多層プリント配線板及び多層プリント配線板の製造方法
【課題】 スルーホールの配設密度を高め得ると共に、厚みを薄くできる多層プリント配線板及び該多層プリント配線板の製造方法を提供する。
【解決手段】 コア基板30に形成されたスルーホール36は、第1電解めっき層24と、無電解めっき膜26と、第2電解めっき層28とからなる。スルーホール36をめっき充填により形成するため、コア基板30の強度が高まり、反りが発生し難くなる。このため、コア基板を薄く形成でき、多層プリント配線板の放熱性を高めることが可能となる。
【解決手段】 コア基板30に形成されたスルーホール36は、第1電解めっき層24と、無電解めっき膜26と、第2電解めっき層28とからなる。スルーホール36をめっき充填により形成するため、コア基板30の強度が高まり、反りが発生し難くなる。このため、コア基板を薄く形成でき、多層プリント配線板の放熱性を高めることが可能となる。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】ICチップなどの電子部品を載置するパッケージ基板に用い得る多層プリント配線板に関し、特にコア基板に層間樹脂絶縁層をビルドアップしてなる多層プリント配線板及び多層プリント配線板の製造方法に関するのもである。
【0002】
【従来の技術】従来、ビルドアップ多層プリント配線板は、例えば、特開平9−130050号に開示される方法にて製造されている。すなわち、スルーホールを形成したコア基板の上に層間樹脂絶縁層を積層し、該層間樹脂絶縁層の上に回路パターンを形成する。これを繰り返すことにより、ビルドアップ多層プリント配線板が得られる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】現在、コア基板にスルーホールを形成する際に、ドリルにより通孔を穿設している。このため、通孔の径として、300μmが最小限界であり、スルーホールの密度をドリル径で決定される値以上高めることができなかった。このため、コア基板にレーザにより通孔を穿設する方法が検討されているが、コア基板は1mm程度の厚みがあるため、微細な通孔を形成することは難しかった。
【0004】一方、パッケージ基板として用いられる多層プリント配線板では、ICチップに発生する熱を効率良く発散させれる必要がある。ここで、多層プリント配線板は、1mm程度の積層樹脂板からなるコア基板に、数10μmの層間樹脂絶縁層及び配線層を積層してなる。このため、多層プリント配線板の厚みとしては、コア基板が大半を占めることになる。即ち、コア基板が、多層プリント配線板の厚みを厚くし、熱伝導性を下げさせる原因となっていた。
【0005】本発明は上述した課題を解決するためなされたものであり、その目的とするところは、スルーホールの配設密度を高め得ると共に、厚みを薄くできる多層プリント配線板及び該多層プリント配線板の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決するため、請求項1は、スルーホールを設けたコア基板に層間樹脂絶縁層をビルドアップしてなる多層プリント配線板において、前記コア基板のスルーホールが、電解めっきによる第1金属層と、無電解めっき、スパッタ又は蒸着による金属膜と、電解めっきによる第2金属層とを充填してなることを技術的特徴とする。
【0007】請求項1では、スルーホールをめっき充填により形成するため、スルーホールの上に接続用のバイアホールが形成でき、バイアホールの配線密度を高めることができる。また、スルーホールを、電解めっきと、無電解めっきと、電解めっきとを充填するため、スルーホール内の充填不足がなくなる。
【0008】請求項2の発明は、少なくとも以下の(A)〜(E)の工程を備えることを特徴とする多層プリント配線板の製造方法にある:(A)一方の面に金属層の形成された樹脂絶縁層に、レーザで前記金属層へ至る非貫通孔を形成する工程;
(B)前記樹脂絶縁層の非貫通孔に、前記金属層を介して電流を流し電解めっきにより第1金属層を充填する工程;
(C)前記樹脂絶縁層の金属層の反対面に、金属膜を形成する工程:(D)前記樹脂絶縁層の非貫通孔に、前記金属膜を介して電流を流し電解めっきにより第2金属層を充填する工程;
(E)前記樹脂絶縁層の金属層と金属膜とエッチングして、スルーホールのランドを形成する工程。
【0009】請求項2では、スルーホールをレーザにより形成するため、50〜250μm径スルーホールが施せるので、配線密度を向上させることができる。スルーホールをめっき充填により形成するため、コア基板の強度が高まり、反りが発生し難くなる。このため、コア基板を薄く形成でき、多層プリント配線板の放熱性を高めることが可能となる。スルーホールを電解めっきにより充填するので、スルーホール内の充填不足がなくなる。更に、スルーホールのランドとなる金属膜を形成してから、スルーホール内に第2金属層を形成するため、ランドが剥離することがなくなり、スルーホールの信頼性を高めることができる。更に、接続信頼性が高いため、当該ランドを薄く形成でき、上層の層間樹脂絶縁層の平滑性を高めることが可能となり、層間樹脂絶縁層の剥離やクラックの発生を防げる。
【0010】請求項3では、請求項2において、前記樹脂絶縁層に、無電解めっき、スパッタ又は蒸着により金属層を形成する工程を更に有することを技術的特徴とする。
【0011】請求項3では、無電解めっきで形成すると、廉価に金属層を形成することができる。また、スパッタで形成すると、高い密着性を有する金属層を薄く形成できる。蒸着で形成すると金属層を薄く形成できる。
【0012】請求項4では、請求項2又は3において、前記樹脂絶縁層の金属層の反対面に、金属膜を形成する工程において、無電解めっき、スパッタ又は蒸着を用いることを技術的特徴とする。
【0013】請求項4では、無電解めっきで形成すると、廉価に金属膜を形成することができる。また、スパッタで形成すると、高い密着性を有する金属膜を薄く形成できる。蒸着で形成すると金属膜を薄く形成できる。
【0014】
【発明の実施の形態】[第1実施形態]本発明の第1実施形態に係る多層プリント配線板の構成について、断面図を示す図7を参照して説明する。第1実施形態の多層プリント配線板は、コア基板30の上面及び下面に導体回路34が形成され、該導体回路34の上には層間樹脂絶縁層50、50が配設されている。該下層層間樹脂絶縁層50には、バイアホール60及び導体回路58が配設されている。上面側の下層層間樹脂絶縁層50の上には、バイアホール160が形成された上層層間樹脂絶縁層150が配置されている。上面側の上層層間樹脂絶縁層150の上、及び、下面側の下層層間樹脂絶縁層50の表面には、ソルダーレジスト層70が配設されている。
【0015】多層プリント配線板10の上面には、ソルダーレジスト層70の開口71UにICチップへの接続用の半田バンプ76Uが配設される。一方、パッケージ基板の底面には、ソルダーレジスト層70の開口71Dに、ドータボードへの接続用の半田バンプ76Dが配設されている。
【0016】該半田バンプ76Uは、層間樹脂絶縁層150に形成されたバイアホール160及び層間樹脂絶縁層50に形成されたバイアホール60を介してスルーホール36へ接続されている。一方、該半田バンプ76Dは、層間樹脂絶縁層50に形成されたバイアホール60を介してスルーホール36へ接続されている。
【0017】コア基板30に形成されたスルーホール36は、第1電解めっき層24と、無電解めっき膜26と、第2電解めっき層28とからなる。スルーホール36をめっき充填により形成するため、コア基板30の強度が高まり、反りが発生し難くなる。このため、コア基板を薄く形成でき、多層プリント配線板の放熱性を高めることが可能となる。また、スルーホール36を第1電解めっき層24と、無電解めっき膜26と、第2電解めっき層28とを充填して形成するため、スルーホール内の充填不足がなくなる。
【0018】後述するように第1実施形態の多層プリント配線板は、スルーホール36をレーザにより形成するため、微細径のスルーホール36を狭ピッチで配設することができ、高集積化を達成している。
【0019】以下、図7に示す多層プリント配線板10の製造方法について図を参照して説明する。
【0020】(1)ガラスクロス、アライミドクロスにエポキシ樹脂、BT(ビスマレイミドトリアジン)樹脂、ポリイミド樹脂、オレフィン樹脂、ポリフェノールエーテル樹脂を含浸させてなる基板30を出発材料とする(図1(A))。基板30の厚さは、20〜800μmの範囲がよく、特に、100〜500μmが好適である。これは、コア基板としての強度が保て、レーザにより容易に非貫通孔を形成できる厚さだからである。ここでは、心材に樹脂を含浸させて用いるが、この代わりに、心材を有さない樹脂、或いは、補強樹脂層をラミネートした樹脂を用いることもできる。
