説明

天窓開閉装置

【課題】建物外において生じた突風等が建物内に吹き込む虞をなくし得て、所望の排煙及び換気を行い得る天窓開閉装置を提供すること。
【解決手段】天窓開閉装置1は、ドーム状の天窓天井2と、天窓天井2が上部3に装着されていると共に水平面内におけるX方向において互いに対向して形成された排煙及び換気用の一対の天窓開口4及び4aを有している矩形枠状の天窓枠体6と、天窓枠体6の一対の天窓開口4及び4aの夫々に配設された一対の開口開閉装置7及び7aとを具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の屋上等に彩光、排煙や換気を行うために設置される天窓開口を開閉する天窓開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1においては、一端部では天窓枠体に回転自在に連結されていると共に他端部では天窓本体に回転自在であって直動自在に連結されている一方のアーム部材と、一端部では天窓枠体に回転自在であって直動自在に連結されていると共に中間部で一方のアーム部材の中間部に回転自在に連結されており、他端部では天窓本体に回転自在に連結されている他方のアーム部材とを具備している天窓開閉装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−125005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、斯かる天窓開閉装置では、天窓開口を開放する際には天窓本体を上昇させるために、建物外において生じた突風等が建物内に吹き込んで、所望の排煙及び換気を一時的に行えなくなる虞がある。
【0005】
本発明は、前記諸点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、建物外において生じた突風等が建物内に吹き込む虞をなくし得て、所望の排煙及び換気を行い得る天窓開閉装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の天窓開閉装置は、天窓天井と、この天窓天井が上部に装着されていると共に水平面内における一の方向において互いに対向して形成された一対の天窓開口を有している天窓枠体と、天窓枠体の一対の天窓開口の夫々に配設された一対の開口開閉装置とを具備しており、一対の開口開閉装置は、天窓開口を開閉するように配設された羽根と、気流に基づいて羽根に天窓開口を開閉させる開閉手段とを夫々具備しており、開閉手段は、羽根の一の部位を昇降自在に支持する第一の支持機構と、羽根の一の部位に対して鉛直方向に関して一方側に位置する羽根の他の部位を前記一の方向に移動自在に支持する第二の支持機構とを具備しており、羽根の他の部位は、羽根の他の部位が羽根の一の部位に対して下方に位置している場合であって羽根が開口閉鎖位置にある際には当該羽根の重心に対して建物外側に位置するように、羽根の他の部位が羽根の一の部位に対して上方に位置している場合であって羽根が開口閉鎖位置にある際には当該羽根の重心に対して建物内側に位置するように、配されている。
【0007】
本発明の天窓開閉装置によれば、特に、天窓枠体の一対の天窓開口の夫々に配設された一対の開口開閉装置を具備しており、一対の開口開閉装置は、天窓開口を開閉するように配設された羽根と、気流に基づいて羽根に天窓開口を開閉させる開閉手段とを夫々具備しており、開閉手段は、羽根の一の部位を昇降自在に支持する第一の支持機構と、羽根の一の部位に対して鉛直方向に関して一方側に位置する羽根の他の部位を前記一の方向に移動自在に支持する第二の支持機構とを具備しており、羽根の他の部位は、羽根の他の部位が羽根の一の部位に対して下方に位置している場合であって羽根が開口閉鎖位置にある際には当該羽根の重心に対して建物外側に位置するように、羽根の他の部位が羽根の一の部位に対して上方に位置している場合であって羽根が開口閉鎖位置にある際には当該羽根の重心に対して建物内側に位置するように、配されているために、羽根の自重に基づいて当該羽根を開口開放位置に配置することができて建物内の排煙及び換気を行い得、しかも、建物外において突風等に基づく気流が生じても当該気流を受ける一対の開口開閉装置のうちの一方の羽根を開口閉鎖位置に移動させることができる一方、当該気流を受けない一対の開口開閉装置のうちの他方の羽根を開口開放位置に配置した状態を維持できるので、建物外において生じた突風等が建物内に吹き込む虞をなくし得て、所望の排煙及び換気を行い得る。
【0008】
本発明の天窓開閉装置では、第二の支持機構は、羽根の他の部位に接して当該他の部位を水平方向における一の方向に関して移動自在に支持する支持面を具備しており、この支持面の建物内側の部位は、水平線に対して建物外側から建物内側に向かって上方に傾斜していてもよく、斯かる場合には、第二の支持機構の支持面の建物内側の部位において、気流に基づく開口閉鎖移動力に抗する抗移動力を羽根に与えることができて、急速な開口閉鎖や羽根の他の部位と第二の支持機構との衝突を防止することができ、また、開口閉鎖位置にある羽根を移動させて天窓開口を開放する際に、開口閉鎖位置にある羽根の開口開放移動を勢い付けることができる。前記第二の支持機構の支持面の建物内側の部位における接線の水平線に対する傾斜角は、建物外側から建物内側に向かって漸増していてもよく、斯かる場合には、第二の支持機構の支持面の建物内側の部位において、羽根が建物外側から開口閉鎖位置に向かって開口閉鎖移動するに連れて、開口閉鎖移動力に抗する抗移動力を漸増させることができて、急速な開口閉鎖や羽根の他の部位と第二の支持機構との衝突をより好適に防止することができ、また、開口閉鎖位置にある羽根を移動させて天窓開口を開放する際に、開口閉鎖位置にある羽根の前記建物内側の部位における開口開放移動の勢い付けを、初期には強く、後期には弱くすることができる。
【0009】
本発明の天窓開閉装置では、第二の支持機構は、羽根の他の部位に接して当該他の部位を水平方向における一の方向に関して移動自在に支持する支持面を具備しており、羽根が開口開放位置にある場合に当該羽根に当接する第二の支持機構の支持面の部位に対して建物外側に位置する当該支持面の部位は、水平線に対して建物外側から建物内側に向かって下方に傾斜していてもよく、斯かる場合には、羽根が開口開放位置にある場合に当該羽根に当接する第二の支持機構の支持面の部位に対して建物外側に位置する当該支持面の部位において、開口開放移動力に抗する抗移動力を羽根に与えることができ、而して、開口開放位置又はその近傍にある羽根の急速な開口開放移動や羽根の他の部位と第二の支持機構との衝突を防止し得る。羽根が開口開放位置にある場合に当該羽根に当接する前記第二の支持機構の支持面の部位に対して建物外側に位置する当該支持面の部位における接線の水平線に対する傾斜角は、建物外側から建物内側に向かって漸減していてもよく、斯かる場合には、羽根が開口開放位置にある場合に当該羽根に当接する第二の支持機構の支持面の部位に対して建物外側に位置する当該支持面の部位において、羽根が開口開放位置から建物外側に向かって遠ざかるに連れて、開口開放移動力に抗する抗移動力を漸増させることができて、開口開放位置又はその近傍にある羽根の急速な開口開放移動や羽根の他の部位と第二の支持機構との衝突をより好適に防止し得る。
【0010】
また、本発明の天窓開閉装置では、第二の支持機構は、羽根の他の部位に形成された軸体と、軸体を水平方向における一の方向に直動自在に且つ水平軸の回りで回動自在に支持する支持部材と、水平方向における一の方向に直動自在に支持部材に支持された状態の軸体に対して下方に且つ建物内側に位置するように、支持部材を水平軸の回りで回動自在に支持している回動軸と、軸体の建物内側に向かう直動に基づいて軸体を上方に案内する一方、軸体の建物外側に向かう直動に基づいて軸体を下方に案内するように、建物内側に寄って位置する軸体に当接する案内部材と、軸体を水平方向における一の方向に直動自在に支持した状態における支持部材の回動角を保持する保持機構とを具備していてもよく、斯かる場合には、開口開放位置側にある羽根の気流に基づく開口閉鎖移動を軽くすると共に開口閉鎖位置側にある羽根の気流に基づく開口閉鎖移動を重くすることができ、而して、開口開放位置側にある羽根の気流に基づく開閉移動により好適に排煙、換気することができ、案内部材による軸体の案内によって羽根の開口閉鎖移動に抗する抗開口閉鎖移動力を生じさせることで、開口閉鎖位置側にある羽根の急速な開口閉鎖移動を防止することができ、しかも、支持部材が軸体の建物内方向の直動に基づく建物内側に向かう回動を生じることにより羽根が開口閉鎖位置にある場合において建物内側及び建物外側のいずれにも何も突出させることがなくなる。
