説明

安定な液体抗体配合物

本発明は、一般に抗体の医薬配合物の分野に関する。具体的には、本発明は、安定な液体抗体配合物ならびにその医薬調製物および使用に関する。本発明はヒト化抗NGF抗体の液体配合物によって例示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗体の医薬配合物の分野に関する。具体的には、本発明は、安定な液体抗体配合物ならびにその医薬調製物および使用に関する。
【背景技術】
【0002】
治療的または予防的使用を意図する抗体調製物は、使用前の保管および輸送中の経時的な変性、酸化または凝集の効果が原因の、タンパク質の活性または構造的完全性の損失を防止するために安定化剤を必要とする。これらの問題は、治療的投与にしばしば所望される高濃度の抗体において悪化する。
【0003】
抗体配合物の開発の主な目的は、抗体、溶解度、安定性およびその抗原結合能を維持することである。静脈内または皮下注射での使用前に滅菌濾過を必要とし、投与経路を限定することになる、溶液中の凝集体および粒子は回避することが特に望ましい。抗体凝集体は、それらを含有する配合物を静脈内注射した場合に疼痛およびアナフィラキシー様副作用を引き起こす場合がある。
【0004】
凍結乾燥(lyophilisation)および凍結乾燥(freeze drying)は抗体の液体配合物に対する代替法である。どちらのプロセスも、特に再構成の際に抗体の変性を誘導してその抗原結合活性を減少させる性向を有する。
【0005】
塩、界面活性剤、pHおよび糖などの等張剤は凝集の問題の克服に寄与することができる。抗体調製物の配合は、タンパク質の変性および抗原結合活性の損失を回避するために、とりわけこれらの要因の注意深い選択を必要とする。抗体調製物のpH範囲に関して、低いpH値を有する抗体配合物を静脈内注射した場合、多くの場合疼痛または注射が起こる。抗体配合物を注射剤として使用する場合、ほぼ中性のpH範囲のpH値を有することが望ましく、また、対象への注射に有害な配合物中の気泡を回避するために、界面活性剤のレベルを最小限にすることも有利である。
【0006】
モノクローナル抗CTLA4抗体の液体配合物がWO2006/096491号(Pharmacia and Upjohn Company)から知られており、これは、20mg/mlの抗体、20mMのヒスチジン緩衝液、84mg/mlのトレハロース、0.2mg/mlのPS80界面活性剤、0.05mg/mlのEDTA、pH5.5を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
溶液中の高濃度の生物活性抗体を安定に支持し、静脈内、筋肉内、腹腔内、皮内または皮下注射を含めた非経口投与に適した、安定な液体抗体配合物の必要性が存在する。配合物は、最小限の気泡形成およびアナフィラキシー様副作用の危険性を有することがさらに望ましい。
【0008】
さらに、抗NGF抗体のそのような安定な液体配合物を提供する必要性が存在する。NGFは、末梢および中枢ニューロンのどちらの開発および維持においても中心的な役割を果たすことが知られている。神経系におけるその効果に加えて、NGFレベルの増加は、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、乾癬、関節炎、間質(interstitital)膀胱炎および喘息を含めた様々な炎症状態と関連づけられている。また、NGFは様々な疼痛状態における活性も実証されている。抗NGF抗体E3は、癌性疼痛、関節リウマチ疼痛、骨関節炎疼痛および手術後疼痛も含めた急性および慢性の疼痛状態の処置に有用であることが示されている(たとえばWO2004/058184号を参照)。NGFによって媒介される炎症および疼痛状態に罹患している患者の医学的要求を満たすための、抗NGF抗体の安定な液体抗体調製物の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様では、本発明は、少なくとも1つの抗体、少なくとも1つの等張剤、少なくとも1つの緩衝液、少なくとも1つのキレート化剤、少なくとも1つの界面活性剤を含み、pHが5.0〜7.5である液体組成物を提供する。
【0010】
一態様では、本発明は、少なくとも1つの抗体、少なくとも1つの等張剤、少なくとも1つの緩衝液、少なくとも1つのキレート化剤、少なくとも1つの界面活性剤を含み、pHが5.8〜6.8である液体組成物を提供する。
【0011】
また、本発明は、少なくとも1つの抗体、少なくとも1つの等張剤、少なくとも1つの緩衝液、少なくとも1つのキレート化剤、少なくとも1つの界面活性剤からなる、またはそれから本質的になり、pHが5.8〜6.8である液体組成物も提供する。
【0012】
本発明による液体組成物は、溶液中の高濃度の生物活性抗体を安定に支持し、静脈内、筋肉内、腹腔内、皮内または皮下注射を含めた非経口投与に適するという利点を提供する。また、これは、最小限の気泡形成およびアナフィラキシー様副作用の危険性を有する。
【0013】
本発明の好ましい実施形態によれば、液体組成物は少なくとも1つの抗体を含むことができる。一部の実施形態では、複数の抗体が存在し得る。少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、またはそれより多くの異なる抗体が存在することができる。一般に、2つ以上の異なる抗体は、互いに有害な影響を与えない相補的な活性を有する。また、その抗体またはそれぞれの抗体は、抗体の有効性を増強および/または補完する役割を果たす他の薬剤と併せて使用することができる。
【0014】
本発明の好ましい実施形態によれば、pHは、5.0〜7.5の範囲、より好ましくは約pH7.5と約pH5.1、5.2、5.3、5.4または5.5のうちの任意のものとの間であることができる。さらに好ましくは、pHは、pH5.6、5.7または5.8のうちの任意の1つと約pH7.5、7.4、7.3、7.2、7.1、7.0、6.9、6.8、6.7、6.6、6.5、6.4、6.3、6.2、6.1、6.0、5.9、5.8または5.7のうちの任意の1つとの間から選択される範囲内である。
【0015】
好ましい実施形態では、pHは、約pH5.5と約pH6.0、6.2、6.5または6.8のうちの任意のものとの間の範囲内であることができ、あるいは、pHは、約pH5.8と約pH6.0、6.2、6.5または6.8のうちの任意のものとの間の範囲内であることができる。
【0016】
より好ましくは、pHは、約5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4または7.5のうちの任意のpH値から選択されることができ、最も好ましくは、pHはpH6.0±0.2である。これらの範囲内のpHの値は、注射に際した疼痛またはアナフィラキシー様副作用の危険性を低下させるために、抗体の凝集および断片化からの保護が増強されており、生理的pHに近い(約pH7.2〜7.4)液体組成物を提供する。
【0017】
本発明のさらなる好ましい実施形態によれば、等張剤は、好ましくは、ポリオール、サッカライド、炭水化物、塩化ナトリウムなどの塩、またはその混合物を含む。好ましくは、ポリオールは約600kD未満(たとえば約120〜約400kDの範囲内)の分子量を有しており、好ましくは、マンニトール、トレハロース、ソルビトール、エリスリトール、イソマルト、ラクチトール、マルチトール、キシリトール、グリセロール、ラクチトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、イノシトール、またはその混合物から選択される。好ましくは、サッカライドまたは炭水化物は、単糖、二糖および多糖またはその混合物の群から選択される。好ましくは、サッカライドまたは炭水化物は、フルクトース、グルコース、マンノース、スクロース、ソルボース、キシロース、ラクトース、マルトース、スクロース、デキストラン、プルラン、デキストリン、シクロデキストリン、可溶性デンプン、ヒドロキシエチルデンプン、水溶性グルカン、およびその混合物からなる群から選択される。好ましくは、等張剤は、還元糖もしくは非還元糖またはその混合物の群から選択されるサッカライドを含む。さらに好ましくは、等張剤は、非還元糖であるサッカライド(sacharide)、好ましくは、スクロース、トレハロース、およびその混合物からなる群から選択されるものを含む。最も好ましくは、等張剤は、トレハロース、好ましくはトレハロース二水和物を含む。本発明によれば、等張剤、特にトレハロース、好ましくはトレハロース二水和物は、冷蔵保管、たとえば0〜10℃、特に5〜8℃、さらには5℃、または凍結保管中、ならびに凍結および解凍のサイクル中に、液体組成物に抗体安定性の増強ならびに凝集、酸化および断片化に対する耐性を与える。生じる抗体配合物が糖化を被らないため、トレハロースが特に有利である。
【0018】
液体組成物中の等張剤の濃度の範囲は、約1mg/ml〜約300mg/ml、約1mg/ml〜約200mg/ml、または約1mg/ml〜約100mg/mlである。好ましくは、液体組成物中の等張剤の濃度は、約60mg/ml、約65mg/ml、約70mg/ml、約75mg/ml、約80mg/ml、約81mg/ml、約82mg/ml、約83mg/ml、約84mg/ml、約85mg/ml、約86mg/ml、約87mg/ml、約88mg/ml、約89mg/ml、約90mg/ml、約91mg/ml、約92mg/ml、約93mg/ml、約94mg/ml、約95mg/ml、約96mg/ml、約97mg/ml、約98mg/ml、約99mg/ml、約100mg/ml、約105mg/ml、約110mg/ml、約120mg/ml、または約130mg/mlである。最も好ましくは、液体組成物中の等張剤の濃度は約84mg/mlである。
【0019】
等張剤が塩を含む場合、液体組成物中の塩の濃度の範囲は約1mg/ml〜約20mg/mlである。薬学的に許容でき、本発明に適した塩には、塩化ナトリウム、コハク酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化カリウム(potassuim)、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、および塩化カルシウムが含まれる。本発明に好ましい塩は塩化ナトリウムおよび塩化マグネシウムであり、塩化マグネシウムもタンパク質を脱アミド化から保護することによって抗体安定性を向上させ得る。好ましくは、液体組成物中の塩は、約1mg/ml、2mg/ml、3mg/ml、4mg/ml、5mg/ml、6mg/ml、7mg/ml、8mg/ml、9mg/ml、10mg/ml、11mg/ml、12mg/ml、13mg/ml、14mg/ml、15mg/ml、16mg/ml、17mg/ml、18mg/ml、19mg/mlおよび20mg/mlのうちの任意の濃度範囲から選択される。
【0020】
本発明の好ましい実施形態によれば、界面活性剤は、好ましくは、ポリソルベート、ポロキサマー、トリトン、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、オクチルグリコシドナトリウム、ラウリル−スルホベタイン、ミリスチル−スルホベタイン、リノレイル(linoleyl)−スルホベタイン、ステアリル−スルホベタイン、ラウリル−サルコシン、ミリスチル−サルコシン、リノレイル−サルコシン、ステアリル−サルコシン、リノレイル−ベタイン、ミリスチル−ベタイン、セチル−ベタイン、ラウロアミドプロピル−ベタイン、コカミドプロピル−ベタイン、リノレアミドプロピル−ベタイン、ミリストアミドプロピル−ベタイン、パルミドプロピル−ベタイン、イソステアラミドプロピル−ベタイン、ミリストアミドプロピル−ジメチルアミン、パルミドプロピル−ジメチルアミン、イソステアラミドプロピル−ジメチルアミン、メチルココイル−タウリン酸ナトリウム、メチルオレイル−タウリン酸二ナトリウム、ジヒドロキシプロピルPEG5リノレアンモニウムクロリド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、およびその混合物からなる群から選択される。さらに好ましくは、界面活性剤は、ポリソルベート20、ポリソルベート21、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート61、ポリソルベート65、ポリソルベート80、ポリソルベート81、ポリソルベート85、およびその混合物からなる群から選択される。より好ましくは、界面活性剤は、ポリソルベート20、ポリソルベート80、PEG3350、またはその混合物から選択される。最も好ましくは、界面活性剤はポリソルベート20である。本発明によれば、界面活性剤、特にポリソルベート20は、液体組成物に抗体安定性の増強ならびに凝集および断片化に対する耐性をもたらす。
【0021】
界面活性剤の濃度の範囲は、一般に、約0.01mg/ml〜約10mg/ml、約0.01mg/ml〜約5.0mg/ml、約0.01mg/ml〜約2.0mg/ml、約0.01mg/ml〜約1.5mg/ml、約0.01mg/ml〜約01.0mg/ml、約0.01mg/ml〜約0.5mg/ml、約0.01mg/ml〜約0.4mg/ml、約0.01mg/ml〜約0.3mg/ml、約0.01mg/ml〜約0.2mg/ml、約0.01mg/ml〜約0.15mg/ml、約0.01mg/ml〜約0.1mg/ml、または約0.01mg/ml〜約0.05mg/mlである。さらに好ましくは、界面活性剤の濃度は、約0.5mg/ml、約0.05mg/ml、約0.06mg/ml、約0.07mg/ml、約0.08mg/ml、約0.09mg/ml、約0.1mg/ml、約0.11mg/ml、約0.12mg/ml、約0.13mg/ml、約0.14mg/ml、約0.15mg/ml、約0.16mg/ml、約0.17mg/ml、約0.18mg/ml、約0.19mg/ml、約0.2mg/mlである。最も好ましくは、界面活性剤の濃度は約0.1mg/mlである。約0.1mg/mlの界面活性剤の濃度を用いた実施形態は、この濃度で溶液中の配合物の抗体の安定性の維持を可能にする一方で、配合物の調製、配合物の取扱いおよび非経口投与の調製中において、特に調製および輸送中における振盪およびかき混ぜに関連する応力からの、配合物中に気泡が形成される傾向も低下させるため、非常に好ましい。
【0022】
本発明の好ましい実施形態によれば、緩衝液は、アセテート、スクシネート、グルコネート、シトレート、ヒスチジン、酢酸、ホスフェート、リン酸、アスコルベート、酒石(tartartic)酸、マレイン酸、グリシン、ラクテート、乳酸、アスコルビン酸、イミダゾール、炭酸水素および炭酸、コハク酸、安息香酸ナトリウム、安息香酸、グルコネート、エデテート、アセテート、マレート、イミダゾール、トリス、リン酸、ならびにその混合物からなる群から選択されることができる。好ましくは、緩衝剤はヒスチジンであり、ヒスチジンは、L−ヒスチジンもしくはD−ヒスチジンのどちらか、ヒスチジンの溶媒和形態、ヒスチジンの水和形態(たとえば一水和物)、またはヒスチジンの無水形態あるいはその混合物を含むことができる。
【0023】
本発明によれば、緩衝液、特に好ましい緩衝液であるヒスチジンは、液体組成物に、注射に際した疼痛またはアナフィラキシー様副作用の危険性を低下させるための生理的pHに近いpHをもたらし、また、抗体安定性の増強ならびに凝集、酸化および断片化に対する耐性ももたらす。
【0024】
緩衝液の濃度は約0.1ミリモーラー(mM)〜約100mMの範囲であることができる。好ましくは、緩衝液の濃度は、約0.5mM〜約50mM、さらに好ましくは、約1mM〜約30mM、より好ましくは約1mM〜約18mM、さらに好ましくは約1mM〜約15mMである。好ましくは、緩衝液の濃度は、約1mM、約2mM、約3mM、約4mM、約5mM、約6mM、約7mM、約8mM、約9mM、約10mM、約11mM、約12mM、約13mM、約14mM、約15mM、約16mM、約17mM、約18mM、約19mM、約20mM、約21mM、約22mM、約23mM、約24mM、約25mM、約30mM、約35mM、約40mM、約45mMまたは約50mMである。最も好ましくは、緩衝液の濃度は約10mMである。
【0025】
本発明の好ましい実施形態によれば、キレート化剤は、アミノポリカルボン酸、ヒドロキシアミノカルボン酸、N−置換グリシン、2−(2−アミノ−2−オキソクチル(oxocthyl))アミノエタンスルホン酸(BES)、デフェロキサミン(DEF)、クエン酸、ナイアシンアミド、およびデスオキシコレートおよびその混合物からなる群から選択されることができる。さらに好ましくは、キレート化剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸5(DTPA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、N−2−アセトアミド−2−イミノ二酢酸(ADA)、ビス(アミノエチル)グリコールエーテル、N,N,N’,N’−四酢酸(EGTA)、トランス−ジアミノシクロヘキサン四酢酸(DCTA)、グルタミン酸、およびアスパラギン酸、N−ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HIMDA)、N,N−ビス−ヒドロキシエチルグリシン(ビシン)およびN−(トリスヒドロキシメチルメチル)10グリシン(トリシン)、グリシルグリシン、ナトリウムデスオキシコレート、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン(トリエン)、エチレンジアミンテトラアセトEDTA、EDTA二ナトリウム、EDTAカルシウムシュウ酸、マレート、クエン酸、クエン酸一水和物、およびクエン酸三ナトリウム二水和物、8−ヒドロキシキノレート、アミノ酸、ヒスチジン、システイン、メチオニン、ペプチド、ポリペプチド、およびタンパク質ならびにその混合物からなる群から選択される。さらに好ましくは、キレート化剤は、エデト酸二カリウム、エデト酸二ナトリウム、エデト酸カルシウム二ナトリウム、エデト酸ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、およびエデト酸カリウムを含めたEDTAの塩からなる群から選択され、デフェロキサミン(DEF)の適切な塩はメシル酸デフェロキサミン(DFM)、またはその混合物である。可能な場合、本発明で使用するキレート化剤は、化合物の遊離酸もしくは遊離塩基形態または塩形態として、また、化合物または対応する塩の無水、溶媒和または水和した形態としても存在することができる。
【0026】
最も好ましくは、キレート化剤は、EDTA二ナトリウム、EDTAカルシウムのどちらか、最も好ましくはEDTA二ナトリウムである。
【0027】
EDTA二ナトリウムは液体組成物に抗体安定性の増強および/または凝集耐性をもたらすため、特に好ましい。
【0028】
キレート化剤の濃度の範囲は、一般に、約0.01mg/ml〜約50mg/ml、約1mg/ml〜約10.0mg/ml、約15mg/ml〜約5.0mg/ml、約0.01mg/ml〜約1.0mg/ml、または約0.03mg/ml〜約0.5mg/mlである。さらに好ましくは、キレート化剤の濃度の範囲は、一般に、約0.01mM〜約2.0mM、約0.01mM〜約1.5mM、約0.01mM〜約0.5mM、約0.01mM〜約0.4mM、約0.01mM〜約0.3mM、約0.01mM〜約0.2mM、約0.01mM〜約0.15mM、約0.01mM〜約0.1mM、約0.01mM〜約0.09mM、約0.01mM〜約0.08mM、約0.01mM〜約007mM、約0.01mM〜約0.06mM、約0.01mM〜約0.05mM、約0.01mM〜約0.04mM、約0.01mM〜約0.03mM、約0.01mM〜約0.02mMまたは約0.05mM〜約0.01mMである。好ましくは、キレート化剤の濃度は、約0.01mg/ml、0.02mg/ml、0.03mg/ml、約0.04mg/ml、約0.05mg/ml、約0.06mg/ml、約0.07mg/ml、約0.10mg/ml、約0.20mg/mlであることができる。さらに好ましくは、キレート化剤の濃度は、約0.045mg/ml、約0.046mg/ml、約0.047mg/ml、約0.048mg/ml、約0.049mg/ml、約0.05mg/ml、約0.051mg/ml、約0.052mg/ml、約0.053mg/ml、約0.054mg/ml、約0.055mg/ml、または約0.056mg/mlである。最も好ましくは、キレート化剤の濃度は約0.05mg/mlである。
【0029】
キレート化剤は、本発明の組成物中の還元酸素種の形成を低減させる、酸性種(たとえば脱アミド化)の形成を低下させる、抗体の凝集を低下させる、および/または抗体の断片化を低下させる、および/または抗体の酸化を低下させることができる。そのようなキレート化剤は、キレート化剤の保護なしの抗体と比較して、形成された抗体の分解を低下または防止することができる。
【0030】
別段に記述しない限りは、本明細書中に記載した濃度は周囲条件下での濃度である[すなわち25℃および大気圧]。
【0031】
本発明の好ましい実施形態によれば、液体組成物はさらに抗酸化剤を含むことができる。好ましくは、抗酸化剤は、メチオニン、チオ硫酸ナトリウム、カタラーゼ、および白金を含む群から選択される。
【0032】
抗酸化剤の濃度の範囲は、一般に、約0.01mg/ml〜約50mg/ml、約0.01mg/ml〜約10.0mg/ml、約0.01mg/ml〜約5.0mg/ml、約0.01mg/ml〜約1.0mg/ml、または約0.01mg/ml〜約0.02mg/mlである。好ましくは、抗酸化剤の濃度は、約0.01mg/ml、0.02mg/ml、0.03mg/ml、約0.04mg/ml、約0.05mg/ml、約0.06mg/ml、約0.07mg/ml、0.08mg/ml、0.09mg/ml、約0.10mg/ml、0.11mg/ml、0.12mg/ml、0.13mg/ml、約0.14mg/ml、約0.15mg/ml、約0.16mg/ml、約0.17mg/ml、0.18mg/ml、0.19mg/ml、約0.20mg/ml、約0.25mg/ml、0.3mg/ml、0.4mg/ml、0.5mg/ml、0.6mg/ml、0.7mg/ml、0.8mg/ml、0.9mg/ml、1.0mg/mlであることができる。最も好ましくは、抗酸化剤の濃度は約0.01mg/mlである。
【0033】
本発明のさらなる好ましい実施形態によれば、液体組成物はさらに保存料を含むことができる。好ましくは、保存料は、フェノール、m−クレゾール、ベンジルアルコール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンズアルトニウム(benzalthonium)、フェノキシエタノールおよびメチルパラベンから選択される。
【0034】
保存料の濃度の範囲は、一般に、約0.001mg/ml〜約50mg/ml、約0.005mg/ml〜約15.0mg/ml、約0.008mg/ml〜約12.0mg/mlまたは約0.01mg/ml〜約10.0mg/mlである。好ましくは、保存料の濃度は、約0.1mg/ml、0.2mg/ml、0.3mg/ml、約0.4mg/ml、約0.5mg/ml、約0.6mg/ml、約0.7mg/ml、0.8mg/ml、0.9mg/ml、約1.0mg/ml、2.0mg/ml、3.0mg/ml、約4.0mg/ml、約5.0mg/ml、約6.0mg/ml、約7.0mg/ml、8.0mg/ml、9.0mg/ml、約9.1mg/ml、約9.2mg/ml、9.3mg/ml、9.4mg/ml、9.5mg/ml、9.6mg/ml、9.7mg/ml、9.8mg/ml、9.9mg/ml、10.0mg/mlであることができる。最も好ましくは、保存料の濃度は約0.1mg/mlまたは9.0mg/mLである。
【0035】
本発明の一態様によれば、液体配合物は抗酸化剤を含有しない。
【0036】
本発明の一態様によれば、液体配合物は保存料を含有しない。
【0037】
本発明本発明の好ましい実施形態によれば、抗体の濃度は約0.1〜約200mg/mlの範囲であることができる。好ましくは、抗体の濃度は、約0.5mg/ml、約1mg/ml、約2mg/ml、約2.5mg/ml、約3mg/ml、約3.5mg/ml、約4mg/ml、約4.5mg/ml、約5mg/ml、約5.5mg/ml、約6mg/ml、約6.5mg/ml、約7mg/ml、約7.5mg/ml、約8mg/ml、約8.5mg/ml、約9mg/ml、約9.5mg/ml、約10mg/ml、約11mg/ml、約12mg/ml、約13mg/ml、約14mg/ml、約15mg/ml、約16mg/ml、約17mg/ml、約18mg/ml、約19mg/ml、約20mg/ml、約21mg/ml、約22mg/ml、約23mg/ml、約24mg/ml、約25mg/ml、約26mg/ml、約27mg/ml、約28mg/ml、約29mg/ml、約30mg/ml、約31mg/ml、約32mg/ml、約33mg/ml、約34mg/ml、約35mg/ml、約36mg/ml、約37mg/ml、約38mg/ml、約39mg/ml、約40mg/ml、約41mg/ml、約42mg/ml、約43mg/ml、約44mg/ml、約45mg/ml、約46mg/ml、約47mg/ml、約48mg/ml、約49mg/ml、約50mg/ml、約51mg/ml、約52mg/ml、約53mg/ml、約54mg/ml、約55mg/ml、約56mg/ml、約57mg/ml、約58mg/ml、約59mg/ml、約60mg/ml、約70mg/ml、約80mg/ml、約90mg/ml、約100mg/mlまたは約110mg/mlである。最も好ましくは、抗体の濃度は約50mg/ml以下であり、約2mg/ml、約2.5mg/ml、約5mg/ml、約10mg/ml、約19mg/ml、約20mg/ml、22mg/mlおよび約50mg/mlを含む群から選択され得る。