【0021】(2)該基板30の下面に、スパッタにより厚さ6〜20μmの金属層22を形成する(図1(B))。金属層22は、銅、ニッケル、クロム、コバルト、アルミニウム等を用いることができ、特に、銅又は銅を主としてなる合金が、廉価であると共に電気抵抗が低く好ましい。ここでは、樹脂からなる基板30への密着性に優れ薄く形成できるスパッタを用いるが、この代わりに、廉価な無電解めっき、又は、廉価に薄く金属層を形成できる蒸着を用いることができ、更に、無電解めっき、スパッタ、蒸着後に電解めっきを行うことも、更には、上記コア基板として銅箔のラミネートされた銅張り積層板を用いることができる。ここで、金属層22の厚さは、6〜20μmの範囲がよく、特に、8〜15μmの範囲が好適である。この厚みであれば、強度を保てるので反りもなく、また、後述するように基板30に非貫通孔を明ける際に、レーザのエネルギーを吸収し得るからである。
【0022】(3)次に、金属層22の非形成面から基板30に炭酸レーザを照射し、金属層22に至る非貫通孔32を穿設する(図1(C))。ここで、非貫通孔の径は、50〜250μmが好ましく、特に、75〜150μmの範囲で400〜600μmのピッチが好適である。非貫通孔32は小径である方が、配線密度を上げる上では望ましいが、半径に反比例して歩留まりが下がるからである。ここで、非貫通孔32は、炭酸レーザで1孔毎に穿設することも可能であり、また、通孔を備えるマスクを基板30に載置し、一括して非貫通孔を形成することもできる。なお、ここでは、廉価で大出力の得られる炭酸レーザを用いているが、この代わりに、エキシマ、UV、YAG等を用いることもでき、これらを混合して使用することもできる。
【0023】その後、酸或いは酸化剤で、非貫通孔32内のデスミヤ処理を行う。ここで、更に、酸素、4塩化炭素、窒素などのプラズマ処理、コロナ処理、UV処理などのドライ処理を施し、非貫通孔32の内壁を平滑にすることも可能である。
【0024】(4)次に、金属膜20にフィルム23を密着させた後、基板30を電解銅めっき液に浸漬し、金属層22を介して電流を流し、非貫通孔32内に第1めっき層24を形成する(図1(D))。第1電解めっき層は、電気抵抗の低い銅めっきが望ましいが、ニッケル、クロム、コバルト、アルミニウム等を用いることも可能である。
【0025】(5)該基板30の上面に、無電解めっきにより厚さ0.1〜10μmの金属膜26を形成する(図2(A))。金属層は、銅、ニッケル、クロム、コバルト、アルミニウム等を用いることができ、特に、銅又は銅を主としてなる合金が、廉価であると共に電気抵抗が低く好ましい。無電解めっきの代わりに、樹脂からなる基板30への密着性に優れるスパッタ、蒸着を用いることができる。ここで、金属膜26の厚さは、0.1〜10μmの範囲がよく、この範囲であれば、エッチングしても回路が形成できる。特に、0.5〜5μmの範囲が好適である。
【0026】(6)基板30を電解銅めっき液に浸漬し、金属膜26を介して電流を流し、非貫通孔32内に第2めっき層28を充填してスルーホール36とする(図2(B))。電解めっきは、第1めっき層を構成すると同じ金属であることが望ましい。また、図7を参照して上述したように、第1めっき層24の高さH1と、第2めっき層28の高さH2とはほぼ同様であることが望ましい。なお、第2めっき層28の表面を平滑化するため、エッチング、バフ研磨、ベルトサンダー、砥粒を吹き付けるジェットスクラブ研磨等を行うことも可能である。
【0027】(7)フィルム23を剥離した後、所定パターンのエッチンレジストを施し、パターニングを行い、コア基板30の表面に導体回路34を形成すると共に、スルーホール36にランド36aを形成する(図2(C))。ランドの形状としては、円形、楕円形が望ましいが、正方形、長方形でもよい。ランド36aは、スルーホール径の1.00〜1.25倍が望ましい。ランド36a及び導体回路の厚みH3は、上層の層間樹脂絶縁層の平滑化を達成するため、可能な限り薄い方が望ましい。
【0028】第1実施形態の多層プリント配線板では、スルーホール36のランド36aとなる金属膜26を形成してから、スルーホール内に第2めっき層28を形成するため、金属膜26からなるランド36aが剥離することがなくなり、スルーホール36の信頼性を高めることができる。更に、接続信頼性が高いため、当該ランドを薄く形成でき、後述する工程で形成する上層の層間樹脂絶縁層の平滑性を高めることが可能となり、当該層間樹脂絶縁層の剥離やクラックの発生を防げる。
【0029】(8)導体回路34及びランド36aを形成した基板を水洗いし、乾燥した後、エッチング液を基板の両面にスプレイで吹きつけて、下層導体回路34の表面とスルーホール36のランド36a表面とをエッチングすることにより、導体回路34の全表面に粗化面34βと、スルーホール36のランド36aに36βを形成した(図2(D)参照)。エッチング液として、イミダゾール銅(II)錯体10重量部、グリコール酸7重量部、塩化カリウム5重量部およびイオン交換水78重量部を混合したものを使用する。
【0030】なお、本実施形態で、上記(1)の工程ではエッチングにより粗化面を形成しているが、この代わりに、無電解めっきにより粗化層を形成することもできる。この場合には、導体回路34を形成した基板30にアルカリ脱脂してソフトエッチングして、次いで、塩化パラジウウムと有機酸からなる触媒溶液で処理して、Pd触媒を付与し、この触媒を活性化した後、硫酸銅3.2×10−2mol/l、硫酸ニッケル3.9×10−3mol/l、錯化剤5.4×10−2mol/l、次亜りん酸ナトリウム3.3×10−1mol/l、ホウ酸5.0×10−1mol/l、界面活性剤(日信化学工業製、サーフィール465)0.1g/l、PH=9からなる無電解めっき液に浸積し、浸漬1分後に、4秒当たり1回に割合で縦、および、横振動させて、導体回路34及びスルーホール36のランド36a表面にCu−Ni−Pからなる針状合金の被覆層と粗化層42を設ける。粗化層の表面に、Sn、Pb、Niなどの金属層を設けてもよい。
【0031】(9)次に、上記工程を経た基板の両面に、厚さ50μmの熱硬化型シクロオレフィン系樹脂シートを温度50〜150℃まで昇温しながら圧力5kg/cm2 で真空圧着ラミネートし、シクロオレフィン系樹脂からなる層間樹脂絶縁層50を設ける(図3(A)参照)。なお、真空圧着時の真空度は、10mmHgに調整する。
【0032】(10) 次に、波長10.4μmのCO2 ガスレーザにて、ビーム径5mm、トップハットモード、パルス幅15μ秒、マスクの穴径0.5mm、3ショットの条件でシクロオレフィン系樹脂からなる層間樹脂絶縁層50に直径80μmのバイアホール用開口48を設ける(図3(B)参照)。この後、酸素プラズマを用いてデスミア処理を行う。
【0033】(11) 次に、日本真空技術株式会社製のSV−4540を用いてプラズマ処理を行い、層間樹脂絶縁層50の表面を粗化した(図3(C)参照)。この際、不活性ガスとしてはアルゴンガスを使用し、電力200W、ガス圧0.6Pa、温度70℃の条件で、2分間プラズマ処理を実施した。
【0034】(12) 次に、同じ装置を用い、内部のアルゴンガスを交換した後、Ni−Cu合金をターゲットにしたスパッタリングを、気圧0.6Pa、温度80℃、電力200W、時間5分間の条件で行い、Ni−Cu合金層52をポリオレフィン系層間樹脂絶縁層50の表面に形成した。このとき、形成されたNi−Cu合金層52の厚さは0.2μmであった(図4(A)参照)。
【0035】(13)上記処理を終えた基板の両面に、市販の感光性ドライフィルムを貼り付け、フォトマスクフィルムを載置して、100mJ/cm2 で露光した後、0.8%炭酸ナトリウムで現像処理し、厚さ15μmのめっきレジスト54のパターンを形成した(図4(B)参照)。
【0036】(14)次に、以下の条件で電気めっきを施して、厚さ15μmの電気めっき膜56を形成した(図4(C)参照)。なお、この電気めっき膜56により、後述する工程で導体回路58となる部分の厚付けおよびバイアホール60となる部分のめっき充填等が行われたことになる。なお、電気めっき水溶液中の添加剤は、アトテックジャパン社製のカパラシドHLである。
【0037】〔電気めっき水溶液〕
硫酸 2.24 mol/l硫酸銅 0.26 mol/l添加剤 19.5 ml/l〔電気めっき条件〕
