説明

多導管流量率コントローラ

1つの質量流量を複数N個の副次流に分割するシステムは、1つの質量流量を受けるように構成されている入口と、マスタFRC(流量比コントローラ)と、1つ以上のスレーブFRCとを含む。各FRCは、入口に接続されており、少なくとも1つの副次流導管を含む。マスタFRCおよびスレーブFRCは、組合せにおいて、N個の副次流導管を含む。各流導管i(i=1、...N)は、N個の副次流の内対応する1つを搬送するように接続されている。ホスト・コントローラから事前選択比率設定点に応答して、マスタFRCおよびスレーブFRCは、個々の流量Q(i=1、...N)と総流量Qとの間おける比率Q/Q(i=1、...N)を、事前選択比率設定点に維持する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
多数の用途において、気体またはその他の流体を正確な量だけ処理チェンバおよび/またはその他の設備に配送することが必要な場合がある。これらの用途には、半導体システムの製作を含むことができるが、これに限定されるのではない。
【0002】
用途の中には、多数の処理設備間においてプロセス気体またはその他の流体を複合して配送または分割することが必要となる場合もある。流量分割用途の例には、エッチング、剥離(stripping)、およびPECVD(プラズマ・エンハンス化学蒸着)を含むことができるが、これらに限定されるのではない。これらの場合、複合プロセス気体を収容するガスボックスの1つの出口を多数のチェンバおよび/または処理設備に、副流導管を通じて接続することもある。
【0003】
FRC(流量率コントローラ)を用いると、事前選択流量率に応じて主要流を複数の副次流導管に分割することができる。1つの質量流量を2つの副次流導管に分割する二重導管流量率コントローラには、多数の設計が実施されている。
【0004】
用途の中には、1つの質量流量を2系統よりも多い副次流に分割するために、多導管流量率コントローラ(MCRFC)が必要となる場合もある。1つの手法では、多数のDCFRCをカスケード構成で連結することにより、MCFRCを実現することができる。カスケード構成によって、しかしながら、MCFRC間に高い圧力降下が生ずる場合がある。またはカスケード接続したCVFRCの集合体は、フットプリントが大きくなり、コスト高となる可能性がある。更に、DCFRCのカスケード構成では、流導管の総数NがN=2に制限される場合があり、柔軟性が著しく低下する虞れがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、MCFRCを実現するシステムおよび方法の改良が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの質量流量を複数N個の副次流に分割するシステムは、1つの質量流量を受けるように構成されている入口と、入口に接続されているマスタFRCおよび1つ以上のスレーブFRCとを含む。マスタFRCおよびスレーブFRCは、各々、少なくとも1つの副次流導管を含み、組合せにおいて、N個の副次流導管を含む。各流導管i(i=1、...N)は、N個の副次流の内対応する1つを搬送するように接続されている。マスタFRCは、ホスト・コントローラから事前選択比率設定点を受信し、スレーブFRCに事前選択比率設定点を1つ以上のコマンド信号と共に配信し、個々の流量Q(i=1、...N)と総流量Qとの間において比率Q/Q(i=1、...N)を、事前選択比率設定点に維持できるように構成されており、Qは流導管iにおける個々の流量を表し、QはN個の個々の流量全ての和Q=Q+...+Q+...Qを表す。
【0007】
1つの質量流量を複数N個の副次流に分割するシステムは、1つの質量流量を受けるように構成されている入口と、複数N個の副次流導管i(i=1、...N)と、コントローラとを含む。複数N個の副次流導管は、入口に接続されており、更にN個の副次流の対応する1つを搬送するように接続されている。各副次流導管i(i=1、...N)は、流導管iを通過する流量Qを測定するように接続されている流量センサと、流導管iを通過する流量を規制するように接続されている弁とを含む。コントローラは、N個の流導管全てにおける流量センサおよび弁を制御し、個々の流量Q(i=1、...N)と総流量Qとの間の比率Q/Q(i=1、...N)を、事前選択比率設定点に維持するように構成されており、Qは流導管iにおける個々の流量を表し、QはN個の個々の流量全ての和Q=Q+...+Q+...Qを表す。
【0008】