【0038】
抗体は、好ましくは、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、抗体断片(たとえば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、Fc、ScFvなど)、キメラ抗体、二重特異性抗体、ヘテロコンジュゲート抗体、単鎖(ScFv)、その突然変異体、抗体部分(たとえばドメイン抗体)を含む融合タンパク質、ヒト化抗体、ヒト抗体、ならびに、抗体のグリコシル化変異体、抗体のアミノ酸配列変異体、および共有的に改変された抗体を含めた、所要の特異性の抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子の任意の他の改変された立体配置の群から選択される。抗体は、ネズミ、ラット、ヒト、または任意の他の起源由来であり得る(キメラまたはヒト化抗体が含まれる)。一部の実施形態では、抗体はヒトであることができるが、より好ましくはヒト化したものである。好ましくは、抗体は単離されており、さらに好ましくは実質的に純粋である。抗体が抗体断片である場合、これは、元の抗体の機能的特徴、すなわち、リガンド結合および/または拮抗もしくは作用活性を保持していることが好ましい。
【0039】
本発明の好ましい実施形態によれば、抗体重鎖定常領域は、IgG、IgM、IgD、IgA、およびIgEなどの任意の種類の定常領域、ならびにIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4などの任意のアイソタイプからのものであり得る。好ましくは、抗体はIgG2抗体である。
【0040】
本発明によれば、抗体はヒト重鎖IgG2a定常領域を含むことができる。一部の実施形態では、抗体はヒト軽鎖カッパ定常領域を含む。一部の実施形態では、抗体は、免疫学的に不活性である、たとえば、補体媒介性の溶解を始動しない、または抗体依存性細胞性細胞毒性(ADCC)を刺激しない定常領域などの、改変された定常領域を含む。他の実施形態では、定常領域は、Eur.J.Immunol.、(1999)29:2613〜2624、PCT公開WO099/58572号、および/またはUK特許出願第9809951.8号に記載のように改変する。さらに他の実施形態では、抗体は、A330P331からS330S331への突然変異を含むヒト重鎖IgG2a定常領域を含む(アミノ酸の付番は野生型IgG2a配列を参照)、Eur.J.Immunol.、(1999)29:2613〜2624。
【0041】
本発明の好ましい実施形態によれば、抗体は、高い親和性でNGF(ヒトNGFなど)と結合する抗NGF抗体である。一部の実施形態では、高い親和性とは、(a)約2nM未満(約1nM、800pM、600pM、400pM、200pM、100pM、90pM、80pM、70pM、60pM、50pM、40pM、30pM、20pM、10pM、5pMもしくはそれ未満のうちの任意のものなど)のK、および/または約6×10−5−1よりも遅いkoffでNGFと結合する、ならびに/または(b)約200pM、150pM、100pM、80pM、60pM、40pM、20pM、10pM、もしくはそれ未満のうちの任意のIC50(約15pMのNGFの存在下)でマウスE13.5三叉神経ニューロンのヒトNGF依存性の生存を阻害する(低下および/もしくは遮断する)、ならびに/または(c)約50pM、40pM、30pM、10pM、20pM、10pM、5pM、2pM、1pM、もしくはそれ未満のうちの任意のIC50(約1.5pMのNGFの存在下)でマウスE13.5三叉神経ニューロンのヒトNGF依存性の生存を阻害する(低下および/もしくは遮断する)、ならびに/または(d)約150pM、125pM、100pM、80pM、60pM、40pM、30pM、20pM、10pM、5pM、もしくはそれ未満のうちの任意のIC50(約15pMのNGFの存在下)でマウスE13.5三叉神経ニューロンのラットNGF依存性の生存を阻害する(低下および/もしくは遮断する)、ならびに/または(e)約30pM、25pM、20pM、15pM、10pM、5pM、4pM、3pM、2pM、1pM、もしくはそれ未満のうちの任意のIC50(約1.5pMのNGFの存在下)でマウスE13.5三叉神経ニューロンのラットNGF依存性の生存を阻害する(低下および/もしくは遮断する)、ならびに/または(f)および/またはtrkA受容体よりも高い親和性でNGFと結合することである。
【0042】
別の態様では、抗体は、(a)約2nM未満(約1nM、800pM、600pM、400pM、200pM、100pM、90pM、80pM、70pM、60pM、50pM、40pM、30pM、20pM、10pM、5pMもしくはそれ未満のうちの任意のものなど)のK、および/または約6×10−5−1よりも遅いkoffでNGF(ヒトNGFなど)と結合する、ならびに/または(b)約200pM、150pM、100pM、80pM、60pM、40pM、20pM、10pM、もしくはそれ未満のうちの任意のIC50(約15pMのNGFの存在下)でマウスE13.5三叉神経ニューロンのヒトNGF依存性の生存を阻害する、ならびに/または(c)約50pM、40pM、30pM、10pM、20pM、10pM、5pM、2pM、1pM、もしくはそれ未満のうちの任意のIC50(約1.5pMのNGFの存在下)でマウスE13.5三叉神経ニューロンのヒトNGF依存性の生存を阻害する、ならびに/またはtrkA受容体よりも高い親和性でNGFと結合する。一部の実施形態では、抗体は、(a)約2nM未満のKでNGFと結合する、および/または(b)約100pM以下のIC50でマウスE13.5三叉神経ニューロンのヒトNGF依存性の生存を阻害する(IC50は約15pMのNGFの存在下で測定する)、および/または(c)約10pM以下のIC50でマウスE13.5三叉神経ニューロンのヒトNGF依存性の生存を阻害する(IC50は約1.5pMのNGFの存在下で測定する)。一部の実施形態では、抗体は、(a)約100pM未満のKでNGFと結合する、および/または(b)約20pM以下のIC50でマウスE13.5三叉神経ニューロンのヒトNGF依存性の生存を阻害する(IC50は約15pMのNGFの存在下で測定する)、および/または(c)約2pM以下のIC50でマウスE13.5三叉神経ニューロンのヒトNGF依存性の生存を阻害する(IC50は約1.5pMのNGFの存在下で測定する)。
【0043】
抗体によって結合されることができるエピトープ(複数可)は、連続的または非連続的であることができる。一実施形態では、抗体は、Hongoら、Hybridoma、19:215〜227(2000)に記載されているMAb911、MAb912、およびMAb938からなる群から選択される抗体、本明細書中で定義する抗体(抗体E3など)、ならびに/あるいは、その内容が全体で参考として本明細書中に組み込まれている、WO2005019266号(抗体4D4、14D10、6G9、7H2、14F11および4G6が含まれる)もしくはWO2006131951号(抗体Hu−aD11が含まれる)、WO09023540号またはUS20090041717号に記載されているものと本質的に同じhNGFエピトープと結合する。別の実施形態では、抗体はMAb911と本質的に同じhNGFエピトープと結合する。別の実施形態では、抗体はMAb909と本質的に同じエピトープと結合する。Hongoら、上記。たとえば、エピトープは、hNGFの可変領域1(アミノ酸23〜35)内の残基K32、K34およびE35、hNGFの可変領域4(アミノ酸81〜88)内の残基F79およびT81、可変領域4内の残基H84およびK88、hNGFの可変領域5(アミノ酸94〜98)とhNGFのC末端(アミノ酸111〜118)との間の残基R103、hNGFの前可変領域1(アミノ酸10〜23)内の残基E11、hNGFの可変領域2(アミノ酸40〜49)とhNGFの可変領域3(アミノ酸59〜66)との間のY52、hNGFのC末端内の残基L112およびS113、hNGFの可変領域3内の残基R59およびR69、またはhNGFの前可変領域1内の残基V18、V20、およびG23のうちの、1つまたは複数を含み得る。さらに、エピトープは、hNGFの可変領域1、可変領域3、可変領域4、可変領域5、N末端領域、および/またはC末端のうちの1つまたは複数を含むことができる。別の実施形態では、抗体は、hNGFの残基R103の溶媒接近性を顕著に低下させる。上述のエピトープはヒトNGFに関連するが、当業者は、ヒトNGFの構造を他の種のNGFとアラインメントして、これらのエピトープの適当な対応物を同定できることが理解されよう。
【0044】
一態様では、本発明は、配列番号9を含む重鎖可変領域[I34はS、L、V、A、またはIであり、N35はN、TまたはSで置換されている]を含むポリペプチド(抗体など)を提供する。本明細書中では、利便上、このコンテキストまたはアミノ酸への言及における「置換された」または「である(is)」とは、所定の位置のアミノ酸(複数可)の選択肢をいう。明らかに、置換または選択肢は、配列番号または図中に表したアミノ酸であり得る。残基番号は、記述した配列番号を参照し、抗体の残基付番に従うことで容易に決定される。
【0045】
別の態様では、本発明は、配列番号10を含む重鎖可変領域[M50はM、I、G、Q、S、またはLであり、A62はAまたはSであり、L63はLまたはVである]を含むポリペプチド(抗体など)を提供する。
【0046】
別の態様では、本発明は、配列番号11を含む重鎖可変領域[Y100はY、L、またはRであり、Y101はYまたはWであり、G103はG、A、またはSであり、T104はTまたはSであり、S105はS、A、またはTであり、Y106はY、R、T、またはMであり、Y107はYまたはFであり、F108はFまたはWであり、D109はD、N、またはGであり、Y110はY、K、S、RまたはTである]を含むポリペプチド(抗体など)を提供する。
【0047】
別の態様では、本発明は、配列番号11を含む重鎖可変領域[Y100はY、L、またはRであり、Y101はYまたはWであり、G103はG、A、またはSであり、T104はTまたはSであり、S105はS、A、またはTであり、Y106はY、R、T、またはMであり、Y107はYまたはFであり、F108はFまたはWであり、D109はS、A、C、G、D、N、T、またはGであり、Y110は任意のアミノ酸である]を含むポリペプチド(抗体など)を提供する。
【0048】
別の態様では、本発明は、配列番号11を含む重鎖可変領域[G98はG、S、A、C、V、N、D、またはTであり、G99はG、S、A、C、V、N、D、またはTであり、Y100はY、L、またはRであり、Y101はYまたはWであり、G103はG、A、またはSであり、T104はTまたはSであり、S105はS、A、またはTであり、Y106はY、R、T、またはMであり、Y107はYまたはFであり、F108はFまたはWであり、D109はS、A、C、G、D、N、T、またはGであり、Y110は任意のアミノ酸である]を含むポリペプチド(抗体など)を提供する。
【0049】
別の態様では、本発明は、配列番号12を含む軽鎖可変領域[S26はSまたはFであり、D28はD、S、A、またはYであり、H32はH、N、またはQである]を含むポリペプチド(抗体など)を提供する。
【0050】
別の態様では、本発明は、配列番号13を含む軽鎖可変領域[I51はI、T、VまたはAであり、S56はSまたはTである]を含むポリペプチド(抗体など)を提供する。
【0051】
別の態様では、本発明は、配列番号14を含む軽鎖可変領域[S91はSまたはEであり、K92はK、H、R、またはSであり、Y96はYまたはRである]を含むポリペプチド(抗体など)を提供する。
【0052】
別の態様では、本発明は、配列番号14を含む軽鎖可変領域[S91はSまたはEであり、K92は任意のアミノ酸であり、T93は任意のアミノ酸であり、Y96はYまたはRである]を含むポリペプチド(抗体など)を提供する。
【0053】
一態様では、本発明は、配列番号9に示すアミノ酸配列[I34はS、L、V、A、またはIであり、N35はN、TまたはSである]を含むポリペプチド(抗体など)を提供する。
【0054】
別の態様では、本発明は、配列番号10に示すアミノ酸配列[M50はM、I、G、Q、S、またはLであり、A62はAまたはSであり、L63はLまたはVである]を含むポリペプチド(抗体など)を提供する。
【0055】
別の態様では、本発明は、配列番号11に示すアミノ酸配列[Y100はY、L、またはRであり、Y101はYまたはWであり、G103はG、A、またはSであり、T104はTまたはSであり、S105はS、A、またはTであり、Y106はY、R、T、またはMであり、Y107はYまたはFであり、F108はFまたはWであり、D109はD、N、またはGであり、Y110はY、K、S、RまたはTである]を含むポリペプチド(抗体など)を提供する。
【0056】
別の態様では、本発明は、配列番号11に示すアミノ酸配列[Y100はY、L、またはRであり、Y101はYまたはWであり、G103はG、A、またはSであり、T104はTまたはSであり、S105はS、A、またはTであり、Y106はY、R、T、またはMであり、Y107はYまたはFであり、F108はFまたはWであり、D109はS、A、C、G、D、N、T、またはGであり、Y110は任意のアミノ酸である]を含むポリペプチド(抗体など)を提供する。
【0057】
別の態様では、本発明は、配列番号11に示すアミノ酸配列[G98はG、S、A、C、V、N、D、またはTであり、G99はG、S、A、C、V、N、D、またはTであり、Y100はY、L、またはRであり、Y101はYまたはWであり、G103はG、A、またはSであり、T104はTまたはSであり、S105はS、A、またはTであり、Y106はY、R、T、またはMであり、Y107はYまたはFであり、F108はFまたはWであり、D109はS、A、C、G、D、N、T、またはGであり、Y110は任意のアミノ酸である]を含むポリペプチド(抗体など)を提供する。
【0058】
別の態様では、本発明は、配列番号12に示すアミノ酸配列[S26はSまたはFであり、D28はD、S、A、またはYであり、H32はH、N、またはQである]を含むポリペプチド(抗体など)を提供する。
【0059】
別の態様では、本発明は、配列番号13に示すアミノ酸配列[I51はI、T、VまたはAであり、S56はSまたはTである]を含むポリペプチド(抗体など)を提供する。
【0060】
別の態様では、本発明は、配列番号14に示すアミノ酸配列[S91はSまたはEであり、K92はK、H、R、またはSであり、Y96はYまたはRである]を含むポリペプチド(抗体など)を提供する。
【0061】
別の態様では、本発明は、配列番号14に示すアミノ酸配列[S91はSまたはEであり、K92は任意のアミノ酸であり、T93は任意のアミノ酸であり、Y96はYまたはRである]を含むポリペプチド(抗体など)を提供する。
【0062】
別の態様では、本発明は、配列番号9のCDR1領域[I34はS、L、V、A、またはIであり、N35はN、TまたはSである]、配列番号10のCDR2領域[M50はM、I、G、Q、S、またはLであり、A62はAまたはSであり、L63はLまたはVである]、および配列番号11のCDR3領域[Y100はY、L、またはRであり、Y101はYまたはWであり、G103はG、A、またはSであり、T104はTまたはSであり、S105はS、A、またはTであり、Y106はY、R、T、またはMであり、Y107はYまたはFであり、F108はFまたはWであり、D109はD、N、またはGであり、Y110はY、K、S、RまたはTである]を含む重鎖可変領域を含む、ポリペプチド(ヒト化抗体を含めた抗体など)を提供する。一部の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号11のCDR3領域[Y100はY、L、またはRであり、Y101はYまたはWであり、G103はG、A、またはSであり、T104はTまたはSであり、S105はS、A、またはTであり、Y106はY、R、T、またはMであり、Y107はYまたはFであり、F108はFまたはWであり、D109はS、A、C、G、D、N、T、またはGであり、Y110は任意のアミノ酸である]を含む。他の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号11のCDR3領域[G98はG、S、A、C、V、N、D、またはTであり、G99はG、S、A、C、V、N、D、またはTであり、Y100はY、L、またはRであり、Y101はYまたはWであり、G103はG、A、またはSであり、T104はTまたはSであり、S105はS、A、またはTであり、Y106はY、R、T、またはMであり、Y107はYまたはFであり、F108はFまたはWであり、D109はS、A、C、G、D、N、T、またはGであり、Y110は任意のアミノ酸である]を含む。一部の実施形態では、ポリペプチド(抗体など)は抗体軽鎖可変領域をさらに含む。
【0063】
別の態様では、本発明は、配列番号12のCDR1領域[S26はSまたはFであり、D28はD、S、A、またはYであり、H32はH、N、またはQである]、配列番号13のCDR2領域[I51はI、T、VまたはAであり、S56はSまたはTである]、および配列番号14のCDR3領域[S91はSまたはEであり、K92はK、H、R、またはSであり、Y96はYまたはRである]を含む軽鎖可変領域を含む、ポリペプチド(抗体など)を提供する。一部の実施形態では、軽鎖可変領域は、配列番号14のCDR3領域[S91はSまたはEであり、K92は任意のアミノ酸であり、T93は任意のアミノ酸であり、Y96はYまたはRである]を含む。一部の実施形態では、ポリペプチド(抗体など)は抗体重鎖をさらに含む。
【0064】
別の態様では、本発明は、(a)配列番号9のCDR1領域[I34はS、L、V、A、またはIであり、N35はN、TまたはSである]、配列番号10のCDR2領域[M50はM、I、G、Q、S、またはLであり、A62はAまたはSであり、L63はLまたはVである]、および配列番号11のCDR3領域[Y100はY、L、またはRであり、Y101はYまたはWであり、G103はG、A、またはSであり、T104はTまたはSであり、S105はS、A、またはTであり、Y106はY、R、T、またはMであり、Y107はYまたはFであり、F108はFまたはWであり、D109はD、N、またはGであり、Y110はY、K、S、RまたはTである]を含む重鎖可変領域、ならびに(b)配列番号12のCDR1領域[S26はSまたはFであり、D28はD、S、A、またはYであり、H32はH、N、またはQである]、配列番号13のCDR2領域[I51はI、T、VまたはAであり、S56はSまたはTである]、および配列番号14のCDR3領域[S91はSまたはEであり、K92はK、H、R、またはSであり、Y96はYまたはRである]を含む軽鎖可変領域を含む、ポリペプチド(抗体など)を提供する。一部の実施形態では、軽鎖可変領域は、配列番号14のCDR3領域[S91はSまたはEであり、K92は任意のアミノ酸であり、T93は任意のアミノ酸であり、Y96はYまたはRである]を含む。一部の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号11のCDR3領域[Y100はY、L、またはRであり、Y101はYまたはWであり、G103はG、A、またはSであり、T104はTまたはSであり、S105はS、A、またはTであり、Y106はY、R、T、またはMであり、Y107はYまたはFであり、F108はFまたはWであり、D109はS、A、C、G、D、N、T、またはGであり、Y110は任意のアミノ酸である]を含む。他の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号11のCDR3領域[G98はG、S、A、C、V、N、D、またはTであり、G99はG、S、A、C、V、N、D、またはTであり、Y100はY、L、またはRであり、Y101はYまたはWであり、G103はG、A、またはSであり、T104はTまたはSであり、S105はS、A、またはTであり、Y106はY、R、T、またはMであり、Y107はYまたはFであり、F108はFまたはWであり、D109はS、A、C、G、D、N、T、またはGであり、Y110は任意のアミノ酸である]を含む。一部の実施形態では、ポリペプチドは抗体軽鎖をさらに含む。
【0065】
別の態様では、本発明は、配列番号9に示すアミノ酸配列[I34はS、L、V、A、またはIであり、N35はN、TまたはSである]、配列番号10に示すアミノ酸配列[M50はM、I、G、Q、S、またはLであり、A62はAまたはSであり、L63はLまたはVである]、および配列番号11に示すアミノ酸配列[Y100はY、L、またはRであり、Y101はYまたはWであり、G103はG、A、またはSであり、T104はTまたはSであり、S105はS、A、またはTであり、Y106はY、R、T、またはMであり、Y107はYまたはFであり、F108はFまたはWであり、D109はD、N、またはGであり、Y110はY、K、S、RまたはTである]を含む、ポリペプチド(ヒト化抗体を含めた抗体など)を提供する。一部の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号11に示すアミノ酸配列[Y100はY、L、またはRであり、Y101はYまたはWであり、G103はG、A、またはSであり、T104はTまたはSであり、S105はS、A、またはTであり、Y106はY、R、T、またはMであり、Y107はYまたはFであり、F108はFまたはWであり、D109はS、A、C、G、D、N、T、またはGであり、Y110は任意のアミノ酸である]を含む。他の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号11に示すアミノ酸配列[G98はG、S、A、C、V、N、D、またはTであり、G99はG、S、A、C、V、N、D、またはTであり、Y100はY、L、またはRであり、Y101はYまたはWであり、G103はG、A、またはSであり、T104はTまたはSであり、S105はS、A、またはTであり、Y106はY、R、T、またはMであり、Y107はYまたはFであり、F108はFまたはWであり、D109はS、A、C、G、D、N、T、またはGであり、Y110は任意のアミノ酸である]を含む。一部の実施形態では、ポリペプチド(抗体など)は抗体軽鎖可変領域をさらに含む。
【0066】
別の態様では、本発明は、配列番号12に示すアミノ酸配列[S26はSまたはFであり、D28はD、S、A、またはYであり、H32はH、N、またはQである]、配列番号13に示すアミノ酸配列[I51はI、T、VまたはAであり、S56はSまたはTである]、および配列番号14に示すアミノ酸配列[S91はSまたはEであり、K92はK、H、R、またはSであり、Y96はYまたはRである]を含むポリペプチド(抗体など)を提供する。
【0067】
本発明のさらなる好ましい実施形態によれば、抗体は、
(a)配列番号3に示すCDR1領域、
(b)配列番号4に示すCDR2領域、および
(c)配列番号5、11、56、58、60、62、64に示すCDR3領域
を含む重鎖可変領域を含む抗NGF抗体であることができる。
【0068】
本発明のさらなる好ましい実施形態によれば、抗体は、
(a)配列番号6に示すCDR1領域、
(b)配列番号7に示すCDR2領域、および
(c)配列番号8、14、55、57、59、61または63に示すCDR3領域
を含む軽鎖可変領域を含む抗NGF抗体であることができる。
【0069】
本発明の好ましい実施形態によれば、抗体は、
(a)配列番号3に示すCDR1領域、
(b)配列番号4に示すCDR2領域、および
(c)配列番号5に示すCDR3領域
を含む重鎖可変領域を含む抗NGF抗体であることができる。
【0070】
本発明によれば、抗体は、
(a)配列番号6に示すCDR1領域、
(b)配列番号7に示すCDR2領域、および
(c)配列番号8に示すCDR3領域
を含む軽鎖可変領域を含む抗NGF抗体であることができる。
【0071】
抗NGF抗体は、
(a)配列番号3に示すCDR1領域、
(b)配列番号4に示すCDR2領域、および
(c)配列番号5に示すCDR3領域
を含む重鎖可変領域をさらに含み得る。
【0072】
抗NGF抗体は、配列番号1のアミノ酸配列と少なくも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の任意で同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および/または配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%のうちの任意で同一のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含んでいてよく、抗体はNGFと特異的に結合する。
【0073】
ヒト化抗NGF抗体の重鎖可変領域および/または軽鎖可変領域は、1つまたは複数の対応するフレームワーク突然変異を含み得る。一態様では、フレームワーク突然変異では、ヒトフレームワーク残基を相補的なマウスフレームワーク残基で置き換え得る。突然変異は、重鎖可変領域中に置換V71Kを含み得る。
【0074】
抗NGF抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含んでいてよく、かつ/または配列番号2のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含んでいてよい。
【0075】
抗NGF抗体は、配列番号1および2に示すアミノ酸配列を含む抗体であり得る。
【0076】