電流密度 1 A/dm2時間 65 分温度 22±2 ℃
【0038】(15)ついで、めっきレジスト54を5%NaOHで剥離除去した後、そのめっきレジスト54の下に存在していたNi−Cu合金層52を硝酸および硫酸と過酸化水素との混合液を用いるエッチングにて溶解除去し、電気銅めっき膜56等からなる厚さ16μmの導体回路58(バイアホール60を含む)を形成した(図5(A)参照)。
【0039】(16)続いて、上記(10) 〜(16)の工程を繰り返すことにより、さらに上面側の層間樹脂絶縁層50に、上層の層間樹脂絶縁層150、導体回路158及びバイアホール160を形成した(図5(B)参照)。
【0040】(17)次に、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)に60重量%の濃度になるように溶解させた、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬社製)のエポキシ基50%をアクリル化した感光性付与のオリゴマー(分子量:4000)46.67重量部、メチルエチルケトンに溶解させた80重量%のビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェル社製、商品名:エピコート1001)15重量部、イミダゾール硬化剤(四国化成社製、商品名:2E4MZ−CN)1.6重量部、感光性モノマーである多官能アクリルモノマー(日本化薬社製、商品名:R604)3重量部、同じく多価アクリルモノマー(共栄化学社製、商品名:DPE6A)1.5重量部、分散系消泡剤(サンノプコ社製、商品名:S−65)0.71重量部を容器にとり、攪拌、混合して混合組成物を調製し、この混合組成物に対して光重合開始剤としてベンゾフェノン(関東化学社製)2.0重量部、光増感剤としてのミヒラーケトン(関東化学社製)0.2重量部を加えて、粘度を25℃で2.0Pa・sに調整したソルダーレジスト組成物(有機樹脂絶縁材料)を得た。なお、粘度測定は、B型粘度計(東京計器社製、DVL−B型)で60rpmの場合はローターNo.4、6rpmの場合はローターNo.3によった。
【0041】(18)次に、多層配線基板の両面に、上記ソルダーレジスト組成物を20μmの厚さで塗布し、70℃で20分間、70℃で30分間の条件で乾燥処理を行った後、ソルダーレジスト開口部のパターンが描画された厚さ5mmのフォトマスクをソルダーレジスト層に密着させて1000mJ/cm2 の紫外線で露光し、DMTG溶液で現像処理し、上面に200μmの直径の開口71Uを、下面に直径500μmの開口71Dを形成した。そして、さらに、80℃で1時間、100℃で1時間、120℃で1時間、150℃で3時間の条件でそれぞれ加熱処理を行ってソルダーレジスト層を硬化させ、はんだパッド部分が開口した、その厚さが20μmのソルダーレジスト層(有機樹脂絶縁層)70を形成した(図6(A))。スルーホールの半硬化の樹脂フィルムで圧着して、露光・現像或いはレーザで半田パットを設けてもよい。
【0042】(19)次に、ソルダーレジスト層(有機樹脂絶縁層)70を形成した基板を、塩化ニッケル(2.3×10-1mol/l)、次亜リン酸ナトリウム(2.8×10-1mol/l)、クエン酸ナトリウム(1.6×10-1mol/l)を含むpH=4.5の無電解ニッケルめっき液に20分間浸漬して、開口71に厚さ5μmのニッケルめっき層72を形成した(図6(B))。さらに、その基板をシアン化金カリウム(7.6×10-3mol/l)、塩化アンモニウム(1.9×10-1mol/l)、クエン酸ナトリウム(1.2×10-1mol/l)、次亜リン酸ナトリウム(1.7×10-1mol/l)を含む無電解めっき液に80℃の条件で7.5分間浸漬して、ニッケルめっき層72上に、厚さ0.03μmの金めっき層74を形成した。
【0043】(20)この後、ソルダーレジスト層70の開口71U、71Dにはんだペーストを印刷して、200℃でリフローすることによりはんだバンプ(はんだ体)76U、76Dを形成し、多層プリント配線板10を完成する(図7参照)。
【0044】[第2実施形態]引き続き、本発明の第2実施形態に係る多層プリント配線板及びその製造方法について説明する。図12は、パッケージ基板に適用した第2実施形態に係る多層プリント配線板の断面を示している。この第2実施形態の多層プリント配線板は、図7を参照して上述した第1実施形態と同様である。但し、第1実施形態では、ドータボード側にはんだバンプ76Dが配設されたが、第2実施形態では、導電性接続ピン78が配設されている。
【0045】第2実施形態の多層プリント配線板の製造方法について説明する。コア基板の形成方法は、図1及び図2を参照して上述した第1実施形態の工程(1)〜(8)と同様であるため、説明を省略する。
【0046】まず、層間樹脂絶縁層用樹脂フィルムの作製について説明する。ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量469、油化シェルエポキシ社製エピコート1001)30重量部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量215、大日本インキ化学工業社製 エピクロンN−673)40重量部、トリアジン構造含有フェノールノボラック樹脂(フェノール性水酸基当量120、大日本インキ化学工業社製 フェノライトKA−7052)30重量部をエチルジグリコールアセテート20重量部、ソルベントナフサ20重量部に攪拌しながら加熱溶解させ、そこへ末端エポキシ化ポリブタジエンゴム(ナガセ化成工業社製 デナレックスR−45EPT)15重量部と2−フェニル−4、5−ビス(ヒドロキシメチル)イミダゾール粉砕品1.5重量部、微粉砕シリカ2重量部、シリコン系消泡剤0.5重量部を添加しエポキシ樹脂組成物を調製した。得られたエポキシ樹脂組成物を厚さ38μmのPETフィルム上に乾燥後の厚さが50μmとなるようにロールコーターを用いて塗布した後、80〜120℃で10分間乾燥させることにより、層間樹脂絶縁層用樹脂フィルムを作製した。
【0047】(9)図2( D)に示す基板30の両面に、基板より少し大きめの上記作製した層間樹脂絶縁層用樹脂フィルムを載置し、圧力4kgf/cm2 、温度80℃、圧着時間10秒の条件で仮圧着して裁断した後、さらに、以下の方法により真空ラミネーター装置を用いて貼り付けることにより層間樹脂絶縁層50を形成した(図8(A)参照)。すなわち、層間樹脂絶縁層用樹脂フィルムを基板上に、真空度0.5Torr、圧力4kgf/cm2 、温度80℃、圧着時間60秒の条件で本圧着し、その後、170℃で30分間熱硬化させた。
【0048】(10) 層間樹脂絶縁層50上に、厚さ1.2mmの貫通孔49aが形成されたマスク49を載置する。そして、波長10.4μmのCO2 ガスレーザにて、ビーム径4.0mm、トップハットモード、パルス幅5.0μ秒、マスクの貫通孔の径1.0mm、1ショットの条件で、層間樹脂絶縁層50に直径80μmのバイアホール用開口48を形成した(図8(B)参照)。
【0049】(11) バイアホール用開口48を形成した基板30を、60g/lの過マンガン酸を含む80℃の溶液に10分間浸漬し、層間樹脂絶縁層50の表面に存在するエポキシ樹脂粒子を溶解除去することにより、バイアホール用開口48の内壁を含む層間樹脂絶縁層50の表面を粗面とした(図8(C)参照)。
【0050】(12) 次に、上記処理を終えた基板を、中和溶液(シプレイ社製)に浸漬してから水洗いした。さらに、粗面化処理(粗化深さ3μm)した該基板の表面に、パラジウム触媒を付与することにより、層間樹脂絶縁層50の表面およびバイアホール用開口48の内壁面に触媒核を付着させた。
【0051】(13)次に、以下の組成の無電解銅めっき水溶液中に基板を浸漬して、粗面全体に厚さ0.6〜3.0μmの無電解銅めっき膜51を形成した(図9(A)参照)。
〔無電解めっき水溶液〕
NiSO4 0.003 mol/l酒石酸 0.200 mol/l硫酸銅 0.030 mol/lHCHO 0.050 mol/lNaOH 0.100 mol/lα、α′−ビピリジル 40 mg/lポリエチレングリコール(PEG) 0.10 g/l〔無電解めっき条件〕
35℃の液温度で40分
【0052】(14)市販の感光性ドライフィルムを無電解銅めっき膜51に貼り付け、マスクを載置して、100mJ/cm2 で露光し、0.8%炭酸ナトリウム水溶液で現像処理することにより、厚さ30μmのめっきレジスト54を設けた(図9(B)参照)。
