説明

多孔質体及びその製造方法

【課題】
フィルター、電池セパレーター等微細な空孔を有する多孔質体を要求する分野がある。しかし従来のエマルジョン、樹脂液から多孔質体を製造する方法では、固化に時間を要し、その間に気泡が連結し成長して大きくなってしまい微細な空孔を有する多孔質体を製造することができなかった。
【解決手段】
そこで、本件発明では、樹脂の分散体であるエマルジョン、又は樹脂の液状高分子体を発泡し、この発泡物を電界中で固化することにより固化を促進させ、見かけ比重が小さく微細な空孔を有する多孔質体を得ることができるようにし、各種用途の要求に応じることができるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、樹脂の分散体としてのエマルジョン、又は樹脂の液状高分子体などから製造した多孔質体とその製造方法についてであり、さらに詳しく述べると、微細な空孔を持つ多孔質体とその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
樹脂の多孔質体は、その特性からクッション、フィルター、電池セパレーター、断熱材、塗布具、吸着剤、洗浄ロール、バススポンジ等に用いられている。これらの用途のうち、フィルター、電池セパレーター、分離膜、塗布具など、より軽量でより微細な空孔を持つ多孔質体を要求する分野がある。
【0003】
従来、エマルジョン、樹脂液から多孔質体を製造する方法としては、
1. 樹脂の分散体であるエマルジョンを発泡し、これに固化剤を加え化学的に固化し多孔質体とする方法。
2. 樹脂の分散体であるエマルジョンを発泡し、これに熱を加えて固化し多孔質体とする方法。
3. 液状高分子体やプレポリマーを発泡し、硬化反応、架橋反応などの方法によって固化し多孔質体とする方法。
などが知られている。
これらの方法で微細な空孔を持つ多孔質体を製造しようとすれば、微細な気泡の発泡物を作成しこれを固化することになる。
【特許文献1】特許第3544542号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記1の方法の場合、高速撹拌機によって微細な気泡の発泡物を作成することができるが、固化までの時間が最短でも100秒を要するため、その間に気泡が連結し成長して大きくなってしまう。よってこの方法では、30μm 以下の微細な空孔を有する多孔質体は製造することができなかった。また、上記2の方法の場合も上記1の方法の場合と同様であるが、外部より熱を加えるため、表面と内部とで固化時間に差が生じ、均一な空孔をもつ多孔質体を製造することができない。また、この方法では、厚さが8mmを超える均一な多孔質体を製造することが出来ない。また、上記3の方法でも上記1の方法と同様に発泡から固化までに時間を要し、その間に気泡が連結し成長して大きくなってしまい微細な空孔を有する多孔質体を製造することができなかった。
【0005】
発泡において、樹脂と気体(気泡)の比を調整して、樹脂の比率を上げることが微細な気泡の発泡物を作成するには有利である。しかしながら、従来の上記1〜3の方法では、見かけ比重が小さくかつ微細な空孔を持つ多孔質体を製造することはできなかった。特に、見かけ比重が0.12g/cm3以下で、平均空孔径が50μm以下の多孔質体を製造することはできなかった。
【0006】
そこでこの発明は、微細な空孔を持つ多孔質体とその製造方法を提供して上記課題を解決しようとするものであり、さらに、見かけ比重が小さくかつ微細な空孔を持つ多孔質体とその製造方法を提供して上記課題を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の発明者は、発泡物中に電界を発生させることにより固化が促進することを見出し、鋭意研究した結果、この発明を完成したものである。
【0008】
すなわち、請求項1の発明は、樹脂の分散体であるエマルジョン、又は樹脂の液状高分子体を発泡し、この発泡物を固化した、見かけ比重0.12g/cm3以下、空孔径50μm以下である構成の多孔質体とした。また、請求項2の発明は、樹脂の分散体であるエマルジョン、又は樹脂の液状高分子体を発泡し、この発泡物を電界中にて固化した多孔質体とした。更に、請求項3の発明は、上記請求項2の発明の製造方法であり、樹脂の分散体であるエマルジョン、又は樹脂の液状高分子体を発泡し、この発泡物を電界中にて固化する、多孔質体の製造方法とした。