【0011】
本発明の天窓開閉装置では、開閉手段は、羽根が開口閉鎖位置に配された際に当該羽根の開口開閉移動を解除自在に禁止する禁止手段を具備しており、禁止手段は、端部で互いに回動自在に連結されていると共に羽根を天窓枠体に対して接近及び離反自在に連結した一対のアーム部材と、一対のアーム部材のうちの天窓枠体に連結された一方のアーム部材を、羽根を天窓枠体に対して接近させるための一対のアーム部材の相互の回動を強制的に生じさせるように、押圧する押圧手段と、押圧手段による押圧に連動して、羽根が開口閉鎖位置に配される際に一対のアーム部材のうちの他方のアーム部材又は羽根を解除自在に係止する係止手段とを具備しており、係止手段による係止によって羽根の開口開閉移動を禁止する一方、係止手段による係止の解除によって羽根の開口開閉移動を許容するようになっていてもよく、斯かる場合には、簡単な操作により開口を確実に閉鎖することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、建物外において生じた突風等が建物内に吹き込む虞をなくし得て、所望の排煙及び換気を行い得る天窓開閉装置を提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態の例の断面説明図である。
【図2】図1に示す例の平面説明図である。
【図3】図1に示す例の動作説明図である。
【図4】図1に示す例の動作説明図である。
【図5】図1に示す例の主に開口開閉装置の側面説明図である。
【図6】図5に示す開口開閉装置の動作説明図である。
【図7】図5に示す開口開閉装置の支持部材の説明図である。
【図8】図5に示す開口開閉装置の支持部材の説明図である。
【図9】図1に示す例に用いられる他の開口開閉装置の側面説明図である。
【図10】図9に示す他の開口開閉装置の動作説明図である。
【図11】図9に示す他の開口開閉装置の動作説明図である。
【図12】図9に示す他の開口開閉装置の動作説明図である。
【図13】図9に示す他の開口開閉装置の平面説明図である。
【図14】図12に示す状態の他の開口開閉装置の障子を省いた側面説明図である。
【図15】図9に示す状態の主に第二の支持機構の拡大説明図である。
【図16】図12に示す状態の主に第二の支持機構の拡大説明図である。
【図17】図9に示す他の開口開閉装置の第二の支持機構の案内部材の拡大説明図である。
【図18】図9に示す他の開口開閉装置の主に禁止手段の拡大説明図である。
【図19】図18に示す禁止手段の一部省略説明図である。
【図20】図18に示す禁止手段の一部省略説明図である。
【図21】図18に示す禁止手段の動作説明図である。
【図22】図9に示す例の他の禁止手段の説明図である。
【図23】図22に示す他の禁止手段の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に本発明を、図に示す好ましい実施の形態の例に基づいて更に詳細に説明する。なお、本発明はこれら例に何等限定されないのである。
【実施例】
【0015】
図1から図6において、本例の天窓開閉装置1は、ドーム状の天窓天井2と、天窓天井2が上部3に装着されていると共に水平面内におけるX方向において互いに対向して形成された排煙及び換気用の一対の天窓開口4及び4aを有している矩形枠状の天窓枠体6と、天窓枠体6の一対の天窓開口4及び4aの夫々に配設された一対の開口開閉装置7及び7aとを具備している。
【0016】
天窓枠体6は、X方向に伸びた一対の枠部11及び12と、X方向に直交する水平面内におけるY方向に伸びた一対の枠部13及び14とを具備している。枠部11の一端は支柱17を介して枠部13の一端に、枠部11の他端は支柱18を介して枠部14の一端に、枠部12の一端は支柱19を介して枠部13の他端に、枠部12の他端は支柱20を介して枠部14の他端に夫々固定的に連結されている。枠部11から14の夫々の上部3には、天窓天井2が装着されている。枠部11から14の夫々の下部は建物の屋上に配設される。枠部13は天窓開口4を、枠部14は天窓開口4aを夫々画成している。本例では、枠部13は後述の枠体24によって、枠部14は枠体24aによって具体化される。
【0017】
天窓天井2は、ドーム状であり、その四辺形の周縁部15において枠部11から14の上部3にボルト等を介して連結されている。天窓天井2は透光性を有していてもよく、斯かる場合には、天窓天井2から採光を行い得る。天窓天井2はアクリル製であってもよい。尚、天窓天井2の周縁部15には、雨等除け用の庇部16が形成されている。
【0018】
一対の開口開閉装置7及び7aは、天窓開口4及び4aを開閉するように配設された矩形状の羽根21及び21aと、気流に基づいて羽根21及び21aに天窓開口4及び4aを開閉させる開閉手段23及び23aとを夫々具備している。羽根21は、開閉手段23によって天窓開口4を開閉するように当該天窓開口4に配設されており、羽根21aは、開閉手段23aによって天窓開口4aを開閉するように当該天窓開口4aに配設されている。
【0019】
開口開閉装置7及び7aは、夫々互いに同様に形成されているので、以下、開口開閉装置7について詳細に説明し、開口開閉装置7aについては図に適宜符号aを付してこれらの詳細な説明を省略する。
【0020】
開閉手段23は、支柱17及び19に装着されると共に前記天窓開口4を画成している矩形状の枠体24と、羽根21を枠体24に連結していると共に、羽根21の上縁35側の一の部位25を鉛直方向としてのZ方向において昇降自在に支持する第一の支持機構26と、羽根21を枠体24に連結していると共に、羽根21の部位25に対して下方に位置する当該羽根21の他の部位27をX方向に移動自在に支持する第二の支持機構28と、羽根21による開口閉鎖状態を維持すべく、開口閉鎖位置にある羽根21を枠体24に係合させる係合手段(図示せず)とを具備している。羽根21の部位27は、羽根21が開口閉鎖位置にある場合に当該羽根21の重心Gに対して建物外8側に位置するように配されている。尚、開閉手段23は、前記係合手段に代えて又は加えて、羽根21が図6に示すように開口閉鎖位置に配された際に当該羽根21の開口開閉移動を解除自在に禁止する後述の禁止手段29を具備していてもよい。
【0021】
図5は羽根21が開口開放位置にある状態を、図6は羽根21が開口閉鎖位置にある状態を夫々示しており、開口開閉装置7は、建物外8側に向かう羽根21の開口開放移動により図5に示すように天窓開口4を開き、建物内9側に向かう羽根21の開口閉鎖移動により図6に示すように天窓開口4を閉じるようになっている。
【0022】
枠体24は、例えば図4及び図5に示すように、上枠31、下枠32並びに一対の縦枠33及び34とを有している。上枠31、下枠32並びに縦枠33及び34が羽根21に当接する部位には、開口開放位置にある羽根21に当接するシール部材が装着されていてもよい。
【0023】
矩形状の羽根21は、Y方向に伸びた上縁35及び下縁36並びに図6において鉛直方向としてのZ方向に伸びた側縁37及び38を有しており、天窓開口4を開閉自在となるように支持機構26及び28を介して枠体24に連結される。羽根21は、開口開放位置において静止した状態となり、気流に基づく開口閉鎖移動によって天窓開口4を狭めたり、気流に基づく開口開放移動により天窓開口4を拡げたりするようになっている。
【0024】
支持機構26は、羽根21の側縁37及び縦枠33側と羽根21の側縁38及び縦枠34側との夫々に設けられている。以下、羽根21の側縁37側及び縦枠33側に設けられた支持機構26について詳細に説明し、羽根21の側縁38及び縦枠34側に設けられた支持機構26については図に適宜同符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0025】