【0053】(15)ついで、基板を50℃の水で洗浄して脱脂し、25℃の水で水洗後、さらに硫酸で洗浄してから、以下の条件で電解銅めっきを施し、厚さ20μmの電解銅めっき膜56を形成した(図9(C)参照)。
〔電解めっき水溶液〕
硫酸 2.24 mol/l硫酸銅 0.26 mol/l添加剤 19.5 ml/l(アトテックジャパン社製、カパラシドHL)
〔電解めっき条件〕
電流密度 1 A/dm2時間 65 分温度 22±2 ℃
【0054】(16)めっきレジスト54を5%NaOHで剥離除去した後、そのめっきレジスト54下の無電解めっき膜51を硫酸と過酸化水素の混合液でエッチング処理して溶解除去し、無電解銅めっき膜51と電解銅めっき膜56からなる厚さ18μmの導体回路(バイアホール60を含む)58を形成した(図10(A)参照)。
【0055】(17)第1実施形態の導体回路34粗化の(8) と同様の処理を行い、第二銅錯体と有機酸とを含有するエッチング液によって、粗化面62を形成した(図10(B)参照)。
【0056】(18)上記 (9)〜(17)の工程を繰り返すことにより、上面の層間樹脂絶縁層50の上層に層間樹脂絶縁層160、導体回路158及びバイアホール160を形成し、多層配線板を得た(図10(C)参照)。
【0057】(19)次に、多層配線基板の両面に、第1実施形態と同様のソルダーレジスト組成物を20μmの厚さで塗布し、70℃で20分間、70℃で30分間の条件で乾燥処理を行った後、ソルダーレジスト開口部のパターンが描画された厚さ5mmのフォトマスクをソルダーレジスト層に密着させて1000mJ/cm2 の紫外線で露光し、DMTG溶液で現像処理し開口71U、71Dを形成した。そしてさらに、80℃で1時間、100℃で1時間、120℃で1時間、150℃で3時間の条件でそれぞれ加熱処理を行ってソルダーレジスト層を硬化させ、開口を有し、その厚さが20μmのソルダーレジストパターン層70を形成した(図11(A))。上記ソルダーレジスト組成物としては、市販のソルダーレジスト組成物を使用することもできる。
【0058】(20)次に、第1実施形態と同様に開口71U、71Dに厚さ5μmのニッケルめっき層72を形成し、さらに、ニッケルめっき層72上に、厚さ0.03μmの金めっき層74を形成した(図11(B))。
【0059】(20)この後、基板のICチップを載置する面のソルダーレジスト層70の開口71Uに、スズ−鉛を含有するはんだペーストを印刷し、さらに他方の面のソルダーレジスト層70の開口71Dにスズ−アンチモンを含有するはんだペーストを印刷した後、200℃でリフローすることにより上面にはんだバンプ76Uを設けた。そして、下面に導電性接続ピン78を配設し、プリント基板を製造した(図12参照)。
【0060】[第3実施形態]第3実施形態の多層プリント配線板の断面を図13に示す。この第3実施形態は、第1実施形態と同様の構成である。但し、この第3実施形態の多層プリント配線板は、層間樹脂絶縁層50及び層間樹脂絶縁層150が、以下に示す組成の上層用接着剤57と下層用接着剤55からなり、液体状態で塗布した後、露光・現像処理により開口を設けてある。
A.無電解めっき用接着剤調製用の原料組成物(上層用接着剤)
〔樹脂組成物■〕クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬製、分子量2500)の25%アクリル化物を80wt%の濃度でDMDGに溶解させた樹脂液を35重量部、感光性モノマー(東亜合成製、アロニックスM315 )3.15重量部、消泡剤(サンノプコ製、S−65)0.5 重量部、NMP 3.6重量部を攪拌混合して得た。
〔樹脂組成物■〕ポリエーテルスルフォン(PES)12重量部、エポキシ樹脂粒子(三洋化成製、ポリマーポール)の平均粒径 1.0μmのものを 7.2重量部、平均粒径 0.5μmのものを3.09重量部、を混合した後、さらにNMP30重量部を添加し、ビーズミルで攪拌混合して得た。
〔硬化剤組成物■〕イミダゾール硬化剤(四国化成製、2E4MZ-CN)2重量部、光開始剤(チバガイギー製、イルガキュア I−907 )2重量部、光増感剤(日本化薬製、DETX-S)0.2 重量部、NMP 1.5重量部を攪拌混合して得た。
【0061】B.層間樹脂絶縁剤調製用の原料組成物(下層用接着剤)
〔樹脂組成物■〕クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬製、分子量2500)の25%アクリル化物を80wt%の濃度でDMDGに溶解させた樹脂液を35重量部、感光性モノマー(東亜合成製、アロニックスM315 )4重量部、消泡剤(サンノプコ製、S−65)0.5 重量部、NMP 3.6重量部を攪拌混合して得た。
〔樹脂組成物■〕ポリエーテルスルフォン(PES)12重量部、エポキシ樹脂粒子(三洋化成製、ポリマーポール)の平均粒径 0.5μmのものを 14.49重量部、を混合した後、さらにNMP30重量部を添加し、ビーズミルで攪拌混合して得た。
〔硬化剤組成物■〕イミダゾール硬化剤(四国化成製、2E4MZ-CN)2重量部、光開始剤(チバガイギー製、イルガキュア I−907 )2重量部、光増感剤(日本化薬製、DETX-S)0.2 重量部、NMP1.5 重量部を攪拌混合して得た。
【0062】[比較例1]比較例1の多層プリント配線板は、第1実施形態と同様に構成してある。但し、第1実施形態では、スルーホール36内にめっきを充填したのに対して、比較例1では、樹脂充填材を充填してある。
【0063】第1〜第3実施形態と比較例1、比較例2に対してヒートサイクル試験(−65℃/3分+130℃/3分を1サイクルとし、1000サイクル実施)を行った結果について、図14の図表中に示す。第1、第2、第3実施形態では、ヒートサイクル後も反り及び断線が発生しなかったが、比較例1では反りが発生した。なお、反り量は、平坦な基台に基板を置いて、その端部を測定器により高さを測ることにより測定した。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(A)、(B)、(C)、(D)は、本発明の第1実施形態に係る多層プリント配線板の製造工程図である。
【図2】図2(A)、(B)、(C)、(D)は、本発明の第1実施形態に係る多層プリント配線板の製造工程図である。
【図3】図3(A)、(B)、(C)は、本発明の第1実施形態に係る多層プリント配線板の製造工程図である。
【図4】図4(A)、(B)、(C)は、本発明の第1実施形態に係る多層プリント配線板の製造工程図である。
【図5】図5(A)、(B)は、本発明の第1実施形態に係る多層プリント配線板の製造工程図である。
【図6】図6(A)、(B)は、本発明の第1実施形態に係る多層プリント配線板の製造工程図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る多層プリント配線板の断面図である。
【図8】図8(A)、(B)、(C)は、本発明の第2実施形態に係る多層プリント配線板の製造工程図である。
【図9】図9(A)、(B)、(C)は、本発明の第2実施形態に係る多層プリント配線板の製造工程図である。
【図10】図10(A)、(B)、(C)は、本発明の第2実施形態に係る多層プリント配線板の製造工程図である。
【図11】図11(A)、(B)は、本発明の第2実施形態に係る多層プリント配線板の製造工程図である。
【図12】本発明の第2実施形態に係る多層プリント配線板の断面図である。
【図13】本発明の第3実施形態に係る多層プリント配線板の断面図である。
【図14】ヒートサイクル試験の結果を示す図表である。
【符号の説明】
22 金属層
24 第1電解めっき層
26 無電解めっき膜
28 第2電解めっき層
30 樹脂基板
32 通孔
34 導体回路
36 バイアホール
50 層間樹脂絶縁層
58 導体回路
60 バイアホール
70 ソルダーレジスト層
76U、76D 半田バンプ
【0001】
【発明の属する技術分野】ICチップなどの電子部品を載置するパッケージ基板に用い得る多層プリント配線板に関し、特にコア基板に層間樹脂絶縁層をビルドアップしてなる多層プリント配線板及び多層プリント配線板の製造方法に関するのもである。
【0002】