気体配送システムは、1つの気体流を複数N個の副次流に分割するように構成されている多導管流量率コントローラ(MCFRC)を含む。MCFRCは、マスタFRC(流量率コントローラ)および1つ以上のスレーブFRCを含む。各FRCは、少なくとも1つの流導管を含み、1つの質量流量を受けるように構成されている入口に接続されている。マスタFRCおよびスレーブFRCは、組合せにおいて、合計でN個の副次流導管を含む。各流導管i(i=1、...N)は、N個の副次流の内対応する1つを搬送するように接続されている。マスタFRCは、ホスト・コントローラから事前選択比率設定点を受信し、スレーブFRCに事前選択比率設定点を1つ以上のコマンド信号と共に配信し、個々の流量Q(i=1、...N)と総流量Qとの間において比率Q/Q(i=1、...N)を、事前選択比率設定点に維持できるように構成されており、Qは流導管iにおける個々の流量を表し、QはN個の個々の流量全ての和Q=Q+...+Q+...Qを表す。
【0009】
1つの質量流量から得た複数N個の副次流における流量を制御する方法は、1つの質量流量を受けるように構成されている入口にマスタFRCおよび1つ以上のスレーブFRCを接続することを含む。マスタFRCおよびスレーブFRCは、組合せにおいて、合計でN個の副次流導管を含み、各流導管i(i=1、...N)は、N個の副次流の内対応する1つを搬送するように接続されている。マスタFRCおよびスレーブFRCは、全ての流導管において、個々の流量Q(i=1、...N)と総流量Qとの間の比率Q/Q(i=1、...N)を、事前選択比率設定点に維持し、Qは流導管iにおける個々の流量を表し、QはN個の個々の流量全ての和Q=Q+...+Q+...Qを表す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
ディジタル通信ネットワークを通じて1つ以上のスレーブFRCに接続されているマスタFRCを含む多導管流量率コントローラ(MCFRC)について記載する。マスタFRCは、スレーブFRCと共に、流入する流動体(flow)を、ホスト・コントローラによって設定された事前選択流量率を有する複数の副次流動対に分割する。
【0011】
図1Aは、MCFRC106を含む気体配送システム102の全体的なブロック図である。MCFRC106は、1系統の気体流Qを、事前選択流量率Q/Qを有する複数の副次流Q、...、Q、...Qに分割するように構成されている。MCFRC106は、個別の気体または多数の気体の混合物を受ける。これらは、気体供給源、例えば、気体タンクから供給すればよい。図1では、参照番号104−1、104−2、...、104−i、...、104−Mを用いて、気体供給源を示す。気体混合物は、一例として、多数の異なるプロセス気体および浄化気体を含むことができる。多くの異なる気体混合物を供給することもできる。
【0012】
ガスボックス112は、個々の気体または気体混合物をMCFRC106に配送することができ、一方MCFRC106は副次流Q、...、Q、...Qをそれぞれのプロセス・チェンバ(図示せず)に配送することができる。あるいは、気体を計量して、1つのプロセス・チェンバおよび/または他の処理ツールの異なるインジェクタ(injector)またはエリアに供給することもできる。ガスボックス112は、複数の気体スティック(gas stick)114−1、...114−i、...、114−Mを含むことができ、各気体スティック114−iは対応する気体供給源104−iと連通している。
【0013】
各気体スティック114−i(i=1、...M)は、対応する気体供給源104i(i=1、...M)からの気体の流量を個々に制御することができる。各気体スティック114−iは、質量流量コントローラ(MFC)を含むことができる。気体スティック毎のMFCは、図1では、各気体スティック内において、MFC、MFC、...、MFC、...、MFCで示されている。また、各気体スティックは、例えば、米国特許第6418954号に記載されているように、MFCの前後に位置する弁(図示せず)も含むことができる。気体スティック114−iは、各々、制御可能な気体通路を設けることができるので、正確に計量した量の気体(または気体の組み合わせ)をMCFRC106に供給することができる。次いで、MCFRC106は気体または気体の組み合わせを高精度に副次流Qに分割(split/divide)することができ、各副次流は、事前選択流量率Q/Qを有する。気体スティック114−iには、各々は、フィルタ、浄化器、圧力変換器、および弁コントローラのような気体を監視または制御するために、別の構成機器を設けることもできる。
【0014】