抗NGF抗体は、配列番号16のアミノ酸配列と少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%のうちの任意で同一のアミノ酸配列を含む重鎖領域および/または配列番号17のアミノ酸配列と少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%のうちの任意で同一のアミノ酸配列を含む軽鎖領域を含んでいてよく、抗体はNGFと特異的に結合する。
【0077】
抗NGF抗体は、配列番号16のアミノ酸配列を含む重鎖領域を含んでいてよく、かつ/または配列番号17のアミノ酸配列を含む軽鎖領域を含んでいてよい。
【0078】
抗NGF抗体は、配列番号16および17を示すアミノ酸配列を含む抗体であり得る。
【0079】
抗NGF抗体は、NGF結合について本明細書中に定義した抗NGF抗体と競合し得る。抗NGF抗体は、NGF結合について、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および/または配列番号2のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む抗体と競合し得る。
【0080】
抗NGF抗体は、ヒトおよびげっ歯類のNGFと特異的に結合するヒト化かつ親和性成熟の抗体E3であり得る。抗体E3は、その内容がその全体で本明細書中に参考として組み込まれているWO2004/058184号に記載されている。E3の重鎖および軽鎖可変領域のアミノ酸配列をそれぞれ配列番号1および2に示す(WO2004/058184号の図1Aおよび1B)。抗体E3のCDR部分(コチアおよびカバットCDRが含まれる)をWO2004/058184号の図1Aおよび1Bに図示する。E3の重鎖および軽鎖、ならびに個々の伸長CDRのアミノ酸配列も以下に示す(以下の「抗体配列」を参照)。抗体E3は、NGFを補足してその受容体との相互作用を防止することにおいて非常に強力である。E3およびそのネズミ前駆抗体911は、関節炎、癌性疼痛および手術後疼痛を含めた病理的疼痛の非臨床動物モデルにおいて有効な鎮痛剤であることが示されている。
【0081】
また、抗NGF抗体は、抗体E3の断片または領域も含み得る(本明細書中で互換性があるように「E3」と呼ぶ)。一実施形態では、断片は、WO2004/058184号の図1Bおよび本明細書中の配列番号17に示す抗体E3の軽鎖である。別の実施形態では、断片は、WO2004/058184号の図1Aおよび本明細書中の配列番号16に示す抗体E3の重鎖。さらに別の実施形態では、断片は、抗体E3の軽鎖および/または重鎖からの1つまたは複数の可変領域を含有する。さらに別の実施形態では、断片は、WO2004/058184号の図1Aおよび1Bならびにそれぞれ本明細書中の配列番号17および16に示す、抗体E3の軽鎖および/または重鎖からの1つまたは複数のCDRを含有する。
【0082】
別の態様では、抗体は、ATCC番号PTA4893号またはATCC番号PTA4894号の受託番号を有する宿主細胞によって産生されるポリヌクレオチドによってコードされている軽鎖を含む。別の態様では、抗体は、ATCC番号PTA4895号の受託番号を有する宿主細胞によって産生されるポリヌクレオチドによってコードされている重鎖を含む。別の態様では、抗体は、(a)ATCC番号PTA4894号またはATCC番号PTA4893号の受託番号を有する宿主細胞によって産生されるポリヌクレオチドによってコードされている軽鎖、および(b)ATCC番号PTA4895号の受託番号を有する宿主細胞によって産生されるポリヌクレオチドによってコードされている重鎖を含む(本明細書中では、利便上、受託宿主細胞によって産生されるポリヌクレオチド(複数可)は、ATCC番号PTA−4894号、PTA−4893号およびPTA−4895号の受託番号を有すると呼ぶ)。別の態様では、抗体は、ATCC番号PTA4894号またはATCC番号PTA4893号の受託番号を有する宿主細胞によって産生されるポリヌクレオチドによってコードされている軽鎖の軽鎖可変領域を含む。別の態様では、抗体は、ATCC番号PTA4895号の受託番号を有する宿主細胞によって産生されるポリヌクレオチドによってコードされている重鎖の重鎖可変領域を含む。別の態様では、抗体は、(a)ATCC番号PTA4894号またはATCC番号PTA4893号の受託番号を有する宿主細胞によって産生されるポリヌクレオチドによってコードされている軽鎖の軽鎖可変領域、および(b)ATCC番号PTA4895号の受託番号を有する宿主細胞によって産生されるポリヌクレオチドによってコードされている重鎖の重鎖可変領域を含む。さらに別の態様では、抗体は、(a)ATCC番号PTA4894号の受託番号を有する宿主細胞によって産生されるポリヌクレオチド、および/または(b)ATCC番号PTA4895号の受託番号を有する宿主細胞によって産生されるポリヌクレオチドによってコードされている重鎖によってコードされている1つまたは複数のCDRを含む。
【0083】
別の態様では、抗体は、a)配列番号1〜8または配列番号3〜8(WO2004/058184号の図1Aおよび1B)に示す抗体E3の1つまたは複数のCDR、b)配列番号1および5(WO2004/058184号の図1A)に示す抗体E3の重鎖からのCDR H3、c)配列番号2および8(WO2004/058184号の図1B)に示す抗体E3の軽鎖からのCDR L3、d)配列番号2、6〜8(WO2004/058184号の図1B)に示す抗体E3の軽鎖からの3つのCDR、e)配列番号1、3〜5(WO2004/058184号の図1A)に示す抗体E3の重鎖からの3つのCDR、ならびにf)配列番号1〜8(WO2004/058184号の図1Aおよび1B)に示す抗体E3の軽鎖からの3つのCDRおよび重鎖からの3つのCDRのうちの、任意の1つまたは複数を含む。別の態様では、抗体は、a)配列番号1〜8(WO2004/058184号の図1Aおよび1B)に示す抗体E3に由来する1つもしくは複数(1、2、3、4、5、もしくは6個)のCDR、b)配列番号1および5(WO2004/058184号の図1A)に示す抗体E3の重鎖からのCDR H3に由来するCDR、ならびに/またはc)配列番号2および8(WO2004/058184号の図1B)に示す抗体E3の軽鎖からのCDR L3に由来するCDRのうちの、任意の1つまたは複数を含む。一部の実施形態では、CDRは、カバットCDR、コチアCDR、またはカバットおよびコチアCDRの組合せであり得る(本明細書中で「伸長」または「組合せ」CDRと呼ぶ)。一部の実施形態では、ポリペプチドは、本明細書中に記載のCDR立体配置(組合せ、変異体などが含まれる)のうちの任意のものを含む。
【0084】
別の実施形態では、抗体は以下を含み得る:
(a)以下を含む重鎖可変領域:
(i)配列番号30のCDR1領域、
(ii)配列番号31の配列を含むCDR2領域、
(iii)配列番号11、56、58、60、62および64からなる群から選択されるCDR3領域、ならびに
(b)以下を含む軽鎖可変領域:
(i)配列番号18のCDR1領域、
(ii)配列番号19のCDR2領域、
(iii)配列番号14、55、57、59、61および63からなる群から選択されるCDR3領域。
【0085】
本発明の一部の実施形態では、本明細書中に記載の抗NGF抗体のうちの任意のものの重鎖のC末端リシンを欠失させる。様々な事例において、本明細書中に記載の抗NGF抗体の重鎖および/または軽鎖には、場合によりシグナル配列が含まれていてもよい。
【0086】
別の実施形態では、抗体は、WO2005019266号(抗体4D4、14D10、6G9、7H2、14F11および4G6が含まれる)、WO2006131951号(抗体Hu−αD11が含まれる)、WO09023540号またはUS20090041417号に記載されている抗体などの、当分野で知られている抗NGF抗体から選択され得る。抗体は、Hongoら、Hybridoma、19:215〜227(2000)に記載のMab911、MAb912、およびMAb938、ならびにWO2005019266号(抗体4D4、14D10、6G9、7H2、14F11および4G6が含まれる)、WO2006131951号(抗体Hu−αD11が含まれる)、WO09023540号もしくはUS20090041417号に記載の抗体などの、当分野で知られている抗NGF抗体と同じエピトープと結合してもよく、かつ/または、NGFとの結合についてそのような抗体と競合し得る。
【0087】
本発明のさらなる態様によれば、
約0.5mg/ml〜約50mg/mlの少なくとも1つの抗体、
約1.0mM〜約15mMのヒスチジン緩衝液、
約1mg/ml〜約100mg/mlのトレハロース二水和物、
約0.01〜約0.15mg/mlのPS20、
約0.01〜約0.1mg/mlのEDTA二ナトリウム
を含むまたはそれからなる液体組成物を提供し、前記組成物は、約pH5.5と約pH6.0、6.2、6.5もしくは6.8のうちの任意のものとの間の範囲、または約pH5.8と約pH6.0、6.2、6.5または6.8のうちの任意のものとの間の範囲から選択されるpHである。
【0088】
本発明のさらなる態様によれば、
約2.5mg/ml、5mg/ml、10mg/ml、20mg/ml、22mg/mlまたは約50mg/mlのうちの任意のものの少なくとも1つの抗体、
約1.0mM〜約15mMのヒスチジン緩衝液、
約1mg/ml〜約100mg/mlのトレハロース二水和物、
約0.01〜約0.15mg/mlのPS20、
約0.01〜約0.1mg/mlのEDTA二ナトリウム
を含むまたはそれからなる液体組成物を提供し、前記組成物は、約pH5.5と約pH6.0、6.2、6.5もしくは6.8のうちの任意のものとの間の範囲、または約pH5.8と約pH6.0、6.2、6.5もしくは6.8のうちの任意のものとの間の範囲から選択されるpHである。
【0089】
好ましい実施形態によれば、液体組成物は、
約2.5mg/ml、5mg/ml、10mg/ml、20mg/ml、22mg/mlまたは約50mg/mlのうちの任意のものの少なくとも1つの抗体、
約10mMのヒスチジン緩衝液、
約84mg/mlのトレハロース二水和物、
約0.1mg/mlのPS20、
約0.05mg/mlのEDTA二ナトリウム
を含むまたはそれからなり、前記組成物は、約pH5.5と約pH6.0、6.2、6.5もしくは6.8のうちの任意のものとの間の範囲、または約pH5.8と約pH6.0、6.2、6.5もしくは6.8のうちの任意のものとの間の範囲から選択されるpHであり、好ましくはpH5.8〜6.5であり、前記抗体は、配列番号1の可変重鎖配列および配列番号2の可変軽鎖配列を含む。
【0090】
好ましい実施形態によれば、液体組成物は、
約2.5mg/ml、5mg/ml、10mg/ml、20mg/ml、22mg/mlまたは約50mg/mlのうちの任意のものの少なくとも1つの抗体、
約10mMのヒスチジン緩衝液、
約84mg/mlのトレハロース二水和物、
約0.1mg/mlのPS20、
約0.05mg/mlのEDTA二ナトリウム
を含むまたはそれからなり、前記組成物はpH6.0±0.2であり、前記抗体は配列番号1の可変重鎖配列および配列番号2の可変軽鎖配列を含む。好ましい実施形態では、使用する用量体積は1mlである。
【0091】
一態様では、凍結乾燥しておらず、凍結乾燥に供していない液体組成物を提供する。
【0092】
本発明のさらなる態様によれば、複数の凍結解凍サイクル後に抗体の凝集に対して耐性を有する、本発明の液体組成物を提供する。
【0093】
好ましくは、抗体は、組成物の凍結および解凍の少なくとも1つのサイクル中に凝集に対して耐性を有し、さらに好ましくは、抗体は、複数の凍結解凍サイクル中、好ましくは少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15回の凍結解凍サイクル中に、凝集に対して耐性を有する。最も好ましくは、抗体は、液体組成物の少なくとも15回の凍結および解凍サイクル、さらに好ましくは、4または15回のサイクル中に、凝集に対して耐性を有する。
【0094】
さらに好ましくは、抗体は、凍結解凍前の同じ組成物、または同一もしくはほぼ同一の組成の等価試料と比較して、液体組成物の複数の凍結解凍サイクル後に約10%未満の凝集の増加を実証し、より好ましくは、凍結解凍前の同じ組成物、または同一もしくはほぼ同一の組成の等価試料と比較して、液体組成物の複数の凍結解凍サイクル後に約9未満、8、7、6、5、4、3、2、1、0.5または0%の凝集の増加を実証する。
【0095】
本発明のさらなる態様によれば、少なくとも約26または52週間の期間、約5、25または40℃のうちの任意の温度で保管することができ、組成物の抗体の凝集が約35%未満、さらに好ましくは約10%未満増加する、本発明の液体組成物を提供する。好ましくは、抗体の濃度は約10mg/mlまたは約50mg/mlのどちらかである。
【0096】
好ましくは、保管期間前の同じ組成物、または同一もしくはほぼ同一の組成の等価試料と比較して、約2、4、8、9、13、26または52週間のうちの任意の期間、約5、25または40℃のうちの任意の温度で保管した場合に、液体配合物の抗体の凝集が約35%未満、さらに好ましくは約10%未満増加する。好ましくは、抗体の濃度は約10mg/mlまたは約50mg/mlのどちらかである。
【0097】
さらに好ましくは、液体組成物の抗体は、保管期間前の同じ組成物、または同一もしくはほぼ同一の組成の等価試料と比較して、2、4、8、9、13、26または52週間、約5、25または40℃のうちの任意の温度での保管期間後に、約35%未満、さらに好ましくは約10%未満の凝集の増加、さらに好ましくは、約34%、33%、32%、31%、30%、29%、28%、27%、26%、25%、24%、23%、22%、21%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%のうちの任意のもの未満、より好ましくは約8未満、7、6、5、4、3、2、1、もしくは0.5%または約0%に等しい凝集の増加を実証し、最も好ましくは、40℃で52週間後に約20%未満、または40℃で26週間後に約10%未満を実証する。好ましくは、抗体の濃度は約10mg/mlまたは約50mg/mlのどちらかである。
【0098】
本発明のさらなる態様によれば、少なくとも約26または52週間の期間、約5、25または40℃のうちの任意の温度で保管することができ、保管期間前の同じ組成物、または同一もしくはほぼ同一の組成の等価試料と比較して、組成物の抗体の酸化が約35%未満、さらに好ましくは約10%未満増加する、本発明の液体組成物を提供する。好ましくは、抗体の濃度は約10mg/mlまたは約50mg/mlのどちらかである。
【0099】
好ましくは、液体組成物の抗体は、保管期間前の同じ組成物、または同一もしくはほぼ同一の組成の等価試料と比較して、約2、4、8、9、13、26または52週間のうちの任意の間、約5、25または40℃のうちの任意の温度での保管期間の後、約35%未満、さらに好ましくは約10%未満の酸化の増加、さらに好ましくは、約34%、33%、32%、31%、30%、29%、28%、27%、26%、25%、24%、23%、22%、21%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%のうちの任意のもの未満、より好ましくは約8未満、7、6、5、4、3、2、1もしくは0.5%、または約0%に等しい酸化の増加を実証し、最も好ましくは、52週間後に約30%未満もしくは約31%未満、または40℃で26週間後に約11%未満もしくは10%を実証する。好ましくは、抗体の濃度は約10mg/mlまたは約50mg/mlのどちらかである。
【0100】
本発明のさらなる態様によれば、少なくとも約26または52週間の期間、約5、25または40℃のうちの任意の温度で保管することができ、組成物の抗体の活性が30%未満減少する、本発明の液体組成物を提供する。
【0101】
好ましくは、保管期間前の同じ組成物、または同一もしくはほぼ同一の組成の等価試料と比較して、少なくとも約2、4、8、13、または26週間のうちの任意の期間、約5、25または40℃のうちの任意の温度で保管した場合に、液体配合物の抗体の活性が約30%未満減少し、さらに好ましくは約25%未満、さらに好ましくは20%、より好ましくは、配合物の抗体の活性約19未満、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.5または0%減少する。好ましくは、抗体の濃度は約10mg/mlまたは約50mg/mlのどちらかである。
【0102】
本発明のさらなる態様によれば、少なくとも約26週間の期間、約5、25または40℃のうちの任意の温度で保管することができ、保管期間前の同じ組成物、または同一もしくはほぼ同一の組成の等価試料と比較して、組成物の抗体の断片化が約15%未満増加し、好ましくは抗体の濃度が約10mg/mlまたは約50mg/mlのどちらかである、本発明の液体組成物を提供する。好ましくは、液体組成物の抗体は、保管期間前の同じ組成物、または同一もしくはほぼ同一の組成の等価試料と比較して、約2、4、8、9、13または26週間のうちの任意の間、約5、25または40℃のうちの任意の温度での保管期間後に、約15%未満、さらに好ましくはさらに好ましくは、約14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%もしくは0.5%のうちの任意のもの未満、または約0%に等しい断片化の増加を実証し、最も好ましくは、約40℃で約26週間の後に約14%未満を実証する。好ましくは、抗体の濃度は約10mg/mlまたは約50mg/mlのどちらかである。
【0103】
本発明のさらなる態様によれば、少なくとも約52週間の期間、2〜8℃の温度、好ましくは5℃で保管することができ、組成物の抗体の活性が20%未満減少する、本発明の液体組成物を提供する。好ましくは、抗体の濃度は、約2.5、5、10、20または50mg/mlのうちの任意のものである。
【0104】
好ましくは、保管期間前の同じ組成物、同一またはほぼ同一の組成の等価試料と比較して、少なくとも約2、4、8、13、26または52週間のうちの任意の期間、さらに好ましくは、少なくとも約2、3、6、9、12、18または24カ月のうちの任意の期間、約2〜8℃の温度、好ましくは5℃で保管した場合に、液体配合物の抗体の活性が約15%未満、さらに好ましくは約10%未満減少する。好ましくは、抗体の濃度は、約2.5、5、10、20または50mg/mlのうちの任意のものである。
【0105】
さらに好ましくは、液体組成物の抗体は、保管期間前の同じ組成物、または同一もしくはほぼ同一の組成の等価試料と比較して、保管期間後に、約15%未満の凝集の増加、さらに好ましくは、約10%未満、より好ましくは約9未満、8、7、6、5、4、3、2、1、0.5または0%の活性の減少を実証する。
【0106】
本発明のさらなる態様によれば、少なくとも約52週間または少なくとも24カ月の期間、2〜8℃の温度、好ましくは5℃で保管することができ、組成物の抗体の凝集20%未満増加する、本発明の液体組成物を提供する。好ましくは、抗体の濃度は、約2.5、5、10、20または50mg/mlのうちの任意のものである。
【0107】
好ましくは、保管期間前の同じ組成物、同一またはほぼ同一の組成の等価試料と比較して、少なくとも約2、4、8、13、26または52週間のうちの任意の期間、さらに好ましくは、少なくとも約2、3、6、9、12、18または24カ月のうちの任意の期間、約2〜8℃の温度、好ましくは5℃で保管した場合に、液体配合物の抗体の凝集が約15%未満、さらに好ましくは、約14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.5%のうちの任意のもの未満または0%に等しく増加する。好ましくは、抗体の濃度は、約2.5、5、10、20または50mg/mlのうちの任意のものである。
【0108】
本発明のさらなる態様によれば、少なくとも約52週間または少なくとも24カ月の期間、2〜8℃の温度、好ましくは5℃で保管することができ、組成物の抗体の酸化が20%未満増加する、本発明の液体組成物を提供する。好ましくは、抗体の濃度は、約2.5、5、10、20または50mg/mlのうちの任意のものである。
【0109】
好ましくは、保管期間前の同じ組成物、同一またはほぼ同一の組成の等価試料と比較して、少なくとも約2、4、8、13、26または52週間のうちの任意の期間、さらに好ましくは、少なくとも約2、3、6、9、12、18または24カ月のうちの任意の期間、約2〜8℃の温度、好ましくは5℃で保管した場合に、液体配合物の抗体の酸化が約15%未満、さらに好ましくは、約14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.5%のうちの任意のもの未満または0%に等しく増加する。好ましくは、抗体の濃度は、約2.5、5、10、20または50mg/mlのうちの任意のものである。
【0110】
本発明のさらなる態様によれば、少なくとも約52週間または少なくとも24カ月の期間、2〜8℃の温度、好ましくは5℃で保管することができ、組成物の抗体の断片化が20%未満増加する、本発明の液体組成物を提供する。好ましくは、抗体の濃度は、約2.5、5、10、20または50mg/mlのうちの任意のものである。
【0111】
好ましくは、保管期間前の同じ組成物、同一またはほぼ同一の組成の等価試料と比較して、少なくとも約2、4、8、13、26または52週間のうちの任意の期間、さらに好ましくは、少なくとも約2、3、6、9、12、18または24カ月のうちの任意の期間、約2〜8℃の温度、好ましくは5℃で保管した場合に、液体配合物の抗体の断片化が約15%未満、さらに好ましくは、約14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.5%のうちの任意のもの未満または0%に等しく増加する。好ましくは、抗体の濃度は、約2.5、5、10、20または50mg/mlのうちの任意のものである。
【0112】
本発明のさらなる好ましい態様によれば、哺乳動物において疼痛を処置する医薬品を製造するための、任意の前述の態様または実施形態による液体組成物を提供する。
【0113】
好ましくは、疼痛は、急性疼痛、慢性疼痛、神経因性、炎症性、侵害受容性、混合病因疼痛、痛覚異常過敏、アロディニア、内臓痛、体性痛および背痛のうちの1つまたは複数から選択される。
【0114】
本発明のさらなる実施形態によれば、疼痛および/または間質性膀胱炎に関連する下部尿路症状(LUT)および/または有痛性膀胱症候群および/または膀胱痛症候群を処置する医薬品を製造するための、任意の前述の態様または実施形態による液体組成物を提供する。
【0115】
本発明のさらなる実施形態によれば、疼痛および/または慢性前立腺炎および/または慢性骨盤痛症候群を処置する医薬品を製造するための、任意の前述の態様または実施形態による液体組成物を提供する。別の態様によれば、疼痛ならびに/または子宮内膜症およびもしくは子宮筋腫に関連する他の症状を処置する医薬品を製造するための、任意の前述の態様または実施形態による液体組成物を提供する。
【0116】
好ましくは、哺乳動物は、げっ歯類(マウス、ラットおよびウサギなど、ペット(ネコ、イヌおよびウマなど)、家畜(ウシ、ヒツジ、ブタおよびヤギなど)、スポーツ動物および/またはペット(ネコ、イヌおよびウマ)、霊長類、より好ましくヒトから選択される。
【0117】
好ましい実施形態によれば、液体組成物は、血流内、筋肉内、組織内、脂肪内、または内蔵内に直接投与することができる。非経口投与に適した手段には、静脈内、動脈内、腹腔内、くも膜下腔内、脳室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内、骨内、皮内および皮下が含まれる。非経口投与に適した装置には、針(微小針、微小突起、可溶性針および他の微小孔形成技術が含まれる)注射器、無針注射器およびインフュージョン技術が含まれる。
【0118】
一部の実施形態では、医薬品の投与パターンは、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、6週間に1回、7週間に1回、8週間に1回、9週間に1回、10週間に1回、15週間に1回、20週間に1回、25週間に1回、または26週間に1回の、医薬品の用量の投与を含む。一部の実施形態では、抗NGF拮抗抗体は、1カ月に1回、2カ月に1回、3カ月に1回、4カ月に1回、5カ月に1回、または6カ月に1回投与する。最も好ましくは、医薬品の投与パターンは、8週間に1回の医薬品の用量の投与を含む。
【0119】
一部の実施形態では、用量の体積は、約20ml、約15ml、約10ml、約5ml、約2.5ml、約1.5ml、約1.0ml、約0.75ml、約0.5ml、約0.25mlまたは約0.01ml以下である。
【0120】
一部の実施形態では、用量の体積は、約20ml、約19ml、約18ml、約17ml、約16ml、約15ml、約14ml、約13ml、約12ml、約11ml、約10ml、約9ml、約8ml、約7ml、約6ml、約5ml、約4ml、約3ml、約2mlまたは約1mlである。あるいは、約20.5ml、約19.5ml、約18.5ml、約17.5ml、約16.5ml、約15.5ml、約14.5ml、約13.5ml、約12.5ml、約11.5ml、約10.5ml、約9.5ml、約8.5ml、約7.5ml、約6.5ml、約5.5ml、約4.5ml、約3.5ml、約2.5ml、約1.5ml、または約0.5である。あるいは、約900マイクロリットル、約800マイクロリットル、約700マイクロリットル、約600マイクロリットル、約500マイクロリットル、約400マイクロリットル、約300マイクロリットル、約200マイクロリットル、または約100マイクロリットル、あるいは、約950マイクロリットル、約850マイクロリットル、約750マイクロリットル、約650マイクロリットル、約550マイクロリットル、約450マイクロリットル、約350マイクロリットル、約250マイクロリットル、約150マイクロリットル、または約50マイクロリットルである。最も好ましくは、用量の体積は約2.5ml以下である。