【従来の技術】従来、ビルドアップ多層プリント配線板は、例えば、特開平9−130050号に開示される方法にて製造されている。すなわち、スルーホールを形成したコア基板の上に層間樹脂絶縁層を積層し、該層間樹脂絶縁層の上に回路パターンを形成する。これを繰り返すことにより、ビルドアップ多層プリント配線板が得られる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】現在、コア基板にスルーホールを形成する際に、ドリルにより通孔を穿設している。このため、通孔の径として、300μmが最小限界であり、スルーホールの密度をドリル径で決定される値以上高めることができなかった。このため、コア基板にレーザにより通孔を穿設する方法が検討されているが、コア基板は1mm程度の厚みがあるため、微細な通孔を形成することは難しかった。
【0004】一方、パッケージ基板として用いられる多層プリント配線板では、ICチップに発生する熱を効率良く発散させれる必要がある。ここで、多層プリント配線板は、1mm程度の積層樹脂板からなるコア基板に、数10μmの層間樹脂絶縁層及び配線層を積層してなる。このため、多層プリント配線板の厚みとしては、コア基板が大半を占めることになる。即ち、コア基板が、多層プリント配線板の厚みを厚くし、熱伝導性を下げさせる原因となっていた。
【0005】本発明は上述した課題を解決するためなされたものであり、その目的とするところは、スルーホールの配設密度を高め得ると共に、厚みを薄くできる多層プリント配線板及び該多層プリント配線板の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決するため、請求項1は、スルーホールを設けたコア基板に層間樹脂絶縁層をビルドアップしてなる多層プリント配線板において、前記コア基板のスルーホールが、電解めっきによる第1金属層と、無電解めっき、スパッタ又は蒸着による金属膜と、電解めっきによる第2金属層とを充填してなることを技術的特徴とする。
【0007】請求項1では、スルーホールをめっき充填により形成するため、スルーホールの上に接続用のバイアホールが形成でき、バイアホールの配線密度を高めることができる。また、スルーホールを、電解めっきと、無電解めっきと、電解めっきとを充填するため、スルーホール内の充填不足がなくなる。
【0008】請求項2の発明は、少なくとも以下の(A)〜(E)の工程を備えることを特徴とする多層プリント配線板の製造方法にある:(A)一方の面に金属層の形成された樹脂絶縁層に、レーザで前記金属層へ至る非貫通孔を形成する工程;
(B)前記樹脂絶縁層の非貫通孔に、前記金属層を介して電流を流し電解めっきにより第1金属層を充填する工程;
(C)前記樹脂絶縁層の金属層の反対面に、金属膜を形成する工程:(D)前記樹脂絶縁層の非貫通孔に、前記金属膜を介して電流を流し電解めっきにより第2金属層を充填する工程;
(E)前記樹脂絶縁層の金属層と金属膜とエッチングして、スルーホールのランドを形成する工程。
【0009】請求項2では、スルーホールをレーザにより形成するため、50〜250μm径スルーホールが施せるので、配線密度を向上させることができる。スルーホールをめっき充填により形成するため、コア基板の強度が高まり、反りが発生し難くなる。このため、コア基板を薄く形成でき、多層プリント配線板の放熱性を高めることが可能となる。スルーホールを電解めっきにより充填するので、スルーホール内の充填不足がなくなる。更に、スルーホールのランドとなる金属膜を形成してから、スルーホール内に第2金属層を形成するため、ランドが剥離することがなくなり、スルーホールの信頼性を高めることができる。更に、接続信頼性が高いため、当該ランドを薄く形成でき、上層の層間樹脂絶縁層の平滑性を高めることが可能となり、層間樹脂絶縁層の剥離やクラックの発生を防げる。
【0010】請求項3では、請求項2において、前記樹脂絶縁層に、無電解めっき、スパッタ又は蒸着により金属層を形成する工程を更に有することを技術的特徴とする。
【0011】請求項3では、無電解めっきで形成すると、廉価に金属層を形成することができる。また、スパッタで形成すると、高い密着性を有する金属層を薄く形成できる。蒸着で形成すると金属層を薄く形成できる。
【0012】請求項4では、請求項2又は3において、前記樹脂絶縁層の金属層の反対面に、金属膜を形成する工程において、無電解めっき、スパッタ又は蒸着を用いることを技術的特徴とする。
【0013】請求項4では、無電解めっきで形成すると、廉価に金属膜を形成することができる。また、スパッタで形成すると、高い密着性を有する金属膜を薄く形成できる。蒸着で形成すると金属膜を薄く形成できる。
【0014】
【発明の実施の形態】[第1実施形態]本発明の第1実施形態に係る多層プリント配線板の構成について、断面図を示す図7を参照して説明する。第1実施形態の多層プリント配線板は、コア基板30の上面及び下面に導体回路34が形成され、該導体回路34の上には層間樹脂絶縁層50、50が配設されている。該下層層間樹脂絶縁層50には、バイアホール60及び導体回路58が配設されている。上面側の下層層間樹脂絶縁層50の上には、バイアホール160が形成された上層層間樹脂絶縁層150が配置されている。上面側の上層層間樹脂絶縁層150の上、及び、下面側の下層層間樹脂絶縁層50の表面には、ソルダーレジスト層70が配設されている。
【0015】多層プリント配線板10の上面には、ソルダーレジスト層70の開口71UにICチップへの接続用の半田バンプ76Uが配設される。一方、パッケージ基板の底面には、ソルダーレジスト層70の開口71Dに、ドータボードへの接続用の半田バンプ76Dが配設されている。
【0016】該半田バンプ76Uは、層間樹脂絶縁層150に形成されたバイアホール160及び層間樹脂絶縁層50に形成されたバイアホール60を介してスルーホール36へ接続されている。一方、該半田バンプ76Dは、層間樹脂絶縁層50に形成されたバイアホール60を介してスルーホール36へ接続されている。
【0017】コア基板30に形成されたスルーホール36は、第1電解めっき層24と、無電解めっき膜26と、第2電解めっき層28とからなる。スルーホール36をめっき充填により形成するため、コア基板30の強度が高まり、反りが発生し難くなる。このため、コア基板を薄く形成でき、多層プリント配線板の放熱性を高めることが可能となる。また、スルーホール36を第1電解めっき層24と、無電解めっき膜26と、第2電解めっき層28とを充填して形成するため、スルーホール内の充填不足がなくなる。
【0018】後述するように第1実施形態の多層プリント配線板は、スルーホール36をレーザにより形成するため、微細径のスルーホール36を狭ピッチで配設することができ、高集積化を達成している。
【0019】以下、図7に示す多層プリント配線板10の製造方法について図を参照して説明する。
【0020】(1)ガラスクロス、アライミドクロスにエポキシ樹脂、BT(ビスマレイミドトリアジン)樹脂、ポリイミド樹脂、オレフィン樹脂、ポリフェノールエーテル樹脂を含浸させてなる基板30を出発材料とする(図1(A))。基板30の厚さは、20〜800μmの範囲がよく、特に、100〜500μmが好適である。これは、コア基板としての強度が保て、レーザにより容易に非貫通孔を形成できる厚さだからである。ここでは、心材に樹脂を含浸させて用いるが、この代わりに、心材を有さない樹脂、或いは、補強樹脂層をラミネートした樹脂を用いることもできる。
【0021】(2)該基板30の下面に、スパッタにより厚さ6〜20μmの金属層22を形成する(図1(B))。金属層22は、銅、ニッケル、クロム、コバルト、アルミニウム等を用いることができ、特に、銅又は銅を主としてなる合金が、廉価であると共に電気抵抗が低く好ましい。ここでは、樹脂からなる基板30への密着性に優れ薄く形成できるスパッタを用いるが、この代わりに、廉価な無電解めっき、又は、廉価に薄く金属層を形成できる蒸着を用いることができ、更に、無電解めっき、スパッタ、蒸着後に電解めっきを行うことも、更には、上記コア基板として銅箔のラミネートされた銅張り積層板を用いることができる。ここで、金属層22の厚さは、6〜20μmの範囲がよく、特に、8〜15μmの範囲が好適である。この厚みであれば、強度を保てるので反りもなく、また、後述するように基板30に非貫通孔を明ける際に、レーザのエネルギーを吸収し得るからである。
【0022】(3)次に、金属層22の非形成面から基板30に炭酸レーザを照射し、金属層22に至る非貫通孔32を穿設する(図1(C))。ここで、非貫通孔の径は、50〜250μmが好ましく、特に、75〜150μmの範囲で400〜600μmのピッチが好適である。非貫通孔32は小径である方が、配線密度を上げる上では望ましいが、半径に反比例して歩留まりが下がるからである。ここで、非貫通孔32は、炭酸レーザで1孔毎に穿設することも可能であり、また、通孔を備えるマスクを基板30に載置し、一括して非貫通孔を形成することもできる。なお、ここでは、廉価で大出力の得られる炭酸レーザを用いているが、この代わりに、エキシマ、UV、YAG等を用いることもでき、これらを混合して使用することもできる。