支持機構26は、側縁37の部位25に装着されていると共に縦枠33に対して昇降する軸体41と、部位25を昇降させる方向に伸びていると共に部位25に接して当該部位25を昇降自在に支持する支持面42が形成された支持部材43とを具備している。
【0026】
支持機構26は、本例では縦枠33側において支持部材43を支持機構28と共有しているが、別体であってもよい。支持部材43は縦枠33に装着されている。軸体41には転動ローラが装着されていてもよい。軸体41は、斯かる転動ローラの装着によって支持面42に円滑に案内支持される。尚、支持機構26は、羽根21の開口開放移動若しくは開口閉鎖移動を調整すべく、部位25を枠体24に対して上方若しくは下方に向かって弾性的に付勢する付勢部材としてのばね(図示せず)を具備していてもよい。
【0027】
支持部材43には、部位25を昇降させる方向に伸びた長孔又はスリット、本例では長孔53が形成されており、支持面42は、長孔53を画成している面からなる。支持面42は、Z方向に伸びた部位54と、当該部位54の上端に連接していると共に建物外8側から建物内9側に向かって上方に傾斜する方向に伸びた部位55とを具備している。部位54においては軸体41をZ方向に案内支持し、部位55においては軸体41を前記傾斜する方向に案内支持する。尚、支持面42は、部位55を省略してZ方向に伸びた部位54のみから形成されていてもよい。
【0028】
支持機構28は、羽根21の側縁37及び縦枠33側と羽根21の側縁38及び縦枠34側との夫々に設けられている。以下、羽根21の側縁37側及び縦枠33側に設けられた支持機構28について詳細に説明し、羽根21の側縁38及び縦枠34側に設けられた支持機構28については図に適宜同符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0029】
支持機構28は、側縁37の部位27に装着されている軸体61と、X方向に伸びていると共に部位27に接して当該部位27をX方向に移動自在に支持する支持面62が形成された前記支持部材43とを具備している。軸体61には転動ローラが装着されていてもよい。軸体61は、斯かる転動ローラの装着によって支持面62に円滑に案内支持される。支持機構26及び28は、支持面42及び62が形成された一つの支持部材43を共有しているが、別体であってもよい。
【0030】
部位27に装着された軸体61は、羽根21が開口閉鎖位置にある場合に当該羽根21の重心Gに対して上方に且つ建物外8側に位置するように配されている。軸体61は、羽根21が開口開放位置にある場合に羽根21の重心GとZ方向に伸びる同一直線上に夫々位置する。
【0031】
支持面62は、支持部材43にX方向に伸びて形成された長孔67を画成する面からなる。羽根21が開口開放位置から開口閉鎖位置に配される場合に当該羽根21の部位27に当接する支持面62の部位65は、X方向に伸びており、軸体61をX方向に直動自在に支持するようになっている。羽根21が開口開放位置にある場合に当該羽根21に当接する支持面62の部位P1に対して建物外8側に位置する当該支持面62の部位66は、水平線Hに対して建物外8側から建物内9側に向かって下方に傾斜している。部位66における接線の水平線Hに対する傾斜角は、建物外8側から建物内9側に向かって漸減している。部位66に当接する軸体61は、建物内9側から建物外8側への移動により上方に変位する一方、建物外8側から建物内9側への移動により下方に変位する。部位P1における接線の水平線Hに対する傾斜角は0度である。
【0032】
斯かる支持機構26及び28は、部位25及び27を夫々Y方向に伸びた水平軸の回りで回動自在に夫々支持している。
【0033】
羽根21が開口開放位置にある場合には、羽根21の重心Gと部位27とがZ方向に伸びる同一直線上に夫々位置するために、羽根21はその自重によりバランスを保って静止する。斯かる静止状態にある羽根21は、気流に基づく小さな力によって開口閉鎖移動が自在な状態にある。ここで羽根21が気流に基づいて開口開放位置から開口閉鎖移動をすると、部位27が重心Gに対して建物外8側に位置するために、羽根21には開口閉鎖移動力に抗する抗移動力としての開口開放移動力が与えられる。開口閉鎖移動力が抗移動力としての開口開放移動力よりも上回っている場合には、羽根21は開口閉鎖移動をし、また、開口閉鎖移動力が抗移動力としての開口開放移動力よりも下回っている場合には、羽根21は開口開放移動をして開口開放位置に復帰する。
【0034】
羽根21が開口閉鎖位置にある場合には、部位27と重心Gとを結ぶ線は、鉛直線(Z方向に伸びる線)に対して、建物外8側から建物内9側に向かって下方に傾斜しており、この傾斜角は、羽根21が開口開放移動によって開口開放位置に近づくに連れて漸減し、羽根21が開口開放位置に配された際に0度となる。部位27と重心Gとを結ぶ線が鉛直線に対して建物外8側から建物内9側に向かって下方に傾斜している場合には、羽根21にはその自重に基づく開口開放移動力が付与され、部位27と重心Gとを結ぶ線の鉛直線に対する傾斜角が0度となった場合には、部位27の位置と重心Gの位置との関係における開口開放移動力は生じない。
【0035】
支持面62は、本例では、部位65において、X方向に伸びており、軸体61をX方向に直動自在に支持するようになっているが、例えば図7に示すように、支持面62の建物内9側の部位68が水平線Hに対して建物外8側から建物内9側に向かって上方に傾斜していてもよく、斯かる場合には、部位68における接線の水平線Hに対する傾斜角は、建物外8側から建物内9側に向かって漸増していてもよい。部位68が上述のように傾斜している場合には、部位68において、気流に基づく開口閉鎖移動力に抗する抗移動力を羽根21に与えることができて、急速な開口閉鎖や羽根21の部位27と支持部材43との衝突を防止することができ、また、開口閉鎖位置にある羽根21を移動させて天窓開口4を開放する際に、開口閉鎖位置にある羽根21の開口開放方向への移動を勢い付けることができる。また、部位68における接線の水平線Hに対する傾斜角が建物外8側から建物内9側に向かって漸増している場合には、部位68において、羽根21が建物外8側から開口閉鎖位置に向かって開口閉鎖移動するに連れて、開口閉鎖移動力に抗する抗移動力を漸増させることができて、急速な開口閉鎖や羽根21の部位27と支持部材43との衝突をより好適に防止することができ、また、開口閉鎖位置にある羽根21を移動させて天窓開口4を開放する際に、部位68における開口開放方向への移動の勢い付けを、初期には強く、後期には弱くすることができる。
【0036】
また、支持面62は、本例では、部位65において、X方向に伸びており、軸体61をX方向に直動自在に支持するようになっているが、例えば図8に示すように、部位P1から羽根21が開口閉鎖位置にある場合に当該羽根21に当接する支持面62の部位P2までにおける面は、水平線Hに対して建物外8側から建物内9側に向かって上方に傾斜していてもよく、斯かる場合には、部位P1から部位P2までにおける接線の水平線Hに対する傾斜角は、建物外8側から建物内9側に向かって漸増していてもよい。部位P1から部位P2までにおける面が上述のように傾斜している場合には、開口閉鎖位置から開口開放位置に渡って気流に基づく開口閉鎖移動力に抗する抗移動力を羽根21に与えることができ、而して、開口開放位置又はその近傍にある羽根21の気流に基づく開閉移動を好適に行わせ得る。また、部位P1から部位P2までにおける接線の水平線Hに対する傾斜角が建物外8側から建物内9側に向かって漸増している場合には、羽根21が開口開放位置又はその近傍に位置する場合に気流に基づく小さな力によって羽根21に開口開閉移動させると共に、羽根21が開口閉鎖位置の近傍にある場合には気流に基づく力によっては羽根21に開口閉鎖移動を生じさせないようにすることができ、而して、開口開放位置又はその近傍にある羽根21の気流に基づく開閉移動によってより好適に換気することができる。
【0037】
支持面62の上記各部位における接線に対する水平線Hの傾斜に基づいて、部位27が支持面62に支持される羽根21に与えられる開口開放移動力をFとし、羽根21の自重に基づいて生じる鉛直方向への力をmgとすると、Fは数式F=mg・sinθによって求められる。この数式を用いて、支持面62の夫々の水平線Hに対する傾斜角はFとの関係において好適に設定される。