【発明の効果】
【0009】
請求項1乃至3の発明により、軽量で微細な空孔をもつ多孔質体を製造することができ、各種用途の要求に応じることができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
上記エマルジョンとは、樹脂を分散媒に分散した分散体であり、ラテックスとも呼ばれるものである。上記樹脂とは、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ゴム、エラストマー、およびそれらの合成物である。熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、スチレン樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、ABS樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアセタール、ポリアミド樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、及びそれらの共重合体などが使用できる。
【0011】
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、およびそれらの共重合体などが使用できる。ゴムとしては、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、エピクロロヒドリンゴム、NBR、MBR、CR、フッ素ゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、EPM、EPDM、およびそれらの共重合体などが使用できる。エラストマーとしては、スチレン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリブタジエン系エラストマー、およびそれらの共重合体などが使用できる。これらのゴム、エラストマー、樹脂は単独で使用することもでき、また、2種類以上を混合して使用することもできる。
【0012】
分散させる分散媒としては、水、有機溶剤を使用でき、好ましくは水、炭化水素、アルコール、ケトン、エーテルを使用することができ、また樹脂を分散媒に分散する方法としては、各種の公知の方法が使用でき、たとえば、樹脂の原料であるモノマーを分散媒に分散、乳化し、重合する方法を使用することができる。また、樹脂溶液を作成し、分散媒に分散、乳化する方法も使用することが出来る。
【0013】
上記液状高分子体とは樹脂の溶液、液状樹脂、又は樹脂の前駆体である。樹脂としては、前述の樹脂が使用できる。樹脂の溶液の溶媒としては、水、有機溶剤が使用できる。また、液状樹脂とは、発泡物を作成する温度において液状となっている樹脂のことである。また、樹脂の前躯体とは、反応後に前述の樹脂などへ樹脂化する物質のことである。これらの例としては、エポキシ化合物、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリイソシアネート、メラミン化合物、尿素化合物、フェノール化合物、アクリル化合物、スチレンなどが挙げられる。これらは架橋剤、硬化剤、触媒とともに使用できる。
【0014】
これらのエマルジョン、液状高分子体を、発泡し、泡状の発泡物とする。発泡する方法としては、エマルジョン、液状高分子体に、気体を機械的に撹拌混合する方法、熱で気体を発生させる方法、化学反応により気体を発生する方法などを使用することができる。
【0015】
このようにして製造した発泡物を、電界中にて固形化する。電界を発生させる手段としては、電極間に電圧を印加する方法、電磁波の照射による方法などを使用することができる。電界は正逆を時間で反転して使用することができる。この際の反転するための周波数は各種周波数を使用できる。1Hzから100MHzを使用でき、好ましくは10Hzから10MHz、より好ましくは20Hzから1MHzである。
【0016】