【0023】その後、酸或いは酸化剤で、非貫通孔32内のデスミヤ処理を行う。ここで、更に、酸素、4塩化炭素、窒素などのプラズマ処理、コロナ処理、UV処理などのドライ処理を施し、非貫通孔32の内壁を平滑にすることも可能である。
【0024】(4)次に、金属膜20にフィルム23を密着させた後、基板30を電解銅めっき液に浸漬し、金属層22を介して電流を流し、非貫通孔32内に第1めっき層24を形成する(図1(D))。第1電解めっき層は、電気抵抗の低い銅めっきが望ましいが、ニッケル、クロム、コバルト、アルミニウム等を用いることも可能である。
【0025】(5)該基板30の上面に、無電解めっきにより厚さ0.1〜10μmの金属膜26を形成する(図2(A))。金属層は、銅、ニッケル、クロム、コバルト、アルミニウム等を用いることができ、特に、銅又は銅を主としてなる合金が、廉価であると共に電気抵抗が低く好ましい。無電解めっきの代わりに、樹脂からなる基板30への密着性に優れるスパッタ、蒸着を用いることができる。ここで、金属膜26の厚さは、0.1〜10μmの範囲がよく、この範囲であれば、エッチングしても回路が形成できる。特に、0.5〜5μmの範囲が好適である。
【0026】(6)基板30を電解銅めっき液に浸漬し、金属膜26を介して電流を流し、非貫通孔32内に第2めっき層28を充填してスルーホール36とする(図2(B))。電解めっきは、第1めっき層を構成すると同じ金属であることが望ましい。また、図7を参照して上述したように、第1めっき層24の高さH1と、第2めっき層28の高さH2とはほぼ同様であることが望ましい。なお、第2めっき層28の表面を平滑化するため、エッチング、バフ研磨、ベルトサンダー、砥粒を吹き付けるジェットスクラブ研磨等を行うことも可能である。
【0027】(7)フィルム23を剥離した後、所定パターンのエッチンレジストを施し、パターニングを行い、コア基板30の表面に導体回路34を形成すると共に、スルーホール36にランド36aを形成する(図2(C))。ランドの形状としては、円形、楕円形が望ましいが、正方形、長方形でもよい。ランド36aは、スルーホール径の1.00〜1.25倍が望ましい。ランド36a及び導体回路の厚みH3は、上層の層間樹脂絶縁層の平滑化を達成するため、可能な限り薄い方が望ましい。
【0028】第1実施形態の多層プリント配線板では、スルーホール36のランド36aとなる金属膜26を形成してから、スルーホール内に第2めっき層28を形成するため、金属膜26からなるランド36aが剥離することがなくなり、スルーホール36の信頼性を高めることができる。更に、接続信頼性が高いため、当該ランドを薄く形成でき、後述する工程で形成する上層の層間樹脂絶縁層の平滑性を高めることが可能となり、当該層間樹脂絶縁層の剥離やクラックの発生を防げる。
【0029】(8)導体回路34及びランド36aを形成した基板を水洗いし、乾燥した後、エッチング液を基板の両面にスプレイで吹きつけて、下層導体回路34の表面とスルーホール36のランド36a表面とをエッチングすることにより、導体回路34の全表面に粗化面34βと、スルーホール36のランド36aに36βを形成した(図2(D)参照)。エッチング液として、イミダゾール銅(II)錯体10重量部、グリコール酸7重量部、塩化カリウム5重量部およびイオン交換水78重量部を混合したものを使用する。
【0030】なお、本実施形態で、上記(1)の工程ではエッチングにより粗化面を形成しているが、この代わりに、無電解めっきにより粗化層を形成することもできる。この場合には、導体回路34を形成した基板30にアルカリ脱脂してソフトエッチングして、次いで、塩化パラジウウムと有機酸からなる触媒溶液で処理して、Pd触媒を付与し、この触媒を活性化した後、硫酸銅3.2×10−2mol/l、硫酸ニッケル3.9×10−3mol/l、錯化剤5.4×10−2mol/l、次亜りん酸ナトリウム3.3×10−1mol/l、ホウ酸5.0×10−1mol/l、界面活性剤(日信化学工業製、サーフィール465)0.1g/l、PH=9からなる無電解めっき液に浸積し、浸漬1分後に、4秒当たり1回に割合で縦、および、横振動させて、導体回路34及びスルーホール36のランド36a表面にCu−Ni−Pからなる針状合金の被覆層と粗化層42を設ける。粗化層の表面に、Sn、Pb、Niなどの金属層を設けてもよい。
【0031】(9)次に、上記工程を経た基板の両面に、厚さ50μmの熱硬化型シクロオレフィン系樹脂シートを温度50〜150℃まで昇温しながら圧力5kg/cm2 で真空圧着ラミネートし、シクロオレフィン系樹脂からなる層間樹脂絶縁層50を設ける(図3(A)参照)。なお、真空圧着時の真空度は、10mmHgに調整する。
【0032】(10) 次に、波長10.4μmのCO2 ガスレーザにて、ビーム径5mm、トップハットモード、パルス幅15μ秒、マスクの穴径0.5mm、3ショットの条件でシクロオレフィン系樹脂からなる層間樹脂絶縁層50に直径80μmのバイアホール用開口48を設ける(図3(B)参照)。この後、酸素プラズマを用いてデスミア処理を行う。
【0033】(11) 次に、日本真空技術株式会社製のSV−4540を用いてプラズマ処理を行い、層間樹脂絶縁層50の表面を粗化した(図3(C)参照)。この際、不活性ガスとしてはアルゴンガスを使用し、電力200W、ガス圧0.6Pa、温度70℃の条件で、2分間プラズマ処理を実施した。
【0034】(12) 次に、同じ装置を用い、内部のアルゴンガスを交換した後、Ni−Cu合金をターゲットにしたスパッタリングを、気圧0.6Pa、温度80℃、電力200W、時間5分間の条件で行い、Ni−Cu合金層52をポリオレフィン系層間樹脂絶縁層50の表面に形成した。このとき、形成されたNi−Cu合金層52の厚さは0.2μmであった(図4(A)参照)。
【0035】(13)上記処理を終えた基板の両面に、市販の感光性ドライフィルムを貼り付け、フォトマスクフィルムを載置して、100mJ/cm2 で露光した後、0.8%炭酸ナトリウムで現像処理し、厚さ15μmのめっきレジスト54のパターンを形成した(図4(B)参照)。
【0036】(14)次に、以下の条件で電気めっきを施して、厚さ15μmの電気めっき膜56を形成した(図4(C)参照)。なお、この電気めっき膜56により、後述する工程で導体回路58となる部分の厚付けおよびバイアホール60となる部分のめっき充填等が行われたことになる。なお、電気めっき水溶液中の添加剤は、アトテックジャパン社製のカパラシドHLである。
【0037】〔電気めっき水溶液〕
硫酸 2.24 mol/l硫酸銅 0.26 mol/l添加剤 19.5 ml/l〔電気めっき条件〕
電流密度 1 A/dm2時間 65 分温度 22±2 ℃
【0038】(15)ついで、めっきレジスト54を5%NaOHで剥離除去した後、そのめっきレジスト54の下に存在していたNi−Cu合金層52を硝酸および硫酸と過酸化水素との混合液を用いるエッチングにて溶解除去し、電気銅めっき膜56等からなる厚さ16μmの導体回路58(バイアホール60を含む)を形成した(図5(A)参照)。
【0039】(16)続いて、上記(10) 〜(16)の工程を繰り返すことにより、さらに上面側の層間樹脂絶縁層50に、上層の層間樹脂絶縁層150、導体回路158及びバイアホール160を形成した(図5(B)参照)。
【0040】(17)次に、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)に60重量%の濃度になるように溶解させた、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬社製)のエポキシ基50%をアクリル化した感光性付与のオリゴマー(分子量:4000)46.67重量部、メチルエチルケトンに溶解させた80重量%のビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェル社製、商品名:エピコート1001)15重量部、イミダゾール硬化剤(四国化成社製、商品名:2E4MZ−CN)1.6重量部、感光性モノマーである多官能アクリルモノマー(日本化薬社製、商品名:R604)3重量部、同じく多価アクリルモノマー(共栄化学社製、商品名:DPE6A)1.5重量部、分散系消泡剤(サンノプコ社製、商品名:S−65)0.71重量部を容器にとり、攪拌、混合して混合組成物を調製し、この混合組成物に対して光重合開始剤としてベンゾフェノン(関東化学社製)2.0重量部、光増感剤としてのミヒラーケトン(関東化学社製)0.2重量部を加えて、粘度を25℃で2.0Pa・sに調整したソルダーレジスト組成物(有機樹脂絶縁材料)を得た。なお、粘度測定は、B型粘度計(東京計器社製、DVL−B型)で60rpmの場合はローターNo.4、6rpmの場合はローターNo.3によった。
