放冷した時にハニカム構造体内部にクラックが発生したかどうかをX線透過法で観察して調べた。具体的には急激に昇温した各10個のハニカム構造体を用意し、透過型X線装置を用いて、このハニカム構造体にX線を照射してハニカム構造体表面または内部にクラックがないかを調べた。表2には各10個のハニカム構造体いずれにもクラックが認められなかったものを○、1〜2個のクラックが認められたものを△、3個以上のクラックが認められたものを×として表記した。なお、このクラックは隙間が数百μm以上のものであり、隙間が1μm未満のマイクロクラックを含まない。
【0066】
また、上記原料粉末100質量部に、パラフィンワックスを5質量部、IPAを添加して混合、乾燥したものを丸棒に成形した後、ハニカム体と同様に大気中において焼成したものを用意し、直径5mm長さ40mmの試料をスパン30mm、クロスヘッド速度0.5mm/minの条件で3点曲げ強度の測定をおこなった。各結果を表2に示す。
【0067】
【表1】

【0068】
【表2】

【0069】
表1、2から明らかなように、本発明の範囲である試料No.1〜6は気孔径が8μm以上、気孔率が35%以上の多孔質セラミック部材であり、耐熱衝撃性に優れ、かつ3点曲げ強度が10MPa以上であることがわかる。これに対し、本発明の範囲外の試料No.7は3点曲げ強度が18MPaと高いものの、気孔径が小さく、気孔率も低く、耐熱衝撃性も低いものであった。
【実施例2】
【0070】
先ず、Al1.2Mg0.2Fe0.4Ti1.2からなる擬ブルッカイト型の結晶粉末となるように、上記のアルミナ原料、チタニア原料、炭酸マグネシウム原料、酸化鉄原料を調合し、上記実施例1と同様にして、造粒した。この造粒粉はほぼ球状をなしており、造粒粉の平均粒径は90μmであった。
【0071】
この造粒粉を、大気中において、1510℃で仮焼し、Al、Ti、MgおよびFeを含有する擬ブルッカイト型結晶を合成し、仮焼粉末を得た。この仮焼粉末を10μmのアルミナ製ボールを用いて2時間ボールミルにより解砕した。この試料では、解砕されずに残った球状の仮焼多結晶粉末と、解砕されて得られた柱状の仮焼単一結晶粉末とが観察された。
【0072】
これらの解砕した仮焼粉末100質量部に対して、シリカ粉末を2質量%部添加して、万能混練機により混合し、原料粉末を得た。
【0073】
この原料粉末100質量部に、メチルセルロースを15質量部、エマルジョンワックスを5質量部、イオン水を25質量部添加して万能混合機により混練し、押出成形用坏土を得た。
【0074】
次に、この坏土をダイスを用いて直径150mm、長さ100mmの円柱状ハニカム体を成形した。得られた成形体を80℃、24時間、大気中で乾燥した後、大気中において、
1375℃で4時間焼成して、多孔質セラミック部材からなる円柱状ハニカム体を得た。
【0075】
得られた多孔質セラミック部材について、多結晶粒子と単一結晶粒子の面積比、平均粒径、および気孔径、気孔率、耐熱衝撃性、3点曲げ強度を実施例1と同様にして求めたところ、多結晶粒子の面積比率は89%、平均粒径は43μm、単一結晶粒子の面積比は11%、平均粒径は18μmであり、 気孔径は16μm、気孔率は47%、3点曲げ強度は10MPaであり、耐熱衝撃性については10個のハニカム構造体にいずれもクラックが認められなかった。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の多孔質セラミック部材を用いたハニカム構造体(フィルタエレメント)を示す斜視図である。
【図2】本発明の多孔質セラミック部材の組織を示す表面写真である。
【図3】本発明の多孔質セラミック部材の組織を示す模式図である。
【図4】EBSD分析結果を示す写真である。
【符号の説明】
【0077】
1・・・フィルタエレメント
2・・・外周壁
3・・・セル
4・・・隔壁
11・・・単一結晶粒子
12・・・多結晶粒子
13・・・非晶質材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Al、TiおよびOを含有する単一の結晶からなる単一結晶粒子と、結晶軸の向きが異なる複数の前記結晶からなる多結晶粒子とを具備してなり、前記単一結晶粒子同士および前記単一結晶粒子と前記多結晶粒子とを、Siを含有する非晶質材料で部分的に接合してなることを特徴とする多孔質セラミック部材。
【請求項2】
前記多結晶粒子は、平均粒径が25μm以上であることを特徴とする請求項1に記載の多孔質セラミック部材。
【請求項3】
前記多結晶粒子は、任意断面に面積比で60%以上存在することを特徴とする請求項1または2に記載の多孔質セラミック部材。
【請求項4】
Al源粉末およびTi源粉末を含有する混合粉末を用いて造粒粉末を作製する造粒工程と、前記造粒粉末を1400℃以上の仮焼温度で仮焼して仮焼粉末を作製する仮焼工程と、前記仮焼粉末を解砕して、Al、TiおよびOを含有する単一の結晶からなる仮焼単一結晶粒子粉末と、結晶軸の向きが異なる複数の前記結晶からなる仮焼多結晶粒子粉末とを具備する混合粉末を作製する解砕工程と、前記混合粉末にSiO粉末を添加してなる原料粉末を作製する原料粉末作製工程と、前記原料粉末を用いて成形体を作製する成形工程と、前記成形体を、前記仮焼温度よりも低い温度で焼成する焼成工程とを具備することを特徴とする多孔質セラミック部材の製法。
【請求項5】
請求項1乃至3のうちいずれかに記載の多孔質セラミック部材からなるフィルタエレメントを具備することを特徴とするフィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−77008(P2010−77008A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−327194(P2008−327194)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】