説明

安定性が強化された免疫原性HBcキメラ粒子

【課題】本発明は、ホスト細胞中で発現後、自己会合して粒子を形成するリコンビナントヘパドナウイルスヌクレオカプシドタンパク質、すなわちB型肝炎コアキメラタンパク質を目的とする。
【解決手段】自己会合粒子の安定性強化および免疫原性エピトープの提示の両方を目的として操作を施した、カルボキシ末端が切断されたキメラB型肝炎ウイルスヌクレオカプシドタンパク質(HBc)が開示される。前記免疫原性エピトープの提示は、HBcの免疫原性ループで実施され、一方、自己会合粒子の安定性の強化は、キメラ分子のカルボキシ末端近くに少なくとも1つの異種システイン残基を存在させることによって得られる。前記キメラの製造方法および使用方法もまた開示される。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
N−末端からドメインI、II、IIIおよびIVと称される4つのペプチド結合アミノ酸残基配列ドメインを含む、長さが約135から約515のアミノ酸残基のリコンビナントB型肝炎ウイルスコア(HBc)タンパク質キメラ分子であって、 (a)ドメインIは約71から約100アミノ酸残基を含み、前記アミノ酸残基の配列は少なくともHBcの5位から75位の残基配列を含み、さらに場合によってHBc残基1−4の1つとペプチド結合した約30までのアミノ酸残基を含む異種エピトープを含み;
(b)ドメインIIはドメインIのHBc残基75とペプチド結合した約5から約250のアミノ酸残基を含み、ここで、(i)HBcの76位から85位の配列中の0から全ての残基がHBcにとって異種である1つから約245アミノ酸残基とペプチド結合して存在し、異種エピトープまたは共役エピトープのための異種リンカー残基を構成するか、または(ii)76位から85位のHBcの配列は異種残基とは結合せずに存在するか、または(iii)残基76から85の1つまたは2つ以上が存在せず;
(c)ドメインIIIはドメインIIの残基85とペプチド結合した86位から135位のHBc配列であり;さらに、
(d)ドメインIVは、(i)ドメインIIIの135位の残基とペプチド結合した136位から149位のHBcアミノ酸残基配列の5から14残基、(ii)キメラ分子のC−末端から約30残基以内に1つから10のシステイン残基(C−末端システイン残基)、および(iii)150位からC−末端のHBcにとって異種である配列中に0から約100アミノ酸残基を含み、ここで、ドメインIVは前記(ii)の1つから10のシステイン残基を含む少なくとも6つのアミノ酸残基を含むことを条件とし、
前記キメラはホスト細胞内で発現されるとき自己会合して粒子を生成し、前記粒子は実質的に核酸と結合せず、さらに前記のC−末端システイン残基を欠くか、またはキメラ分子内に存在するC−末端システイン残基が別の残基に置換されてあるがその他の点では同一のHBcキメラから生成される粒子よりも安定であり、さらに、配列番号:247の1位から149位の配列と比較して、前記キメラのHBc配列でそのアミノ酸残基の約5%以下が保存的置換されてあるアミノ酸残基配列を有する、前記リコンビナントB型肝炎ウイルスコアタンパク質キメラ分子。
【請求項2】
前記ペプチド結合異種エピトープまたは共役エピトープのための異種リンカー残基が異種B細胞エピトープである、請求項1に記載のリコンビナントHBcキメラタンパク質分子。
【請求項3】
前記B細胞エピトープが、アミノ酸残基76と85との間のHBc配列内のある位置でペプチド結合し、さらに76位から85位のHBc配列の少なくとも5残基が存在する、請求項2に記載のリコンビナントHBcキメラタンパク質分子。
【請求項4】
さらにペプチド結合異種T細胞エピトープを含む、請求項2に記載のリコンビナントHBcキメラタンパク質分子。
【請求項5】
前記C−末端システイン残基が、HBcキメラタンパク質分子のC−末端の5アミノ酸残基内に存在する、請求項4に記載のリコンビナントHBcキメラタンパク質分子。
【請求項6】
前記キメラが、中断されていない1位から少なくとも140位のHBcアミノ酸残基配列、およびHBcキメラタンパク質分子のC−末端にシステイン残基を含む、請求項1に記載のリコンビナントHBcキメラタンパク質分子。
【請求項7】
前記キメラが、共役エピトープのための異種リンカー残基を含み、前記共役エピトープのための異種リンカー残基が、アミノ酸残基76と85との間のHBc配列内のある位置でペプチド結合し、さらに76位から85位のHBc配列の少なくとも4残基が存在する、請求項1に記載のリコンビナントHBcキメラタンパク質分子。