気体スティック114−iは、例えば、出口マニフォルド116に互いに接続し、ガスボックス112を離れる前に、所望であれば、各スティックからの気体流を混合させることができる。出口マニフォルド116は、図1に示すように、MCFRC106に接続されている。
【0015】
MCFRC106は、複数の副次流導管122−1、...122−i、...、122−Nを含む。各副次流導管122−iは、流量センサ124−iおよび弁126−iを含む。センサ124−iは、副次流導管122−iを通過する流量を測定し、弁126−iを制御するために用いる流量信号を発生する。弁126−iは、副次流導管122−iを通過する質量流量を規制する。センサ124−iおよび弁126−iは、このように、一緒に用いて副次流導管における出力質量流量Qを制御する。つまり、流量率α=Q/Qを制御する。ここで、QはN本の副次流導管全てにおける流量の合計である。即ち、Q=Q+...+Q+...Qである。副次流導管の各々の出口130−1、...130−i、...、130−Nは、1つ以上の対応する処理チェンバまたはその他の設備(図示せず)に接続することができる。
【0016】
MCFRC106のコントローラ136は、流導管122−iの各々を通過する流量Qの全流量Qに対する、予め選択した値即ち設定点を表す入力αを受信するように構成することができる。コントローラ136は、とりわけ、予め設定した点における予め設定した比率αを制御し維持するように構成することができる。
【0017】
MCFRCは、ブロックを構築するようにDCFRCを用いることによって実現することができ、この場合、DCFRCの中にある既存のハードウェアおよびソフトウェアの上に組み上げることも可能であるとよい。図1Bは、複数のDCFRC160をカスケード状に連結することによって、DCFRCを組み上げたMCFRC150を示す。カスケード情勢を有するMCFRC150は、既存のハードウェアまたはソフトウェアに対して殆どまたは全く修正を加えることなく、容易に実現することができる。MCFRC150は、したがって、例えば、MKS Instruments, Inc.が製造するDelta II FRCを含む、市販されている既存のDCFRCを用いて、顧客に容易に入手可能にすることができる。カスケード接続したDCFRCの集合体では、しかしながら、MCFRC間に望ましくない程高い圧力降下が発生する可能性がある。カスケード構成に加入する追加の各DCFRCは、MCFRC間の圧力降下に寄与して、対応する増大が生ずる。また、カスケード接続したDCFRCの集合体では、顧客にとってコストが高くなりしかも柔軟性が欠ける場合もある。何故なら、DCFRCの数が、次のパラグラフで論ずる並列構成よりも多いからである。
【0018】
図2Aに示す本開示の一実施形態によれば、マスタFRC210および複数のスレーブFRC220を並列構成で、ディジタル通信ネットワークを通じて連結する。図2Aは、MCFRC200の全体的なブロック図であり、マスタFCR210およびスレーブFRC220は全て、1つの質量流量を受けるように構成されている入口205に接続されている。マスタFRC210およびスレーブFRC220は、各々、少なくとも1本の副次流導管を含む。組み合わせると、マスタFRCおよびスレーブFRCは、合計でN本の副次流導管222−i(i=1、...N)を含む。各副次流導管222−i(i=1、...N)は、N個の副次流の内対応する1つを搬送するように接続されている。
【0019】
図2Aに示す実施形態例では、マスタFCR210および全てのスレーブFRC220が、各々2つの副次流導管を有する二重導管FRCとして示されている。マスタFRC210は、副次流導管222−1および222−2を含むように示されており、これらの副次流導管は、副次流量Q1およびQ2をそれぞれ搬送する。スレーブFRC220は、各々、2本の副次流導管222−(j−1)および222−jを含むように示されている(図示の例では、j=3、...、Nとなる。何故なら、マスタFRCが2本の第1流導管222−1および222−2を含むからである)。
【0020】
実施形態例は、各々2本の流導管を有するように、マスタおよびスレーブFRCを図示するが、本開示の他の実施形態では、マスタFRC210または副次FRC220のいずれの1つであっても、いずれの数(1本を含む)副次流導管を含んでもよいことは言うまでもない。更に、マスタFRC210は、2本の第1流導管222−1および222−2を含むように示されているが、本開示の別の実施形態では、マスタFRC210はいずれの異なる流導管でも含むことができ、限定ではないが、流導管222−(j−1)および222−j、ならびに流導管222−(N−1)および222−Nを含む。