【0038】
開口開閉装置7による開口開閉動作について以下説明する。まず、開口閉鎖位置にある羽根21の開口開放移動を、係合手段による羽根21と枠体24との係合を解除することにより許容する。係合手段による係合の解除によって羽根21の開口開放移動が許容されると、部位27がX方向において重心Gに対して建物外8側に位置しているために、羽根21には開口開放位置に向かう回動モーメントが付与され、羽根21は開口開放移動を開始する。軸体41は、部位27の建物外8側に向かう移動に伴い、支持面42に沿って下降する。羽根21に付与される開口開放位置に向かう回動モーメントは、羽根21が開口開放位置に近づくに連れて、部位27と重心Gとを結ぶ線の鉛直線に対する傾斜角が漸減するために、次第に小さくなる。羽根21が開口開放移動により開口開放位置に到達すると、部位27と重心GとがZ方向に伸びる同一直線上に位置し、これにより羽根21の自重に基づく開口開放移動力が生じなくなり、而して、羽根21は開口開放位置で静止する。このように羽根21に付与される開口開放位置に向かう回動モーメントが次第に小さくなるために羽根21による急速な開口開放を防止することができ、また逆に、羽根21が開口開放位置から開口閉鎖位置に向かって開口閉鎖移動する場合には、羽根21に付与される開口開放位置に向かう回動モーメントは次第に大きくなるために、前記開口閉鎖移動に抗する抗移動力としての開口開放移動力が漸増する結果、急速な開口閉鎖を防止することができる。
【0039】
羽根21が開口開放位置に配された場合に、気流により羽根21に対して建物外8側が正圧に且つ建物内9側が負圧になると、羽根21には気流に基づく開口閉鎖移動力が付与され、この気流に基づく開口閉鎖移動力によって羽根21が開口閉鎖移動すると、建物外8及び建物内9間を流れる気体流量は減少する。逆に、気流により羽根21に対して建物外8側が負圧に且つ建物内9側が正圧になると、羽根21には気流に基づく開口開放移動力が付与され、この気流に基づく開口開放移動力によって羽根21が開口開放移動すると、建物外8及び建物内9間を流れる気体流量は増大する。気流に基づく開口開放移動力及び開口閉鎖移動力が生じなくなると、羽根21は、上述のように開口開放位置に復帰し、静止する。
【0040】
羽根21が気流に基づいて開口開放位置から建物外8側に向かって移動された場合には、部位66が水平線Hに対して建物外8側から建物内9側に向かって下方に傾斜しているために、羽根21には、羽根21の建物外8側に向かう移動力に抗する開口開放位置に向かう抗移動力が与えられ、斯かる抗移動力が羽根21の建物外8側に向かう移動力を上回る場合には、羽根21は開口開放位置に向かって建物内9側に移動して、開口開放位置に復帰する。ここで、部位66における接線の水平線Hに対する傾斜角は、建物外8側から建物内9側に向かって漸減しているために、羽根21が開口開放位置から建物外8側に向かって移動されるに連れて、羽根21の建物外8側に向かう移動力に抗する開口開放位置に向かう抗移動力は漸増する。
【0041】
開口開閉装置7では、羽根21に装着された係合手段のレバーを手動操作により建物内9側から引っ張って羽根21を開口閉鎖位置に配し、当該レバーを下枠32に係合させることにより天窓開口4を閉鎖した状態を維持する。
【0042】
尚、開口開閉装置7aもまた開口開閉装置7と同様に天窓開口4aの開口開閉動作を行い得る。
【0043】
以下、天窓開閉装置1の動作について説明する。まず、図1に示すように、開口開閉装置7及び7aの羽根21及び21aが開口開放位置に配されている際は、建物内9の排煙及び換気を行っている。ここで、図2に示すように建物外8においてX方向における一方の方向に気流が生じた場合には、当該一方の方向の気流により開口開閉装置7の羽根21に対して建物外8が正圧に且つ建物内9が負圧になるので、羽根21には当該一方の方向の気流に基づく開口閉鎖移動力が付与され、開口閉鎖移動し、最終的には図2に示すように開口閉鎖位置に配され、天窓開口4を閉鎖するが、斯かる一方の方向の気流によっては開口開閉装置7aの羽根21aに対する建物外8が建物内9に対して正圧とはならないので、天窓開口4aの開口開放状態を図2に示すように維持するか、または、前記一方の方向の気流に基づいて羽根21aに対して建物外8側に渦流が生じて負圧になる場合には、羽根21aには開口開放移動が生じ得る。また、図3に示すように建物外8においてX方向における他方の方向に気流が生じた場合には、当該他方の方向の気流により開口開閉装置7aの羽根21aに対して建物外8が正圧に且つ建物内9が負圧になるので、羽根21aには当該他方の方向の気流に基づく開口閉鎖移動力が付与され、開口閉鎖移動し、最終的には図3に示すように開口閉鎖位置に配され、天窓開口4aを閉鎖するが、斯かる他方の方向の気流によっては開口開閉装置7の羽根21に対する建物外8が建物内9に対して正圧とはならないので、羽根21には開口開放移動及び開口閉鎖移動の双方ともほとんど生じずに天窓開口4の開口開放状態を維持するか、または、前記他方の方向の気流に基づいて羽根21に対して建物外8側に渦流が生じて負圧になる場合には、羽根21には開口開放移動が生じ得る。尚、前記X方向における気流がなくなるか、弱まった場合には、当該気流によって開口閉鎖位置に配された羽根21又は21aは図1に示す開口開放位置に復帰する。
【0044】
本例の天窓開閉装置1によれば、天窓天井2と、天窓天井2が上部3に装着されていると共に水平面内におけるX方向において互いに対向して形成された一対の天窓開口4及び4aを有している天窓枠体6と、天窓枠体6の一対の天窓開口4及び4aの夫々に配設された一対の開口開閉装置7及び7aとを具備しており、一対の開口開閉装置7及び7aは、天窓開口4及び4aを開閉するように配設された羽根21及び21aと、気流に基づいて羽根21及び21aに天窓開口4及び4aを開閉させる開閉手段23及び23aとを夫々具備しており、開閉手段23及び23aは、羽根21及び21aの一の部位25(羽根21aの一の部位は図示せず)を昇降自在に支持する第一の支持機構26及び26aと、羽根21及び21aの部位25に対して下方に位置する羽根21及び21aの他の部位27(羽根21aの他の部位は図示せず)をX方向に移動自在に支持する第二の支持機構28及び28aとを具備しており、羽根21及び21aの他の部位25は、羽根21及び21aが開口閉鎖位置にある場合に当該羽根21及び21の重心Gに対して建物外8側に位置するように配されているために、羽根21及び21aの自重に基づいて当該羽根21及び21aを開口開放位置に配置することができて建物内9の排煙及び換気を行い得、しかも、建物外8において突風等に基づく気流が生じても当該気流を受ける一対の開口開閉装置7及び7aの羽根21及び21aのうちの一方を開口閉鎖位置に移動させることができる一方、当該気流を受けない一対の開口開閉装置7及び7aの羽根21及び21aのうちの他方を開口開放位置に配置した状態を維持できるので、建物外8において生じた突風等が建物内9に吹き込む虞をなくし得て、所望の排煙及び換気を行い得る。
【0045】
本例の天窓開閉装置1の開口開閉装置7は、開閉手段23を具備しているが、これに代えて、例えば図9から図21に示すように、気流に基づいて羽根21に天窓開口4を開閉させる開閉手段151を具備していてもよい。天窓開閉装置1の開口開閉装置7aもまた、開閉手段23aに代えて、開閉手段151と同様に形成された開閉手段を具備していてもよい。
【0046】
以下、開閉手段151について詳細に説明する。開閉手段151の構成のうち開閉手段23と同様に形成されているものについては同符号を付す。
【0047】
開閉手段151は、枠体24と、羽根21の一の部位25をZ方向において昇降自在に且つY方向に伸びた水平軸の回りでR1方向に回動自在に支持する第一の支持機構156と、部位25に対して下方に位置する羽根21の他の部位27を、X方向に移動自在に且つY方向に伸びた水平軸の回りでR2方向に回動自在に支持する第二の支持機構158と、羽根21が図12に示すように開口閉鎖位置に配された際に当該羽根21の開口開閉移動を解除自在に禁止する禁止手段29とを具備している。