【0121】
好ましい実施形態によれば、抗体の濃度は、約0.1〜約200mg/mlの範囲であることができる。好ましくは、抗体の濃度は、約0.5mg/ml、約1mg/ml、約2mg/ml、約2.5mg/ml、約3mg/ml、約3.5mg/ml、約4mg/ml、約4.5mg/ml、約5mg/ml、約5.5mg/ml、約6mg/ml、約6.5mg/ml、約7mg/ml、約7.5mg/ml、約8mg/ml、約8.5mg/ml、約9mg/ml、約9.5mg/ml、約10mg/ml、約11mg/ml、約12mg/ml、約13mg/ml、約14mg/ml、約15mg/ml、約16mg/ml、約17mg/ml、約18mg/ml、約19mg/ml、約20mg/ml、約21mg/ml、約22mg/ml、約23mg/ml、約24mg/ml、約25mg/ml、約26mg/ml、約27mg/ml、約28mg/ml、約29mg/ml、約30mg/ml、約31mg/ml、約32mg/ml、約33mg/ml、約34mg/ml、約35mg/ml、約36mg/ml、約37mg/ml、約38mg/ml、約39mg/ml、約40mg/ml、約41mg/ml、約42mg/ml、約43mg/ml、約44mg/ml、約45mg/ml、約46mg/ml、約47mg/ml、約48mg/ml、約49mg/ml、約50mg/ml、約51mg/ml、約52mg/ml、約53mg/ml、約54mg/ml、約55mg/ml、約56mg/ml、約57mg/ml、約58mg/ml、約59mg/ml、約60mg/ml、約70mg/ml、約80mg/ml、約90mg/ml、約100mg/mlまたは約110mg/mlである。最も好ましくは、抗体の濃度は50mg/ml以下であり、約2mg/ml、約2.5mg/ml、約5mg/ml、約10mg/ml、約19mg/ml、約20mg/ml、約22mg.mlおよび約50mg/mlを含む群から選択され得る。
【0122】
好ましい実施形態によれば、用量は、約0.5mg、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、約10mg、約11mg、約12mg、約13mg、約14mg、約15mg、約16mg、約17mg、約18mg、約19mg、約20mg、約21mg、約22mg、約23mg、約24mg、約25mg、約26mg、約27mg、約28mg、約29mg、約30mg、約31mg、約32mg、約33mg、約34mg、約35mg、約36mg、約37mg、約38mg、約39mg、約40mg、約41mg、約42mg、約43mg、約44mg、約45mg、約46mg、約47mg、約48mg、約49mg、約50mg、約51mg、約52mg、約53mg、約54mg、約55mg、約56mg、約57mg、約58mg、約59mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、または約110mg以下の抗体を含有する。最も好ましくは、用量は、約50mg以下の抗体を含有する。
【0123】
好ましい実施形態によれば、用量は、約1μg/kg、約10μg/kg、約20μg/kg、約25μg/kg、約50μg/kg、約100μg/kg、約200μg/kg、約250μg/kg、約500μg/kg、約1mg/kg、約2mg/kg、約3mg/kg、約4mg/kg、約5mg/kg、約6mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、約10mg/kg、または約11mg/kg(用量を投与する哺乳動物の質量あたり)の抗体の量を含有する。最も好ましくは、用量は、約20μg/kg、約25μg/kg、約50μg/kg、約100μg/kg、約200μg/kg、約250μg/kg、1mg/kgまたは約2mg/kgを含有する。
【0124】
投薬レジメンは、従事者が達成したいと望む薬物動態学的な崩壊のパターンに依存し得る。たとえば、一部の実施形態では、1週間に1〜4回の投薬が企図される。より低い頻度の投薬を使用し得る。一部の実施形態では、用量は、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、6週間に1回、7週間に1回、8週間に1回、9週間に1回、10週間に1回、15週間に1回、20週間に1回、25週間に1回、またはより長い間隔で投与する。一部の実施形態では、用量は、1カ月に1回、2カ月に1回、3カ月に1回、4カ月に1回、5カ月に1回、6カ月に1回、またはより長い間隔で投与する。最も好ましくは、用量は8週間に1回投与する。この治療の進行は、慣用技術およびアッセイによって容易に監視される。投薬レジメンは経時的に変動する場合がある。
【0125】
本発明の目的のために、医薬品の適切な用量は、用いる抗体、処置する疼痛の種類および重篤度、薬剤を予防的または治療的目的のどちらで投与するのか、以前の治療、患者の病歴および薬剤に対する応答、ならびに担当医の判断に依存する。典型的には、所望の結果をもたらす用量に達するまで、臨床家が医薬品を投与する。用量は経験的に決定する、たとえば、医薬品の有効性を評価するために個体に漸増的な用量を与え、疼痛の数値化スケール(NRS)の変化などの疼痛の指標を追跡し得る。
【0126】
用量および/または頻度は処置の経過と共に変動する場合がある。一般に、抗体半減期などの経験的考慮が用量の決定に寄与する。投与の頻度は治療の経過と共に決定および調整してよく、必ずしもではないが、一般に、疼痛の処置および/または抑制および/または寛解および/または遅延に基づく。一部の個体では、複数の用量が必要であり得る。投与の頻度は、治療の経過と共に決定および調整し得る。数日間以上にわたる繰り返し投与には、疼痛およびその重篤度次第では、所望の症状の抑制が起こるまで、または疼痛を低下させるために十分な治療的レベルに達するまで、処置を持続させる。
【0127】
液体組成物を含む医薬品の投与は、たとえば、レシピエントの生理的条件、投与の目的が治療的であるか予防的であるか、および当業者に知られている他の要因に応じて、連続的または断続的であることができる。液体組成物を含む医薬品の投与は、たとえば疼痛が発生する前、その間、またはその後の、事前に選択された期間にわたって本質的に連続的であってよく、または一連の間隔の用量であってよい。
【0128】
好ましくは、用量の投与は非経口投与であり、好ましくは、静脈内、動脈内、腹腔内、くも膜下腔内、脳室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内、骨内、皮内および皮下から選択される。好ましくは、医薬品は、非経口投与用の単位用量の無菌的な液剤形態である。
【0129】
処置の有効性は、鎮痛を監視することによって評価することができる。鎮痛は緩和の経時変化によって特徴づけ得る。したがって、一部の実施形態では、緩和は投与後の約24時間以内に観察する。他の実施形態では、緩和は投与後の約36、48、60、72時間または4日以内に観察する。一部の実施形態では、疼痛の頻度および/もしくは強度が減少する、および/または疼痛を患っている者の生活の質が増加する。一部の実施形態では、鎮痛は、医薬品の単一用量の後に、少なくとも約7日間、少なくとも約14日間、少なくとも約21日間、少なくとも約28日間、少なくとも約35日間、少なくとも約42日間、少なくとも約49日間、少なくとも約56日間、少なくとも約63日間、少なくとも約70日間、少なくとも約77日間、少なくとも約84日間、少なくとも約180日間、またはそれより長い期間の間提供される。
【0130】
組合せ
任意の態様または実施形態による液体組成物は、特に哺乳動物における疼痛の処置において、別の薬理学的に活性のある化合物または2つ以上の他の薬理学的に活性のある化合物と有用に組み合わせてもよく、以下から選択される1つまたは複数の薬剤と同時に、連続的に、または別々に組み合わせて投与し得る:
(i)オピオイド鎮痛剤、たとえば、モルヒネ、ヘロイン、ヒドロモルホン、オキシモルホン、レボルファノール、レバロルファン、メサドン、メペリジン、フェンタニル、コカイン、コデイン、ジヒドロコデイン、オキシコドン、ヒドロコドン、プロポキシフェン、ナルメフェン、ナロルフィン、ナロキソン、ナルトレキソン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、ナルブフィンまたはペンタゾシン、
(ii)非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、たとえば、アスピリン、ジクロフェナク、ジフルシナル、エトドラク、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルフェニサル、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラック、メクロフェナム酸、メフェナム酸、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、スリンダク、トルメチンもしくはゾメピラック、または薬学的に許容できるその塩、
(iii)バルビツレート鎮痛剤、たとえば、アモバルビタール、アプロバルビタール、ブタバルビタール、ブタビタール(butabital)、メホバルビタール、メタルビタール、メトヘキシタール、ペントバルビタール、フェノバルチタール(phenobartital)、セコバルビタール、タルブタール、テアミラール(theamylal)もしくはチオペンタールまたは薬学的に許容できるその塩、
(iv)鎮痛作用を有するベンゾジアゼピン、たとえば、クロルジアゼポキシド、クロラゼプ酸、ジアゼパム、フルラゼパム、ロラゼパム、オキサゼパム、テマゼパムもしくはトリアゾラムまたは薬学的に許容できるその塩、
(v)鎮痛作用を有するH拮抗剤、たとえば、ジフェンヒドラミン、ピリラミン、プロメタジン、クロルフェニルアミンもしくはクロルシクリジンまたは薬学的に許容できるその塩、
(vi)鎮痛剤、たとえば、グルテチミド、メプロバメート、メタカロンもしくはジクロラルフェナゾンまたは薬学的に許容できるその塩、
(vii)骨格筋弛緩剤、たとえば、バクロフェン、カリソプロドール、クロルゾキサゾン、シクロベンザプリン、メトカルバモールもしくはオルフレナジンまたは薬学的に許容できるその塩、
(viii)NMDA受容体拮抗剤、たとえば、デキストロメトルファン((+)−3−ヒドロキシ−N−メチルモルフィナン)やその代謝物デキストロルファン((+)−3−ヒドロキシ−N−メチルモルフィナン)、ケタミン、メマンチン、ピロロキノリンキノンもしくはシス−4−(ホスホノメチル)−2−ピペリジンカルボン酸または薬学的に許容できるその塩、
(ix)α−アドレナリン作用剤、たとえば、ドキサゾシン、タムスロシン、クロニジンまたは4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−(5−メタンスルホンアミド−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノール−2−イル)−5−(2−ピリジル)キナゾリン、
(x)三環系抗鬱剤、たとえば、デシプラミン、イミプラミン、アミトリプチリンまたはノルトリプチリン、
(xi)抗痙攣剤、たとえば、カルバマゼピンまたはバルプロエート、
(xii)タキキニン(NK)拮抗剤、特にNK−3、NK−2またはNK−1拮抗剤、たとえば、(αR,9R)−7−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−8,9,10,11−テトラヒドロ−9−メチル−5−(4−メチルフェニル)−7H−[1,4]ジアゾシノ[2,1−g][1,7]ナフトリジン−6−13−ジオン(TAK−637)、5−[[(2R,3S)−2−[(1R)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ−3−(4−フルオロフェニル)−4−モルホリニル]メチル]−1,2−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン(MK−869)、ラネピタント、ダピタントまたは3−[[2−メトキシ−5−(トリフルオロメトキシ)フェニル]メチルアミノ]−2−フェニル−ピペリジン(2S,3S)、
(xiii)ムスカリン性拮抗剤、たとえば、オキシブチン、トルテロジン、プロピベリン、塩化トロプシウム(tropsium)またはダリフェナシン、
(xiv)COX−2阻害剤、たとえば、セレコキシブ、ロフェコキシブまたはバルデコキシブ、
(xv)非選択的COX阻害剤(好ましくはGI保護を有するもの)、たとえばニトロフルルビプロフェン(HCT−1026)、
(xvi)コールタール鎮痛剤、特にパラセタモール、
(xvii)神経遮断剤、たとえばドロペリドール、
(xviii)バニロイド受容体作用剤(たとえばレシンフェラトキシン(resinferatoxin))または拮抗剤(たとえばカプサゼピン)、
(xix)β−アドレナリン作用剤、たとえばプロプラノロール、
(xx)局所麻酔剤、たとえばメキシレチン、
(xxi)コルチコステロイド、たとえばデキサメタゾン、
(xxii)セロトニン受容体作用剤または拮抗剤、
(xxiii)コリン作動性(ニコチン性)鎮痛剤、
(xxiv)Tramadol(商標)、
(xxv)PDEV阻害剤、たとえば、シルデナフィル、バルデナフィルまたはタラダフィル(taladafil)、
(xxvi)α−2−デルタリガンド、たとえば、ガバペンチンまたはプレガバリン、および
(xxvii)カナビノイド。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】40℃での50mg/mLの抗NGF抗体:等張剤のスクリーニング研究からの%凝集(SECによる)データの要約を示す図である。
【図2】40℃での50mg/mLの抗NGF抗体:等張剤のスクリーニング研究からの%断片(還元CGEによる)データの要約を示す図である。
【図3】15回の凍結解凍サイクルに供した22mg/mLの抗NGF抗体からの%凝集(SECによる)データの要約を示す図である。
【図4】ヒスチジン緩衝液、pH6.0中のトレハロース、EDTA、ポリソルベート20を含有する抗NGF抗体E3配合物の、2.5、5、10、20および50mg/mLにおける長期安定性研究の、5℃での%凝集データ(SECによる)を示す図である。
【図5】ヒスチジン緩衝液、pH6.0中のトレハロース、EDTA、ポリソルベート20を含有する抗NGF抗体E3配合物の、2.5、5、10、20および50mg/mLにおける長期安定性研究の、5℃での%断片化データ(還元CGEによる)を示す図である。
【図6】ヒスチジン緩衝液、pH6.0中のトレハロース、EDTA、ポリソルベート20を含有する抗NGF抗体E3配合物の、2.5、5、10、20および50mg/mLにおける長期安定性研究の、5℃での%酸化データを示す図である
【発明を実施するための形態】
【0132】
定義
本明細書中で使用する、抗体に関連する用語「配合物」または「組成物」とは、少なくとも1つの等張剤、少なくとも1つの緩衝液、少なくとも1つのキレート化剤、少なくとも1つの界面活性剤を含む薬学的に許容できる賦形剤と組み合わせた抗体を説明することを意味し、pHは定義したとおりである。
【0133】
用語「医薬組成物」とは、活性成分の生物活性が有効であることを可能にする形態にある調製物をいう。
【0134】
「薬学的に許容できる賦形剤」(ビヒクル、添加剤)とは、対象に安全に投与して、用いる活性成分を有効用量で提供することを可能にするものである。本明細書中で使用する用語「賦形剤」または「担体」とは、一般的に薬物の希釈剤、ビヒクル、保存料、結合剤または安定化剤として使用される不活性物質をいう。本明細書中で使用する用語「希釈剤」とは、薬学的に許容できる(ヒトへの投与に安全かつ無毒性)溶媒をいい、本明細書中の液体配合物の調整に有用である。例示的な希釈剤には、それだけには限定されないが、滅菌水および静菌注射用水(BWFI)が含まれる。
【0135】
本明細書中で使用する用語「抗体」とは、特異的結合についてインタクトな抗体と競合する、インタクトな抗体または抗原結合部分をいう。一般に、Fundamental Immunology、第7章(Paul,W.編、第2版、Raven Press、N.Y.、(1989)を参照されたい。抗原結合部分は、組換えDNA技術またはインタクトな抗体の酵素的もしくは化学的切断によって産生し得る。一部の実施形態では、抗原結合部分には、Fab、Fab’、F(ab’)、Fd、Fv、dAb、および相補性決定領域(CDR)断片、単鎖抗体(scFv)、キメラ抗体、二重特異性抗体ならびにポリペプチドに特異的抗原結合を与えるために十分な抗体の少なくとも一部分を含有するポリペプチドが含まれる。N末端からC末端に、成熟軽鎖および重鎖可変ドメインはどちらもFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3およびFR4の領域を含む。それぞれのドメインへのアミノ酸の割当ては、Kabat、Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institutes of Health、Bethesda,Md.、(1987および1991))、ChothiaおよびLesk、J.Mol.Biol.、196:901〜917(1987)、またはChothiaら、Nature、342:878〜883(1989)の定義に従う。本明細書中で使用する用語「ポリペプチド」には、ネイティブまたは人工タンパク質、タンパク質断片およびタンパク質配列のポリペプチド類似体が包含される。ポリペプチドは単量体または多量体であり得る。
【0136】
本明細書中で使用するFd断片とは、VおよびCH1ドメインからなる抗体断片を意味し、Fv断片は抗体の単一アームのVおよびVHドメインからなり、dAb断片(Wardら、Nature、341:544〜546(1989))は1つのVドメインからなる。
【0137】
用語「抗体」と共に使用する用語「またはその抗原結合部分」とは、アミノ末端および/またはカルボキシ末端の欠失を有するが、残りのアミノ酸配列が天然に存在する配列中の対応する位置と同一であるポリペプチドをいう。一部の実施形態では、断片の長さは少なくとも5、6、8または10個のアミノ酸である。他の実施形態では、断片の長さは少なくとも14、少なくとも20、少なくとも50、または少なくとも70、80、90、100、150もしくは200個のアミノ酸である。
【0138】
本明細書中で使用する用語「モノクローナル抗体」とは、均一な抗体集団をいい、モノクローナル抗体は、抗原の選択的結合に関与するアミノ酸(天然に存在するものおよび天然に存在しないもの)からなる。モノクローナル抗体の集団は特異性が高く、単一の抗原部位に向けられている。用語「モノクローナル抗体」には、インタクトなモノクローナル抗体および完全長のモノクローナル抗体だけでなく、その断片(Fab、Fab’、F(ab’)、Fvなど)、単鎖(ScFv)、その突然変異体、抗体部分を含む融合タンパク質、ならびに所要の特異性の抗原認識部位および抗原と結合する能力を含む免疫グロブリン分子の任意の他の改変された立体配置も包含される。抗体の供給源またはそれを作製する様式(たとえば、ハイブリドーマ、ファージ選択、組換え発現、トランスジェニック動物によってなど)に関して限定されることを意図しない。
【0139】
単鎖抗体(scFc)とは、VLおよびVH領域が対合して、それらが単一のタンパク質鎖として作製されることを可能にする合成リンカーを介して一価分子を形成する抗体である(Birdら、Science、242:423〜426(1988)およびHustonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、85:5879〜5883(1988))。
【0140】
二重特異性抗体とは二価の二重特異性抗体であり、VHおよびVLドメインは単一のポリペプチド鎖上で発現されるが、同じ鎖上の2つのドメイン間の対合を許容するには短すぎるリンカーを用いることによって、別の鎖の相補的ドメインと対合することを強制して2つの抗原結合部位が生じる。
【0141】
「キメラ抗体」とは、重鎖および軽鎖のアミノ酸配列のそれぞれの一部分が、特定の種に由来するまたは特定のクラスに属する抗体中の対応する配列に相同的である一方で、鎖の残りのセグメントが別の抗体中の対応する配列と相同的である抗体をいう。典型的には、これらのキメラ抗体では、軽鎖および重鎖の可変領域はどちらも哺乳動物の1つの種に由来する抗体の可変領域を模倣する一方で、定常部分は別の種に由来する抗体中の配列に相同的である。そのようなキメラ体の1つの明らかな利点は、たとえば、可変領域を容易に入手可能な非ヒト宿主生物からのハイブリドーマまたはB細胞を用いて現在知られている供給源から好都合に誘導し、たとえばヒト細胞調製物に由来する定常領域と組み合わせることができることである。可変領域は調製が容易であるという利点を有しており、特異性はその供給源によって影響を受けないが、ヒトである定常領域は、抗体を注射した際にヒト対象において免疫応答を誘発させる可能性が、非ヒト源からの定常領域よりも低い。しかし、この定義はこの具体的な例に限定されない。
【0142】
抗体の「可変領域」とは、単独でまたは組み合わせた、抗体軽鎖の可変領域または抗体重鎖の可変領域をいう。重鎖および軽鎖の可変領域は、それぞれ、超可変領域としても知られる3つの相補性決定領域(CDR)によって接続された4つのフレームワーク領域(FR)からなる。それぞれの鎖中のCDRは、FRによって非常に近位に一緒に保たれ、他方の鎖からのCDRと共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する。CDRを決定する技術は少なくとも2つ存在する:(1)異種間の配列可変性に基づいた手法(すなわち、Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、(第5版、1991、National Institutes of Health、Bethesda MD))、および(2)抗原−抗体の複合体の結晶学的研究に基づいた手法(Chothiaら、(1989)Nature、342:877、Al−lazikaniら、(1997)J.Molec.Biol.、273:927〜948))。本明細書中で使用するCDRとは、いずれかの手法または両方の手法の組合せによって定義されたCDRを指し得る。
【0143】
抗体の「定常領域」とは、単独でまたは組み合わせた、抗体軽鎖の定常領域または抗体重鎖定常領域をいう。
【0144】
本明細書中で使用する用語「E3」、「3E」、および「抗体E3」とは互換性があるように使用され、それぞれ配列番号1および配列番号2(WO2004/058184号の図1Aおよび1B)に示す重鎖および軽鎖可変領域のアミノ酸配列を含む抗体をいう。E3の作製および特徴づけは、その内容の全体が本明細書中に参考として組み込まれているWO2004/058184号の実施例に記載されている。一部の実施形態では、用語「E3」とは、(a)ATCC番号PTA4893号またはATCC番号PTA4894号の受託番号を有するE3軽鎖をコードしているポリヌクレオチド、および(b)ATCC番号PTA4895号の受託番号を有するE3重鎖をコードしているポリヌクレオチドによってコードされている免疫グロブリンをいう。
【0145】
本明細書中で使用する用語「単離した抗体」または「精製した抗体」とは、その起源または派生源のおかげで、以下のうちの1〜4つを有する抗体をいう:(1)そのネイティブ状態でそれに付随する、天然で会合している構成要素と会合していないこと、(2)同じ種からの他のタンパク質を含まないこと、(3)異なる種の細胞によって発現されること、または(4)天然に存在しないこと。
【0146】
抗体は、試料の少なくとも約60〜75%が単一の抗体種を示す場合に「実質的に純粋」、「実質的に均一」、または「実質的に精製した」である。実質的に純粋な抗体は、典型的には、約50%、60%、70%、80%または90%w/wの抗体試料を含み、より通例では約95%、好ましくは99%を超えて純粋であることができる。抗体の純度または均一性は、ポリアクリルアミドゲル電気泳動またはHPLCなどの当分野で周知のいくつかの手段によって試験し得る。
【0147】
本明細書中で使用する用語「ヒト抗体」には、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変および定常領域を有する抗体が含まれることを意図する。このヒト抗体の定義には、少なくとも1つのヒト重鎖ポリペプチドまたは少なくとも1つのヒト軽鎖ポリペプチドを含む抗体が含まれる。本発明のヒト抗体には、たとえばCDR中、特にCDR3中に、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列によってコードされていないアミノ酸残基(たとえば、ランダムまたはin vitro部位特異的突然変異誘発またはin vivo体細胞突然変異によって導入された突然変異)が含まれ得る。しかし、本明細書中で使用する用語「ヒト抗体」には、マウスなどの別の哺乳動物種の生殖系列に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列上に移植された抗体が含まれることを意図しない。
【0148】