【0021】
ホスト・コントローラ270は、例えば、ホスト・コンピュータとすればよく、事前選択流量率設定点をマスタFRC210に送るように構成されている。マスタFRC210は、流量率設定点を他の制御コマンドと共にスレーブFRC220に配信し、個々の流量Q(i=1、...N)と総流量Qとの間の比率Q/Q(i=1、...N)を、事前選択流量率設定点に維持する。ここでQは流導管iにおける個々の流量を表し、QはN個の個々の流量全ての和Q=Q+...+Q+...Qを表す。ホスト・コントローラ270は、マスタFRCおよび/またはスレーブFRCのステータス、ならびに各流導管iにおける実際の流量率(flow ratio)を問い合わせることができる。
【0022】
一実施形態では、マスタFRC210およびスレーブFRC220は、ディジタル通信ネットワークを通じて、互いに通信し、更にホスト・コントローラ270と通信するように構成することができる。ネットワークは、限定ではなく、以下の内の1つ以上を含むことができる。イーサネット(登録商標)TCP/IP、UDP/IP、DeviceNet、CAN(コントローラ・エリア・ネットワーク)、RS−232、およびRS−485。図2Aに示すディジタル通信バス230によって、マスタRFC210およびスレーブFRC220間、またはマスタFRC210およびホスト・コントローラ270間の通信が可能となる。
【0023】
図2Bは、図2Aに示すMCRFC200を構成するFRCの一例を更に詳しく示す。図2Bに示すFRC300は、二重導管FRC300である(しかし、2本以外の数の導管を有するFRCも用いてもよい)。FRC300は、マスタFRCまたは図2Aに示すMCFRC200におけるスレーブFRCの1つでもよく、副次流導管322−iおよび322−(i−1)を含む。各副次流導管322−iは、図1Aに示す流量センサ124−iと類似の流量センサ324−iを含み、流量センサ324−iは対応する流導管322iを通過する流動体を測定するために接続されている。各副次流導管322−iは、更に、図1Aに示した弁126−iと類似の弁326−iも含み、弁326−iは、対応する流導管322−iを通過する流動体を規制するために接続されている。
【0024】
二重導管FRC300は、更に、当該二重導管FRC300内にある流量センサおよび弁に接続されている弁コントローラ350を含む。弁コントローラ350は、ホスト・コントローラからの比率設定点に応答して、二重導管FRC300における各弁に制御信号を供給するように構成されており、個々の流量とQとの間の比率が、対応する流導管に対する比率設定点を満たすまで、対応する流導管における質量流量を制御する。
【0025】
図3は、図2Aに示したMCFRC300において、ホスト・コントローラ270、マスタFRC210、および複数のスレーブFRC220の間で行われる可能性がある通信の交換を更に詳細に示す機能ブロック図である。図3に見られるように、各スレーブFRC220は、その流導管を通過する流量を測定し、測定した流量をマスタFRCに伝達するように構成されている。各スレーブFRCは、更に、その流導管を通過する測定流量とスレーブFRC220がマスタFRC210から受信する総流量Qとの間における実際の比率を計算するように構成されている。また、各スレーブFRC220はマスタFRCに、それが計算した実際の比率を報告する。
【0026】
また、マスタFRC210は、その流導管を通過する流量も測定する。マスタFRC210は、それ自体の流導管を通過する測定流量、および全てのスレーブFRC220が測定しこれらから受信した全ての流量を加算することによって、総流量Qを計算する。
【0027】
更に、マスタFRC210は、事前選択比率設定点がどこであるかを示すコマンド信号を、ホスト・コントローラ270から受信するように構成されている。次いで、マスタFRC210は、全てのFRC220に、総流量Qおよび事前選択流量率設定点を伝達する。
【0028】
マスタFRC210およびスレーブFRC220の各々は、コントローラ270からのコマンド信号に収容されている、事前選択比率設定点に応答して、比率Q/Q(i=1、...N)の全てが事前選択比率設定点を満たすまで、それぞれの流導管を通過する質量流量を制御する。
【0029】
更に、マスタFRC210は、ホスト・コントローラ270に、測定した流量、およびマスタFRC210が各スレーブFRCから受信した実際の比率を報告するように構成することができる。
【0030】