また、印加する電圧は、各種波形が使用できるが、好ましくはサイン波、矩形波、のこぎり波が使用できる。電圧はバイアスを掛けて使用することができ、好ましくは使用する発泡物の導電性、電極材質などによってプラスバイアス、マイナスバイアスを使用することができる。
【0017】
電極は上記発泡物を入れる容器などに予め設けることができるし、また発泡物を入れた容器などに後から挿入することもできる。電極としては、各種導電性の物質が使用でき、金属、カーボン、セラミック等が挙げられる。印加する電圧は特に制限はなく、1Vから5000Vまで使用でき、好ましくは10Vから1000V、より好ましくは50Vから500Vである。
【0018】
通常は、発泡物が発泡してから、少なくとも固化するまでの間に電界を掛ける。電界を掛ける時間は特に限定されないが、1秒以上、好ましくは5秒以上、より好ましくは10秒以上である。また、上限は固化するまでであるが、4分以下、好ましくは2分以下、より好ましくは1分以下である。また、固化後にも電界をかけ続け、より固化を強固にすることもできる。
【0019】
電界を掛ける時間を前述の範囲とし、固化するまでの時間を短縮することは、微細な空孔を持つ多孔質体を製造するために好ましい。電界は連続して掛けることができるが、断続的に掛けることもできる。
【0020】
本発明に使用する電界は、10V/mから100KV/mの電界が使用でき、好ましくは、100V/mから10KV/mの電界が、より好ましくは200V/mから5KV/mの電界が使用できる。
【0021】
固化するとは、発泡時の状態が変化し、粘度が急上昇し発泡物の発泡構造が固定化されることである。
【0022】
このようにして、見かけ比重が0.12g/cm3以下で、平均空孔径が50μm以下の多孔質体が得られる。また、電界を掛ける時間を短縮することで、見かけ比重が0.12g/cm3以下で、平均空孔径が30μm以下の多孔質体が得られる。さらにまた、電界中に置く時間をより短縮することで、見かけ比重が0.10g/cm3以下で、平均空孔径が50μm以下の多孔質体や見かけ比重が0.08g/cm3以下で、平均空孔径が50μm以下の多孔質体が得られる。
【0023】
また、シート状に発泡物を成形し、電界中に置いて固化し多孔質体とすることもできる。この場合、電極は搬送用ベルトに設置したり、発泡物に接触するよう設置したり、発泡物に近接して設置することができる。
【0024】
電界をかける場合は上記の条件により行い、発泡物が固化するまで行うことが好ましいが、固化するまでの期間の一部にかけることもできる。固化後は電界を除去することができるが、固化後も必要に応じて延長して電界をかけることで固化した発泡物をより強固に固化することもできる。電界をかけることは、発泡物の発泡直後に行うことが好ましい。また、発泡物の発泡が完了する前から電界をかけつつ発泡することもできる。
【0025】
このように発泡物に電界をかけることにより、発泡物の固化が促進され、微細な空孔を持つ多孔質体を製造可能となる。なぜ固化が促進されるのかは、現時点では不明であるが、発明者としては電界中で、発泡物中の荷電粒子がエネルギーを得て運動することにより電気エネルギーが発泡物に転化し発泡物内部に化学的変化を起こさせ、固化を促進するものと考えている。
【0026】
発泡物を製造する原料エマルジョン、液状高分子体には添加剤を添加することができる。添加剤としては、発泡剤、発泡助剤、起泡剤、気泡安定剤、架橋剤、硬化剤、加硫促進剤、触媒、可塑剤、充填剤、滑剤、老化防止剤、酸化防止剤、UV吸収剤、安定剤、着色剤、付香剤、消臭剤、防腐剤、抗菌剤、防黴剤、固化助剤、増粘剤、減粘剤、導電剤、などが使用できる。
【0027】
これら添加剤のうち、固化助剤としては、金属酸化物、塩、酸、溶剤、界面活性剤などが使用でき,好ましくは酸化亜鉛、ケイフッ化ナトリウム、ケイフッ化カリウムなどのケイフッ化塩、塩酸、酢酸、アルコール、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、シリコン系界面活性剤が使用できる。この固化助剤は、電界中での固化を速める働きがある。固化助剤は、原料エマルジョン、液状高分子体100重量部に対して、0.1重量部から20重量部を使用することができ、好ましくは0.5重量部から10重量部、より好ましくは1.0重量部から5重量部である。これより少なければ、固化する時間が掛かり微細な空孔を持つ多孔質体が得られない。
