説明

太陽電池裏面シート及び太陽電池モジュール

【課題】太陽電池裏面シート及び太陽電池モジュールにおいて本来損失となってしまう光をより確実に再利用することができるようにする。
【解決手段】内部に太陽電池セルを封止した封止材と、この封止材に積層され封止材内に光を入射させる透光性前面板と、封止材を挟んで透光性前面板と反対側に積層された裏面シート14とを有する太陽電池モジュールであって、裏面シート14は、封止材側から順に、少なくとも、透光性絶縁層141、微細な凹凸形状の凹凸構造142bを有する凹凸構造層142、凹凸構造に沿って形成された光反射性金属層143、および耐候層147をこの順に有する積層体からなり、透光性絶縁層141の400nm〜1200nmにおける平均透過率が、90%以上100%以下である構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池裏面シート及び太陽電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽電池パネルの普及は大きな広がりを見せ、電卓等の小型電子機器に搭載される比較的小さなものから、家庭用として住宅に取り付けられる太陽電池パネルや大規模な発電施設に用いられる大面積の太陽電池発電システム、さらには人工衛星の電源まで、様々な分野で利用が促進されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この太陽電池は入射した光エネルギーを電気エネルギーに変換するものであり、該太陽電池のうち主要なものは使用材料の種類によって結晶シリコン系、アモルファスシリコン系、有機化合物系等に分類される。このうち、現在市場で流通しているものは、ほとんどが結晶系シリコン太陽電池であり、この結晶系シリコン太陽電池はさらに単結晶型及び多結晶型に分類される。
上記単結晶型のシリコン太陽電池は基板の品質が良いために高効率化が容易であるという長所を有する反面、基板の製造が高コストになるという短所を有する。これに対して上記多結晶型のシリコン太陽電池は基板の品質が劣るために高効率化が難しいという短所はあるものの、低コストで製造できるという長所があり、現在の主流となっている。
【0004】
このような多結晶シリコン太陽電池の高効率化に関しては様々な検討が行われている。
一例として、太陽電池に用いられるシリコン基板の表面にはテクスチャ構造が形成されており、これによってシリコン基板表面での太陽光の反射を低減させて変換効率の向上が図られている。
【0005】
単結晶シリコンにおいては、アルカリ溶液等の異方性エッチングにより微細なピラミッドまたは逆ピラミッドを形成することで太陽光の反射を低減させることが行なわれている。この異方性エッチングでは、単結晶シリコンのエッチング速度が、Si(100)結晶方位面とSi(111)結晶方位面とで異なることを利用している。(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
ところが、このような異方性エッチングを多結晶シリコンに適用しようとした場合、アルカリ水溶液によるエッチングが結晶の面方位に依存するため、多結晶シリコンにおけるピラミッド構造を均一に形成できず、シリコン基板全体での反射率の低減を効果的に行なうことができないという問題があった。
【0007】
このような問題を解決するために、多結晶シリコン基板へテクスチャを形成する方法として、反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching)法によって多結晶シリコン基板表面に微細な突起を形成する手法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。この手法によれば、微細な突起を多結晶シリコンにおける不規則な結晶の面方位に左右されずに均一に形成することにより、特に多結晶シリコンを用いた太陽電池セルにおいても反射率をより効果的に低減することができる。
【0008】
また、表面反射防止膜を組み合わせることにより、さらに変換効率を向上できることが知られている。即ち、結晶シリコンは、波長400nm〜1100nm領域で6.00〜3.50の大きな屈折率を持つので、短波長領域で約54%、長波長領域で約34%の反射損失がある。この反射損失を減ずるために、屈折率の異なる透明材料で表面反射防止膜を形成し、これにより変換効率を向上させることができる。
【0009】
さらに、シリコン基板上に形成する電極を微細化することで、受光面積を増加させ、太陽光を多く取り込むことで変換効率を向上させる検討も行われている(例えば、特許文献4参照)。
【0010】
以上のような高効率化技術の進歩により、最近では多結晶シリコン太陽電池においても、研究レベルでは18%程度の変換効率が達成されており、多結晶シリコン太陽電池における変換効率の理論限界(20〜30%)に近づいてきている。
【0011】
そこで、光利用効率を高めるべく太陽電池モジュールの前面から入射した太陽光のうち、該太陽電池モジュール内にてエネルギー変換を行なう太陽電池セルに入射せずに裏面シートへ入射する太陽光を再利用する試みが行なわれている。
一般的な結晶シリコン系太陽電池モジュールでは、リーク電流を低減させるべく該太陽電池モジュール内の複数の太陽電池セル間に隙間が形成されている。そのため、太陽電池セルに入射せずに裏面シートへ入射する太陽光が存在しており、その太陽光を再利用することが出来れば光利用効率の向上が可能である。
【0012】
そこで、反射材を備えた裏面シートを配置し、太陽電池セルの隙間から裏面シートへ入射する太陽光を反射することにより、太陽電池セルに再入射させることで光利用効率の向上が図られている。反射材としては、例えば、白色系顔料を混入した樹脂材料、つや消し表面加工を施した金属材料などの光を散乱反射させる反射材を用いることが可能である。また、反射材の表面を凹凸構造とすることで、さらに光利用効率を向上させることが可能である。(例えば、特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2001−295437号公報
【特許文献2】特開昭62−35582号公報
【特許文献3】特公昭60−27195号公報
【特許文献4】特開2000−332279号公報
【特許文献5】特開平10−284747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記のように、従来の太陽電池モジュールは、光の利用効率を上げることで変換効率を向上させようという要望は多いが、損失となってしまう光もあるため、十分に変換効率を向上させることができているとは言えない。また、隣り合う太陽電池セルの間の領域に入射した光を裏面材で反射させるなどし、損失となってしまう光を再利用する上記従来の手法でも、十分に損失光を再利用するに至っているとは言えず、この損失光をより確実に再利用してさらなる発電効率の向上を図ることが強く望まれている。
【0015】
本発明は、上記事情に鑑み、本来損失となってしまう光をより確実に再利用することができる太陽電池裏面シート及び太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために本発明は以下の手段を提案している。
即ち、本発明に係る太陽電池モジュールは、内部に太陽電池セルを封止した封止材と、該封止材に積層され該封止材内に光を入射させる透光性前面板と、前記封止材を挟んで前記透光性前面板と反対側に積層された太陽電池裏面シートとを有する太陽電池モジュールであって、前記太陽電池裏面シートは、前記封止材側から順に、少なくとも、透光性絶縁層、微細な凹凸形状の凹凸構造を有する凹凸構造層、前記凹凸構造に沿って形成された光反射性金属層、および耐候層をこの順に有する積層体からなり、前記透光性絶縁層の400nm〜1200nmにおける平均透過率が、90%以上100%以下であることを特徴としている。
【0017】
このような特徴の太陽電池モジュールによれば、透光性絶縁層の400〜1200nmの平均透過率が90%以上であるため、透光性絶縁層を通過する光の損失が少なく、より確実に光を再利用することが可能となる。
【0018】
本発明に係る太陽電池モジュールは、前記凹凸構造層の屈折率が、前記封止材の屈折率より大きく、かつ前記透光性絶縁層の屈折率より小さいことを特徴としている。
【0019】
このような特徴の太陽電池モジュールによれば、光を再利用する効果をさらに高めることが可能となる。
【0020】
本発明に係る太陽電池モジュールは、前記凹凸構造層の厚さと前記透光性絶縁層の厚さとの和が、前記封止材の厚さと前記透光性前面板の厚さとの和の10分の1以下であることを特徴としている。
【0021】
このような特徴の太陽電池モジュールによれば、光を再利用する効果をさらに高めることが可能となる。
【0022】
本発明に係る太陽電池モジュールは、前記光反射性金属層の前記接着層側に、前記光反射性金属層の腐食を抑制するバリア層がさらに設けられていることを特徴としている。
【0023】
このような特徴の太陽電池モジュールによれば、光を再利用する効果を長期間持続させることが可能となる。
【0024】
本発明に係る太陽電池モジュールは、前記バリア層が、金属箔であることを特徴としている。
【0025】
このような特徴の太陽電池モジュールによれば、光を再利用する効果を長期間持続させることが可能となる。
【0026】
本発明に係る太陽電池モジュールは、前記バリア層の厚さが、7μm以上50μm以下であることを特徴としている。
【0027】
バリア層の厚さが7μmより小さいと、ピンホールが多くなるため十分な水蒸気バリア性を得ることが出来ない。また貼り合わせの際にしわなどの欠陥が生じやすく、工程収率が低下しやすくなる。
バリア層の厚さが50μmを超えると、屈曲性が低下するために折れなどの欠陥が生じやすく、工程収率が低下しやすくなる。50μm以下であれば、十分な屈曲性が保たれるため折れなどの欠陥が生じにくい。
【0028】
本発明に係る太陽電池モジュールは、前記光反射性金属層の厚さが、30nm以上100nm以下であることを特徴としている。