図4は、MCFRC400の別の実施形態の全体的な実施形態である。MCFRC400は、1つの流入する質量流量Qを複数N個の副次流Q(i=1、...N)に分割するように構成されている。この実施形態では、MCFRC400は、多数の流導管および多数の制御弁を含み、これらは全て1つの一体式モジュールに一体化されており、図2A、図2B、および図3に関連付けて先に説明したマスタ・スレーブ構成ではない。MCFRC400は、流入する1つの質量流量Qを受けるように構成されている入口405、および入口405に接続されている複数N個の副次流導管422−i(i=1、...N)を含む。
【0031】
MCFRC400における各副次流導管422−iは、N個の副次流Q(i=1、...N)の内対応する1つを搬送するように接続されている。各流導管422−i(i=1、...N)は、流導管iを通過する流量Qを測定するように接続されている流量センサ424−i、およびコントローラ470からの1つ以上の制御信号に応答して、流導管iを通過する流量を規制するように接続されている弁426−iを含む。
【0032】
コントローラ470は、N本の流導管422−iの全てにおける流量センサ424−iおよび弁426−iを制御し、各流導管における個々の流量Q(i=1、...N)と、事前選択比率設定点αにおける総流量Qとの間における比率Q/Q(i=1、...N)を維持するように構成されている。既に説明したMCFRCの実施形態におけると同様、Qは対応する流導管iにおける個々の流量を表し、QはN個の個々の流量全ての和Q=Q+...+Q+...Qを表す。また、前述のように、事前選択比率設定点αは、顧客あるいはその他のユーザまたは操作者がコンピュータに入力してもよい。
【0033】
要約すると、多導管流量制御システムおよび方法について記載した、前述のシステムおよび方法は、限定ではなく、エッチング、ストリッピング、およびPECVD(プラズマ・エンハンス化学蒸着)を含む多数の用途で用いることができる。図2A、図2B、および図3と関連付けて先に説明した、MCFRC用マスタ−スレーブ構成は、多導管流量比制御のために、価格効率的で柔軟な方法およびシステムを提供する。この構成を用いると、総数N個の副次流導管を固定することも可変とすることもできる。カスケード構成と比較すると、マスタ−スレーブ構成はフットプリントを大幅に縮小することができる。
【0034】
以上、多導管流量率制御システムおよび方法のある種の実施形態について説明したが、これらの実施形態において暗示される概念は、他の実施形態においても同様に用いられることは言うまでもない。本願の保護は、特許請求の範囲のみに限定されるものとする。
【0035】
これらの特許請求の範囲において、単数とした要素に言及する場合、具体的にそのように述べられていない限り、「1つのみ」を意味することを意図しているのではなく、「1つ以上」を意味するものとする。本開示全体を通じて記載されている種々の実施形態の要素と構造的および機能的に等価であり、当業者には周知であるまたは今後周知になる要素は、ここで引用したことにより、明示的に本願にも含まれるものとし、特許請求の範囲に包含されることを意図する。更に、ここに開示したいずれもが、かかる開示が明示的に特許請求の範囲に明記されているか否かには係わらず、公衆(the public)に献呈されることは意図していない。いずれの特許請求の範囲の要素も、当該要素が「するための手段」という句を用いて明示的に明記されていなければ、または方法の請求項の場合、当該要素が「するためのステップ」という句を用いて明記されていなければ、35U.S.C.§112、第6節の既定にしたがって解釈しないこととする。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1A】図1Aは、MCFRCを含む気体配送システムの全体的なブロック図である。
【図1B】図1Bは、MCFRCのカスケード構成を示す。
【図2A】図2Aは、本開示の一実施形態による、マスタFCRと、ディジタル通信ネットワークを通じて並列構成にリンクした複数のスレーブFRCとを含むMCFRCの全体的なブロック図である。
【図2B】図2Bは、図2Aに示すMCFRCにおけるFRCの1つを詳細に示す。
【図3】図3は、図2Aに示すMCFRCにおける、ホスト・コンピュータ、マスタFRC、および複数のスレーブFRC間における通信の交換を示す機能ブロック図である。
【図4】図4は、本開示の別の実施形態による、多数の流導管および多数の制御弁を1つの一体式モジュールの中に一体化して含むMCFRCの全体的なブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの質量流量を複数N個の副次流に分割するシステムであって、