【請求項8】
1位から少なくとも140位の前記HBcアミノ酸残基配列、およびC−末端にただ1つのシステイン残基を含む、請求項7に記載のリコンビナントHBcキメラタンパク質分子。
【請求項9】
ドメインIおよびII、IIおよびIV、またはIおよびIVに存在する2つの異種エピトープを含む、請求項1に記載のリコンビナントHBcキメラタンパク質分子。
【請求項10】
前記2つの異種エピトープの1つがB細胞エピトープである、請求項9に記載のリコンビナントHBcキメラタンパク質分子。
【請求項11】
前記2つの異種エピトープの1つがT細胞エピトープである、請求項9に記載のリコンビナントHBcキメラタンパク質分子。
【請求項12】
ドメインIIの前記異種エピトープがB細胞エピトープである、請求項9に記載のリコンビナントHBcキメラタンパク質分子。
【請求項13】
150位からC−末端のHBcにとって異種である前記配列が、HBc残基140−149の1つとペプチド結合したT細胞エピトープである、請求項1に記載のリコンビナントHBcキメラタンパク質分子。
【請求項14】
共役エピトープまたは異種エピトープのための前記異種リンカー残基が異種エピトープである、請求項1に記載のリコンビナントHBcキメラタンパク質分子。
【請求項15】
前記異種エピトープが6から約50アミノ酸残基を含む、請求項14に記載のリコンビナントHBcキメラタンパク質分子。
【請求項16】
前記ドメインIVが、キメラ分子のC−末端から約30残基内に1つから約5つのシステイン残基を含む、請求項14に記載のリコンビナントHBcキメラタンパク質分子。
【請求項17】
前記C−末端システイン残基が、前記キメラタンパク質分子のC−末端の約5つのアミノ酸残基内に位置する、請求項1に記載のリコンビナントHBcキメラタンパク質分子。
【請求項18】
共役エピトープまたは異種エピトープのための前記異種リンカー残基が、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システインおよびチロシン残基から成る群から選択される共役エピトープのための異種リンカー残基である、請求項1に記載のリコンビナントHBcキメラタンパク質分子。
【請求項19】
前記キメラが、1位から少なくとも140位まで中断されないHBcアミノ酸残基配列を含む、請求項1に記載のリコンビナントHBcキメラタンパク質分子。
【請求項20】
前記非中断HBcアミノ酸残基配列が残基149を含む、請求項19に記載のリコンビナントHBcキメラタンパク質分子。
【請求項21】
前記共役エピトープのための異種リンカー残基がハプテンに共役される、請求項1に記載のリコンビナントHBcキメラタンパク質分子。
【請求項22】
前記ハプテンがオリゴ糖である、請求項21に記載のリコンビナントHBcキメラタンパク質分子。
【請求項23】
N−末端からドメインI、II、IIIおよびIVと称される4つのペプチド結合アミノ酸残基配列ドメインを含む、約175から約240アミノ酸残基の長さを有する、請求項1に記載のリコンビナントB型肝炎ウイルスコア(HBc)タンパク質キメラ分子であって、
(a)ドメインIが、HBcの1位から75位の残基配列を含み;
(b)ドメインIIがドメインIのHBc残基75とペプチド結合した約5から約55のアミノ酸残基を含み、ここでHBcの76位から85位の配列中の少なくとも4つの残基がHBcにとって異種である6から約50アミノ酸残基とペプチド結合して存在し、異種エピトープを構成し;
(c)ドメインIIIはドメインIIの残基85とペプチド結合した86位から135位のHBc配列であり;さらに、
(d)ドメインIVは、(i)ドメインIIIの135位の残基とペプチド結合した136位から149位のHBcアミノ酸残基配列の5から14残基、(ii)キメラ分子のC−末端から約30残基以内に1つのシステイン残基(C−末端システイン残基)、および(iii)150位からC−末端のHBcにとって異種である配列内に0から約50アミノ酸残基を含み、
前記キメラはホスト細胞内で発現されるとき自己会合して粒子を生成し、前記粒子は、280nm対260nm吸収比が約1.2から約1.6を示し、さらに前記のC−末端システイン残基を欠くか、またはキメラ分子内に存在するC−末端システイン残基が別の残基に置換されてあるがその他の点では同一のHBcキメラから生成される粒子よりも安定であり、さらに、配列番号:247の1位から149位の配列と比較して、前記キメラのHBc配列で約5%以下のアミノ酸残基が保存的置換されてあるアミノ酸残基配列を有する、前記リコンビナントB型肝炎ウイルスコアタンパク質キメラ分子。