【0048】
支持機構156は、羽根21の側縁37及び縦枠33側と羽根21の側縁38及び縦枠34側との夫々に設けられている。以下、羽根21の側縁37側及び縦枠33側に設けられた支持機構156について詳細に説明し、羽根21の側縁38及び縦枠34側に設けられた支持機構156については図に適宜同符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0049】
支持機構156は、側縁37の部位25に装着された軸体41と、軸体41をZ方向に直動案内するように縦枠33に装着されたZ方向に伸びた案内部材162と、羽根21に開口開放方向の移動力を与えるべく、部位25を枠体24に対して下方に向かって弾性的に付勢する付勢部材としてのばね164とを具備している。尚、支持機構156は、本例ではばね164を具備しているが、当該ばね164は省かれてもよい。
【0050】
案内部材162は、Z方向に伸びた条溝163を形成するように断面コ字状に形成されている。条溝163には、軸体41がZ方向に直動自在に且つY方向に伸びた水平軸を中心として回転自在に配置される。案内部材162は、羽根21の開閉移動に伴って軸体41がZ方向に直動する距離に対して同一であるか又は当該距離よりも長くなるように形成されている。条溝163に配される軸体41の部位には、転動ローラが装着されていてもよい。尚、支持機構156は、図9に示す開口開放状態における軸体41の案内部材162に対する位置よりも当該軸体41が下降することを防止すべく、当該位置にある軸体41に当接するストッパを更に具備していてもよい。軸体41は、羽根21の開口開放移動及び開口閉鎖移動に伴い、案内部材162に対してZ方向において昇降すると共に当該案内部材162に対して水平軸を軸心として回転するようになっている。
【0051】
部位25は、図12に示すように、開口閉鎖位置にある羽根21の重心Gに対して上方に位置する。部位25は、本例では、X方向において前記重心Gに対して建物内9側に位置する。斯かる支持機構156は、部位25をZ方向に直動自在に且つ水平軸の回りで回動自在に支持するようになっている。
【0052】
支持機構158は、羽根21の側縁37及び縦枠33側と羽根21の側縁38及び縦枠34側との夫々に設けられている。以下、羽根21の側縁37側及び縦枠33側に設けられた支持機構158について詳細に説明し、羽根21の側縁38及び縦枠34側に設けられた支持機構158については図に適宜同符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0053】
支持機構158は、側縁37の部位27に形成されたY方向に伸びた被支持部材としての軸体61と、軸体61をX方向に直動自在に且つ水平軸の回りで回動自在に支持する支持部材172と、X方向に直動自在に支持部材172に支持された状態の軸体61に対して下方に且つ建物内9側に位置すると共に、支持部材172を枠体24に水平軸の回りでR3方向に回動自在に連結している回動軸175と、枠体24に装着されていると共に、当該軸体61のX方向であって建物内9側に向かう直動に基づいて軸体61を上方に案内する一方、軸体61のX方向であって建物外8側に向かう直動に基づいて軸体61を下方に案内するように、建物内9側に寄って位置する軸体61に当接する案内部材176と、図9及び図15に示すように軸体61をX方向に直動自在に支持した状態における支持部材172の回動角を保持する保持機構177とを具備している。
【0054】
軸体61及び部位27は、図12に示すように羽根21が開口閉鎖位置にある場合に羽根21の重心Gに対して上方に位置すると共に当該重心Gに対して建物外8側に位置する。図9に示すように羽根21が開口開放位置にある場合に部位27及び軸体61と羽根21の重心Gとは、Z方向に伸びる同一直線上に夫々位置する。
【0055】
支持部材172は、例えば図15及び図16に示すように、軸体61をX方向に直動自在に且つY方向に伸びた水平軸の回りでR2方向に回動自在に支持する直動支持部183と、直動支持部183の建物外8側寄りの端部186に連接されており、X方向であって建物内9側に向かう羽根21の部位27の移動に際して当該部位27をZ方向に関して下方に変位させる一方、X方向であって建物外8側に向かう羽根21の部位27の移動に際して当該部位27をZ方向に関して上方に変位させるように、軸体61をX方向に交差する方向に移動自在に且つ水平軸の回りでR2方向に回動自在に支持する建物外8側寄りの端側支持部187とを具備している。
【0056】
直動支持部183及び端側支持部187は、互いに協働して、軸体61をX方向及びX方向に交差する方向に案内する一つの長孔又はスリット、本例では長孔191を形成している。長孔191には、軸体61がX方向に直動自在に且つ水平軸を中心としてR2方向に回転自在に配置される。長孔191の建物内9側の端面192は、羽根21が図9に示す開口開放位置にある場合に回動軸175に対して上方に且つ建物外8側に位置すると共に、羽根21が図12に示す開口閉鎖位置にある場合に回動軸175に対して上方に且つ建物内9側に位置するように配されている。端面192は、羽根21の部位27の所定量以上の開口閉鎖移動を抑止するように軸体61に当接するようになっている。長孔191の建物外8側の端面193は、羽根21の部位27の所定量以上の開口開放移動を抑止するように軸体61に当接するようになっている。長孔191に配される軸体61の部位には、転動ローラが装着されていてもよい。
【0057】
直動支持部183に形成される長孔191の部位201はX方向に伸びている。直動支持部183に配された状態の軸体61は、X方向であって建物内9側に向かう気流に基づいて直動支持部183の建物内9側に向かって移動する一方、X方向であって建物外8側に向かう気流に基づいて建物外8側に向かって移動するように、X方向に直動自在となっている。羽根21の部位27が図9に示すように直動支持部183の端部186に位置した状態においては、羽根21はその自重によりバランスを保って静止する。斯かる静止状態にある羽根21は、気流に基づいて開口開放移動及び開口閉鎖移動が自在な状態にある。図9に示すように羽根21が静止する位置を本例においては開口開放位置としている。
【0058】
端側支持部187に形成される長孔191の部位203に沿って伸びる図15に示す線207は、部位203を移動する軸体61の軸心の軌跡であり、斯かる線207は、直線であっても曲線であってもよく、曲線の場合は上に向かって凹状又は凸状であってもよい。線207は、X方向に伸びる線(直線)206に対して、建物内9側から建物外8側に向かって上向きに傾斜している。部位203の建物外8側の一端は、部位201に連接する部位203の他端よりも上方に位置している。例えば線207が上に向かって凹状の曲線である場合には、端側支持部187に位置する羽根21の部位27に付与される気流に基づく開口開放移動力に抗する羽根21の自重に基づく抗開口開放移動力は、軸体61の位置が端側支持部187の他端側から一端側に移行するに従って漸増する。端側支持部187は、上述のように、羽根21の部位27に抗開口開放移動力を付与するようになっており、これにより、羽根21が図10に示す開口全開位置に到達する直前において当該羽根21の開口開放移動を減速させ得て、軸体61の端面193への衝突を防止し得る。また、端側支持部187は、線207が線206に対して建物内9側から建物外8側に向かって上向きに傾斜しているので、当該端側支持部187に位置する羽根21の部位27に対して、当該羽根21の自重に基づく開口閉鎖移動力を羽根21を開口開放位置に復帰させるために付与するようにもなっている。
【0059】
案内部材176は、X方向であって建物内9側に向かう軸体61の直動に基づくR3方向の回動が支持部材172に生じる前又は同時に、軸体61に当接するように縦枠33及び34に装着されている。案内部材176は、軸体61に当接する円弧状の案内面178を有している。
【0060】