前記1つの質量流量を受けるように構成されている入口と、
マスタFRC(流量率コントローラ)および1つ以上のスレーブFRCであって、各々、前記入口に接続されており、少なくとも1つの副次流導管を含む、FRCと、
を備えており、
前記マスタFRCおよびスレーブFRCは、組合せにおいて、N個の副次流導管を含み、各流導管i(i=1、...N)は、前記N個の副次流の内対応する1つを搬送するように接続されており、
前記マスタFRCは、ホスト・コントローラから事前選択比率設定点を受信し、前記スレーブFRCに前記事前選択比率設定点を1つ以上のコマンド信号と共に配信し、個々の流量Q(i=1、...N)と総流量Qとの間の比率Q/Q(i=1、...N)を、前記事前選択比率設定点に維持できるように構成されており、Qは流導管iにおける個々の流量を表し、QはN個の個々の流量全ての和Q=Q+...+Q+...Qを表す、システム。
【請求項2】
請求項1記載のシステムにおいて、
前記マスタFRCは、対応する流導管i(i=1、...N)を通過するN個の個々の流量Q(i=1、...N)を加算することによって前記総流量Qを計算し、前記スレーブFRCの全てに、前記総流量Qおよび比率設定点を伝達するように構成されており、
前記マスタFRCおよび各スレーブFRCは、前記ホスト・コントローラからの比率設定点に応答して、比率Q/Q(i=1、...N)の全てが前記比率設定点を満たすまで、それぞれの流導管を通過する質量流量を制御する、システム。
【請求項3】
請求項2記載のシステムにおいて、
各スレーブFRCは、その流導管を通過する流量を測定し、測定した流量を前記マスタFRCに伝達するように構成されており、
各スレーブFRCは、更に、その流導管を通過する前記測定流量と、前記マスタFRCから受信した総流量Qとの間における実際の比率を計算し、該実際の比率を前記マスタFRCに報告するように構成されている、システム。
【請求項4】
請求項3記載のシステムにおいて、
前記マスタFRCは、更に、前記ホスト・コントローラに、前記測定流速と、各スレーブFRCからの実際の比率とを報告するように構成されている、システム。
【請求項5】
請求項2記載のシステムにおいて、前記マスタFRCは、更に、当該マスタFRCにおける流導管を通過する流量を測定し、前記マスタFRC内の流導管を通過する前記測定流量を、前記スレーブFRCの全てによって測定しこれらから受信した流量と加算することによって、総流量Qを計算するように構成されている、システム。
【請求項6】
請求項1記載のシステムにおいて、前記マスタFRCおよびスレーブFRCは二重導管FRCであり、各二重導管FRCは、それぞれ、前記N個の流導管の内2つを含む、システム。
【請求項7】
請求項1記載のシステムにおいて、
各流導管i(i=1、...N)は、
当該流導管iを通過する流量を測定するように接続されている流量センサと、
前記流導管iを通過する流量を規制するように接続されている弁と、
を含む、システム。
【請求項8】
請求項7記載のシステムにおいて、各FRCは、当該FRC内にある流量センサおよび弁に接続されている弁コントローラを含み、該弁コントローラは、前記ホスト・コントローラからの比率設定点に応答して、当該FRC内にある各弁に制御信号を供給し、前記個々の流量およびQ間の比率が、対応する流導管に対する比率設定点を満たすまで、対応する流導管における質量流量を制御するように構成されている、システム。
【請求項9】
請求項1記載のシステムであって、更に、ディジタル通信バスを備えており、前記マスタFRCおよびスレーブFRCは、更に、前記ディジタル通信バスを通じて、互いにおよび前記ホスト・コントローラと通信するように構成されている、システム。
【請求項10】
請求項9記載のシステムにおいて、前記ディジタル通信バスは、イーサネット(登録商標)TCP/IP、UDP/IP、DeviceNet、CAN(コントローラ・エリア・ネットワーク)、RS−232、およびRS−485の内少なくとも1つを備えているネットワークに接続されている、システム。
【請求項11】
請求項1記載のシステムにおいて、前記流導管の数Nは固定である、システム。
【請求項12】
請求項1記載のシステムにおいて、前記流導管の数Nは可変である、システム。
【請求項13】
請求項1記載のシステムにおいて、前記マスタFRCおよびスレーブFRCは、互いに並列構成に接続されている、システム。
【請求項14】
1つの質量流量を複数N個の副次流に分割するシステムであって、
前記1つの質量流量を受けるように構成されている入口と、