【0028】
導電剤としては、エマルジョンや液状高分子体の発泡物の固化時に電界中で移動する荷電粒子となりうる物質が使用できる。これらの例としては、陽イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオンなどのアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、4級化アンモニウムイオン、陰イオン、ハロゲンイオン、過ハロゲン酸イオン、ホウ酸イオン、オキソ酸イオン、硫黄酸化物イオン、窒素酸化物イオン、燐酸化物イオン、炭素酸化物イオン、珪素酸化物イオン、金属の錯イオンなどを生成するそれらのイオン化合物や未水和の共有化合物が挙げられる。また、尿素、チオ尿素などの尿素化合物、アミノ酸なども使用できるが、これらに限定されるものではない。導電剤は、原料エマルジョン、液状高分子体100重量部に対して、0.05重量部から20重量部を使用することができ、好ましくは0.1重量部から10重量部である。また、原料エマルジョンや液状高分子体あるいは各種の添加剤に、導電剤となりうる物質があらかじめ含まれている場合は、不足分を添加することになる。導電剤は単独で使用することも出来るが、2種以上を組み合わせて使用することが導電度が高まり好ましい。
【0029】
このように各種添加剤を添加した原料エマルジョン、液状高分子体の電気伝導度は、未発泡状態にて、体積固有抵抗を10Ω/cm3 から100MΩ/cm3 とすることができ、好ましくは1KΩ/cm3 から50MΩ/cm3とすることができ、より好ましくは10KΩ/cm3 から10MΩ/cm3 とすることができる。このような範囲に調整することによって、荷電粒子の運動効率が適度に保たれ、均一な多孔質体を得ることができる。導電性がこの範囲より低ければ、固化に要する時間がかかりすぎて微細な空孔が得られない。また、導電性が高すぎれば、均一な固化ができなくなり、均一な多孔質体が得られない。
【0030】
このようにして固化して作成した多孔質体から、必要に応じて原料としたエマルジョンや液状高分子体に含まれる分散媒、溶媒などを除去する。その方法としては、乾燥、洗浄などの方法がある。また、分散媒等の除去に前後して、固化した発泡物を架橋しゴム弾性を付与したり、硬化させたり、樹脂化することができる。以上のようにして、この発明の多孔質体を製造することができる。
【実施例1】
【0031】
1対の電極をもつ容器を用意した。原料エマルジョンとして、天然ゴムラテックス(固形分濃度60%)を用意した。このエマルジョンの固形分100重量部に対し、起泡剤兼導電剤(オレイン酸カリウム) 1.5重量部、 架橋剤(硫黄) 1.5重量部、加硫促進剤(EZ)1.5重量部、気泡安定剤(トリメンベース) 0.5重量部、 固化助剤 (酸化亜鉛 3.0重量部、ケイフッ化ナトリウム 3.0重量部) 6.0重量部、および空気を撹拌混合し起泡し発泡物を作成した。発泡物を直ちに容器に導き、電極間に交流70Vを印加した。印加後60秒で発泡物は流動性がなくなり固化した。この後電圧の印加を停止し、蒸気にて1時間約100℃に加温し加硫を行った。固化した発泡物はゴム弾性が付与された多孔質体となった。水洗、乾燥を行い最終製品とした。この多孔質体は、比重0.1g/cm3、平均空孔径45μm、の微細構造であった。この多孔質体の比重の測定方法は、多孔質体より直方体を切出し、その重量[g]を体積[cm3]にて除して算出したものであり、平均空孔径は多孔質体の切断断面の拡大写真により、空孔の直径を測定したものであり、空孔が球状であれば、球の直径を測定した。体積固有抵抗値は、3cm角の二つの電極を3cm離して対向させ、これを原料混合物に挿入しブリッジにより抵抗値を計ったものである。なお、以下に示す実施例、比較例は全て、同一の測定条件の下でおこなった。
【実施例2】
【0032】