本明細書中で使用する「ヒト化」抗体とは、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖、またはその断片(Fv、Fab、Fab’、F(ab’)もしくは抗体の他の抗原結合部分配列など)であり、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小限の配列を含有する、非ヒト(たとえばネズミ)抗体の形態をいう。好ましくは、ヒト化抗体は、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)であり、レシピエントの相補性決定領域(CDR)からの残基が、所望の特異性、親和性、および能力を有するマウス、ラット、またはウサギなどの非ヒト種(ドナー抗体)のCDRからの残基によって置き換えられている。一部の例では、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基によって置き換えられている。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体中にも輸入されたCDRまたはフレームワーク配列中にも見つからないが、抗体の性能をさらに洗練および最適化するために含められた残基を含み得る。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的にすべてを含み、CDR領域のすべてまたは実質的にすべては、非ヒト免疫グロブリンのそれに対応し、FR領域のすべてまたは実質的にすべては、ヒト免疫グロブリンのコンセンサス配列のものである。また、ヒト化抗体は、最適には、免疫グロブリン定常領域またはドメイン(Fc)の少なくとも一部分、典型的にはヒト免疫グロブリンのものも含む。WO99/58572号に記載のように修飾されたFc領域を有する抗体が好ましい。ヒト化抗体の他の形態は、元の抗体に関して変更されている1つまたは複数のCDR(CDR L1、CDR L2、CDR L3、CDR H1、CDR H2、またはCDR H3)を有し、これらは、元の抗体からの1つまたは複数のCDR「に由来する」1つまたは複数のCDRとも呼ばれる。
【0149】
モノクローナル抗体のヒト化には4つの一般的なステップが存在する。これらは、(1)開始抗体の軽鎖および重鎖可変ドメインのヌクレオチドおよび予測されたアミノ酸配列を決定するステップ、(2)ヒト化抗体を設計するステップ、すなわち、ヒト化プロセス中にどの抗体フレームワーク領域を使用するかを決定するステップ、(3)実際のヒト化方法/技術のステップ、ならびに(4)ヒト化抗体を形質移入および発現させるステップである。たとえば、米国特許第4,816,567号、第5,807,715号、第5,866,692号、第6,331,415号、第5,530,101号、第5,693,761号、第5,693,762号、第5,585,089号、および第6,180,370号を参照されたい。
【0150】
非ヒト免疫グロブリンに由来する抗原−結合部位を含むいくつかの「ヒト化」抗体分子が記載されており、ヒト定常ドメインと融合した、げっ歯類または改変されたげっ歯類のV領域およびその関連する相補性決定領域(CDR)を有するキメラ抗体が含まれる。たとえば、Winterら、Nature、349:293〜299(1991)、Lobuglioら、Proc.Nat.Acad.Sci.USA、86:4220〜4224(1989)、Shawら、J Immunol.、138:4534〜4538(1987)、およびBrownら、Cancer Res.、47:3577〜3583(1987)を参照されたい。他の参考文献は、適切なヒト抗体定常ドメインと融合させる前にヒト支持フレームワーク領域(FR)内に移植したげっ歯類CDRを記載している。たとえば、Riechmannら、Nature、332:323〜327(1988)、Verhoeyenら、Science、239:1534〜1536(1988)、およびJonesら、Nature、321:522〜525(1986)を参照されたい。別の参考文献は、組換えによって張り合わせたげっ歯類フレームワーク領域によって支持されるげっ歯類CDRを記載している。たとえば欧州特許公開第0519596号を参照されたい。これらの「ヒト化」分子は、ヒトレシピエント中のこれらの部分の治療的用途の持続期間および有効性を制限する、げっ歯類抗ヒト抗体分子に対する望まない免疫学的応答を最小限にするように設計されている。たとえば、抗体定常領域は、免疫学的に不活性である(たとえば補体溶解を始動しない)ように操作することができる。PCT公開WO99/58572号、UK特許出願第9809951.8号を参照されたい。やはり利用し得る抗体をヒト化する他の方法は、Daughertyら、Nucl.Acids Res.、19:2471〜2476(1991)ならびに米国特許第6,180,377号、第6,054,297号、第5,997,867号、第5,866,692号、第6,210,671号、および第6,350,861号、また、PCT公開WO01/27160号に開示されている。
【0151】
本明細書中で使用する用語「組換え抗体」には、組換え手段によって調製、発現、作製または単離したすべての抗体、たとえば、宿主細胞内に形質移入した組換え発現ベクターによって発現させた抗体、組換えコンビナトリアルヒト抗体ライブラリから単離した抗体、ヒト免疫グロブリン遺伝子にトランスジェニックな動物(たとえばマウス)から単離したまたは調製した抗体が含まれることを意図し、そのような組換えヒト抗体はin vitro突然変異誘発に供することができる。
【0152】
本明細書中で使用する用語「特異的に結合することができる」、「特異的に結合する」、または「優先的に結合する」とは、抗体が、≦1μM、好ましくは≦1nM、最も好ましくは≦10pMの解離定数で抗原と結合することをいう。抗体またはポリペプチドと「特異的に結合する」または「優先的に結合する」エピトープ(本明細書中で互換性があるように使用する)とは、当分野で十分に理解されている用語であり、そのような特異的または優先的な結合を決定する方法も当分野で周知である。分子は、別の細胞または物質と比較して、特定の細胞の物質とより頻繁に、より迅速に、より長く持続しておよび/またはより高い親和性で反応または会合する場合に、「特異的結合」または「優先的結合」を示すとされる。抗体は、他の物質と比較して、より高い親和性、結合力、より容易に、および/またはより長く持続して結合する場合に、標的と「特異的に結合する」または「優先的に結合する」。たとえば、NGFエピトープと特異的または優先的に結合する抗体とは、他のNGFエピトープまたは非NGFエピトープとの結合と比較して、より高い親和性、結合力、より容易に、および/またはより長く持続してこのエピトープと結合する抗体である。また、この定義を読むことによって、たとえば、第1の標的と特異的または優先的に結合する抗体(または部分もしくはエピトープ)は、第2の標的と特異的または優先的に結合してもしなくてもよいことも理解されよう。したがって、「特異的結合」または「優先的結合」には、必ずしも排他的な結合を必要としない(ただし、含まれることができる)。
【0153】
本明細書中で使用する、抗体の「免疫特異的」結合とは、抗体の抗原結合部位とその抗体によって認識される特異的抗原との間で起こる、抗原特異的な結合の相互作用をいう(すなわち、ELISAまたは他の免疫アッセイにおいて、抗体はタンパク質と反応し、非関連のタンパク質とは検出可能に反応しない)。
【0154】
抗体に関連して本明細書中で使用する用語「競合する」とは、第1の抗体とその同族エピトープとの結合の結果が、第2の抗体の非存在下における第1の抗体の結合と比較して、第2の抗体の存在下において検出可能に減少するように、第1の抗体またはその抗原結合部分が、第2の抗体またはその抗原結合部分との結合に十分に類似した様式でエピトープと結合することを意味する。代替として、第2の抗体とそのエピトープとの結合も第1の抗体の存在下で検出可能に減少する場合もあるが、そうでなくてもよい。言い換えると、第2の抗体が第1の抗体とその対応するエピトープとの結合を阻害することなしに、第1の抗体は第2の抗体とそのエピトープとの結合を阻害することができる。しかし、それぞれの抗体が他の抗体とその同族エピトープまたはリガンドとの結合を検出可能に阻害する場合、同程度、より高い程度、またはより低い程度かにかかわらず、抗体は、その対応するエピトープ(複数可)との結合について互いに「交差競合する」とされる。競合および交差競合抗体はどちらも本発明によって包含される。そのような競合または交差競合が起こる機構にかかわらず(たとえば、立体障害、コンホメーション変化、または共通エピトープもしくはその一部分との結合)、当業者は、本明細書中に提供した教示に基づいて、そのような競合および/または交差競合抗体が包含され、本明細書中に開示した方法に有用な場合があることを理解されよう。
【0155】
本明細書中で使用する用語「神経成長因子」および「NGF」とは、NGFの生物活性の少なくとも一部を保持する神経成長因子およびその変異体をいう。本明細書中で使用するNGFには、ヒト、イヌ科動物、ネコ科動物、ウマ科動物、またはウシ亜科動物を含めたすべての哺乳動物種のネイティブ配列NGFが含まれる。
【0156】
「NGF受容体」とは、NGFによって結合または活性化されるポリペプチドをいう。NGF受容体には、それだけには限定されないが、ヒト、イヌ科動物、ネコ科動物、ウマ科動物、霊長類、またはウシ亜科動物を含めた任意の哺乳動物種のTrkA受容体およびp75受容体が含まれる。
【0157】
本明細書中で使用する「抗NGF抗体」(互換性があるように「抗NGF拮抗抗体」と呼ばれる)とは、NGFと結合して、NGFの生物活性および/またはNGFシグナル伝達によって媒介される下流経路(複数可)を阻害、遮断、拮抗、抑制または低下させることができる抗体をいう。一部の実施形態では、用語「抗NGF拮抗抗体」には、以前に同定したすべての用語、名称、ならびに機能状態および特徴が包含され、NGF自体、NGF生物活性(それだけには限定されないが、手術後疼痛の任意の態様を媒介するその能力が含まれる)、または生物活性の結果が任意の有意義な度合で実質的に無効化、減少、または中和されている。一部の実施形態では、抗NGF拮抗抗体はNGFと結合して、NGFの二量体化ならびに/またはNGF受容体(p75および/もしくはtrkAなど)との結合を防止する。他の実施形態では、抗NGF抗体はNGFと結合して、trkA受容体の二量体化および/またはtrkAの自己リン酸化を防止する。抗NGF拮抗抗体の例を本明細書中に提供する。
【0158】
用語「同一性」とは、2つのアミノ酸配列または2つの核酸配列のパーセント「同一性」をいう。パーセント同一性は、一般に、最適な比較目的のために配列アラインメントし(たとえば、第2の配列との最良のアラインメントのために、第1の配列中にギャップを導入することができる)、対応する位置でのアミノ酸残基またはヌクレオチドを比較することによって決定される。「最良のアラインメント」とは、最高のパーセント同一性をもたらす、2つの配列のアラインメントである。パーセント同一性は、配列内の同一のアミノ酸残基またはヌクレオチドの数を比較することによって決定する(すなわち、%同一性=同じ位置の数/位置の合計数×100)。
【0159】
2つの配列間のパーセント同一性の決定は、当業者に知られている数学アルゴリズムを用いて達成することができる。2つの配列を比較するための数学アルゴリズムの例は、KarlinおよびAltschul(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90:5873〜5877のように改変した、KarlinおよびAltschul(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA、87:2264〜2268のアルゴリズムである。Altschulら、(1990)J.Mol.Biol.、215:403〜410のNBLASTおよびXBLASTプログラムがそのようなアルゴリズムを組み込んでいる。NBLASTプログラムを用いて、スコア=100、ワード長=12でBLASTヌクレオチド検索を行なって、本発明の核酸分子に相同的なヌクレオチド配列を得ることができる。XBLASTプログラムを用いて、スコア=50、ワード長=3でBLASTタンパク質検索を行なって、本発明のタンパク質分子と相同的なアミノ酸配列を得ることができる。比較目的でギャップ付きアラインメントを得るために、Altschulら、(1997)Nucliec Acids Res.、25:3389〜3402に記載のようにギャップ付きBLASTを利用することができる。あるいは、PSI−Blastを用いて、分子間の距離関係を検出する反復検索を行なうことができる(同上)。BLAST、ギャップ付きBLAST、およびPSI−Blastプログラムを利用する場合は、それぞれのプログラム(たとえばXBLASTおよびNBLAST)の初期設定パラメータを使用することができる。http://www.ncbi.nlm.nih.govを参照されたい。配列の比較に利用する数学アルゴリズムの別の例は、MyersおよびMiller、CABIOS(1989)のアルゴリズムである。GCG配列アラインメントソフトウェアパッケージの一部であるALIGNプログラム(バージョン2.0)がそのようなアルゴリズムを組み込んでいる。当分野で知られている配列解析の他のアルゴリズムには、TorellisおよびRobotti(1994)Comput.Appl.Biosci.、10:3〜5に記載のADVANCEおよびADAM、ならびにPearsonおよびLipman(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.、85:2444〜8に記載のFASTAが含まれる。FASTA内で、ktupとは検索の感度および速度を設定する制御オプションである。
【0160】
「治療上有効な量」とは、必要な用量および期間で、抗NGF抗体のコンテキストにおいては標的とした病理状態、たとえば炎症または疼痛の処置または予防が含まれる、所望の治療的結果を達成するために必要な量をいう。用量値は緩和させる状態の重篤度に応じて変動し得ることに注意されたい。さらに、任意の特定の対象において、具体的な投薬レジメンは、個々の必要性および組成物を投与する人または投与を監督する人の専門的判断に従って経時的に調整するべきであり、本明細書中で設定する用量範囲は例示的のみであり、特許請求した組成物の範囲または実施を限定することを意図しないことを理解されたい。同様に、抗体または抗体部分の治療上有効な量は、個体の病状、年齢、性別、および重量、個体において所望の応答を誘発する抗体または抗体部分の能力、ならびに抗体配合物の所望の投与経路などの要因に応じて変動し得る。また、治療上有効な量とは、抗体または抗体部分の任意の毒性または有害な効果よりも治療上有益な効果が勝るものである。
【0161】
本明細書中で使用する用語「処置」とは、治療処置および予防的(prophylacticまたはpreventative)手段をどちらもいい、その目的は、標的とした病理状態、たとえば疼痛を予防または遅延させる(軽減させる)ことである。処置を必要とする者には、既に状態を患っている者、状態を患い易い者、または状態を予防すべき者が含まれる。本明細書中で使用する「処置」とは、有益または所望の臨床的結果を得るための手法であり、それだけには限定されないが、疼痛の任意の態様を含めた疼痛に関連する1つまたは複数の症状の軽減、緩和(疼痛の持続期間の短縮、疼痛の感受性または感覚の低下など)のうちの1つまたは複数が含まれる。
【0162】
「有効量」の薬物、化合物、または医薬組成物とは、標的とした病理状態、たとえば疼痛感覚の緩和または低下などの臨床的結果を含めた有益または所望の効果をもたらすために十分な量である。有効量は1つまたは複数の投与で投与することができる。本発明の目的のために、有効量の薬物、化合物、または医薬組成物とは、標的とした病理状態、たとえば炎症または疼痛の強度を処置、寛解、低下させるために十分な量である。一部の実施形態では、「有効量」は安静時の疼痛(安静時疼痛)もしくは機械的に誘導された疼痛(動作後の疼痛が含まれる)、またはその両方を低下させる場合があり、有痛刺激の前、その間またはその後に投与し得る。臨床的なコンテキストで理解されるように、有効量の薬物、化合物、または医薬組成物は、別の薬物、化合物、または医薬組成物と併せてまたは併せずに達成し得る。したがって、「有効量」とは、1つまたは複数の治療剤の投与のコンテキストで考慮してもよく、1つまたは複数の他の薬剤と併せて望ましい結果が達成され得るまたは達成される場合は、単一の薬剤を有効量で与えることを考慮し得る。
【0163】
本明細書中で使用する「疼痛」とは、急性および慢性疼痛を含めた任意の病因学の疼痛、ならびに炎症性構成要素を有する任意の疼痛をいう。本明細書中で使用する「疼痛」には侵害受容および疼痛感覚が含まれ、疼痛は、疼痛スコアおよび当分野で周知の他の方法を用いて客観的および主観的に評価することができる。当分野で周知のように、疼痛は一次または二次疼痛であることができる。
【0164】
処置目的において本明細書中で使用する用語「対象」には、任意の対象、好ましくは標的とした病理状態、たとえば炎症または疼痛の処置を必要としている対象が含まれる。予防目的では、対象は任意の対象、好ましくは標的とした病理状態、たとえば炎症または疼痛を発生する危険性にある、またはその素因を有する対象である。用語「対象」には、生命体、たとえば原核生物および真核生物が含まれることを意図する。対象の例には、哺乳動物、たとえば、ヒト、イヌ、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、マウス、ウサギ、ラット、およびトランスジェニック非ヒト動物が含まれる。本発明の具体的な実施形態では、対象はヒトである。
【0165】
本発明の要素またはその好ましい実施形態(複数可)を紹介する際、冠詞「a」、「an」、「the」および「前記」とは、その要素が1つまたは複数存在することを意味することを意図する。用語「含む(comprising)」、「含むこと(comprise)」、「含むこと(comprises)」、「含めた(including)」および「有する」とは、包括的であることを意図し、記載した要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味する。
【0166】
本明細書中で互換性があるように使用する、本明細書中で使用する用語「ポリヌクレオチド」または「核酸」とは、リボヌクレオチドもしくはデオキシヌクレオチドまたはどちらかの種類のヌクレオチドの修飾された形態である、ヌクレオチドの多量体を意味し、1本鎖および二本鎖の形態であり得る。別段に指定しない限りは、「ポリヌクレオチド」または「核酸」配列にはその補体が包含される。本明細書中で使用する用語「単離したポリヌクレオチド」または「単離した核酸」とは、ゲノム、cDNA、もしくは合成起源のポリヌクレオチドまたはその何らかの組合せを意味し、その起源または派生源のおかげで、単離したポリヌクレオチドは以下のうちの1〜3つを有する:(1)「単離したポリヌクレオチド」と共に天然で見つかるポリヌクレオチドのすべてまたは一部分と会合していないこと、(2)それが天然で連結していないポリヌクレオチドと作動可能に連結していること、または(3)より大きな配列の一部として天然に存在しないこと。
【0167】
本明細書中で使用する用語「キレート化剤」とは、金属イオンと少なくとも1つの結合(たとえば、共有、イオン、または他のもの)を形成することができる賦形剤である。キレート化剤は、典型的には、そうでなければ不安定性を促進し得る種と錯化する安定化剤として液体組成物中で使用することができる多座配位リガンドである。
【0168】
本明細書中で使用する用語「緩衝剤(緩衝液)」とは、典型的にはその酸−塩基の共役構成要素の作用によって、液体抗体配合物がpHの変化に抵抗することを可能にする、添加する組成物である。緩衝液の濃度に言及する場合、示した濃度は、緩衝剤の遊離酸または遊離塩基形態のモル濃度を表すことを意図する。
【0169】
本明細書中で使用する用語「等張剤」または「等張化剤」とは、液体抗体配合物の浸透圧を調整することができる賦形剤をいう。特定の実施形態では、等張剤は、抗体配合物が対象の体組織の細胞と生理的に適合性を有するように、液体抗体配合物の浸透圧を等張に調整することができる。さらに他の実施形態では、「等張剤」は本明細書中に記載の抗体の安定性の向上に寄与し得る。「等張」な配合物とは、ヒト血液と本質的に同じ浸透圧を有するものである。等張な配合物は、一般に約250〜350mOsmの浸透圧を有する。用語「低張」とは、ヒト血液よりも低い浸透圧を有する配合物を記載する。それに対応して、用語「高張」とは、ヒト血液よりも高い浸透圧を有する配合物を説明するために使用する。等張性は、たとえば蒸気圧または氷凍結型の浸透圧計を用いて測定することができる。等張剤は鏡像異性体(たとえばL−もしくはD−鏡像異性体)またはラセミ体、異性体、たとえば、α,α、またはβ,β、またはα,β、またはβ,αを含めた、αまたはβ、遊離酸または遊離塩基の形態、水和形態(たとえば一水和物)、あるいは無水形態であることができる。
【0170】
本明細書中で使用する用語「ポリオール」とは複数のヒドロキシル基を有する賦形剤をいい、糖(還元および非還元糖)、糖アルコールならびに糖酸が含まれる。
【0171】
本明細書中で使用する用語「界面活性剤」とは、液体抗体配合物の表面張力を変更することができる賦形剤をいう。特定の実施形態では、界面活性剤は液体抗体配合物の表面張力を低下させる。さらに他の実施形態では、「界面活性剤」は、配合物中の抗体のうちの任意のものの安定性の向上に寄与し得る。界面活性剤は、配合した抗体の凝集を低下させる、および/または配合物中の粒子の形成を最小限にする、および/または吸着を低下させ得る。また、界面活性剤は、凍結/解凍サイクル中またはその後の抗体の安定性も向上させ得る。
【0172】
本明細書中で使用する用語「サッカライド」とは、多価アルコールの誘導体である分子のクラスをいう。サッカライドは一般的に炭水化物と呼ばれ、様々な量の糖(サッカライド)単位、たとえば、単糖、二糖および多糖を含有し得る。
【0173】
本明細書中で使用する用語「還元糖」とは、金属イオンを還元させる、またはタンパク質中のリシンおよび他のアミノ基と共有的に反応することができるヘミアセタール基を含有する糖であり、「非還元糖」とは、還元糖のこれらの特性を有さない糖である。
【0174】
本明細書中で使用する「薬学的に許容できる担体」には、活性成分と組み合わせた場合に、成分が生物活性を保持することを可能にし、対象の免疫系と非反応性である、任意の材料が含まれる。例には、それだけには限定されないが、標準の医薬担体のうちの任意のもの、たとえば、リン酸緩衝溶液、水、油/水乳濁液などの乳濁液、および様々な種類の湿潤剤が含まれる。エアロゾルまたは非経口投与用の好ましい希釈剤は、リン酸緩衝溶液または通常(0.9%)生理食塩水である。そのような担体を含む組成物は、周知の慣用方法によって配合する(たとえば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版、A.Gennaro編、Mack Publishing Co.、Easton,PA、1990およびRemington、The Science and Practice of Pharmacy、第20版、Mack Publishing、2000を参照)。
【0175】
本明細書中で使用する用語「Koff」とは、抗体が抗体/抗原の複合体から解離する解離速度定数をいうことを意図する。
【0176】
本明細書中で使用する用語「Kd」とは、抗体−抗原の相互作用の解離定数をいうことを意図する。NGFに対する抗体のKdまたは結合親和性を決定する一方法は、抗体の一官能性Fab断片の結合親和性を測定することによる。一官能性Fab断片を得るためには、抗体(たとえばIgG)をパパインで切断するか、組換えによって発現させることができる。抗体の抗NGF Fab断片の親和性は、表面プラズモン共鳴(BIAcore3000(商標)表面プラズモン共鳴(SPR)システム、BIAcore,INC、Piscaway NJ)によって決定することができる。CM5チップは、供給者の指示に従って、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイニド塩酸塩(EDC)およびN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)を用いて活性化することができる。ヒトNGF(または任意の他のNGF)を10mMの酢酸ナトリウム、pH4.0で希釈し、0.005mg/mLの濃度で活性化したチップ上に注入することができる。個々のチップチャネルにわたって可変のフロー時間を用いて、2つの抗原密度範囲を得ることができる:詳細な動力学的研究には100〜200応答単位(RU)およびスクリーニングアッセイには500〜600RU。精製したFab試料段階希釈液(0.1〜10×推定K)を1分間、100マイクロリットル/分で注入し、2時間までの解離時間を許容する。Fabタンパク質の濃度は、標準として既知の濃度のFab(アミノ酸分析によって決定)を用いたELISAおよび/またはSDS−PAGE電気泳動によって決定する。動力学的会合速度(kon)および解離速度(koff)は、BIAevaluationプログラムを用いてデータを1:1のラングミュア結合モデルに当てはめることによって同時に得られる(Karlsson,R.、Roos,H.、Fagerstam,L.、Petersson,B.、(1994).Methods Enzymology、6.、99〜110)。平衡解離定数(K)値はkoff/konとして計算する。このプロトコルは、ヒトNGF、別の脊椎動物(一部の実施形態では哺乳動物)のNGF(マウスNGF、ラットNGF、霊長類NGFなど)を含めた任意のNGFに対する抗体の結合親和性の決定に使用するため、ならびに関連ニューロトロフィンであるNT3、NT4/5、および/またはBDNFなどの他のニューロトロフィンで使用するために適している。
【0177】
本発明で使用する抗NGF拮抗抗体は、当分野で知られている方法を用いて同定または特徴づけることができ、NGF生物活性の低下、寛解、または中和が検出および/または測定される。PCT WO04/065560号に記載の方法を使用することができる。別の方法、たとえば、米国特許第5,766,863号および第5,891,650号に記載のキナーゼ受容体活性化(KIRA)アッセイを用いて、抗NGF剤を同定することができる。