前記入口に接続されており、更に前記N個の副次流の対応する1つを搬送するように接続されている複数N個の副次流導管(i=1、...N)であって、各々、前記流導管iを通過する流量Qを測定するように接続されている流量センサと、前記流導管iを通過する流量を規制するように接続されている弁とを含む、副次流導管(i=1、...N)と、
前記N個の流導管全てにおける流量センサおよび弁を制御し、個々の流量Q(i=1、...N)と総流量Qとの間の比率Q/Q(i=1、...N)を、事前選択比率設定点に維持するように構成されているコントローラであって、Qは流導管iにおける個々の流量を表し、QはN個の個々の流量全ての和Q=Q+...+Q+...Qを表す、コントローラと、
を備えている、システム。
【請求項15】
請求項14記載のシステムにおいて、前記入口、前記複数N個の副次流導管、および前記コントローラは、1つの一体式モジュール内に一体化されている、システム。
【請求項16】
請求項14記載のシステムにおいて、前記複数N個の副次流導管は、並列構成で互いに接続されている、システム。
【請求項17】
1つの気体流を複数N個の副次流に分割するように構成されている多導管流量率コントローラを含む気体配送システムであって、前記多導管流量比コントローラが、
マスタFRC(流量率コントローラ)および1つ以上のスレーブFRCであって、各々、少なくとも1つの流導管を含み、前記1つの質量流量を受けるように構成されている入口に接続されており、前記マスタFRCおよびスレーブFRCは、組合せにおいて、合計でN個の副次流導管を含み、各流導管i(i=1、...N)は、前記N個の副次流の内対応する1つを搬送するように接続されている、FRCを含み、
前記マスタFRCは、ホスト・コントローラから事前選択比率設定点を受信し、前記スレーブFRCに前記事前選択比率設定点を1つ以上のコマンド信号と共に配信し、個々の流量Q(i=1、...N)と総流量Qとの間の比率Q/Q(i=1、...N)を、前記事前選択比率設定点に維持できるように構成されており、Qは流導管iにおける個々の流量を表し、QはN個の個々の流量全ての和Q=Q+...+Q+...Qを表す、ガス配送システム。
【請求項18】
1つの質量流量から得た複数N個の副次流における流量を制御する方法であって、
前記1つの質量流量を受けるように構成されている入口にマスタFRCおよび1つ以上のスレーブFRCを接続する動作であって、前記マスタFRCおよびスレーブFRCは、組合せにおいて、合計でN個の副次流導管を含み、各流導管i(i=1、...N)は、前記N個の副次流の内対応する1つを搬送するように接続されている、動作と、
前記マスタFRCおよびスレーブFRCが、全ての流導管において、個々の流量Q(i=1、...N)と総流量Qとの間で比率Q/Q(i=1、...N)を、事前選択比率設定点に維持する動作であって、Qは流導管iにおける個々の流量を表し、QはN個の個々の流量全ての和Q=Q+...+Q+...Qを表す、動作と、
を備えている、方法。
【請求項19】
請求項18記載の方法において、前記マスタFRCおよびスレーブFRCが前記比率を前記事前選択比率設定点に維持する動作は、更に、
前記マスタFRCの流導管を通過する個々の流量とQとの間の比率が、これらの流導管に対する比率設定点を満たすまで、前記マスタFRCがその流導管を通過する流量を制御する動作と、
前記マスタFRCが1つ以上のコマンド信号を前記スレーブFRCに送信し、前記スレーブFRCの流導管を通過する個々の流量とQとの間の比率が、これらの流導管に対する比率設定点を満たすまで、前記スレーブFRCがそれぞれの流導管を通過する流量を制御する、動作と、
を備えている、方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−533756(P2009−533756A)
【公表日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−505364(P2009−505364)
【出願日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際出願番号】PCT/US2007/005429
【国際公開番号】WO2007/120406
【国際公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(592053963)エム ケー エス インストルメンツ インコーポレーテッド (114)
【氏名又は名称原語表記】MKS INSTRUMENTS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】