【請求項24】
ドメインIIの前記異種エピトープがB細胞エピトープである、請求項23に記載のリコンビナントHBcキメラタンパク質分子。
【請求項25】
アミノ酸残基76から85の間のHBc配列は存在するが、前記異種B細胞エピトープで中断される、請求項24に記載のリコンビナントHBcキメラタンパク質分子。
【請求項26】
前記B細胞エピトープが下記から成る群から選択される病原体に存在するアミノ酸配列である、請求項24に記載のリコンビナントHBcキメラタンパク質分子:肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumonia)、クリプトスポリジウム・パルブム(Cryptosporidium parvum)、HIV、口蹄疫ウイルス、インフルエンザウイルス、ペスト菌(Yersinia pestis)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、モラクセラ・カタラーリス(Moraxella catarrhalis)、ポルフィロモナス・ギンギバリス(Porphyromonas gingivalis)、クルーズトリパノソーマ(Trypanosoma cruzi)、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)、三日熱マラリア原虫(Plasmodium vivax)、げっ歯類住血胞子虫(Plasmodium berghi)、プラスモジウム・ヨエリー(Plasmodium yoelli)、ストレプトコッカス・ソブリヌス(Streptococcus sobrinus)、フレキシナー菌(Shigella flexneri)、RSV、プラスモジウム・エントアメーバ・ヒストリティカ(Plasmodium Entamoeba histolytica)、日本住血吸虫(Schistosoma japonicum)、マンソニ住血吸虫(Schistosoma mansoni)、およびエボラウイルス。
【請求項27】
前記150位からC−末端までのHBcにとって異種の配列がHBc残基140−149の1つとペプチド結合したT細胞エピトープである、請求項23に記載のリコンビナントHBcキメラタンパク質分子。
【請求項28】
前記T細胞エピトープが、目的のキメラを免疫原として用いようとしている対象生物に由来する、請求項27に記載のリコンビナントHBcキメラタンパク質分子。
【請求項29】
前記C−末端システイン残基が、前記キメラタンパク質分子のC−末端の約5つのアミノ酸残基内に位置する、請求項23に記載のリコンビナントHBcキメラタンパク質分子。
【請求項30】
更に、N−末端に免疫原性エピトープを提示する、請求項23に記載のリコンビナントHBcキメラタンパク質分子。
【請求項31】
更に、C−末端に免疫原性エピトープを提示する、請求項23に記載のリコンビナントHBcキメラタンパク質分子。
【請求項32】
免疫原性粒子として存在する請求項1〜31のいずれか1項に記載のリコンビナントHBcキメラタンパク質分子であって、
前記粒子は実質的に核酸と結合せず、さらに前記粒子は、前記C−末端システイン残基を欠くか、またはキメラ分子内に存在するC−末端システイン残基が別の残基に置換されてあるがその他の点では同一のHBcキメラから生成される粒子よりも安定である、前記免疫原性粒子として存在するリコンビナントHBcキメラタンパク質分子。
【請求項33】
約1.2から約1.7の280/260吸収比を示す請求項32に記載の免疫原性粒子として存在するリコンビナントHBcキメラタンパク質分子。
【請求項34】
前記リコンビナントキメラHBcタンパク質分子の長さが約435までのアミノ酸残基である請求項32に記載の免疫原性粒子として存在するリコンビナントHBcキメラタンパク質分子。
【請求項35】
前記リコンビナントキメラHBcタンパク質分子の長さが約175から約240アミノ酸残基である請求項32に記載の免疫原性粒子として存在するリコンビナントHBcキメラタンパク質分子。
【請求項36】
医薬として許容できる希釈剤に溶解または分散された免疫誘発に有効な量の請求項32に記載の免疫原性粒子として存在するリコンビナントHBcキメラタンパク質分子を含むワクチンまたは接種物。