【0178】
また、抗NGF拮抗抗体は、候補剤、たとえば抗体または抗NGF抗体をNGFと共にインキュベーションし、以下の特徴のうちの任意の1つまたは複数を監視することによっても同定することができる:(a)NGFと結合して、NGFの生物活性またはNGFシグナル伝達機能によって媒介される下流経路を阻害すること、(b)NGF受容体の活性化(TrkAの二量体化および/または自己リン酸化が含まれる)を阻害、遮断または減少させること、(c)NGFのクリアランスを増加させること、(d)疼痛を処置または予防すること、(e)NGFの合成、産生または放出を阻害する(低下させる)こと。また、NGFの生物活性を遮断または中和する抗NGF拮抗抗体の能力は、Hongoら、Hybridoma、19:215〜227(2000)に記載の胚性ラット後根神経節生存バイオアッセイにおいて、候補剤がNGFに媒介される生存を阻害する能力を監視することによっても評価することができる。
【0179】
疼痛の「発生率の低下」とは、重篤度の低下(たとえばオピエートを含めた、この状態に一般に使用される他の薬物および/もしくは療法の必要性および/もしくは量(たとえばそれへの曝露)の低下が含まれることができる)、持続期間の低下、ならびに/または頻度の低下(たとえば、個体における手術後疼痛までの時間を遅延または増加させることが含まれる)のうちの任意のものを意味する。当業者には理解されるように、個体は処置に対するその応答に関して変動する場合があり、したがって、たとえば、「個体において関節リウマチ疼痛または骨関節炎疼痛の発生率を低下させる方法」とは、そのような投与がその特定の個体においてそのような発生率の低下を引き起こす可能性が高いという、合理的な予想に基づいて抗NGF拮抗抗体を投与することを反映する。
【0180】
疼痛または疼痛の1つもしくは複数の症状(関節リウマチ疼痛もしくは骨関節炎疼痛など)の「寛解」とは、抗NGF拮抗抗体を投与しないことと比較して、疼痛の1つまたは複数の症状を軽減または向上させることを意味する。また、「寛解」には、症状の持続期間の短縮または低下も含まれる。
【0181】
疼痛または疼痛の1つもしくは複数の症状(関節リウマチ疼痛もしくは骨関節炎疼痛など)を「和らげる」とは、本発明による抗NGF拮抗抗体で処置した個体または個体の集団における、手術後疼痛の1つまたは複数の望ましくない臨床徴候の程度の軽減を意味する。
【0182】
本明細書中で使用する、疼痛の発生の「遅延」とは、疼痛(手術後疼痛、関節リウマチ疼痛、または骨関節炎疼痛など)の進行を先送りにする、妨害する、遅らせる、減速させる、安定にする、および/または延期することを意味する。この遅延は、病歴および/または処置する個体に応じて様々な時間の長さであることができる。当業者には明らかなように、十分または有意な遅延には、個体が疼痛を発生しないという点で、事実上、予防が包含させる場合がある。症状の発生を「遅延させる」方法とは、方法を使用しない場合と比較して、所定のタイムフレーム内で症状が発生する確率を低下させる、および/または所定のタイムフレーム内で症状の程度を低下させる方法である。そのような比較は、典型的には、統計的に有意な数の対象を用いた臨床的研究に基づいている。
【0183】
「疼痛」とは、実際もしくは潜在的な組織損傷に関連する不快な感覚および感情の経験を意味すると受け取られるか、またはそのような損傷に関して記載される。疼痛は、異なる病態生理学によりいくつかの異なる領域に分類することができ、これらには侵害受容性、炎症性、神経因性の疼痛などが含まれる。いくつかの疼痛の種類は複数の病因論を有し、したがって複数の領域に分類することができることに注意されたい。たとえば、背痛、癌性疼痛はどちらも侵害受容性および神経因性の構成要素を有する。
【0184】
本明細書中で使用する「慢性疼痛」とは、慢性障害に関連する疼痛、すなわち、外傷、悪性疾患、疾患、感染症または根底にあるそのような障害の回復もしくは傷害の治癒を越えて持続する疼痛であって、多くの場合、根底にあるプロセスまたは障害によって予測されるよりも強い疼痛を意味すると受け取られる。また、慢性疼痛は、たとえば侵害受容性および/または神経因性疼痛および/または炎症性疼痛および/または癌性疼痛のどちらにも関与する、「混合病因疼痛」であり得る。その結果、慢性疼痛は、多くの場合、鎮痛に対する応答が予測不可能である。「二重機構疼痛」とは、末梢および中枢性感作のどちらによっても増幅および維持される疼痛を意味すると受け取られる。
【0185】
「炎症性疼痛」とは、組織傷害およびその結果の炎症プロセスに応答した疼痛を意味すると受け取られる。炎症性疼痛は、神経機能にも影響を与え得る反応性炎症プロセスを受ける、傷害が与えられた組織から生じ得る。炎症性疼痛は、生化学的媒介物質(PGE、ブラジキニン、サイトカイン、および神経ペプチド)と、疼痛伝達ニューロン上の受容体との結合およびその機能の変更に関与する場合があり、その興奮性が増加し、したがって疼痛感覚が増加する。用語、炎症性疼痛には慢性および急性疼痛が含まれる。
【0186】
「混合病因疼痛」とは、炎症性および/または神経因性および/または侵害受容性構成要素をどちらも含有する疼痛を意味すると受け取られる。「二重機構疼痛」とは、末梢および中枢性感作のどちらによっても増幅および維持される疼痛を意味すると受け取られる。
【0187】
「神経因性疼痛」とは、末梢または中枢神経系中のニューロンの損傷または機能不全によって生じる疼痛を意味すると受け取られる。
【0188】
「急性疼痛」および「急性炎症性疼痛」とは、侵害性の化学的、熱的または機械的刺激に対する正常な予測可能な適切な生理的応答、または、急性炎症および急性炎症性疼痛応答をもたらす組織傷害の恐れがあるもしくはそれを生じる疾患プロセスを意味すると受け取られ、そのような急性疼痛は、多くの場合、侵害受容性疼痛の構成要素を含む。一般に、急性疼痛の強度は刺激の強度に比例し、刺激が持続する限り、または組織傷害が治癒するまで持続する。急性炎症性疼痛は、一般に、傷害、侵襲性手順、外傷、感染症、免疫反応、アレルギー、過敏症および疾患に関連する。
【0189】
「侵害受容性疼痛」とは、侵害刺激が組織傷害をシグナル伝達または組織傷害を切迫することによって引き起こされる侵害受容器によって伝達される疼痛を意味すると受け取られる。侵害受容性疼痛は求心性ニューロンを介した脊髄の後角への疼痛シグナルの伝達を含み、二次ニューロンが高等中枢へとシグナルを伝達する。通常、侵害受容性疼痛は、それを誘起した状態が回復した後に回復し、また、急性疼痛の特徴でもある。
【0190】
「痛覚異常過敏」とは、疼痛に対する極端な感受性であり、多くの場合、身体の軟組織中の侵害受容器への損傷によって引き起こされる。これは、典型的には傷害に関連する病巣の形態で経験される場合があり、2つの亜型に分類される:(1)一次痛覚過敏、すなわち、損傷組織中で直接起こる疼痛の感受性、(2)二次痛覚異常過敏、すなわち、周辺の損傷していない組織中で起こる疼痛の感受性。また、これは、より拡散した、身体全体の形態として経験される場合もある。痛覚異常過敏は、急性または慢性炎症状態によって誘導される場合がある。そのような痛覚異常過敏の開発の鍵は、そのような炎症状態またはアレルギー性応答から生じる血小板凝集因子(PAF)の作用であり、これは、免疫細胞が末梢神経系と相互作用して疼痛をもたらすサイトカインおよびケモカインを放出することを介して起こる。炎症状態は、長期増強と呼ばれる脊髄における増幅の形態と一致したパターンで疼痛線維の刺激を誘導することができ、脊髄におけるそのような増幅は痛覚異常過敏を生じる経路をもたらす。
【0191】
「アロディニア」とは、通常は有痛性でない刺激から生じる疼痛であり、そうでない場合は非侵害である刺激に対する誇張された応答であり、静的または動的アロディニアのいずれかであることができる、すなわち、動作に伴わずに自発的にまたは動作に伴って起こる。また、アロディニアは、刺激した領域以外の他の領域で認知される場合もあり、したがって、これは感覚異常である場合もある。これは、炎症状態、特に関節の炎症に一般的である。
【0192】
「体性痛」とは、皮膚または深部の組織から生じる疼痛を意味すると受け取られ、筋骨格組織中で起こる場合は「深部体性痛」と呼ばれる。「内臓痛」とは、胸部、腹部、または骨盤の内臓の浸潤、圧迫、伸長、または拡張の結果生じる疼痛受容体の活性化によって引き起こされる疼痛を意味すると受け取られる。
【0193】
本明細書中で使用する「疼痛」とは、急性および慢性疼痛を含めた任意の病因学の疼痛、ならびに炎症性構成要素を有する任意の疼痛をいう。疼痛の例には、手術後疼痛(post−surgical)、手術後(post−operative)疼痛(歯痛が含まれる)、偏頭痛、頭痛および三叉神経痛、熱傷、創傷または腎結石に関連する疼痛、外傷(頭部外傷が含まれる)に関連する疼痛、神経因性疼痛、慢性腰痛などの背痛、関節リウマチなどの筋骨格障害に関連する疼痛、骨関節炎、強直性脊椎炎、血清陰性(非リウマチ)関節症、非関節リウマチおよび関節周囲障害に関連する疼痛、ならびに癌関連する疼痛(「突発疼痛」、末期癌に関連する疼痛および骨転移に関連するが含まれる)、末梢神経障害およびヘルペス後神経痛、間質性膀胱炎および/または有痛性膀胱症候群および/または膀胱痛症候群に関連する疼痛、慢性前立腺炎および/または慢性骨盤痛症候群に関連する疼痛、子宮内膜症および/または子宮筋腫に関連する疼痛が含まれる。炎症性構成要素を有する疼痛の例には、(上述の一部に加えて)リウマチ性疼痛、粘膜炎に関連する疼痛、および月経困難症が含まれる。
【0194】
「手術後疼痛」(「切開後」または「外傷後疼痛」と互換性があるように呼ばれる)とは、切創、穿刺、切開、裂傷、または個体の組織内の創傷などの外部の外傷に起因するまたはそれから生じる疼痛をいう(侵襲性または非侵襲性にかかわらず、すべての外科的処置に起因するものが含まれる)。本明細書中で使用する手術後疼痛には、外部の物理的な外傷を伴わずに起こる(起因または派生する)疼痛は含まれない。一部の実施形態では、手術後疼痛は内部または外部(末梢が含まれる)の疼痛であり、創傷、切創、外傷、裂傷または切開は、偶発的(外傷創傷の場合)または意図的(手術時の切開の場合)に起こり得る。本明細書中で使用する「疼痛」には侵害受容および疼痛の感覚が含まれ、疼痛は疼痛スコアおよび当分野で周知の他の方法を用いて客観的および主観的に評価することができる。本明細書中で使用する手術後疼痛にはアロディニア(すなわち、通常は非侵害である刺激に対する応答の増加)および痛覚異常過敏(すなわち、通常は侵害性または不快な刺激に対する応答の増加)が含まれ、これらは熱的または機械的(触角)な性質である場合がある。一部の実施形態では、疼痛は、熱感受性、機械的感受性および/または安静時疼痛によって特徴づけられる。一部の実施形態では、手術後疼痛は、機械的に誘導された疼痛または安静時疼痛を含む。他の実施形態では、手術後疼痛は安静時疼痛を含む。
【0195】
当分野で周知のように、疼痛は一次または二次疼痛であることができる。
【0196】
間質性膀胱炎および/または有痛性膀胱症候群および/または膀胱痛症候群に関連する疼痛は、下腹部(骨盤)疼痛、膀胱痛、恥骨上痛、膣痛、陰茎、精巣、陰嚢および会陰の疼痛、尿道痛、性交疼痛(dyspareneuria)、膀胱が充満される際に増加し得る疼痛、圧力または不快感を含み得る。
【0197】
慢性前立腺炎および/または慢性骨盤痛症候群に関連する疼痛は、下腹部(骨盤)疼痛、胃下部疼痛、膀胱痛、恥骨上痛、陰茎、精巣、陰嚢および会陰の疼痛、尿道痛、性交疼痛、膀胱が充満される際に増加し得る疼痛、圧力または不快感、排尿障害、ならびに射精疼痛を含み得る。
【0198】
下部尿路症状(LUT)は、貯蔵(刺激性)、排尿(閉塞性)および排尿後症状として定義され得る、3つの泌尿系症状の群を含み得る。貯蔵症状は尿意切迫、頻尿、夜間多尿、切迫尿失禁および緊張性尿失禁を含み、これらは過活動膀胱(OAB)および良性前立腺肥大(BPH)に関連する場合がある。排尿症状は躊躇、流れ不良、間欠、しぶり(straining)および排尿障害を含む。排尿後症状は終末時滴下、排尿後滴下および残尿感を含む。
【0199】
子宮内膜症および/または子宮筋腫に関連する疼痛および/または他の症状は、月経困難症(dysmenorrhoea)、慢性無月経、骨盤痛、性交疼痛、排便障害(dyschexia)、月経過多、下腹部痛または背痛、不妊症および低妊孕率、排尿障害、腹部膨満および排尿時疼痛、嘔気、嘔吐および/または下痢を含み得る。また、症状は、子宮内膜症病変に関連する症状または腹膜腔の外に位置する子宮筋腫も含んでいてもよく、たとえば、喀血、気胸または血胸として現れる胸部子宮内膜症候群、および呼吸困難および肺腫瘤として現れる肺平滑筋腫が含まれる。
【0200】
以下の実施例は、本発明を例示するために提供するが、限定するためではない。本発明で使用するための抗体を例示するためにWO2004/058184号の実施例に言及する。WO2004/058184号の内容全体が本明細書中に参考として組み込まれている。
【実施例】
【0201】
(実施例1)
抗体の産生および精製
完全抗体を発現させるために、重鎖および軽鎖可変領域を2つの哺乳動物発現ベクター(軽鎖にはEb.911.E3またはEb.pur.911.3E、重鎖にはDb.911.3E、本明細書中に記載)中にクローニングし、一過性発現のためにリポフェクタミンを用いてHEK293細胞内に形質移入した。抗体は標準方法を使用してタンパク質Aを用いて精製した。
【0202】
抗NGF抗体E3の作製、産生、精製および特徴づけは、その内容の全体が本明細書中に参考として組み込まれているWO2004/058184号の実施例に記載されている。E3軽鎖およびE3重鎖を組み込んだベクターはAmerican Type Culture Collection、10801 University Boulevard、Manassas,Virginia、米国(ATCC)に寄託されている:
材料 ATCC受託番号 寄託日
Eb.911.3E E3軽鎖 PTA−4893 2003年1月8日
Eb.pur.911.3E E3軽鎖 PTA−4894 2003年1月8日
Db.911.3E E3重鎖 PTA−4895 2003年1月8日
【0203】
これらの寄託に関する詳細は、その内容がその全体で本明細書中に参考として組み込まれているWO2004058184号に見つかる。
【0204】
哺乳動物細胞中での抗体E3の発現に使用するために、3つの哺乳動物発現ベクターを設計および構築した。
【0205】
ベクターDb.911.3EはE3抗体の重鎖可変領域およびヒトIgG2a定常領域を含む発現ベクターであり、重鎖の一過性または安定発現に適している。Db.911.3Eは以下の領域に対応するヌクレオチド配列からなる:ネズミサイトメガロウイルスプロモーター領域(ヌクレオチド1〜612)、合成イントロン(ヌクレオチド619〜1507)、DHFRコード領域(ヌクレオチド707〜1267)、ヒト成長ホルモンシグナルペプチド(ヌクレオチド1525〜1602)、抗体3E重鎖可変領域(ヌクレオチド1603〜1965)、A330P331からS330S331への突然変異を含有するヒト重鎖IgG2a定常領域(アミノ酸の付番は野生型IgG2a配列を参照、Eur.J.Immunol.、(1999)29:2613〜2624を参照)、SV40後期ポリアデニル化シグナル(ヌクレオチド2974〜3217)、SV40エンハンサー領域(ヌクレオチド3218〜3463)、ファージf1領域(ヌクレオチド3551〜4006)およびβラクタマーゼ(AmpR)コード領域(ヌクレオチド4443〜5300)。Db.911.3Eは2003年1月8日にATCCに寄託され、ATCC受託番号PTA−4895が割り当てられた。
【0206】
ベクターEb.911.3EはE3抗体の軽鎖可変領域およびヒトカッパ鎖定常領域を含む発現ベクターであり、軽鎖の一過性発現に適している。Eb.911.3Eは以下の領域に対応するヌクレオチド配列からなる:ネズミサイトメガロウイルスプロモーター領域(ヌクレオチド1〜612)、ヒトEF−1イントロン(ヌクレオチド619〜1142)、ヒト成長ホルモンシグナルペプチド(ヌクレオチド1173〜1150)、抗体E3軽鎖可変領域(ヌクレオチド1251〜1571)、ヒトカッパ鎖定常領域(ヌクレオチド1572〜1892)、SV40後期ポリアデニル化シグナル(ヌクレオチド1910〜2153)、SV40エンハンサー領域(ヌクレオチド2154〜2399)、ファージf1領域(ヌクレオチド2487〜2942)およびβラクタマーゼ(AmpR)コード領域(ヌクレオチド3379〜4236)。Eb.911.3Eは2003年1月8日にATCCに寄託され、ATCC受託番号PTA−4893が割り当てられた。
【0207】
ベクターEb.pur.911.3EはE3抗体の軽鎖可変領域およびヒトカッパ定常領域を含む発現ベクターであり、軽鎖の安定発現に適している。Eb.pur.911.3Eは以下の領域に対応するヌクレオチド配列からなる:ネズミサイトメガロウイルスプロモーター領域(ヌクレオチド1〜612)、ヒトEF−1イントロン(ヌクレオチド619〜1758)、pac遺伝子(ピューロマイシンR)コード領域(ヌクレオチド739〜1235)、ヒトhsp70 5’非翻訳領域(ヌクレオチド1771〜1973)、ヒト成長ホルモンシグナルペプチド(ヌクレオチド1985〜2062)、抗体E3軽鎖可変領域(ヌクレオチド2063〜2383)、ヒトカッパ鎖定常領域(ヌクレオチド2384〜2704)、SV40後期ポリアデニル化シグナル(ヌクレオチド2722〜2965)、SV40エンハンサー領域(ヌクレオチド2966〜3211)、ファージf1領域(ヌクレオチド3299〜3654)およびβラクタマーゼ(AmpR)コード領域(ヌクレオチド4191〜5048)。Eb.pur.911.E3は2003年1月8日にATCCに寄託され、ATCC受託番号PTA−4894が割り当てられた。
【0208】
一過性の細胞発現を以下のように行なった:150mmの皿中のCHOおよびHEK293T細胞を、25ugのそれぞれのプラスミド(すなわち、1つのプラスミドは重鎖を含有し、1つのプラスミドは軽鎖を含有)で一過的に同時形質移入した。製造者の指示に従ってDNAを100ulのlipofectamine2000(Invitrogen)と混合した。DNA−脂質の複合体を、血清または抗生物質を含まないDMEM/F12倍地中の細胞と5時間接触させた。このインキュベーション後、発現用に、培地を、添加剤を全く含まないOpti−MEM(Invitrogen)に2日間交換した。抗体を含有する細胞上清を4回まで連続的に収集し、その都度続いて培地を交換した。MapSelectタンパク質A樹脂(Amersham biosciences 17−5199−02)を用いたアフィニティークロマトグラフィーによって上清を精製した。抗体を0.3Mのグリシン、0.6MのNaCl緩衝液、pH8中のタンパク質A樹脂と結合させ、その後、0.1Mのシトレート緩衝液、pH3で溶出させた。抗体を含有する画分をすぐに1Mのトリス緩衝液、pH8.0で中和し、その後、抗体画分をPBS中で透析して濃縮した。抗体を選択し、以下のようにアッセイした。
【0209】
Biacoreアッセイ
抗NGF Fabおよびモノクローナル抗体の親和性を、BIAcore3000(商標)表面プラズモン共鳴(SPR)システム(BIAcore,INC、Piscaway NJ)を用いて決定した。CM5チップを、供給者の指示に従って、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイニド(carbodiinide)塩酸塩(EDC)およびN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)を用いて活性化した。ヒトNGFを10mMの酢酸ナトリウム、pH4.0で希釈し、0.005mg/mLの濃度で活性化したチップ上に注入した。個々のチップチャネルにわたって可変のフロー時間を用いて、2つの抗原密度範囲が得られた:詳細な動力学的研究には100〜200応答単位(RU)およびスクリーニングアッセイには500〜600RU。チップをエタノールアミンで遮断した。再生研究により、Pierce溶出緩衝液(製品番号21004、Pierce Biotechnology、Rockford,IL)および4MのNaCl(2:1)の混合物が、結合したFabを有効に除去した一方で、チップ上のhNGFの活性が200回を超える注入にわたって保たれたことが示された。HBS−EP緩衝液(0.01MのHEPES、pH7.4、0.15のNaCl、3mMのEDTA、0.005%の界面活性剤P29)をすべてのBIAcoreアッセイのランニング緩衝液として使用した。
【0210】
スクリーニングアッセイ
スクリーニングBIAcore アッセイを、ライブラリからのFabクローンの親和性を決定するために最適化した。少量の培養溶解物の上清を50μl/分で2分間注入した。10〜15分の解離時間を用いて、BIAevaluationソフトウェアを使用して単一指数解離速度(koff)を決定した。ライブラリを作製するために使用した鋳型(クローン8L2−6D5、koff1×10−3−1)と同じ範囲のkoff速度を示した試料を確認のために注入し、より良好なkoff値を得るために45分までの解離時間を許容した。向上した(より遅い)koff値を示すクローンを大スケールで発現させ、完全動力学的パラメータkonおよびkoffを精製したタンパク質で決定した。このアッセイでは、約2倍以上である親和性の差異を検出することができた。
【0211】
親和性決定アッセイ
精製したFab試料の段階希釈液(0.1〜10×推定K)を1分間、100μL/分で注入し、2時間までの解離時間を許容した。Fabタンパク質の濃度は、標準として既知の濃度のFab(アミノ酸分析によって決定)を用いたELISAおよび/またはSDS−PAGE電気泳動によって決定した。動力学的会合速度(kon)および解離速度(koff)は、BIAevaluationプログラムを用いてデータを1:1のラングミュア結合モデルに当てはめることによって同時に得られた(Karlsson,R.、Roos,H.、Fagerstam,L.、Petersson,B.、(1994).Methods Enzymology、6.、99〜110)。平衡解離定数(K)値はkoff/konとして計算した。
【0212】
(実施例2)
緩衝液およびpHの分析
抗体の凝集および断片化に対する4つの異なる緩衝液の効果を評価するための研究を実施した。
【0213】
具体的には、抗NGF抗体E3を含み、アセテート、スクシネート、ヒスチジンまたはシトレートで緩衝した4つの液体配合物を調製した。その後、配合物を5、25および40℃で保管し、抗体の凝集、断片化および酸化の測定を0、4、9および13週間目に行なった。
【0214】
製造プロセスは以下のように要約することができる。緩衝液を調製し、pHを調整し、滅菌濾過した(詳細には表2.1および2.2を参照)。抗体を濃縮し、その後、緩衝液を交換した。抗体をUVで分析し、その後、それぞれの緩衝液で20mg/mLまで希釈した。その後、20mg/mLの溶液を滅菌濾過した。最後に、無菌的な溶液を充填し、栓をし、オーバーシールでキャップした。
【0215】
凝集分析:
表2.2の抗体配合物を5、25および40℃の温度で0、4、9および13週間保管した。
【0216】
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を用いてそれぞれの配合物を凝集について分析した。サイズ排除クロマトグラフィーは、TSKゲルG3000SWXL−G2000SWXLカラム、移動相は0.2Mのリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.0、流速は1ml/分、およびUV検出は214nmを用いて実施した。
【0217】
凝集レベルは、それぞれの配合物についてクロマトグラムのピーク下の面積を積分し、高分子量種のピーク下の積分した面積を全ピーク面積のパーセンテージとして報告することによって計算した。表2.3に見られるように、ヒスチジンで緩衝した配合物、特にpH6のものが、最も低い凝集レベルを示し、次いで、順にアセテート、スクシネート、その後シトレートで緩衝した配合物であった。
【0218】
断片化分析:
表2.2の抗体配合物を5、25および40℃の温度で0、4、9および13週間保管した。
【0219】
また、還元キャピラリーゲル電気泳動(rCGE)を用いてそれぞれの配合物を断片化についても分析した。タンパク質は、還元CGE中でそのジスルフィド結合が切断された後、折り畳みがほどけて(変性して)「棒様」の構造となる。「還元」されたタンパク質はその重鎖および軽鎖へと分離し、断片化した種と共にそれが量子化される。還元CGEは、パーセント断片(%不純物)を定量するための信頼性のある方法であるとみなされている。配合物のそれぞれについて断片化のパーセンテージを関連する時点で測定した。断片化レベルは全バンド体積のパーセンテージとして計算した。表2.4に見られるように、ヒスチジンで緩衝した配合物、特にpH6のものが、最も低い断片化レベルを示した。
【0220】
酸化分析:
抗NGF抗体E3中のアミノ酸位置XおよびYのメチオニン残基の酸化レベルを、5、25および40℃で0、4、9および13週間保管した後、リシン−Cマッピング方法によって測定した。その後、試験したそれぞれの配合物の試料を、トリス緩衝液、pH8.0中のLyc−C酵素を用いて、標準の条件下で消化し、逆相高速液体クロマトグラフィーによって分析した。分離は、Grace Vydaeタンパク質C4分析カラムを使用して、水中に0.1%のTFAおよびアセトニトリル中に0.085%のTFAの勾配溶出を用いて行なった。抗NGF抗体E3中のメチオニンアミノ酸のパーセント酸化を記録した。
【0221】
表2.5の結果は、シトレート配合物のパーセント酸化が最高であることを示している。
【0222】
【表1】