【0041】(18)次に、多層配線基板の両面に、上記ソルダーレジスト組成物を20μmの厚さで塗布し、70℃で20分間、70℃で30分間の条件で乾燥処理を行った後、ソルダーレジスト開口部のパターンが描画された厚さ5mmのフォトマスクをソルダーレジスト層に密着させて1000mJ/cm2 の紫外線で露光し、DMTG溶液で現像処理し、上面に200μmの直径の開口71Uを、下面に直径500μmの開口71Dを形成した。そして、さらに、80℃で1時間、100℃で1時間、120℃で1時間、150℃で3時間の条件でそれぞれ加熱処理を行ってソルダーレジスト層を硬化させ、はんだパッド部分が開口した、その厚さが20μmのソルダーレジスト層(有機樹脂絶縁層)70を形成した(図6(A))。スルーホールの半硬化の樹脂フィルムで圧着して、露光・現像或いはレーザで半田パットを設けてもよい。
【0042】(19)次に、ソルダーレジスト層(有機樹脂絶縁層)70を形成した基板を、塩化ニッケル(2.3×10-1mol/l)、次亜リン酸ナトリウム(2.8×10-1mol/l)、クエン酸ナトリウム(1.6×10-1mol/l)を含むpH=4.5の無電解ニッケルめっき液に20分間浸漬して、開口71に厚さ5μmのニッケルめっき層72を形成した(図6(B))。さらに、その基板をシアン化金カリウム(7.6×10-3mol/l)、塩化アンモニウム(1.9×10-1mol/l)、クエン酸ナトリウム(1.2×10-1mol/l)、次亜リン酸ナトリウム(1.7×10-1mol/l)を含む無電解めっき液に80℃の条件で7.5分間浸漬して、ニッケルめっき層72上に、厚さ0.03μmの金めっき層74を形成した。
【0043】(20)この後、ソルダーレジスト層70の開口71U、71Dにはんだペーストを印刷して、200℃でリフローすることによりはんだバンプ(はんだ体)76U、76Dを形成し、多層プリント配線板10を完成する(図7参照)。
【0044】[第2実施形態]引き続き、本発明の第2実施形態に係る多層プリント配線板及びその製造方法について説明する。図12は、パッケージ基板に適用した第2実施形態に係る多層プリント配線板の断面を示している。この第2実施形態の多層プリント配線板は、図7を参照して上述した第1実施形態と同様である。但し、第1実施形態では、ドータボード側にはんだバンプ76Dが配設されたが、第2実施形態では、導電性接続ピン78が配設されている。
【0045】第2実施形態の多層プリント配線板の製造方法について説明する。コア基板の形成方法は、図1及び図2を参照して上述した第1実施形態の工程(1)〜(8)と同様であるため、説明を省略する。
【0046】まず、層間樹脂絶縁層用樹脂フィルムの作製について説明する。ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量469、油化シェルエポキシ社製エピコート1001)30重量部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量215、大日本インキ化学工業社製 エピクロンN−673)40重量部、トリアジン構造含有フェノールノボラック樹脂(フェノール性水酸基当量120、大日本インキ化学工業社製 フェノライトKA−7052)30重量部をエチルジグリコールアセテート20重量部、ソルベントナフサ20重量部に攪拌しながら加熱溶解させ、そこへ末端エポキシ化ポリブタジエンゴム(ナガセ化成工業社製 デナレックスR−45EPT)15重量部と2−フェニル−4、5−ビス(ヒドロキシメチル)イミダゾール粉砕品1.5重量部、微粉砕シリカ2重量部、シリコン系消泡剤0.5重量部を添加しエポキシ樹脂組成物を調製した。得られたエポキシ樹脂組成物を厚さ38μmのPETフィルム上に乾燥後の厚さが50μmとなるようにロールコーターを用いて塗布した後、80〜120℃で10分間乾燥させることにより、層間樹脂絶縁層用樹脂フィルムを作製した。
【0047】(9)図2( D)に示す基板30の両面に、基板より少し大きめの上記作製した層間樹脂絶縁層用樹脂フィルムを載置し、圧力4kgf/cm2 、温度80℃、圧着時間10秒の条件で仮圧着して裁断した後、さらに、以下の方法により真空ラミネーター装置を用いて貼り付けることにより層間樹脂絶縁層50を形成した(図8(A)参照)。すなわち、層間樹脂絶縁層用樹脂フィルムを基板上に、真空度0.5Torr、圧力4kgf/cm2 、温度80℃、圧着時間60秒の条件で本圧着し、その後、170℃で30分間熱硬化させた。
【0048】(10) 層間樹脂絶縁層50上に、厚さ1.2mmの貫通孔49aが形成されたマスク49を載置する。そして、波長10.4μmのCO2 ガスレーザにて、ビーム径4.0mm、トップハットモード、パルス幅5.0μ秒、マスクの貫通孔の径1.0mm、1ショットの条件で、層間樹脂絶縁層50に直径80μmのバイアホール用開口48を形成した(図8(B)参照)。
【0049】(11) バイアホール用開口48を形成した基板30を、60g/lの過マンガン酸を含む80℃の溶液に10分間浸漬し、層間樹脂絶縁層50の表面に存在するエポキシ樹脂粒子を溶解除去することにより、バイアホール用開口48の内壁を含む層間樹脂絶縁層50の表面を粗面とした(図8(C)参照)。
【0050】(12) 次に、上記処理を終えた基板を、中和溶液(シプレイ社製)に浸漬してから水洗いした。さらに、粗面化処理(粗化深さ3μm)した該基板の表面に、パラジウム触媒を付与することにより、層間樹脂絶縁層50の表面およびバイアホール用開口48の内壁面に触媒核を付着させた。
【0051】(13)次に、以下の組成の無電解銅めっき水溶液中に基板を浸漬して、粗面全体に厚さ0.6〜3.0μmの無電解銅めっき膜51を形成した(図9(A)参照)。
〔無電解めっき水溶液〕
NiSO4 0.003 mol/l酒石酸 0.200 mol/l硫酸銅 0.030 mol/lHCHO 0.050 mol/lNaOH 0.100 mol/lα、α′−ビピリジル 40 mg/lポリエチレングリコール(PEG) 0.10 g/l〔無電解めっき条件〕
35℃の液温度で40分
【0052】(14)市販の感光性ドライフィルムを無電解銅めっき膜51に貼り付け、マスクを載置して、100mJ/cm2 で露光し、0.8%炭酸ナトリウム水溶液で現像処理することにより、厚さ30μmのめっきレジスト54を設けた(図9(B)参照)。
【0053】(15)ついで、基板を50℃の水で洗浄して脱脂し、25℃の水で水洗後、さらに硫酸で洗浄してから、以下の条件で電解銅めっきを施し、厚さ20μmの電解銅めっき膜56を形成した(図9(C)参照)。
〔電解めっき水溶液〕
硫酸 2.24 mol/l硫酸銅 0.26 mol/l添加剤 19.5 ml/l(アトテックジャパン社製、カパラシドHL)
〔電解めっき条件〕
電流密度 1 A/dm2時間 65 分温度 22±2 ℃
【0054】(16)めっきレジスト54を5%NaOHで剥離除去した後、そのめっきレジスト54下の無電解めっき膜51を硫酸と過酸化水素の混合液でエッチング処理して溶解除去し、無電解銅めっき膜51と電解銅めっき膜56からなる厚さ18μmの導体回路(バイアホール60を含む)58を形成した(図10(A)参照)。
【0055】(17)第1実施形態の導体回路34粗化の(8) と同様の処理を行い、第二銅錯体と有機酸とを含有するエッチング液によって、粗化面62を形成した(図10(B)参照)。
【0056】(18)上記 (9)〜(17)の工程を繰り返すことにより、上面の層間樹脂絶縁層50の上層に層間樹脂絶縁層160、導体回路158及びバイアホール160を形成し、多層配線板を得た(図10(C)参照)。