【0029】
光反射性金属層の厚さが30nmより小さいと、光反射性金属層に入射する光を十分に反射することができない。40nm以上の厚さがあれば、より確実に光反射性金属層に入射する光を反射することができる。一方、光反射性金属層の厚さが100nmを超えると、光反射性金属層に目視でも確認できるクラックが発生しやすい。なお、90nm以下であれば、目視で確認できないようなクラックがより発生しにくくなるため、より好ましい。
【0030】
本発明に係る太陽電池モジュールは、前記凹凸構造層の凹凸形状が、120°±5°の頂角を有する三角プリズム状であることを特徴としている。
【0031】
本発明に係る太陽電池モジュールは、前記三角プリズム状の凹凸形状の頂部のピッチが、10μm以上30μm以下であることを特徴としている。
【0032】
頂部のピッチが30μmより大きい場合には、ピッチの増大にともなって構造の高さが高くなるため耐候層と接着層を介して貼り合わせる際に、気泡が入りやすい等の問題が発生し易くなり好ましくない。また、接着層の厚さを厚くする必要があり形成が困難となる他、コスト高の要因となってしまう。
ピッチが10μmより小さい場合には、凹凸構造層で光が反射する際に光の回折が起こり得る。この場合の回折光は、分光して広がった光となるため制御が難しく、特定方向に反射する上で好ましくない。さらに、金型を切削する時間が長くなり、生産タクトが延びて生産効率が悪くなるため好ましくない。
【0033】
このような特徴の太陽電池モジュールによれば、三角プリズム状の凹凸構造層の凹凸形状に沿う光反射性金属層によって、太陽電池裏面シートに封止材側から入射する光を特定方向へと向けて反射し、太陽電池セルに再入射させ、光の利用効率を向上させることが可能であり、透光性絶縁層の400〜1200nmの平均反射率が90%以上であることにより、より確実に光の利用効率を向上させることが可能となる。
【0034】
本発明に係る太陽電池裏面シートは、内部に太陽電池セルを封止した封止材の一方の面を覆う太陽電池裏面シートであって、透光性絶縁層、微細な凹凸形状凹凸構造を有する凹凸構造層、前記凹凸構造に沿って形成された光反射性金属層、および耐候層をこの順に有する積層体からなり、前記透光性絶縁層の400nm〜1200nmにおける平均透過率が、90%以上100%以下であることを特徴としている。
【0035】
このような特徴の太陽電池裏面シートによれば、本発明に係る太陽電池モジュールに好適に用いることができる太陽電池裏面シートになっている。
【発明の効果】
【0036】
本発明に係る太陽電池裏面シート及び太陽電池モジュールによれば、凹凸構造層の凹凸形状に沿う凹凸構造を有する光反射性金属層によって、封止材側から太陽電池裏面シートに入射する光を反射して、太陽電池セルに再入射させ、光の利用効率を向上させることが可能であり、透光性絶縁層の400〜1200nmの平均反射率が90%以上であることにより、より確実に光の利用効率を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施形態の太陽電池モジュールの概略構成を示す縦断面図である。
【図2】本発明の実施形態の太陽電池裏面シートの概略構成を示す縦断面図である。
【図3】本発明の実施形態の太陽電池モジュールの電極を含む概略構成を示す縦断面図である。
【図4】本発明の実施形態の太陽電池裏面シートの凹凸構造の一例を示す斜視図である。
【図5】透光性絶縁層を有しない比較例の太陽電池モジュールの縦断面図である。
【図6】本発明の実施形態の太陽電池モジュールにおける太陽電池裏面シートの作用を説明する模式説明図である。
【図7】凹凸構造の頂角の違いによる作用を説明する模式的な光路図である。
【図8】本発明の実施形態の太陽電池モジュールの平面図、およびそのA−A断面図である。
【図9】封止材と凹凸構造層との屈折率の違いによる作用を説明する模式的な光路図である。
【図10】本発明の実施形態の第1構成例の太陽電池裏面シートの概略構成を示す縦断面図である。
【図11】本発明の実施形態の第2、3、4構成例の太陽電池裏面シートの概略構成を示す縦断面図である。
【図12】比較例2の太陽電池裏面シートの概略構成を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の太陽電池裏面シート及び太陽電池モジュールの実施形態について添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態の太陽電池モジュールの概略構成を示す縦断面図である。図2は、本発明の実施形態の太陽電池裏面シートの概略構成を示す縦断面図である。図3は、本発明の実施形態の太陽電池モジュールの電極を含む概略構成を示す縦断面図である。図4は、本発明の実施形態の太陽電池裏面シートの凹凸構造の一例を示す斜視図である。
【0039】
図1に示すように、本実施形態の太陽電池モジュール1は、前面板11(透光性前面板)と、封止材13と、封止材13に封止された太陽電池セル12と、裏面シート14(太陽電池裏面シート)とを備え、前面板11に対応する太陽電池モジュール1の外部側に配置された光源Lからの光を受光することにより発電を行なう装置である。
なお、光源Lとしては、例えば、太陽や、室内灯の人工照明などを採用することができる。
前面板11、太陽電池セル12を封止した封止材13、及び裏面シート14は、この順に積層されている。本実施形態の太陽電池モジュール1は、これらによる積層体を真空ラミネータで熱ラミネートすることによって一体化されている。
【0040】
前面板11は、太陽電池モジュール1の最前面に配置されて、太陽電池セル12を衝撃、汚れ、水分の浸入等から保護する板状部材またはシート状部材である。また、前面板11は、光源Lからの光を内部に入射させるため、透過率が高い透明な材料から形成されている。
前面板11に好適な材料の例としては、例えば、強化ガラス、サファイアガラス等のガラス、あるいは、PC(ポリカーボネート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)等の樹脂シートを挙げることができる。
また、前面板11の厚さとしては、例えば、強化ガラスであれば約3〜5mm程度、樹脂シートであれば約5mm程度のものが好適である。
【0041】
封止材13は、前面板11と裏面シート14とを一定距離だけ離間させるとともに、内部に太陽電池セル12を封止して、太陽電池セル12の位置を固定するシート状部材である。
封止材13の厚さ(前面板11と裏面シート14との離間距離)としては、0.4mm〜1mm程度が好適である。
封止材13の材料としては、光源Lから照射される波長光に対して透過率が高く、電気絶縁性を有し、耐候性、耐高温、耐高湿、耐候性等の耐久性に優れる材料が好適である。 このような条件を満たす好適な材料として、例えば、酢酸ビニルの含有量が20〜30%であるEVA(エチレンビニルアセテート共重合体)やPVB(ポリビニルブチラール)等を主成分とする熱可塑性の合成樹脂材を挙げることができる。
【0042】
太陽電池セル12は、光電効果により受光面Jに入射した光を電気へと変換する機能を有する部材である。太陽電池セル12の種類としては、単結晶シリコン型、多結晶シリコン型などの結晶系シリコンセルを採用することができる。
本実施形態では、太陽電池セル12は、一例として、単結晶もしくは多結晶シリコン型を採用している。
この太陽電池セル12は、受光面Jを前面板11側に向けて、前面板11に沿う方向に間をあけて、複数個のものが配列されている。各太陽電池セル12には、後述する電極22c(図3参照、図1では図示略)によって接続されて、モジュールを形成している。
【0043】
裏面シート14は、太陽電池セル12自体を透過した光や太陽電池セル12に入射せずに封止材13を透過した光を反射する機能を有する多層構成のシート状部材である。
裏面シート14の層構成は、本実施形態では、図2に示すように、透光性絶縁層141と、凹凸構造層142と、光反射性金属層143と、接着層144と、バリア層145と、接着層146と、耐候層147とを備え、これらがこの順に積層されている。
【0044】
透光性絶縁層141は、裏面シート14の一方の表面を構成する層状部であり、太陽電池モジュール1においては、前面板11と平行に配置され、封止材13に対して前面板11と反対側に密着して積層されている。
また、透光性絶縁層141は、電気絶縁性を有し、かつ400nm〜1200nmの波長範囲における平均透過率が90%以上100%以下の材料から構成されている。
このような範囲の平均透過率を有することにより、透光性絶縁層141の透過時の光量損失を低減することができる。
また、透光性絶縁層141は、光の散乱要素、例えば散乱粒子となる不純物が少ないフィルムであることが好ましい。
【0045】
裏面シート14に要求される重要な性能の一つとして、電気絶縁性がある。この電気絶縁性は、太陽電池モジュール1が内部に電極を含むことから、長期使用での短絡や漏電等を防ぐための必須の性能である。また、裏面シート14においては、特に太陽電池セル12側の表面の電気絶縁性が求められており、本実施形態では、透光性絶縁層141によってこの電気絶縁性が確保されている。
【0046】
電気絶縁性を示す数値基準の一つとして、絶縁破壊電圧がある。この絶縁破壊電圧は、絶縁破壊電圧以上の電圧が加わると絶縁状態が破壊されるという指標であり、絶縁破壊電圧が高い方が電気的に安定であると言える。
太陽電池モジュールの絶縁性能の一つとして、最大システム電圧の2倍+1000Vの直流電圧を1分間印加しても絶縁破壊などの異常がないこと、と定められている(「JISC8918/結晶系太陽電池モジュール」参照)。最大システム電圧は、通常600〜1000Vである。例えば最大システム電圧が1000Vの場合を考えると、最大システム電圧の2倍+1000V、すなわち3000V(3kV)の直流電圧を1分間印加しても絶縁破壊などの異常がないことが求められる。
このため、透光性絶縁層141に用いる材料の絶縁破壊電圧の平均値は3kV以上であることが好ましい。