【0223】
【表2】

【0224】
【表3】

【0225】
【表4】

【0226】
【表5】

【0227】
(実施例3)
等張剤の分析、トレハロースvsスクロースvsソルビトール
抗NGF抗体E3配合物の安定性に対する等張剤、特にトレハロース、スクロースおよびソルビトールの効果を比較するための研究を実施した。
【0228】
具体的には、抗NGF抗体E3およびトレハロース、スクロースまたはソルビトールを含む3つの液体配合物を、表3.1に記載のように調製した。その後、配合物を5、25および40℃で保管し、抗体の凝集、断片化および酸化の測定を2、4、8、13および26週間目に行なった。
【0229】
表3.1の配合物の製造プロセスは以下のように要約することができる。緩衝液を調製し、pHを調整し、滅菌濾過した(詳細には表3.1を参照)。ストックの賦形剤溶液を調製し、滅菌濾過した。抗体を濃縮し、その後、緩衝液を交換した。濃縮した抗体をUVで分析し、その後、それぞれの緩衝液で50mg/mLまで希釈し、それぞれの賦形剤を所要の濃度まで合わせた。その後、50mg/mLの溶液を滅菌濾過した。最後に、無菌的な溶液を充填し、栓をし、オーバーシールした。すべての配合物は、6.0のpHおよび50mg/mlの抗NGF抗体E3濃度を有する。
【0230】
凝集分析:
表3.1の抗体配合物を5、25および40℃の温度で2、4、8、13および26週間保管した。
【0231】
実施例2に記載の方法を用いて、それぞれの配合物を凝集について分析した。凝集レベルを計算し、図1に示す。
【0232】
断片化分析:
表3.1の抗体配合物を5、25および40℃の温度で2、4、8、13および26週間保管した。
【0233】
また、実施例2の方法を用いて、それぞれの配合物を断片化についても分析した。図2に見ることができるように、トレハロース配合物が13週間の保管で最も低い断片化レベルを示した。
【0234】
【表6】

【0235】
(実施例4)
等張剤のスクリーニング研究:トレハロースvs.スクロース
抗NGF抗体E3配合物の安定性および活性に対する等張剤、特にトレハロースおよびスクロースの効果を比較するための研究を実施した。希酸溶液中でのスクロースからフルクトースおよびグルコースへの加水分解は周知である。また、グルコース分子は、タンパク質のアミノ酸配列のリシン残基とランダムに結合することも知られている。これは糖化として知られる。したがって、酸性pHに緩衝し、スクロースを含有するタンパク質配合物は、スクロースの加水分解、その後に糖化を経験する可能性がある。糖化されたタンパク質は糖化されていないタンパク質よりも容易に分解プロセスを受ける可能性がある。したがって、液体タンパク質配合物中のスクロースの存在は、その貯蔵寿命にわたってタンパク質の品質に有害な影響を与える可能性がある。これとは対照的に、トレハロースはそのような加水分解に基づいた分解を受けることは知られておらず、タンパク質配合物中での優先的な等張性改変剤である可能性がある。
【0236】
具体的には、抗NGF抗体E3およびスクロースを含む6つの液体配合物ならびに抗NGF抗体E3およびトレハロース含む2つの液体配合物を調製した。表4.1を参照されたい。その後、配合物を5、25および40℃で保管し、抗体の凝集および糖化の測定を2、4、8、13および26週間目に行なった。
【0237】
表4.1の配合物の製造プロセスは以下のように要約することができる。緩衝液を調製し、pHを調整し、滅菌濾過した(詳細には表4.1を参照)。ストックの賦形剤溶液を調製し、滅菌濾過した。抗体を濃縮し、その後、緩衝液を交換した。濃縮した抗体をUVで分析し、その後、それぞれの緩衝液で10mg/mlまたは50mg/mlまで希釈し、それぞれの賦形剤を所要の濃度まで合わせた。その後、10mg/mlまたは50mg/mlの溶液を滅菌濾過した。最後に、無菌的な溶液を充填し、栓をし、オーバーシールした。
【0238】
凝集分析:
表4.1の抗体配合物を5、25、40および50℃の温度で2、4、8、13および26週間保管した。
【0239】
実施例2に記載のように、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を用いてそれぞれの配合物を凝集について分析した。計算した凝集レベルを表4.2で比較し、トレハロースでは、調査した同じ抗体濃度について、スクロースと比較して同等に低いまたはそれよりも低い凝集レベルが実証されたことが示された。
【0240】
糖化分析:
表4.1によるスクロースまたはトレハロース等張剤のいずれかを含む配合物の試料(10mg/mlの抗体、10mMのヒスチジン、pH6.0)について、配合物を25、40および50℃で0、2、4、8および13週間保管した後、抗NGF抗体E3中のリシン残基の糖化レベルを質量分析マッピング方法によって測定した。糖化は等張剤の加水分解の速度に比例していることが判明した。トレハロースの加水分解は実証されておらず、したがって、配合物の抗体の糖化が回避されるため、抗体配合物にはトレハロースがスクロースよりも好ましい等張剤であり、スクロースでは25℃で104週間保管した配合物において1%〜2%の加水分解が実証された。
【0241】
【表7】

【0242】
【表8】

【0243】
【表9】

【0244】
(実施例5)
界面活性剤およびポリマー安定化剤の分析
抗NGF抗体E3配合物の安定性に対する界面活性剤およびポリマー安定化剤、特にPS20、PS80、PEG3350、PEG3350+PS20の効果を比較するための研究を実施した。
【0245】
具体的には、抗NGF抗体E3およびPS20、PS80、PEG3350、PEG3350+PS20を含む4つの液体配合物を、表5.1に記載のように調製した。その後、配合物を5、25および40℃で保管し、抗体の凝集、断片化および酸化の測定を2、4、8、13および26週間目に行なった。
【0246】
すべての配合物は、6.0のpHおよび50mg/mlの抗NGF抗体E3濃度を有していた。表5.1の配合物の製造プロセスは以下のように要約することができる。緩衝液を調製し、pHを調整し、滅菌濾過した(詳細には表5.1を参照)。ストックの賦形剤溶液を調製し、滅菌濾過した。抗体を濃縮し、その後、緩衝液を交換した。濃縮した抗体をUVで分析し、その後、それぞれの緩衝液で50mg/mlまで希釈し、それぞれの賦形剤を所要の濃度まで合わせた。その後、50mg/mlの溶液を滅菌濾過した。最後に、無菌的な溶液を充填し、栓をし、オーバーシールした。表5.2および5.3に結果を報告する。
【0247】
凝集分析:
表5.1の抗体配合物を5、25および40℃の温度で2、4、8、13および26週間保管した。
【0248】
実施例2に記載のように、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を用いてそれぞれの配合物を凝集について分析した。計算した凝集レベルを表5.2で比較し、0.2mg/mlの濃度のPS20では、調査したPS80の0.2mg/mlおよびPEG3350の1mg/mlと比較して、同等の凝集レベルが実証されたことが示された。0.1mg/mlの濃度のPS20でも同等の結果が実証された(データは40℃)。
【0249】
断片化分析:
表5.1の抗体配合物を5、25および40℃の温度で2、4、8、13および26週間保管した。
【0250】
実施例2の方法を用いて、それぞれの配合物を断片化について分析した。40℃の試料から収集したデータを表5.3に示し、0.2mg/mlの濃度のPS20では、調査したPS80の0.2mg/mlおよびPEG3350の1mg/mlと比較して、同等の断片化レベルが実証されたことが示された。0.1mg/mlの濃度のPS20でも同等の結果が実証されることが示された。
【0251】
【表10】