回動軸175は、支持部材172の回動軸心となっており、図11に示すように端面192に接した状態の軸体61に対して偏心して配されている。端面192に当接した状態の軸体61の回動軸175を回動軸心とする図15に線を用いて示す回動軌跡195は、建物外8側から建物内9側に向かって円弧を描きながら上方に向かっている。羽根21が開口閉鎖位置に配された状態においては、軸体61は案内部材176に持ち上げられて、最も上方に位置する。軸体61と回動軸175とを結ぶ線188がZ方向に伸びる線(直線)182に対して建物外8側に傾斜した際には、支持部材172には羽根21の自重に基づく建物外8側に向かうR3方向の回動力を生じるので、羽根21の初期の開口開放移動を勢い付けることができ、また、当該建物外8側に向かうR3方向の回動力を生じるので、羽根21により天窓開口4が閉鎖される直前において当該羽根21の開口閉鎖移動力を減速させ得て、開口閉鎖時の衝撃を弱めることができる。線188が線182に対して建物内9側に傾斜した際には、支持部材172には羽根21の自重に基づく建物内9側に向かうR3方向の回動力が生じ、この回動力により羽根21にいわゆるセルフロックを行わせる。支持部材172は、羽根21の開口開放移動及び開口閉鎖移動に伴って回動軸175の回りで回動されて、開口開放時には建物外8側に突出して位置する一方、開口閉鎖時にはZ方向又は上に向かって建物内9側に傾斜した方向に伸びて位置するようになっており、而して、特に開口閉鎖時において支持部材172を建物外8側及び建物内9側のいずれにも突出させることなく収容することができる。
【0061】
回動軸175を通る線182よりも建物外8側に位置する回動軌跡195の部分は、例えば図15に示すように、建物内9側から建物外8側に向かうに従って線206に対して次第に急勾配となっている。回動軸175を通る線182よりも建物内9側に位置する軸体61の軌跡は、軸体61が案内部材176の水平面に案内されるので、水平方向に伸びる。
【0062】
保持機構177は、支持部材172の建物内9側の端部に一体的に形成された被係止凸部211と、側縁37に形成されていると共に被係止凸部211を係止する係止凸部212とを具備している。被係止凸部211は、回動軸175を中心とする支持部材172のR3方向の回動によって回動され、支持部材172が図9及び図15に示す位置に配された際に係止凸部212に当接し、この当接により支持部材172の建物外8側に向かう所定量以上のR3方向の回動を禁止するように当該被係止凸部211を係止するようになっており、斯かる係止により支持部材172の回動が禁止されると、支持部材172は、部位201がX方向に沿って伸びた状態となる図9及び図15に示す回動角を保持することとなる。
【0063】
羽根21が開口閉鎖位置にある場合に部位27と重心Gとを結んだ図12に示す線181は、Z方向に伸びる線182に対して、下方に向かって建物内9側向きに傾斜しており、この傾斜角θ3は、羽根21が開口開放移動によって開口開放位置に近づくに連れて漸減し、羽根21が開口開放位置に配された際に0度となる。羽根21が開口開放位置にある場合に羽根21の部位27と羽根21の重心Gとを結ぶ図9に示す線213は、Z方向に伸びる線182に対して平行となる。線181が線182に対して下方に向かって建物内9側向きに傾斜している場合には、羽根21にはその自重に基づく開口開放移動力が付与され、傾斜角θ3が0度となった場合には、部位27の位置と重心Gの位置との関係における開口開放移動力は生じなくなる。また、羽根21が図10に示す開口全開位置にある場合に羽根21の部位27と羽根21の重心Gとを結ぶ図10に示す線214は、Z方向に伸びる線182に対して、下方に向かって建物外8側向きに傾斜しており、この傾斜角θ4は、羽根21が開口閉鎖移動によって図9に示す開口開放位置に近づくに連れて漸減し、羽根21が開口開放位置に配された際に上記同様に0度となる。線214が線182に対して下方に向かった建物外8側向きに傾斜している場合には、羽根21にはその自重に基づく開口閉鎖移動力が付与され、傾斜角θ4が0度となった場合には、部位27の位置と重心Gの位置との関係における開口閉鎖移動力は生じなくなる。
【0064】
禁止手段29は、端部101で互いに回動自在に連結されていると共に羽根21を枠体24に対して接近及び離反自在に連結した一対のアーム部材102及び103と、アーム部材102及び103のうちの枠体24に連結された一方のアーム部材103を、羽根21を枠体24に対して接近させるためのアーム部材102及び103の相互の回動を強制的に生じさせるように、押圧する押圧手段104と、押圧手段104による押圧に連動して、羽根21が開口閉鎖位置に配される際にアーム部材102及び103のうちの他方のアーム部材102又は羽根21、本例では羽根21を解除自在に係止する係止手段105とを具備している。
【0065】
斯かる禁止手段29は、係止手段105による係止によって図13に示すように羽根21の開口開閉移動を禁止する一方、係止手段105による係止の解除によって図21に示すように羽根21の開口開閉移動を許容するようになっている。
【0066】
アーム部材102は、一方の端部101でアーム部材103の端部101に回動自在に連結されており、他方の端部111で羽根21の下縁36に取り付けられた取付具112に回動自在に連結されている。アーム部材102は、棒状のアーム本体113と、アーム本体113に対して羽根21側に位置していると共にネジ部材114を介してアーム本体113に連結されたボールエンド等からなる連結部材115と、アーム本体113に対して枠体24側に位置していると共にネジ部材116を介してアーム本体113に連結されたボールエンド等からなる連結部材117とを具備している。
【0067】
連結部材115は、取付具112に固着されたピロボールに装着されることによってアーム部材102を羽根21に連結しており、連結部材117は、アーム部材103の端部101に固着されたピロボールに装着されることによってアーム部材102をアーム部材103に連結している。ネジ部材114及び116のうちの一方には正ネジが施されており、ネジ部材114及び116のうちの他方には逆ネジが施されている。アーム部材102は、その端部101を中心として回動自在であると共にZ方向に関して多少の揺動を許容するようになっている。アーム部材102の長さは、アーム本体113を連結部材115及び117に対して回転させることによって調節可能である。
【0068】
アーム部材103は、一方の端部101でアーム部材102の端部101に回動自在に連結されており、他方の端部121で下枠32に回動自在に連結されている。板状のアーム部材103には、押圧手段104によって押圧される押圧面122が形成されている。アーム部材103の端部121には、カム部123が形成されている。カム部123は、羽根21が開口閉鎖移動される際のアーム部材103の回動に伴ってスイッチ140に接触する一方、羽根21が開口開放移動される際のアーム部材103の回動に伴ってスイッチ140から離反する。
【0069】
押圧手段104は、例えば図18から図21に示すように、アーム部材103の押圧面122を押圧する突起130が形成されていると共にY方向に移動自在なスライダ131と、下枠32に取り付けられていると共にスライダ131をY方向に移動自在に案内する案内溝132を有した案内部材133と、案内部材133に装着されているブレーキ付きの電動モータ134と、電動モータ134の出力回転軸に装着されたY方向に伸びたねじ軸135と、スライダ131に固着されていると共にねじ軸135に螺合した螺合部136と、羽根21が開口開放位置に配される際に螺合部136に接触するリミットスイッチ137と、羽根21が開口閉鎖位置に配される際に螺合部136に接触するリミットスイッチ138と、リミットスイッチ137又は138の螺合部136に対する接触に基づいて電動モータ134の作動を停止させる電動モータ制御部(図示せず)とを具備している。
【0070】