例えば、『太陽光発電システム構成材料』(電気電子材料研究会編、工業調査会、2008年)によると、各種電気絶縁用プラスチックフィルム(25μm)の絶縁破壊電圧のおおよその数値は、PET(ポリエチレンテレフタレート)が6.5kV、PENが7.5kV、PVC(延伸硬質塩ビ)が4.0kV、PCが5.0kV、OPP(延伸ポリプロピレン)が6.0kV、PE(ポリエチレン)が4.0kV、TAC(トリアセテート)が3.0kV、PI(ポリイミド)が7.0kVである。したがって、これらの材料は、いずれも絶縁材料として、透光性絶縁層141の好ましい絶縁破壊電圧を満たしている(PETについては、「JISC2318/電気用二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム」も参照。また、絶縁破壊電圧の測定方法については、「JISC2151/電気用プラスチックフィルム試験方法の17.2.2平板電極法」参照)。
また、PVF(ポリフッ化ビニル)の代表的な製品であるデュポン社のテドラー(登録商標)の絶縁破壊電圧は、約3.0kVであることが知られており、PVFも好ましい絶縁破壊電圧を満たす材料である。
したがって、以上に列挙した材料は、いずれも透光性絶縁層141の材料として好ましい材料である。
【0047】
ただし、透光性絶縁層141に用いることができる材料は上記に限るものではなく、太陽電池モジュール1の絶縁性能の基準値を達成できる材料であれば、適宜の材料を採用することが可能である。例えば、EVA(エチレン・酢酸ビニル共重合体)やPVB(ポリビニルブチラール)等を主成分とする合成樹脂フィルムを採用することも可能である。これらの樹脂を採用した場合には、封止材13との密着性が向上するため好ましい。
【0048】
また、透光性絶縁層141は、単層であってもよく、多層であってもよい。単層の場合には、上述の材料のいずれかを要求特性に合わせて選択することができる。
多層の場合の構成方法としては、要求特性に応じて適宜の構成を採用することができるが、例えばPETフィルムにPVF等のフッ素樹脂フィルムを貼り合わせる方法、PETフィルムにPVF等のフッ素樹脂塗膜を形成する方法、PETフィルムにEVAやPVB等を主成分とする合成樹脂フィルムを貼り合わせる方法等が挙げられる。
PVF等のフッ素樹脂、EVAやPVB等を主成分とする合成樹脂は、電気絶縁性の基準を満たすとともに、封止材13との密着性が向上するため好ましい。しかし、単層で十分な強度を得ようとすると厚さを厚くする必要がありコスト高の要因となってしまう。したがって、強度を確保する基材との組合せによる多層構造とすることが好ましい。特に、フッ素樹脂に関しては、塗膜を形成する方法を採用することも出来、この方法だとフッ素樹脂フィルムを貼り合わせる方法よりも工程を簡略化でできるため、好ましい。
【0049】
また、透光性絶縁層141は、上述の材料のいずれか、例えばPETフィルムを2層貼り合わせた多層構造としてもよい。絶縁性を高めるためには、1枚構成よりも多層構成の方が、絶縁欠陥をカバーし、信頼性が高くなることが知られている。そのため、PETフィルム単層よりも、2層貼り合わせた多層構造の方が、より絶縁性を向上させることができる。
【0050】
透光性絶縁層141の厚さは、25μm以上300μm以下であることが好ましい。この範囲内では、50μm以上、または250μm以下、または50μm以上250μm以下がより好ましい範囲である。
材料の絶縁破壊電圧にもよるが、透光性絶縁層141の厚さが25μmより小さいと十分な絶縁性を得ることが出来ない場合がある。50μm以上の厚さがあれば、より確実に絶縁性を確保することができる。
透光性絶縁層の厚さが300μmを超えると、平均透過率を90%以上とすることが難しい場合がある。250μm以下であれば、平均透過率を90%以上とすることがより容易であるためより好ましい。
【0051】
透光性絶縁層141は、図3に示すように、封止材13と、太陽電池セル12に電気的に接続された電極22cとを、前面板11と反対側から覆う位置関係に配置されている。
図3に示す電極22cは、複数の太陽電池セル12を直列接続してモジュールを形成するものであり、太陽電池セル12の前面板11側の電極部と、この太陽電池セル12に隣接する他の太陽電池セル12の前面板11と反対側の電極部とを、電気的に接続している。
このため、電極22cの一部は、太陽電池セル12よりも透光性絶縁層141に近接する位置にある。
【0052】
したがって、透光性絶縁層141の厚さが薄すぎる場合には、材料の絶縁破壊電圧が高くても絶縁破壊を起こし、電極22cと後述する光反射性金属層143との間で放電により電流のリークが起こるが、透光性絶縁層141の厚さを上述の好ましい範囲の厚さに設定することでリークを防止することが可能である。
【0053】
凹凸構造層142の材料は、透光性を有し、後述する凹凸構造142bの形状を形成することができれば、特に限定されない。例えば、紫外線硬化樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等を採用することができる。
ただし、凹凸構造層142の材料は、その屈折率が、封止材13の屈折率よりも大きく透光性絶縁層141の屈折率よりも小さい材料を採用することが好ましい。このような屈折率の範囲内に設定することが好ましい理由については裏面シート14における光路の説明とともに後述する。
凹凸構造層142に使用する紫外線硬化樹脂もしくは熱硬化性樹脂の種類は特に限定されるものではなく、例えばポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、アクリロニトリル−(ポリ)スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)等のポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、リエチレンナフタレート系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂等が挙げられ、これらの樹脂を1種又は2種以上混合して使用することができる。
【0054】
また、上述の樹脂の他に例えば散乱反射体、硬化剤、可塑剤、分散剤、各種レベリング剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、粘性改質剤、潤滑剤、光安定化剤等の各種添加剤が適宜配合されてもよい。
【0055】
熱可塑性樹脂の例としては、例えば、PET、PEN、PVC、PC、OPP、PE、PI、PMMA(ポリメタクリル酸メチル樹脂)等の樹脂材料を挙げることができる。
また、他の樹脂材料としては、TACも好適である。
【0056】
凹凸構造層142の形状は、透光性絶縁層141に接する表面142aが透光性絶縁層141に沿う平面からなり、表面142aに対向し光反射性金属層143と接する界面に凹凸構造142b(凹凸形状)が形成されている。
また、凹凸構造層142は、単層でもよいし、多層でもよい。
【0057】
凹凸構造142bは、本実施形態では、図4に模式的に示すように、頂角θを有する二等辺三角形状の断面が一方向に延ばされた三角プリズム状の単位構成が、各頂部の稜線Qが、平面に整列するように、延在方向と直交する方向に複数隣接された凹凸形状を有している。すなわち、凹凸構造142bは、短冊状の2平面が一定の頂角θをなす山形に隣接した単位構成の繰り返しである。頂部が配列されたピッチは一定値Pである。
このような構成により、本実施形態では、凹凸構造142bの単位構成の延在方向と直交する方向における凹凸構造142bの谷部の開き角は、頂角θに等しくなっている。また、谷部の谷底線Vは、稜線Qと平行である。
凹凸構造142bの頂角θは、120°±5°であることが好ましい。
本実施形態では、凹凸構造142bの稜線Q、谷底線Vがそれぞれ整列する平面は、裏面シート14に組み立てられた状態で、透光性絶縁層141の表面と平行な平面になっている。
【0058】
また、凹凸構造142bの頂部のピッチPは、10μm以上30μm以下であることが好ましい。
ピッチPが10μmよりも小さいと、凹凸構造142bに沿う光反射性金属層143で光が反射する際に光の回折が起こる場合がある。この回折光は、分光し広がった光となるため制御が難しく、特定方向に反射する上で好ましくない。さらに、凹凸構造142bを製造する金型を切削する時間が長くなり、これにより製造タクトが延びて生産効率が悪くなるため好ましくない。
これに対してピッチPが10μm以上であれば、回折が起こらないため光を適確に特定方向に反射することができ、さらに、発電効率の観点から好ましい。
ピッチPが30μmより大きいと、凹凸構造142bの高低差が大きくなるため、後述する貼り合わせ方法によってバリア層145を光反射性金属層143に接着層144を介して貼り合わせる際に、気泡が入りやすい等の問題が発生し易くなり好ましくない。また、接着層144の形成が困難となる。また、接着層144の厚さを厚くする必要があるため、コスト高の要因となってしまう。
これに対してピッチPが30μm以下であれば、貼り合わせの際に気泡等の問題が発生する可能性が低くなり、さらに、成形性、コストの観点から好ましい。
【0059】
単層の凹凸構造層142を形成する方法としては、金型を用いたプレス法・キャスティング法・押し出し成形法・射出成形法などが挙げられる。これらの方法では、凹凸構造層142をシート状に成形すると同時に凹凸構造142bを形成することが可能である。
【0060】
また、多層の凹凸構造層142を形成することができる方法として、凹凸構造142bの逆型構造に対応する凹凸形成面を有する平面スタンパやロールスタンパの金型を用い、この凹凸形成面に紫外線硬化型樹脂を塗布または注入し、その上に基材を配置して、硬化処理後にスタンパから離型するといった方法が挙げられる。
また、このような方法では、凹凸構造142bを形成するために使用する樹脂の粘度を低くすることができるため成形性がよいという利点がある。
【0061】