【0252】
【表11】

【0253】
【表12】

【0254】
(実施例6)
抗酸化剤の分析
抗NGF抗体E3配合物の安定性に対する抗酸化剤、特にメチオニンの効果を比較するための研究を実施した。
【0255】
具体的には、メチオニンを含むおよび含まない、抗NGF抗体E3を含む9つの液体配合物を調製した。すべての配合物は、6.0のpH、ならびに10または50mg/mlの抗NGF抗体E3濃度、84mg/mlのトレハロースまたはスクロースおよび0.1mg/mlのPS20、10mMのヒスチジンを有し、0.05mg/mlのEDTAを含むまたは含まない。
【0256】
配合物の製造プロセスは以下のように要約することができる。緩衝液を調製し、pHを調整し、滅菌濾過した。ストックの賦形剤溶液を調製し、滅菌濾過した。抗体を濃縮し、その後、緩衝液を交換した。濃縮した抗体をUVで分析し、その後、それぞれの緩衝液で10または50mg/mlまで希釈し、それぞれの賦形剤を所要の濃度まで合わせた。その後、10mg/mlまたは50mg/mlの溶液を滅菌濾過した。最後に、無菌的な溶液を充填し、栓をし、オーバーシールした。
【0257】
その後、配合物を5、25および40℃で保管し、抗体の凝集、断片化および酸化の測定を2、4、8、13、26および52週間目に行なった。
【0258】
凝集分析:
抗体配合物を5、25および40℃の温度で0、8、13、26および52週間保管した。
【0259】
実施例2に記載のように、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を用いてそれぞれの配合物を凝集について分析した。計算した凝集レベルを比較し、メチオニンを含むまたは含まない、5または25℃で26週間保管した試料で有意に異ならず、メチオニンの存在は凝集に対して識別可能な効果を有さないことが判明した。
【0260】
断片化分析:
抗体配合物を5、25および40℃の温度で0、8、13および26週間保管し、断片化の測定を26週間目に行なった。
【0261】
実施例2の方法を用いて、それぞれの配合物を断片化について分析した。計算した断片化レベルを比較し、メチオニンを含むまたは含まない、5または25℃で26週間保管した試料で有意に異ならず、メチオニンの存在は断片化に対して識別可能な効果を有さないことが判明した。
【0262】
酸化分析:
抗NGF抗体E3中のアミノ酸位置XおよびYのメチオニン残基の酸化レベルを、5、25および40℃で0、13、26および52週間保管した後、リシン−Cマッピング方法によって測定した。実施例2に記載のように抗NGF抗体E3中のメチオニンアミノ酸のパーセント酸化を記録した。
【0263】
表6.1の結果は、長期の保管下では、抗体のパーセント酸化がメチオニンの存在によって低下したことを示す。
【0264】
【表13】

【0265】
(実施例7)
トレハロースを含むまたは含まない凍結解凍の安定性研究
50mg/mlの抗NGF抗体E3、10mMのヒスチジン緩衝液、pH6.0、および84mg/mlのトレハロースを含む抗体配合物を調製し、トレハロースを欠く同一の試料を調製した。試料を4回までの凍結および解凍サイクルに供し、試料の凝集を決定した。凍結解凍サイクルは、72時間の−70℃での凍結および48時間の5℃での解凍である。
【0266】
実施例2に記載のように、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を用いてそれぞれの配合物を凝集について分析した。計算した凝集レベルを表7.1で比較し、トレハロースを含む試料は抗体の凝集に対して凍結解凍の効果からの完全な保護をもたらすことが示される。トレハロースを含む試料は、経時的に凝集レベルの認識可能な増加を示さない。
【0267】
【表14】

【0268】
(実施例8)
トレハロースを含む抗NGF抗体E3配合物の複数の凍結解凍の安定性
22mg/mlの抗NGF抗体E3、10mMのヒスチジン緩衝液、pH6.0、および84mg/mlのトレハロース、0.05mg/mLのEDTA二ナトリウムおよび0.1mg/mLのポリソルベート20を含む抗体配合物(112746−124および112746−125)を調製した。試料を15回までの凍結および解凍サイクルに供し、試料の凝集を決定した。
【0269】
実施例2に記載のように、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を用いてそれぞれの配合物を凝集について分析した。計算した凝集レベルを図3で比較し、トレハロースを含むすべての試料が抗体の凝集に対して凍結解凍の効果からの完全な保護をもたらすことが示される。トレハロースを含む試料は、経時的に凝集レベルの認識可能な増加を示さない。
【0270】
(実施例9)
10および50mg/mLの抗NGF抗体E3での長期安定性研究:安定化剤としてのトレハロースの効果
10mg/mlの抗NGF抗体E3、10mMのヒスチジン緩衝液、pH6.0、および84mg/mlのトレハロースを含む抗体配合物を調製し、トレハロースを欠く同一の試料を調製した。研究した試料の詳細は表9.1に示す。試料を5、25および40℃の温度で2、4、8、13、26および52週間保管し、試料の凝集を決定した。実施例2に記載のように、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を用いてそれぞれの配合物を凝集について分析した。収集したデータにより、40℃の加速条件での保管の際、トレハロースを含む試料は抗体の凝集に対する効果からの高レベルの保護をもたらすことが示された。
【0271】
【表15】

【0272】
【表16】

【0273】
(実施例10)
ヒスチジン緩衝液、pH6.0中のトレハロース、EDTA、ポリソルベート20を含有する抗NGF抗体E3配合物の、2.5、5、10、20および50mg/mLにおける長期安定性研究
2.5、または5または10または20または50mg/mLの抗NGF抗体E3、10mMのヒスチジン緩衝液、pH6.0、および84mg/mlのトレハロース、0.05mg/mLのEDTAおよび0.1mg/mLのポリソルベート20を含む抗体配合物を調製した。試料を5〜8℃の温度で24カ月までおよびそれ以上保管し、試料の凝集、断片化、酸化を決定した。
【0274】
データを収集し、図4、5、および6に表し、2.5、5、10、20または50mg/mLのmAb濃度の抗NGF抗体E3の前記配合物は52週間まで安定であることが示されている。
【0275】
本発明による液体抗体組成の一例は、
配列番号1の可変重鎖配列および配列番号2の可変軽鎖配列を含む、約2.5mg/ml、5mg/ml、10mg/ml、20mg/ml、22mg/mlまたは約50mg/mlのうちの任意のものの抗体、
約10mMのヒスチジン緩衝液、
約84mg/mlのトレハロース二水和物、
約0.01重量/体積のポリソルベート20、
約0.005%のEDTA二ナトリウム、
であり、pHは6.0±0.2である。液体抗体組成の全体積は好ましくは約1mlである。
【0276】
抗体配列
重鎖可変領域E3(カバットCDRに下線を引き、コチアCDRを太字かつ斜体にした)
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGFSLIGYDLNWIRQPPGKGLEWIGIIWGDGTTDYNSAVKSRVTISKDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARGGYWYATSYYFDYWGQGTLVTVS(配列番号1)
【0277】
軽鎖可変領域E3(カバットCDRに下線を引き、コチアCDRを太字かつ斜体にした)
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISNNLNWYQQKPGKAPKLLIYYTSRFHSGVPSRFSGSGSGTDFTFTISSLQPEDIATYYCQQEHTLPYTFGQGTKLEIKRT(配列番号2)
【0278】
E3重鎖伸長CDR
CDRH1:GFSLIGYDLN(配列番号3)
CDRH2:IIWGDGTTDYNSAVKS(配列番号4)
CDRH3:GGYWYATSYYFDY(配列番号5)
【0279】
E3軽鎖伸長CDR
CDRL1:RASQSISNNLN(配列番号6)
CDRL2:YTSRFHS(配列番号7)
CDRL3:QQEHTLPYT(配列番号8)
【0280】
マウスモノクローナル抗体911伸長CDR
911重鎖伸長CDR
CDRH1:GFSLIGYDIN(配列番号9)
CDRH2:MIWGDGTTDYNSALKS(配列番号10)
CDRH3:GGYYYGTSYYFDY(配列番号11)
【0281】
911軽鎖伸長CDR
CDRL1:RASQDISNHLN(配列番号12)
CDRL2:YISRFHS(配列番号13)
CDRL3:QQSKTLPYT(配列番号14)
【0282】
E3重鎖アミノ酸配列(完全)
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGFSLIGYDLNWIRQPPGKGLEWIGIIWGDGTTDYNSAVKSRVTISKDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARGGYWYATSYYFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSNFGTQTYTCNVDHKPSNTKVDKTVERKCCVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号16)
【0283】
3E軽鎖アミノ酸配列(完全抗体)
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISNNLNWYQQKPGKAPKLLIYYTSRFHSGVPSRFSGSGSGTDFTFTISSLQPEDIATYYCQQEHTLPYTFGQGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号17)
【0284】
他追加のCDR配列は以下と呼ぶ:
RASQSISNNLN(配列番号18)
YTSRFHS(配列番号19)
GFSLIGYDLN(配列番号30)
IIWGDGTTDYNSAV(配列番号31)
QQEHTLPYT(配列番号55)
GGYWYATSYYFDY(配列番号56)
QQESTLPYT(配列番号57)
GGYWYSTSYYFDY(配列番号58)
QQEKTLPYT(配列番号59)
GGYYYATSYYFDY(配列番号60)
QQERTLPYT(配列番号61)
GGYWYATSYYFDY(配列番号62)
QQERTLPYT(配列番号63)
GGYYYATSYYFDY(配列番号64)
【0285】
3E重鎖ヌクレオチド配列(完全抗体)
CAGGTGCAGCTGCAGGAGTCTGGCCCAGGACTGGTGAAGCCTTCCGAGACCCTGTCCCTCACCTGCACTGTCTCTGGGTTCTCACTTATCGGCTATGATCTTAACTGGATCCGACAGCCTCCAGGGAAGGGACTGGAGTGGATTGGGATTATCTGGGGTGATGGAACCACAGACTATAATTCAGCTGTCAAATCCCGCGTCACCATCTCAAAAGACACCTCCAAGAACCAGTTCTCCCTGAAGCTGAGCTCTGTGACCGCCGCGGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGAGGAGGTTATTGGTACGCCACTAGCTACTACTTTGACTACTGGGGCCAGGGCACCCTGGTCACCGTCTCCTCAGCCTCCACCAAGGGCCCATCTGTCTTCCCACTGGCCCCATGCTCCCGCAGCACCTCCGAGAGCACAGCCGCCCTGGGCTGCCTGGTCAAGGACTACTTCCCAGAACCTGTGACCGTGTCCTGGAACTCTGGCGCTCTGACCAGCGGCGTGCACACCTTCCCAGCTGTCCTGCAGTCCTCAGGTCTCTACTCCCTCAGCAGCGTGGTGACCGTGCCATCCAGCAACTTCGGCACCCAGACCTACACCTGCAACGTAGATCACAAGCCAAGCAACACCAAGGTCGACAAGACCGTGGAGAGAAAGTGTTGTGTGGAGTGTCCACCTTGTCCAGCCCCTCCAGTGGCCGGACCATCCGTGTTCCTGTTCCCTCCAAAGCCAAAGGACACCCTGATGATCTCCAGAACCCCAGAGGTGACCTGTGTGGTGGTGGACGTGTCCCACGAGGACCCAGAGGTGCAGTTCAACTGGTATGTGGACGGAGTGGAGGTGCACAACGCCAAGACCAAGCCAAGAGAGGAGCAGTTCAACTCCACCTTCAGAGTGGTGAGCGTGCTGACCGTGGTGCACCAGGACTGGCTGAACGGAAAGGAGTATAAGTGTAAGGTGTCCAACAAGGGACTGCCATCCAGCATCGAGAAGACCATCTCCAAGACCAAGGGACAGCCAAGAGAGCCACAGGTGTATACCCTGCCACCATCCAGAGAGGAGATGACCAAGAACCAGGTGTCCCTGACCTGTCTGGTGAAGGGATTCTATCCATCCGACATCGCCGTGGAGTGGGAGTCCAACGGACAGCCAGAGAACAACTATAAGACCACCCCTCCAATGCTGGACTCCGACGGATCCTTCTTCCTGTATTCCAAGCTGACCGTGGACAAGTCCAGATGGCAGCAGGGAAACGTGTTCTCTTGTTCCGTGATGCACGAGGCCCTGCACAACCACTATACCCAGAAGAGCCTGTCCCTGTCTCCAGGAAAGTAA(配列番号65)
【0286】
3E重鎖可変ドメインヌクレオチド配列
CAGGTGCAGCTGCAGGAGTCTGGCCCAGGACTGGTGAAGCCTTCCGAGACCCTGTCCCTCACCTGCACTGTCTCTGGGTTCTCACTTATCGGCTATGATCTTAACTGGATCCGACAGCCTCCAGGGAAGGGACTGGAGTGGATTGGGATTATCTGGGGTGATGGAACCACAGACTATAATTCAGCTGTCAAATCCCGCGTCACCATCTCAAAAGACACCTCCAAGAACCAGTTCTCCCTGAAGCTGAGCTCTGTGACCGCCGCGGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGAGGAGGTTATTGGTACGCCACTAGCTACTACTTTGACTACTGGGGCCAGGGCACCCTGGTCACCGTCTCCTCA(配列番号66)
【0287】
3E軽鎖ヌクレオチド配列(完全抗体)
GATATCCAGATGACACAGTCCCCATCCTCCCTGTCTGCCTCTGTGGGTGACCGCGTCACCATCACCTGCCGCGCATCTCAGTCCATTAGCAATAATCTGAACTGGTATCAGCAGAAGCCAGGCAAAGCCCCAAAACTCCTGATCTACTACACCTCACGCTTCCACTCAGGTGTCCCATCACGCTTCAGTGGCAGTGGCTCTGGTACAGATTTCACCTTCACCATTAGCAGCCTGCAACCAGAAGATATTGCCACTTATTACTGCCAACAGGAGCATACCCTTCCATATACCTTCGGTCAAGGCACCAAGCTGGAGATCAAACGCACTGTGGCTGCACCATCTGTCTTCATCTTTCCTCCATCTGATGAGCAGTTGAAATCCGGAACTGCCTCTGTTGTGTGCCTGCTGAATAACTTCTATCCACGCGAGGCCAAAGTACAGTGGAAGGTGGATAACGCCCTCCAATCCGGTAACTCCCAGGAGAGTGTCACAGAGCAGGACAGCAAGGACAGCACCTACAGCCTCAGCAGCACCCTGACCCTGAGCAAAGCAGACTACGAGAAACACMAAGTCTACGCCTGCGAAGTCACCCATCAGGGCCTGAGTTCTCCAGTCACAAAGAGCTTCAACCGCGGTGAGTGCTAA(配列番号67)
【0288】
3E軽鎖可変ドメインヌクレオチド配列
GATATCCAGATGACACAGTCCCCATCCTCCCTGTCTGCCTCTGTGGGTGACCGCGTCACCATCACCTGCCGCGCATCTCAGTCCATTAGCAATAATCTGAACTGGTATCAGCAGAAGCCAGGCAAAGCCCCAAAACTCCTGATCTACTACACCTCACGCTTCCACTCAGGTGTCCCATCACGCTTCAGTGGCAGTGGCTCTGGTACAGATTTCACCTTCACCATTAGCAGCCTGCAACCAGAAGATATTGCCACTTATTACTGCCAACAGGAGCATACCCTTCCATATACCTTCGGTCAAGGCACCAAGCTGGAGATCAAACGC(配列番号68)
【0289】
上記配列および本明細書中に記載の他の配列は、添付の配列表中に提供する。
【0290】
本明細書中に記載の実施例および実施形態は例示目的のみのためであり、それに鑑みた様々な改変または変化が当業者に示唆され、本出願の精神および範囲内に含まれるべきであることを理解されたい。
【受託番号】
【0291】
ATCC番号PTA4893号
ATCC番号PTA4894号
ATCC番号PTA4895号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの抗体、
少なくとも1つの等張剤、
少なくとも1つの緩衝液、
少なくとも1つのキレート化剤、
少なくとも1つの界面活性剤
を含み、pHが5.8〜6.8である液体組成物。
【請求項2】
少なくとも1つの抗体、
少なくとも1つの等張剤、
少なくとも1つの緩衝液、
少なくとも1つのキレート化剤、
少なくとも1つの界面活性剤
から本質的になり、pHが5.8〜6.8である、請求項1に記載の液体組成物。
【請求項3】
等張剤が非還元糖、好ましくはトレハロース二水和物である、請求項1または請求項2に記載の液体組成物。
【請求項4】
トレハロース二水和物が約1mg/ml〜約100mg/mlである、請求項3に記載の液体組成物。
【請求項5】
界面活性剤がポリソルベート、好ましくはポリソルベート20である、請求項1から4のいずれか一項に記載の液体組成物。
【請求項6】
ポリソルベートの濃度が約0.01〜約0.15mg/mlである、請求項5に記載の液体組成物。
【請求項7】
緩衝液がヒスチジン緩衝液である、請求項1から6のいずれか一項に記載の液体組成物。
【請求項8】
ヒスチジン緩衝液の濃度が約1.0〜約15mMである、請求項7に記載の液体組成物。
【請求項9】
キレート化剤が、好ましくは約0.01〜約0.1mg/mlの濃度の、EDTA二ナトリウムである、請求項1から8のいずれか一項に記載の液体組成物。
【請求項10】
抗体濃度が約50mg/ml以下である、請求項1から9のいずれか一項に記載の液体組成物。
【請求項11】
抗体濃度が、約2mg/ml、約2.5mg/ml、約5mg/ml、約10mg/ml、約20mg/ml、約22mg/mlおよび約50mg/mlから選択される、請求項10に記載の液体組成物。
【請求項12】
抗酸化剤および/または保存料をさらに含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の液体組成物。
【請求項13】
抗酸化剤、保存料または両方を含まない、請求項1から12のいずれか一項に記載の液体組成物。
【請求項14】
約0.5mg/ml〜約50mg/mlの少なくとも1つの抗体、
約1.0mM〜約15mMのヒスチジン緩衝液、
約1mg/ml〜約100mg/mlのトレハロース二水和物、
約0.01〜約0.15mg/mlのPS20、
約0.01〜約0.1mg/mlのEDTA二ナトリウム
を含み、pHが5.8〜6.8である、請求項1から13のいずれか一項に記載の液体組成物。
【請求項15】
約0.5mg/ml〜約50mg/mlの少なくとも1つの抗体、
約1.0mM〜約15mMのヒスチジン緩衝液、
約1mg/ml〜約100mg/mlのトレハロース二水和物、
約0.01〜約0.15mg/mlのPS20、
約0.01〜約0.1mg/mlのEDTA二ナトリウム
からなり、pHが5.8〜6.8である、請求項13に記載の液体組成物。
【請求項16】
約2.5mg/ml、5mg/ml、10mg/ml、20mg/ml、22mg/mlまたは約50mg/mlの少なくとも1つの抗体、
約10mMのヒスチジン緩衝液、
約84mg/mlのトレハロース二水和物、
約0.1mg/mlのPS20、
約0.05mg/mlのEDTA二ナトリウム
を含むまたはそれからなり、pHが6.0±0.2である、請求項14または請求項15に記載の液体組成物。
【請求項17】
約2.5mg/ml、5mg/ml、10mg/ml、20mg/ml、22mg/mlまたは約50mg/mlの少なくとも1つの抗体、
約10mMのヒスチジン緩衝液、
約84mg/mlのトレハロース二水和物、
約0.1mg/mlのPS20、
約0.05mg/mlのEDTA二ナトリウム
を含むまたはそれからなり、pHが5.8〜6.5である、請求項14または請求項15に記載の液体組成物。
【請求項18】
少なくとも1つの抗体がヒトまたはヒト化モノクローナル抗体である、請求項1から17のいずれか一項に記載の液体組成物。
【請求項19】
少なくとも1つの抗体がIgG2抗体である、請求項1から18のいずれか一項に記載の液体組成物。
【請求項20】
少なくとも1つの抗体が、ヒトNGFと約2nM以下のKdで結合する、請求項1から19のいずれか一項に記載の液体組成物。
【請求項21】
少なくとも1つの抗体が、配列番号1に示す重鎖可変領域アミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列、および配列番号2に示す軽鎖可変領域アミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、請求項1から20のいずれか一項に記載の液体組成物。
【請求項22】
少なくとも1つの抗体が、配列番号16に示す重鎖アミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列、および配列番号17に示す軽鎖アミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む、請求項1から21のいずれか一項に記載の液体組成物。
【請求項23】
抗体が配列番号1の可変重鎖配列および配列番号2の可変軽鎖配列を含む、請求項1から22のいずれか一項に記載の液体組成物。
【請求項24】
凍結乾燥していない、請求項1から23のいずれか一項に記載の液体組成物。
【請求項25】
複数の凍結解凍サイクル後に抗体の凝集に対して耐性を有する、請求項1から24のいずれか一項に記載の液体組成物。
【請求項26】
少なくとも約26週間の期間、約40℃の温度で保管することができ、組成物の抗体の凝集が約10%未満増加する、請求項1から24のいずれか一項に記載の液体組成物。
【請求項27】
少なくとも約26週間の期間、約40℃の温度で保管することができ、組成物の抗体の酸化が約10%未満増加する、請求項1から24のいずれか一項に記載の液体組成物。
【請求項28】
少なくとも約26週間の期間、約40℃の温度で保管することができ、組成物の抗体の活性が約10%未満減少する、請求項1から24のいずれか一項に記載の液体組成物。
【請求項29】
少なくとも約26週間の期間、2〜8℃の温度で保管することができ、組成物の抗体の凝集が約10%未満増加する、請求項1から24のいずれか一項に記載の液体組成物。
【請求項30】
哺乳動物において疼痛を処置する医薬品を製造するための、請求項1から29のいずれかに記載の液体組成物の使用。
【請求項31】
医薬品の投与パターンが、8週間に1回の医薬品の用量の投与を含む、哺乳動物において疼痛を処置する医薬品を製造するための、請求項1から29のいずれかに記載の液体組成物の使用。
【請求項32】
用量の体積が約2.5ml以下である、請求項31に記載の使用。
【請求項33】
用量が50mg以下の抗体を含有する、請求項31または請求項32に記載の使用。
【請求項34】
用量の投与が静脈内または皮下のどちらかである、請求項30から33のいずれか一項に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−502976(P2012−502976A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−527455(P2011−527455)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【国際出願番号】PCT/IB2009/054111
【国際公開番号】WO2010/032220
【国際公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(593141953)ファイザー・インク (302)
【Fターム(参考)】