【請求項37】
前記リコンビナントキメラHBcタンパク質分子が、約175から約240のアミノ酸残基の長さを有し、かつ、前記免疫原性粒子が、約1.4から約1.6の280nm対260nm吸収比を示す、請求項36に記載のワクチンまたは接種物。
【請求項38】
非経口投与用に適用させた請求項36に記載のワクチンまたは接種物。
【請求項39】
粘膜免疫用に適用させた請求項36に記載のワクチンまたは接種物。
【請求項40】
前記リコンビナントキメラHBcタンパク質分子粒子が植物組織に存在する、請求項36に記載のワクチンまたは接種物。
【請求項41】
前記リコンビナントキメラHBcタンパク質分子粒子が、腸チフス菌(S. typhi)、ネズミチフス菌(S. typhimurium)またはネズミチフス菌−大腸菌ハイブリッドの弱毒株に存在する、請求項36に記載のワクチンまたは接種物。
【請求項42】
さらにアジュバントを含む請求項36に記載のワクチンまたは接種物。
【請求項43】
前記アジュバントがミョウバンである請求項42に記載のワクチンまたは接種物。
【請求項44】
前記アジュバントが、ムラミルジペプチド、7−置換−8−オキソ−もしくは8−スルホ−グアノシン誘導体、モノホスホリル脂質A、アルミニウムもしくはカルシウム塩から成る群から選択される小分子である、請求項42に記載のワクチンまたは接種物。
【請求項45】
前記アジュバントが、前記免疫原性粒子および前記医薬として許容できる希釈剤とともに乳化されて水相および油相を有する乳液を提供する油である、請求項42に記載のワクチンまたは接種物。
【請求項46】
前記乳液の油相がスクァレン又はスクァランを含む、請求項45に記載のワクチンまたは接種物。
【請求項47】
前記乳液の水相および油相が、ソルビタンまたはマンニッドC12−C24脂肪酸エステルである乳化剤によって乳化される、請求項45に記載のワクチンまたは接種物。
【請求項48】
請求項1〜31のいずれか1項に記載のリコンビナントHBcタンパク質分子をコードする核酸セグメント、またはその変種、類似体もしくは相補物。
【請求項49】
請求項1〜31のいずれか1項に記載のリコンビナントHBcタンパク質分子をコードする核酸セグメント、またはその変種、類似体もしくは相補物に機能できるように連結されたベクター、および適合ホスト生物中で前記遺伝子の発現を駆動させるために適したプロモーターを含むリコンビナント核酸分子。
【請求項50】
請求項49に記載のリコンビナント核酸分子で形質転換されたホスト細胞。
【請求項51】
前記ホスト細胞が、CHO、VEROもしくはCOS細胞、大腸菌、ビール酵母菌、ピキア・パストリス・ティフィー(Pichia pastoris typhi)、ネズミチフス菌およびネズミチフス菌−大腸菌ハイブリッドから成る群から選択される、請求項50に記載の形質転換ホスト細胞。
【請求項52】
ホスト動物で免疫反応を誘発するための請求項36に記載のワクチンまたは接種物の製造のための、免疫誘発に有効な量の請求項32に記載の免疫原性粒子として存在するリコンビナントHBcキメラタンパク質分子の使用。
【請求項53】
ホスト動物で免疫反応を誘発するための請求項37に記載のワクチンまたは接種物の製造のための、免疫誘発に有効な量の請求項32に記載の免疫原性粒子として存在するリコンビナントHBcキメラタンパク質分子の使用。
【請求項54】
ホスト動物で免疫反応を誘発するための請求項42に記載のワクチンまたは接種物の製造のための、免疫誘発に有効な量の請求項32に記載の免疫原性粒子として存在するリコンビナントHBcキメラタンパク質分子の使用。
【請求項55】
ホスト動物で免疫反応を誘発するための請求項43に記載のワクチンまたは接種物の製造のための、免疫誘発に有効な量の請求項32に記載の免疫原性粒子として存在するリコンビナントHBcキメラタンパク質分子の使用。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−139237(P2012−139237A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−88679(P2012−88679)
【出願日】平成24年4月9日(2012.4.9)
【分割の表示】特願2002−519606(P2002−519606)の分割
【原出願日】平成13年8月16日(2001.8.16)
【出願人】(506343391)セルデックス セラピューティックス リミテッド (2)
【Fターム(参考)】