このような方法によれば、透光性絶縁層141をシート状部材で構成し、このシート状部材を基材として用いることで、透光性絶縁層141に積層する凹凸構造層142を形成することができる。
また、基材として、透光性絶縁層141と異なる1層または2層以上からなるシート状部材を用いれば、多層の凹凸構造層142を形成することができる。
ここで用いる基材の材質は、特に限定されるものではなく、例えば、PET、PEN、PVC、PC、OPP、PE、TAC、PI、PMMA等の樹脂材料からなるフィルムを使用することができる。
【0062】
凹凸構造層142を形成するために使用する金型は、バイトによる金属板の切削加工や、バイト切削及び電子ビームによる描画やエッチングによって得られた母型の電鋳加工等により得ることができる。このような加工により成形された金型は、表面に凹凸構造142bの逆型構造が形成されている。
凹凸構造142bの逆型構造は、例えば、形成すべき凹凸構造142bの延在方向に直交する断面形状を有するバイトで金属板を切削することで形成することができる。
また、金型は板状でもよく、ロール状でもよいが、ロール状の金型とする方が望ましい。ロール状の金型であれば、連続エンボス加工が可能であり、大きな面積を必要とする場合に特に好適である。
【0063】
光反射性金属層143は、凹凸構造142b上に、凹凸構造142bに追従した層状になるように形成され、凹凸構造層142を透過して入射する光を凹凸構造層142側に反射する反射面を構成する金属含有層である。
光反射性金属層143に用いる金属としては、金属光沢を有し反射面を形成できるものであれば特に限定されない。例えば、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、スズ(Sn)、ジルコニウム(Zr)、等の単体もしくは合金が挙げられる。
光反射性金属層143は、単層で形成してもよく複数の金属、合金を積層して用いてもよい。中でも、アルミニウムは、反射性が高く、緻密な金属層が比較的容易に形成でき、安価でもあるため、特に好適である。
【0064】
光反射性金属層143の厚さは、30nm以上100nm以下が好ましい。この範囲内では、40nm以上、または90nm以下、または40nm以上90nm以下がより好ましい範囲である。
光反射性金属層143の厚さが30nmより小さいと、光反射性金属層143に入射する光を十分に反射することができない。40nm以上の厚さがあれば、より確実に光反射性金属層143に入射する光を反射することができる。
光反射性金属層143の厚さが100nmを超えると、光反射性金属層143に目視でも確認できるクラックが発生しやすくなる。90nm以下であれば、目視で確認できないようなクラックも発生しにくいなるためより好ましい。
【0065】
このような構成の光反射性金属層143は、凹凸構造142bに追従した断面が三角形状の反射面になっているため、凹凸構造層142を透過した光が入射すると、この光を、入射方向に応じた特定の方向へ反射する機能を有する。この反射光を効率よく特定の方向に反射するためには、光反射性金属層143による反射面が鏡面反射面であることが望ましい。
光反射性金属層143を鏡面反射面に形成するためには、凹凸構造142bにおける三角プリズム状の平面を鏡面に対応する面精度を有する滑らかな平面に形成するとともに、光反射性金属層143を構成する金属または合金を、凹凸構造142bに密着する緻密な層膜に形成すればよい。
【0066】
光反射性金属層143の形成手段としては、均一に金属層が形成できれば特に限定されるものではない。例えば、(a)真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンクラスタービーム法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法;PVD法)、(b)プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法;CVD法)などを採用することができる。
これらの中でも、生産性が高く良質な金属層が形成できる真空蒸着法が特に好ましい。真空蒸着法による真空蒸着装置の加熱手段としては電子線加熱方式、抵抗加熱方式、誘導加熱方式のいずれかを適宜用いればよい。
これらの形成手段によれば、金属または合金の微粒子を緻密に積層させることができるため、鏡面反射面の形成が容易である。
【0067】
接着層144は、後述するバリア層145を光反射性金属層143と貼り合わせるための層状部である。
太陽電池モジュール1は屋外で長期使用される場合が多いため、接着層144には、接着強度が長期間の屋外使用で劣化しデラミネーションなどを生じないこと、黄変の程度が小さいことなどが要求される。
これらの要求を満たすため、接着層144としては、ポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、セルロース系の樹脂を1種又は2種以上混合したラミネート用接着剤を使用することができる。
【0068】
また、接着層144には、長期間の屋外暴露による接着剤の劣化を防止するために劣化防止剤を添加しても良い。劣化防止剤としては、例えば、カルボジイミン、エポキシなどの添加剤が挙げられる。
また、さらに、例えば、硬化剤、可塑剤、分散剤、各種レベリング剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、粘性改質剤、潤滑剤、光安定化剤等の各種添加剤が適宜配合されてもよい。
【0069】
バリア層145は、太陽電池モジュール1の内部を劣化させる原因となる物質、例えば、水蒸気や酸素の外部からの進入を抑制し、太陽電池モジュール1内部の各部の腐食や劣化を防止するために設けられた防護層であり、本実施形態では金属箔で構成されている。
本実施形態では、バリア層145は、接着層144を介して、光反射性金属層143と貼り合わせられている。
貼り合わせ方法としては、例えば、ドライラミネーション方法、ノンソルベントドライラミネーション方法、ホットメルトラミネーション方法、エクストルージョンラミネーション方法を利用したサンドイッチ・エクストルージョンラミネーション方法などの公知の方法を適宜使用することができる。
【0070】
金属箔の種類は、例えば水蒸気など光反射性金属層143の腐食の原因となる物質を遮断することができる材質であれば、特に限定されない。
バリア層145に用いることができる材料としては、例えば、Al、Ag、Au、Cu、Ni等の金属単体もしくは合金、またはステンレス鋼などが挙げられる。
これらの金属箔は水蒸気バリア性に優れた材料であることが知られている。そのため、高温高湿環境下における太陽電池モジュール1内部の電極22c等の酸化、凹凸構造層142の樹脂材料の劣化、光反射性金属層143の腐食等を抑制または防止することが可能である。
特に、光反射性金属層143の腐食と凹凸構造層142の劣化とを抑制または防止できるため、後述する凹凸構造層142および光反射性金属層143の作用による反射機能と、光の利用効率を向上させる効果とを、長期にわたって持続することが可能となる。
上述の金属箔中でも、アルミニウムは、水蒸気バリア性が高く、かつ安価であるため、特に好適である。
【0071】
バリア層145の厚さは、7μm以上50μmが好ましい。この範囲内では、20μm以上、または40μm以下、または20μm以上40μm以下がより好ましい範囲である。
バリア層145の厚さが7μmより小さいと、ピンホールが多くなり十分な水蒸気バリア性を得ることが出来ない場合がある。また金属箔を接着層144に貼り合わせる際にしわなどの欠陥が生じやすく、工程収率が低下してしまうおそれがある。20μm以上の厚さがあれば、ピンホールがほぼゼロに近いため十分な水蒸気バリア性を得ることが出来、また貼り合わせの際のしわなどの欠陥が生じにくい。
バリア層145の厚さが50μmを超えると、屈曲性が低下するために折れなどの欠陥が生じやすく、工程収率が低下してしまう。40μm以下であれば、十分な屈曲性が保たれるため折れなどの欠陥がより生じにくい。
【0072】
接着層146は、後述する耐候層147をバリア層145と貼り合わせるための層状部である。
接着層146には、接着層144と同様の接着剤、劣化防止剤、各種添加剤の使用が可能である。
【0073】
耐候層147は、裏面シート14において透光性絶縁層141と反対側の表面を構成する層状部である。本実施形態では、太陽電池モジュール1に組み立てられた際に、太陽電池モジュール1の前面板11と反対側の最外面を構成している。
耐候層147は、太陽電池モジュール1の使用環境において要求される、耐高温、耐高湿、耐加水分解、難燃性等の長期耐候性を満足するシート状部材で構成され、接着層146を介して、バリア層145に貼り合わされている。
貼り合わせ方法としては、バリア層145と光反射性金属層143とを貼り合せる方法と同様の各種方法を適宜使用することが出来る。
【0074】
耐候層147の材料としては、長期耐候性の目標値を満たす材料であれば適宜採用することができる。
長期耐候性の要求を満たすシート状部材の例としては、PVF等のフッ素樹脂フィルムやフッ素樹脂塗膜、もしくは低オリゴマーPETフィルム等の耐加水分解性を高めたタイプのPETフィルム等を挙げることができる。また、耐候性に優れるPENフィルム等も好適である。
【0075】
また、耐候層147は、単層であってもよく、多層であってもよい。
単層の場合には、上述の材料のいずれかを要求特性に合わせて選択することができる。PVFは、長期耐候性に特に優れているため好適である。また低オリゴマーPETフィルム等の耐加水分解性のPETフィルムは、安価でありながら長期耐候性にも優れているため、好適である。
耐候層147が多層構造の場合の例としては、PETフィルムにPVF等のフッ素樹脂フィルムを接着層を介して貼り合わせたものや、PETフィルムにPVF等のフッ素樹脂塗膜を形成したもの等が挙げられる。
PVF等のフッ素樹脂は、長期耐候性に非常に優れており、単層でも十分な性能を発揮するものの、単層で十分な強度を得ようとすると厚さを厚くする必要がありコスト高の要因となる。よって、強度を確保する基材との組合せによる多層構造とすることが好ましい。