1対のステンレス製電極(電極間距離80mm)をもつ容器を用意した。原料エマルジョンとして、NBRラテックス(日本ゼオン製LX-531B、固形分濃度66%)を用意した。このエマルジョンの固形分100重量部に対し、架橋剤(硫黄) 1.5重量部、加硫促進剤(EZ)1.5重量部、導電剤(炭酸ナトリウム) 0.2重量部、気泡安定剤(トリメンベース) 0.5重量部、 固化助剤 (酸化亜鉛 3.0重量部、ケイフッ化ナトリウム 3.0重量部) 6.0重量部、および空気(比重となる量)を撹拌混合し起泡し発泡物を作成した。この際、混合する空気の量を違えて、以下の表1に示す通り比重の違いを出した。具体的には、実施例2−1及び実施例2−2については比重を0.12g/cm3とし、実施例2−3については0.1g/cm3とし、実施例2−4については0.08g/cm3とした。なお、このエマルジョンにはあらかじめオレイン酸カリウムが含まれている。この後、直ちに電極間に表1に示す各電圧で50Hzのサイン波交流電圧を印加した。印加後発泡物は流動性がなくなり固化した。この後電圧の印加を停止し、蒸気にて1時間約100℃に加温し加硫を行った。固化した発泡物はゴム弾性が付与された多孔質体となった。水洗、乾燥を行い最終製品とした。この発泡物の、空気を混合しない状態の体積固有抵抗は200KΩであった。製造された各多孔質体の比重と平均空孔径と気泡状態を表1に示した。
【0033】
【表1】


【実施例3】
【0034】
1対の電極をもつ容器を用意した。原料液状高分子体として、ポリエチレングリコール(分子量2000)に発泡剤としての水、導電剤として過塩素酸リチウム、反応触媒、シリコン系整泡剤を加えたものに、トルエンジイソシアネートを混合した。混合後ただちに前述容器に入れ発泡が始まると同時に電極間に交流100Vを印加した。印加後10秒で固化した。この後印加を継続し、60℃に1時間保ち架橋反応を行い弾性スポンジを得た。この多孔質体は、比重0.075g/cm3、平均空孔径40μm、の微細構造であった。
【0035】
発泡物に電界をかけるかどうかで得られる多孔質体に差が生じることを以下の比較例にて示す。
【0036】
比較例1:
実施例1と同様に操作したが、電圧の印加は行わなかった。発泡物は作成から4分後に固化した。得られた多孔質体は、比重0.1g/cm3、平均空孔径250μm、であった。
【0037】
比較例2:
実施例2と同様に操作したが、電圧の印加は行わなかった。固化に要した時間と、平均空孔径を表1に示した。比較例2−1は、実施例2−1、2−2と同一条件下で、また、比較例2−2、2−3はそれぞれ実施例2−3、2−4と同一条件下で多孔質体の製造をおこなったことを示しているが、得られた多孔質体はいずれも、電界中で固化した実施例2の場合に比べて、見かけ比重が大きくかつ空孔径が100μm以上のものである。
【0038】
比較例3:
実施例3と同様に操作したが、電圧の印加は行わなかった。発泡開始から30秒後に固化した。その後60℃に1時間保ち架橋反応を行い弾性スポンジを得た。得られた多孔質体は、比重0.075g/cm3、平均空孔径100μm、であった。
【0039】
以上のように、上記実施例1乃至3はいずれも比較例1〜3と比べて見かけ比重が小さくかつ空孔径が50μm以下の小さい多孔質体が得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂の分散体であるエマルジョン、又は樹脂の液状高分子体を発泡し、この発泡物を固化して、見かけ比重0.12g/cm3以下、空孔径50μm以下である構成としたことを特徴とする多孔質体。
【請求項2】
樹脂の分散体であるエマルジョン、又は樹脂の液状高分子体を発泡し、この発泡物を電界中で固化したことを特徴とする多孔質体。
【請求項3】
樹脂の分散体であるエマルジョン、又は樹脂の液状高分子体を発泡し、この発泡物を電界中で固化することを特徴とする、多孔質体の製造方法。

【公開番号】特開2006−233093(P2006−233093A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−51717(P2005−51717)
【出願日】平成17年2月25日(2005.2.25)
【出願人】(392003018)雪ヶ谷化学工業株式会社 (7)
【Fターム(参考)】