斯かる押圧手段104は、操作に基づく電動モータ134の作動によりねじ軸135が回転されると、螺合部136が縦枠34に向かってY方向に移動し、これと共にスライダ131も縦枠34に向かってY方向に移動し、この移動により突起130が押圧面122を押圧し、而して、羽根21を開口閉鎖位置に向かわせるようにアーム部材103を図21に示す位置から図12に示す位置に向かって回動させるようになっている。押圧手段104によるアーム部材103の押圧は、リミットスイッチ138の螺合部136に対する接触に基づく電動モータ制御部による電動モータ134の作動の停止によって停止される。また、押圧手段104は、操作に基づく電動モータ134の作動によりねじ軸135が逆回転されると、螺合部136が縦枠33に向かってY方向に移動し、これと共にスライダ131も縦枠33に向かってY方向に移動し、この移動により突起130が押圧面から離れる方向(縦枠33に向かうY方向)に移動し、而して、アーム部材130の図12に示す位置から図21に示す位置に向かう回動を許容するようになっている。押圧手段104によるアーム部材103の押圧は、リミットスイッチ137の螺合部136に対する接触に基づく電動モータ制御部による電動モータ134の作動の停止によって停止される。尚、押圧手段104は、図21に示す位置のアーム部材103のカム部123に対しては接触される一方、図12に示す位置のアーム部材103のカム部123に対しては離反されるスイッチ140を更に具備していてもよく、斯かる場合には、電動モータ制御部は、スイッチ140のカム部123に対する接触に基づいて電動モータ134の作動を停止させるようになっていてもよい。電動モータ134の作動の停止時においては、スライダ131のY方向の移動は、ブレーキによる制動が電動モータ134に付加されるために禁止されるが、仮に電動モータ134の代わりにブレーキが付されていない電動モータを用いた場合においても、スライダ131のY方向の移動は、ねじ軸135と螺合部136とにおける抵抗力に基づいて禁止される。
【0071】
係止手段105は、スライダ131に設けられた凸部からなる係止部141と、係止部141に係止されるように取付具112に形成された凹部からなる被係止部142とを具備している。係止部141は、スライダ131の縦枠34に向かうY方向の移動によって同方向に移動され、被係止部142に接近し、図12に示すように被係止部142をX方向に関して係止するようになっている。また、係止部141は、スライダ131の縦枠33に向かうY方向の移動によって同方向に移動され、被係止部142から離反し、図21に示すように被係止部142のX方向に関しての係止を解除するようになっている。
【0072】
突起130及び係止部141は、スライダ131のY方向の移動によって夫々同方向に移動されるようになっており、これにより、禁止手段29は、押圧手段104によるアーム部材103の押圧と係止手段105による係止を連動させることができ、また、押圧手段104によるアーム部材103の押圧と係止手段105による係止の解除をも連動させることができる。
【0073】
禁止手段29は、押圧手段104に代えて、例えば図22及び23に示すように、突起130が形成されているスライダ131と、案内溝132を有した案内部材133と、スライダ131に回転自在に取り付けられたプーリ145と、一端が下枠32又は縦枠34に固着されていると共にプーリ145に掛け回された紐状体146と、スライダ131に形成された掛け部147と、下枠32に回動自在に取り付けられていると共にスライダ131の縦枠33に向かうY方向の移動を禁止するように掛け部147に掛けられる突起148を有した回動部材149とを具備している押圧手段150を具備していてもよく、回動部材149は、軸100を介して下枠32に回動自在に取り付けられていると共に図示しないばねによってA方向に付勢されている。紐状体146の他端は、回動部材149に固着されている。回動部材149は、紐状体146の他端側が引っ張られることによりA方向に対して逆方向に回動されるようになっている。斯かる押圧手段150を具備する場合には、係止部141は前記スライダ131に設けられ、被係止部142は取付具112に形成される。
【0074】
斯かる押圧手段150は、紐状体146の操作によりプーリ145に縦枠34に向かうY方向の移動力が与えられると、スライダ131が同方向に移動し、突起130がアーム部材103を押圧し、当該押圧により羽根21を開口閉鎖移動させるようにアーム部材103を図23に示す位置から図22に示す位置に向かって回動させ、羽根21が開口閉鎖位置に配される際に上述と同様に係止部141が被係止部142を係止し、当該係止と同時に、突起148が掛け部147に掛けられてスライダ131の縦枠33に向かうY方向の移動を禁止するようになっている。また、押圧手段150は、紐状体146の操作により回動部材149がA方向の付勢に抗して逆方向に回動されると、突起148が掛け部147から離脱してスライダ131の縦枠33に向かうY方向の移動の禁止が解除されるようになっている。スライダ131の縦枠33に向かうY方向の移動力は支持機構26及び28に支持される羽根21の自重に基づいて付与されるが、例えばスライダ131に縦枠33に向かうY方向の移動力を付勢する図示しないばねを設けてもよい。縦枠33に向かうY方向の移動の禁止が解除されたスライダ131は、羽根21の自重又は前記ばねの付勢力に基づいて縦枠33に向かってY方向に移動し、この移動により係止手段105による係止は解除される。
【0075】
斯かる開閉手段151を具備した開口開閉装置7の開口開閉動作について説明する。まず、図12に示す開口閉鎖位置にある羽根21の開口開放移動を、禁止手段29による禁止を上述のように解除する。禁止手段29による禁止が解除されると、羽根21の部位27には、X方向において部位27が重心Gに対して建物外8側に位置しているために開口開放位置に向かうR2方向の回動モーメントが付与され、しかも、自重に基づく羽根21の下降に伴い、軸体61が案内部材176に当接して回動軌跡195上を建物外8側に向かって移動するために、羽根21は案内部材176による案内によって勢いづけられながら開口開放移動を開始する。当該開口開放移動に伴い、支持部材172もまた建物外8側に向かってR3方向に回動される。軸体41は部位27のR2方向の回動に伴い、R1方向の回動を生じながら条溝163に沿って下降する。羽根21に付与される開口開放位置に向かうR2方向の回動モーメントは、羽根21が開口開放位置に近づくに連れて傾斜角θ3が次第に小さくなるために、漸減する。図9及び図11に示すように、軸体61が部位201においてX方向であって建物外8側に向かって直動する際にも、羽根21にはその自重に基づく開口開放移動力が付与され、羽根21は開口開放位置に到達するまで開口開放移動し続ける。羽根21が開口開放移動により開口開放位置に到達すると、部位27と重心GとがZ方向に伸びる同一直線上に位置し、これにより羽根21の自重に基づく開口開放移動力が生じなくなり、而して、羽根21は開口開放位置で静止する。このようにR2方向の回動モーメントが漸減するために羽根21による急速な開口開放を防止することができ、また逆に、羽根21が開口開放位置から開口閉鎖位置に向かって漸次移動される場合には、羽根21に付与される開口開放位置に向かうR2方向の回動モーメントであって羽根21の開口閉鎖移動に抗する回動モーメントは漸増するために、急速な開口閉鎖を防止することができ、しかも、特に回動軸175、支持部材172及び案内部材176を具備するために、部位27が開口閉鎖位置及びその近傍に位置する場合に羽根21の開口開放移動の開始を円滑に行わせ得、また、急速な開口閉鎖を防止することができる。
【0076】
羽根21が開口開放位置に配された場合に、気流により羽根21に対して建物外8側が正圧に且つ建物内9側が負圧になると、羽根21には気流に基づく開口閉鎖移動力が付与され、当該羽根21は、気流に基づいて開口閉鎖移動され、而して、建物外8側から建物内9側への気体流量を減少させる。逆に、気流により羽根21に対して建物外8側が負圧に且つ建物内9側が正圧になると、羽根21には気流に基づく開口開放移動力が付与され、当該羽根21は、気流に基づいて開口開放移動され、而して、建物内9から建物外8への気体流量を増大させる。気流に基づく開口開放移動力又は開口閉鎖移動力が生じなくなると、羽根21は、上述のように開口開放位置に復帰し、静止する。
【0077】
軸体61が部位203に位置する場合には、羽根21には開口開放移動力に抗する抗開口開放移動力が付与されるので、羽根21の図10に示す開口全開位置に向かう開口開放移動は減速される。軸体61が端面193に当接すると、開口開放位置から開口全開位置に向かう開口開放移動は停止される。気流に基づく開口開放移動力が生じなくなると、部位27が端側支持部187にある羽根21は開口開放位置に復帰し、静止する。