なお、耐候層147の層構成は上記に限ったものではなく、要求特性に応じて適宜変更可能である。
【0076】
次に、本実施形態の裏面シート14および太陽電池モジュール1の作用について、説明する。
図5(a)、(b)は、透光性絶縁層を有しない比較例の太陽電池モジュールの縦断面図である。図6(a)、(b)、(c)、(d)は、本発明の実施形態の太陽電池モジュールにおける太陽電池裏面シートの作用を説明する模式説明図である。図7(a)、(b)、(c)は、凹凸構造の頂角の違いによる作用を説明する模式的な光路図である。本発明の実施形態の太陽電池モジュールにおける太陽電池裏面シートの作用を説明する縦断面図である。図8(a)は、発明の実施形態の太陽電池モジュールの模式的な平面図である。図8(b)は、図8(a)におけるA−A断面図である。図9(a)、(b)、(c)は、封止材と凹凸構造層との屈折率の違いによる作用を説明する模式的な光路図である。
【0077】
まず、透光性絶縁層141の作用について、図5(a)、(b)に示す比較例を参照して説明する。
図3に示すように、太陽電池モジュール1では、封止材13が、電気絶縁性に優れる透光性絶縁層141によって覆われている。このため、導電性を有する光反射性金属層143と、太陽電池セル12や電極22cとの電気的な距離が大きくなっているため、放電リークが防止されている。
また、透光性絶縁層141の絶縁破壊電圧を適切に設定しておくことで、絶縁破壊を防止することができる。
【0078】
これに対して、図5(a)、(b)に示す比較例の太陽電池モジュール1A、1Bは、いずれも、本実施形態の太陽電池モジュール1から透光性絶縁層141および凹凸構造層142を削除したもので、光反射性金属層143が封止材13と当接している。
このような構成で、電極22cと光反射性金属層143との間の放電リークを防止するには、封止材13によって電極22cと光反射性金属層143との間に充分な電気的な距離をあけることが必要である。
このため、太陽電池モジュール1Aに示すように、電極22cと光反射性金属層143との間を広くとる必要があるため、太陽電池モジュール1Aの厚さが厚くなり、太陽電池モジュール1Aが大型化してしまう。
また、電極22cと同様に太陽電池セル12も光反射性金属層143から離す必要があるため、太陽電池セル12の裏面と光反射性金属層143との間に封止材13による光透過領域が形成される。このため、光反射性金属層143の反射光が太陽電池セル12の裏面に回り込み易くなるため、太陽電池モジュール1と比べて光利用効率が悪化してしまう。
【0079】
一方、太陽電池モジュール1Bのように、光反射性金属層143と電極22cとの距離が近いと、これらの間に放電リークが起こりやすくなり、太陽電池モジュール1の耐久性が低下してしまう。
また、封止材13は、温度が上昇すると軟化するため、振動などの外力を受けた場合に、電極22cや太陽電池セル12と光反射性金属層143とが接触してしまうおそれもある。この場合には、光反射性金属層143を通じて電極22cがショートしてしまう。
【0080】
次に、太陽電池モジュール1における入射光の光路を説明するとともに、裏面シート14の作用を説明する。
図1に示すように、光源Lから発される光のうち、前面板11の最外面である入射面110に垂直に入射する光H0は、前面板11に入射後、この前面板11を透過して封止材13に入射する。なお、入射面110の法線NGは、例えば水平面に平行な平面S上に前面板11を載置した状態における平面Sの法線NSと平行な方向とする。
入射面110に対し斜めに入射した光は、垂直入射の光H0と比較して、入射面110で反射する割合が多く、太陽電池セル12に入射する光も少なくなり、発電に利用できる光が少なくなる。そのため、光H0が入射面110に垂直に入射する場合が、最も効率良く発電を行なうことができる。
【0081】
前面板11を射出した光H1は、封止材13に入射する。光H1は、太陽電池セル12上では、前面板11の入射面110に平行に配置された太陽電池セル12の受光面Jに、垂直に入射する。この光H1は、太陽電池セル12で電気へと変換され、発電に用いられる。
一方、太陽電池セル12の間の隙間上に入射する光H1は、裏面シート14に入射する。
裏面シート14は、図6(c)に示すように、封止材13側から、透光性絶縁層141、凹凸構造層142、光反射性金属層143が積層されているため、光H1は、透光性絶縁層141、凹凸構造層142を透過した後、光反射性金属層143に対して斜め入射して、入射方向に対する光反射性金属層143の傾斜方向に応じた斜めの特定方向に向かって、反射光H2として反射される。このため、反射光H2は封止材13内を前面板11に向かって斜め方向に進む。
反射光H2は、少なくとも一部の光が、前面板11の入射面110で裏面反射され、反射光H3として封止材13内を裏面シート14側に向かって進む。例えば、太陽電池セル12と対向する前面板11の部位またはその近傍で反射された反射光H3は、図1に示すように、太陽電池セル12の受光面Jに入射して、太陽電池セル12による発電に用いられる。
この結果、隣接する太陽電池セル12同士の間の隙間に入射する光H1が光量損失になることなく、太陽電池セル12による発電に寄与するため、裏面シート14を有しない場合に比べて、光利用効率が向上される。
【0082】
太陽電池モジュール1による発電の光利用効率は、裏面シート14における光量損失が小さいほど向上することができる。
本実施形態では、透光性絶縁層141の400nm〜1200nmにおける平均透過率が、90%以上100%以下であるため、光H1が透光性絶縁層141に入射する際の光量損失、および反射光H2が透光性絶縁層141から出射される際の光量損失が、それぞれ10%未満となり、光量損失を抑制できる。
また、光反射性金属層143は、鏡面反射面に形成しておけば、反射時の散乱が抑制され、反射光H2を特定の反射方向により向けやすくなるため、光利用効率をさらに向上することができる。
【0083】
裏面シート14は、上述した好ましい構成を備える場合には、さらに発電の光利用効率を向上することができる。
まず、凹凸構造142bの頂角θの作用について説明する。
なお、本実施形態では、前面板11、封止材13、透光性絶縁層141、凹凸構造層142の各材料の屈折率は同一とは限らないが、簡単のため、概略的な光路の説明では、屈折率が同一であると仮定して説明する。当業者であれば、以下の説明から屈折率が相違する場合の詳細の光路を理解することは容易である。
また、特に屈折率の相違に基づく作用の説明をする際は、その旨を断って説明する。
【0084】
図6(d)に示すように、光H1は、凹凸構造142bに到達すると、凹凸構造142bの裏面に対して、入射角αで入射する。凹凸構造142bの表面側には光反射性金属層143が密着しているため、光H1の出射角αで反射される。すなわち、反射光H2は、光H1の入射方向に対しては角度2αをなす方向に反射される。
頂角θと出射角αとの間には、それぞれの単位を度で表したとき、次式(1)が成り立つ。
【0085】
α=(180−θ)/2 ・・・(1)
【0086】
ここで、反射光H2と、隣接する凹凸構造142bによる反射面の関係を考えると、隣接する反射面は、入射方向に対してθ/2だけ傾斜している。
反射光H2が隣接する反射面に入射して反射方向が変わることがないようにするには、次式(2)を満足する必要がある。
【0087】
2α≦θ/2 ・・・(2)
【0088】
上記式(1)、(2)を解くことにより、反射光H2を隣接する反射面に確実に反射させないための条件は、θ≧120(°)であることが分かる。
【0089】
反射光H2は、図6(c)に示すように、前面板11に到達すると、前面板11と、太陽電池モジュール1が設置される外部環境の雰囲気、例えば大気、との間の界面である入射面110で裏面反射されて反射光H3が形成される。このとき、入射面110に対する反射光H2の入射角は2αである。
ここで、図6(a)に示すように、2αが入射面110の裏面における臨界角γ以上の場合には、入射面110で全反射されるため、反射光H2はロスが極めて少なく反射光H3となる。
一方、図6(b)に示すように、2αが臨界角γより小さい場合には、反射光H3の他に入射面110を外部側に透過する透過光H4が発生する。この透過光H4の発生がすると反射光H3の光量が減少し、太陽電池セル12の受光面Jに入射する反射光H3の光量が減少するため、反射光H2の入射角2αが臨界角γ以上となることが望ましい。
なお、臨界角γは、前面板11の屈折率n1と外部環境の雰囲気の屈折率n2(ただし、n1>n2)によって決定され、次式(3)で表される。
【0090】
sinγ=n1/n2 ・・・(3)
【0091】
例えば、前面板11に強化ガラスなどのガラスを用いた場合には、屈折率n1は約1.5、外部環境の雰囲気を大気とすると屈折率n2は約1.0であるため、臨界角γは約42°となる。
以上から、光反射性金属層143での反射光H2を有効に利用するためには、2αが臨界角γ以上となる必要があり、上記のように臨界角γが42°の際には凹凸構造を為す光反射性金属層143での反射角αが21°以上であること、すなわち凹凸構造142bの頂角θが138°以下であることが好ましい。
【0092】
図7(a)に示すように、頂角θが120°よりも小さい場合には、反射光H2の反射角が大きくなり、隣接する反射面の傾斜に比べて浅い角度の方向に反射されるために反射光H2が隣接する反射面で反射されて多重反射が起こる。これにより、反射光H2は再反射光H2’として、反射光H2の反射角が小さくなったのと同様の光路を進む。
この結果、入射面110での入射角2αが42°以下になる可能性が高いため、再反射光H2’は、透過光H4として入射面110を外部側に透過して光量損失となってしまう。頂角θの大きさによっては、再反射光H2’は入射面110においてある程度反射されて封止材13に戻るが、再反射光H2’は多重反射した光であるため、反射光H2よりも光量が確実に低下することになる。