【0057】(19)次に、多層配線基板の両面に、第1実施形態と同様のソルダーレジスト組成物を20μmの厚さで塗布し、70℃で20分間、70℃で30分間の条件で乾燥処理を行った後、ソルダーレジスト開口部のパターンが描画された厚さ5mmのフォトマスクをソルダーレジスト層に密着させて1000mJ/cm2 の紫外線で露光し、DMTG溶液で現像処理し開口71U、71Dを形成した。そしてさらに、80℃で1時間、100℃で1時間、120℃で1時間、150℃で3時間の条件でそれぞれ加熱処理を行ってソルダーレジスト層を硬化させ、開口を有し、その厚さが20μmのソルダーレジストパターン層70を形成した(図11(A))。上記ソルダーレジスト組成物としては、市販のソルダーレジスト組成物を使用することもできる。
【0058】(20)次に、第1実施形態と同様に開口71U、71Dに厚さ5μmのニッケルめっき層72を形成し、さらに、ニッケルめっき層72上に、厚さ0.03μmの金めっき層74を形成した(図11(B))。
【0059】(20)この後、基板のICチップを載置する面のソルダーレジスト層70の開口71Uに、スズ−鉛を含有するはんだペーストを印刷し、さらに他方の面のソルダーレジスト層70の開口71Dにスズ−アンチモンを含有するはんだペーストを印刷した後、200℃でリフローすることにより上面にはんだバンプ76Uを設けた。そして、下面に導電性接続ピン78を配設し、プリント基板を製造した(図12参照)。
【0060】[第3実施形態]第3実施形態の多層プリント配線板の断面を図13に示す。この第3実施形態は、第1実施形態と同様の構成である。但し、この第3実施形態の多層プリント配線板は、層間樹脂絶縁層50及び層間樹脂絶縁層150が、以下に示す組成の上層用接着剤57と下層用接着剤55からなり、液体状態で塗布した後、露光・現像処理により開口を設けてある。
A.無電解めっき用接着剤調製用の原料組成物(上層用接着剤)
〔樹脂組成物
〔樹脂組成物
〔硬化剤組成物
【0061】B.層間樹脂絶縁剤調製用の原料組成物(下層用接着剤)
〔樹脂組成物
〔樹脂組成物
〔硬化剤組成物
【0062】[比較例1]比較例1の多層プリント配線板は、第1実施形態と同様に構成してある。但し、第1実施形態では、スルーホール36内にめっきを充填したのに対して、比較例1では、樹脂充填材を充填してある。
【0063】第1〜第3実施形態と比較例1、比較例2に対してヒートサイクル試験(−65℃/3分+130℃/3分を1サイクルとし、1000サイクル実施)を行った結果について、図14の図表中に示す。第1、第2、第3実施形態では、ヒートサイクル後も反り及び断線が発生しなかったが、比較例1では反りが発生した。なお、反り量は、平坦な基台に基板を置いて、その端部を測定器により高さを測ることにより測定した。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(A)、(B)、(C)、(D)は、本発明の第1実施形態に係る多層プリント配線板の製造工程図である。
【図2】図2(A)、(B)、(C)、(D)は、本発明の第1実施形態に係る多層プリント配線板の製造工程図である。
【図3】図3(A)、(B)、(C)は、本発明の第1実施形態に係る多層プリント配線板の製造工程図である。
【図4】図4(A)、(B)、(C)は、本発明の第1実施形態に係る多層プリント配線板の製造工程図である。
【図5】図5(A)、(B)は、本発明の第1実施形態に係る多層プリント配線板の製造工程図である。
【図6】図6(A)、(B)は、本発明の第1実施形態に係る多層プリント配線板の製造工程図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る多層プリント配線板の断面図である。
【図8】図8(A)、(B)、(C)は、本発明の第2実施形態に係る多層プリント配線板の製造工程図である。
【図9】図9(A)、(B)、(C)は、本発明の第2実施形態に係る多層プリント配線板の製造工程図である。
【図10】図10(A)、(B)、(C)は、本発明の第2実施形態に係る多層プリント配線板の製造工程図である。
【図11】図11(A)、(B)は、本発明の第2実施形態に係る多層プリント配線板の製造工程図である。
【図12】本発明の第2実施形態に係る多層プリント配線板の断面図である。
【図13】本発明の第3実施形態に係る多層プリント配線板の断面図である。
【図14】ヒートサイクル試験の結果を示す図表である。
【符号の説明】
22 金属層
24 第1電解めっき層
26 無電解めっき膜
28 第2電解めっき層
30 樹脂基板
32 通孔
34 導体回路
36 バイアホール
50 層間樹脂絶縁層
58 導体回路
60 バイアホール
70 ソルダーレジスト層
76U、76D 半田バンプ
【特許請求の範囲】
【請求項1】 スルーホールを設けたコア基板に層間樹脂絶縁層をビルドアップしてなる多層プリント配線板において、前記コア基板のスルーホールが、電解めっきによる第1金属層と、無電解めっき、スパッタ又は蒸着による金属膜と、電解めっきによる第2金属層とを充填してなることを特徴とする多層プリント配線板。
【請求項2】 少なくとも以下の(A)〜(E)の工程を備えることを特徴とする多層プリント配線板の製造方法:(A)一方の面に金属層の形成された樹脂絶縁層に、レーザで前記金属層へ至る非貫通孔を形成する工程;
(B)前記樹脂絶縁層の非貫通孔に、前記金属層を介して電流を流し電解めっきにより第1金属層を充填する工程;
(C)前記樹脂絶縁層の金属層の反対面に、金属膜を形成する工程:(D)前記樹脂絶縁層の非貫通孔に、前記金属膜を介して電流を流し電解めっきにより第2金属層を充填する工程;
(E)前記樹脂絶縁層の金属層と金属膜とエッチングして、スルーホールのランドを形成する工程。
【請求項3】 前記樹脂絶縁層に、無電解めっき、スパッタ又は蒸着により金属層を形成する工程を更に有することを特徴とする請求項2の多層プリント配線板の製造方法。
【請求項4】 前記樹脂絶縁層の金属層の反対面に、金属膜を形成する工程において、無電解めっき、スパッタ又は蒸着を用いることを特徴とする請求項2又は3の多層プリント配線板の製造方法。
【請求項1】 スルーホールを設けたコア基板に層間樹脂絶縁層をビルドアップしてなる多層プリント配線板において、前記コア基板のスルーホールが、電解めっきによる第1金属層と、無電解めっき、スパッタ又は蒸着による金属膜と、電解めっきによる第2金属層とを充填してなることを特徴とする多層プリント配線板。
【請求項2】 少なくとも以下の(A)〜(E)の工程を備えることを特徴とする多層プリント配線板の製造方法:(A)一方の面に金属層の形成された樹脂絶縁層に、レーザで前記金属層へ至る非貫通孔を形成する工程;
(B)前記樹脂絶縁層の非貫通孔に、前記金属層を介して電流を流し電解めっきにより第1金属層を充填する工程;
(C)前記樹脂絶縁層の金属層の反対面に、金属膜を形成する工程:(D)前記樹脂絶縁層の非貫通孔に、前記金属膜を介して電流を流し電解めっきにより第2金属層を充填する工程;
(E)前記樹脂絶縁層の金属層と金属膜とエッチングして、スルーホールのランドを形成する工程。
【請求項3】 前記樹脂絶縁層に、無電解めっき、スパッタ又は蒸着により金属層を形成する工程を更に有することを特徴とする請求項2の多層プリント配線板の製造方法。
【請求項4】 前記樹脂絶縁層の金属層の反対面に、金属膜を形成する工程において、無電解めっき、スパッタ又は蒸着を用いることを特徴とする請求項2又は3の多層プリント配線板の製造方法。
【図7】
【図1】
【図2】
【図12】
【図3】
【図4】
【図13】
【図5】
【図6】
【図14】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図1】
【図2】
【図12】
【図3】
【図4】
【図13】
【図5】
【図6】
【図14】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2001−168529(P2001−168529A)
【公開日】平成13年6月22日(2001.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−352659
【出願日】平成11年12月13日(1999.12.13)
【出願人】(000000158)イビデン株式会社 (856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成13年6月22日(2001.6.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成11年12月13日(1999.12.13)
【出願人】(000000158)イビデン株式会社 (856)
【Fターム(参考)】
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