【0078】
開口開放位置にある羽根21は、傾斜角θ3及びθ4が0度となっていることから、気流に基づく小さな開口開放移動力及び開口閉鎖移動力が付与されることで開口開放移動及び開口閉鎖移動を生じ、また、羽根21が開口開放位置から次第に離れるに連れて、羽根21の自重に基づく抗開口開放移動力及び抗開口閉鎖移動力が生じるので、気流に基づく小さな開口開放移動力及び開口閉鎖移動力によっては、羽根21には開口開放移動及び開口閉鎖移動を生じさせることができ、しかも、羽根21による急速な開口開放及び開口閉鎖をも防止することができる。斯かる開閉手段151を具備した開口開閉装置7では、禁止手段29により上述の通りにアーム部材103の回動を生じさせ、これによりアーム部材102及び103を折り畳みながら羽根21を開口閉鎖移動させ、当該開口閉鎖移動に連動して、羽根21が開口閉鎖位置に配された際に係止手段105による係止によって天窓開口4を閉鎖した状態を維持する。
【0079】
尚、天窓開閉装置1の開口開閉装置7aが開閉手段23に代えて上述の開閉手段151と同様に形成された開閉手段を具備している場合には、当該開閉手段は、開閉手段151と同様に天窓開口4aの開口開閉動作を行う。前記開閉手段及び開閉手段151を具備した天窓開閉装置1によっても、上述同様に、羽根21及び21aの自重に基づいて当該羽根21及び21aを開口開放位置に配置することができて建物内9の排煙及び換気を行い得、しかも、建物外8において突風等に基づく気流が生じても当該気流を受ける一対の開口開閉装置7及び7aの羽根21及び21aのうちの一方を開口閉鎖位置に移動させることができる一方、当該気流を受けない一対の開口開閉装置7及び7aの羽根21及び21aのうちの他方を開口開放位置に配置した状態を維持できるので、建物外8において生じた突風等が建物内9に吹き込む虞をなくし得て、所望の排煙及び換気を行い得る。
【0080】
尚、本例の天窓開閉装置1では、枠部11及び12にも天窓開口を夫々設け、当該天窓開口の夫々にY方向において互いに対向して配設された一対の開口開閉装置(図示せず)を更に具備していてもよい。
【0081】
天窓枠体6は、本例では矩形枠状であるが、例えば六角枠状等の多角枠状であってもよく、斯かる場合、天窓開閉装置1は、X方向において互いに対向して配設された一対の開口開閉装置7及び7aに加えて、X方向に交差する方向において互いに対向して配設された一対の開口開閉装置を一つ以上具備していてもよく、例えば、天窓枠体6が六角枠状である場合には、一対の開口開閉装置7及び7aに加えて、X方向に交差する方向において互いに対向して配設された一対の開口開閉装置及びX方向に交差する他の方向において互いに対向して配設された他の一対の開口開閉装置を具備していてもよい。
【0082】
また、本例の天窓開閉装置1では、羽根の他の部位27が羽根の一の部位25に対してZ方向に関して一方側として下方に位置していると共に、羽根21が開口閉鎖位置にある場合に当該羽根21の重心Gに対して建物外8側に位置するように配されているが、これらの構成に代えて、例えば、羽根の他の部位27が羽根の一の部位25に対してZ方向に関して一方側として上方に位置していると共に、羽根21が開口閉鎖位置にある場合に当該羽根21の重心Gに対して建物内9側に位置するように配されていてもよく、斯かる場合には羽根の一の部位25は羽根21の下縁36側に配される。このように天窓開閉装置1が構成されている場合においても上記同様の効果を奏し得る。
【符号の説明】
【0083】
1 天窓開閉装置
2 天窓天井
4、4a 天窓開口
7、7a 開口開閉装置
6 天窓枠体
21、21a 羽根
24、24a 枠体
23、23a、151 開閉手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天窓天井と、この天窓天井が上部に装着されていると共に水平面内における一の方向において互いに対向して形成された一対の天窓開口を有している天窓枠体と、天窓枠体の一対の天窓開口の夫々に配設された一対の開口開閉装置とを具備しており、一対の開口開閉装置は、天窓開口を開閉するように配設された羽根と、気流に基づいて羽根に天窓開口を開閉させる開閉手段とを夫々具備しており、開閉手段は、羽根の一の部位を昇降自在に支持する第一の支持機構と、羽根の一の部位に対して鉛直方向に関して一方側に位置する羽根の他の部位を前記一の方向に移動自在に支持する第二の支持機構とを具備しており、羽根の他の部位は、羽根の他の部位が羽根の一の部位に対して下方に位置している場合であって羽根が開口閉鎖位置にある際には当該羽根の重心に対して建物外側に位置するように、羽根の他の部位が羽根の一の部位に対して上方に位置している場合であって羽根が開口閉鎖位置にある際には当該羽根の重心に対して建物内側に位置するように、配されている天窓開閉装置。
【請求項2】
第二の支持機構は、羽根の他の部位に接して当該他の部位を水平方向における一の方向に関して移動自在に支持する支持面を具備しており、この支持面の建物内側の部位は、水平線に対して建物外側から建物内側に向かって上方に傾斜している請求項1に記載の天窓開閉装置。
【請求項3】
第二の支持機構の支持面の建物内側の部位における接線の水平線に対する傾斜角は、建物外側から建物内側に向かって漸増している請求項2に記載の天窓開閉装置。
【請求項4】
第二の支持機構は、羽根の他の部位に接して当該他の部位を水平方向における一の方向に関して移動自在に支持する支持面を具備しており、羽根が開口開放位置にある場合に当該羽根に当接する第二の支持機構の支持面の部位に対して建物外側に位置する当該支持面の部位は、水平線に対して建物外側から建物内側に向かって下方に傾斜している請求項1に記載の天窓開閉装置。
【請求項5】
羽根が開口開放位置にある場合に当該羽根に当接する第二の支持機構の支持面の部位に対して建物外側に位置する当該支持面の部位における接線の水平線に対する傾斜角は、建物外側から建物内側に向かって漸減している請求項4に記載の天窓開閉装置。
【請求項6】
第二の支持機構は、羽根の他の部位に形成された軸体と、軸体を水平方向における一の方向に直動自在に且つ水平軸の回りで回動自在に支持する支持部材と、水平方向における一の方向に直動自在に支持部材に支持された状態の軸体に対して下方に且つ建物内側に位置するように、支持部材を水平軸の回りで回動自在に支持している回動軸と、軸体の建物内側に向かう直動に基づいて軸体を上方に案内する一方、軸体の建物外側に向かう直動に基づいて軸体を下方に案内するように、建物内側に寄って位置する軸体に当接する案内部材と、軸体を水平方向における一の方向に直動自在に支持した状態における支持部材の回動角を保持する保持機構とを具備している請求項1に記載の天窓開閉装置。
【請求項7】
開閉手段は、羽根が開口閉鎖位置に配された際に当該羽根の開口開閉移動を解除自在に禁止する禁止手段を具備しており、禁止手段は、端部で互いに回動自在に連結されていると共に羽根を天窓枠体に対して接近及び離反自在に連結した一対のアーム部材と、一対のアーム部材のうちの天窓枠体に連結された一方のアーム部材を、羽根を天窓枠体に対して接近させるための一対のアーム部材の相互の回動を強制的に生じさせるように、押圧する押圧手段と、押圧手段による押圧に連動して、羽根が開口閉鎖位置に配される際に一対のアーム部材のうちの他方のアーム部材又は羽根を解除自在に係止する係止手段とを具備しており、係止手段による係止によって羽根の開口開閉移動を禁止する一方、係止手段による係止の解除によって羽根の開口開閉移動を許容するようになっている請求項1から6のいずれか一項に記載の天窓開閉装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−117284(P2012−117284A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267907(P2010−267907)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(503428703)オイレスECO株式会社 (69)
【出願人】(390025313)株式会社菱晃 (12)