したがって、いずれにしても、反射光H2を有効に利用することが出来ない。
【0093】
これに対して、図7(b)に示すように、頂角θが120°以上、138°以下の場合には、入射面110での入射角2αが42°以上となり、反射光H2を有効に利用することが可能である。
また、図7(c)に示すように、頂角θが138°よりも大きい場合には、前述の通り、入射面110での入射角2αが42°以下となるため、光を有効に利用することが出来ない。
【0094】
次に、反射光H2と太陽電池セル12との位置関係と光利用効率との関係について説明する。
例えば、図8(a)に示すように、太陽電池セル12の端辺12aに隣接する矩形状領域として、太陽電池セル12に近い側から幅Lmの領域Mと、幅Lnの領域Nを考える。
領域Mは、図8(b)に示すように、裏面シート14からの反射光M2、m2が、入射面110に入射する前に太陽電池セル12にぶつかって、光量損失となり、反射光M2、m2を有効に利用することが出来ない領域である。
また、領域Nは、図8(b)に示すように、裏面シート14からの反射光N2、n2がすべて、入射面110に到達し、反射光N3、n3として、封止材13側に反射され、太陽電池セル12の受光面J上に到達するため、反射光N2、n2を有効に利用することが出来る領域である。
太陽電池セル12の端部からの距離が(Lm+Ln)を越える領域Oは、入射面110で反射された反射光が太陽電池セル12に到達する前に、裏面シート14に再入射し、再度反射される領域である。再反射後は、受光面Jに到達する場合と到達しない場合とがあるが、到達するとしても、裏面シート14で複数回反射されているため、光量が減衰している。したがって、反射光を有効に利用することが出来ない領域である。
【0095】
距離Lm、Ln、Loは、頂角θ等によって決まり、次式(4)、(5)、(6)から求められる。
【0096】
Lm=La・cosφ/tan(θ−90) ・・・(4)
Ln=Lo−Lm ・・・(5)
Lo=Lb・cosφ/tan(θ−90) ・・・(6)
【0097】
ここで、Laは、受光面Jと光反射性金属層143で形成された反射面との距離、Lbは、入射面110と光反射性金属層143で形成された反射面との距離、φ(°)は、光H0の方向から見たときの太陽電池セル12の端辺12aと凹凸構造層142の頂部の稜線Q(図8(a)参照)とのなす角度である。
なお、光反射性金属層143で形成された反射面に対する距離は、凹凸構造142bの凹凸の中心を通る仮想平面から測るものとする。
【0098】
領域M、Nの大きさの具体例について説明する。具体例の太陽電池モジュール1の条件としては、La=0.75(mm)、Lb=4.25(mm)、φ=0(°)とした。
この条件の下に、頂角θを120°、125°、130°、135°、138°とした場合の距離Lm、Ln、Loの計算結果を下記表1に示す。
なお、ここでは凹凸構造層142、透光性絶縁層141、封止材13、前面板11の屈折率はすべて同じであると仮定している。このため、以下の光路の説明には、それぞれの厚さは関係しない。
【0099】
【表1】

【0100】
表1によれば、頂角θが120°〜138°に変化する間に、距離Lmは、1.30mmから0.68mmまで減少し、距離Lnは、12.10mmから6.30mmまで減少していることが分かる。頂角θが120°の場合に、距離Lnが一番長いことが分かる。すなわち反射光を有効に利用できる領域Nが一番広いことが分かる。また、距離Lnは頂角θが138°の場合に一番短くなることが分かる。
このため、頂角θが120°のときに最も光の利用効率を高めることが可能であるため好ましい。
【0101】
ただし、実際の使用環境での入射光は、例えば太陽電池モジュール1の設置状態などの都合によっては、前面板11に対する入射角が0°には限定されない。また、頂角θが120°より小さい場合でも効率はやや劣るものの入射面110での反射がなくなるわけではないため、頂角θは120°に近ければ、120°より小さくてもよい。
したがって、入射角が0°の近傍でばらつくとすると、頂角θは、120°±5°の範囲で適宜設定することが好ましい。
また、予め入射角が0°以外の特定の角度になることが分かっている場合には、その場合の特定の角度で上記と同様な計算を行って、最適な頂角θを設定することも可能である。
【0102】
次に、凹凸構造層142、透光性絶縁層141、および封止材13の好ましい屈折率の作用について、屈折率が異なる場合の光路に基づいて説明する。この説明では、凹凸構造層142、透光性絶縁層141、および封止材13のそれぞれの屈折率を、n142、n141、n13とする。簡単のため、前面板11の屈折率は、封止材13の屈折率n13に等しいものとする。
また、図9(a)、(b)、(c)に示すように、凹凸構造層142から透光性絶縁層141に入射する際の屈折角(透光性絶縁層141中を進む光の角度)をβ1、透光性絶縁層141から封止材13に入射する際の屈折角(封止材13中を進む光の角度)をβ2で表すことにする。屈折角β1、β1は、各界面の法線からの角度で定義されるが、太陽電池モジュール1では、これらは、いずれも光H1の入射方向に一致している。
【0103】
太陽電池モジュール1において、凹凸構造層142の屈折率n142は、透光性絶縁層141の屈折率n141より小さく、封止材13の屈折率n13よりも大きいことが好ましい。
屈折率n142が屈折率n141よりも大きい場合には、臨界角が存在してしまうため、光反射性金属層143で反射した光が臨界角より大きな角度で凹凸構造層142と透光性絶縁層141との界面に入射すると、全反射により凹凸構造層142の内部に戻ってきてしまい、反射光を有効に利用することが出来ない。
臨界角は、屈折率の大きな物質から小さな物質に光が入射するときに全反射が起こる最も小さな入射角のことであり、上記と逆に、屈折率n142が屈折率n141よりも小さい場合には臨界角が存在しない、すなわち全反射が起こり得ず、光反射性金属層143で反射した光を有効に利用できるため好ましい。
【0104】
屈折率n142が屈折率n13よりも小さい場合には、透光性絶縁層141から封止材13に入射する際の屈折角β2が、凹凸構造層142中を進む光の角度2αよりも小さくなってしまうため、光反射性金属層143で反射した光を有効に利用する効果が低くなってしまう、すなわち反射光を有効に利用できる領域Nが狭くなってしまう。
屈折率n142が屈折率n13よりも大きい場合には、屈折角β2が、角度2αよりも大きくなるため、光反射性金属層143で反射した光を有効に利用する効果が高くなる、すなわち反射光を有効に利用できる領域Nが広くなるため、好ましい。
【0105】
上記の作用を具体例に基づいて説明する。具体例の条件は表1の計算と同様に、La=0.75(mm)、Lb=4.25(mm)、φ=0(°)とした。また、頂角および各屈折率の条件は、θ=120(°)、2α=60(°)とした。
【0106】
図9(a)は、n142=n13=1.48、n141=1.6の場合の模式的な光路図を示す。
この場合、光反射性金属層143に入射した光H0は、光反射性金属層143によって、光h1として、2α=60(°)の方向に反射されるため、光h1が、透光性絶縁層141に入射角60°で入射する。透光性絶縁層141の屈折率は、n141=1.6であるため、光h1は界面で屈折し、光h2として透光性絶縁層141中を進む。このとき屈折角β1は、53.2°であるため、光h2は封止材13に53.2°の角度で入射する。封止材13の屈折率は、n13=1.48なので、光h2は界面で屈折し、光h3として封止材13中を進む。このとき屈折角β2は、60°となり、前面板11に60°の角度で入射する。前面板11の屈折率は1.48なので、光h3は直進して、入射面110の裏面側に60°の角度で入射する。これにより、光h3は点r1で全反射されて、反射光H3が形成される。
【0107】
図9(b)は、n142=1.45、n13=1.48、n141=1.6の場合の模式的な光路図を示す。すなわち、凹凸構造層142の屈折率が、封止材13の屈折率より小さい場合の例を示している。
この場合、光反射性金属層143によって反射された光h1が、透光性絶縁層141に入射角60°で入射するのは、図9(a)の場合と同様である。
光h1は界面で屈折し、光h2として透光性絶縁層141中を進む。このとき本例では、n142=1.45の凹凸構造層142から、n141=1.6の透光性絶縁層141への屈折になるため、屈折角β1は、51.7°となる。このため、光h2は封止材13に51.7°の角度で入射する。封止材13の屈折率は、n13=1.48なので、光h2は界面で屈折し、光h3として封止材13中を進む。このとき屈折角β2は、58°となり、前面板11に58°の角度で入射する。前面板11の屈折率は1.48なので、光h3は直進して、入射面110の裏面側に58°の角度で入射する。これにより、光h3は点r2で全反射されて、反射光H3が形成される。
しかしながら、入射面110に入射する光の角度が、凹凸構造層142の屈折率が1.48のときよりも小さくなるため、図9(a)の場合に比べて、反射される点r2の位置が光H1の入射位置に近い。さらに反射光H3の反射角も小さくなることと相俟って、反射光H3が到達する距離が短くなってしまう。
【0108】
図9(c)は、n142=1.51、n13=1.48、n141=1.6の場合の模式的な光路図を示す。すなわち、凹凸構造層142の屈折率が、封止材13の屈折率より大きい場合の例を示している。
この場合、光反射性金属層143によって反射された光h1が、透光性絶縁層141に入射角60°で入射するのは、図9(a)の場合と同様である。
光h1は界面で屈折し、光h2として透光性絶縁層141中を進む。このとき本例では、n142=1.51の凹凸構造層142からn141=1.6の透光性絶縁層141への屈折になるため、屈折角β1は、54.8°となる。このため、光h2は封止材13に54.8°の角度で入射する。封止材13の屈折率は、n13=1.48なので、光h2は界面で屈折し、光h3として封止材13中を進む。このとき屈折角β2は、62.1°となり、前面板11に62.1°の角度で入射する。前面板11の屈折率は1.48なので、光h3は直進して、入射面110の裏面側に62.1°の角度で入射する。これにより、光h3は点r3で全反射されて、反射光H3が形成される。
しかしながら、入射面110に入射する光の角度が、凹凸構造層142の屈折率が1.48のときよりも大きくなるため、図9(a)の場合に比べて、反射される点r3の位置が光H1の入射位置から遠くなる。さらに反射光H3の反射角も大きくなることと相俟って、反射光H3が到達する距離が長くなる。
【0109】
下記表2に、凹凸構造層142の屈折率を変えた場合の距離Lm、Ln、Loを示す。ここで、屈折率n142の値以外の条件は、上記の具体例と同じである。また、凹凸構造層142の厚さは0.05mm、透光性絶縁層141の厚さは0.2mm、封止材13の厚さは1mm、前面板11の厚さは3mmとする。
屈折率n142は、上記に説明した例も含め、1.45、1.48、1.51、1.54、1.57、1.6としている。
【0110】
【表2】

【0111】
上記表2によれば、n142が1.45〜1.6に変化する間に、距離Lmは、1.2mmから2.0mmまで増加し、距離Lnは、11.2mmから18.6mmまで増加していることが分かる。
これより、凹凸構造層142の屈折率が大きいほど距離Lnが長い、すなわち反射光を有効に利用できる領域Nが広いことがわかる。
【0112】
なお、上記式(4)、(5)、(6)は、凹凸構造層142、透光性絶縁層141、封止材13、前面板11の屈折率がすべて同じであると仮定している。そのため、屈折率が異なる上記表2の計算では、屈折率の違いを考慮し、以下のような補正を行って、距離Lm、Ln、Loを算出した。
例えば凹凸構造層142の屈折率n142が1.51の場合、入射面110に入射する光の角度が62.1°である。これは各層の屈折率がすべて同じである場合には、頂角θが117.9°であることに相当する。そのため頂角θを117.9°とした場合の距離Lm、Ln、Loを算出した。なお、屈折率がすべて同じ場合に、頂角θが117.9°になると、実際には多重反射することになるが、ここでは補正のため、計算上想定しているにすぎない。屈折率が異なる場合でこれに相当する頂角62.1°は、屈折率の違いにより光路が異なるため、多重反射する条件にはならない。
ただし、厳密には、凹凸構造層142と透光性絶縁層141の屈折率が異なるために、実際の距離Lm、Ln、Loとはわずかに誤差が生じる。しかし、凹凸構造層142と透光性絶縁層141の厚さの和が、封止材13と前面板11の厚さの和の10分の1以下であれば、その誤差を無視できるほど小さい。したがって、凹凸構造層142と透光性絶縁層141の厚さの和が、封止材13と前面板11の厚さの和の10分の1以下であると、計算が容易となるため好ましい。
【0113】
なお、以上の具体例の計算に用いた屈折率について説明する。
封止材13の屈折率としては、最も一般的に用いられるEVAの屈折率である1.48を採用した。EVAの屈折率は一般的に約1.48であると言われている。
透光性絶縁層141の屈折率としては、最も一般的に用いられるPETフィルムの屈折率である1.6を採用した。PETフィルムの屈折率は延伸方向によっても異なるが、1.57〜1.63程度と言われている。
前面板11の屈折率としては、説明の簡便化のために封止材13の屈折率と同じである1.48を採用した。なお、前面板11として、最も一般的に用いられるのは強化ガラスであり、屈折率は約1.5であると言われているが、本発明の効果において、前面板の屈折率が1.48の場合と、1.5の場合とで大きな差異はないため、実使用において強化ガラスを用いた場合でも、同様の効果が得られる。
このような各層の屈折率は、一例であって、上記に限ったものではなく、要求特性に応じて適宜変更可能である。
【0114】
以上に説明したように、本実施形態の裏面シート14および太陽電池モジュール1によれば、凹凸構造層142の凹凸形状に沿う凹凸構造142bを有する光反射性金属層143によって、封止材13側から太陽電池裏面シート14に入射する光を反射して、太陽電池セル12に再入射させ、光の利用効率を向上させることが可能であり、透光性絶縁層141の400〜1200nmの平均反射率が90%以上であることにより、より確実に光の利用効率を向上させることが可能となる。
【0115】
[第1構成例]
次に、本実施形態の第1構成例の裏面シートについて説明する。
図10は、本発明の実施形態の第1構成例の太陽電池裏面シートの概略構成を示す縦断面図である。
【0116】
本構成例の裏面シート20は、図10に示すように、上記実施形態の裏面シート14と同様に、透光性絶縁層141、凹凸構造層142、光反射性金属層143、接着層144、バリア層145、接着層146、および耐候層147をこの順に備え、図1に示すように、上記実施形態の太陽電池モジュール1に用いることができるものである。
ただし、本構成例は、凹凸構造層142が単層からなる場合の例になっている。
【0117】
裏面シート20では、透光性絶縁層141としてPETフィルムを用いている。
凹凸構造層142は、アクリレート系化合物を主成分とする紫外線硬化樹脂を成形することによって形成している。このため、本構成例では、透光性絶縁層141は、凹凸構造層142を成形する際に凹凸構造層142を支持する基材を兼ねている。
バリア層145はアルミニウム箔を用いている。
耐候層147は耐加水分解性を有するPETフィルムを用いている。
【0118】
[第2構成例]
次に、本実施形態の第2構成例の裏面シートについて説明する。
図11は、本発明の実施形態の第2、3、4構成例の太陽電池裏面シートの概略構成を示す縦断面図である。
【0119】
本構成例の裏面シート30は、図11に示すように、上記実施形態の裏面シート14と同様に、透光性絶縁層141、凹凸構造層142、光反射性金属層143、接着層144、バリア層145、接着層146、および耐候層147をこの順に備え、図1に示すように、上記実施形態の太陽電池モジュール1に用いることができるものである。
ただし、本構成例は、凹凸構造層142が多層からなる場合の例になっている。
裏面シート30では、透光性絶縁層141としてEVAフィルムを用いている。
本構成例の凹凸構造層142は、凹凸構造層142の表面142aを有する基材422と、凹凸構造142bを有する凹凸構造部421との2層からなる。ここで、基材421は、凹凸構造部421を成形する際に凹凸構造部421を支持する基材になっている。
基材422はPETフィルムを用い、凹凸構造部421は、アクリレート系化合物を主成分とする紫外線硬化樹脂を用いて形成している。
また、本構成例の凹凸構造層142は、表面142a側でウレタン系化合物を主成分とする接着剤からなる接着層148を介して透光性絶縁層141と貼り合わされている
バリア層145、耐候層147は、上記第1構成例と同様な材料を用いている。
【0120】
[第3構成例]
次に、本実施形態の第3構成例の裏面シートについて説明する。
本構成例の裏面シート40は、図11に示すように、上記第2構成例と同様の層構成を備え、耐候層147の材料を、PVFフィルムに代えたものである。
【0121】
[第4構成例]
次に、本実施形態の第4構成例の裏面シートについて説明する。
本構成例の裏面シート50は、図11に示すように、上記第2構成例において、透光性絶縁層141および耐候層147の材料を、PVFフィルムに代えたものである。
【0122】
このような第1〜4構成例の裏面シート20、30、40、50においても実施形態の裏面シート14と同様に、光反射性金属層143を含むため、前面側に向かって光を効率良く反射することができる。したがって、太陽電池モジュール1の光の利用効率を向上させて発電量を増大させることが可能となる。
【0123】
なお、上記の説明では、バリア層145と耐候層147とが接着層146を介して配置される場合の例で説明したが、バリア層145と耐候層147とは接着層146を介して接合される形態には限定されず、接着層146を削除して、バリア層145に耐候層147を直接積層させた構成としてもよい。
【0124】
また、上記の説明では、光H0の方向から見たときの太陽電池セル12の端辺12aと凹凸構造層142の頂部の稜線Qとのなす角度φが0°の場合の例で説明したが、角度φは0°に限定されるものではなく、0°から90°の適宜の角度に自由に設定することが可能である。
例えば角度φを45°に設定した場合、反射光を有効に利用できる範囲が広くなるため好適である。
【0125】
また、上記の説明では、角度φが全領域で一定の場合の例で説明したが、角度φが異なる複数の領域を設けることも可能である。例えば角度φが0°の領域と90°の領域を交互に配置することで、反射光を有効に利用できる範囲を広くすることが可能であり、好適である。
【0126】
また、上記の説明では、裏面シート14、20、30、40、50は、太陽電池モジュール1への使用に限るものではなく、LED照明やEL素子などの発光素子の光利用効率向上など、光利用効率向上が望まれる光学素子やディスプレイ部材への転用が可能である。
【0127】
以上、本発明での実施形態について詳細に説明したが、本発明の技術的思想を逸脱しない限り、これらに限定されることはなく多少の設計変更等も可能である。例えば上記に説明したすべての構成要素の組合せを変えたり、一部の構成要素を削除したりすることも可能である。
【実施例】
【0128】
次に、本発明の実施形態の太陽電池裏面シートおよび太陽電池モジュールの実施例について、比較例とともに説明する。
【0129】
[実施例1]
実施例1として、図10に示した裏面シート20、即ち、透光性絶縁層141、凹凸構造層142、光反射性金属層143、接着層144、バリア層145、接着層146、耐候層147の順に積層した裏面シート20を作製した。
本実施例の透光性絶縁層141には、400nm〜1200nmの平均透過率が91%のPETフィルム(東洋紡製 コスモシャイン(登録商標)A4300)(厚さ:250μm)を使用した。また、凹凸構造層142には屈折率が1.55の紫外線硬化樹脂を使用した。
なお、角度φは、φ=45(°)とした。
【0130】
[実施例2]
実施例2として、図10に示した裏面シート20を作製した。
本実施例の透光性絶縁層141には、400nm〜1200nmの平均透過率が91%のPETフィルム(東洋紡製 コスモシャイン(登録商標)A4300)(厚さ:250μm)を使用した。また、凹凸構造層142には屈折率が1.46の紫外線硬化樹脂を使用した。封止材13には屈折率が1.48のEVAフィルムを使用した。
なお、角度φは、φ=45(°)とした。
【0131】
[実施例3]
実施例3として、図10に示した裏面シート20を作製した。
本実施例の透光性絶縁層141には、400nm〜1200nmの平均透過率が91%のPETフィルム(東洋紡製 コスモシャイン(登録商標)A4300)(厚さ:250μm)を使用した。また、凹凸構造層142には屈折率が1.67の紫外線硬化樹脂を使用した。封止材13には屈折率が1.48のEVAフィルムを使用した。
なお、角度φは、φ=45(°)とした。
【0132】
[比較例1]
比較例1の裏面シート(図示略)は、従来の太陽電池裏面シートに用いられる白色PETフィルム(東レ製 ルミラー(登録商標)E20)(厚さ:250μm)からなるものである。
【0133】
[比較例2]
比較例2として、図10に示した裏面シート20、即ち、透光性絶縁層141、凹凸構造層142、光反射性金属層143、接着層144、バリア層145、接着層146、耐候層147の順に積層した裏面シート20を作製した。
本比較例の透光性絶縁層141には、400nm〜1200nmの平均透過率が82%のPETフィルム(東レ製 ルミラー(登録商標)S10)(厚さ:250μm)を使用した。また、凹凸構造層142には屈折率が1.55の紫外線硬化樹脂を使用した。
なお、角度φは、φ=45(°)とした。
【0134】
[比較例3]
図12は、比較例3の太陽電池裏面シートの概略構成を示す縦断面図である。
比較例2としては、図12に示すように、裏面シート60を作製した。
裏面シート60は、上記第1構成例の裏面シート20からバリア層145と接着層146とを削除したものである。即ち、透光性絶縁層141、凹凸構造層142、光反射性金属層143、接着層144、および耐候層147をこの順に積層したものである。
本比較例の透光性絶縁層141には、400〜1200nmの平均透過率が82%のPETフィルム(東レ製 ルミラー(登録商標)S10)(厚さ:250μm)を使用した。また、凹凸構造層142には屈折率が1.55の紫外線硬化樹脂を使用した。封止材13には屈折率が1.48のEVAフィルムを使用した。
なお、角度φは、φ=45(°)とした。
【0135】
[評価]
評価を行うため、実施例1〜3、比較例1〜3の各裏面シートに、EVAフィルム、太陽電池セル12、EVAフィルム、強化ガラスをこの順に積層し、真空ラミネータで熱ラミネートを行って一体化し、太陽電池モジュールの評価用サンプルを作製した。以下、実施例1〜3を用いた太陽電池モジュールを評価用サンプル1〜3、比較例1〜3を用いた太陽電池モジュールを評価用サンプル4〜6と称する。
ここで、EVAフィルムは太陽電池セルの封止材13を構成するもので、屈折率が1.48のものを使用した。また、強化ガラスは前面板11を構成するもので、屈折率が1.50のものを使用した。
評価としては、各評価用サンプルの初期の変換効率(以下、高温高圧試験前の変換効率と称する)を測定し、その後、長期耐候性を評価するために高温高湿試験を行い、この高温高湿試験後の変換効率を測定することで実施した。
変換効率の測定いずれも、ソーラーシミュレータ(Newport製 34903A)、IVカーブトレーサー(ADCMT製 6244)を用いて行った。
高温高湿試験は、JISC8990/地上設置の結晶シリコン太陽電池(PV)モジュール−設計適格性確認及び形式認証のための要求事項の10.13高温高湿試験に準拠して、温度85℃温度85%の環境下で1000時間行った。
【0136】
これらの評価結果について、下記表3に示す。
【0137】
【表3】

【0138】
平均透過率が91%である実施例1の評価用サンプル1、実施例2の評価用サンプル2、実施例3の評価用サンプル3では、一般的な白色PETフィルムを使用した比較例1の評価用サンプル4を基準としたときにいずれも効率向上効果が得られることを確認した。中でも、凹凸構造層142の屈折率が封止材13の屈折率よりも大きく、透光性絶縁層141の屈折率よりも小さい実施例1の評価用サンプル1では、比較例1の高温高湿試験前の変換効率に対して、高温高湿試験前で4%の効率向上効果が得られた。一方、凹凸構造層142の屈折率が封止材13の屈折率よりも小さい実施例2の評価用サンプル2では、2%の効率向上効果が得られた。また、凹凸構造層142の屈折率が透光性絶縁層141の屈折率よりも大きい実施例3の評価用サンプル3では、2.5%の効率向上効果が得られた。
この結果より、400〜1200nmの平均透過率が90%以上であれば光の利用効率の向上が可能であることが確認できた。さらに、凹凸構造層の屈折率が封止材の屈折率よりも大きく、透光性絶縁層の屈折率よりも小さい場合には、光の利用効率の向上効果をより高められることが確認できた。
【0139】
バリア層145を設けなかった比較例1、3の評価用サンプル4、6では試験後の変換効率の低下が大きいのに対して、バリア層を設けた実施例1〜3の評価用サンプル1〜3、及び比較例2の評価用サンプル5では試験後の変換効率の低下が小さいことを確認した。
この結果より、バリア層145を設けることで高温高湿試験による変換効率の低下を防ぐことが可能である、即ち、光反射性金属層143の腐食を防ぐことが可能であり、光の再利用による効率向上効果を長期にわたり持続させることが可能であることが確認できた。
【符号の説明】
【0140】
1 太陽電池モジュール
11 前面板(透光性前面板)
12 太陽電池セル
12a 端辺
13 封止材
14、20、30、40、50 裏面シート(太陽電池裏面シート)
22c 電極
110 入射面
141 透光性絶縁層
142 凹凸構造層
142a 表面
142b 凹凸構造
143 光反射性金属層
144、146 接着層
145 バリア層
147 耐候層
421 凹凸構造部
422 基材
H0、H1 光
H2、H3、M2、m2、N2、n2、N3、n3 反射光
H2’ 再反射光
H4 透過光
J 受光面
13、n142、n141 屈折率
P ピッチ
θ 頂角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に太陽電池セルを封止した封止材と、該封止材に積層され該封止材内に光を入射させる透光性前面板と、前記封止材を挟んで前記透光性前面板と反対側に積層された太陽電池裏面シートとを有する太陽電池モジュールであって、
前記太陽電池裏面シートは、
前記封止材側から順に、少なくとも、透光性絶縁層、微細な凹凸形状の凹凸構造を有する凹凸構造層、前記凹凸構造に沿って形成された光反射性金属層、および耐候層をこの順に有する積層体からなり、
前記透光性絶縁層の400nm〜1200nmにおける平均透過率が、90%以上100%以下である
ことを特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項2】
前記凹凸構造層の屈折率が、前記封止材の屈折率より大きく、かつ前記透光性絶縁層の屈折率より小さい
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュール。
【請求項3】
前記凹凸構造層の厚さと前記透光性絶縁層の厚さとの和が、前記封止材の厚さと前記透光性前面板の厚さとの和の10分の1以下である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の太陽電池モジュール。
【請求項4】
前記光反射性金属層の前記接着層側に、前記光反射性金属層の腐食を抑制するバリア層がさらに設けられている
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
【請求項5】
前記バリア層が、金属箔である
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
【請求項6】
前記バリア層の厚さが、7μm以上50μm以下である
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
【請求項7】
前記光反射性金属層の厚さが、30nm以上100nm以下である
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
【請求項8】
前記凹凸構造層の凹凸形状が、120°±5°の頂角を有する三角プリズム状である
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
【請求項9】
前記三角プリズム状の凹凸形状の頂部のピッチが、10μm以上30μm以下である
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
【請求項10】
内部に太陽電池セルを封止した封止材の一方の面を覆う太陽電池裏面シートであって、
透光性絶縁層、微細な凹凸形状凹凸構造を有する凹凸構造層、前記凹凸構造に沿って形成された光反射性金属層、および耐候層をこの順に有する積層体からなり、
前記透光性絶縁層の400nm〜1200nmにおける平均透過率が、90%以上100%以下である
ことを特徴とする太陽電池裏面シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−115216(P2013−115216A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259491(P2011−259491)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】